JP5975324B2 - 液滴吐出ヘッド、画像形成装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、画像形成装置及び液滴吐出ヘッドの駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、液滴を吐出する液滴吐出ヘッド及びこの液滴吐出ヘッドを備えた画像形成装置並びに液滴吐出ヘッドの駆動方法に関するものである。
一般に、プリンタ、ファックス、複写機、プロッタ、或いはこれらの内の複数の機能を複合した画像形成装置としては、例えばインクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドを備え、媒体を搬送しながらインク滴を媒体に付着させて画像形成を行うインクジェット記録装置がある。ここでの媒体は「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。また、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、インクとは、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる液体の総称として用いる。
画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドは、インク滴を吐出する複数の吐出孔と、この吐出孔によって外部と連通し、且つ、インク滴となるインクを収容する吐出液室と、この吐出液室内のインク液を加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備える。そして、圧力発生手段を駆動することで吐出液室内のインク液を加圧して吐出孔からインク滴を吐出させる。このようなインクジェット記録装置としては、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するインク・オン・デマンド方式のものが主流である。
インクジェットヘッドとしては、インク滴を吐出させるための圧力発生手段の種類により、幾つかの方式に大別される。
特許文献1には、吐出液室の壁の一部を薄い振動板とし、これに対応して電気機械変換素子としての圧電素子を配置するピエゾ方式のものが記載されている。ピエゾ方式では、電圧印加に伴って発生する圧電素子の変形により振動板を変形させることで吐出液室内の圧力を変化させて、インク滴を吐出させる。
特許文献2には、吐出液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向して配置された液室外の個別電極とを備えた静電方式のものが記載されている。静電方式では、振動板と電極との間に電界を印加することで発生する静電力により振動板を変形させ、吐出液室内の圧力/体積を変化させることにより吐出孔からインク滴を吐出させる。
また、吐出液室内部に発熱体素子を配置し、通電による発熱体の加熱によって気泡を発生させ、気泡の圧力によってインク滴を吐出させるバブルジェット(登録商標)方式のものも一般に良く知られている。
このようなインクジェットヘッドでは、吐出液室内のインク液を吐出させない状態が続くと、吐出孔近傍のインク液が増粘することがある。吐出液室内の吐出孔近傍のインク液が増粘すると、吐出孔の目詰まりが発生し、次に吐出させる際に、インク滴が曲がったり、不吐出になったりする問題が生じるおそれがある。吐出孔近傍のインク液が増粘することに起因する問題を防止する構成として、特許文献3には、吐出孔から液滴を吐出させない程度に吐出液室内のインク液を振動させる圧力を発生させる微駆動(微振動)動作を行う構成が記載されている。そして、印刷開始時等の所定の時期に微駆動を行うことで、吐出孔近傍のインク液を吐出液室内で攪拌し、吐出孔の目詰まりを防止することが記載されている。
インク液は、温度が高いほど粘度が低くなり、温度が低くなると粘度が高くなるため、微駆動時に発生させる圧力の大きさや発生させる頻度等の駆動制御を一定に設定した場合、次のような問題が生じる。すなわち、温度が低く粘度が高いインク液を十分に攪拌できる微駆動と同様の微駆動を、温度が高く粘性が低いインク液に対して同様に行うと、攪拌されたインク液が吐出孔から漏れ出すおそれがある。また、温度が高く粘性が低いインク液が吐出孔から漏れ出ない微駆動と同様の微駆動を、温度が低く粘性が高いインク液に対して同様に行うと、インク液の攪拌が不十分となり、上述した目詰まりが発生するおそれがある。
特許文献3には、インクジェットヘッドの温度を検出し、その検出結果に応じて微駆動動作の駆動を制御する構成が記載されている。これにより、環境温度変化等により、インクジェットヘッド内のインク液の温度が変化しても、インク液が漏れ出ること、攪拌不足に起因する目詰まりの発生を抑制することができる。
しかしながら、複数の吐出液室を備えるインクジェットヘッドでは、吐出液室によって内部の温度が異なる状態となることがある。特許文献3に記載の構成では、インクジェットヘッド全体で一律の微駆動の駆動制御を行っているため、吐出液室によって内部のインク液の温度が異なる状態になると、各吐出液室内のインク液の温度によって、インク液が漏れ出たり、攪拌不足に起因する目詰まりが発生したりという問題が生じるおそれがあった。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができる液滴吐出ヘッド及びこの液滴吐出ヘッドを備えた画像形成装置並びに液滴吐出ヘッドの駆動方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる液滴吐出機構を複数備え、複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、複数の該液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、該駆動制御手段が、該吐出孔から液滴を吐出するような圧力を発生させる吐出動作と、該吐出孔から液滴を吐出させないで該吐出液室内の該吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作とを行うように該液滴吐出機構の該圧力発生手段の駆動を制御する液滴吐出ヘッドにおいて、上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度が少ないことを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するために、請求項の発明は、液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる液滴吐出機構を複数備え、複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、複数の該液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、該駆動制御手段が、該吐出孔から液滴を吐出するような圧力を発生させる吐出動作と、該吐出孔から液滴を吐出させないで該吐出孔内も含む該吐出液室内の該吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作とを行うように該液滴吐出機構の該圧力発生手段の駆動を制御する液滴吐出ヘッドにおいて、上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、発生させる圧力が小さいことを特徴とするものである。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、吐出液室によって内部の温度が異なる状態では、複数の吐出液室に連通し、各吐出液室に供給する吐出液が通過する共通流路に対して、吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室ほど温度が高くなることが分かった。これは、以下の理由による。
すなわち、圧力発生手段は駆動時にジュール熱を発生し、圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御手段は、制御を行う際の信号のやり取りのときにジュール熱を発生する。このため、共通流路を吐出液が通過する際、圧力発生手段や駆動制御手段の発熱により加熱され、吐出液の温度が上昇する。そして、吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室に供給される吐出液ほど吐出液室に到達するまでの流路が長く、より長い時間加熱され続けるため、温度の上昇が顕著となる。
本願請求項1の構成を備える発明においては、吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する吐出液室よりも、吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室の方が、微駆動動作時に圧力発生手段が圧力を発生させる頻度が少ないため、温度が低く粘度が高い上流側の吐出液に対して十分な攪拌を行いつつ、温度が高く粘度が低い下流側の吐出液に過剰な頻度で圧力がかかることに起因して吐出液が漏れることを防止できる。
また、本願請求項の構成を備える発明においては、吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する吐出液室よりも、吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室の方が、微駆動動作時に圧力発生手段が発生させる圧力が小さいため、温度が低く粘度が高い上流側の吐出液に対して十分な攪拌を行いつつ、温度が高く粘度が低い下流側の吐出液に過剰な圧力がかかることに起因して吐出液が漏れることを防止できる。
本発明によれば、上流側の吐出液に対して十分な攪拌を行いつつ、下流側の吐出液が漏れることを防止できるため、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができるという優れた効果がある。
