JP2014056953A - キャパシタ用セパレータ及びキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、抄紙安定性に優れ、薄くて均一性が高く、内部抵抗上昇率が低く、容量維持率が高いキャパシタ用セパレータ及びそれを用いてなるキャパシタを提供することにある。
【解決手段】変法濾水度が20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.50〜0.79mmである溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなる紙であることを特徴とするキャパシタ用セパレータ。
【選択図】なし
【解決手段】変法濾水度が20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.50〜0.79mmである溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなる紙であることを特徴とするキャパシタ用セパレータ。
【選択図】なし
Description
本発明は、キャパシタ用セパレータ及びキャパシタに関する。
近年、携帯型電子機器の発達により、それらの電子機器に搭載されるキャパシタも小型化が進んでいる。従来、電気二重層キャパシタには、セルロースからなる紙セパレータやガラスなどの無機繊維を主体とするセパレータが使用されている。また、再生セルロースや溶剤紡糸セルロース繊維を含有する紙セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタ(例えば、特許文献1〜4参照)やセルロース系繊維織布又は不織布から構成されたキャパシタ用セパレータ(例えば、特許文献5参照)が開示されている。さらに、最大繊維太さが1000nm以下のセルロース繊維からなるセパレータ(例えば、特許文献6参照)、特定範囲の平均繊維径を有するセルロース繊維と、特定の平均繊維径を有するポリオレフィンとを含む、厚み20μm以下の不織布からなるセパレータ(例えば、特許文献7参照)、無機繊維と無機バインダーのみからなるセパレータ(例えば、特許文献8参照)が開示されている。特性範囲の変法濾水度を有する溶剤紡糸セルロース繊維と合成繊維からなるセパレータ(例えば、特許文献9参照)が開示されている。
特許文献1〜4のセパレータは、叩解が進みすぎて、セルロース繊維の平均繊維長が短い場合は、繊維同士の絡み合いが不十分になるため、抄紙網への繊維取られが生じ、湿紙のフェルトへの転写不良が生じることや、透けやピンホールが生じることがあった。逆に、叩解が甘く、平均繊維長が長い場合は、太い繊維が多数含まれるため、もこついた地合になり、粗密斑ができるため、キャパシタ特性のばらつきが大きくなる問題があった。
特許文献1の実施例で使用されている紙セパレータの厚みは40μmと50μmであり、小型、薄型化が要求される用途の電気二重層キャパシタには不十分であった。特許文献1及び2のセパレータは、麻パルプを多く含有する場合は、麻パルプが皮膜を形成しやすく、繊維間の空隙を閉塞してしまう問題があった。麻パルプの含有量が少ない場合は、ピンホールが生じやすい問題があった。
特許文献3には、叩解されてなる再生セルロース繊維を10質量%以上含み、特定範囲の厚み、且つ特定範囲の密度、且つ特定範囲の引張強度を有する紙をセパレータとして用いることが開示されているが、再生セルロース繊維以外のセルロースについての記載がなく、特定範囲の厚み、密度、引張強度を同時に達成する方法について開示されていない。叩解されてなる再生セルロース繊維以外のセルロース成分が主体あるいは大半を占める場合は、そのセルロース成分の物理的、化学的特性の影響を無視することはできないが、該文献はこれらに関する技術態様を欠いている。また、実施例では、厚み60μm以上のセパレータしか示されていない。特許文献4におけるセパレータについても、叩解されてなる再生セルロース繊維以外の材料、構成比率についての記載がない。
特許文献5のセパレータは、再生セルロースの連続長繊維からなる場合は、地合斑や粗密斑ができやすく、厚みを薄くするほど地合斑が顕著になる問題があった。また、連続長繊維ではない不織布の場合は、溶剤紡糸セルロース繊維の叩解度と平均繊維長とフェルトへの転写性の関係について考慮されていない。実施例で用いられている溶剤紡糸セルロース繊維は、叩解度が弱めであるため、繊維同士の絡み合いが不十分になり、ピンホールが生じやすい。そのため、実施例では25g/m2という高坪量、且つ、高密度(低空孔率)のセパレータしか示されていない。特許文献6のセパレータは、微細なセルロース繊維のみで構成されるが、通常の乾燥方法では、セルロース繊維同士が結着して皮膜を形成するなどして繊維間の空隙が閉塞されてしまうため、湿紙の水分を有機溶媒に置換して低温乾燥させなければならないという制約があった。湿紙の水分を有機溶媒に置換する工程は時間がかかることと、溶媒置換により経時でバット内の有機溶媒の濃度が低くなっていき、経時で置換効率が低下するため、大量の湿紙を連続で処理することは難しく、バッチ式で作業せざるを得ず、巻き取りでの製造が困難という問題があった。
