次に、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は本実施形態に係る印刷システムの一例の構成図である。印刷システム1はクライアント端末10、携帯端末11、プリントサーバ12、認証サーバ13、メールサーバ14、1つ以上の画像形成装置15が、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワークN1に接続される構成例を一例として示している。
クライアント端末10は端末装置の一例である。クライアント端末10は一般的なOSなどが搭載された情報処理装置(コンピュータシステム)によって実現できる。クライアント端末10は無線による通信の手段または有線による通信の手段を有する。クライアント端末10は、タブレットPC、ノートPCなど、ユーザが操作可能な端末である。
携帯端末11は端末装置の一例である。携帯端末11は、無線による通信の手段または有線による通信の手段を有している。携帯端末11は、スマートフォンや携帯電話、タブレットPC、ノートPCなど、ユーザが携帯可能な端末である。
プリントサーバ12は印刷制御装置の一例である。プリントサーバ12はWebページを利用したジョブのアップロードや、メールを利用したジョブの送信などにより、クライアントPC10や携帯端末11などからのジョブ投入を受け付ける。プリントサーバ12は受け付けたジョブを、外部のストレージやデータベースに蓄積しても良いし、内部のストレージやデータベースに蓄積しても良い。また、プリントサーバ12は画像形成装置10にジョブ一覧やジョブを提供する。
認証サーバ13は認証装置の一例である。認証サーバ13はログイン要求をクライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15などから受け、ユーザ認証を行う。メールサーバ14は添付ファイルとしてジョブが添付されたメールを受信すると、本文と添付ファイルとに分け、添付ファイルをプリントサーバ12に送信する。この場合、プリントサーバ12は添付ファイルを印刷可能なジョブに変換し、蓄積する。
また、画像形成装置15は出力装置の一例である。画像形成装置15は無線による通信の手段または有線による通信の手段を有する。画像形成装置15は複合機、コピー機、スキャナ、プリンタ、レーザプリンタなど、画像形成に係る処理を行う装置である。
画像形成装置15はプリントサーバ12からジョブ一覧を提供される。また、画像形成装置15はジョブ一覧からユーザに選択されたジョブをプリントサーバ12から取得して印刷する。
なお、本実施形態に係る画像形成装置15はユーザのログイン後、そのユーザが投入したジョブ一覧を提供されると、ジョブ一覧に含まれるジョブのうち、後述するように自機が機器指定されている機器指定印刷のジョブなど、所定のルールを満たすジョブを選択する。画像形成装置15は選択したジョブについて、ジョブ一覧からユーザに選択させることなくプリントサーバ12から取得して印刷を行う。
このように、本実施形態に係る画像形成装置15は後述のルールを満たすジョブであれば、印刷するジョブをジョブ一覧からユーザに選択させるという手順を省くことができるので、印刷までの手順を簡略化できる。なお、画像形成装置15はユーザのログイン後に印刷を行うため、印刷した用紙の取り忘れを防ぐこともでき、セキュリティを向上させることができる。
なお、図1の印刷システム1のプリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14は、一台のコンピュータに統合して実現してもよい。また、プリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14は複数のコンピュータに分散して実現してもよい。
また、プリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14の少なくとも一部の機能を画像形成装置15に設けてもよい。例えば図1の印刷システム1はプリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14の機能の少なくとも一部を画像形成装置15に設けることにより、プリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14の少なくとも一部を削除した構成としてもよい。
<ハードウェア構成>
図1のクライアント端末10、携帯端末11、プリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14は例えば図2に示すようなハードウェア構成のコンピュータシステムにより実現される。図2は本実施形態に係るコンピュータシステムの一例のハードウェア構成図である。
図2に示したコンピュータシステム100は、入力装置101、表示装置102、外部I/F103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、通信I/F107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
入力装置101はキーボードやマウス、タッチパネルなどを含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102はディスプレイなどを含み、コンピュータシステム100による処理結果を表示する。
通信I/F107はコンピュータシステム100をネットワークN1に接続するインタフェースである。これにより、コンピュータシステム100は通信I/F107を介してデータ通信を行うことができる。
HDD108はプログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、例えばコンピュータシステム100全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェアなどがある。HDD108は格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステム及び/又はDB(データベース)により管理している。
外部I/F103は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体103aなどがある。これにより、コンピュータシステム100は外部I/F103を介して記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aにはフレキシブルディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory card)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
ROM105は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、コンピュータシステム100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
CPU106は、ROM105やHDD108などの記憶装置からプログラムやデータをRAM104上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータシステム100全体の制御や機能を実現する演算装置である。
本実施形態に係る図1のクライアント端末10、携帯端末11、プリントサーバ12、認証サーバ13及びメールサーバ14はコンピュータシステム100のハードウェア構成により、後述するような各種処理を実現できる。
