JP2014062672A - 冷暖房用放熱パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】フローリング等の下地として敷設される放熱パネルであって、上面出力および上面放熱効率を一層高めることができる冷暖房用放熱パネルを提供する。
【解決手段】冷暖房用放熱パネルは、断熱材としての発泡樹脂成形体2と、当該発泡樹脂成形体の表側の溝に埋設された通水管3と、床仕上材固定用の根太状部材4と、表面に貼設された熱拡散用の放熱シート5とから成る。通水管3の直線部分は、樋状の伝熱部材6に収容されて発泡樹脂成形体2の溝に埋設され、通水管3の曲線部分は、発泡樹脂成形体2の表面に貼着された金属箔7の上面から当該金属箔を裂いて発泡樹脂成形体2の溝に埋設される。そして、根太状部材4の配列ピッチが300〜305mmに設定され、通水管3の配列ピッチが根太状部材4の両側で55〜90mm、それ以外の部位で30〜55mmに設定される。
【選択図】図1
【解決手段】冷暖房用放熱パネルは、断熱材としての発泡樹脂成形体2と、当該発泡樹脂成形体の表側の溝に埋設された通水管3と、床仕上材固定用の根太状部材4と、表面に貼設された熱拡散用の放熱シート5とから成る。通水管3の直線部分は、樋状の伝熱部材6に収容されて発泡樹脂成形体2の溝に埋設され、通水管3の曲線部分は、発泡樹脂成形体2の表面に貼着された金属箔7の上面から当該金属箔を裂いて発泡樹脂成形体2の溝に埋設される。そして、根太状部材4の配列ピッチが300〜305mmに設定され、通水管3の配列ピッチが根太状部材4の両側で55〜90mm、それ以外の部位で30〜55mmに設定される。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷暖房用放熱パネルに関するものであり、詳しくは、例えば床暖房に使用する場合、床下地の上に敷設され且つ上面にフローリング等の床仕上材が配置され、内部の通水管に温水を循環させることにより床暖房を行う放熱パネルに関するものである。
床暖房の施工においては、フローリング等の床仕上材の下地として、予め通水管を埋設した放熱パネルが使用される。斯かる放熱パネルは、平面形状を方形に形成された断熱材としての薄板状の発泡樹脂成形体と、当該発泡樹脂成形体の表側に形成された溝にその一部が露出するように埋設された通水管と、発泡樹脂成形体にその上下面が露出する状態に埋設された床仕上材固定用の根太状部材と、発泡樹脂成形体の表側の表面に貼設された熱拡散用の放熱シートとから成り、複数本の通水管によって温水の循環路が複数組構成されている。
上記のような放熱パネルにおいては、省エネルギー化を図る観点から、放熱パネルの基本性能、すなわち、パネル上面の放熱量(以下、「上面出力」と言う。)、及び、パネル上下面の全放熱量に対する上面の放熱量の比率(以下、「上面放熱効率」と言う。)を同時に向上させる必要がある。そこで、フローリングの寸法規格に対応して根太状部材の配列ピッチを300〜305mmに設定すると共に、通水管の配列ピッチを根太状部材の両側で55〜90mm、根太状部材の両側以外の部位で30〜55mmに設定し、更に、断面がU字状に形成され且つ上端縁に鍔が付設された樋状の伝熱部材に通水管の直線部分を収容し、発泡樹脂成形体の表側に形成された溝に伝熱部材と共に通水管を埋設している。
ところで、上記のような放熱パネルでは、流れる温水の温度低下を少なくしてパネル全体で均一に放熱し且つ出力を高めるため、複数本の通水管を並列に配列することにより、温水の循環路を複数組構成し、更に、放熱シートへの熱伝導効率を高めるため、根太状部材と平行に配置された通水管の直線部分を樋状の伝熱部材に収容している。しかしながら、発泡樹脂成形体の上面において、根太状部材の端部を迂回または根太状部材の中間の分断部分を通過する通水管の曲線部分が配置される部分の面積は、発泡樹脂成形体の上面の全面積の約50%を占めているが、通水管の曲線部分については、伝熱部材を曲げ加工することができないため、発泡樹脂成形体の溝に直接収容している。従って、上記の放熱パネルにおいては、通水管の曲線部分に関して上面出力および上面放熱効率を更に高め得る手段が求められる。
