JP2014064258A - アンテナ、不平衡給電型アンテナ、通信装置 - Google Patents

アンテナ、不平衡給電型アンテナ、通信装置 Download PDF

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雅之 石塚
Yasunari Kunimitsu
康徳 国光
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剛 川瀬
Ryosuke Nakamura
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Abstract

【課題】VHF帯からUHF帯のような低周波帯域にも好適に用いることができ、かつ小型で放射効率の高いアンテナを提供する。
【解決手段】本発明のアンテナは、平板状アンテナ導体と、前記平板状アンテナ導体に装荷された複合磁性体とを有し、前記複合磁性体は、平均厚みが0.01μm以上かつ10μm以下、平均長径が0.05μm以上かつ20μm以下、かつ平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上である平板状磁性体粒子と絶縁材料とを含み、前記平板状アンテナ導体が前記複合磁性体の表面に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明はアンテナ、不平衡給電型アンテナ、及び通信装置に関し、特に携帯端末に好適に用いることができる、アンテナ、不平衡給電型アンテナ、及び通信装置に関するものである。
携帯電話やスマートフォン等の無線通信を行う携帯端末の普及に伴い、携帯端末自身の小型化が求められているため、携帯端末に用いられるアンテナ、電子部品、回路基板等の部品の小型化も求められている。
また、従来携帯端末に使用されている800MHz〜2GHzの周波数帯域が飽和しているため、マルチメディア放送ではVHF帯の207〜222MHz、ワンセグ放送ではUHF帯の470〜770MHzといった従来よりも波長が長い周波数帯域を使用する予定がある。そのため、アンテナ等の部品の小型化への要求はさらに強いものとなっている。
小型化されたアンテナ構造としては、筐体等に配設されたプリント基板等に形成された接地板を利用したモノポールアンテナ等の不平衡給電型アンテナが知られている。
不平衡給電型アンテナは、アンテナ導体と接地板との間に電磁界が形成されて、接地板もアンテナの一部として機能することにより、アンテナ自体の小型化を図るものである。
また、一般に、物質内を伝播する電磁波の波長λgは、真空中を伝播する電磁波の波長λoと物質の複素誘電率の実部εr’(以下εr’と略記する場合がある)及び複素透磁率の実部μr’(以下、μr’と略記する場合がある)を用いて、
λg=λo/(εr’・μr’)1/2……(1)
と表すことができる。この式(1)によれば、εr’及びμr’が大きいほど波長λgの短縮率が大きくなる。したがって、電子部品や回路基板やアンテナ等を構成する磁性材料のεr’及びμr’を大きくすることで、波長λgの短縮率が大きくなり、よって、電子部品や回路基板やアンテナ等の小型化が可能になることが知られている。
アンテナを小型化させるために、特許文献1では、線状の導体が磁性基体の長手方向に沿って前記磁性体を貫通している不平衡給電型のチップアンテナが提案されている。
特開2007−318701号公報
しかし特許文献1記載のアンテナは、波長短縮効果によりアンテナを小型することはできても、磁性体に起因する磁気損失が大きく、またアンテナの放射効率が十分でないという問題があった。また、VHF帯からUHF帯のような低周波帯域に適用する場合におけるアンテナの性能向上も求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、VHF帯からUHF帯のような低周波帯域にも好適に用いることができ、かつ小型で放射効率の高いアンテナを提供することを目的の一つとする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、複合磁性体が平板状のアンテナ導体に装荷されており、かつその平板状アンテナ導体が前記複合磁性体の表面に配置された構成とすることにより、複合磁性体に起因する磁気損失を低減させることができることを見出した。
また、複合磁性体が平板状のアンテナ導体に装荷されており、かつその平板状アンテナ導体が前記複合磁性体の表面に配置されたアンテナと、接地板とを有する不平衡給電型アンテナにおいて、前記アンテナと前記接地板とを接触させないように配置することにより、アンテナの放射効率が向上することを見出した。
また、複合磁性体として、平均厚みは0.01μm以上かつ10μm以下、平均長径は0.05μm以上かつ20μm以下、かつ平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上である平板状磁性体粒子と、絶縁材料とを含む複合磁性体を用いることにより、μr’が大きく、かつ複素透磁率の損失正接tanδμ(以下、tanδμと略記する場合がある。)が小さい複合磁性体が得られることを見出した。
さらに、上記の材料により構成される複合磁性体において複合磁性体の気孔率を20%以下とすることにより、インピーダンスマッチングによる電力損失を低減できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明のアンテナは、平板状アンテナ導体と、前記平板状アンテナ導体に装荷された複合磁性体とを有するアンテナであって、前記複合磁性体は、平均厚みが0.01μm以上かつ10μm以下、平均長径が0.05μm以上かつ20μm以下、かつ平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上である平板状磁性体粒子と絶縁材料とを含み、前記平板状アンテナ導体が前記複合磁性体の表面に配置されていることを特徴とする。
また本発明の不平衡給電型アンテナは、本発明のアンテナと接地板とを有し、前記アンテナが前記接地板の近傍に非接触状態で配置されていることを特徴とする。
また本発明の通信装置は、本発明のアンテナ、あるいは本発明の不平衡給電型アンテナを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、複合磁性体に起因する磁気損失を低減させたアンテナが提供される。
本発明によれば、高い放射効率が得られる不平衡給電型アンテナが提供される。
本発明によれば、小型で高性能の通信装置が提供される。
開放容器を用いて球状の磁性体粒子を含むスラリー及び分散媒体を高速撹拌する様を示す図である。 密閉容器を用いて球状の磁性体粒子を含むスラリー及び分散媒体を高速撹拌する様を示す図である。 本発明の一実施形態の不平衡給電型アンテナの構造を示す図である。 本発明の一実施形態の不平衡給電型アンテナの構造を示す図である。 本発明の一実施形態の不平衡給電型アンテナの構造を示す図である。 本発明の一実施形態の不平衡給電型アンテナの構造を示す図である。 本発明の一実施形態の不平衡給電型アンテナの構造を示す図である。 本発明の一実施形態の通信装置を示す図である。
以下、本実施形態のアンテナ、不平衡給電型アンテナ、通信装置について詳細に説明する。
なお、この形態は発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り本発明を限定するものではない。
[アンテナ]
本実施形態のアンテナは、平板状アンテナ導体と、平均厚みが0.01μm以上かつ10μm以下、平均長径が0.05μm以上かつ20μm以下、かつ平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上である平板状磁性体粒子と絶縁材料とを含む複合磁性体とを有し、前記複合磁性体が前記平板状アンテナ導体に装荷されており、かつ前記平板状アンテナ導体が前記複合磁性体の表面に配置されているアンテナである。
