JP2014058095A - 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロストークを抑制できる新たな記録ヘッドを提供する。
【解決手段】各吐出孔から液滴を吐出させるための吐出パルスを含む駆動信号を圧力素子に印加することにより吐出駆動制御を行う駆動制御部を備えた記録ヘッドにおいて、両隣りの吐出孔から液滴が吐出される場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号と、両隣りの吐出孔の一方又は両方から液滴が吐出されない場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている非特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号との少なくとも一方の駆動信号として、特定吐出孔と非特定吐出孔との間の液滴吐出速度の差を小さくするための速度差調整パルスP2を追加したものを用いる速度差調整制御を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、ノズルから液滴を吐出する液体吐出ヘッド、及び、これを用いて記録材に対して液滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関するものである。
この種の液体吐出ヘッドは、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置の記録ヘッドとして用いられる。ここでいう画像形成装置は、記録材上に画像を形成するものであるが、その記録材の材質は紙に限定されるものではなく、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等のあらゆる記録材に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を記録材に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を記録材に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、液滴として吐出される液体は、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。したがって、いわゆる画像プリントだけでなく、インクジェット技術を利用した三次元造型技術や血液の点滴などにも利用されるものである。
液体吐出ヘッドは、一般に、液滴を吐出する複数のノズル(吐出口)と、これらのノズルがそれぞれ連通する個別液室(圧力発生室、圧力室、加圧液室、インク室、インク流路等とも称される。)と、これらの個別液室内の液体を昇圧させる圧力発生手段とを備える。このような液体吐出ヘッドは、圧力発生手段を駆動することで個別液室内の液体を昇圧し、その圧力によりノズルを塞ぐメニスカス状態の液体をノズルから押し出して液滴を吐出する。
このようなインクジェット方式の画像形成装置としては、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するインク・オン・デマンド方式のものが主流である。近年のインク・オン・デマンド方式のインクジェットヘッドを用いた画像形成装置には、高精細な画像を高速で出力することが要求されている。この要求に応えるため、ノズルから吐出されるインク滴の微細化が進み、現在では、約1pl(ピコリットル)〜30plの程度のインク滴を記録材上に選択的に噴射して画像の出力を行うことが可能となっている。
液滴を吐出させるための圧力発生手段には、いくつかの種類が存在する。例えば、個別液室の壁の一部を薄い振動板で構成し、これに圧電素子を配置し、その圧電素子に所定の駆動電圧を印加して圧電素子を変形させることで振動板を変形させ、これにより個別液室内の圧力を変化させて液滴を吐出させるピエゾ方式が挙げられる(特許文献1)。また、例えば、個別液室の内部に発熱体を配置し、この発熱体に通電して発熱体を加熱するによって個別液室内の液体中に気泡を発生させ、これにより個別液室内の液体を昇圧して液滴を吐出させるバブルジェット(登録商標)方式が挙げられる(特許文献2)。また、例えば、個別液室の壁を構成する振動板と、この振動板に対向して個別液室外部に配置された電極との間に電界を印加することで発生する静電力により振動板を変形させて、これにより個別液室内の圧力を変化させて液滴を吐出させる静電方式も提案されている。
一般に、個別液室に圧力を発生させて吐出孔から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいては、クロストークと呼ばれる不具合が生じることが知られている。クロストークとは、一の吐出孔から液滴を吐出する際、これに隣接する吐出孔からも液滴を吐出させる場合と、これに隣接する吐出孔からは液滴を吐出させない場合とで、当該一の吐出孔から吐出される液滴の吐出速度に違いが出る現象である。特に、図16(b)に示すように、当該一の吐出孔(特定吐出孔)20Aの両隣に位置する2つの吐出孔(非特定吐出孔)20Bからも実質的に同じタイミングで液滴Iを吐出する場合には、当該一の吐出孔20Aから吐出された液滴Iの吐出速度と両隣の吐出孔20Bから吐出された液滴Iの吐出速度との間で、大きな速度差が発生する。この場合、当該一の吐出孔20Aから吐出された液滴Iの着弾タイミングが速まる結果、着弾位置が目標位置から外れてしまう。また、当該一の吐出孔20Aから吐出された液滴Iの吐出速度は、図16(a)に示すように、両隣りの吐出孔のいずれもから液滴が吐出されていない独立した吐出孔20Cから吐出される液滴Iの吐出速度との間でも、大きな速度差を発生させる。
特許文献3には、同じ吐出孔からサイズの異なる液滴(小滴と大滴)を吐出する際に小滴吐出時のクロストークを抑制し得るインクジェット式印刷装置が提案されている。このプリントヘッド式印刷装置においては、小滴を吐出する際に用いる駆動信号として、小滴吐出用駆動パルスの印加タイミングが異なっている2種類の駆動信号を用い、隣接する吐出孔に対しては、異なる種類の駆動信号を印加するようにしている。これにより、隣接する吐出孔から小滴を吐出する際、各吐出孔からは、異なるタイミングで小滴が吐出されるようになり、クロストークの発生が抑制される。
上記クロストークの不具合に関し、上記特許文献3で提案されているインクジェット式印刷装置では、隣接する吐出孔間で僅かにずれたタイミングで小滴が吐出されるため、隣接する吐出孔間では、その吐出タイミングのずれによって着弾位置もずれたものとなる。具体的には、複数の吐出孔が直線状に並べられた吐出孔列の各吐出孔から小滴を吐出した際、その着弾位置に形成される各インクドットは、直線状にならず、千鳥状になる。そのため、上記特許文献3のインクジェット式印刷装置においては、このような着弾位置の違いに対する対策が必要になる。この対策として、上記特許文献3のインクジェット式印刷装置では、吐出孔列を構成する各吐出孔の形成位置を、隣接する吐出孔間における着弾位置のずれに応じて予め千鳥状になるように構成している。この構成により、その吐出孔列の各吐出孔から小滴を吐出した際の着弾位置に形成される各インクドットは、直線状になる。
ところが、吐出孔列を構成する各吐出孔の形成位置を千鳥状に配置することは、プリントヘッドの構成を複雑化し、製造コストを高騰させる要因となるなど、別の新たな不具合を引き起こすので、好ましくない。したがって、上記特許文献3に開示されている方法とは異なる方法で、クロストークを抑制する方法が望まれる。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、クロストークを抑制できる新たな液滴吐出ヘッド及びこの液滴吐出ヘッドを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、液滴を吐出する複数の吐出孔が1列又は2列以上並べられた吐出孔列と、各吐出孔に連通する吐出液室と、各吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、各吐出孔から液滴を吐出させるための吐出パルスを含む駆動信号を該圧力発生手段に印加することにより吐出駆動制御を行う吐出駆動制御手段とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、上記吐出駆動制御手段は、両隣りの吐出孔から液滴が吐出される場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号と、両隣りの吐出孔の一方又は両方から液滴が吐出されない場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている非特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号との少なくとも一方の駆動信号として、該特定吐出孔と該非特定吐出孔との間の液滴吐出速度の差を小さくするための速度差調整パルスを追加したものを用いる速度差調整制御を行うことを特徴とする。
