JP2014059967A - マスイメージング装置及びマスイメージング装置の制御方法 - Google Patents

マスイメージング装置及びマスイメージング装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】投影像の分解能の質量依存性を小さくすることが可能なマスイメージング装置及びマスイメージング装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】マスイメージング装置1は、プレート11に配置された試料にレーザー光を照射することにより生成されたイオンが通過するレンズ系70と、イオンを質量電荷比に応じた飛行時間の違いに基づいて分離するイオン光学系20と、イオン光学系20を通過したイオンの到達位置と飛行時間を測定し、試料のイオン化時の像を生成する検出系90と、レーザー光の照射と同期した所定期間において、レンズ系70のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、レンズ系70に含まれる電極への印加電圧を掃引する電圧制御部60と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、微量化合物の位置および強度分布の分析に用いられるマスイメージング装置及びマスイメージング装置の制御方法に関する。
飛行時間型質量分析計(TOFMS:Time Of Flight Mass Spectrometer)は、一定量のエネルギーを与えてイオンを加速・飛行させ、検出器に到達するまでに要する時間からイオンの質量電荷比(m/z)を求める質量分析計である。TOFMSでは、イオンを一定のパルス電圧Vで加速する。このとき、エネルギー保存則から、次式(1)が成り立つ。
式(1)において、vはイオンの速度、mはイオンの質量、zはイオンの価数、eは素電荷である。
式(1)より、イオンの速度vは、次式(2)で表される。
従って、イオンが一定距離Lの後に置いた検出器に到着するまでの飛行時間Tは、次式(3)で表される。
式(3)により、飛行時間Tがイオンのm/zによって異なることを利用して、質量を分離する装置がTOFMSである。
TOFMSの質量分解能Rは、総飛行時間をT、ピーク幅をΔTとすると、次式(4)で定義される。
すなわち、ピーク幅ΔTを一定にして、総飛行時間Tを延ばすことができれば、質量分
解能を向上させられる。
質量分離を行うイオン光学系で最もシンプルなものは、イオン源で加速したイオン群を直線的に飛行させる直線型TOFMSである。また、イオン源と検出器の間に反射場を置くことにより、飛行距離を延長することのできる反射型TOFMSも広く利用されている。直線型、反射型のTOFMSでは、総飛行時間Tを延ばすこと、すなわち総飛行距離を延ばすことは装置の大型化に直結する。装置の大型化を避け、かつ高質量分解能を実現するために開発された装置が、多重周回型TOFMS(非特許文献1)である。この装置は、円筒電場にマツダプレートを組み合わせたトロイダル電場を4個用い、8の字型の周回軌道を多重周回させることにより、総飛行時間Tを延ばすことができる。非特許文献1の多重周回型TOFMSでは、位置・角度・運動エネルギーの分布を、1周回ごとに同じ状態に保持することができる。
TOFMSのイオン源の1つに、プレートに塗布した試料あるいは固体状のサンプルそのものにレーザー照射して、測定対象化合物をイオン化するレーザー脱離/イオン化法(LDI)法がある。レーザー脱離/イオン化法は、測定対象によりイオン化効率が悪い場合が多いため、使用するレーザー光波長に吸収帯をもちイオン化を促進させるマトリックス(液体や結晶性化合物、金属粉など)に試料を混合溶解させて固化し、これにレーザー照射して試料を気化あるいはイオン化させるマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption / Ionization)法が広く使用されている。また、近年ではイオン化の促進のために、プレート上にナノ構造を施した表面支援レーザー脱離/イオン化(SALDI:Surface-Assisted Laser Desorption / Ionization)法も研究が進んでいる。
MALDI法に代表されるレーザーによるイオン化では、初期状態としてイオン群あるいは中性粒子群が、音速程度のスピードで爆発的に飛び出す。そのためイオン生成時の初期エネルギー分布が大きくこれを飛行軸方向に収束させるため、遅延引き出し法がほとんどの場合で用いられる。これはレーザー照射より数百nsec程度遅れてパルス電圧を印加する方法である。遅延引き出し法の採用によりMALDI−TOFMSの性能は大幅に向上した。
質量分析計を用いて、2次元の位置情報及び各位置に含まれる化合物の質量と存在量の情報を得る手法はマスイメージング(MSI)と呼ばれている(非特許文献2)。イオン化法としては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI法)を中心としたレーザー脱離イオン化を使用するもの、TOF−SIMSと呼ばれる高速粒子を利用する方法がある。