なお、「装荷」とは、電磁的な相互作用により、波長短縮等の効果が得られるようにするために、アンテナ導体に複合磁性体を接触させたり、あるいは近づけたりすることを意味する。
また、本実施形態におけるμr’、εr’tanδμ、複素誘電率の損失正接tanδε(以下、tanδεと略記する場合がある。)は、マテリアルアナライザーにて測定した値であるが、測定装置としては、上記の各値がマテリアルアナライザーと同等の精度で測定することができる装置であればよく、マテリアルアナライザーに限定されない。
[平板状アンテナ導体]
本実施形態において、平板状アンテナ導体の形状は、所望の導体長を有する平板状(テープ状)であれば特に限定されない。平板の幅は、より多くの電流を流せてアンテナ効率がよくなる点で、広いほうが好ましい。
[複合磁性体]
本実施形態において、複合磁性体は、平板状磁性体粒子と、絶縁材料とを含んで構成される。磁性体粒子は、平均厚みが0.01μm以上かつ10μm以下、平均長径が0.05μm以上かつ20μm以下、かつ平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上である平板状の磁性体粒子である。絶縁材料は、磁性体粒子を所定の分散状態に保持するバインダーとしても機能する。
本実施形態において、複合磁性体の気孔率は20%以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、μr’が大きくなり、インピーダンスマッチングによる電力損失を低減させることができる。
本実施形態において、複合磁性体の形状は、本実施形態のアンテナ導体と略同じ大きさの長さと幅又は本実施形態のアンテナ導体よりも大きな長さと幅を有する直線的な形状(棒状、板状など)であれば特に限定されない。複合磁性体の形状としては、例えば、円柱状、角柱状、細長い平板状のような形状を挙げることができる。
複合磁性体の厚みは薄くなるほど波長短縮効果が得られにくくなり、作製も困難になるため、少なくとも0.1mm以上の厚みを有することが好ましい。
本実施形態において、複合磁性体は、70MHzから500MHzまでの周波数帯域におけるμr’が1よりも大きく、好ましくは7以上、より好ましくは9以上であり、かつtanδμは0.1以下である複合磁性体が好ましい。さらに、70MHzから500MHzまでの周波数帯域におけるεr’が15以上であり、かつ複素誘電率の損失正接tanδεが0.1以下であることが好ましい。
また、70MHzから220MHzまでの周波数帯域におけるtanδμは0.1以下が好ましく、tanδεは0.1以下であることが好ましい。
また、インピーダンスマッチングによる電力損失を抑制するためには、複合磁性体における(μr’・εr’)−1/2が0.1以下、(μr’/εr’)1/2が0.5以上かつ1以下であることが好ましい。
ここで、本実施形態の複合磁性体を構成する平板状磁性体粒子及び絶縁材料について詳細に説明する。
「平板状磁性体粒子」
本実施形態における「平板状」とは、扁平状、鱗片状、フレーク状、薄板状等の厚みが薄い板状のものを意味する。
この平板状磁性体粒子の平均アスペクト比(長径(粒子内における最大長さ)/厚み)は、複数個の平板状磁性体粒子それぞれの長径と厚み、例えば、100個以上の平板状磁性体粒子、好ましくは500個の平板状磁性体粒子それぞれの長径と厚みを測定することにより、個々の平板状磁性体粒子それぞれのアスペクト比(長径/厚み)を求め、これらのアスペクト比(長径/厚み)の平均値を算出することで求められる。
このようにして得られる平均アスペクト比(長径/厚み)は、5以上が好ましく、7以上がより好ましい。
ここで、平板状磁性体粒子の平均アスペクト比(長径/厚み)が5未満では、粒子形状による反磁界係数が大きくなり、よって、複合磁性体を作製する際に印加される有効磁場が小さくなることで得られる複合磁性体のμr’が小さくなり、その結果、電子部品や電子機器を小型化させるために十分なμr’を得ることができない。
一方、平均アスペクト比が大きくなると、平板状磁性体粒子自体の機械的強度が低下する虞がある。そこで、平板状磁性体粒子が所望の機械的強度を確保するためには、平均アスペクト比は15以下が好ましく、実用的には20程度が上限となる。
さらに、平均アスペクト比が20を超えると、平板状磁性体粒子の形状が扁平すぎることで、磁性体粒子同士の間が狭くなり、この間に絶縁性材料が進入し難い空間が形成され易くなり、その結果、複合磁性体中に気泡が生じ易くなり、この気泡の存在によりμr’が低下するので好ましくない。
以上の点を勘案すれば、平板状磁性体粒子の平均アスペクト比は5以上かつ20以下であることが好ましく、7以上かつ15以下であることがより好ましい。
この平板状磁性体粒子の平均厚み及び平均長径も、上記の平均アスペクト比(長径/厚み)と同様、複数個の平板状磁性体粒子それぞれの厚み及び長径、例えば、100個以上の平板状磁性体粒子、好ましくは500個の平板状磁性体粒子それぞれの厚み及び長径を測定し、厚み及び長径各々の平均値を算出することで求めることができる。
この平板状磁性体粒子の平均厚みは0.01μm以上かつ10μm以下、好ましくは0.1μm以上かつ1μm以下、より好ましくは0.1μm以上かつ0.5μm以下であり、平均長径は0.05μm以上かつ20μm以下、好ましくは0.2μm以上かつ10μm以下、より好ましくは0.2μm以上かつ5μm以下である。
ここで、平均厚みを0.01μm未満とすることは、製造上困難であり、取り扱いも難しくなるので、好ましくない。一方、平均厚みが10μmを超えると、粒子同士の融着に起因する厚みのばらつきが生じ、複素透磁率の損失正接tanδμや複素誘電率の損失正接tanδεが増加するので好ましくない。
また、平板状磁性体粒子の平均長径が0.05μm未満では、平板状磁性体粒子自体の製造が難しく、複合磁性体を製造する際の取り扱いも難しく、その結果、配向が良好でありかつμr’の高い複合磁性体を得ることが難しい場合があるので好ましくない。
一方、この平板状磁性体粒子の平均長径が20μmを超えると、絶縁材料中での粒子の分散が不安定になり易くなり、さらには、平板状磁性体粒子間の間隙が大きくなり過ぎる等により、平板状磁性体粒子間の間隙に絶縁材料が進入し難くなり、その結果、気孔が生成され易くなり、所望のμr’が得られない虞があるので好ましくない。
この平板状磁性体粒子の組成としては、磁性を有する材料であればよく、特に限定されないが、例えば、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)等の強磁性金属、モリブデン(Mo)等の常磁性金属のうちいずれか1種からなる金属、または、これらのうち少なくとも1種以上を含む合金を用いることができる。
これらの金属または合金は、反磁性金属である銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)等を含んでいてもよい。
これらの合金としては、二元素系合金、三元素系合金等が挙げられる。
二元素系合金としては、保磁力が70エルステッド以下の軟磁性を示すパーマロイ(登録商標)等のFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金等が挙げられる。
三元素系合金としては、スーパーマロイ(登録商標)等のFe−Ni−Mo合金、センダスト(登録商標)等のFe−Si−Al合金、Fe−Cr−Si合金等が挙げられる。
これらの合金の中でも、Fe−Ni合金としては、Ni78質量%−Fe22質量%の合金が、平板状磁性体粒子の平均厚みが0.5μm以下、平均長径が10μm以下のものが得られ易く、高透磁率とともに低磁気損失の複合磁性体を得られるので好ましい。
上記の合金に、その合金に含まれない金属元素で、その合金と性質が近い金属(合金に含まれている金属と周期律表で近接している金属)、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、インジウム(In)、すず(Sn)等の群から1種または2種以上を適宜選択して添加してもよい。
