JP2014051461A - 光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法 - Google Patents

光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学純度及び光学純度の高い光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを、簡単な操作で、安全で且つ収率よく製造する方法の提供。
【解決手段】式(1)
Figure 2014051461

で表される光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法であって、アミン類のリチウム塩の存在下、β−ファルネセンのアミノ化を行って、(2E)−ファルネシルアリルアミンを得、次いで不斉異性化し、一般式(4)
Figure 2014051461

で表される光学活性フェルネシルエナミンとなし、更に加溶媒分解することを特徴とする、製造方法(式中、R1、R2は、各々独立に、水素原子、アルキル基等を表す。ただし、R1及びR2は、同時に水素原子ではなく、又は、R1とR2とが結合して環を形成していてもよい。*は、不斉炭素原子を示す)。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に、経済的に有利な、短い工程で光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを製造する方法に関する。具体的には、β−ファルネセンのジエン部位を選択的にアミノ化することにより、(2E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンを得、得られた(2E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンを不斉異性化することにより光学活性ジヒドロファルネシルエナミンとし、得られた光学活性ジヒドロファルネシルエナミン加溶媒分解することにより、光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを製造する方法に関する。
2,3−ジヒドロファルネサールは、フローラル感な香気を特徴とする香料物質の一つとして知られている(特開平8−3092号公報)。2,3−ジヒドロファルネサールは、自然界において動植物に存在することが知られている。例えば、Orchids (Aerides jarckianum)の抽出物やCitrus limonの花の香り成分(Phytochemical Analysis (1997), 8(4), pp159-166)、BumblebeesやCuckoo Bumblebeesのフェロモンの成分(Chirality (2004), 16(4), pp228-233)等にその存在が知られている。
さらに、2,3−ジヒドロファルネサールは、抗菌活性機能を持ちミューゲ香料として有用な(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール(特開平8−245979号公報)の重要な原料となるものである。
2,3−ジヒドロファルネサールの光学活性体を合成した例として、(2E,6E)−ファルネサールを不斉水素移動反応に付し(3R)−2,3−ジヒドロファルネサールを合成した報告(Angewnate Chemie, International Edition (2006), 45(25), pp4193-4195)が知られているが、実際には原料として使用する(2Z,6E)−ファルネサールは、幾何異性体である(2E,6E)−ファルネサールと(2Z,6E)−ファルネサールとの混合物を精密蒸留によって分離精製しなければならず、さらに光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを得るためには、(2E,6E)−ファルネサールを不斉水素移動反応するためには高価で特殊な不斉配位子を必要である。
一方、ラセミ体の2,3−ジヒドロファルネサールを合成した例として、(2Z,6E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンをビス−(α,α’−ジフェニルホスフィノ)−オルトキシリレンを配位子として用い異性化反応し、ラセミ体の(6E)−ジヒドロファルネシルエナミンとし、次いで酢酸を用いて加水分解することにより(6E)−ジヒドロファルネサールを合成した報告(特開昭58−4748号公報)が知られている。しかしながら、この従来法では、反応で使用する配位子は光学活性体ではなく、幾何異性体である(2E,6E)−ジヒドロファルネシルアミンでの適応について全く記載されておらず、まして配位子として光学活性体を用いた場合、基質である(2Z,6E)−体と(2E,6E)−体との組合せによって、いずれかの光学活性体が異性化反応で生成されるかについて全く記載されておらず示唆する記述もない。さらには、(2Z,6E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンの入手方法や化学純度が記載されておらず、いかにして、高い化学純度の(2Z,6E)−ジヒドロファルネシルアミンを得たのであるか記載されておらず、まして高い化学純度の(2E,6E)−ジヒドロファルネシルアミンをいかにしたら入手するかについて全く記載されておらず示唆する記述もない。
特開平8−3092号公報 特開平8−245979号公報 特開昭58−4748号公報
Phytochemical Analysis (1997), 8(4), pp159-166 Chirality (2004), 16(4), pp228-233 Angewnate Chemie, International Edition (2006), 45(25), pp4193-4195
上記のような状況において、本発明の目的は、化学純度及び光学純度の高い光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを、簡単な操作で、安全で且つ収率よく製造する方法を提供することである。そして、本発明の目的は、化学純度及び光学純度の高い光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを得るのに有用な合成中間体を提供することである。そして、本発明の目的は、光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを得るのに有用な合成中間体の効率のよい製造法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、β−ファルネセンのジエン部位に選択的にアミノ化することにより、極めて高い化学純度の(2E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンを得ることができ、又、該(2E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンを不斉異性化することによって、新規な化合物である光学活性ジヒドロファルネシルエナミンを製造することができることを見出した。そして、さらに検討を重ねたところ、この新規な光学活性ジヒドロファルネシルエナミンは、化学的に安定でそれ自体で保存可能であること、該光学活性ジヒドロファルネシルエナミンを加溶媒分解することによって、目的とする光学活性2,3−ジヒドロファルネサールが簡単に、収率よく、しかも高い化学純度及び高い光学純度で得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]式(1)
Figure 2014051461
(式中、*は、不斉炭素原子を示す。)
で表される光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法であって、
アミン類のリチウム塩の存在下、式(2)
Figure 2014051461
で表されるβ−ファルネセンのアミノ化を行って、一般式(3)
Figure 2014051461
(式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい3〜8員環の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基、置換基を有しているもよい炭素数7〜12のアラルキル基からなる群から選択され、ただし、R1及びR2は、同時に水素原子ではなく、又は、R1とR2とが結合して環を形成していてもよい。)
で表される(2E)−ファルネシルアリルアミンを得、次いで不斉異性化し、一般式(3)
Figure 2014051461
(式中、R1及びR2は、前記と同義であり;*は不斉炭素原子を示す。)
で表される光学活性フェルネシルエナミンとなし、更に加溶媒分解することを特徴とする、前記方法。
[2]一般式(5)
[Rh(オレフィン)L]+- (5)
(式中、オレフィンは、エチレン、1,3−ブタジエン、シクロオクタジエン、ノボルナジエン、シクロオクタ−1,5−ジエンであり、Xは、ClO4,BF4,PF6,PCl6であり、Lは光学活性二座ホスフィン配位子である)
で表されるロジウム一価カリオン錯体、または、一般式(6)
[Rh(L)2+- (6)
(式中、X及びLは、前記と同義である。)