図3は本実施形態に係る画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。図3に示した画像形成装置15は、コントローラ201、操作パネル202、外部I/F203、通信I/F204、プリンタ205及びスキャナ206などを備える。
コントローラ201はCPU211、RAM212、ROM213、NVRAM214及びHDD215などを備える。ROM213は、各種プログラムやデータが格納されている。RAM212はプログラムやデータを一時保持する。NVRAM214は、例えば設定情報等が格納されている。また、HDD215は各種プログラムやデータが格納されている。
CPU211は、ROM213やNVRAM214、HDD215などからプログラムやデータ、設定情報等をRAM212上に読み出し、処理を実行することで、画像形成装置15全体の制御や機能を実現する。
操作パネル202はユーザからの入力を受け付ける入力部と、表示を行う表示部とを備えている。外部I/F203は外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体203aなどがある。これにより、画像形成装置15は外部I/F203を介して記録媒体203aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体203aにはICカード、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
通信I/F204は画像形成装置15をネットワークN1に接続するインタフェースである。これにより、画像形成装置15は通信I/F204を介してデータ通信を行うことができる。
プリンタ205は、印刷データを用紙に印刷するための印刷装置である。スキャナ206は原稿から画像データを読み取るための読取装置である。本実施形態に係る画像形成装置15は、上記ハードウェア構成により、後述するような各種処理を実現できる。
<ソフトウェア構成>
《プリントサーバ12》
本実施形態に係るプリントサーバ12は、例えば図4に示す処理ブロックにより実現される。図4は本実施形態に係るプリントサーバの一例の処理ブロック図である。
プリントサーバ12はプログラムを実行することにより、印刷ジョブ受信部21、印刷ジョブ解析部22、印刷ジョブ属性保存部23、ユーザジョブ一覧取得部24、ジョブ送信部25、ユーザ情報取得部26、印刷ジョブ蓄積部27を実現している。
印刷ジョブ受信部21はWebページを利用したジョブのアップロードなどによりクライアントPC10や携帯端末11などからジョブを受信する。例えば印刷ジョブ受信部21はジョブのアップロードに利用するWebページをクライアントPC10や携帯端末11などに送信する。なお、印刷ジョブ受信部21はアプリケーションを利用したジョブのアップロードなどによりクライアントPC10や携帯端末11などからジョブを受信してもよい。
印刷ジョブ解析部22は受信したジョブを必要があれば印刷言語に変換し、そのジョブの印刷属性を取得する。印刷ジョブ属性保存部23はジョブの印刷属性を保存する。このとき印刷ジョブ属性保存部23は機器指定されているかを確認する。機器指定されている場合、印刷ジョブ属性保存部23は印刷属性に機器指定印刷であることを示す情報と、機器を指定する機器指定情報とを追加する。
ユーザ情報取得部26は画像形成装置15からユーザ情報の一例としてユーザIDを取得する。ユーザジョブ一覧取得部24は取得したユーザIDに紐付いたジョブ一覧を印刷ジョブ蓄積部27から取得し、画像形成装置15に送信する。ジョブ送信部25は取得要求のあったジョブを画像形成装置15に送信する。印刷ジョブ蓄積部27はジョブを蓄積する。
《画像形成装置15》
本実施形態に係る画像形成装置15は、例えば図5に示す処理ブロックにより実現される。図5は本実施形態に係る画像形成装置の一例の処理ブロック図である。
画像形成装置15はプログラムを実行することにより、認証情報送信部31、認証結果取得部32、印刷ジョブ取得部33、ジョブ一覧取得部34、判定部35、表示制御部36、入力受付部37、出力部38を実現している。
認証情報送信部31はユーザID、パスワードなどの認証情報を認証サーバ13に送信する。認証結果取得部32は認証サーバ13から認証結果を取得する。印刷ジョブ取得部33はプリントサーバ12にジョブの取得要求を行い、プリントサーバ12からジョブを取得する。ジョブ一覧取得部34はユーザIDをプリントサーバ12に送信し、ユーザIDに紐付いたジョブ一覧をプリントサーバ12から取得する。
判定部35はユーザのログイン後、そのユーザが投入したジョブ一覧をプリントサーバ12から取得すると、ジョブ一覧に含まれるジョブのうち、後述のルールを満たすジョブを、ジョブ一覧からユーザに選択させることなくプリントサーバ12から取得して印刷するジョブと判定する。
表示制御部36は、判定部35がジョブ一覧からユーザに選択させることなくプリントサーバ12から取得して印刷すると判定したジョブを、ジョブ一覧から削除するように更新を行い、更新後のジョブ一覧を表示する。
入力受付部37はタッチパネル接触操作、キーボード入力操作などのユーザ操作による入力を受け付ける。例えば入力受付部37はユーザからユーザID、パスワードなどの認証情報の入力を受け付ける。出力部38は取得したジョブの印刷を行う。
<処理の詳細>
以下では本実施形態に係る印刷システム1の処理の詳細について説明する。なお、本実施形態においては、ユーザがプリントサーバ12にジョブを投入したあと、画像形成装置15からログインすることで、ジョブ一覧から選択されることなく行われるジョブの印刷を機器指定印刷と呼ぶ。また、本実施形態においては、ユーザがプリントサーバ12にジョブを投入し、画像形成装置15からログインしたあと、ジョブ一覧から選択されることにより行われるジョブの印刷を選択印刷と呼ぶ。
《機器指定印刷のルールの設定処理》
印刷システム1で利用する機器指定印刷のルールは、例えば画像形成装置15が有する管理ツールを利用して設定できる。管理ツールは例えば図6に示すようなルール設定画面を操作パネル202などに表示し、管理者に機器指定印刷のルールを設定させる。
図6はルール設定画面の一例のイメージ図である。図6のルール設定画面1000は機器指定印刷のルールとして、ユーザのロケール(所属)のチェック、ジョブの印刷属性のチェック、タイトルのチェックなどを設定できる。
ユーザのロケールのチェックは、画像形成装置15に設定されているロケールとユーザに設定されているロケールとを比較し、ロケールが異なる場合に機器指定印刷を行わなくするルールである。
ジョブの印刷属性のチェックは、投入されたジョブの印刷属性に制約事項を設けるためのルールである。例えばジョブの印刷属性のチェックは、投入されたジョブの印刷属性がカラーや片面印刷など、TCO(Total Cost of Ownership)削減に反している場合に機器指定印刷を行わなくするルールである。
タイトルのチェックは、投入されたジョブのタイトルに制約事項を設けるためのルールである。例えばタイトルのチェックは投入されたジョブのタイトルに予め設定されていたフリーワードの文字列(予約語)が入っている場合に機器指定印刷を行わなくするルールである。
ルール設定画面1000から設定された機器指定印刷のルールは画像形成装置15により保持される。なお、機器指定印刷のルールは、管理者が図示しない管理者端末から管理ツールを利用して設定し、管理者端末から画像形成装置15に配信してもよい。ルール設定画面1000は一例であり、ユーザのロケール(所属)のチェック、ジョブの印刷属性のチェック、タイトルのチェック以外の機器指定印刷のルールを設定できてもよい。
《画像形成装置15からの認証処理》
