JP2014048535A - エレクトロウェッティング表示装置及びエレクトロウェッティング表示用染料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面が導電性の第1基板と、第1基板の導電性表面に対向配置された第2基板と、第1基板の導電性表面側に配された疎水性絶縁膜と、疎水性絶縁膜上を移動可能に設けられ、非極性溶媒及び特定の一般構造式で表される染料を含む非導電性のオイルと、オイルと接する導電性の親水性液体とを有する表示部を備える。
【選択図】なし
Description
また、フタロシアニンとしては、ヘキサン等の溶媒や水に可溶であり、インクジェット用インク等に好適なフタロシアニンとして、アルキル基を有する特定のフタロシアニン化合物が知られている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、このオイルに含有させる染料としてフタロシアニンを用いると、非極性溶媒に対する染料の溶解性が不足する場合がある。ここで、上述した特許文献4のように、フタロシアニンの溶媒に対する溶解性を向上させる技術が検討されてはいるものの、非極性溶媒に対してある程度の溶解性を示すフタロシアニンを用いた場合であっても、エレクトロウェッティング表示装置による画像表示においては、応答性が不足する場合や、バックフロー現象による画像乱れが生じる場合がある。
ここで、バックフローとは、電圧印加した状態で保持されたときに収縮して減少したオイルの面積が、経時で広がる現象である。
即ち、前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<3> 前記mが、1以上の整数である<1>又は<2>に記載のエレクトロウェッティング表示装置である。
<4> 前記Mが、金属原子又は金属酸化物である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置である。
<5> 前記Rが、炭素数6〜20の分岐アルキル基である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置である。
<6> 前記A1〜A4が、窒素原子である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示装置である。
<9> 前記mが、1以上の整数である<7>又は<8>に記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物である。
<10> 前記Mが、金属原子又は金属酸化物である<7>〜<9>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物である。
<11> 前記Rが、炭素数6〜20の分岐アルキル基である<7>〜<10>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物である。
<12> 前記A1〜A4が、窒素原子である<7>〜<11>のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物である。
しかし、画像表示を担う流体としてのオイル中にフタロシアニンを含有させると、非極性溶媒に対する染料の溶解性が不足する場合がある。ここで、フタロシアニンの溶媒に対する溶解性を向上させる技術が検討されてはいるものの、非極性溶媒に対してある程度の溶解性を有するフタロシアニンを用いた場合であっても、エレクトロウェッティング技術による画像表示においては、応答性が不足する場合や、バックフロー現象による画像乱れが生じる場合がある。
この点に関し、本発明によれば、エレクトロウェッティング技術のオイル相の着色に、フタロシアニン骨格又はこれに類似する骨格を有する染料として、後述する一般式(1)で表される染料を選択して用いることで、染料溶解性を確保しつつ、画像表示時の応答性、及び電圧印加状態としたときのバックフローが特異的に改善される。
また、基材として、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられたTFT基板を用いることもできる。この場合、導電膜がTFTに接続された形態(すなわち、導電膜がTFTに接続された画素電極である形態)が好適である。これにより、画素ごとに独立して電圧を印加できるようになり、TFTを備えた公知の液晶表示装置と同様に、画像表示装置全体のアクティブ駆動が可能となる。
TFT基板における、TFT、各種配線、積蓄容量等の配置については、公知の配置とすることができ、例えば、特開2009−86668号公報に記載された配置を参照することができる。
ITOを含む膜における酸化スズの量は、抵抗値を小さくする点で、5〜15質量%の範囲が好ましく、8〜12質量%の範囲がより好ましい。
接触角は、JIS R3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」内の「6.静滴法」に記載された方法が適用される。具体的には、接触角測定器(協和界面科学(株)製の接触角計CA−A)を用い、20メモリの大きさの水滴をつくり、針先から水滴を出して、疎水性絶縁膜に接触させて水滴を形成し、10秒静置後、接触角計の覗き穴から水滴の形状を観察したときの接触角θ(25℃)から求められる。
本実施形態では、5員環状パーフルオロジエンを共重合した共重合体で構成されている。
