JP2014062481A - カム、カム装置及びカム研削装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カム面に凹状部を有するカムを小径の回転砥石により高精度にかつ能率的に研削することができるようにすること。
【解決手段】回転砥石31をカム21の回転軸線L1に対して傾斜する砥石軸線L2上に設ける。カム21のカム面211をクラウニング形状にする。回転砥石31の研削面311を、砥石軸線L2を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成する。この回転砥石31によりカム21のカム面211を研削する。
【選択図】図2
【解決手段】回転砥石31をカム21の回転軸線L1に対して傾斜する砥石軸線L2上に設ける。カム21のカム面211をクラウニング形状にする。回転砥石31の研削面311を、砥石軸線L2を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成する。この回転砥石31によりカム21のカム面211を研削する。
【選択図】図2
Description
この発明は、外周のカム面に凹状部が形成されたカム、そのカムを用いたカム装置及びそのカムのカム面を回転砥石により研削するカム研削装置に関するものである。
例えば、エンジンのバルブを開閉させるカムは、その外周面にカム面が形成されている。このようなカムのカム面は通常以下のようにして研削される。すなわち、ワーク支持装置に支持したカムシャフトをその軸線を中心に回転させるとともに、カムの軸線と平行な軸線上の回転砥石を回転させて、その回転砥石によってカムシャフト上のカムの外周のカム面が研削される。
ところで、近年、エンジンの主に燃費面における高性能化の要求に伴い、エンジンのバルブを無駄なく精密に動作させることが望まれている。このため、バルブを開閉動作させるためのカム面の形状は複雑かつ高精度になり、カム面に凹状部を形成したカムの需要が増加している(図5参照。凹状部が212で示されている。)このように、凹状部を有するカム面を研削する場合には、凹状部に隙間なく接触可能な凹状部より小さな曲率半径の小径の回転砥石を使用する必要がある。
しかしながら、カムの回転軸線と回転砥石の回転軸線とを平行に配置した構成において、回転砥石の径を小さくすると、前記両回転軸線が接近することは避けられない。このため、例えば、カムのカム面と回転砥石を支持した砥石台とが干渉するおそれがある。このような干渉を避けるためには、砥石軸やその砥石軸の軸受を小径にすることが考えられるが、このようにすれば、回転砥石の支持剛性が低下して、加工精度に悪影響が生じる。
このような問題点を回避するために、例えば特許文献1に記載のカム研削装置においては、回転砥石がその砥石軸線をカムの回転軸線に対して傾斜させた状態で砥石台に支承されるとともに、回転砥石の研削面が砥石軸線を中心とした円錐面状となるように形成されている。このようにすれば、回転砥石の軸線をカムの回転軸線から離間させることができ、そして研削位置において回転砥石の研削面がカム面と平行になって、カム面を支障なく研削できる。
しかしながら、このような構成のカム研削装置により、凹状部を有するカム面を研削した場合、以下のような問題が生じる。つまり、図7に示すように、このカム42のカム面421のベース422及びトップ423の部分では、言い換えれば凹状部424が形成されていない部分では、回転砥石41の研削面411がカム42のカム面421に対して線接触する。
これに対し、カムのベース422とトップ423との間の凹状部424において、その凹状部424の中央線425の両側の領域では、回転砥石41と凹状部424との接触が面接触となる。そして、その面接触部43は、ほぼ三角形をなし、回転砥石41の大径部側ほど面積が広い状態になる。
これは、回転砥石41の軸線412とカムの軸線426とが傾斜しているとともに、回転砥石41の研削面411と凹状部424とが同方向に湾曲しているためである。従って、カム42のカム面421には線接触状態で研削される部分と、面接触で切削される部分とが形成されることになり、しかも面接触部分は、カム軸方向において異なる面積となる。このため、カム面421全体を均一に、かつ高精度に研削することができない結果となる。
このような問題に対処するため、前記特許文献1に記載のカム研削装置においては、カム面を研削しながら回転砥石とカムとをカムの回転軸線の方向へ相対的にトラバース移動させるようになっている。
