JP2014062947A - 光変調器 - Google Patents
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Abstract
【課題】DCドリフトおよび温度ドリフトの両方について特性を改善した光変調器を提供する。
【解決手段】基板と、基板の表面に形成された光導波路と、光導波路の上方に形成されたバッファ層と、バッファ層の上方に形成された、電圧を印加するための中心導体と接地導体からなる電極とを有し、基板は分極非反転領域と分極反転領域とから成っており、焦電効果により分極反転領域で発生する電荷を均一化させるための導電膜を、分極反転領域における基板の上面であって、中心導体の下方および中心導体と前記接地導体とのギャップ部の下方を除く位置に形成し、DCドリフトを抑圧しつつ温度ドリフトを低減させるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】基板と、基板の表面に形成された光導波路と、光導波路の上方に形成されたバッファ層と、バッファ層の上方に形成された、電圧を印加するための中心導体と接地導体からなる電極とを有し、基板は分極非反転領域と分極反転領域とから成っており、焦電効果により分極反転領域で発生する電荷を均一化させるための導電膜を、分極反転領域における基板の上面であって、中心導体の下方および中心導体と前記接地導体とのギャップ部の下方を除く位置に形成し、DCドリフトを抑圧しつつ温度ドリフトを低減させるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は電気光学効果や熱光学効果を利用して、光導波路に入射した光を変調して出射する光変調器に関する。
代表的な光変調デバイスとして誘電体材料を用いた光変調器がある。近年、高速、大容量の光通信システムが実用化されているが、このような高速、大容量の光通信システムに組込むための高速、小型、かつ低価格の光変調器の開発が求められている。
このような要望に応える光変調器として、リチウムナイオベート(LiNbO3)のように電界を印加することにより屈折率が変化する、いわゆる電気光学効果を有する基板(以下、LN基板と略す)に光導波路と進行波電極を形成した進行波電極型リチウムナイオベート光変調器(以下、LN光変調器と略す)がある。このLN光変調器は、その優れたチャーピング特性から2.5Gbit/s、10Gbit/sの大容量光通信システムに適用されている。最近はさらに40Gbit/sの超大容量光通信システムにも適用が検討されている。
(第1の従来技術)
図17は、z−カットLN基板を用いて構成した特許文献1に開示されたLN光変調器についての斜視図であり、図18は図17のA−A’線における断面図である。なお、説明を簡単にするために、進行波電極にバイアス電圧を印加するバイアス一体型について説明するが、バイアス電圧を印加するためのバイアス電極を進行波電極から分離したバイアス分離型についても本明細書における議論は適用可能である。
図17は、z−カットLN基板を用いて構成した特許文献1に開示されたLN光変調器についての斜視図であり、図18は図17のA−A’線における断面図である。なお、説明を簡単にするために、進行波電極にバイアス電圧を印加するバイアス一体型について説明するが、バイアス電圧を印加するためのバイアス電極を進行波電極から分離したバイアス分離型についても本明細書における議論は適用可能である。
z−カットLN基板1の−z面上に光導波路3が形成されている。この光導波路3は、金属Tiを1050℃で約10時間熱拡散して形成した光導波路であり、マッハツェンダ干渉系(あるいは、マッハツェンダ光導波路)を構成している。従って、図17の中にIとして示した光導波路3の高周波電気信号(あるいは、RF電気信号)と光が相互作用する領域(相互作用領域、あるいは相互作用部と言う)には2本の相互作用光導波路3a、3b、つまりマッハツェンダ光導波路の2本のアームが形成されている。
この光導波路3の上面にSiO2バッファ層2が形成され、このSiO2バッファ層2の上面にSi導電層5を介して進行波電極4が形成されている。進行波電極4としては、1つの中心導体4aと2つの接地導体4b、4cを有するコプレーナウェーブガイド(CPW)を用いている。なお、通常、進行波電極4はAuにより形成されている。5はz−カットLN基板1を用いて製作したLN変調器に特有の焦電効果に起因する温度ドリフトを抑圧するための導電層であり、通常はSi導電層を用いる。