架橋構造の形成において、多官能性化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
多官能性化合物である含フッ素化合物としては、例えば、特開2006−28280号公報の段落0007〜0032に記載された含フッ素化合物を用いることができる。
重合の開始方法は、重合開始剤(例えばラジカル開始剤)を用いる方法、光又は放射線を照射する方法、酸を加える方法、光酸発生剤を添加した後に光を照射する方法、加熱により脱水縮合させる方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二著、「高分子合成方法」改訂版(日刊工業新聞社刊、1971年)や大津隆行・木下雅悦共著、「高分子合成の実験法」、化学同人、昭和47年、124〜154頁に記載されている。
硬化性組成物中における溶剤の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、硬化性組成物の全質量に対して、20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が特に好ましい。
熱の作用によりラジカル重合を開始する重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物、ジアゾ化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。無機過酸化物としては、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等が、ジアゾ化合物としては、例えばジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウムなどが挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン類の例には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが含まれる。
アミノアルキルフェノン類の例には、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが含まれる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノンが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
また、これらの重合開始剤と併用して増感色素を用いることもできる。
その他の成分を含有する場合、その含有量は、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
疎水性絶縁膜は、下記の方法により好適に作製できる。すなわち、
基板11の導電性が付与されている面(本実施形態では基板11の導電膜11bの表面)に、多官能性化合物を含有する硬化性組成物を付与して硬化性層を形成する硬化性層形成工程と、形成された硬化性層中の多官能性化合物を重合させて該硬化性層を硬化させる硬化工程とを有する方法である。このような方法により、架橋構造を有する疎水性絶縁膜が形成される。
塗布法による場合、基板11上に硬化性組成物を塗布し(好ましくは乾燥させて)硬化性層を形成する。塗布法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の方法を用いることができる。
転写法による場合、あらかじめ硬化性組成物を用いて形成された硬化性層を有する転写材料を準備しておき、該転写材料の硬化性層を基板11上に転写することにより、基板11上に硬化性層を形成する。転写法の詳細については、例えば、特開2008−202006号公報の段落0094〜0121や特開2008−139378号公報の段落0076〜0090を参照することができる。
露光に用いられる活性エネルギー線としては、例えば、紫外線(g線、h線、i線等)、電子線、X線が好ましく用いられる。露光は、プロキシミティ方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式等の公知の露光装置を用いて行なってもよい。露光時の露光量は、例えば、10mJ/cm2〜2000mJ/cm2とすることができ、50mJ/cm2〜1000mJ/cm2が好ましい。
露光の際には、所定のフォトマスクを介して露光し、次いでアルカリ溶液などの現像液を用いて現像することにより、所望とするパターンにパターニングされた疎水性絶縁膜を得ることも可能である。
また、加熱は、例えば、ホットプレートや炉を用いた公知の方法により行なうことができる。加熱温度は適宜設定できるが、例えば100℃〜280℃とすることができ、150℃〜250℃が好ましい。加熱時間も適宜設定できるが、例えば、2分〜120分とすることができ、5分〜60分が好ましい。
比誘電率は、オイルをセルギャップ10μmのITO透明電極付きガラスセルに注入し、得られたセルの電気容量を、エヌエフ株式会社製の型式2353LCRメーター(測定周波数:1kHz)を用いて20℃、40%RHにて測定し、得られた電気容量に基づいて求められる値である。