本発明は、上記のような放熱パネルの基本性能を更に向上させるべく種々検討の結果なされたものであり、その目的は、上面出力および上面放熱効率を一層高めることができる冷暖房用放熱パネルを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明においては、温水または冷水の循環路を構成する複数の通水管を特定の配列ピッチで配列することにより、通水管における圧力損失を小さくして流れる温水または冷水の平均温度をより高い温度または低い温度に維持し、単位面積当たりの放温熱がより大きくなるようにした。しかも、通水管の直線部分については、樋状の伝熱部材に収容して発泡樹脂成形体表面の溝に埋設し、通水管の曲線部分については、発泡樹脂成形体の表面に貼着された金属箔の上面から当該金属箔を裂いて溝に埋設することにより、通水管の直線部分および曲線部分における放熱シートへの熱伝導効率を高めるようにした。
すなわち、本発明の要旨は、平面形状を方形に形成された断熱材としての薄板状の発泡樹脂成形体と、当該発泡樹脂成形体の表側に形成された溝に埋設された通水管と、前記発泡樹脂成形体にその上下面が露出する状態に埋設された床仕上材固定用の根太状部材と、前記発泡樹脂成形体の表側の表面に貼設された熱拡散用の放熱シートとから成り、複数本の前記通水管によって温水または冷水の循環路が複数組構成された冷暖房用の放熱パネルであって、前記根太状部材は、放熱パネルの幅方向の中央部で分断された形態または放熱パネルの幅方向の両端部に達しない形態で放熱パネルの幅方向に沿って一定ピッチで複数本配列され、前記通水管は、前記根太状部材と平行に配置された直線部分と、前記根太状部材の分断された部位または前記根太状部材が放熱パネルの両端部に達していない部位において根太状部材を迂回する曲線部分とを備え、前記通水管の直線部分は、断面がU字状に形成され且つ上端縁に鍔が付設された樋状の伝熱部材に収容されて前記溝に埋設され、前記通水管の曲線部分は、前記発泡樹脂成形体の表面に貼着された金属箔の上面から当該金属箔を裂いて前記溝に埋設され、かつ、前記根太状部材の配列ピッチが300〜305mmに設定され、前記通水管の配列ピッチが前記根太状部材の両側で55〜90mmに設定され且つ前記根太状部材の両側以外の部位で30〜55mmに設定されており、前記放熱シートの厚さが60〜150μmに設定されていることを特徴とする冷暖房用放熱パネルに存する。
本発明の冷暖房用放熱パネルによれば、循環路を構成する通水管が特定の配列ピッチで配列された配置パターンを備えており、しかも、通水管の直線部分は、樋状の伝熱部材に収容されて発泡樹脂成形体表面の溝に埋設され、通水管の曲線部分は、発泡樹脂成形体の表面に貼着された金属箔の上面から当該金属箔を裂いて溝に埋設されているため、例えば床暖房用に使用した場合、通水管における温水の圧力損失が小さく、流れる温水の平均温度をより高い温度に維持でき、しかも、通水管の直線部分および曲線部分ともに放熱シートへの熱伝導効率を高めることができるため、上面出力および上面放熱効率を一層高めることができる。
本発明に係る冷暖房用放熱パネル(以下、「放熱パネル」と略記する。)の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、その趣旨を越えない限り、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の放熱パネルは、高出力で且つ上面放熱効率に優れたパネルであり、床、壁、天井に機能下地材として敷設することができる。そして、温水を循環させることにより暖房用として使用され、また、冷水を循環させることにより冷房用として使用される。本発明において、上面出力とは、放熱パネルの単位面積当たりの上面側への温熱または冷熱の放熱量を言う。また、上面放熱効率とは、放熱パネル上下面への温熱または冷熱の総放熱量に対する放熱パネル上面への放熱量の割合を言う。以下、本発明の実施形態として、床暖房に適用する場合の一形態を例に挙げて説明する。
図中に符号1で示す本発明の放熱パネルは、ベニヤ等の構造用合板やパーティクルボード、あるいは、コンクリートスラブ等から成る床下地の上に敷設され且つ上面にフローリング等の床仕上材が配置され、内部に温水を循環させる床暖房用の下地材である。床仕上材(フローリング)としては、通常、マトア、チーク、オーク、ナラ、サクラ、ヒノキ、メープル、ウリン等の各種天然木材を少なくとも表面に使用した所謂フローリングが使用される。
本発明の放熱パネル1は、図1に示すように、施工性の観点から、通常は平面形状を方形(正方形または長方形)に形成される。放熱パネル1は、設置場所を考慮して種々の大きさに設計できるが、居室床の寸法設計に対応するため、通常は、一辺の長さ(幅)を500〜4000mm程度、他の一辺の長さ(長さ)を500〜4000mm程度、厚さを7〜20mm程度に設定される。そして、後述するヘッダー8(流体分岐ブロック)を使用して複数の循環路を構成するため、平面面積が0.5〜12m2に設計される。因に、図1は、幅が2985mm、長さが2424mmの放熱パネル1を例示したものである。なお、放熱パネル1は、敷設する床の広さによっては複数枚使用される。
