JP2014066005A - 斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】予めロープ2の一端側AをTB(ターンバックル)4の一端側A’のボルト4bに本連結し、他端側BをTB4の他端側B’に仮連結構造16で仮連結する。TB4が斜面上下方向の2つのアンカー間に位置しかつロープの他端側Bが斜面上向きの状態でロープを三角形配置の3本のアンカー間に引回し仮環状連結状態とする。仮連結構造16の仮連結を解除し、ロープの他端側Bの端部を斜面下方に延出させ、その下方延出部を人力で斜面下方Xに引張り引き絞ってロープ緩みを除く。次にロープ2の他端側BをTB4の他端側に本連結する。体重を利用してロープ2を引き絞ることができ急斜面での人力によるロープ緩み除去作業が可能。
【選択図】図7
Description
しかし、斜面安定化工法では、直径5〜15mm程度で長さが5〜15mのワイヤロープを引き絞って長さを縮め、緩みをとることが求められ、大きな力が必要で人力作業で行うのは容易ではなく、また、施工場所が急な斜面であることから、さらに労力がかかる作業であった。
このように、ターンバックルでワイヤロープに大きな緊張力を付与する前に行う、ワイヤロープを引き絞って長さを調整する作業を、人力により急な斜面で容易に作業できる、斜面安定化工法のワイヤロープの張設方法が求められていた。
自然斜面に多数のアンカーを、間隔をあけて隣接する3本のアンカーが三角形の頂点に位置するような三角形配置で設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧板を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、次いで三角形配置の各3本のアンカー間を、両端に連結ボルトを備えるターンバックルで連結されて環状をなす1本のワイヤロープで連結する斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法であって、
前記ワイヤロープの一端側を、当該ワイヤロープの斜面への配置前にあらかじめ前記ターンバックルの本体部に螺合しているか又は螺合していないターンバックルの一端側の連結ボルトの連結部に本連結しておき、
前記ワイヤロープを、斜面上下方向をなす2つのアンカー間に前記ターンバックルが位置し、ワイヤロープの斜面上向きにした他端側が、両側の連結ボルトを螺合させた前記ターンバックルの斜面下向きになっている他端側の連結ボルトの連結部を通って斜面下向きに延びて、ワイヤロープが前記ターンバックルを介して環状をなす仮環状連結状態とし、
次いで、ワイヤロープの斜面下向きに延びている前記他端側を斜面下向きに引っ張り引き絞って前記環状をなしているワイヤロープの緩みを除き、
次いで、前記ワイヤロープの他端側を前記ターンバックルの他端側の連結ボルトの連結部に本連結し、
次いで、ターンバックルを回転させてワイヤロープに緊張力を付与することを特徴とする。
ここで斜面上下方向とは、斜面上のある位置において水平方向より上側又は下側に向いている方向をいう。
このように、仮環状連結状態ではワイヤロープの他端部はターンバックルの他端側の連結ボルトの連結部を通って斜面下向きに延びた状態となっている。
そして、ワイヤロープの斜面下向きに延びた状態の他端部を斜面下向きに引っ張ると、ワイヤロープが引き絞られてワイヤロープの緩みが除かれる。このようにワイヤロープを引き絞って緩みを除く作業は、ワイヤロープを斜面下側に引っ張る作業で行なうことができる。
斜面安定化工法を施工する斜面は一般に急斜面であるが、ワイヤロープを斜面下側に引っ張る牽引作業には、作業者の腕の力による牽引力に加えて、急斜面であることによる作業者の体重が牽引力として作用するので、大きな牽引力でワイヤロープを引っ張り引き絞ることができる。
このように重機を利用できない急斜面でも、ワイヤロープを人力で引き絞って緩みを除くことができる。
本発明のワイヤロープ張設方法を適用する斜面安定化工法は、図1、図2に示すように、自然斜面に多数のアンカー1を、間隔をあけて隣接する3本のアンカー1が三角形の頂点に位置するような三角形配置で設置するとともに、各アンカー1の頭部に支圧板3を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、次いで三角形配置の各3本のアンカー1間を、両端をターンバックル4で連結されて環状をなす1本のワイヤロープ2で連結する工法である。なお、アンカー1間をワイヤロープで連結するとは、ワイヤロープ2をアンカー1に直接係合させる場合に限らず、直接には支圧板3に係合させることで、当該支圧板3を介して連結する場合も含む。アンカー1は滑り発生の恐れのある表層地盤の下にある堅固な地盤10の一定深さまで挿入する。
