JP2014050972A - 画像形成装置 - Google Patents

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学 瀬尾
Takeo Tsukamoto
武雄 塚本
Yoshino Hasegawa
愛乃 長谷川
Yuma Usui
祐馬 臼井
Hideomi Sakuma
英臣 佐久間
Hiroyuki Yamashita
宏之 山下
Takahiko Matsumoto
貴彦 松本
Hisayoshi Oshima
久慶 大島
Takeshi Hihara
健 日原
Shigeo Takeuchi
重雄 竹内
Ryota Suzuki
亮太 鈴木
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Abstract

【課題】ヘッドと中間転写体等との間に電圧を印加し、ヘッドから液体が吐出され中間転写体に着液した際に液体に流れる電流に基づいて異常を検出するとともに、検出された異常に応じて適切な回復動作を行うことが可能なインクジェット方式の画像形成装置の提供。
【解決手段】電圧印加手段33の電圧印加によってヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との間をブリッジした状態の記録液に流れる電流を測定する電流測定手段と、電流測定手段によって測定された電流に基づいて画像形成装置100の画像形成性能を低下させ得る異常を検知する異常検知手段40と、異常検知手段40によって検知された異常の程度及び/又は種類に基づいて、複数の回復手段32、35、37、82Y、82M、82C、82BKから、適正な回復動作を行う少なくとも1つの回復手段を選択する選択手段40を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッドによりインク等の記録液を中間転写体に付与して画像形成を行うインクジェット方式の画像形成装置に関する。
従来より、微細なノズル口より液体を噴射する液体噴射装置、いわゆるインクジェットヘッド(以下、「ヘッド」という)を用いた技術が、インクジェットプリンタ等の画像形成装置の分野で知られている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献8〕参照)。
このような画像形成装置において、たとえば、インクジェット方式では、ピエゾ方式に代表される可動アクチュエータ方式、サーマル方式に代表される加熱膜沸騰方式等を用い、画像情報に応じてインク等の記録液を液滴化してノズルから吐出するようになっている。吐出された記録液は、紙等の記録媒体に直接付着すること、あるいは一時的に中間転写体上に保持されたうえで記録媒体に転写されることで、記録媒体に画像を形成する。
中間転写体を用いたインクジェット方式の画像形成装置(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕参照)においては、ヘッドから記録媒体に記録液を直接吐出して画像形成を行う構成と異なり、ヘッドが中間転写体に記録液を吐出する。そのため、記録媒体に付着している紙粉、異物によるノズル詰まりが大幅に抑制される。
なお、近年では、ヘッドを用いた応用開発が盛んであり、画像形成装置への応用のほかに微細な配線パターンを作製する加工装置や液晶ディスプレイのカラーフィルターをパターニングする加工装置などへの応用も広まっている。
これら各種装置において、より微細な液体をより正確に安定的に吐出することが重要課題となっている。
そのためには、
1.ノズルからの液体の吐出状態を検知する
2.ノズルと、ノズルから吐出された液体を受ける記録媒体あるいは中間転写体といったメディアとの距離(以下「ギャップ」という)を短くする
といった方策が挙げられる。
上記1.については、ノズルから液体が吐出されているか否かを検知するほか、液体の粘度を検知することが有効であることが分かっている。
液体の粘度検知の意義については以下のとおりである。
すなわち、画像形成時のシステム異常として、水系インクのように吐出する液体として揮発性溶媒を用いる際には、溶媒の蒸発によるノズル部の液体粘度上昇によって、吐出速度・体積などに乱れが生じる、いわゆる吐出不良があるためである。
上記2.については、次の理由により、ギャップを縮めることが有効である。
すなわち、ギャップを縮めると、吐出液体の飛行距離が短くなり、吐出液体の着弾位置ズレやミスト化を防止し、パターニング精度や安定性の向上を図ることが可能となる。
上記1.に関して、液体の粘度検知については、ヘッドのキャビティ内に設けられたアクチュエータによって、キャビティ内部の残留振動を検出し、その振動周波数などから液体の粘度を検出する手法が知られている(たとえば、〔特許文献4〕参照)。また、液体の粘度検知については、次の手法も知られている。すなわち、液体を噴射する噴射面と液体を受ける検出部との間に電界を与えることで、噴射した液体の移動に従って発生する静電誘導に基づき電圧変化を発せさせ、その電圧変化からインク粘度を算出する手法である(たとえば、〔特許文献5〕参照)。
また、上記1.に関して、ヘッドから板刃形状の電極に向かって吐出を行い、吐出した液体を介した通電状態に基づいてヘッドの吐出状態、具体的にはノズルから液体が吐出されているか否かを検出する検出装置が知られている(たとえば、〔特許文献6〕参照)。
