JP2018010766A - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】MALDIイオン源におけるレーザ光照射の周波数を増加させて測定のスループットを向上させる。【解決手段】飛行空間4の入口に設けた偏向電極31a〜31dで形成する偏向電場により、レーザ光照射毎に試料15から発生するイオンを異なる方向に順番に振り分けて飛行させる。また、イオン検出部5は上記のように振り分けられたイオンが到達する位置にそれぞれ異なる検出器を含み、各検出器はそれぞれイオンを独立に検出する。これにより、レーザ光照射の時間間隔を短くしても各検出器では十分にイオンを検出する時間を確保することができ、幅広いm/z範囲のマススペクトルを作成しながらレーザ光照射間隔を短くして測定のスループットを向上させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法、レーザ脱離イオン化(LDI)法、表面支援レーザ脱離イオン化(SALDI)法など、試料にレーザ光を短時間照射したり、高速原子衝撃(FAB)法、二次イオン質量分析(SIMS)法など、試料に中性原子線、電子線、イオン線等の粒子線を照射したりすることにより、該試料中の成分を間欠的にイオン化するイオン源を用いた飛行時間型質量分析装置に関する。
飛行時間型質量分析装置(以下「TOFMS」と称す)は一般に、電場により加速したイオンを電場及び磁場を有さない飛行空間内に導入して自由飛行させ、検出器に到達するまでの飛行時間に応じて各種イオンを質量電荷比m/z毎に分離するものである。TOFMSにおいて質量分解能を高めるには飛行距離を長くする必要があることから、単純にイオンを直線的に飛行させるリニア型の構成のほかに、電場や磁場を利用してイオンを折返し飛行させるリフレクトロン型の構成や、略同一の閉じた軌道を複数回周回させる周回型の構成も知られている。
TOFMSのイオン源としては、MALDI法によるMALDIイオン源が広く利用されている。MALDI法では、測定対象物質とマトリクスとを混合させることで調製された試料にレーザ光を短時間照射することにより、測定対象物質を気化させるのとほぼ同時に該測定対象物質をイオン化する。そのほか、レーザ光を利用したイオン化法としては、マトリクスを用いないLDI法、金属や金属酸化物ナノ粒子をイオン化の支援材料として用いたSALDI法なども知られており、TOFMSのイオン源として用いられている。
例えば非特許文献1に記載のMALDI−TOFMSは現在市販されている最も高速の測定が可能である装置の一つであり、10[kHz]の周波数でレーザ光を繰り返し照射することが可能であるとされている。例えばTOFMSのドリフト空間の長さが3[m]で、イオンの加速エネルギが30[kV]である場合、1000〜5000[Da]の質量電荷比範囲のイオンの飛行時間はおおよそ40〜90[μsec]である。即ち、レーザ光の照射によって生成されたm/z=5000[Da]であるイオンが検出器に到達するまでに90[μsec]掛かる。そのため、MALDIイオン源からパルス状に射出されたイオンが検出器に到達したあとに次の分析のためのレーザ光を試料に照射するような制御を行う場合、繰り返し周期が100[μsec]である10[kHz]というレーザ光照射の周波数はほぼ上限である。
これよりもさらに測定のスループットを向上させる、つまりレーザ光照射の周波数を高くする方法として考えられるのは、レーザ光を試料に照射した後、それによって生成された測定対象の質量電荷比範囲のイオンの一部(具体的には質量が大きく飛行時間が長いイオン)が検出器に到達する前に次の分析のためのレーザ光照射を行うという方法である。
例えば、1回目のレーザ光照射時点から50[μsec]経過後に2回目のレーザ光照射を行う場合、1回目のレーザ光照射により生成されたm/z=5000[Da]のイオンが検出器に到達した直後に2回目のレーザ光照射により生成されたm/z=1000[Da]のイオンが検出器に到達することになる。そのため、2回目のレーザ光照射により生成されたイオンのうちm/z=1000[Da]よりも質量電荷比が低いイオンが検出器に到達しないように、例えばイオンがドリフト空間に入る前又は入った直後にそうしたイオンを確実に除去することで、1回目の測定による信号と2回目の測定による信号とは重ならず良好なマススペクトルを得ることができる。ただし、この方法では、レーザ光照射の周波数は20[kHz]が限界であり、上述した従来装置からの性能向上は最大2倍に留まる。
