JP7136466B2 - ジアリールエテン化合物、フォトクロミック材料、及び紫外線センサー - Google Patents

ジアリールエテン化合物、フォトクロミック材料、及び紫外線センサー Download PDF

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Description

本発明は、新規なジアリールエテン化合物に関する。さらに、本発明は、当該ジアリールエテン化合物を含むフォトクロミック材料、当該フォトクロミック材料を含む紫外線センサーに関する。
従来、紫外線が照射されると変色する化合物が知られており、このような化合物は、フォトクロミック材料として、光メモリ媒体や光表示材料などへの応用が検討されている。しかしながら、従来のフォトクロミック材料は、紫外線照射によって変色するものの、その後、可視光下に置かれると、短期間で元の色に戻るものが多い。このため、可視光下においても長期間に亘って色を保持できるフォトクロミック材料の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、特定のジヘテロアリールエテン系化合物は、紫外光照射によって素早く閉環して着色し、その後に室温かつ可視光下に置かれても、開環反応が進行し難く、長期間に亘って色を保持できることが記載されている。このような特性を備えるジヘテロアリールエテン系化合物は、光メモリ媒体や光表示材料としての応用が期待される。
特許第4025920号
紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下においても長期間に亘って色を保持できるフォトクロミック材料には、さらなるバリエーションが求められる。
このような状況下、本発明は、紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化の小さい新規なジアリールエテン化合物を提供することを主な目的とする。さらに本発明は、当該ジアリールエテン化合物を含むフォトクロミック材料、当該フォトクロミック材料を含む紫外線センサーを提供することも課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記一般式(1)で表される、ジアリールエテン化合物は、紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化が小さいことを見出した。
Figure 0007136466000001
一般式(1)中、環Aは、複素環式構造を示している。X1及びX2は、それぞれ独立に、SまたはSO2であり、かつ、X1及びX2のうち少なくとも一方がSO2である。Y1及びY2は、それぞれ独立に、CまたはNである。R1及びR2は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基である。R3は、Y1がCである場合には、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR4と互いに結合して環構造を形成しており、Y1がNである場合には、電子対である。R5は、Y2がCである場合には、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR6と互いに結合して環構造を形成しており、Y2がNである場合には、電子対である。R4は、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR3と互いに結合して環構造を形成している。R6は、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR5と互いに結合して環構造を形成している。
本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記一般式(1)で表される、ジアリールエテン化合物。
Figure 0007136466000002
[式(1)中、
環Aは、複素環式構造を示しており、
1及びX2は、それぞれ独立に、SまたはSO2であり、かつ、X1及びX2のうち少なくとも一方がSO2であり、
1及びY2は、それぞれ独立に、CまたはNであり、
1及びR2は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基であり、
3は、Y1がCである場合には、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR4と互いに結合して環構造を形成しており、Y1がNである場合には、電子対であり、
5は、Y2がCである場合には、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR6と互いに結合して環構造を形成しており、Y2がNである場合には、電子対であり、
4は、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR3と互いに結合して環構造を形成しており、
6は、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR5と互いに結合して環構造を形成している。]
項2. 前記環Aが、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含む、項1に記載のジアリールエテン化合物。
項3. 前記環Aが、ベンゾフラン骨格、インドール骨格、ベンゾチオフェン骨格、またはジオキシドベンゾチオフェン骨格である、項1または2に記載のジアリールエテン化合物。
項4. 下記一般式(1A)で表される、項1~3のいずれかに記載のジアリールエテン化合物。
Figure 0007136466000003
[式(1A)中、
Zは、O、S、SO2、またはNRであり、Rは、水素原子、アルキル基、またはアリール基であり、
1A、R2A、R3A、及びR4Aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、またはアリール基であり、
1、X2、Y1、Y2、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ、一般式(1)と同じである。]
項5. 下記一般式(1B)で表される、項1~4のいずれかに記載のジアリールエテン化合物。
Figure 0007136466000004
[式(1B)中、X1、X2、R1、R2、R3、及びR5は、それぞれ、一般式(1)と同じである。]
項6. 下記一般式(1C)で表される、項1~4のいずれかに記載のジアリールエテン化合物。
Figure 0007136466000005

[式(1C)中、X1、X2、R1、R2、及びR3は、それぞれ、一般式(1)と同じであり、Rn4aは、ベンゼン環に結合したn個の置換基であり、nは、1~5の整数である。]
項7. 下記式(11)~(20)で表される、ジアリールエテン化合物。
Figure 0007136466000006
Figure 0007136466000007
項8. 項1~7のいずれかに記載のジアリールエテン化合物を含む、フォトクロミック材料。
項9. 項8に記載のフォトクロミック材料を含む、紫外線センサー。
項10. 紫外線による物品の殺菌効果を把握するために用いられる、項9に記載の紫外線センサー。
本発明によれば、紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化の小さい新規なジアリールエテン化合物を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該ジアリールエテン化合物を含むフォトクロミック材料、当該フォトクロミック材料を含む紫外線センサーを提供することも課題とする。
実施例で得られた化合物(11)~(16)及び比較例1で得られた化合物(すべて、ヘキサン溶液)の紫外線(365nm)照射時間と閉環体の吸収極大波長における吸光度との関係を示すグラフである。 実施例で得られた化合物(17)のジクロロメタン中での吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 実施例で得られた化合物(18)のジクロロメタン中での吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 実施例で得られた化合物(19)のジクロロメタン中での吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 実施例で得られた化合物(20)のジクロロメタン中での吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 実施例で得られた化合物(17)~(20)(ジクロロメタン溶液)及び比較例1で得られた化合物(ヘキサン溶液)の紫外線照射時間と吸光度との関係を示すグラフである。なお、図1に示した化合物(11)~(16)(ヘキサン溶液)の結果も併せて点線で示している。
