JP5808722B2 - 光学素子及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
近年では、上記光学素子として、特に、エレクトロウェッティング現象を利用した光学素子が注目されている。
また、マスクを通過する光量の変化により表示の切り替えを行う表示素子であって、第1と第2の支持体と、前記第1と第2の支持体間に形成された空間内に密閉され互いに混合することのない第1の液体及び導電性または有極性の第2の液体とを有し、該第2の液体への電圧の印加により前記第1の液体と前記第2の液体との界面形状を変化させ、マスクを通過する光量の調節を行う表示素子が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、表示装置最下層を構成する第一基材、該第一基材の上に設けられた第一電極、該第一電極の上に設けられた絶縁層、該絶縁層の上に設けられた第二電極、該第二電極を間隔を置いて取り囲むキャビティ仕切り、該キャビティ仕切りの上に設けられた最上層を構成する第二基材と、該キャビティ仕切り内に封入された着色液滴とからなる表示装置において、該着色液滴の球状復帰を促進するための第三電極を設けた表示装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
これまで、光学素子の疎水性絶縁膜としては線状のフルオロポリマーが用いられていることが記載されている(例えば特許文献1〜4)。
しかし、一般にフルオロポリマーは撥水性に優れると同時に撥油性にも優れる傾向があり、このため、疎水性絶縁膜上のオイルの濡れ広がり性が不十分となり、ひいては均一にオイルが濡れ広がらず、オイルの膜厚に差が生じることにより光学素子の駆動性が不安定となる場合があった。また、疎水性絶縁膜上に濡れ広がらない部分が生じることにより、セルの生産性を落とす懸念があった。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、疎水性絶縁膜が撥水性を確保し親水性液体をはじく特性を維持したまま、オイルが疎水性絶縁膜上に均一に濡れ広がり、安定に駆動する光学素子及び画像表示装置を提供することを課題とする。
即ち、前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<3> 前記疎水性絶縁膜は、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まない化合物とケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含有するコーティング組成物を用いて作製された<1>または<2>に記載の光学素子である。
<4> 前記疎水性絶縁膜が、フッ素原子およびケイ素原子を含むポリマー、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まないポリマーとケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光学素子である。
<5> 前記混合物において、混合質量比〔前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物/(前記フッ素原子を含みケイ素原子を含まないポリマー+前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物)〕が、10〜80質量%である<4>に記載の光学素子である。
<6> 前記疎水性絶縁膜が、前記フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物を含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光学素子である。
<7> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の光学素子を有する画素を備え、前記オイルが色材を含有する画像表示装置である。
本発明の光学素子は、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第1基板と、前記第1基板の導電性の表面に対向するように配置された第2基板と、前記第1基板の導電性の表面と前記第2基板との間に設けられた、非導電性のオイル及び導電性の親水性液体と、前記第1基板の導電性の表面側の少なくとも一部に設けられ、前記オイルと接触し、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まない化合物とケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含有する疎水性絶縁膜と、を有するセルを備え、前記親水性液体と前記第1基板の導電性の表面との間に印加された電圧に応じ、前記オイルと前記親水性液体との界面の形状が変化する。
しかしながら、従来の光学素子では、撥水性絶縁膜に用いられるフルオロポリマーは撥水性に優れると同時に撥油性にも優れる傾向があることから、この撥油性に起因して疎水性絶縁膜上のオイルの濡れ広がり性が不十分となり、ひいては均一にオイルが濡れ広がらず、オイルの膜厚に差が生じることにより光学素子の駆動性が不安定となったりする場合があることが判明した。
この点に関し本発明の光学素子では、疎水性絶縁膜が、フッ素原子に加えてケイ素原子も含む構成(詳しくは、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まない化合物とケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含有する構成)とされているため、疎水性絶縁膜の親油性が高い。即ち、フッ素原子を有する疎水性絶縁膜に更にケイ素原子を含有させることにより、疎水性絶縁膜の親油性が高くなる。このため、撥水性絶縁膜上のオイルの濡れ広がり性が良化する。
従って本発明によれば、疎水性絶縁膜が撥水性を確保し親水性液体をはじく特性を維持したまま、オイルが絶縁性撥水膜上で均一の厚さで濡れ広がり、その結果、電圧印加時のオイル界面の形状変化に起因する光学素子の駆動安定性が向上する。
また、前記駆動電圧は、直流電圧であってもよいし、交流電圧であってもよい。