近年、MALDI−TOFMSを利用して試料上の2次元領域内の多数の測定点(微小領域)に対する質量分析をそれぞれ実施し、その結果に基づいて特定の質量電荷比におけるイオンの信号強度の空間分布を可視化するイメージング質量分析装置が開発されている(非特許文献2参照)。こうした装置では、試料上の膨大な数の測定点それぞれに対し質量分析を行う必要があるため、試料上の測定対象領域全体の質量分析を遂行するには膨大な回数、質量分析を繰り返し行う必要がある。そのため、イメージング質量分析装置での測定のスループットを改善するには、MALDI−TOFMSでのレーザ照射の周波数の大幅な増加が重要である。
また、MALDI−TOFMSのみならず、LDI、SALDIなどレーザ光をパルス的に試料に照射してイオン化を行うイオン源や、FAB、SIMSなど、中性原子線、電子線、イオン線等の粒子線をパルス的に試料に照射してイオン化を行うイオン源を搭載したTOFMSでも事情は同じである。
「rapifleXTM MALDI TissuetyperTM 質量分析イメージング」、[online]、ブルカー(BRUKER)社、[平成28年6月24日検索]、インターネット<URL: http://www.bruker.co.jp/daltonics/MALDI_imaging/rapiflex.pdf> 「iMScope TRIO イメージング質量顕微鏡」、[online]、株式会社島津製作所、[平成28年6月24日検索]、インターネット<URL: http://www.an.shimadzu.co.jp/bio/imscope/index.htm>
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザ光を試料に照射して該試料中の成分をイオン化するイオン源、或いは、中性原子線、電子線、イオン線などの粒子線を試料に照射して該試料中の成分をイオン化するイオン源においてレーザ光や粒子線の照射の周波数を従来よりも大幅に増加させることができ、それによって測定のスループットの向上を図ることができる飛行時間型質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明は、試料を間欠的にイオン化するイオン源と、該イオン源で生成された試料由来のイオンを加速する加速部と、該加速部で加速されたイオンを質量電荷比に応じて分離する飛行空間と、該飛行空間を飛行したイオンを検出する検出部と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
a)前記イオン源で生成され前記加速部で加速されたイオンが飛行する方向を変化させる偏向電場を形成するイオン偏向部と、
b)前記イオン偏向部により飛行方向がそれぞれ変化されたイオンが前記飛行空間を飛行したあとに到達する位置に配置され、異なる軌道を飛行し異なる位置に到達したイオンをそれぞれ独立に検出可能である検出部と、
を備えることを特徴としている。
なお、本発明に係る飛行時間型質量分析装置において、飛行空間の態様は特に限定されず、例えば、リニア型、リフレクトロン型、周回型のいずれでもよい。
また本発明に係る飛行時間型質量分析装置であって典型的には、前記イオン源は、試料にレーザ光又は粒子線を照射して該試料からイオンを生成するイオン源とすることができる。レーザ光を利用したイオン源はMALDI、LDI、SALDIなど、粒子線を利用したイオン源はFAB、SIMSなどである。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、イオン源において第1の時点で試料にレーザ光や粒子線が照射されることで生成され加速部で加速された一群のイオン、つまりイオンパケットは、イオン偏向部による偏向電場を通過する際に第1の方向に送られ、第1の飛行軌道に沿って飛行する。イオン源において上記第1の時点の次のタイミングである第2の時点で試料にレーザ光や粒子線が照射されることで生成され加速部で加速されたイオンパケットは、イオン偏向部による偏向電場を通過する際に上記第1の方向とは異なる第2の方向に送られ、第2の飛行軌道に沿って飛行する。第1の飛行軌道に沿って飛行するイオンパケットと第2の飛行軌道に沿って飛行するイオンパケットとは飛行空間を出た時点で異なる位置に到達し、それぞれ検出部により独立に検出される。