で表されるロジウム−二核錯体で、不斉異性化することを特徴とする、前記[1]記載の製造方法。
[3]一般式(4)
Figure 2014051461
(式中、R1、R2及び*は、前記[1]に定義した通りである。)
で表される光学活性フェルネシルエナミン。
[4]一般式(4)で表される光学活性フェルネシルエナミンの立体配置が3S−体である、前記[3]記載の光学活性フェルネシルエナミン。
[5]一般式(4)で表される光学活性フェルネシルエナミンの立体配置が3R−体である、前記[3]記載の光学活性フェルネシルエナミン。
本発明の製造方法では、第一段階の工程としてβ−ファルネセンをアミノ化することにより、高い化学純度の(2E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンが得られる。その為、次工程の不斉異性化において、該(2E)−ジヒドロファルネシルアリルアミンを用いることより、光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを製造するための新規な中間体である光学活性ジヒドロファルネシルエナミンを極めて高い化学純度及び高い光学純度で製造することができる。また、本発明の場合は、該新規な中間である光学活性ジヒドロファルネシルエナミンを加溶媒分解することによって、光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを製造することができる。
そして、本発明の新規な光学活性ジヒドロファルネシルエナミンは、光学活性2,3−ジヒドロファルネソールを製造するための中間体として有用である。
以下、本発明の光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法について具体的に説明する。
本発明の光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法の概要は、以下に示される反応により行われる。
Figure 2014051461
(式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい3〜8員環の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基、置換基を有しているもよい炭素数7〜12のアラルキル基からなる群から選択され、ただし、R1及びR2は、同時に水素原子ではなく、又は、R1とR2とが結合して環を形成していてもよく、*は不斉炭素原子を示す。)
即ち、アミン類のリチウム塩の存在下、式(2)で表されるβ−ファルネセンのアミノ化を行って、高い化学純度の一般式(3)で表される(2E)−ファルネシルアリルアミンを得、ついで不斉異性化し、一般式(4)で表される光学活性ファルネシルエナミンとなし、更に加溶媒分解することによって式(1)で表される光学活性2,3−ジヒドロファルネサールが得られる。
本発明の光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを製造するための原料であるアミン類について説明する。
本発明で使用されるアミン類は、次の一般式(7):
HNR12 (7)
(式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい3〜8員環の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基、置換基を有しているもよい炭素数7〜12のアラルキル基からなる群から選択され、ただし、R1及びR2は、同時に水素原子ではなく、又は、R1とR2とが結合して環を形成していてもよい。)
で表される。
一般式(7)のR1及びR2で表される炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖でも分岐鎖であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を例示することができる。
一般式(7)のR1及びR2で表される3〜8員環の脂環式基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を例示することができる。
一般式(7)のR1及びR2で表されるアリール基としては、炭素数6〜15のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基等の芳香族単環、多環式基を例示することができる。さらに、フェノセニル基等のメタロセニル基を例示することができる。
一般式(7)のR1及びR2で表される複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられ、脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2〜14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる5〜8員環、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環式等の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2−オキソピロリジル基、ポペリジル基、ピラペジイニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。一方、芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2〜15で、ヘテロ原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる5〜8員環、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環式等の芳香族複素環(ヘテロアリール)基を挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリニジル基、ピラジニル基、ピラダニジル基、イミダゾイル基、オキサゾイル基、チアドイル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフリチジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリン基、バンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基等を例示することができる。
一般式(7)のR1及びR2で表されるアラルキル基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等を例示することができる。
一般式(7)のR1とR2とが結合して環を形成する場合は、炭素数2〜15の環状アミン、例えば、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、インドリン、イソインドリン等のごとき環状アミンを例示することができる。
ここで、R1及びR2で表される前記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アリール基、アラルキル基、脂環式基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、トリ置換オルガノシリル基、カルボキシル基、アシル基、アシルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、ニトロ基等が挙げられる。
また同様に、R1及びR2で表される前記脂環式基、アリール基、複素環基及びアラルキル基も置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、脂環式基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、トリ置換オルガノシリル基、カルボキシル基、アシル基、アシルオキシ基、置換アミノ基、複素環基、ニトロ基等が挙げられる。
ここで置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
置換基としてのアリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基及びビフェニル基などの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
置換基としてのアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、α−ナフチルメチル基及びβ−ナフチルメチル基などの炭素数7〜12のアラルキル基が挙げられる。
置換基としての脂環式基としては、シククペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などの炭素数5〜8の脂環式基が挙げられる。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などが挙げられる。
置換基としてのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