図示例の支圧板3は、図3に示すように、アンカー1を通す中心穴5aのある概ね三角形状の底板5の中央部に円筒6を垂直に固定し、底板5の三方に補強リブ7を固定した構造である。補強リブ7にはワイヤロープ2を通す穴7aをあけている。支圧板3の円筒6をアンカー1の頭部に被せ、座金8を置いてナット9をアンカー1の頭部のネジ部に螺合させ締め付けて、地盤に対する支圧力を与える。
実施例のターンバックル4は、筒状の本体部4aの一端側A’及び他端側B’にそれぞれボルト4b、4cが螺合する構造であり、かつ、両ボルト4b、4cがいずれもリング部4b1、4c1を持つアイボルトであるが、本発明で用いるターンバックル4は、少なくとも前記他端側のボルト4cには、連結部としてリング部4c1を持つアイボルト、又は連結部としてフック部を持つフックボルトを用いる。
この実施例で用いるワイヤロープ2のワイヤロープ張設作業前の状態を図5(イ)に示す。図5(ロ)は図5(イ)におけるワイヤロープ2の他端側Bの部分を拡大した図、図5(ハ)はワイヤロープ2の一端側Aに連結したボルト4bを、ワイヤロープ2の他端側Bに連結されたターンバックル4に螺合させて仮環状連結状態にした時のターンバックル近傍を拡大した図である。
この実施例のワイヤロープ2は、図5(イ)に示すように、ワイヤロープ2の一端側Aは、ターンバックル4の一端側A’から外したボルト4bに本連結し、ワイヤロープ2の他端側Bは、ターンバックル4の他端側B’に螺合しているボルト4cに仮連結している。
本発明では、ワイヤロープ2の張設作業を始める前に、上記の通り、予めワイヤロープ2の一端側Aをターンバックル4の一端側A’のボルト4bに本連結しておくが、後述するように、このターンバックル4の一端側A’のボルト4bは、ターンバックル4の本体部4aに螺合していない場合及び螺合している場合のいずれの場合であっても可能である。
ワイヤロープ2の他端側Bをターンバックル4の他端側B’のボルト4cのリング部4c1に連結解除可能に仮連結する仮連結構造16は、ターンバックル他端側B’のボルト4cのリング部4c1にシンブル12cを装着し、前記ワイヤロープの他端側Bを前記シンブル12cに沿わせて前記ボルト4cのリング部4c1に通し折り返した重なり部がクランプ管13cを通るように配置し、前記重なり部のクランプ管13cよりリング部4c1と反対側を例えばビニルテープ14(又は線状体)で仮固定した構造である。なお、クランプ管13cはシンブル12cに添わせる前にワイヤロープ2の他端側Bに予め被せておく。
次いで、図8のように、ワイヤロープ2の一端側Aに連結したボルト4bをターンバックル2の本体部4aの一端側A’に螺合させて、ワイヤロープ2が環状をなす仮環状連結状態にする。なお、前述の通り、ワイヤロープ2の他端側Bは、ターンバックル他端側B’のボルト4cのリング部4c1に仮連結されているので、ワイヤロープ2は仮に環状に連結された仮環状連結状態にある。
次いで、ワイヤロープ2の他端側Bをターンバックル4の他端側B’のボルト4cのリング部4c1に仮連結している仮連結構造16の一部をなすビニルテープ14を、図9に示すように取り除いて、仮連結を解除する。なお、この状態でもワイヤロープ2は環状を保っているが、ワイヤロープ2の他端側Bは固定されている訳ではない。図8や図9の段階では3本のアンカー1に引き回されて仮環状連結状態となっているワイヤロープ2には図示のように緩みがある。ビニルテープ14を取り除いて仮連結を解除されたことでワイヤロープ2の他端側Bのワイヤロープ端部はフリーな状態で斜面の下方に延出している(下方延出部2aと呼ぶ)。
斜面安定化工法を施工する斜面は一般に急斜面であるが、ワイヤロープ2を斜面下側Xに引っ張る牽引作業には、作業者の腕の力による牽引力に加えて、急斜面であることによる作業者の体重が牽引力として作用するので、大きな牽引力でワイヤロープを引っ張り引き絞ることができる。このように重機を利用できない急斜面でも、ワイヤロープ2を人力で引き絞って緩みを除くことができる。
また、ワイヤロープ2の他端側Bには、ターンバックル4の他端側B’のボルト4cのリング部4c1にワイヤロープ端部を連結解除可能に連結する仮連結構造16が予め形成されているので、ワイヤロープ2を3本の各アンカー1に引き回して環状をなす仮環状連結状態にした後、仮連結構造を解除すると、その段階でワイヤロープ端部が斜面下方に延びている状態(下方延出部2a)となっており、直ちにワイヤロープ端部を引っ張り引き絞ることができ、作業性が良好である。