本明細書において、「駆動信号」は、1駆動周期中に圧力発生手段へ印加される信号であり、その駆動内容に応じた波形(駆動波形)を備えたものである。また、「パルス」は、駆動信号中の一部分を構成する信号要素であって、信号値が変化する部分を指すものである。
本発明は、両隣りの吐出孔から液滴が吐出される特定吐出孔から液滴を吐出する際、その特定吐出孔と非特定吐出孔の少なくとも一方の駆動信号に速度差調整パルスを追加する。この速度差調整パルスによって事前に吐出液室内に圧力を発生させておくことにより、その後の吐出パルス印加時における圧力を増大させたり減少させたりすることができる。したがって、速度差調整パルスを追加することにより、その駆動信号によって吐出される液滴の吐出速度を増減させることができ、特定吐出孔と非特定吐出孔との間の液滴吐出速度の差を小さくすることができる。
以上より、本発明によれば、プリントヘッドの構成を複雑化することのない新たな方法でクロストークを抑制できるという優れた効果がある。
実施形態のインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図である。 同プリンタ主走査方向の図1中の手前側から見たときのインクカートリッジを含む断面における概略断面図である。 (a)は、ノズル孔を有するノズル基板の斜視図であり、(b)は、個別液室等を形成する液室基板の斜視図であり、(c)は、共通液室等を形成する保護基板の斜視図である。 同プリンタにおける記録ヘッドの断面図である。 同プリンタの全体的な制御系の一部を示すブロック説明図である。 同プリンタの記録ヘッドの駆動制御系の一部を示すブロック説明図である。 (a)は、共通駆動波形を示す説明図であり、(b)は、微駆動時に印加される微駆動用駆動波形であり、(c)は、大滴吐出時に印加される大滴用駆動波形であり、(d)は、中滴吐出時に印加される中滴用駆動波形であり、(e)及び(f)は、小滴吐出時に印加される小滴用駆動波形である。 同記録ヘッドに対して同じ駆動パルスを連続して印加する場合において、一の駆動パルスの印加を開始してから次の駆動パルスの印加を開始するまでの時間(パルス間隔)を変化させたときの、当該次の駆動パルス時に吐出されるインク滴の吐出速度Vjを示すグラフである。 小滴の液滴サイズ調整パルスによる圧力振動を増幅させる速度差調整パルスを用いた駆動波形Hと、小滴の液滴サイズ調整パルスによる圧力振動を減衰させる速度差調整パルスを用いた駆動波形H’とを比較したグラフである。 (a)は、変形例1における共通駆動波形を示す説明図であり、(b)は、実施形態における共通駆動波形を示す説明図である。 (a)は、変形例1における共通駆動波形を示す説明図であり、(b)は、変形例1における微駆動時に印加される微駆動用駆動波形であり、(c)は、変形例1における大滴吐出時に印加される大滴用駆動波形であり、(d)は、変形例1における中滴吐出時に印加される中滴用駆動波形であり、(e)及び(f)は、変形例1における小滴吐出時に印加される小滴用駆動波形である。 (a)は、変形例2における共通駆動波形を示す説明図であり、(b)は、変形例2における微駆動時に印加される微駆動用駆動波形であり、(c)は、変形例2における大滴吐出時に印加される大滴用駆動波形であり、(d)は、変形例2における中滴吐出時に印加される中滴用駆動波形であり、(e)及び(f)は、変形例2における小滴吐出時に印加される小滴用駆動波形である。 (a)は、変形例3における共通駆動波形を示す説明図であり、(b)は、変形例3における微駆動時に印加される微駆動用駆動波形であり、(c)は、変形例3における大滴吐出時に印加される大滴用駆動波形であり、(d)は、変形例3における中滴吐出時に印加される中滴用駆動波形であり、(e)及び(f)は、変形例3における小滴吐出時に印加される小滴用駆動波形である。 (a)は、変形例4における共通駆動波形を示す説明図であり、(b)は、変形例4における微駆動時に印加される微駆動用駆動波形であり、(c)は、変形例4における大滴吐出時に印加される大滴用駆動波形であり、(d)は、変形例4における中滴吐出時に印加される中滴用駆動波形であり、(e)及び(f)は、変形例4における小滴吐出時に印加される小滴用駆動波形である。 (a)は、変形例5において、記録ヘッドの周囲温度が低温である場合におけるクロストークの影響を示す模式図であり、(b)は、同記録ヘッドの周囲温度が高温である場合におけるクロストークの影響を示す模式図である。 クロストークの影響を説明するための模式図である。
以下、本発明を適用可能な画像形成装置の一実施形態として、インクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)100について説明する。
まず、プリンタ100の基本的な構成について説明する。
図1は、プリンタ100の斜視図であり、図2は、プリンタ100主走査方向の図1中の手前側から見たときのインクカートリッジ102を含む断面における概略断面図である。
プリンタ100は、キャリッジ101と、記録ヘッド51と、インクカートリッジ102とを含んで構成される印字機構部103を本体内部に有している。キャリッジ101は、プリンタ100本体内部において、用紙30の搬送方向に対して直交方向である走査方向に移動可能な部材である。記録ヘッド51は、キャリッジ101に搭載した液滴吐出ヘッドの一例であるインク吐出ヘッドであり、インクカートリッジ102は記録ヘッド51にタンク部102a内のインク液を供給する。
図2に示すように、プリンタ100は、印字機構部103の下方に給紙機構部104を有している。プリンタ100は、詳細は後述するが、給紙機構部104の給紙トレイ230または手差しトレイ105から給送される用紙30を取り込み、印字機構部103によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ106に排紙する。
記録ヘッド51は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のインク液を吐出するインク吐出ヘッドであり、複数の吐出孔であるノズル孔を、主走査方向(図1中の矢印A方向、図2中の紙面に直交する方向)に対して直交する方向(図中の矢印B方向)に配列している。また、記録ヘッド51は、インク液の吐出方向が下方となるようにキャリッジ101に装着されている。また、印字機構部103のキャリッジ101には、記録ヘッド51にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のインク液を収容した4つのインクカートリッジ102がそれぞれ交換可能に装着されている。
インクカートリッジ102のタンク部102aの上方(図2中の上方)には、大気と連通する不図示の大気口が備えられている。また、タンク部102aの下方には、タンク部102a内のインク液を記録ヘッド51に供給する供給口102bが設けられている。さらに、タンク部102aの内部には、インク液が充填された不図示の多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド51へ供給されるインク液をわずかな負圧に維持している。
インクカートリッジ102としては、タンク部102aと記録ヘッド51とが一体となったものでもよいし、タンク部102aを記録ヘッド51とは別体としても良い。また、記録ヘッド51としては、本実施形態では、各色に対応した複数のヘッド部を用いる構成となっているが、各色のインク液を吐出するノズル孔を有する一個のヘッド部でもよい。
印字機構部103は、キャリッジ101を保持する保持手段として、プリンタ本体の主走査方向の両側面板100a,100bに横架したガイド部材としての主ガイドロッド107及び従ガイドロッド108を有する。主ガイドロッド107は、キャリッジ101の後方側(用紙搬送方向下流側、図2中の右側)を貫通する。また、従ガイドロッド108は、主ガイドロッド107と一定間隔をおいて並行に延在し、キャリッジ101の前方側(用紙搬送方向上流側、図2中の左側)が載置される。キャリッジ101は、主ガイドロッド107及び従ガイドロッド108によって主走査方向に移動可能なように摺動自在に保持されている。
また、印字機構部103は、キャリッジ101を主走査方向に移動走査するための移動手段として、タイミングベルト112と、タイミングベルト112を張架する駆動プーリ110及び従動プーリ111と、駆動プーリ110を回転駆動する主走査モータ109とを有している。図1に示すように、駆動プーリ110はプリンタ100本体の一方の側面板100b側に配置し、従動プーリ111は、本体の他方の側面板100a側に配置して、タイミングベルト112が主走査方向に平行に延在するようにしている。また、タイミングベルト112にはキャリッジ101が固定されている。
主走査モータ109は、駆動プーリ110を正逆回転させる駆動源であり、駆動プーリ110が回転すると、タイミングベルト112が主走査方向に無端移動する。キャリッジ101は、タイミングベルト112に固定されているため、タイミングベルト112とともに主走査方向に移動する。このため、主走査モータ109によって駆動プーリ110を正逆回転させることで、キャリッジ101が主走査方向に往復移動される。