第1の時点と第2の時点との時間間隔が短い場合、第1の時点で生成されたイオンの少なくとも一部が検出部に到達する前に、第2の時点で生成されたイオンの少なくとも一部が検出部に到達し、到達時間が重なることになる。しかしながら、検出部は異なる飛行軌道を通って異なる位置に達したイオンパケットを独立に検出するので、上述したようにイオンの到達時間が重なっていても、それぞれのイオンパケットに含まれるイオンの飛行時間に応じた検出信号をそれぞれ出力する。それによって、互いに何ら影響を及ぼすことなく、第1の時点におけるレーザ光照射又は粒子線照射に対応した飛行時間スペクトルと第2の時点におけるレーザ光照射又は粒子線照射に対応した飛行時間スペクトルとを作成することができ、それら各飛行時間スペクトルからマススペクトルを得ることができる。
偏向電場によりイオンパケットが向かう方向の数(種類)を増やすほど、イオン源でのレーザ光照射又は粒子線照射の時間間隔をさらに短くすることができる。例えば、偏向電場によりイオンパケットの進行を10の異なる方向に振り分けてそれぞれ独立にイオンを検出することによって、レーザ光照射又は粒子線照射の周波数を上記従来装置の約10倍程度に増加させることができる。
また本発明に係る飛行時間型質量分析装置において、イオン偏向部と検出部とを有効に利用して測定のスループットを向上させるには、好ましくは、
前記検出部は、異なる軌道を飛行して来たイオンを異なるn(ただしnは2以上の整数)箇所の位置でそれぞれ独立に検出可能であり、
前記イオン源での間欠的なイオンの生成毎に、前記n箇所の位置に順番にイオンが到達し得るように偏向電場を変化させるべく前記イオン偏向部を制御する制御部、を備える構成とするとよい。
具体的には、イオン偏向部は、偏向電場を形成するための偏向電極と、イオンの飛行方向に応じて該偏向電極に異なる電圧を印加する偏向電圧発生部と、から成るものとすることができ、制御部はその偏向電圧発生部を制御する構成とすることができる。
この構成によれば、nの数が例えば10等、多い場合でもイオン偏向部で異なる飛行方向に順にイオンパケットを送り、それらの飛行方向にそれぞれ対応した位置において検出部でイオンを検出することができる。それによって、広い質量電荷比範囲に亘るマススペクトルを高いスループットで以て取得することができる。
なお、イオン源において短時間のレーザ光照射又は粒子線照射によって生成されたイオンは飛行し始めると質量電荷比に応じて飛行方向の前後に広がり始める。1回のレーザ光照射又は粒子線照射によって生成されたイオンパケットは同じ軌道を通って検出器に到達する必要があるから、そのイオンパケットが飛行方向の前後に大きく広がる前にイオン偏向部による偏向電場を通過し、同じイオンパケットに含まれる全てのイオンが同じ方向に曲げられることが望ましい。
そこで、本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、イオン偏向部はイオンが加速部で加速された直後、即ち、加速部と飛行空間の入口端との間、又は飛行空間内であってその入口端から近い位置に配置されることが望ましい。
また、異なる軌道を通って来たイオンをそれぞれ独立に検出可能な検出部は検出面がそれぞれ異なる検出部であってもよいことは当然であるが、検出面が共通であってもイオンの到達位置をそれぞれ認識可能であればよい。