例えば、本発明の光学素子は、特開2000−356792号公報などに記載の光シャッター、特開2001−013306号公報、特表2001−519539号公報、特開2008−96953号公報などに記載の可変焦点レンズ、特表2007−530997号公報に記載の光ピックアップレンズ、特開2009−86668号公報、特開平10−39800号公報、特表2005−517993号公報、特表2007−531917号公報、特開2004−252444号公報、特開2004−287008号公報などに記載のディスプレイやサイネージ、特表2005−506778号公報などに記載の3Dディスプレイ、特開2010−79297号公報などに記載の光変調装置、米国特許第2011/0083964号明細書などに記載のポンプシステムなどに好ましく適用できる。
本発明の光学素子は、エレクトロウェッティング現象によって動作するエレクトロウェッティング素子であることが好ましい。エレクトロウェッティング現象については公知であり、その詳細は、上記の各公報にされているとおりである。
図1及び図2は、本発明の光学素子の第1の実施形態を概念的に示す概略断面図である。この第1の実施形態は、本発明の光学素子を画像表示装置の画素として用いる場合に好適な実施形態である。
図1は、光学素子100の電圧オフ状態(電圧無印加状態。以下同じ。)を示しており、図2は、同じ光学素子100の電圧オン状態(電圧印加状態。以下同じ。)を示している。
図1及び図2に示すように、光学素子100は、基板11(第1基板)に設けられた疎水性絶縁膜20と基板12(第2基板)との間であって、側面22a及び側面22bによって区画された領域内に、親水性液体14及びオイル16が設けられたセル30を有する構成となっている。
ここで、側面22a及び側面22bのそれぞれは、例えば隔壁の側面として構成される。図1及び図2では、疎水性絶縁膜20、基板12、側面22a、及び側面22bによって閉じた空間が形成されているが、本発明はこの形態には限定されない。例えば、側面22a及び側面22bの一部(好ましくは基板12側の一部)が開放されていてもよい(後述の図3中の側面122a及び側面122bについても同様である)。
光学素子100では、この導電膜11bに接するようにして疎水性絶縁膜20が設けられている。この疎水性絶縁膜20は、フッ素原子およびケイ素原子を含むコーティング組成物で形成された膜を有する。
図1及び図2では、電圧オフ状態における親水性液体14とオイル16との界面を界面17A(図1)とし、電圧オン状態における親水性液体14とオイル16との界面を界面17B(図2)としている。
この実施形態では、親水性液体14への電圧(電位)の印加は、親水性液体14中に差し込まれた電極によって行われる。但し本発明はこの形態には限定されず、基板12の親水性液体14に接する側の表面が導電性を有する構成(例えば、基板12の親水性液体14に接する側に導電膜が存在する構成)となっており、この導電性の表面(例えば導電膜)に電圧(電位)を印加することにより、親水性液体14への電圧(電位)の印加を行ってもよい。
図1に示すように、電圧オフ状態では、疎水性絶縁膜20とオイル16との親和性が高いことから、疎水性絶縁膜20の全面にオイル16が接した状態となっている。
光学素子100に対し電圧が印加されると、親水性液体14とオイル16との界面が、界面17A(図1)から界面17B(図2)のように変形し、疎水性絶縁膜20とオイル16との接触面積が減少し、オイル16がセルの端に移動する。この現象は前述のとおり、電圧印加により疎水性絶縁膜20の表面に電荷が発生し、この電荷によって、親水性液体14が、疎水性絶縁膜20に接していたオイル16を押しのけて疎水性絶縁膜20に接触するために生じる現象である。
光学素子100は、図2における電圧をオフ状態とすると、再び図1の状態に戻る。
例えば、図1及び図2では、導電膜11bが基板11表面の全体に渡って設けられているが、導電膜が基板表面の一部にのみ設けられた形態であってもよい。
また、前述のとおり、基板11に導電膜11bが存在することに加え、基板12の親水性液体14に接する側にも導電膜が存在していてもよい。
光学素子100を画像表示装置の一画素とする場合、基板表面を隔壁によって例えば格子状に区画し、区画された一領域を一画素とすることができる。このとき、導電膜11bは、一画素ごとに独立してパターニングされた膜であってもよいし(例えば、アクティブマトリクス型の画像表示装置の場合など)、複数画素にまたがるストライプ状にパターニングされた膜であってもよい(例えば、パッシブマトリクス型の画像表示装置の場合など)。
また、光学素子100を画像表示装置の一画素とする場合、側面22a及び22bの基板12側の一部が開放され、疎水性絶縁膜20と基板12(第2基板)との間の空間が、複数画素に渡って連通されていてもよい。
また、導電膜11bとして、反射板としての機能を兼ね備えた膜(例えば、Al膜、Al合金膜などの金属膜)を用いたり、基板11aとして、反射板としての機能を兼ね備えた基板(例えば、Al基板、Al合金基板などの金属基板)を用いたりすることで、反射型の画像表示装置の画素とすることもできる。
図3は、本発明の光学素子の第2の実施形態を概念的に示す概略断面図である。
この第2の実施形態は、本発明の光学素子を可変焦点レンズとして用いる場合に好適な実施形態である。
図3に示すように、光学素子200は、上記光学素子100と同様に、基板111(第1基板)に設けられた疎水性絶縁膜120と基板112(第2基板)との間であって、側面122a及び側面122bによって区画された領域内に、親水性液体114及びオイル116が設けられたセル130を有する構成となっている。図3では図示を省略しているが、光学素子200には、光学素子100と同様に、電源及びスイッチが接続されている。
即ち、疎水性絶縁膜120の表面は、中央部(好ましくは円形状の領域)を除いた外周部120aに親水性処理が施されている。これにより、オイル116が疎水性絶縁膜120の表面の前記中央部(好ましくは円形状の領域)のみに接触することで、電圧オフ状態において、オイル116と親水性液体114との界面117Aが曲面状となっている。
更に、基板111(第1の基板)は、基板111aと該基板111aの表面の中央部(好ましくは円形状の領域)が露出するようにパターニングされた導電膜111bとから構成されている。ここで、導電膜111bは、基板111aの表面に対して垂直な方向からみたときに、電圧オフ状態におけるオイル116と疎水性絶縁膜120との接触領域内にパターンエッジが位置するようにパターニングされている。
光学素子200において、基板111、疎水性絶縁膜120、オイル116、親水性液体114、及び基板112は、光透過性を有している。
これにより、オイル116がレンズとして機能する。
図3に示すように、電圧オフ状態においてオイル116と親水性液体114との界面は既に所定の曲率を有しているが(界面117A)、電圧オン状態となると、界面の曲率が更に大きくなる(界面117B)。この理由は、第1の実施形態と同様に、電圧が印加されると、疎水性絶縁膜120表面(オイル116との接触面)に電荷が発生するためである。