レーザー脱離イオン化法(MALDI法)を利用したMSIにおいて位置情報を得るための手法としては、「走査型MSI」(非特許文献2)と「投影型MSI」(非特許文献3)の手法がある。走査型MSIは、レーザーの照射位置を走査しながら、場所ごとにマススペクトルを測定する。マススペクトルの取得法は、通常の質量分析法と同様である。走査型MSIの場合、位置分解能の限界は、レーザー照射径程度となり、10μm程度である。
他方、投影型MSIは、レーザー照射された領域内において、各イオンがイオン化された位置情報を保持したまま検出器に到達させる手法である。そのため、走査型MSIのようにレーザー照射径が位置分解能の制限となることはない。しかしながら、位置情報が歪まないように質量分離を同時に行う必要があるため、質量分離部はTOFMSが利用される。また、一般的なMALDI−TOFMSともその動作は異なる。通常MALDI−TOFMSでは、検出系では一定時間間隔に検出面に到達したイオン量を収集し、マススペ
クトルとすればよい。しかしながら投影型MSIの場合、投影像を取得する必要があるため、時間分離に加えて検出面上の到達位置情報の取得も必要となる。そのため、時間分離以外に位置分離可能な検出系が必要となる。また、他の大きな違いの一つに通常のMALDI−TOFMSで一般的に利用される遅延引き出し法を使うことができない点が挙げられる。遅延引き出し法では、レーザー照射すなわちイオン化時に、イオン群を自由空間中で飛行させる。そして数百ns後にパルス電圧を印加し、イオンを加速させる。これにより、初期速度分布をもつイオン群を検出面で同時に観測することができる。しかしながら、投影型MSIの場合は、イオン化位置を保持することが重要なため、レーザー照射直後から高電圧で引き出す必要がある。そのため、初期速度分布をもつイオン群を検出面で同時には観測することはできないため、質量分解能は走査型MSIに比べると低くなる傾向にある。なお、投影型MSIに多重周回型TOFMSを利用することで、質量分解能を向上させる手法も提案されている(特許文献1)。
特開2007−157353号公報
M. Toyoda, D. Okumura, M. Ishihara and I. Katakuse, J. Mass Spectrom., 2003, 38, 1125-1142. R. M. Caprioli, T. B. Farmer, and J. Gile, Anal. Chem., 69, 4751 (1997). S. L. Luxembourg, T. H. Mize, L. A. McDonnell, and R. M. A. Heeren, Anal Chem., 76, 5339 (2004).
ところで、投影型MSIにおいては、レーザー照射により生成したイオンの位置情報を保持する必要があるため、イオン化時点から高い電場で引き出す必要がある。また、検出面でイオン化位置の情報を得るために、像を拡大するためのレンズ系は、イオン通過孔をもつ穴あきの電極である。図8にリニアTOFMSを利用した投影型MSIのイオン加速部(イオン源)の構造を示す。このイオン加速部の構造は飛行方向であるX軸に対して回転対称であり、引き出し電極の付近とアインチェル電極付近に形成される2つのレンズ系を備えている。引き出し電極付近のレンズ系が、投影像の拡大に大きく寄与している。
投影型MSIにおいて、位置分離および時間分離可能な検出面はプレートからX方向に1200mmの位置に設定し、Y=+0.003mmの位置から、イオンの初期速度V(X方向の初期速度),V(Y方向の初期速度)をそれぞれ+300〜+500m/s、−400〜+400m/sの範囲でランダムに3000個発生させてイオン軌道シミュレーションを行い、検出面での位置分布から位置分解能を評価した。質量電界比m/zが800のイオン群の位置分解能が最も高くなるように調整したプレート電圧、引き出し電極電圧、アインチェル電極電圧は、それぞれ20000V,19412V,1400Vであった。図9に、その条件下での質量電荷比m/zが400,800,1200,1600のイオン群の検出面での空間分布を示す。図9からわかるように最適化した質量電荷比m/zが800のイオン群は、−0.12mm付近の狭い範囲に分布している。拡大率はイオン化位置Y=+0.003mmのイオンが、検出器の位置Y=−0.12mmに到達しているので40倍程度である。しかし、m/zが400,1200,1600の到達位置分布は、m/z値が800から離れるに従い、広がっているのがわかる。すなわち最適なm/z値から離れると位置分解能が低下することを示している。これは、レーザー脱離イオン化法の特徴である、質量に依存しない初速度分布により、質量によって初期運動エ
ネルギーが異なってしまうためである。ちなみに、引き出し電極のみを調整し、m/zが400と1600の最適な電圧値を探したところ、それぞれ19407Vと19419Vであった。このように、投影型MSIでは、投影像の分解能の質量依存性が大きいという問題がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、投影像の分解能の質量依存性を小さくすることが可能なマスイメージング装置及びマスイメージング装置の制御方法を提供することができる。
(1)本発明に係るマスイメージング装置は、
プレートに配置された試料にレーザー光を照射することにより生成されたイオンが通過する少なくとも1つのレンズ系と、
