JP2014067604A - 電極用合金粉末、それを用いたアルカリ蓄電池用負極およびアルカリ蓄電池 - Google Patents

電極用合金粉末、それを用いたアルカリ蓄電池用負極およびアルカリ蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ蓄電池において、寿命特性を向上できるとともに、低温での放電特性の低下を抑制できる、電極用合金粉末を提供する。
【解決手段】電極用合金粉末は、NiおよびMgを含有し、Ni含有量が35〜60質量%である水素吸蔵合金粒子を含み、電子プローブマイクロアナライザを用いて、水素吸蔵合金粒子の断面の元素分布を測定してMgのピーク強度の平均値および標準偏差を求めたとき、平均値および標準偏差から算出される相対標準偏差が、25.8%以上、35.3%以下である。アルカリ蓄電池は、上記の電極用合金粉末を、負極活物質として含む負極と、正極と、これらの間に介在するセパレータと、アルカリ電解液とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電極用合金粉末、それを用いたアルカリ蓄電池用負極およびアルカリ蓄電池に関し、詳しくはMgを含む水素吸蔵合金を含む電極用合金粉末の改良に関する。
負極活物質として水素吸蔵合金を含む負極を用いるアルカリ蓄電池は、出力特性に優れる上、耐久性(寿命特性や保存特性など)も高い。そのため、このようなアルカリ蓄電池は、乾電池の代替品や、電気自動車などの動力電源などとして注目を集めている。一方で、近年は、リチウムイオン二次電池もこの用途に用いられているため、アルカリ蓄電池の利点を際立たせる観点から、出力特性および耐久性などの電池特性をさらに向上させることが望まれている。
水素吸蔵合金としては、主にCaCu5型の結晶構造を有する水素吸蔵合金が用いられている。高い合金容量が必要とされる場合などには、Ce2Ni7型またはCeNi3型の結晶構造を含む水素吸蔵合金が用いられている。アルカリ蓄電池の電池特性を向上させるために、水素吸蔵合金粉末の性能を最適化する試みがなされている。
例えば、特許文献1では、サイクル寿命と、低温放電容量を向上するため、Yまたは希土類元素と、Mgと、Niと、Alと、他の元素などを含む、Ce2Ni7型やCeNi3型などの結晶構造を有する水素吸蔵合金を、ニッケル水素二次電池の負極に使用することが提案されている。
また、特許文献2では、水素の移動度を高めて、放電特性(特に低温放電特性)を向上させるために、水素吸蔵合金の表面近傍に存在する触媒層の中に、5体積%以上の空孔を形成することが提案されている。
特開2002−83593号公報 米国特許2004/0194577号明細書
しかしながら、特許文献1では、Mgを含む水素吸蔵合金(特に、Ce2Ni7型やCeNi3型などの結晶構造を有する水素吸蔵合金)では、Mgが電解液中に溶出することなどにより、水素吸蔵合金が腐食し易くなる。特に、高温環境下では、Mgの溶出が顕著になり易く、水素吸蔵合金の腐食が進行して、容量の低下や電解液枯れによる電池劣化を生じ易い。高温環境下では、電池が劣化し易くなるため、サイクル寿命を向上することも困難である。つまり、高温寿命特性を向上するのは困難である。
また、特許文献2では、合金表面層の触媒層中に空孔が形成されるため、水素の拡散性が向上し、放電特性をある程度向上できると考えられる。しかし、触媒層が、水素吸蔵合金として機能しないため、単位体積当たりの合金容量自体が低下する。合金容量が低下すると、特に高温環境下では、サイクル寿命を向上することが難しくなる。つまり、放電特性(特に、低温での放電特性)と、高温寿命特性とを高レベルで両立することは困難である。
本発明の目的は、アルカリ蓄電池において、高温環境下でも、寿命特性を向上できるとともに、低温での放電特性の低下を抑制できる、電極用合金粉末を提供することである。
本発明の一局面は、NiおよびMgを含有し、Ni含有量が35〜60質量%である水素吸蔵合金粒子を含み、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて、前記水素吸蔵合金粒子の断面の元素分布を測定してMgのピーク強度の平均値および標準偏差を求めたとき、平均値および標準偏差から算出される相対標準偏差RSD(=(標準偏差/平均値)×100(%))が、25.8%以上、35.3%以下である、電極用合金粉末に関する。
本発明の他の一局面は、上記の電極用合金粉末を、負極活物質として含むアルカリ蓄電池用負極に関する。
本発明のさらに他の一局面は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、アルカリ電解液とを具備し、負極が、上記のアルカリ蓄電池用負極である、アルカリ蓄電池に関する。
本発明によれば、アルカリ蓄電池の負極に使用する水素吸蔵合金において、Mgの分布を均一化することにより、水素吸蔵合金から電解液へのMgの溶出を抑制できるため、負極の劣化が抑制され、高温環境下でも寿命特性を向上できる。また、Mgの分布を適度に均一化することにより、Niなどの水素吸蔵合金の他の構成元素の分布も適度に均一化される。これにより、結晶構造が安定化し過ぎるのを抑制できるため、アルカリによる水素吸蔵合金の活性化が阻害されるのを抑制でき、結果として、低温での放電特性の低下を抑制できる。つまり、本発明によれば、高温寿命特性と、低温放電特性とを、高いレベルで両立できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るアルカリ蓄電池の構造を模式的に示す縦断面図である。