これらの手法、検出装置は、ノズルからの液体の吐出不良言い換えると吐出異常の状態を間接的、直接的に検知することで、液体の吐出状態を回復させる回復動作を効率よく行うことに寄与するものである。回復動作としては、ノズル面のワイピング動作や、ヘッド内部インクへの加圧によるインク排出動作などが挙げられる。
これらの動作は、吐出不良の対策として一般的に取られているものであり、液体の粘度と異なる理由による吐出不良にも有効である。すなわちヘッド内部のキャビティもしくは流路への気泡の混入、あるいは異物や紙粉のノズル近傍への付着などが原因となって発生する吐出曲がりを含む吐出不良にも有効である。異物や紙粉のノズル近傍への付着による吐出曲がりを含む吐出不良に対しては、上述のように、中間転写体を用いることも有効である。
しかしながら、吐出不良の検知技術に関して、上記各手法では、高速かつ高精度にノズル状態を診断することに問題があると考えられる。アクチュエータからの信号や、静電誘導に基づく信号は非常に微弱であるため、検知精度が低くなりがちなためである。高精度に測定を行うためには、複数のノズルからの信号を合算する、もしくは複数の吐出状態における信号を平均化するなどの処理を行う必要があると考えられる。
また、吐出不良の検知技術に関して、上記検出装置では、液体を介した通電は静電誘導に基づく信号よりも大きな信号であり、吐出の有無の診断に好適であるが、吐出されている場合に、吐出曲がりなどのより詳しい吐出状態を検知するのが困難であると考えられるという問題がある。
上記2.に関して、上述のようにギャップが小さいほど、吐出の精度、安定性は向上されるが、ギャップが狭すぎるとヘッドとメディアとが接触しヘッドがダメージを受ける可能性がある。このため、高精度・高安定な画像形成を行うには、ギャップを縮めつつ高精度にギャップを制御・維持することが必要である。すなわち、ギャップの変動は吐出異常とはまた別のシステム異常として課題となる。
そこで、ギャップを制御・維持するために、機械的に位置決めを行いメディアの種類によってギャップを調整する方法や、記録ヘッドと記録媒体との間隔を検出する光学的あるいは磁気的な距離測定用センサーを設けギャップの検出結果によってギャップを制御する方法や、吐出した液滴が誘起する信号を元にギャップを推定する方法などが提案されている。
より具体的には、ヘッドとメディアとのギャップを光学的な距離測定用センサーによって検出する構成が知られている(たとえば、〔特許文献7〕参照)。また、ヘッドから吐出する液滴を帯電させ、液滴からの静電誘導によって生じるメディア面の電圧差を検知することで、ヘッドとメディアの距離および傾きを測定する技術が知られている(たとえば、〔特許文献8〕参照)。
かかる距離測定用センサーを用いる技術では、ヘッドとメディアのほかにセンサーが別途必要となるために装置が煩雑になるほか、距離を検出する場所がノズルの位置とずれているため誤差を含む可能性があるといった問題がある。また、ヘッドから吐出する液滴を帯電させる技術では、上述の手法と同様に静電誘導に基づく信号は非常に微弱であって検知精度が低くなりがちであるという問題がある。またこの技術では静電誘導に起因する信号は単純なものであるためギャップと吐出状態の両方を同時に検知することが困難と考えられる。
このような2.に関する各問題に対して有効であると考えられる技術が提案されている。すなわち、メディアとして中間転写体等を用い、ヘッドと中間転写体等との間に電圧を印加し、ヘッドから液体が吐出され中間転写体等に着液した際に液体に流れる電流に基づいてギャップを検知し、制御する技術である。
この技術は、メディアとして中間転写体を用いる場合、紙のような表面が荒れた記録媒体へ直接画像を形成する場合に比して、ヘッドとメディアである中間転写体とのギャップを縮めることがより容易であるという長所もある。この点においても、中間転写体を用いた画像形成装置は、高安定な画像形成装置を達成するために好適な形態である。
さらに、この技術を応用すれば、上記1.の各問題を解決し、ノズルからの液体の吐出状態の検知を詳細に行うことが可能となり得ることが本発明者らの鋭意研究によって明らかになってきた。
しかし、この技術は、あくまで、ギャップを検知し、制御するにとどまるものであり、ノズルからの液体の吐出状態の検知を詳細に行うにはさらなる創意工夫を要する。すなわち、画像形成性能を低下させ得るシステム異常として、ギャップの異常を検知するには有効であるが、吐出異常を詳細に検知するにはさらなる創意工夫を要する。
さらに、システム異常が検知された場合には、検知された異常からの回復について、たとえば異常の程度に応じて、適切な回復動作を行うことが好ましい。
本発明は、ヘッドと中間転写体等との間に電圧を印加し、ヘッドから液体が吐出され中間転写体に着液した際に液体に流れる電流に基づいて異常を検出するとともに、検出された異常に応じて適切な回復動作を行うことが可能なインクジェット方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、導電性記録液を吐出するノズルを備えたヘッドと、このヘッドにより吐出された導電性記録液を付与される、少なくとも表面の一部が導電性の中間転写体と、前記ヘッドから吐出された導電性記録液が同ヘッドと前記中間転写体との間をブリッジした状態でこの状態の導電性記録液に電流を流すために前記中間転写体と前記ヘッドとの間に電圧を印加する電圧印加手段と、この電圧印加手段によって前記中間転写体と前記ヘッドとの間に電圧が印加されたときに前記状態の導電性記録液に流れる電流を測定する電流測定手段と、この電流測定手段によって測定された前記電流に基づいて当該画像形成装置の画像形成性能を低下させ得る異常を検知する異常検知手段と、この異常検知手段によって前記異常が検知されたときに当該異常から回復するための回復動作を行う複数の回復手段と、前記異常検知手段によって検知された前記異常の程度及び/又は種類に基づいて前記複数の回復手段から前記回復動作を行うための少なくとも1つの回復手段を選択する選択手段を有する画像形成装置にある。