前記イオンを質量電荷比に応じた飛行時間の違いに基づいて分離するイオン光学系と、
前記イオン光学系を通過した前記イオンの到達位置と飛行時間を測定し、前記試料のイオン化時の像を生成する検出系と、
前記レーザー光の照射と同期した所定期間において、前記像の拡大率に寄与する前記レンズ系のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、当該レンズ系に含まれる電極への印加電圧を掃引する電圧制御部と、を含む。
一般に、質量電荷比が大きいイオンほど、プレートで生成された時の初期運動エネルギーが大きくなるとともに、プレートから離れるのに時間がかかる。そのため、質量電荷比の大きいイオンほど、像の拡大率に寄与するレンズ系に大きい運動エネルギーをもって遅く入射する。従って、本発明に係るマスイメージング装置によれば、レーザー光の照射と同期して、像の拡大率に寄与するレンズ系のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるようにすることで、イオンをその質量電荷比に関係なく一様に収束させることができる。これにより、投影像の分解能の質量依存性を小さくすることができる。
(2)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記像の拡大率に寄与する前記レンズ系は、
前記プレートと、加速部終端電極と、当該プレートと当該加速部終端電極との間に配置された引き出し電極と、を含むようにしてもよい。
(3)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記電圧制御部は、
前記プレートへの印加電圧を固定し、前記所定期間において前記引き出し電極への印加電圧を掃引するようにしてもよい。
本発明に係るマスイメージング装置によれば、プレートの電圧を固定するとともに引き出し電極の電圧を掃引することで、時間の経過とともに、プレートと引き出し電極との電位差及び引き出し電極と加速部終端電極との電位差を変化させることができる。これにより、時間の経過とともにレンズ効果を変化させることができる。
(4)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記電圧制御部は、
前記引き出し電極への印加電圧を固定し、前記所定期間において前記プレートへの印加電圧を掃引するようにしてもよい。
本発明に係るマスイメージング装置によれば、引き出し電極の電圧を固定するとともにプレートの電圧を掃引することで、引き出し電極と加速部終端電極との電位差を一定に保
持したまま、時間の経過とともに、プレートと引き出し電極との電位差を変化させることができる。これにより、時間の経過とともにレンズ効果を変化させることができる。
(5)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記電圧制御部は、
前記所定期間において、前記プレートへの印加電圧と前記引き出し電極への印加電圧とを掃引するようにしてもよい。
本発明に係るマスイメージング装置によれば、プレートの電圧と引き出し電極の電圧を一緒に掃引することで、時間の経過とともに、プレートと引き出し電極との電位差及び引き出し電極と加速部終端電極との電位差を変化させることができる。これにより、時間の経過とともにレンズ効果を変化させることができる。
(6)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記電圧制御部は、
前記プレートの電圧をV、前記引き出し電極の電圧をV、前記加速部終端電極の電圧をVとした時、前記所定期間において時間の経過とともに|V−V|/|V−V|が小さくなるように印加電圧を掃引するようにしてもよい。
本発明に係るマスイメージング装置によれば、時間の経過とともにレンズ効果を強くすることができる。
(7)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記電圧制御部は、
測定対象となる前記イオンの質量電荷比の範囲の設定に応じて、前記所定期間及び前記掃引する電圧範囲を変更するようにしてもよい。
本発明に係るマスイメージング装置によれば、測定対象となるイオンの質量電荷比の範囲に応じてレンズ系の掃引時間及び電圧変動範囲を適切に変えることで、検出系の位置分解能を向上させることができる。これにより、解像度の高い投影像を得ることができる。
(8)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記イオンは、
前記試料と当該試料のイオン化を促進するマトリックスとを混合した混合物を前記プレートに滴下し、滴下された当該混合物に前記レーザー光を照射することにより生成されるようにしてもよい。
(9)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記プレートは、
表面に前記試料のイオン化を促進するナノ構造を有し、
前記イオンは、
前記試料を前記プレートの前記ナノ構造の上に滴下し、滴下された当該試料に前記レーザー光を照射することにより生成されるようにしてもよい。
(10)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記イオン光学系は、