上記の金属元素を合金に添加する場合には、この金属元素の含有率は、この金属元素と合金との合計質量に対して0.1質量%以上かつ90質量%以下が好ましく、1質量%以上かつ12質量%以下がより好ましく、1質量%以上かつ5質量%以下がさらに好ましい。
ここで、上記の金属元素の含有率を上記の範囲に限定した理由は、金属元素の含有率が0.1質量%未満では、後述する球状の磁性体粒子を平板状にさせるための十分な塑性変形能を付与することができず、一方、含有率が90質量%を超えると、金属元素自体の磁気モーメントが小さいことから、この磁性体粒子全体の飽和磁化が小さくなり、その結果、得られるμr’も小さくなるからである。
特に、アスペクト比が高くなり、結果として高いμr’の複合磁性体が得られ易い点で、柔らかい金属である、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)の群から選択される1種または2種以上の金属元素を1質量%以上かつ12質量%以下、好ましくは1質量%以上かつ5質量%以下含む鉄−ニッケル合金を用いるのが好ましい。
これらの中でも、ニッケル−鉄−亜鉛(Ni−Fe−Zn)合金は、Fe−Ni合金へのZnの添加により、後述する球状の磁性体粒子の加工性が高くなるために、より大きなアスペクト比を有する磁性体粒子が得られ易いので好ましい。合金の組成比としては、例えば、Ni75質量%−Fe20質量%−Zn5質量%、Ni76質量%−Fe20質量%−Zn4質量%等の各合金を好適に用いることができる。
この平板状磁性体粒子は、絶縁性の平板状磁性体粒子であることが好ましい。絶縁性の平板状磁性体粒子を用いることで、複合磁性体中にて平板状磁性体粒子同士が接触することにより導電パスが形成されるのを抑制することができ、その結果、複合磁性体の誘電損失を低減させることができる。この絶縁性の平板状磁性体粒子においては、少なくとも粒子の表面が絶縁性を有していればよい。
平板状磁性体粒子を絶縁性にする方法としては、特に限定されないが、例えば、平板状磁性体粒子の表面に5nm程度の絶縁性の酸化被膜を形成する方法が挙げられる。
通常、平板状磁性体粒子を大気中で取り扱うことにより、この平板状磁性体粒子の表面に自然に酸化被膜が形成される。しかしながら、複合磁性体の誘電損失を低減させるためには、50℃以上かつ200℃以下の温度にて、1時間〜数時間程度加熱処理された平板状磁性体粒子を用いることが好ましい。
また、平板状磁性体粒子の表面に、この平板状磁性体粒子と異なる組成の絶縁性被膜を形成してもよい。このような組成としては、例えば、酸化ケイ素、リン酸塩等の無機物質、あるいは、樹脂、界面活性剤等の有機物質等が挙げられる。これらの絶縁性被膜は、酸化被膜(自然酸化や加熱酸化による酸化被膜を含む)を有する平板状磁性体粒子の表面に形成してもよく、酸化被膜を有しない平板状磁性体粒子の表面に形成してもよい。
「絶縁材料」
絶縁材料は、絶縁性の材料であればよく、特に制限されないが、本実施形態の複合磁性体を携帯電話用アンテナや携帯情報端末用アンテナとして用いる場合には、機械的強度が高く、吸湿性が低く、しかも形状加工性に優れていることが好ましい。
このような絶縁材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリベンゾシクロブテン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、熱硬化性樹脂としては、機械的強度及び形状加工性に優れているエポキシ樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ABS樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂のなかでも、主鎖に環状構造、特に脂環式の環状構造を有し、かつモノマー単位で重合する官能基を有する樹脂は、平板状磁性体粒子と絡まり難いことから平板状磁性体粒子の配向を阻害する虞が無く、しかも高いμr’が得られ易いので、好ましい。このような樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン型樹脂が挙げられる。
このジシクロペンタジエン型樹脂のような硬い樹脂を用いる場合、複合磁性体の気孔率を低減させるために、このような硬い樹脂に、複合磁性体に伸縮性や可撓性を付与する絶縁性樹脂を混合させてもよい。この伸縮性や可撓性を付与する絶縁性樹脂としては、上述した樹脂から適宜選択して用いればよく、特に、液状エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
このようなジシクロペンタジエン型樹脂と上記の液状エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合には、ジシクロペンタジエン型樹脂の樹脂全体量に対する含有率を50質量%以上かつ90質量%以下とすることが好ましい。このジシクロペンタジエン型樹脂の含有率を上記範囲とすることで、平板状磁性体粒子の配向性が向上し、かつ高いμr’を得ることができる。
さらに、伸縮性や可撓性を付与する絶縁性樹脂を10質量%以上かつ50質量%以下含有するので、平板状磁性体粒子同士の間隙に樹脂が進入し易くなり、複合磁性体の気孔の生成を抑制し、気孔率を低減させることができるので好ましい。
複合磁性体の気孔率を減少させる方法は特に制限されず、例えば、平板状磁性体粒子の絶縁材料への分散性を向上させることで、平板状磁性体粒子同士の凝集を防ぐ方法、硬化剤の種類や量の最適化により絶縁材料の硬化性を向上させる方法、流動性の高い絶縁材料を選定し、絶縁材料が平板状磁性体粒子と平板状磁性体粒子の間の間隙に進入し易くする方法、得られた複合磁性体を加圧することで内部の気孔を減少させる方法等、さらには、これらの方法を組み合わせた方法等が挙げられる。
また、上記絶縁材料に加えて、熱可塑性エラストマーが添加されてもよい。熱可塑性エラストマーの添加により、複合磁性体の機械的強度や形状加工性を向上させることができる。そのため、熱可塑性エラストマーが添加された複合磁性体は、靭性、柔軟性、変形性により優れることとなる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
熱可塑性エラストマーの添加量は、複合磁性体の用途により必要とされる耐熱性を勘案して、適宜調整して実施すればよい。
本実施形態の複合磁性体では、平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を用い、この平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散させることで、得られた複合磁性体の気孔率を20%以下とすることにより、複合磁性体のμr’を向上させるが、εr’をほとんど変化させない。これにより、この複合磁性体が適用される電子部品や電子機器、例えば、携帯用電話機、携帯情報端末、多機能型携帯用情報機器等の通信装置のアンテナを小型化させることができ、電力損失を抑制することができる。
このような効果が得られるメカニズムとしては、次のように考えられる。
複合磁性体中の気孔率が増大すると、複合磁性体の単位体積当たりの平板状磁性体粒子の量が少なくなるので、μr’は小さくなる。一方、気孔の表面は絶縁材料と同様に平板状磁性体粒子との界面で静電容量を有するので、気孔率が高くなったとしてもεr’の値はほとんど変化しない。
また、複合磁性体中の気孔率が減少すると、複合磁性体の単位体積当たりの平板状磁性体粒子の量が多くなるので、μr’は大きくなる。一方、上述したとおり、εr’の値は気孔率の影響をほとんど受けないので、εr’の値はほぼ同じ値となる。
すなわち、複合磁性体中の気孔率を減少させることにより、μr’の値は大きくなるが、εr’の値は殆ど変化しないので、μr’の値とεr’の値との差は小さくなる。よって、平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散させた複合磁性体の気孔率を20%以下とすることで、この複合磁性体を備えた電子部品や電子機器を小型化させることが可能であり、インピーダンスマッチングによる電力損失を抑制することができる。