本発明のジアリールエテン化合物は、下記一般式(1)で表される化学構造を備えている。
Figure 0007136466000008
ここで、環Aは、複素環式構造を有している。すなわち、環Aは、ヘテロ原子を含む環構造を有している。ヘテロ原子としては、特に制限されないが、紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減する観点から、好ましくは酸素原子、硫黄原子、または窒素原子が挙げられる。また、同様の観点から、複素環構造は、芳香環であることが好ましい。好ましい環Aの具体例としては、ベンゾフラン骨格、インドール骨格、ベンゾチオフェン骨格、またはジオキシドベンゾチオフェン骨格が挙げられ、特に好ましくはベンゾフラン骨格またはジオキシドベンゾチオフェン骨格が挙げられる。なお、紫外線センサーとして好適に使用する観点からは、環Aはベンゾフラン骨格であることが特に好ましく、光メモリ媒体や光表示材料として好適に使用する観点からは、環Aはジオキシドベンゾチオフェン骨格であることが特に好ましい。
なお、後述のとおり、ジアリールエテン化合物の色(紫外線照射によって閉環する前の色)としては、特に制限されないが、通常、無色透明である。
また、式(1)において、基X1及び基X2は、それぞれ独立に、S(硫黄原子)またはSO2であり、かつ、基X1及び基X2のうち少なくとも一方がSO2である。すなわち、本発明のジアリールエテン化合物は、基X1がSである場合には基X2がSO2であり、基X2がSである場合には基X1がSO2であり、基X1及び基X2の両方がSO2であってもよい。
また、基Y1及び基Y2は、それぞれ独立に、C(炭素原子)またはN(窒素原子)であり、好ましくはCである。
基R1及び基R2は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基である。アルキル基は、直鎖または分岐のいずれであってもよい。上記一般式(1)で表される構造を有するジアリールエテン化合物は、基R1及び基R2の炭素数や構造を変化させることにより、紫外線の照射による変色と、可視光下における変色後の色の変化を調整することができる。また、例えば、紫外線照射による基R1及び基R2が結合している炭素原子同士の閉環反応速度を調整することもできる。閉環反応速度を調整することにより、紫外線照射による変色の速度(感度)を調整することができる。
紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減する観点から、基R1及び基R2は、それぞれ独立に、炭素数が1~10のアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、炭素数が1~6のアルキル基またはフェニル基であることがより好ましい。好ましいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
基R3は、基Y1がCである場合には、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいは基R4と互いに結合して環構造を形成している。また、基Y1がNである場合には、R3は、電子対である。基R3は、基Y1がCであり、水素原子、アリール基、またはアルキル基であるか、あるいは基R4と互いに結合して環構造を形成していることが好ましく、水素原子、アリール基、または炭素数が1~3のアルキル基であるか、あるいは基R4と互いに結合してベンゼン環構造を形成していることがより好ましい。なお、基R5が基R6と互いに結合して環構造を形成している場合には、基R3はアリール基であって、基Y1がCであることが好ましい。
基R5は、基Y2がCである場合には、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいは基R6と互いに結合して環構造を形成している。また、基Y2がNである場合には、R5は、電子対である。基R5は、基Y2がCであり、水素原子、アリール基、またはアルキル基であるか、あるいは基R6と互いに結合して環構造を形成していることが好ましく、水素原子または炭素数が1~3のアルキル基であるか、あるいは基R6と互いに結合してベンゼン環構造を形成していることがより好ましい。
なお、基R3及び基R5のアリール基、アルキル基、アルコキシ基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。また、基R3と基R4とが互いに結合して環構造、及び基R5と基R6とが互いに結合して環構造についても、それぞれ、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、特に制限されないが、例えばシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。
基R4は、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR3と互いに結合して環構造を形成しており、好ましくは水素原子、フェニル基、アルコキシフェニル基(特に、炭素数が1~3のアルコキシ基を有するフェニル基、さらにはメトキシフェニル基)、または炭素数が1~5のアルキル基が挙げられる。基R6は、水素原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、またはシアノ基、あるいはR5と互いに結合して環構造を形成しており、好ましくは水素原子、フェニル基、または炭素数が1~5のアルキル基であるか、あるいはR5と互いに結合して環構造(好ましくはベンゼン環構造)を形成している。これらの中でも、基R4が、フェニル基、アルコキシフェニル基(特に、炭素数が1~3のアルコキシ基を有するフェニル基、さらにはメトキシフェニル基)であり、かつ、基R6が、フェニル基であるか、あるいはR5と互いに結合してベンゼン環構造を形成していることが特に好ましい。なお、基R4及び基R6のアリール基、アルキル基、アルコキシ基、環構造は、それぞれ、置換基を有していてもよい。当該置換基としては、特に制限されないが、例えばシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。
環Aの好ましい構造の具体例としては、次のような一般式で表される構造が挙げられる。
Figure 0007136466000009
上記一般式において、インドール環のNに結合した基Rとしては、特に制限されないが、例えば、水素原子、アルキル基、またはアリール基が挙げられ、好ましくは炭素数が1~5のアルキル基が挙げられる。アルキル基及びアリール基は、それぞれ、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、特に制限されないが、それぞれ独立に、好ましくはシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。
紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減する観点から、本発明のジアリールエテン化合物は、好ましくは下記一般式(1A)で表される構造を備えていることが好ましい。
Figure 0007136466000010
一般式(1A)において、Zは、O、S、SO2、またはNRであり、Rは、水素原子、アルキル基、またはアリール基である。Rとしては、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数が1~5のアルキル基が挙げられる。置換基としては、特に制限されないが、それぞれ独立に、好ましくはシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。
また、一般式(1A)において、R1A、R2A、R3A、及びR4Aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、またはアリール基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。アルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が挙げられる。アルキル基及びアリール基は、それぞれ、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、特に制限されないが、それぞれ独立に、好ましくはシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。