図7は画像形成装置からの認証処理を表した一例のフローチャートである。ステップS1において、画像形成装置15はユーザIDの入力を受け付ける。また、ステップS2において、画像形成装置15はパスワードの入力を受け付ける。画像形成装置15は操作パネル202からユーザID、パスワードの入力を受け付けてもよいし、外部I/F203を介して磁気カードやICカードなどの記録媒体203aから読み取ったユーザID、パスワードを受け付けてもよい。
ステップS3において、認証情報送信部31はユーザID、パスワードを認証情報として認証サーバ13に送信する。ステップS4において、認証サーバ13はユーザID、パスワードを認証情報として受信する。
ステップS5において、認証サーバ13は例えば図8に示すユーザ情報を用いて認証を行う。図8はユーザ情報の一例の構成図である。図8のユーザ情報は、ユーザID、パスワード、ロケール、機器指定情報、メールアドレス、印刷権限を項目として有する。機器指定情報は、機器指定印刷を行う機器を指定する情報である。なお、ユーザ情報には例えばAD(Active Directory)やLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)などの通常の認証サーバで設定できる内容も設定できる。
認証サーバ13は認証情報として受信したユーザID、パスワードがユーザ情報に存在するかを判定するユーザ認証を行う。認証サーバ13はユーザID、パスワードがユーザ情報に存在すれば、ユーザ認証成功(認証OK)と判定して、ステップS6の処理を行う。なお、ユーザID、パスワードがユーザ情報に存在しなければ、認証サーバ13はユーザ認証失敗(認証NG)と判定し、ステップS6の処理をスキップする。
ステップS6において、認証サーバ13は認証OKであったため、ユーザIDに紐付く印刷権限を図8のユーザ情報から取得する。ステップS7において、認証サーバ13は認証結果を画像形成装置15に送信する。認証OKの場合、認証サーバ13は認証結果と共に印刷権限も送信する。
ステップS8において、画像形成装置15の認証結果取得部32は認証サーバ13から認証結果を受信する。認証OKの場合、画像形成装置15の認証結果取得部32は認証結果と共に印刷権限も受信する。
ステップS9において、認証結果取得部32は受信した認証結果が認証OKか否かを判定する。認証結果が認証OKであれば、ステップS10において、認証結果取得部32はユーザのログインを許可して例えば操作パネル202に掛かったロックを解除する。認証結果が認証NGであれば、認証結果取得部32は認証エラーである旨を操作パネル202に表示し、ステップS10の処理をスキップする。
《ジョブ一覧取得処理》
ユーザのログインを許可したあと、画像形成装置15は例えば図9に示すようにジョブ一覧をプリントサーバ12から取得する。図9は、ジョブ一覧取得処理を表した一例のフローチャートである。
ステップS21において、画像形成装置15のジョブ一覧取得部34はユーザ認証に成功したユーザIDをプリントサーバ12に送信する。ステップS22において、プリントサーバ12のユーザ情報取得部26は画像形成装置15からユーザIDを受信する。
ステップS23において、プリントサーバ12のユーザジョブ一覧取得部24は取得したユーザIDに紐付いたジョブ一覧を印刷ジョブ蓄積部27から取得する。ステップS24において、ユーザジョブ一覧取得部24は取得したジョブ一覧を画像形成装置15に送信する。そして、ステップS25において、画像形成装置15のジョブ一覧取得部34はユーザIDに紐付いたジョブ一覧をプリントサーバ12から取得する。
画像形成装置15のジョブ一覧取得部34が取得したジョブ一覧は例えば図10のようになる。図10はユーザIDに紐付いたジョブ一覧の一例のイメージ図である。図10のジョブ一覧はユーザ認証に成功したユーザがプリントサーバ12から取得できるジョブの一覧を表している。
また、ジョブ一覧に含まれるジョブの中身(印刷属性)は例えば図11に示す項目により構成されている。図11はジョブの印刷属性の一例の構成図である。ジョブの印刷属性はユーザID、ジョブ名、作成日時、部数、モノクロ/カラー、両面/片面、N−upなどの通常の印刷属性の他、機器指定印刷か否かを示す情報と、機器を指定する機器指定情報とが設定されている。機器指定情報はIPアドレスやロケールなど、機器を指定する情報である。
《ジョブ一覧を取得したあとの処理》
画像形成装置15は、ユーザIDに紐付いたジョブ一覧がプリントサーバ12から取得されたあと、ジョブ一覧に含まれるジョブごとに、図12に示すステップS31〜S41の処理を行う。図12はジョブ一覧を取得した後に画像形成装置で行われる処理を表した一例のフローチャートである。
ステップS31において、判定部35は図11に示すようなジョブの属性情報に含まれる機器指定印刷か否かを示す情報に基づいて、機器指定印刷のジョブであるか否かを判定する。機器指定印刷のジョブでなければ、判定部35は、機器指定印刷を行わないジョブと判定する。
機器指定印刷のジョブであれば、判定部35はステップS32において、図11に示すようなジョブの属性情報に含まれる機器指定情報が自機を示しているか判定する。機器指定情報が自機を示していなければ、判定部35は、機器指定印刷を行わないジョブと判定する。
機器指定情報が自機を示していれば、判定部35はステップS33において、機器指定印刷のルールに設定されている「タイトルのチェック」に基づいて、ジョブのタイトルに予約語が入っているかのチェック(予約語チェック)が必要か判定する。
予約語チェックが必要であれば、判定部35はステップS36において、ジョブのタイトルに予約語が入っているか判定する。判定部35はジョブのタイトルに予約語が入っていれば、自機が機器指定されている機器指定印刷のジョブであるが、機器指定印刷を行わないジョブと判定する。
ジョブのタイトルに予約語が入っていなければ、ステップS37において、判定部35は機器指定印刷のルールに設定されている「ジョブの印刷属性のチェック」に基づいて属性チェックを行うか判定する。
属性チェックが必要であれば、判定部35はステップS38において、ジョブの印刷属性が制約事項に該当しているか判定する。例えばステップS38では、ジョブの印刷属性がカラーや片面印刷など、TCO削減に反しているか判定される。ジョブの印刷属性が制約事項に該当していれば、判定部35は自機が機器指定されている機器指定印刷のジョブであるが、機器指定印刷を行わないジョブと判定する。
ステップS37において属性チェックが必要でないと判定したとき、又は、ステップS38においてジョブの印刷属性が制約事項に該当していないと判定したとき、判定部35は機器指定印刷を行うジョブと判定し、ステップS39に進む。
なお、ステップS33において予約語チェックが必要でないと判定したとき、判定部35はステップS34において、権限チェックが必要か判定する。権限チェックが必要であれば、判定部35はステップS35において、例えば管理者等が設定した該当する権限をユーザが所持しているか判定する。
該当する権限をユーザが所持していなければ、判定部35は、自機が機器指定されている機器指定印刷のジョブであるが、機器指定印刷を行わないジョブと判定する。
ステップS34において権限チェックが必要でないと判定したとき、又は、ステップS35において該当する権限をユーザが所持していると判定したとき、判定部35は前述したステップS37の処理を行う。
このように、機器指定印刷を行うと判定されたジョブはステップS39〜S41の処理が行われることになる。ステップS39では機器指定印刷を行うと判定されたジョブの印刷を開始するため、判定部35が機器指定印刷を行うと判定されたジョブの取得を印刷ジョブ取得部33に要求する。印刷ジョブ取得部33は、機器指定印刷を行うと判定されたジョブの取得要求をプリントサーバ12に対して行い、プリントサーバ12から機器指定印刷を行うと判定されたジョブを取得する。