例えば上記検出部は、円環状又は円盤状であるマイクロチャンネルプレートと、該マイクロプレートに入射したイオンに応じて発生する荷電粒子を検出する、周方向に複数に分割されたアノード電極と、を含む構成とすることができる。この構成では、イオンが到達するマイクロチャンネルプレートは共通であっても、到達したイオンに応じてその到達位置付近で生成される荷電粒子(電子)を検出するアノード電極は分割されているので、異なる位置に到達したイオンの量に応じた信号をそれぞれ独立に出力することができる。また上記検出部は、2次元的な位置分解能を有する一つの検出部である構成としてもよい。こうした構成としては、例えば多数の微小検出部を一面上に多数配置した構成などが考えられる。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置によれば、測定可能な質量電荷比範囲を広く確保したまま、試料へのレーザ光照射や粒子線照射の繰り返し周波数を従来装置に比べて大幅に増加し、測定のスループットを向上させることができる。それによって、例えばイメージング質量分析装置のように膨大な数の測定点についてそれぞれ質量分析を行う必要がある場合でも、測定に要する時間を短縮することができ、単に測定効率の向上のみならず、例えば生体組織切片などの変質・変性し易い試料についてもそうした変質・変性を抑えて良好な分析を実施することができるといった利点がある。
本発明の第1実施例であるMALDI−TOFMSの概略構成図。 第1実施例のMALDI−TOFMSにおける概略動作タイミング図。 本発明の第2実施例であるMALDI−TOFMSの概略構成図。 検出部の変形例を示す図。
本発明の第1実施例であるMALDI−TOFMSについて添付図面を参照して説明する。図1は第1実施例のMALDI−TOFMSの概略構成図、図2は第1実施例のMALDI−TOFMSにおける概略動作タイミング図である。
本実施例のMALDI−TOFMSはリニア型のTOFMSであり、MALDIイオン源1、加速電極2、イオン偏向部3、飛行空間4、及び、イオン検出部5を含む。MALDIイオン源1は、レーザ照射部11、集光レンズ12、ミラー13を含み、レーザ照射部11から出射し集光レンズ12を経たレーザ光はミラー13で反射されて、試料プレート14上に保持されている試料15に照射される。イオン偏向部3は、試料プレート14に略直交するイオン光軸C(Z軸方向と一致している)を挟んで対向する2組4枚の平板状の偏向電極31a〜31dと、それら偏向電極31a〜31dにそれぞれ所定の電圧を印加する偏向電圧発生部32を含む。
イオン検出部5は、イオン光軸Cを取り囲むように該イオン光軸Cを中心とする円周上に等角度間隔で配置された10個の独立した検出器を含む。このイオン検出部5の各検出器で得られた検出信号はデータ処理部6に入力され、データ処理部6では飛行時間スペクトルの作成、さらには飛行時間を質量電荷比に換算することでマススペクトルの作成などが行われる。制御部7は本MALDI−TOFMSにおいて質量分析を実行する際に各部を制御するものである。なお、ここでは図面を簡略化するために、加速電極2や試料プレート14に印加される電圧の発生部などの構成要素を省略している。
本実施例のMALDI−TOFMSにおける質量分析動作を説明する。
制御部7の指示の下に、レーザ照射部11からごく短時間だけレーザ光が出射され、このレーザ光は集光レンズ12、ミラー13を経て、試料15上の微小領域に照射される。試料15にレーザ光が照射されると、該試料15中の測定対象物質は気化しイオン化される。試料プレート14は金属製又は導電ガラス製であって、図示しないステージにより保持され、同じく図示しない電源からステージを介して試料プレート14に所定の電圧が印加される。また、加速電極2にも図示しない電源から所定の電圧が印加される。
試料15から生成された測定対象物質由来のイオンは試料プレート14と加速電極2との間に形成される電場によって試料15表面付近から引き出され、さらに加速電極2により形成される加速電場によって加速エネルギを付与され飛行空間4に向けてZ軸方向に沿って飛行し始める。偏向電極31a〜31dは加速電極2による加速電場の影響を受けず、且つ質量電荷比の相違するイオンが前後方向にできるだけ広がっていない位置に設置されることが望ましく、ここでは、飛行空間4の入口付近に配置されている。
Z軸に直交するX軸方向に沿ってイオン光軸Cを挟んで対向する2枚の偏向電極31a、31bには偏向電圧発生部32から電圧±VXが、またY軸方向に沿ってイオン光軸Cを挟んで対向する2枚の偏向電極31c、31dには偏向電圧発生部32から電圧±VYが、それぞれ印加される。制御部7による制御により、電圧VX、VYは次のように設定される。