インク液の温度分布を示した記録ヘッドの分解斜視図、(a)はノズル基板の説明図、(b)は液室基板の説明図、(c)は保護基板の説明図。 インクジェットプリンタの概略斜視図。 インクジェットプリンタの概略断面図。 液滴吐出ヘッドの分解斜視図、(a)はノズル基板の説明図、(b)は液室基板の説明図、(c)は保護基板の説明図。 液滴吐出ヘッドの断面説明図、(a)は、図4中のX−X’断面に対応する断面説明図、(b)は、図4に示したY−Y’断面に対応する断面説明図。 プリンタの制御部のブロック説明図。 駆動波形の一例を示す説明図、(a)は、生成駆動波形の説明図、(b)は、微駆動の入力駆動波形の説明図、(c)は、小さなインク滴を吐出する入力駆動波形の説明図、図7(d)は、大きなインク滴を吐出する入力駆動波形の説明図。 駆動信号における基準電位から立ち下がりと立ち上がりとの説明図、(a)は、駆動信号の一例の説明図、(b)は、(a)の一部の拡大図。 圧電素子に電圧がかかっていない状態と、電圧がかかっている状態との振動板層の形状を示す概略図。 ノズル孔近傍のインク液の変化の説明図、(a)は、基準電位が印加された状態の説明図、(b)は、電位を立ち下げた状態の説明図、(c)は、基準電位まで電位を立ち上げた状態の説明図。 生成駆動波形の他の例の説明図。 インク滴の吐出の説明図、(a)は、一つのノズル孔から異なるタイミングで吐出されるインク滴の説明図、(b)は、(a)のインク滴の吐出によって画像が形成された用紙の上面図、(c)は、形成された画像の一例の説明図。 共通液室に熱が伝達する状態を説明する記録ヘッドの断面図。 共通液室とヘッドドライバとの位置関係を示す記録ヘッドの斜視説明図。 実施例1で用いる駆動波形の説明図、(a)は、生成駆動波形の説明図、(b)は、微駆動の入力駆動波形の説明図、(c)は、非駆動の入力駆動波形の説明図。 実施例1の滴制御信号MNと駆動波形との経時制御の説明図、(a)は、供給口付近の吐出CHに対する制御の説明図、(b)は、供給口から遠い位置の吐出CHに対する制御の説明図。 実施例2で用いる駆動波形の説明図、(a)は、生成駆動波形の説明図、(b)は、微駆動の入力駆動波形の説明図、(c)は、振幅が小さい微駆動の入力駆動波形の説明図。 実施例2の滴制御信号MNと駆動波形との経時制御の説明図、(a)は、供給口付近の吐出CHに対する制御の説明図、(b)は、供給口から遠い位置の吐出CHに対する制御の説明図。 実施例3における吐出CHのグループ分けの一例を示す説明図。
以下、本発明を適用可能な画像形成装置の一実施形態として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ100)について説明する。
まず、プリンタ100の基本的な構成について説明する。図2は、プリンタ100の斜視図であり、図3は、プリンタ100主走査方向の図2中の手前側から見たときのインクカートリッジ102を含む断面における概略断面図である。
プリンタ100は、キャリッジ101と、記録ヘッド51と、インクカートリッジ102とを含んで構成される印字機構部103を本体内部に有している。キャリッジ101は、プリンタ100本体内部において、用紙30の搬送方向に対して直交方向である走査方向に移動可能な部材である。記録ヘッド51は、キャリッジ101に搭載した液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドであり、インクカートリッジ102は後述する記録ヘッド51にタンク部102a内のインク液を供給する。
図3に示すように、プリンタ100は、印字機構部103の下方に給紙機構部104を有している。プリンタ100は、詳細は後述するが、給紙機構部104の給紙トレイ230または手差しトレイ105から給送される用紙30を取り込み、印字機構部103によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ106に排紙する。
記録ヘッド51は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のインク液を吐出するインク吐出ヘッドであり、複数のインク吐出孔(後述する「ノズル孔20」)を、主走査方向(図2中の矢印A方向、図3中の紙面に直交する方向)に対して直交する方向(図中の矢印B方向)に配列している。また、記録ヘッド51は、インク液の吐出方向が下方となるようにキャリッジ101に装着されている。
また、印字機構部103のキャリッジ101には、記録ヘッド51にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のインク液を収容した四つのインクカートリッジ102がそれぞれ交換可能に装着されている。
インクカートリッジ102のタンク部102aの上方(図3中の上方)には、大気と連通する不図示の大気口が備えられている。また、タンク部102aの下方には、タンク部102a内のインク液を記録ヘッド51に供給する供給口102bが設けられている。さらに、タンク部102aの内部には、インク液が充填された不図示の多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド51へ供給されるインク液をわずかな負圧に維持している。
インクカートリッジ102としてはタンク部102aと記録ヘッド51とが一体となったものでもよいし、タンク部102aを記録ヘッド51とは別体としても良い。また、記録ヘッド51としては、本実施形態では、各色に対応した複数のヘッド部を用いる構成となっているが、各色のインク液を吐出するノズル孔を有する一個のヘッド部でもよい。
印字機構部103はキャリッジ101を保持する保持手段として、プリンタ100本体の主走査方向の両側面板(100a及び100b)に横架したガイド部材として、主ガイドロッド107と従ガイドロッド108とを有する。主ガイドロッド107は、キャリッジ101の後方側(用紙搬送方向下流側、図3中の右側)を貫通する。また、従ガイドロッド108は、主ガイドロッド107と一定間隔をおいて並行に延在し、キャリッジ101の前方側(用紙搬送方向上流側、図3中の左側)が載置される。キャリッジ101は、主ガイドロッド107及び従ガイドロッド108によって主走査方向に移動可能なように摺動自在に保持されている。
また、印字機構部103は、キャリッジ101を主走査方向に移動走査するための移動手段として、タイミングベルト112と、タイミングベルト112を張架する駆動プーリ110及び従動プーリ111と、駆動プーリ110を回転駆動する主走査モータ109とを有している。図2に示すように、駆動プーリ110はプリンタ100本体の一方の側面板(100b)側に配置し、従動プーリ111は、本体の他方の側面板(100a)側に配置して、タイミングベルト112が主走査方向に平行に延在するようにしている。また、タイミングベルト112にはキャリッジ101が固定されている。
主走査モータ109は、駆動プーリ110を正逆回転させる駆動源であり、駆動プーリ110が回転すると、タイミングベルト112が主走査方向に無端移動する。キャリッジ101は、タイミングベルト112に固定されているため、タイミングベルト112とともに主走査方向に移動する。このため、主走査モータ109によって駆動プーリ110を正逆回転させることで、キャリッジ101が主走査方向に往復移動される。
一方、給紙機構部104には、用紙30を積載した給紙トレイ230と、給紙ローラ113と、フリクションパッド114と、ガイド部材115と、搬送ローラ116とを備えている。給紙トレイ230は、図3中の右側から複数枚の用紙30の束を積載可能となっており、プリンタ100本体に対して着脱可能に装着されている。
給紙ローラ113及びフリクションパッド114は、用紙30を、記録ヘッド51の下方に搬送するために、給紙トレイ230内にセットした用紙30の束の最上段の一枚を分離給紙する。ガイド部材115は、給紙トレイ230から分離給紙された用紙30を搬送ローラ116によって搬送される領域に案内する。
搬送ローラ116は、給紙ローラ113によって給紙され、ガイド部材115によって案内された用紙30を、反転させて記録ヘッド51の下面と対向する位置に搬送する。また、搬送ローラ116の周囲には、搬送コロ117及び先端コロ118が配置されている。搬送コロ117は用紙30を搬送ローラ116に押し付けて、用紙30が搬送ローラ116から分離することを防止している。先端コロ118は、記録ヘッド51の下面と対向する位置に所定の送り出し角度で用紙30を送り出す。搬送ローラ116は、副走査モータ130によって不図示のギヤ列を介して回転駆動が伝達され、図3中の時計周り方向に回転する。
記録ヘッド51の下面と対向する位置には、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ116から送り出された用紙30を記録ヘッド51の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材119が設けられている。この印写受け部材119の用紙搬送方向下流側には、用紙30を排出方向に送り出すための排出ローラ120と、排出ローラ120に対向する排出拍車121とが配置されている。さらに、排出ローラ120によって送り出された用紙30を排紙トレイ106に排出する排紙ローラ123と排紙ローラ123に対向する排紙拍車124とを備えている。また、排出ローラ120と排紙ローラ123との間には、排紙経路を形成する一対のガイド部材として下ガイド部材125及び上ガイド部材126が配設されている。
また、プリンタ100には、手差しで用紙30を給紙するための手差しトレイ105が設けられており、手差しトレイ105は、トレイ開閉軸105bを中心にプリンタ100本体に対して開倒可能に取り付けられている。この手差しトレイ105上の用紙30は、手差し給紙ローラ105aによって搬送ローラ116に搬送される。
印字機構部103における主走査方向のキャリッジ101の移動範囲の一端である、図2中の右手前側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド51の吐出不良を回復するための回復装置127を配置している。回復装置127はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とを有している。キャリッジ101は、印字待機中にはこの回復装置127側に移動されて不図示のキャッピング手段で記録ヘッド51をキャッピングされ、ノズル孔が湿潤状態に保たれることによりインク乾燥による吐出不良を防止する構成となっている。また、記録途中などに回復装置127と対向する位置にキャリッジ101を移動させ、記録とは関係しないインク液を吐出することにより、全てのノズル孔のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持することができる。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド51下面のノズル孔を密封し、キャッピング手段に設けられた不図示のチューブを通して、吸引手段でノズル孔からインク液とともに気泡等を吸い出す。さらに、ノズル孔が開口しているヘッド面(下面)に付着したインク液やゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインク液は、プリンタ100本体下部に設置された不図示の廃インクタンクに排出され、廃インクタンク内部のインク吸収体に吸収保持される。
