JP2013053769A - 排気系部品および排気系部品の表層の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】孔食の発生を抑制することができるとともに、高い耐食性を有する排気系部品およびEGRクーラ、ならびに排気系部品の表層の形成方法を提供する。
【解決手段】EGRクーラ1は、ケース2、冷却媒体流入管4、冷却媒体流出管5、排気ガス冷却管7、排気ガス流入管8および排気ガス流出管9により構成されている。この排気ガス冷却管7は、上流側端部7a、下流側端部7bおよび壁部7cにより構成されており、壁部7cは、フェライト系ステンレス鋼からなり、壁部7cの内周側にオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層70を有し、表層70が炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のNi当量を有する固溶層70aで形成されている。この表層70は、壁部7cの内周側のうちの排気ガスGが接触する部位の全域に形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】EGRクーラ1は、ケース2、冷却媒体流入管4、冷却媒体流出管5、排気ガス冷却管7、排気ガス流入管8および排気ガス流出管9により構成されている。この排気ガス冷却管7は、上流側端部7a、下流側端部7bおよび壁部7cにより構成されており、壁部7cは、フェライト系ステンレス鋼からなり、壁部7cの内周側にオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層70を有し、表層70が炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のNi当量を有する固溶層70aで形成されている。この表層70は、壁部7cの内周側のうちの排気ガスGが接触する部位の全域に形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車などの車両に搭載される内燃機関の排気系部品および排気系部品の表層の形成方法に関する。
一般に、内燃機関(以下、単にエンジンと呼ぶ)は、エンジン本体と、吸気装置と、排気装置とを備えている。エンジン本体は、燃料を空気とともに燃焼させて動力に変換する。吸気装置は、空気を吸引してエンジン本体に供給し、排気装置は、燃料を燃焼することで発生する排気ガスを大気中に排気する。この種の排気装置は、例えば、排気マニホールドと、触媒コンバータと、熱回収器と、マフラと、排気管とを含んで構成されている。
また、近年では、エンジンに排気ガス還流(以下、単にEGRと呼ぶ)装置が備えられることがある。このEGR装置は、排気装置から排気ガスの一部を抜き出して吸気装置に環流させてエンジン本体で再燃焼させ、排気ガスを浄化するとともに燃費の向上を図るよう構成されている。
EGR装置は、例えば、EGR管とEGRクーラとを備えている。EGR管は、排気装置と吸気装置とを連結する。EGRクーラは、EGR管の途中に設けられるとともに、排気装置から環流する途中の高温の排気ガスを冷却して吸気装置に供給する。
ここで、本明細書中では、上述した排気装置の構成部品やEGR装置の構成部品であるEGRクーラのように排気ガスに接触するものを排気系部品と呼ぶ。排気系部品は、排気ガスに接触する排気接触部と、大気に接触する露出部とを備えている。
エンジンから排気される排気ガスは、水蒸気および炭酸ガス(CO2)を多く含むとともに、硫黄酸化物(SO2)や窒素酸化物(NOX)などの酸化物を含んでいる。高温の排気ガスが冷却されると、排気ガス中の水蒸気が凝縮して結露が発生し、凝縮水となって排気系部品の排気接触部の表面に付着する。そして、付着した凝縮水に硫黄酸化物が溶解すると、硫酸(H2SO4)が生成されることがある。また、この凝縮水に窒素酸化物が溶解すると、硝酸(NHO3)が生成されることがある。
さらに、エンジンの燃料であるガソリンには原則として塩素(Cl2)は含まれないものの、国や地域によってはガソリンに塩素が含まれていることがある。また、エンジンオイルや大気には塩素が含まれていることがある。このため、エンジンの燃焼室に供給されるガソリンやエンジンオイルや大気中の塩素は、排気ガスに残留し、これにより排気ガス中に塩素が含まれることがある。そして、EGRクーラにおいて排気ガス中の塩素が凝縮水に溶解することにより、塩酸(HCl)が生成されることがある。
このように生成された硫酸、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す酸を含む凝縮水が、排気系部品の排気接触部の表面に接触して、排気接触部を腐食させるおそれがある。
また、排気系部品の露出部の表面には、車両により撥ね上げられた水分が付着することがある。表面に付着した水分により露出部が腐食されるおそれがある。
また、排気系部品の露出部の表面には、車両により撥ね上げられた水分が付着することがある。表面に付着した水分により露出部が腐食されるおそれがある。
そこで、排気系部品の排気接触部および露出部の腐食を防止するために、排気系部品の材質として、耐食性の高いステンレス鋼が広く使用されている。ステンレス鋼は、表層に酸化クロム(Cr2O3)膜からなる不動態皮膜を備えている。この不動態皮膜があることにより、ステンレス鋼の耐食性は高いものとなっている。
確かに、ステンレス鋼の不動態皮膜は、硝酸のような酸化性の酸に対しては高い耐食性を有する。しかし、ステンレス鋼の不動態皮膜は、硫酸や塩酸に対しては高い耐食性を有していない。
ステンレス鋼からなる排気系部品は、その一部分のみに腐食が発生し進行するという孔食が起きることがある。この排気系部品に、孔食部分の電位、いわゆる孔食電位が比較的に高いSUS316やSUS444を使用しても、塩素を含む強酸性の環境の下では孔食が発生し易く耐食性が低い。
ステンレス鋼からなる排気系部品は、その一部分のみに腐食が発生し進行するという孔食が起きることがある。この排気系部品に、孔食部分の電位、いわゆる孔食電位が比較的に高いSUS316やSUS444を使用しても、塩素を含む強酸性の環境の下では孔食が発生し易く耐食性が低い。
また、ステンレス鋼の場合、いわゆる粒界腐食によって腐食されるおそれもある。
一般に粒界腐食は、次のような過程で起きることが知られている。すなわち、ステンレス鋼を構成する結晶格子同士の境界である結晶粒界は、原子の並びが比較的不規則となっており、他の部分よりも反応し易く活性となっている。この結晶粒界では、炭素原子の量が他の部分よりも多くなっていることがある。この炭素(C)がステンレス鋼に含まれているクロム(Cr)と化合するとクロム炭化物(Cr23C6)が生成されることになる。その結果、この結晶粒界の周囲のクロムの量が少なくなる帯状のクロム不足部分が作られ、耐食上必要とされるクロム濃度が下回ってしまうといういわゆる鋭敏化が起きることになる。このとき、前述の酸化クロム(Cr2O3)膜からなる不動態皮膜が薄くなって破られるようになってしまう。