置換基としてのトリ置換オルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロポルシリル基、ジメチルイソップロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基及びジメチルヘキシルシリル基などのトリ−炭素数1〜6のアルキルシリル基が挙げられる。
置換基としてのカルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、などの炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基やフェノキシカルボニル基などの炭素数6〜11のアルールカルボキシル基が挙げられる。
置換基としてのアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピロニル基、n−ブチロイル基、イソブチロイル基、ベンゾイル基などの炭素数1〜8のアシル基が挙げられる。
置換基としてのアシルオキシ基としては、ホルミルオキシ基、アシルオキシ基、プロピオニルアキシ基、n−ブチロイルオキシ基、イソブチロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数1〜8のアシルオキシ基が挙げられる。
置換基としての置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ピペリジル基、ピペリジル基などの炭素数1〜12のアルキル基が離間したジアルキルアミノ基が挙げられる。
置換基としての複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられ、脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2〜14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる5〜8員環、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環式等の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2−オキソピロリジル基、ポペリジル基、ピラペジイニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。一方、芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2〜15で、ヘテロ原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる5〜8員環、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環式等の芳香族複素環(ヘテロアリール)基を挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリニジル基、ピラジニル基、ピラダニジル基、イミダゾイル基、オキサゾイル基、チアドイル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフリチジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリン基、バンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基等を例示することができる。
本発明で使用されるアミン類の具体例としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロイルアミン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン等を挙げることができる。
β−ファルネセンの該アミン類に対する使用量は、アミン類に対して、β−ファルネセン1〜100倍モルであり、好ましく1〜10倍モルである。
本発明で用いられるアミン類のリチウム塩としては、上記アミン類のリチウム触媒とを反応せしめることにより得ることができる。リチウム触媒としては、有機リチウム化合物又はリチウム金属を用いることが出来る。
本発明で用いられるアミン類のリチウム塩は、有機リチウム化合物とアミン類を反応させることによって得られる。また、リチウム金属とアミン類をイソプレン、スチレンなどお水素受容オレフィンの存在下に反応せしめるなどの方法で調製することができ、いずれの方法を用いてもよい。
ここで、有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム等を上げることができる。
アミノ化に利用されるリチウム触媒の量は、反応に使用されるアミン類に対して、0.001〜1倍モルであり、好ましく0.05〜0.5倍モルである。
アミノ化反応は、不活性雰囲気下で、溶媒を使用し又は使用せずに行われる。溶媒を使用する場合は、リチウム触媒を溶媒することができる溶媒が使用される。使用することができる溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。反応温度は、用いる原料や試薬により当業者が適宜決定することができるが、通常、0〜150℃であり、好ましくは50〜100℃である。
反応時間は、当業者が適宜決定することができるが、通常、数分〜24時間であり、好ましくは1〜10時間である。
アミン類のリチウム塩の存在下、β−ファルネセン(2)との前記反応条件化でのアノミ化反応混合物は、反応終了後、水、エタノール、二酸化炭素等の添加によって触媒であるリチウム触媒を失活させた後、油層を、例えば、蒸留、カラムクロマトグラフィー等によって精製処理することにより(2E)−ファルネシルアリルアミン(3)が得られる。
ファルネシルアリルアミンは、(2E)−体と(2Z)−体の異性体が存在する化合物である。しかしながら、本発明の合成方法で得られるファルネシルアリルアミンは、(2E)−体である(2E)−ファルネシルアリルアミン(3)が、(2E)−体/(2Z)−体比が99/1〜100/0と極めて高い化学純度を有するものであり、精密蒸留することなく、次工程の不斉異性化に用いてもよい。
前記したアミノ化反応で得られる(2E)−ファルネシルアリルアミン(3)を不斉異性化することによって、光学活性ファルネシルエナミン(4)が得られる。
(2E)−ファルネシルアリルアミン(3)を不斉異性化する方法としては、光学活性遷移金属錯体を触媒として異性化する方法を採用することができる。
本発明で用いられる光学活性遷移金属錯体は、遷移金属錯体と光学配位子とを含有する錯体が好ましく用いられる。
本発明の(2E)−ファルネシルアリルアミン(3)を不斉異性化する光学活性遷移金属錯体に用いる配位子としては、単座配位子、多座配位子等が挙げられる、好ましくは光学活性二座ホスフィン配位子が挙げられる。
光学活性二座ホスフィン配位子としては、次の一般式(8):
Figure 2014051461
(8)
(式中、R3〜R6は各々独立に置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基を示すか、あるいはR3とR4、R5とR6は各々互いに隣接するリン原子と一緒になって複素環を形成していてもよく;R7及びR8は各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;R9は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子を示し;また、R7とR8、R8とR9は各々お互いに一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい)
で表される光学活性二座ホスフィン配位子が挙げられる。
この一般式(8)において、R3〜R6は各々独立に置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基を示すか、あるいはR3とR4、R5とR6は互いに隣接するリン原子と一緒になって複素環を形成していてもよい。
置換基を有していてもよい芳香族基において、芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基等の炭化水素系芳香族基;ピロリル基、ピリジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基等の複素系芳香族基等が挙げられる。
ここで置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4の低級アルコキシ基;フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ファナンスリル基等の炭素数6〜15のアリール基;ベンジル基、α−フェニルエチル基、β−フェニルエチル基、α−フェニルプロピル基、β−フェニルプロピル基、γ−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜13のアラルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルヘキシルシリル基等のトリ−炭素数1〜6アルキルシリル基、ジメチルクミルシリル基等のジ−炭素数1〜6アルキル−炭素数6〜18アリールシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基等のジ−炭素数6〜18アリール−炭素数1〜6アルキルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリ−炭素数6〜18アリールシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基等のトリ−炭素数7〜19アラルキルシリル基等のトリ置換オルガノシリル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基において、シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、オクタヒドロナフチル基等が挙げられる。