一方、給紙機構部104には、用紙30を積載した給紙トレイ230と、給紙ローラ113と、フリクションパッド114と、ガイド部材115と、搬送ローラ116とを備えている。給紙トレイ230は、図2中の右側から複数枚の用紙30の束を積載可能となっており、プリンタ100本体に対して着脱可能に装着されている。給紙ローラ113及びフリクションパッド114は、用紙30を、記録ヘッド51の下方に搬送するために、給紙トレイ230内にセットした用紙30の束の最上段の一枚を分離給紙する。ガイド部材115は、給紙トレイ230から分離給紙された用紙30を搬送ローラ116によって搬送される領域に案内する。
搬送ローラ116は、給紙ローラ113によって給紙され、ガイド部材115によって案内された用紙30を、反転させて記録ヘッド51の下面と対向する位置に搬送する。また、搬送ローラ116の周囲には、搬送コロ117及び先端コロ118が配置されている。搬送コロ117は用紙30を搬送ローラ116に押し付けて、用紙30が搬送ローラ116から分離することを防止している。先端コロ118は、記録ヘッド51の下面と対向する位置に所定の送り出し角度で用紙30を送り出す。搬送ローラ116は、副走査モータ130によって不図示のギヤ列を介して回転駆動が伝達され、図2中の時計周り方向に回転する。
記録ヘッド51の下面と対向する位置には、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ116から送り出された用紙30を記録ヘッド51の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材119が設けられている。この印写受け部材119の用紙搬送方向下流側には、用紙30を排出方向に送り出すための排出ローラ120と、排出ローラ120に対向する排出拍車121とが配置されている。さらに、排出ローラ120によって送り出された用紙30を排紙トレイ106に排出する排紙ローラ123と排紙ローラ123に対向する排紙拍車124とを備えている。また、排出ローラ120と排紙ローラ123との間には、排紙経路を形成する一対のガイド部材として下ガイド部材125及び上ガイド部材126が配設されている。
また、プリンタ100には、手差しで用紙30を給紙するための手差しトレイ105が設けられており、手差しトレイ105は、トレイ開閉軸105bを中心にプリンタ100本体に対して開倒可能に取り付けられている。この手差しトレイ105上の用紙30は、手差し給紙ローラ105aによって搬送ローラ116に搬送される。
印字機構部103における主走査方向のキャリッジ101の移動範囲の一端である、図1中の右手前側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド51の吐出不良を回復するための回復装置127を配置している。回復装置127はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とを有している。キャリッジ101は、印字待機中にはこの回復装置127側に移動されて不図示のキャッピング手段で記録ヘッド51をキャッピングされ、ノズル孔が湿潤状態に保たれることによりインク乾燥による吐出不良を防止する構成となっている。また、記録途中などに回復装置127と対向する位置にキャリッジ101を移動させ、記録とは関係しないインク液を吐出することにより、全てのノズル孔のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持することができる。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド51下面のノズル孔を密封し、キャッピング手段に設けられた不図示のチューブを通して、吸引手段でノズル孔からインク液とともに気泡等を吸い出す。さらに、ノズル孔が開口しているヘッド面(下面)に付着したインク液やゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインク液は、プリンタ100本体下部に設置された不図示の廃インクタンクに排出され、廃インクタンク内部のインク吸収体に吸収保持される。
次に、プリンタ100のプリント動作について説明する。
プリンタ100は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から画像情報などの信号が送られ、プリント動作を実行する。プリント動作が実行されると、手差しトレイ105から手差し給紙ローラ105aによって、または、給紙トレイ230から給紙ローラ113によって、用紙30が給紙される。給紙トレイ230から給紙された用紙30は、ガイド部材115や搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されつつ反転し、記録ヘッド51と対向する位置に搬送される。一方、手差しトレイ105から供給された用紙30は、搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されて記録ヘッド51と対向する位置に搬送される。
記録ヘッド51に対向する位置に搬送された用紙30が所定位置に達したら、搬送ローラ116の回転を停止して用紙30の移動を停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら、停止した用紙30の所定箇所に所定のインク液を吐出して一行分の画像を用紙30に形成する。ここで、一行とは、記録ヘッド51が用紙30へ記録可能な副走査方向(記録ヘッド51に対向する位置での用紙30の移動方向)の範囲を言う。
主走査方向に一行分の画像形成が終了したら、搬送ローラ116を所定時間回転させ、用紙30を一行分、排紙トレイ106方向に移動させて停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら一行分の画像を形成する。
このような工程を所定回数繰り返して行い、用紙30に所望の画像をプリントする。外部装置から記録終了信号を受信して所望の画像がプリントされた場合、または、用紙30の後端が記録領域に到達した信号を受信した場合に、用紙30は、排出ローラ120及び排出拍車121と排紙ローラ123及び排紙拍車124とによって搬送され、排紙トレイ106に排出される。画像形成を終了したキャリッジ101は、図1中右手前側の回復装置127と対向する位置に移動して、図示しないキャッピング手段で記録ヘッド51のノズル孔をキャッピングする。
次に、記録ヘッド51について説明する。
図3は、上述した記録ヘッド51の一部分の分解斜視図である。
本実施形態の記録ヘッド51は、薄膜ピエゾヘッドであり、圧電アクチュエータ200を用い、インク滴を基板の面部(ヘッド面)に設けたノズル孔から吐出させるサイドシューター方式のものである。なお、図1及び図2ではノズル孔20が下方に向いて設置される記録ヘッド51を、図3では説明の都合上、上方に描いている。
図3に示すように、記録ヘッド51は、三枚の基板重ねて形成されている。図3(a)は、インク液を吐出するノズル孔20を有するノズル基板2の説明図であり、図3(b)は、個別液室14、振動板層55、流体抵抗部15、個別インク供給孔24及び圧電素子56等を形成した液室基板1の説明図であり、図3(c)は、圧電素子保護空間22や共通液室を形成する保護基板3の説明図である。このように、記録ヘッド51は、ノズル基板2、液室基板1及び保護基板3の三枚の基板を重ねた積層構造となっている。また、図3(b)及び図3(c)は、一部断面図で示してある。
図4は、図3に示す記録ヘッド51の断面説明図である。
図4(a)は、図3中のX−X’断面に対応する断面説明図であり、図4(b)は、図3に示したY−Y’断面に対応する断面説明図である。図4(b)は、便宜上、二つの個別液室14に対応する部分のみ示しており、図4(a)は、一方の個別液室14内のインクがノズル孔20を通ってインク滴として用紙30に向けて吐出されている様子を模式的に示している。また、図4(a)では、流路が狭くなっている流体抵抗部15に対応する領域を破線で示している。
液室基板1には、シリコン基板4が用いられ、個別液室14、流体抵抗部15などのインク流路となる溝部が形成されている。
液室基板1は、シリコン基板4上にシリコン酸化膜を介してシリコンが張り合わされたSOI基板を用いている。また、振動板層55は、SOI基板のシリコン層(Si層)表面にパイロ酸化法を適用し、シリコン酸化膜を形成したものであり、振動板層55の上に圧電素子56を形成して、圧電アクチュエータ200を構成する。圧電素子56は、振動板層55の上に下部電極層151となる白金膜、圧電体層152となるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の膜、上部電極層153となる白金膜の多層構造を積層することで形成している。圧電素子56は、シリコン基板4をエッチングすることにより形成された個別液室14に対向する領域に形成されている。