このようにして、電圧印加により、オイル116と親水性液体114との界面の曲率を変化させることができ、オイル116からなるレンズの焦点距離を変化させることができる。
光学素子を可変焦点レンズとして用いる場合の具体的な構成については、例えば、特許第4154858号公報、特開2001−013306号公報、特表2001−519539号公報、特開2008−96953号公報等に記載の公知の構成を参照することができる。
本発明における疎水性絶縁膜は、第1基板の導電性の表面側の少なくとも一部に設けられる膜であり、オイルと接触する膜である。
本発明における「疎水性」には特に限定はないが、例えば水接触角が60°以上(好ましくは70°以上、より好ましくは80°以上)である性質を指す。
前記水接触角は、具体的にはJIS R3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」内の「6.静滴法」に記載された方法が適用される。
より具体的には、接触角測定器(協和界面科学(株)製の接触角計CA−A)を用い、20メモリの大きさの水滴をつくり、針先から水滴を出して、疎水性絶縁膜に接触させて水滴を形成し、10秒静置後、接触角計の覗き穴から水滴の形状を観察し、25℃における接触角θを求める。
これにより、疎水性絶縁膜が、フッ素原子のみ含有する場合、またはケイ素原子のみ含有する場合と比較して、オイルが疎水性撥水膜上に均一に広がることにより、オイルが安定に駆動するようになる。
ここで、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、フッ素原子を含む化合物、ケイ素原子を含む化合物は、それぞれ、高分子化合物であっても低分子化合物であってもよい。即ち、これらの化合物の分子量には特に制限はない。
このうち、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含む化合物は、ポリマーであることが好ましい。
また、ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物(ポリマー、モノマー)を、単に、ケイ素原子を含む化合物(ポリマー、モノマー)ともいう。
また、フッ素原子を含むポリマーとケイ素原子を含む化合物との混合物は、フッ素原子を含むモノマーの少なくとも1種を(必要に応じ他のモノマーとともに)重合させたポリマーと、ケイ素原子を含む化合物と、をブレンドすることによって好適に形成される。
本発明における疎水性絶縁膜は、フッ素原子およびケイ素原子を含むポリマーを少なくとも1種含むことが好ましい。
前記フッ素原子およびケイ素原子を含むポリマーは、例えば、フッ素原子を含むモノマーおよびケイ素原子を含むモノマーを(必要に応じ他のモノマーとともに)重合させることにより合成される。
前記ポリマー中における、フッ素原子を含むモノマーに由来する構成成分の含有量は、ポリマー全量に対し、10質量%〜97質量%が好ましく、15質量%〜95質量%がより好ましい。
前記ポリマー中における、ケイ素原子を含むモノマーに由来する構成成分の含有量は、ポリマー全量に対し、3質量%〜80質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
前記ポリマーの数平均分子量は、103〜106が好ましく、5×103〜5×105がより好ましく、104〜105が特に好ましい。
以下、前記フッ素原子を含むモノマーについて説明する。
前記フッ素を含むモノマーとしては、下記一般式M1または一般式M2で表されるモノマー(以下、それぞれ、モノマーM1)が挙げられる。
これらそれぞれの一般式で表されるモノマーは、それぞれ1種類で構成されていても、複数の単量体によって構成されていてもよい。
この含フッ素アルキル基は、直鎖の基{例えば−CF2CF3、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等}であっても、分岐構造を有する基{例えば−CH(CF3)2、−CH2CF(CF3)2、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF2)5CF2H等}であってもよく、また脂環式構造を有する基(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有する基(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH2C4F8H、−CH2CH2OCH2CH2C8F17、−CH2CHF2OCF2CF2OCF2CF2H等)であってもよい。
Rf 1は、ペルフルオロアルキル基であってもよい。
q5は0〜5の整数を表し、より好ましくは0〜3の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
r1は0又は1を表す。
Rf 3の基はペルフルオロ基であってもよい。
R13は、水素原子、または、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し(例えばCH3、CH2CH3、CH2CF3等)、好ましくは、水素原子、または、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。
R13とRf 4は互いに結合して環構造(好ましくは5員又は6員環、例えばペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロテトラヒドロフリル基等)を形成していてもよい。
q6は0〜4の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
重合反応性の観点からはペルフルオロメチル基又はペルフルオロエチル基が好ましく、入手性の観点からペルフルオロメチル基であること(即ち、モノマーM2がヘキサフルオロプロピレンであること)が特に好ましい。
ケイ素原子を含むモノマーとしては、下記一般式(6)で表される構造(ポリシロキサン構造)を含むモノマーが好ましい。
更に、下記一般式(6)で表される構造を含む構成成分(以下、「構成成分Z」ともいう)を形成し得るモノマーがより好ましい。
ここで、構成成分Z中に含まれる、一般式(6)で表される構造の含有量は、0質量%超90質量%以下が好ましい。
即ち、下記一般式(6)で表される構造を含むモノマー中における、一般式(6)で表されるポリシロキサン構造の含有量は、0質量%超90質量%以下が好ましい。
一般式(6)中、p1は10〜1000の整数を表す。
