JP2015179208A - 撮像装置および画像処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】物体面の走査や高精度な構成が不要で、高品質なセクショニング効果を与える
【解決手段】照明光学系110の瞳面113に、互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、複数の光源領域のそれぞれの中心と照明光学系110の瞳面の中心との距離のうち少なくとも1つの距離が他の距離と異なる。また、複数の光源領域のうちの少なくとも2つの光源領域の中心間の、対物レンズ102の瞳面に対応する座標上での距離Cが結像光学系の瞳面の半径の0.7倍以上1.3倍以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、撮像装置および画像処理システムに関する。
通常の蛍光顕微鏡で厚みのある試料を観察すると、試料内部の光が透過した全ての深さ位置にある画像が重畳された画像が観察され、所望の合焦面の画像だけを選択的に分離して取り出すこと(セクショニング)はできない。セクショニング効果が得られる蛍光顕微鏡は3次元蛍光顕微鏡と呼ばれ、通常の蛍光顕微鏡と区別される。
共焦点顕微鏡は代表的な3次元蛍光顕微鏡である。非特許文献1は、画像処理を援用してセクショニング効果を実現する構造化照明法を提案している。特許文献1及び非特許文献2〜7は、ランダムに生成されたスペックルを照明として利用する方法を提案している。
米国特許出願公開第2010/0224796号公報
M.A.A.Neil and T.Wilson,"Method of obtaining optical sectioning by using structured light in a conventional microscoPe," OPt. Lett. 22, 1905 (1997). C. Ventalon and J. Mertz, "Quasi−confocal fluorescence sectioning with dynamic speckle illumination," OPt. Lett. 30, 3350-3352 (2005). C. Ventalon and J. Mertz, "Dynamic sPeckle illumination microscopy with translated versus randomized speckle Patterns," OPt. ExPress 14, 7198−7209 (2006). C. Ventalon, R. Heintzmann, and J. Mertz, "Dynamic speckle illumination microscopy with wavelet Prefiltering," Opt. Lett. 32, 1417−1419 (2007). Daryl Lim, Kengyeh K. Chu, and Jerome Mertz,"Wide−field fluorescence sectioning with hybrid speckle and uniform−illumination microscoPy," Opt. Lett. 33, 1819−1821 (2008). Daryl Lim, N.Ford,Kengyeh K. Chu, and Jerome Mertz,"Optically sectioned in vivo imaging with speckle illumination HiLo microscopy" Journal of Biomedical Optics. 16, 016014 (2011). Per A.Stoketh, "Properties of Defocused Optical System" Journal of Optical Society of America. 59, 1314 (1969).