(電極用合金粉末)
本発明の電極用合金粉末は、NiおよびMgを含有し、Ni含有量が35〜60質量%である水素吸蔵合金粒子を含む。そして、EPMAを用いて、水素吸蔵合金粒子の断面の元素分布を測定してMgのピーク強度(EPMA分析におけるMgの測定強度)の平均値および標準偏差を求めたとき、平均値および標準偏差から算出される相対標準偏差RSDが、25.8%以上、35.3%以下である。なお、水素吸蔵合金粒子を構成する水素吸蔵合金は、水素を電気化学的に吸蔵および放出可能である。
相対標準偏差RSD(Relative Standard Deviation)は、標準偏差を平均値で除して百分率(%)で表したものであり、ばらつきを相対的に表す指標である。本発明では、水素吸蔵合金粒子の断面におけるMgの分布状態をEPMAで測定し、Mgの分布のばらつき(Mgの分散状態の均一性)の程度を、相対標準偏差を用いて判断する。相対標準偏差が小さくなると、水素吸蔵合金粒子中のMgの分布がより均一となり、相対標準偏差が大きくなると、水素吸蔵合金粒子中のMgの分布は不均一となる。Mgの相対標準偏差を、本明細書中、Mg_RSDと表す場合がある。
電極用合金粉末は、水素吸蔵合金粒子を含む原料粉末を、アルカリ水溶液と接触させることにより活性化して使用される。水素吸蔵合金粒子は、アルカリ水溶液との接触により、表面に、磁性体クラスタが生成し、これにより、活性化される。磁性体クラスタは、水素吸蔵合金粒子に含まれるNiに由来する、金属ニッケルを主成分とする強磁性物質である。金属ニッケルは、例えば、水素吸蔵合金の表面または表層部に偏析し、結晶または非晶質の形態で凝集し、磁性体クラスタを形成している。磁性体クラスタは、水素吸蔵合金による水素の授受反応(吸蔵および放出)を触媒するNi触媒相として機能する。磁性体クラスタが増加すると、電極用合金粉末を、アルカリ蓄電池の電極活物質として用いた場合に、水素吸蔵合金粒子表面における水素の拡散速度が増加するため、放電特性を向上できる。
アルカリ水溶液により処理される前の原料粉末では、水素吸蔵合金粒子の表面に酸化物が存在する。この表面の酸化物は、腐食反応の基点となりやすく、容量が低下したり、構成元素が溶出したりする原因となる場合がある。また、水素吸蔵合金粒子の表面に酸化物が存在すると、水素の吸蔵反応が阻害されやすい。そのため、アルカリ水溶液と原料粉末とを接触させて、水素吸蔵合金粒子の表面の酸化物を除去することにより、水素吸蔵合金粒子を活性化することができる。
このように、水素吸蔵合金粒子は、アルカリ水溶液との接触により、表面に磁性体クラスタが形成されるとともに、表面の酸化物が除去されることにより、活性化される。ところが、水素吸蔵合金粒子に含まれるMgは、他の構成元素に比べて、アルカリ水溶液に対する溶解性が高い。そのため、水素吸蔵合金粒子からアルカリ水溶液中にMgが溶解し、水素吸蔵合金粒子が劣化し易くなる。
アルカリ水溶液に溶出したMgは、酸化物(Mgと他の構成元素とを含む複合酸化物なども含む)などとして、再析出し易い。Mgを含む成分の再析出は、不均一に生じるため、Mgが偏析することになる。Mgの偏析部分が多い状態の水素吸蔵合金粒子を、アルカリ蓄電池に使用すると、アルカリ電解液により、腐食が進行し易くなる。
よって、Mgを含む水素吸蔵合金粒子をアルカリ蓄電池に用いると、水素吸蔵合金粒子中に元々含まれるMgが、アルカリ電解液中に溶出することに加え、Mgの偏析部分において、腐食が進行することになる。これにより、水素吸蔵合金粒子が劣化する。Mgの溶出および偏析部分における腐食は、高温保存時などの高温環境下では、特に顕著になるため、このような環境では、水素吸蔵合金粒子の劣化が顕著になる。電極活物質である水素吸蔵合金粒子が劣化すると、電池の容量や寿命が低下する。さらに、Mgを含む成分の析出物が堆積すると、正極と負極とが短絡して、電池電圧が低下するため、このような観点からも、電池が劣化し易くなる。
それに対し、本発明では、Mg_RSDが上記の範囲で、Mgが、水素吸蔵合金粒子中に分散している。つまり、本発明では、水素吸蔵合金粒子中のMgの分布の均一性を特定の範囲に制御する。そのため、アルカリ水溶液による活性化およびアルカリ電解液との接触の際に、水素吸蔵合金粒子からMgが溶出するのを抑制することができる。また、Mgの溶出を抑制できるため、Mgの偏析を抑制することができる。よって、高温環境下でも、アルカリ蓄電池における水素吸蔵合金粒子の劣化を抑制することができるため、電池の寿命を向上できる。また、高温で保存した場合にも、容量が低下するのを抑制できるため、保存特性を向上することもできる。
Mgの分布の均一性が高くなると、Mgの溶出や偏析に伴う水素吸蔵合金粒子の劣化は抑制できるものの、Niなどの他の構成元素の分布も均一になり易い。構成元素が水素吸蔵合金粒子中に均一に分散し過ぎると、結晶構造が安定化し過ぎて、アルカリ水溶液による活性化が不十分になり易い。この場合、水素吸蔵合金粒子表面における電池反応が十分進行しなくなるため、電極の容量が低下することになり、その結果、放電特性が低下する。水素吸蔵合金粒子を負極活物質として用いるアルカリ蓄電池では、負極での水素放出反応が吸熱反応であるため、特に、低温では、この水素放出反応が進行しにくくなる。また、低温では、水素吸蔵合金粒子近傍における水素の移動度(つまり、電導性)も低下する。従って、低温では、放電特性がさらに低下し易くなる。
