JP2014063151A - 顕微鏡用照明光学系およびこれを用いた顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】物体面の走査や高度に制御された照明系を必要とすることなく、高品質なセクショニング効果が得られる3次元蛍光顕微鏡に好適な照明光学系を提供する。
【解決手段】照明光学系は、物体面101に配置された試料を観察する顕微鏡において該物体面を照明する。該照明光学系の瞳面に、互いにコヒーレントな複数の光源領域A,B,Cが互いに離れて配置され、該複数の光源領域のそれぞれの中心cA,cB,cCと該照明光学系の瞳の中心cPとの距離dA,dB,dCとの距離のうち、少なくとも1つの距離を他の距離と異ならせる。
【選択図】図16

Description

本発明は、顕微鏡において試料を照明する顕微鏡用照明光学系に関し、特に3次元蛍光顕微鏡に好適な顕微鏡用照明光学系に関する。
顕微鏡、特に蛍光顕微鏡による生体試料の観察は、医学への応用を含む生物学的研究にとって不可欠である。ただし、通常の蛍光顕微鏡で厚みのある試料を観察すると、試料内部の光が透過した全ての高さ位置にある画像が重畳された画像が観察される。つまり、ピントが合っている高さ位置の平面(合焦平面)の画像以外に、ピントが外れた高さ位置にある平面(非合焦平面)のぼけ画像が重畳されて観察される。このように、通常の蛍光顕微鏡においては、所望の合焦平面の画像だけを選択的に分離して取り出すことができない。所望の合焦平面の画像だけを選択的に分離して取り出す効果は、「セクショニング効果」と呼ばれている。
種々の機構に基づいてセクショニング効果が得られるように構成された蛍光顕微鏡は、3次元蛍光顕微鏡と称され、通常の蛍光顕微鏡とは区別される。セクショニング効果があると、任意の合焦面の画像を計算機上で積層して立体的な3次元画像を作り出すことができる。すなわち、これまで経験豊富な病理医等が脳内で行っていた細胞配置の立体視が、デジタル処理によって誰にでも行えるようになる。
代表的な3次元蛍光顕微鏡として、共焦点顕微鏡がある。これは、合焦平面から来る光の集光点にピンホールを配置することにより、所望の合焦平面から来る光のみを通過させ、非合焦平面から来る収束度合いの緩い光を遮蔽する方式である。この方式は、高いセクショニング効果を持つが、一度に撮像できる領域が点状に狭いため、試料の全領域を観察するためには走査が必要である。
一方、計算機による画像処理を援用してセクショニング効果を実現する方法として、構造化照明法がある(非特許文献1参照)。この方式では、物体面において照明強度が、例えば正弦波状に変化するような状況を作り、その位相をずらすことによって正弦波構造が平行移動した複数枚の画像を取得する。その後、計算機上でその複数枚の画像を処理することによりセクショニング効果を得る。この方式は、高い精度で位相、すなわち位置を制御された正弦波構造を作り出すことが必要である。
さらにランダムに生成されたスペックルを照明として利用する方法も知られている(特許文献1および非特許文献2〜6参照)。この方法もまた計算機による画像処理を用いるが、物体面の照明強度がランダムなスペックルに依存するため、最終画像に不均一な強度むらが発生することが避けられないという欠点を持つ。
米国特許公開2010/0224796号公報
M. A. A. Neil and T. Wilson, "Method of obtaining optical sectioning by using structured light in a conventional microscope," Opt. Lett. 22, 1905 (1997). C. Ventalon and J. Mertz, "Quasi-confocal fluorescence sectioning with dynamic speckle illumination," Opt. Lett. 30, 3350-3352 (2005). C. Ventalon and J. Mertz, "Dynamic speckle illumination microscopy with translated versus randomized speckle patterns," Opt. Express 14, 7198-7209 (2006). C. Ventalon, R. Heintzmann, and J. Mertz, "Dynamic speckle illumination microscopy with wavelet prefiltering," Opt. Lett. 32, 1417-1419 (2007). Daryl Lim, Kengyeh K. Chu, and Jerome Mertz,"Wide-field fluorescence sectioning with hybrid speckle and uniform-illumination microscopy," Opt. Lett. 33, 1819-1821 (2008). Daryl Lim, N.Ford,Kengyeh K. Chu, and Jerome Mertz,"Optically sectioned in vivo imaging with speckle illumination HiLo microscopy" Journal of Biomedical Optics. 16, 016014 (2011).
以上のことから、物体面の走査や高度に制御された照明系を必要とすることなく、高品質なセクショニング効果が得られる3次元蛍光顕微鏡の開発が望まれている。
本発明は、このような3次元蛍光顕微鏡を実現するために特に好適な照明光学系を提供する。
本発明の一側面としての照明光学系は、物体面に配置された試料を観察する顕微鏡において該物体面を照明する照明光学系であって、該照明光学系の瞳面に、互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、該複数の光源領域のそれぞれの中心と該照明光学系の瞳の中心との距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なることを特徴とする。
なお、上記顕微鏡用照明光学系と、該顕微鏡用照明光学系により照明された試料を観察するための対物光学系とを有する顕微鏡も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明の照明光学系を用いることにより、物体面の走査や照明系に対する高度な精度を必要とすることなく、高品質なセクショニング効果が得られる3次元蛍光顕微鏡を実現することができる。