ステップS40において、出力部38は機器指定印刷を行うと判定されたジョブの印刷を行う。ステップS41において、表示制御部36は機器指定印刷を行ったジョブが印刷されたことを示すようにジョブ一覧の更新を行う。例えば表示制御部36は機器指定印刷を行ったジョブをジョブ一覧から削除したり、印刷済みであることを示す情報(例えばフラグなど)を付したりすることで、ジョブ一覧の更新を行う。
そして、ジョブ一覧に含まれるジョブごとに、ステップS31〜S41の処理を行ったあと、画像形成装置15の表示制御部36はステップS42において、ジョブ一覧を例えば図13に示すように操作パネル202などに表示する。
図13はジョブ一覧画面の一例のイメージ図である。図13のジョブ一覧画面1010はジョブIDに紐付いたジョブ一覧から、機器指定印刷が行われたジョブが削除されているジョブ一覧を表示するものである。図13は一例として図10のジョブ一覧からジョブ名「Sales report」のジョブが機器指定印刷されたことにより削除されているジョブ一覧を示している。
図13のジョブ一覧には、選択印刷のジョブの他、他機が機器指定されている機器指定印刷のジョブ、自機が機器指定されている機器指定印刷のジョブであるが図12の処理により機器指定印刷を行わないジョブと判定されたジョブ、が含まれている。なお、ユーザはジョブ一覧画面からジョブを選択し、印刷ボタン1011を押下することで、選択したジョブの印刷を行うことができる。
《ジョブの蓄積処理》
プリントサーバ12はWebページを利用したジョブのアップロードや、メールを利用したジョブの送信などにより、クライアントPC10や携帯端末11などから受け付けたアプリケーションデータなどのジョブを蓄積する。
図14はジョブの蓄積処理を表した一例のフローチャートである。プリントサーバ12のユーザ情報取得部26はアプリケーションデータなど、印刷言語(Page Description Language: PDL)で記述されていないジョブを印刷ジョブ受信部21が受け付けると、ステップS51の処理を開始する。
ステップS51において、ユーザ情報取得部26は受け付けたジョブのユーザ情報を取得する。ステップS52において、印刷ジョブ解析部22は受け付けたジョブを印刷言語に変換する。ステップS53において、印刷ジョブ解析部22は受け付けたジョブの印刷属性を取得する。印刷属性は印刷ジョブ属性保存部23により保存される。
ステップS54において、印刷ジョブ属性保存部23は機器指定印刷であるか否かを判定する。機器指定印刷であれば、ステップS55において、印刷ジョブ属性保存部23は印刷属性に機器指定印刷であることを示す情報を追加する。また、ステップS56において印刷ジョブ属性保存部23は属性情報に、機器指定印刷を行う機器を指定する機器指定情報を追加する。なお、印刷言語に変換されたジョブは、印刷ジョブ蓄積部27に蓄積される。
図14のフローチャートの処理によれば、印刷言語で記述されていないジョブを受け付けても印刷言語で記述されたジョブに変換できると共に、印刷属性に機器指定印刷であることを示す情報と、機器指定印刷を行う機器を指定する機器指定情報とを追加できる。
また、メールを利用したジョブの送信について、プリントサーバ12は図15に示すようにジョブを蓄積する。図15は、メールを利用したジョブの蓄積処理を表した一例のフローチャートである。まず、メールサーバ14は添付ファイルとしてジョブが添付されたメールを受信すると、本文と添付ファイルとに分け、添付ファイルをジョブとして保持しておく。
ステップS61において、プリントサーバ12の印刷ジョブ受信部21はメールサーバ14からジョブを取得する。メールサーバ14からプリントサーバ12へのジョブの送信はメールサーバ14からのプッシュ処理でなく、所定期間ごとにプリントサーバ12からメールサーバ14側に取得しに行く。そして、ステップS62において、プリントサーバ12は図14に示したジョブの蓄積処理を行う。
図15のフローチャートの処理によれば、プリントサーバ12は印刷言語で記述されていないジョブを受け付けても印刷言語で記述されたジョブに変換できると共に、印刷属性に機器指定印刷であることを示す情報と、機器指定印刷を行う機器を指定する機器指定情報とを追加できる。
なお、メールを利用したジョブの蓄積処理においては、図8に示すユーザ情報のメールアドレスを利用することで、ジョブとユーザとを紐付けることができる。また、メールを利用したジョブの蓄積処理では、画像形成装置15ごとに、ジョブの送信先のメースアドレスを設定しておくことにより、ジョブと機器指定印刷を行う機器とを紐付けることができる。
また、機器指定の方法としては、ユーザ情報においてユーザと機器とを紐付けておくことにより、ユーザがジョブを投入さえすれば、ユーザに紐付けた機器にジョブを投入するようにしてもよい。例えば機器指定印刷を行う機器がいつも同一である場合は、このようにユーザと機器とを紐付けておけばよい。
Webページを利用したジョブのアップロードの場合はプリンタドライバなどで機器を指定するようにしてもよい。メールを利用したジョブの送信の場合は、機器を判別できるメールアドレスを発行することで、そのメールアドレス宛に送信されたジョブを、その機器に投入するようにしてもよい。
<まとめ>
TOC削減やセキュリティに重きをおいたロケーションフリー印刷は、プリンタドライバから画像形成装置15に送信されたジョブを直ぐに印刷するのではなく、一度、プリントサーバ12や画像形成装置15にジョブを蓄積し、ユーザが画像形成装置15から印刷要求を出すのを待ってジョブを印刷する。
このようにすることで、ロケーションフリー印刷は排紙された印刷物の放置などの問題を解決していた。しかし、ロケーションフリー印刷は印刷物が排紙されるまでの手順が煩雑という課題があった。
そこで、本実施形態の印刷システム1は機器指定印刷及びロケーションフリー印刷、それぞれの利点を生かして、TOC削減とセキュリティの向上とを実現している。
本実施形態の印刷システム1は、ロケーションフリー印刷としてプリントサーバ12に蓄積されるジョブが所定のルール(機器指定がされているかなど)を満たすジョブであるとき、画像形成装置15からユーザがログインすることで、ジョブ一覧からユーザに選択させることなく、そのジョブをプリントサーバ12から取得して印刷を行う。
このように、本実施形態の印刷システム1はユーザが画像形成装置15の前まで行ってログインしたあとでジョブの印刷を行うため、排紙された印刷物の取り忘れなどを防ぐことができ、セキュリティ上の問題を解消できると共に、所定のルールを満たすジョブであれば、ユーザがログインすることでジョブが印刷されるので、印刷物が排紙されるまでの手順を簡略化できる。
本実施形態の印刷システム1は、ユーザと機器とを紐付ける、又は、ジョブと機器とを紐付けることで、ユーザが機器にログインしたことを確認し、印刷物を排紙する。ユーザは機器の前まで行き、ログイン操作を行うため、印刷物の放置などのセキュリティ面の問題を解消できる。
また、本実施形態の印刷システム1は、管理者が意図しないような設定(カラー、両面など)での印刷である場合、機器指定印刷のジョブであっても、選択印刷のジョブとして扱う。このように、本実施形態の印刷システム1は管理者がユーザの印刷をハンドリングすることができる。結果として、ユーザは機器指定印刷を行うため、管理者が意図するような設定での印刷を行うようになり、自発的にTOC削減を行うようになる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態の印刷システム2は、クラウドサービスに代表されるようなサービスを提供するサービス提供システムを利用するものである。
