JP2014066835A - エレクトロウェッティング表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の基板12の上に、導電性の親水性液体を付与して親水性液体層14を形成する工程と、第1の基板上の親水性液体層14の上に、非極性溶媒及び染料を含有する非導電性のオイルを付与し、親水性液体層と接するオイル層16を形成する工程と、オイル層16上に、オイル層16と接触させて疎水性絶縁膜20を配置する工程と、疎水性絶縁膜20上に、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第2の基板11を、導電性の前記表面を疎水性絶縁膜20に対向させて配置する工程とを有している。
【選択図】図4
Description
(1)TFT基板等の上にあらかじめ設けられた例えば撥液性のある疎水性絶縁膜の膜面にインクを付与し、インク上に例えば電解質を含む親水性液体を付与した後、ITO基板で封入する方法
(2)ITO基板上に例えば電解質を含む親水性液体を付与し、この親水性液体上にインクを付与した後、例えば撥液性の疎水性絶縁膜で封入する方法
(イ)インクを付与した際、疎水性絶縁膜の膜面にインクのハジキが生じやすく、インクが膜面に拡がらない。これは、疎水性絶縁膜が撥液性(撥油性)を有する場合や、オイルの組成が疎水性絶縁膜となじみ難い場合に顕著に現れる。
(ロ)疎水性絶縁膜上のインクの上に親水性液体を付与する際、密度差で比重の小さいインクが親水性液体上に浮いてしまい、インクが本来接するべき疎水性絶縁膜の膜面から剥がれてしまう。
(ハ)セル面積の狭広により疎水性絶縁膜上でのインクの拡がりが異なり、再現性が低い。すなわち、インク注入時にインクが疎水性絶縁膜上のいずれの部分に付与されるかによって、疎水性絶縁膜上でインクにハジキが生じる場合と壁と接した際の毛細管現象で弾かずに拡がる場合とがある。
(ニ)セル面積の狭広に関わらず、セル内にインクが充満せずあるいはインク膜厚が不均一になる場合があり、ディスプレイの表示性能に悪影響を及ぼす。
(ホ)電圧印加時の動作感度(応答性)の高いインクの場合、上記の(ロ)、(ハ)が顕著に現れ(界面張力の関係と推測)、動作感度(応答性)とセル作製の容易化とは相反する関係にある。
上記の課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<2> 前記「オイル層上に、オイル層と接触させて疎水性絶縁膜を配置する工程」は、前記第1の基板の鉛直方向に対する角度を10°以上90°未満として前記疎水性絶縁膜と前記第1の基板とで前記オイル層を挟む前記<1>に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<3> 疎水性絶縁膜は、分子内にフッ素原子を有する含フッ素化合物を用いて形成された撥液性膜である前記<1>又は前記<2>に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<4> 第1の基板は、第2の基板の導電性の表面と対向する側に導電性層を有する前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<6> 第1の基板は、親水性液体層が形成される側に、該基板の表面を複数のセル領域に区画する隔壁を有する前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<7> 疎水性絶縁膜を配置する工程及び第2の基板を配置する工程として、
少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性であって導電性の表面を有する側に疎水性絶縁膜を有する第2の基板を、疎水性絶縁膜をオイル層に接触させて配置する工程を有する前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<8> 染料のオイル中における含有量が、オイル全量に対して20質量%以上80質量%以下である前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<9> 染料は、炭素数6〜30の直鎖又は分岐のアルキル基を有する前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
<10> 染料が、分子内にフッ素原子を有する前記<1>〜前記<9>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法である。
また、本発明のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法は、必要に応じて、更に、基板を準備する工程や、基板の疎水性絶縁膜形成面を区画する隔壁を形成する隔壁形成工程、一対の基板間のセルを封止する封止工程、隔壁形成工程の後であって基板配置工程の前にセルギャップ調整用のスペーサを形成するスペーサ形成工程などの他の構成が設けられてもよい。
しかしながら、オイル組成によっては、疎水性絶縁膜との親和性が不充分でオイルが拡がりにくく、ひいてはハジキを生じる等により、均一性のある厚みのオイル層を形成できない。また、オイル層上に親水性液体を付与した際に、両者の密度差で比重の小さいオイルが浮上する現象も生じやすい。特に、電圧印加時の動作感度(応答性)に優れたインクほど均一性の高いオイル層が得られにくく、動作感度(応答性)とセル製造適性とをともに成り立たせるのが困難な傾向にあった。このような状況の下、本発明では、