前記イオンが一定の距離を飛行する毎に得られる像が前記イオン化時の像と相似形となる電場を形成するようにしてもよい。
本発明に係るマスイメージング装置によれば、イオンの飛行時間を長くすることができ
るので、検出系の時間分解能(質量分解能)を向上させることができる。
(11)本発明に係るマスイメージング装置において、
前記イオン光学系は、
少なくとも1つの扇形電場を含むようにしてもよい。
(12)本発明に係るマスイメージング装置の制御方法は、
プレートに配置された試料にレーザー光を照射することにより生成されたイオンが通過する少なくとも1つのレンズ系と、前記イオンを質量電荷比に応じた飛行時間の違いに基づいて分離するイオン光学系と、前記イオン光学系を通過した前記イオンの到達位置と飛行時間を測定し、前記試料のイオン化時の像を生成する検出系と、を含むマスイメージング装置の制御方法であって、
前記レーザー光の照射と同期した所定期間において、前記像の拡大率に寄与する前記レンズ系のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、当該レンズ系に含まれる電極への印加電圧を掃引する。
第1実施形態のマスイメージング装置の構成例を示す図。 第1実施形態におけるレンズ系の各電極への印加電圧の関係を示し、図2(A)は正イオンが生成される場合の図であり、図2(B)は負イオンが生成される場合の図。 第1実施形態における引き出し電極への印加電圧の一例を示し、図3(A)は正イオンが生成される場合の図であり、図3(B)は負イオンが生成される場合の図。 第1実施形態におけるイオン軌道シミュレーションの結果の一例を示す図。 第2実施形態における引き出し電極への印加電圧の一例を示し、図5(A)は正イオンが生成される場合の図であり、図5(B)は負イオンが生成される場合の図。 第2実施形態における引き出し電極への印加電圧の一例を示し、図6(A)は測定対象のイオンの質量電荷比の範囲が広い場合の図であり、図6(B)は測定対象のイオンの質量電荷比の範囲が狭い場合の図。 第4実施形態のマスイメージング装置の構成例を示す図。 従来の投影型マスイメージング装置のイオン加速部(イオン源)の構造を示す図。 従来の投影型マスイメージング装置におけるイオン軌道シミュレーションの結果の一例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態のマスイメージング装置の構成例を示す図である。本実施形態のマスイメージング装置1は、投影型のマスイメージング装置であり、図1に示すように、イオン源10、質量分離部20、検出器30、データ処理部40、表示部50及び電圧制御部60を含んで構成されている。なお、本実施形態のマスイメージング装置は、これらの構成要素の一部を省略又は変更した構成や新たな構成要素を追加した構成としてもよい。
本実施形態では、イオン源10は、プレート11、引き出し電極12、加速部終端電極13、アインチェル電極14、接地電極15を含んで構成されており、プレート11に配
置された試料にレーザー光を照射することによりイオン化する。試料のイオン化の方法は、例えば、試料と試料のイオン化を促進するマトリックス(液体や結晶化合物、金属粉など)とを混合した混合物をプレート11に滴下し、滴下された混合物にレーザー光を照射することにより試料をイオン化するマトリックス支援レーザー脱離/イオン化法(MALDI法)であってもよい。あるいは、試料のイオン化の方法は、例えば、表面に試料のイオン化を促進するナノ構造を有するプレート11を用い、試料をプレート11のナノ構造の上に滴下し、滴下された試料にレーザー光を照射することにより試料をイオン化する表面支援レーザー脱離/イオン化法(SALDI法)であってもよい。
本実施形態では、引き出し電極12、加速部終端電極13、アインチェル電極14及び接地電極15は、それぞれ、中心に穴が開いた円盤状又は円筒状の電極であり、プレート11において生成されたイオンは、各電極の中心部の穴を通過する。
具体的には、プレート11において生成されたイオンは、まず、プレート11と引き出し電極12との電位差により加速された後、引き出し電極12と加速部終端電極13との電位差によりさらに加速される。プレート11、引き出し電極12及び加速部終端電極13はレンズ系70を構成し、プレート11と引き出し電極12との電位差及び引き出し電極12と加速部終端電極13との電位差に応じたレンズ効果により、イオンの進行方向の広がりが抑えられる。プレート11で生成されたイオンの引き出し効率を高くするために、プレート11と加速部終端電極13との電位差をできるだけ大きくする方が望ましい。
加速部終端電極13を通過したイオンは、加速部終端電極13とアインチェル電極14との電位差によりわずかに減速されて接地電極15を通過する。加速部終端電極13、アインチェル電極14及び接地電極15はレンズ系80を構成し、加速部終端電極13とアインチェル電極14との電位差及びアインチェル電極14と接地電極15との電位差に応じたレンズ効果により、イオンの進行方向の広がりがさらに抑えられる。