ここで、置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1〜12のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4の低級アルコキシ基;フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ファナンスリル基等の炭素数6〜15のアリール基;ベンジル基、α−フェニルエチル基、β−フェニルエチル基、α−フェニルプロピル基、β−フェニルプロピル基、γ−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜13のアラルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチル(2,3−ジメチル−2−ブチル)シリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルヘキシルシリル基等のトリ−炭素数1〜6アルキルシリル基、ジメチルクミルシリル基等のジ−炭素数1〜6アルキル−炭素数6〜18アリールシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基等のジ−炭素数6〜18アリール−炭素数1〜6アルキルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリ−炭素数6〜18アリールシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基等のトリ−炭素数7〜19アラルキルシリル基等のトリ置換オルガノシリル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基等が挙げられる。
3とR4、R5とR6が各々互いに隣接するリン原子と一緒になって複素環を形成した場合の複素環の具体例としては、ホスホール、テトラヒドロホスホール、ホスホリナン等が挙げられる。当該複素環には、本発明の反応に不活性な官能基を置換基として1〜4個有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(8)において、R7及びR8は各々独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子である。
7及びR8で表される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
7及びR8で表される炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。
7及びR8で表されるジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基等が挙げられる。
7及びR8で表される5〜8員の環状アミノ基の具体例としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。
7及びR8で表されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
これらの中で、好ましいR7及びR8としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基のジアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基等の5〜8員の環状アミノ基等が挙げられる。
特に好ましいR7及びR8でとしては、水素原子、メトキシ基が挙げられる。
一般式(8)において、R9は各々独立に炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基、5〜8員の環状アミノ基又はハロゲン原子である。
9で表される炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
9で表される炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。
9で表されるジ(炭素数1〜5アルキル)アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジsec−ブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基等が挙げられる。
9で表される5〜8員の環状アミノ基の具体例としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。
9で表されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
これらの中で、好ましいR9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基等の5〜8員の環状アミノ基等が挙げられる。
特に好ましいR9としては、メチル基、メトキシ基が挙げられる。
一般式(8)において、R7とR8、R8とR9は各々互いに一緒になって縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成してもよい。これらの中で、R8とR9が一緒になって縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基を形成したものが好ましい。特に、R8とR9が、一緒になって、縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、テトラメチレン基、メチレンジオキシ基、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成したものが好ましい。
また、前記縮合ベンゼン環、縮合置換ベンゼン環、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はトリメチレンジオキシ基には、不斉合成反応に不活性な官能基を置換基として、好ましくは0〜4個の範囲で有していてもよい。ここで、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
この一般式(8)において、好ましく用いられる光学活性二座ホスフィン配位子としては、例えば、特開昭58−4749号公報、特開昭61−63690号公報、特開昭62−265293号公報に記載されている第3級ホスフィンで、具体例としては、次のものを挙げることができる。すなわち、2,2'−ビス( ジフェニルホスフィノ)−1,1'− ビナフチル(BINAP)、2,2'−ビス(ジ(p-トリルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル〔Tol-BINAP〕、2,2'−ビス( ジ(3,5−キシリル)ホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(DM−BINAP) 、2,2'−ビス ジ(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(T−Bu−2−BINAP)、2,2’−ビス[ ジ(4−メトキシ-3,5-ジメチルフェニル) ホスフィノ]−1,1'− ビナフチル(DMM−BINAP)、2,2’−ビス( ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(Cy−BINAP)、2,2'− ビス( ジシクロペンチルホスフィノ)−1,1’− ビナフチル(Cp−BINAP)。
更に、この一般式(8)において、好ましく用いられる光学活性二座ホスフィン配位子としては、例えば、特開平4−139140号公報に記載されている第3級ホスフィンで、具体例としては、次のものを挙げることができる。すなわち、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6',7,7’,8,8'−オクタヒドロビナフチル(H8−BINAP)、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロビナフチル(Tol−H8−BINAP)、2,2’−ビス(ジ−(3,5−キシリル)ホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロビナフチル(DM−H8−BINAP)、2,2’−ビス(ジ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−5,5’,6,6',7,7’,8,8'−オクタヒドロビナフチル(DMM−H8−BINAP)。