オイル16は、非極性溶媒の少なくとも一種を用いて構成されている。非極性溶媒とは、比誘電率の値が小さい溶媒(いわゆる無極性溶媒)をいう。非極性溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒(好ましくは、炭素数6〜30の脂肪族炭化水素系溶媒)、脂肪族炭化水素系溶媒がフッ素で置換された溶媒(例えばフルオロカーボンオイル等)、シリコーン系溶媒(例えばシリコーンオイル等)などが挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
また、オイルには、非極性溶媒以外の他の溶媒が含まれてもよい。この場合、非極性溶媒のオイル中に占める比率は、オイル中の溶媒全量に対して70質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
本発明におけるオイル(例えばオイル16)は、色材として、下記一般式(1)で表される染料(以下、「特定染料」ともいう)を少なくとも1種含有する。
前記特定染料は、オイルの溶媒である非極性溶媒に対する溶解性が高いため、この特定染料を色材として用いることで、オイル中における染料の濃度を向上させることができ、ひいては画像の色濃度を向上させることができる。溶解性が高い理由は、特定染料に、後述のRとして、炭素数6以上の分岐アルキル基及び炭素数6以上のフッ化分岐アルキル基の少なくとも一方が含まれるため、と考えられる。
更に、前記特定染料を含むオイルを用いることにより、画像表示時の応答性が向上し、電圧印加状態としたときのバックフロー現象が抑制される。応答性が向上し、バックフロー現象が抑制される理由は、前記特定染料の比誘電率が低いためと推測される。比誘電率が低い理由は、特定染料にフッ素原子が含まれるためと推測される。
更に、応答性が向上する理由については、非極性溶媒に対する前記特定染料の溶解性が高いこと、及び、前記特定染料を含有するオイルの粘度が低いことも関係していると考えられる。前記特定染料を含有するオイル粘度が低い理由としては、後述のR(分岐アルキル基又はフッ化分岐アルキル基)の炭素数が30以下であること、及び、特定染料にフッ素原子が含まれることが考えられる。
ここで、R1は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
前記R1がアルキル基である場合における該アルキル基としては、炭素数1〜30(より好ましくは1〜20)のアルキル基が好ましい。前記アルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐アルキル基であっても環状アルキル基であってもよい。また、前記アルキル基は、必要に応じ、後述する置換基によって置換されていてもよい。
前記R1がアリール基である場合における該アリール基としては、炭素数6〜30(より好ましくは6〜20)のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。前記アリール基は、必要に応じ、後述する置換基によって置換されていてもよい。
また、一般式(1)で表される染料(特定染料)のうち、前記A1〜前記A4が−C(R1)=である染料は、テトラベンゾポルフィリン骨格を有する染料である。
前記金属原子としては、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、等が挙げられる。
前記金属酸化物としては、VO、TiO、等が挙げられる。
前記金属水酸化物としては、Si(OH)2等が挙げられる。
前記金属ハロゲン化物としては、AlCl、InCl、FeCl、TiCl2、SnCl2、SiCl2、GeCl2、等が挙げられる。
前記Mとしては、色相及びモル吸光係数の観点からは、金属原子、金属酸化物、又は2個の水素原子が好ましく、Cu、VO、Mg、Fe、Zn、又は2個の水素原子がより好ましく、Cu又はVOが特に好ましい。
一般式(1)で表される染料において、−X−R、Y、及びFによって置換可能な位置は16箇所(一つのベンゼン環につき4箇所(2つのα位及び2つのβ位))である。
一般式(1)において、nは−X−Rの数を表し、mはYの数を表し、pはF(フッ素原子)の数を表す。
前記nは1以上の整数を表し、前記mは0以上の整数を表し、前記pは0以上の整数を表す(但し、n、m、及びpの合計は1〜16の整数である)。
前記nが2以上の整数である場合、2以上存在する−X−Rは、同一であっても異なっていてもよい。前記mが2以上の整数である場合、2以上存在するYは、同一であっても異なっていてもよい。
前記mとしては、溶解性向上の観点からは、1以上の整数が好ましく、2以上の整数がより好ましく、3以上の整数が更に好ましく、4以上の整数が特に好ましい。
前記pとしては、応答性向上及びバックフロー抑制の観点からは、1以上の整数が好ましく、2以上の整数がより好ましく、3以上の整数が更に好ましく、4以上の整数が特に好ましい。
Rで表される分岐アルキル基(又はフッ化分岐アルキル基)の炭素数が6未満であると、染料の溶解性が不足する場合や、応答性が低下する場合、バックフロー現象が顕著となる場合がある。
Rで表される分岐アルキル基(又はフッ化分岐アルキル基)の炭素数が30を超えると、染料の分子量が大きくなり、オイルの粘度が高くなり応答性が低下する場合がある。
また、Rが、直鎖アルキル基やフッ化直鎖アルキル基であると、染料の溶解性が不足する場合や、応答性が低下する場合、バックフロー現象が顕著となる場合がある。
前記Rで表される分岐アルキル基又はフッ化分岐アルキル基の炭素数は、6〜20が好ましく、8〜10が特に好ましい。