一般に粒界腐食は、次のような過程で起きることが知られている。すなわち、ステンレス鋼を構成する結晶格子同士の境界である結晶粒界は、原子の並びが比較的不規則となっており、他の部分よりも反応し易く活性となっている。この結晶粒界では、炭素原子の量が他の部分よりも多くなっていることがある。この炭素(C)がステンレス鋼に含まれているクロム(Cr)と化合するとクロム炭化物(Cr23C6)が生成されることになる。その結果、この結晶粒界の周囲のクロムの量が少なくなる帯状のクロム不足部分が作られ、耐食上必要とされるクロム濃度が下回ってしまうといういわゆる鋭敏化が起きることになる。このとき、前述の酸化クロム(Cr2O3)膜からなる不動態皮膜が薄くなって破られるようになってしまう。
いったん不動態皮膜が破られると、その部位でステンレス鋼がマイナス電極となり、イオン化して溶け出して腐食が起きてしまうという腐食電池を形成することになる。この腐食は、結晶粒界に沿ってステンレス鋼の奥まで進んで行き、いわゆる粒界腐食となる。
結晶粒界で生成されるクロム炭化物は、ステンレス鋼が500℃ないし850℃の範囲で最も多くなり、この温度範囲内では、短時間のうちに生成されてしまうことになる。
結晶粒界で生成されるクロム炭化物は、ステンレス鋼が500℃ないし850℃の範囲で最も多くなり、この温度範囲内では、短時間のうちに生成されてしまうことになる。
そこで、Cr−Ni系のオーステナイト系ステンレス鋼にモリブデン(Mo)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)を始めとし、炭素(C)や8%ないし18%のニッケル(Ni)を含む各元素の添加、含有量を最適化したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このオーステナイト系ステンレス鋼においては、8%ないし18%のNiを含めてオーステナイト相を安定化させるとともに、各元素の含有量を最適化して、低濃度から高濃度までの広範囲の濃度の硫酸水に対して優れた耐腐食性を得るようにしている。この点、所定の濃度の硫酸水に所定の温度で所定の浸漬時間だけ浸漬した後の腐食減量{g/(m2・h)}の測定により、耐硫酸腐食性について各組成と腐食減量との関係が確認されている。また、このオーステナイト系ステンレス鋼に炭素固定剤として機能するNbを含有させているので炭素が安定化し、粒界腐食が抑制されることになる。
しかしながら、上述のような各元素の添加、含有量を最適化した従来のオーステナイト系ステンレス鋼の場合、耐硫酸腐食性については効果が得られるものの、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸や粒界腐食については考慮されていない。そのため、他の強酸の水溶液による耐孔食などの耐食性が得られないおそれがあるという問題があった。また、粒界腐食に対しても考慮されていないのでその抑制が不十分であるという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、粒界腐食の発生を抑制することができるとともに、高い耐食性を有する排気系部品およびEGRクーラ、ならびに排気系部品の表層の形成方法を提供することを課題とする。
本発明に係る排気系部品は、上記課題を解決するため、(1)内燃機関の排気ガスが流通するとともに、前記排気ガスが供給される上流側端部と、前記排気ガスが排気される下流側端部と、前記上流側端部および前記下流側端部の間に設けられ前記排気ガスが流通する方向に延在される環状に形成された壁部と、を備えたステンレス鋼からなる排気系部品において、前記壁部がフェライト系ステンレス鋼からなり、前記壁部の内周側にオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層を有し、前記表層が炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のニッケル当量を有する固溶層で形成されていることを特徴とする。
この構成により、本発明に係る排気系部品においては、いわゆる孔食の発生が抑制され、耐食性が著しく向上する。すなわち、表層は、フェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換されており、もともとフェライト系ステンレス鋼にはNbが含まれているので、表層にNbが含有されている。
表層にNbが含まれていると、Nbが炭素固定剤として機能し、結晶粒界における炭素がステンレス鋼に含まれているクロムと化合してクロム炭化物を生成し、必要なクロム濃度が低下するという鋭敏化の発生が抑制される。その結果、表層が、例えば、700℃を超えるような高温の環境に置かれても、孔食の発生が十分に抑制される。
表層にNbが含まれていると、Nbが炭素固定剤として機能し、結晶粒界における炭素がステンレス鋼に含まれているクロムと化合してクロム炭化物を生成し、必要なクロム濃度が低下するという鋭敏化の発生が抑制される。その結果、表層が、例えば、700℃を超えるような高温の環境に置かれても、孔食の発生が十分に抑制される。
また、表層がC、NおよびNiを含み、少なくとも13のニッケル当量を有する固溶層で形成されているので、いわゆる孔食の発生を抑制することができ、著しく耐食性が向上する。
すなわち、フェライト系ステンレス鋼の場合は、NやCの固溶量が少なく、窒化や浸炭しても化合物層を形成してしまうため固溶層が形成し難いが、表層がオーステナイト系ステンレス鋼に変換されているので、固溶層の形成が比較的に促進される。
すなわち、フェライト系ステンレス鋼の場合は、NやCの固溶量が少なく、窒化や浸炭しても化合物層を形成してしまうため固溶層が形成し難いが、表層がオーステナイト系ステンレス鋼に変換されているので、固溶層の形成が比較的に促進される。
この固溶層は、C、NおよびNiを含みこれらが互いに溶け合って全体が均一の固相となっているという、いわゆる固溶体で構成されているので、耐食性が向上されている。さらに、少なくとも13のニッケル当量を有するので、Niを13質量%有するものと同等の効果を奏する。このニッケル当量は、CとNを安定化させて粒界にCrの炭窒化物を生成させないための指標であり、ニッケル当量が13より大きい値である場合には、Crの炭窒化物の生成が抑制されて固溶層の耐食性が著しく向上する。
また、ニッケル当量が13より大きい値であれば、クロム当量が18程度のときに、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼との境界から余裕を持ってオーステナイト系ステンレス鋼の組織領域内に固溶層が形成されるので、多少のばらつきがあっても、確実にオーステナイト系ステンレス鋼の領域内に位置させることができる。
その結果、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸の水溶液に対する耐腐食性が向上する。
その結果、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸の水溶液に対する耐腐食性が向上する。
上記(1)に記載の排気系部品において、(2)前記表層は、前記壁部の前記内周側のうちの前記排気ガスが接触する部位の全域に形成されていることを特徴とする。
この構成により、本発明に係る排気系部品は、排気ガスが接触して酸性水溶液が付着する可能性のある部位の全域に表層が形成される。このため排気系部品の壁部の全域において酸性水溶液による腐食の発生が抑制される。
上記(1)または(2)に記載の排気系部品において、(3)前記固溶層の上に窒化層が形成されていることを特徴とする。