X=V0・cos{2π(i/n)}
Y=V0・sin{2π(i/n)}
ただし、ここでnはイオン検出部5に含まれる検出器の数であり、この例はn=10である。またi=1, 2, 3,…,nであり、図2(a)に示すように、iの値はMALDIイオン源1でのレーザ光照射の1パルス毎に順に変化させる。
即ち、iが1, 2, 3,…,nと順に変化する毎に偏向電極31a〜31dで囲まれる空間に形成される偏向電場は変化し(図2(b)参照)、それに伴い、この偏向電場を通過しようとしているイオンは異なる方向に向かうように偏向される。本例のようにn=10である場合、時間が経過する毎にイオンは互いに異なる10の方向に振り分けられ、飛行空間4中を互いに異なる飛行軌道に沿って飛行する。イオン検出部5に含まれる各検出器は、異なる方向に向かってイオンが飛行するその進行方向前方にそれぞれ配置されている。そのため、1回のレーザ光照射によって試料15から発生した多くのイオンを含むイオンパケットは偏向電場を通過する際に同じ方向に曲げられ、飛行空間4中を飛行する間に質量電荷比に応じて前後に分離され同じ検出器に到達する。各検出器はZ軸(又はイオン光軸C)からの距離が同一であるため、どの検出器においても飛行距離は同一である。
一つのイオンパケットに含まれる質量電荷比が相違するイオンは大きく時間差がついて検出器に到達するため、図2(c)〜(e)に示されているように、レーザ光照射時間間隔Δtに比べてかなり長い時間に亘り一つの検出器に入射し続ける。しかしながら、上述したように、レーザ光が照射される毎に試料15から生成されるイオンパケットはそれぞれ異なる飛行軌道に沿って飛行するため、一つの検出器においてイオンを検出するための時間はレーザ光照射時間間隔Δt×n、つまり、ここではΔtの10倍程度あり、幅広い質量電荷比のイオンを検出することができ、データ処理部6では一つの検出器から得られる信号に基づいて幅広い質量電荷比範囲に亘るマススペクトルを作成することができる。
以上のようにして本実施例のMALDI−TOFMSでは、MALDIイオン源でのレーザ光照射の周波数を従来装置に比べて大幅に上げることができ、その場合でも、広い質量電荷比範囲に亘るマススペクトルを得ることができる。
図3は本発明に係る第2実施例のMALDI−TOFMSの概略構成図である。このMALDI−TOFMSは、飛行空間4内に複数のリング状電極とバックプレートを含むリフレクタ41を配置したリフレクトロン型の構成である。この場合にはリフレクタ41により形成される反射電場によってイオンは折り返し飛行するが、第1実施例と同様に、イオン偏向部3で偏向されたイオンが最終的に到達する位置に、イオン検出部5に含まれる各検出器が配置されている。したがって、基本的な動作は第1実施例と何ら変わりはない。
また、上記実施例では、イオン検出部5はそれぞれ独立した複数の検出器を備えていたが、イオン検出部5として電子増倍型の検出器を利用する場合には、図4に示したような構成とすることもできる。このイオン検出部50は、2枚(又はそれ以上の枚数)のリング状であるマイクロチャンネルプレート(MCP)51、52と、マイクロチャンネルプレート51、52で増倍された電子を受けて検出信号を生成する、周方向にn個に分割されたアノード電極53と、を含む。この構成では、上述したように異なる飛行軌道に沿って飛行して来たイオンは同じマイクロチャンネルプレート51の異なる位置に到達する。マイクロチャンネルプレート51にイオンが到達すると、その到達位置付近でのみ電子が発生し、その電子はマイクロチャンネルプレート52で増倍される。そして、増倍された電子は上記到達位置に対応したアノード電極53に入射する。したがって、異なる飛行軌道を通って来たイオンに対してマイクロチャンネルプレート51、52は共通であるものの、その到達位置毎にイオンを分離して検出することができ、図1、図3に示したイオン検出部5と同様の信号を得ることができる。