次に、プリンタ100のプリント動作について説明する。
プリンタ100は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から画像情報などの信号が送られ、プリント動作を実行する。プリント動作が実行されると、手差しトレイ105から手差し給紙ローラ105aによって、または、給紙トレイ230から給紙ローラ113によって、用紙30が給紙される。給紙トレイ230から給紙された用紙30は、ガイド部材115や搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されつつ反転し、記録ヘッド51と対向する位置に搬送される。一方、手差しトレイ105から供給された用紙30は、搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されて記録ヘッド51と対向する位置に搬送される。
記録ヘッド51に対向する位置に搬送された用紙30が所定位置に達したら、搬送ローラ116の回転を停止して用紙30の移動を停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら、停止した用紙30の所定箇所に所定のインク液を吐出して一行分の画像を用紙30に形成する。ここで、一行とは、記録ヘッド51が用紙30へ記録可能な副走査方向(記録ヘッド51に対向する位置での用紙30の移動方向)の範囲を言う。
主走査方向に一行分の画像形成が終了したら、搬送ローラ116を所定時間回転させ、用紙30を一行分、排紙トレイ106方向に移動させて停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら一行分の画像を形成する。
このような工程を所定回数繰り返して行い、用紙30に所望の画像をプリントする。外部装置から記録終了信号を受信して所望の画像がプリントされた場合、または、用紙30の後端が記録領域に到達した信号を受信した場合に、用紙30は、排出ローラ120及び排出拍車121と排紙ローラ123及び排紙拍車124とによって搬送され、排紙トレイ106に排出される。画像形成を終了したキャリッジ101は、図2中右手前側の回復装置127と対向する位置に移動して、図示しないキャッピング手段で記録ヘッド51のノズル孔をキャッピングする。
次に、記録ヘッド51について説明する。本実施形態の記録ヘッド51は、薄膜ピエゾヘッドである。
図4は、上述した記録ヘッド51の一部分の分解斜視図である。図4に示す記録ヘッド51は、圧電アクチュエータ200を用いたものであり、インク滴を基板の面部(ヘッド面)に設けたノズル孔から吐出させるサイドシューター方式の例を示すもので図示している。なお、図2及び図3ではインク吐出孔(「ノズル孔20」)が下方に向いて設置される記録ヘッド51を、図4では説明の都合上、上方に描いている。
図4に示すように、記録ヘッド51は、三枚の基板重ねて形成されている。図4(a)は、インク液を吐出するノズル孔20を有するノズル基板2の説明図、図4(b)は、個別液室14、振動板層55、流体抵抗部15、個別インク供給孔24及び圧電素子56等を形成した液室基板1の説明図、図4(c)は、圧電素子保護空間22や共通液室を形成する保護基板3の説明図である。このように、記録ヘッド51は、ノズル基板2、液室基板1及び保護基板3の三枚の基板を重ねた積層構造となっている。また、図4(b)及び図4(c)は、一部断面図で示してある。
図5は、図4に示す記録ヘッド51の断面説明図である。図5(a)は、図4中のX−X’断面に対応する断面説明図であり、便宜上二つの個別液室14に対応する部分のみ示しており、一方の個別液室14内のインクがノズル孔20を通ってインク滴として用紙30に向けて吐出されている様子を模式的に示している。図5(b)は、図4に示したY−Y’断面に対応する断面説明図である。図5(a)では、流路が狭くなっている流体抵抗部15に対応する領域を破線で示している。
液室基板1には、シリコン基板4が用いられ、個別液室14、流体抵抗部13などのインク流路となる溝部が形成されている。
液室基板1は、シリコン基板4上にシリコン酸化膜を介してシリコンが張り合わされたSOI基板を用いている。また、振動板層55は、SOI基板のシリコン層(Si層)表面にパイロ酸化法を適用し、シリコン酸化膜を形成したものであり、振動板層55の上に圧電素子56を形成して、圧電アクチュエータ200を構成する。圧電素子56は、振動板層55の上に下部電極層151となる白金膜、圧電体層152となるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の膜、上部電極層153となる白金膜の多層構造を積層することで形成している。圧電素子56は、シリコン基板4をエッチングすることにより形成された個別液室14に対向する領域に形成されている。
液室基板1は、下部電極層151及び上部電極層153のそれぞれに電位を印加する配線部材154を備える。配線部材154としては、下部電極パッド部157を下部電極層151に電気的に接続する第一配線部材154aと、上部電極パッド部158を上部電極層153に電気的に接続する第二配線部材154bとが設けられている。また、液室基板1は、下部電極層151及び上部電極層153と配線部材54との層間に配置する層間絶縁膜155を備える。さらに、液室基板1には、配線部材154を保護するためのパッシベーション膜156が圧電アクチュエータ200の上面及び側面を覆うように配置されている。
ノズル基板2は、厚さ30〜50[μm]のSUS基板からなり、プレス加工と研磨加工とによりノズル孔20が形成されている。このノズル孔20はノズル基板2と液室基板1とを組み付けたときに、液室基板1の個別液室14と対向し、個別液室14と外部空間とを連通する。
保護基板3は、共通液室18としてインク流路となる溝部と、圧電素子56の保護及び変位を妨げないための圧電素子保護空間22と、液室基板1の流路隔壁4aの剛性を高めるために振動板層55を介して流路隔壁4aを補強する補強壁23とが形成されている。
以下、図4及び図5に示す記録ヘッド51の動作について説明する。
タンク部102a内から供給口102bを介して記録ヘッド51に供給されたインク液は、共通液室18からそれぞれの個別インク供給孔24を経由してそれぞれの個別液室14内にインクが供給される。
個別液室14内がインク液により満たされた状態で、圧電素子56の上部電極層153と下部電極層151との間に所定の駆動波形の電位を印加し、これにより圧電体層152が縮み、下部電極層151を挟んで圧電体層152と密着している部分の振動板層55全体が個別液室14側に凸形状に変形する。これにより、個別液室14の体積が減少し個別液室14内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔20よりインク滴を用紙30に向けて吐出する。上部電極層153と下部電極層151との間にパルス電圧を連続的に繰り返して印加することによって、インク滴を連続的に吐出することが出来る。
以下、一組の圧電素子56、個別液室14及びノズル孔20の組み合わせからなる液滴吐出機構を吐出チャンネル(吐出CH)と呼ぶ。
プリンタ100では、インク滴を用紙30に向けて吐出することによって画像形成を行っているが、記録ヘッド51が用紙30と対向していない状態、すなわち、画像形成を行わないタイミングでインク滴を吐出する空吐出動作を行っている。
この空吐出動作とは、印字前や印字前や印字中に、紙面と対向する領域外に記録ヘッド51が位置するようにキャリッジ101を移動させて、インク滴を吐出することにより、記録ヘッド51内で粘度が上昇したインク液を捨てる動作のことである。
電源が入っていない状態のプリンタ100は、個別液室14内のインク液が乾燥によって増粘することを防止するために、ノズル孔20を覆うように記録ヘッド51の下面に対してキャッピングがなされている。しかし、キャッピングがなされていても、長期間駆動させていない吐出CHの個別液室14内のインク液は少しずつ増粘する。このため、プリンタ100では、電源投入後、印字開始前にすべての吐出CHで画像形成に寄与しないインク滴の吐出を行い、個別液室14内の増粘したインク液を捨てる印字前空吐出を行う。
また、印字中はすべての吐出CHからインク滴が吐出されるとは限らない。他の吐出CHは吐出を行っている状態で、一部の吐出CHは非吐出の状態が続く場合がある。一部の吐出CHで非吐出の時間が長くなると、その吐出CHのノズル孔20に形成されたメニスカス付近のインク液が増粘することで、次に吐出させる際のインク滴が曲がったり、不吐出になったりする問題が生じるおそれがある。
プリンタ100では、このような問題の発生を防止するために、個別液室14内のインク液にインク滴が吐出されない程度の圧力を加えて、個別液室14やノズル孔20内のインク液を振動させる微駆動を行う構成となっている。ノズル孔20内のインク液を振動させることで、メニスカス付近のインク液が増粘することを抑制できる。
画像形成中の記録ヘッド51は、あるタイミングでは例えば全数百の吐出CHのうち数十の吐出CHは吐出させるが、残りの吐出CHは吐出させないといった動作を行う。微駆動はこのような吐出させない吐出CHで行う動作である。なお、画像形成装置の種類によっては、印字動作中、非吐出の全ての吐出CHにおいて微駆動を入れているものもある。
このように、印字時には、非吐出の状態が長く続く吐出CHでは、インク液の増粘を防ぐために微駆動が行われているが、微駆動だけでは十分に増粘を抑えることが出来ない。このため、プリンタ100では、印字中に定期的に紙面の外側にヘッドを移動させ、すべての吐出CHからインク滴を吐出させて増粘したインク液を捨てる印字中空吐出を行う。
上述した印字前空吐出と印字中空吐出との二つの動作が空吐出動作である。
次に、図6のブロック説明図を参照して、複数の圧電素子56の駆動を制御する駆動制御部508の一例について説明する。
プリンタ100の制御部500が備える駆動制御部508は、駆動波形生成部701とデータ転送部702とを備えている。データ転送部702は、印刷画像に応じた画像データ、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、及び、滴制御信号MNを出力する。