一般式(1A)において、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、及びY2は、それぞれ、一般式(1)と同じである。
本発明のジアリールエテン化合物のように、紫外線が照射されると変色する化合物は、従来のジアリールエテン化合物の利用が検討されていた光メモリ媒体や光表示材料としての利用だけでなく、紫外線センサーとしての利用が考えられる。例えば、食品や衛生製品などの物品は、紫外線照射によって殺菌されることがある。紫外線センサーは、これらの物品に紫外線が照射されて、物品が十分に紫外線殺菌されたことのインジケータ(標識)として利用が考えられる。
しかしながら、例えば、従来の多くのフォトクロミック材料のように、可視光下において短期間で元の色に戻るものは、紫外線照射後の可視光下での色の変化が大きいため、紫外線センサーとしては利用し難いという問題がある。
本発明のジアリールエテン化合物は、紫外線が照射されると変色し、かつ、可視光下における変色後の色の変化が低減されているため、紫外線センサーとして好適に利用することができる。紫外線センサーとしては、紫外線照射によって素早く着色するもの(高感度のもの)や、紫外線照射によってゆっくり着色するもの(低感度のもの)など、種々のものが考えられる。本発明のジアリールエテン化合物のうち、例えば一般式(1A)において、Zが、O、S、またはNRであり、Rは、水素原子、アルキル基、またはアリール基である化合物は、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的ゆっくりと変化させることができ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射による着色が小さい(すなわち、紫外線照射に対して低感度の)紫外線センサーに好適に使用することができる。特に、一般式(1A)において、ZがOである化合物は、紫外線照射量を低感度で検知する紫外線センサーに好適に使用することができる。また、本発明のジアリールエテン化合物のうち、例えば一般式(1A)において、Zが、SO2である化合物は、紫外線照射による閉環反応が比較的速いため、紫外線照射による着色が大きい(すなわち、紫外線照射に対して高感度の)紫外線センサーに好適に使用することができる。なお、紫外線照射による閉環反応が速いジアリールエテン化合物は、光メモリ媒体や光表示材料としても好適に使用することができる。
さらに具体的には、上記の機能を効果的に発揮する観点から、本発明のジアリールエテン化合物は、好ましくは下記一般式(1B)または(1C)で表される構造を備えていることがより好ましい。
Figure 0007136466000011
一般式(1B)及び(1C)において、X1、X2、R1、R2、R3及びR5については、それぞれ、前述の一般式(1)で例示したものと同じものが挙げられる。また、一般式(1C)において、Rn4aは、ベンゼン環に結合したn個の置換基であり、当該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。また、nは、1~5の整数である。Rn4aは、これらの中でも炭素数1~3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基)であることが好ましく、また、ベンゼン環の第4位に結合していることが好ましい。
上記一般式(1B)で表される化合物は、紫外線照射による閉環反応が遅いため、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的ゆっくりと変化させ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して低感度の紫外線センサーに特に好適に使用することができる。また、上記(1C)で表される化合物については、紫外線照射による閉環反応が速いため、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的速く変化させ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して高感度の紫外線センサーに特に好適に使用することができる。
本発明のジアリールエテン化合物の色(紫外線照射によって閉環する前の色)としては、特に制限されないが、好ましくは無色透明である。
また、本発明のジアリールエテン化合物は、紫外線照射後に可視領域に吸収を有しており、例えば、本発明のジアリールエテン化合物の閉環体(基R1及び基R2が結合している炭素原子同士が結合して6員環構造を形成したもの)の極大吸収波長λmaxが400~700nmの範囲内にある。また、当該閉環体のモル吸光係数εとしては、ε>10000M-1cm-1を充足する。さらに、本発明のジアリールエテン化合物の閉環反応量子収率としては、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的ゆっくりと変化させ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して低感度の紫外線センサーに好適に使用する観点からは、好ましくは0.001~0.3、より好ましくは0.005~0.1が挙げられる。すなわち、本発明のジアリールエテン化合物のうち、このような小さな閉環反応量子収率を備えるものは、従来、光メモリ媒体や光表示材料などへの応用が検討されているフォトクロミック化合物に比して、閉環反応量子収率が小さいという特徴を備えている。一方、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的速く変化させ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して高感度の紫外線センサーに好適に使用する観点からは、本発明のジアリールエテン化合物の閉環反応量子収率としては、好ましくは0.1~1、より好ましくは0.2~1が挙げられる。また、本発明のジアリールエテン化合物の閉環体の開環反応量子収率としては、好ましくは10-3以下、より好ましくは2×10-4以下が挙げられる。なお、閉環反応量子収率及び開環反応量子収率は、それぞれ、実施例に記載の方法により測定された値を意味している。
本発明のジアリールエテン化合物の具体例としては、下記式(11)~(20)で表される化合物(以下、化合物(11)~(20)などという)が挙げられる。これらのうち、特に、一般式(11)~(16)、(19)、(20)で表される化合物は、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的ゆっくりと変化させ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して低感度の紫外線センサーに好適に使用することができる。また、下記式(17)、(18)で表される化合物については、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的速く変化させ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して高感度の紫外線センサーに好適に使用することができる。また、これらの化合物は、紫外線照射による閉環反応が速いため、光メモリ媒体や光表示材料としても特に好適に使用することができる。
Figure 0007136466000012
Figure 0007136466000013
一般式(1)で表されるジアリールエテン化合物の製造方法としては、特に制限されず、公知の製造方法を採用することができる。例えば、環Aがベンゾフラン骨格を有する場合であれば、ベンゾフランまたはその誘導体を出発原料として、実施例に記載の方法に準じて製造することができる。また、環Aがインドール骨格を有する場合であれば、インドールまたはその誘導体を出発原料とし、環Aがベンゾチオフェン骨格またはジオキシドベンゾチオフェン骨格を有する場合であれば、ベンゾチオフェンまたはその誘導体を出発原料とし、実施例に記載の方法に準じて製造することができる。環Aがその他の複素環構造を備える場合にも、当該複素環またはその誘導体を出発原料として、実施例に記載の方法に準じてジアリールエテン化合物を製造することができる。
なお、本発明のジアリールエテン化合物の製造において、出発原料、それらの使用量や割合、温度、時間、圧力、雰囲気、および溶媒の種類や使用量などの反応条件は、製造するジアリールエテン化合物の構造に応じて適宜設定すればよい。また、製造された化合物が所望のジアリールエテン化合物(1)であることは、例えば実施例に示すように、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)、質量分析法などの一般的な有機分析手法により確認することができる。