本発明の放熱パネル1は、図1及び図2に示すように、断熱材としての薄板状の発泡樹脂成形体2と、当該発泡樹脂成形体の表側に形成された溝23(図3,図4参照)に埋設された通水管3と、発泡樹脂成形体2にその上下面が露出するように埋設された床仕上材固定用の複数本の根太状部材4と、発泡樹脂成形体2の表側の表面に貼設された熱拡散用の放熱シート5とから構成され、かつ、当該放熱パネル1においては、複数本の通水管3によって温水の循環路が複数組構成される。
発泡樹脂成形体2としては、硬質ポリウレタン発泡体、硬質ポリエチレン発泡体、硬質ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、フェノール樹脂発泡体、硬質ポリ塩化ビニル発泡体、ポリメチルメタクリレート発泡体、ポリカーボネート発泡体、ポリフェニレンオキサイド発泡体、ポリスチレンとポリエチレン混合物の発泡体などが挙げられる。中でも、硬質ポリプロピレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体などが好適である。
発泡樹脂成形体2は、通常、平面形状が細長の長方形に形成された小片を放熱パネル1の幅に沿わせ且つ放熱パネル1の長さ方向に多数配列して構成される。発泡樹脂成形体2の各小片の長さ及び厚さは、各々、放熱パネル1の上記の幅および厚さに応じて設計され、各小片の幅(放熱パネル1の長さの方向に沿った小片の短辺の長さ)は、120〜600mm程度とされる。なお、発泡樹脂成形体2の下面には、遮音材として不織布などが貼設されてもよい。また、図1に示すように、発泡樹脂成形体2は、放熱パネル1を折畳み構造に構成するために分断されていてもよい。
更に、発泡樹脂成形体2の裏面には、コストダウンを図るため、後述する根太状部材4の長さ方向と平行に凹溝が複数設けられていてもよい。斯かる凹溝の幅は5mm以上30mm以下とされ、凹溝の深さは2mm以上9mm以下とされる。凹溝の幅が5mm未満、深さが2mm未満では、コストダウンの効果が殆どなく、また、凹溝の幅が30mmを超えたり、凹溝の深さが9mmを超えた場合には、放熱パネル1の強度が極端に低下し、敷設作業において歩行などにより凹みが生じたり、防音床を敷設した場合などに床上から歪みが生じる。上記のような凹溝を設けた場合には、基材としての発泡樹脂成形体2の製造において原料を削減することができ、コストダウンに寄与できる。
図1及び図2に示すように、通常、発泡樹脂成形体2には、放熱パネル1の幅に沿って根太状部材(小根太)4が所定の間隔で埋設された状態に配置される。すなわち、発泡樹脂成形体2の各小片と平行かつ並列に所定の間隔で根太状部材4が配置される。根太状部材4は、床下地が木質系の場合にビスや釘を使用して当該放熱パネル1を固定すると共に、上方から加わる鉛直荷重を支持するための小割り状の部材であり、スギ、サクラ、ヒノキ、ラワン及び合板などの木材、または、樹脂の硬質発泡材で構成される。根太状部材4の長さ及び厚さは、各々、放熱パネル1の上記の幅および厚さに応じて設計され、本発明において、根太状部材4の幅は、施工性の観点から40〜50mm程度が好適である。
また、図1に示すように、上記の根太状部材4は、平面形状が方形の放熱パネル1の幅方向の中央部で分断された形態、または、放熱パネル1の幅方向の両端部に達しない形態で当該放熱パネルの幅方向に沿って一定ピッチで配置される。一般的な床仕上材(フローリング)の幅の規格に対応するため、根太状部材4の配列ピッチは300〜305mmに設定される。そして、後述する各通水管3は、根太状部材4の分断された部位を渡る状態、または、根太状部材4が放熱パネル1の両端部に達していない部位において根太状部材4を迂回する状態に配置される。
通水管3は、図3に示すように、通常、発泡樹脂成形体2の表面に形成された溝23を利用し、放熱シート5に接触する状態に発泡樹脂成形体2に埋設される。通水管3としては、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリプロピレン管、ポリエチレン管、銅管の他、周面に金属線を埋設した樹脂管などが使用でき、一般的には、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管が使用される。