<システム構成>
図16は本実施形態に係る印刷システムの一例の構成図である。図16の印刷システム2は、企業内ネットワーク等のプライベートなネットワークN2と、クラウドサービスに代表されるようなサービスを提供するネットワークN3と、インターネットなどのネットワークN4とを有する。
ネットワークN2とネットワークN4とはネットワークN2側のファイアウォールFWによって接続されている。ファイアウォールFWはネットワークN2とネットワークN4との接点に設置され、ネットワークN2からネットワークN4へのアクセスを中継する。
また、ネットワークN3とネットワークN4とは、ネットワークN3側のアクセス制御装置41によって接続されている。ネットワークN3はアクセス制御装置41によってセキュリティが保護されている。
ネットワークN2は、ファイアウォールFWの内側にあるプライベートなネットワークである。ネットワークN2にはクライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15が接続されている。クライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
ネットワークN3は、アクセス制御装置41によってインターネット等のネットワークN4に接続されている。ネットワークN3には、アクセス制御装置41、プリントサービス提供装置42、他サービス提供装置43が接続されている。図16の印刷システム2はアクセス制御装置41、プリントサービス提供装置42、他サービス提供装置43がサービス提供システムを実現している。
アクセス制御装置41はプリントサービス提供装置42が提供するプリントサービスなど、各サービスへのアクセスを制御する。プリントサービス提供装置42はプリントサービスを提供する。他サービス提供装置43は何らかのサービスを提供する。
アクセス制御装置41、プリントサービス提供装置42、他サービス提供装置43は、一台以上の情報処理装置(コンピュータシステム)によって実現される。
なお、図16の印刷システム2のプリントサービス提供装置42、他サービス提供装置43は一台のコンピュータに統合して実現してもよいし、複数のコンピュータに分散して実現してもよい。また、図16の印刷システム2はサービス提供システム側の一部機能がネットワークN2側にあってもよく、クライアント端末10、携帯端末11や画像形成装置15がネットワークN2以外のネットワーク上にあってもよい。
例えばユーザは、画像形成装置15に印刷させたいジョブがあると、クライアント端末10や携帯端末11からサービス提供システムにジョブを投入する。サービス提供システムでは投入されたジョブを蓄積する。次に、ユーザはジョブの印刷を行いたい画像形成装置15が設置されている場所に移動し、ログインする。
ユーザのログイン後、画像形成装置15はサービス提供システムからユーザの投入したジョブ一覧を要求する。サービス提供システムはユーザが投入したジョブのうち、ジョブ一覧を要求した画像形成装置15が機器指定されている機器指定印刷のジョブなど、所定のルールを満たすジョブを選択し、所定のルールを満たすジョブであることを示すフラグなどの情報を付す。
そして、サービス提供システムはユーザの投入したジョブ一覧を画像形成装置15に送信する。画像形成装置15はサービス提供システムからジョブ一覧を提供されると、所定のルールを満たすジョブであることを示すフラグなどの情報に基づき、所定のルールを満たすジョブを選択する。画像形成装置15は選択したジョブを、サービス提供システムから取得して印刷を行う。
なお、所定のルールを満たさないジョブは、ジョブ一覧として画像形成装置15に表示される。画像形成装置15はジョブ一覧からユーザに選択されたジョブをサービス提供システムから取得して印刷する。
図16のアクセス制御装置41、プリントサービス提供装置42、他サービス提供装置43のハードウェア構成は、図2と同様であるため、説明を省略する。また、クライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15のハードウェア構成も、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
<ソフトウェア構成>
《サービス提供システム》
本実施形態に係るサービス提供システムは例えば図17に示すような処理ブロックにより実現される。図17は本実施形態に係るサービス提供システムの一例の処理ブロック図である。図17のサービス提供システム50はプログラムを実行することにより、サービスアプリ51、プラットフォーム52、管理データ記憶部53及びプラットフォームAPI(Application Programming Interface)54を実現している。
図17のサービスアプリ51は、プリントサービスアプリ61、1つ以上のその他のサービスアプリ62を一例として有する。プリントサービスアプリ61はプリントサービスを提供するアプリケーションである。また、サービスアプリ62は何らかのサービスを提供するアプリケーションである。
プラットフォームAPI54はプリントサービスアプリ61、その他のサービスアプリ62などのサービスアプリ51が、プラットフォーム52を利用するためのインタフェースである。プラットフォームAPI54はサービスアプリ51からの要求をプラットフォーム52が受信するために設けられた予め定義されたインタフェースであり、例えば関数やクラス等により構成される。なお、サービス提供システム50を複数の情報処理装置に分散して構成する場合、プラットフォームAPI54にはネットワーク経由で利用可能な例えばWeb APIを利用できる。
図17のプラットフォーム52は、認証処理部71、機器通信部72、データ処理部73、セッション管理部74を一例として有する。認証処理部71はクライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15からのログイン要求に基づいて認証を実行する。
機器通信部72はクライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15との通信を実行する。データ処理部73はサービスアプリ51からの要求に基づいてデータ処理を実行する。セッション管理部74はクライアント端末10、携帯端末11、画像形成装置15とのセッションを管理する。
管理データ記憶部53は、企業管理情報記憶部81、ユーザ管理情報記憶部82、機器管理情報記憶部83、データ管理情報記憶部84、データストレージ85を一例として有する。企業管理情報記憶部81は後述の企業管理情報を記憶する。ユーザ管理情報記憶部82は後述のユーザ管理情報を記憶する。機器管理情報記憶部83は後述の機器管理情報を記憶する。データ管理情報記憶部84は後述のデータ管理情報を記憶する。データストレージ85はその他のデータ等を記憶する。
図17のサービス提供システム50のプリントサービスアプリ61は例えば図18に示す処理ブロックにより実現される。図18は本実施形態に係るプリントサービスアプリの一例の処理ブロック図である。プリントサービスアプリ61はデータ解析部301、出力データ管理部302、処理要求部303、出力データ管理情報保持部304を実現する。
データ解析部301はクライアント端末10又は携帯端末11から送信されたジョブを解析してデータ変換が必要か否かの判断などを行う。例えばクライアント端末10や携帯端末11から受信したジョブがアプリケーションデータやWebデータ等である場合は印刷データへのデータ変換が必要と判断する。