紙セパレータとして、例えば、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維と麻パルプからなる場合は、麻パルプの混抄率が多くなると、麻パルプが皮膜を形成し、セパレータの空隙を閉塞してしまう問題があった。逆に麻パルプの混抄率が少ないと、ピンホールが生じやすい問題があった。例えば、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維とエスパルトパルプからなる場合は、エスパルトパルプが堅く、繊維同士の絡み合いが少なくなるため、地合が不均一でピンホールが生じやすい問題があった。
特許文献7のセパレータは、ポリオレフィン繊維の含有量が多くなるほどセパレータの耐熱性が悪くなり、キャパシタの製造工程において高温乾燥させると収縮やぼこつきが生じるため、キャパシタセルの乾燥温度を低くせざるを得ず、キャパシタの製造効率が悪いという問題があった。特許文献8のセパレータは、無機繊維と無機バインダーのみからなるため折れ曲げに弱く、厚みを薄くすることが難しく、キャパシタの小型化や薄型化に限界があった。
特許文献9のセパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維に対して合成繊維が太く、剛直であるため、カレンダー処理などによりセパレータを高密度に仕上げると、合成繊維が押圧されてセルロース繊維を切断してしまい、セパレータに繊維状の亀裂や割れが生じる場合があった。
従来、リチウムイオンキャパシタには、紙セパレータ、ポリエチレンやポリプロピレンからなる多孔質フィルムや不織布が使用されている。紙セパレータについては、厚みを薄くしていくと、ピンホールができやすくなり耐電圧(絶縁破壊電圧)が低くなる問題、セル中で脱落した電極活物質が貫通して内部短絡しやすくなる問題があった。リチウムイオンキャパシタは、充電に伴って発熱する。何らかの事情により、著しく過充電された場合には高温になり、ポリエチレンやポリプロピレンからなる多孔質フィルムや不織布は溶融してしまうことがあった。
本発明の課題は、抄紙安定性に優れ、薄くて均一性に優れ、内部抵抗の低いキャパシタ用セパレータ及びそれを用いてなるキャパシタを提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定範囲の変法濾水度、且つ、特定範囲の平均繊維長を有する溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維を用いることにより、抄紙安定性に優れ、薄くて均一性が高く、内部抵抗の低いキャパシタ用セパレータを実現できることを見出した。
本発明のキャパシタ用セパレータは、変法濾水度が20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.50〜0.79mmである溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなる紙であるため、抄紙網への繊維取られが生じにくく、湿紙をフェルトへ転写させやすく、抄紙安定性に優れ、薄くて均一性が高い。また、セルロース繊維同士が密着しすぎることによって、空隙が閉塞されることが抑制されるため、セパレータを介して電極間のイオン移動が円滑になり、内部抵抗上昇率が低く、漏れ電流が小さいキャパシタを得ることができる。
本発明において、「セパレータ」と表記する場合は、キャパシタ用セパレータを意味する。本発明において、「所定の溶剤紡糸セルロース繊維」と表記する場合は、変法濾水度が20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.50〜0.79mmである溶剤紡糸セルロース繊維を意味する。「溶剤紡糸セルロース短繊維」とは、叩解されていない溶剤紡糸セルロース繊維を意味する。
本発明におけるキャパシタとは、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタを指す。
電気二重層キャパシタは、電極と電解液との界面に電気二重層が形成され、蓄電される。電極は、一対の電気二重層型電極、一方が電気二重層型電極で、もう片方が酸化還元型電極の組み合わせの何れでも良い。電気二重層型電極としては、活性炭や非多孔性炭素、黒鉛などの炭素材料からなる電極が挙げられる。ここで、非多孔性炭素とは、活性炭とは製法が異なり、黒鉛に類似の微結晶炭素を有する炭素を指す。活性炭の場合は、充放電に伴って細孔にイオンが入ったり出たりするが、非多孔性炭素の場合は、微結晶炭素の層間にイオンが入ったり出たりする。電極活物質としては、活性炭、カーボンブラック、カーボンエーロゲル、カーボンナノチューブ、非多孔性炭素などの炭素材料が主に用いられる。対となる電気二重層型電極は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。