更にまた、この一般式(8)において、好ましく用いられる光学活性二座ホスフィン配位子としては、例えば、特開平11−269185号公報に記載されている第3級ホスフィンで、具体例としては、次のものを挙げることができる。すなわち、((5,6),(5’,6’)−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2'−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)(SEGPHOS)、((5,6),(5',6’)−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2'−ジイル)ビス(ジp−トリルホスフィン) (Tol−SEGPHOS)、((5,6),(5’,6')−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(ジ3,5−キシリルホスフィン) (DM−SEGPHOS)、((5,6),(5',6’)−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2'−ジイル) ビス(ジ4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)(DMM−SEGPHOS)、((5,6),(5’,6')−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2’−ジイル) ビス(ジ4−メトキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィン) (DTBM−SEGPHOS )、((5,6),(5’,6')−ビス(メチレンジオキシ)ビフェニル−2,2’−ジイル) ビス(ジシクロヘキシルホスフィン) (Cy−SEGPHOS)。
以上の光学活性二座ホスフィン配位子以外に、一般式(8)に該当するものとして、次の光学活性二座ホスフィン配位子を挙げることができる。すなわち、2,2'−ジメチル−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(BIPHEMP)、2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジp−トリルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(Tol−BIPHEMP)、2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジ3,5−キシリルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(DM−BIPHEMP)、2,2’−ジメチル−6,6'−ビス(ジ4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(DMM−BIPHEMP)、2,2'−ジメチル−6,6’−ビス(ジ4−t−ブトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィノ)−1,1'-ビフェニル(DTBM−BIPHEMP)、2,2'−ジメチル−6,6’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(Cy−BIPHEMP)、2,2’−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(MeO−BIPHEP)、2,2’−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジp−トリルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(Tol−MeO−BIPHEP)、2,2'−ジメトキシ−6,6’−ビス(ジ3,5−キシリルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(DM−MeO−BIPHEP)、2,2’−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジ4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(DMM−MeO−BIPHEP)、2,2'−ジメトキシ−6,6’−ビス(ジ4−t−ブトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(DTBM−MeO−BIPHEP)、2,2’−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(Cy−MeO−BIPHEP)、2,2'−ジメチル−3,3’−ジクロロ−4,4'−ジメチル−6,6’−ビス(ジp−トリルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(Tol−CM−BIPHEMP)、2,2’−ジメチル−3,3'−ジクロロ−4,4’−ジメチル−6,6'−ビス(ジ3,5−キシリルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(DM−CM−BIPHEMP)、2,2'−ジメチル−3,3’−ジクロロ−4,4'−ジメチル−6,6’−ビス(ジ4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(DMM−CM−BIPHEMP)。
本発明では、上記した光学活性二座ホスフィン配位子と遷移金属となる光学活性遷移金属錯体で不斉水素化反応を行うことができるが、この不斉水素化反応における光学活性遷移金属錯体としては、例えば、一般式(5)及び一般式(6)で表される光学活性ロジウム錯体が好ましいのものとして挙げられる。
[Rh(オレフィン)L]+- (5)
(式中、オレフィンは、エチレン、1,3−ブタジエン、シクロオクタジエン、ノボルナジエン、シクロオクタ−1,5−ジエンであり、Xは、ClO4,BF4,PF6,PCl6であり、Lは光学活性二座ホスフィン配位子である)
[Rh(L)2+- (6)
(式中、X及びLは、前記と同義である。)
一般式(5)及び一般式(6)で表される光学活性ロジウム錯体の製造方法としては特に制限されないが、例えば次に示す方法あるいはこれに準ずる方法を用いて製造することができる。なお、以下に示す遷移金属ホスフィン錯体の式中において、codはシクロオクタ−1,5−ジエンを、nbdはノルボルナジエンをそれぞれ示す。
光学活性ロジウム錯体を製造する具体的な例としては、例えば、特開昭58−4748号公報、特開昭59−20294号公報、特開昭60−61587号公報に記載の方法に準じて、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー([Rh(cod)Cl]2)と過塩素酸銀と上記した光学活性二座ホスフィン配位子を反応せしめて合成することができる。
ロジウム錯体の具体例として、例えば、以下のものを挙げることができる。
一般式(5)で表される光学活性ロジウム錯体は、次の通りである:
[Rh(cod)(L)]OTf、[Rh(cod)(L)]BF4
[Rh(cod)(L)]ClO4、[Rh(cod)(L)]SbF6
[Rh(cod)(L)]PF6、[Rh(cod)(L)]BPh4
[Rh(nbd)(L)]OTf 、[Rh(nbd)(L)]BF4
[Rh(nbd)(L)]ClO4、[Rh(nbd)(L)]SbF6
[Rh(nbd)(L)]PF6、[Rh(nbd)(L)]BPh4
一般式(6)で表される光学活性ロジウム錯体、次の通りである:
[Rh(L)2]OTf 、[Rh(L)2]BF4、[Rh(L)2]ClO4
[Rh(L)2]SbF6、[Rh(L)2]PF6、[Rh(L)2]BPh4
これらの光学活性二座ホスフィン配位子は、いずれも(S)−体及び(R)−体が存在するので、目的とする光学活性ファルネシルエナミン(3)の絶対配置に応じていずれかを選択すればよい。すなわち、基質として(E)−体を用いた場合、例えば、配位子としてTol−BINAPを用いたとき、(R)−体の光学活性ファルネシルエナミン(4)を得るには(S)−体のTol−BINAPを用い、(S)−体の光学活性ファルネシルエナミン(4)を得るには(R)−体のTol−BINAPを用いればよい。一方、基質として(Z)−体を用いた場合、(S)−体の光学活性ファルネシルエナミン(4)を得るには(R)−体のTol−BINAPを用い、(R)−体の光学活性ファルネシルエナミン(4)を得るには(S)−体のTol−BINAPを用いればよい。
なお、遷移金属−光学活性ホスフィン錯体の使用量は、ファルネシルアリルアミン(3)に対して約100〜50000分の1モルであることが好ましい。
また、反応溶媒としては、不斉水素化原料及び触媒系を可溶化するものであれば適宜なものを用いることができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、等のハロゲン含有炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、DMFやDMSO等ヘテロ原子を含む有機溶媒を用いることができる。好ましくはエーテル系溶媒及びエーテル系溶媒との混合溶媒が用いられる。溶媒の量は、反応基質の溶解度及び経済性により判断される。例えば、基質によっては1%以下の低濃度から無溶媒に近い状態で行うことができるが、0.1〜5.0容量で用いるのが好ましい。反応温度については、0〜150℃で行うことができるが、70〜120℃の範囲がより好ましい。また、反応時間は、反応基質濃度、温度、圧力等の反応条件によって異なるが、数分〜30時間で反応は完結する。反応終了後は、通常の後処理を行うことにより、目的とする光学活性ファルネシルエナミン(4)を単離することができる。