本発明においては、通水管3における圧力損失を小さくして流れる温水の平均温度をより高い温度に維持するため、通水管3の大きさは、外径が通常は4〜10mm、好ましくは5〜8mm、内径が通常は4〜7mm、好ましくは5〜6mmとされる。通水管3の大きさを規定する理由は次の通りである。すなわち、通水管3の内径が4mm未満の場合は、通水管3での圧力損失が大きくなりすぎて十分な通水量を確保できなくなり、床仕上材を加温するのに必要な熱量が不足する。一方、通水管3の内径が7mmを超えた場合は、通水管3を収めるために発泡樹脂成形体2の厚さが厚くなり、放熱パネル1周辺に使用するダミー合板の厚みが厚くなることで汎用性が失われたり、施工コストが高くなる他、既存の床へ適用が困難になる。しかも、系内の保有水量が大きくなるため、熱源装置側のタンクも大型化する。その結果、製造コスト、設備コストが増大すると言う問題も生じる。
図1に示すように、放熱パネル1の1つの縁部には、切込みによって構成されたヘッダー取付部10が備えられており、上記の通水管3は、ヘッダー取付部10に取り付けられた温水分配回収用のヘッダー8に繋ぎ込まれ、複数系統(複数回路)、例えば図示するような6系統の温水循環路を構成するようになされている。上記のように、循環路を複数組構成することにより、各系統における温水の温度低下を少なくしてパネル全体で均一に放熱し且つ出力を高めることができる。
通水管3は、通常、放熱パネル1の幅方向に沿って直線状に配置され且つ幅方向の両端側、すなわち、放熱パネル1の長さ方向に沿った縁部、ならびに、放熱パネル1の幅の中央部で折り返すように配置される。換言すれば、通水管3は、根太状部材4と平行に配置された直線部分と、折り返す形態に配置された曲線部分とを備えており、斯かる曲線部分は、根太状部材4の分断された部位を横切る小根太渡り部分と、根太状部材4が放熱パネルの両端部に達していない部位において当該根太状部材を迂回する迂回部分とからなる。そして、本発明においては、放熱パネル1の単位面積当たりの通水管3の合計敷設長さを十分に確保し、単位面積当たりの放熱量をより大きくするため、通水管3の列の配列ピッチが根太状部材4の両側で55〜90mmに設定され且つ根太状部材4の両側以外の部位で30〜55mmに設定される。
通水管3の配列ピッチを上記の範囲に規定する理由は次の通りである。すなわち、根太状部材4の両側の配管ピッチが55mm未満の場合には、40〜50mm必要とされる根太状部材4の幅を十分に確保できなくなり、床仕上材を敷設する際に、その敷設位置の僅かなズレにより釘打ちによる仮固定ができず、また、接着剤による根太状部材4と床仕上材の接着効果を十分に発揮できず、施工後の音鳴りや不陸等の原因となる。更に、根太状部材4の幅を十分に確保できない場合は、近傍の通水管3に誤って釘を打ち込んでしまう可能性が高くなり、漏水の原因となる。一方、根太状部材4の両側の配管ピッチが90mmを超えた場合には、出力が著しく低下する。
また、根太状部材4の両側以外の部位の通水管3の配管ピッチが30mm未満の場合には、放熱パネル1単位面積当たりの通水管3の長さが長くなり過ぎて製造コストが高くなる。しかも、通水管3の長さが長くなることによって圧力損失が大きくなる。一方、上記の部位の通水管3の配列ピッチが55mmを超えた場合には、単位面積当たりの通水管3の長さが短くなるため、上面側への十分な放熱量が得られないという問題が生じる。
因に、従来の放熱パネルにおいては、通水管の配列ピッチは根太状部材の両側とそれ以外部位とで概ね等しく設定されているのに対し、図2に示すように、本発明の放熱パネル1においては、根太状部材4の両側の通水管3の配列ピッチ(a)が、根太状部材4の両側以外の部位の通水管3の配列ピッチ(b)よりも大きく設定されている。なお、配列ピッチ(b)は、必ずしも一定である必要はなく、前述の範囲内で概ね一定であればよい。
また、本発明の放熱パネル1においては、当該放熱パネルを平面視した場合の単位面積当たりの通水管3の合計敷設長さは、通常15〜30m/m2、好ましくは19〜27m/m2である。上記の敷設長さを規定する理由は次の通りである。すなわち、敷設長さが15m/m2未満の場合は、床仕上材を加温するのに必要な熱量が不足する。一方、敷設長さが30m/m2を超えた場合は、通水管3における圧力損失が増加し、また、製造コストが増大する。