酸化還元型電極としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアセン、インドール三量体、ポリフェニルキノキサリン、これらの誘導体(例えば、ポリフルオロフェニルチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)など)などの導電性高分子や金属錯体高分子、酸化ルテニウム、酸化インジウム、酸化タングステンなどの金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ハイブリッドキャパシタとは、キャパシタ(非ファラデー反応)と電池反応(ファラデー反応)とを折衷させ、正極か負極のどちらかにファラデー反応を利用したキャパシタである。ファラデー反応には電位平坦性があるが、非ファラデー反応には電位平坦性はないため、ハイブリッドキャパシタ自体には電圧平坦性は現れない。電極活物質としては、例えば、活性炭、カーボンブラック、カーボンエーロゲル、カーボンナノチューブ、非多孔性炭素、イオン吸蔵炭素、二酸化マンガン、コバルト酸リチウム、酸化ルテニウム、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
リチウムイオンキャパシタは、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンが担持されてなるキャパシタである。負極活物質としては、例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、ポリアセン系有機半導体、チタン酸リチウムなどが挙げられる。正極活物質としては、例えばポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの導電性高分子、活性炭、ポリアセン系有機半導体などが挙げられる。
レドックスキャパシタは、蓄電と放電の機構が、電極活物質の酸化還元、電極表面でのイオンの吸脱着、電気二重層における充放電のすべてあるいは一部を利用してなるものである。電極活物質としては、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化コバルトなどの金属酸化物、これら金属酸化物の複合物、これら金属酸化物の水和物、これら金属酸化物と炭素材料との複合物、窒化モリブデン、窒化モリブデンと金属酸化物との複合物などが挙げられる。
電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタに用いられる電解液としては、イオン解離性の塩を溶解させた水溶液、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルソルブ、これらの混合溶媒などの有機溶媒にイオン解離性の塩を溶解させたもの、イオン性液体(固体溶融塩)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる溶剤紡糸セルロース繊維とは、セルロース誘導体を経ずに、直接、有機溶剤に溶解させて紡糸して得られるセルロース繊維を意味する。JIS L0204−2では、この繊維の名称として「リヨセル」という用語が用いられている。本発明では、様々な変法濾水度と長さ加重平均繊維長の溶剤紡糸セルロース繊維を作製し、転写性と緻密性の関係を調査した結果、変法濾水度20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長0.50〜0.79mmの溶剤紡糸セルロース繊維は、緻密性に優れるが、抄紙網への繊維取られが生じやすく、フェルトへ転写させにくいことが判明した。これに溶剤紡糸セルロース短繊維を混合抄紙することにより、緻密性を保持しながら転写性を改善できることを見出した。変法濾水度が20ml未満又は長さ加重平均繊維長が0.50mm未満では、抄紙網への繊維取られが生じ、フェルトへの転写ができない問題や透けやピンホールができる問題が発生する。変法濾水度が70ml超又は長さ加重平均繊維長が0.79mm超では、緻密性に劣り、15g/m2程度まで紙の坪量を軽くすると、ピンホールが生じる問題が発生する。
溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度は、40〜65mlがより好ましい。長さ加重平均繊維長は0.60〜0.70mmがより好ましい。所定の溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布は、ピークが1つでも良く、2つ以上あっても良い。
本発明における変法濾水度は、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの金網(PULP AND PAPER RESEARCH INSTITUTE OF CANADA製)を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度である。本発明において、変法濾水度を採用する理由は、1つはJIS P8121で規定されるカナダ標準型濾水度が数十〜0ml近辺で、叩解度の差をこれ以上判別できない試料の叩解度を明確にできるからであり、もう1つは叩解によって繊維長が短くなり、カナダ標準濾水度の計測で使用するふるい板の孔をパルプ試料がすり抜けてしまい、正確な濾水度を計測できない試料の叩解度を明確にできるからである。