また、この実施例では、ターンバックル4の位置が斜面傾斜方向をなす2つのアンカー間にあり、斜面下側の各方向のなかで、作業者の体重が牽引力として最も大きく作用するので、本発明のワイヤロープ張設方法が最も有効に機能する。
実施例の仮連結構造16は、ワイヤロープ2をボルト4cのリング部4c1に装着したシンブル12cに沿わせてボルト4cのリング部4c1に通し折り返した重なり部をクランプ管13cに通した後に、重なり部にビニルテープ14で仮固定して形成しているので、ビニルテープ14を取り除くという簡単な操作で仮連結構造16を解除することができる。また、連結解除した後のワイヤロープ引き絞りにより下方延出部2aが長くはなっているが、概ね元の状態に近い状態でクランプ管13cを圧縮することで本連結する作業を行うことができ、作業性が極めて良好である。
このようにワイヤロープ2を人力で引き絞った状態では、ワイヤロープ2の緩みは小さいので、ターンバックル4を回して容易にワイヤロープ2に緊張力を付与することができる。図11の状態の後に、ターンバックル4の本体部4aを回してワイヤロープ2に所定の緊張力を付与すると、図4の作業終了状態となる。
なお、図12(イ)のワイヤロープは図5(イ)のワイヤロープと同じものである。図12(イ)〜(ホ)において、ワイヤロープ2の両端部を加工したワイヤロープの全体をそれぞれワイヤロープ2A、2B、2C、2D、2Eで表す。
このワイヤロープ2Bを用いてワイヤロープ張設作業をする場合には、前述した図7に対応する段階では図13(ロ)のようになる。
このワイヤロープ2Bを図8と同様な仮環状連結状態にする際には、
ターンバックル4の本体部4aから外したターンバックル他端側B’のボルト4cを本体部4aに螺合させる。
このワイヤロープ2Cを用いてワイヤロープ張設作業をする場合には、前述した図7に対応する段階では図13(ハ)のようになる。
このワイヤロープ2Cを図8と同様な仮環状連結状態にする際には、ワイヤロープ2の他端部Bから一旦、ビニルテープ14、シンブル12cを外した後、シンブル12cをターンバックル4の他端側B’のボルト4cのリング部4c1に装着し、前述した通りの操作でワイヤロープ端部をリング部4c1に通し、クランプ管13cに通し、ビニルテープ14を巻き付けて仮連結構造16を形成する。
このワイヤロープ2Dを用いてワイヤロープ張設作業をする場合には、前述した図7に対応する段階では図13(ニ)のようになる。
このワイヤロープ2Dを図8と同様な仮環状連結状態にする際には、ターンバックル両側のボルト4b、4cをターンバックル4の本体部4aのそれぞれの側に螺合させる。
このワイヤロープ2Eを用いてワイヤロープ張設作業をする場合には、前述した図7に対応する段階(この場合は、単なるロープ端末のままのワイヤロープ2の他端側Bと、ターンバックル4の他端側B’のボルト4cとを接近させた段階)では図13(ホ)のようになる。
このワイヤロープ2Eを図8と同様な仮環状連結状態にする際には、まず、ワイヤロープ2をクランプ管13cに通し、ワイヤロープ2の他端部Bをターンバックル4の他端部B’側のボルト4cのリング部4c1に仮連結する。
その場合、ターンバックル4の他端側B’のボルト4cのリング部4c1にシンブル12cを装着し、前記ワイヤロープ2の他端側Bを前記シンブル12cに沿わせて前記ボルト4cのリング部4c1に通し折り返した重なり部をクランプ管13cに通し、前記重なり部のクランプ管13cよりリング部4c1と反対側を例えばビニルテープ14で仮固定して仮連結構造16を形成する。
例えば、図14に示すように、例えば実施例のような三角形配置の3つのアンカー1のなかの側方のアンカー1と下部のアンカー1との間にターンバックル4を位置させる場合にも適用できる。
この場合でも、作業者はワイヤロープ2の引き絞りに際して、ワイヤロープ2の他端側Bのワイヤロープ端部を斜面の下向きに引っ張るので、やはり体重を利用した引っ張りをすることができ、ワイヤロープ2を大きな力で引っ張ることができる。
本発明で使用するターンバックルは、斜面の地表面に概ね接した状態で回転させて長さ調節をするので、実施例のターンバックル4のように筒状の本体部4aにボルト4b、4cを螺合させた構造のものが好適であるが、本体部が枠形をなしているいわゆる枠型のターンバックルを用いることも可能である。
2 ワイヤロープ
2a 下方延出部
2a’ ワイヤロープ余長部分
A ワイヤロープの一端側
B ワイヤロープの他端側
A’ ターンバックルの一端側
B’ ターンバックルの他端側
3 支圧板
4 ターンバックル
4a (ターンバックルの)本体部