一様照明された物体Oを表す図である。 スペックル照明された物体Oを表す図である。 図1と図2の差分を表す図である。 図3中の点(x,y)の近傍における強度の空間分散値を計算する領域を模式的に表す図である。 σ(x,y,z)のx−y方向の不均一性を表す図である。 (a)はcomb関数状の照明光強度分布を実現するための瞳関数の例を表す図であり、(b)はその瞳関数を用いたときにできる実際の照明光強度分布を表す図である。 図6(a)の瞳関数を持つ照明光学系を用いたときに試料中のz=±2μmの平面にできる照明光強度分布を示す図である。 図6(a)の瞳関数を持つ照明光学系を用いて物体O2を照明した際に、試料中のz=0μmの平面で観察される蛍光強度分布を示す図である。 (a)は本発明の実施例1において瞳関数P2を示す図であり、(b)は該P2を持つ照明光学系を用いたときに試料中のz=0μmの平面における照明光強度分布を示す図である。 図9(a)の瞳関数を持つ照明光学系を用いて物体O2を照明した際に、試料中のz=0μmの平面で観察される蛍光強度分布を示す図である。 本発明の実施例の照明光学系の3次元蛍光顕微鏡における配置例を示す模式図である。 非特許文献5,6に記載のランダムスペックルを照明に用いる方法で得られた物体O2の像を表す図である。 本発明の実施例1における瞳関数P2を備えた照明光学系が形成する格子状照明を用いた場合の物体O2の像を表す図である。 本発明の実施例2で示された2つの光源点を持つ瞳関数とその瞳関数を持つ照明光学系を用いたときに試料中のz=0μmの平面における照明光強度分布を示す図である。 実施例2で示された2つの光源点を持つ瞳関数を備えた照明光学系が形成する縞状照明を用いた場合の物体O2の像を表す図である。 実施例の瞳関数を説明する図である。 通常の顕微鏡の概略図である。 照明ユニットの1番目の実施例の概略図である。 照明ユニットの1番目の実施例において、3つの光束を用いる構成を示す図である。 照明ユニットの2番目の実施例の概略図である。 照明ユニットの3番目の実施例の概略図である。 実施例4の遮光部材の概略図である。 実施例5の概略図である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施例である顕微鏡用照明光学系は、例えば、発光機構が蛍光または燐光である自家発光体としての試料を観察する3次元顕微鏡に適用することができる。顕微鏡のタイプとしては、落射型顕微鏡および透過型顕微鏡のいずれでもよい。
具体例として、実施例の顕微鏡用照明光学系は、デジタルスライドスキャナーに使用する被検サンプルである蛍光染色された試料を観察する顕微鏡に適用することができる。デジタルスライドスキャナーは、生物学や病理学的検査等で使用するプレパラートを高速でスキャンし、高解像度なデジタルデータに変換する装置である。さらに、実施例の顕微鏡用照明光学系は、例えば、開口数(NA)の大きな投影光学系を備えるデジタルスライドスキャナーや通常の蛍光顕微鏡にセクショニング効果を付与する手段として使用し得る。
まず、実施例の顕微鏡用照明光学系について詳しく説明する前に、従来用いられてきたスペックルを用いる方法の問題について説明する。
非特許文献5,6には、一様な強度で照明された画像1とスペックルで照明された画像2の2枚の画像を用いて、合焦平面にある蛍光物体の画像のみを抽出する方法が開示されている。それによれば、まず計算機により画像1と画像2の強度差を示す画像3を作成する。物体をスペックルで照明するためには、コヒーレントな励起光を光源に持つ照明光学系の瞳にすりガラス等のランダムな位相擾乱を与える物体を挿入すればよい。ここでは、説明を簡単にするために、蛍光物体の強度分布をO(x,y,z)として、O(x,y,z)=δ(z)であるようなものを考える。以下の説明では、蛍光物体の強度分布O(x,y,z)を物体Oと略称することがある。物体Oは、z=0の平面にだけ局所的に存在し、x−y方向は一様な強度分布を持つような仮想的な物体である。そして、z=0を合焦平面とする。また、z=±a(a>0)の平面を、非合焦平面の代表とする。
図1(a)は、一様な強度分布を持つ照明で物体Oを照明し、合焦平面にピントを合わせて観察したときに得られる画像である。この一様な強度分布を持つ照明によって撮影された像をIs(x,y,z)とする。また、図1(b)は、同様の照明で非合焦平面にピントを合わせて観察したときに得られる画像である。これらの画像が上述した画像1に相当する。
また、図2(a)はスペックルで物体Oを照明し、合焦平面にピントを合わせて観察したときにえられる画像である。また、図2(b)は、同様の照明で非合焦平面にピントを合わせて観察したときに得られる画像である。これらの画像が上述した画像2に相当する。
さらに、図3(a)は、図1(a)に示す画像の強度分布と図2(a)に示す画像の強度分布との差分を示す画像である。また、図3(b)は、図1(b)に示す画像の強度分布と図2(b)に示す画像の強度分布との差分を示す画像である。これらの画像が上述した画像3に相当する。
図1(a),(b)から明らかなように、通常の一様な照明を用いて撮像すると、実際に物体Oが存在するz=0にピントを合わせたとき得られる画像と、本来物体Oが存在しないz=±a(a>0)にピントを合わせたときに得られる画像とが全く同一で区別できない。これにより、通常の蛍光顕微鏡にはセクショニング効果がないことが分かる。
非特許文献5,6には、これらのデータから実際の蛍光物体の強度分布Oを反映したデータを抽出する方法が開示されている。具体的には、図3(a),(b)に示す画像を計算機に取り込んで、点(x,y)の近傍の領域(図4中に白枠で示す領域)の強度差の空間分散値σを計算する。そして、このようにして得られた分散値のマップσ(x,y,z)を作成する。このとき、図3(a),(b)から容易に想像できるように、合焦平面からの光を処理した画像に相当する図3(a)の画像では、白黒のコントラストが鮮鋭であるため、σ(x,y,0)は高い値となる。一方、非合焦平面からの光を処理した画像に対応する図3(b)に示す画像は、スペックル像のぼけによりコントラストがほとんどない画像である。このため、σ(x,y,a)はほぼ一様に0に近い値となる。
したがって、以下の式(1)を用いてI(x,y,z)を計算すれば、I(x,y,z)はσ(x,y,z)によってセクショニング効果を獲得した画像となる。すなわち、I(x,y,0)は値を持つが、I(x,y,a)はほとんど値を持たない。
I(x,y,z)=Iu(x,y,z)・σ(x,y,z) ...(1)
ここで、Iu(x,y,z)は、高さzの位置に焦点が合うように通常の一様な照明を用いて撮像された画像である。
このようにして、実際の物体Oに近い画像を計算機上で再構成できる。しかし、この方法には、照明として本質的にランダム現象であるスペックル現象を利用するため、不可避な欠点を有する。以下、この欠点について説明する。
本来期待されるI(x,y,0)は、図1(a)に示すようなx−y方向に均質なIu(x,y,0)である。つまり、σ(x,y,0)もx−y方向に均質であることが期待される。しかし、実際には、σ(x,y,0)が決してx−y方向に均質とならないことを図5に示す。これはスペックルが一様な分布をしていないことに起因する、いわゆる照明むらであって、これが最終的なI(x,y,0)の画質を大きく劣化させる。
そこで、本実施例では、この照明むらによる画質劣化を防止しつつ、セクショニング効果を持った照明方法を提供する。以下、その原理について説明する。
本実施例は、以下の数学的事実に立脚している。一般に、式(2)で表される関数を、comb関数という。
comb(x,y)=Σδ(x−mp)δ(y−np) ...(2)
ここで、δはディラックのデルタ関数を表し、pは無限大の値をとる点同士の座標軸に沿った方向の間隔(ピッチ)である。また、和記号は、−∞<m,n<∞の整数でとる。
このcomb関数に関する数学的事実は、式(3)で示すように、そのフーリエ変換もまた、ピッチが1/pのcomb関数となっていることである。
F[comb(x,y)](f,g)=Σδ(f−m/p)δ(g−n/p) ...(3)
ここで、Fはフーリエ変換を表す記号であり、f,gはそれぞれx,yに対応する空間周波数を表す。
一般に、光学系の瞳における振幅分布P(f,g)(瞳関数)をフーリエ変換したものが像面での振幅分布になる。光学系が照明光学系である場合、像面での振幅分布の絶対値二乗が、試料物体を照明する光の強度分布となる。そこで、照明光学系のP(f,g)をcomb関数状にしておけば、comb関数状の照明光が実現することが期待される。comb関数状の照明光は、物体面上において均一のピッチで均一の強度の光が分布しているものであるから、照明むらが発生することがないと期待される。