[複合磁性体の製造方法]
次に、本実施形態の複合磁性体の製造方法について説明する。
本実施形態の複合磁性体の製造方法は、平均粒子径が3μm以下の球状の磁性体粒子を界面活性剤を含む溶液中に分散してなるスラリー及び分散媒体を、密閉可能な容器内に、前記スラリー及び前記分散媒体の合計の体積量が前記容器内の体積と同じくなるように充填し、このスラリーを前記分散媒体と共に密閉状態にて撹拌し、前記球状の磁性体粒子同士を変形及び融着させて平板状磁性体粒子とする第1の工程と、前記平板状磁性体粒子を、絶縁材料を溶媒に溶解した溶液中に分散し混合して成形材料とする第2の工程と、前記成形材料を成形または基材上に塗布して成形体を得る成形工程と、前記成形体を乾燥・硬化させる乾燥・硬化工程を含む第3の工程と、を備えている。
以下、各工程について詳細に説明する。
<第1の工程>
まず、球状の磁性体粒子を界面活性剤を含む溶液中に分散してスラリーとする。
球状の磁性体粒子の一次粒子径は特に限定されないが、微細な平板状磁性体粒子を作製するためには、球状の磁性体粒子の一次粒子径は3μm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。一次粒子径が3μm以下の球状の磁性体粒子は、粒子表面が高活性となるため、磁性体粒子同士の親和性も高くなり、磁性体粒子同士の凝着が促進されるため好ましい。一方、球状の磁性体粒子の一次粒子径が小さくなりすぎると、球状の磁性体粒子の表面活性が高すぎて、球状の磁性体粒子が著しく酸化されやすくなるため、磁気特性が悪くなる虞がある。そのため、球状の磁性体粒子の一次粒子径は10nm以上が好ましい。
磁性体粒子の組成は、上記の平板状磁性体粒子の組成と全く同様である。
界面活性剤としては、磁性体粒子の表面と相性の良い窒素、リン、イオウ等の元素を含有している界面活性剤が好ましく、例えば、窒素含有ブロックコポリマー、燐酸塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
この界面活性剤を溶解させる溶媒としては、磁性体粒子に含まれる金属元素の酸化を防止する必要があることから、有機溶媒が好ましく、特に、キシレン、トルエン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の非極性有機溶媒が好ましい。
次いで、このスラリー及び分散媒体を、密閉可能な容器内に、このスラリー及び分散媒体の合計の体積が容器内の体積と同じくなるように充填し、このスラリーを分散媒体と共に密閉状態にて撹拌し、球状の磁性体粒子同士を変形及び融着させて平板状磁性体粒子とする。
分散媒体としては、球状の磁性体粒子よりも硬度が高いことが必要であり、例えば、アルミニウム、鋼(スチール)、ステンレススチール、鉛等の金属球、アルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素、チタニア等の金属酸化物あるいは無機酸化物からなる球状焼結体、窒化ケイ素等の無機窒化物からなる球状焼結体、炭化ケイ素等の無機炭化物からなる球状焼結体、ソーダガラス、鉛ガラス、高比重ガラス等からなるビーズと称される球状粒子が挙げられ、中でも、比重6以上のジルコニア、鋼(スチール)、ステンレススチール等が効率の点から好ましい。
球状の磁性体粒子への機械的応力の付加は、分散媒体の衝突の際の衝撃によって行われるので、分散媒体の衝突回数が増加するにつれて、球状の磁性体粒子同士の変形及び融着性が向上する。
このように、分散媒体の平均粒径が小さいほど、単位体積当たりに存在する個数が増加し、衝突回数も多くなり、変形及び融着性も向上するが、一方、分散媒体の平均粒径が小さすぎると、この分散媒体をスラリーから分離することが困難となる。したがって、分散媒体の平均粒径は、少なくとも0.03mm以上、好ましくは0.04mm以上であることが必要である。
また、分散媒体の平均粒径が大き過ぎると、衝突回数が減少することから、球状の磁性体粒子同士の変形及び融着性が低下する。したがって、分散媒体の平均粒径の上限値は3.0mmである。
密閉可能な容器としては、ディスク、スクリュー、羽根等の一軸回転体を高速回転することで分散媒体をスラリーとともに高速回転する密閉容器が好ましい。
この密閉容器は、単純な1軸回転方式であることから、大型化も容易であり、工業生産上も有利である。
なお、上記の密閉可能な容器に、スラリーを容器内に導入・導出するための流入口及び流出口を設け、スラリーを密閉容器内に循環するようにしてもかまわない。この場合、予め分散媒体を密閉容器内に収納しておき、球状の磁性体粒子と界面活性剤と溶媒とを混合したスラリーを流入口から投入して容器内に空間がないように充填し、流出口から排出されるスラリーを再度密閉容器内へ投入するようにすればよい。
ここでは、スラリー及び分散媒体の上記の密閉容器内への充填量を、密閉容器内の体積と同一とする。換言すれば、スラリー及び分散媒体を、密閉容器内に隙間なく充填する。ここで、スラリー及び分散媒体を、密閉容器内に隙間なく充填する理由は、次の通りである。
図1は、上部が開放された開放容器1に投入された球状の磁性体粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4を、一軸回転体5により高速回転することで高速撹拌する様を示す図である。
この図では、一軸回転体5が高速で回転すると、スラリー3及び分散媒体4の液面は、遠心力により中心軸近傍が低く、周縁部が高いすり鉢状となる。
一軸回転体5により球状の磁性体粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4に加えられた機械的応力は、すり鉢状の空間に逃げていくので、開放容器1内全体で分散媒体4を介して球状の磁性体粒子2に伝搬される機械的応力は不均一なものとなり、得られた平板状磁性体粒子の厚みがばらつく要因となる。
また、すり鉢状の空間の底部近傍(中心軸近傍)で平板状磁性体粒子となった磁性体粒子は、分散媒体と共にすり鉢状の空間に放出されて不規則な衝撃を受けることとなり、割れや欠け等が生じる虞がある。このような磁性体粒子の厚みのばらつきや割れや欠けは、複素透磁率の損失正接tanδμが増加する要因となっている。
図2は、密閉容器11に投入された球状の磁性体粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4を、一軸回転体5により高速回転することで高速撹拌する様を示す図である。
この図では、一軸回転体5が高速で回転しても、密閉容器11内が球状の磁性体粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4により満たされているので、開放容器1に見られるようなすり鉢状の空間が生じる虞は無い。したがって、一軸回転体5により球状の磁性体粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4に加えられた機械的応力は、密閉容器11内全体で分散媒体4を介して球状の磁性体粒子2に均一に伝搬され、得られた平板状磁性体粒子の厚みがばらつく虞は無い。また、平板状となった磁性体粒子は、不規則な衝撃を受けることもなく、割れや欠け等が生じる虞もない。
一軸回転体5の回転数は、密閉容器11の大きさにより決定される。例えば、内径が120mmの密閉容器11の場合、球状の磁性体粒子2を含むスラリー3及び分散媒体4の一軸回転体5の径方向の外周端5a付近の流速が5m/秒以上となるように一軸回転体5の回転数を設定することが好ましい。さらに、上記流速が8m/秒以上となるように一軸回転体5の回転数を設定することがより好ましい。
一方、外周端5a付近の流速が15m/sを超えると、エネルギーが大きすぎるために平板状になった粒子を破壊してしまう虞があるので、外周端5a付近の流速は15m/s以下であることが好ましい。
