JP2014051727A - 排気系部品の窒化処理方法および排気系部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】窒化ガスの無駄な分解を抑制でき、処理対象面積が狭くとも容易に適用できる排気系部品の窒化処理方法を実現し、低コストで耐食性に優れた排気系部品を提供する。
【解決手段】オーステナイト系ステンレス鋼からなり内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部22aを有するワークWを窒化ガスを用いて窒化させる排気系部品の窒化処理方法であって、ワークWのうち少なくとも排気接触部22aを通電加熱して、排気接触部22aを窒化ガスの温度より高い温度で窒化ガスに接触させ、排気接触部22aに窒化された耐食層Lcrを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】オーステナイト系ステンレス鋼からなり内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部22aを有するワークWを窒化ガスを用いて窒化させる排気系部品の窒化処理方法であって、ワークWのうち少なくとも排気接触部22aを通電加熱して、排気接触部22aを窒化ガスの温度より高い温度で窒化ガスに接触させ、排気接触部22aに窒化された耐食層Lcrを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、排気系部品の窒化処理方法および排気系部品に関し、特に内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部を有する排気系部品の窒化処理方法および排気系部品に関する。
オーステナイト系ステンレス鋼の窒化処理においては、ワーク表層部の粒界付近にクロム欠乏部が発生すると粒界腐食が生じ易い。そこで、オーステナイト系ステンレス鋼粉末の焼結体をガス窒化雰囲気中で700〜1000℃に加熱して窒化し、オーステナイトマトリックス中に微細なクロム窒化物を分散させることで、潤滑油補給できない高温環境での軸受面の耐摩耗性を向上させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
一方、窒化ガス温度を高めるとアンモニアの分解が過剰に促進され、窒化層にむらが生じたり窒化ガスの無駄使いになったりする。そこで、鉄系部品の摺動部のみを常温の不活性ガス雰囲気中で890〜940℃の温度に高周波加熱またはレーザ加熱することで、処理対象部のみにアンモニアを十分に供給しつつ浸炭窒化処理を施し、窒素拡散固容層厚さの確保とワークの熱変形の低減を図るものがある(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、窒化や炭窒化の処理を伴う上述の従来方法は、内燃機関の排出ガス成分が溶け込んだ酸性の凝縮水等に接触する排気系部品に有効な耐食層を形成する場合には、コスト面や耐食性の面から、適用し難かった。
すなわち、前者の従来方法では、窒化ガス温度が高いために窒化ガスの分解が促進されて窒化層にむらが生じたり窒化ガスの無駄使いになってしまい、後者の従来方法では、処理対象面積が狭くなる場合や処理対象面が狭い空間の内壁面である場合には適用が困難であるか、無駄な窒化処理面積が多くなってしまう。そのため、これらの従来方法では、排気系部品の窒化処理コストが高くなってしまうか、排気系部品のガス通路に効果的な耐食層を形成できないものとなっていた。
そこで、本発明は、窒化ガスの無駄な分解を抑制できるとともに、処理対象面積が狭くなるような場合でも容易に適用可能な排気系部品の窒化処理方法を実現し、低コストで耐食性に優れた排気系部品を提供することを目的とする。
本発明に係る排気系部品の窒化処理方法は、上記目的達成のため、(1)オーステナイト系ステンレス鋼からなり内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部を有する排気系部品を窒化ガスを用いて窒化させる排気系部品の窒化処理方法であって、前記排気系部品のうち少なくとも前記排気接触部を加熱して、前記排気接触部を前記窒化ガスの温度より高い温度で前記窒化ガスに接触させ、前記排気接触部に窒化された耐食層を形成することを特徴とするものである。
この構成により、窒化ガスは排気接触部の表層部でのみ分解することになって窒化ガスの余計な分解が防止される。しかも、窒化ガス温度に対する排気接触部の加熱温度の差や有効な加熱時間が調節可能となり、排気系部品の排気接触部の表層部における窒素の供給量が的確に制御される。したがって、排気接触部の表層部に過剰な炭窒化物が析出して粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されることが有効に抑制され、オーステナイト組織に窒素を十分に固溶分散させた効果的な耐食層が形成できることになる。
本発明の排気系部品の窒化処理方法においては、(2)前記排気系部品に、前記排気接触部を内周壁面とする管状部分を形成しておき、前記排気系部品の前記管状部分に前記窒化ガスを通して前記排気接触部を前記窒化ガスに接触させ、前記管状部分の前記内周壁面側にのみ前記耐食層を形成するようにしてもよい。