図18からわかるように、図17に示した特許文献1の光変調器の特徴としては、(1)中心導体4aの幅Sを相互作用光導波路3a、3bの幅とほぼ同じ6μm〜12μm程度としている、(2)中心導体4aと接地導体4b、4c間のギャップWを例えば15〜60μmと広くしている、さらに(3)相互作用光導波路3a、3bを伝搬する光の中心導体4aと接地導体4b、4cからなる進行波電極4を構成する金属による吸収を抑える目的にのみ使用されてきたSiO2バッファ層2の比誘電率が4〜6と比較的低いことを利用して、SiO2バッファ層2の厚みDを400nm〜1.5μm程度と厚くすることにより、高周波電気信号のマイクロ波等価屈折率nmを低減して、相互作用光導波路3a、3bを導波する光の等価屈折率noに近づけるとともに、特性インピーダンスをなるべく50Ωに近づけている、の3点である。
変調用の高周波(RF)電気信号をこの光変調器の高周波電気信号給電線6を介して中心導体4aと接地導体4bに供給すると、中心導体4aと接地導体4bの間に電界が印加される。z−カットLN基板1は電気光学効果を有するので、この電界により屈折率変化を生じ、2本の相互作用光導波路3a、3bを伝搬する光の位相にずれが発生する。図17に示したLN光変調器を構成するマッハツェンダ光導波路は1個であるので、このずれがπになった場合、光導波路3のマッハツェンダ光導波路としての合波部において、高次モードを励振し、光はOFF状態になる。なお、6´は高周波電気信号出力線であり、終端抵抗で置き換えても良い。
一般に、中心導体4aの直下の電界は接地導体4b、4cの直下の電界よりも強度が強い。従って、図17と図18に示した第1の従来技術では、光導波路3aを伝搬する光よりも光導波路3bを伝搬する光の方が大きな位相変化を受ける。そのため、第1の従来技術ではチャーピングが生じてしまう。これを回避するために特許文献2に分極反転を用いたゼロチャープ型のLN変調器が提案された。
(第2の従来技術)
図19には、特許文献2に開示された構造をさらに改善するために提案された特許文献3の構造の概略上面図を示す。また、図20(a)、(b)に図19のB−B´とC−C´における各々の断面図を示す。7は分極反転をしたz−カットLN基板(簡単に、分極反転領域と呼ぶこともある)である。特許文献2において提案された技術思想も含めて、このLN光変調器について考察する。
図19には、特許文献2に開示された構造をさらに改善するために提案された特許文献3の構造の概略上面図を示す。また、図20(a)、(b)に図19のB−B´とC−C´における各々の断面図を示す。7は分極反転をしたz−カットLN基板(簡単に、分極反転領域と呼ぶこともある)である。特許文献2において提案された技術思想も含めて、このLN光変調器について考察する。
前述のように、中心導体4aの直下の電界強度は接地導体4b、4cよりも大きい。そして変調された光がゼロチャープとなるためには光導波路3aと3bを伝搬する光が同じ大きさの位相変調を受ける必要がある。これを実現するために、分極反転技術を用い、かつ中心導体4aと接地導体4bを入れ替える構造が特許文献2に提案された。
ここで、特許文献2の技術思想を図19、20を用いて説明する。特許文献2の構成は、後述する導電膜8を有していない点以外は、特許文献3と同様である。まず第1の領域として、光導波路3bの直上に中心導体4aが、光導波路3aの直上に接地導体4bが配置している(図20(a))。次に、第2の領域として、分極反転領域7において、光導波路3bの直上に接地導体4cを、そして光導波路3aの直上に中心導体4aを配置している。さらに次の第3の領域では、第1の領域と同じ光導波路と電極の位置関係としている。このように構成することにより、全体として光導波路3aと3bは同じ大きさの位相変化を受けることになり、変調された光波形のゼロチャープ性を実現できる。
さて、図17と図18に示した第1の従来技術では、光導波路3a、3bは−z面に形成されている。これは+z面よりも−z面の方が電荷的に安定な状態となるからである。前述のように7は分極反転領域であるので、光導波路3a、3bは電荷的に不安定な+z面に形成されていることになる。つまり、+z面を使用する分極反転ゼロチャープ構造は必要に迫られた苦肉の策ということができる。
そして、特許文献2で生じるこの問題点を解決するための工夫、つまり+z面を電荷的に安定化させる工夫が特許文献3に開示されている。これについて、図19と図19のB−B´、C−C´における断面図である図20(a)、図20(b)を用いて説明する。図19と図20において、8は分極反転した分極反転領域7の+z面の表面に形成した導電膜である。特許文献3では図20(b)に示すように、導電膜8は光導波路が形成された分極反転領域7の+z面に広く形成されている。導電膜8の中では電荷が移動することができるので環境温度の変化に伴う焦電効果により発生する電荷を均一化できる。