更に、本発明の放熱パネル1においては、出力を高めるため、1つの循環路を構成する通水管3の全長は、通常3〜40m、好ましくは10〜35mである。上記のように通水管3の全長を規定する理由は次の通りである。すなわち、通水管3の全長が40mを超えた場合は、当該通水管における温水の温度降下が大きいため、均一な加熱が難しくなり且つ放出熱量が小さくなる傾向にある。一方、通水管3の全長が3m未満の場合は、全体として十分な放熱量を得るためにより多数の循環路(回路)を構成しなければならず、製造コストが増大する傾向にある。
本発明においては、放熱パネル1の上面出力を高め且つ上面放熱効率を高めるため、図3に示すように、通水管3の直線部分は、樋状の伝熱部材6に収容されて当該伝熱部材と共に上記の溝23に埋設される。伝熱部材6は、その長さ方向に直交する断面がU字状に形成され且つその上端縁に鍔が付設された部材である。伝熱部材6は金属箔から成り、通常は厚さが約10〜500μm、好ましくは50〜150μmのアルミニウム(又はアルミニウム合金)の箔によって構成される。上記のような伝熱部材6を配置した場合には、通水管3から放出される熱を後述する放熱シート5へ効率的に伝達でき、放熱パネル1の上面放熱効率を高めることができる。
一方、通水管3の曲線部分においては、上記の樋状の伝熱部材6を挿入するのが実質的に難しい。換言すれば、伝熱部材6は、スリットを入れて通水管3の曲がり形状に倣って加工することもできるが、このような加工は、コストが高くなる等の問題から実用的ではない。しかしながら、上記の曲線部分において通水管3を発泡樹脂成形体2に直接配置した場合、上面放熱効率が他の部分に比較して低くなり、温度ムラを生じる。
そこで、本発明の放熱パネル1においては、図4に示すように、通水管3の曲線部分は、発泡樹脂成形体2の表面に貼着された金属箔7の上面から当該金属箔を裂いて溝23に埋設される。すなわち、通水管3の曲線部分は、発泡樹脂成形体2の表面に予め貼着された金属箔7の上面から、溝23に相当する部分に押し込むことにより、金属箔7を裂いた状態で溝23に挿入される。金属箔7としては、厚さが10〜60μm、好ましくは30〜50μmのアルミニウム(又はアルミニウム合金)の箔が使用される。これにより、通水管3の外周部の一部を金属箔7に接触させ、曲線部分においても通水管3から放出される熱を放熱シート5へ効率的に伝達できる。なお、発泡樹脂成形体2に金属箔7を貼着するための接着剤としては、後述する放熱シート5を接着するための接着剤と同様のものが使用できる。
更に、本発明においては、通水管3の小根太渡り部分における当該通水管の配列ピッチ(曲線部分の配列ピッチ)は、通水管3の内径+5mm以上、内径+10mm以下とされる。すなわち、通水管内径+5mm≦配列ピッチ≦通水管内径+10mmに設定される。小根太渡り部分で通水管3を上記のように配置した場合には、伝熱部材6が敷設された部位と比較しても、例えば放熱パネル1の端部の300mm×300mmの方形面内での平均温度のムラを実使用上問題ないレベルに抑えることができる。
また、図2〜図4に示すように、発泡樹脂成形体2及び根太状部材4の表面、すなわち、放熱パネル1の表面には、通水管3の温水の熱を床仕上材側に伝える放熱シート5が配置される。放熱シート5は、厚さが60〜150μm、好ましくは80〜120μmで且つ熱伝導性に優れた可撓性のフィルム又はシート、例えば、アルミニウム箔、錫箔、銅箔、ステンレス鋼箔などの金属箔、金属製の織布や不織布、樹脂フィルム又は樹脂シート、あるいは、これらを組合せた積層シート等から構成される。中でも、製造の容易さやコストの点から、アルミニウムシート(又はフィルム若しくは箔)が好ましく、上面放熱効率を高める点から、アルミニウムシートの厚さは約100μmが好ましい。
放熱シート5は、通常、発泡樹脂成形体2及び根太状部材4の表面に対して接着材によって貼着される。接着材としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・グリシジルアクリレート共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンのアクリル酸グラフト共重合体、ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト共重合体などの熱可塑性樹脂、あるいは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂から成る接着剤または接着剤フイルムが挙げられる。上記の発泡樹脂成形体2と根太状部材4は、これらの表面に貼設された放熱シート5によって一体化されている。なお、一体化されるに十分な強度を有していれば、特に前述の接着材に限定されるものではない。