この構成により、本発明に係る排気系部品は、固溶層の上に窒化層が形成されているので、より耐食性が向上する。すなわち、いわゆる孔食の発生が抑制され、耐食性がより向上するとともに、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸の水溶液に対する耐腐食性がより向上する。
本発明に係るEGRクーラは、上記課題を解決するため、(4)ケースと、前記ケースに冷却媒体を流入させる冷却媒体流入管と、前記ケースから前記冷却媒体を流出させる冷却媒体流出管と、前記ケースに収容される管からなるとともに、内燃機関の排気ガスを内部に流通させ、外部を流通する前記冷却媒体と前記排気ガスとで熱交換して前記排気ガスを冷却する排気ガス冷却管と、前記ケースの外部で前記排気ガス冷却管の前記排気ガスの流通方向の上流側端部に連結される排気ガス流入管と、前記ケースの外部で前記排気ガス冷却管の前記排気ガスの流通方向の下流側端部に連結されるとともに、前記排気ガス冷却管で冷却された前記排気ガスを前記内燃機関の吸気装置に供給する排気ガス流出管と、を備えたEGRクーラにおいて、前記排気ガス冷却管、前記排気ガス流入管および前記排気ガス流出管のうちの少なくともいずれか1つが請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の排気系部品であることを特徴とする。
この構成により、本発明に係るEGRクーラにおいては、いわゆる孔食の発生が抑制され、耐食性が著しく向上する。すなわち、内部に高温の排気ガスが流通しても、排気ガス冷却管、排気ガス流入管および排気ガス流出管の表層から発生する孔食が抑えられる。また、内燃機関から排気される排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SO2)、窒素酸化物(NOX)および塩素(Cl2)により、硫酸(H2SO4)、硝酸(NHO3)および、塩酸(HCl)を含む凝縮水が生成されても、排気ガス冷却管、排気ガス流入管および排気ガス流出管の表層が腐食することが抑制され、耐食性が著しく向上する。
本発明に係る排気系部品の表層の形成方法は、上記課題を解決するため、(5)内燃機関の排気ガスが流通するとともに、前記排気ガスが供給される上流側端部と、前記排気ガスが排気される下流側端部と、前記上流側端部および前記下流側端部の間に設けられ前記排気ガスが流通する方向に延在される環状に形成され、内側部に表層を有する壁部と、を備えた排気系部品の表層の形成方法において、前記壁部がフェライト系ステンレス鋼からなり、前記表層を前記フェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換する表層変換工程と、前記表層変換工程により得られた前記表層に炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のニッケル当量を有する固溶層を形成する固溶層形成工程と、を備えることを特徴とする。
この構成により、本発明に係る排気系部品の表層の形成方法は、表層変換工程と、固溶層形成工程とを含んでおり、表層の粒界腐食の発生や耐食が著しく抑制される表層が得られる。すなわち、表層は、表層変換工程でフェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換されており、もともとフェライト系ステンレス鋼にはNbが含まれているので、表層Nbが含有されている。表層にNbが含まれていると、Nbが炭素固定剤として機能し、結晶粒界における炭素がステンレス鋼に含まれているクロムと化合してクロム炭化物を生成し必要なクロム濃度が低下するという鋭敏化の発生が抑制される。その結果、表層が、例えば、700℃を超えるような高温の環境に置かれても、粒界腐食の発生が十分に抑制される。
また、表層が、固溶層形成工程により、C、N、Niを含み、少なくとも13のニッケル当量を有する固溶層で形成されるので、いわゆる孔食の発生を抑制することができ、著しく耐食性が向上する。すなわち、フェライト系ステンレス鋼の場合は、NやCの固溶量が少なく、窒化や浸炭しても化合物層を形成してしまうため固溶層が形成し難いが、表層がオーステナイト系ステンレス鋼に変換されているので、固溶層の形成を比較的に促進することができる。この固溶層は、C、N、Niを含みこれらが互いに溶け合って全体が均一の固相となっている、いわゆる固溶体で構成されているので、耐食性が向上されている。さらに、少なくとも13のニッケル当量を有するので、Niが13質量%有するものと同等の効果を奏する。
また、ニッケル当量が13より大きい値であれば、クロム当量が18程度のときに、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼との境界から余裕を持ってオーステナイト系ステンレス鋼の組織領域内に固溶層が形成されるので、多少のばらつきがあっても、確実にオーステナイト系ステンレス鋼の領域に位置させることができる。
その結果、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸の水溶液に対する耐腐食性が向上する。
その結果、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸の水溶液に対する耐腐食性が向上する。
本発明によれば、耐食性の高い排気系部品およびこれを利用するEGRクーラ、ならびに排気系部品の表層の形成方法を提供することができる。
以下、本発明の排気系部品の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、本発明の排気系部品を自動車のEGRクーラに適用した例を示している。
まず、本実施の形態に係るEGRクーラ1の構成について説明する。
図1に示すように、EGRクーラ1は、ケース2と、冷却媒体流入管4と、冷却媒体流出管5と、排気系部品としての排気ガス冷却管7と、排気ガス流入管8と、排気ガス流出管9とを含んで構成されている。
ケース2は、ケース本体10と、上流側支持プレート11と、下流側支持プレート12とを有している。
ケース本体10は、両端が開口の略円筒形のパイプで構成されている。このケース本体10の内部空間では、軸方向に沿って冷却媒体Wが流通するようになっている。この冷却媒体Wには、図示しないエンジンを冷却する冷却水が使用される。
ケース本体10は、両端が開口の略円筒形のパイプで構成されている。このケース本体10の内部空間では、軸方向に沿って冷却媒体Wが流通するようになっている。この冷却媒体Wには、図示しないエンジンを冷却する冷却水が使用される。
上流側支持プレート11は、ケース本体10の冷却媒体Wの流通方向の上流側の端部に設けられ、この上流側の端部を塞いでいる。上流側支持プレート11は、複数の貫通孔11aを有している。
下流側支持プレート12は、ケース本体10の冷却媒体Wの流通方向の下流側の端部に設けられ、この下流側の端部を塞いでいる。下流側支持プレート12は、複数の貫通孔12aを有している。
上流側支持プレート11の貫通孔11aと下流側支持プレート12の貫通孔12aとは、同数設けられるとともに、ケース本体10を挟んでそれぞれ対向する位置に設けられている。対向する一組の上流側支持プレート11の貫通孔11aおよび下流側支持プレートの貫通孔12aには、排気ガス冷却管7が圧入されるようになっている。
