次に、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施形態では、出力システムの一例として、印刷システムを例に説明するが、これに限定するものではない。例えば、投影システムや表示システムの他、蓄積先に蓄積してあるジョブを出力するシステムであれば良い。
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る印刷システムの一例の構成図である。図1に示す印刷システム1は、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークNを介して接続された印刷サーバ装置11と、認証サーバ装置12と、クライアント端末13と、出力装置14とを有する。
印刷サーバ装置11と、認証サーバ装置12と、クライアント端末13と、出力装置14とは、無線又は有線による通信手段を有している。図1の例では、印刷サーバ装置11と、認証サーバ装置12と、クライアント端末13と、出力装置14とをそれぞれ1つずつ示しているが、複数であっても良い。
印刷サーバ装置11は、1以上の情報処理装置(コンピュータ)によって実現される。印刷サーバ装置11は、印刷データや印刷ジョブ情報を保有している。印刷サーバ装置11は、出力装置14等からの要求に基づき、印刷データや印刷ジョブ情報を出力装置14等に送信する。
印刷サーバ装置11は、印刷データ等の出力データや印刷ジョブ情報等の出力データに関する情報である出力データ関連情報を保持し、出力装置14等に送信するデータ保持装置の一例である。例えば、出力装置14がプロジェクタであれば、印刷サーバ装置11はプロジェクタを用いて表示出力(投影)したい表示データ(出力データ)を保持する。
また、印刷サーバ装置11は、表示出力する際の表示方法等の設定(出力データ関連情報)を保持する。印刷サーバ装置11は、印刷データと表示データの両方を保持することも可能である。
印刷サーバ装置11は、印刷データを印刷出力する複合機や、表示データを表示出力するプロジェクタ等、異なる出力データを出力する複数の出力装置14に対して、出力装置14に応じた出力データや、出力データ関連情報を送信することも可能である。
認証サーバ装置12は、1以上の情報処理装置によって実現される。認証サーバ装置12は、ユーザ情報を保有し、出力装置14等からの要求に基づき認証を行う。
クライアント端末13は、例えばユーザが利用するPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。クライアント端末13は、スマートフォンや携帯電話等の端末装置であっても良い。
出力装置14は、例えばプリンタ等の画像形成装置等である。出力装置14は、プリンタ、コピー機、複合機、レーザプリンタ等の画像形成装置の他、プロジェクタやモニタ等の表示出力を実行する投影装置や表示装置等、オーディオ等の音声データを出力する音声出力装置であっても良い。
図1に示す印刷システム1において、例えば印刷サーバ装置11と、認証サーバ装置12とが備える機能は、1つの装置で実現しても良く、1以上の情報処理装置を有するクラウドコンピューティングによるクラウドサービス等で実現しても良い。
なお、本実施形態では、図1に示す印刷システム1において、例えばクライアント端末13と出力装置14との間にファイアウォール等が設けられ、クライアント端末13と出力装置14との間で接続(ネットワーク)制限がかかっている場合について説明する。
<ハードウェア構成>
図1に示す印刷サーバ装置11と、認証サーバ装置12と、クライアント端末13は、図2に示すハードウェア構成のコンピュータにより実現される。図2は、本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図2に示すコンピュータ20は、入力装置21と、表示装置22と、RAM(Random Access Memory)23と、ROM(Read Onry Memory)24と、HDD(Hard Disk Drive)25と、CPU(Central Processing Unit)26と、通信I/F27と、外部I/F28等を備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置21及び表示装置22は、必要なときに接続して利用する形態であっても良い。
入力装置21は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置22は、ディスプレイ等を含み、コンピュータ20による処理結果を表示する。
RAM23は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM24は、電源を切ってもプログラムやデータを保持可能な不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM24には、コンピュータ20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定等のプログラムやデータが格納されている。
HDD25は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ20全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。
HDD25は、格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステム及び/又はDB(データベース)により管理している。
CPU26は、ROM24やHDD25等の記憶装置からプログラムやデータをRAM23上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ20全体の制御や機能を実現する演算装置である。
通信I/F27は、ネットワークNに接続するインタフェースである。これにより、コンピュータ20は、通信I/F27を介してデータ通信を行う。
外部I/F28は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体28A等がある。これにより、コンピュータ20は、外部I/F28を介して記録媒体28Aの読み取り及び/又は書き込みを行うことが可能である。
記録媒体28Aには、フレキシブルディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory card)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory)等がある。
本実施形態に係る印刷サーバ装置11と、認証サーバ装置12と、クライアント端末13は、コンピュータ20のハードウェア構成により後述するような各種処理を実現することが可能である。
<ソフトウェア構成>
《クライアント端末》
本実施形態に係るソフトウェアパッケージが搭載される前のクライアント端末13は、例えば図3に示すような処理ブロックにより実現される。図3は、本実施形態に係るソフトウェアパッケージが搭載される前のクライアント端末の一例の処理ブロック図である。