しかしながら、共焦点顕微鏡は、試料の全領域を観察するためには走査が必要である。非特許文献1の方式は、高精度で位相すなわち位置を制御された正弦波構造を作り出すことが要求される。また、特許文献1及び非特許文献2〜7は、物体面の照明光強度がランダムなスペックルに依存するため最終画像に不均一な強度ムラが発生する。
本発明は、物体面の走査や高精度な構成が不要で、高品質なセクショニング効果を与えることが可能な撮像装置および画像処理システムを提供することを例示的な目的とする。
本発明の撮像装置は、標本を照明する照明光学系と、前記標本からの散乱光により前記標本の像を形成する結像光学系と、前記標本の像を光電変換する撮像素子と、を有する撮像装置であって、前記照明光学系の瞳面に、互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、前記照明光学系の瞳面の中心と前記複数の光源領域のそれぞれの中心との距離のうち少なくとも1つの距離は他の距離と異なり、前記複数の光源領域のうち少なくとも2つの光源領域の中心間の、前記結像光学系の瞳面に対応する座標上での距離は、前記結像光学系の瞳面の半径の0.7倍以上1.3倍以下であることを特徴とする。
本発明によれば、物体面の走査や高精度な構成が不要で、高品質なセクショニング効果を与えることが可能な撮像装置および画像処理システムを提供することができる。
本実施形態の照明光学系を有する蛍光顕微鏡の光路図である。 本実施形態の瞳関数と照明光強度分布、および蛍光光分布との関係を示す図である。 本実施形態の瞳関数の座標の定義を説明するための図である。 本発明の瞳関数の配置とその性能評価の結果を示す図である。(実施例1) 本発明の照明光強度分布のz方向の位置ずれに対応する横ずれを示す図である。(実施例1) 本発明の性能評価と瞳関数の配置例を示した図である。(実施例2) 本発明の瞳関数配置の候補を示す図と性能を評価した図である。(実施例3) 本発明の瞳関数の座標決定のプロセスとその配置の一例を示す図である。(実施例3) 従来の画像処理方法を説明するための図である。 図9に示す画像処理方法の問題を説明するための図である。 comb関数状の照明光強度分布を実現するための瞳関数の例と、その瞳関数を用いた時にできる各位置における照明光強度分布を表す図である。 comb関数状の照明光強度分布を実現するための瞳関数の例とその瞳関数を用いた時にできる各位置の照明光強度分布を表す図である。
まず、本発明の背景について説明する。非特許文献5及び6は、一様な強度で照明された画像1とスペックルで照明された画像2の2枚の画像を用いて、合焦面にある蛍光物体の画像のみを抽出する画像処理方法を提案している。かかる画像処理方法は、コンピュータによって実行され、コンピュータが、画像1と画像2の強度差である画像3を作成する。
物体をスペックルで照明するためにはコヒ−レントな励起光を光源に持つ照明光学系の瞳面にすりガラスなどのランダムな位相擾乱を与える物体を挿入すればよい。説明の簡単化のため、蛍光物体の強度分布O(x,y,z)としてO(x,y,z)=δ(z)であるようなものを考える。本明細書においては、蛍光物体の強度分布O(x,y,z)を物体Oと略称することがある。これはz=0の平面にだけ、局所的にかつx−y方向には一様な強度分布を持つような仮想的な物体である。そしてz=0を合焦面とする。またz=a(a≠0)の平面を非合焦面の代表とする。
図9(a)は、一様な強度分布をもつ照明で物体Oを照明し、合焦面(ピントが合っている高さ位置の平面)にピントを合わせて観察した時の画像である。この一様な強度分布を持つ照明によって撮影された像をIu(x,y,z)とする。図9(b)は、同様の照明で非合焦面(ピントが外れている高さ位置の平面)にピントを合わせて観察した時の画像である。これらが画像1に対応する。
図9(c)はスペックルで物体Oを照明し、合焦面にピントを合わせて観察した時の画像である。図9(d)は、スペックル照明で非合焦面にピントを合わせて観察した時の画像である。これらが画像2に対応する。
図9(e)は、図9(a)に示す画像の強度分布と図9(c)に示す画像の強度分布の双方の面内強度分布の平均強度が一致するようにスケーリングした後、それぞれのデータの差をとったものである。図9(f)は、同様にして図9(b)に示す画像の強度分布と図9(d)に示す画像の強度分布の差をとったものである。これらが画像3に対応する。なお、図9(a)〜(f)において、横軸はx座標[μm]、縦軸はy座標[μm]である。