本発明のジアリールエテン化合物(1)は、例えば、下記の式で表されるように、紫外光照射により、基R1及び基R2が結合している2つの炭素原子同士が環を形成(閉環)し、変色(着色)した化合物(2)となる。この着色は、室温下及び可視光下で安定である。
Figure 0007136466000014
前記の通り、紫外光照射により、本発明のジアリールエテン化合物が環構造を形成して、上記一般式(2)で示される化合物となる際の反応速度及びその逆反応速度は、例えば、基R1及び基R2の種類や環Aの構造などによって調整することができる。
また、本発明のジアリールエテン化合物を複数種類用いることにより、紫外線照射量と変色の程度との関係を適宜調整することもできる。例えば、閉環反応速度が異なる複数種類のジアリールエテン化合物を混合して用いることにより、紫外線照射量と変色の程度との関係を調整することができる。
このように、本発明のジアリールエテン化合物は、紫外線が照射されると変色し、さらに、紫外線照射量(紫外線照射時間、紫外線強度)と変色の程度との関係を設計することも可能であり、閉環反応量子収率に応じて、紫外線センサーに用いるフォトクロミック材料や、メモリ媒体や光表示材料に用いるフォトクロミック材料として、好適に使用することができる。
本発明のフォトクロミック材料は、本発明のジアリールエテン化合物を1種類単独で含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。また、本発明のフォトクロミック材料は、本発明のジアリールエテン化合物とは異なるフォトクロミック化合物(例えば、特許文献1に開示された化合物など)を含んでいてもよい。
本発明の紫外線センサーは、本発明のフォトクロミック材料を含んでおり、例えば、紫外線による物品の殺菌効果を把握するために好適に用いることができる。前記の通り、特に、本発明のジアリールエテン化合物のうち、特に、一般式(1A)において、Zが、O、S、またはNRであり、Rは、水素原子、アルキル基、またはアリール基である化合物(より具体的には、一般式(1B)で表される化合物、さらに具体的には、式(11)~(16)、(19)、(20)で表される化合物)が含まれることにより、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的ゆっくりと変化させることができ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して低感度の紫外線センサーに好適に使用することができる。また、本発明のジアリールエテン化合物のうち、特に、一般式(1A)において、Zが、SO2である化合物(より具体的には、一般式(1C)で表される化合物、さらに具体的には、式(17)、(18)で表される化合物)が含まれることにより、紫外線照射量に応じて変色の程度を比較的速く変化させることができ、かつ、可視光下における変色後の色の変化を低減して、紫外線照射に対して高感度の紫外線センサーに好適に使用することができる。本発明の紫外線センサーを用いることにより、殺菌に必要な紫外線照射量が物品に照射されたことを、紫外線センサーの変色(着色)により好適に把握することができる。例えば、従来、物品の紫外線による殺菌は、紫外線ランプから照射される紫外線を用いて行われている。ところが、紫外線ランプの寿命などによって、殺菌に必要な紫外線照射量が十分に物品に照射されていないという事態が生じることが考えられる。このような場合、紫外線センサーを用い無い場合には、そのことを把握することができないことが想定されるが、本発明の紫外線センサーによれば、物品に対する紫外線照射量を変色(着色)によって把握できるため、このような事態を回避することができる。
さらに、本発明の紫外線センサーは、本発明のジアリールエテン化合物を含むだけでなく、さらに、例えば紫外線吸収剤を含むことにより、ジアリールエテン化合物が閉環して上記一般式(2)で示される化合物となる反応速度をより遅らせることができる。このため、物品に対して長時間または高強度の紫外線照射がなされる場合にも、本発明の紫外線センサーは好適に使用することができる。
本発明の紫外線センサーは、例えば、樹脂中にフォトクロミック材料を分散させた構成とすることができる。紫外線センサー中のフォトクロミック材料の含有量としては、特に制限されず、例えば1~20質量%程度が挙げられる。また、樹脂としても特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。樹脂の具体例としては、ポリオレフィン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチロール樹脂などが挙げられる。紫外線センサー中の樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
また、本発明のジアリールエテン化合物は、紫外線照射量に応じて変色の程度を変化させることができるものについては、紫外線センサーに好適に使用することができる。また、本発明のジアリールエテン化合物は、紫外線センサーのみならず、例えば、紫外線チェックカード、偽造防止マーク、広告媒体(POP広告)、各種教材、調光材料(例えば、窓ガラス、車両用ガラス、サングラスなど)、繊維製品へのプリント用途、化粧品、遊具、印刷インク、装飾材、玩具、情報記録材料、表示材料など、広範な用途に使用することができる。また、本発明のジアリールエテン化合物は、光メモリ媒体や光表示材料としても好適に使用することができる。
以下の実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、ジアリールエテン化合物の同定には、以下の1H-NMR及び質量分析法を用いた。
1H-NMR)
核磁気共鳴スペクトル装置(ブルカーバイオスピン株式会社(Bruker BioSpin K.K.)製、型式:AV-300N)を用いて、中間化合物及びジアリールエテン化合物を同定した。溶媒として重クロロホルム(CDCl3)、基準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
(質量分析法)
質量分析装置(Bruker社製、型式:FT-ICR/solariX)を用いて、中間化合物及びジアリールエテン化合物を同定した。マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)によりイオン化させて高分解能で測定した。
(実施例1)
下記の方法により、式(11)及び(12)で表される化合物を合成した。まず、ベンゾフラン 1.1 g (9.5 mmol)をクロロホルム 8 mLに溶解させ、酢酸ナトリウム 0.20 g (2.4 mmol)を加えた。臭素 1.0 mL (20 mmol)をクロロホルム 2 mLに溶解させ、ゆっくりと滴下した。その後、50℃で6時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーで精製し、2,3-ジブロモベンゾフランを得た。収量 0.73 g、収率 28%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 7.3-7.4 (m, 2H), 7.4-7.5 (m, 2H).
Figure 0007136466000015
次に、アルゴン雰囲気下にした四つ口フラスコに、2-メチル-3-ブロモ-5-フェニルチオフェン 480 mg (1.9 mmol)を入れ、無水テトラヒドロフラン 20 mLに溶解させた。-78℃に冷却し、1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 2.0 mL (3.2 mmol)をゆっくりと滴下した。2時間撹拌した後、ホウ酸トリブチル 1.0 mL (3.7 mmol)をゆっくりと滴下し1.5時間撹拌した。室温に戻し、水でクエンチし、2,3-ジブロモベンゾフラン 260 mg (0.94 mmol)、20 wt% Na2CO3水溶液 3 mL、Pd(PPh34 70 mgを加え11時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン = 8:2)で精製し(Rf = 0.51)、2,3-ビス(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフランを得た。収量 120 mg、収率 28%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.16 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 7.2-7.7 (m, 16H). HRMS (MALDI) m/z = 462.1106 (M+), Calcd. for C3022OS2 + = 462.1107.