この構成により、窒化ガスを排気系部品の外部の雰囲気ガスとして供給する必要がなくなり、窒化ガスの消費量が大幅に低減可能となる。
また、本発明の排気系部品の窒化処理方法においては、(3)前記加熱期間は、前記排気系部品のうち少なくとも前記排気接触部の温度が予め設定された一定温度範囲内に達するまで上昇する昇温期間と、該一定温範囲内に上昇した温度を予め設定された均熱保持時間だけ保持する保持期間とを含み、前記昇温期間および前記保持期間の双方で、前記排気接触部の温度を前記窒化ガスの温度より高い温度に制御するのがよい。
この構成により、窒化ガスの供給条件を一定条件としながら排気接触部の温度を調節するだけで、排気系部品の排気接触部の表層部における窒素の供給量を的確に制御可能となり、排気接触部の表層部の粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されるのを有効に抑制できることになる。
さらに、本発明の排気系部品の窒化処理方法においては、(4)前記排気系部品のうち少なくとも前記排気接触部を、前記オーステナイト系ステンレス鋼への窒素固溶量が一定値を超える窒化温度域の温度以上に高い温度に通電加熱することが好ましい。
この構成により、窒化処理対象面積が狭くなったり狭い空間の内方側に処理対象面が配置されたりしても、容易に窒化処理できる。
一方、本発明に係る排気系部品は、上記目的達成のため、(5)オーステナイト系ステンレス鋼からなり内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部を有するケースを備えた排気系部品において、前記排出ガスの通過方向における前記ケースの両端側に、前記ケースのうち少なくとも前記排気接触部を電気加熱可能な複数の電極接続部が設けられるとともに、前記排気接触部が、前記ケースの内部に前記複数の電極接続部に電気的に接続するよう設けられ、前記排気接触部を含む前記ケースの内部にのみ窒化された耐食層が形成されていることを特徴とするものである。
この構成により、窒化ガスを排気系部品の外部に供給することなく、耐食性の要求されるケース内部のガス通路のみに効果的な耐食層を形成することができ、低コストで耐食性に優れた排気系部品を提供することができる。
本発明の排気系部品においては、(6)前記ケースの内部に、内周側および外周側のうちいずれか一方側の周壁面部分で前記排出ガスに接触し、該内周側および外周側のうちいずれか他方側の周壁面部分で前記内燃機関の冷却水に接触する熱交換パイプが設けられており、前記排気接触部が、前記熱交換パイプの前記いずれか一方側の周壁面部分となっていることが好ましい。
この構成により、排気系部品がケースの内部に熱交換パイプが配置される熱交換器となる場合でも、そのケースの内部に熱交換パイプの内外いずれかの周壁面部分を含む排気接触部に効果的な窒化処理を施すことができる。
本発明によれば、排気接触部を窒化ガスより高い温度に加熱して窒化ガスに接触させながら、排気接触部の表層部の粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されるのを有効に抑制するようにしているので、オーステナイト組織に窒素を十分に固溶分散させた効果的な耐食層を形成することができる。その結果、窒化ガスの無駄な分解を抑制できるとともに、処理対象面積が狭くなるような場合でも容易に適用可能な排気系部品の窒化処理方法を実現でき、低コストで耐食性に優れた排気系部品を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1ないし図5は、本発明の第1実施形態に係る排気系部品の窒化処理方法を説明する図であり、図1にその窒化処理システムの概略構成を示している。なお、本実施形態は、本発明を自動車に搭載される内燃機関の排出ガスを冷却するEGRクーラの窒化処理方法とその排気系部品としてのEGRクーラとに適用したものである。
図1ないし図5は、本発明の第1実施形態に係る排気系部品の窒化処理方法を説明する図であり、図1にその窒化処理システムの概略構成を示している。なお、本実施形態は、本発明を自動車に搭載される内燃機関の排出ガスを冷却するEGRクーラの窒化処理方法とその排気系部品としてのEGRクーラとに適用したものである。
まず、本実施形態の窒化処理システムの構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態の窒化処理システム1は、ガスボンベ11aを有するガス供給装置11と、ガス供給装置11からワークWに延びる上流側のガス配管12と、ワークWの下流側に延びる下流側のガス配管13と、下流側のガス配管13に接続する残留ガス分解炉14とを備えている。また、窒化処理システム1は、残留ガス分解炉14に配管15を介して接続された燃焼塔16と、ワークWを電気加熱、例えば通電加熱する交流の加熱電源17および複数の電極18A,18Bを有する加熱機構19とを備えている。ここで、ワークWは、オーステナイト系ステンレス鋼からなる窒化処理の対象物であり、後述するEGRクーラ20の未完成品となっている。