本発明は、導電性記録液を吐出するノズルを備えたヘッドと、このヘッドにより吐出された導電性記録液を付与される、少なくとも表面の一部が導電性の中間転写体と、前記ヘッドから吐出された導電性記録液が同ヘッドと前記中間転写体との間をブリッジした状態でこの状態の導電性記録液に電流を流すために前記中間転写体と前記ヘッドとの間に電圧を印加する電圧印加手段と、この電圧印加手段によって前記中間転写体と前記ヘッドとの間に電圧が印加されたときに前記状態の導電性記録液に流れる電流を測定する電流測定手段と、この電流測定手段によって測定された前記電流に基づいて当該画像形成装置の画像形成性能を低下させ得る異常を検知する異常検知手段と、この異常検知手段によって前記異常が検知されたときに当該異常から回復するための回復動作を行う複数の回復手段と、前記異常検知手段によって検知された前記異常の程度及び/又は種類に基づいて前記複数の回復手段から前記回復動作を行うための少なくとも1つの回復手段を選択する選択手段を有する画像形成装置にあるので、ヘッドから吐出されヘッドと中間転写体との間をブリッジした状態の導電性記録液に流れる電流に基づいて異常を検出するとともに、検出された異常に応じて適切な回復動作を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
本発明を適用した画像形成装置の一実施例にかかる概略正面図である。 図1に示した画像形成装置においてヘッドから中間転写体に記録液が付与されるときの記録液の吐出状態を模式的に示す概略図である。 図1に示した画像形成装置に備えられたヘッドにおけるノズルの配置を例示した概略平面図である。 図1に示した画像形成装置においてヘッドから吐出された記録液中の色剤がプロトンを介して凝集した状態を示す概念図である。 図1に示した画像形成装置においてカソードとアノードとの間に形成される記録液による液柱の状態を示す概念図である。 図2(a)に示した状態と図2(b)に示した状態との間の状態を連続的に模式的に示した概略図である。 図2(b)に示した状態と図2(c)に示した状態との間の状態を連続的に模式的に示した概略図である。 パルス状の駆動信号によってヘッドから吐出された液体に流れる電流値の典型的な時間推移を示した概略図である。 通電特徴量を取得するための液体の物性値の調整例を示したチャートである。 図9に示した液体を用いて測定した電流値に基づいて取得される通電特徴量の傾向を示したグラフである。 図9に示した液体を用いて取得された他の通電特徴量の傾向を示したグラフである。 通電特徴量によってヘッドと中間転写体との間の距離が測定されることを説明するためのグラフである。 ヘッドと中間転写体との間をブリッジした記録液に流れる電流の波形が、吐出異常を生じているか否かで異なることを示したグラフである。 図1に示した画像形成装置においてギャップ異常、粘度異常を検知し、検知された異常から回復するための制御の例の概略を示したフローチャートである。 図1に示した画像形成装置において、ヘッド、転写手段が中間転写体に対して駆動される様子を示した概略図である。 図14に示した制御においてノズルから記録液を強制的に排出させる回復動作における工程の一部の概略を示した概念図である。 図16に示した工程に続いて行われる工程の概略を示した概念図である。 図1に示した画像形成装置において吐出異常を検知し、検知された吐出異常から回復するための制御の例の概略を示したフローチャートである。 図18に示した制御においてノズル面をクリーニングする回復動作における工程の概略を示した概念図である。 ノズル面をクリーニングする他の機構の概略を示した概念図である。 本発明を適用した画像形成装置の他の実施例にかかる概略正面図である。 本発明を適用した画像形成装置のまた他の実施例にかかる概略正面図である。 本発明を適用した画像形成装置のさらに他の実施例にかかる概略正面図である。
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、インクジェットプリンタとしてのプリンタであってフルカラーの画像形成を行うことが可能となっている。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。