電圧制御部60は、プレート11、引き出し電極12、加速部終端電極13、アインチェル電極14及び接地電極15の印加電圧を制御する。プレート11で正イオンが生成される場合、電圧制御部60は、プレート11の印加電圧V、引き出し電極12の印加電圧V及び加速部終端電極13の印加電圧Vを、図2(A)に示すように、例えばV>V>Vとなるように設定する。図2(A)において、横軸はプレート11からの距離であり、縦軸は電位である。加速部終端電極13の印加電圧Vは、例えば、グランド電位(0V)に設定される。また、電圧制御部60は、アインチェル電極14の印加電圧V及び接地電極15の印加電圧Vを、例えばV<V>V=0Vとなるように設定する。一方、プレート11で負イオンが生成される場合、電圧制御部60は、V、V及びVを、図2(B)に示すように、例えばV<V<V(Vは、例えば0V)となるように設定する。図2(B)において、横軸はプレート11からの距離であり、縦軸は電位である。また、電圧制御部60は、V及びVを、例えばV>V<V=0Vとなるように設定する。
イオン源10で生成されて加速された各種イオン(接地電極15を通過したイオン)は、自由空間を備えた質量分離部(イオン光学系)20に入射する。質量分離部20は、各種イオンを、自由空間における質量電荷比に応じた飛行時間の違いに基づいて分離する。具体的には、質量分離部20は、前出の式(3)により、飛行時間Tがイオンの質量電荷比m/zによって異なることを利用して各種イオンを分離する。質量分離部20で分離された各種イオンは、検出器30に到達する。
検出器30は、イオンの検出面への到達位置及びイオンの量(強度)に応じたアナログ信号をリアルタイムに出力する。
データ処理部40は、検出器30の出力信号に基づいて、検出器30へのイオンの到達位置、到達時間及び強度を解析し、解析情報に応じた像を生成する。データ処理部40が生成した像は表示部50に表示される。
このように、検出器30及びデータ処理部40は、イオンの到達位置と飛行時間を測定し、試料のイオン化時の像(実際には拡大像)を生成する検出系90を構成している。
このように構成されたマスイメージング装置1において、初段のレンズ系70は、試料のイオン化時の像の拡大率に寄与する(多くの場合、最も寄与する)レンズ系であり、プレート11の電圧Vと引き出し電極12の電圧Vとの差の絶対値|V−V|と、引き出し電極12の電圧Vと加速部終端電極13の電圧Vとの差の絶対値|V−V|との比|V−V|/|V−V|に応じたレンズ効果を発揮する。|V−V|/|V−V|が小さいほどレンズ効果が強く、イオンにより大きな力が加わって進行方向が曲げられる。そして、質量電荷比が大きいイオンほどプレート11で生成された時の初期運動エネルギーが大きくなるので、レンズ系70のレンズ効果を、質量電荷比m/zが大きい(重い)イオンほど強くなるようにすれば、イオンを質量電荷比に関係なく収束させることができる。一方、質量電荷比m/zが大きいイオンほどプレート11から離れるのに時間がかかる。そこで、本実施形態では、電圧制御部60は、プレート電極11の電圧を固定し、試料へのレーザー光の照射と同期した所定期間において、レンズ系70のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように引き出し電極12への印加電圧を掃引する。具体的には、電圧制御部60は、当該所定期間において時間の経過とともに|V−V|/|V−V|が小さくなるように引き出し電極12の電圧を変化させる。
図3(A)及び図3(B)は、電圧制御部60が引き出し電極12に印加する電圧の一例を示す図である。図3(A)はプレート11で正イオンが生成される場合の例であり、図3(B)はプレート11で負イオンが生成される場合の例である。図3(A)及び図3(B)において、横軸は時間であり、縦軸は引き出し電極12の電圧である。
図3(A)の例では、電圧制御部60は、試料へのレーザー光の照射までは引き出し電極12の電圧を電圧変動範囲の最小値に設定し、レーザー光の照射後の所定期間(掃引期間)において引き出し電極12の電圧を上昇させ、引き出し電極12の電圧が電圧変動範囲の最大値に到達した後は当該最大値に設定する。その後、電圧制御部60は、今回の測定対象となる全てのイオンが加速部終端電極15を通過してから、次の測定のために試料にレーザー光を照射するまでの間に、引き出し電極12の電圧を最小値にまで戻す。
図3(B)の例では、電圧制御部60は、試料へのレーザー光の照射までは引き出し電極12の電圧を電圧変動範囲の最大値に設定し、レーザー光の照射後の所定期間(掃引期間)において引き出し電極12の電圧を低下させ、引き出し電極12の電圧が電圧変動範囲の最小値に到達した後は当該最小値に設定する。その後、電圧制御部60は、今回の測定対象となる全てのイオンが加速部終端電極15を通過してから、次の測定のために試料にレーザー光を照射するまでの間に、引き出し電極12の電圧を最大値にまで戻す。
図3(A)、図3(B)のいずれの場合も、掃引期間において時間の経過とともに|V−V|/|V−V|が小さくなる。すなわち、掃引期間において時間の経過とともにレンズ効果が強くなる。
本実施形態のマスイメージング装置1の構成をモデル化し、引き出し電極12の電圧条件以外は図9で説明したシミュレーション条件と同じ条件にし、図3(A)における引き