通常の蛍光顕微鏡においてはセクショニング効果がないため、図9(a)及び図9(b)に示すように、通常の一様な照明では、物体Oが存在するz=0にピントを合わせた画像と、物体Oが存在しないz=aにピントを合わせた時に得られる画像は区別できない。
そこで、非特許文献5及び6は、図9(e)及び図9(f)に示すデータをコンピュータに取り込んで、点(x,y)の近傍の領域でとられた強度差の空間分散値σを計算する。図10(a)は、図9(e)にそのような領域を白枠で示している。そのようにして得られた分散値のマップσ(x,y,z)を構成する。
この時、合焦面に対応する図9(e)は、白黒のコントラストが鮮鋭であるため、σ(x,y,0)は高い値をとる。一方、非合焦面に対応する図9(f)はスペックル像のボケによりコントラストがほとんどないため、σ(x,y,a)はほぼ一様に0に近い値をとる。
I(x,y,z)=Iu(x,y,z)・σ(x,y,z) (1)
数式1に従ってI(x,y,z)を計算すれば、I(x,y,z)はσ(x,y,z)によってセクショニング効果を獲得した画像となる。即ち、I(x,y,0)は値を持つが、I(x,y,a)はほとんど値を持たない。このようにして物体Oに近い画像をコンピュータ上で再構成する。しかし、この方法は、照明に本質的にランダムなスペックルを利用するため、照明光の平均強度が均一にならず、x−y方向に均質な物体の像はx−y方向に均質にならない。この原因は、図10(b)に示すように、σ(x,y,z)の分布が照明光強度のランダムパターンを検出してしまうからである。これが最終的なI(x,y,0)の画質を大きく損ねる。
なお、図10(a)は、図9(e)の点(x,y)の近傍における強度の空間分散値を計算する領域を模式的に表す図であり、図10(b)は、分散値マップσ(x,y,z)のx−y方向の不均一性を表す図である。図10(a)、(b)において、横軸はx座標[μm]、縦軸はy座標[μm]である。
そこで、特願第2013−174742号は、照明ムラによる画質劣化を防止しつつ、セクショニング効果を持った照明方法を提案した。まず、同出願に記載された発明の原理について説明する。一般に数式2で表される関数をcomb関数(くし関数)という。
comb(x,y)=Σδ(x−na)δ(y−ma) (2)
ここで、δはディラックのデルタ関数、aは無限の値をとる点同士の座標軸に沿った方向の間隔(ピッチ)、和記号は−∞<m,n<∞の整数でとる。数式3に示すように、comb関数のフーリエ変換は、ピッチ1/aのcomb関数となっている。なお、Fをフーリエ変換、lx,lyをそれぞれx,yに対応する空間周波数とする。
F[comb(x,y)](lx,ly)=Σδ(lx−m/a)δ(ly−n/a) (3)
光学系の瞳面における振幅分布P(lx,ly)(瞳関数)をフーリエ変換したものが像面での振幅分布になる。照明光学系では、像面での振幅分布の絶対値の二乗が物体を照明する光の強度分布となる。照明光学系の瞳関数をcomb関数にすれば、comb関数状の照明光が実現する。comb関数状の照明光は物体面上において均一のピッチで均一の強度の光が分布しているものであるから、照明ムラが発生することがない。
非特許文献5及び6によれば、物体面上での照明光のピッチが細かい方が、図10(a)に示すσ計算領域を小さくできるため、x−y方向の解像度が向上する。従って、照明光学系の瞳面上におけるピッチは可能な限り大きいほうがよい。実際には光学系の瞳面は有限の大きさを有するため、数式3で表されるlx,ly方向に無限に続く照明を実現することはできない。しかしながら、comb関数の最小構成単位だけを瞳面上の振幅分布としても、上記の議論は利点を失わない。
図11(a)は、瞳関数として、数式3に示す照明光分布のcomb関数に現れる最小のピッチを採用した例を示す図である。横軸は正規化された周波数lxであり、横軸は正規化された周波数lyである。