ところが、この第2の従来技術は環境温度が変化した際にバイアス電圧が変化する温度ドリフトについては効果があるものの、長期間におけるバイアス電圧の変化、いわゆるDCドリフトについては大きな問題が生じる。次にこの問題について議論する。
図21に第2の従来技術についての中心導体4aと接地導体4cの近傍の電気的な等価回路を示す。なお、説明をわかり易くするために、バッファ層2を模式的に拡大して図示している。ここでRBはバッファ層2の厚み方向の電気的抵抗である。一方、RPは中心導体4aと接地導体4c間の横方向(基板表面の並行方向)における電気的抵抗(水平方向の電気抵抗)である。
長時間経過後におけるバイアス電圧VBに対して光導波路3a、3bに有効に印加されているバイアス電圧VB´は
VB´={RP/(RP+2RB)}・VB (1)
と近似できる。そして、VB´は大きい方が望ましい。
VB´={RP/(RP+2RB)}・VB (1)
と近似できる。そして、VB´は大きい方が望ましい。
さて、電気的抵抗RPは、光導波路3a、3bが形成されたz−カットLN基板1の表面方向における中心導体4aと接地導体4b、4c間のz−カットLN基板1の電気的抵抗とバッファ層2の電気的抵抗の並列連結で表される、図18に示した第1の従来技術の場合、z−カットLN基板1の電気的抵抗は非常に大きいので電気的抵抗RPはバッファ層2の電気的抵抗により近似できる。
バッファ層2内では光導波路3a、3bの表面方向と垂直方向において抵抗密度が一定とすると、第1の従来技術の場合にはバッファ層2の厚みをd、中心導体4aと接地導体4c間のギャップWとして、式(1)より
VB´/VB=W/(W+2d) (2)
となり、いわば中心導体4aと接地導体4c間のギャップWと、バッファ層2の厚みdを含む式(比例関係)で表すことができる。一般的にギャップWの値はバッファ層2の厚みdの値よりも著しく大きいのでDCドリフトを抑圧できることが式(2)からわかる。
VB´/VB=W/(W+2d) (2)
となり、いわば中心導体4aと接地導体4c間のギャップWと、バッファ層2の厚みdを含む式(比例関係)で表すことができる。一般的にギャップWの値はバッファ層2の厚みdの値よりも著しく大きいのでDCドリフトを抑圧できることが式(2)からわかる。
しかしながら、第2の従来技術では、図21に示したように分極反転領域7の基板表面に電気的抵抗が低い導電膜8があるために、分極反転領域7の基板表面方向(水平方向)の電気抵抗RPはバッファ層2の水平方向の電気的抵抗ではなく導電膜8の電気的抵抗で決定されてしまう。その結果、光導波路に有効に印加されているバイアス電圧VB´と実際に印加しているバイアス電圧VBの比(つまり、どのくらい有効に光導波路3a、3bにバイアスが印加されているかの指標)は第1の従来技術の場合に比べて、第2の従来技術では極めて小さくなる、つまり
VB´/VB@第2の従来技術 << VB´/VB@第1の従来技術 (3)
となってしまう。このことにより、第2の従来技術は温度ドリフトには有効であるものの、DCドリフトに不利な構造であることがわかる。
VB´/VB@第2の従来技術 << VB´/VB@第1の従来技術 (3)
となってしまう。このことにより、第2の従来技術は温度ドリフトには有効であるものの、DCドリフトに不利な構造であることがわかる。
図22はDCドリフト特性についての実際の実験結果である。印加電圧はほぼ半波長電圧Vπとした。図22からわかるように、分極反転領域7の基板表面に導電膜8を形成した第2の従来技術によるLN光変調器のDCドリフト特性は、この導電膜を有さない第1の従来技術によるLN光変調器に比べて著しく劣化していることがわかる。
以上のように、温度ドリフトを抑えるために、分極反転をしたz−カットLN基板の表面で中心導体と接地導体間を含む領域に導電膜を形成する第2の従来技術では、温度ドリフトは抑圧できるもののDCドリフトについては悪化してしまうという問題点があった。