冷却媒体流入管4は、ケース本体10の冷却媒体Wの流通方向の上流側の端部付近に連結されている。冷却媒体流入管4は、ケース2内に冷却媒体Wを流入させるようになっている。
冷却媒体流入管4の上流側端部は、冷却媒体Wを供給する冷却媒体供給管15に連結されている。冷却媒体供給管15の上流側端部は、図示しない供給ポンプに連結されている。冷却媒体Wは、冷却媒体供給管15を通って冷却媒体流入管4の上流側端部に供給されるようになっている。
冷却媒体流出管5は、ケース本体10の冷却媒体Wの流通方向の下流側の端部付近に連結されている。冷却媒体流出管5は、ケース2内から冷却媒体Wを流出させるようになっている。
冷却媒体流出管5の下流側端部は、冷却媒体排気管16に連結されている。冷却媒体排気管16の下流側端部は、エンジンの図示しないウォータージャケットに連結されている。
排気ガス冷却管7は、母材が公知のフェライト系ステンレス鋼で形成されており、上流側端部7aと、下流側端部7bと、壁部7cと、壁部7cで囲まれ排気ガスGを流通させる排気ガス通路7dを備えている。排気ガス冷却管7は、排気ガスGを上流側端部7aから下流側端部7bに流通させるようになっている。
上流側端部7aは、上流側支持プレート11に支持されている。この上流側端部7aには、排気ガス流入管8から排気ガスGが供給されるようになっている。下流側端部7bは、下流側支持プレート12に支持されている。この下流側端部7bから排気ガス流出管9に排気ガスGが排出されるようになっている。
壁部7cは、上流側端部7aおよび下流側端部7bの間に設けられ、環状に形成されるとともに、排気ガスGが流通する方向に延在して形成されている。
壁部7cは、その内周側の全域に表層70を有している。この表層70は、フェライト系ステンレス鋼から変換されたオーステナイト系ステンレス鋼の層で構成されている。そして、このオーステナイト系ステンレス鋼の層は、図2(a)に示すように、固溶層70aからなり、この固溶層70aの表面が排気ガス通路7dを画成しており、排気ガスGと接するようになっている。壁部7cは、高い耐食性を有している。この排気ガス冷却管7では、内部を流通する排気ガスGと、外部を流通する冷却媒体Wとの間で熱交換され、排気ガスGが冷却されるようになっている。
この固溶層70aは、炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のニッケル当量(以下Ni当量と呼ぶ)を有する固溶体からなる。ここで、固溶体とは、2種類以上の元素が互いに溶け合い、全体が均一の固相となっているものをいう。また、Ni当量は、母材や溶接金属の組成からオーステナイト生成元素(C,Mn,Ni,N)の指数をNi当量,フェライト生成元素(Cr,Mo,Si,Nb)の指数をCr当量として数値計算し,各組織図にあてはめてフェライト量を予測する組織図法により得られる数値からなる。
Ni当量は、組織図法でフェライト量を決定する場合に、Niと同等の効果を表すオーステナイト生成元素(C、Mn、Ni、N)の指数を表したもので、シェフラーの組織図では、一般にNi当量は次の式で表される。
Ni当量=%Ni+30%*C+0.5%*Mn
ここで、%は質量%を表し、Ni当量は、鋼材に含まれる化学成分、Ni、C、Mnの質量を合計したものでNiの相当量に換算したもので当量として扱われる。
Ni当量=%Ni+30%*C+0.5%*Mn
ここで、%は質量%を表し、Ni当量は、鋼材に含まれる化学成分、Ni、C、Mnの質量を合計したものでNiの相当量に換算したもので当量として扱われる。
図3は、公知のシェフラーの組織図を表したもので、縦軸にNi当量、横軸にクロム当量(以下Cr当量と呼ぶ)を表し、図中の境界を区画する線で表された領域が、鋼材の組織の状態を表している。図3に示すように、上側の大半の領域はオーステナイト(A)の状態を表し、左下の領域はマルテンサイト(M)を表し、右下の領域はフェライト(F)の状態を表している。フェライト(F)は、例えばSUS444があり、オーステナイト(A)は、例えばSUS305があり、フェライト(F)とオーステナイト(A)との境界付近に、例えばSUS316Lがある。
Cr当量は、一般に次の式で表される。
Cr当量=%Cr+%Mo+%1.5*Si+%0.5*Nb
ここで、%はNi当量と同様に、質量%を表しており、Cr当量は、Cr、Mo、Si、Nbの質量を合計したものでCrの相当量に換算したもので当量として扱われる。
Cr当量=%Cr+%Mo+%1.5*Si+%0.5*Nb
ここで、%はNi当量と同様に、質量%を表しており、Cr当量は、Cr、Mo、Si、Nbの質量を合計したものでCrの相当量に換算したもので当量として扱われる。
この固溶層70aは、Ni当量=%Ni+%30*C+%0.5*Mnにより算出された数値が13以上になるよう形成されている。
Ni当量を13以上になるよう形成するには、例えば、図4に示すように、[1]の矢印で示す公知のクロム浸透処理法を実施してもよい。クロム浸透処理法においては、オーステナイト系ステンレス鋼とマルテンサイト系ステンレス鋼の境界付近にあるNi当量が13、Cr当量が11程度のステンレス鋼に対して行われる。クロム浸透処理法においては、ステンレス鋼に含有されている炭素表面からCrを浸透させ、浸透するCrと炭素を反応させてCr炭化物を生成し、Ni当量を13以上でCr当量が18を有するオーステナイト系ステンレス鋼にし、表面に硬化層を形成する。
また、[2]の矢印で示す公知のマンガン濃化および窒素・炭素固溶により実施してもよい。この方法においては、Ni当量0で、Cr当量が18程度のフェライト系ステンレス鋼に対して行われる。この方法においては、焼鈍過程でフェライト系ステンレス鋼に含まれるマンガン(Mn)やケイ素(Si)などの酸化され易い元素を表面に濃化させてマンガン酸化物(MnOX)を形成するとともに、窒素や炭素を侵入させてNi当量を13以上でCr当量が18を有するオーステナイト系ステンレス鋼の固溶体を形成する。
また、[3]の矢印で示す公知の脱クロム処理法を実施してもよい。脱クロム処理法においては、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼の境界付近にあるNi当量13、Cr当量が27程度のステンレス鋼に対して行われる。脱クロム処理法においては、このステンレス鋼に含有されているCrを熱処理によりわずかに酸化させ脱クロムを行いNi当量を13以上でCr当量が18を有するオーステナイト系ステンレス鋼を形成する。
また、[4]の矢印で示す公知の[1]のクロム浸透処理法および[2]のマンガン濃化および窒素・炭素固溶を組み合わせた方法で実施してもよい。脱クロム処理法においては、Ni当量が0、Cr当量が11程度のフェライト系ステンレス鋼に対して行われる。
また、[5]の矢印で示す公知の[2]のマンガン濃化および窒素・炭素固溶および[3]の脱クロム処理法を組み合わせた方法で実施してもよい。脱クロム処理法においては、Ni当量が0、Cr当量が27程度のフェライト系ステンレス鋼に対して行われる。
壁部7cの表層70は、図2(b)に示すように、固溶層70aの上に公知の窒化層70bを有していてもよい。