即ち、前記ケイ素原子を含むモノマーとしては、下記一般式(7)で表される構成成分を形成し得るモノマーが好ましい。
q1、q2はそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。
q3、q4はそれぞれ独立して0〜10の整数を表す。
p2は10〜1000の整数を表す。
この構成成分を形成するためのケイ素原子含有モノマーは、一般式(6)で表される構造に加えて重合性基を有していることが好ましい。
本発明における疎水性絶縁膜は、フッ素原子を含むポリマーとケイ素原子を含む化合物との混合物を少なくとも1種含むことも好ましい。
ここで、前述したとおり、「フッ素原子を含むポリマー」は、フッ素原子を含みケイ素原子を含まないポリマーであり、「ケイ素原子を含む化合物」は、ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物である。
前記フッ素原子を含むポリマーは、例えば、フッ素原子を含むモノマーを(必要に応じ他のモノマーとともに)重合させることにより合成される。
フッ素原子を含むポリマーの合成に用いられるフッ素原子を含むモノマーとしては、前述したフッ素原子およびケイ素原子を含むポリマーの合成に用いられるフッ素原子を含むモノマーと同様のモノマーを用いることができ、好ましい範囲も同様である。
前記フッ素原子を含むポリマー中における、フッ素原子を含むモノマーに由来する構成成分の含有量は、ポリマー全量に対し、50質量%〜100質量%が好ましく、60質量%〜100質量%がより好ましい。
前記ポリマーの数平均分子量は、103〜106が好ましく、5×103〜5×105がより好ましく、104〜105が特に好ましい。
ケイ素原子を含む化合物としては、前記一般式(6)で表される構造を含むことが好ましい。
ケイ素原子を含む化合物の数平均分子量は、103〜106であることが好ましく、より好ましくは5×103〜5×105であり、特に好ましくは104〜105である。
また、上記ケイ素原子を含有する化合物を効果的にアンカリングするために、上記ケイ素原子を含有する化合物は、反応性有機官能基を含むことが好ましい。
上記ケイ素原子を含有する化合物として、より好ましくは、反応性有機官能基を有するシロキサン化合物であり、更に好ましくは、下記一般式(A)で表される化合物である。
不飽和二重結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する基、アリル基を有する基等が挙げられる。
ここで、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
前記不飽和二重結合を有する基として、より好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基または(メタ)アクリロイルアミノアルキル基である。
但し、R1、R3、及びR4の少なくとも1つは、反応性有機官能基である。
yは10≦y≦500を満たす整数を表し、好ましくは50≦y≦400を満たす整数であり、特に好ましくは100≦y≦300を満たす整数である。
zは0≦z≦500を満たす整数を表し、好ましくは0≦z≦yを満たす整数であり、特に好ましくは0≦z≦0.5yを満たす整数である。
上述した、フッ素原子を含むポリマーとケイ素原子を含む化合物との混合物において、混合質量比〔ケイ素原子を含む化合物/(フッ素原子を含むポリマー+ケイ素原子を含む化合物)〕には特に制限はないが、1〜90質量%が好ましく、1〜85質量%がより好ましく、2〜80質量%が特に好ましい。
本発明における疎水性絶縁膜は、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まない化合物とケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含有するコーティング組成物を用いて好適に作製される。
これらは、前記コーティング組成部に含まれる素材の、架橋反応性部位の硬化反応性に応じて選択される。
これらの化合物を使用する場合には、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が可能になる。
具体的には、RSO3 −(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6 −、SbF6 −、PF6 −、BF4 −等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。
光の作用で塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールの1種または2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロールメラミン(例えばヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン等)、あるいはこれらの縮合物などが挙げられる。
この際ポリマーの濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1〜20質量%程度である。
好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
本発明における疎水性絶縁膜は、第1基板の導電性の表面側(例えば、第1基板が導電膜を有する場合には少なくとも導電膜上)に前記フッ素原子を含むポリマー、およびケイ素原子を含むコーティング組成物を用いて疎水性絶縁層を形成する絶縁膜形成工程と、を有する方法により好適に作製できる。
塗布法の場合、第1基板上に前記コーティング組成物を塗布して(更に、好ましくは乾燥させて)疎水性絶縁膜を形成する。前記塗布の方法には特に制限はなく、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の方法を用いることができる。
転写法の場合、予め、前記コーティング組成物を用いて形成された絶縁性層を有する転写材料を準備しておき、該転写材料の絶縁性層を第1基板上に転写することにより、第1基板上に絶縁性層を形成する。転写法の詳細については、例えば、特開2008−202006号公報の段落0094〜0121や、特開2008−139378号公報の段落0076〜0090を参照することができる。
前記露光に用いられる活性エネルギー線としては特に限定はなく、紫外線(g線、h線、i線等)、電子線、X線が好ましく用いられる。前記露光は、プロキシミティ方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式等の公知の露光装置を用いて行ってもよい。