そこで本発明では、分極反転構造を用いる光変調器において、DCドリフトと温度ドリフトの両方について特性を改善できる光変調器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の光変調器は、基板と、該基板の表面に形成された光導波路と、該光導波路の上方に形成されたバッファ層と、該バッファ層の上方に形成された、電圧を印加するための中心導体と接地導体からなる電極とを有し、前記基板は分極非反転領域と分極反転領域とから成る光変調器において、導電膜が、前記分極反転領域における前記基板の上面であって、前記中心導体の下方および前記中心導体と前記接地導体とのギャップ部の下方を除く位置に形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の光変調器は、請求項1に記載の光変調器において、前記導電膜が、前記接地導体の下方に位置する前記光導波路の直上をも除く位置で形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の光変調器は、請求項1または2に記載の光変調器において、前記導電膜が、前記中心導体の下方に位置する前記光導波路の直上にさらに形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の光変調器は、請求項3に記載の光変調器において、前記中心導体の下方に位置する前記光導波路の直上に形成された前記導電膜と前記接地導体の下方に形成された前記導電膜とが、電気的に接続されていることを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の光変調器は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光変調器において、前記接地導体の下方に形成された前記導電膜は、前記分極非反転領域まで延伸して形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項6に記載の光変調器は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光変調器において、前記導電膜はアモルファス層であることを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の光変調器は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光変調器において、前記導電膜はその厚みが3Å〜3000Åであることを特徴としている。
本発明では、焦電効果により分極反転領域で発生する電荷をなるべく均一化させるための導電膜を、分極反転領域における中心導体と接地導体間の基板表面には形成しない。そのため、DCドリフト特性を決定する中心導体と接地導体間の抵抗が小さくならないので、DCドリフトを抑圧しつつ、温度ドリフトも低減できるという大きな利点がある。
以下、本発明の実施形態について説明するが、図17から図22に示した従来技術と同一の符号は同一機能部に対応しているため、ここでは同一の符号を持つ機能部の説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1に本発明の第1の実施形態についてその概略上面図を示す。ここで、11aと11bは導電膜である。ここで、D−D´とE−E´における断面図を図2(a)と図2(b)に示す。図1と図2(b)からわかるように、中心導体4aと接地導体4bの間の分極反転をしたLN基板7の表面には、導電膜11aと11bは形成されていない(換言すれば、中心導体4aの下方、および中心導体4aと接地導体4bとのギャップ部の下方を除く位置に導電膜11aと11bが形成されている)。そのため、長時間経過後におけるバイアス電圧VBに対して光導波路に有効に印加されているバイアス電圧VB´は近似的に式(2)が成り立つ。つまり、本実施形態では中心導体4aと接地導体4c間のギャップWと、バッファ層2の厚みdを含む式(比例関係)で表すことができるので、DCドリフト特性については第1の従来技術と同等であり、第2の従来技術が有するデメリットを有さない。その結果、本実施形態により原理的にDCドリフトを抑圧できることが理解される。
図1に本発明の第1の実施形態についてその概略上面図を示す。ここで、11aと11bは導電膜である。ここで、D−D´とE−E´における断面図を図2(a)と図2(b)に示す。図1と図2(b)からわかるように、中心導体4aと接地導体4bの間の分極反転をしたLN基板7の表面には、導電膜11aと11bは形成されていない(換言すれば、中心導体4aの下方、および中心導体4aと接地導体4bとのギャップ部の下方を除く位置に導電膜11aと11bが形成されている)。そのため、長時間経過後におけるバイアス電圧VBに対して光導波路に有効に印加されているバイアス電圧VB´は近似的に式(2)が成り立つ。つまり、本実施形態では中心導体4aと接地導体4c間のギャップWと、バッファ層2の厚みdを含む式(比例関係)で表すことができるので、DCドリフト特性については第1の従来技術と同等であり、第2の従来技術が有するデメリットを有さない。その結果、本実施形態により原理的にDCドリフトを抑圧できることが理解される。