前記した不斉異性化により得られる光学活性ファルネシルエナミン(4)は、従来にない新規な化合物であり、安定で、通常油状を呈し、保存可能である。そのため、前記付加反応により得られる光学活性ファルネシルエナミン(4)は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィー処理などによって精製処理するか又は精製処理を行わずに保存しておき、次工程の製造時に保存容器から取り出して用いるようにしてもよい。
前記した不斉異性化で得られる光学活性ファルネシルエナミン(4)を加溶媒分解することによって、光学活性2,3−ジヒドロファルネサール(1)が得られる。
上記加溶媒分解の方法としては、通常の公知あるいは周知のエナミンの加溶媒分解法を使用することができる。このような方法としては、酸性触媒を用いて溶媒中で反応させる方法が挙げられる。本加溶媒分解において用いられる酸性触媒としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。好ましい酸性触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸などが安価でしかも汎用性があり、反応の選択性および収率も高いことから好ましい。これらの酸性触媒は1種または2種以上を混合して使用することができるが、1種で使用する方法が好ましい。
また、加溶媒分解の際に使用される溶媒は、加溶媒分解が進行する溶媒であれば何れのものでもよく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類等およびこれらの混合溶媒が挙げられる。なかでもメタノールおよびエタノールが安価でしかも汎用性があり、反応の選択性および収率も高いことから好ましい。
さらに、必要に応じ助溶媒が使用されてもよい。助溶媒としては、反応に関与しない溶媒であれば何れのものを用いてもよく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等芳香族系溶媒等の有機溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量は、光学活性ファルネシルエナミン(4)1質量部に対し、通常0.5〜100倍容量、好ましくは1〜30倍容量である。また、反応は通常、0〜250℃程度の温度、好ましくは、20〜100℃程度の温度で行われ、通常10分〜20時間程度、好ましくは30分から10時間程度の時間反応させることにより終了するが、これらの条件は使用する溶媒や触媒などの量により適宜変更され得る。
反応終了後は通常の後処理を行うことにより、必要に応じて蒸留やカラムクロマトグラフィー等の方法を用いて、目的物を単離することができる。また、本発明における反応形式は、バッチ式においても連続的においても実施することができる。
本反応において、光学活性ファルネシルエナミン(4)における3−位の不斉炭素原子上の立体配置は、光学活性ファルネシルエナミン(4)の立体配置が維持され、例えば、(3R)−ファルネシルエナミンを使用した場合、(3R)−ジヒドロファルネサールが、光学純度を保持して得られる。すなわち、光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの立体配置は不斉異性化反応中使用される光学活性配位子の立体により制御されるのである。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
本実施例中の分析には、次の分析機器を用いて行った。
NMR測定装置:AVANCEIII 500型(500MHz;ブルカーバイオスピン社製)
[質量分析及び化学純度]
ガスクロマトグラフ質量分析計:GCMS−QP2010(島津製作所社製)
使用カラム:BC−WAX(50mx0.25mmID;ジーエルサイエンス社製)
オーブン条件:70℃−217℃,4℃/min
[光学純度]
ガスクロマトグラフ:GC−2010(島津製作所社製)
使用カラム:BGB−174(30mx0.25mmID;BGB Analytik AG社製)
オーブン条件:90℃−150℃,0.4℃/min
赤外吸収スペクトル測定装置:FT/IR−6100(日本分光社製)
窓材:塩化ナトリウム
旋光度計:P−1020(日本分光社製)
[実施例1]
窒素気流中にてジエチルアミン;4.29g(0.0587mol)を20mlフラスコに入れ、5℃にて攪拌した。次いでn−ブチルリチウムのヘキサン溶液;3.7ml(1.6mol/L,0.0587mol)を加え、5℃、10分間攪拌してリチウムジエチルアミン溶液とした。
30ml耐圧アンプルを窒素置換し、これにβ−ファルネセン;4.0g(0.0196mol)(和光純薬工業株式会社製)を加え、15℃、10分間攪拌した。次に上記リチウムジエチルアミン溶液を5分間かけて加えた後、70℃、4時間加熱攪拌した(転化率;99%以上)。
反応終了後、トルエン;40mlを加えた後、水;8mlにて洗浄した。続いてクライゼン蒸留にてまずトルエンを留去後、沸点;108~110℃/20PaにてN,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルヂデカ−2E,6E,10−トリエン−1−アミン;4.48g(ガクスロ化学純度;92.9%(2E,6E−体),1.8%(2Z,6E−体),4.16g(0.015mol)を収率;77%;にて得た。
<N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルヂデカ−2E,6E,10−トリエン−1−アミンの物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D):δ 1.03 (t, J=7.2Hz, 3H×2), δ 1.60 (s, 3H×2), δ 1.64 (s, 3H), δ 1.68 (s, 3H), δ1.95-2.15 (m, 2H×4), δ 2.51 (q, J=7.2Hz, 2H×2), δ3.06 (d, J=6.8Hz, 2H), δ 5.10 (t, J=6.8Hz, 1H), δ 5.11 (t, J=6.8Hz, 1H), δ 5.27 (t, J=6.8Hz, 1H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ 11.86(CH3×2), 16.04(CH3), 16.36(CH3), 17.68(CH3), 25.70(CH3), 26.44(CH2), 26.79(CH2), 39.75(CH2), 39.85(CH2), 46.72(CH2×2) , 50.57(CH2), 121.79(CH), 124.08(CH), 124.42(CH), 131.28(C), 135.11(C), 137.68(C)
[実施例2]
窒素気流中にてクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー([Rh(cod)Cl]2;24.7mg(0.05mmol)と過塩素酸銀(AgClO4);20.7mg(0.1mmmol)を20ml枝付フラスコに入れ、攪拌下にテトラヒドロフラン;6mlを加えて15℃、2時間攪拌した。次いで(S)-Tol−BINAP;67.8mg(0.1mmmol)を含むテトラヒドロフラン溶液4mlを加え、15℃、2時間攪拌した後、生成した塩化銀をろ過して除き、ろ液を触媒溶液とした。
200ml耐圧アンプルを窒素置換し、これに上記ロジウム錯体触媒溶液5ml(0.05mmmol)、テトラヒドロフラン;2mlを加え、最後に(実施例1にて得られた)N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルヂデカ−2E,6E,10−トリエン−1−アミン;3.36g(ガスクロ純度;92.9%,3.12g;11.25mmol)を加えて100℃、14時間加熱攪拌した(転化率;99%以上)。
反応終了後、クライゼン蒸留にてまずテトラヒドロフランを留去後、沸点;88〜97℃/20Paにて(3R)−N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−1,6E,10−トリエン−1−アミン;2.65g(ガスクロ純度;93.5%,0.915g;8.93mmol)を収率;79%にて得た。
<(3R)−N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−1,6E,10−トリエン−1−アミンの物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D):δ 0.97 (d, J=6.7Hz, 3H), δ 1.04 (t, J=7.1Hz, 3H×2), δ 1.2-1.35 (m, 2H), δ 1.59 (s, 3H), δ 1.60 (s, 3H), δ 1.68 (s, 3H), δ1.95-2.1 (m, 7H), δ 2.93 (q, J=7.1Hz, 2H×2), δ 4.04 (dd, J=8.2, 13.9Hz, 1H), δ 5.1 (m, 1H×2), δ 5.80 (d, J=13.9Hz, 1H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ 12.16(CH3×2), 15.96(CH3), 17.66(CH3), 22.73(CH3), 25.68(CH3), 25.95(CH2), 26.76(CH2), 34.99(CH), 38.90(CH2), 39.77(CH2), 44.43(CH2×2), 105.07(CH), 124.49(CH), 125.15(CH), 131.17(C), 134.36(C), 135.78(CH)