前記Rで表される分岐アルキル基又はフッ化分岐アルキル基は、必要に応じ、後述の置換基によって置換されていてもよい。
ここでR2については、前述のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記Xとしては特に限定はないが、溶解性の観点からは、−N(R2)−が好ましく、−N(R21)−(ここで、R21は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)が好ましく、−N(H)−が特に好ましい。
前記Yがアルコキシ基(又はアルキルチオ基)である場合における該アルコキシ基(又は該アルキルチオ基)としては、炭素数1〜30(より好ましくは1〜20)のアルコキシ基(又はアルキルチオ基)が好ましい。また、前記アルコキシ基(又は前記アルキルチオ基)は、必要に応じ、後述する置換基によって置換されていてもよい。
前記Yがアリールオキシ基(又はアリールチオ基)である場合における該アリールオキシ基(又は該アリールチオ基)としては、炭素数6〜30(より好ましくは6〜20)のアリール基が好ましい。前記アリールオキシ基(又は前記アリールチオ基)は、必要に応じ、後述する置換基によって置換されていてもよい。
一分子中にフッ素原子が含まれない場合、応答性が低下し、バックフローが顕著となる傾向がある。この理由は明らかではないが、一分子中にフッ素原子が含まれない場合には、該染料の比誘電率が上昇するためと推測される。
一般式(1)で表される染料において、フッ素原子が存在する位置には特に限定はないが、一般式(1)で表される染料の具体的形態として、前記pが1以上の整数であること、前記−X−R中にフッ素原子が含まれること、及び、前記Y中にフッ素原子が含まれることの少なくとも1つを満たす形態が挙げられ、中でも、前記pが1以上の整数であること、及び、前記−X−R中にフッ素原子が含まれることの少なくとも一方を満たす形態が好ましく、前記pが1以上の整数である形態が特に好ましい。
例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(好ましくは、2−エチルヘキシル基、オクチル基など)、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、アルコキシ基(好ましくは、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基など)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、アゾ基、アルキルチオ基(好ましくは、2−エチルヘキシルチオ基、オクチルチオ基など)、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、ホスホニル基、ホスフィノイルアミノ基、等である。
更に、前記置換基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、前記置換基が2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本発明において、吸収極大波長は、可視光領域(380nm〜770nm)での吸収極大波長を指す。
ここで、染料の比誘電率は、染料希薄溶液における染料濃度と比誘電率との関係を示す直線(検量線)を外挿することにより求められた、染料濃度100%のときの比誘電率(計算値)を指す。
染料希薄溶液の比誘電率は、電極間隔を10μmとして対向させた2つの電極間に染料希釈溶液を挟持させた状態で、測定周波数1kHz、測定電圧1.0V印加時の等価並列容量を測定し、得られた等価並列容量に基づき、下式により算出する。
染料希釈溶液の比誘電率=等価並列容量×電極間隔/電極面積/真空の誘電率(ε0)
なお、以下において、「25℃、0.1MPaにおけるn−デカンに対する溶解度」を単に「溶解度」ともいう。
前記特定染料を、エレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置を製造するための表示用部材であるオイルに適用する場合、溶解度は、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。溶解度は高ければ高いほど好ましいが、通常その上限値は80質量%程度である。
以上、前記特定染料のn−ヘキサンに対する溶解度の好ましい範囲を示したが、前記特定染料のn−デカンに対する溶解度の好ましい範囲も、上記範囲と同様である。
以下の具体例において、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Hexはヘキシル基を、Octはオクチル基を、それぞれ表す。また、「R」欄及び「Y」欄に示した基の波線は結合位置を表す。
また、「M」欄がHである具体例は、一般式(1)中のMが、2個の水素原子である具体例である。
また、No.1〜No.6は、一般式(1)中のA1〜A4がN(窒素原子)でありmが0である具体例であり、No.7〜No.12は、一般式(1)中のA1〜A4がN(窒素原子)である具体例であり、No.13〜No.16は、一般式(1)中のA1〜A4がN(窒素原子)でありmが0でありpが0である具体例である。