長さ加重平均繊維長は、繊維にレーザー光を当てて得られる偏光特性を利用して求める市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。本発明では、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じてKajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。溶剤紡糸セルロース繊維の「長さ加重平均繊維長」とは、上記に従って測定・算出される「長さ加重平均繊維長」を意味する。
本発明における所定の溶剤紡糸セルロース繊維は、リファイナー、ビーター、ビートファイナー、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、高圧ホモジナイザーなどに通して、刃の形状、試料濃度、流量、処理回数、処理速度などの条件を調節して作製される。
本発明に用いられる溶剤紡糸セルロース短繊維の繊維長は1〜10mmが好ましく、3〜6mmがより好ましく、3〜5mmがさらに好ましい。1mm未満だと、繊維同士の絡み合いが不十分になる場合がある。10mm超だと、繊維の拠れやダマが生じる場合がある。繊度は0.1〜2.0dtexが好ましい。
本発明のセパレータに係わる紙中における所定の溶剤紡糸セルロース繊維の含有率は80〜97質量%が好ましく、85〜95質量%がより好ましい。溶剤紡糸セルロース短繊維の含有率は3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。所定の溶剤紡糸セルロース繊維の含有率が80質量%未満だと、セパレータにピンホールができる場合がある。97質量%超だと、湿紙がフェルトへ転写しにくい場合がある。溶剤紡糸セルロース短繊維の含有率が3質量%未満だと、湿紙がフェルトへ転写しにくい場合がある。20質量%超だと、紙の引張強度が不十分になる場合がある。
本発明のセパレータに係わる紙は、抄紙法で製造される。具体的には、繊維を水に分散して均一なスラリーとし、このスラリーを抄紙機で漉き上げて作製する。スラリーには、必要に応じて分散助剤、消泡剤、増粘剤、凝集剤、紙力増強剤、剥離剤などの薬品を添加しても良い。抄紙機としては、円網、長網、傾斜型、傾斜短網等の抄紙網を単独で使用する抄紙機や、これらの抄紙網を複数組み合わせた複合抄紙機が挙げられる。紙の坪量は8.0〜20.0g/m2が好ましく、9.0〜18.0g/m2がより好ましい。坪量が8.0g/m2未満だと、ピンホールが生じる場合がある。20.0g/m2超だと、セパレータの厚みを薄くしにくくなる場合がある。
本発明の紙は、抄紙後に必要に応じてカレンダー処理して厚みを調整すれば良い。厚みは、10〜30μmが好ましく、14〜25μmがより好ましい。厚みが10μm未満だと、ピンホールが生じる場合や、密度が高くなりすぎて、セパレータの電気抵抗が高くなる場合がある。厚みが30μm超だと、キャパシタの小型化や薄型化が不十分になる場合がある。カレンダー処理は、常温でも良く、加熱して実施しても良い。
本発明のセパレータは、空孔率が50〜75%であることが好ましく、56〜70%がより好ましい。空孔率が50%未満だと、電解液保持性が不十分になり、内部抵抗が高くなる場合がある。75%超だと、セパレータの強度が不十分になる場合がある。
本発明のセパレータは、透気度が1.0〜20.0s/100mlであることが好ましく、2.0〜15.0s/100mlであることがより好ましい。1.0s/100ml未満だと、ピンホールが生じる場合がある。20.0s/100ml超だと、電解液の浸透性が不十分になる場合がある。
本発明のセパレータは、引張強度が3.0N/15mm以上であることが好ましく、4.0N/15mm以上であることが好ましい。3.0N/15mm未満だと、巻回時などにセパレータが切断してしまう場合がある。
本発明のセパレータは、ASTM−F316−86で規定される最大孔径が0.50〜5.00μmであることが好ましく、0.50〜3.00μmであることがより好ましい。0.50μm未満だと、電解液浸透性が悪くなる場合がある。5.00μmより大きいと、セパレータにピンホールができる場合がある。本発明のセパレータの平均孔径は、0.20〜0.90μmが好ましく、0.30〜0.75μmがより好ましい。平均孔径が0.20μm未満だと、電解液浸透性が悪くなる場合がある。0.90μm超だと、セパレータにピンホールができる場合がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
表1に実施例及び比較例で用いた溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度、長さ加重平均繊維長、カナダ型標準濾水度を示した。カナダ型標準濾水度は、JIS P8121に準拠して測定した。比較例で用いたマニラ麻パルプ及びエスパルトパルプ(P1及びP2)の長さ加重平均繊維長とカナダ型標準濾水度を示した。F1〜F5は、溶剤紡糸セルロース短繊維(繊度1.7dtex、繊維長4mm、コートルズ社製)を原料とし、ダブルディスクリファイナーを用いて叩解し、叩解時間を変えて作製した。F6は、溶剤紡糸セルロース短繊維(繊度1.7dtex、繊維長4mm、コートルズ社製)を、F7は、マニラ麻短繊維(繊維径約10μm、繊維長4mm)を意味する。マニラ麻パルプ、エスパルトパルプもダブルディスクリファイナーを用いて叩解して作製した。S1は、ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度0.6dtex、繊維長5mm、帝人ファイバー製)を意味する。