親水性液体はオイル層に比べて基板上に濡れ拡がりやすく、オイル層は親水性液体に比べ比重が小さいために疎水性絶縁膜上より安定的に存在させやすいことから、親水性液体層を形成後、この親水性液体層上にオイル層を形成することで、厚みが数ミクロン程度の薄厚のオイル層を均一化して形成しやすく、所望の厚みのオイル層が容易に形成される。
これにより、互いに相反する傾向のある動作感度(応答性)と製造適性(セル作製の容易化)とをともに成り立たせることができる。
本発明の製造方法により製造されるエレクトロウェッティング表示装置は、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第2の基板と、第2の基板の導電性の表面に対向させて配置された第1の基板と、第2の基板の導電性の表面を有する面側の少なくとも一部に配設された疎水性絶縁膜と、疎水性絶縁膜と第1の基板との間に疎水性絶縁膜上を移動可能に設けられ、非極性溶媒及び染料を含有する非導電性のオイルと、疎水性絶縁膜と第1の基板との間に、オイルと接するように設けられた導電性の親水性液体とを有する表示部を設けて構成されたものである。
本発明における親水性液体層形成工程では、第1の基板の上に、導電性の親水性液体を付与して親水性液体層を形成する。本発明では、後述のオイル層の形成前に、オイルが付与される親水性液体層が形成される。
また、基材として、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられたTFT基板を用いることもできる。この場合、導電膜がTFTに接続された形態(すなわち、導電膜がTFTに接続された画素電極である形態)が好適である。これにより、画素ごとに独立して電圧を印加できるようになり、TFTを備えた公知の液晶表示装置と同様に、画像表示装置全体のアクティブ駆動が可能となる。
TFT基板における、TFT、各種配線、積蓄容量等の配置については、公知の配置とすることができ、例えば、特開2009−86668号公報に記載された配置を参照することができる。
ITOを含む膜における酸化スズの量は、抵抗値を小さくする点で、5〜15質量%の範囲が好ましく、8〜12質量%の範囲がより好ましい。
隔壁形成材料としては、特開2012−137660号公報、特開2012−108499号公報、特開2012−093559号公報、特開2011−242664号公報、特開2011−225414号公報、WO12/057058号明細書、WO11/155412号明細書、WO09/125806号明細書、WO08/096782号明細書等に記載のものも好ましく用いることができる。
水性溶媒としては、水及びアルコールが好適であり、さらに水以外の水性溶媒を含んでいてもよい。アルコールとしては、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これら溶媒を単独で用いても良いし、混合物で用いてもよい。
電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、テトラブチルアンモニウムクロリド等の塩が挙げられる。親水性液体中における電解質の濃度は、0.1〜10mol/Lが好ましく、0.1〜5mol/Lがより好ましい。
親水性液体層の厚みは、10μm〜300μmが好ましく、50μm〜150μmがより好ましい。
本発明におけるオイル層形成工程では、第1の基板上の親水性液体層の上に、非極性溶媒及び染料を含有する非導電性のオイルを付与し、親水性液体層と接するオイル層を形成する。本発明では、オイルを疎水性絶縁膜の膜面に付与するのではなく、表示セル内にあらかじめ配設された親水性液体層の表面にオイルを付与することで、オイル層を数ミクロン程度の均一性の高い薄膜として形成することができる。
比誘電率は、オイルをセルギャップ10μmのITO透明電極付きガラスセルに注入し、得られたセルの電気容量を、エヌエフ株式会社製の型式2353LCRメーター(測定周波数:1kHz)を用いて20℃、40%RHにて測定される値である。
オイルと疎水性絶縁膜の接触角は大きいことが好ましい。具体的な接触角の値としては30°以上が好ましく、35°以上が特に好ましい。この値が小さいとセル内でインクが広がりやすく、電荷を印加しても駆動しにくくなる。なお、接触角は協和界面科学社製DM−701を用いて測定される値である。
オイルと親水性液体間の界面張力は小さいほうが好ましい。具体的な界面張力の値としては20mN/m以下が好ましく、15mN/m以下がより好ましい。なお、オイルと親水性液体間の界面張力は協和界面科学社製DM−701を用い、ペンダント・ドロップ法によって測定した値である。
オイル層の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。本発明の製造方法では、このような厚みのオイル層を有するセルを均一に作成することができる。
オイル層16は、非極性溶媒の少なくとも一種を用いて構成されている。非極性溶媒とは、比誘電率の値が小さい溶媒(いわゆる無極性溶媒)をいう。非極性溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒(好ましくは、炭素数6〜30の脂肪族炭化水素系溶媒)、脂肪族炭化水素系溶媒がフッ素で置換された溶媒(例えばフルオロカーボンオイル等)、シリコーン系溶媒(例えばシリコーンオイル等)などが挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
また、オイルには、非極性溶媒以外の他の溶媒が含まれてもよい。この場合、非極性溶媒のオイル中に占める比率は、オイル中の溶媒全量に対して70質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