排気ガス流入管8は、環状に形成され排気ガスGを流通させる排気ガス通路8aを有している。この排気ガス流入管8は、下流側端部がケース本体10の排気ガスGの流通方向の上流側の端部に連結されている。排気ガス通路8aと排気ガス冷却管7の排気ガス通路7dとが連通している。排気ガス流入管8の上流側端部は、図示しないエンジンの排気装置から排気され吸気装置に環流する排気ガスG、すなわちEGRガスを供給するEGRガス供給管13に連結されている。EGRガス供給管13の上流側端部は、排気装置に連結されている。
排気ガス流出管9は、環状に形成され排気ガスGを流通させる排気ガス通路9aを有している。この排気ガス流出管9は、上流側端部がケース本体10の排気ガスGの流通方向の下流側の端部に連結されている。排気ガス通路9aと、排気ガス冷却管7の排気ガス通路7dとが連通している。排気ガス流出管9の下流側端部は、EGRガス排気管14に連結されている。EGRガス排気管14の下流側端部は、図示しない吸気装置に連結されており、EGRガスは、吸気装置に供給されるようになっている。
次に、本発明に係る排気系部品の表層の形成方法は、本実施の形態に係るEGRクーラ1の排気ガス冷却管7の壁部7cの内周側の表層70にオーステナイト系ステンレス鋼を形成するとともに固溶層70aを形成する形成方法によって実施される。以下表層70の形成方法について、図を参照して説明する。
表層70の形成方法は、図5に示すように、準備工程81と、表層変換工程82と、固溶層形成工程83と、窒化層形成工程84とを含んで構成されており、これらの工程が順に行われる。窒化層形成工程84は、耐食性をより高めるために行われるもので、必要に応じて実施し、場合によっては、この窒化層形成工程84を実施しなくともよい。また、固溶層形成工程83は、表層変換工程82の後に行われなくてもよく、固溶層形成工程83の中で、固溶層の形成と同時に表層を変化するようにしてもよい。すなわち、固溶層の形成が得られたときに表層がオーステナイト系ステンレス鋼に変換された状態になっていればよい。
準備工程81においては、フェライト系ステンレス鋼からなる所定の形状を有する排気ガス冷却管7の素材を準備する。この素材の表層に対して表層変換工程82および固溶層形成工程83を含む工程を実施すると表層70を有する排気ガス冷却管7が得られるものである。
必要に応じて、排気ガス冷却管7の素材の外周側に、軟鋼板製のカバーが取り付け、窒化や余分な処理を防止するようにしてもよい。
そして、この排気ガス冷却管7の素材は、表層を形成する炉の内部に設置され、準備が完了する。
必要に応じて、排気ガス冷却管7の素材の外周側に、軟鋼板製のカバーが取り付け、窒化や余分な処理を防止するようにしてもよい。
そして、この排気ガス冷却管7の素材は、表層を形成する炉の内部に設置され、準備が完了する。
表層変換工程82においては、フェライト系ステンレス鋼からなる排気ガス冷却管7の素材の表層部分をオーステナイト系ステンレス鋼に変換する工程からなり、この工程を経て表層部分のみをオーステナイト系ステンレス鋼の層で形成することができる。換言すれば、この表層変換工程82においては、フェライト系ステンレスをオーステナイト化するという、いわゆるオーステナイト化処理が行われる。
表層部分がオーステナイト系ステンレス鋼の層で形成されていると、フェライト系ステンレス鋼の層である場合と比較して、その後の固溶層形成工程83を容易に行うことができる。
また、フェライト系ステンレス鋼には一般にニオブ(Nb)が含まれており、フェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換することによって、表層部分のオーステナイト系ステンレス鋼にNbが含まれることになる。Nbが含まれていると、含有するNbが炭素固定剤として機能するので、オーステナイト系ステンレス鋼における炭素が安定化し、粒界腐食が抑制されることになる。
すなわち、炭素が安定化すると、ステンレス鋼の結晶粒界で、炭素(C)とクロム(Cr)と化合してクロム炭化物(例えば、Cr23C6)が生成されることが抑制され、いわゆる鋭敏化が抑制されることになる。その結果、不動態皮膜が薄くなることが抑制されて粒界腐食が抑制されることになる。したがって、500℃ないし850℃の範囲の高温環境において粒界腐食の発生による耐食性の低下が抑制されることになる。
一般にフェライト組織は、図6に示すように、ステンレス鋼の窒素含有率は、フェライト相(α相)82Aでは、最大でも0.1wt%であるのに対し、オーステナイト相(γ相)82Bでは、最大2.8wt%となっている。このフェライト相(α相)82Aは窒素や炭素の固溶量が少なく、窒化や浸炭しても化合物層を形成してしまい、固溶層ができにくいという特質がある。そこで、表層変換工程でオーステナイト系ステンレス鋼にすることで、これらの課題が解消され、容易に固溶層を形成することができる。
そして、表層変換工程82でオーステナイト相82Bまで加熱されるので、表層に窒素原子がより容易に、より多くを入り込ませることができる。
なお、排気ガス冷却管7の素材が、オーステナイト系ステンレス鋼で形成されている場合には、この表層変換工程82は不要となる。この場合、表層変換工程82によって変換された表層部分と同程度の耐食性を得るためには、オーステナイト系ステンレス鋼にニオブ(Nb)を添加するニオブ添加工程を実施することが必要となる。この場合、ニオブ(Nb)の添加に加えて、チタン(Ti)を添加するようにしてもよい。
この表層変換工程82は、具体的には公知の工程からなり、例えば、窒素の濃度として、オーステナイト化処理に必要な量がステンレス鋼に添加されることにより行われる。この窒素の濃度に必要な量の添加、すなわちオーステナイト化処理を複数回実施する方法により行ってもよい。
他方、次の公知の方法によっても表層変換工程82を行うことができる。すなわち、排気ガス冷却管7の表面から窒素原子を吸収させて排気ガス冷却管7の全体をオーステナイト化し、その後、急冷することによりオーステナイト単相に変換する。
そして、このオーステナイト単相を昇温した後、窒化クロム(CrN)が生成する冷却速度で冷却する。これにより、表層がオーステナイト化された表層70のままで、内部をフェライト層に戻すことができる。
そして、このオーステナイト単相を昇温した後、窒化クロム(CrN)が生成する冷却速度で冷却する。これにより、表層がオーステナイト化された表層70のままで、内部をフェライト層に戻すことができる。
固溶層形成工程83は、表層変換工程82により得られたオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層70に対して、所定の処理を行い表層70に固溶層70aを形成する公知の工程からなる。
この固溶層形成工程83により、図3に示すように、例えばSUS305に相当するNi当量が13以上であって、Cr当量が18程度の固溶層70aが得られる。
具体的には、固溶層形成工程83は、低温浸炭処理および軟窒化などの低温窒化処理や前述したいくつかの公知の形成方法により行われる。
この固溶層形成工程83により、図3に示すように、例えばSUS305に相当するNi当量が13以上であって、Cr当量が18程度の固溶層70aが得られる。
具体的には、固溶層形成工程83は、低温浸炭処理および軟窒化などの低温窒化処理や前述したいくつかの公知の形成方法により行われる。
低温浸炭処理は、400℃ないし600℃程度の比較的低温の範囲で行われる浸炭処理で、低温で熱処理することにより、Crの炭化物の生成を抑制することができる。また、高温で処理する際の基地組織のCr量の減少を抑制することができ、耐食性を発揮する不動態被膜の形成を促進することができる。