表2に実施例及び比較例で用いた抄紙用スラリーを示した。表2中の「原料」の記号は、表1の「記号」に該当する。
実施例1〜5
パルパーを用いてスラリー1〜5を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例1〜5のセパレータを作製した。
パルパーを用いてスラリー1〜5を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例1〜5のセパレータを作製した。
比較例1〜9
パルパーを用いてスラリー6〜14を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、比較例1〜9のセパレータを作製した。
パルパーを用いてスラリー6〜14を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、比較例1〜9のセパレータを作製した。
[評価]
実施例及び比較例のセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。表3中の「−」は該当なしを意味する。
実施例及び比較例のセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。表3中の「−」は該当なしを意味する。
<転写性>
セパレータの抄紙時に、抄紙網への繊維取られはほとんどないか少なく、安定して転写できた場合を「○」、抄紙網への繊維取られがやや多かったが、安定して転写できた場合を「△」、抄紙網の全面又は大部分に連続的に繊維取られが発生して安定して湿紙をフェルトに転写することができなかった場合を「×」とした。
セパレータの抄紙時に、抄紙網への繊維取られはほとんどないか少なく、安定して転写できた場合を「○」、抄紙網への繊維取られがやや多かったが、安定して転写できた場合を「△」、抄紙網の全面又は大部分に連続的に繊維取られが発生して安定して湿紙をフェルトに転写することができなかった場合を「×」とした。
<厚み>
JIS P8118に準拠して厚みを測定し、その平均値を算出した。
JIS P8118に準拠して厚みを測定し、その平均値を算出した。
<密度>
JIS P8124に準拠してセパレータの坪量を測定し、坪量を厚みで除して100倍した値を密度とした。
JIS P8124に準拠してセパレータの坪量を測定し、坪量を厚みで除して100倍した値を密度とした。
<ピンホール>
セパレータの裏側から光を当て、セパレータにピンホールがあるかどうかを目視で判定した。ピンホールがある場合を「あり」、ない場合を「なし」とした。
セパレータの裏側から光を当て、セパレータにピンホールがあるかどうかを目視で判定した。ピンホールがある場合を「あり」、ない場合を「なし」とした。
<空孔率>
セパレータの空孔率は、セパレータの比重からセパレータの密度を差し引いて得られる値をセパレータの比重で除した後100倍して算出した。実施例1〜5、比較例1、6、7、9のセパレータの比重については、セルロース繊維の比重1.5とした。比較例8のセパレータの比重については、ポリエチレンテレフタレート繊維の比重を1.38として、セルロース繊維とポリエチレンテレフタレート繊維の配合率に従って算出した。
セパレータの空孔率は、セパレータの比重からセパレータの密度を差し引いて得られる値をセパレータの比重で除した後100倍して算出した。実施例1〜5、比較例1、6、7、9のセパレータの比重については、セルロース繊維の比重1.5とした。比較例8のセパレータの比重については、ポリエチレンテレフタレート繊維の比重を1.38として、セルロース繊維とポリエチレンテレフタレート繊維の配合率に従って算出した。
<透気度>
外径28.6mmの円孔を有するガーレー透気度計を用いて、各セパレータにつき巾方向に10箇所のガーレー透気度を測定し、その平均値を示した。ガーレー透気度はJIS P8117に準拠して測定した。
外径28.6mmの円孔を有するガーレー透気度計を用いて、各セパレータにつき巾方向に10箇所のガーレー透気度を測定し、その平均値を示した。ガーレー透気度はJIS P8117に準拠して測定した。
<引張強度>
セパレータを15mm幅、250mm長に切りそろえた。250mm長は紙の流れ方向とした。試験片の上下を卓上型材料試験機(オリエンテック製)のチャックに100mm間隔で固定し、100mm/minの一定速度で試験片が切断するまで引き上げていったときの最大荷重とした。1つのセパレータにつき、5本以上の試験片を測定し、その平均値を示した。
セパレータを15mm幅、250mm長に切りそろえた。250mm長は紙の流れ方向とした。試験片の上下を卓上型材料試験機(オリエンテック製)のチャックに100mm間隔で固定し、100mm/minの一定速度で試験片が切断するまで引き上げていったときの最大荷重とした。1つのセパレータにつき、5本以上の試験片を測定し、その平均値を示した。