液室基板1は、下部電極層151及び上部電極層153のそれぞれに電位を印加する配線部材154を備える。配線部材154としては、下部電極パッド部157を下部電極層151に電気的に接続する第一配線部材154aと、上部電極パッド部158を上部電極層153に電気的に接続する第二配線部材154bとが設けられている。また、液室基板1は、下部電極層151及び上部電極層153と配線部材54との層間に配置する層間絶縁膜155を備える。さらに、液室基板1には、配線部材154を保護するためのパッシベーション膜156が圧電アクチュエータ200の上面及び側面を覆うように配置されている。
ノズル基板2は、厚さ30〜50[μm]のSUS基板からなり、プレス加工と研磨加工とによりノズル孔20が形成されている。このノズル孔20はノズル基板2と液室基板1とを組み付けたときに、液室基板1の個別液室14と対向し、個別液室14と外部空間とを連通する。保護基板3は、共通液室18としてインク流路となる溝部と、圧電素子56の保護及び変位を妨げないための圧電素子保護空間22と、液室基板1の流路隔壁4aの剛性を高めるために振動板層55を介して流路隔壁4aを補強する補強壁23とが形成されている。
以下、図3及び図4に示す記録ヘッド51の動作について説明する。
タンク部102a内から供給口102bを介して記録ヘッド51に供給されたインク液は、共通液室18からそれぞれの個別インク供給孔24を経由してそれぞれの個別液室14内にインクが供給される。個別液室14内がインク液により満たされた状態で、圧電素子56の上部電極層153と下部電極層151との間に所定の駆動波形の電位を印加し、これにより圧電体層152が縮み、下部電極層151を挟んで圧電体層152と密着している部分の振動板層55全体が個別液室14側に凸形状に変形する。これにより、個別液室14の体積が減少し個別液室14内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔20よりインク滴を用紙30に向けて吐出する。上部電極層153と下部電極層151との間にパルス電圧を連続的に繰り返して印加することによって、インク滴を連続的に吐出することが出来る。以下、一組の圧電素子56、個別液室14及びノズル孔20の組み合わせからなる液滴吐出機構を吐出チャンネル(吐出CH)と呼ぶ。
プリンタ100では、インク滴を用紙30に向けて吐出することによって画像形成を行っているが、記録ヘッド51が用紙30と対向していない状態、すなわち、画像形成を行わないタイミングでインク滴を吐出する空吐出動作を行っている。この空吐出動作とは、印字前や印字中に、紙面と対向する領域外に記録ヘッド51が位置するようにキャリッジ101を移動させて、インク滴を吐出することにより、記録ヘッド51内で粘度が上昇したインク液を捨てる動作のことである。
電源が入っていない状態のプリンタ100は、個別液室14内のインク液が乾燥によって増粘することを防止するために、ノズル孔20を覆うように記録ヘッド51の下面に対してキャッピングがなされている。しかし、キャッピングがなされていても、長期間駆動させていない吐出CHの個別液室14内のインク液は少しずつ増粘する。このため、プリンタ100では、電源投入後、印字開始前にすべての吐出CHで画像形成に寄与しないインク滴の吐出を行い、個別液室14内の増粘したインク液を捨てる印字前空吐出を行う。
また、印字中はすべての吐出CHからインク滴が吐出されるとは限らない。他の吐出CHは吐出を行っている状態で、一部の吐出CHは非吐出の状態が続く場合がある。一部の吐出CHで非吐出の時間が長くなると、その吐出CHのノズル孔20に形成されたメニスカス付近のインク液が増粘することで、次に吐出させる際のインク滴が曲がったり、不吐出になったりする問題が生じるおそれがある。プリンタ100では、このような問題の発生を防止するために、個別液室14内のインク液にインク滴が吐出されない程度の圧力を加えて、個別液室14やノズル孔20内のインク液を振動させる微駆動を行う構成となっている。ノズル孔20内のインク液を振動させることで、メニスカス付近のインク液が増粘することを抑制できる。
画像形成中の記録ヘッド51は、あるタイミングでは例えば全数百の吐出CHのうち数十の吐出CHは吐出させるが、残りの吐出CHは吐出させないといった動作を行う。微駆動は、このような吐出させない吐出CHで行う動作である。なお、画像形成装置の種類によっては、印字動作中、非吐出の全ての吐出CHにおいて微駆動を入れているものもある。
このように、印字時には、非吐出の状態が長く続く吐出CHでは、インク液の増粘を防ぐために微駆動が行われているが、微駆動だけでは十分に増粘を抑えることが出来ない。このため、プリンタ100では、印字中に定期的に紙面の外側にヘッドを移動させ、すべての吐出CHからインク滴を吐出させて増粘したインク液を捨てる印字中空吐出を行う。上述した印字前空吐出と印字中空吐出との二つの動作が空吐出動作である。
次に、本プリンタの全体的な制御について説明する。
図5は、本プリンタの全体的な制御に関するブロック図である。
本実施形態の制御系は、主に、プリンタ全体の制御を司る主制御部501、ヘッドの駆動動作の制御を行う駆動制御部508、圧電素子56の動作を制御するヘッド駆動回路(以下「ヘッドドライバ」という。)509の3つで構成されており、これらにより本プリンタの制御が行われる。
主制御部501は、通信回路300から入力される印刷処理の情報に基づいて用紙に画像を形成するために、紙送りモータ駆動回路304を介して図示しない紙送りモータを駆動制御して搬送ローラ116を回転駆動するとともに、駆動制御部508に対して印刷用データを送出するなどの制御を行う。
また、主制御部501には、搬送ローラ116の移動量を検出する送り量検出回路306からの検出信号が入力され、主制御部501はこの検出信号に基づいて搬送ローラ116の移動量及び移動速度を制御する。搬送量検出回路306は、例えば搬送ローラ116の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することで搬送量を検出する。紙送りモータ駆動回路304は、主制御部501から入力される搬送量に応じて紙送りモータを回転駆動させて搬送ローラ116を回転駆動し、用紙を所定の位置に所定の速度で搬送させる。
主制御部501は、給紙コロ駆動回路307に給紙コロ駆動指令を与えることによって搬送コロ117を一回転させる。主制御部501は、維持回復機構用駆動回路308を介して図示しないヘッドホルダ、回復装置127の駆動源を駆動することにより、記録ヘッドの維持回復動作を行わせる。
駆動制御部508は、主制御部501からの信号と送り量検出回路306などからの用紙送り量に基づいて、記録ヘッド51の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成してヘッドドライバ509に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な各種信号などをヘッドドライバ509に出力し、また、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含み、1又は2以上のパルスで構成される駆動信号(駆動波形)を出力させるための制御命令を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。ヘッドドライバ509は、駆動制御部508から与えられる制御命令に応じて、その制御命令に係る駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッドの液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド51を駆動する。
図6は、本プリンタの記録ヘッド51の駆動制御系の一部を示すブロック説明図である。
駆動制御部508は、駆動波形生成部701とデータ転送部702とを備えている。データ転送部702は、印刷画像に応じた画像データ、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、及び、滴制御信号MNを出力する。
駆動波形生成部701は、画像形成時及び空吐出動作時に所定の駆動波形(駆動信号)を生成するものである。すなわち、駆動波形生成部701は、画像形成時には1印刷吐出周期内に複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成して出力する。また、駆動波形生成部701は、空吐出動作時には1空吐出周期内に複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成して出力する。空吐出動作時のインク滴の吐出は画像の形成を目的としていないため、1印刷吐出周期と1空吐出周期とでは、駆動波形生成部701から出力される駆動波形が異なる。
ここで、1印刷吐出周期及び1空吐出周期とは、それぞれ印字中、空吐出中に入力される駆動波形の1周期であり、1印刷吐出周期の駆動波形または1空吐出周期の駆動波形が一つの吐出CHに入力されることにより、この吐出CHのノズル孔20でインク滴が吐出したり、微駆動の動作が行われたりする。そして、1印刷吐出周期(または1空吐出周期)で吐出CHに入力する駆動波形を異ならせることにより、吐出するインク滴の大きさを異ならせることができる。なお、以下において、1印刷吐出周期と1空吐出周期との何れにも限定しないインク滴の吐出、または微駆動、非駆動の動作を行わせる信号の周期を1駆動周期ともいう。