本発明では、水素吸蔵合金粒子中のMgの分布の均一性を特定の範囲に制御するため、Mgの溶出および偏析を抑制しながらも、水素吸蔵合金粒子の表面を十分に活性化させることができる。これにより、寿命特性(特に、高温寿命特性)を向上できるとともに、低温放電特性の低下を抑制できる。よって、このような水素吸蔵合金粒子を含む電極用合金粉末を、アルカリ蓄電池の電極活物質として用いた場合に、幅広い温度範囲でアルカリ蓄電池を使用することができる。
Mgの分布の均一性を示す相対標準偏差Mg_RSDは、次のようにして求めることができる。まず、水素吸蔵合金粒子の断面において、任意に抽出した所定の箇所について、EPMAを用いて元素分布を測定し、各測定点におけるMgのピーク強度(測定強度)を求め、ピーク強度の平均値および標準偏差を求める。そして、標準偏差を平均値で除することにより、Mg_RSDを算出する。
Mg_RSDは、25.8%以上、好ましくは26%以上である。また、Mg_RSDは、35.3%以下、好ましくは35%以下、さらに好ましくは34%以下である。これらの下限値と上限値とは、適宜選択して組み合わせることができる。Mg_RSDは、例えば、26〜35%、または26〜34%であってもよい。
Mg_RSDが、25.8%未満では、水素吸蔵合金粒子中にMgを均一に分散させることができても、アルカリ水溶液による水素吸蔵合金粒子の表面の活性化を十分に行うことができなくなる。そのため、放電特性、特に低温放電特性が低下する。また、Mg_RSDが、35.3%を超えると、水素吸蔵合金粒子中のMgの分布が不均一となる。これにより、アルカリ水溶液による活性化やアルカリ電解液との接触の際に、Mgが溶出したり、偏析したりすることにより、水素吸蔵合金粒子が劣化する。水素吸蔵合金粒子の劣化は、特に高温で顕著になるため、高温では、寿命特性を向上できない。
上記水素吸蔵合金粒子中のNi含有量は、35質量%以上、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上である。水素吸蔵合金中のNi含有量は、60質量%以下、好ましくは57質量%以下である。これらの下限値と上限値とは、適宜選択して組み合わせることができる。水素吸蔵合金中のNi含有量は、例えば、40〜60質量%であってもよい。Ni含有量が、35質量%未満では、水素化物の形成が困難となり、充放電を繰り返す中、早期に結晶破壊および割れが生じ、サイクル寿命が著しく短くなる。また、Ni含有量が、60質量%を超えると、水素吸蔵量の著しい低下がみられる。
水素吸蔵合金粒子を構成する水素吸蔵合金は、NiおよびMgを含有し、これらの元素以外に、さらに、周期表第2〜6族の第4〜6周期の元素(ランタノイド元素を含む)、第7〜9族および第11〜12族の第4周期の元素、第13〜14族の第3〜5周期の元素からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。これらのうち、La、Pr、NdおよびSmなどのランタノイド元素;Zr;Co;Alなどが好ましい。ランタノイド元素の中では、Laが好ましい。
好ましい水素吸蔵合金は、NiおよびMgに加え、さらにLa、Co、Al、および元素Mを含む。元素Mは、YおよびSnからなる群より選択される少なくとも一種である。
LaとMgの合計に占めるMgのモル比xは、例えば、0.01≦x≦0.5、好ましくは0.1≦x≦0.4、さらに好ましくは0.25≦x≦0.35である。また、LaとMgの合計に対するNiのモル比yは、例えば、2≦y≦4、好ましくは2.5≦y≦3.5である。LaとMgの合計に対するCoのモル比zは、例えば、0.25≦z≦0.75、好ましくは0.25≦z≦0.7または0.25≦z≦0.6である。LaとMgの合計に対するAlのモル比αは、例えば、0.01≦α≦0.06、好ましくは0.01≦α<0.06、さらに好ましくは0.03≦α≦0.055または0.03≦α≦0.05である。
上記の水素吸蔵合金のLa、Mg、Ni、CoおよびAlを含む組成の具体例としては、La0.7Mg0.3Ni2.75Co0.5Al0.05、La0.7Mg0.3Ni2.95Co0.5Al0.05、またはLa0.7Mg0.3Ni2.95Co0.3Al0.05などが挙げられる。
アルカリ水溶液やアルカリ電解液に対する水素吸蔵合金の構成元素の溶出性は、水素吸蔵合金の結晶構造にも影響される場合がある。水素吸蔵合金は、例えば、AB2型、AB3型(つまり、CeNi3型)、AB5型、A27型(つまり、Ce2Ni7型)などの結晶構造を有してもよい。AB3型やA27型の水素吸蔵合金では、上記の元素のうち、Mg、LaがAサイトに存在し、Ni、CoおよびAlは、Bサイトに存在する。
AB3型やA27型の結晶構造を有する水素吸蔵合金は、結晶構造が複雑で比較的不安定であるため、Mgなどの水素吸蔵合金の構成元素が溶出し易くなる場合がある。ところが、本発明では、Mgの分布の均一性を制御するため、AB3型やA27型の結晶構造を有する水素吸蔵合金を用いる場合であっても、Mgなどの構成元素の溶出を効果的に抑制することができる。
上記の水素吸蔵合金において、元素Mの量は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上または0.2質量%以上である。元素Mの量は、0.45質量%以下、好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.35質量%以下である。これらの下限値と上限値とは適宜選択して組み合わせることができる。元素Mの量は、例えば、0.01〜0.4質量%または0.2〜0.4質量%であってもよい。