前記露光における露光量は適宜設定できるが、例えば、10mJ/cm2〜2000mJ/cm2とすることができ、50mJ/cm2〜1000mJ/cm2が好ましい。
加熱温度は適宜設定できるが、例えば、100℃〜280℃とすることができ、150℃〜250℃が好ましい。加熱時間も適宜設定できるが、例えば、2分〜120分とすることができ、5分〜60分が好ましい。
本発明における第1基板は、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性を有する基板である。
本発明における第2基板は、前記第1基板の導電性の表面に対向するように配置される基板である。
前記第1基板は、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性を有していれば特に限定はない。この導電性の表面が、光学素子における電極として機能する。
ここで「導電性」としては電圧を印加できる程度の性質であれば特に制限はないが、例えば、表面抵抗500Ω/□以下(好ましくは70Ω/□以下、より好ましくは60Ω/以下、更に好ましくは50Ω/□以下)の性質が好適である。
前記第1基板は、単一構成の導電性基板(金属基板等)であってもよいし、支持基板と支持基板上に設けられた導電膜(パターニングされた導電膜であってもパターニングされていない導電膜であってもよい)とを有する構成の基板であってもよい。
中でも、本発明における光学素子を画像表示装置や可変焦点レンズに用いる観点からは、第1基板の構成は、支持基板と支持基板上に設けられた導電膜とを有する構成であることが好ましい。この形態では、第1基板における導電性の表面は、導電膜の表面に相当する。
また、前記支持基板としては、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられたTFT基板を用いることもできる。この場合には、前記導電膜がTFTに接続された形態(即ち、前記導電膜が、TFTに接続された画素電極である形態)が好適である。これにより、画素ごとに独立して電圧を印加できるようになり、TFTを備えた公知の液晶表示装置と同様に、画像表示装置全体のアクティブ駆動が可能となる。
前記TFT基板における、TFT、各種配線、積蓄容量等の配置については、公知の配置とすることができ、例えば、特開2009−86668号公報に記載された配置を参照することができる。
前記透明導電膜は、380nm〜770nmの波長領域全域に渡り透過率が80%以上(より好ましくは90%以上)であることが好ましい。
前記透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(ITO(Indium Tin Oxide)とも呼ばれている)、酸化インジウム亜鉛(IZO(Indium Zinc Oxide)とも呼ばれている)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、及び酸化マグネシウムの少なくとも1種を含む膜が挙げられる。
中でも、前記透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(ITO)を含む膜であることが、光透過性及び導電性の観点から好ましい。
酸化インジウムスズ(ITO)を含む膜における酸化スズの添加量は、5〜15質量%の範囲が、抵抗値を小さくするためには好ましく、8〜12質量%がさらに好ましい。
前記第2基板としては特に限定はなく、例えば、上記支持基板として例示した基板を用いることができる。
また、前記第2基板としては、前記第1基板と同様に、少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性を有する基板を用いることもでき、この場合の第2基板の好ましい形態は前記第1基板の好ましい形態と同様である。
本発明の光学素子を画像表示装置の画素として用いる場合の特に好ましい形態として、第2基板の導電膜に複数画素に渡る共通の電位を付与する一方、第1基板の導電膜表面には画素ごとに独立した電位を付与することで、各画素に独立した電圧を印加する形態である。この形態については、公知の液晶表示装置の形態を参照することができる。
本発明におけるオイルは、非導電性のオイルである。
前記オイルは、単一成分のオイルであってもよいし、二種以上の成分を含むオイル(オイル組成物)であってもよい。
また、「非導電性」については特に限定はないが、例えば比抵抗106Ω・cm以上(好ましくは107Ω・cm以上)の性質を指す。
具体的には、前記オイルの比誘電率は10.0以下の範囲が好ましく、2.0〜10.0の範囲であることがより好ましい。この範囲内であると、比誘電率が10.0を超える場合と比較して、応答速度が速くより低い電圧で駆動(動作)させ得る点で好ましい。
ここで、比誘電率は、オイルをセルギャップ10μmのITO透明電極付きガラスセルに注入し、得られたセルの電気容量を、エヌエフ株式会社製の型式2353LCRメーター(測定周波数:1kHz)を用いて20℃、40%RHにて測定される値である。
なお、前記動的粘度は、粘度計(500型、東機産業(株)製)を用いて20℃に調整して測定される値である。
具体的には、オイルの親水性液体に対する溶解度(25℃)は、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.001質量%以下が特に好ましい。
前記非極性溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒(好ましくは、炭素数6〜30の脂肪族炭化水素系溶媒);前記脂肪族炭化水素系溶媒がフッ素で置換された溶媒(例えばフルオロカーボンオイル等);シリコーン系溶媒(例えばシリコーンオイル等);等が挙げられる。中でも、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましい。
前記非極性溶媒の含有量は、オイルに含まれる溶媒の全量に対して、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。非極性溶媒の含有量が70質量%以上であることで、より優れた光シャッター特性を発現させることができる。また、オイルが色材を含有する場合には、オイルへの色材の溶解性がより良好に保たれる。
例えば、本発明の光学素子を画像表示装置の画素として用いる場合には、前記オイルは色材の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記色材としては特に制限はなく、前記非極性溶媒に対して溶解性、分散性を有する色素の中から、本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択することができる。