図11(b)は、その瞳関数を用いた時にできる実際の照明光強度分布(物体面上にできる照明光強度)である。但し、使用波長λを512nm、NAを0.7、nを1、NAを照明光学系の開口数、nは媒質屈折率とする。図11(b)において、横軸はy座標[μm]、縦軸はx座標[μm]である。照明光学系の瞳面は半径をNA/nとして規格化したものを用いており、その際振幅をもつ位置の座標は(0.7/√2,0.7/√2),(−0.7/√2,0.7/√2),(−0.7/√2,−0.7/√2), (0.7/√2,0.7/√2)である。
図11(b)に示すように、周期的な照明光で照明された物体の像に対して、σ(x,y,0)を計算する方法を用いれば、照明ムラがないため、非常に均一性の高いσ(x,y,0)が得られる。
図11(c)は合焦面から2.0μm離れた位置の、光軸に対称な照明光のパターン(試料中z=±2μmの平面にできる照明光強度分布)である。図11(c)において、横軸はy座標[μm]、縦軸はx座標[μm]である。図11(c)を図11(b)と比較すると、強度分布のパターンはz座標によらないことが理解される。
ここで、物体O2(x,y,z)=δ(z+1)+δ(z−1)を考える。zの単位はμmとする。物体O2を撮像する場合、z=0で強度を持ってはならない。強度を持ったとしてもそれはz=±1における画像の強度よりも非常に低いものであることが要請される。
物体O2の上側z=1に位置する蛍光物体も下側z=−1に位置する蛍光物体もほぼ同様の照明形状で照明したとする。図11(a)の照明はボケ量が小さいため、図11(d)に示すように、z=0の位置において上側蛍光物体から到達するcomb関数状蛍光と下側蛍光物体から到達するcomb関数状蛍光が重なり合って非常にコントラストの高い光強度分布が形成される。図11(d)は、図11(a)の瞳関数を用いて物体O2を照明した時の試料中z=0μmの平面で観察される蛍光強度分布を表す図である。図11(d)において、横軸はx座標[μm]、縦軸はy座標[μm]である。図11(a)の照明は、物体O2の存在しないz=0の位置にあたかも蛍光物体が存在するかのような画像が得られてしまう。
この問題を解決するために、特願第2013−174742号は、図12(a)に示すように、照明光学系の瞳面上振幅分布を原点に対して非対称な瞳関数P2にすることを提案している。これにより、光強度分布のパターンが光軸方向に平行な図11(a)の照明の問題を解決することができる。
図12(a)は、comb関数状の照明光強度分布を実現するための瞳関数の例を示す図である。横軸は正規化された周波数lxであり、横軸は正規化された周波数lyである。
図12(b)は、実際にできる物体面上での照明光強度分布を示す図であり、横軸はy座標[μm]、縦軸はx座標[μm]である。照明パタ−ンは周期的であるため、照明ムラはない。瞳関数P2は原点に非対称であり、照明光を斜入射させているためにzが変化すると照明光の強度分布が横ずれする。
図12(a)の照明で物体O2を照明すると、z=0の位置において上側蛍光物体から到達する蛍光と下側蛍光物体から到達する蛍光がずれ、図12(c)に示すように、非常にコントラストの低い光強度分布が形成される。図12(c)は、図12(a)の瞳関数を用いて物体O2を照明した際に、試料中z=0μmの平面で観察される蛍光強度分布を示す図である。図12(c)において、横軸はx座標[μm]、縦軸はy座標[μm]である。図11(d)と比較するとz=0のコントラストが低くなっており、解像を抑制することができる。
以上に説明してきたように、照明パタ−ンを格子状照明にし、かつ瞳面上の振幅分布を原点に対して非対称にする照明と非特許文献5及び6に記載の方法と合わせて用いることで、強度ムラのない良好な画像が時間のかかる走査なしに得られる。
本実施形態は、照明光学系の瞳面上振幅分布を原点に対して非対称な瞳関数を設定する場合に、より高いセクショニング効果を得ることができるような瞳関数を設定する方法を提供する。つまり、本実施形態の方法は、より高いセクショニング効果を得るのにどの程度、非対称な瞳関数にすればよいかを設定する。