画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体としてこれに画像形成を行なうことが可能である。画像形成装置100は、記録媒体である記録用紙としての被記録材である転写紙Sの片面に画像形成可能な片面画像形成装置であるが、転写紙Sの両面に画像形成可能な両面画像形成装置であってもよい。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な、当該色のインクとしての導電性記録液である記録液を吐出するヘッド61Y、61M、61C、61BKを有している。ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、かかる液体である記録液を吐出する記録液吐出体としての記録ヘッドであるインクジェットヘッドとして機能する。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、画像形成装置100の本体99の略中央部に配設された中間転写ドラムである中間転写ローラとしての中間転写体37の外周面に対向する位置に配設されている。ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、中間転写体37の移動方向であって図1において時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。同図において各符号の数字の後に付されたY、M、C、BKは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成するための画像形成手段としての記録液吐出装置であるインク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられている。なお、図3(a)に示して後述するように、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、図1の紙面に垂直な方向に複数が並設された態様で、インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKに備えられている。
中間転写体37は、A1方向に回転している状態で、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向する領域で、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKからイエロー、マゼンタ、シアン、黒の記録液が順次重ね合わされる態様で吐出されて付与される。このように記録液を受容することにより、中間転写体37は、その表面上に画像が形成される。このように、画像形成装置100は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37に対向させA1方向に並設したタンデム構造となっている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKによる中間転写体37に対する記録液の吐出すなわち付与は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像領域が中間転写体37上の同じ位置に重なるように行われる。そのため、ヘッド61Y、61M、61C、61BKによる中間転写体37に対する記録液の付与は、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
画像形成装置100は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKをそれぞれ備えたインク吐出装置60Y、60M、60C、60BKを有している。
画像形成装置100はまた、中間転写体37を備え中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写紙Sを搬送する用紙搬送ユニットとしての搬送ユニット10を有している。
画像形成装置100はまた、転写紙Sを多数枚積載可能であり積載した転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する紙搬送装置としての給紙ユニット20を有している。
画像形成装置100はまた、搬送ユニット10によって搬送されてきた画像形成済み言い換えるとプリント済みの転写紙Sを多数積載可能な排紙台25を有している。
画像形成装置100はまた、記録液等が転写紙Sに転写された後の中間転写体37から、中間転写体37上に残留している残インクである記録液等を除去してクリーニングするためのクリーニング手段としてのクリーニング装置である清掃手段34を有している。
画像形成装置100はまた、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを一体に支持したヘッド支持体としてのキャリッジ50を有している。
画像形成装置100はまた、キャリッジ50を同図に示されている位置とこの位置から中間転写体37に近づけた位置との間で変位させることでヘッド61Y、61M、61C、61BKを移動させるヘッド移動機構としての駆動部35を有している。
画像形成装置100はまた、ヘッド61Y、61M、61C、61BKから吐出された記録液に電圧を印加するための電圧印加手段としての通電手段33を有している。
画像形成装置100はまた、使用環境の温度及び湿度を検知する環境センサを有している。
画像形成装置100はまた、画像形成装置100に対する各種入力が可能である入力装置として機能するとともに、画像形成装置100の状態を表示することが可能な表示装置として機能する液晶パネル41を有している。
画像形成装置100はまた、画像形成装置100の動作全般を制御するCPU、メモリ等を含む制御手段としての制御装置である制御部40を有している。
搬送ユニット10は、中間転写体37の他に、中間転写体37に対向して配置され中間転写体37との間の領域である転写部31を転写紙Sが通過するときに中間転写体37上に担持された記録液による画像をその転写紙Sに転写する転写手段64を有している。