<平均孔径>
孔径測定装置(PMI製、装置名:パームポロメーター(CFP−1500−A))を用いてセパレータの孔径分布を求め、得られた平均孔径を示した。
孔径測定装置(PMI製、装置名:パームポロメーター(CFP−1500−A))を用いてセパレータの孔径分布を求め、得られた平均孔径を示した。
<均一性>
セパレータの裏側から光を当てて目視で観察し、地合の均一性が良好なものを「○」、ピンホールが生じるほどの地合のもこつきや粗密斑があるもの、又は、繊維状の亀裂や割れがあるものを「×」とした。
セパレータの裏側から光を当てて目視で観察し、地合の均一性が良好なものを「○」、ピンホールが生じるほどの地合のもこつきや粗密斑があるもの、又は、繊維状の亀裂や割れがあるものを「×」とした。
<電気二重層キャパシタ>
[電極の作製]
ポリフッ化ビニリデン10質量部をN−メチル−2−ピロリドン90質量部に溶解し、これにフェノール樹脂を出発原料とする平均粒径5.0μm、比表面積2000m2/gの粉末状活性炭80質量部と、平均粒径200nmのアセチレンブラック10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン300質量部を添加し、混合撹拌機にて十分混合して、電極スラリーを得た。塩酸により表面をエッチング処理した厚み30μmのアルミニウム箔集電体に、アプリケータを用いて上記の電極スラリーを塗布・乾燥した後に、ロールプレス装置を用いてプレス処理を行い、厚み150μmの電極を作製した。
[電極の作製]
ポリフッ化ビニリデン10質量部をN−メチル−2−ピロリドン90質量部に溶解し、これにフェノール樹脂を出発原料とする平均粒径5.0μm、比表面積2000m2/gの粉末状活性炭80質量部と、平均粒径200nmのアセチレンブラック10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン300質量部を添加し、混合撹拌機にて十分混合して、電極スラリーを得た。塩酸により表面をエッチング処理した厚み30μmのアルミニウム箔集電体に、アプリケータを用いて上記の電極スラリーを塗布・乾燥した後に、ロールプレス装置を用いてプレス処理を行い、厚み150μmの電極を作製した。
[電気二重層キャパシタの作製]
電極を30mm×50mm角に2枚カッティングし、実施例1〜5及び比較例1、6〜9のセパレータが電極間に介するようにそれぞれ積層した。これをアルミニウム製収納袋に収納し、150℃で10時間真空加熱を行った後、アルミニウム製収納袋内に電解液を注入し、注入口を密栓して実施例1〜5及び比較例1、6〜9の電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、プロピレンカーボネートに1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたものを用いた。
電極を30mm×50mm角に2枚カッティングし、実施例1〜5及び比較例1、6〜9のセパレータが電極間に介するようにそれぞれ積層した。これをアルミニウム製収納袋に収納し、150℃で10時間真空加熱を行った後、アルミニウム製収納袋内に電解液を注入し、注入口を密栓して実施例1〜5及び比較例1、6〜9の電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、プロピレンカーボネートに1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたものを用いた。
<内部抵抗上昇率>
実施例1〜5、比較例1、6〜9の電気二重層キャパシタに対し、70℃、2.7Vの負荷試験を2000時間行い、初期内部抵抗に対する2000時間後の内部抵抗の上昇率を算出した。
実施例1〜5、比較例1、6〜9の電気二重層キャパシタに対し、70℃、2.7Vの負荷試験を2000時間行い、初期内部抵抗に対する2000時間後の内部抵抗の上昇率を算出した。
<容量維持率>
実施例1〜5、比較例1、6〜9の電気二重層キャパシタを用い、充電電流200mAで2.7Vまで定電流充電し、2.7V到達後、1時間定電圧充電した。充電完了後、25℃、放電電流200mAで0Vまで放電したときの静電容量を初期容量とした。次いで、60℃、電流1Aで1000時間充放電を繰り返し、初期容量に対する1000時間後の静電容量の割合を算出し、容量維持率とした。
実施例1〜5、比較例1、6〜9の電気二重層キャパシタを用い、充電電流200mAで2.7Vまで定電流充電し、2.7V到達後、1時間定電圧充電した。充電完了後、25℃、放電電流200mAで0Vまで放電したときの静電容量を初期容量とした。次いで、60℃、電流1Aで1000時間充放電を繰り返し、初期容量に対する1000時間後の静電容量の割合を算出し、容量維持率とした。