例えば、溶融状態又は有機溶媒中でフタロニトリル化合物と金属塩とを環化反応する方法において、出発物質であるフタロニトリル化合物として、フッ素原子及び分岐アルキル基を有するフタロニトリル化合物、又は、フッ化分岐アルキル基を有するフタロニトリル化合物を用いる方法が挙げられる。また、まず、フッ素原子及び分岐アルキル基を含まないフタロニトリル化合物を合成し、次いでこのフタロニトリル化合物に、フッ素原子及び分岐アルキル基、又は、フッ化分岐アルキル基を公知の方法により導入する方法が挙げられる。
例えば、本発明におけるオイルは、前記特定染料を1種含有して構成されたものでもよいし、2種以上を含有して構成されたものでもよい。
また、本発明におけるオイルは、前記特定染料以外の色素を含有していてもよい。
前記特定染料以外の色素としては、例えば、メチン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、アントラキノン、ポルフィリンなどが挙げられるが、特に制限されるものではない。
複数の染料を組み合わせて用いる場合、その組み合わせとしては、吸収波長が400〜500nmの範囲のイエロー染料、吸収波長が500〜600nmの範囲のマゼンタ染料、吸収波長が600〜700nmの範囲のシアン染料(前記特定染料を含む)を混合して用いることが好ましい。
「黒色」とは、450nm、500nm、550nm、600nmにおける各々の透過率のうち、最大値となる透過率と最小値となる透過率との差が20%以下である性質を示し、前記差は、好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
オイル中に含有される色材の含有比率が高くなると、表示画像の濃度や鮮明性等がより向上する。
一方、オイル中に含有される色材の含有比率が高くなるに従い、電圧印加時のオイルの応答性が低下するとともに電圧印加状態でのバックフロー現象も悪化し、画像表示性が低下する傾向にある。このため、特に、色材の含有比率が5質量%以上(好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上)であるオイル組成において、特定染料による応答性向上及びバックフロー低減の効果がより効果的に奏される。
また、色材の総量は、応答速度を高める観点から、オイル全量に対して70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは65質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。
オイルは、必要に応じて、他の成分として、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤を含有する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、通常はオイルの全質量に対して20質量%以下程度で用いられる。
電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、テトラブチルアンモニウムクロリド等の塩が挙げられる。親水性液体中における電解質の濃度は、0.1〜10mol/Lが好ましく、0.1〜5mol/Lがより好ましい。
水性溶媒としては、水及びアルコールが好適であり、さらに水以外の水性溶媒を含んでいてもよい。アルコールとしては、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
水性溶媒は、界面活性剤を含まない方が応答性の観点から好ましい。
エレクトロウェッティング表示装置100のスイッチ26をオフし、電圧の印加をオフ状態とすると、再び図1の状態に戻る。
エレクトロウェッティング表示装置100では、図1及び図2に示す動作が繰り返し行なわれる。
例えば、図1及び図2では、基板11において、導電膜11bが基材11aの表面全体に亘って設けられているが、導電膜11bが基材11aの表面の一部にのみ設けられた形態であってもよい。また、基板12では、導電膜12bが基材12aの表面全体に亘って設けられているが、導電膜12bが基材12aの表面の一部にのみ設けられた形態であってもよい。
紫外線カット層としては公知のものを用いることができ、例えば、紫外線吸収剤を含有する紫外線カット層(例えば紫外線カットフィルム)を用いることができる。紫外線カット層は、波長380nmの光を90%以上吸収することが好ましい。
紫外線カット層は、第1の基板及び第2の基板の少なくとも一方の外側に接着剤を用いて貼り付ける方法等、公知の方法により設けることができる。
また、例えば、導電膜11bとして、反射板としての機能を兼ね備えた膜(例えばAl膜、Al合金膜などの金属膜)を用いたり、基材11aとして、反射板としての機能を兼ね備えた基板(例えばAl基板、Al合金基板などの金属基板)を用いたりすることで、反射型の画像表示装置の画素とすることもできる。
また、隔壁形成工程の後であってセル形成工程の前に、セルギャップ調整用のスペーサを形成するスペーサ形成工程が設けられていてもよい。
<特定染料(化合物T−1)の合成>
特定染料(一般式(1)で表される染料)である下記化合物T−1を、下記スキーム1に従って合成した。
(化合物M−2の合成)
化合物M−1(30g)(東京化成工業(株)製)と三塩化バナジウム(5g)(アルドリッチ社製)とをn−プロパノール100ml中に添加して、加熱還流を15時間行った。冷却後、得られた固体をろ別し、メタノールにて洗浄し、化合物M−2(27g)を黒色固体として得た。