駆動波形生成部701は、画像形成時及び空吐出動作時に所定の駆動波形を生成するものである。すなわち、駆動波形生成部701は、画像形成時には1印刷吐出周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成して出力する。また、駆動波形生成部701は、空吐出動作時には1空吐出周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成して出力する。空吐出動作時のインク滴の吐出は画像の形成を目的としていないため、1印刷吐出周期と1空吐出周期とでは、駆動波形生成部701から出力される駆動波形が異なる。
ここで、1印刷吐出周期及び1空吐出周期とは、それぞれ印字中、空吐出中に入力される駆動波形の1周期であり、1印刷吐出周期の駆動波形または1空吐出周期の駆動波形が一つの吐出CHに入力されることにより、この吐出CHのノズル孔20でインク滴が吐出したり、微駆動の動作が行われたりする。そして、1印刷吐出周期(または1空吐出周期)で吐出CHに入力する駆動波形を異ならせることにより、吐出するインク滴の大きさを異ならせることができる。
なお、以下において、1印刷吐出周期と1空吐出周期との何れにも限定しないインク滴の吐出、または微駆動、非駆動の動作を行わせる信号の周期を1駆動周期ともいう。
また、クロック信号は、ロジック回路の動作基準となる信号であり、ラッチ信号はラッチ回路712で一時的に記録データを記憶する(ラッチする)ための信号である。また、滴制御信号MNは、ヘッドドライバ509のスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉をインク滴毎に指示する信号である。駆動波形生成部701が生成し、出力する駆動波形(以下、「生成駆動波形」という)を構成する駆動信号群の駆動パルス(駆動信号)を滴制御信号MNにより選択する。この選択によって、上述したように大きさの異なるインク滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けたり、非吐出の動作等を行わせたりすることができる。
ヘッドドライバ509は、シフトレジスタ711、ラッチ回路712、デコーダ713、レベルシフタ714及びアナログスイッチ715等を備える。シフトレジスタ711は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データが入力されるものであり、ラッチ回路712は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によって一時的に記憶するためのものである。
デコーダ713は、画像データと滴制御信号MNによるデータを基に、どの圧電素子56にどのような動作をさせるかの階調データ(各吐出CHに対して、大滴、中滴及び小滴の何れか液滴を吐出する吐出駆動、微駆動または非駆動の何れの動作を行わせるか、を指示するためのデータ)をデコードし、ロジック信号として出力するものである。ここで出力される階調データにより、どの吐出CHの圧電素子56に滴制御信号MN(詳細は後述するMN1〜MN9)で決まるどのような波形の信号を印加するのかが決まる。
レベルシフタ714は、デコーダ713によるロジック信号の出力をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換するものである。ここで、ロジック信号とは、3[V]〜4[V]程度の低い電圧による信号であり、これにより各吐出CHがどのような動作をするのか、を制御している。上述した、クロック信号、ラッチ信号及び、滴制御信号MNはこのロジック信号である。このようなロジック信号の電圧はアナログスイッチ715を動作させるためには低すぎるため、レベルシフタ714ではアナログスイッチ715を動作可能なレベルまで電圧を増幅している。
アナログスイッチ715は、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)されるものである。
アナログスイッチ715は、各吐出CHの各圧電素子56の個別電極である上部電極層153に接続され、駆動波形生成部701からの生成駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と滴制御信号MNとをデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチ715をオンにすることにより、生成駆動波形を構成する所定の駆動信号が選択されて駆動信号に対応する電位が各圧電素子56に印加される。
次に、駆動波形について説明する。
図7は、駆動波形の一例を示す説明図である。図7(a)は、駆動波形生成部701が生成し、出力する生成駆動波形の説明図であり、図7(b)〜(d)は、生成駆動波形から滴制御信号MNにより駆動信号Pが選択され、吐出CHに入力される入力駆動波形の例である。図7(b)は、微駆動を行う吐出CHへの入力駆動波形であり、図7(c)は、小さなインク滴を吐出する吐出CHへの入力駆動波形であり、図7(d)は、大きなインク滴を吐出する吐出CHへの入力駆動波形である。
プリンタ100では、駆動波形生成部701で生成される生成駆動波形は、図7(a)に示すように、1駆動周期内で時系列的に出力される六個の駆動信号(駆動パルス)P(第一駆動信号P1〜第六駆動信号P6)で構成される。図7中のVeは基準電位(中間電位)であり、各吐出CHでは圧電素子56の個別電極である上部電極層153に印加される駆動信号の電位が基準電位Veから立ち下がり、その後、立ち上がるときにインク滴を吐出する。
図8は、駆動信号Pにおける基準電位Veから立ち下がり、及び、その後の立ち上がりについての説明図である。
図8(a)は、1駆動周期内に駆動信号Pが一つだけの状態の説明図であり、図8(b)は、図8()中の駆動信号Pの拡大説明図である。図8(b)中のβで示す部分のように電位が下がる方向にシフトしている部分が立ち下がりの部分であり、図8(b)中のαで示す部分のように電位が上がる方向にシフトしている部分が立ち上がりの部分である。
そして、図7中のα2〜α5で示す立ち上がりの部分の信号に対応したタイミングでインク滴の吐出がなされる。なお、第一駆動信号P1では、α1で示す立ち上がりの部分の電位の変異が小さく、インク滴の吐出がなされるほどの圧力とならず、個別液室14内でインク液が振動する微駆動となる。
基準電位Veとは、印字動作中に駆動信号Pが印加されていない状態の圧電素子56(上部電極層153)に印加されている電位のことであり、上部電極層153に電位が印加され、圧電素子56に電圧が印加されると振動板層55はノズル孔20側に撓む構成である。
図9は、一つの吐出CHにおける圧電素子56に電圧がかかっていない状態と、電圧がかかっている状態との振動板層55の形状を示す概略図である。図9(a)は圧電素子56に電圧がかかっていない状態の説明図であり、図9(b)は圧電素子56に電圧がかかっている状態の説明図である。振動板層55は、図9(a)に示す状態から図9(b)で示すように圧電素子56に電圧がかかっているとノズル孔20側に撓むが、図9(a)に示す状態からノズル孔20の反対側には撓まない構成となっている。
図10は、圧電素子56に基準電位Veが印加された状態から電位を立ち下げた後、電位を立ち上げたときのノズル孔20近傍のインク液の変化の説明図である。
図10(a)は、基準電位Veが印加された状態の説明図、図10(b)は、電位を立ち下げた状態の説明図、図10(c)は、基準電位Veまで電位を立ち上げた状態の説明図である。
図8に示す駆動信号Pにおいて、圧電素子56に基準電位Veを印加している状態では、振動板層55は図9(b)のようにノズル孔20側に撓んだ状態となる。これは、圧電素子56に電位が印加されていない図9(a)で示す状態から電位が印加されることにより圧電素子56が膨張し、振動板層55を図9中の下方に押し下げるためである。一方、ノズル孔20の近傍については、基準電位Veを印加している状態では、図10(a)に示すようにノズル孔20の出口近傍にメニスカス21aが形成された状態となる。
このような状態で、図8(b)中のβで示す部分ように圧電素子56に印加される電位が基準電位Veから立ち下がると、圧電素子56が図9(b)の状態よりも収縮し、振動板層55が個別液室14の容積を膨張させる方向(ノズル孔20とは反対方向)に変位する。これにより、共通液室18から個別液室14にインク液が流入し、図9(a)で示す状態となる。このとき、ノズル孔20ではメニスカス21aが図10(a)で示す状態よりも引き込まれ、図10(b)で示す状態となる。
その後、図8(b)中のαで示す部分ように圧電素子56に印加される電位が立ち上がると、圧電素子56が再び膨張し、振動板層55がノズル孔20側に撓むように変異して図9(b)で示す状態となる。これにより、個別液室14の容積が収縮し、個別液室14内のインク液が加圧され、図10(c)に示すように、ノズル孔20からインク滴21が吐出される。
このように、圧電素子56に電圧がかかっている状態から、電圧がかかっていない状態とする動作によって、個別液室14にインク液を引き込んでいる。このため、画像形成時における駆動信号Pを印加しないタイミングでは、圧電素子56に対して常に基準電位Veをかけて振動板層55をノズル孔20側に撓ませた状態(図9(b)の状態)としている。
図7に示す1駆動周期を構成する複数の駆動信号Pのうち、第一駆動信号P1は、インク滴を吐出しない程度の圧力を発生させることにより、ノズル孔20内のインク液を振動させる微駆動信号である。基準電位Veから立ち下がる波形要素、立ち下り後の電位を保持する波形要素、電位保持後、基準電位Veまで直線的に立ち上がる波形要素で構成される。
第二駆動信号P2及び第三駆動信号P3は、インク滴を吐出させる吐出駆動信号である。基準電位Veから立ち下がる波形要素、立ち下り後の電位を保持する波形要素、電位保持後、基準電位Veまで段階的に立ち上がる波形要素で構成される。
第四駆動信号P4は、インク滴を吐出させる吐出駆動信号である。基準電位Veから立ち下がる波形要素、立ち下り後の電位を保持する波形要素、電位保持後、基準電位Veまで直線的に立ち上がる波形要素で構成される。
第五駆動信号P5は、インク滴を吐出させる吐出駆動信号であり、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立ち下り後の電位に保持する波形要素、電位保持後、基準電位Veを越えて所定の電位まで立ち上がる波形要素、立ち上がり後の電位に保持する波形要素、電位保持後、更に立ち上がる波形要素、更に立ち上がった後の電位に保持する波形要素、電位保持後、基準電位まで立ち下がる波形要素(β5)で構成される。