非特許文献5,6には、物体面上での照明光のピッチができるだけ細かい方が図4で示されるσの計算領域を小さくできるため、水平方向の解像性能が良くなることが記載されている。したがって、照明光学系の瞳面上におけるピッチは可能な限り大きい方がよい。実際には、光学系の瞳は有限の大きさしか持たないため、式(3)で表されるようなf−g方向に無限に続くような照明を実現することはできない。しかしながら、comb関数の最小構成単位だけを瞳面上の振幅分布として採用しても、照明むらのない照明光を実現できる。
このことを図6を用いて示す。図6(a)は、P(f,g)として、式(2)で示されるcomb関数に表れる最小の正方形を採用した照明を示す。また、図6(b)はそのときに物体面上にできる照明強度である。ここで、使用波長λ=500nm、開口数NA=0.7である。また、照明光学系の瞳は、半径を1として規格化したものを用いており、このときの振幅を持つ位置の座標は、
(1/√2,1/√2)
(-1/√2,1/√2)
(-1/√2,-1/√2)
(1/√2,-1/√2)
である。
図6(b)に示すように周期的な照明光で照明された物体に前述したσ(x,y,0)を計算する方法を用いれば、照明むらがないため、非常に均一性の高いσ(x,y,0)が得られる。
しかし、図6(a)に示すように与えられる照明には大きな欠点がある。このような照明光学系の瞳関数P(f,g)を用いたとき、像面(すなわち物体面)から離れた場所での照明分布はほとんどぼけないことが知られている。その様子を図7に示す。
図7は、z=±2.0μmの位置での照明光の分布を示す。図7を図6(b)と比較すると、ほとんどぼけが確認できないことが分かる。このような状況下で問題となる事態を説明するために、物体O2(x,y,z)=δ(z+1)+δ(z−1)を考える。zの単位はμmとする。
物体O2を撮像する場合には、もちろんz=0で強度を持ってはならない。もし強度を持ったとしても、それはz=±1における画像の強度よりも非常に低いものであることが必要である。
今、物体O2の上側のz=1に位置する蛍光物体も下側のz=−1に位置する蛍光物体もほぼ同様の照明形状で照明したとする。ところが、図6(a)に示すように与えられる照明はそのぼけ量が小さい。このため、z=0の位置に上側の蛍光物体から来るcomb関数状の蛍光と下側の蛍光物体から来るcomb関数状の蛍光とがぴったり重なり合って非常にコントラストの高い光強度分布が形成される。このz=0において形成される光強度分布を、図8に示す。前述したようにコントラストの高い状態は、σ(x,y,0)の値を高止まりさせる。結果として、本当は物体O2の存在しないはずのz=0の位置にあたかも蛍光物体が存在するかのような画像が得られてしまう。
そこで、本実施例では、この問題を解決するための照明光学系の瞳面上での瞳関数(振幅分布)P(f,g)として、図9(a)に示すP2(f,g)を用いる。P2(f,g)は、照明光学系の半径1で規格化された瞳面での直交座標系において、以下の座標で示す瞳内の3点または該3点が作る三角形と相似な三角形の3頂点に、互いにコヒーレントな点光源を配置することを特徴とする。
(−1/√2+a,1/√2+b)
(−1/√2+a,−1/√2+b)
(1/√2+b,−1/√2+a)
これら座標中のa,bは実数である。
言い換えれば、瞳関数P2(f,g)では、図16に示すように、照明光学系の瞳面に互いにコヒーレントな複数の光源領域A,B,Cが互いに離れて配置されている。そして、該複数の光源領域A,B,Cのそれぞれの中心cA,cB,cCと該照明光学系の瞳の中心cPとの距離dA,dB,dCのうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なる。ここにいう光源領域は、微小な領域を有するとみなせる点光源も含む。また、光源領域は、瞳の半径に対する大きさの割合が0.3未満の領域であることが好ましい。少なくとも1つの距離が他の距離と異なるとは、すべての距離が異なっていてもよいし、1つの距離のみが他の2以上の同じ距離と異なっていてもよいという意味である。
瞳関数(振幅分布)P2(f,g)を用いて実際にできる物体面上での格子状の照明光強度分布を図9(b)に示す。瞳面上の振幅を持つ3点を結んでできる直角二等辺三角形もcomb関数の繰り返し単位であるため、形成される照明形状も図6(b)に示す照明強度と似通ったものになる。それぞれのスポットの形状は若干楕円形に近い形状をしているが、照明むらは全くない。このように複数のコヒーレント光源を原点(瞳の中心)に対して意図的に非対称に配置したP2の効果は、照明光を斜入射させるために、zが変化すると照明光の強度分布が横ずれすることに現れる。
この効果を検証するため、再び物体O2の上側のz=1に位置する蛍光物体と下側のz=−1に位置する蛍光物体がそれぞれP2により形成される照明によって位置ずれして照明される状況を考える。この状況では、z=0の位置において上側の蛍光物体から来る蛍光と下側の蛍光物体から来る位置ずれした蛍光とが、ぴったり重なり合わずにずれて重なることで、非常にコントラストの低い光強度分布が形成される。その様子を図10に示す。図10を図8と比較すると、図10の方がコントラストの低い画像になっている。従って、本実施例によれば、z=0付近の本来物体が存在しない領域が不用意に解像してしまうことを抑えられることが分かる。
以上説明した本実施例の照明方法(つまりは照明光学系)によれば、非特許文献5,6にて開示された方法と合わせて用いることで、強度むらのない良好な画像が、長時間を要する走査を行うことなく得られる。
次に、3次元蛍光顕微鏡における本実施例の照明光学系の好適な配置例を図11を用いて説明する。図11において、100は落射型3次元蛍光顕微鏡である。
110は照明光学系であり、対物レンズ102およびイメージセンサ(撮像素子)103により構成される顕微鏡本体に対して付加することができる構成を有する。101は物体面に配置された物体(試料)である。
照明光学系110において、111はコヒーレントな光源であり、蛍光試料を励起できる波長のレーザ等を用いることができる。112は回折格子、プリズムまたは光ファイバ等の光学素子であり、光源111から発せられた1本のビームを複数本(例えば、3本)に分ける作用を有する。光学素子112は、上記回折格子やプリズム等に限られず、照明光学系110の瞳面113に対して本実施例が特徴とする瞳関数形状を実現できるものであればどのようなものでもよい。本実施例における瞳関数形状の形成方法は、顕微鏡または半導体露光装置に関する技術者にとっては容易な方法により実現可能であり、例えば、計算機生成ホログラム(CGH)を利用することができる。
分けられたビームはダイクロイックミラー114を介して対物レンズ(対物光学系)102を通過し、物体101を格子状の照明光強度分布によって照明する。物体101から出た蛍光は、対物レンズ102を通過した後、ダイクロイックミラー114を通過し、さらに対物レンズ102を通過してイメージセンサ103上に結像する。イメージセンサ103による撮像によって得られ、不図示のモニタに表示された画像が観察者によって観察される。
以上の説明においては、照明光学系の瞳面上の点光源は3点としたが、点光源数は3点に限定されない。点光源数が3点であるとき、物体101には、各点光源の位置に対応した入射角を持つ3つの光束が照射され、図9bに示されるような格子状のパターンが生成される。実施例2においてさらに詳しく説明するように、点光源数が2点であっても本発明の方法は問題なく実施できる。
照明光学系の瞳面上における振幅分布P(f,g)として、2つの点光源を採用した場合、物体101には図14bで示されるような縞模様が生成される。図14aで示すように、2点の点光源が瞳中心に対して非対称に配置されているため、フォーカス座標zが変化すると縞模様の強度分布が横ずれする。このことは、既に説明した非対称な3つの点光源の場合と同様である。従って瞳中心に対して対称でない2つの点光源を設定した場合も非対称な3つの点光源の場合と同様に強度ムラのない良好なセクショニング画像を得ることができる。