搬送ユニット10はまた、給紙ユニット20から給送されてきた転写紙Sを転写部31に案内するとともに、転写部31を通過した転写紙Sを排紙台25に案内するガイド板39を有している。
搬送ユニット10はまた、中間転写体37をA1方向に回転駆動する駆動手段としての中間転写体回転駆動モータであるモータ32等を有している。
このように、画像形成装置100は、転写紙Sへの画像形成を中間転写体37を用いて間接的に行う間接方式の画像形成装置となっている。
転写手段64は、中間転写体37に従動回転する転写ローラ38と、転写ローラ38を中間転写体37に圧接し転写ローラ38を加圧ローラとして機能させる加圧手段としての図示しないばねとを有している。
転写手段64はまた、このばねの付勢力に抗して転写ローラ38を中間転写体37から離間させる離間手段としての離間部36を有している。
このように、転写手段64は、中間転写体37と転写ローラ38との間において転写紙Sを加圧搬送し、中間転写体37に付与された記録液を転写紙Sの紙面上に押圧転写して、かかる紙面上に画像を形成するようになっている。
図2に示すように、中間転写体37は、導電性基体であるアルミニウム製の支持体37aと、支持体37a上に形成された導電性シリコーンゴム製の導電性ゴム層である表面層37bとを有し、導電性ローラとなっている。
支持体37aの材質はアルミニウムに限られるものではなく、良導電性で機械的強度がある必要がある。よって、支持体37aは、たとえばアルミ合金、銅、ステンレス等の金属、合金によって形成しても良い。
表面層37bの材質はシリコーンゴムに限られるものではなく、導電性が高いとともに記録液の剥離性、ここでは撥水性が高く、平滑な弾性材料で形成すればよい。記録液の剥離性の確保のためには表面エネルギーが低く転写紙Sへの追随性が高い弾性材料である必要がある。
表面層37bの材料としては、たとえばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム材料にカーボンブラックやカーボンナノチューブ、金や銀などの金属微粒子を混入させた導電性ゴムが挙げられる。このように、表面層37bは、導電性ゴムとされ、導電層となっている。ただし、導電性微粒子を増やすと導電性は向上するが、離型性が低下するトレードオフの関係であるので、適宜、調整が必要である。
表面層37bは、撥水性を上げるためシリコンオイルを含浸させたものでも構わないし、単層構造、多層構造のどちらでも構わない。
後述するように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37とが、これらを一時的にブリッジした記録液による液柱に所望の電位差を形成するには、導電性ゴムの体積抵抗率は10Ω・cm未満であることが好ましい。同じ理由により、導電性ゴムの体積抵抗率は、記録液の体積抵抗率よりも小さいことが望ましい。
中間転写体37の、記録液を付与され担持する部分すなわち表面は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKの、中間転写体37に対向する表面であるノズル面61dよりも後退接触角が小さいことが望ましい。後退接触角は、濡れ性を示す特性である。一般的に濡れ性というと、静的接触角や表面張力など、基材、ここでは中間転写体37又はノズル面61dと、液、ここでは記録液の親和性をみるが、動的接触角のうち後退接触角はかかる親和性の他に液の粘性による影響が加わった値として測定されるものである。
これを画像形成装置100にあてはめてみると、後退接触角が大きい部材からは記録液が良く離型され、後退接触角が小さい部材へは記録液がより吸着する事が確認された。離型性がとくによい条件としては、ノズル面61dの後退接触角が純水に対して60°以上、望ましくは75°以上、中間転写体37表面の後退接触角が70°未満、更に望ましくは60°以下であるときであった。中間転写体37表面の材質を、ノズル面61dよりも後退接触角の小さい材質として濡れ性を高くすることにより、ノズル面61d上に付着したインクミストに代表される液体成分である記録液を効率的に除去することが可能となる。
また、中間転写体37の表面は、ノズル面61dよりもタック性が高いことが望ましい。タック性は、べたつき感を示す特性であり、その値であるタック値が大きいほどべたつき感が高い。ノズル面61d上の記録液の乾燥物すなわちインク乾燥体等の高粘度成分や埃、紙粉といった固形物を、中間転写体37上の記録液によりノズル面61dから効率よく除去するためには、後退接触角よりもタック性が重要となる。中間転写体37表面の材質を、ノズル面61dよりもタック性の高い材質とすることにより、効率的に固形物をノズル面61dから中間転写体37へ移動させることが可能となり、より安定性の高い画像形成が可能となる。
なお、後退接触角は、自動接触角計DM500(協和界面科学社製)及び解析ソフトウェアFAMAS(協和界面科学社製)を用いて、23℃で測定した。また、タック値は、引っ張り試験機(レスカ社製)を用いて、直径が5mmの円柱形状のステンレスプローブを圧縮荷重200gfで1秒間押し付けた後、120mm/分で引き抜き、引き抜き時にかかる応力である。さらに、硬度は、JIS−A硬度計を用いて測定された値である。