図3に示すクライアント端末13は、プログラムを実行することにより、文書作成アプリケーション31と、仮想プリンタドライバ32と、実プリンタドライバ33と、アプリケーション(プラグイン)34と、プラットフォームAPI35と、コア(プラットフォーム)36と、記憶部37とを実現する。
文書作成アプリケーション31は、ユーザから印刷の要求を受け付けるアプリケーションの一例である。文書作成アプリケーション31は、例えばユーザから印刷等の出力の要求を受け付けるアプリケーションであれば良い。
仮想プリンタドライバ32は、アプリケーションデータを機種依存しない中間印刷データに変換して出力するプリンタドライバである。アプリケーションデータは、出力対象データの一例である。中間印刷データは、出力装置14等の機種に依存しない印刷データである。例えばXPS(XML Paper Specification)形式のデータが、中間印刷データの一例である。
なお、仮想プリンタドライバ32には、例えばアプリケーション(プラグイン)34に搭載されるプラグイン41を利用するための仮想プリンタドライバが含まれる場合がある。
実プリンタドライバ33は、中間印刷データを出力装置14が印刷可能な形式の実印刷データに変換して出力するプリンタドライバである。例えばRAW形式のデータが、実印刷データの一例である。
アプリケーション(プラグイン)34は、コア(プラットフォーム)36上で動作するソフトウェアである。アプリケーション(プラグイン)34には、1以上のプラグイン41を搭載することが可能である。アプリケーション(プラグイン)34は、プラットフォームAPI35を利用することで、コア(プラットフォーム)36の機能を利用する。
プラットフォームAPI35は、アプリケーション(プラグイン)34がコア(プラットフォーム)36の機能を利用するためのインタフェースである。プラットフォームAPI35は、アプリケーション(プラグイン)34からの要求を、コア(プラットフォーム)36が受信するために予め定義されたインタフェースであり、例えば関数やクラス等により構成される。
コア(プラットフォーム)36は、表示制御(UI制御)部51と、設定部52と、通信部(例えばWeb Server)53とを有する。表示制御部51は、例えば文書作成アプリケーション31や、アプリケーション(プラグイン)34等からの要求に基づいて、表示装置22の表示を制御する。設定部52は、アプリケーション(プラグイン)34の設定を行う。通信部53は、印刷サーバ装置11や出力装置14等との通信を実行する。記憶部37は、設定等を記憶する。
クライアント端末13は、アプリケーション(プラグイン)34が共通に利用する機能をコア(プラットフォーム)36に集約することで、処理を集約している。なお、図3に示す処理ブロック図の分類形態は一例であり、図3に示されるような階層で分類されることは必須ではない。
ここで、上述したアプリケーション(プラグイン)34は、例えば、クライアント端末13に接続された所定の装置から図4に示すソフトウェアパッケージを利用してインストールすることが可能である。また、各アプリケーション(プラグイン)34に関する設定データも同様にインストールすることが可能である。
図4は、本実施形態に係るソフトウェアパッケージの一例の構成図である。図4に示すように、ソフトウェアパッケージ60は、機能プラグイン61と本体62とを含む構成である。
機能プラグイン61は、独立したジョブ蓄積プラグイン71と、代理印刷プラグイン72と、アカウントプラグイン73とを含む。ジョブ蓄積プラグイン71と、代理印刷プラグイン72と、アカウントプラグイン73とは、適宜追加して利用することが可能である。すなわち、上述した3つのプラグインが全て揃っていることを必須とせず、所望のプラグインを1又は複数選択してソフトウェアパッケージとして提供することが可能である。本体62は、例えば、ルールベース印刷制御プラグイン74と、仮想プリンタドライバ32aを含む。
なお、図4に示すソフトウェアパッケージ60は、機能プラグイン61と本体62とを分けて構成した例を示したが、これには限定されない。ソフトウェアパッケージ60は、1つのプラグインにより提供しても良く、図4に示す以外の分け方でプラグインを構成しても良い。ソフトウェアパッケージ60は、本体62を機能プラグイン61と並列のプラグインとして扱うことも可能である。仮想プリンタドライバ32aは、ソフトウェアパッケージ60に必須でなく、ソフトウェアパッケージ60とは別に提供することも可能である。
本実施形態に係るソフトウェアパッケージ60が搭載された後のクライアント端末13は、例えば図5に示すような処理ブロックにより実現される。図5は、本実施形態に係るソフトウェアパッケージが搭載された後のクライアント端末の一例の処理ブロック図である。
図5に示すクライアント端末13は、図3に示すクライアント端末13に、図4のソフトウェアパッケージ60が搭載された例を示している。すなわち、図5に示すクライアント端末13は、図3に示すクライアント端末13に、仮想プリンタドライバ32aと、ジョブ蓄積プラグイン71と、代理印刷プラグイン72と、アカウントプラグイン73と、ルールベース印刷制御プラグイン74とが追加された構成を示している。
仮想プリンタドライバ32aは、図5に示すジョブ蓄積プラグイン71と、代理印刷プラグイン72と、アカウントプラグイン73と、ルールベース印刷制御プラグイン74とを利用するための仮想プリンタドライバの一例である。仮想プリンタドライバ32aは、アプリケーションデータを機種依存しない中間印刷データに変換して出力するプリンタドライバである。
ジョブ蓄積プラグイン71は、印刷ジョブの蓄積に関する処理を行う。代理印刷プラグイン72は、代理印刷(代理出力)に関する処理を行う。アカウントプラグイン73は、アカウントに関する処理を行う。アカウントプラグイン73は、例えばクライアント端末13に接続されたローカルの出力装置(プリンタ等)において行われる出力処理や、印刷サーバ装置11を経由せずにローカルの出力装置への出力を行う出力処理においてアカウント情報を生成し、アカウントログを記憶する装置に送信する処理を行う。ルールベース印刷制御プラグイン74は、印刷フロー制御を行う。
なお、アプリケーション(プラグイン)34は、管理者やユーザが所望するものを適宜インストールして使用することが可能であり、図5に示す構成に限定されるものではない。
《ルールベース印刷制御プラグイン》
クライアント端末13のルールベース印刷制御プラグイン74は、例えば図6に示す処理ブロックで実現される。図6は、ルールベース印刷制御プラグインの一例の処理ブロック図である。図6に示すように、ルールベース印刷制御プラグイン74は、印刷フロー制御部81と、表示部82と、印刷フロー設定部83と、設定管理部84と、設定用情報保持部85とを有する。
印刷フロー制御部81は、印刷フロー(処理フロー)の実行を制御する。表示部82は、後述する機能選択画面を表示装置22等に表示させる。印刷フロー設定部83は、印刷フローの設定を受け付ける。
設定管理部84は、例えば図4に示すソフトウェアパッケージ60によりクライアント端末13に搭載された各アプリケーション(プラグイン)34の各種設定を管理する。なお、例えば追加される機能プラグイン61の状況に応じて管理する設定内容が変わる。