以下、照明光学系の瞳面に互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、複数の光源領域のそれぞれの中心と該照明光学系の瞳の中心との距離のうち少なくとも1つの距離が他の距離と異なることで得られる照明光の強度パターンをまとめて非対称構造照明と呼ぶ。
以上、本発明の実施形態の概略を説明した。本発明を適用すれば、通常の蛍光顕微鏡に対して、非対称構造照明と一様な強度分布を持つ照明の両方を実現するための照明ユニットを取り付けることで高品質なセクショニング効果をもつ3次元蛍光顕微鏡システムを構築する事ができる。また、照明ユニットは簡単かつ原状復帰が可能な改造を通常の蛍光顕微鏡に施すだけで実現できる。以下、この照明ユニットの具体的な実施形態について説明する。
3次元蛍光顕微鏡を実現するためには(a)実質的に一様な強度分布を持つ励起光で照明した時の(以後、単に一様照明と呼ぶことがある)蛍光試料の像1と(b)非対称構造照明による蛍光試料の像2を各々撮影、取得する必要がある。
そこでまず、非対称構造照明を実現する照明ユニットの構成および手段を述べる。蛍光画像はCCDなどのイメージセンサを用いて取得されるものとし、通常の蛍光顕微鏡は、カメラポートを複数持つことが一般的であるため、以下の説明でもカメラポートが複数存在することを前提とする。また接眼観察系は、以下の説明において本質的役割を果たさないため図内の記載および説明を省略する。
図17は通常の蛍光顕微鏡の構造概略図である。なお、以下の説明において、共通する部材には共通する番号を付す。また同じ機能を有する異なる部材についても同一の番号を付すことがある。
水銀ランプ、レーザなどの励起光源(不図示)からの励起光301(点線)は、通常の蛍光顕微鏡200の内部に導かれ、励起光用フィルタ201を通って所定の波長域を持つ光束となり、ダイクロイックミラー114に到達する。ダイクロイックミラー114は、蛍光試料の励起波長と蛍光の波長の概ね中間にあたる波長よりも短波長の光を反射し、反対に長波長の光を透過する。従って励起光301はダイクロイックミラー114により反射され、対物レンズ102−Aを通って、物体101に照射される。物体101から発せられた蛍光302(実線)と、物体101によって反射・散乱された励起光303(1点鎖線)が対物レンズ102−Aを通ってダイクロイックミラー114に達する。ダイクロイックミラー114において蛍光302のほとんどは透過し、蛍光用フィルタ203に達するが、物体101によって反射・散乱された励起光303のほとんどは反射される。
なお、励起光用フィルタ201とダイクロイックミラー114および蛍光用フィルタ203の3部材は、3体で1つのユニットとして構成され、ターレットなどで回転して着脱、交換可能になっている場合がほとんどである。
蛍光用フィルタ203を透過した蛍光302は、折り曲げミラー202を経て、結像レンズ102−Bを通り、ハーフミラー204で光路を2つに分割される。その一部は第1のカメラポート211に導かれ、そこに設置されたCCDなどのイメージセンサ103上に結像する。残りは第2のカメラポート212に達する。第1および第2のカメラポート211、212は、物体101に共役な位置に設けられており、イメージセンサ103の像面は物体101と共役な面に設置される。該第1および第2のカメラポート211、212の内部にある物体101と光学的に共役な面を以降、カメラポート内共役面などと呼ぶ。
通常の蛍光顕微鏡を含む最近の大多数の顕微鏡は無限遠補正方式を採用しており、試料からの蛍光は対物レンズで平行光束となり、結像レンズまで平行光束の形で伝搬し、結像レンズで集光される仕組みとなっている。また、一般に顕微鏡は像側、物体側ともにテレセントリックな光学系である。以上の条件により、無限遠補正方式を採用する顕微鏡においては、試料は対物レンズの前側焦点に位置するときに合焦していることになり、結像レンズの後側焦点に結像する。また対物レンズの後側焦点と結像レンズの前側焦点の位置は一致している。カメラポート内共役面と結像レンズの後側焦点は、光軸方向の位置が一致している。
物体上に非対称構造照明を実現するためには、励起光を所定の入射角を持つ互いにコヒーレントな複数の光束に分割し、かつ複数の光束が物体面において重なりあう干渉領域をつくることが必要である。以下、互いにコヒーレントな光束を単に光束と呼ぶことがある。既存の通常の蛍光顕微鏡に対してこのような非対称構造照明を実現する際、どこから励起光を入射させるかが問題になるが、本発明では前述したようにカメラポートを持つ通常の蛍光顕微鏡では、カメラポート内共役面と物体面が共役の関係にあることに注目する。
特に、第1のカメラポート211にCCDなどのイメージセンサ103を配置し、第2のカメラポート212から非対称構造照明用の複数の光束に分けられた励起光を入射させることを考える。そうすると、該複数の光束に分けられた励起光を第2のカメラポート212から顕微鏡内に入れ、結像レンズ102−B、対物レンズ102−A、物体101というように、通常の物体の結像と逆の光路を辿らせて、試料に励起光を照射することができる。カメラポートと試料が共役な位置にあることから、入射した複数の光束がカメラポート内共役面で重なっていれば、それらは物体面でも重なりをもち、互いに干渉し合って非対称構造照明を実現することが保証される。
非対称構造照明のパターンのピッチは、複数の光束の物体面への入射角によって規定される。これらの角度は、カメラポートに入射する複数の光束の光軸に対してなす角度により規定できる。具体的には、カメラポート内共役面に対する物体の結像倍率をmとし、各光束の物体面への入射角をθとすると、カメラポートに入射する光束の光軸に対してなす角度θは、
sinθ=sinθ/m
を満たすように決めればよい。
次に入射させる励起光の光学的性質について説明する。ここで非対称構造照明に用いる光源はコヒーレントであることが必要であるため、レーザ光源を用いるとよい。レーザ光源としては、励起波長域内に発振波長を持つ半導体レーザ、ガスレーザなどを使用する事が可能である。レーザ光についての重要な概念の一つにビームウエストがある。ビームウエストはレーザビームのビーム径が最小となる位置であり、レーザビームのビーム径は、ビームウエストでのビーム径よりも伝搬の前後で大きくなる。またレーザ光の波面の曲率半径は、ビームウエストにおいて極大(平面)となることが知られている。非対称構造照明の強度パターンへの歪みを軽減するため、複数の光束の各波面は物体面において平面になっていることが望ましい。従って非対称構造照明を形成するための複数の光束は、物体面上で各々ビームウエストを形成するような複数のレーザビームからなっているとよい。以上、通常の蛍光顕微鏡を用いて非対称構造照明を実現する方法と、好ましい条件について説明してきた。
次に複数の光束をつくる照明ユニットの構成と、照明ユニットを通常の蛍光顕微鏡に取り付けるために必要な改造について説明する。
図18は、非対称構造照明用の照明ユニットを通常の蛍光顕微鏡に取り付けて構成される3次元顕微鏡システムの概略図である。接眼観察系については、図内の記載および説明を省略する。図18は複数の光束が2つの光束からなり、縞状のパターンを物体面に投影する場合を例示的に想定している。
400は、照明ユニットであり、通常の蛍光顕微鏡200とは、第2のカメラポート212において、マウント部材500で接続されている。照明ユニット400内には蛍光試料を励起するためのレーザ光源111があり、レーザビーム301(点線)を発する。レーザビーム301は第1の光路調整系410に入射する。光路調整系410は、折り曲げミラー411〜414からなり、レーザビーム301はこの順番に4枚の折り曲げミラーで反射され、集光レンズ401に入射する。集光レンズ401およびコリメータレンズ402を通ったレーザビーム301は、第2の光路調整系420に入射する。