出し電極12の電圧の最小値と最大値をそれぞれ19365Vと19430Vに、掃引期間を200nsに設定してイオン軌道シミュレーションを行った結果を図4に示す。図4は、質量電荷比m/zが400,800,1200,1600のイオン群の検出器30の検出面での空間分布を示す。図4の結果を従来技術の結果である図9と比較してわかるように、イオンの質量電荷比m/zの広い範囲において、位置分解能が高い状態を作り出すことに成功している。
なお、本実施形態は、試料へのレーザー光の照射と同時に引き出し電極12の電圧を掃引しているが、レーザー光の照射後、一定時間後に掃引を開始してもよい。また、掃引期間における引き出し電極12の電圧と時間の関係については、図3(A)及び図3(B)に示すような線形に限らず、多項式や指数関数などでも同様の効果を得ることができる。
以上に説明したように、第1実施形態のマスイメージング装置によれば、試料へのレーザー光の照射と同期して、レンズ系70のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように引き出し電極12への印加電圧を掃引することで、イオンをその質量電荷比に関係なく一様に収束させることができる。これにより、投影像の分解能の質量依存性が小さくなり、幅広い質量電荷比の範囲において、検出系90の位置分解能が向上し、解像度の高い像を得ることができる。
2.第2実施形態
第2実施形態のマスイメージング装置1の構成図は、第1実施形態(図1)と同様であるため、その図示を省略する。ただし、第2実施形態のマスイメージング装置1では、電圧制御部60の動作が第1実施形態と異なる。その他の各構成については第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
第1実施形態では、電圧制御部60は、引き出し電極12の電圧のみを時間変化させているが、第2実施形態では、電圧制御部60は、引き出し電極12の電圧を固定し、試料へのレーザー光の照射と同期した所定期間において、レンズ系70のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるようにプレート11への印加電圧を掃引する。具体的には、電圧制御部60は、当該所定期間において時間の経過とともに|V−V|/|V−V|が小さくなるようにプレート11の電圧を変化させる。
図5(A)及び図5(B)は、電圧制御部60がプレート11に印加する電圧の一例を示す図である。図5(A)はプレート11で正イオンが生成される場合の例であり、図5(B)はプレート11で負イオンが生成される場合の例である。図5(A)及び図5(B)において、横軸は時間であり、縦軸はプレート11の電圧である。
図5(A)の例では、電圧制御部60は、試料へのレーザー光の照射まではプレート11の電圧を電圧変動範囲の最大値に設定し、レーザー光の照射後の所定期間(掃引期間)においてプレート11の電圧を低下させ、プレート11の電圧が電圧変動範囲の最小値に到達した後は当該最小値に設定する。その後、電圧制御部60は、今回の測定対象となる全てのイオンが加速部終端電極15を通過してから、次の測定のために試料にレーザー光を照射するまでの間に、プレート11の電圧を最大値にまで戻す。
図5(B)の例では、電圧制御部60は、試料へのレーザー光の照射まではプレート11の電圧を電圧変動範囲の最小値に設定し、レーザー光の照射後の所定期間(掃引期間)においてプレート11の電圧を上昇させ、プレート11の電圧が電圧変動範囲の最大値に到達した後は当該最大値に設定する。その後、電圧制御部60は、今回の測定対象となる全てのイオンが加速部終端電極15を通過してから、次の測定のために試料にレーザー光を照射するまでの間に、プレート11の電圧を最小値にまで戻す。
図5(A)、図5(B)のいずれの場合も、掃引期間において時間の経過とともに|V−V|/|V−V|が小さくなる。すなわち、掃引期間において時間の経過とともにレンズ効果が強くなる。
なお、本実施形態は、試料へのレーザー光の照射と同時にプレート11の電圧を掃引しているが、レーザー光の照射後、一定時間後に掃引を開始してもよい。また、掃引期間におけるプレート11の電圧と時間の関係については、図5(A)及び図5(B)に示すような線形に限らず、多項式や指数関数などでも同様の効果を得ることができる。
以上に説明した第2実施形態のマスイメージング装置によれば、試料へのレーザー光の照射と同期して、レンズ系70のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、プレート11への印加電圧を掃引することで、イオンをその質量電荷比に関係なく一様に収束させることができる。これにより、投影像の分解能の質量依存性が小さくなり、幅広い質量電荷比の範囲において、検出系90の位置分解能が向上し、解像度の高い像を得ることができる。
なお、電圧制御部60が、試料へのレーザー照射と同期した所定期間において、レンズ系70のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、プレート11への印加電圧と引き出し電極12への印加電圧の両方を掃引してもよい。
3.第3実施形態