前記色材としては、前記非極性溶媒に対し溶解性を示す染料又は顔料が好ましく、染料がより好ましい。
前記色素としては、例えば、メチン系色素(例えば、ピラゾロンメチン系色素、ピリドンメチン系色素、イソオキサゾロンメチン系色素、イソオキサゾリンメチン系色素、等)、アゾメチン系色素(例えば、ピラゾロン系アゾメチン色素、ピリドン系アゾメチン色素、イソオキサゾロン系アゾメチン色素、ピロロトリアゾール系アゾメチン色素、ピラゾロントリアゾール系アゾメチン色素、ナフトール系アゾメチン色素、等)、アゾ系色素(例えば、モノアゾ系色素、ビスアゾ系色素、ベンゾチアゾリルモノアゾ系色素、ピラゾールアゾ系色素、アニリノアゾ系色素、ピラゾロトリアゾールアゾ系色素、ピリドンアゾ系色素)、ジピロメテン系色素、アントラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アンスラピリドン系色素、ベンジリデン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、フェノチアジン系色素、キサンテン系色素、フタロシアニン系色素、ベンゾピラン系色素、インジゴ系色素、等の各種の色素を挙げることができる。
前記色素として、より具体的には、Oil Blue N(アルキルアミン置換アントラキノン)、Solvent Green、Sudan Red、Sudan Blackなどが挙げられる。
また、前記色材としては、国際公開第2011/111710号パンフレット、国際公開第2008/142086号パンフレット、特開2009−138189号公報に記載の色材も好ましく用いることができる。
例えば、前記アゾメチン系色素の合成は、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.),1957年、79巻、583頁、特開平9−100417号公報、特開2011−116898号公報、特開2011−12231号公報、特開2010−260941号公報、特開2007−262165号公報などに記載の方法に準じて行なうことができる。
また、ピラゾロンメチン系色素の合成は、例えば、特開2008−248123号公報、特開平2−3450号公報、特開昭49―114420号公報、特許第2707371号、特開平5−45789号、特開2009−263517号、特開平3−72340号などに記載の方法に準じて行なうことができる。
また、イソオキサゾロンメチン系色素の合成は、例えば、特許第2707371号、特開平5−45789号、特開2009−263517号、および特開平3−72340号、など記載の方法に準じて行なうことができる。
また、モノアゾ系色素、ビスアゾ系色素、及びアントラキノン色素の合成は、例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日技報堂発行)、A.V.Ivashchenko著、Dichroic Dyes for Liquid Crystal Displays、CRC Press、1994年、Bulletin of
the Chemical Society of Japan, 第76巻、第607−612頁、2003年、Bulletin of the Chemical Society of Japan, 第72巻、第127−132頁、1999年、など記載の方法に準じて行なうことができる。
また、ジピロメテン系色素の合成は、例えば、特開2008−292970号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
また、アゾ系色素の合成は、特許第4408380号、特許第4642403号、特許第4357383号、特許第4359541号、特開2006−91190号、特開2007−31616号、特開2007−39478号、特許第4597806号、特開2002−371079号、及び特許第4666873号の各公報などに示す公知の方法で製造することができる。
オイルが色材を含有する場合、色材の含有量は特に制限されるものではなく、その目的に応じて任意の濃度で調製することができる。
前記色材の含有量は、オイル全質量に対して、例えば0.2質量%以上とすることができ、必要とされるεC値(εはオイルの吸光係数)に応じて溶媒(例えば非極性溶媒)により希釈して用いられる。
色相や色濃度の観点から、前記色材の含有量は、オイル全質量に対して、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
本発明における親水性液体は、導電性の親水性液体である。
ここで「導電性」については特に限定はないが、例えば比抵抗105Ω・cm以下(好ましくは104Ω・cm以下)の性質を指す。
前記電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、テトラブチルアンモニウムクロリド等の塩が挙げられる。
親水性液体中における電解質の濃度は、0.1〜10mol/Lが好ましく、0.1〜5mol/Lがより好ましい。
本発明の光学素子は、第1基板上に、セルの領域を確定する隔壁を有することが好ましい。この隔壁は、既述のとおり、第2基板に接していてもよいし、第2基板に接していなくてもよい。
前記隔壁は樹脂を含むことが好ましく、例えば、液晶表示装置等の画像表示装置に用いられる公知の隔壁と同様の構成とすることができる。
前記隔壁は、例えば、感光性レジストや感光性フィルムを用いた公知のフォトリソグラフィー法によって形成することができる。
また、本発明におけるセルのセル面積は、100μm2〜100cm2の範囲が好ましく、より好ましくは500μm2〜10cm2の範囲であり、特に好ましくは1000μm2〜1cm2の範囲である。
また、本発明におけるセル内は、オイルと親水性液体とで満たされていることが好ましい。オイルと親水性液体との体積比率(オイル:親水性液体)は、好ましくは1:1000〜1:0.1、より好ましくは1:100〜1:1、特に好ましくは1:50〜1:2である。
本発明の画像表示装置は、既述の本発明の光学素子を有する画素を備え、前記オイルが色材を含有する。
本発明の画像表示装置は、既述の本発明の光学素子を有する画素を備えているので、電圧オン及び電圧オフを繰り返したときの疎水性絶縁膜の劣化が抑制され、繰り返し駆動時の耐久性に優れる。
より具体的には、本発明の画像表示装置は、公知の液晶表示装置の構成における液晶を、オイル及び親水性液体に置き換えた構成とすることができる。これにより、従来の液晶表示装置と同様に駆動させることができる。