更に、図視しないが、通水管3は、発泡樹脂成形体2の表側の溝23にその一部が露出するように埋設されていてもよい。その場合、上記の放熱シート5は、通水管3の外周面の15%以上に接触しているのが好ましい。すなわち、通水管3を断面視した場合、通水管3の外周面と放熱シート5との接触部分の円弧の角度が50゜以上となるように設計される。放熱シート5に対して上記のように接触する状態に通水管3を配置する場合、基材である発泡樹脂成形体2に形成する溝23の深さは、通水管3の外径+伝熱部材6の厚さ−突出量とされ、発泡樹脂成形体2からの通水管3の突出量は、0.2〜0.7mm程度とされる。突出量を上記の範囲に設定する理由は次の通りである。すなわち、突出量が0.2mm未満の場合には、通水管3と放熱シート5との接触面積が小さくなり、放熱パネル上面の放熱量が不足する。一方、突出量が0.7mmを超えた場合には、通水管3の浮き上がりや、床仕上材を敷設する際に段差の原因となる。
また、図1に示すように、本発明の放熱パネル1には、熱交換器から供給された温水をパネル内の各循環路に分配し且つこれら循環路を循環した温水を集約して熱交換器に戻すヘッダー8が付設される。すなわち、放熱パネル1においては、ヘッダー8を使用することにより、例えば6組または8組の循環路(通水管3で構成される回路)に温水を均等に循環させ且つ圧力損失を低減することができる。
なお、6組または8組の循環路(回路)を有するヘッダー8が付設された大サイズの6m2以上の放熱パネル1と、比較的中サイズの3m2以上6m2以下の放熱パネル1或いは比較的小サイズの3m2未満の放熱パネル1とを併用する場合は、中サイズの放熱パネル1には3回路または2回路のヘッダーを使用し、小サイズの放熱パネル1には2回路または1回路のヘッダーを使用し、段階的に1循環路あたりの通水管3の長を調節して放熱パネル1内の圧損を同等程度にすることにより、温度ムラを抑えることができる。
本発明の放熱パネル1は、通水管3の内径および配列ピッチを前述のように設定し、かつ、通水管3の直線部分を伝熱部材6に収容して溝23に埋設すると共に、通水管3の曲線部分を金属箔7を介して溝23に埋設することにより、高い上面出力を得ることができる。すなわち、本発明の放熱パネル1においては、60℃の温水を循環させた場合の上面放熱量が150W/m2以上である。また、上面出力の上限は、60℃以上の高温水を通湯させたときに床温が不快な温度まで上昇しないように、通常は250W/m2、好ましくは200W/m2以下であることが好ましい。
放熱パネル1の出力と上面放熱効率は図5に示す試験装置を使用した測定方法により測定することができる。斯かる測定方法は、「優良住宅部品性能試験方法書」(財団法人ベターリビング編)の「暖・冷房システム/床暖房ユニット BLT HS/B−b−8」に記載の試験方法に準じたものである。
具体的には、上記の出力と放熱効率の測定においては、一辺45mmの角木材で303mmピッチの根太組み150をコンクリートスラブ上約200mmの高さに構成し、根太間に厚さ40mmの断熱材151(発泡ポリスチレン)を配置する。次いで、根太組み150上に厚さ12mm、平面寸法が約900mm×約1800mmの合板152(JAS普通合板1類2等F☆☆☆☆)を床下地材に見立てて設置し、約3.6m×約3.6mの被験体下地を作成する。更に、その上面に被験体である放熱パネル1を配置した後、放熱パネル1の上面に前記と同様の合板154を床仕上材に見立てて配置すると共に、放熱パネル1の下面および最上段の合板154の上面にそれぞれシート状の熱流計155,155(平面寸法:310mm×310mm、英弘精機株式会社製:商品名「熱流計MF−160」)を設置する。次いで、床表面側の室温を20℃(床下温度成り行き)に設定した後、通水管3に60℃の温水を循環させる。そして、放熱パネル1の上面方向および下面方向に放出される熱量を上記の熱流計155,155により測定する。なお、上面放熱効率は、放熱パネル上面の放熱量/(放熱パネル上面の放熱量+放熱パネル下面の放熱量)として算出する。
本発明の放熱パネル1は、床下地の上に敷設され、上面にフローリング等の床仕上材が配置される。床仕上材を敷設する場合には、根太状部材4の上面に接着剤を貼付し、配置した床仕上材の縁部を釘で仮止めする。そして、床仕上材を敷設した後は、別途設置された熱源装置、例えば、ガスの燃焼や電力によって温水を製造する湯沸し装置やボイラー装置に連絡配管で接続する。連絡配管は、往き管および戻り管の一対の管から成る所謂ペアチューブであり、放熱パネル1のヘッダー8に接続される。