図3には実際のDCドリフト特性を示す。印加電圧はほぼ半波長電圧Vπとした。図から、第1の従来技術と同じく、DCドリフトを充分抑圧できており、中心導体4aと接地導体4b、4cの間に導電膜8を形成した図19、図20(b)に示した第2の従来技術に比べて大幅に改善されていることがわかる。
一方、図4には環境温度に対するバイアス電圧の特性、即ち温度ドリフト特性を示す。図からわかるように、本実施形態では光導波路の近傍まで導電膜11a、11bを形成しているので電荷の分布をほぼ均一化でき、その結果温度ドリフトを充分抑圧できていることがわかる。
なお、本実施形態では導電膜11bは光導波路3bの直上には形成されていない。一般に導電膜としては、LN基板その物に荷電ビームを当てるなどの方法で製作したアモルファス層で形成し、またはSiやTiなどの導電媒質あるいはITOのような導電性材料をLN基板の表面に形成する。一般に導電性・半導電性の媒質は光を吸収する、あるいは導波する特性を有するので、導電性・半導電性の媒質が光導波路の上にはない本実施形態は光の挿入損失の観点から極めて有利な構造であると言うことができる。実際、厚みについては3Å程度の薄くても良いが、3000Åくらいと厚くしても挿入損失を増加させることはない。
(第2の実施形態)
図5に本発明における第2の実施形態の概略上面図を示す。12aと12bは導電膜である。図6に図5のF−F´における断面図を示す。なお、図5のG−G´における断面図は図2(a)と同じである。
図5に本発明における第2の実施形態の概略上面図を示す。12aと12bは導電膜である。図6に図5のF−F´における断面図を示す。なお、図5のG−G´における断面図は図2(a)と同じである。
本実施形態では温度ドリフト抑圧の効果を高めるために、光導波路3bの上にも導電膜12bを形成している。そのため、導電膜12bの厚みは3Å程度から1000Å程度と薄くすることが望ましい。
本実施形態においても、中心導体4aと接地導体4b、4cの間における分極反転領域7の基板表面に導電膜12a、12bは存在しない。従って、温度ドリフト特性を改善しつつ、DCドリフトについて極めて有利な構造となっている。
(第3の実施形態)
図7に本発明における第2の実施形態の概略上面図を示す。13aと13bは導電膜である。図8に図7のH−H´における断面図を示す。なお、図7のI−I´における断面図は図2(a)と同じである。
図7に本発明における第2の実施形態の概略上面図を示す。13aと13bは導電膜である。図8に図7のH−H´における断面図を示す。なお、図7のI−I´における断面図は図2(a)と同じである。
本実施形態では光導波路3bの上に導電膜13bを形成しているが、焦電効果により誘起される電荷をより均一化して温度ドリフト抑圧の効果を高めるために、さらに光導波路3aの上にも導電膜13aを形成している。
本実施形態では、中心導体4aと接地導体4b、4cの間にある分極反転領域7のLN基板表面には導電膜を形成しないことが特徴である。図9に本実施形態における導電膜13a、13bの詳細図(図7と同視点で見た図)を示す。図からわかるように、導電膜13aにブリッジ部14、14´を設けることにより、導電膜13全体の電気的導通を図っている。なお、相互作用領域の長さは数10mmと長いので、ブリッジ部14、14´の幅WDを5μm〜500μm程度と狭くしておけばDCドリフトへの影響をほぼ無視できる。また、ブリッジ部14と14´のどちらかだけを形成しておけば良いことは言うまでもない。
図10は図9の変形例である。図9に示した導電膜13a、13bと比較して、この変形実施形態の導電膜15a、15bでは、より密にブリッジ部16´、16´´、16´´´を設けている。またさらに多くのブリッジ部を設けても良い。なお、光の挿入損失の観点からは導電膜13a、13b、15a、15bの厚みは3Å程度から1000Å程度と薄くすることが望ましい。
(第4の実施形態)
図11に本発明における第4の実施形態の概略上面図を示す。17a、17bは本実施形態における導電膜である。本実施形態の導電膜17a、17bの詳細図を図12に示す。また、図13は図12の変形例であり、19a、19bは導電膜である。ここで、18、18´、20、20´はブリッジ部である。本実施形態についても第3の実施形態と同様の効果を期待できる。
図11に本発明における第4の実施形態の概略上面図を示す。17a、17bは本実施形態における導電膜である。本実施形態の導電膜17a、17bの詳細図を図12に示す。また、図13は図12の変形例であり、19a、19bは導電膜である。ここで、18、18´、20、20´はブリッジ部である。本実施形態についても第3の実施形態と同様の効果を期待できる。
(第5の実施形態)