設定用情報保持部85は、ルールベース印刷制御プラグイン74が自身における設定を行うための設定用の情報(設定項目に関する情報)を保持する。なお、実際に設定された内容は、例えばコア(プラットフォーム)36の設定部52により記憶部37に記憶される。
《ジョブ蓄積プラグイン》
クライアント端末13のジョブ蓄積プラグイン71は、例えば図7に示す処理ブロックで実現される。図7は、ジョブ蓄積プラグインの一例の処理ブロック図である。図7に示ように、ジョブ蓄積プラグイン71は、印刷データ蓄積部91と、印刷ジョブ管理部92と、サーバ接続部93と、印刷ジョブ情報保持部94と、設定用情報保持部95とを有する。
印刷データ蓄積部91は、記憶部37等に印刷データの蓄積を行う。印刷ジョブ管理部92は、印刷ジョブの管理を行う。印刷ジョブ管理部92は、印刷データ蓄積部91により記憶部37等に印刷データの蓄積を行うと、サーバ接続部93により印刷サーバ装置11と接続して、印刷ジョブ情報保持部94で保持する印刷ジョブ情報を印刷サーバ装置11にアップロードする。
印刷ジョブ管理部92は、印刷サーバ装置11から印刷データの取得要求を受け付けると、印刷ジョブを識別する識別情報(ジョブID)に基づき、印刷ジョブ情報保持部94に保持している印刷ジョブ情報から、印刷データの蓄積ディレクトリを参照する。印刷ジョブ管理部92は、印刷データの蓄積ディレクトリに基づき、記憶部37等に蓄積された印刷データを取得して、取得した印刷データを印刷サーバ装置11に送信する。なお、これには限定されず、ルールベース印刷制御プラグインの印刷フロー制御部81が、印刷サーバ装置11から取得要求を受けた印刷データを、記憶部37等から取得し、印刷サーバ装置11に送信しても良い。
サーバ接続部93は、印刷サーバ装置11や認証サーバ装置12等との接続を行う。印刷ジョブ情報保持部94は、印刷ジョブに関する情報である印刷ジョブ情報を保持する。
ここで、印刷ジョブ情報は、例えば印刷ジョブごとにジョブIDを付与し、ジョブ名、蓄積形式、ページ数等を対応付けておく。また、印刷ジョブ情報に、印刷データの蓄積先である蓄積ディレクトリ等を含めておくことが可能である。
設定用情報保持部95は、ジョブ蓄積プラグイン71が自身における設定を行うための設定用の情報(設定項目に関する情報)を保持する。
《代理印刷プラグイン》
クライアント端末13の代理印刷プラグイン72は、例えば図8に示す処理ブロックで実現される。図8は、代理印刷プラグインの一例の処理ブロック図である。図8に示した代理印刷プラグイン72は、ユーザ情報付加部101と、代理ユーザ管理部102と、サーバ接続部103と、代理ユーザ情報保持部104と、設定用情報保持部105とを有している。
ユーザ情報付加部101は、印刷ジョブ情報に代理ユーザID等の代理ユーザ情報を付加する。代理ユーザ管理部102は、代理ユーザ情報を管理する。サーバ接続部103は、認証サーバ装置12等との接続を行う。代理ユーザ情報保持部104は、代理ユーザに関する情報である代理ユーザ情報を保持する。設定用情報保持部105は、代理印刷プラグイン72が自身における設定を行うための設定用の情報(設定項目に関する情報)を保持する。
《アカウントプラグイン》
クライアント端末13のアカウントプラグイン73は、例えば図9に示す処理ブロックで実現される。図9はアカウントプラグインの一例の処理ブロック図である。図9に示したアカウントプラグイン73は、認証処理部111と、印刷制御部112と、アカウント制御部113と、設定用情報保持部114とを有している。
認証処理部111は、認証に関する処理を行う。印刷制御部112は、印刷制御に関する処理を行う。アカウント制御部113は、アカウント制御に関する処理を行う。設定用情報保持部114は、アカウントプラグイン73が自身における設定を行うための設定用の情報(設定項目に関する情報)を保持している。
《印刷サーバ装置》
本実施形態に係る印刷サーバ装置11は、例えば図10に示す処理ブロックにより実現される。図10は、本実施形態に係る印刷サーバ装置の一例の処理ブロック図である。図10に示す印刷サーバ装置11は、プログラムを実行することにより、印刷制御部121と、アカウント制御部122と、印刷データ保持部123と、印刷ジョブ情報保持部124とを実現する。
印刷制御部121は、出力装置14等から印刷ジョブ情報の要求を受け付けると、印刷ジョブ情報を出力装置14等に提供する。また、印刷制御部121は、出力装置14等から印刷ジョブが選択され、印刷データの要求を受け付けると、選択された印刷ジョブの印刷ジョブ情報に含まれる蓄積先に基づき、印刷データの蓄積先を判断する。
ここで、印刷制御部121は、印刷データの蓄積先がクライアント端末13であると判断すると、例えばXMPP(Extensible Messanging and Presence Protocol)等のプロトコルにより、蓄積先のクライアント端末13に印刷データの取得要求を行う。印刷制御部121は、印刷データの蓄積先から印刷データを取得すると、出力装置14等に提供する。
アカウント制御部122は、印刷ジョブ情報に基づいて実行された印刷データのアカウント情報を出力装置14から受信し、認証サーバ装置12のアカウント記憶部に印刷データのアカウント情報を送信して記憶させる。なお、アカウント制御部122は、印刷データのアカウント情報を、認証サーバ装置12のアカウント記憶部以外に記憶させても良い。
印刷データ保持部123は、印刷データを保持する。印刷ジョブ情報保持部124は、印刷ジョブ情報を保持する。
《印刷ジョブ情報》
図11は、印刷ジョブ情報の一例の構成図である。図11は、印刷サーバ装置が保持する印刷ジョブ情報の一例を示しており、例えばジョブID、ジョブ名、蓄積先、蓄積形式、ユーザID、代理ユーザID等のデータ項目を有している。
ジョブIDは、例えば印刷ジョブを識別するための識別情報である。ジョブ名は、例えば印刷ジョブの名前である。ジョブ名としては、例えばファイル名やアプリケーション名等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
蓄積先は、中間印刷データ又は実印刷データが蓄積されている場所を示している。例えば蓄積先が「Server01」である場合、例えば実印刷データが、印刷サーバ装置11に蓄積されていることを示す。なお、印刷サーバ装置11は、クライアント端末13から中間印刷データを受信し、中間印刷データを蓄積しても良い。印刷サーバ装置11は、出力装置14等から実印刷データを要求された際等に、必要に応じて中間印刷データを実印刷データに変換し、実印刷データを提供する。
また、蓄積先が「Client01」又は「Client02」である場合、中間印刷データ又は実印刷データは、「Client01」又は「Client02」により特定されるクライアント端末13に蓄積されていることを示す。印刷サーバ装置11は、図11に示す印刷ジョブ情報に応じて、印刷データを取得するための取得要求先を制御する。
蓄積形式は、蓄積先に蓄積されている印刷データの形式を示す。図11に示す印刷ジョブ情報では、蓄積形式が「XPS」である場合、蓄積先に中間印刷データが蓄積されていることを示し、蓄積形式が「PCL」である場合、蓄積先に実印刷データが蓄積されていることを示す。