ガス供給装置11は、ガスボンベ11a中にアンモニアガスまたはそれを主成分とする窒化ガスを圧縮して貯留しており、上流側のガス配管12を通してワークWの内部に窒化ガスを供給することができるようになっている。
このガス供給装置11は、詳細な構成を図示しないが、ワークWへの窒化ガスの供給に先立ってあるいは窒化ガスの供給と併せて、オーステナイト系ステンレス鋼からなるワークWの表面の不動態皮膜を除去し活性化するための前処理ガス、例えば硫化水素ガス(H2Sガス)のような硫黄系ガスを供給できるように構成されている。
なお、本実施形態では、ワークWの内部にのみ窒化処理を施すので、不動態皮膜を除去するために前処理ガスによる化学的除去処理を行うが、前処理液による化学的除去処理を行うこともできる。また、ワークWの外部に窒化処理を施す場合等には、不動態皮膜を除去するために物理的除去処理を行うことも可能である。
残留ガス分解炉14は、ワークWを通過した窒化ガスの温度を上げた状態で残留アンモニアガスを水素と窒素に分解させるものであり、ここで分解された水素ガスは、燃焼塔16によって燃焼除去されるようになっている。
ワークWは、オーステナイト系ステンレス鋼からなる板金や偏平パイプ等の素材で構成されたEGRクーラ20の窒化処理前の未完成品となっている。
具体的には、EGRクーラ20は、例えばJIS規格でSUS316Lと規定されるステンレス鋼素材から、図2および図3に示すような形状に作製されたケース21を有しており、このケース21の内部に図外の内燃機関の排出ガスに接触する複数の偏平な熱交換パイプ22(排気接触部)が設けられている。また、ケース21の内部には、図外の水冷式の内燃機関からの排出ガスが通るガス通路23と、その内燃機関の冷却水が通る冷却水通路24とが形成されている。
また、EGRクーラ20には、内燃機関の排出ガスの通過方向(図3中の黒矢印A1方向)におけるケース21の両端側に、複数の支持板26A,26Bを介して複数の熱交換パイプ22に電気的に接続された前後のガス導入管25Aおよびガス排出管25Bが設けられている。
そして、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a(内周側および外周側のうちいずれか一方側の周壁面部分)とガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの内壁面部分25e,25fとによって、ガス通路23が形成されている。一方、複数の熱交換パイプ22はそれぞれの両端部で支持板26A,26Bによってケース21に支持されており、これらケース21、複数の熱交換パイプ22の外周壁面部22bおよび支持板26A,26Bによって、冷却水通路24が形成されている。
以下、EGRクーラ20の窒化処理前品であるワークWについても、EGRクーラ20の各部名称を用いる。
ワークWは、ガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの端部25j,25k(複数の電極接続部)を図1に示すように複数の電極18A,18Bにより保持された状態で、両電極18A,18Bを介して加熱電源17により通電されるとき、その通電電流およびステンレス鋼素材の電気抵抗に応じて全体的に通電加熱され得るようになっている。
また、ワークWは、加熱機構19による所定条件での通電加熱が継続されるとき、少なくとも熱交換パイプ22の内周壁面部分22aとガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの内壁面部分25e,25fとが予め設定された均熱保持温度Tmに均熱保持され得るようになっている。換言すれば、そのような均熱保持が可能になるよう、複数の電極18A,18Bの接続形態(接触位置や面積、数等)やガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの端部25j,25kの形状等といったケース21の両端部形状が設定されている。
図3中の部分拡大図および図5(a)に示すように、ガス通路23を形成する熱交換パイプ22の内周壁面部分22aには、窒化された耐食層Lcrが形成されている。
耐食層Lcrは、オーステナイト系ステンレス鋼の母材層Lbの上層側に位置する熱交換パイプ22の内周壁面部分22aの最表面付近で、粒界にクロム窒化物(CrN)を析出させることなく均一なオーステナイト組織中に窒素を固溶させた状態の窒化層である。したがって、この耐食層Lcrは、耐食性に寄与するクロム(Cr)の含有率が十分に高くなっている。
特に、本実施形態では、母材がSUS316Lであり、低炭素含有率であってモリブデン(Mo)を含有するので、それによっても耐食層Lcrの耐食性が高められるようになっている。ただし、材質がSUS316Lに限られないのは勿論である。
耐食層Lcrは、熱交換パイプ22の内周壁面部分22aだけでなく、他の排気接触部であるガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの内壁面部分25e,25fにも、ケース21の内部の同様な耐食層として、形成されている。
次に、本実施形態に係る排気系部品の窒化処理方法の一実施形態について、すなわち、熱交換パイプ22の内周壁面部分22aやガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの内壁面部分25e,25fに耐食層Lcrを形成する方法について、説明する。