出力データ管理部302はクライアント端末10や携帯端末11から送信されたジョブを後述の出力データ管理情報により管理する。処理要求部303はデータ処理部73にデータ処理の要求などを行う。出力データ管理情報保持部304は後述の出力データ管理情報を保持する。
図19は企業管理情報の一例の構成図である。図19の企業管理情報はデータ項目として企業コード、企業名、国、言語、アドレス情報、ログイン時印刷、条件などを有する。
企業コードは、企業、組織などのグループを特定する情報である。企業コードは、一人以上のユーザや一台以上の画像形成装置15の集合を特定する情報である。なお、本実施形態は企業という言葉に限定されるものではなく、例えばユーザや画像形成装置15の集合に対する契約を識別する識別情報等であってもよい。なお、企業コードは一意である。
データ項目「ログイン時印刷」は前述の機器指定印刷の使用可否をログイン時印刷の使用可否として企業ごとに設定するものである。また、データ項目「条件」は前述の機器指定印刷のルールをログイン時印刷のルールとして設定するものである。
図20はユーザ管理情報の一例の構成図である。図20のユーザ管理情報はデータ項目として企業コード、ユーザ名、パスワード、ロール、アドレス情報、主勤務地、機器指定印刷権限などを有する。
ユーザ管理情報は企業コード単位で情報を管理する。ユーザ名、パスワードはユーザを特定する情報である。ユーザ名は例えばユーザIDであってもよい。パスワードは必須でない。さらに、ユーザ名はユーザが所持する電子媒体(例えばICカード)や画像形成装置15などを識別する情報(カードIDや画像形成装置15などのシリアルID、電話番号など)を代わりに用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。また、企業コードと対応付けられたユーザ名、パスワードは一意であるが、企業コードが異なれば重複していてもよい。データ項目「機器指定印刷権限」は前述の機器指定印刷の使用権限をユーザごとに設定するものである。
図21は機器管理情報の一例の構成図である。図21の機器管理情報はデータ項目として企業コード、デバイス認証情報、事業所情報、ケーパビリティ、アドレス情報などを有する。
機器管理情報は企業コード単位で情報を管理する。データ項目「デバイス認証情報」は画像形成装置15が特定の条件を備えたものであることを判別するデバイス認証のための情報である。データ項目「デバイス認証情報」は特定のアプリケーションが搭載されていることを示すIDや、特定の機器であることを示す機器番号などであってもよい。
図22はデータ管理情報の一例の構成図である。図22のデータ管理情報はデータ項目としてジョブID、投入データURL、1つ以上の変換データURL、変換ステータスなどを有する。ジョブIDは投入されたジョブなどを特定する情報である。投入データURLは投入されたジョブのデータが記録されている場所を表す情報である。変換データURLは投入されたジョブのデータから1回以上の変換処理がされたジョブのデータが記録されている場所を表す情報である。変換ステータスは変換処理の状態を表す情報であり、例えば処理中、完了などの状態を表している。
図23は出力データ管理情報の一例の構成図である。図23の出力データ管理情報はデータ項目として出力データID、企業コード、ユーザ特定情報、書誌情報、出力設定、ジョブID、変換ステータス、ログイン印刷場所などを有する。
データ項目「出力設定」はモノクロ/カラー、両面/片面、N−upなどの通常の印刷属性を表す情報である。データ項目「変換ステータス」はジョブのデータに対する変換処理の状態(完了、処理中)を表す情報である。データ項目「ログイン印刷場所」はログイン時印刷を行う事業所や機器を指定する情報である。
出力データ管理情報は投入されたジョブのデータを特定する情報である。出力データ管理情報は投入されたジョブのデータに対する変換処理の状態(完了、処理中)をプリントサービスアプリ61が判断するために利用される。
《クライアント端末10、携帯端末11》
本実施形態に係るクライアント端末10及び携帯端末11は、例えば図24に示す処理ブロックにより実現される。ここではクライアント端末10及び携帯端末11を端末装置と総称して説明する。
図24は、本実施形態に係る端末装置の一例の処理ブロック図である。端末装置は、入力受付部311、データ記憶部312、サービス利用アプリ313を有する。
入力受付部311はタッチパネル接触操作、キーボード入力操作などのユーザ操作による入力を受け付ける。データ記憶部312はデータを記憶する。例えばデータ記憶部312は設定された後述の企業コードを保持する。
サービス利用アプリ313は、サービス提供システム50のプリントサービスアプリ61が提供するプリントサービスを利用するためのソフトウェアである。サービス利用アプリ313はログイン要求部316、データ処理要求部317を実現する。
ログイン要求部316は、ユーザ操作により入力されたユーザ名やパスワードなどの認証情報を用いて、例えばサービス提供システム50へのログインを要求する。データ処理要求部317はプリントサービスアプリ61に、ジョブの投入などのデータ処理の要求を行う。
《画像形成装置》
本実施形態に係る画像形成装置15は、例えば図25に示す処理ブロックにより実現される。図25は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の処理ブロック図である。画像形成装置15は入力受付部321、出力部322、設定情報保持部323、サービス利用アプリ324を有する。
入力受付部321は、タッチパネル接触操作、キーボード入力操作などのユーザ操作による入力を受け付ける。出力部322は、受信したジョブの出力を実行する。例えば出力部322は受信した印刷データの印刷を実行する。設定情報保持部323は設定された後述の企業コードおよびデバイス認証情報を保持する。
サービス利用アプリ324は、サービス提供システム50のプリントサービスアプリ61が提供するプリントサービスを利用するためのソフトウェアである。サービス利用アプリ324は、ログイン要求部331、データ処理要求部332を実現する。
ログイン要求部331はユーザ操作により入力されたユーザ名やパスワードなどの認証情報を用いて例えばサービス提供システム50へのログインを要求する。データ処理要求部332はプリントサービスアプリ61に、ジョブ一覧やジョブの取得などのデータ処理の要求を行う。
<処理の詳細>
以下では、本実施形態に係る印刷システム2の処理の詳細について説明する。
《ログイン処理》
図26は端末装置におけるログイン時の一例の画面遷移図である。
例えば端末装置は図26のアプリ選択画面1110を表示し、ユーザにアプリを選択させる。サービス利用アプリ選択ボタン1111がユーザにより押下されると、端末装置のサービス利用アプリ313はログイン画面1120を表示する。ユーザはログイン画面1120に、企業コード、ユーザ名及びパスワードを入力する。
ログイン画面1120に、認証情報を入力後、ユーザはログインボタン1121を押下する。ログインボタン1121を押下されると、端末装置のログイン要求部316は認証情報をサービス提供システム50に送信し、ログインを要求する。
ログインに成功すると、端末装置のサービス利用アプリ313はサービス一覧選択画面1130を表示する。サービス一覧選択画面1130はサービス提供システム50が提供するサービスをユーザに選択させる画面である。ユーザはサービス一覧選択画面1130から利用したいサービスを選択する。例えばユーザに「プリントサービス」ボタンを押下されると、端末装置のデータ処理要求部317はサービス提供システム50に「プリントサービス」の利用を要求する。この後、ユーザは端末装置からサービス提供システム50の提供する「プリントサービス」を利用できるようになる。