ところが、この特許文献1のカム研削装置では、トラバース切削送りを実行するための構成や制御が必要になって、装置の構成及び制御ソフトが複雑になり、そして、トラバースの実行のために、研削時間が長くかかって、加工効率の低下を招くという問題があった。しかも、トラバースを実行しても、線接触領域及び面接触領域は存在し、トラバースによってそれらの領域がカム面の軸方向にトラバース移動されるだけであるため、ある程度以上の精度向上は期待できない。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、小径の回転砥石により、カム面に凹状部を有するカムを高精度にかつ能率的に研削することができるとともに、カム研削装置の構成の複雑化を避けることができるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、カムに関する発明においては、回転軸線の周囲にカム面を形成するとともに、そのカム面に凹状部を設けたカムにおいて、前記カム面をクラウニング形状にしたことを特徴としている。
また、カム装置に関する発明においては、前記カムを用いるとともに、そのカムに対する接触面を直線状にしたタペットを備えたことを特徴としている。
さらに、カム研削装置に関する発明においては、回転砥石をカムの回転軸線に対して傾斜する砥石軸線上に設け、その回転砥石の研削面を、前記砥石軸線を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成したことを特徴としている。
さらに、カム研削装置に関する発明においては、回転砥石をカムの回転軸線に対して傾斜する砥石軸線上に設け、その回転砥石の研削面を、前記砥石軸線を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成したことを特徴としている。
ここで、クラウニング形状とは、カムをその軸線を通るとともに、同軸線と平行をなす面において切断した場合、カム面が幅方向中央部ほど高くなった凸状の曲線を描く形状を指す。逆クラウニング形状とは、回転砥石をその軸線を通るとともに、同軸線と平行をなす面において切断した場合、研削面が幅方向中央部ほど低くなった凹状の曲線を描く形状を指す。
従って、以上の構成においては、カムが回転軸線を中心に回転されるとともに、回転砥石がカムの回転軸線に対して傾斜した砥石軸線を中心に回転されながら、カムのカム面に向かってカムの回転軸線と直交する方向へ送り移動されて、カムのカム面が凹状部を有する所要の形状に研削される。この場合、回転砥石の研削面が砥石軸線を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成されているため、カムのカム面がクラウニング形状に研削される。このため、回転砥石が小径であっても、カム面の研削に際して、カム面に凹状部において面接触が生じることを回避できて、トラバース動作が不要になり、カム面を高精度にかつ能率的に研削することができる。
以上のように、この発明によれば、カム面に凹状部が形成されていても、小径の回転砥石を用いてカム面を高精度にかつ能率的に研削することができるという効果を発揮する。
以下に、この発明を具体化したカム研削装置の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態のカム研削装置においては、ベッド11上にワークテーブル12がガイドレール13を介してZ軸方向へ移動可能に支持されている。このワークテーブル12は、サーボモータ14によりボールネジ15を介してZ軸方向に移動される。ワークテーブル12上には、主軸台16が固定支持されている。主軸台16には、主軸17がZ軸方向に沿って延びる回転軸線L1の周りで回転可能に支持されている。ワークテーブル12上には、心押台18が主軸台16に対向して位置調整可能に配置されている。心押台18には、ラム19が主軸17の回転軸線L1と同軸上において移動可能に支持されている。主軸17及びラム19の対向端部には、複数のカム21を並設したワーク20を両端部にて着脱可能に装着するための一対のセンタピボット22,23が設けられている。
図1に示すように、この実施形態のカム研削装置においては、ベッド11上にワークテーブル12がガイドレール13を介してZ軸方向へ移動可能に支持されている。このワークテーブル12は、サーボモータ14によりボールネジ15を介してZ軸方向に移動される。ワークテーブル12上には、主軸台16が固定支持されている。主軸台16には、主軸17がZ軸方向に沿って延びる回転軸線L1の周りで回転可能に支持されている。ワークテーブル12上には、心押台18が主軸台16に対向して位置調整可能に配置されている。心押台18には、ラム19が主軸17の回転軸線L1と同軸上において移動可能に支持されている。主軸17及びラム19の対向端部には、複数のカム21を並設したワーク20を両端部にて着脱可能に装着するための一対のセンタピボット22,23が設けられている。