低温浸炭処理は、例えば、メタンガス(CH4)、水素ガス(H2)およびアルゴンガス(Ar)の混合ガスを使用し、400℃程度の温度で数時間処理を行う。
低温浸炭処理は、例えば、メタンガス(CH4)、水素ガス(H2)およびアルゴンガス(Ar)の混合ガスを使用し、400℃程度の温度で数時間処理を行う。
低温窒化処理も、低温浸炭処理と同様に、300℃ないし500℃程度の比較的低温の範囲で行われる窒化処理で、低温で熱処理することにより、Crの窒化物の生成を抑制することができる。また、高温で処理する際の基地組織のCr量の減少を抑制することができ、耐食性を発揮する不動態被膜の形成を促進することができる。
低温窒化処理は、例えば、窒素ガス(N2)、水素ガス(H2)の混合ガスを使用し、400℃程度の温度で数時間処理を行う。
低温窒化処理は、例えば、窒素ガス(N2)、水素ガス(H2)の混合ガスを使用し、400℃程度の温度で数時間処理を行う。
前述の図4に示す[1]の矢印で示すクロム浸透処理法によって行ってもよい。クロム浸透処理法においては、オーステナイト系ステンレス鋼とマルテンサイト系ステンレス鋼の境界付近にあるNi当量が13、Cr当量が11程度のステンレス鋼に対して行われる。クロム浸透処理法においては、ステンレス鋼に含有されている炭素表面からCrを浸透させ、浸透するCrと炭素を反応させてCr炭化物を生成し、Ni当量を13以上でCr当量が18を有するオーステナイト系ステンレス鋼にし、表面に硬化層を形成することができる。
また、前述の[2]の矢印で示すマンガン濃化および窒素・炭素固溶により実施してもよい。この方法においては、Ni当量0で、Cr当量が18程度のフェライト系ステンレス鋼に対して行われる。この方法においては、焼鈍過程でフェライト系ステンレス鋼に含まれるマンガン(Mn)やケイ素(Si)などの酸化され易い元素を表面に濃化させてマンガン酸化物(MnOX)を形成するとともに、窒素や炭素を侵入させてNi当量を13以上でCr当量が18を有するオーステナイト系ステンレス鋼の固溶体を形成することができる。
また、前述の[3]の矢印で示す脱クロム処理法を実施してもよい。脱クロム処理法においては、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼の境界付近にあるNi当量13、Cr当量が27程度のステンレス鋼に対して行われる。脱クロム処理法においては、このステンレス鋼に含有されているCrを熱処理によりわずかに酸化させ脱クロムを行いNi当量を13以上でCr当量が18を有するオーステナイト系ステンレス鋼を形成することができる。
また、前述の[4]の矢印で示す[1]のクロム浸透処理法および[2]のマンガン濃化および窒素・炭素固溶を組み合わせた方法で実施してもよい。脱クロム処理法においては、Ni当量が0、Cr当量が11程度のフェライト系ステンレス鋼に対して行われる。
また、前述の[5]の矢印で示す[2]のマンガン濃化および窒素・炭素固溶および[3]の脱クロム処理法を組み合わせた方法で実施してもよい。脱クロム処理法においては、Ni当量が0、Cr当量が27程度のフェライト系ステンレス鋼に対して行われる。
固溶層形成工程83は、これらの方法に限られるものではなく、これらの方法以外の固溶層を形成する他の方法によって行ってもよい。
窒化層形成工程84は、必要に応じて行われ、図7に示すように、準備ステップ91と、ガス導入ステップ92と、昇温ステップ93と、均熱保持ステップ94と、冷却ステップ95とを備えており、順に処理される公知の工程で構成されている。
準備ステップ91では、処理対象である排気ガス冷却管7が密閉炉内に載置される。
ガス導入ステップ92では、窒化処理ガスとして、アンモニアガス(NH3)と窒素ガス(N2)との混合ガスが密閉炉内に導入される。この窒化処理ガスにおける、アンモニアガスの含有率は、例えば50体積%で構成されている。
昇温ステップ93では、図8に示すように、密閉炉内の加熱が開始され所定の短時間内で急速に約590℃まで昇温される。
均熱保持ステップ94では、アンモニアガス(NH3)と窒素ガス(N2)の雰囲気で密閉炉内が約590℃で約2時間(2h)保持される。
冷却ステップ95では、窒素ガス(N2)のみが導入され、その雰囲気で、密閉炉内が冷却が開始され所定の時間内で室温程度まで徐々に冷却される。この冷却速度は、例えば、1分当たり、約4ないし5℃だけ低下させる速度で行われる。
ガス導入ステップ92では、窒化処理ガスとして、アンモニアガス(NH3)と窒素ガス(N2)との混合ガスが密閉炉内に導入される。この窒化処理ガスにおける、アンモニアガスの含有率は、例えば50体積%で構成されている。
昇温ステップ93では、図8に示すように、密閉炉内の加熱が開始され所定の短時間内で急速に約590℃まで昇温される。
均熱保持ステップ94では、アンモニアガス(NH3)と窒素ガス(N2)の雰囲気で密閉炉内が約590℃で約2時間(2h)保持される。
冷却ステップ95では、窒素ガス(N2)のみが導入され、その雰囲気で、密閉炉内が冷却が開始され所定の時間内で室温程度まで徐々に冷却される。この冷却速度は、例えば、1分当たり、約4ないし5℃だけ低下させる速度で行われる。
次いで、EGRクーラ1の動作について説明する。
エンジンが始動すると、運転状態に応じて図示しない電子制御装置(ECU)が動作し、排気ガスGが、エンジンの排気装置からEGRガス供給管13を経てEGRクーラ1に供給される。
排気ガスGがEGRクーラ1に供給されると、排気ガス流入管8から排気ガス冷却管7を通って排気ガス流出管9内に流出する。そして、排気ガスGは、排気ガス流出管9からEGRガス排気管14を経てエンジンの吸気装置に供給される。
排気ガスGがEGRクーラ1に供給されると、排気ガス流入管8から排気ガス冷却管7を通って排気ガス流出管9内に流出する。そして、排気ガスGは、排気ガス流出管9からEGRガス排気管14を経てエンジンの吸気装置に供給される。
このとき、冷却媒体Wが、供給ポンプから冷却媒体供給管15を経てEGRクーラ1内に供給される。そして、冷却媒体WはEGRクーラ1において、冷却媒体流入管4からケース本体10を通って冷却媒体流出管5に流通する。冷却媒体流出管5から排出された冷却媒体Wは冷却媒体排気管16を経てエンジンのウォータージャケットに供給される。
そして、排気ガス冷却管7では、内部を流通する排気ガスGが、外部を流通する冷却媒体Wとの間で熱交換されて冷却される。この時、排気ガスGに含まれている水蒸気が凝縮されて、排気ガス冷却管7の内周側の表層70に形成された窒化層70bの表面で水滴になる。
この水滴に亜硫酸ガスや窒素酸化物や塩素が溶解して、硫酸や硝酸や塩酸などが生成される。窒化層70bは、硫酸や硝酸や塩酸などに対して高い耐食性を有する。このため、排気ガス冷却管7の壁部7cの腐食が抑制される。
以下、実施の形態に係るEGRクーラ1は、上述のように構成されているので、次のような効果が得られる。
EGRクーラ1は、ケース2と、冷却媒体流入管4と、冷却媒体流出管5と、排気ガス冷却管7と、排気ガス流入管8と、排気ガス流出管9とにより構成されている。