Figure 0007136466000016
次に、2,3-ビス(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフラン 50 mg (0.11 mmol)、m-クロロ過安息香酸(純度70%) 65 mg (0.26 mmol)をジクロロメタン 3 mLに溶解させ2日間撹拌した。撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和しジクロロメタンで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)で精製し、さらにHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=8:2)で精製し、58:42の比で2-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-メチル-5-フェニル-1,1-ジオキシド-3-チエニル)ベンゾフラン(式(11))、及び2-(2-メチル-5-フェニル-1,1-ジオキシド-3-チエニル)-3-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフラン(式(12))を得た。なお、これらは分離ができないため、混合物として使用した。収量 26.4 mg、収率 48.4%。
式(11): 1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.03 (s, 3H), 2.55 (s, 3H), 6.99 (s, 1H), 7.2-7.7 (m, 15H).
式(12): 1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.32 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 6.96 (s, 1H), 7.2-7.8 (m, 15H).
Figure 0007136466000017
(実施例2)
下記の方法により、式(13)及び(14)で表される化合物を合成した。まず、アルゴン雰囲気下にした四つ口フラスコに、3-ブロモ-2-エチル-5-フェニルチオフェン 1.0 g(3.6 mmol)を入れ、無水テトラヒドロフラン 20 mLに溶解させた。-78℃に冷却し、1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 3.0 mL (4.8 mmol)をゆっくりと滴下した。2時間撹拌した後、ホウ酸トリブチル 1.6 mL (5.9 mmol)をゆっくりと滴下し2時間撹拌した。室温に戻し、水でクエンチし、2,3-ジブロモベンゾフラン 420 mg (1.5 mmol)、20 wt% Na2CO3水溶液 4 mL、Pd(PPh34 90 mgを加え10時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=9:1)で精製し、さらにHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=99:1)で精製し、2,3-ビス(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフランを得た。収量 293 mg、収率 32%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.10 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.26 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.58 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.94 (q, J = 7.5 Hz, 2H),
7.20 (s, 1H), 7.2-7.7 (m, 15H). HRMS (MALDI) m/z = 490.1419 (M+), Calcd. for C3226OS2 + = 490.1420.
Figure 0007136466000018
次に、2,3-ビス(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフラン 71.3 mg (0.145 mmol)、m-クロロ過安息香酸(純度70%) 90 mg (0.37 mmol)をジクロロメタン 4 mLに溶解させ3日間撹拌した。撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和しジクロロメタンで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製し、さらにHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)で2つの異性体を分離し、2-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-エチル-5-フェニル-1,1-ジオキシド-3-チエニル)ベンゾフラン(式(13))、及び2-(2-エチル-5-フェニル-1,1-ジオキシド-3-チエニル)-3-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフラン(式(14))をそれぞれ収量 22.4 mg(収率 30%)および収量 10.0 mg(収率13%)で得た。
式(13): 1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.16 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.36 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.57 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 3.03 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 6.90 (s, 1H), 7.2-7.8 (m, 15H). HRMS (MALDI) m/z = 522.1317 (M+), Calcd. for C322632 + = 522.1318.
式(14)1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.22 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.45 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 2.69 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 3.04 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 6.83 (s, 1H), 7.2-7.7 (m, 15H). HRMS (MALDI) m/z = 522.1317 (M+), Calcd. for C322632 + = 522.1318.
Figure 0007136466000019
(実施例3)
下記の方法により、式(15)及び(16)で表される化合物を合成した。まず、アルゴン雰囲気下にした四つ口フラスコに、3-ブロモ-2-イソプロピル-5-フェニルチオフェン 900 mg (3.2 mmol)を入れ、無水テトラヒドロフラン 20 mLに溶解させた。-78℃に冷却し、1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 2.8 mL (4.5 mmol)をゆっくりと滴下した。2時間撹拌した後、ホウ酸トリブチル 1.5 mL (5.6 mmol)をゆっくりと滴下し2時間撹拌した。室温に戻し、水でクエンチし、2,3-ジブロモベンゾフラン 390 mg (1.4 mmol)、20 wt% Na2CO3水溶液 4 mL、Pd(PPh34 80 mgを加え10時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=8:2)で精製し(Rf = 0.55)、さらにHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)で精製し、2,3-ビス(2-イソプロピル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフランを得た。収量 125 mg、収率 17%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.1 (br, 6H), 1.26 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 3.06 (sep, J = 6.8 Hz, 1H), 3.67 (sep,J = 6.8 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.2-7.7 (m, 14H). HRMS (MALDI) m/z = 518.1732 (M+), Calcd. for C3430OS2 + = 518.1733.
Figure 0007136466000020
次に、2,3-ビス(2-イソプロピル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフラン 60 mg (0.12 mmol)、m-クロロ過安息香酸(純度70%) 74 mg (0.30 mmol)をジクロロメタン 3 mLに溶解させ4日間撹拌した。撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和しジクロロメタンで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:2)で精製し、さらにHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)で2つの異性体を分離し、2-(2-イソプロピル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-イソプロピル-5-フェニル-1,1-ジオキシド-3-チエニル)ベンゾフラン(式(15))、及び2-(2-イソプロピル-5-フェニル-1,1-ジオキシド-3-チエニル)-3-(2-イソプロピル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾフラン(式(16))をそれぞれ収量 11.8 mg(収率 13%)および収量 12.2 mg(収率 14%)で得た。構造の同定はX線構造解析により行った。
式(15): 1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.30 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 1.38 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 3.09 (sep, J = 7.0 Hz, 1H), 3.74 (sep, J = 6.8 Hz, 1H), 6.79 (s, 1H), 7.2-7.8 (m, 15H). HRMS (MALDI) m/z = 550.1630 (M+), Calcd. for C343032 + = 550.1631.