主軸台16はサーボモータ24により駆動されて、ワーク20を回転軸線L1の周りで回転させる。
ワーク20はカム軸であって、その外周には複数のカム21が設けられている。図3に示すように、カム21の外周のカム面211には、一対の凹状部212が形成されている。
ワーク20はカム軸であって、その外周には複数のカム21が設けられている。図3に示すように、カム21の外周のカム面211には、一対の凹状部212が形成されている。
図1に示すように、前記ベッド11上には、工具テーブル25がガイドレール26を介して前記Z軸と直交するX軸方向へ移動可能に支持されている。この工具テーブル25は、サーボモータ27によりボールネジ28を介して移動される。工具テーブル25上には、砥石台29がワーク20の回転軸線L1に対して傾斜した状態で固定支持されている。砥石台29には、砥石軸30がZ−Xと平行な平面上においてワーク20の回転軸線L1に対して傾斜した砥石軸線L2の周りで回転可能に支持されている。この傾斜角度は、20度〜70度程度である。砥石軸30の先端部には、外周に砥石軸線L2を中心とした円錐面状の研削面311を有する回転砥石31が、その研削面311の大径部を砥石台29側に位置させた状態で装着されている。砥石軸30はサーボモータ32により駆動されて、回転砥石31を砥石軸線L2の周りで回転させる。
図1及び図2に示すように、回転砥石31の研削面311は、砥石軸線L2を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成されている。つまり、研削面311は、その幅方向中央部が凹む曲面形状に形成されている。この実施形態では、研削面311を平面から見て、その研削面311の小径側の前端と大径側の前端とが前記回転軸線L1と平行な線上に位置している。そして、回転砥石31の研削面311は円錐面を基本としたシルエット上に位置している。
次に、前記のように構成されたカム研削装置の作用を説明する。
ワーク20が主軸17及びラム19のセンタピボット22,23間に装着された状態で、装置の運転が開始されると、図示しない制御装置の制御により、サーボモータ14が回転されて、ワークテーブル12がZ軸方向に移動される。これにより、図1に示すように、ワーク20上の1つのカム21が回転砥石31と対向する研削位置に配置される。
ワーク20が主軸17及びラム19のセンタピボット22,23間に装着された状態で、装置の運転が開始されると、図示しない制御装置の制御により、サーボモータ14が回転されて、ワークテーブル12がZ軸方向に移動される。これにより、図1に示すように、ワーク20上の1つのカム21が回転砥石31と対向する研削位置に配置される。
この状態で、制御装置の制御により、サーボモータ32が回転されて、回転砥石31が回転軸線L1を中心に回転されるとともに、サーボモータ24が回転されて、カム21が回転軸線L1を中心に回転される。また、制御装置の同時2軸制御により、カム21の回転に伴ってサーボモータ27が回転され、工具テーブル25がX軸方向に移動される。これにより、回転砥石31がカム21のカム面211に向かって送り移動されて、カムプロフィル創成運動が行われる。その結果、図3及び図4に示すように、カム21のカム面211が凹状部212を有する所定の形状に研削される。
このとき、図2に示すように、回転砥石31の研削面311が砥石軸線L2を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成されているため、カム21のカム面211がクラウニング形状に研削される。
よって、回転砥石31の砥石軸線L2がカム21の回転軸線L1に対して傾斜した状態に配置されるとともに、回転砥石31の研削面311が円錐面状に形成されていても、カム面211の研削中に、カム面211のカムトップとベース円との範囲で面接触が生じるおそれはない。つまり、凹状部212の位置においても、カム面211と凹状部212とが同方向へ沿うことはなく、カム面211は凸状に膨らむ球面形状を呈するため、回転砥石31の研削面311とカム面211と凹状部212との間には面接触状態は発生せず、線接触状態が維持される。
よって、カム面211に凹状部212を有するカム21を小径の回転砥石31を用いて、高精度にかつ能率的に研削することができる。
次に、前記のように研削加工されたカム21、及びそのカム21を用いて構成されるカム装置について説明する。
次に、前記のように研削加工されたカム21、及びそのカム21を用いて構成されるカム装置について説明する。