(化合物T−1の合成)
化合物M−2(10g)、2,6−ジメチルフェノール(5.6g)(東京化成工業(株)製)、及び2エチルヘキシルアミン(6.0g)(東京化成工業(株)製)をキシレン30ml中に添加し、150℃にて6時間加熱攪拌した。冷却後、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン+酢酸エチルエステル)にて精製し、目的物である化合物T−1(6.5g)を得た。
化合物T−1であることは、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)−質量分析によって確認した(後述の化合物T−2についても同様である)。
・化合物T−1のMALDI−質量分析結果:M+ = 1719
特定染料(一般式(1)で表される染料)である下記化合物T−2を、以下のようにして合成した。
即ち、化合物T−1の合成において、三酸化バナジウムを、塩化銅に変更したこと以外は化合物T−1の合成と同様にして、化合物T−2を合成した。
・化合物T−2のMALDI−質量分析結果:M+ = 1715
国際公開第2007/86537号パンフレットに記載された合成方法に従い、下記比較化合物H−1及びH−2を合成した。
<染料の溶解性及び比誘電率の評価>
(溶解性)
非極性溶媒としてのノルマルデカン(以下、単に「デカン」ともいう)に、上記各染料(化合物T−1、化合物T−2、比較化合物H−1、又は比較化合物H−2)を添加し(このときの添加量は、溶液全体に対し10質量%に相当する量とした)、得られた溶液を50℃に加熱した後、室温(25℃)にて12時間放置した。放置後に溶け残った各染料の量に基づき、各染料のデカンに対する溶解度(25℃)を算出した。
結果を下記表1に示す。
各染料の比誘電率を以下の方法により求めた。
即ち、以下の方法で調製された数種類の濃度の染料希薄溶液の比誘電率を、それぞれ以下の方法で測定し、得られた結果から、染料濃度と比誘電率との関係を示す直線(検量線)を作成した。上記直線(検量線)を外挿することにより染料濃度100%での比誘電率(計算値)を求め、得られた値を染料の比誘電率とした。
その結果、化合物T−1の比誘電率は5.0であり、化合物T−2の比誘電率は4.8であり、いずれも低い比誘電率を示した。
これにより、化合物T−1及びT−2は、エレクトロウェッティング表示装置のオイルに含ませたときに、応答性を向上でき、バックフローを抑制できることが示唆された。
各染料(化合物P−1、化合物P−2、比較化合物H−1、比較化合物H−2、又は比較化合物H−3)と、有機溶剤であるノルマルデカン(n-Decane)とを混合して、数種類の濃度のノルマルデカン溶液(色素希薄溶液)を調整した。
電極間隔10μmとして対向させた並行平板のITO電極付きガラス基板で染料希薄溶液を狭持した後、測定周波数1kHz、測定電圧1.0V印加時の等価並列容量を、エヌエフ株式会社製の型式2353LCRメーターを用いて20℃、40%RHの条件下で測定し、得られた等価並列容量に基づき、下記式により染料希薄溶液の比誘電率を求めた。
染料希薄溶液の比誘電率=等価並列容量×電極間隔/電極面積/真空の誘電率(ε0)
−染料インクの調製−
アルゴンガスのバブリングにより溶存酸素が10ppm以下となるように調整したノルマルデカン(n-Decane)に、下記表2〜表3に示すように、染料濃度が10質量%、1質量%となるように添加した。このようにして、オイルとして用いる染料インクを調製した。
透明電極として厚み100nmのインジウムスズオキサイド(ITO)膜が付いたガラス基板(10mm×10mm)のITO膜の表面に、フッ素系ポリマー(商品名:サイトップ、旭硝子社製、型番CTL−809M)を厚み600nmとなるように塗布し、フッ素ポリマー層を形成して疎水性絶縁膜とした。続いて、このフッ素ポリマー層上に、1cm×1cmサイズのシリコーンゴム(厚み50μmのシール材;扶桑ゴム社製のシリウス(商品名))の中心部から8mm×8mm×50μmサイズの四面体を切り抜いて作製した額縁状のシリコーンゴム壁を置いて表示部を形成した。このシリコーンゴム壁で取り囲まれた中に、上記のようにして調製した染料インクを厚み4μmとなるように注入した。注入された染料インクの上に、エチレングリコール(親水性液体)を厚み46μmとなるように注入した。その上部からさらにITO膜付ガラス基板を、ITO膜が染料インクやエチレングリコールと向き合うようにして置き、固定化した。このようにして、図1に示す構造を有するエレクトロウェッティングテストセルを作製した。
2枚のITO膜付ガラス基板の各ITO膜(透明電極)に、信号発生器にて100V直流電圧を印加(フッ素ポリマー層(疎水性絶縁膜)が形成されている側のITO電極にマイナス電圧を印加)し、表示セル(図2中の表示セル30)を観察したところ、染料インクがフッ素ポリマー層の表面を一方向に移動し、フッ素ポリマー層上を覆う面積が縮小していることを確認した。
このときの染料インクの応答性(下記の応答時間及び面積収縮率)、及び、電圧を印加したままの状態で保持したときのバックフロー現象の程度(下記のバックフロー比率)を評価した。
a)応答時間[msec]=電圧未印加状態から電圧印加を開始し、印加時点から最も縮んだ状態に達するまでに要した時間