そして、排気ガス冷却管7は、上流側端部7aと、下流側端部7bと、壁部7cとにより構成されており、壁部7cはフェライト系ステンレス鋼からなり、壁部7cの内周側にオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層70を有し、表層70が炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のNi当量を有する固溶層70aで形成されている。さらに、固溶層70aの上に窒化層70bが形成されている。
この表層70は、壁部7cの内周側のうちの排気ガスGが接触する部位の全域に形成されている。
EGRクーラ1は、ケース2と、冷却媒体流入管4と、冷却媒体流出管5と、排気ガス冷却管7と、排気ガス流入管8と、排気ガス流出管9とにより構成されている。
そして、排気ガス冷却管7は、上流側端部7aと、下流側端部7bと、壁部7cとにより構成されており、壁部7cはフェライト系ステンレス鋼からなり、壁部7cの内周側にオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層70を有し、表層70が炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のNi当量を有する固溶層70aで形成されている。さらに、固溶層70aの上に窒化層70bが形成されている。
この表層70は、壁部7cの内周側のうちの排気ガスGが接触する部位の全域に形成されている。
その結果、EGRクーラ1においては、孔食の発生が抑制されるという効果が得られる。さらに、耐食性が著しく向上するという効果が得られる。
すなわち、表層70は、フェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換されており、もともとフェライト系ステンレス鋼にはNbが含まれているので、表層70にNbが含有され、次のような効果が得られる。
すなわち、表層70は、フェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換されており、もともとフェライト系ステンレス鋼にはNbが含まれているので、表層70にNbが含有され、次のような効果が得られる。
表層70にNbが含まれていると、Nbが炭素固定剤として機能し、結晶粒界における炭素がステンレス鋼に含まれているクロムと化合してクロム炭化物を生成し、必要なクロム濃度が低下するという鋭敏化の発生が抑制される。その結果、表層70が、例えば、700℃を超えるような高温の環境に置かれても、粒界腐食の発生が十分に抑制されるという効果が得られる。
また、表層70がC、N、Niを含み、少なくとも13のNi当量を有する固溶層70aで形成されているので、いわゆる孔食の発生を抑制することができ、著しく耐食性が向上するという効果が得られる。
すなわち、フェライト系ステンレス鋼の場合は、NやCの固溶量が少なく、窒化や浸炭しても化合物層を形成してしまうため固溶層が形成し難いが、表層70がオーステナイト系ステンレス鋼に変換されているので、固溶層の形成を比較的に促進することができる。
この固溶層70aは、C、N、Niを含みこれらが互いに溶け合って全体が均一の固相となっている、いわゆる固溶体で構成されているので、耐食性が向上されている。さらに、少なくとも13のNi当量を有するので、Niが13質量%有するものと同等の効果を奏する。このNi当量は、CとNを安定化させて粒界にCrの炭窒化物を生成させないための指標であり、Ni当量が13より大きい値である場合には、Crの炭窒化物の生成が抑制されて固溶層70aの耐食性は著しく向上する。
また、Ni当量が13より大きい値であれば、図3に示すように、Cr当量が18程度のときに、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼との境界から余裕を持ってオーステナイト系ステンレス鋼の組織領域内に形成されるので、多少のばらつきがあっても、確実にオーステナイト系ステンレス鋼の領域に位置させることができる。
その結果、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸水溶液に対する耐腐食性が向上するという効果が得られる。
さらに、固溶層70aの上に窒化層70bが形成されているので、より耐食性が向上するという効果が得られる。
その結果、耐硫酸腐食性だけでなく、硝酸および塩酸のような強い酸性を示す他の強酸水溶液に対する耐腐食性が向上するという効果が得られる。
さらに、固溶層70aの上に窒化層70bが形成されているので、より耐食性が向上するという効果が得られる。
以下、図9を参照して、実施の形態に係る表層70の耐食性評価試験の結果について説明する。図9は、フェライト(α)系ステンレスとしてSUS444を選択するとともに、オーステナイト(γ)系ステンレスとしてSUS305およびSUS316Lを選択して評価試験を行った結果を表に表している。SUS444は表の下部の欄に示すようにNi当量は2となっており、SUS305のNi当量は13、SUS316LはのNi当量は12となっている。
この評価試験は、評価対象物を強酸水溶液に浸漬させて所定の温度に加熱し、放冷、湿潤放置、濃縮乾固の順に繰り返して行う耐食サイクル試験であり、所定のサイクルを実施した後、表層の断面を顕微鏡で見て視覚で評価するものである。
図9に示す写真は、スケールが50μmの大きさに設定した断面組織写真を示している。
図9に示す写真は、スケールが50μmの大きさに設定した断面組織写真を示している。
表中の耐食評価後(10cy後)の欄に示される断面組織写真は、この評価試験を10サイクル実施した後の表層の断面組織状態を示している。
これらの断面組織写真で分かるように、SUS444では、窒化物(化合物層)において亀裂が入り腐食が進んでいることが分かり、×で示されるように耐食性に欠けている。
また、SUS316Lでは、SUS316Lの素地の表面から僅かに腐食が進行していることが分かり、×で示されるように耐食性に欠けている。
これらの断面組織写真で分かるように、SUS444では、窒化物(化合物層)において亀裂が入り腐食が進んでいることが分かり、×で示されるように耐食性に欠けている。
また、SUS316Lでは、SUS316Lの素地の表面から僅かに腐食が進行していることが分かり、×で示されるように耐食性に欠けている。
他方、SUS305のNi当量が13の表層においては、最表面から所定の深さで安定したC、Nの固溶層が形成されており、この固溶層には、亀裂や腐食が全く発生していないことが分かる。○で示されるように耐食性が確保されている。
また、Cr、Niが多く含まれ耐熱性の高いSUS309Sで固溶層の上に窒化層が形成されたNi当量が14の表層においても、この表層には、亀裂や腐食が全く発生していないことが分かる。○で示されるように耐食性が確保されている。
さらに、耐孔食性に優れたSUS317で固溶層の上に窒化層が形成されたNi当量が15の表層においても、この表層には、亀裂や腐食が全く発生していないことが分かる。○で示されるように耐食性が確保されている。
また、Cr、Niが多く含まれ耐熱性の高いSUS309Sで固溶層の上に窒化層が形成されたNi当量が14の表層においても、この表層には、亀裂や腐食が全く発生していないことが分かる。○で示されるように耐食性が確保されている。
さらに、耐孔食性に優れたSUS317で固溶層の上に窒化層が形成されたNi当量が15の表層においても、この表層には、亀裂や腐食が全く発生していないことが分かる。○で示されるように耐食性が確保されている。