なお、密閉容器11の内容積が小さいと、得られた平板状磁性体粒子に球状の磁性体粒子2が残留する虞がある。残留した球状の磁性体粒子2は、球状の磁性体粒子2同士の接触、または球状の磁性体粒子2と平板状磁性体粒子との接触により、磁気損失を増加させたり、平板状磁性体粒子の配向を阻害したりする虞がある。したがって、平板状磁性体粒子は、磁性体粒子全体量の90質量%以上が好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、球状の磁性体粒子2を実質的に含まないことが望ましい。
ここで、密閉容器11の内容積が小さい場合に球状の磁性体粒子2が残留する理由は、密閉容器11の角や一軸回転体5と密閉容器11との接合部といった機械的応力が十分に伝わらないデッドスペースが相対的に大きくなるからと考えられる。そこで、密閉容器11の内容積を大きくすると、相対的にデッドスペースが小さくなり、よって、球状の磁性体粒子2に機械的応力が十分に伝わり、球状の磁性体粒子同士の変形及び融着性が向上し、その結果、球状の磁性体粒子2の残留が少なくなり、実質的に球状の磁性体粒子2がなくなる。
このように、実質的に球状の磁性体粒子2が残留しなくなる密閉容器11の体積は、1L以上が好ましく、より好ましくは5L以上である。
以上により、球状の磁性体粒子同士は、一軸回転体5により加えられた機械的応力により変形及び融着し、平板状磁性体粒子となる。
次いで、この平板状磁性体粒子を分散媒体及び溶媒から分離する。
なお、平板状磁性体粒子を作製するのに使用した溶媒と、後に混合する絶縁性材料との相溶性を考慮して、適宜スラリーの乾燥工程を実施すればよい。
具体的には、平板状磁性体粒子を作製するのに用いた溶媒と、絶縁性材料の相溶性が悪い場合には、上記溶媒が4質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下となるまで乾燥処理することが好ましい。一方、平板状磁性体粒子を作製するのに用いた溶媒と絶縁性材料の相溶性が良い場合には、スラリーの乾燥工程を行わず、平板状磁性体粒子を溶媒中に分散させたスラリー状態のまま第2の工程に移行してもよい。
乾燥方法は、平板状磁性体粒子作製後のスラリーから溶媒を除去することができれば特に限定されず、加熱乾燥、真空乾燥、フリーズドライ等が挙げられるが、乾燥効率の点で真空乾燥が好ましい。また、乾燥効率を高めるために、乾燥工程の前に、固液分離等の手法によりある程度の溶媒を除去してもよい。固液分離の方法としては、フィルタープレスや吸引ろ過等のろ過操作や、デカンターや遠心分離機による遠心分離操作等、通常の方法を用いればよい。
また、溶媒が除去された平板状磁性体粒子を、50℃以上かつ200℃以下で1〜数時間加熱処理してもよい。この加熱処理より、平板状磁性体粒子の表面に酸化皮膜を形成することができ、絶縁性の平板状磁性体粒子を得ることができる。
<第2の工程>
上述の平板状磁性体粒子を、絶縁材料を溶媒に溶解した溶液中に分散し混合して成形材料とする。ここで、絶縁材料としては、上記で説明した絶縁材料と全く同様のものを用いることができるので、説明を省略する。
また、溶媒としては、上記の絶縁材料を溶解させることができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
分散混合方法としては、特に制限はないが、遊星ミル、サンドミル、ボールミル等の攪拌装置を用いることが好ましい。混合条件は、平板状磁性体粒子同士が凝集しないよう、適宜調整して実施すればよい。
<第3の工程>
第3の工程では、上記の成形材料を成形または基材上に塗布して成形体を作製し、次いで、得られた成形体を乾燥し、硬化させる。
成形方法としては、公知の成形方法、例えば、プレス法、ドクターブレード法、射出成形法等が好適である。この成形方法を用いて任意の形状のシート状またはフィルム状に成形することにより、ドライフィルムを作製することができる。
複合磁性体が積層体の場合には、ドクターブレード法によりシート状またはフィルム状に成形することが望ましい。
上記の成形材料は、粘度調整を行う必要がある場合には、溶媒を揮発させて濃縮後に成形を行う。必要があれば、成形材料を基材上に塗布した後、乾燥前に磁場の配向により平板状磁性体粒子をシートまたはフィルムと平行な方向に配向する配向処理を行えばよい。
硬化条件としては、還元性雰囲気中または真空中にて、熱処理またはホットプレスが好適である。これにより、本実施形態の複合磁性体が得られる。
なお、平板状磁性体粒子と熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂とを加熱混錬により混合分散したものを成形することによっても、本実施形態の複合磁性体が得られる。
加熱混練方法としては、公知の方法、例えば、加圧ニーダー、2軸式ニーダー、ブラストミル等で混合分散した混練物を作製することができる。この混練物の成形方法としては、公知の方法、例えば、加熱プレス成形、押出成形、射出成形等で成形体を作製することができる。これらの方法の中でも、平板状磁性体粒子を樹脂中に配向させるためには、平面状に引き伸ばす加熱プレス成形が好ましい。引き伸ばす際の粘度調整のために、可塑剤の添加、平板状磁性体粒子の表面処理を行うことも好ましい。必要があれば、加熱して流動性を維持した状態で、磁場の配向により平板状磁性体粒子を配向する処理を行うことが好ましい。
「プレス工程」
上記の乾燥工程で得られた成形体の気孔率をさらに減少させたい場合には、上記の乾燥工程後に、成形体をプレスする工程を施すことが好ましい。プレス装置は公知のものを適宜用いればよい。
プレス装置で成形体に圧力を加える際に、絶縁材料として樹脂を用いる場合には、効果的に気孔を減少させるために、樹脂の軟化温度以上かつ硬化開始温度以下で圧力を加えることが好ましい。
プレス時の圧力は適宜調整すればよいが、5MPa〜20MPa程度の圧力を加えるのが好ましい。
以上により、本実施形態の複合磁性体を得ることができる。
[不平衡給電型アンテナ]
本実施形態の不平衡給電型アンテナは、上記実施形態のアンテナと接地板とを有し、前記アンテナが前記接地板の近傍に接地板と間隔をおいて、非接触状態で配置されていることを特徴とする。
以下、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
なお、本明細書では、接地板とアンテナの配置関係を説明するために、XYZ直交座標系を設定する。以下の各実施形態において、平面形状の接地板の板面にXY平面を規定し、板面の法線方向をZ軸方向とする。さらに、接地板上に配置されるアンテナの長手方向をY軸方向、アンテナの幅方向をX軸方向とする。
「第一実施形態」
図3は、第一実施形態に係る不平衡給電型アンテナを示す図である。
本実施形態の不平衡給電型アンテナ20は、平板状アンテナ導体22と、平板状アンテナ導体22に装荷された角柱状の複合磁性体21とからなるアンテナ23を有する。アンテナ23において、平板状のアンテナ導体22は複合磁性体21の表面に配置されている。アンテナ23の平板状アンテナ導体22側には、平板状の接地板14が設けられている。アンテナ23の平板状アンテナ導体22には給電点15が接続されている。
複合磁性体21及び平板状アンテナ導体22の材質については、先に記載した通りである。
アンテナ23は、図示しない支持体により接地板14上の空間に支持されている。アンテナ23と接地板14とは互いに接触しないように設置されている。アンテナ23の平板状アンテナ導体22の主面と、接地板14の主平面とは互いに平行に配置されている。
平板状アンテナ導体22と給電点15は、コネクタやケーブル等を介して接続される。上記コネクタやケーブルは、接地板14に設けた穴に挿通させてもよく、接地板14の外側に引き回してもよい。