また、クロック信号は、ロジック回路の動作基準となる信号であり、ラッチ信号はラッチ回路712で一時的に記録データを記憶する(ラッチする)ための信号である。また、滴制御信号MNは、ヘッドドライバ509のスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉をインク滴毎に指示する信号である。駆動波形生成部701が生成し、出力する駆動波形(以下「共通駆動波形」という。)を構成する駆動パルスを滴制御信号MNにより選択する。この選択によって、上述したように大きさの異なるインク滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けたり、非吐出の動作等を行わせたりすることができる。
ヘッドドライバ509は、シフトレジスタ711、ラッチ回路712、デコーダ713、レベルシフタ714及びアナログスイッチ715等を備える。シフトレジスタ711は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データが入力されるものであり、ラッチ回路712は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によって一時的に記憶するためのものである。
デコーダ713は、画像データと滴制御信号MNによるデータを基に、どの圧電素子56にどのような動作をさせるかの階調データ(各吐出CHに対して、大滴、中滴及び小滴のいずれの液滴を吐出する吐出駆動あるいは微駆動、非駆動の動作を行わせるかを指示するためのデータ)をデコードし、ロジック信号として出力するものである。ここで出力される階調データにより、どの吐出CHの圧電素子56に、滴制御信号MN(詳細は後述するMN1〜MN9)で決まるどのような駆動波形を印加するのかが決まる。
レベルシフタ714は、デコーダ713によるロジック信号の出力をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換するものである。ここで、ロジック信号とは、3[V]〜4[V]程度の低い電圧による信号であり、これにより各吐出CHがどのような動作をするのかを制御している。上述した、クロック信号、ラッチ信号及び、滴制御信号MNはこのロジック信号である。このようなロジック信号の電圧はアナログスイッチ715を動作させるためには低すぎるため、レベルシフタ714ではアナログスイッチ715を動作可能なレベルまで電圧を増幅している。アナログスイッチ715は、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)されるものである。
アナログスイッチ715は、各吐出CHの各圧電素子56の個別電極である上部電極層153に接続され、駆動波形生成部701からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と滴制御信号MNとをデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチ715をオンにすることにより、共通駆動波形を構成する複数の駆動パルスの中から所定の駆動パルスが選択されて、これが駆動波形となって各圧電素子56に印加される。
次に、駆動波形について説明する。
図7(a)〜(f)は、駆動波形の一例を示す説明図である。
図7(a)は、駆動波形生成部701が生成して出力する共通駆動波形を示す説明図であり、図7(b)〜(f)は、共通駆動波形から滴制御信号MNによって選択された駆動パルスによって構成される駆動波形(駆動信号)の例を示す説明図である。図7(b)は、微駆動を行う吐出CHへ入力される微駆動用駆動波形であり、図7(c)は、大きなインク滴(以下「大滴」という。)を吐出する吐出CHへ入力される大滴用駆動波形であり、図7(d)は、中ぐらいのインク滴(以下「中滴」という。)を吐出する吐出CHへ入力される中滴用駆動波形であり、図7(e)及び(f)は、小さなインク滴(以下「小滴」という。)を吐出する吐出CHへ入力される小滴用駆動波形である。通常時は、図7(f)の小滴用駆動波形を用いて小滴を吐出させるが、本実施形態では、後述するように、所定の速度差調整実行条件を満たすノズル孔20については、図7(e)の小滴用駆動波形を用いて小滴を吐出させる。
本プリンタ100において、駆動波形生成部701で生成される共通駆動波形は、図7(a)に示すように、1駆動周期内で時系列的に出力される6個の駆動パルスP1〜P6で構成される。図7中のVeは、基準電位(中間電位)であり、各吐出CHでは圧電素子56の個別電極である上部電極層153に印加される駆動信号の電位が基準電位Veから立ち下がり、その後、立ち上がるときにインク滴を吐出する。
共通駆動波形を構成する6個の駆動パルスの役割について説明する。
第1駆動パルスP1は、ノズル孔20からインク滴が吐出されない程度の圧力を個別液室14内に発生させて個別液室14内のインクを振動させるための微駆動パルスである。この微駆動パルスP1は、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立ち下がり後の電位を保持(ホールド)する波形要素と、ホールド後に基準電位Veまで立ち上がる波形要素とから構成される。
第2駆動パルスP2は、速度差調整実行条件が満たされたノズル孔から吐出される小滴の吐出速度と、他のノズル孔から吐出される小滴の吐出速度との速度差を小さくするための速度差調整パルスである。この速度差調整パルスP2は、上記微駆動パルスと同様、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立ち下がり後の電位を保持(ホールド)する波形要素と、ホールド後に基準電位Veまで立ち上がる波形要素とから構成される。
第3〜第5駆動パルスP3〜P5は、ノズル孔20から吐出させるインク滴の大きさを異ならせるための吐出パルスとしての液滴サイズ調整パルスである。これらの液滴サイズ調整パルスP3〜P5も、上記微駆動パルスと同様、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立ち下がり後の電位を保持(ホールド)する波形要素と、ホールド後に基準電位Veまで立ち上がる波形要素とから構成される。
また、第6駆動パルスP6も、ノズル孔20から吐出させるインク滴の大きさを異ならせるための最終液滴サイズ調整パルスである。この最終液滴サイズ調整パルスは、上述した3つの液滴サイズ調整パルスと異なり、ホールド後の波形要素が、基準電位Veを越えて所定の電位まで立ち上がる波形要素となっている。
本実施形態では、このような共通駆動波形に含まれる4個の液滴サイズ調整パルスP3〜P6を図7(c)〜(f)に示すように選択的に用いることにより、インク滴の大きさを3段階(大滴、中滴、小滴)で異ならせることができる。本実施形態において、2以上の液滴サイズ調整パルスを用いてインク滴を吐出する場合(大滴と中滴の場合)、各液滴サイズ調整パルスによって吐出されたインク滴が用紙30に着弾する前に空中で1つに合体することにより、大滴1滴又は中滴1個を形成し、その後に用紙30に着弾する。
次に、速度差調整実行条件が満たされたノズル孔と他のノズル孔との間におけるインク滴の吐出速度の差を小さくする制御について説明する。
本実施形態において、速度差調整実行条件を満たすノズル孔とは、両隣りに位置するノズル孔からもインク滴が吐出される場合の該両隣りのノズル孔に挟まれている特定ノズル孔(特定吐出孔)である。この特定ノズル孔から吐出されるインク滴の吐出速度は、両隣りに位置するノズル孔からのインク滴吐出によるクロストークの影響で、本実施形態では、両隣りのインク孔の一方又は両方からインク滴が吐出されない場合の該両隣りのノズル孔に挟まれている非特定ノズル孔(非特定吐出孔)から吐出されるインク滴の吐出速度よりも速くなる。なお、構成によっては、特定ノズル孔から吐出されるインク滴の吐出速度が非特定ノズル孔から吐出されるインク滴の吐出速度よりも遅くなる場合もあり得る。本実施形態においては、このような特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間に生じ得るインク的の吐出速度差を、調整パルスP2の有無によって小さくするものである。
図8は、一の駆動パルスの印加を開始してから次の駆動パルスの印加を開始するまでの時間(パルス間隔)を変化させたときの、当該次の駆動パルス時に吐出されるインク滴の吐出速度Vjを示すグラフである。
このグラフにおいて、横軸にはパルス間隔をとり、縦軸にはインク滴の吐出速度Vjをとっている。図8に示すグラフのとおり、パルス間隔の違いによってインク滴の吐出速度Vjは周期的に変動する。本実施形態の記録ヘッド51のヘルムホルツ周期Tcは約4[μsec]であり、図8に示すように、インク滴の吐出速度Vjは、ヘルムホルツ周期の整数倍付近でピークを示している。この結果から、小滴の液滴サイズ調整パルスP4の印加時点よりもTc×n(nは自然数)[μsec]前に速度差調整パルスP2を印加すれば、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を大幅に増幅することができる。