《サービス利用処理》
端末装置がプリントサービスを利用する場合の画面は、例えば図27又は図28に示すようになる。図27、図28は端末装置がプリントサービスを利用する場合の一例の画面遷移図である。
例えば図26のサービス一覧選択画面1130の「プリントサービス」ボタンが押下されると、端末装置のサービス利用アプリ313はプリントサービス画面1200又は1210を表示する。
プリントサービス画面1200は端末装置からジョブのデータを送信する画面の一例である。ユーザはプリントサービス画面1200にファイルを設定して送信ボタン1201を押下することで、サービス提供システム50にジョブを送信できる。また、ユーザはプリントサービス画面1200からログイン時印刷を選択できる。
また、プリントサービス画面1210は端末装置からジョブのデータを送信する画面の一例である。ユーザはプリントサービス画面1210にファイルを設定して送信ボタン1211を押下することで、サービス提供システム50にジョブを送信できる。ただし、プリントサービス画面1210は、前述の機器指定印刷のルールを満たしていないため、ログイン時印刷を選択できない。
プリントサービス画面1220はサービス提供システム50に送信したジョブ一覧を表示する画面の一例である。ユーザはプリントサービス画面1220の更新ボタン1222又は削除ボタン1223を押下することで、プリントサービス画面1220のジョブ一覧の更新又はジョブ一覧からのジョブの削除を行うことができる。また、ユーザはプリントサービス画面1220からジョブを選択して設定変更ボタン1221を押下することにより図27のプリントサービス画面1200又は1210を表示することができる。
《ログイン時印刷のルールの設定処理》
印刷システム2で利用するログイン時印刷のルールは、例えば図29に示すようなプリントサービス画面1300から設定できる。図29はルール設定画面の一例のイメージ図である。
図29のルール設定画面1300はログイン時印刷のルールとして、ユーザのロケールのチェック(ユーザの勤務地と出力する事業所が同一のみ許可)と、ユーザの機器指定印刷の使用権限のチェックと、ジョブの印刷属性のチェック(カラー禁止、片面禁止)とを設定できる。ルール設定画面1300から設定されたログイン時印刷のルールはサービス提供システム50に送信される。
《ジョブ投入処理》
図30はジョブ投入処理を表した一例のシーケンス図である。端末装置の入力受付部311はステップS70において、ユーザから企業コード、ユーザ名及びパスワードなどの認証情報(ログイン情報)の入力を受け付ける。
ステップS71において、端末装置の入力受付部311は例えばログイン画面1120のログインボタン1121を押下されることによりユーザからのログイン要求を受け付ける。入力受付部331はログイン要求部316にログイン要求を行う。
ステップS72において、ログイン要求部316はサービス提供システム50の認証処理部71へ前述したようにログインを要求する。サービス提供システム50の認証処理部71はステップS73において、前述したように認証を行う。
ステップS74において、認証処理部71は端末装置のログイン要求部316にログイン応答として認証結果を送信する。なお、認証結果が成功(認証OK)の場合、認証処理部71はトークン(cookie)も端末装置のログイン要求部316に送信する。サービス提供システム50はトークンを認証したユーザのユーザ名及び企業コードと対応付けて記憶しておく。
ステップS75以降の処理は認証結果が成功(認証OK)であり、ジョブをサービス提供システム50に投入する例を表している。ステップS75において、端末装置の入力受付部311は例えば図27のプリントサービス画面1200又は1210からサービス提供システム50に投入するジョブのファイル設定を受け付ける。
ステップS76において、入力受付部311はユーザからファイル設定を受け付けたジョブ投入要求をデータ処理要求部317に対して行う。入力受付部311からのジョブ投入要求に基づき、データ処理要求部317はステップS77において、前述のトークンとユーザからファイル設定を受け付けたジョブとをサービス提供システム50に送信することでジョブ投入要求を行う。このとき、端末装置は例えばPDL(page description language)形式の印刷データや、ワープロソフトや表計算ソフトなどのアプリで作成されたアプリケーションデータをサービス提供システム50に投入する。また、ジョブ投入要求には実行条件情報を含ませることもできる。また、投入するジョブはWebデータを特定するURLデータであってもよい。
ステップS78において、サービス提供システム50のセッション管理部74は記憶しているトークンの中に、ジョブ投入要求として受信したトークンが存在するか否かを確認する。セッション管理部74は記憶しているトークンの中に、ジョブ投入要求として受信したトークンが存在すれば、ステップS79において、トークンに対応付けられて記憶しておいたユーザ名及び企業コードをプリントサービスアプリ61に送信する。
ステップS80において、プリントサービスアプリ61はセッション管理部74から受信したユーザ名及び企業コードに対応付くユーザ管理情報の取得を、認証処理部71に要求する。ステップS81において、認証処理部71はユーザ名及び企業コードに対応付くユーザ管理情報をユーザ管理情報記憶部82から取得し、プリントサービスアプリ61に送信する。
ステップS82において、プリントサービスアプリ61はジョブ投入要求として受信したファイルのデータ形式(拡張子)と、ユーザ名及び企業コードに対応付くユーザ管理情報とを用いて、データの変換処理内容(変換前のデータ形式と変換後のデータ形式、変換するときの出力条件が含まれる)を決定する。
ステップS83において、プリントサービスアプリ61はジョブ投入要求として受信したファイルのジョブID、決定したファイルの変換処理内容を指定して、データ処理をデータ処理部73に要求する。また、ステップS84において、プリントサービスアプリ61はジョブ投入要求として受信したファイルに出力データIDを付与し、データストレージ85に記録する。また、プリントサービスアプリ61は出力データIDを付与した後述の出力データ管理情報をデータストレージ85に記録する。
ステップS85において、データ処理部73はプリントサービスアプリ61から要求されたデータ処理に応じて、ジョブIDに対応するファイルをデータストレージ85から取得する。ステップS86において、データ処理部73は取得したファイルに対する変換処理を実行する。ステップS87において、データ処理部73は変換処理後のファイルをデータストレージ85に記録する。
《端末装置からログイン処理》
図31は端末装置からログイン要求を受信したサービス提供システムの処理を表した一例のフローチャートである。ステップS101において、サービス提供システム50の認証処理部71は企業コード、ユーザ名及びパスワードを認証情報としたログイン要求を端末装置から受信する。
ステップS102において、認証処理部71は認証情報に含まれる企業コードが図19に示した企業管理情報に存在するかを判断する企業認証判断を行う。認証情報に含まれる企業コードが図19に示した企業管理情報に存在すれば、認証処理部71は企業認証成功(認証OK)と判断し、ステップS103の処理を行う。
ステップS103において、認証処理部71は図20に示したユーザ管理情報のうち、認証された企業コードに対応付けられたユーザ管理情報の中に、認証情報に含まれるユーザ名及びパスワードが存在するかを判断するユーザ認証判断を行う。
認証情報に含まれるユーザ名及びパスワードが存在すれば、認証処理部71はユーザ認証成功(認証OK)と判断してステップS105の処理を行う。ステップS105において、認証処理部71は、端末装置からのログイン要求に対する認証結果を成功(認証OK)と判断する。