本実施形態の排気系部品の窒化処理方法は、準備工程と、膜除去工程と、昇温工程と、均熱保持工程と、冷却工程とを含むガス窒化法となっている。
まず、準備工程では、ケース21の内部にガス通路23および冷却水通路24が形成されたワークWを準備する。
そして、ワークWを上流側のガス配管12および下流側のガス配管13と配管接続し、ガス供給装置11からワークWへのガス供給とワークWから残留ガス分解炉14への残留ガスの排出ができる状態とする。
なお、下流側のガス配管13を分岐させてワークWの内部を真空引き可能なポンプ等に接続し、ガス供給装置11からワークWへのガス供給に先立ってケース21内の酸素濃度を一定比率以下に低下させるのがよい。
次いで、膜除去工程および昇温工程に移行して、ワークWの通電加熱を開始する一方で、アンモニア(NH3)ガスを含む窒化ガス、例えばアンモニアガス、窒素ガス(N2)および硫化水素(H2S)ガスの混合ガスを、ワークW側に供給し、ワークWの内部に導入させる。
このとき、熱交換パイプ22の内周壁面部分22aやガス導入管25Aおよびガス排出管25Bの内壁面部分25e,25f(排気接触部;以下、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等という)に接触する、アンモニアガスを主成分とする窒化ガス雰囲気が生成される。
ワークWの通電加熱を継続すると、図4(b)に示す昇温区間P1のような単位時間当たりの温度上昇勾配で、ワークWの温度が上昇する。
ワークWの温度が予め設定された均熱保持温度Tmに接近する状態になると、通電加熱条件を緩和して、ワークWのうち少なくとも熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の排気接触部の全域を均熱保持温度Tmに均熱保持する均熱保持工程に移行する。
ここでの均熱保持温度Tmは、ワークWの熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等を形成するオーステナイト系ステンレス鋼を均一なオーステナイト組織とすることができる温度であって、窒素の母材への窒素固溶量が一定値を超える窒化温度域(通常の窒化や軟窒化の処理温度、例えば590℃以下)の温度以上に高い温度である。また、均熱保持温度Tmは、オーステナイト系ステンレス鋼の固溶化熱処理温度(例えば1000℃以上)より低い温度である。
この均熱保持温度Tmは、例えば820℃に設定されている。また、ワークWの温度Twを均熱保持温度Tmに保持する保持時間Hpは、例えば30分である。
図4(b)中において、この保持時間Hpに対応する保持期間P2の時間長さは、昇温期間P1や冷却期間P3より長くなっているが、これらの期間P1〜P3のそれぞれの時間設定は、任意である。
窒化ガスであるアンモニアガスは、窒化処理ごとにワークWの内部のガス通路23を含む一定のガス通路区間内に閉じ込めることができるが、ワークWの内部に一定濃度のアンモニアガスを充満させながら、少ない流入出量で窒化ガスを流し続けることもできる。その場合には、均熱保持温度Tmの設定可能な温度範囲やその保持時間Hp(図4(b)参照)は拡大し得る。
一方、この間、ワークWの内部の温度Twが、均熱保持温度Tmより低温であるもののアンモニアガスの分解が始まる所定温度を超えると、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面の近傍に存在する窒化ガス雰囲気のうちアンモニアガスが分解して水素が発生する。そして、その水素により、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面上に生成していた硫化物が活性な金属に還元され、不動態皮膜の除去状態でアンモニアの分解により生ずる発生期(分解遊離直後)の窒素が、均熱保持されたワークWの熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面に吸着され、オーステナイト組織中に容易に侵入する(図4(a)参照)。
このとき、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面、すなわち、オーステナイト系ステンレス鋼の母材層Lbの上層側の表層部(図4(a)中に(Lcr)で示す)の最表面付近において、クロム窒化物を析出させることなくオーステナイト組織中に窒素が固溶した状態で窒化が進み、予め設定された均熱保持時間(例えば、30分程度)だけ窒化された層が、最終的に耐食層Lcrとなる。
次いで、予め設定された均熱保持時間が経過すると、ワークWの通電加熱が停止されるか、通電加熱量が低減されて、ワークWの冷却が開始される。すなわち、冷却工程に移行する。
この冷却の開始時には、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面温度Twは、アンモニアガスの雰囲気温度Tgより高い温度に保持されているが、冷却工程中において、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面温度Twは自然放熱により徐々に低下し、アンモニアガスの温度Tgが徐々に熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表面温度Twに近付き、冷却完了時には、両者が略同一温度になって、一連の窒化処理が終了する。