元素Mのうち、Yは、酸素に対する親和性が強く、周辺の酸化物を還元する能力を有する。そのため、上記のような範囲でYを含む水素吸蔵合金では、水素吸蔵合金の腐食、特に高温での腐食を抑制することができる。また、上記の範囲でYを含む水素吸蔵合金では、合金の構成元素がYで必要以上に置換され、容量が低下したり、格子欠陥が導入されることにより耐久性が劣化したりすることが抑制される。よって、結果的に、高温でも、サイクル寿命を効果的に向上できる。
なお、Yの還元能は、Paulingの電気陰性度で説明できる。原子が電子を引き付ける傾向を示す尺度として、Paulingの電気陰性度がある。元素の結合エネルギーは、Paulingの電気陰性度の差の二乗に関連する。電気陰性度の差が大きいほど、結合エネルギーは大きい。上記の水素吸蔵合金に含まれる元素のPaulingの電気陰性度は、Yが1.2、Niが1.8、Coが1.8、Alが1.5である。一方、Oは3.5であり、酸素との差が最も大きいのは、Yであり、Yが、酸素に対して、強い結合エネルギーを有する。すなわち、酸素に対して強い親和性があることが分かる。
Snは、水素を吸蔵および放出する際の膨張収縮を抑制する能力を有する。そのため、上記のような範囲のSnを含む水素吸蔵合金では、特に高温で水素を吸蔵および放出する際に、必要以上に膨張収縮することが抑制され、これにより水素吸蔵合金の腐食を抑制することができる。また、上記の範囲でSnを含む水素吸蔵合金では、Snが過度に偏析するのを抑制できるとともに、合金の構成元素がSnで必要以上に置換され、容量が低下したり、格子欠陥が導入されることにより耐久性が劣化したりすることが抑制される。よって、結果的に、高温保存時などの高温環境下でも、保存特性やサイクル寿命が低下するのをより効果的に抑制できる。また、低温下での電導性の低下を抑制できる。
水素吸蔵合金粒子は空孔を含むことが好ましい。水素吸蔵合金粒子が空孔を含む場合、水素の移動度(または電導性)が向上するため、放電特性、特に、低温放電特性を向上できる。
水素吸蔵合金粒子における空孔の比率は、例えば、0.07体積%以上、好ましくは0.08体積%以上、さらに好ましくは0.1体積%以上である。また、空孔の比率は、例えば、5.3体積%以下、好ましくは5体積%以下である。これらの下限値と上限値とは適宜選択して組み合わせることができる。空孔の比率は、例えば、0.07〜5.3体積%、または0.1〜5体積%であってもよい。
空孔の比率が上記の範囲である場合、電極用合金粉末をアルカリ蓄電池の負極として用いたときの容量(単位体積当たりの容量)の低下をより効果的に抑制できるとともに、水素の移動度を高めるのに効果的である。その結果、放電特性(特に低温時の放電特性)の低下をより有効に抑制できる。
上記のような電極用合金粉末は、
(i)水素吸蔵合金粒子を構成する元素の単体を、Ni含有量が35〜60質量%となるように混合し、溶融させて合金化する工程A、
(ii)工程Aで得られた溶融した合金を鋳型に供給し、インゴットを作製する工程B、
(iii)インゴットを、不活性ガス雰囲気下で加熱する工程C、
(iv)工程Cで加熱されたインゴットを、粉砕する工程D、および
(v)工程Dで得られた粉砕物を、アルカリ水溶液と接触させて活性化させることにより、電極用合金粉末を得る工程E、
を経ることにより、製造できる。
(i)工程A(合金化工程)
工程Aにおいて、各構成元素の単体を混合する際には、水素吸蔵合金が所望の組成となるように、各単体のモル比、質量比などを調整する。
次いで、工程Aでは、各単体の混合物を、加熱により溶融して、構成元素を合金化する。合金化には、例えば、プラズマアーク溶融法、高周波溶融(金型鋳造)法、急冷凝固法などを用いることができる。また単独で急冷凝固法を用いるほかに、メカニカルアロイング法などと併用することもできる。
(ii)工程B(インゴット作製工程)
工程Bでは、工程Aで溶融した合金を鋳型に供給して、インゴットを作製する。
Mgの分散性を高めたり、水素吸蔵合金粒子中の空孔の比率を調整したりする観点から、供給速度などを調整してもよい。
溶融した合金は、例えば、1.3〜5m/分、好ましくは1.4〜4.5m/分、さらに好ましくは1.5〜4m/分の速度で鋳型に供給できる。
溶融した合金は、鋳型内で冷却され、固化される。このときの冷却温度は、溶融した合金を固化してインゴットを作製できる限り、特に制限されないが、例えば、後続の工程C(加熱工程)の加熱温度よりも低い温度であることが好ましい。冷却温度は、例えば、800℃以下、好ましくは500℃以下である。
鋳型内は、例えば、大気雰囲気、またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気であってもよい。
(iii)工程C(インゴット加熱工程)
工程Cでは、工程Bで得られたインゴットが加熱される。インゴットの加熱は、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。
加熱温度は、例えば、900℃以上、好ましくは950℃以上(例えば、960℃以上)、さらに好ましくは970℃以上(例えば、1000℃以上)である。また、加熱温度は、例えば、1100℃以下、好ましくは1070℃以下、さらに好ましくは1060℃以下である。これらの下限値と上限値とは適宜選択して組み合わせることができる。加熱温度は、例えば、900〜1100℃、または950〜1070℃であってもよい。
インゴットの加熱温度が上記のような範囲である場合、Mgなどの構成元素の分散性を調整し易くなり、Mgの溶出や偏析をより効果的に抑制できるとともに、水素吸蔵合金粒子を活性化し易くなる。