オイル層16は、有色画像を表示する観点から、色材として染料の少なくとも1種を含有する。染料としては、非極性溶媒に対して溶解性を有するものが好適に選択される。
染料のオイル中に含有される比率としては、オイル全量に対して、5質量%以上が好ましい。中でも、染料の含有量としては、表示画像の濃度及び鮮明性等を高め、応答性の向上効果がより奏される観点から、オイル全量に対して、10質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは40質量%以上である。オイル中に含有される染料量が多くなると、電圧印加時のオイルの応答性が低下しやすく、電圧印加状態でのバックフロー現象も悪化しやすくなるため、画像表示性は低下する傾向が現れる。そのため、染料の含有比率が10質量%以上(好ましくは20質量%以上)であるオイル組成において、特に本発明の効果がより奏される。染料の含有量は、応答速度を高める観点から、オイル全量に対して、80質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。
好ましい染料としては、アゾ染料、アゾメチン染料、メチン染料、フタロシアニン染料、ピロメテン染料、アントラキノン染料が挙げられる。
好ましいアゾ染料として、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
R3は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。中でも、R3は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
R4及びR5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、芳香族基を表す。中でも、R4及びR5は、その少なくとも一方がアルキル基を表す場合が好ましく、炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜20)のアルキル基を表す場合がより好ましい。更には、R4及びR5の両方が炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜20)のアルキル基を表す場合が好ましい。
R7は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、芳香族基を表す。中でも、R7は、水素原子又は炭素数6〜20のアルキル基が好ましい。
分子中に光学活性点を有することは、分子の化学構造を解析し、化学構造において、同一の炭素原子が有する4つの置換基が全て異なる基であるかを調べることからわかる。立体異性体の混合物であることは、対象となる光学活性点を有する色素化合物の溶液を調製して、該溶液の旋光度を測定したときに旋光度を示さない(すなわち旋光度が0°)ことから、容易に判断することができる。
好ましいアゾメチン染料として、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
好ましいメチン染料として、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
フタロシアニン染料としては、炭素数6以上のアルキル基を有するものが好ましい。
具体例としては、例えば、Applied Physics Express、第4巻、第21604頁、2011年、Molecular Crystal Liquid Crystal,第183巻、第411頁、1990年、Molecular Crystal Liquid Crystal,第260巻、第255頁、1995年に記載されているものや、特開2006−133508号公報に記載の一般式(C1)で表される色素などが適宜用いられる。
好ましいアントラキノン染料として、下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
アントラキノン系色素の合成は、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日技報堂発行)、A.V.Ivashchenko著、Dichroic Dyes for Liquid Crystal Displays、CRC Press、1994年に記載されている方法により行なうことができる。
オイル層16は、必要に応じて、他の成分として界面活性剤や、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤を含む場合、その含有量は特に制限されるものではないが、通常はオイルの全質量に対して20質量%以下程度である。
複数の染料を組み合わせて用いる場合、その組み合わせとしては、吸収波長が400〜500nmの範囲のイエロー染料、吸収波長が500〜600nmの範囲のマゼンタ染料、吸収波長が600〜700nmの範囲のシアン染料を混合して用いることが好ましい。
ここで、「黒色」とは、450nm、500nm、550nm、600nmにおける各々の透過率のうち、最大値となる透過率と最小値となる透過率との差が20%以下である性質を示し、前記差は、好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
本発明における疎水性膜配置工程では、オイル層上に、該オイル層と接触させて疎水性絶縁膜を配置する。オイル層は、電圧印加されたときにこの疎水性絶縁膜上を移動し、このとき画像表示する機能が発現する。