式(16):1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.23 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.55 (d,J = 7.0 Hz, 6H), 3.09 (sep, J = 6.8 Hz, 1H), 3.85 (sep, J = 7.0 Hz, 1H), 6.74 (s, 1H), 7.2-7.7 (m, 15H). HRMS (MALDI) m/z = 550.1630 (M+), Calcd. for C343032 + = 550.1631.
Figure 0007136466000021
(比較例1)
特許文献1の合成例1に記載の下記式で表される化合物を、特許文献1に記載の方法により合成した。
Figure 0007136466000022
<光反応性の評価>
化合物(11)~(16)及び比較例1の化合物について、それぞれ、ヘキサン中に溶解させ(濃度: 10-5 mol/L程度)、ヘキサン中での紫外可視吸収スペクトルを測定し、開環体の最大吸収波長およびモル吸光係数を決定した。なお、式(11)の化合物及び式(12)の化合物については、58:42の混合物のままで紫外可視吸収スペクトルを測定した。
各化合物の閉環体については、紫外光照射により着色させた後、その溶液をHPLCにより閉環体のみ分取し、そのヘキサン中での紫外可視吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長およびモル吸光係数を決定した。閉環反応量子収率は、200 W水銀キセノン光源からカットフィルターおよびモノクロメーターで313 nmの光を取り出し、それを石英セルに入ったそれぞれの化合物のヘキサン溶液に照射し、反応した閉環体をモニターすることにより相対的な反応速度を決定し、既存の化合物の量子収率と比較することにより求めた。開環反応量子収率は、300 Wキセノン光源からカットフィルターおよびモノクロメーターを用いて、閉環体の吸収極大波長λmaxに相当する光を取り出し、それを石英セルに入ったそれぞれの化合物のヘキサン溶液に照射し、閉環体の減少速度を決定し、既存の化合物の量子収率と比較することにより求めた。結果を表1に示す。
Figure 0007136466000023
紫外線センサーに求められる条件は、紫外線照射後に可視領域に吸収を持つこと(例えば、閉環体の吸収極大波長λmaxが400~700 nmに存在すること)、そのモル吸光係数εが大きいこと(例えば、ε > 10000 M-1cm-1)、適度な閉環反応量子収率を持つことである。実際の着色の程度は閉環反応量子収率と閉環体のεの積で決まり、閉環反応量子収率が小さいほど強い紫外線でのセンサーとして機能する。閉環反応量子収率が小さく、閉環体のεが大きい方がより好ましい。化合物(11)~(16)は、いずれも、これらの条件を充足していることが分かる。置換基の構造を変えることにより、閉環反応量子収率が0.009~0.1まで変化している。このことから、置換基の構造を変えることにより、着色に必要な紫外線照射量が異なり、感度の違う紫外線センサーを作成できることが分かる。
さらに、紫外線センサーにおいては、着色した状態が熱および可視光線に安定である必要がある。化合物(11)~(16)の閉環体の開環反応量子収率は、10-4以下であり、十分な光安定性を有していることが分かる。さらに、化合物(11)~(16)の閉環体は室温で安定である。例えば、化合物(11)~(15)の閉環体では室温での半減期が3ヵ月以上であり非常に熱安定であり、化合物(16)の閉環体では1.8ヵ月であり熱安定であることが分かる。
<紫外線照射時間と色強度との関係>
化合物(11)~(16)及び比較例1の化合物のヘキサン溶液(1.2×10-5 mol/L)の入った石英セルに、200 W水銀キセノン光源からカットフィルターおよびモノクロメーターで取り出した365 nmの光を照射し、紫外可視吸収スペクトルの可視域の吸収極大波長の吸光度を色強度として求めた。紫外線照射時間と吸光度との関係を図1のグラフに示す。図1に示されるグラフから明らかなとおり、比較例1の化合物は、紫外線照射によって素早く着色することが分かる。一方、化合物(11)、(12)の混合物、化合物(13)、化合物(14)、化合物(15)、化合物(16)は、それぞれ、紫外線照射時間の経過と共に徐々に着色していることが分かる。紫外線照射時間は、紫外線強度の積算と考えることができるため、化合物(11)~(16)は、紫外線照射量に応じてゆっくりと着色することが分かる。例えば、化合物(16)では、比較例1の化合物に比して、約50倍強い紫外線が照射された場合にも、色強度が飽和せずに、紫外線の照射を感知できることが分かる。
(実施例4)
下記の方法により、式(17)で表される化合物を合成した。まず、3-ブロモ-2-メチル-5-フェニルチオフェン 0.40 g (1.6 mmol)と無水テトラヒドロフラン 30 mLを四つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 1.2 mL (1.9 mmol) をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.70 mL (2.6 mmol) を加えて、2時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 2 mL、2,3-ジブロモベンゾチオフェン 0.46 g (1.6 mmol)、Pd(PPh34 100 mgを加えて5時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン100%)で精製し、 3-ブロモ-2-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾチオフェンを得た。収量 412 mg, 収率 68%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.52 (s, 3H), 7.2-7.5 (m, 6H), 7.5-7.6 (m, 2H), 7.8-7.9 (m, 2H).
Figure 0007136466000024
次に、3-ブロモ-2-メチルベンゾチオフェン 0.27 g (1.2 mmol)と無水テトラヒドロフラン 30 mLを三つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 0.80 mL (1.3 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.40 mL (1.5 mmol)を加えて1.5時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 1.5 mL、3-ブロモ-2-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾチオフェン 0.21 g (0.54 mmol)、Pd(PPh34 76 mgを加えて5.5時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製し、2-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-メチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェンを得た。収量 93 mg、収率 38%(3-ブロモ-2-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾチオフェンからの収率として計算)。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.12 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 7.00 (s, 1H), 7.2-7.4 (m, 11H), 7.80 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8 Hz, 1H).
Figure 0007136466000025
次に、2-(2-メチル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-メチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェン 51 mg (0.11 mmol)をジクロロメタン 25 mLに溶かし、 m-クロロ過安息香酸 (純度70%) 130 mg (0.53 mmol)を加えて、7時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:4)で精製し、目的の化合物(式(17))を得た。収量 28 mg, 収率 48%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.03 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 7.1-7.7 (m, 12H), 7.81 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8 Hz, 1H).