表面層37bの厚みは0.1〜1mm程度がよく、0.2〜0.6mmが好適である。また、中間転写体37は、ドラム状でなく、後述するような無端ベルト状、その他可能であればシート状であっても良い。
モータ32は、中間転写体37の駆動速度すなわち回転速度を可変である。モータ32による中間転写体37の回転速度は、制御部40によって制御され、設定される。この点、モータ32は、駆動制御機構として機能し、制御部40は、駆動速度制御手段として機能する。
図1に示すように、給紙ユニット20は、転写紙Sを多数枚積載可能な給紙トレイ21と、給紙トレイ21に積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sのみを搬送ユニット10に向けて給送する給紙ローラ22とを有している。
給紙ユニット20はまた、給紙トレイ21及び給紙ローラ22を支持した筐体23を有している。
給紙ユニット20はまた、給紙ローラ22を、ヘッド61Y、61M、61C、61BKにおける記録液の吐出タイミングに合わせるように回転駆動し転写紙Sを給送させる図示しない駆動手段としてのモータ等を有している。
清掃手段34は、図示を省略するが、中間転写体37上に形成された画像を構成する記録液のうち転写紙Sに転写されなかった記録液を残インクとして中間転写体37表面から掻き落とす、清掃部材としてのクリーニングブレードを有している。
清掃手段34はまた、クリーニングブレードを中間転写体37に押し当てる押し当て手段と、クリーニングブレードによって中間転写体37表面から掻き落とされた記録液や埃等の異物を収集するための廃液ボトルとを有している。
クリーニングブレードは、中間転写体37に対していわゆるカウンター当接の態様で当接している。クリーニングブレードは、弾性体としてのゴムによって形成されたゴムブレードである。クリーニングブレードの材質は、シリコーンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、EPDM、エラストマーなどの弾性材料のほか、ステンレス、アルミなど金属、非鉄材料としても良い。
清掃手段34はクリーニングブレードとともに、清掃部材としてのクリーニングローラを備えていてもよい。
清掃手段34は、このような構成により中間転写体37をクリーニングする中間転写体クリーニング手段である。
キャリッジ50は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKに劣化等が生じたときにこれらが新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。キャリッジ50は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと一体で、本体99に対して着脱可能となっている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKもそれぞれ、劣化等が生じたときに新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、独立して本体99に対して着脱可能となっている。
これらによって、交換作業、メンテナンス作業が容易化されている。
駆動部35は、図1における左右方向に延び、キャリッジ50を支持した軸35aを有している。
駆動部35は、図示を省略するが、軸35aを図1における上下方向であるX方向に移動させる図示しない第1の駆動手段である第1アクチュエータと、軸35aをその中心軸周りに回転させる図示しない第2の駆動手段である第2アクチュエータとを有している。
第1アクチュエータは、軸35aを介して、キャリッジ50を、ノズル面61dに垂直な方向であるX方向に駆動する。これにより、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、X方向に移動し、図1に示されているように中間転写体37から離間させた位置と中間転写体37に当接させた位置との間で変位する。よって、ヘッド移動機構である駆動部35は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37とを接離、すなわち互いに近接あるいは離間させる接離手段として機能する。なお、中間転写体37の表面が円弧状であるため、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37とが接離するX方向は、厳密には、ノズル面61dに垂直な方向と一致しない。中間転写体37の表面が平面状である場合(たとえば、図21、図22を参照)に、X方向は、理想的に、ノズル面61dに垂直な方向と一致する。