この場合、例えば、後述する基板配置工程で使用する基板11の導電性が付与されている面(本実施形態では基板11の導電膜11aの表面)に、あらかじめ含フッ素ポリマー等の撥液性材料を付与して疎水性絶縁膜を形成してもよい。また、例えば、後述する基板配置工程で使用する基板11の導電性が付与されている面(本実施形態では基板11の導電膜11aの表面)に、多官能性化合物を含有する硬化性組成物を付与して硬化性層を形成する硬化性層形成工程と、形成された硬化性層中の多官能性化合物を重合させて該硬化性層を硬化させる硬化工程とを設けた構成であってもよい。この方法では、架橋構造を有する疎水性絶縁膜を形成することができる。
塗布法による場合、後述する基板11上に硬化性組成物を塗布し(好ましくは乾燥させて)硬化性層を形成する。塗布法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の方法を用いることができる。
転写法による場合、あらかじめ硬化性組成物を用いて形成された硬化性層を有する転写材料を準備しておき、該転写材料の硬化性層を基板11上に転写することにより、基板11上に硬化性層を形成する。転写法の詳細については、例えば、特開2008−202006号公報の段落0094〜0121や特開2008−139378号公報の段落0076〜0090を参照することができる。
露光の際には、所定のフォトマスクを介して露光し、次いでアルカリ溶液などの現像液を用いて現像することにより、所望とするパターンにパターニングされた疎水性絶縁膜を得ることも可能である。
また、加熱は、例えば、ホットプレートや炉を用いた公知の方法により行なうことができる。加熱温度は、適宜設定すればよく、例えば100℃〜280℃とすることができ、150℃〜250℃が好ましい。加熱時間も適宜設定すればよく、例えば2分〜120分とすることができ、5分〜60分が好ましい。
本実施形態では、疎水性絶縁膜は、5員環状パーフルオロジエンを共重合した共重合体で構成されている。
架橋構造の形成において、多官能性化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
多官能性化合物である含フッ素化合物としては、例えば、特開2006−28280号公報の段落0007〜0032に記載された含フッ素化合物を用いることができる。
重合の開始方法は、重合開始剤(例えばラジカル開始剤)を用いる方法、光又は放射線を照射する方法、酸を加える方法、光酸発生剤を添加した後に光を照射する方法、加熱により脱水縮合させる方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二著、「高分子合成方法」改訂版(日刊工業新聞社刊、1971年)や大津隆行・木下雅悦共著、「高分子合成の実験法」、化学同人、昭和47年、124〜154頁に記載されている。
硬化性組成物中における溶剤の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、硬化性組成物の全質量に対して、20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が特に好ましい。
熱の作用によりラジカル重合を開始する重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物、ジアゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。無機過酸化物としては、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等が、ジアゾ化合物としては、例えばジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウムなどが挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン類の例には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが含まれる。
アミノアルキルフェノン類の例には、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが含まれる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノンが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
また、これらの重合開始剤と併用して増感色素を用いることもできる。
その他の成分を含有する場合、その含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
本発明における基板配置工程では、疎水性絶縁膜上に、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第2の基板を配置する。この基板配置工程は、既述のように、既述した疎水性膜配置工程を兼ねた工程であってもよい。
本発明のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法は、上記の工程のほか、更に、表示装置を構成する2枚の基板間を封止する封止工程等の他の工程が設けられてもよい。