第3実施形態のマスイメージング装置1の構成図は、第1実施形態(図1)と同様であるため、その図示を省略する。ただし、第3実施形態のマスイメージング装置1では、電圧制御部60の動作が第1実施形態と異なる。その他の各構成については第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
第1実施形態では、電圧制御部60は、掃引期間及び引き出し電極12の電圧変動範囲(電圧の掃引範囲)を固定しているが、第3実施形態では、電圧制御部60は、測定対象のイオンの質量電荷比の範囲の設定に応じて、掃引期間及び引き出し電極12の電圧変動範囲を変更する。
図6(A)及び図6(B)は、電圧制御部60が引き出し電極12に印加する電圧の一例を示す図である。図6(A)及び図6(B)は、いずれもプレート11で正イオンが生成される場合の例である。図6(A)は、測定対象のイオンの質量電荷比の範囲が(図6(B)と比較して)広い場合の例であり、図6(B)は、測定対象のイオンの質量電荷比の範囲が(図6(A)と比較して)狭い場合の例である。図6(A)及び図3(B)において、横軸は時間であり、縦軸は引き出し電極12の電圧である。
電圧制御部60は、図6(A)では試料へのレーザー光の照射と同時に引き出し電極12の電圧の掃引を開始するのに対して、図6(B)では試料へのレーザー光の照射から遅れて引き出し電極12の電圧の掃引を開始し、掃引開始時の引き出し電極12の電圧は図6(B)の方が高い。また、電圧制御部60は、図6(B)では引き出し電極12の電圧の掃引を図6(A)よりも早く終了し、掃引終了時の引き出し電極12の電圧は図6(B)の方が低い。これらの理由は、測定対象のイオンの質量電荷比の最小値が図6(B)の方が大きく、測定対象のイオンの質量電荷比の最大値が図6(B)の方が小さいためである。なお、図6(A)と図6(B)では、掃引期間における引き出し電極12の電圧変化の傾きは同じであるが、電圧制御部60は、測定対象のイオンの質量電荷比の範囲に応じて、掃引期間における引き出し電極12の電圧変化の傾きも変更してもよい。
図6(A)や図6(B)のような電圧制御部60の処理を実現するためには、例えば、イオンの質量電荷比と最適な引き出し電極12の電圧値及び電圧印加タイミングとの対応関係を評価し、当該対応関係を定義したテーブル情報をあらかじめ不揮発性のメモリー(図1では不図示)に記憶しておく。測定対象のイオンの質量電荷比の範囲は、例えば、ユーザーが設定し、設定された質量電荷比の範囲(例えば、最小値と最大値)をメモリー(図1では不図示)に記憶する。そして、電圧制御部60は、対応テーブルを参照し、設定されたイオンの質量電荷比の最小値に対する引き出し電極12の電圧値及び電圧印加タイミングと、設定されたイオンの質量電荷比の最大値に対する引き出し電極12の電圧値及び電圧印加タイミングを抽出する(対応テーブルに無ければ線形補完計算等によって算出し)。電圧制御部60は、この抽出結果(あるいは算出結果)に基づき、引き出し電極12の電圧の掃引開始タイミング及び掃引開始時の電圧値と掃引終了タイミング及び掃引終了時の電圧値を決定し、引き出し電極12の電圧を掃引する。
以上に説明した第3実施形態のマスイメージング装置によれば、イオンの質量電荷比によってレンズ系70の最適な電圧値は異なるので、測定対象のイオンの質量電荷比の範囲に応じてレンズ系70の掃引時間及び電圧変動範囲を適切に変えることで、検出系90の位置分解能を向上させることができる。これにより、解像度の高い投影像を得ることができる。
なお、本実施形態では、電圧制御部60は、引き出し電極12の電圧を掃引し、その掃引期間及び電圧変動範囲を変更しているが、第2実施形態のようにプレート11の電圧を掃引し、その掃引期間及び電圧変動範囲を変更するようにしてもよいし、あるいは、引き出し電極12の電圧とプレート11の電圧の両方を掃引し、その掃引期間及び電圧変動範囲を変更するようにしてもよい。
4.第4実施形態
図7は、第4実施形態のマスイメージング装置の構成例を示す図である。図7に示すように、第4実施形態のマスイメージング装置1は、第1実施形態(図1)と同じく、イオン源10、質量分離部20、検出器30、データ処理部40、表示部50及び電圧制御部60を含んで構成されている。なお、本実施形態のマスイメージング装置は、これらの構成要素の一部を省略又は変更した構成や新たな構成要素を追加した構成としてもよい。
イオン源10、検出器30、データ処理部40、表示部50の各構成及び動作は、第1実施形態と同様であり、電圧制御部60の動作は、第1実施形態〜第3実施形態のいずれかと同様であるため、これらの各構成についての説明を省略する。
質量分離部20は、イオンが一定の距離を飛行する毎に得られるイオン像が前記イオン化時の像と相似形となる電場を形成するものであり、例えば、少なくとも1つの扇形電場を含むように構成してもよい。このような質量分離部20としては、例えば、図7に示すように、扇形電場を発生させる扇形に曲がった円筒状の4つの扇形電極22が所望の位置に配置され、イオン源から出射したイオンが4つの扇形電極22の内部空間を通過しながら周回飛行する多重周回型の質量分離部等が挙げられる。質量分離部20を多重周回型とすることで、イオンが質量分離部20に入射する時のイオン像とイオンが質量分離部20から出射する時のイオン像を変えずに、質量電荷比の異なるイオンの飛行時間の差を大きくすることが可能である。従って、質量分離部20を多重周回型とすることで、表示部50に投影される像を歪めることなく、検出系90の時間分解能(質量分解能)を向上させることができる。