なお、インク滴21を一滴吐出させると、その吐出させた反動でメニスカス21aが振動する。メニスカスが振動している状態で、次のインク滴21を吐出すると、所望の吐出速度が出ない等の影響がある。
また、第五駆動信号P5では、β5で示す波形要素によってメニスカスの振動を抑制している。これは、以下の作用による。すなわち、1駆動周期の最後で基準電位Veとなる前に、基準電位Veよりも高い電位とすることで、個別液室14内の容積を基準電位Veの状態よりも小さくなる。その後、β5の波形要素で個別液室14内の容積が膨張することで、ノズル孔20内のインク液が個別液室14に向かう圧力差が作用し、メニスカス21aが引き込まれる力が作用し、メニスカスの振動を抑制することができる。
なお、図7(a)の生成駆動波形は一例であり、駆動信号Pとして、立ち下がり後、段階的に基準電位Veまで立ち上がるものと、直線的に基準電位Veまで立ち上がるものとの両方を含んだ波形となっている。生成駆動波形としては、図11に示すように、第二駆動信号P2と第三駆動信号P3とを、立ち下がり後、基準電位Veまで直線的に立ち上がる駆動信号Pとしても良い。
図7(a)に示す生成駆動波形を構成する駆動信号P(P1〜P6)のどのような組み合わせが、入力駆動波形として吐出CHに入力されるかは、前述したように滴制御信号MN(MN1〜MN9)で制御される。すなわち、滴制御信号MNは各圧電素子56に印加する電位の波形を決定するための信号であり、生成駆動波形から波形を切り出す信号ということができる。
プリンタ100では、滴制御信号MNが、第一滴制御信号MN1、第二滴制御信号MN2・・・・、第九滴制御信号MN9の9種類ある構成である。そして、記録ヘッド51の吐出CHが全部で400CHあると、全400CHのそれぞれに、この9つの何れかの滴制御信号MNによって決定された(切り出された)入力駆動波形が印加される。
各滴制御信号MNに対応してどのような入力駆動波形が印加されるかは予め設定しておく。例えば、図7(b)は第一滴制御信号MN1に対応する波形、図7(c)は第二滴制御信号MN2に対応する波形であり、図7(d)は第九滴制御信号MN9に対応する波形である。
プリンタ100では、図7(b)の波形を生成駆動波形から切り出すようなアナログスイッチの切り替え動作を第一滴制御信号MN1としてあらかじめ設定しておく。これにより、ある吐出CHの圧電素子56に対して微駆動を行わせる場合には、当該吐出CHでの第一滴制御信号MN1の動作指示のデータ(図6中の「画像データ」)がシフトレジスタ711に送られ、ラッチ回路712を経由して、デコーダ713に送られる。その後、デコーダ713で、当該吐出CHの圧電素子56に対して予め設定してあった第一滴制御信号MN1による動作(図7(b)の波形になるように生成駆動波形から切り出された入力駆動波形に対応する動作)の指示を行う信号(ロジック信号)が出力される。
この信号は約3.5[V]と低電圧で、アナログスイッチ715を動作させるには電圧が低いため、この後、レベルシフタ714にてアナログスイッチ715を動作可能なレベルまで電圧を増幅し、生成駆動波形に対して第一滴制御信号MN1による切り替え動作(生成駆動波形のうち第一駆動信号P1だけを通す動作)を行うことによって、圧電素子56に図7(b)の波形が印加される。このように、第一滴制御信号MN1により決定された波形が圧電素子56に印加されると該当する吐出CHで微駆動の動作が行われる。
また、インク滴を吐出する場合も同様であり、第三駆動信号P3はインク液を吐出させる駆動信号であるが、この第三駆動信号P3だけを通す(切り出す)滴制御信号MNを第二滴制御信号MN2に予め設定している。これにより、第二滴制御信号MN2により決定された波形(図7(c)の波形)が圧電素子56に印加されると小さなインク滴を吐出させる動作が行われる。同様に、第九滴制御信号MN9により決定された波形(図7(d)の波形)が圧電素子56に印加されると大きなインク滴を吐出させる動作が行われる。
なお、図7(d)に示す入力駆動波形では、1駆動周期中に、四回の吐出を行う波形要素(α2〜α5)がある。このような入力駆動波形が入力された吐出CHでは、1駆動周期中の先に吐出されたインク滴が紙面に到達する前に、同じ1駆動周期中の後に吐出されたインク滴が吐出され、先のインク滴に追い付いて一つのインク滴となった状態で紙面に到達する。このため、図7(c)のように1駆動周期中に吐出を行う波形要素が一回の入力駆動波形が入力された吐出CHでは小さなインク滴を吐出し、図7(d)のように1駆動周期中に吐出を行う波形要素が四回の入力駆動波形が入力された吐出CHでは大きなインク滴を吐出することとなる。
図12は、インク滴の吐出の説明図である。
図12(a)は、停止した用紙30に対して記録ヘッド51が矢印D方向に移動する際の一つの吐出CHに対して、第二滴制御信号MN2→第二滴制御信号MN2→第九滴制御信号MN9→第一滴制御信号MN1の順の滴制御信号MNに対応した入力駆動波形が入力されたときに各タイミングで吐出されるインク滴の説明図である。
図12(b)は、図12(a)で示すように吐出されたインク滴によって画像が形成された用紙30の上面図である。
(i)及び(ii)のタイミングでは、当該吐出CHには、第二滴制御信号MN2に対応した入力駆動波形が入力されるため、ノズル孔20からは小さなインク滴(小滴)が用紙30に向かって吐出される。また、(iii)のタイミングでは、第九滴制御信号MN9に対応した入力駆動波形が入力されるため、ノズル孔20からは大きなインク滴(大滴)が用紙30に向かって吐出される。一方、(iv)のタイミングでは、第一滴制御信号MN1に対応した入力駆動波形が入力されるため、吐出CHで微駆動が行われ、ノズル孔20からインク滴は吐出されない。
図12(b)で示すように、(i)及び(ii)のタイミングで形成された画像は小径の画像となり、(iii)のタイミングで形成された画像は大径の画像となる。そして、(iv)のタイミングで当該ノズル孔20と対向した位置には画像が形成されていない。
なお、図12(b)中に示す矢印Eは、1駆動周期に対応する紙面上の領域を示す。
図12(a)及び(b)で示した例では、記録ヘッド51の動きとの対応をとるため、インク滴同士の間隔を広く示しているが、実際はインク滴同士の間隔はより狭くなり、このような動作を複数の吐出CHで行うことにより、図12(c)で示すような画像が形成される。
次に、記録ヘッド51内でのインク液の温度上昇について説明する。
図13は、図5(a)と同様の断面における記録ヘッド51の断面図であり、共通液室18に熱が伝達する状態の説明図である。図14は、共通液室18とヘッドドライバ509との位置関係を示す記録ヘッド51の斜視説明図である。
また、図1は、インク液の温度分布を示した記録ヘッド51の分解斜視図であり、図1では、「高」で示す側ほどインク液の温度が高く、「低」で示す側ほどインク液の温度が低くなることを示している。なお、図1では、複数の圧電素子保護空間22同士を仕切る補強壁23の記載を省略している。
供給口102bから記録ヘッド51に供給されたインク液は、共通液室18を通過した後、吐出液室である各個別液室14を通過してノズル孔20から吐出される。このときの供給口102bから共通液室18を通過するインク液の流れを図14中の矢印Lで示す。
ノズル孔20から吐出する際に駆動する圧電アクチュエータ200及び圧電アクチュエータ200の圧電素子56に印加する電位を制御するヘッドドライバ509は駆動により発熱する。
図13及び図14中の矢印H1は、ヘッドドライバ509からの熱の伝達を示しており、矢印H2は、圧電アクチュエータ200からの熱の伝達を示している。
図14中の矢印Lで示す共通液室18をインク液が通過する際、圧電アクチュエータ200やヘッドドライバ509の発熱により、記録ヘッド51内のインク液の温度が上昇する。これは、図13及び図14に示すように、ヘッドドライバ509と複数の圧電アクチュエータ200とが共通液室18のすぐ近くに、且つ、共通液室18の長手方向に平行に配置され、供給口102bから供給されたインク液が共通液室18を通ってノズル孔20から吐出されるまでの間に、駆動により発熱した圧電アクチュエータ200及びヘッドドライバ509により加熱され続けるためである。
また、図1に示すように、インク液の温度の上昇は供給口102bから離れた位置の個別液室14ほど、すなわち、共通液室18内におけるインク液の通過経路の下流側で共通液室18に連通する個別液室14ほど顕著である。供給口102bから離れた位置にある個別液室14に流入するインク液は、供給口102b近傍の個別液室14に流入するインク液と比較して個別液室14に到達するまでの流路が長く、より長い時間加熱され続けるため、温度の上昇が顕著となる。また、図1や図5に示すように、個別液室14と共通液室18とはつながっているため、供給口102bから離れた位置では、非吐出の吐出CHの個別液室14であっても、共通液室18側のインク液から熱が伝わる。よって、供給口102bよりも遠い位置にある個別液室14内のインク液は、吐出CHの吐出・非吐出に関わらず、供給口102b付近の個別液室14内のインク液よりも温度が高くなる。
一般的に温度が高いインク液を収容する個別液室14は、温度が低いインク液を収容する個別液室14と比較して印加する微駆動の駆動信号(パルス)の頻度を少なく、振幅を小さくすることができる。これは、以下の理由による。
すなわち、もともと微駆動は、非吐出の状態の時間が長くなった場合に、メニスカス21a付近のインク液が増粘することで、次に吐出させる際にインク滴が曲がったり、不吐出になったりすることを防止するために印加するパルスである。また、インク液は温度が高いほど粘度が低く、温度が低くなると粘度が高くなる。このため、記録ヘッド51内のインク液の温度分布に応じたインク液の粘度分布が生じ、温度の高く粘度が低いインク液は、温度が低く粘度の高いインク液と比較して、増粘しにくい。よって、温度が高いインク液を収容する個別液室14は、非吐出時にメニスカス21aを頻繁にゆすったり、大きくゆすったりしなくても、次に吐出パルスを印加した際にインク滴が曲がったり、不吐出となったり、といった吐出異常は起こりにくい。