本実施形態では、アンテナ23において、平板状アンテナ導体22が複合磁性体21の表面に配置されているのに加えて、平板状アンテナ導体22と接地板14とが直接対向する位置に配置されている。これにより、平板状アンテナ導体22と接地板14との間に形成される電磁界が複合磁性体21を通過しない構成となるので、複合磁性体21に起因する磁気損失を低減させることができる。したがって本実施形態によれば、放射効率を高めた不平衡給電型アンテナが提供される。
また本実施形態では、アンテナ23と接地板14とが接触しないようにして近傍に配置されている。この構成によれば、アンテナ23と接地板14との間に電磁界が形成される空間を確保することができる。そして、この空間によって電波を放射ないし受信することができるので、アンテナの放射効率を向上させることができる。
第一実施形態の不平衡給電型アンテナの設計例とシミュレーション結果を示す。
長さ90mm、幅2.0mm、厚み0.08mmの平板状の銅製の平板状アンテナ導体22を、長さ90mm、幅2.4mm、厚み1.0mmの複合磁性体21の一平面に備え、アンテナ23とした。接地板24と平板状アンテナ導体22との距離d2を2.0mmとし、複合磁性体21のμr’を9、tanδμを0.03、εr’を30、tanδεを0.08とした場合の特性についてシミュレーションを行った。その結果、共振周波数は694MHzであった。このアンテナを整合回路により共振周波数を220MHzにしたときの放射効率は−24.3dBであった。
平板状の銅製のアンテナ導体22のみでアンテナとし、同様のシミュレーションを行った。その結果、整合回路により共振周波数を220MHzにしたときの共振周波数は900MHzで、放射効率は−25.7dBであり、不平衡給電型アンテナとして機能した。
また、比較のために、接地板14とアンテナ導体22との距離d2を0mmとし、アンテナ23と接地板14が接触している配置についてシミュレーションを行った。その結果、アンテナ導体22と接地板14は電磁気的に一体になってしまうために、アンテナ導体となりうるものがなくなり、不平衡給電型アンテナとして機能しなかった。
以上の結果から、平板状のアンテナ導体22に角柱状の複合磁性体21が装荷され、平板状のアンテナ導体22が角柱状の複合磁性体21の表面に配置されているアンテナ23を、複合磁性体21と接地板14との間にアンテナ導体22が位置し、アンテナ23と接地板14とが接触しないように配置することにより、波長の短縮効果が得られ、しかも放射効率が向上することが確認された。
「第二実施形態」
図4は、第二実施形態に係る不平衡給電型アンテナ30を示す図である。
本実施形態の不平衡給電型アンテナ30は、平板状のアンテナ導体32と、アンテナ導体32に装荷された角柱状の複合磁性体31とからなるアンテナ33を有する。アンテナ33において、平板状のアンテナ導体32は角柱状の複合磁性体31の表面(図示上面)に配置されている。アンテナ33の平板状アンテナ導体32が形成された面と反対側(下面側)に接地板14が設けられている。アンテナ33の平板状アンテナ導体32に、給電点15が接続されている。
平板状アンテナ導体32としては、第一実施形態に係る平板状アンテナ導体22と同様の材質及び形状を有する導体を用いることができる。また複合磁性体31としても、第一実施形態に係る複合磁性体21と同様の材質及び形状を有する複合磁性体を用いることができる。
アンテナ33において、平板状アンテナ導体32は複合磁性体31と同等の長さを有して配置されており、平板状アンテナ導体32の長さ方向の両端は、少なくとも複合磁性体31の長さ方向の両端に達するように配置されている。平板状アンテナ導体32の端部が複合磁性体31の長さ方向の両端から外側へ突出して配置されていてもよい。
アンテナ33は、その長手方向が接地板14の主平面と平行になるように接地板14上に配置されている。さらに本実施形態の場合、平板状アンテナ導体32は、複合磁性体31の接地板14と反対側の面に配置されている。平板状のアンテナ導体32は、その主面が接地板14の主平面と平行になるように配置されている。本実施形態において、接地板14と複合磁性体31との距離d1は例えば2.0mmであり、接地板14と平板状アンテナ導体32との距離d2は例えば3.0mmである。
本実施形態の不平衡給電型アンテナ30では、アンテナ導体32が複合磁性体31の表面に設けられるとともに、その両端部が複合磁性体31の長さ方向の端部に達する位置に配置されている。これにより、平板状アンテナ導体32の両端部から放射される電磁界の大部分が、複合磁性体31の外側を回り込むようにして接地板14に到達する。その結果、複合磁性体31に起因する磁気損失を低減させることができる。したがって本実施形態によれば、放射効率が高く、しかも小型化が容易な不平衡給電型アンテナが提供される。
また本実施形態の不平衡給電型アンテナ30においても、アンテナ33と接地板14との間に空間が設けられていることでアンテナの放射効率が向上する点は、先の第一実施形態と同様である。
第二実施形態の不平衡給電型アンテナの設計例とシミュレーション結果を示す。
長さ90mm、幅2.0mm、厚み0.08mmの平板状の銅製のアンテナ導体32を、長さ90mm、幅2.4mm、厚み1.0mmの複合磁性体31の一側面(長手方向に沿う面)に接着し、アンテナ33を作製した。
接地板14と複合磁性体31との距離d1を2.0mm、接地板14とアンテナ導体32との距離d2を3.0mmとし、複合磁性体31のμr’を9、tanδμを0.03、εr’を30、tanδεを0.08とした場合の特性についてシミュレーションを行った。その結果、整合回路により共振周波数を220MHzにしたときの放射効率は−23.1dBであった。
接地板14とアンテナ導体32との距離d2を1.5mm(d1=0.5mm)とし、同様のシミュレーションを行った。その結果、共振周波数は418MHzであった。このアンテナを整合回路により共振周波数を220MHzにしたときの放射効率は−27.8dBであり、不平衡給電型アンテナとして機能した。
平板状の銅製のアンテナ導体22のみでアンテナとし、同様のシミュレーションを行った。その結果、共振周波数は900MHzで、整合回路により共振周波数を220MHzにしたときの放射効率は−25.7dBであった。すなわち、不平衡給電型アンテナとして機能はするが、上記アンテナより放射効率が低く、波長短縮効果が得られないことが確認された。
また、接地板14と複合磁性体31との距離d1を0mmとし、アンテナ33と接地板14が接触している配置についてシミュレーションを行った。その結果、アンテナ33と接地板14との間に電磁界が形成される空間を確保することができないために、共振が起こらず、不平衡給電型アンテナとして機能しなかった。
さらに、接地板14とアンテナ導体32との距離d2を1.2mm(d1=0.2mm)とし、アンテナ33と接地板14が極めて近い位置にある配置についてシミュレーションを行った。その結果、アンテナ33と接地板14との間に電磁界が形成される空間を確保することができないために、共振が起こらず、不平衡給電型アンテナとして機能しなかった。
すなわち、平板状のアンテナ導体32に角柱状の複合磁性体31が装荷され、平板状のアンテナ導体32が角柱状の複合磁性体31の表面に配置されているアンテナ33を、アンテナ導体32と接地板14との間に複合磁性体31が位置し、アンテナ33と接地板14とが間隔をおいて、接触しないように配置することにより、波長の短縮効果が得られ、しかも放射効率が向上することが確認された。
「第三実施形態」
図5は、第三実施形態に係る不平衡給電型アンテナ40を示す図である。図5(a)は、本実施形態の不平衡給電型アンテナをY軸方向に見た図、図5(b)は、本実施形態の不平衡給電型アンテナをZ軸方向に見た図である。また図5(b)にはXY面に平行な面で切断したときのアンテナの断面図も示されている。
本実施形態の不平衡給電型アンテナ40は、平板状のアンテナ導体42と、アンテナ導体42に装荷された角柱状の複合磁性体41とからなるアンテナ43を有する。アンテナ43において、平板状アンテナ導体42が複合磁性体41の長手方向と平行な一側面(YZ面に平行な側面)に配置されている。アンテナ43の複合磁性体41の図示下面と対向するようにして接地板14が設けられている。アンテナ43の平板状アンテナ導体42に、給電点15が接続されている。