本実施形態の速度差調整パルスP2は、液滴サイズ調整パルスP4とのパルス間隔が、その液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を大幅に増幅させるパルス間隔に設定されている。そこで、本実施形態においては、速度差調整実行条件が満たされていない非特定ノズル孔については、その小滴吐出時に用いる駆動信号として、図7(f)に示すように、速度差調整パルスP2と液滴サイズ調整パルスP4とから構成される駆動信号を用いる。一方、速度差調整実行条件を満たす特定ノズル孔から小滴を吐出させる場合には、図7(e)に示すように、速度差調整パルスP2を含まず、液滴サイズ調整パルスP4のみから構成される駆動信号を用いる。なお、速度差調整実行条件が満たされていないノズル孔とは、当該ノズル孔に隣接する2つのノズル孔のうちの一方又は両方からは実質的に同じタイミングでインク滴が吐出されていないものである。
このような制御を行うことにより、速度差調整パルスP2を含まない小滴の駆動信号によって特定ノズル孔から吐出されるインク滴の吐出速度は、速度差調整パルスP2を含む小滴の駆動信号を用いる場合よりも遅くなる。本実施形態では、特定ノズル孔から吐出されるインク滴の吐出速度は、クロストークの影響で速くなるので、特定ノズル孔について速度差調整パルスP2を含まない小滴の駆動信号を用いることにより、速度差調整パルスP2を含む小滴の駆動信号を用いる非特定ノズル孔との間の吐出速度の差を小さくすることができる。
ここで、小滴の液滴サイズ調整パルスP4の印加時点よりもTc×(n−1/2)(nは自然数)[μsec]前に速度差調整パルスP2を印加すれば、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を大幅に減衰することができる。したがって、特定ノズル孔についての駆動信号として、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を減衰させるパルス間隔で速度差調整パルスP2を含む小滴の駆動信号を用い、非特定ノズル孔についは速度差調整パルスP2を含まない駆動信号を用いるようにしても、同様に、特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくすることができる。
ただし、本実施形態のように、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を増幅させる速度差調整パルスP2を用いて特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくする方が、以下の点で好ましい。
図9は、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を増幅させる速度差調整パルスP2を用いた駆動波形Hと、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を減衰させる速度差調整パルスP2を用いた駆動波形H’とを比較したグラフである。なお、説明の便宜上、図9では、両者の速度差調整パルスP2の印加タイミングが同じに描かれている。
図9に示すように、駆動波形Hの方が、駆動へ系H’よりも、圧電素子に印加される最大電圧を小さい。例えば圧電素子について薄膜ピエゾ方式を採用する記録ヘッドにおいては、圧電素子の劣化現象が大きな問題となっている。ここでいう劣化現象とは、圧電素子に長時間電圧をかけ続けることによって、圧電素子の変位が小さくなってしまうことである。この原因は、薄膜ピエゾ方式では電極間に配設している圧電素子が約2umととても薄く、電界強度が大きいためと言われている。このため、薄膜ピエゾ方式では印加電圧を下げることが望まれている。本実施形態のように、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を増幅させる速度差調整パルスP2を用いて特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくする場合、圧電素子に印加される最大電圧を小さくすることができるので、圧電素子の劣化を抑制する効果が得られる。
更に、小滴吐出時の駆動信号として、小滴の液滴サイズ調整パルスP4の前に、その液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を増幅させるパルスを用いて、圧電素子に印加される最大電圧を小さくした構成と比較すると、本実施形態は以下のような効果もある。すなわち、本実施形態によれば、特定ノズル孔について用いられる駆動信号には、液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を増幅させるパルスを含めない。したがって、小滴を吐出するすべてのノズル孔についての駆動信号として、小滴の液滴サイズ調整パルスP4の前にパルスを印加する上記構成と比較して、消費電力の低減を図ることができる。
〔変形例1〕
ここで、上記実施形態におけるプリンタの印刷速度を向上させる変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
図10(a)は、本変形例1における共通駆動波形を示す説明図であり、図10(b)は、上記実施形態における共通駆動波形を示す説明図である。
上記実施形態の共通駆動波形では、微駆動パルスP1とは別に速度差調整パルスP2を備えたものであった。これに対し、本変形例1の共通駆動波形では、微駆動パルスP1’を速度差調整パルスとして利用し、微駆動パルスとは別個に速度差調整パルスを設けていない。その結果、本変形例1における1駆動周期の時間は、上記実施形態の場合と比べて、速度差調整パルスP2を省略した分εだけ、短いものとなる。その結果、印刷速度が向上する。
微駆動パルスP1’を印加するタイミングは、小滴の液滴サイズ調整パルスの印加タイミングに応じて、上記実施形態における速度差調整パルスP2の場合と同様の方法で決定すればよい。本変形例1では、微駆動パルスP1’を速度差調整パルスとして利用する関係で、図11(a)〜(f)に示すように、小滴の液滴サイズ調整パルスとして、第3駆動パルスP3を用いている。また、微駆動パルスP1’は、速度差調整パルスとしても利用するため、上記実施形態における微駆動パルスP1の波形(振幅等)を調整してもよい。
〔変形例2〕
次に、上記実施形態における圧電素子に印加される最大電圧を更に小さくする変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
図12(a)〜(f)は、本変形例2における駆動波形の一例を示す説明図である。
本変形例2においては、先に印加されるパルスによる圧力変動によって、後に印加されるパルスによる圧力変動が増幅される関係にある2つ以上のパルスを、速度差調整パルスとして用いるものである。
具体的には、本変形例2の共通駆動波形は、図7(a)及び図12(a)に示すように、上記実施形態のものと同じであるが、本変形例2では、速度差調整実行条件を満たさない非特定ノズル孔についての駆動信号に含まれる速度差調整パルスが、図12(f)に示すように、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2とから構成されている。すなわち、本変形例2における非特定ノズル孔の駆動信号に含まれる速度差調整パルスは、上記実施形態における微駆動パルスP1と速度差調整パルスP2から構成されている。
本変形例2における第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2とのパルス間隔は、第1駆動パルスP1による圧力変動によって第2駆動パルスP2による圧力変動が増幅される関係にある。したがって、速度差調整パルスが第2駆動パルスP2のみからなる上記実施形態と比べて、小滴の液滴サイズ調整パルスP4による圧力振動を、より大きく増幅させることができる。その結果、圧電素子に印加される最大電圧を更に小さいものとすることができ、圧電素子の劣化を更に抑制することが可能となる。
また、本変形例2においては、2つのパルスP1,P2からなる速度差調整パルスを非特定ノズル孔について用いるため、非特定ノズル孔からのインク滴の吐出速度が上記実施形態のものよりも速くなる。そのため、特定ノズル孔についての駆動信号を液滴サイズ調整パルスP4のみとすると、特定ノズル孔からのインク滴の吐出速度が逆に非特定ノズル孔のものよりも遅くなってしまうケースがある。本変形例2では、このようなケースであったため、特定ノズル孔についての駆動信号にも、速度差調整パルスを追加したものを用いている。ただし、特定ノズル孔についての速度差調整パルスは、図12(e)に示すように、第2駆動パルスP2のみで構成している。これにより、本変形例2においても、特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくすることができる。
〔変形例3〕