従来のインクジェット方式のプリンタでは記録ヘッド全体ごと、または、列ごとに全ての吐出CHで一律の微駆動パルスを印加していた。このため、温度の高いインク液が流入している個別液室上の圧電素子にも低いインク液が流入している個別液室上の圧電素子と同じ微駆動パルスを印加していた。つまり、温度の高いインク液が流入している個別液室上の圧電素子に必要以上のパルスが印加されており、このことが消費電力を上げる一因となっていた。また、温度が低く粘度が高いインク液を十分に攪拌できる微駆動と同様の微駆動を、温度が高く粘性が低いインク液に対して同様に行うと、攪拌されたインク液がノズル孔から漏れ出すおそれがある。
〔実施例1〕
次に、本発明を適用した記録ヘッド51の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について説明する。
図1を用いて説明したように、記録ヘッド51内のインク液は、供給口102bから離れた位置ほど温度が高くなり、粘度が低くなる。このことを利用し、実施例1の記録ヘッド51では、供給口102bから遠い位置にある個別液室14上の圧電素子に印加する微駆動パルスの頻度を供給口102b付近の個別液室14上の圧電素子よりも少なくする構成としている。このような構成により必要以上に印加されるパルスを低減させ、消費電力を従来例よりも抑えることができる。
図15は、実施例1の記録ヘッドで用いる駆動波形の説明図であり、生成駆動波形は図7を用いて説明した一例と同じ波形である。図15(a)は、生成駆動波形の説明図であり、図15(b)は、微駆動を行う吐出CHへの入力駆動波形であり、図15(c)は、駆動を行わない吐出CHへの入力駆動波形である。実施例1では、図7を用いて説明した三つの滴制御信号MN(MN1、MN2及びMN9)の他に、図15(c)の波形を生成駆動波形から切り出すようなアナログスイッチの切り替え動作を第三滴制御信号MN3に対応する動作としてあらかじめ設定しておく。
図16は、実施例1の記録ヘッド51の非吐出の吐出CHに対応した滴制御信号MNと、吐出CHに印加される駆動波形との経時制御の説明図である。図16(a)は、供給口102b付近の吐出CHに対する制御の説明図であり、図16(b)は、供給口102bから遠い位置の吐出CHに対する制御の説明図である。
供給口102b付近の非吐出の吐出CHに対応する滴制御信号MNとして、データ転送部702は第一滴制御信号MN1のみを出力する。これにより、供給口102b付近の非吐出の吐出CHは、図16(a)に示すように、各駆動周期で図15(b)の入力駆動波形が入力され、供給口102b付近の非吐出の吐出CHでは各駆動周期において微駆動が行われる。
一方、供給口102bから遠い位置にある非吐出の吐出CHに対応する滴制御信号MNとしては、データ転送部702は第一滴制御信号MN1と第三滴制御信号MN3とを交互に出力する。これにより、供給口102bから遠い位置の非吐出の吐出CHは、図16(b)に示すように、1駆動周期毎に図15(b)の入力駆動波形と図15(c)の入力駆動波形とが交互に入力される。これにより、供給口102bから遠い位置にある非吐出の吐出CHに1駆動周期毎に微駆動と非駆動とが交互に行われる。
また前述のとおり、どの圧電素子にどのタイミングで微駆動パルスを印加するかは、図6中の制御部500によって制御される。
例えば、共通液室18の長手方向(図中の矢印B方向)に400個の個別液室14が配置されており、長手方向の一端から200個目と201個目との間に、供給口102bの中心が位置する構造であるとする。この場合、長手方向の一端から数えて1〜50個目、及び、351〜400個目のそれぞれ50個ずつの個別液室14を供給口102bから遠い位置とし、これらの個別液室14に対応する各圧電素子56には、非吐出のタイミングでは図16(b)の駆動波形が印加される。一方、それ以外の個別液室14(51〜350個目の300個)は、供給口102b付近として、対応する各圧電素子56には、非吐出のタイミングでは図16(a)の駆動波形が印加される。
このように制御することにより、供給口102bから遠い個別液室14上の圧電素子56に印加する微駆動パルスの頻度を供給口102b付近の個別液室14上の圧電素子56よりも少なくする構成を実現することができる。
微駆動パルスの頻度を少なくすることで、供給口102bから遠い個別液室14上の圧電素子56での消費電力を少なくすることができる。また、供給口102bから遠い吐出CHでの微駆動の頻度を少なくすることで、攪拌される頻度が減少し、粘度がある程度上がった状態で攪拌が行われるため、インク液がノズル孔から漏れ出すことを抑制することができる。
このような構成により、供給口102b付近の個別液室14内のインク液に対して十分な攪拌を行いつつ、供給口102bから遠い個別液室14内のインク液が漏れることを防止できるため、ノズル孔20からインク滴を吐出させないで個別液室14内のインク液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができる。
実施例1の記録ヘッド51を備えるプリンタ100では、以下の理由により吐出CH間での吐出特性のバラツキを低減できる。
すなわち、上述したように、微駆動パルスの数が少なくなると個別液室14の上の圧電素子56で消費する電力を抑えることができる。消費電力が小さくなると圧電素子56での発熱が抑えられるため、供給口102bから遠い位置に配設された圧電素子56からの発熱量は少なくなり、インク液の温度の上昇が抑えられる。よって、供給口102b付近の個別液室14中のインク粘度(インク温度)と供給口102bから離れた位置にある個別液室14中のインク粘度(インク温度)との差が小さくなるため、吐出特性の差を小さくすることができる。
このように、実施例1の記録ヘッド51では、消費電力を少なくし、粘度が下がったインク液が非吐出の吐出CHのノズル孔20から漏れ出すことを抑制でき、さらに、吐出特性の良好な液滴吐出装置を実現している。
〔実施例2〕
次に、本発明を適用した記録ヘッド51の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について説明する。
実施例2の記録ヘッド51では、供給口102bから遠い位置にある個別液室14上の圧電素子に印加する微駆動パルスの振幅を供給口102b付近の個別液室14上の圧電素子よりも小さくする構成としている。これは以下の理由による。
すなわち、上述したように、供給口102bから遠い位置にある個別液室14中のインク液は温度が高くなり粘度が低くなるため、供給口102b付近の個別液室14中のインク液と比較してメニスカスをゆする量が小さくても増粘しづらく、次に印加される吐出パルスに影響を与え難いためである。
このように異なる微駆動パルスを異なる吐出CHに印加する一例としては、図7の第六駆動信号P6の部分を第一駆動信号P1よりも振幅の小さい微駆動パルスに変更すればよい。
図17は、実施例2の記録ヘッド51で用いる駆動波形の説明図であり、図17(a)は、生成駆動波形の説明図であり、図17(b)及び図17(c)は、非吐出の吐出CHへの入力駆動波形である。実施例2では、図7を用いて説明した三つの滴制御信号MN(MN1、MN2及びMN9)の他に、図17(c)の波形を生成駆動波形から切り出すようなアナログスイッチの切り替え動作を第四滴制御信号MN4に対応する動作としてあらかじめ設定しておく。なお、図17の生成駆動波形は、第六駆動信号P6が微駆動を行う駆動信号となっており、第六駆動信号P6が非駆動を行う駆動信号である図7の生成駆動波形とは異なるため、第四滴制御信号MN4以外の滴制御信号MNに対応する入力駆動波形は、第六駆動信号P6を含まない駆動波形に設定する。
実施例2では、第一駆動信号P1と第六駆動信号P6とが共に微駆動パルスであるが、その電位の振幅が異なり、第六駆動パルスP6の方が振幅が小さくなっている。
図18は、実施例2の記録ヘッド51の非吐出の吐出CHに対応した滴制御信号MNと、吐出CHに印加される駆動波形との経時制御の説明図である。図18(a)は、供給口102b付近の吐出CHに対する制御の説明図であり、図18(b)は、供給口102bから遠い位置の吐出CHに対する制御の説明図である。
供給口102b付近の非吐出の吐出CHに対応する滴制御信号MNとして、データ転送部702は第一滴制御信号MN1を出力する。これにより、供給口102b付近の非吐出の吐出CHでは、図18(a)に示すように各駆動周期で図17(b)の入力駆動波形が入力され、第一駆動信号P1に基づいた微駆動が行われる。
一方、供給口102bから遠い位置にある非吐出の吐出CHに対応する滴制御信号MNとしては、データ転送部702は第四滴制御信号MN4を出力する。これにより、供給口102bから遠い位置の非吐出の吐出CHでは、図18(b)に示すように各駆動周期で図17(c)の入力駆動波形が入力され、第六駆動信号P6に基づいた微駆動が行われる。このように設定することで、吐出CHの位置によって振幅の異なる微駆動パルスを吐出CHに入力することが可能である。
駆動パルスの振幅を小さくすることで、供給口102bから遠い個別液室14上の圧電素子56での消費電力を少なくすることができる。また、消費電力が小さくなることで、実施例1と同様に、吐出CH毎の吐出特性の差を小さくすることができる。さらに、供給口102bから遠い吐出CHでの微駆動の振幅を小さくすることで、温度が高く粘度が低くなって吐出し易いインク液に付与する圧力を小さくできるため、インク液がノズル孔から漏れ出すことを抑制することができる。
このような構成により、供給口102b付近の個別液室14内のインク液に対して十分な攪拌を行いつつ、供給口102bから遠い個別液室14内のインク液が漏れることを防止できるため、ノズル孔20からインク滴を吐出させないで個別液室14内のインク液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができる。
このように、実施例2の記録ヘッド51では、実施例1と同様に、消費電力を少なくし、粘度が下がったインク液が非吐出の吐出CHのノズル孔20から漏れ出すことを抑制でき、さらに、吐出特性の良好な液滴吐出装置を実現している。
供給口102bから遠い個別液室14上の圧電素子56に対して、実施例1では、印加する微駆動パルスの頻度を少なくし、実施例2では、印加する微駆動パルスの振幅を小さくしているが、これらを組み合わせても良い。すなわち、供給口102bから遠い個別液室14上の圧電素子56に対して供給口102b付近の個別液室14上の圧電素子56よりも、印加する微駆動パルスの頻度をも少なくし、且つ、印加する微駆動パルスの振幅を小さくしても良い。このような構成によっても、同様の効果を得ることができる。
〔実施例3〕
次に、本発明を適用した記録ヘッド51の三つ目の実施例(以下、実施例3と呼ぶ)について説明する。