なお、ステップS102において認証情報に含まれる企業コードが図19に示した企業管理情報に存在しなければ、認証処理部71はステップS104において、端末装置からのログイン要求に対する認証結果を失敗(認証NG)と判断する。
同様に、ステップS103において、認証された企業コードに対応付けられたユーザ管理情報の中に、認証情報に含まれるユーザ名及びパスワードが存在しなければ、認証処理部71はステップS104において、端末装置からのログイン要求に対する認証結果を失敗(認証NG)と判断する。
《ジョブ一覧取得処理》
図32はサービス提供システムからジョブ一覧を取得する処理の一例のシーケンス図である。ステップS110〜S114の処理は図30のステップS70〜S74の処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS115以降の処理は認証結果が成功である例を表している。ステップS115において、ログイン要求部331は前述のトークンとジョブ一覧の取得要求とをサービス提供システム50に送信することでジョブ一覧の取得要求を行う。
サービス提供システム50のセッション管理部74は図30のステップS78と同様なセッション確認を行い、記憶しているトークンの中に、ジョブ一覧の取得要求として受信したトークンが存在するか否かを確認する。セッション管理部74は記憶しているトークンの中に、ジョブ一覧の取得要求として受信したトークンが存在すれば、ステップS116において、トークンに対応付けられて記憶しておいたユーザ名及び企業コードをプリントサービスアプリ61に送信する。
ステップS117において、プリントサービスアプリ61は図23に示した出力データ管理情報を参照し、受信したユーザ名及び企業コードに対応する出力データ管理情報の変換ステータスを確認する。受信したユーザ名及び企業コードに対応する出力データ管理情報の変換ステータスに「処理中」の変換ステータスがあれば、変換ステータスが変化している可能性があるため、プリントサービスアプリ61は変換ステータスの更新を実行すると判定する。
ここでは変換ステータスの更新を実行すると判定したものとして説明を続ける。プリントサービスアプリ61はステップS118において、受信したユーザ名及び企業コードに対応する出力データ管理情報のジョブIDをデータ処理部73に送信し、ジョブIDに対応するデータ管理情報の変換ステータスの取得要求を行う。ステップS119において、データ処理部73は図22に示したデータ管理情報を参照し、受信したジョブIDに対応するデータ管理情報の変換ステータスを取得する。
ステップS120において、データ処理部73は受信したジョブIDに対応するデータ管理情報の変換ステータスをプリントサービスアプリ61に送信する。ステップS121において、プリントサービスアプリ61はデータ処理部75から受信したジョブIDに対応するデータ管理情報の変換ステータスに基づき、出力データ管理情報を更新する。
プリントサービスアプリ61は出力データ管理情報を更新したあと、ユーザが投入したジョブのうち、ジョブ一覧を要求した画像形成装置15が機器指定されている機器指定印刷のジョブなど、所定のルールを満たすジョブを選択し、所定のルールを満たすジョブであることを示すフラグなどの情報を付す。所定のルールを満たすジョブを選択する処理は例えば図12のフローチャートと同様な処理により実現できる。
ステップS122、S123において、プリントサービスアプリ61は所定のルールを満たすジョブであることを示すフラグなどの情報が付されたジョブ一覧を、セッション管理部74を介して、画像形成装置15のデータ処理要求部332に送信する。ステップS117において、変換ステータスの更新を実行しないと判定した場合は出力データ管理情報を更新せず、所定のルールを満たすジョブであることを示すフラグなどの情報が付されたジョブ一覧を画像形成装置14のデータ処理要求部332に送信する。
したがって、画像形成装置15はサービス提供システム50からジョブ一覧を提供されると、所定のルールを満たすジョブであることを示すフラグなどの情報に基づき、所定のルールを満たすジョブを選択できる。画像形成装置15は所定のルールを満たすジョブをサービス提供システム50から取得し、印刷を行うことができる。
《端末装置からログイン処理》
図33は画像形成装置からログイン要求を受信したサービス提供システムの処理を表した一例のフローチャートである。図33のフローチャートは図31のフローチャートにステップS133のデバイス認証判断が追加されている。
ステップS131において、サービス提供システム50の認証処理部71は企業コード、デバイス認証情報、ユーザ名及びパスワードを認証情報としたログイン要求を画像形成装置15から受信する。
ステップS132において、認証処理部71は認証情報に含まれる企業コードが図19に示した企業管理情報に存在するかを判断する企業認証判断を行う。認証情報に含まれる企業コードが企業管理情報に存在すれば、認証処理部71は企業認証成功(認証OK)と判断し、ステップS133の処理を行う。
ステップS133において、認証処理部71は図21に示した機器管理情報のうち、認証された企業コードに対応付けられた機器管理情報の中に、認証情報に含まれるデバイス認証情報が存在するかを判断するデバイス認証判断を行う。認証情報に含まれるデバイス認証情報が存在すれば、認証処理部71はデバイス認証成功(認証OK)と判断してステップS134の処理を行う。
ステップS134において、認証処理部71は図20に示したユーザ管理情報のうち、認証された企業コードに対応付けられたユーザ管理情報の中に、認証情報に含まれるユーザ名及びパスワードが存在するかを判断するユーザ認証判断を行う。
認証情報に含まれるユーザ名及びパスワードが存在すれば、認証処理部71はユーザ認証成功(認証OK)と判断してステップS136の処理を行う。ステップS136において認証処理部71は、画像形成装置15からのログイン要求に対する認証結果を成功(認証OK)と判断する。
なお、ステップS132において認証情報に含まれる企業コードが図19に示した企業管理情報に存在しなければ、認証処理部71はステップS135において、画像形成装置15からのログイン要求に対する認証結果を失敗(認証NG)と判断する。
同様に、ステップS133において、認証された企業コードに対応付けられた機器管理情報の中に、認証情報に含まれるデバイス認証情報が存在しなければ、認証処理部71はステップS135において、画像形成装置15からのログイン要求に対する認証結果を失敗(認証NG)と判断する。
同様に、ステップS134において、認証された企業コードに対応付けられたユーザ管理情報の中に、認証情報に含まれるユーザ名及びパスワードが存在しなければ、認証処理部71はステップS135において、画像形成装置15からのログイン要求に対する認証結果を失敗(認証NG)と判断する。
<まとめ>
このように、本実施形態の印刷システム2はクラウドサービスを利用したロケーションフリー印刷であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。上述した実施形態における印刷システム1、2は出力システムの一例である。また、画像形成装置10は出力装置の一例である。出力装置は必ずしも画像形成装置10に限定されるものでなく、プロジェクタなどの投影装置や、画像データを表示する装置など、データ等を出力する装置であればよい。さらに、プリントサーバ12は出力制御装置の一例である。出力制御装置は必ずしもプリントサーバ12に限定されるものでなく、出力装置による出力を制御する装置であればよい。