加熱時間は、加熱温度に応じて、例えば、4〜14時間程度の範囲から適宜設定でき、好ましくは6〜12時間である。加熱温度が、例えば、1000〜1060℃の場合、加熱時間は、6〜11時間であってもよい。加熱温度が、例えば、950℃以上1000℃未満の場合、加熱時間は、9〜13時間であってもよい。
(iv)工程D(インゴット粉砕工程)
工程Dでは、工程Cで得られた加熱処理されたインゴットを、粒状化する。インゴットの粒状化は、湿式粉砕、乾式粉砕などにより行うことができ、これらを組み合わせてもよい。粉砕は、ボールミルなどでより行うことができる。湿式粉砕では、水などの液体媒体を用いてインゴットを粉砕する。なお、得られた粒子は、必要に応じて分級してもよい。
得られる水素吸蔵合金粒子の平均粒径は、例えば、5〜50μm、好ましくは5〜30μmである。平均粒径がこのような範囲である場合、水素吸蔵合金の表面積を適度な範囲に維持することができ、より有効に、耐食性の低下を抑制できるとともに、水素吸蔵反応の低下を抑制できる。
なお、本明細書中、平均粒径とは、体積基準のメディアン径を意味する。
工程Dで得られる水素吸蔵合金粒子を、電極用合金粉末の原料粉末と称する場合がある。
(v)工程E(活性化工程)
工程Eでは、工程Dで得られた粉砕物(原料粉末)を、アルカリ水溶液と接触することにより原料粉末中の水素吸蔵合金粒子を活性化する。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物などを、アルカリとして含む水溶液が使用できる。これらのうち、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムなどを用いることが好ましい。
活性化の効率、生産性、工程の再現性などの観点から、アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、例えば、5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%である。
アルカリ水溶液と原料粉末との接触は、特に制限されず、例えば、アルカリ水溶液中に、原料粉末を浸漬させたり、アルカリ水溶液中に原料粉末を添加して、撹拌したり、アルカリ水溶液を原料粉末に噴霧したりすることにより行うことができる。
原料粉末とアルカリ水溶液との接触は、加熱下で行ってもよく、加熱したアルカリ水溶液を原料粉末と接触させてもよい。原料粉末とアルカリ水溶液とを接触させる際の温度(雰囲気温度またはアルカリ水溶液の温度)は、活性化反応の効率、水溶液の突沸防止、設備の材質および構造などの観点から、例えば、50〜150℃、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃である。
アルカリ水溶液による活性化処理の後、得られる合金粉末を水洗してもよい。合金粉末の表面に不純物が残存するのを低減するため、水洗は洗浄に用いた水のpHが9以下になってから終了することが好ましい。
活性化処理後の合金粉末は、通常、乾燥される。
本発明の電極用合金粉末は、このような工程を経ることにより得ることができ、高温寿命特性と低温放電特性とを両立させることができるため、アルカリ蓄電池の負極活物質として使用するのに適している。
(アルカリ蓄電池)
アルカリ蓄電池は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、アルカリ電解液とを具備する。
負極は、上記の電極用合金粉末を、負極活物質として含む。
アルカリ蓄電池の構成を、図1を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアルカリ蓄電池の構造を模式的に示す縦断面図である。アルカリ蓄電池は、負極端子を兼ねる有底円筒型の電池ケース4と、電池ケース4内に収容された電極群および図示しないアルカリ電解液とを含む。電極群では、負極1と、正極2と、これらの間に介在するセパレータ3とが、渦巻き状に巻回されている。電池ケース4の開口部には、絶縁ガスケット8を介して、安全弁6を備える封口板7が配置され、電池ケース4の開口端部が内側にかしめられることにより、アルカリ蓄電池が密閉されている。封口板7は、正極端子を兼ねており、正極集電板9を介して、正極2と電気的に接続されている。
このようなアルカリ蓄電池は、電極群を、電池ケース4内に収容し、アルカリ電解液を注液し、電池ケース4の開口部に絶縁ガスケット8を介して封口板7を配置し、電池ケース4の開口端部を、かしめ封口することにより得ることができる。このとき、電極群の負極1と、電池ケース4とは、電極群と電池ケース4の内底面との間に配置された負極集電板を介して電気的に接続させる。また、電極群の正極2と、封口板7とは、正極集電板9を介して電気的に接続させる。
本発明では、上記のような電極用合金粉末を、負極活物質として用いる。そのため、アルカリ蓄電池のうち、特に、ニッケル水素蓄電池が好ましい。
以下に、ニッケル水素蓄電池の構成要素をより具体的に説明する。
(負極)
負極は、上記の電極用合金粉末を負極活物質として含む限り特に制限されず、他の構成要素としては、ニッケル水素蓄電池において使用される公知のものが使用できる。
負極は、芯材と、芯材に付着した負極活物質とを含んでもよい。このような負極は、芯材に少なくとも負極活物質を含む負極ペーストを付着させることにより形成できる。
負極芯材としては、公知のものが使用でき、ステンレス鋼、ニッケルまたはその合金などで形成された多孔性または無孔の基板が例示できる。芯材が多孔性基板の場合、活物質は、芯材の空孔に充填されていてもよい。
負極ペーストには、通常、分散媒が含まれ、必要に応じて、負極に使用される公知の成分、例えば、導電剤、結着剤、増粘剤などを添加してもよい。