冷却が終了すると、ワークW内の残留ガスが残留ガス分解炉14に導入され、その残留ガスが残留ガス分解炉14内で加熱されて水素と窒素に分解され、水素ガスは燃焼塔16によって燃焼除去される。
このように、本実施形態では、ワークWの加熱期間が、ワークWの少なくとも熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の温度Twが予め設定された均熱保持温度Tm付近の一定温度範囲内に達するまで上昇する昇温期間P1と、その一定温範囲内に上昇したワークWの温度を予め設定された均熱保持時間Hpだけ均熱保持温度Tmに保持する保持期間P2と、通電加熱を実質的に停止してワークWの温度Twを均熱保持温度Tmから低下させる冷却期間P3とを含み、少なくとも昇温期間P1および保持期間P2の双方で、排気接触部である熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の温度を窒化ガスの温度Tgより高い温度に制御する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
上述のような本実施形態の排気系部品の窒化処理方法においては、窒化ガスを全体的に高温に加熱する必要がなく、ワークWの熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表層部でのみ分解することになるから、窒化ガスの余計な分解が防止される。
しかも、窒化ガスの温度や成分濃度のみならず、窒化ガス温度Tgに対するワークWの熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の加熱温度Twの差(温度差)や有効な加熱時間が適宜調節可能であることから、ワークWの熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表層部における窒素の供給量が的確に制御される。
したがって、ワークWの熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表層部に過剰な炭窒化物が析出して粒界近傍にクロム欠乏部等が形成されるといったことが有効に抑制され、図5(b)に耐食層Lcrの最表面の粒界を拡大して示すように、均一なオーステナイト組織に窒素を十分に固溶分散させた効果的な耐食層Lcrが形成できることになる。また、最表層部に厚い化合物層が形成されることもない。
また、本実施形態では、ワークWの熱交換パイプ22に窒化ガスを通してその内周壁面部分22a等を窒化ガスに接触させ、ケース21の内側にのみ耐食層Lcrを形成する。したがって、窒化ガスをケース21の外部の雰囲気ガスとして供給する必要がなくなり、窒化ガスの消費量が大幅に低減可能となる。また、窒化処理システム1を容易にコンパクト化できる。
さらに、本実施形態では、昇温期間P1および保持期間P2の双方で、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の温度Twを窒化ガスの温度Tgより高い温度に制御する。したがって、窒化ガスの供給条件を一定条件としながらワークWの熱交換パイプ22等の温度を調節するだけでも、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の表層部における窒素の供給量を的確に制御できる。その結果、熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等の耐食層Lcrの粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されるのを有効に抑制できる。
加えて、本実施形態では、ワークWをオーステナイト系ステンレス鋼の固溶化熱処理温度より低く、かつ、窒素固溶量が一定値を超える窒化温度域の温度以上に高い温度Tmに通電加熱するので、ワークWにおける窒化処理の対象面積が狭くなったり狭い空間の内方側に処理対象面が配置されたりしても、容易に窒化処理できる。
また、ワークWに上述のような窒化処理を施して製造されるEGRクーラ20は、ケース21に少なくとも熱交換パイプ22の内周壁面部分22a等を電気加熱可能な電極接続部が設けられ、ケース21の内部にのみ窒化された耐食層Lcrが形成されている。したがって、窒化ガスをケース21の外部に供給することなく、耐食性の要求されるガス通路23の内壁面部分にのみに効果的な耐食層Lcrを形成することができ、低コストで耐食性に優れたEGRクーラ20を提供することができる。
しかも、EGRクーラ20のケース21の内部には、内周側および外周側のうちいずれか一方側で排出ガスに接触し、他方側で内燃機関の冷却水に接触する熱交換パイプ22が設けられ、その内周壁面部分22a等が排気接触部となっている。したがって、EGRクーラ20がケース21の内部に熱交換パイプ22が配置される熱交換器として構成され、窒化処理の対象部が狭い範囲内に制限される場合でも、そのケース21の内部で熱交換パイプ22の内外いずれかの内周壁面部分22aを含む排気接触部に効果的な窒化処理を施すことができる。