平板状アンテナ導体42としては、第一実施形態に係る平板状アンテナ導体22と同様の材質の導体を用いることができる。また複合磁性体41としては、第一実施形態に係る複合磁性体21と同様の材質及び形状を有する複合磁性体を用いることができる。
アンテナ43は、その長手方向が接地板14の主平面と互いに平行となるように接地板14上に配置されている。これにより、複合磁性体41と接地板14との距離d1と、平板状アンテナ導体42と接地板14との距離d2は同等の長さである。本実施形態において、距離d1、d2は、例えば2.0mmである。
さらに本実施形態では、平板状アンテナ導体42が複合磁性体41の端面に設けられていることで、平板状アンテナ導体42が接地板14と直接対向する位置に配置されている。これにより、平板状アンテナ導体42と接地板14との間に形成される電磁界が複合磁性体41を通過しない構成となる。その結果、複合磁性体31に起因する磁気損失を低減させることができる。したがって本実施形態によれば、放射効率が高く、しかも小型化が容易な不平衡給電型アンテナが提供される。
なお、接地板14とアンテナ導体42との距離d2を0mmとすると、アンテナ導体42と接地板14は電磁気的に一体になってしまうために、アンテナ導体となりうるものがなくなり、不平衡給電型アンテナとして機能しない。
また本実施形態の不平衡給電型アンテナ40においても、アンテナ43と接地板14との間に空間が設けられていることでアンテナの放射効率が向上する点は、先の第一実施形態と同様である。
「第四実施形態」
図6は、第四実施形態に係る不平衡給電型アンテナを示す図である。図6(a)は、本実施形態の不平衡給電型アンテナをY軸方向に見た図、図6(b)は、本実施形態の不平衡給電型アンテナをYZ面に平行な面で切断したときの断面図である。
本実施形態の不平衡給電型アンテナ70は、アンテナ導体72と、アンテナ導体72に装荷された角柱状の複合磁性体71とからなるアンテナ73を備えている。アンテナ73において、複合磁性体71の複数の面にそれぞれ平板状アンテナ導体72が配置されており、全体として帯状のアンテナ導体を構成している。アンテナ73の下面(+Z側の面)と対向する位置に接地板14が設けられている。アンテナ73の平板状アンテナ導体72には給電点15が接続されている。
アンテナ73は、図示しない支持体により接地板14上の空間に支持されている。アンテナ73と接地板14とは互いに接触しないように配置されている。
アンテナ73の平板状アンテナ導体72は、角柱状の複合磁性体71の六面のうち、上下面(XY面に平行な面)と、2つの端面(XZ面に平行な面)に配置されている。平板状アンテナ導体72の各面に配置された部位は、それぞれ隣り合って配置された部位と接続されている。
本実施形態では、平板状アンテナ導体72のうち、複合磁性体71の下面(接地板14と対向する面)に設けられた部位における+Y側の端部に給電点15が接続されている。すなわち、平板状アンテナ導体72は、給電点15との接続位置から、複合磁性体71を垂直方向に一周するように巻き付けられている。
平板状アンテナ導体72としては、第一実施形態に係る平板状アンテナ導体22と同様の材質の導体を用いることができる。また複合磁性体71としても、第一実施形態に係る複合磁性体21と同様の材質及び形状を有する複合磁性体を用いることができる。
本実施形態では、アンテナ73において、平板状アンテナ導体72が複合磁性体71の表面に配置されているのに加えて、平板状アンテナ導体72の一部と接地板14とが直接対向する位置に配置されている。これにより、平板状アンテナ導体72と接地板14との間に形成される電磁界が複合磁性体71を通過しない構成となるので、複合磁性体71に起因する磁気損失を低減させることができる。したがって本実施形態によれば、放射効率をさらに高めた不平衡給電型アンテナが提供される。
また本実施形態の不平衡給電型アンテナ70においても、アンテナ73と接地板14との間に空間が設けられていることでアンテナの放射効率が向上する点は、先の第一実施形態と同様である。
「第五実施形態」
図7は、第五実施形態に係る不平衡給電型アンテナを示す図である。図7(a)は、本実施形態の不平衡給電型アンテナをY軸方向に見た図、図7(b)は、本実施形態の不平衡給電型アンテナをZ軸方向に見た図である。また図7(b)にはXY面に平行な面で切断したときのアンテナの断面図も示されている。
本実施形態の不平衡給電型アンテナ80は、アンテナ導体82と、アンテナ導体82に装荷された角柱状の複合磁性体81とからなるアンテナ83を有する。アンテナ83において、複合磁性体81の複数の面にそれぞれ平板状アンテナ導体82が配置されており、全体として帯状のアンテナ導体を構成している。アンテナ83の下面(+Z側の面)と対向する位置に接地板14が設けられている。アンテナ83の平板状アンテナ導体82には給電点15が接続されている。
アンテナ83は、図示しない支持体により接地板14上の空間に支持されている。アンテナ83と接地板14とは互いに接触しないように配置されている。
アンテナ83の平板状アンテナ導体82は、角柱状の複合磁性体81の六面のうち、左右の側面(YZ面に平行な面)と、2つの端面(XZ面に平行な面)に配置されている。
平板状アンテナ導体82の各面に配置された部位は、それぞれ隣り合って配置された部位と接続されている。
本実施形態では、平板状アンテナ導体82のうち、複合磁性体81の一方の側面に設けられた部位における一端部(+Y側の端部)に給電点15が接続されている。そして、平板状アンテナ導体82は、給電点15との接続位置から、複合磁性体81を水平方向に一周するように巻き付けられている。
平板状アンテナ導体82としては、第一実施形態に係る平板状アンテナ導体22と同様の材質の導体を用いることができる。また複合磁性体81としても、第一実施形態に係る複合磁性体21と同様の材質及び形状を有する複合磁性体を用いることができる。
本実施形態では、アンテナ83において、平板状アンテナ導体82が複合磁性体81の表面に配置されているのに加えて、平板状アンテナ導体82の少なくとも端部(+Z側の端部)が、接地板14と直接対向するように配置されている。これにより、平板状アンテナ導体82と接地板14との間に形成される電磁界が複合磁性体81を通過しない構成となるので、複合磁性体81に起因する磁気損失を低減させることができる。したがって本実施形態によれば、放射効率をさらに高めた不平衡給電型アンテナが提供される。
ここで、アンテナ83と接地板14が接触している配置については、アンテナ83と接地板14との間に電磁界が形成される空間を確保することができないために、共振が起こらず、不平衡給電型アンテナとして機能しない。
また本実施形態の不平衡給電型アンテナ80においても、アンテナ83と接地板14との間に空間が設けられていることでアンテナの放射効率が向上する点は、先の第一実施形態と同様である。
[通信装置]
図8は、通信装置の一実施の形態である携帯情報端末を示す図である。図8(a)は、本実施形態の携帯情報端末の外観図、図8(b)は、本実施形態の携帯情報端末の内部構造を示す図である。
本実施形態の携帯情報端末100は、図8(a)に示すように、筐体101と、筐体101の一面に設けられた表示部102とを備えている。携帯情報端末100の筐体101の内部には、図8(b)に示すように、先の実施形態の不平衡給電型アンテナ20が収容されている。すなわち、筐体101内に、接地板14と、アンテナ23とが収容されている。図8(b)では、接地板14の背面側にアンテナ23が配置されている。アンテナ23の平板状アンテナ導体22と接地板14とが対向して配置されている。
なお、本実施形態の不平衡給電型アンテナの携帯情報端末への装着形態は特に限定されず、公知の不平衡給電型アンテナと同様の形態を採用すればよい。