次に、上記実施形態におけるプリンタの印刷速度を向上させる他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
図13(a)〜(f)は、本変形例3における駆動波形の一例を示す説明図である。
本変形例3では、上記変形例1の場合と同様に、微駆動パルスP1"を速度差調整パルスとして利用し、微駆動パルスとは別個に速度差調整パルスを設けていない。更に、本変形例3では、図13(c)に示すように、この微駆動パルスP1"を、大滴の駆動波形における液滴サイズ調整パルスの1つとして用いている。これにより、本変形例3における共通駆動波形は、図13(a)に示すように、4つの駆動パルスP1",P4’,P5,P6で構成することができる。その結果、本変形例3における1駆動周期の時間は、上記変形例1と比べても更に短いものとなる。その結果、印刷速度が向上する。
〔変形例4〕
次に、上記実施形態における更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例4」という。)について説明する。
図14(a)〜(f)は、本変形例4における駆動波形の一例を示す説明図である。
本変形例4の共通駆動波形は、図7(a)及び図14(a)に示すように、上記実施形態のものと同じである。ただし、本変形例4においては、上記変形例2と同様、非特定ノズル孔についての駆動信号に含まれる速度差調整パルスとして、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2とからなるものを用い、特定ノズル孔についての駆動信号に含まれる速度差調整パルスとして、第2駆動パルスP2とからなるものを用いている。これにより、特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくすることができる。また、本変形例4においては、速度差調整パルスとして用いられる第2駆動パルスP2を、大滴の駆動波形における液滴サイズ調整パルスの1つとして用いている。
〔変形例5〕
次に、上記実施形態における更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例5」という。)について説明する。
図15(a)は、記録ヘッド51の周囲温度が低温である場合におけるクロストークの影響を示す模式図であり、図15(b)は、記録ヘッド51の周囲温度が高温である場合におけるクロストークの影響を示す模式図である。
一般に、記録ヘッド51の周囲温度が低温である場合、インクの粘度が高くなり、図15(a)に示すように、上述したクロストークの影響が大きくなり、特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間のインク滴の吐出速度差は大きいものとなる。これは、インク粘度が高い場合にはインクを吐出するために個別液室14内のインクを大きく加圧する必要があり、隣接する個別液室に対する圧力干渉が大きくなるためだと考えられる。逆に、高温であれば、図15(b)に示すように、インク粘度が低くなり、クロストークの影響が小さい。この場合、特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間のインク滴の吐出速度差が許容範囲内となるケースもある。本変形例5は、このようなケースであるため、高温であれば、特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を調整する速度差調整パルスを用いる必要がない。むしろ、速度差調整パルスを用いてしまうと、逆に特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差が広がってしまうこともあり得る。
そこで、本変形例5においては、本プリンタに備わっている図示しない温度検知手段を用いて記録ヘッド51の周囲温度を検知し、その検知温度が所定の閾値以下である場合には、上記実施形態や上記各変形例のように、速度差調整パルスを用いて特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくする。一方、その検知温度が所定の閾値を超えている場合には、このような速度差調整パルスを用いず、特定ノズル孔にも非特定ノズル孔にも同じ駆動信号を用いる。
また、記録ヘッド51の内部には、温度差が生じることがあり、例えば、ノズル列の一端側は高温であるが他端側は低温であるというような温度分布が生じる場合がある。この場合、記録ヘッド51の内部の温度分布を検知する温度分布検知手段を設け、検知した温度分布において、温度が所定の閾値以下であるノズル群については、上記実施形態や上記各変形例のように、速度差調整パルスを用いて特定ノズル孔と非特定ノズル孔との間の吐出速度差を小さくする。一方、検知した温度分布において、温度が所定の閾値を超えているノズル群については、このような速度差調整パルスを用いず、特定ノズル孔にも非特定ノズル孔にも同じ駆動信号を用いる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
インク滴等の液滴を吐出する複数のノズル孔20等の吐出孔が1列又は2列以上並べられた吐出孔列と、各吐出孔に連通する個別液室14等の吐出液室と、各吐出液室内に圧力を発生させる圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段と、各吐出孔から液滴を吐出させるための吐出パルスを含む駆動信号を該圧力発生手段に印加することにより吐出駆動制御を行う駆動制御部508等の吐出駆動制御手段とを備えた記録ヘッド51等の液滴吐出ヘッドにおいて、上記吐出駆動制御手段は、両隣りの吐出孔から液滴が吐出される場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている特定ノズル孔等の特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号と、両隣りの吐出孔の一方又は両方から液滴が吐出されない場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている非特定ノズル孔等の非特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号との少なくとも一方の駆動信号として、該特定吐出孔と該非特定吐出孔との間の液滴吐出速度の差を小さくするための速度差調整パルスを追加したものを用いる速度差調整制御を行うことを特徴とする。
これによれば、クロストークの影響で特定吐出孔と非特定吐出孔との間に生じていた吐出速度差を小さくすることができる。しかも、プリントヘッドの構成を複雑化することもない。
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記吐出駆動制御手段は、上記非特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号として、該非特定吐出孔から吐出される液滴の吐出速度を増加させる速度差調整パルスを追加したものを用い、上記特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号として、該速度差調整パルスを追加しないものを用いることを特徴とする。
これによれば、圧電素子に印加される最大電圧を小さくすることが可能となり、圧電素子の劣化を抑制する効果が得られる。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、上記吐出駆動制御手段は、上記速度差調整パルスと上記吐出パルスとを含む共通駆動波形をもった共通信号を駆動周期ごとに繰り返し発生させる駆動波形生成部701等の共通信号発生手段と、該共通駆動波形がもつパルスの中から必要なパルスを選択して駆動信号を生成するヘッドドライバ509等の駆動信号生成手段とを備えていることを特徴とする。
これによれば、一般的な吐出制御と同様の制御方法が利用できる。
(態様D)
上記態様A〜Cのいずれかの態様において、上記吐出駆動制御手段は、上記吐出パルスとして、液滴の大きさを調整するための1又は2以上の液滴サイズ調整パルスを用い、該1又は2以上の液滴サイズ調整パルスが異なる駆動信号を上記圧力発生手段へ印加することで、同じ吐出孔から大きさの異なる少なくとも3種類以上の液滴を吐出させる吐出駆動制御を行うものであり、上記吐出駆動制御手段は、上記特定吐出孔から、最も小さな液滴、最も大きな液滴、中程度の大きさの液滴のうちの少なくとも1種類の大きさの液滴を吐出する際に、上記少なくとも一方の駆動信号として上記速度差調整パルスを追加したものを用いることを特徴とする。
これによれば、最も小さな液滴、最も大きな液滴、中程度の大きさの液滴というどのサイズの液滴についても、クロストークの影響で特定吐出孔と非特定吐出孔との間に生じていた吐出速度差を小さくすることができる。
(態様E)
上記態様Dにおいて、上記吐出駆動制御手段は、上記特定吐出孔から、最も小さな液滴、最も大きな液滴、中程度の大きさの液滴のうちの一部の大きさの液滴を吐出する際に、上記少なくとも一方の駆動信号として上記速度差調整パルスを追加したものを用いるとともに、残りの大きさの液滴を吐出する際の駆動信号として、上記速度差調整パルスを上記吐出パルスとして利用したものを用いることを特徴とする。