赤外吸収スペクトル(CCl4:cm-1):2960, 1650, 1450, 1374, 1245, 1197, 1095, 935
EI−MSデータ(27eV):277 (M+; 5), 262 (5), 208 (50), 193 (5), 166 (5), 152 (5), 126 (100), 110 (5), 86 (20), 72 (15), 56 (15), 41(15)
比旋光度:[α]D 20 -36.8 (c 1.0, Pyridine)
[実施例3]
窒素気流中にてクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー([Rh(cod)Cl]2;24.7mg(0.05mmol)と過塩素酸銀(AgClO4);20.7mg(0.1mmol) を20ml枝付フラスコに入れ、攪拌下にテトラヒドロフラン;6mlを加えて15℃、2時間攪拌した。次いで(R)-Tol−BINAP;67.8mg(0.1mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液4mlを加え、15℃、2時間攪拌した後、生成した塩化銀をろ過して除き、ろ液を触媒溶液とした。
200ml耐圧アンプルを窒素置換し、これに上記ロジウム錯体触媒溶液2ml(0.02mmol)、テトラヒドロフラン;2mlを加え、最後に(実施例1にて得られた)N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエン−1−アミン;1.12g(ガスクロ純度;92.9%,1.04g;3.75mmol)を加えて100℃、14時間加熱攪拌した(転化率;99%以上)。
反応終了後、クライゼン蒸留にてまずテトラヒドロフランを留去後、沸点;88〜94℃/20Paにて(3S)−N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−1,6E,10−トリエン−1−アミン;1.00g(ガスクロ純度;91.5%,0.915g;3.30mmol)を収率;88%にて得た。
<(3S)−N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−1,6E,10−トリエン−1−アミンの物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D): δ 0.97 (d, J=6.8Hz, 3H), δ 1.04 (t, J=7.1Hz, 3H×2), δ 1.2-1.35 (m, 2H), δ 1.59 (s, 3H), δ 1.60 (s, 3H), δ 1.68 (s, 3H), δ1.95-2.1 (m, 7H), δ 2.93 (q, J=7.1Hz, 2H×2), δ 4.04 (dd, J=8.1, 13.9Hz, 1H), δ 5.1 (m, 1H×2), δ 5.79 (d, J=13.9Hz, 1H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ 12.16(CH3×2), 15.96(CH3), 17.66(CH3), 22.73(CH3), 25.68(CH3), 25.95(CH2), 26.76(CH2), 34.99(CH), 38.90(CH2), 39.77(CH2), 44.43(CH2×2), 105.07(CH), 124.49(CH), 125.15(CH), 131.17(C), 134.36(C), 135.78(CH)
赤外吸収スペクトル(CCl4:cm-1):2960, 2924, 2865, 1650, 1450, 1374, 1245, 1197, 1095, 935
EI−MSデータ(27eV):277 (M+; 5), 262 (5), 208 (50), 193 (5), 166 (5), 152 (5), 126 (100), 110 (5), 86 (20), 72 (15), 56 (15), 41(15)
比旋光度:[α]D 20 +36.1 (c 1.0, Pyridine)
[実施例4]
100ml耐圧アンプルを窒素置換し、これに実施例3にて作成したロジウム錯体触媒溶液1ml(0.01mmol)、テトラヒドロフラン;2mlを加え、最後に(合成例1にて得られた)N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエン−1−アミン;2.78g(10mmol,(ガスクロ純度;59.3%(2E,6E−体),22.2%(2Z,6E−体))を加えて100℃、16時間加熱攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて反応物を分析の結果、2E、6E−体の場合は転化率;67.3%であったのに対して, 2Z,6E−体の場合は転化率;47.6%と反応性が劣る結果であった。
[合成例1]
300mlフラスコに濃塩酸;100g(1.0mol)を加えて5℃にて10分攪拌した。続いて6E−ネロリドール;55.6g(0.25mol)を30分かけて加えた後、5℃、3時間攪拌した。引き続き25%水酸化ナトリウム水溶液にて中和後、トルエン;100mlにて抽出を行い、その後水層を除去した。
300mlフラスコに得られた有機層を加えた後、ジエチルアミン;36.6g(0.5mol)を10分かけて加えた。更に炭酸ナトリウム;26.5g(0.25mol)を加えた後、45℃にて3時間攪拌した。
反応終了後、トルエン;100mlを加えた後、沈殿物をろ過にて除去した。得られたろ液を水;50mlにて2回洗浄後、エバポレーターを用いてトルエンの除去を行い、濃縮物;28.6gを得た。
得られた濃縮物をシリカカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;300g;)を用いて、まずヘキサン:酢酸エチル=3:1にて不純物を除去後、ヘキサン:トリエチルアミン=20:1にてN,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6,10−トリエン−1−アミンを豊富に含む画分(13.0g)を得た。引き続きクライゼン蒸留にて蒸留を行い、沸点;100〜110℃/20PaにてN,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−2,6−10−トリエン−1−アミン;10.9g(ガスクロ純度;59.3%(2E,6E−体),22.2%(2Z,6E−体)),8.9g;0.032mol)を収率;13%にて得た。
<N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−2Z,6E−10−トリエン−の物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D):δ 1.03 (t, J=7.2Hz, 3H×2), δ 1.60 (s, 3H×2), δ 1.68(s, 3H), δ 1.73 (s, 3H), δ1.95-2.15 (m, 2H×4), δ 2.50 (q, J=7.2Hz, 2H×2), δ3.05 (d, J=6.8Hz, 2H), δ 5.05-5.15 (m, 1H×2), δ 5.24-5.29 (m, 1H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ 11.82(CH3×2), 15.99(CH3), 17.69(CH3), 23.59(CH3), 25.70(CH3), 26.52(CH2), 26.72(CH2), 32.20(CH2), 39.74(CH2), 46.69(CH2×2) , 50.44(CH2), 122.66(CH), 123.97(CH), 124.35(CH), 131.34(C), 135.34(C), 137.85(C)
[実施例5]
100mlフラスコに(実施例2にて得られた)N,N−ジエチル−3,7,11−トリメチルドデカ−1,6,10−トリエン−1−アミン;1.42g(ガスクロ純度;93.5%,1.33g;4.78mmol)、トルエン;70ml及び1N−硫酸水;15ml を加えて15℃、10分間攪拌した(転化率;99%以上)。水層を除去後、10%炭酸ナトリウム溶液;30mlにて2回洗浄、更に水;30mlにて2回洗浄した。
洗浄終了後、クライゼン蒸留にてまずトルエンを留去後、沸点;68〜72℃/20Paにて(3R)−ジヒドロファルネサール;1.07g(ガスクロ純度;99.5%、光学純度95%e.e.,1.06g;4.78mmol)を収率;100%にて得た。