本発明は分極反転ゼロチャープとして中心導体と接地電極を曲げる構成の光変調器のみでなく、特開2006−259686に開示されたような光導波路3a´、3b´を曲げる構成の光変調器にも適用可能である。このタイプの光変調器は電気的透過特性(S21)や反射特性(S11)に優れているという特徴がある。なお、第1の実施形態から第4の実施形態として説明した各種構造のみでなく、本発明として考案される全ての構造が、この光導波路を曲げるタイプの分極反転ゼロチャープ構成に適用可能であることは言うまでもない。
本発明は分極反転ゼロチャープとして中心導体と接地電極を曲げる構成の光変調器のみでなく、特開2006−259686に開示されたような光導波路3a´、3b´を曲げる構成の光変調器にも適用可能である。このタイプの光変調器は電気的透過特性(S21)や反射特性(S11)に優れているという特徴がある。なお、第1の実施形態から第4の実施形態として説明した各種構造のみでなく、本発明として考案される全ての構造が、この光導波路を曲げるタイプの分極反転ゼロチャープ構成に適用可能であることは言うまでもない。
(第6の実施形態)
図15に本発明の第6の実施形態についてその概略上面図を示す。ここで、23aと23bは導電膜である。図15のJ−J´における断面図は図2(a)と同じである。一方、K−K´における断面図を図16に示す。図15と図16からわかるように、導電膜23aと23bは分極反転領域7内の基板表面にとどまっている(換言すれば、導電膜23a、23bは分極非反転領域にまで延伸して形成されていない)。実際にはこれまでの実施形態のように、温度ドリフト抑圧の観点からは導電膜が分極反転領域と分極非反転領域にまたがっている方が望ましいが、本実施形態のように導電膜が分極反転領域と分極非反転領域にまたがっていなくても温度ドリフトについてある程度の効果を期待することができる。さらには、導電膜が分極反転領域と分極非反転領域にまたがる構造とまたがらない構造を組み合わせても良い。この第6の実施形態で述べた構造は第1の実施形態から第5の実施形態を含め、本発明の全ての実施形態について言うことができる。
図15に本発明の第6の実施形態についてその概略上面図を示す。ここで、23aと23bは導電膜である。図15のJ−J´における断面図は図2(a)と同じである。一方、K−K´における断面図を図16に示す。図15と図16からわかるように、導電膜23aと23bは分極反転領域7内の基板表面にとどまっている(換言すれば、導電膜23a、23bは分極非反転領域にまで延伸して形成されていない)。実際にはこれまでの実施形態のように、温度ドリフト抑圧の観点からは導電膜が分極反転領域と分極非反転領域にまたがっている方が望ましいが、本実施形態のように導電膜が分極反転領域と分極非反転領域にまたがっていなくても温度ドリフトについてある程度の効果を期待することができる。さらには、導電膜が分極反転領域と分極非反転領域にまたがる構造とまたがらない構造を組み合わせても良い。この第6の実施形態で述べた構造は第1の実施形態から第5の実施形態を含め、本発明の全ての実施形態について言うことができる。
(各実施形態)
以上の議論ではマッハツェンダ光導波路が1個のいわゆる単マッハツェンダ光導波路について議論してきたが、2個の子マッハツェンダ光導波路と1個の親マッハツェンダ光導波路を有するQPSK構造(ここでは、X偏波とY偏波の2つを有するDP−QPSK構造)や子マッハツェンダ光導波路や親マッハツェンダ光導波路数の数がより増えた複雑なネスト構造であっても本発明は適用可能であるし、位相変調と強度変調を組み合わせた構成であっても適用可能であることは言うまでもない。また、基板としてはLiNbO3の他にLiTaOなどでも良い。導電膜としては基板その物の表面にイオンビームを当てるなどしてアモルファス化して導電性を持たせても良いし、TiやAuなどの金属やITOなどの導電性材料を基板の表面に形成しても良い。
以上の議論ではマッハツェンダ光導波路が1個のいわゆる単マッハツェンダ光導波路について議論してきたが、2個の子マッハツェンダ光導波路と1個の親マッハツェンダ光導波路を有するQPSK構造(ここでは、X偏波とY偏波の2つを有するDP−QPSK構造)や子マッハツェンダ光導波路や親マッハツェンダ光導波路数の数がより増えた複雑なネスト構造であっても本発明は適用可能であるし、位相変調と強度変調を組み合わせた構成であっても適用可能であることは言うまでもない。また、基板としてはLiNbO3の他にLiTaOなどでも良い。導電膜としては基板その物の表面にイオンビームを当てるなどしてアモルファス化して導電性を持たせても良いし、TiやAuなどの金属やITOなどの導電性材料を基板の表面に形成しても良い。