光路調整系420は、折り曲げミラー421〜424からなり、レーザビーム301はこの順番に4枚の折り曲げミラーで反射されたのち、マッハツェンダー光学系430に入射する。マッハツェンダー光学系430に入射したレーザビーム301は、ハーフミラー431で強度分割され2つのレーザビーム301−Aと301−Bに分かれる。レーザビーム301−Aは折り曲げミラー433で反射され、ハーフミラー434に至る。一方レーザビーム301−Bは、折り曲げミラー432で反射され、ハーフミラー434に達する。両レーザビーム301はハーフミラー434により、強度が半減する。その後レーザビーム301は、マウント部材500および第2のカメラポート212を通って通常の蛍光顕微鏡200内に入射する。
これ以降、2つのレーザビーム301−A、301−Bは、ハーフミラー204、結像レンズ102−B、折り曲げミラー202、対物レンズ102−Aを通って物体101に達する。ここでマッハツェンダー光学系430内のハーフミラー431、折り曲げミラー432、折り曲げミラー433、ハーフミラー434は、各々、不図示の角度調整機構を持つ。該角度調整機構によりマッハツェンダー光学系2つのレーザビーム301−A、301−Bが第2のカメラポート212において重なり合い、各々所定の入射角物体面を照射するように調整することができる。
ここからは、物体101上に形成されるビームウエストの好適なビーム径および該ビーム径を実現するための光学系のパラメータの設定について説明する。
物体101上のビーム径は、物体101上の照明領域を規定するものであり、観察領域を十分カバーする大きさである必要がある。対物レンズ102−Aの焦点距離をfobj、結像レンズ102−Bの焦点距離をftubeとすると物体101からイメージセンサ103までの結像倍率mはm=ftube/fobj で表される。イメージセンサ103の有効撮像領域の対角の長さの1/2を Wimageとし、物体101上での有効撮像領域の対角の長さの1/2 をWobjとするとWobj=Wimage/m となる。従って物体101上のビーム径をWimage/m もしくはそれ以上に設定することが必要になる。以下、物体101上のビーム径をWimage/mとして説明する。
ビームウエストの位置およびビームウエストでのビーム径は、レンズを通すことによって変換できる。レンズ透過前後のビームウエストにおけるビーム幅(1/e 半径)をそれぞれw、wとし、レンズ透過前後のビームウエストからレンズまでの距離をそれぞれd、dとする。また、レンズの焦点距離をf、レーザの波長をλとすれば式(4)の関係が成り立つ。 w = w ・f/{(f−d+(π・w /λ)
=f+(w/w・(d−f) …(4)
さらに、ビームウエストがwであるレーザビームのビームウエストから距離zだけ離れた位置でのビーム径をw(z)、その位置におけるビーム波面の曲率半径R(z)、ビームウエストから十分離れた位置でのビーム発散角(半角)をθwoとすれば、式(5),(6)の関係が成り立つ。
w(z)=w {1+(z・λ/(π・w ))}}
R(z)=z・{1+(π・w /(z・λ))} …(5)
θwo=λ/(π・w) …(6)
式(4)を用いてレンズの前側焦点位置にビームウエストを置いてレンズに入射させる場合を考える。これはd=fとおくことに相当し、式(4)の第2式により、d=fを得る。従って、レンズ透過後のビームウエスト位置はレンズの後側焦点位置に一致することが分かる。また、式(4)の第1式でd=fとおいて、変形するとw・w=f・λ/πの関係があることがわかる。
以上のことから、物体101上のビームウエストにおけるビーム径をWobjとするためには、対物レンズ102−Aの前側焦点に生成されるビームウエストでのビーム径をWobj−frontとして、
obj−front=fobj/・λ/(π・Wobj
の関係を満たさなくてはならない。
同様にして第2のカメラポート212におけるビームウエスト径Wport2は、
port2=ftube・λ/(π・Wobj−front
で規定される。
ここに元のWobj−frontの式を代入すると、
port2=ftube・λ/(π・fobj・λ/(π・Wobj))
=Wobj・ftube/fobj=Wobj・m=Wimage
となる。
このように物体面101で必要とされる照明領域をもとにして、それを実現するために各ビームウエストで達成されるべきビーム径を式(4)を用いて定めていくことができる。なお、上記式からわかるように結像倍率mを変えても第2のカメラポート212でのビーム径Wport2は変わらない。
ビームウエストの伝搬についてさらに説明する。レーザビーム301は、レーザ光源111の発光部においてあるビームウエスト径を持っている。レーザ光源はその光源ごとに異なった固有ビームウエスト径およびビームの発散角をもつ。これらビームウエスト径、波面、発散角の関係は、すでに説明した式(4)〜式(6)により定まる。具体的にいえば、多くのガスレーザのようにビームウエストがサブミリからミリメートル程度である場合、可視波長領域ではビームの開き角はミリラジアン単位である。これに対し、多くの半導体レーザではビーム径はミクロン単位であり、発散角は数10ミリラジアンから数100ミリラジアンとなる。
図18に示した構成は、レーザ光源111としてガスレーザのように発光部において比較的ビーム径が大きく、開き角が比較的小さい場合に好適な構成である。レーザ光源111から発せられたレーザビーム301は、第1の光路調整系410を通って所定の光路長を与えられた後、集光レンズ401により、集光され、前述の式(4)に従って集光レンズ401の焦点近傍にビームウエストを形成する。さらにコリメータレンズ402により第2のカメラポート212内共役面にビームウエストを形成する。このとき、第2のカメラポート212内共役面にビームウエストが形成され、該ビームウエストでのビーム径が前述したWport2となるように集光レンズ401とコリメータレンズ402の焦点距離および集光レンズ401とコリメータレンズ402間の間隔を調整する必要がある。この調整は光路調整系410内の折り曲げミラー412および413を平行移動することにより光路長を変更して行うことができる。同様に、光路調整系420内の折り曲げミラー422および423を平行移動することにより光路長を適切なものに調整する。
なお、前述したとおり、対物レンズ102−Aの焦点距離を変えて倍率を変えても第2のカメラポート212におけるビームウエストでのビームウエスト径は変える必要はない。このため、上に述べた集光レンズ401の焦点距離、コリメータレンズ402の焦点距離、レンズ間隔、光路長は、一度設定すれば以降変更の必要はない。しかし、試料を染色する蛍光染料の種類を変えた場合など、励起光源の波長が変わった場合や光源発光部のビーム径が変更された場合はこの限りではない。すなわち、集光レンズ401の焦点距離、コリメータレンズ402の焦点距離および集光レンズ401とコリメータレンズ402間の間隔を適切に設定し直し、第1および第2の光路調整系410,420を再調整する必要がある。このような状況に対応するため、コリメータレンズ402を焦点距離可変レンズとすると同時に集光レンズ401を光軸方向に移動可能にしておくとよい。
半導体レーザのようにレーザ光源の発光部の径が小さく発散角が比較的大きい場合は、図18中の集光レンズ401の位置に形成されるビームウエストを該半導体レーザの発光部と見立てる。そして、コリメータレンズ402以降の構成をそのまま用いることで、同様にビームウエストを設定することができる。光ファイバでレーザ光束を導光する場合も、ファイバ出口を集光レンズ401の位置に形成されるビームウエストと見立ててコリメータレンズ402以降の構成をそのまま用いることができる。