即ち、本発明の画像表示装置は、本発明の光学素子を有する画素に加え、必要に応じ、バックライト、セルギャップ調整用のスペーサー、封止用のシール材等、公知の液晶表示装置と同様の部材を備えて構成することができる。
本発明の画像表示装置は、例えば、前記第1基板を準備する第1基板準備工程と、前記第1基板の導電性表面側に前記疎水性絶縁膜を形成する工程と、前記第1基板の前記疎水性絶縁膜形成面上を区画する隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁により区画された領域に、(例えばインクジェット法により)前記オイル及び前記親水性液体をこの順に付与する付与工程と、前記付与工程後の前記第1基板のオイル及び親水性液体が付与された側に前記第2基板を重ねてセルを形成するセル形成工程と、(更に必要に応じ、第1基板と第2基板とを前記セルの周囲で接着することにより、前記セルを封止する封止工程と、)を有する方法が挙げられる。
第1基板と第2基板との接着は、液晶表示装置の作製に通常用いられるシール材を用いて行うことができる。
また、隔壁形成工程の後であってセル形成工程の前に、セルギャップ調整用のスペーサーを形成するスペーサー形成工程が設けられていてもよい。
<フッ素原子およびケイ素原子を含有するポリマーの合成>
フッ素原子およびケイ素原子を含有するポリマーである、表1に示すポリマーP−1〜P−28を合成した。
同様に、比較ポリマーとして、フッ素原子を含有しケイ素原子を含有しないポリマーである、表1に示すポリマーPr−1およびPr−2を合成した。
ポリマーP−1〜P−28、Pr−1およびPr−2は、特開2007−51203号の段落0185〜0187に記載の合成方法に従い、表1に示す各成分を共重合させることにより合成した。
・表1に示す各成分の数値は質量比である。
・表1は重合単位の組み合わせとして表記する。
・フッ素含有モノマー成分の量およびその他の成分の量は、ケイ素含有モノマーを含む構成単位を除いた成分の中の質量分率(質量%)を示す。
・また、ケイ素含有モノマーについては、ケイ素含有モノマーを含む構成単位を含めた質量分率(質量%)を示す。
・「HFP」はヘキサフルオロプロピレンであり、「HEVE」は2−ヒドロキシエチルビニルエーテルであり、「EVE」はエチルビニルエーテルである。
・フッ素含有モノマー成分欄の「M1−(1)」等や、ケイ素含有モノマー構成単位欄の「S−(1)」等は、前述した具体例である。
<硬化性組成物A1〜A28の調製>
上記で合成されたポリマーP−1〜P−28のそれぞれをメチルエチルケトンに溶解させて固形分6%溶液を調製した後、さらに「サイメル303」(商品名、三井サイテック(株)製のメチロールメラミン)をポリマー固形分に対して20%、およびp−トルエンスルホン酸(和光純薬(株)製)をポリマー固形分に対して0.5%となるように加えた。得られた溶液を0.1μmのテトラフロロエチレン製フィルターでろ過し、硬化性組成物A1〜A28をそれぞれ調製した。
組成物とポリマーとの対応は下記表2に示すとおりである。
下記組成中の成分を混合し、オイルを得た。
得られたオイルは黒色であり、その動的粘度(20℃)を粘度計で測定したところ、7.9mPa・sであった。
以下、オイルを「黒インク」とも称することがある。
下記色素Y1 … 260mg
下記色素M1 … 200mg
下記色素M2 … 160mg
下記色素C1 … 300mg
下記色素C2 … 100mg
n−デカン … 4080mg
以下のようにして、図4に示す構造の光学素子(テストセル300)を作製した。
図4は、本実施例に用いたテストセルの概略断面図である。
まず、第1基板211として、膜厚100nmの酸化インジウムスズ膜(ITO膜;透明電極)211bが形成されたガラス基板(1cm角)211aを準備した。
このガラス基板211aのITO膜211b上に、上記で得られた硬化性組成物A1〜A28のいずれか1つを塗布して塗布層を形成し、引き続き、VCD(真空乾燥装置、東京応化工業社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベーク処理して硬化性組成物層を得た。得られた硬化性組成物層に対し、窒素雰囲気下、超高圧水銀灯を用いて露光量300mJ/cm2で露光することで、硬化性組成物層に含まれる多官能性化合物を重合させて硬化性組成物層を硬化させた。更に、露光後の硬化性組成物層に対し、240℃で50分間加熱処理を施した。
以上により、ITO膜211b上に、多官能性化合物に由来する架橋構造を有する疎水性絶縁膜220(架橋膜;膜厚100nm)を形成した。
形成された疎水性絶縁膜220上に、厚み20μmのフォトレジストフィルム(日立化成社製、商品名フォトキャスト)を重ねた後、格子状パターンを有するフォトマスク(格子の大きさ200μm角、格子の線幅20μm)を介して上記フォトレジストフィルムを露光し、アルカリ現像処理を行うことで隔壁(高さ20μm、幅20μm)223を作製した。
隔壁形成後のガラス基板の縁に、シール材232として、厚み40μm、幅1mmのシリコンゴム(扶桑ゴム社製、商品名シリウス)を置いた。
次に、隔壁に223よって区画された領域に、オイル216として、上記で得られたオイル(黒インク)を、厚み4μmとなるようにインクジェット法により注入し、その上に、親水性液体214としての電解液(NaClの濃度が1mol/LのNaCl水溶液)を厚み36μmとなるよう注入した。
その上に、ITO膜212bが設けられたガラス基板212a(第2基板212)を、ITO膜212bが親水性液体214(電解液)側となるように置き、疎水性絶縁膜220が設けられた第1基板211と第2基板212とを、シリコンゴム(シール材232)によって固定した。
以上のようにして、図4に示すテストセル300を作製した。
電圧を印加しない状態(電圧オフ状態)の、疎水性絶縁膜220上における黒インク(オイル216)の広がり方を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
評価結果を下記表2に示す。
A : 隔壁内全体に均一に黒インクが広がっていた(例えば図4の状態)。
B : 隔壁内の半分程度に黒インクが広がっていた。
C : 隔壁内に局所的に黒インクが集まっていた。
得られたテストセル300の上下の透明電極(ITO膜212b及びITO膜211b)をそれぞれ信号発生器に接続して、直流電圧15Vを印加(電圧オン状態)、黒インク(オイル216)が縮んで透明な状態となることが確認された(不図示)。
次に、直流電圧の印加を止めると(電圧オフ状態とすると)、再び黒インク(オイル216)が疎水性絶縁膜220上に広がり、黒色の状態となった。