b)面積収縮率[%]=(最も縮んだ時の染料インクの面積)/(電圧印加前の染料インクの面積)×100 ・・・(1)
c)バックフロー比率[%]=(電圧印加状態で5秒経過した後の染料インクの面積)/(最も縮んだ時の染料インクの面積)×100 ・・・(2)
また、OD(画像濃度)は、TOPCOM社製の分光放射計SR−3を用いて、染料の極大吸収波長におけるOD値を測定し、評価した。OD値は、オイル層の厚み1μmあたりの値である。
11a,12a・・・基材
11b,12b・・・ITO膜
12・・・第2の基板
14・・・親水性液体
16・・・オイル
17A、17B・・・親水性液体とオイルとの界面
20・・・疎水性絶縁膜
22a、22b・・・シリコーンゴム壁
30・・・表示セル
100・・・エレクトロウェッティング表示装置
Claims (12)
- 少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第1の基板と、
前記第1の基板の導電性の表面に対向させて配置された第2の基板と、
前記第1の基板の導電性の表面を有する面側の少なくとも一部に配設された疎水性絶縁膜と、
前記疎水性絶縁膜と前記第2の基板との間に疎水性絶縁膜上を移動可能に設けられ、非極性溶媒及び下記一般式(1)で表される染料を含有する非導電性のオイルと、
前記疎水性絶縁膜と前記第2の基板との間に、前記オイルと接して設けられた導電性の親水性液体と、
を有する表示部を備え、
前記親水性液体と前記第1の基板の導電性の表面との間に電圧を印加し、前記オイルと前記親水性液体との界面の形状を変化させることで画像を表示するエレクトロウェッティング表示装置。
〔一般式(1)中、A1〜A4は、それぞれ独立に、窒素原子、又は、−C(R1)=を表し、Mは、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又は、2個の水素原子を表す。
−X−R及びYは、ベンゼン環に置換する一価の基を表し、Fは、ベンゼン環に置換するフッ素原子を表す。Rは、炭素数6〜30の分岐アルキル基又は炭素数6〜30のフッ化分岐アルキル基を表し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R2)−を表す。
Yは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
nは1以上の整数を表し、mは0以上の整数を表し、pは0以上の整数を表す(但し、n+m+pは1〜16の整数である)。
一般式(1)で表される染料は、一分子中にフッ素原子を有する。〕 - 前記pが、1以上の整数である請求項1に記載のエレクトロウェッティング表示装置。
- 前記mが、1以上の整数である請求項1又は請求項2に記載のエレクトロウェッティング表示装置。
- 前記Mが、金属原子又は金属酸化物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置。
- 前記Rが、炭素数6〜20の分岐アルキル基である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置。
- 前記A1〜A4が、窒素原子である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示装置。
- 非極性溶媒及び下記一般式(1)で表される染料を含有するエレクトロウェッティング表示用染料組成物。
〔一般式(1)中、A1〜A4は、それぞれ独立に、窒素原子、又は、−C(R1)=を表し、Mは、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物、又は、2個の水素原子を表す。
−X−R及びYは、ベンゼン環に置換する一価の基を表し、Fは、ベンゼン環に置換するフッ素原子を表す。Rは、炭素数6〜30の分岐アルキル基又は炭素数6〜30のフッ化分岐アルキル基を表し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R2)−を表す。
Yは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
nは1以上の整数を表し、mは0以上の整数を表し、pは0以上の整数を表す(但し、n+m+pは1〜16の整数である)。
一般式(1)で表される染料は、一分子中にフッ素原子を有する。〕 - 前記pが、1以上の整数である請求項7に記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物。
- 前記mが、1以上の整数である請求項7又は請求項8に記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物。
- 前記Mが、金属原子又は金属酸化物である請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物。
- 前記Rが、炭素数6〜20の分岐アルキル基である請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物。
- 前記A1〜A4が、窒素原子である請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング表示用染料組成物。
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