3本のレーザビームを用いる場合は、図18内のマッハツェンダー光学系430の代わりに図19に示す3分岐光学系を用いればいい。ここで461は、入射光束を反射が1/3、透過が2/3の強度比で分割するハーフミラーであり、462、465、467は通常のハーフミラーで、それ以外の463、464,466は折り曲げミラーである。
図18に戻り、照明ユニットを通常の蛍光顕微鏡に取り付けるために必要な改造について説明する。まず、図17で図示されている励起光用フィルタ201とダイクロイックミラー114および蛍光用フィルタ203を、ターレットを回転するなどしてはずす。次に蛍光用フィルタ203またはこれと同等の光学特性を持つフィルタをハーフミラー204と第1のカメラポート211の間に設置する。これにより、励起光であるレーザビーム301−Aおよび301−Bの物体101による反射光303をブロックし、イメージセンサ103に入射することを防ぐ。蛍光用フィルタ203は、イメージセンサ103の直前に取り付けることもできる。この改造は蛍光用フィルタ203の設置位置の変更に過ぎず簡単に行うことができる上、原状への復帰も容易となる。
次に、複数光束を得る別の構成について説明する。図20は、回折格子112により光束の分割を行う方式の実施形態を説明する図である。ここでの説明は、図18ですでに説明したマッハツェンダー光学系を用いた実施形態と異なる部分を重点的に説明し、共通する部分の説明は簡単に行うか省略する。
照明ユニット400は、図18で示した実施例と同様に、第2のカメラポート212のカメラポート内共役面にビームウエストを形成する。しかし、本実施例では、第2のカメラポート212の直前に回折格子112を配置することにより、レーザビーム301を2つのレーザビーム301−Aと301−Bに分割する。回折格子112は例えば厚さのある屈折率分布型回折格子で構成される。厚さのある屈折率分布型の回折格子では、素子内の屈折率は3次元的に変化する。屈折率の分布の仕方を最適化することにより、0次回折光と1次回折光にほとんどの光強度を等分し、それ以外の−1次などの回折次数の回折光に分配されるエネルギーを低く抑えるよう設定できることが知られている。1次回折光の回折角度は屈折率分布のピッチにより所望の角度に調整できる。
光源から射出された光束を複数に分割して第2のカメラポート212に入射させるためには、他にも可能な構成がある。図21に示す構成例も光束分割手段として回折格子を用いるが、既に図20を用いて説明されたものとは異なるタイプの構成例である。不図示のレーザ光源からの射出された光束は、不図示の集光レンズにより光ファイバ452に入射され、照明ユニット400に導かれる。光ファイバ452の出口から発散されたレーザ光束301は、コリメータレンズ402でほぼ平行光束となって回折格子112に入射し0次回折光束と1次回折光束に分かれる。該2つの光束は、集光レンズ404の焦点面113で集光されたのち第2のコリメータレンズ405で第2のカメラポート212のカメラポート内共役面にビームウエストを形成し、第2のカメラポート212から通常の蛍光顕微鏡200に入る。
なお照明ユニット400を構成する照明光学系の瞳面113では、第2のカメラポート212に入射する光束の入射角に対応した、異なった位置に各光束が集光する。
ここで集光レンズと第2のコリメータレンズからなる光学系により、回折格子112と第2のカメラポート212が共役となるように設定することができる。このように設定すれば分離された該2つの光束は、第2のカメラポート212で重ねることができる。また、平行光束を回折格子112に対して零でない角度で入射させるように設定すれば、物体101上に非対称構造照明を実現することができることは明らかである。
次に一様照明の実現方法について説明する。一様照明は、通常の蛍光顕微鏡が元来備えていた落射照明光学系を用いて実現することができる。しかしながら、3次元画像を構築するためにはフォーカス座標を少しずつ変えて撮った多数枚のセクショニング画像が必要である。これらの多数のセクショニング画像を取得するためには、非対称構造照明から一様照明(またはその逆)への頻繁な切り替えを行わなくてはならない。その切り替えが生じるたびに照明ユニットを取り外して蛍光顕微鏡を原状復帰し、元の落射照明光学系に戻すとしたら、時間的に大変不利である。そればかりか、光学フィルタ類とダイクロイックミラーが格納されたターレットを頻繁に操作し、これら光学素子の付け替えを行うと不要な振動や像ズレを発生させる要因にもなりかねない。
従って、逐一照明ユニットを外して顕微鏡を原状復帰させることにより一様照明を実現することは現実的ではない。そこで考えられる代替手段としては、複数の光束のうち、1つを除いて遮光しその光束だけが物体を照明するようにすること(第1の方法)や、偏光の自由度を活用して複数の光束が物体上で干渉しないようにすること(第2の方法)などが挙げられる。上記第1の方法は、たとえば図18中の光束301−Aを遮光する部材をハーフミラー431と折り曲げミラー433の間に設置することによって実現できる。該遮光部材(遮光素子)は、非対称構造照明と一様照明を切り替えるタイミングに従ってその挿入・退避を繰り返すような可動機材とともに使用することができる。上記第2の方法は、直線偏光したビームを用いる場合に好適である。例えば1/2波長板などの偏光素子を用いることにより、分割された2つのビームのうち、片方のビームの偏光方向をもう一方のビームの偏光方向に対して90度回転させれば、これら2つのビームはもはや物体面で干渉することなく、一様照明が実現できる。一様照明を実現するためのいずれの方法も後に実施例で具体的に詳しく説明する。
これまで説明してきた方法を用いれば、通常の蛍光顕微鏡に対して簡単かつ原状復帰容易な改造を施し照明ユニットを取り付ければ、高品質なセクショニング効果をもつ3次元蛍光顕微鏡システムを構築する事ができる。なお、非対称構造照明のパターンの位置ずれは、該パターンに周期性がある限り、最終的な画質に影響を及ぼさない。なぜなら、セクショニング効果を得るための計算機処理で必要とされるのは、画像の各点近傍で算出された強度分布の標準偏差値であるが、該各点近傍はパターンの一周期以上にわたる領域であるからである。
以下、瞳関数P2をもつ照明光学系を備えた蛍光顕微鏡の詳細について実施例1および2を、照明ユニットの具体的構成について、実施例3〜5を用いて説明する。
実施例1は、図11で示されるような構成を有する顕微鏡用照明光学系であって、光学パラメータとして、波長λ=500nm、NA=0.7を有する。物体としてはO2を採用する。該照明光学系の瞳関数P2は、図9(a)に示すように、瞳内に式(4)で示される3点または該3点が作る三角形と相似な三角形の3頂点に互いにコヒーレントな点光源を配置したものとして表される。式(4)中のa,bは、a=0.2、b=0.1である。
非特許文献5,6にて開示されたランダムスペックルを照明に用いる方法と本実施例の瞳関数P2を有する照明光学系が形成する格子状照明を用いる方法とを比較する。
図12には、ランダムスペックルを照明に用いる方法で得られた物体O2の像を示している。図12(a)は、像をy=0μmの平面で切断したときのx−z平面(断面)を示す。本来、蛍光物体があるはずのz=±1μmの位置に像が解像しているが、強度分布が不均一である。図12(b)は、z=1μmにおけるx−y平面での像を示す。全体的に照明むらが大きい様子が分かる。図12(c)は、像をx=y=0μmの直線で切断したときの断面を示す。z方向に強度が非対称であり、コントラストも0.4程度にとどまっている。図12(d)は、y=0μm、z=1μmの直線上における画像である。強度の不均一性が観察される。