図1は、本実施形態の照明光学系を有する落射型の3次元蛍光顕微鏡100およびそれを有する画像処理システム200のブロック図である。画像処理システム200は、3次元蛍光顕微鏡100と、画像処理手段150と、を有する。
配置は落射型でも透過型でもよい。3次元蛍光顕微鏡100は、(物体としての標本SPを保持する保持部101、対物レンズ(結像光学系)102、撮像素子103からなる)顕微鏡に照明光学系110を付加したものである。照明光学系110は、通常の顕微鏡に容易に後から付加することができる。
照明光学系110は、コヒーレント光源111、光学素子112、ダイクロイックミラー115を有する。
コヒーレント光源111は、蛍光体としての標本SPに照射されてそこから蛍光を励起できる波長のレーザーなどを用いることができる。光学素子112は、回折格子、プリズム、光ファイバ、SLM(spatiallight modulator)などであるが、これらに限定されない。光学素子112を設けずに3つの光源を設けて3方向から照明してもよい。光学素子112は、コヒーレント光源111から発せられる一本のビ−ムを複数に分け、照明光学系110の瞳面113に瞳関数成分114を生成する。瞳関数成分114の生成は光学素子112の構造によって制御することができる。
光学素子112によって分けられた複数のビームは、ダイクロイックミラー115を経て対物レンズ102を通過し、標本SPを格子状の照明光分布で照明する。ダイクロイックミラー115は、励起光の波長を反射し、蛍光の波長を透過する。対物レンズ102は、励起光を照射されることによって標本SPから生じた蛍光(散乱光)により、標本SPの像を撮像素子103の像面に形成する。標本SPから出た蛍光は、ダイクロイックミラー115を透過し、対物レンズ102によって撮像素子103に結像される。
なお、一様な照明の場合は光学素子112が光軸から退避される。また、コヒーレント光源111を別の光源に交換してもよいし、交換しなくてもよい。
撮像素子103は、対物レンズ102が形成した像を光電変換する。撮像素子103から出力される画像信号は、不図示のA/D変換器によってデジタル信号に変換され、画像処理手段150によって各種の処理を施される。これによって標本の画像を取得することができ、特に、所望の合焦面の画像だけを選択的に分離して取り出すことができる。
以下、瞳関数成分114とセクショニング効果の関係について説明する。
図2は、瞳関数Pと、瞳関数Pによって形成された照明光及び物体の蛍光光分布を示す。図2(a)は、3つの光源領域から構成される瞳関数Pの例を示している。光源領域の数は複数であれば足りる。図2(b)は、照明光強度分布Illのx−y方向の断面であり、瞳関数Pのフーリエ変換し、数式4に示すように、その値の絶対値の2乗したものである。
Ill(x,y)=|F[P(lx,ly)]| (4)
図2(c)はIllの周波数成分であり、これをSpecと定義する。Specは数式4の量をフーリエ変換して得られるので、瞳関数の自己相関で表される。
数式5の記号
は畳み込みを表し、*は複素共役を表す。図2(d)は、物体Oが発光する蛍光強度分布であり、この分布は照明光強度分布と物体Oの積で表現され、この量をIll2と置く。図2(e)は、Ill2の周波数成分でありSpec2と定義する。Ill2とSpec2は下記の式でそれぞれ表現される。
Ill2(x,y)=Ill(x,y)×O(x,y) (6)
但し、Ospecは物体Oの周波数成分を表し、Oのフーリエ変換で得られる。数式4から数式7はフーリエ光学の基礎理論に基づく。自己相関関数の性質から、Specが値を持つ座標の、瞳面中心からの距離(以下「動径」と呼ぶ)は、瞳関数Pのいずれか2つの座標を結んだ距離と一致する。言い換えると、Specが値を持つ座標の動径は、瞳関数Pの座標、2点間の距離に等しい。また、物体Oはx−y断面で一様な構造をしているので、Ospec=δ(lx)δ(ly)となり、数式6に代入すると、Spec2=Specが導かれる。
つまり、物体が発光する強度の分布の周波数成分Spec2の座標の動径は瞳関数Pで制御できる。なお、上記説明ではx−y方向に一様な構造を持つ物体Oで説明したが、自然な構造を持つ物体の周波数成分は殆どがlx=0,ly=0周辺に大きな値を持つので、Ospecはδ(lx)δ(ly)に近い分布を持つ。よって、自然な構造を持つ物体に対しても、Spec2の分布を瞳関数Pによって制御することは可能である。
