JP2014058842A - 土石流防止柵 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土石流防止柵1は、山の斜面に沿って下降する土石流の土砂を受け止める。土石流防止柵1は、当該山の斜面の等高線の延びる方向に間隔をあけて立設された複数の支柱2と、互いに隣接する支柱2同士の間の空間7の少なくとも上部を覆うように当該支柱2に固定されたネット5と、当該複数の支柱2の間の空間7の下部を覆って土石流の土砂を受けるように配置される土砂受け部材6とを備えている。土砂受け部材6は、ネット5及び支柱2に対して分離可能に配置されている。
【選択図】図1
Description
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る土石流防止柵について説明する。
(1)
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6がネット5及び支柱2に対して分離可能に配置されているので、土砂受け部材6に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、当該土砂受け部材6をネット5および支柱2と分離して、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材6および土砂Sをまとめて吊り上げることにより、土石流防止柵1に堆積する土砂Sを取り除くことが可能である。そのため、堆積された土砂Sを随時容易に除去することが可能であり、その結果、土石流防止柵1の破損を事前に防止して、土石流をくい止めることが可能である。
また、第1実施形態の土石流防止柵1では、複数の支柱2の間の空間7を当該支柱2の全長にわたって覆っており、土砂受け部材6は、土石流の上流側からネット5と重ね合わされた状態で、支柱2の間の空間7の下側の部分に配置されているので、土石流の圧力を土砂受け部材6だけでなくネット5によっても受けることが可能である。そのため、土砂受け部材6の破損のおそれが低減する。換言すれば、土砂受け部材6は、ネット5によって補強されるので、引張強度の弱い材料で製造することが可能になる。
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6は、ネット5よりも目の細かい網状の本体8を有するので、土石流の土砂Sがネット5と比較して土砂受け部材6の本体8を通過しにくくなり、防止柵1の下流側への土砂Sの流出をさらに低減することが可能である。また、土砂受け部材6として細い鋼線で編んだ目の細かい網状部材を作用しても、土砂受け部材6と重なりあっているネット5によって引張強度が担保されるから、網状部材が破損するおそれが低減される。
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6は、土砂Sを堆積させることが可能な網状の本体8と、当該本体8を土砂Sとともに吊り上げることが可能な位置において当該本体8に対して連結された吊り上げケーブル9とを有し、本体8は、ネット5に対して分離可能に配置されている。そのため、土砂受け部材6の本体8に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材6および土砂Sを吊り上げる場合には、吊り上げケーブル9を介して網状の本体8を吊り上げることにより、土砂受け部材6の本体8および土砂Sをまとめて容易に吊り上げることが可能である。
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6の本体8に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、吊り上げケーブル9の端部が土砂Sに埋もれるおそれを回避することが可能である。すなわち、一方の端部11aが本体8の下流側端部8aに固定された下流側吊り上げケーブル11は、その他方の端部11bがネット5における当該本体8の下流側端部8aよりも上方の位置に着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部11bは本体8よりも上方に退避して配置されることが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。また、一方の端部12aが本体8の上流側端部8bに固定された上流側吊り上げケーブル12は、その他方の端部12bが本体8よりも土石流の上流側の地面Gに着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部12bは本体8よりも上流側に退避することが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。したがって、これら下流側吊り上げケーブル11および上流側吊り上げケーブル12のいずれの端部も土砂Sに埋もれるおそれが低いので、これらの端部を容易に探し出すことが可能になり、吊り上げ作業を円滑に行うことが可能になる。
(A)
上記の第1実施形態では、土砂受け部材6の本体8として、網状の本体8を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シート状の本体8を採用してもよい。
第1実施形態の土石流防止柵1では、ネット5は、単一の網状体を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の網状体を重ね合わせたものであってもよい。例えば、太い鋼線を網状に編んだ引張強度の高いネット本体と、細い鋼線を網状に編んだ目の細かい金網とを組み合わせたネットを採用してもよく、その場合、目の細かい金網によって防止柵1の下流側への土砂Sの流出をさらに低減することが可能である。
上記の第1実施形態では、ネット35と土砂受け部材36とが重ね合わされた二重構造を有する土石流防止柵1を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、支柱の間の空間においてネットと土砂受け部材とが上下方向に並んで配置した一重構造の土砂受け部材を採用してもよい。以下、本発明の第2実施形態として、このような一重構造の土砂受け部材について詳細に説明する。
(1)
第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36がネット35及び支柱32に対して分離可能に配置されているので、土砂受け部材36に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、当該土砂受け部材36をネット35および支柱32と分離して、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材36および土砂Sをまとめて吊り上げることにより、土石流防止柵31に堆積する土砂Sを取り除くことが可能である。そのため、堆積された土砂Sを随時容易に除去することが可能であり、その結果、土石流防止柵31の破損を事前に防止して、土石流をくい止めることが可能である。