また本実施形態では第一実施形態の不平衡給電型アンテナ20を備えた例について説明したが、携帯情報端末100は、第一実施形態から第五実施形態のいずれの不平衡給電型アンテナを備えていてもよい。
本実施形態の携帯情報端末100に備えられた不平衡給電型アンテナは、平板状アンテナ導体に複合磁性体が装荷されており、かつ平板状アンテナ導体が複合磁性体の表面に配置されたアンテナを備えていることで、複合磁性体に起因する磁気損失を低減することができる。したがって、本実施形態の携帯情報端末100は、高いアンテナ効率を有するアンテナを備えた携帯情報端末となる。
また本実施形態の携帯情報端末100に備えられた不平衡給電型アンテナは、平板状アンテナ導体に複合磁性体が装荷されており、かつ平板状アンテナ導体が複合磁性体の表面に配置されたアンテナで、かつアンテナと接地板とが接触されていないので、小型で放射効率の高い不平衡給電型アンテナである。したがって、本実施形態によれば、小型でアンテナの放射効率が高い携帯情報端末が提供される。
なお、本発明に係る通信装置としては、電磁波を介して各種情報の送信、受信、送受信のいずれかを行う装置であればよく、本実施形態の携帯情報端末に限られるものではない。例えば、パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末、スマートフォン等の多機能携帯用情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の通信機器、オーディオ機器、ビデオ機器、カメラ機器等の各種電子機器等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
「複合磁性体の作製」
「第1の工程」
Ni78質量%−Fe22質量%のNi−Fe合金からなる平均粒径0.3μmの球状の磁性体粒子200gを、界面活性剤として窒素含有のグラフトポリマーを溶解したキシレン800gに混合し、スラリーを作製した。
次いで、密閉容器として、循環密閉型で容器体積が5Lのサンドミル ウルトラアペックスミルUAM−5(寿工業社製)を用い、この密閉容器内に、分散媒体として平均粒径50μmのジルコニアビーズを投入し、次いで、上記のスラリーを投入し、密閉容器内を隙間なく満たした。
この状態で、一軸回転体の径方向の外周端付近の流速が10m/秒以上となるような回転数で攪拌し、扁平状の磁性体粒子を作製した。この磁性体粒子の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、扁平状の磁性体粒子の50個の平均の厚みは0.2μm、平均長径は1.9μmであり、個々のアスペクト比の平均値は9.5であった。
また、この走査型電子顕微鏡像(SEM像)の視野内では、球状の磁性体粒子や、厚みが0.01μm以上かつ10μm以下、長径が0.05μm以上かつ20μm以下、かつアスペクト比が5以上の範囲から外れた磁性体粒子は、実質的に認められなかった。
「第2の工程」
次いで、得られた磁性体粒子を乾燥して溶媒を散逸させた後、この磁性体粒子の所定量を、ポリスチレン樹脂をトルエンに溶解して得られる樹脂溶液に添加して撹拌混合した。ここでは、磁性体粒子とポリスチレン樹脂との合計の体積中に、磁性体粒子が40体積%となるように混合した。
「第3の工程」
このようにして得られた混合物を、ドクターブレード法により100mm角、厚み600μmの正方形状のフィルムに成形した。
次いで、このフィルムを大気中、80℃にて20分間乾燥し、厚みが100μmのドライフィルムとした。次いで、このドライフィルムを所定の枚数重ねて、減圧プレス装置にてプレス焼成を行った。プレス条件は、常圧のまま90℃まで20分で昇温させ、その後2MPaの圧力を加えて10分間保持し、実施例1の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の200MHzにおけるμr’、tanδμ、ε’、tanδεをマテリアルアナライザー E4991A型(Agilent Technologies社製)にて測定した。その結果、μ’は10.29、μ”は0.41、tanδμは0.04、ε’は20.4、ε”は0.59、tanδεは0.029であった。
「アンテナの作製」
実施例1の複合磁性体を切断加工して、長さ90mm、幅4mm、厚み0.5mmの複合磁性体を得た。この複合磁性体の表面に長さ90mm、幅2mm、厚み0.03mmの銅箔をアンテナ導体として配置して、アンテナを作製した。
次いで、このアンテナを用いて、図3に示す不平衡給電型アンテナを作製し、実施例1の不平衡給電型アンテナを得た。この不平衡給電型アンテナでは、接地板14とアンテナ導体22との距離d2を2.5mm(複合磁性体21と接地板14との間隔d1は2.53mm)とした。
このアンテナ導体22と給電点15の間に、直列で117nHのインダクタLvを、並列で15nHのインダクタLpを組み込んで、アンテナの共振周波数を200MHz近傍に合わせるための整合回路を構成した。
ネットワークアナライザー N−5230C型(Agilent Technologies社製)にて、S11としてこの不平衡給電型アンテナの共振周波数を測定したところ、196MHzであった。
この不平衡給電型アンテナの196MHzにおける最大放射効率を、ログペリアンテナ D−69250型(schwarzbeck社製)を受信アンテナとして、ネットワークアナライザー 8510C型(HEWLETT PACKARD社製)にて、S21として測定した。その結果、−25.5dBであった。
[比較例1]
長さ90mm、幅2mm、厚み0.03mmの銅箔をアンテナ導体として、複合磁性体を有さないアンテナを作製した。
次いで、このアンテナを用いて、図3に示す不平衡給電型アンテナを作製し、比較例1の不平衡給電型アンテナを得た。この不平衡給電型アンテナでは、接地板14とアンテナ導体12との距離d2を2.5mmとした。
このアンテナ導体と給電点15の間に、直列で164nHのインダクタLvを、並列で15nHのインダクタLpを組み込んで、アンテナの共振周波数を200MHz近傍に合わせるための整合回路を構成した。
実施例1と同様にこの不平衡給電型アンテナの共振周波数を測定したところ、193MHzであった。次いで、この不平衡給電型アンテナの193MHzにおける最大放射効率を実施例1同様に測定したところ、−27.6dBであった。
実施例1と比較例1の比較により、複合磁性体をアンテナ導体に装荷させることにより、最大放射効率が2.1dB改善されているのが確認された。
14,24…接地板、20,30,40,70,80…不平衡給電型アンテナ、21,31,41,71,81…複合磁性体、22,32,42,72,82…平板状アンテナ導体、23,33,43,73,83…アンテナ

Claims (5)

  1. 平板状アンテナ導体と、前記平板状アンテナ導体に装荷された複合磁性体とを有するアンテナであって、
    前記複合磁性体は、平均厚みが0.01μm以上かつ10μm以下、平均長径が0.05μm以上かつ20μm以下、かつ平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上である平板状磁性体粒子と絶縁材料とを含み、
    前記平板状アンテナ導体が前記複合磁性体の表面に配置されていることを特徴とするアンテナ。
  2. 前記複合磁性体の気孔率が20%以下であることを特徴とする、請求項1記載のアンテナ。
  3. 請求項1又は2記載のアンテナと、接地板とを有し、
    前記アンテナが前記接地板の近傍に非接触状態で配置されていることを特徴とする、不平衡給電型アンテナ。
  4. 前記アンテナが、平面視で前記接地板と重なる位置に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の不平衡給電型アンテナ。
  5. 請求項1若しくは請求項2に記載のアンテナ、又は、請求項3若しくは請求項4に記載の不平衡給電型アンテナを備えたことを特徴とする、通信装置。
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