蛍光強度分布Ill2は対物レンズ102によって撮像素子103上に像を形成する。この像は、Spec2と同じ周波数成分の座標を持ち、その周波数成分の絶対値の比は、対物レンズ特有の光学伝達関数(OTF:Optical Transfer Function)で表される。OTFを、対物レンズ102に対応する瞳面の半径を1に規格化した周波数成分の動径kと物体の対物レンズの焦点位置からのズレ(デフォーカス量)をzで表すと、数式8で近似される(非特許文献7参照)
ここで、Jは1次の第一種ベッセル関数、Aは光学系に依存する定数である。
3次元蛍光顕微鏡が高いセクショニング効果を持つためには、対物レンズのデフォーカスに対して分散マップσの値が急激に減少することが必要である。分散マップσは、撮像素子103上に結ばれる像のコントラストの大きさで決まる。このため、その像のコントラストがデフォーカスに敏感に反応するように、Spec2の持つ各座標(及び撮像素子103上に像の周波数成分の各座標)の動径kとOTFがデフォーカスに最も敏感な周波数成分の動径kを一致させればよい。
数式8に示すOTFにおいて、デフォーカス量zに依存する右辺第一項に注目すると、k=1が最もデフォーカスに対して敏感に値が低下し、kが1からずれるほどデフォーカスに対して値が低下しにくくなる。よってSpec2の周波数成分の座標の動径がk=1が好ましい。
以上をまとめると、照明光学系110に実質的に存在する瞳関数Pの各座標を結ぶ距離は対物レンズ102に対応する瞳面の半径に近いとセクショニング効果は強くなる。本実施形態の瞳関数Pは、2点の振幅幅を持つ座標間に距離が対物レンズ102に対応する瞳面の半径程度離れた組み合わせを持つ。
格子照明を形成する複数の光束のサンプルへの照射方向は、円筒座標系表示において、長さ1の単位ベクトルを用いて数式9のように表される。
但し、1>NA/n>l1>l2>l3>…>0、NAは照明光学系の開口数、nは媒質屈折率である。ベクトルの第一成分はx−y方向における動径であり、第二成分はx−y方向における偏角を表す。第三成分はz方向の要素である。
図3は、上記方向ベクトルを瞳面上で記述した図である。極座標k(l1,θ1),k(l2,θ2)…は、半径NA/nの瞳面の内部に配置され、それぞれの成分は数式4のベクトルの第一成分と第二成分に対応する。各座標k,k…は瞳関数Pの振幅のある座標であり、複数の光源領域に対応する。
本実施形態によれば、照明光学系110の瞳面113に、互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、複数の光源領域のそれぞれの中心と照明光学系110の瞳面の中心との距離のうち少なくとも1つの距離が他の距離と異なる。また、複数の光源領域の少なくとも2つの光源領域の中心間の、対物レンズ102の瞳面に対応する座標上の距離(例えば、図3のA〜Cのいずれか)が結像光学系の瞳面の半径の0.7倍以上1.3倍以下、好ましくは、0.8倍以上1.2倍以下である。
実施例1は、2つの光源領域k、kを有する瞳関数Pの配置においてセクショニング効果の高い配置を決定する。光学パラメ−タとしては、波長λ=512nm、照明光学系のNA=0.7、対物レンズのNA=0.7、媒質の屈折率n=1、物体Oを用いる。k,k間の距離をCとし、0.3×(対物レンズのNA)/n≦C≦1.7×(対物レンズのNA)/nにおけるセクショニング効果を比較する。評価基準は、非特許文献5及び6記載の手法で最終出力像を作成し、対物レンズのデフォーカス量に対する最終出力像の半値全幅(FWHM)とする。
図4(a)は、実施例1の瞳関数Pの配置を示す図である。瞳関数Pは2つの光源領域を持ち、それぞれの座標k,kを極座標表示で示す。動径l1とl2の差が大きいと、照明光強度分布が光軸に対して角度を持ち、高いセクショニング効果を得ることができる。この条件を満たす座標の条件はl1=(照明光学系のNA)/n、かつ、k,k,瞳面の中心が一直線上に並ぶ時である。この時、l2=|C−l1|となる。