実施例3では、吐出CHを複数のグループに分け、吐出CHごとではなく、それぞれのグループごとに駆動信号Pの構成が異なる入力駆動波形を印加する。
図19は、実施例3における吐出CH(個別液室14及び圧電アクチュエータ200)のグループ分けの一例を示す説明図であり、記録ヘッド51が備える液室基板1のみ図示している。
実施例3では、図19に示すように、長手方向(図中矢印B方向)に一列に並んだ吐出CHのうち図中左端部付近のものを第一グループG1、供給口102b付近のものを第二グループG2、図中右端部付近のものを第三グループG3と三つのグループに分けている。そして、非吐出の吐出CHについて、第二グループG2のみ第一グループG1及び第三グループG3とは異なる微駆動パルスを印加する構成である。このとき、第一グループG1及び第三グループG3に印加する微駆動パルスは、第二グループG2に印加する微駆動パルスよりもパルスの振幅が小さくなっている。
これにより供給口102bから遠いグループ(G1及びG3)では印加される微駆動による消費電力が小さくなる。これは印加する微駆動パルスの振幅が小さいほど消費する電力が小さいためである。
また、これに伴いグループごとの吐出特性の差を小さくすることができる。これは、以下の理由による。
すなわち、第一グループG1及び第三グループG3の圧電素子56が消費する電力は微駆動パルスの振幅が小さくなることにより小さくなる。これに伴って、第一グループG1及び第三グループG3に配設された圧電素子56の発熱が、第二グループG2と比較して抑えられる。これにより、第一グループG1及び第三グループG3に含まれる個別液室14中のインク液の粘度(温度)と、第二グループG2に含まれる個別液室14中のインク液の粘度との差が小さくなるためである。
実施例3のようにグループ分けすることにより、駆動制御部508での処理を迅速に行うことができるようにもなる。例えば、サーミスタ等で個別液室14ごとの温度を検知し、検知した温度分布に合わせて吐出CHごとに圧電素子56に印加する駆動波形を決定する構成と比較するとグループごとに制御することにより、図6に示す駆動制御部508での処理を簡略化することができる。
このように、実施例3の記録ヘッド51では、実施例1や実施例2の記録ヘッド51とどうように、消費電力の低減、吐出特性の差の低減に効果があるとともに、駆動制御部508での処理を迅速に行うことができる。
上述した実施例1〜3の何れの構成においても、駆動による経時変化によって供給口102b付近とする吐出CHと、供給口102bから遠い位置とする吐出CHとの境目を変化させてもよい。これは、記録ヘッド51を長時間使用した場合などは記録ヘッド51の全体の温度が高くなることがあるためである。
このような場合、実施例1の構成を例にとると、上述した構成では、長手方向の一方の端部から1〜50個目および351〜400個目のそれぞれ50個を供給口102bから遠い位置の吐出CHとしている。このような構成で、記録ヘッド51の全体の温度の所定の状態よりも高くなったときに、長手方向の一方の端部から1〜80個目および321〜400個目のそれぞれ80個を供給口102bから遠い位置の吐出CHというように設定を変更することで、温度が変化した状態においても同様の効果を期待することが出来る。
また、外気温が高い場合もヘッド全体の温度が上昇するため同様に境目は変化させることで、同様の制御を行うことで同様の効果が期待できる。
本実施形態の記録ヘッド51では、供給口102bから近い個別液室14上に配設された駆動素子である圧電素子56により行う微駆動と、供給口102bから離れた位置に配設された圧電素子56により行う微駆動とで、後者の微駆動によるメニスカスの振動を小さく、頻度を少なくなるように制御する。このような記録ヘッド51を備えることにより、プリンタ100は、電力消費量を低減でき、かつインク温度の差が小さくなり良好な吐出特性を示す画像形成装置とすることができる。
なお、本実施形態の記録ヘッド51では、個別液室14内に圧力を発生させる圧力発生手段として、圧電アクチュエータ200を用いたピエゾ方式を用いた構成である。圧力発生手段としては、ピエゾ方式に限るものではない。発熱素子を用いたバブルジェット方式や静電力によって振動板を変形させる静電方式等であっても、その駆動制御によって、インクの吐出、非吐出、及び、非吐出時の微駆動に対応した圧力を発生させることができるものであればよい。
また、本実施形態のプリンタ100は、上記実施例1〜3に記載された微駆動動作が安定する記録ヘッド51を備えるため、微駆動動作状態の吐出CHからインクが漏れることを防止することで用紙30の非画像部にインクが付着する不良画像を防止できる。さらに、微駆動動作状態の吐出CHの個別液室14内のインク液に対して十分な攪拌を行うことができるため、ノズル孔20の目詰まりを防止でき、目詰まりに起因してインク滴が曲がったり、不吐出になったりすることによる不良画像を防止できる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
インク滴等の液滴を吐出するノズル孔20等の吐出孔と、吐出孔により外部と連通し、かつ、液滴となる吐出液を収容する個別液室14等の吐出液室と、吐出液室内に圧力を発生させる圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段と、からなる吐出CH等の液滴吐出機構を複数備え、複数の液滴吐出機構のそれぞれの吐出液室に連通し、吐出液室に供給する吐出液が通過する共通液室18等の共通流路と、共通流路に吐出液を供給する供給口102b等の液供給口と、複数の液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御部508等の駆動制御手段とを備え、駆動制御手段が、吐出孔から液滴を吐出するような圧力を発生させる吐出動作と、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作とを行うように液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する記録ヘッド51等の液滴吐出ヘッドにおいて、共通流路内における吐出液の通過経路の上流側で共通流路に連通する吐出液室(供給口102b付近の個別液室14等)内に圧力を発生させる圧力発生手段の微駆動動作よりも、共通流路内における吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室(供給口102bから離れた位置の個別液室14等)内に圧力を発生させる圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度が少ない。これによれば、上記実施例1について説明したように、上流側の吐出液に対して十分な攪拌を行いつつ、下流側の吐出液が漏れることを防止できるため、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができる。また、微駆動動作時に、下流側の吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段で圧力を発生させる頻度を少なくすることで、従来例と比較して消費電力が小さくなる。さらに、圧力発生手段で圧力を発生させる頻度を少なくすることで、圧力発生手段からの発熱量が減少し、共通流路に対する吐出液室の位置の違いによる吐出液の温度が小さくなるため、吐出特性の差を小さくすることができ、吐出特性の良好な液滴吐出ヘッドを実現できる。
(態様B)
インク滴等の液滴を吐出するノズル孔20等の吐出孔と、吐出孔により外部と連通し、かつ、液滴となる吐出液を収容する個別液室14等の吐出液室と、吐出液室内に圧力を発生させる圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段と、からなる吐出CH等の液滴吐出機構を複数備え、複数の液滴吐出機構のそれぞれの吐出液室に連通し、吐出液室に供給する吐出液が通過する共通液室18等の共通流路と、共通流路に吐出液を供給する供給口102b等の液供給口と、複数の液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御部508等の駆動制御手段とを備え、駆動制御手段が、吐出孔から液滴を吐出するような圧力を発生させる吐出動作と、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作とを行うように液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する記録ヘッド51等の液滴吐出ヘッドにおいて、共通流路内における吐出液の通過経路の上流側で共通流路に連通する吐出液室(供給口102b付近の個別液室14等)内に圧力を発生させる圧力発生手段の微駆動動作よりも、共通流路内における吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室(供給口102bから離れた位置の個別液室14等)内に圧力を発生させる圧力発生手段の微駆動動作の方が、発生させる圧力が小さい。これによれば、上記実施例2について説明したように、上流側の吐出液に対して十分な攪拌を行いつつ、下流側の吐出液が漏れることを防止できるため、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができる。また、微駆動動作時に、下流側の吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段で発生させる圧力を小さくすることで、従来例と比較して消費電力が小さくなる。さらに、圧力発生手段で発生させる圧力を小さくすることで、圧力発生手段からの発熱量が減少し、共通流路に対する吐出液室の位置の違いによる吐出液の温度が小さくなるため、吐出特性の差を小さくすることができ、吐出特性の良好な液滴吐出ヘッドを実現できる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)の態様において、共通液室18等の共通流路内におけるインク液等の吐出液の通過経路の上流側で共通流路に連通する個別液室14等の吐出液室内に圧力を発生させる圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段の微駆動動作よりも、共通流路内における吐出液の通過経路の下流側で共通流路に連通する吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度が少なく、且つ、発生させる圧力が小さい。