放熱パネル1を使用して床暖房を行う場合、放熱パネル1の各循環路を構成する各通水管3に35〜80℃程度の温水が循環される。これにより、通水管3から放出された熱が伝熱部材6及び金属箔7を介して放熱シート5に伝達され、床仕上材をその裏面全面から加温することができる。特に、本発明の放熱パネル1は、上面放熱効率に優れ且つ高出力化されているため、35〜45℃程度の低温の温水で床仕上材を加温でき、そして、低温水供給時に熱効率に優れた熱源機と組み合わせることができる。その結果、熱源機側での効率向上にも対応でき、一次消費エネルギー効率(熱源機に入るエネルギー量に対して実際に暖房に使用されるエネルギー量の割合)を向上させることができる。
上記のように、本発明の放熱パネル1においては、例えば床暖房に適用した場合、温水の循環路を構成する複数の通水管が特定の配列ピッチで配列されているため、通水管3における温水の圧力損失が小さく、流れる温水の平均温度をより高い温度に維持でき、しかも、通水管の直線部分が樋状の伝熱部材に収容されて発泡樹脂成形体表面の溝に埋設され、通水管の曲線部分が発泡樹脂成形体の表面に貼着された金属箔の上面から当該金属箔を裂いて溝に埋設されているため、上面出力および上面放熱効率を一層高めることができる。
また、本発明の放熱パネル1においては、標準的な配列ピッチで配列された根太状部材4の配置パターンを備え且つ根太状部材4の両側の通水管3の配列ピッチが上記の通水管3の配列ピッチよりも大きな特定のピッチに設定されており、根太状部材4の幅を十分に確保でき且つ従来の規格の床仕上材をそのまま敷設することができ、敷設の際に床仕上材の敷設位置のズレや釘打ち位置のズレを根太状部材4の幅内で吸収することができるため、施工性をより高めることができる。
上記のような構造の本発明の放熱パネル1は、壁や天井に利用することができ、また、温水に代えて冷水を循環させることにより、冷房用としても使用でき、その場合も暖房用の場合と同ように冷熱の上面出力および上面放熱効率を高めることができる。その結果、本発明の冷暖房用放熱パネルによれば、省エネルギー化に一層貢献することができる。
実施例1:
放熱パネル1を作製し、前述の測定方法に準じて上面出力と上面放熱効率を測定した。放熱パネル1の平面寸法は2424mm×3288mmとし、発泡樹脂成形体2には、厚さが12mmの発泡ポリスチレンを使用し、表面の放熱シート5は、100μmのアルミニウムシートで構成した。通水管3には、呼び径が6A(外径8.3mm、内径6.0mm)の架橋ポリエチレン管を使用した。また、ヘッダー8として、6回路のヘッダーを使用することにより、通水管3は、直線状に伸長して発泡樹脂成形体2の端部で折り返し、直線部分が12列並ぶパターンで配置した。根太状部材4の両側の通水管3の配列ピッチは79.0mm、それ以外の部分の通水管3の配列ピッチは44.8mmに設定した。単位面積当たりの通水管3の長さは23.8m/m2であった。
放熱パネル1を作製し、前述の測定方法に準じて上面出力と上面放熱効率を測定した。放熱パネル1の平面寸法は2424mm×3288mmとし、発泡樹脂成形体2には、厚さが12mmの発泡ポリスチレンを使用し、表面の放熱シート5は、100μmのアルミニウムシートで構成した。通水管3には、呼び径が6A(外径8.3mm、内径6.0mm)の架橋ポリエチレン管を使用した。また、ヘッダー8として、6回路のヘッダーを使用することにより、通水管3は、直線状に伸長して発泡樹脂成形体2の端部で折り返し、直線部分が12列並ぶパターンで配置した。根太状部材4の両側の通水管3の配列ピッチは79.0mm、それ以外の部分の通水管3の配列ピッチは44.8mmに設定した。単位面積当たりの通水管3の長さは23.8m/m2であった。
上記の放熱パネル1において、通水管3の直線部分には、厚さが100μmのアルミニウムシートから成る伝熱部材6を敷設した。また、通水管3の曲線部分が配置される発泡樹脂成形体2の表面には、厚さが40μmのアルミニウムシートを貼着し、通水管3の曲線部分は、アルミニウムシートを裂いて発泡樹脂成形体2の溝23に埋設した。発泡樹脂成形体2の上面において、伝熱部材6を配置した部分の面積と40μmのアルミニウムシートを貼着した部分とは略同面積であった。そして、60℃の温水を2.3リットル/分の流量で通水し、上面出力と上面放熱効率を測定した結果、放熱パネル1の上面の放熱量は163W/m2、放熱パネル1の下面の放熱量は25W/m2、上面放熱効率は87%であった。