図5及び図6に示すように、この実施形態のカム21では、例えば、ベース円の径W1が32〜60mm、小円の径W2が5〜20mm、ベース円からの小円のリフト量W3が7mmとなるように構成されている。このような形状構成のカム21においては、カム面211のクラウニング形状の曲率半径W5が500mmとなるように形成される。なお、図2及び図6においては、説明の便宜上、曲率半径W5を小さくして図示している。
そして、図6に示すように、前記のような構成のカム21を用いて、カム装置が構成される。このカム装置においては、カム21のほかに、そのカム21のカム面211に接触する直線状の接触面351を設けたタペット(カムフォロワ)35が備えられている。このタペット35としては、例えばローラが用いられ、そのローラの回転軸が、カム21の回転軸と平行に配置される。この場合、カム21のカム面211がクラウニング形状に形成されているため、タペット35の接触面351が平面状に形成されていても、そのカム面211と接触面351との間に、潤滑油のための十分な隙間を確保することができる。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この実施形態のカムにおいては、カム面211に凹状部212が設けられたカム21において、前記カム面211がクラウニング形状に形成されている。このため、回転砥石31として研削面311が逆クラウニング形状のものが用いられることになり、回転砥石31の研削面311とカム21のカム面211との間に面接触領域が生じることを防止できる。従って、カム面211を高精度に研削できるとともに、研削面311とカム面211との間のトラバース移動が不要なって、研削加工を能率よく行うことができるとともに、研削装置の構成を簡素化できる。
(1) この実施形態のカムにおいては、カム面211に凹状部212が設けられたカム21において、前記カム面211がクラウニング形状に形成されている。このため、回転砥石31として研削面311が逆クラウニング形状のものが用いられることになり、回転砥石31の研削面311とカム21のカム面211との間に面接触領域が生じることを防止できる。従って、カム面211を高精度に研削できるとともに、研削面311とカム面211との間のトラバース移動が不要なって、研削加工を能率よく行うことができるとともに、研削装置の構成を簡素化できる。
(2) この実施形態のカム装置においては、前記のような構成のカム21が用いられるとともに、そのカム21に対する接触面351を直線状にしたタペット35が備えられている。このため、接触面351が直線状のタペット35を用いているにも拘らず、カム21のカム面211とタペット35の接触面351との間に潤滑油のための隙間を形成できて、それらの面211,351間の潤滑性を高めることができる。
(3) この実施形態のカム研削装置においては、回転砥石31がカム21の回転軸線L1に対して傾斜する砥石軸線L2上に設けられている。また、その回転砥石31の研削面311が、前記砥石軸線L2を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成されている。
このため、前記のように、カム面211と研削面311との間に面接触が生じるのを抑制することができて、カム面211に凹状部212を有するカム21を小径の回転砥石31により、高精度にかつ能率的に研削することができる。しかも、回転砥石31の砥石軸30とカム21のカム軸とを充分に離間させることができるため、砥石軸30あるいはその軸受として小径のものを用いる必要がないため、回転砥石31の支持剛性が高くなり、高精度加工に寄与できる。
なお、前記実施形態においては、カム面211の凹状部212において稜線(カム21の厚さ方向における高い位置)がカム21の厚さ方向の中心からわずかに変位する。これに対し、回転砥石31またはワーク20のうちの少なくとも一方をワーク20の軸方向にトラバースさせれば、この変位を防ぐことができる。
12…ワークテーブル、16…主軸台、17…主軸、20…ワーク、21…カム、211…カム面、212…凹状部、25…工具テーブル、29…砥石台、30…砥石軸、31…回転砥石、311…研削面、35…タペット、351…接触面、L1…回転軸線、L2…砥石軸線。
Claims (3)
- 回転軸線の周囲にカム面を形成するとともに、そのカム面に凹状部を設けたカムにおいて、
前記カム面をクラウニング形状にしたことを特徴とするカム。 - 請求項1に記載のカムを用いるとともに、そのカムに対する接触面を直線状にしたタペットを備えたことを特徴とするカム装置。
- 回転砥石をカムの回転軸線に対して傾斜する砥石軸線上に設け、その回転砥石の研削面を、前記砥石軸線を中心とした円錐面上に位置する逆クラウニング形状に形成したことを特徴とするカム研削装置。
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