Figure 0007136466000026
(実施例5)
下記の方法により、式(18)で表される化合物を合成した。まず、3-ブロモ-2-エチル-5-フェニルチオフェン 0.60 g (2.2 mmol)と無水テトラヒドロフラン 30 mLを四つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 1.7 mL (2.7 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.80 mL (3.0 mmol)を加えて、1.5時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 3 mL、2,3-ジブロモベンゾチオフェン 647 mg (2.2 mmol)、Pd(PPh34 100 mgを加えて5.5時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン100%)で精製し、3-ブロモ-2-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾチオフェンを得た。収量 654 mg、収率 74%。 1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.31 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.90 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 7.2-7.5 (m, 6H), 7.5-7.6 (m, 2H), 7.8-7.9 (m, 2H).
Figure 0007136466000027
次に、3-ブロモ-2-エチルベンゾチオフェン 190 mg (0.79 mmol)と無水テトラヒドロフラン 25 mLを三つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 0.60 mL (0.96 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.26 mL (0.96 mmol)を加えて2時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 0.5 mL、3-ブロモ-2-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾチオフェン 292 mg (0.73 mmol)、Pd(PPh34 93 mgを加えて5時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、2-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-エチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェンを得た。収量 88 mg、収率 25%(3-ブロモ-2-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)ベンゾチオフェンからの収率として計算)。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 0.94-1.02 (m, 6H), 2.5-2.7 (m, 4H), 6.94 (s, 1H), 7.2-7.4 (m, 11H), 7.83 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8 Hz, 1H).
Figure 0007136466000028
次に、2-(2-エチル-5-フェニル-3-チエニル)-3-(2-エチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェン 56.5 mg (0.118 mmol)をジクロロメタン 25 mLに溶かし、m-クロロ過安息香酸 (純度70%) 130 mg (0.53 mmol)を加えて、9時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:4)と再結晶で精製し、目的の化合物(式(18))を得た。収量 33 mg、収率 51%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.0-1.2 (m, 6H), 2.4-2.6 (m, 4H), 7.1-7.7 (m, 12H), 7.80 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8 Hz, 1H).
Figure 0007136466000029
(実施例6)
下記の方法により、式(19)で表される化合物を合成した。まず、3-ブロモ-5-(4-メトキシフェニル)-2-メチルチオフェン 850 mg (3.0 mmol)と無水テトラヒドロフラン (THF) 40 mLを三つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 2.4 mL (3.8 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 1.3 mL (4.8 mmol)を加えて1時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。THFを留去し、希塩酸で酸性にしてジエチルエーテルで抽出した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にした後、再度水で抽出した。そして、水層に濃塩酸を加えると沈殿が得られた。沈殿物をろ過して集め、5-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-3-チエニルボロン酸を得た。収量 720 mg、収率 96%。そのまま、次の反応に使用した。
Figure 0007136466000030
次に、5-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-3-チエニルボロン酸 720 mg (2.9 mmol)をテトラヒドロフラン 40 mLに溶かし、20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 5 mL、2,3-ジブロモベンゾチオフェン 850 mg (2.9 mmol)、Pd(PPh34 51.8 mgを加えて8時間還流した。塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、3-ブロモ-2-(2-メチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)ベンゾチオフェンを得た。収量 690 mg、収率 57%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.50 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 6.9-7.0 (m, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.4-7.6 (m, 4H), 7.8-7.9 (m, 2H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ = 14.9, 55.5, 107.3, 114.4, 122.3, 123.6, 124.2, 124.3, 125.3, 125.6, 126.9, 127.0, 127.0, 130.2, 133.8, 137.9, 138.4, 138.5, 140.6, 159.3. HRMS (MALDI) m/z = 413.9743 (M+), Calcd. for C2015BrOS2 + = 413.9742.
Figure 0007136466000031
次に、3-ブロモ-2-メチルベンゾチオフェン 408 mg (1.8 mmol)と無水テトラヒドロフラン 25 mLを三つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却する。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 1.4 mL (2.2 mmol) をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.70 mL (2.6 mmol)を加えて終夜攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 2 mL、3-ブロモ-2-(2-メチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)ベンゾチオフェン 290 mg (0.70 mmol)、Pd(PPh34 58 mgを加えて6時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)とHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=96:4)で精製し、2-(2-メチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)-3-(2-メチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェンを得た。収量 226 mg、収率 67%(3-ブロモ-2-(2-メチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)ベンゾチオフェンからの収率として計算)。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.10 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 6.8-6.9 (m, 3H), 7.1-7.4 (m, 8H), 7.79 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8 Hz, 1H). HRMS (MALDI) m/z = 482.0828 (M+), Calcd. for C2922OS3 + = 482.0827.
Figure 0007136466000032
次に、2-(2-メチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)-3-(2-メチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェン 43 mg (0.089 mmol)をジクロロメタン 25 mLに溶かし、 m-クロロ過安息香酸 (純度70%) 100 mg (0.41 mmol)を加えて、6時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、濾過した後、残った溶媒を留去した。その後、カラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=6:4)、HPLC(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)及び再結晶で精製し、目的の化合物(式(19))を得た。収量 23.6 mg、収率 48%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 2.03 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 6.8-6.9 (m, 2H), 7.1-7.2 (m, 1H), 7.2-7.3 (m, 1H), 7.4-7.7 (m, 7H), 7.79-7.82 (m, 1H), 7.90-7.93 (m, 1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ = 8.86, 15.26, 55.26, 114.48, 120.83, 122.16, 122.51, 123.13, 123.55, 124.06, 126.21, 127.28, 128.74, 129.13, 130.29, 130.39, 130.98, 133.91, 134.13, 135.97, 136.07, 139.65, 140.95, 142.14, 143.04, 159.70. HRMS (MALDI) m/z = 546.0626 (M+), Calcd. for C292253 + = 546.0624.