そして、このサイクルを500回繰返し行った後に、電圧オン状態として黒インク(オイル216)を縮ませ、この状態を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
評価結果を下記表2に示す。
A : 電圧印加により、黒インクの収縮が見られ、上記サイクルを繰り返した後も、繰り返し前と比較し、収縮挙動に変化は見られなかった。
B : 電圧印加により、黒インクの収縮は見られたものの、上記サイクルを繰り返した後は、繰り返し前と比較し、収縮スピードがやや遅くなった。
C : 上記サイクルを500回繰返し行った後は黒インクがほとんど縮まず、上記サイクルを500回繰返したことにより、電圧印加に対する応答性が大幅に劣化した
実施例1の硬化性組成物A1の調製において、ポリマーP−1を、ポリマーPr−1またはPr−2に変更したこと以外は同様にして、比較組成物Pr−1およびPr−2をそれぞれ調製した。
更に、実施例1において、硬化性組成物A1を比較組成物Pr−1またはPr−2に変更したこと以外は実施例1と同様にしてテストセルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を下記表2に示す。
実施例1のテストセルの作製において、硬化性組成物A1を用いて作製された疎水性絶縁膜を、デュポン社製のテフロン(登録商標)AF−1600を用いて作製された疎水性絶縁膜に変更したこと以外は実施例1と同様にしてテストセルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、AF−1600は、架橋構造を有しないアモルファスフルオロポリマーである。
評価結果を下記表2に示す。
実施例1のテストセルの作製において、硬化性組成物A1を用いて作製された疎水性絶縁膜220を、旭硝子(株)製のサイトップ「CTL−809M」を用いて作製された疎水性絶縁膜に変更したこと以外は実施例1と同様にしてテストセルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、サイトップは、架橋構造を有しないアモルファスフルオロポリマーである。評価結果を下記表2に示す。
実施例1において、疎水性絶縁膜を形成する硬化性組成物A1中のポリマーP−1を、下記表3に示す成分に変更したこと以外は実施例1と同様にしてテストセルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を下記表3に示す。
・表3に示す各成分の数値は質量比である。
・P−2、P−14、およびPr−1は、前述のポリマーである。
・S−1は、「KF−100T」(信越化学工業(株)製)である。
・S−2は、「TEGO Rad2010」(エボニックデグサジャパン(株)製)である。
12、112、212 … 第2基板
14、114、214 … 親水性液体
16、116、216 … オイル
17A、17B、117A、117B … 親水性液体とオイルとの界面
20、120、220 … 疎水性絶縁膜
22a、22b、122a、122b … 側面
30、130 … セル
100、200 … 光学素子
223 … 隔壁
232 … シール材
300 … テストセル
Claims (7)
- 少なくとも一方の表面の少なくとも一部が導電性である第1基板と、
前記第1基板の導電性の表面に対向するように配置された第2基板と、
前記第1基板の導電性の表面と前記第2基板との間に設けられた、非導電性のオイル及び導電性の親水性液体と、
前記第1基板の導電性の表面側の少なくとも一部に設けられ、前記オイルと接触し、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まない化合物とケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含有する疎水性絶縁膜と、
を有するセルを備え、
前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物が、下記一般式(A)で表される化合物であり、
前記親水性液体と前記第1基板の導電性の表面との間に印加された電圧に応じ、前記オイルと前記親水性液体との界面の形状が変化する光学素子。
〔一般式(A)中、R 1 〜R 4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の有機基を表す。但し、R 1 、R 3 、及びR 4 のうち少なくとも1つは、反応性有機官能基である。R 1 〜R 4 が複数存在する場合には、複数存在するR 1 〜R 4 は同一であっても異なっていてもよい。xは1≦x≦4を満たす整数を表し、yは10≦y≦500を満たす整数を表し、zは0≦z≦500を満たす整数を表す。一般式(A)中、y個の−OSi(R 2 ) 2 −とz個の−OSi(R 3 ) 2 −とからなる部位は、ランダム共重合により形成された部位であってもブロック共重合により形成された部位であってもよい。〕 - 前記電圧に応じ、前記オイルと前記疎水性絶縁膜との接触面積が変化する請求項1に記載の光学素子。
- 前記疎水性絶縁膜は、フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まない化合物と前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含有するコーティング組成物を用いて作製された請求項1または請求項2に記載の光学素子。
- 前記疎水性絶縁膜が、フッ素原子およびケイ素原子を含むポリマー、並びに、フッ素原子を含みケイ素原子を含まないポリマーと前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物との混合物の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記混合物において、混合質量比〔前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物/(前記フッ素原子を含みケイ素原子を含まないポリマー+前記ケイ素原子を含みフッ素原子を含まない化合物)〕が、10〜80質量%である請求項4に記載の光学素子。
- 前記疎水性絶縁膜が、前記フッ素原子およびケイ素原子を含む化合物を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光学素子。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光学素子を有する画素を備え、前記オイルが色材を含有する画像表示装置。
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