図7は、親水性液体の塗布とオイルの塗布とをそれぞれ異なるロールにおいて行なう態様である。この態様では、搬送ロール110、112、116により張架された基板12を矢印方向に搬送しながら、まず搬送ロール110上において塗布装置120により、基板12上に親水性液体を塗布して親水性液体層14を形成した後、次の搬送ロール112上において塗布装置122により、親水性液体層14上にオイルを塗布しオイル層16を形成する。親水性液体層14及びオイル層16が重層された基板12は、他の方向から搬送された基板11と共に、搬送ロール112及びこれに圧接するロール114で構成された圧接ロール対の間に送られる。このとき、基板11、12は、基板12のオイル層14の表面と、基板11の、該基板表面を複数のセル領域に区画する隔壁(リブ)を有する側の表面とを接触させた状態で圧着(ラミネート)され、エレクトロウェッティング表示装置を構成する表示セル(表示部)が作製される。
すなわち、セル製造環境において湿度が高い場合は親水性液体に環境中の水分が溶けこみ、インク駆動特性が変わってしまうことや、セルに水分が混入することによる信頼性低下が予想されることから、これを避けるために環境相対湿度は0〜60%が好ましく、0〜50%がより好ましい。
また、例えば、導電膜11bとして、反射板としての機能を兼ね備えた膜(例えばAl膜、Al合金膜などの金属膜)を用いたり、基材11aとして、反射板としての機能を兼ね備えた基板(例えばAl基板、Al合金基板などの金属基板)を用いたりすることで、反射型の画像表示装置の画素とすることもできる。
エレクトロウェッティング表示装置100のスイッチ26をオフし、電圧の印加をオフ状態とすると、再び図5の状態に戻る。
エレクトロウェッティング表示装置100では、図5及び図6に示す動作が繰り返し行なわれる。
例えば、図5及び図6では、基板11において、導電膜11bが基材11aの表面全体に亘って設けられているが、導電膜11bが基材11aの表面の一部にのみ設けられた形態であってもよい。また、基板12では、導電膜12bが基材12aの表面全体に亘って設けられているが、導電膜12bが基材12aの表面の一部にのみ設けられた形態であってもよい。
紫外線カット層としては公知のものを用いることができ、例えば、紫外線吸収剤を含有する紫外線カット層(例えば紫外線カットフィルム)を用いることができる。紫外線カット層は、波長380nmの光を90%以上吸収することが好ましい。
紫外線カット層は、第2の基板及び第1の基板の少なくとも一方の外側に接着剤を用いて貼り付ける方法等、公知の方法により設けることができる。
−1.染料インク(オイル)の調製−
下記の構造を有する染料F−5(一般式(4)で表されるメチン染料)と、有機溶剤であるノルマルデカン(n-Decane)とを混合して、オイルとして、染料濃度が溶液全量に対して10質量%のノルマルデカン溶液(染料インク)を調製した。
まず図1に示すように、透明電極として厚み100nmのインジウムスズオキサイド(ITO)膜12bが付いたガラス基板(10mm×10mm)12aのITO膜12bの表面に、隔壁(リブ)として、1cm×1cmサイズのシリコーンゴム(厚み40μmのシール材;扶桑ゴム社製のシリウス(商品名))の中心部から8mm×8mm×40μmサイズの四面体を切り抜いて作製した額縁状のシリコーンゴム壁(隔壁)を置いて表示部(セル)を形成した。続いて、このガラス基板を鉛直方向に対して90°(水平)に配置し、このシリコーンゴム壁で取り囲まれた中に、親水性液体であるエチレングリコール(EG)を厚み46μmとなるように注入し、図2のように、EG層(親水性液体層)14を形成した。次いで、図3に示すように、EG層上に上記の染料インクを厚み4μmとなるように注入し、インク層(オイル層)16を形成した。さらに、図4に示すように、ITO付ガラス基板11のITO膜(透明電極)11bの膜面に、撥液性の疎水性絶縁膜としてフッ素系ポリマー(商品名:サイトップ、旭硝子社製、型番CTL−809M)をスピンコート塗布(膜厚800nm)してフッ素樹脂膜20を形成した基板を、そのフッ素樹脂膜20がインク層16と接触するようにして配置した。このようにして、図5に示す構造に構成されたエレクトロウェッティングテストセルを作製した。
面積縮小率[%]=(最も縮んだ時の染料インクの面積)/(電圧印加前の染料インクの面積)×100
−テストセルの作製−
まず図12に示すように、透明電極として厚み100nmのインジウムスズオキサイド(ITO)膜11bが付いたガラス基板(10mm×10mm)11のITO膜11bの表面に、フッ素系ポリマー(商品名:サイトップ、旭硝子社製、型番CTL−809M)を厚み800nmとなるようにスピンコート塗布し、疎水性絶縁膜であるフッ素樹脂層20を形成した。続いて、このフッ素樹脂層20上に、隔壁(リブ)として、1cm×1cmサイズのシリコーンゴム(厚み40μmのシール材;扶桑ゴム社製のシリウス(商品名))の中心部から8mm×8mm×50μmサイズの四面体を切り抜いて作製した額縁状のシリコーンゴム壁22a、22bを置いて表示部を形成した。続いて、このシリコーンゴム壁で取り囲まれた中に、図13に示すように実施例1で調製した染料インクを厚み4μmとなるように注入した。
−テストセルの作製−
実施例1において、ITO膜12bが付いた第1の基板12を、この基板の鉛直方向に対して90°の角度(図8の角度θ1)で固定し、そのITO膜12bの表面に実施例1と同じように隔壁を形成した。次いで、この隔壁で取り囲まれた中に実施例1と同様にしてEG層を形成し、さらにインク層を形成した。次に、実施例1で用いたものと同じフッ素樹脂膜20が形成されたITO付ガラス基板(第2の基板)11を、図8に示すように角度θ2が75°となるようにして配置し、角度θ2が90°になるように張り合わせることで、実施例1と同様に、図5に示す構造のエレクトロウェッティングテストセルを作製した。
作製したテストセルについて、実施例1と同様の方法で面積縮小率を計算したところ、25%であった。また、テストセルは、実施例1に比べ、セル内に気泡が入り難く、作製されるセルの再現性が良好であった。