Figure 0007136466000033
(実施例7)
下記の方法により、式(20)で表される化合物を合成した。まず、3,5-ジブロモ-2-エチルチオフェン 1.55 g (5.7 mmol)と無水テトラヒドロフラン 40 mLを四つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 4.0 mL (6.4 mmol) をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 1.8 mL (6.7 mmol)を加えて、1時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 7 mL、p-ヨードアニソール 1.22 g (5.2 mmol)、Pd(PPh34 128 mgを加えて5.5時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。その後、ショートカラムと再結晶で精製し、3-ブロモ-5-(4-メトキシフェニル)-2-エチルチオフェンを得た。収量 1.2 g、収率 78%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.30 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.80 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 3.83 (s, 3H), 6.87-6.93 (m, 2H), 6.99 (s, 1H), 7.41-7.47 (m, 2H).
Figure 0007136466000034
次に、3-ブロモ-5-(4-メトキシフェニル)-2-エチルチオフェン 807 mg (2.7 mmol)と無水テトラヒドロフラン 55 mLを四つ口フラスコに入れ、-78℃に冷却した。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 1.9 mL (3.0 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.90 mL (3.4 mmol)を加えて、1.5時間攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 3 mL、2,3-ジブロモベンゾチオフェン 795 mg (2.7 mmol)、Pd(PPh34 110 mgを加えて5時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した後、溶媒を留去した。その後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)と再結晶で精製し、3-ブロモ-2-(2-エチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)ベンゾチオフェンを得た。収量 680 mg、収率 59%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.30 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.88 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 3.84 (s, 3H), 6.9-7.0 (m, 2H), 7.18 (s, 1H), 7.41-7.54 (m, 4H), 7.80-7.87 (m, 2H).
Figure 0007136466000035
次に、3-ブロモ-2-エチルベンゾチオフェン 300 mg (1.2 mmol)と無水テトラヒドロフラン 30 mLを三ツ口フラスコに入れ、-78℃に冷却する。1.6 M n-BuLiヘキサン溶液 0.90 mL (1.4 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。ホウ酸トリブチル 0.40 mL (1.5 mmol)を加えて終夜攪拌した後、室温まで昇温し、水でクエンチした。 20 wt% 炭酸ナトリウム水溶液 2 mL、3-ブロモ-2-(2-エチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)ベンゾチオフェン 420 mg (0.98 mmol)、Pd(PPh34 110 mgを加えて6時間還流した。希塩酸で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)とHPLC(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)で精製し、2-(2-エチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)-3-(2-エチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェンを得た。収量 244 mg、収率 49%(3-ブロモ-2-(2-エチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)ベンゾチオフェンからの収率として計算)。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 0.92-1.02 (m, 6H), 2.5-2.7 (m, 4H), 3.80 (s, 3H), 6.8-6.9 (m, 3H), 7.2-7.4 (m, 9H), 7.82 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8 Hz).
Figure 0007136466000036
次に、2-(2-エチル-5-(4-メトキシフェニル)-3-チエニル)-3-(2-エチルベンゾチオフェン-3-イル)ベンゾチオフェン 100 mg (0.20 mmol)をジクロロメタン 20 mLに溶かし、m-クロロ過安息香酸 (純度70%) 237 mg (0.96 mmol)をジクロロメタン 15 mLに溶かして加え、6時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。その後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:4)及び再結晶で精製し、目的の化合物(式(20))を得た。収量 50 mg、収率 43%。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ = 1.0-1.2 (m, 6H), 2.4-2.7 (m, 4H), 3.83 (s, 3H), 6.8-7.0 (m, 2H), 7.1-7.3 (m, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.4-7.7 (m, 7H), 7.75-7.85 (m, 1H), 7.85-7.95 (m, 1H).
Figure 0007136466000037
<光反応性の評価>
化合物(17)~(20)について、それぞれ、ジクロロメタン中に溶解させ(濃度: 10-5 mol/L程度)、ジクロロメタン中での紫外可視吸収スペクトルを測定し、開環体の最大吸収波長およびモル吸光係数を決定した。各化合物の閉環体については、紫外光照射により着色させた後、その溶液をHPLCにより閉環体のみ分取し、そのジクロロメタン中での紫外可視吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長およびモル吸光係数を決定した。閉環反応量子収率は、200 W水銀キセノン光源からカットフィルターおよびモノクロメーターで313 nmの光を取り出し、それを石英セルに入ったそれぞれの化合物のジクロロメタン溶液に照射し、反応した閉環体をモニターすることにより相対的な反応速度を決定し、既存の化合物の量子収率と比較することにより求めた。開環反応量子収率は、300 Wキセノン光源からカットフィルターおよびモノクロメーターを用いて、閉環体の吸収極大波長λmaxに相当する光を取り出し、それを石英セルに入ったそれぞれの化合物のジクロロメタン溶液に照射し、閉環体の減少速度を決定し、既存の化合物の量子収率と比較することにより求めた。結果を表2に示す。また、化合物(17)~(20)のジクロロメタン中での吸収スペクトルの変化をそれぞれ図2~5に示す。
Figure 0007136466000038
紫外線センサーに求められる条件は、紫外線照射後に可視領域に吸収を持つこと(例えば、閉環体の吸収極大波長λmaxが400~700 nmに存在すること)、そのモル吸光係数εが大きいこと(例えば、ε > 10000 M-1cm-1)、適度な閉環反応量子収率を持つことである。化合物(17)~(20)は、いずれも、これらの条件を充足していることが分かる。置換基の構造を変えることにより、閉環反応量子収率が0.1~1まで変化している。このことから、これらの化合物は適切な感度を有する高感度な紫外線センサーとして利用できることが分かる。
さらに、紫外線センサーにおいては、着色した状態が熱および可視光線に安定である必要がある。化合物(17)~(20)の閉環体の開環反応量子収率は、2×10-4以下であり、十分な光安定性を有していることが分かる。さらに、化合物(17)~(20)は室温で安定である。例えば、化合物(17)の閉環体はジクロロメタン中で室温で1日放置しても全く変化はなく、熱安定であることが分かる。

Claims (5)

  1. 下記式(11)~(16)で表される、ジアリールエテン化合物。
    Figure 0007136466000039
  2. 請求項に記載のジアリールエテン化合物を含む、フォトクロミック材料。
  3. 請求項に記載のフォトクロミック材料を含む、紫外線センサー。
  4. 紫外線による物品の殺菌効果を把握するために用いられる、請求項に記載の紫外線センサー。
  5. 下記式(17)~(20)で表される、ジアリールエテン化合物。
    Figure 0007136466000040
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