さらに本明細書においては光を分割する機能部としてはY分岐を用いて説明したが、方向性結合器やMMIを用いても良いことはいうまでもない。
本発明は光の入力、あるいは光の出力が2本以上の光導波路からなる光スイッチなど、光変調器以外の光変調デバイスにも適用可能である。また光導波路の形成法としてはTi熱拡散法の他にプロトン交換法など光導波路の各種形成法を適用できるし、バッファ層としてAl2O3等のSiO2以外の各種材料も適用可能である。
また、変調器としてはプレーナ構造を用いて説明したが、リッジ構造としても良いことは言うまでもない。あるいは、電極構成としては構造が対称なCPW電極を用いた構成について説明してきたが、構造が非対称なCPW電極でも良いし、さらには非対称コプレーナストリップ(ACPS)あるいは対称コプレーナストリップ(CPS)など、その他の構成でも良い。
以上のように、本発明を適用することにより温度ドリフト特性とDCドリフト特性の両方が同時に改善されるので、信頼性やコストが大幅に改善された光変調器を提供できる。
1:z−カットLN基板
2:SiO2バッファ層
3:マッハツェンダ光導波路(光導波路)
3a、3b、3a´、3b´:マッハツェンダ光導波路を構成する相互作用光導波路
4:進行波電極
4a:中心導体
4b、4c:接地導体
5:Si導電層
6:高周波(RF)電気信号給電線
6´:高周波(RF)電気信号出力線
7、21:分極反転領域
8、11a、11b、12a、12b、13a、13b、15a、15b、17a、17b、19a、19b、22a、22b、23a、23b:導電膜
14、14´、16、16´、16´´、18、18´、20、20´、20´´:ブリッジ部
9、9´:バッファ層の抵抗RB
10:水平方向の抵抗RP
2:SiO2バッファ層
3:マッハツェンダ光導波路(光導波路)
3a、3b、3a´、3b´:マッハツェンダ光導波路を構成する相互作用光導波路
4:進行波電極
4a:中心導体
4b、4c:接地導体
5:Si導電層
6:高周波(RF)電気信号給電線
6´:高周波(RF)電気信号出力線
7、21:分極反転領域
8、11a、11b、12a、12b、13a、13b、15a、15b、17a、17b、19a、19b、22a、22b、23a、23b:導電膜
14、14´、16、16´、16´´、18、18´、20、20´、20´´:ブリッジ部
9、9´:バッファ層の抵抗RB
10:水平方向の抵抗RP
Claims (7)
- 基板と、該基板の表面に形成された光導波路と、該光導波路の上方に形成されたバッファ層と、該バッファ層の上方に形成された、電圧を印加するための中心導体と接地導体からなる電極とを有し、前記基板は分極非反転領域と分極反転領域とから成る光変調器において、
導電膜が、前記分極反転領域における前記基板の上面であって、前記中心導体の下方および前記中心導体と前記接地導体とのギャップ部の下方を除く位置に形成されていることを特徴とする光変調器。 - 前記導電膜が、前記接地導体の下方に位置する前記光導波路の直上をも除く位置で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
- 前記導電膜が、前記中心導体の下方に位置する前記光導波路の直上にさらに形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光変調器。
- 前記中心導体の下方に位置する前記光導波路の直上に形成された前記導電膜と前記接地導体の下方に形成された前記導電膜とが、電気的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の光変調器。
- 前記接地導体の下方に形成された前記導電膜は、前記分極非反転領域まで延伸して形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光変調器。
- 前記導電膜はアモルファス層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光変調器。
- 前記導電膜はその厚みが3Å〜3000Åであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光変調器。
Priority Applications (1)
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JP2012206642A JP2014062947A (ja) | 2012-09-20 | 2012-09-20 | 光変調器 |
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