また、第2実施形態の土石流防止柵31では、複数の支柱32の間の空間37の上部の部分がネット35によって覆われ、一方、ネット35の下側の範囲が土砂受け部材36によって覆われるので、ネット35の面積を小さくすることが可能になり、ネット35の材料費を低減することが可能になり、それによって土石流防止柵31の全体の製造コストの低減が可能になる。
第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36は、土砂Sを堆積させることが可能な網状の本体38と、当該本体38を土砂Sとともに吊り上げることが可能な位置において当該本体38に対して連結された吊り上げケーブル39とを有し、本体38は、ネット35に対して分離可能に配置されている。そのため、土砂受け部材36の本体38に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材36および土砂Sを吊り上げる場合には、吊り上げケーブル39を介して網状の本体38を吊り上げることにより、土砂受け部材36の本体38および土砂Sをまとめて容易に吊り上げることが可能である。
第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36の本体38に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、吊り上げケーブル39の端部が土砂Sに埋もれるおそれを回避することが可能である。すなわち、一方の端部41aが本体38の下流側端部38aに固定された下流側吊り上げケーブル41は、その他方の端部41bがネット35における当該本体38の下流側端部38aよりも上方の位置に着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部41bは本体38よりも上方に退避して配置されることが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。また、一方の端部42aが本体38の上流側端部38bに固定された上流側吊り上げケーブル42は、その他方の端部42bが本体38よりも土石流の上流側の地面Gに着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部42bは本体38よりも上流側に退避することが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。したがって、これら下流側吊り上げケーブル41および上流側吊り上げケーブル42のいずれの端部も土砂Sに埋もれるおそれが低いので、これらの端部を容易に探し出すことが可能になり、吊り上げ作業を円滑に行うことが可能になる。
(A)
上記の第2実施形態では、土砂受け部材36の本体38として、二重構造の網状体、すなわち、太い鋼線を網状に編んだネット部分381と、細い鋼線を網状に編んだ目の細かい金網部分382とを備えた網状体を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、太い鋼線を網状に編んだネット部分381と、シート状の部材とを重ね合わせることによって、本体38を構成してもよい。さらに、本体38は、太い鋼線を網状に編んだネットの単体によって構成してもよい。
なお、上記の第2実施形態では、土砂受け部材36の本体38の上流側端部38bが支柱2から山側Mに離れた位置に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例として、たとえば、本体38の上流側の部分を短くすることにより、本体38の上流側端部38bを支柱2の下部2bに配置し、当該上流側端部38bを下部ケーブル34に連結してもよい。そのような構成の場合、土砂受け部材36の本体38を構成するネット部分および金網部分の面積を小さくすることができるので、製造コストの低減が可能になる。
上記第2の実施形態では、図8に示されるように、支柱32の間の空間37の上部を覆うネット35の金網352と、当該空間37の下部を覆う土砂受け部材36の金網部分382とが分離して配置された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの金網352と金網部分382とを一体に製造してもよい。その場合、土砂受け部材36をネット35から分離するときには、金網352と金網部分382とをワイヤカッターなどの工具で分離すればよい。
2、32 支柱
3、33 上部ケーブル
4、34 下部ケーブル
5、35 ネット
6、36 土砂受け部材
7、37 空間
8、38 本体
9、39 吊り上げケーブル
11、41 下流側吊り上げケーブル
12、42 上流側吊り上げケーブル
G 地面
M 山側方向
V 谷側方向
Claims (6)
- 山の斜面に沿って下降する土石流の土砂を受け止める土石流防止柵であって、
当該山の斜面の等高線の延びる方向に間隔をあけて立設された複数の支柱と、
互いに隣接する支柱同士の間の空間の少なくとも上部を覆うように当該支柱に固定されたネットと、
当該複数の支柱の間の空間の下部を覆って土石流の土砂を受けるように配置される土砂受け部材と、
を備えており、
前記土砂受け部材は、前記ネット及び前記支柱に対して分離可能に配置されている、
ことを特徴とする土石流防止柵。 - 前記ネットは、前記複数の支柱の間の空間を当該支柱の全長にわたって覆っており、
前記土砂受け部材は、前記土石流の上流側から前記ネットと重ね合わされた状態で、前記支柱の間の空間の下側の部分に配置されている請求項1に記載の土石流防止柵。 - 前記土砂受け部材は、前記ネットよりも目の細かい網状の本体を有する請求項2に記載の土石流防止柵。
- 前記ネットは、前記複数の支柱の間の空間のうち地面から所定の高さの範囲を開放した状態で当該支柱の間の空間の上部の部分を覆い、
前記土砂受け部材は、前記ネットの下側に配置されて前記範囲を覆い、かつ、当該ネットに着脱自在に固定されている
請求項1に記載の土石流防止柵。 - 前記土砂受け部材は、
前記土砂を堆積させることが可能な網状またはシート状の本体と、
当該本体を前記土砂とともに吊り上げることが可能な位置において当該本体に対して連結された吊り上げケーブルと
を有し、
前記本体は、前記ネットに対して分離可能に配置されている、
請求項1から4のいずれかに記載の土石流防止柵。 - 前記本体は、前記土石流の下流側に配置された下流側端部と、当該下流側端部よりも当該土石流の上流側に配置された上流側端部とを有しており、
前記吊り上げケーブルは、
一方の端部が前記本体の下流側端部に固定され、かつ、他方の端部が前記ネットにおける当該本体の下流側端部よりも上方の位置に着脱自在に取り付けられた下流側吊り上げケーブルと、
一方の端部が前記本体の上流側端部に固定され、かつ、他方の端部が前記本体よりも前記土石流の上流側の地面に着脱自在に取り付けられた上流側吊り上げケーブルと
を備えている、請求項5に記載の土石流防止柵。
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