このように、本実施形態においては、ワークWの排気接触部を加熱および温度調節して窒化ガスより高い温度Twで窒化ガスに接触させながら、排気接触部の表層部の粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されるのを有効に抑制するようにしているので、オーステナイト組織に窒素を十分に固溶分散させた効果的な耐食層Lcrを形成することができる。その結果、窒化ガスの無駄な分解を抑制できるとともに、処理対象面積が狭くなるような場合でも容易に適用可能な排気系部品の窒化処理方法を実現でき、効率的な窒化処理方法が実現できる。そして、この窒化処理方法により、低コストで耐食性に優れた高品質のEGRクーラ20を効率良く生産できる。
(一実施例と比較例の腐食性の評価)
上記EGRクーラ20の構成を有するワークWの排気接触部を一実施例の複数のテストピースとして切り出し、それらの通電加熱による窒化処理後のオーステナイト系ステンレス鋼の表面上に、内燃機関の排出ガス成分を含む強酸性の凝縮水と同等以上の腐食液を滴下した後、それら一実施例のテストピースを乾燥させ、さらに高温高湿環境下に放置する腐食性試験を行った。そして、それら一実施例のテストピースを洗浄して、それぞれの孔食深さ(最大浸食深さ)を計測した。
上記EGRクーラ20の構成を有するワークWの排気接触部を一実施例の複数のテストピースとして切り出し、それらの通電加熱による窒化処理後のオーステナイト系ステンレス鋼の表面上に、内燃機関の排出ガス成分を含む強酸性の凝縮水と同等以上の腐食液を滴下した後、それら一実施例のテストピースを乾燥させ、さらに高温高湿環境下に放置する腐食性試験を行った。そして、それら一実施例のテストピースを洗浄して、それぞれの孔食深さ(最大浸食深さ)を計測した。
また、上記EGRクーラ20の構成を有するワークWの排気接触部を比較例の複数のテストピースとして切り出し、従来方法と同様にそれらを590℃の窒化ガスにより加熱しつつ窒化処理した後のそのオーステナイト系ステンレス鋼の表面上に、内燃機関の排出ガス成分を含む強酸性の凝縮水と同等以上の腐食液を滴下した後、それら比較例のテストピースを乾燥させ、さらに高温高湿環境下に放置する腐食性試験を行った。そして、それら比較例のテストピースを洗浄して、それぞれの孔食深さを計測した。
図6は、これら一実施例および比較例の腐食性試験の結果を比較して示している。
同図に示す試験結果から明らかなように、従来方法による窒化処理を行った比較例では大半のテストピースの孔食深さが許容範囲外であったが、一実施例ではすべてのテストピースの孔食深さが許容範囲内であった。
また、窒化ガスによってワークWのテストピースを加熱しつつ窒化処理した場合、図7(a)に示すように、オーステナイト系ステンレス鋼の表層部には、最上層に厚い化合物層Lcnが形成され、その化合物層Lcnと母材層Lbとの間に、図7(d)に模式的に図示するようにクロム窒化物が粒界に析出した窒化層Lntが形成されていた。この窒化層Lntは、粒界付近にクロム欠乏部が発生した過剰窒化状態となっており、これを腐食液に漬けると、図7(b)および図7(c)に示すように、粒界腐食と同様な腐食が生じた。
(第2実施形態)
図8および図9は、本発明の第2実施形態に係る排気系部品の窒化処理方法を実施する窒化処理システムとそのワークの概略構成を示している。なお、本実施形態の窒化処理システムやワークは、ワークWの外表面部に窒化処理を施すようになっている点で、第1実施形態とは相違するが、他の構成は第1実施形態と略同様の構成を有するものである。したがって、第1実施形態と同様の構成については、図1に示された対応する構成要素の符号を用い、第1実施形態との相違点について以下に説明する。
図8および図9は、本発明の第2実施形態に係る排気系部品の窒化処理方法を実施する窒化処理システムとそのワークの概略構成を示している。なお、本実施形態の窒化処理システムやワークは、ワークWの外表面部に窒化処理を施すようになっている点で、第1実施形態とは相違するが、他の構成は第1実施形態と略同様の構成を有するものである。したがって、第1実施形態と同様の構成については、図1に示された対応する構成要素の符号を用い、第1実施形態との相違点について以下に説明する。
本実施形態における排気系部品は、図9に示すEGRクーラ80の一部、例えばケース21の内部に配置された複数の熱交換パイプ82(排気接触部)となっており、それら熱交換パイプ82の外周壁面部分82bが図外の内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部となっている。そして、それらの熱交換パイプ82の外周壁面部分82bに、耐食層Lcrが形成されている。
本実施形態において、ワークWは、EGRクーラ80の主要部品である複数の熱交換パイプ82の窒化処理前品となる。