一方、図13には、本実施例の瞳関数P2を有する照明光学系が形成する格子状照明を用いる方法による物体O2の像を示している。図13(a)は像をy=0μmの平面で切断したときのx−z平面(断面)を示す。本来、蛍光物体があるはずのz=±1μmの位置に像が解像しており、強度分布はおおむね均一である。図13(b)は、z=1μmにおけるx−y平面での像を示す。全体的に照明むらが低水準に抑制されている。図13(c)は、像をx=y=0μmの直線で切断したときの断面を示す。z方向において強度が対称であり、コントラストも0.7以上と十分に得られている。図13(d)は、y=0μm、z=1μmの直線上における画像である。強度はおおむね均一である。
実施例1においては照明光学系の瞳面上の点光源を3点とした場合について説明したが、本発明において点光源の数は3つである必要はなく、2つでもよいし4つ以上でもよい。このことを示すために、実施例2として、2点の点光源を用いて、セクショニング効果を持たせた例を示す。
本実施例での照明光学系の瞳関数を図14(a)に示す。ここでは、2つの点光源の瞳面上での座標は(0,0.9)、(0,−0.5)である。この瞳関数によって物体面に形成される照明光強度分布を図14(b)に示す。このような瞳関数は、図11中の光学素子112として回折格子等を用いて、コヒーレントな光源111としての点光源を2つに分離することによって容易に形成できる。この結果、物体面では二光束干渉によって縞模様が生じる。 図15は、本実施例の2つの点光源が配置された瞳関数を有する照明光学系が形成する格子状照明を用いる方法による物体O2の像を示している。図15(a)は、像をy=0μmの平面で切断したときのx−z平面(断面)を示す。本来、蛍光物体があるはずのz=±1μmの位置に像が解像しており、強度分布はおおむね均一である。図15(b)は、z=1μmにおけるx−y平面での像を示す。全体的に照明むらが低水準に抑制されている。図15(c)は、像をx=y=0μmの直線で切断したときの断面を示す。z方向において強度が対称であり、コントラストも0.7以上と十分に得られている。図15(d)は、y=0μm、z=1μmの直線上における画像である。強度はおおむね均一である。
このように、本発明においては、光源領域の数は2以上(複数)であればいくつでもよい。
実施例1,2の照明光学系を用いた3次元顕微鏡により256×256×256の画素数で撮像を行った場合に処理に要した時間は3.33GHzのCPUを搭載したワークステーションで1分以内である。専用のプログラムを作成し、並列分散環境やグラフィックアクセラレータ等のハード機器を最適化して用いれば、共焦点顕微鏡が走査に要する時間よりも短い時間で画像を得ることが十分可能である。
実施例3においては、以下に示す顕微鏡の倍率など具体的な数値(規定値)を使って、照明領域の設定とビームウエストおよびビーム径の設定に関する数値例を提示し、図22で示される構成が実施可能であることを示す。
・イメージセンサ103の対角の1/2の長さ:Wimage=4mm
・対物レンズ102−Aの焦点距離:fobj=4mm
・結像レンズ102−Bの焦点距離:ftube=160mm
・物体101からイメージセンサ103への結像倍率:m=40倍
・レーザ光源101の波長:λ=488nm
・集光レンズ401の焦点距離:f=15mm
・レーザ光源111発光部の半径:w=0.26mm
下に示す表1において、レーザ光源101の波長を除く光学パラメ―タの単位はmmである。以上のように規定値を決めると、その他の光学パラメータの値はこれらの規定値を用いて計算される。以下では、上記その他の光学パラメータの値が現実的な値となっていることを示す。本実施例で使用される数値例は表1においてまとめられており、表の上段は規定値、表の下段は規定値から定まる下記各パラメータの値を示している。
・レーザ光源111発光部から第1の光路調整系410を経て集光レンズ401へと至る光路長:d
・集光レンズ401の焦点付近に生成されるビームウエストのビーム径:w
・焦点距離が可変なコリメータレンズの焦点距離:f
・集光レンズ401と集光レンズ401の焦点付近に生成されるビームウエスト間との距離:d
・集光レンズ401の焦点付近に生成されるビームウエストとコリメータレンズ402との距離:d
・コリメータレンズ402から光路調整系420、マッハツェンダー系430を経て第2のカメラポート212のカメラポート内共役面へと至る光路長:d
・第2のカメラポート212のカメラポート内共役面に生成されるビームウエストのビーム径:Wport2
今、集光レンズ401とコリメータレンズ402との距離dを98.7754mm+15.2mmに設定する。このとき、レーザ光源111発光部から第1の光路調整系410を経て集光レンズ401へと至る光路長dを933.898mmに調整すれば、非対称構造照明がなされる領域は想定通りWimage=4mmで与えられる。
なお、図22における照明ユニット400と第2のカメラポート212との接続部分には、CマウントかTマウントなどの一般的なマウントが用いられることが多い。例えば接続にCマウントを用いた場合、光軸に垂直な方向の取り付け誤差は±0.1mm程度である。本実施例においては、非対称構造照明がなされる領域をWimage=4mmで規定しており、この値に対する取り付け誤差は2.5%程度の値である。Cマウントの光軸に垂直な方向の取り付け誤差が生じると、物体101においてイメージセンサ103で撮像される領域と非対称構造照明がなされる領域が水平方向にずれることになる。しかし画像の外側2.5%程度の領域に照明の不具合が起こっても通常は問題ない。一方、マウントによる接合に際して、光軸方向の誤差が生じる可能性も考えられる。今、光軸方向のずれを±0.1mm程度と仮定する。式(4)によって計算するとこの誤差により対物レンズ102−Aの焦点である物体面とそこに形成されるビームウエストの光軸方向のずれは、63nm程度となる。この値は対物レンズ102−Aの焦点深度より十分小さいため無視してよい。
本実施例は、図18を用いて説明した構成において、非対称構造照明の形成に用いる複数の光束のうち、1光束を残してその他の光束を遮光し、結果として1つの光束だけが物体を照明するようにする方法に関する。ここでは例として図21を参照しながら説明を行う。回折格子112によって生成された複数の光束はレンズ404によって照明光学系の瞳113上に集光し、複数のスポットを形成する。照明光学系の瞳113は、対物レンズ102−Aの瞳と共役な関係にある。そこで、図22に示されているような遮光マスク501を、照明光学系の瞳113もしくはその共役な個所の近傍に配置すれば、複数のスポットの光透過率を制御することができる。
図22(a)は上記複数の光束が2つからなる場合に、図22(b)は該複数の光束が3つからなる場合にそれぞれ好適な遮光マスク501の構造の一例を示したものである。
図22において複数のスポットのうち、遮光対象のスポットは502−A、502−Bとして示されており、遮光マスク501の一部に配置された遮光部503−A、503−Bを移動させて遮光対象のスポットは502−A、502−Bを遮光することができる。こうすれば、残った1つのスポットに対応する光束のみが物体面に照射され、一様照明が実現される。遮光部の移動は、たとえば円盤状の遮光マスク501を光軸周りに回転させることで容易に行うことができる。再び非対称構造照明を行う必要がある場合は、遮光マスク501を再び移動させ、複数のスポットが遮光されない状況に戻せばよい。
遮光部の移動方法は光軸周りの回転に限らず、上で記した操作を実現するものであれば何でもよい。例えば遮光マスク501をスライドさせて光路上に出し入れするようなものでもよい。またその駆動方式も問わない。遮光マスク501上に面積の小さな遮光部503を多数配置すると、遮光マスク501をほんの少し移動するだけで非対称構造照明と一様照明のモード切り替えが可能になる。