これによれば、上記残りの大きさの液滴を吐出する際の駆動信号として、速度差調整パルスを吐出パルスに利用しない場合と比較して、駆動制御が容易になるだけでなく、駆動周期を短く抑えることができる。
(態様F)
上記態様A〜Eのいずれかの態様において、上記吐出駆動制御手段は、上記少なくとも一方の駆動信号に追加する上記速度差調整パルスとして、2つ以上のパルスで構成されたものを用い、上記2つ以上のパルスは、先に印加されるパルスにより上記吐出液室内に生じる圧力変動によって、後に印加されるパルスによる上記吐出液室内の圧力変動が増幅される関係にあることを特徴とする。
これによれば、圧電素子に印加される最大電圧を小さくすることが可能となり、圧電素子の劣化を抑制する効果が得られる。
(態様G)
上記態様A〜Fのいずれかの態様において、上記吐出駆動制御手段は、所定の微振動タイミングに、上記吐出孔から液滴が吐出されない程度の圧力を上記吐出液室内に発生させて該吐出液室内の液体を振動させるための微駆動パルスを、上記圧力発生手段に印加するものであり、上記速度差調整パルスは、上記微駆動パルスと同じ波形であることを特徴とする。
これによれば、微駆動パルスを含む既存の駆動信号に対して、速度差調整パルス用の新たな駆動パルスを追加する必要がなくなる。その結果、速度差調整パルス用の新たな駆動パルスを追加する場合と比較して、駆動制御が容易になるだけでなく、駆動周期を短く抑えることができる。
(態様H)
上記態様A〜Gのいずれかの態様において、当該液滴吐出ヘッドの周囲温度を検知する温度検知手段を有し、上記吐出駆動制御手段は、上記温度検知手段の検知結果に応じて、上記速度差調整制御を行うか否かを決定することを特徴とする。
これによれば、クロストークの影響で特定吐出孔と非特定吐出孔との間に生じていた吐出速度差を、より適切に小さくすることが可能となる。
(態様I)
上記態様A〜Hのいずれかの態様において、当該液滴吐出ヘッドの内部の温度分布を検知する温度分布検知手段を有し、上記吐出駆動制御手段は、上記温度分布検知手段の検知結果に応じて、一部の吐出孔については上記速度差調整制御を行い、他部の吐出孔については上記速度差調整制御を行わないことを特徴とする。
これによれば、クロストークの影響で特定吐出孔と非特定吐出孔との間に生じていた吐出速度差を、より適切に小さくすることが可能となる。
(態様J)
記録ヘッド51等の液滴吐出ヘッドから用紙30等の記録材に対してインク滴等の液滴を吐出して該記録材上に画像を形成するインクジェットプリンタ等の画像形成装置において、上記液滴吐出ヘッドとして、上記態様A〜Iのいずれかの態様に係る液滴吐出ヘッドを用いたことを特徴とする。
これによれば、クロストークの影響で特定吐出孔と非特定吐出孔との間に生じていた吐出速度差を小さくした状態で、画像形成を行うことができる。
14 個別液室
18 共通液室
20 ノズル孔
30 用紙
51 記録ヘッド
56 圧電素子
100 プリンタ
101 キャリッジ
102 インクカートリッジ
103 印字機構部
104 給紙機構部
200 圧電アクチュエータ
501 主制御部
508 駆動制御部
509 ヘッドドライバ
701 駆動波形生成部
特開平10−100401号公報 特開平2−289351号公報 特許第3346454号公報

Claims (10)

  1. 液滴を吐出する複数の吐出孔が1列又は2列以上並べられた吐出孔列と、各吐出孔に連通する吐出液室と、各吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、各吐出孔から液滴を吐出させるための吐出パルスを含む駆動信号を該圧力発生手段に印加することにより吐出駆動制御を行う吐出駆動制御手段とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、両隣りの吐出孔から液滴が吐出される場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号と、両隣りの吐出孔の一方又は両方から液滴が吐出されない場合の該両隣りの吐出孔に挟まれている非特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号との少なくとも一方の駆動信号として、該特定吐出孔と該非特定吐出孔との間の液滴吐出速度の差を小さくするための速度差調整パルスを追加したものを用いる速度差調整制御を行うことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、上記非特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号として、該非特定吐出孔から吐出される液滴の吐出速度を増加させる速度差調整パルスを追加したものを用い、上記特定吐出孔から液滴を吐出するための駆動信号として、該速度差調整パルスを追加しないものを用いることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項1又は2の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、上記速度差調整パルスと上記吐出パルスとを含む共通駆動波形をもった共通信号を駆動周期ごとに繰り返し発生させる共通信号発生手段と、該共通駆動波形がもつパルスの中から必要なパルスを選択して駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備えていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、上記吐出パルスとして、液滴の大きさを調整するための1又は2以上の液滴サイズ調整パルスを用い、該1又は2以上の液滴サイズ調整パルスが異なる駆動信号を上記圧力発生手段へ印加することで、同じ吐出孔から大きさの異なる少なくとも3種類以上の液滴を吐出させる吐出駆動制御を行うものであり、
    上記吐出駆動制御手段は、上記特定吐出孔から、最も小さな液滴、最も大きな液滴、中程度の大きさの液滴のうちの少なくとも1種類の大きさの液滴を吐出する際に、上記少なくとも一方の駆動信号として上記速度差調整パルスを追加したものを用いることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項4の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、上記特定吐出孔から、最も小さな液滴、最も大きな液滴、中程度の大きさの液滴のうちの一部の大きさの液滴を吐出する際に、上記少なくとも一方の駆動信号として上記速度差調整パルスを追加したものを用いるとともに、残りの大きさの液滴を吐出する際の駆動信号として、上記速度差調整パルスを上記吐出パルスとして利用したものを用いることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、上記少なくとも一方の駆動信号に追加する上記速度差調整パルスとして、2つ以上のパルスで構成されたものを用い、
    上記2つ以上のパルスは、先に印加されるパルスにより上記吐出液室内に生じる圧力変動によって、後に印加されるパルスによる上記吐出液室内の圧力変動が増幅される関係にあることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吐出駆動制御手段は、所定の微振動タイミングに、上記吐出孔から液滴が吐出されない程度の圧力を上記吐出液室内に発生させて該吐出液室内の液体を振動させるための微駆動パルスを、上記圧力発生手段に印加するものであり、
    上記速度差調整パルスは、上記微駆動パルスと同じ波形であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    当該液滴吐出ヘッドの周囲温度を検知する温度検知手段を有し、
    上記吐出駆動制御手段は、上記温度検知手段の検知結果に応じて、上記速度差調整制御を行うか否かを決定することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    当該液滴吐出ヘッドの内部の温度分布を検知する温度分布検知手段を有し、
    上記吐出駆動制御手段は、上記温度分布検知手段の検知結果に応じて、一部の吐出孔については上記速度差調整制御を行い、他部の吐出孔については上記速度差調整制御を行わないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  10. 液滴吐出ヘッドから記録材に対して液滴を吐出して該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
    上記液滴吐出ヘッドとして、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (5)

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