上述したように、中間印刷データは、フォーマットに関する共通仕様が一般に公開され、再編集が容易な形式の印刷データである。中間印刷データのデータ形式は、XPSに限らず、PDF(Portable Document Format)等であっても良い。
一方、実印刷データは、出力装置14等に依存したPDL(Page Description Language)の印刷データである。実印刷データのデータ形式は、PCL(Printer Cotrol Language)に限らず、PS(Post Script)等であっても良い。
ユーザIDは、印刷データのオーナを示すユーザ識別情報である。代理ユーザIDは、印刷ジョブを印刷できる代理ユーザのユーザIDである。例えば、ユーザID「11」のユーザがログインした場合、出力装置14の操作パネル等の表示装置には、ユーザID「11」のユーザがオーナであるジョブID「4」の印刷ジョブと代理ユーザとして設定されているジョブID「2」の印刷ジョブとが表示される。
なお、上述した図11に示す印刷ジョブ情報は、例えばクライアント端末13から取得した印刷ジョブ情報に基づき作成される。また、図11に示す印刷ジョブ情報には、印刷データのページ数の他、印刷データを蓄積しているクライアント端末13のIPアドレス等を付加して保持しておくことも可能である。
《代理ユーザ情報》
図12は、代理ユーザ情報の一例の構成図である。代理ユーザ情報は、ユーザID及び代理ユーザIDを紐付けるための情報である。例えば、図12に示す代理ユーザ情報は、ユーザID「1」のユーザに対応する代理ユーザとして、ユーザID「11」及び「12」のユーザが設定されている。
<処理の詳細>
以下では、本実施形態に係る印刷システム1の処理の詳細について説明する。
《基本設定》
本実施形態に係るソフトウェアパッケージ60が搭載されたクライアント端末13は、例えば図13に示すような基本設定画面から印刷時動作の基本設定を受け付ける。図13は、基本設定画面の一例のイメージ図である。図13の基本設定画面1000では、本実施形態に係るソフトウェアパッケージ60が「印刷アプリ」と記載されている。以下、本実施形態に係るソフトウェアパッケージ60を印刷アプリと呼ぶ。
図13に示す基本設定画面1000は、機能プラグイン61の数がジョブ蓄積プラグイン71、代理印刷プラグイン72、アカウントプラグイン73の3つであるときの例を示している。したがって、例えば基本設定画面1000の左欄の印刷アプリの下に、ジョブ蓄積プラグイン71と、代理印刷プラグイン72と、アカウントプラグイン73とに対応した子ノード「ジョブ蓄積設定」と、「代理印刷設定」と、「アカウント設定」とが表示されている。また、機能プラグイン61の数が1以上であるため、基本設定画面1000の左欄では、印刷アプリの下に子ノード「共通設定」が表示されている。なお、図13は、例えば左欄の「印刷アプリ」が選択されているときの基本設定画面1000の例である。
また、基本設定画面1000の右欄には、印刷時に機能を選ぶかどうか設定するためのチェックボックスが含まれている。印刷時に機能を選ぶかどうか設定するためのチェックボックスは、例えば機能プラグイン61の数が0又は1の場合に非表示となる。
また、基本設定画面1000の右欄には、例えば印刷時に実行される機能を選択するためのラジオボタンが含まれている。印刷時に実行される機能を選択するためのラジオボタンは、例えば機能プラグイン61の数が0又は1の場合に非表示となる。また、基本設定画面1000の右欄には、例えば印刷時にカスタマイズされたルールファイルによるワークフローを実施するか否か設定するためのチェックボックスが含まれている。
なお、例えば機能プラグイン61の数が2つ以上の場合に、ユーザが「印刷のときに実行される機能」として選択していた機能プラグイン61のアンインストールを行うと、基本設定画面1000は、残りの機能プラグイン61の数に応じて以下のように動作する。
残りの機能プラグイン61が2つ以上の場合は、「印刷のときに実行される機能」として残りの機能プラグイン61の中から優先順位にしたがって、自動的に「印刷のときに実行される機能」が選択される。例えば、ジョブ蓄積プラグイン71、代理印刷プラグイン72、アカウントプラグイン73の順番に優先順位を設定しておいても良い。残りの機能プラグイン61が1つの場合は「印刷のときに実行される機能」として、残りの機能プラグイン61が自動的に「印刷のときに実行される機能」として選択される。
図13に示す基本設定画面1000は、機能プラグイン61の数が1つであるとき、例えば図14の基本設定画面1000aのように変化する。図14は、基本設定画面の他の例のイメージ図である。図14に示す基本設定画面1000aは、機能プラグイン61がジョブ蓄積プラグイン71の1つであるときの例を示している。
したがって、例えば基本設定画面1000aの左欄では、印刷アプリの下にジョブ蓄積プラグイン71に対応した子ノード「ジョブ蓄積設定」が表示されている。また、機能プラグイン61の数が1以上であるため、基本設定画面1000aの左欄では、印刷アプリの下に子ノード「共通設定」が表示されている。また、基本設定画面1000aの右欄には、印刷時にカスタマイズされたルールファイルによるワークフローを実施するか否か設定するためのチェックボックスが含まれている。
なお、図14に示す基本設定画面1000aは、機能プラグイン61の数が0又は1の場合に相当するため、印刷時に機能を選ぶかどうか設定するためのチェックボックス、及び、印刷時に実行される機能を選択するためのラジオボタンが非表示となっている。
《サーバ設定》
図13に示す基本設定画面1000の左欄の「共通設定」が選択されると、クライアント端末13は、図15に示すサーバ設定画面1010から印刷サーバ装置11及び認証サーバ装置12に対するサーバ設定を受け付ける。図15は、サーバ設定画面の一例のイメージ図である。
なお、図15に示すサーバ設定画面1010では、認証サーバ装置12に対するサーバ設定を受け付ける部分しか表示されていないが、垂直スクロールバーを操作することで印刷サーバ装置11に対するサーバ設定を受け付ける部分を表示することが可能である。
サーバ設定画面1010の右欄には、認証サーバ装置12及び印刷サーバ装置11に対するサーバ設定を行う項目が表示されている。サーバ設定画面1010の右欄には、フェイルオーバの動作時に有効にする認証サーバ装置12及び印刷サーバ装置11のセカンダリサーバを設定するチェックボックスが含まれている。フェイルオーバの動作時に有効にするセカンダリサーバを設定するチェックボックスにチェックを付けると、選択したセカンダリサーバの設定欄が有効となる。
また、サーバ設定画面1010の右欄には、印刷アプリがプライマリサーバである認証サーバ装置12又は印刷サーバ装置11からの応答を待機する時間を接続タイムアウトとして設定するエディットボックスが含まれている。
また、サーバ設定画面1010の右欄には、認証サーバ装置12及び印刷サーバ装置11のプライマリサーバ及びセカンダリサーバを設定する設定欄が含まれている。認証サーバ装置12のプライマリサーバ及びセカンダリサーバの設定欄には、IPアドレス又はホスト名を設定するエディットボックス、HTTPSポート番号を設定するエディットボックスが含まれる。また、認証サーバ装置12のプライマリサーバ及びセカンダリサーバの設定欄には、エディットボックスに設定されたIPアドレス又はホスト名、HTTPSポート番号による認証サーバ装置12への接続を確認するための接続テストボタンが含まれている。