以上に説明した第4実施形態のマスイメージング装置によれば、第1実施形態又は第2実施形態と同様に幅広い質量電荷比の範囲において検出系90の位置分解能を向上させる
ことができるとともに、イオンの飛行時間を長くすることで検出系90の時間分解能(質量分解能)も向上させることができる。従って、高解像度かつ信頼性の高い画像を得ることができる。
上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 マスイメージング装置、10 イオン源、11 プレート、12 引き出し電極、13 加速部終端電極、14 アインチェル電極、15 接地電極、20 質量分離部、22 扇形電極、30 検出器、40 データ処理部、50 表示部、60 電圧制御部、70 レンズ系、80 レンズ系、90 検出系

Claims (12)

  1. プレートに配置された試料にレーザー光を照射することにより生成されたイオンが通過する少なくとも1つのレンズ系と、
    前記イオンを質量電荷比に応じた飛行時間の違いに基づいて分離するイオン光学系と、
    前記イオン光学系を通過した前記イオンの到達位置と飛行時間を測定し、前記試料のイオン化時の像を生成する検出系と、
    前記レーザー光の照射と同期した所定期間において、前記像の拡大率に寄与する前記レンズ系のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、当該レンズ系に含まれる電極への印加電圧を掃引する電圧制御部と、を含む、マスイメージング装置。
  2. 請求項1において、
    前記像の拡大率に寄与する前記レンズ系は、
    前記プレートと、加速部終端電極と、当該プレートと当該加速部終端電極との間に配置された引き出し電極と、を含む、マスイメージング装置。
  3. 請求項2において、
    前記電圧制御部は、
    前記プレートへの印加電圧を固定し、前記所定期間において前記引き出し電極への印加電圧を掃引する、マスイメージング装置。
  4. 請求項2において、
    前記電圧制御部は、
    前記引き出し電極への印加電圧を固定し、前記所定期間において前記プレートへの印加電圧を掃引する、マスイメージング装置。
  5. 請求項2において、
    前記電圧制御部は、
    前記所定期間において、前記プレートへの印加電圧と前記引き出し電極への印加電圧とを掃引する、マスイメージング装置。
  6. 請求項2乃至5のいずれか一項において、
    前記電圧制御部は、
    前記プレートの電圧をV、前記引き出し電極の電圧をV、前記加速部終端電極の電圧をVとした時、前記所定期間において時間の経過とともに|V−V|/|V−V|が小さくなるように印加電圧を掃引する、マスイメージング装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項において、
    前記電圧制御部は、
    測定対象となる前記イオンの質量電荷比の範囲の設定に応じて、前記所定期間及び前記掃引する電圧範囲を変更する、マスイメージング装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、
    前記イオンは、
    前記試料と当該試料のイオン化を促進するマトリックスとを混合した混合物を前記プレートに滴下し、滴下された当該混合物に前記レーザー光を照射することにより生成される、マスイメージング装置。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項において、
    前記プレートは、
    表面に前記試料のイオン化を促進するナノ構造を有し、
    前記イオンは、
    前記試料を前記プレートの前記ナノ構造の上に滴下し、滴下された当該試料に前記レーザー光を照射することにより生成される、マスイメージング装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項において、
    前記イオン光学系は、
    前記イオンが一定の距離を飛行する毎に得られる像が前記イオン化時の像と相似形となる電場を形成する、マスイメージング装置。
  11. 請求項10において、
    前記イオン光学系は、
    少なくとも1つの扇形電場を含む、マスイメージング装置。
  12. プレートに配置された試料にレーザー光を照射することにより生成されたイオンが通過する少なくとも1つのレンズ系と、前記イオンを質量電荷比に応じた飛行時間の違いに基づいて分離するイオン光学系と、前記イオン光学系を通過した前記イオンの到達位置と飛行時間を測定し、前記試料のイオン化時の像を生成する検出系と、を含むマスイメージング装置の制御方法であって、
    前記レーザー光の照射と同期した所定期間において、前記像の拡大率に寄与する前記レンズ系のレンズ効果が時間の経過とともに強くなるように、当該レンズ系に含まれる電極への印加電圧を掃引する、マスイメージング装置の制御方法。
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