図4(b)は、横軸に距離C、縦軸に対応する最終出力像のFWHM[μm]をプロットしたグラフである。距離Cが(対物レンズのNA)/n(=0.7)の時に最も良好な値1.30μmを示す。0.7×(対物レンズのNA)/n≦C≦1.3×(対物レンズのNA)/n なるCにおいてはFWHMが最良値の1.2倍未満に収まり、高いセクショニング効果を示す。
実施例2は、3つの光源領域k、k、kを有する瞳関数Pの配置においてセクショニング効果の最大になる配置を決定する。光学パラメ−タ及び物体は、実施例1と同様である。図3において、A=B=Cとなるように配置する。評価基準は、非特許文献5及び6記載の手法で最終出力像を作成し、対物レンズのデフォーカス量に対する最終出力像の半値全幅(FWHM)とする。0.3×(対物レンズのNA)/n≦A≦1.6×(対物レンズのNA)/nにおけるセクショニング効果を比較する。また、配置を決定するにあたって、焦点面を照射するx−y方向における照明光強度分布と焦点からz方向に位置をずらした照明光強度分布が可能な限り重ならないようにするように各座標を決定する。
ある瞳関数Pによる照明光の分布例を図5に示す。図5(a)は、焦点面を照射するx−y方向における照明光強度分布であり、図5(b)は、焦点からz方向に位置をずらした照明光強度分布である。横軸はy座標[μm]、縦軸はx座標[μm]である。
図5(c)は、それぞれの照明光強度分布の強度ピ−クを取る座標を模式的に示す図である。図5(c)は、照明パタ−ンのz方向位置の変化による照明光分布の横ずれを模式的に表している。1は焦点面における周期パターンの強度ピーク、2は焦点面からz方向にずれたx−y平面における周期パターンの強度ピーク、3は周期パタ−ンを形成する格子、4はz方向シフトによる照明ピークの移動方向を表す。
図5(c)は、焦点面からある量だけz方向の位置をずらした時に、4で特徴づけられる照明光のシフトの距離が格子パタ−ン3の1周期分に相当した様子を示す。その移動方向はp/pで特徴づけられ、横方向に形成される照明光がz方向に積算した時に重ならない条件は、p/p=0.5であり、この時に最もセクショニング効果に寄与する。この分数をpと表記すると、数式10で表現できる。
pは0以上1以下の範囲をとることができる。pが小さいとl2がl1に近づき、pが大きいとl2がl3に近くなる。pが0.5から離れた値を取ると、焦点面における周期パターンの強度ピーク1と焦点面からz方向にずれたx−y平面における周期パターンの強度ピーク2が重なってしまうので、セクショニング効果が減少してしまう。セクショニング効果を最大限に保つためには、pは数式11記載の条件を満たすことが望ましい。
0.4≦p≦0.6 (11)
本実施例ではp=0.5を使用する。また、l1とl3の差が大きいと照明光強度分布が光軸に対して角度を持ち、セクショニング効果の減少を防止することができる。l1とl3の差を大きくするために、l3=(照明光学系のNA)/n=0.7に設定する。以上の条件で瞳関数Pの配置を決定する。条件に用いられる式は数式11及びp=0.5、l1=0.7、そして以下の数式13である。
=l2+l3−2l2l3cos(θ2−θ3) (12)
=l3+l1−2l3l1cos(θ3−θ1) (13)
=l1+l2−2l1l2cos(θ1−θ2) (14)
数式12〜14は図3に余弦定理を適用したものである。図6(a)は横軸に距離A=B=C、縦軸に対応する最終出力像のFWHMをプロットした図であり、図6(b)は瞳関数Pの配置の一例を示した表である。距離Aが(対物レンズのNA)/n(=0.7)の時に最も良好な値1.33μmを示す。0.7×(対物レンズのNA)/n≦A≦1.3×(対物レンズのNA)/n なるAにおいてはFWHMが最良値の1.2倍未満に収まり、高いセクショニング効果を示す。
図7は、実施例3の瞳関数Pの配置を示す図である。3つの光源領域k,k,kの3点を結んでできる三角形の辺の長さを短い順にA,B,Cとし、(A≦B≦C)辺Aに対応する三角形の高さをHとする。実施例3では、照明光強度分布の周期パターンがx−y方向に等方的になるように設定するため、A=Hとする。このような周期パターンを作成すると、解像度が方位によってムラの少ない画像を取得できる。光学パラメ−タ、物体及び評価基準は、実施例2と同様である。