また、イオン検出部5として一つの検出面上で位置分解能を有する検出器を用いてもよい。いずれにしても、異なる飛行軌道に沿って飛行して来たイオンをそれぞれ分離して又は独立に検出可能であれば、その構成は特に問わない。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。例えば上記実施例は本発明をMALDIイオン源を用いたTOFMSに適用したものであるが、LDIイオン源やSALDIイオン源を用いたTOFMSにも本発明を適用できることは明らかである。また、レーザ光でなく試料にパルス的に中性原子線、電子線、イオン線などの粒子線を照射して試料中の成分をイオン化する例えばFAB法、SIMS法などによるイオン源を利用したTOFMSにも、本発明を適用できることは明らかである。
1…イオン源
11…レーザ照射部
12…レンズ
13…ミラー
14…試料プレート
15…試料
2…加速電極
3…イオン偏向部
31a〜31d…イオン偏向電極
32…偏向電圧発生部
4…飛行空間
5、50…イオン検出部
51、52…マイクロチャンネルプレート
53…アノード電極
6…データ処理部
7…制御部
C…イオン光軸

Claims (9)

  1. 試料を間欠的にイオン化するイオン源と、該イオン源で生成された試料由来のイオンを加速する加速部と、該加速部で加速されたイオンを質量電荷比に応じて分離する飛行空間と、該飛行空間を飛行したイオンを検出する検出部と、を具備する飛行時間型質量分析装置において、
    a)前記イオン源で生成され前記加速部で加速されたイオンが飛行する方向を変化させる偏向電場を形成するイオン偏向部と、
    b)前記イオン偏向部により飛行方向がそれぞれ変化されたイオンが前記飛行空間を飛行したあとに到達する位置に配置され、異なる軌道を飛行し異なる位置に到達したイオンをそれぞれ独立に検出可能である検出部と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記検出部は、異なる軌道を飛行して来たイオンを異なるn(ただしnは2以上の整数)箇所の位置でそれぞれ独立に検出可能であり、
    前記イオン源での間欠的なイオンの生成毎に、前記n箇所の位置に順番にイオンが到達し得るように偏向電場を変化させるべく前記イオン偏向部を制御する制御部、を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記イオン偏向部は、前記加速部と前記飛行空間の入口端との間、又は該飛行空間内であってその入口端から近い位置に配置されることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記イオン源は、試料にレーザ光又は粒子線を照射して該試料からイオンを生成するものであることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  5. 請求項4に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記イオン源は、MALDI、LDI、SALDI、FAB、SIMSのいずれかによるイオン源であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記飛行空間はリニア型の飛行空間であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記飛行空間はリフレクトロン型の飛行空間であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記検出部は、円環状又は円盤状であるマイクロチャンネルプレートと、該マイクロプレートに入射したイオンに応じて発生する荷電粒子を検出する、周方向に複数に分割されたアノード電極と、を含むことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記検出部は、2次元的な位置分解能を有する一つの検出部であることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017107817A (ja) * 2015-12-11 2017-06-15 株式会社堀場エステック 四重極型質量分析計及び残留ガス分析方法

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