4b (ターンバックルの)一端側のボルト(連結ボルト)
4b1 (一端側のボルトの)リング部(連結部)
4c (ターンバックルの)他端側のボルト(連結ボルト)
4c1 (他端側のボルトの)リング部(連結部)
5 (支圧板3の)底板
5a 中心穴
6 円筒
7 補強リブ
7a ワイヤロープを通す穴
8 座金
9 ナット
10 堅固な地盤
12b (ワイヤロープ一端側Aの)シンブル
13b (ワイヤロープ一端側Aの)クランプ管
12c、12c’ (ワイヤロープ他端側Bの)シンブル
13c (ワイヤロープ他端側Bの)クランプ管
14 (仮連結構造の一部をなす)ビニルテープ又は線状体
15 本連結構造
16 仮連結構造
17 (ワイヤロープ余長部分固定用の)ビニルテープ
Claims (6)
- 自然斜面に多数のアンカーを、間隔をあけて隣接する3本のアンカーが三角形の頂点に位置するような三角形配置で設置するとともに、各アンカーの頭部に支圧板を取り付けこれを締着して地盤に対する支圧力を与え、次いで三角形配置の各3本のアンカー間を、両端に連結ボルトを備えるターンバックルで連結されて環状をなす1本のワイヤロープで連結する斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法であって、
前記ワイヤロープの一端側を、当該ワイヤロープの斜面への配置前にあらかじめ前記ターンバックルの本体部に螺合しているか又は螺合していないターンバックルの一端側の連結ボルトの連結部に本連結しておき、
前記ワイヤロープを、斜面上下方向をなす2つのアンカー間に前記ターンバックルが位置し、ワイヤロープの斜面上向きにした他端側が、両側の連結ボルトを螺合させた前記ターンバックルの斜面下向きになっている他端側の連結ボルトの連結部を通って斜面下向きに延びて、ワイヤロープが前記ターンバックルを介して環状をなす仮環状連結状態とし、
次いで、ワイヤロープの斜面下向きに延びている前記他端側を斜面下向きに引っ張り引き絞って前記環状をなしているワイヤロープの緩みを除き、
次いで、前記ワイヤロープの他端側を前記ターンバックルの他端側の連結ボルトの連結部に本連結し、
次いで、ターンバックルを回転させてワイヤロープに緊張力を付与することを特徴とする斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法。 - 前記ワイヤロープの他端側は、ターンバックルの他端側の連結ボルトの連結部に通したワイヤロープ端部を連結部に連結解除可能に連結する仮連結構造を予め形成しておき、このワイヤロープを用いて、ワイヤロープが前記ターンバックルを介して環状をなす仮環状連結状態とすることを特徴とする請求項1記載の斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法。
- 前記ワイヤロープの他端側を前記ターンバックルの他端側の連結ボルトに本連結する手段は、前記仮連結構造を解除した後に本連結構造を形成するものであり、前記本連結構造は、ワイヤロープの他端側を前記連結ボルトの連結部を通して折り返した重なり部を固定する構造であり、前記重なり部の固定は、重なり部を通したクランプ管をカシメ工具でカシメするか、又は、重なり部をワイヤクリップで締着するか、又は、重なり部を編み込んで行なうことを特徴とする請求項2記載の斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法。
- 前記2つのアンカー間に位置させるターンバックルの位置は、斜面傾斜方向をなす2つのアンカー間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法。
- ワイヤロープ他端部の前記仮連結構造は、ターンバックルの他端側の連結ボルトの連結部にシンブルを装着し、ワイヤロープ端部をシンブルに沿わせて前記連結ボルトの連結部に通し折り返した重なり部をクランプ管に挿通させた後に、前記重なり部のクランプ管より連結部と反対側をテープ又は線状体で仮固定してなることを特徴とする請求項2記載の斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法。
- ターンバックルの前記他端側の連結ボルトの連結部に装着されるシンブルのサイズは、ワイヤロープの前記一端側のシンブルとして用いた、ワイヤロープ径に対応する規格サイズのシンブルより大きいサイズであることを特徴とする請求項5記載の斜面安定化工法におけるワイヤロープ張設方法。
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