負極は、例えば、芯材に負極ペーストを塗布した後、乾燥により分散媒を除去し、圧延することにより形成できる。
分散媒としては、公知の媒体、例えば、水、有機媒体、これらの混合媒体などが使用できる。
導電剤としては、電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト;アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;銅粉などの金属粒子;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などが例示できる。これらの導電剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、人造黒鉛、ケッチェンブラック、炭素繊維などが好ましい。
導電剤の量は、電極用合金粉末100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部である。
導電剤は、負極ペーストに添加し、他の成分とともに混合して用いてもよい。また、電極用合金粉末の表面に、導電剤を予め被覆させてもよい。導電剤の被覆は、公知の方法、例えば、電極用合金粉末の表面に、導電剤をまぶしたり、導電剤を含む分散液を付着させて乾燥させたり、メカノケミカル法などにより機械的に被覆させたりすることにより行うことができる。
結着剤としては、樹脂材料、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)などのゴム状材料;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、などのフッ素樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などのアクリル樹脂およびそのNaイオン架橋体などが例示できる。これらの結着剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤の量は、電極用合金粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびその変性体(Na塩などの塩も含む)、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコールなどの酢酸ビニルユニットを有するポリマーのケン化物;ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキサイドなどが挙げられる。これらの増粘剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
増粘剤の量は、電極用合金粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
(正極)
正極は、芯材と、これに付着した活物質または活物質層とを含んでもよい。また、正極は、活物質粉末を焼結した電極であってもよい。
正極は、例えば、芯材に少なくとも正極活物質を含む正極ペーストを付着させることにより形成できる。より具体的には、正極は、芯材に正極ペーストを塗布した後、乾燥により分散媒を除去し、圧延することにより形成できる。
正極芯材としては、公知のものが使用でき、ニッケル発泡体、焼結ニッケル板などのニッケルまたはニッケル合金などで形成された多孔性基板が例示できる。
正極活物質としては、例えば、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケルなどのニッケル化合物が使用される。
正極ペーストには、通常、分散媒が含まれ、必要に応じて、正極に使用される公知の成分、例えば、導電剤、結着剤、増粘剤などを添加してもよい。分散媒、導電剤、結着剤および増粘剤およびその量としては、負極ペーストの場合と同様のものまたは範囲からそれぞれ選択できる。導電剤としては、水酸化コバルト、γ型のオキシ水酸化コバルトなどの導電性のコバルト酸化物を用いてもよい。また、正極ペーストは、添加剤として、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの金属化合物(酸化物、水酸化物など)などを含んでもよい。
正極としては、公知の焼結式のニッケル正極を用いることが好ましい。
(その他)
セパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン製の微多孔フィルムや不織布などが使用できる。
アルカリ電解液としては、例えば、アルカリ電解質を含む水溶液が使用される。アルカリ電解質としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物が例示できる。これらは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。アルカリ電解液は、アルカリとして、少なくとも水酸化カリウムを含むことが好ましく、さらに水酸化ナトリウムおよび/または水酸化リチウムを含むことが好ましい。
アルカリ電解液は、水に全ての水酸化物を溶解させることにより調製してもよく、各水酸化物を含む水溶液を調製し、混合することにより調製してもよい。また、いずれかの水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)を含む水溶液を調製し、この水溶液に、残りの水酸化物(水酸化カリウムおよび/または水酸化リチウムなど)を溶解させることによりアルカリ電解液を調製してもよい。この調製方法に使用される水酸化物を含む水溶液の比重は、例えば、1.01〜1.5、好ましくは1.1〜1.35であり、得られるアルカリ電解液の比重は、例えば、1.03〜1.55、好ましくは1.11〜1.32である。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)原料粉末の作製