第2アクチュエータは、軸35aを介して、キャリッジ50を、軸35aの中心軸周りに駆動する。これにより、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、軸35aの中心軸周りに回動し、図1の紙面に垂直な中間転写体37の回転中心軸に対する傾きが変化する。よって、ヘッド移動機構である駆動部35は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との傾斜状態を変化させる傾斜手段として機能する。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、用いる記録液の色が異なるものの、その余の点では互いに略同様の構成となっている。インク吐出装置60Y、60M、60C、60BK、画像形成装置100はヘッド固定式のフルライン型となっている。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKは、複数のヘッド61Y、61M、61C、61BKに供給される当該色の記録液を収容したメインタンクとしての記録液カートリッジであるインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKを有している。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKはまた、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK内に収容された記録液を各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに向けて圧送し給送するポンプ82Y、82M、82C、82BKを有している。
インク吐出装置60Y、60M、60C、60BKはまた、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKとヘッド61Y、61M、61C、61BKとの間の記録液の給送路を形成している図示しないパイプを有している。
ポンプ82Y、82M、82C、82BKは、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK内に収容された記録液を圧送することで各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに向けて送液する。
このように、ポンプ82Y、82M、82C、82BKは、ヘッド61Y、61M、61C、61BK内に記録液を送り込むタイプであって、チュービングポンプである。ただし、ポンプ82Y、82M、82C、82BKは、ピストンポンプであってもよいし、ヘッド61Y、61M、61C、61BKから記録液を吸引するタイプであっても良い。
ポンプ82Y、82M、82C、82BKは、制御部40によって作動を制御される。この点、制御部40は記録液供給制御手段であるインク供給制御手段として機能する。制御部40は、画像形成装置100において駆動される構成については、特に説明しない場合であっても、その駆動を制御するようになっている。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、内部の記録液が消費されるにつれてしぼむことが可能なように比較的やわらかいプラスチック素材で形成された袋状のインクパックとなっている。ただし、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、比較適剛性の高いプラスチック素材で形成されていてもよい。
インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKは、内部の記録液が消費されて残り少なくなったときあるいはなくなったとき等に新規のものに交換可能であるように、またメンテナンスを容易にするために、本体99に対して着脱可能となっている。
パイプは、インクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKとヘッド61Y、61M、61C、61BKとの間の記録液の給送路をポンプ82Y、82M、82C、82BKとともに形成している。
記録液は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応した色剤と、この色剤の分散剤であるアニオン性分散剤と、溶媒とを少なくとも含んでいる。かかる色剤とかかる分散剤とにより、記録液のインク成分はアニオン性基を有している。溶媒は安全性の観点及び後述する電気分解を生じせしめるための導電性の観点から水を含んでおり、記録液は導電性インクであり水溶性インクである水溶性記録液となっている。なお、記録液は、保存安定性の観点から、アルカリ性であることが望ましい。
記録液に用いられる色剤である顔料としては、特に限定されないが、オレンジ又はイエロー用の顔料として、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
また、レッド又はマゼンタ用の顔料として、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
また、グリーン又はシアン用の顔料として、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料として、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
記録液中の顔料の含有量は、通常、0.1〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。
アニオン性分散剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
記録液は、転写性の点から、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等が塩基を用いて中和されたアニオン性基を有する樹脂をさらに含むことが好ましい。