印刷サーバ装置11のプライマリサーバ及びセカンダリサーバの設定欄には、IPアドレス又はホスト名を設定するエディットボックス、ポート番号を設定するエディットボックスが含まれている。
また、印刷サーバ装置11のプライマリサーバ及びセカンダリサーバの設定欄には、印刷サーバ装置11へのアクセスにSSL通信を使用するか否かを設定するためのチェックボックスが含まれる。また、印刷サーバ装置11のプライマリサーバ及びセカンダリサーバの設定欄には、エディットボックスに設定されたIPアドレス又はホスト名、ポート番号による印刷サーバ装置11への接続を確認するための接続テストボタンが含まれる。
《ジョブ蓄積設定》
図13に示す基本設定画面1000の左欄の「ジョブ蓄積設定」が選択されると、クライアント端末13は、図16に示すジョブ蓄積設定画面1020から、ジョブ蓄積設定を受け付ける。図16は、ジョブ蓄積設定画面の一例のイメージ図である。
ジョブ蓄積設定画面1020の右欄には、レンダリングした印刷データをスプールするためにクライアント端末13で使用するプリンタドライバを設定するコンボボックスが含まれている。また、ジョブ蓄積設定画面1020の右欄には、蓄積した印刷ジョブ(文書)の保存期間を設定するテキストボックスが含まれている。例えば、保存期間を過ぎた文書は、削除することが可能である。
《代理印刷設定》
図13に示す基本設定画面1000の左欄の「代理印刷設定」が選択されると、クライアント端末13は、図17に示すような代理印刷設定画面1030から、代理印刷設定を受け付ける。図17は、代理印刷設定画面の一例のイメージ図である。
代理印刷設定画面1030の右欄には、代理ユーザ候補がチェックボックス付きのリストで表示される代理ユーザ候補リストが含まれている。また、代理印刷設定画面1030の右欄には、印刷ごとに表示される代理ユーザ選択ダイアログの表示/非表示を設定するためのチェックボックスが含まれている。代理ユーザ選択ダイアログの表示/非表示を設定するチェックボックスが、チェックされた状態であるとき、印刷時に代理ユーザを毎回選択しない設定を表している。
代理ユーザ選択ダイアログの表示/非表示を設定するためのチェックボックスがチェックされた状態であれば、クライアント端末13には、代理ユーザ選択ダイアログが表示されず、代理ユーザ候補リストでチェックされているユーザが暗黙的に代理ユーザとなる。
また、代理印刷設定画面1030の右欄には、全ユーザから代理ユーザ候補を選択するダイアログを開くためのボタンが含まれている。更に、代理印刷設定画面1030の右欄には、印刷サーバ装置11で使用するプリンタドライバを設定するコンボボックスが含まれている。
《アカウント設定》
図13に示す基本設定画面1000の左欄の「アカウント設定」が選択されると、クライアント端末13は、図18に示すようなアカウント設定画面1040から、アカウント設定を受け付ける。図18は、アカウント設定画面の一例のイメージ図である。
アカウント設定画面1040の右欄には、「指定したプリンタに印刷する」機能の選択により、アカウントプラグイン73で印刷する際に使用する出力装置(例えばクライアント端末13に接続されたローカルな出力装置)等を選択するためのコンボボックスが含まれている。この出力装置等を選択するコンボボックスには、例えばOSに登録されているプリンタのリストが表示される。
コンボボックスに表示されるプリンタのリストからは、二重アカウントを防ぐため、例えば仮想プリンタや印刷サーバ装置11の共有プリンタ、ダイレクトプリントのポートのプリンタを除外する。
印刷サーバ装置11の共有プリンタとは、印刷サーバ装置11の印刷データの送信先として設定されたプリンタである。ダイレクトプリントのポートのプリンタとは、印刷サーバ装置11を経由して出力装置14等にプッシュで印刷データを送信するプリンタである。このように、コンボボックスに表示されるプリンタのリストからは、印刷データの入力から出力までの間に印刷サーバ装置11を中継する印刷プロセスのプリンタが除外される。この理由は、印刷サーバ装置11がアカウント情報を認証サーバ装置12に送信する機能を有しており、印刷サーバ装置11を中継する印刷プロセスのプリンタのアカウント情報をクライアント端末13から送信すると二重アカウントになるためである。
また、アカウント設定画面1040の右欄には、印刷のたびにプリンタを選択するか否か設定させるためのチェックボックスが含まれている。更に、アカウント設定画面1040の右欄には、レポートに表示されるユーザ名をマスクするか否かを設定させるチェックボックスが含まれている。このマスク設定により、プライバシーの保護を強化することが可能となる。
《印刷ジョブ蓄積処理》
例えばユーザは、文書作成アプリケーション31を操作して、図19に示す印刷設定画面2000を表示し、例えば印刷アプリの仮想プリンタドライバ32aを選択して印刷を要求することにより印刷ジョブ蓄積処理を開始する。
図19は、印刷設定画面の一例のイメージ図である。ユーザは、例えば印刷設定画面2000のプリンタ選択欄2001から仮想プリンタドライバ32aを選択する。なお、ユーザは、印刷設定画面2000のプリンタ選択欄2001から、クライアント端末13に接続されたローカルの出力装置に直接、印刷を実行させるための実プリンタドライバ33を選択することも可能である。
また、図19に示す印刷設定画面2000から、本実施形態に係る印刷アプリの仮想プリンタドライバ32aの他、プラグイン41等の他のソフトウェアを利用するための仮想プリンタドライバ32を選択することも可能である。仮想プリンタドライバ32を選択して印刷を要求することで、ユーザは、選択した仮想プリンタドライバ32に応じた処理(プルプリント等)を開始することが可能となる。
例えば、プルプリントを行うプラグイン41の仮想プリンタドライバ32が選択された場合は、仮想プリンタドライバ32がアプリケーションデータを中間印刷データに変換した後、実プリンタドライバ33に実印刷データへの変換を要求する。仮想プリンタドライバ32は、印刷ジョブ情報とともに、実印刷データを印刷サーバ装置11に送信することでプルプリントを実現する。ダイレクトプリントを行う実プリンタドライバ33が選択された場合は、仮想プリンタドライバ32で変換された中間印刷データを実プリンタドライバ33で実印刷データに変換した後、ローカルの出力装置等に送信することでダイレクトプリントを実現する。
また、ユーザは、例えば印刷設定画面2000から印刷部数を指定する。また、ユーザは、印刷設定画面2000の「プロパティ」ボタン2002を押下することで、詳細な印刷設定を行う画面を表示し、両面/片面等の印刷面の設定やカラー/白黒等のカラーモードの設定、2in1等の集約の設定を行うことが可能となる。ユーザは、印刷設定画面2000の「OK」ボタン2003を押下することで印刷を要求する。
ユーザが、印刷設定画面2000を介して印刷を要求すると、クライアント端末13は、図20に示すような印刷ジョブ蓄積処理を開始する。図20は、印刷ジョブ蓄積処理の一例のフローチャートである。