実施例2:
実施例1とは規格の異なる放熱パネル1を作製し、前述の測定方法に準じて上面出力と上面放熱効率を測定した。放熱パネル1は、放熱パネル1の平面寸法を2121mm×2985mmとした点、ヘッダー8として3回路のヘッダーを使用して直線部分が12列並ぶパターンで通水管3を配置した点、単位面積当たりの通水管3の長さは24.5m/m2とした点を除き、実施例1と同様とした。そして、60℃の温水を1.7リットル/分の流量で通水し、上面出力と上面放熱効率を測定した結果、放熱パネル1の上面の放熱量は168W/m2、放熱パネル1の下面の放熱量は24W/m2、上面放熱効率は88%であった。
実施例1とは規格の異なる放熱パネル1を作製し、前述の測定方法に準じて上面出力と上面放熱効率を測定した。放熱パネル1は、放熱パネル1の平面寸法を2121mm×2985mmとした点、ヘッダー8として3回路のヘッダーを使用して直線部分が12列並ぶパターンで通水管3を配置した点、単位面積当たりの通水管3の長さは24.5m/m2とした点を除き、実施例1と同様とした。そして、60℃の温水を1.7リットル/分の流量で通水し、上面出力と上面放熱効率を測定した結果、放熱パネル1の上面の放熱量は168W/m2、放熱パネル1の下面の放熱量は24W/m2、上面放熱効率は88%であった。
上記の測定結果から、通水管3の曲線部分に対応する部分にアルミニウムシートを敷設し、アルミニウムシートを介して通水管3の曲線部分を溝23に埋設すると共に、放熱シート5として、100μmのアルミニウムシートを使用することにより、上面出力および上面放熱効率を更に向上できることが確認された。
1 :冷暖房用放熱パネル
10:ヘッダー取付部
2 :発泡樹脂成形体
23:溝
3 :通水管
4 :根太状部材
5 :放熱シート
6 :伝熱部材
7 :金属箔
8 :ヘッダー
151:断熱材
152:合板
154:合板
155:熱流計
10:ヘッダー取付部
2 :発泡樹脂成形体
23:溝
3 :通水管
4 :根太状部材
5 :放熱シート
6 :伝熱部材
7 :金属箔
8 :ヘッダー
151:断熱材
152:合板
154:合板
155:熱流計
Claims (6)
- 平面形状を方形に形成された断熱材としての薄板状の発泡樹脂成形体と、当該発泡樹脂成形体の表側に形成された溝に埋設された通水管と、前記発泡樹脂成形体にその上下面が露出する状態に埋設された床仕上材固定用の根太状部材と、前記発泡樹脂成形体の表側の表面に貼設された熱拡散用の放熱シートとから成り、複数本の前記通水管によって温水または冷水の循環路が複数組構成された冷暖房用の放熱パネルであって、前記根太状部材は、放熱パネルの幅方向の中央部で分断された形態または放熱パネルの幅方向の両端部に達しない形態で放熱パネルの幅方向に沿って一定ピッチで複数本配列され、前記通水管は、前記根太状部材と平行に配置された直線部分と、前記根太状部材の分断された部位または前記根太状部材が放熱パネルの両端部に達していない部位において根太状部材を迂回する曲線部分とを備え、前記通水管の直線部分は、断面がU字状に形成され且つ上端縁に鍔が付設された樋状の伝熱部材に収容されて前記溝に埋設され、前記通水管の曲線部分は、前記発泡樹脂成形体の表面に貼着された金属箔の上面から当該金属箔を裂いて前記溝に埋設され、かつ、前記根太状部材の配列ピッチが300〜305mmに設定され、前記通水管の配列ピッチが前記根太状部材の両側で55〜90mmに設定され且つ前記根太状部材の両側以外の部位で30〜55mmに設定されており、前記放熱シートの厚さが60〜150μmに設定されていることを特徴とする冷暖房用放熱パネル。
- 60℃の温水を循環させた場合の上面放熱量が150W/m2以上である請求項1に記載の放熱パネル。
- 通水管の内径が4〜7mmであり、当該通水管の配列ピッチが6又は8本/300〜305mmに設定されている請求項1又は2に記載の放熱パネル。
- 小根太渡り部分における通水管の配列ピッチが当該通水管の内径+5mm以上、内径+10mm以下である請求項1〜3の何れかに記載の放熱パネル。
- 放熱シートが、厚み80〜120μmのアルミニウムシートである請求項1〜4の何れかに記載の放熱パネル。
- 通水管は、発泡樹脂成形体の表側の溝にその一部が露出するように埋設され、熱拡散用の放熱シートが、通水管の外周面の15%以上に接触している請求項1〜7の何れかに記載の放熱パネル。
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