実施例1〜5のセパレータは、変法濾水度20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長0.50〜0.79mmの溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなる紙であるため、湿紙のフェルトへの転写性が良く、抄紙安定性に優れていた。また、ピンホールがなく、薄くて均一性が高く、該セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗上昇率が低く、容量維持率が高く優れていた。
比較例1のセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなり、転写性は良好だったが、溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が70ml超で、且つ、長さ加重平均繊維長が0.79mm超であるため、緻密性が不十分であり、ピンホールがない状態で厚みを薄くすることができず、平均孔径は実施例1〜5より大きく、所定の溶剤紡糸セルロース繊維を用いた同様の配合率である実施例2よりも強度が弱く、該セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗上昇率が高めで、容量維持率がやや低かった。
比較例2〜4のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維のみからなるため、抄紙網への繊維取られが多く、湿紙のフェルトへの転写が不安定になり、安定して抄紙することができなかったため、評価することができなかった。
比較例5のセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなるが、溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が20ml未満で、且つ、長さ加重平均繊維長が0.50mm未満であるため、抄紙網への繊維取られが生じ、湿紙のフェルトへの転写ができず、安定して抄紙することができなかったため、評価することができなかった。
比較例6のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維と麻パルプからなるため、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れており、実施例1〜5より強度は強かったが、麻パルプの一部が皮膜を形成するなどして地合が不均一でピンホールがあり、該セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗上昇率が高く、容量維持率が低かった。
比較例7のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維とエスパルトパルプからなるため、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れていたが、エスパルトパルプが堅く、繊維同士の絡み合いが少ないため、地合が不均一でピンホールがあり、実施例1〜5よりも強度が弱く、該セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗上昇率が高く、容量維持率が低かった。
比較例8のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維とポリエチレンテレフタレート繊維からなり、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れ、ピンホールはなかったが、カレンダー処理時にポリエチレンテレフタレート繊維によってセルロース繊維が切断されて、繊維状の割れが生じたため、実施例1〜5よりも不均一で、該セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗上昇率がやや高めで、容量維持率がやや低かった。
比較例9のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維を含有せず、変法濾水度80mlの溶剤紡糸セルロース繊維とマニラ麻短繊維からなるため、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れていたが、ピンホールが多数あり、地合が不均一で、該セパレータを用いてなる電気二重層キャパシタは、内部抵抗上昇率がやや高めで、容量維持率が低かった。
本発明のキャパシタ用セパレータは、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタ、ハイブリッドキャパシタなどに利用可能である。
Claims (2)
- 下記で定義される変法濾水度が20〜70mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.50〜0.79mmである溶剤紡糸セルロース繊維と溶剤紡糸セルロース短繊維からなる紙であることを特徴とするキャパシタ用セパレータ。
変法濾水度:ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度。 - 請求項1記載のキャパシタ用セパレータを具備してなるキャパシタ。
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