図20の例において、文書作成アプリケーション31は、ユーザから印刷の要求を受け付けると(S1)、印刷設定画面2000のプリンタ選択欄2001から、印刷アプリの仮想プリンタドライバ32aが選択されたか否か判断する(S2)。
印刷アプリの仮想プリンタドライバ32aが選択されたと判断した場合(S2において、YES)、ルールベース印刷制御プラグイン74の印刷フロー制御部81は、表示部82に機能選択画面を表示させる(S3)。
具体的には、S3の処理において、文書作成アプリケーション31は、印刷イベントを印刷アプリの仮想プリンタドライバ32aに送信する。仮想プリンタドライバ32aは、ルールベース印刷制御プラグイン74の印刷フロー制御部81に印刷イベントを送信し、アプリケーションデータを中間印刷データに変換する。
ここで、印刷フロー制御部81は、所定の条件を満たす場合に機能選択画面を表示させるようにしても良い。例えば、印刷フロー制御部81は、予めカスタマイズされたルールファイルによるワークフローを印刷時に実施する設定が選択されておらず、機能プラグイン61の数が2以上、かつ、印刷時に機能を選ぶ設定が選択されている場合、表示部82に機能選択画面を表示させる。
なお、印刷フロー制御部81は、予めカスタマイズされたルールファイルによるワークフローを印刷時に実施する設定が選択されている場合には、図20に示すフローチャートの処理を終了する。その後、印刷フロー制御部81は、後述する機能選択画面を表示せず、ルールファイルにしたがって、ワークフローを実施する。
また、印刷フロー制御部81は、カスタマイズされたルールファイルによるワークフローを印刷時に実施しない設定が選択されておらず、かつ、機能プラグイン61の数が0の場合にも、図20に示すフローチャートの処理を終了する。
また、印刷フロー制御部81は、カスタマイズされたルールファイルによるワークフローを印刷時に実施する設定が選択されておらず、かつ、機能プラグイン61の数が1の場合、その機能プラグイン61の機能を選択する。
また、印刷フロー制御部81は、カスタマイズされたルールファイルによるワークフローを印刷時に実施する設定が選択されておらず、機能プラグイン61の数が2以上、かつ、印刷時に機能を選ぶ設定が選択されていない場合にも、機能選択画面を表示しない。この場合は、印刷時に実行される機能を選択するラジオボタン等により選択された機能を選択する。
図21は、機能選択画面の一例のイメージ図である。図21に示す機能選択画面2010は、「このPCにジョブを保存する」機能、「代理ユーザに印刷させる」機能、「指定したプリンタに印刷する」機能から、ユーザに1つの機能を選択させる場合の例である。「このPCにジョブを保存する」機能は、ジョブ蓄積プラグイン71の機能を選択するものである。「代理ユーザに印刷させる」機能は、代理印刷プラグイン72の機能を選択するものである。「指定したプリンタに印刷する」機能は、アカウントプラグイン73の機能を選択するものである。
ユーザは、例えば機能選択画面2010から「このPCにジョブを保存する」機能、「代理ユーザに印刷させる」機能、「指定したプリンタに印刷する」機能から一つの機能を選択する。
図20の例では、印刷フロー制御部81は、機能選択画面2010からユーザが選択した機能を判断する(S4)。ユーザが選択した機能が「代理ユーザに印刷させる」機能であれば、印刷フロー制御部81は、代理印刷が選択されたと判断する。
印刷フロー制御部81が、代理印刷が選択されたと判断し(S4において、YES)、代理印刷プラグイン72のユーザ情報付加部101は、印刷ごとに表示される代理ユーザ選択ダイアログの非表示が設定されていると判断した場合、代理ユーザ選択ダイアログを表示しない。また、予め代理ユーザ候補リストにおいてチェックされている代理ユーザを選択する。代理ユーザ候補リストにおいてチェックされている代理ユーザは、印刷を要求したユーザ(以下、印刷要求ユーザと呼ぶ)と紐付く代理ユーザIDとして代理ユーザ情報保持部104から取得する。
一方、ユーザ情報付加部101は、印刷ごとに表示される代理ユーザ選択ダイアログの表示が設定されていると判断すると、代理ユーザ選択ダイアログを表示し、印刷要求ユーザに代理ユーザを選択させる。ユーザ情報付加部101は、印刷ジョブ情報に印刷要求ユーザのユーザIDと代理ユーザIDとを付加する(S5)。なお、印刷要求ユーザのユーザIDは、例えば、ユーザがクライアント端末13にログインする時に使用したユーザIDを付加しても良く、別途、認証サーバ装置12に認証した時に使用したユーザIDを付加しても良い。いずれのユーザIDを使用するかは予め設定することが可能である。
次に、ジョブ蓄積プラグイン71の印刷データ蓄積部91は、実プリンタドライバ33を利用して、中間印刷データから実印刷データを生成する(S6)。印刷ジョブ管理部92は、実印刷データを管理対象として管理する。サーバ接続部93は、印刷ジョブ情報を印刷サーバ装置11に送信し(S7)、実印刷データを印刷サーバ装置11に送信する(S8)。
また、上述したS4の処理において、ユーザが選択した機能が「代理ユーザに印刷させる」機能でなければ(S4において、NO)、印刷フロー制御部81は、ユーザが選択した機能が「指定したプリンタに印刷する」機能であるか、「このPCにジョブを保存する」機能であるか判断する(S9)。
「指定したプリンタに印刷する」機能が選択されたと判断すると(S9において、YES)、アカウントプラグイン73の認証処理部111は、認証サーバ装置12を利用し、印刷要求ユーザの認証確認を行う(S10)。
印刷要求ユーザの認証確認に失敗すると、アカウントプラグイン73の印刷制御部112は、図20に示すフローチャートの処理を終了する。印刷要求ユーザの認証に成功すると、印刷制御部112は、例えばアカウント設定画面1040の右欄において、予め印刷するごとにプリンタを選択する設定が選択されている場合に、プリンタを選択する画面を表示し、ユーザにプリンタを選択させる。ここで、選択できるプリンタは、「アカウント設定」において選択できるプリンタと同様である。
印刷するごとにプリンタを選択する設定が選択されていない場合、印刷制御部112は、アカウントプラグイン73で印刷する際に使用するクライアント端末13に接続されたローカルの出力装置等を選択するコンボボックスにより選択されたプリンタを選択する。
アカウントプラグイン73の印刷制御部112は、印刷ジョブ情報及び中間印刷データを実プリンタドライバ33に送信し、実プリンタドライバ33に印刷ジョブの実行を指示する。実プリンタドライバ33は、中間印刷データから実印刷データを生成する(S11)。
実プリンタドライバ33は、印刷ジョブ情報を指定された出力装置等に送信し(S12)、実印刷データを指定された出力装置等に送信する(S13)。印刷ジョブ情報及び実印刷データを受信した出力装置等は、印刷ジョブを実行し、実印刷データの印刷を行う。ステップS11の印刷ジョブ情報の送信は必須でなく、省略も可能である。
アカウントプラグイン73のアカウント制御部113は、実印刷データの印刷に応じたアカウント情報を生成し、アカウントログを記憶する認証サーバ装置12に送信する(S14)。