La、Mg、Ni、CoおよびAlの各単体を、所定の割合で混合し、組成がLa0.7Mg0.3Ni2.75Co0.5Al0.05の水素吸蔵合金に対して、Yを0.3質量%導入したものを高周波溶解炉で溶融した。溶融した金属を、2m/分の速度で、鋳型へ流し込み(供給し)、インゴットを作製した。得られたインゴットを、アルゴン雰囲気下、1060℃で10時間加熱した。加熱後のインゴットを、粗粒子に粉砕した。得られた粗粒子を、湿式ボールミルを用いて水の存在下で粉砕し、湿潤状態でメッシュ径が75μmの篩でふるい、平均粒径20μmの水素吸蔵合金を含む原料粉末を得た。
(2)電極用合金粉末の作製
上記(1)で得られた原料粉末と、水酸化ナトリウムを40質量%の濃度で含む温度が100℃のアルカリ水溶液とを混合し、50分間撹拌を続けた。得られた粉末を回収し、温水で洗浄し、脱水後、乾燥した。洗浄は、使用後の温水のpHが9以下になるまで行った。その結果、不純物が除去された状態の電極用合金粉末を得た。
(3)負極の作製
上記(2)で得られた電極用合金粉末100質量部に対して、CMC(エーテル化度0.7、重合度1600)0.15質量部、アセチレンブラック0.3質量部およびSBR0.7質量部を加え、さらに水を添加して練合することにより、電極ペーストを調製した。得られた電極ペーストを、ニッケルメッキを施した鉄製パンチングメタル(厚み60μm、孔径1mm、開孔率42%)からなる芯材の両面に塗布した。ペーストの塗膜は、乾燥後、芯材とともにローラでプレスした。こうして、厚み0.4mm、幅35mm、容量2200mAhの負極を得た。負極の長手方向に沿う一端部には、芯材の露出部を設けた。
(4)正極の作製
多孔性焼結基板からなる正極芯材に水酸化ニッケルを充填させて得られた容量1500mAhの焼結式正極を準備した。正極活物質には約90質量部のNi(OH)2を用い、添加剤として約6質量部のZn(OH)2を添加し、導電材として約4質量部のCo(OH)2を添加した。正極芯材の長手方向に沿う一方の端部には、幅35mmの活物質を保持しない芯材の露出部を設けた。
(5)ニッケル水素蓄電池の作製
上記で得られた負極および正極を用いて、図1に示すような4/5Aサイズで公称容量1500mAhのニッケル水素蓄電池を作製した。具体的には、正極1と負極2とを、セパレータ3を介して捲回し、円柱状の極板群を作製した。極板群では、正極合剤が付着していない正極芯材の露出部と、負極合剤が付着していない負極芯材の露出部とを、それぞれ反対側の端面に露出させた。セパレータ3には、スルホン化処理したポリプロピレン製の不織布(厚み100μm)を用いた。正極芯材が露出する極板群の端面には正極集電板を溶接した。
負極芯材が露出する極板群の端面には、負極集電板を溶接した。正極リード9を介して封口板7と正極集電板とを電気的に接続させた。その後、負極集電板を下方にして、極板群を円筒形の有底缶からなる電池ケース4に収容した。負極集電板と接続された負極リードを、電池ケース4の底部と溶接した。電池ケース4に電解液を注液した後、周縁にガスケット8を具備する封口板7で、電池ケース4の開口部を封口し、ニッケル水素蓄電池を完成させた。
なお、電解液には、アルカリとして、水酸化カリウム1質量%、水酸化ナトリウム15質量%、および水酸化リチウム0.1質量%を含む、アルカリ水溶液(比重:1.23)を用いた。
実施例2〜12および比較例1〜6
実施例1の工程(1)において、溶融金属の鋳型への供給速度、インゴットの加熱温度、およびインゴットの加熱時間を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様に原料粉末を得た。それ以外は、実施例1と同様にして負極、およびニッケル水素蓄電池を作製した。
実施例および比較例で得られた電極合金粉末およびニッケル水素蓄電池について、下記の評価を行った。
(a)Mgの測定強度の平均値に対する、測定強度の標準偏差の比率(Mgの相対標準偏差:Mg_RSD)
電極合金粉末と、熱硬化性樹脂とを混合し、熱硬化性樹脂を硬化させて、電極合金粉末を含む硬化物を形成した。得られた硬化物を、電極合金粉末の断面が露出するように、ミクロトームで切り出した。露出した電極合金粉末の断面について、EPMAを用いて、所定の領域内の全ての電極合金粒子について、元素分布を測定し、各測定点におけるMgのピーク強度を求め、ピーク強度の平均値および標準偏差を求めた。平均値に対する標準偏差の比率を、相対標準偏差(Mg_RSD)と定義し、算出した。
(b)95%維持率サイクル数
ニッケル水素蓄電池を、40℃にて、電流値0.75Aで、電池電圧変動が、マイナス5mVになるまで充電し、1時間休止したのち、40℃にて、電流値1.5Aで、電池電圧が、1.0Vに低下するまで放電し、このときの容量(初期放電容量)を測定した。
上記の充放電を1サイクルとして、充放電サイクルを繰り返し、放電容量が、初期放電容量の95%以上となるサイクル数の最大値(95%維持率サイクル数)を求め、サイクル特性の評価の指標とした。
(c)低温放電特性
ニッケル水素蓄電池を、20℃にて、電流値0.75Aで、容量が理論容量の120%になるまで充電し、20℃にて、電流値1.5Aで電池電圧が1.0Vに低下するまで放電し、このときの容量(初期放電容量)を測定した。