図8に示すように、本実施形態の窒化処理システム1は、上流側のガス配管12および下流側のガス配管13に接続された窒化処理槽10を備えており、この窒化処理槽10内に配置されたワークWの両端部82e,82f(複数の電極接続部)が、加熱機構19の複数の電極18A,18Bに挟まれた状態で、ワークWが通電加熱されるようになっている。
本実施形態では、ワークWの外周壁部に窒化処理を施すので、不動態皮膜を除去するための前処理ガスをワークWの内部に侵入させないよう、ワークWを両端側内周部で閉塞してもよい。
次に、本実施形態の窒化処理方法について説明する。
本実施形態では、まず、ワークWが、窒化処理槽10内に設置され、通電加熱可能に加熱機構19の複数の電極18A,18Bに接続された後、低酸素濃度となるよう窒化処理槽10内が真空引きされる。
次いで、ワークWが昇温されるとともに、第1実施形態と同様な膜除去工程の処理が実行される。勿論、昇温工程の開始後に硫化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガスを窒化処理槽10内に導入して膜除去工程を実行することができるが、これには限らず、硫化水素ガスとアンモニアガスとの混合ガスを炉内に導入してから昇温工程を開始したり、硫化水素ガスとアンモニアガスの供給時期および供給量を個別に制御してもよい。
ワークWの温度が予め設定された均熱保持温度Tmに接近する状態になると、通電加熱条件を緩和して、ワークWのうち少なくとも熱交換パイプ82の排気接触部の全域を均熱保持温度Tmに均熱保持する均熱保持工程に移行する。ここでの均熱保持温度Tmも、ワークWの熱交換パイプ82の外周壁面部分82bを形成するオーステナイト系ステンレス鋼を均一なオーステナイト組織とすることができる温度であって、通常の窒化や軟窒化の処理温度より高い温度である。
ワークWの温度Twが、均熱保持温度Tmより低温であるもののアンモニアガスの分解が始まる所定温度を超えると、熱交換パイプ82の外周壁面部分82bの表面の近傍に存在する窒化ガス雰囲気のうちアンモニアガスが分解して水素が発生する。そして、その水素により、熱交換パイプ82の外周壁面部分82bの表面上に生成していた硫化物が活性な金属に還元され、不動態皮膜の除去状態でアンモニアの分解により生ずる発生期の窒素が、均熱保持されたワークWの熱交換パイプ82の外周壁面部分82bのオーステナイト組織中に容易に侵入する。
このとき、熱交換パイプ82の外周壁面部分82bの表面、すなわち、オーステナイト系ステンレス鋼の母材層Lbの上層側の表層部の最表面付近において、クロム窒化物を析出させることなくオーステナイト組織中に窒素が固溶した状態で窒化が進み、予め設定された均熱保持時間だけ窒化された層が、最終的に耐食層Lcrとなる。
次いで、予め設定された均熱保持時間が経過すると、冷却工程に移行する。
本実施形態においても、ワークWの排気接触部を通電加熱により加熱および温度調節して窒化ガスより高い温度Twで窒化ガスに接触させながら、排気接触部の表層部の粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されるのを有効に抑制するようにしているので、オーステナイト組織に窒素を十分に固溶分散させた効果的な耐食層Lcrを形成することができる。その結果、窒化ガスの無駄な分解を抑制できるとともに、処理対象面積が狭くなるような場合でも容易に適用可能な排気系部品の窒化処理方法を実現でき、それによって、低コストで耐食性に優れたEGRクーラ80を提供することができる。
なお、本実施形態のワークWをEGRクーラ80の窒化処理前の未完成品として、第1実施形態と同様な手順でケース21の内壁面部分と熱交換パイプ82の外周壁面部分82bとを同時に窒化処理できることはいうまでもない。
上述の各実施形態の窒化処理方法においては、ガス窒化を採用した。しかしながら、本発明は、窒化可能なガスを用いて窒化層を形成するガス軟窒化やガス浸硫窒化その他の窒化法にも採用できる。
また、本実施の形態の排気系部品においては、排気系部品をEGRクーラ20やEGRクーラ80の主要部品に適用するものとしたが、本発明に係る排気系部品は、これに限られず、例えば、排気マニホールドや排気管、EGRバルブなど、排気接触部を有する他の排気系部品全般に適用可能である。
さらに、上述の各実施形態では、ワークWを両端部から通電加熱していたが、ワークWの形状や加熱したい排気接触部の形状や配置形態に応じて、電極位置や電極配置数を設定でいることは勿論である。また、ワークWを通電加熱以外の加熱方法で予熱したり、温度調節可能な他の電気加熱方法を採用することも考えられる。ただし、ワークの各種形状の排気接触部に対応可能で、その表面全域に窒素の溶け込みが容易な適温のオーステナイト組織を形成するのには、通電加熱が有効であり、排気接触部がワークの表面の広範囲に亘る場合でもムラなく窒化された高耐食性の耐食層が形成できる。
ワークWの加熱温度は、例えば窒化処理対象部分の平均温度、窒化ガスの温度は、その窒化処理に寄与し得る窒化ガス領域の平均ガス温度とすることができるが、計測の容易な温度計測点の温度を検出可能な温度検出デバイスを併設したり、加熱条件のみでそれらの温度変化を推定可能にする実験データ等を基に、ワークWの加熱温度Twと窒化ガスの温度Tgとの温度差を、昇温から冷却までのワークWの加熱温度Twに最適に調節し、耐食層Lcrの耐食性とその層厚を十分に確保することができるのは勿論である。