図22は、アカウント情報の一例の構成図である。図22に示すアカウント情報は、クライアント端末13に接続されたローカルな出力装置等で印刷された実印刷データのアカウント情報の項目の一例である。図22に示すように、アカウント情報は、例えば実印刷データの白黒・カラーの情報、両面・片面の情報、ページ数の情報、部数の情報、用紙サイズの情報、ユーザコードの情報等を項目として有する。
アカウント情報に含まれるユーザコードは、図11に示す印刷ジョブ情報におけるユーザIDに相当する。したがって、代理印刷の場合、アカウント情報に含まれるユーザコードには、代理ユーザIDでなくオーナのユーザIDが設定される。なお、代理印刷の場合、アカウント情報には、ユーザコードの他、印刷を実行した代理ユーザのユーザID等のユーザ情報を含めるようにしても良い。
また、上述したS9の処理において、「このPCにジョブを保存する」機能が選択されたと判断すると(S9において、NO)、ジョブ蓄積プラグイン71のサーバ接続部93は、印刷ジョブ情報を印刷サーバ装置11に送信する(S15)。ジョブ蓄積プラグイン71の印刷ジョブ管理部92は、中間印刷データを、印刷データ蓄積部91を介して記憶部37等に蓄積して管理する(S16)。図20に示す印刷ジョブ蓄積処理では、中間印刷データをクライアント端末13で蓄積する例を示しているが、実印刷データをクライアント端末13で蓄積するようにしても良い。
また、上述したS2の処理において、文書作成アプリケーション31は、印刷アプリの仮想プリンタドライバ32a以外が選択された場合(S2において、NO)、ユーザにより選択された仮想プリンタドライバ32等のプリンタドライバに印刷イベントを通知する。これにより、選択したプリンタドライバに応じた印刷処理(プルプリント等)を開始し(S17)、処理を終了する。
図20に示す印刷ジョブ蓄積処理によれば、ユーザは代理印刷を選択することにより、実印刷データを印刷サーバ装置11に蓄積することが可能となる。実印刷データは、変更可能な印刷設定の内容が限定されてしまうが、代理印刷の特徴から印刷ジョブの実行時に印刷設定が変更される場合が少ないと考えられる。また、印刷サーバ装置11に実印刷データを蓄積しておくことで、代理ユーザは、クライアント端末13の電源がOFFされている場合であっても、印刷ジョブを実行することが可能となる。
上述したように、図20に示す印刷ジョブ蓄積処理によれば、ユーザに機能を選択させることで、機能に応じた蓄積先や蓄積形式等の蓄積設定の変更を容易に行わせることが可能となる。
なお、カスタマイズされたルールファイルによるワークフローを印刷時に実施する設定が選択されている場合、印刷フロー制御部81は、ルールファイルにしたがってワークフローを次のように実施する。例えば印刷フロー制御部81は、所定のフォーマットに沿ったXMLのワークフロー定義ファイルをルールファイルとし、そのルールファイルにしたがったワークフローを実現する。ルールファイルは予め編集しておき、例えばクライアント端末13の所定の位置に配置しておくと良い。
また、印刷システム1において共有フォルダに配置したルールファイルを、例えばリモート設定機能によりクライアント端末13に配布することも可能である。また、印刷システム1において印刷時にカスタマイズされたルールファイルによるワークフローを実施する設定の解除を禁止するようにしても良い。
例えばルールファイルには、ページ数によって印刷ジョブを複数の出力装置14等に振り分けるワークフロー、カラーを強制的に白黒に変更するワークフロー、ジョブ名により印刷ジョブを複数の出力装置14等に振り分けるワークフロー等を表現するものがある。また、ルールファイルには、ジョブ蓄積プラグイン71、代理印刷プラグイン72、アカウントプラグイン73の何れかの機能を含めるワークフロー等を表現するものがある。
また、ルールファイルは、条件とアクションとを組み合わせて定義することが可能である。条件には、ページ数やカラー設定、ジョブ名等、印刷ジョブ情報の印刷設定が定義される。アクションには、印刷、印刷設定の変更、処理の振り分け等、決定処理が定義される。ルールファイルには、複数の条件を定義することも、条件分岐を定義することも可能である。
《印刷ジョブ出力処理》
印刷システム1は、上述のように印刷サーバ装置11に印刷データを蓄積した場合、図23に示すような印刷ジョブ出力処理を行う。図23は、印刷ジョブ出力処理の一例のフローチャートである。図23の例では、出力装置14において印刷ジョブを実行する例を説明する。
出力装置14は、ユーザにより操作パネル等から認証情報を入力してログインが要求されると(S21)、認証サーバ装置12に認証情報を送信して認証を要求する(S22)。認証サーバ装置12は、受信した認証情報を利用して認証を行い、認証結果を出力装置14に返す。ここでは、例えば認証結果が認証成功であったものとして説明を続ける。なお、認証結果が認証失敗である場合は、例えばログインに失敗した旨を操作パネル等に表示し、S23の処理以降は行わないように制御する。
出力装置14は、認証に成功したユーザの印刷ジョブ情報を印刷サーバ装置11に要求する(S23)。印刷サーバ装置11は、認証に成功したユーザのユーザIDが付与されている印刷ジョブ情報を検索し、印刷ジョブ情報の一覧を出力装置14に送信する(S24)。
出力装置14は、受信した印刷ジョブ情報の一覧を表示し、印刷ジョブ情報の一覧から印刷ジョブをユーザに選択させると、選択された印刷ジョブの印刷データを印刷サーバ装置11に要求する(S25)。ここで、印刷サーバ装置11は、出力装置14から印刷データの要求を受け付けると、要求を受け付けた印刷データの蓄積先を印刷ジョブ情報に基づき判断する。図23の例では、例えば印刷サーバ装置11が印刷データの蓄積先として判断されたものとする。
印刷サーバ装置11は、例えば蓄積されている印刷データが実印刷データであるため、実印刷データを出力装置14に送信する(S26)。出力装置14は、印刷サーバ装置11から受信した実印刷データを出力する(S27)。
出力装置14は、実印刷データの出力結果としてアカウント情報を印刷サーバ装置11に送信し(S28)、印刷サーバ装置11のアカウント制御部122は、認証サーバ装置12のアカウント記憶部に実印刷データのアカウント情報を送信して記憶させる(S29)。
また、印刷システム1は、上述のようにクライアント端末13に印刷データを蓄積した場合、図24に示すような印刷ジョブ出力処理を行う。図24は、印刷ジョブ出力処理の他の例のフローチャートである。図24の例では、出力装置14において印刷ジョブを実行する例を説明する。
出力装置14は、ユーザにより操作パネル等から認証情報を入力してログインが要求されると(S31)、認証サーバ装置12に認証情報を送信して認証を要求する(S32)。認証サーバ装置12は、受信した認証情報を利用して認証を行い、認証結果を出力装置14に返す。ここでは、認証結果が認証成功であったものとして説明を続ける。なお、認証結果が認証失敗である場合は、例えばログインに失敗した旨を操作パネル等に表示し、S33の処理以降は行わないように制御する。
出力装置14は、認証に成功したユーザの印刷ジョブ情報を印刷サーバ装置11に要求する(S33)。印刷サーバ装置11は、認証に成功したユーザのユーザIDが付与されている印刷ジョブ情報を検索し、印刷ジョブ情報の一覧を出力装置14に送信する(S34)。