これによれば、上記実施例2について説明したように、上流側の吐出液に対して十分な攪拌を行いつつ、下流側の吐出液が漏れることを防止できるため、吐出孔から液滴を吐出させないで吐出液室内の吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を安定して行うことができる。また、微駆動動作時に、下流側の吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段で発生させる圧力を小さく、且つ、発生させる頻度を少なくすることで、従来例と比較して消費電力が小さくなる。さらに、圧力発生手段で発生させる圧力を小さく、且つ、発生させる頻度を少なくすることで、圧力発生手段からの発熱量が減少し、共通流路に対する吐出液室の位置の違いによる吐出液の温度が小さくなるため、吐出特性の差を小さくすることができ、吐出特性の良好な液滴吐出ヘッドを実現できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)の何れかの態様において、複数の吐出CH等の液滴吐出機構を二つ以上のグループに分け、同じグループに含まれる液滴吐出機構の微駆動動作は同様の動作となるように制御し、第一グループG1等のあるグループに含まれる液滴吐出機構は、第二グループG2等の少なくとも一つの他のグループに含まれる液滴吐出機構とは微駆動動作の動作が異なる。これによれば、上記実施例3について説明したように、個別の液滴吐出機構毎に微駆動動作の制御を行うものに比べて、駆動制御部508等の駆動制御手段での処理を簡略化することができ、微駆動動作を安定化、消費電力の低減、吐出特性の差の低減に効果があるとともに、駆動制御手段での処理を迅速に行うことができる。
(態様E)
インク滴を吐出する記録ヘッド51等のインクジェットヘッドを搭載したインクジェット方式のプリンタ100等の画像形成装置において、インクジェットヘッドとして(態様A)乃至(態様C)の何れかの態様の液滴吐出ヘッドを用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、インクジェットヘッドの微駆動動作が安定することにより、不良画像の発生を防止でき、高品質の画像形成を行うことができる。
1 液室基板
2 ノズル基板
3 保護基板
4 シリコン基板
14 個別液室
18 共通液室
20 ノズル孔
21a メニスカス
51 記録ヘッド
55 振動板層
56 圧電素子
100 プリンタ
101 キャリッジ
102b 供給口
151 下部電極層
152 圧電体層
153 上部電極層
154 配線部材
154a 第一配線部材
154b 第二配線部材
155 層間絶縁膜
156 パッシベーション膜
157 下部電極パッド部
158 上部電極パッド部
200 圧電アクチュエータ
230 給紙トレイ
500 制御部
508 駆動制御部
509 ヘッドドライバ
701 駆動波形生成部
702 データ転送部
711 シフトレジスタ
712 ラッチ回路
713 デコーダ
714 レベルシフタ
715 アナログスイッチ
MN 滴制御信号
P 駆動信号
Ve 基準電位
特開平10−100401号公報 特開平2−289351号公報 特許第3384452号公報 特開2011−37241号公報

Claims (10)

  1. 液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる液滴吐出機構を複数備え、
    複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、
    該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、
    複数の該液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
    該駆動制御手段が、該吐出孔から液滴を吐出するような圧力を発生させる吐出動作と、該吐出孔から液滴を吐出させないで該吐出液室内の該吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作とを行うように該液滴吐出機構の該圧力発生手段の駆動を制御する液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度が少ないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記圧力発生手段に微駆動動作を行わせる微駆動用の駆動信号を含む複数の駆動信号で構成される駆動波形から、任意の駆動信号を選択し、選択した駆動信号を該圧力発生手段へ印加する選択手段を有し、
    上記選択手段は、上記通過経路の上流側で上記共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度が少なくなるように、上記駆動波形から、上記微駆動用の駆動信号を選択することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項2の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記駆動波形は、1駆動周期内に、非駆動を行う非駆動信号を含み、
    上記選択手段は、上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段に上記微駆動動作を行わせるときに、該圧力発生手段に対して、該1駆動周期毎に、上記微駆動用の駆動信号と上記非駆動信号とを交互に印加することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる液滴吐出機構を複数備え、
    複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、
    該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、
    複数の該液滴吐出機構の圧力発生手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
    該駆動制御手段が、該吐出孔から液滴を吐出するような圧力を発生させる吐出動作と、該吐出孔から液滴を吐出させないで該吐出孔内も含む該吐出液室内の該吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作とを行うように該液滴吐出機構の該圧力発生手段の駆動を制御する液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、発生させる圧力が小さいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項4の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記圧力発生手段に微駆動動作を行わせる微駆動用の駆動信号を含む複数の駆動信号で構成される駆動波形から、任意の駆動信号を選択し、選択した駆動信号を該圧力発生手段へ印加する選択手段を有し、
    上記駆動波形は、振幅が異なる微駆動用の駆動信号を少なくとも二つ含み、
    上記選択手段は、上記通過経路の上流側で上記共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、発生させる圧力が小さくなるように、上記駆動波形から、上記微駆動用の駆動信号を選択することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度が少なく、且つ、発生させる圧力が小さいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、
    複数の上記液滴吐出機構を二つ以上のグループに分け、同じグループに含まれる該液滴吐出機構の上記微駆動動作は同様の動作となるように制御し、あるグループに含まれる該液滴吐出機構は、少なくとも一つの他のグループに含まれる該液滴吐出機構とは該微駆動動作の動作が異なることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出方式の画像形成装置において、
    上記液滴吐出ヘッドとして請求項1乃至の何れかに記載の液滴吐出ヘッドを用いることを特徴とする画像形成装置。
  9. 液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、
    複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、
    該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、を備える液滴吐出ヘッドにおける該吐出孔から液滴を吐出させないで該吐出液室内の該吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を行わせる液滴吐出ヘッドの駆動方法において、
    上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、圧力を発生させる頻度を少なくすることを特徴と特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  10. 液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、
    複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、
    該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、を備える液滴吐出ヘッドにおける該吐出孔から液滴を吐出させないで該吐出液室内の該吐出液を振動させるような圧力を発生させる微駆動動作を行わせる液滴吐出ヘッドの駆動方法において、
    上記共通流路内における上記吐出液の通過経路の上流側で該共通流路に連通する上記吐出液室内に圧力を発生させる上記圧力発生手段の微駆動動作よりも、該共通流路内における該吐出液の通過経路の下流側で該共通流路に連通する該吐出液室内に圧力を発生させる該圧力発生手段の微駆動動作の方が、発生させる圧力を小さくすることを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
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