−テストセルの作製−
実施例1において、ITO膜12bが付いた第1の基板12を、この基板の鉛直方向に対して80°の角度(図8の角度θ1)で固定し、そのITO膜12bの表面に実施例1と同じように隔壁を形成した。次いで、この隔壁で取り囲まれた中に実施例1と同様にしてEG層を形成し、さらにインク層を形成した。次に、実施例1で用いたものと同じフッ素樹脂膜20が形成されたITO付ガラス基板(第2の基板)11を、図8に示すように角度θ2が70°となるようにして配置し、角度θ2が80°になるように張り合わせることで、実施例1と同様に、図5に示す構造のエレクトロウェッティングテストセルを作製した。
作製したテストセルについて、実施例1と同様の方法で面積縮小率を計算したところ、25%であった。また、テストセルは、実施例2に比べ、セル内に気泡がより入り難く、作製されるセルの再現性により優れていた。
実施例1において、ノルマルデカン溶液(染料インク)中の溶液全量に対する染料濃度を、10質量%から40質量%に変更したこと以外、実施例1と同様にして、染料インクを調製し、エレクトロウェッティングテストセルを作製した。
比較例1において、ノルマルデカン溶液(染料インク)中の溶液全量に対する染料濃度を、10質量%から40質量%に変更したこと以外、比較例1と同様にして、染料インクを調製し、エレクトロウェッティングテストセルを作製した。
実施例1において、ノルマルデカンをオクタメチルトリシロキサンに代えたこと以外、実施例1と同様にして、染料インクを調製し、エレクトロウェッティングテストセルを作製した。
実施例1において、染料F−5を、下記構造の染料D−2に代えたこと以外、実施例1と同様にして、染料インクを調製し、エレクトロウェッティングテストセルを作製した。
実施例1において、有機溶媒をノルマルデカンに変えて、以下に示す化合物K−1で表される界面活性剤を1質量%混合したノルマルデカンを用いたこと以外、実施例1と同様にして、染料インクを調製し、エレクトロウェッティングテストセルを作製した。
・化合物K−1: n−C16H33O(CH2CH2O)8H
11a,12a・・・基材
11b,12b・・・ITO膜
12・・・第1の基板
14・・・親水性液体
16・・・オイル(インク)
17A、17B・・・親水性液体とオイルとの界面
20・・・疎水性絶縁膜
22a、22b・・・シリコーンゴム壁
30・・・表示セル
100・・・エレクトロウェッティング表示装置
120,122・・・塗布装置
Claims (10)
- 第1の基板の上に、導電性の親水性液体を付与して親水性液体層を形成する工程と、
前記第1の基板上の前記親水性液体層の上に、非極性溶媒及び染料を含有する非導電性のオイルを付与し、前記親水性液体層と接するオイル層を形成する工程と、
前記オイル層上に、前記オイル層と接触させて疎水性絶縁膜を配置する工程と、
前記疎水性絶縁膜上に、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第2の基板を、導電性の前記表面を疎水性絶縁膜に対向させて配置する工程と、
を有するエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。 - 前記オイル層と接触させて疎水性絶縁膜を配置する工程は、前記第1の基板の鉛直方向に対する角度を10°以上90°未満として前記疎水性絶縁膜と前記第1の基板とで前記オイル層を挟む請求項1に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記疎水性絶縁膜は、分子内にフッ素原子を有する含フッ素化合物を用いて形成された撥液性膜である請求項1又は請求項2に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記第1の基板は、前記第2の基板の導電性の表面と対向する側に導電性層を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記第1の基板及び前記第2の基板の少なくとも一方に、基板面を複数のセル領域に区画する隔壁を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記第1の基板は、前記親水性液体層が形成される側に、該基板の表面を複数のセル領域に区画する隔壁を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記疎水性絶縁膜を配置する工程及び前記第2の基板を配置する工程として、
少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性であって前記導電性の表面を有する側に疎水性絶縁膜を有する第2の基板を、前記疎水性絶縁膜を前記オイル層に接触させて配置する工程を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。 - 前記染料のオイル中における含有量が、オイル全量に対して5質量%以上80質量%以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記染料は、炭素数6〜30の直鎖又は分岐のアルキル基を有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
- 前記染料が、分子内にフッ素原子を有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置の製造方法。
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