<(3R)−ジヒドロファルネサールの物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D):δ 0.98 (d, J=6.7Hz, 3H), δ 1.25-1.4 (m, 2H), δ 1.60(s, 3H×2), δ 1.68 (s, 3H), δ1.95-2.1 (m, 7H), δ 2.23 (ddd, J=2.7, 8.0, 16.0Hz, 1H), δ2.41 (ddd, J=2.1, 5.6, 16.0Hz, 1H), δ 5.1 (m, 1H×2), δ 9.76 (t, J=2.7Hz, 1H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ15.96(CH3), 17.65(CH3), 19.87(CH3), 25.27(CH2), 25.66(CH3), 26.65(CH2), 27.79(CH), 36.90(CH2), 39.68(CH2), 50.98(CH2), 123.92(CH), 124.28(CH), 131.32(C), 135.38(C), 202.96(CH=O)
赤外吸収スペクトル(CCl4:cm-1):2963, 2921, 2712, 1726, 1450, 1379, 1106, 833
EI−MSデータ(27eV):222 (M+; 3), 204 (3), 189 (5), 179 (65), 161 (30), 135 (10), 123 (70), 109 (75), 93 (35), 81 (50), 69 (100), 55 (40), 41 (100)
比旋光度:[α]D 20 +4.6 (c 1.0, MeOH)
[実施例6]
100mlフラスコに(実施例3にて得られた)N,N−ジエチル−3,7−11−オリメチルドデカ−1,6,10−トリエン−1−アミン;0.3g(ガスクロ純度;91.5%,0.275g;0.99mmmol)、トルエン;50ml及び1N−硫酸水;5mlを加えて15℃、10分間攪拌した(転化率;99%以上)。水層を除去後、10%炭酸ナトリウム溶液;20mlにて2回洗浄、更に水;20mlにて2回洗浄した。
洗浄終了後、クライゼン蒸留にてまずトルエンを留去後、沸点;65〜70℃/20Paにて(3S)−ジヒドロファルネサール;0.17g(ガスクロ純度;99.1%,光学純度89.0%e.e.,0.168g;0.76mmol)を収率;77%にて得た。
<(3S)−ジヒドロファルネサールの物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D):δ 0.98 (d, J=6.7Hz, 3H), δ 1.25-1.4 (m, 2H), δ 1.60(s, 3H×2), δ 1.68 (s, 3H), δ1.95-2.1 (m, 7H), δ 2.23 (ddd, J=2.7, 8.0, 16.0Hz, 1H), δ2.41 (ddd, J=2.1, 5.6, 16.0Hz, 1H), δ 5.1 (m, 1H×2), δ 9.76 (t, J=2.7Hz, 1H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ15.97(CH3), 17.67(CH3), 19.89(CH3), 25.28(CH2), 25.67(CH3), 26.67(CH2), 27.80(CH), 36.91(CH2), 39.70(CH2), 50.99(CH2), 123.92(CH), 124.29(CH), 131.34(C), 135.39(C), 202.97(CH=O)
赤外吸収スペクトル(CCl4:cm-1):2963, 2921, 2712, 1726, 1450, 1379, 1106, 833
EI−MSデータ(27eV):222 (M+; 3), 204 (3), 189 (5), 179 (40), 161 (20), 135 (5), 123 (40), 109 (50), 93 (20), 81 (30), 69 (100), 55 (30), 41 (85)
比旋光度:[α]D 20 -3.7 (c 0.5, MeOH)
[合成例2]
20m;フラスコに(実施例5にて得られた)(3R)−ジヒドロファルネサール;1.11g(ガスクロ純度;99.1%,1.10g;4.95mmol)、メタノール;10mlを加えて15℃にて攪拌した。続いて水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4);0.189g(5mmol)を加えて15℃、30分間攪拌した(転化率;99%以上)。反応終了後、1N−塩酸水;10mlとトルエンを加えて15℃にて10分攪拌、その後水層を除去した。引き続き10%炭酸ナトリウム溶液;20mlにて1回洗浄、更に水;20ml; にて2回洗浄した。
洗浄終了後、クライゼン蒸留にてまずトルエンを留去後、沸点;85〜90℃/20Paにて(3R)−ジヒドロファルネソール;0.97g(ガスクロ純度;99.5%,0.965g;4.30mmol)を収率;87%にて得た。
<(3R)−ジヒドロファルネソールの物理データ>
Figure 2014051461
NMRデータ
1H−NMR (500MHz, CHLOROFORM-D):δ 0.91 (d, J=6.7Hz, 3H), δ 1.15-1.25 (m, 1H) , δ 1.3-1.45 (m, 2H) , δ 1.65-1.75 (m, 2H), δ 1.60(s, 3H×2), δ 1.68 (s, 3H), δ1.95-2.1 (m, 6H), δ3.7 (m, 2H),δ 5.1 (m, 2H)
13C−NMR (125MHz, CHLOROFORM-D):δ15.94(CH3), 17.65(CH3), 19.55(CH3), 25.33(CH2), 25.66(CH3), 26.71(CH2), 29.19(CH), 37.17(CH2), 39.72(CH2), 39.92(CH2), 61.22(CH2), 124.36(CH), 124.58(CH), 131.26(C), 134.86(C)
赤外吸収スペクトル(CCl4:cm-1):3329, 2914, 1451, 1377, 1106, 1057, 1010, 835
EI−MSデータ(27eV):224 (M+; 2), 209 (2), 181 (30), 163 (20), 137 (5), 123 (55), 109 (15), 95 (50), 81 (80), 69 (100), 55 (30), 41 (70)
比旋光度:[α]D 20 +5.0 (c 1.0, CHCl3)
(参考文献;Acta. Chem. Scand., 25, 1685-1694 (1971)との比較より3R体と決定)

Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 2014051461
    (式中、*は、不斉炭素原子を示す。)
    で表される光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの製造方法であって、
    アミン類のリチウム塩の存在下、式(2)
    Figure 2014051461
    で表されるβ−ファルネセンのアミノ化を行って、一般式(3)
    Figure 2014051461
    (式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい3〜8員環の脂環式基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜15の複素環基、置換基を有しているもよい炭素数7〜12のアラルキル基からなる群から選択され、ただし、R1及びR2は、同時に水素原子ではなく、又は、R1とR2とが結合して環を形成していてもよい。)
    で表される(2E)−ファルネシルアリルアミンを得、次いで不斉異性化し、一般式(3)
    Figure 2014051461
    (式中、R1、R2及び*は、前記と同義である。)
    で表される光学活性フェルネシルエナミンとなし、更に加溶媒分解することを特徴とする、前記方法。
  2. 一般式(5)
    [Rh(オレフィン)L]+- (5)
    (式中、オレフィンは、エチレン、1,3−ブタジエン、シクロオクタジエン、ノボルナジエン、シクロオクタ−1,5−ジエンであり、Xは、ClO4,BF4,PF6,PCl6であり、Lは光学活性二座ホスフィン配位子である)
    で表されるロジウム一価カリオン錯体、または、一般式(6)
    [Rh(L)2+- (6)
    (式中、X及びLは、前記と同義である。)
    で表されるロジウム−二核錯体で、不斉異性化することを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
  3. 一般式(4)
    Figure 2014051461
    (式中、R1、R2及び*は、請求項1に定義した通りである。)
    で表される光学活性フェルネシルエナミン。
  4. 一般式(4)で表される光学活性フェルネシルエナミンの立体配置が3S−体である、請求項3記載の光学活性フェルネシルエナミン。
  5. 一般式(4)で表される光学活性フェルネシルエナミンの立体配置が3R−体である、請求項3記載の光学活性フェルネシルエナミン。
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