遮光部503の実現方法は、一般の光に対して透過率の極めて低い部材で構成するほか、特定の偏光状態にある光を選択的に遮断するような偏光素子を用いてもよい。さらに電気的信号により、光透過率などの素子特性を動的に変更することができる液晶偏光板などを遮光部503として用いれば、遮光マスク501を移動させる必要すらなくなる。
本実施例ではビームを複数の光束に分けるための分岐部を備え、各光束の偏光を制御することにより非対称構造照明と一様照明の切り替えを実現するための光学系の構成例を示す。図23はそのような構成を示した概略図である。図23(a)に記載された照明光学系の構成は、図21に記載された照明光学系と類似点が多いため、共通する構成の説明を省略し、光源から第2のカメラポート212に至るまでの光路構成のみを説明することにする。不図示の光源から出射した光はファイバ452でコリメータレンズ402まで導かれ、平行光束に変換される。なお、ここで考える光源は可干渉性光源とし、紙面に垂直な方向に直線偏光しているものとする。偏光成形素子471は例えば1/2波長板であって、その光学軸を該平行光束の偏光方向に対し45°傾けて設置しておけば、上記平行光束は紙面の垂直方向の直線偏光成分と(s波)と紙面奥行き方向の直線偏光成分(p波)に分けられる。
次に素子472、473、474からなるビーム干渉光学系430の構成について説明する。s波は偏光ビームスプリッタ472によって反射される。一方、p波は偏光ビームスプリッタ472を透過する。偏光ビームスプリッタ472によって反射されたs波は第2のカメラポート212まで直接伝搬するが、偏光ビームスプリッタ472を透過したp波は折り曲げミラー473へと向かい、そこで向きを変えられる。向きを変えられたp波は光軸に垂直でp波偏光方向から45°傾いた軸を持つ1/2波長板474によってs波に変換された後、第2のカメラポート212に到達する。第2のカメラポート212の位置において、上記の2光束は共にs波なので、第2のカメラポート212及び物体101上で可干渉性を有し、非対称構造照明を形成することができる。
一方、一様照明を実現するためには、偏光形成素子471通過後の偏光状態がs波のみ、もしくはp波のみになるように設定すればよい。そうすれば、第2のカメラポート212にはs波かp波の1光束のみが到達し、一様照明を形成できる。また、図23では例示的に2光束干渉による非対称構造照明の生成を前提とした説明を行ったが、偏光による光束分岐部を追加すれば3光束以上の干渉を生成する事も可能である。さらに、該複数の光束が分岐してから第2のカメラポート212に各光束が到達するまでの光路に適宜偏光素子を追加し、各光束の偏光状態を最適なものに調整することは任意である。
図23(a)に記載の2光束間の角度θの正弦は、第2のカメラポート212のカメラポート内共役面の物体101に対する横倍率βに反比例する。より具体的には、対物レンズ102−Aの開口数をNA、NAに対応する瞳の半径をr、試料面の媒質の屈折率をn、照明光学系の瞳113におけるスポット同士の間隔をdとすると、角度θの正弦は式(7)で表される。
例として、NA=0.95かつd/r=1、β=40とすると、sinθ=0.024となり角度θはかなり小さくなる。このとき、物理的な干渉を避けるために、偏光ビームスプリッタ472と折り曲げミラー473の間隔を例えば5cm確保しようとすると、これら2つの素子と第2のカメラポート212のカメラポート内共役面との距離は2m程度必要になる。これにより、照明ユニットのコンパクトさが損なわれる。この問題を解決するためには図23(b)に示すようにビーム干渉光学系430に、ビームエキスパンダ476(倍率mexp)を挿入し、2つの光束がなす角度をmexp倍に拡大すればよい。これにより、実用的な大きさの照明ユニットを構成することが可能になる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
蛍光顕微鏡やデジタルスライドスキャナー等の顕微鏡に使用可能な照明光学系を提供できる。
110 照明光学系
111 コヒーレント光源
113 照明光学系の瞳(レンズ)

Claims (14)

  1. 物体面に配置された試料を照明する照明光学系であって、
    該照明光学系の瞳面に、互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、
    前記複数の光源領域のそれぞれの中心と該照明光学系の瞳の中心との距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なることを特徴とする照明光学系。
  2. 前記試料は、自家発光体であることを特徴とする請求項1に記載の照明光学系。
  3. 前記自家発光体である試料の発光機構は、蛍光または燐光であることを特徴とする請求項2に記載の照明光学系。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の照明光学系と、
    前記試料の像を形成する投影光学系とを有することを特徴とする顕微鏡。
  5. 前記物体面と光学的に共役な位置に配置された第1及び第2のカメラポートを更に有し、
    前記第1のカメラポートは、前記試料を撮像するための撮像素子を含み、
    前記第2のカメラポートは、互いに可干渉な複数の平行光束を入射させることによって、前記照明光学系の瞳面に前記瞳の半径に対する大きさの割合が0.3未満の互いにコヒーレントな前記複数の光源領域を形成することを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡。
  6. 前記第2のカメラポートは、前記物体面と光学的に共役な位置において、前記互いに可干渉な複数の平行光束がビームウエストを形成し且つ互いに重なりあうように、前記互いに可干渉な複数の平行光束を前記物体面に対して入射角を持って入射させることを特徴とする請求項5に記載の顕微鏡。
  7. 前記第1のカメラポートと、前記物体面から前記第2のカメラポートへ向かう光路と前記物体面から前記第1のカメラポートへ向かう光路との分岐する位置との間に、励起光を遮断し、且つ蛍光もしくは燐光を透過する光学素子が配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の顕微鏡。
  8. 前記互いに可干渉な複数の平行光束のうち少なくとも1つを遮光する状態といずれの光束も遮光しない状態とに切り替えるための可動な遮光素子を有することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  9. 前記遮光素子は、蛍光もしくは燐光の波長に対して遮光をすることを特徴とする請求項8に記載の顕微鏡。
  10. 前記遮光素子は、少なくとも1つの偏光素子からなることを特徴とする請求項8又は9に記載の顕微鏡。
  11. 前記互いに可干渉な複数の平行光束の干渉性を制御するための機構を備えることを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  12. 前記少なくとも1つの偏光素子によって、前記互いに可干渉な複数の平行光束の偏光方向を調整するための機構を備えることを特徴とする請求項10に記載の顕微鏡。
  13. 前記顕微鏡は蛍光顕微鏡であることを特徴とする請求項5から12のいずれか一項に記載の顕微鏡。
  14. 前記顕微鏡は、落射型顕微鏡または透過型顕微鏡であることを特徴とする請求項から5から13のいずれか一項に記載の顕微鏡。
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