したがって、図9の表で示されるように、実施の形態に係る表層70は、耐食性が著しく向上していることが分かる。
このように、表層70を有する排気ガス冷却管7で構成されるEGRクーラ1においては、内部で凝縮水が発生し、硫酸(H2SO4)、硝酸(NHO3)や塩酸(HCl)などの強酸の水溶液が生成されても、それにより腐食することはなく、高い耐食性を有するという効果が得られる。
このように、表層70を有する排気ガス冷却管7で構成されるEGRクーラ1においては、内部で凝縮水が発生し、硫酸(H2SO4)、硝酸(NHO3)や塩酸(HCl)などの強酸の水溶液が生成されても、それにより腐食することはなく、高い耐食性を有するという効果が得られる。
また、排気ガス冷却管7の壁部7cの表層70の窒化層70bを形成するためにガス窒化法が採用されているので、他の窒化法に比べて設備を簡易にすることができる。このため、コストの増大を抑えることができる。
ここで、上述した実施の形態のEGRクーラ1においては、排気ガス冷却管7の壁部7cの内周側に表層70を形成しているが、本発明に係る排気系部品で構成されるEGRクーラにおいては、これに限られず、例えば、排気ガス流入管8や排気ガス流出管9の壁部の内周側に表層70を形成するようにしてもよい。
この場合、例えば、排気ガス冷却管7と排気ガス流入管8と排気ガス流出管9との壁部に表層70を形成するようにしたり、あるいは排気ガス冷却管7と排気ガス流出管9との壁部のみに表層70を形成するようにできる。さらには、これら排気ガス冷却管7と排気ガス流入管8と排気ガス流出管9以外の部材の壁部に表層70を形成するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態のEGRクーラ1においては、排気ガス冷却管7の壁部7cの内周側の表層の全域に表層70が形成されているが、本発明に係る排気系部品で構成されるEGRクーラにおいては、これに限られず、例えば、排気ガス冷却管7の壁部7cの内周側の表層の一部のみに表層70を形成するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態のEGRクーラ1においては、均熱保持ステップにおける均熱保持温度を590℃、均熱保持時間を2時間としたが、本発明に係るEGRクーラにおいては、これに限られず、例えば、均熱保持温度を300℃〜600℃、均熱保持時間を3時間〜10時間としてもよい。この場合、均熱保持温度が高いほど、均熱保持時間を短くすることができる。
また、上述した実施の形態のEGRクーラ1においては、表層70の窒化層70bを形成するためにガス窒化法を採用したが、本発明に係るEGRクーラにおいては、これに限られず、例えば、プラズマ窒化法、塩浴窒化法、ガス軟窒化法など他の窒化法を採用してもよい。
また、上述した本実施の形態の排気系部品においては、排気系部品をEGRクーラ1に適用しているが、本発明に係る排気系部品においては、これに限られず、例えば、排気マニホールドや排気管など、排気装置を構成する部品の全般に適用することができる。
以上説明したように、本発明に係る排気系部品は、孔食の発生を抑制することができるので、排気系部品およびEGRクーラ全般に有用である。また、高い耐食性が得られるので排気系部品の表層の形成方法の全般に有用である。
1 EGRクーラ
2 ケース
4 冷却媒体流入管
5 冷却媒体流出管
7 排気ガス冷却管(排気系部品)
7a 上流側端部
7b 下流側端部
7c 壁部
8 排気ガス流入管(排気系部品)
9 排気ガス流出管(排気系部品)
10 ケース本体
11 上流側支持プレート
12 下流側支持プレート
13 EGRガス供給管
14 EGRガス排気管
15 冷却媒体供給管
16 冷却媒体排気管
70 表層
70a 固溶層
70b 窒化層
81 準備工程
82 表層変換工程
83 固溶層形成工程
84 窒化層形成工程
2 ケース
4 冷却媒体流入管
5 冷却媒体流出管
7 排気ガス冷却管(排気系部品)
7a 上流側端部
7b 下流側端部
7c 壁部
8 排気ガス流入管(排気系部品)
9 排気ガス流出管(排気系部品)
10 ケース本体
11 上流側支持プレート
12 下流側支持プレート
13 EGRガス供給管
14 EGRガス排気管
15 冷却媒体供給管
16 冷却媒体排気管
70 表層
70a 固溶層
70b 窒化層
81 準備工程
82 表層変換工程
83 固溶層形成工程
84 窒化層形成工程
Claims (5)
- 内燃機関の排気ガスが流通するとともに、
前記排気ガスが供給される上流側端部と、
前記排気ガスが排気される下流側端部と、
前記上流側端部および前記下流側端部の間に設けられ前記排気ガスが流通する方向に延在される環状に形成された壁部と、
を備えたステンレス鋼からなる排気系部品において、
前記壁部がフェライト系ステンレス鋼からなり、前記壁部の内周側にオーステナイト系ステンレス鋼からなる表層を有し、前記表層が炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のニッケル当量を有する固溶層で形成されていることを特徴とする排気系部品。 - 前記表層は、前記壁部の前記内周側のうちの前記排気ガスが接触する部位の全域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排気系部品。
- 前記固溶層の上に窒化層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排気系部品。
- ケースと、
前記ケースに冷却媒体を流入させる冷却媒体流入管と、
前記ケースから前記冷却媒体を流出させる冷却媒体流出管と、
前記ケースに収容される管からなるとともに、内燃機関の排気ガスを内部に流通させ、外部を流通する前記冷却媒体と前記排気ガスとで熱交換して前記排気ガスを冷却する排気ガス冷却管と、
前記ケースの外部で前記排気ガス冷却管の前記排気ガスの流通方向の上流側端部に連結される排気ガス流入管と、
前記ケースの外部で前記排気ガス冷却管の前記排気ガスの流通方向の下流側端部に連結されるとともに、前記排気ガス冷却管で冷却された前記排気ガスを前記内燃機関の吸気装置に供給する排気ガス流出管と、
を備えたEGRクーラにおいて、
前記排気ガス冷却管、前記排気ガス流入管および前記排気ガス流出管のうちの少なくともいずれか1つが請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の排気系部品であることを特徴とするEGRクーラ。 - 内燃機関の排気ガスが流通するとともに、
前記排気ガスが供給される上流側端部と、
前記排気ガスが排気される下流側端部と、
前記上流側端部および前記下流側端部の間に設けられ前記排気ガスが流通する方向に延在される環状に形成され、内側部に表層を有する壁部と、
を備えた排気系部品の表層の形成方法において、
前記壁部がフェライト系ステンレス鋼からなり、前記表層を前記フェライト系ステンレス鋼からオーステナイト系ステンレス鋼に変換する表層変換工程と、
前記表層変換工程により得られた前記表層に炭素(C)と、窒素(N)と、ニッケル(Ni)とを含み、少なくとも13のニッケル当量を有する固溶層を形成する固溶層形成工程と、
を備えることを特徴とする排気系部品の表層の形成方法。
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