さらに、ニッケル水素蓄電池を、20℃にて、電流値0.75Aで、容量が理論容量の120%になるまで充電し、0℃にて、電流値1.5Aで電池電圧が1.0Vに低下するまで放電し、このときの容量(低温放電容量)を測定した。
低温放電容量を初期放電容量で除して百分率で表し、この値を低温放電特性の指標とした。
(d)空孔の比率
電極合金粉末と、熱硬化性樹脂とを混合し、熱硬化性樹脂を硬化させて、電極合金粉末を含む硬化物を形成した。得られた硬化物を、電極合金粉末の断面が露出するように、ミクロトームで切り出した。露出した電極合金粉末の断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて画像を撮影し、得られた画像データを画像処理(二値化処理)した。所定の領域内の全ての電極合金粒子について、各粒子に含まれる空孔の断面積を算出し、電極合金粒子の断面積に対する空孔の断面積の比率に基づいて、電極合金粒子に含まれる空孔の体積比率(%)を求め、平均値を算出した。
Figure 2014067604
表1から明らかなように、MgのRSDが26〜35%である実施例では、40℃で充放電を繰り返しても、95%維持率サイクル数が高く、また、高い低温放電特性が得られた。
一方、MgのRSDが26%を下回る比較例1〜3では、95%維持率サイクル数が高いものの、低温放電特性が低下した。比較例1〜3では、インゴットの熱処理温度が高いか、熱処理時間が長いため、インゴット中のMgの分布がより均一となったと考えられる。そのため、アルカリ処理による表面の活性化が不十分となり、低温放電特性が低下したものと考えられる。
また、MgのRSDが35%を上回る比較例4〜6では、低温放電特性は高いものの、95%維持率サイクル数が、実施例に比べて、顕著に低下した。これは、インゴットの熱処理時間が短い、または熱処理温度が低いことにより、インゴット中のMgの分布が不均一となり、Mgが偏析したことによるものと考えられる。Mgの偏析により、この偏析したMgを基点として、水素吸蔵合金の溶出が顕著となり、これに伴い、電解液の消費が促進され、内部抵抗が上昇する。その結果、放電容量が低下し、サイクル寿命が低下したと考えられる。
実施例6および9〜12の結果から、空孔比率が変化しても、他の実施例と同様に、95%維持率サイクル数が高く、高い低温放電特性が得られた。空孔の体積比率が、0.1〜5%の場合には、特に、低温放電特性が高くなった。なお、溶融金属の鋳型への供給速度を速くすると、空孔の体積比率が低くなり、供給速度を遅くすると、空孔の体積比率が高くなる傾向があることが分かる。
本発明では、アルカリ蓄電池の低温放電特性および高温寿命特性を向上できる電極用合金粉末を得ることができる。このような電極用合金粉末は、広い温度範囲で高い電池特性を得ることができる。そのため、乾電池の代替品の他、各種機器の電源としての利用が期待されるとともに、過酷な環境下で使用されるハイブリッド自動車用電源などの用途にも期待できる。
1 負極
2 正極
3 セパレータ
4 電池ケース
6 安全弁
7 封口板
8 絶縁ガスケット
9 正極集電板

Claims (8)

  1. NiおよびMgを含有し、Ni含有量が35〜60質量%である水素吸蔵合金粒子を含み、
    電子プローブマイクロアナライザを用いて、前記水素吸蔵合金粒子の断面の元素分布を測定してMgのピーク強度の平均値および標準偏差を求めたとき、前記平均値および前記標準偏差から算出される相対標準偏差が、25.8%以上、35.3%以下である、電極用合金粉末。
  2. 前記相対標準偏差が、26%以上、35%以下である、請求項1記載の電極用合金粉末。
  3. 前記水素吸蔵合金粒子が、さらに、La、Co、Al、および元素Mを含み、
    LaとMgの合計に占めるMgのモル比xは、0.01≦x≦0.5であり、
    LaとMgの合計に対するNiのモル比yは、2≦y≦4であり、
    LaとMgの合計に対するCoのモル比zは、0.25≦z≦0.75であり、
    LaとMgの合計に対するAlのモル比αは、0.01≦α≦0.06であり、
    前記元素Mは、YおよびSnからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記元素Mの量が、前記水素吸蔵合金の0.1質量%以上、0.4質量%以下である、請求項1または2記載の電極用合金粉末。
  4. 前記水素吸蔵合金粒子において、前記Mgのモル比xは、0.25≦x≦0.35である、請求項1〜3のいずれか1項記載の電極用合金粉末。
  5. 前記水素吸蔵合金粒子を構成する水素吸蔵合金が、CeNi3型またはCe2Ni7型の結晶構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の電極用合金粉末。
  6. 前記水素吸蔵合金粒子が、空孔を含み、
    前記水素吸蔵合金粒子における前記空孔の比率が、0.07体積%以上、5.3%体積以下である、請求項1〜5のいずれか1項記載の電極用合金粉末。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の電極用合金粉末を、負極活物質として含むアルカリ蓄電池用負極。
  8. 正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、アルカリ電解液とを具備し、
    前記負極が、請求項7記載のアルカリ蓄電池用負極である、アルカリ蓄電池。
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