出力装置14は、受信した印刷ジョブ情報の一覧を表示し、印刷ジョブ情報の一覧から印刷ジョブをユーザに選択させると、選択された印刷ジョブの印刷データを印刷サーバ装置11に要求する(S35)。ここで、印刷サーバ装置11は、出力装置14から印刷データの要求を受け付けると、要求を受け付けた印刷データの蓄積先を印刷ジョブ情報に基づき判断する。図24の例では、例えばクライアント端末13が印刷データの蓄積先として判断されたものとする。
印刷サーバ装置11は、XMPP等のプロトコルでクライアント端末13に、出力装置14から要求された印刷ジョブの印刷データを要求する(S36)。クライアント端末13のジョブ蓄積プラグイン71の印刷ジョブ管理部92は、実プリンタドライバ33を利用し、中間印刷データから実印刷データに変換する(S37)。なお、クライアント端末13は、実印刷データを蓄積するようにしても良い。この場合には、S37の処理は省略される。
クライアント端末13は、印刷サーバ装置11から要求された印刷ジョブの実印刷データを印刷サーバ装置11に送信する(S38)。印刷サーバ装置11は、クライアント端末13から受信した印刷ジョブの実印刷データを出力装置14に送信する(S39)。出力装置14は、印刷サーバ装置11から受信した実印刷データを出力する(S40)。
出力装置14は、実印刷データの出力結果としてアカウント情報を印刷サーバ装置11に送信する(S41)。印刷サーバ装置11のアカウント制御部122は、認証サーバ装置12に実印刷データのアカウント情報を送信し、認証サーバ装置12のアカウント記憶部に記憶させる(S42)。
出力装置14は、例えば印刷サーバ装置11から受信した印刷ジョブ情報の一覧を、図25に示すように操作パネル等の表示装置に表示する。図25は、印刷ジョブ情報一覧画面の一例のイメージ図である。
図25の印刷ジョブ情報一覧画面2020には、認証に成功したユーザの印刷ジョブ情報のリスト2021が含まれている。印刷ジョブ情報のリスト2021は、各印刷ジョブ情報がボタン等の選択可能な部品で表されている。図25に示す各印刷ジョブ情報には、印刷ジョブ名、日時、ページ数、部数、印刷面、カラーモード、印刷データの蓄積先が一例として表示されている。
また、印刷ジョブ情報一覧画面2020は、全選択ボタン2022と、設定ボタン2023と、削除ボタン2024と、印刷ボタン2025と、代理印刷ボタン2026と、更新ボタン2027とが含まれている。
全選択ボタン2022は、印刷ジョブ情報のリスト2021の全ての印刷ジョブ情報を選択するボタンである。設定ボタン2023は、選択されている印刷ジョブ情報の印刷設定変更画面を表示するボタンである。削除ボタン2024は、選択されている印刷ジョブ情報を削除するボタンである。印刷ボタン2025は、選択されている印刷ジョブ情報の印刷開始を要求するボタンである。
代理印刷ボタン2026は、ログインユーザが代理ユーザとして印刷可能な印刷ジョブ情報を表示させるボタンである。更新ボタン2027は、印刷ジョブ情報のリスト2021を更新するボタンである。更新ボタン2027が押下されると、出力装置14は、印刷サーバ装置11から印刷ジョブ情報を再取得する。
上述した印刷ジョブ情報のリスト2021において、印刷データの蓄積先が「Client(クライアント)」である印刷ジョブが選択された場合には、上述した図24に示す印刷ジョブ出力処理が実行される。出力装置14は、例えばクライアント端末13との間でファイアウォール等のネットワーク接続が制限されている場合でも、印刷サーバ装置を介して、上述のようにクライアント端末13に蓄積されているデータを取得し、印刷出力することが可能となる。
上述したように、本実施形態によれば、ネットワーク接続が制限されている環境による適切なデータの出力を可能とする。
なお、本実施形態における出力データは、出力対象のデータであって、クライアント端末13においてユーザから出力要求を受付けた段階から、出力装置14等によって出力されるまでの間において、出力対象となっているデータを示している。本実施形態における出力プロセスでは、出力要求を受付けた段階から、出力装置14等によって出力されるまでの間において、出力対象のデータのデータ形式が、様々に変換される。
出力対象のデータは、例えばアプリケーションデータの形式(Word(登録商標)ファイル等)、中間データ形式(XPSデータ等)、印刷データ形式(PDLデータ等)等に変換される。本実施形態における出力対象のデータの変換のタイミングは、種々である。
例えばクライアント端末13は、出力データを中間データ形式で保持しても印刷データ形式で保持しても良い。印刷サーバ装置11は、出力データをアプリケーションデータ形式で保持しても中間データ形式で保持しても良く、出力装置14等において印刷を実行するときに印刷データ形式になっていれば良い。
出力装置14において中間データ形式の印刷が実行できるのであれば(例えばPDFデータ等)、印刷サーバ装置11やクライアント端末13は、中間データ形式の出力データを送信して印刷を実行させても良い。中間データ形式の出力データは、印刷データ形式の出力データとして利用される場合もある。
したがって、本実施形態における出力データは、クライアント端末13においてユーザから出力要求を受付けた段階から出力装置14によって出力されるまでの間に、どのようなデータ形式になっているかが必ずしも特定されているわけではない。本実施形態における出力データとしては、ユーザが出力を要求する対象として選択したデータを取り扱う。
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
なお、特許請求の範囲に記載した出力制御システムは、上述した実施形態におけるクライアント端末13や出力装置14とネットワークを介して接続される1以上の情報処理装置等であり、例えば1以上の印刷サーバ装置11や、認証サーバ装置12及び印刷サーバ装置11等である。出力制御システムは、ユーザによりクライアント端末13から出力要求が実行されてから、ユーザにより出力装置14等において出力処理が実行されるまでの間に、出力プロセス(印刷プロセス)を制御する機能を備える。
なお、出力制御システムは、認証サーバ装置12及び印刷サーバ装置11以外の他の装置を含むことも可能である。
また、特許請求の範囲に記載した設定管理手段は、例えば設定管理部84等である。選択受付手段は、例えば印刷フロー制御部81等である。蓄積制御手段は、例えば印刷データ蓄積部91等である。出力データ関連情報保持手段は、例えば印刷ジョブ情報保持部124等である。出力手段は、出力装置14の実印刷データを出力する機能等である。
出力制御手段は、例えば印刷制御部112等である。第1のアカウント制御手段は、例えばアカウント制御部113等である。第2のアカウント制御手段は、例えばアカウント制御部122等である。認証処理手段は、例えば認証処理部111等である。表示手段は、例えば表示部82等である。フロー情報保持手段は、例えば印刷フロー設定部83等である。フロー実行手段は、例えば印刷フロー制御部81等である。
出力データ関連情報送信手段は、例えば印刷ジョブ管理部92等である。出力データ送信手段は、例えば印刷ジョブ管理部92等である。出力要求を指示した指示ユーザは、印刷要求ユーザ等である。出力データの書誌情報に基づく出力設定は、印刷データの印刷ジョブ情報に基づく印刷設定等である。