実施例3においては辺Aと高さHの交点は辺Aの中点に一致するようにB,Cの長さを与え、B=C=√5/2×Aとなる。Aの値は0.3×(対レンズのNA)/n≦A≦1.7×(対レンズのNA)/nの範囲で評価し、それぞれのAに対して瞳関数Pを決定する。配置の決定に用いる式は実施例2と同様である。
一般に、A,B,Cの内少なくとも1辺の長さが異なる時、その3辺でなる三角形の頂点とk,k,kの対応は順列組み合わせの6通りあり、それぞれの対応の仕方によって、回転対称ではない解の組み合わせが生じる。図8(a)に本実施例においてA=(対物レンズのNA)/nとした時の解の組み合わせを示す。本実施例ではB=Cであるので6通りの解は3組の2重解となる。このような6つの解の内、実施例2において説明したように、l1とl3の差が最大のものを選択する事が望ましい。図8(a)に示す最上段の解を選択することが望ましい。
図8(b)は以上のプロセスによって選択された瞳関数Pによって生成された最終出力像のFWHMをプロットした図である。横軸は距離A、縦軸はFMHM[μm]である。距離A,B,Cの全ての長さが等しくないので若干の最適な変数のズレ有るものの、(対物レンズのNA)/n(=0.7)付近で最も良好な値1.33μmを示す。0.7×(対物レンズのNA)/n≦A≦1.3×(対物レンズのNA)/nの条件を満たすAにおいてはFWHMが最良値の1.2倍未満に収まっており、高いセクショニング効果を示す。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、自家発光体である標本から散乱する散乱光は、蛍光または燐光でよい。
撮像装置は、蛍光顕微鏡の分野に適用することができる。
100…3次元蛍光顕微鏡、102…対物レンズ(結像光学系)、110…照明光学系、111…コヒーレント光源、120…対物レンズ(結像光学系)、SP…標本

Claims (6)

  1. 標本を照明する照明光学系と、前記標本からの散乱光により前記標本の像を形成する結像光学系と、前記標本の像を光電変換する撮像素子と、を有する撮像装置であって、
    前記照明光学系の瞳面に、互いにコヒーレントな複数の光源領域が互いに離れて配置され、前記照明光学系の瞳面の中心と前記複数の光源領域のそれぞれの中心との距離のうち少なくとも1つの距離は他の距離と異なり、
    前記複数の光源領域のうち少なくとも2つの光源領域の中心間の、前記結像光学系の瞳面に対応する座標上での距離は、前記結像光学系の瞳面の半径の0.7倍以上1.3倍以下であることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記照明光学系は、前記光源からの光を前記複数の光源領域に分ける光学素子を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記照明光学系の瞳面に配置される前記複数の光源領域は2つの光源領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記照明光学系の瞳面に配置される前記複数の光源領域は3つの光源領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  5. 前記散乱光は、蛍光または燐光であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の撮像装置と、
    前記撮像装置から出力される信号を処理する手段と、
    を有することを特徴とする画像処理システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022195805A1 (ja) * 2021-03-18 2022-09-22 株式会社エビデント 顕微鏡システム

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