以上のように、本発明は、排気接触部を加熱調節して窒化ガスより高い温度で窒化ガスに接触させながら、排気接触部の表層部の粒界近傍にクロム欠乏部等が形成される又は化合物層が形成されるのを有効に抑制しているので、オーステナイト組織に窒素を十分に固溶分散させた効果的な耐食層を形成できる。その結果、窒化ガスの無駄な分解を抑制できるとともに、処理対象面積が狭くなるような場合でも容易に適用可能な排気系部品の窒化処理方法を実現でき、低コストで耐食性に優れた排気系部品を提供できるという効果を奏する。よって、本発明は、内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部を有する排気系部品の窒化処理方法および排気系部品全般に有用である。
1…窒化処理システム、10…窒化処理槽、…11…ガス供給装置、11a…ガスボンベ、12…ガス配管、13…ガス配管、14…残留ガス分解炉、15…配管、16…燃焼塔、17…加熱電源、18A,18B…電極、19…加熱機構、20…EGRクーラ(排気系部品)、21…ケース、22…熱交換パイプ、22a…内周壁面部分(排気接触部、一方側の周壁面部分)、22b…外周壁面部分、23…ガス通路、24…冷却水通路、25A…ガス導入管、25B…ガス排出管、25e,25f…内壁面部分、25j,25k…両端部(電極接続部)、26A,26B…支持板、80…EGRクーラ、82…熱交換パイプ(排気系部品)、82b…外周壁面部分(排気接触部、他方側の周壁面部分)、82e,82f…両端部(電極接続部)、Lcr…耐食層、Lb…母材層、P1…昇温期間、P2…保持期間、P3…冷却期間
Claims (6)
- オーステナイト系ステンレス鋼からなり内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部を有する排気系部品を窒化ガスを用いて窒化させる排気系部品の窒化処理方法であって、
前記排気系部品のうち少なくとも前記排気接触部を加熱して、前記排気接触部を前記窒化ガスの温度より高い温度で前記窒化ガスに接触させ、前記排気接触部に窒化された耐食層を形成することを特徴とする排気系部品の窒化処理方法。 - 前記排気系部品に、前記排気接触部を内周壁面とする管状部分を形成しておき、
前記排気系部品の前記管状部分に前記窒化ガスを通して前記排気接触部を前記窒化ガスに接触させ、
前記管状部分の前記内周壁面側にのみ前記耐食層を形成することを特徴とする請求項1に記載の排気系部品の窒化処理方法。 - 前記加熱期間は、前記排気系部品のうち少なくとも前記排気接触部の温度が予め設定された一定温度範囲内に達するまで上昇する昇温期間と、該一定温範囲内に上昇した温度を予め設定された均熱保持時間だけ保持する保持期間とを含み、
前記昇温期間および前記保持期間の双方で、前記排気接触部の温度を前記窒化ガスの温度より高い温度に制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排気系部品の窒化処理方法。 - 前記排気系部品のうち少なくとも前記排気接触部を、前記オーステナイト系ステンレス鋼への窒素固溶量が一定値を超える窒化温度域の温度以上に高い温度に通電加熱することを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の排気系部品の窒化処理方法。
- オーステナイト系ステンレス鋼からなり内燃機関の排出ガスに接触する排気接触部を有するケースを備えた排気系部品において、
前記排出ガスの通過方向における前記ケースの両端側に、前記ケースのうち少なくとも前記排気接触部を電気加熱可能な複数の電極接続部が設けられるとともに、
前記排気接触部が、前記ケースの内部に前記複数の電極接続部に電気的に接続するよう設けられ、
前記排気接触部を含む前記ケースの内部にのみ窒化された耐食層が形成されていることを特徴とする排気系部品。 - 前記ケースの内部に、内周側および外周側のうちいずれか一方側の周壁面部分で前記排出ガスに接触し、該内周側および外周側のうちいずれか他方側の周壁面部分で前記内燃機関の冷却水に接触する熱交換パイプが設けられており、
前記排気接触部が、前記熱交換パイプの前記いずれか一方側の周壁面部分となっていることを特徴とする請求項5に記載の排気系部品。
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JP2012198591A JP2014051727A (ja) | 2012-09-10 | 2012-09-10 | 排気系部品の窒化処理方法および排気系部品 |
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JP2016069671A (ja) * | 2014-09-29 | 2016-05-09 | アイシン高丘株式会社 | 鋳鉄製摩擦部材の製造装置及び製造方法 |
-
2012
- 2012-09-10 JP JP2012198591A patent/JP2014051727A/ja active Pending
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