記録液は、水に可溶な溶媒をさらに含んでもよい。水に可溶な溶媒としては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール誘導体;ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒;炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンが挙げられ、二種以上併用してもよい。
たとえば、ブラック用の記録液すなわちブラックインクは、次のような組成とされている。固形分が20質量%のスルホン酸基結合型カーボンブラック顔料分散液CAB−O−JET−200(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)35.0質量%、2−ピロリドン10.0質量%、グリセリン14.0質量%、プロピレングリコールモノブチルエーテル0.9質量%、デヒドロ酢酸ソーダ0.1質量%及び蒸留水(残余)。
図2に示すように、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、同図において下方を向く記録液吐出側に配設された導電性のノズル部材であるノズルプレートとしてのノズル板61aを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKはまた、ノズル板61aに形成され、記録液が通過し、記録液を液滴として吐出するノズル61bを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKはまた、ポンプ82Y、82M、82C、82BKによってインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BKから記録液を供給され記録液を充填され記録液を保持する液室であるインク室61cを有している。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKはまた、インク室61c内の記録液をノズル61bから吐出させる図示しないインク吐出手段とを有している。
ノズル板61a、ノズル61b、インク室61c、インク吐出手段はこれらが1組となって、それぞれ各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに多数備えられているが、同図においてはそのうちの1組のみを図示している。
ノズル板61aは、詳細な図示を省略するが、導電性の基板と、この基板の、中間転写体37に対向する側の面に形成された撥水膜とを有している。ノズル板61aの下面がノズル面61dになっている。撥水膜は、フッ素系撥水剤やシリコン系撥水剤などを塗布して形成しても良いし、フッ素系高分子やフッ素―金属化合物共析などをメッキして形成しても良く、撥水性がある膜なら特に限定されない。ノズル板61aは、インク室61c側の面をインク室61c内の記録液との界面を形成する界面形成部として備えており、後述するようにカソードとして機能する。
ノズル板61aは、全体が導電性であっても良いし、インク室61c側の面のみを導電処理された部材であっても良いし、インク室61c側に配設された導電性部材と中間転写体37側に配設された絶縁性部材とによって構成しても良い。
ノズル板61aの導電性の部分は、後述するようにカソードとして備えられるため、金属溶出に対して耐性を有する材質によって構成する必要はなく、SUS合金、ニッケル等の金属、カーボンなど導電性の高い材料によって構成されればよい。
本形態のノズル板61aは金属製であり、このようなノズル板を備えたヘッドとしては、市販インクジェットプリンタGX5000:リコー製が挙げられる。
ノズル板61aは、画像形成時において中間転写体37とのギャップが20〜500μmの間で設定される。かかるギャップが20μm未満であると、回転体である中間転写体37とノズル板61aとのギャップを維持することが困難になることがあり、またかかるギャップが500μmを超えると、後述する液注のブリッジが形成されにくくなることがあるためである。ただし、後述のように、ギャップは短いほどよく、ギャップの維持さえ可能なら20μm未満でも特に問題はない。
ノズル板61aは、ノズル61bを備えたノズル部となっており、とくに、中間転写体37に対向した表面であるノズル面61dがノズル部となっている。
インク吐出手段は、各ノズル61bから記録液を液滴化して吐出させ中間転写体37に着弾させるための液体吐出手段として、インク室61c内の記録液に圧力印加を行う圧力印加手段であるアクチュエータとしての圧電素子を有している。
圧電素子は、制御部40によって実現されたヘッド駆動手段としてのヘッド駆動回路によって駆動される。ヘッド駆動回路は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKから記録液を吐出させるための吐出信号である駆動信号を生成する駆動信号生成手段として機能するものである。駆動信号は、形成すべき画像などに応じた所定の駆動波形であるヘッド駆動波形言い換えると信号波形の電圧パルスとして生成される。このように、ヘッド駆動回路として機能する制御部40は、必要に応じて、随意に記録液の吐出のオン・オフを制御する駆動信号を生成可能となっている。生成された駆動信号は圧電素子に入力される。
よって、制御部40による制御によって圧電素子に印加される電圧パルスに応じて、ノズル61bから記録液が所望の画像パターンに対応して中間転写体37上に吐出されるようになっている。したがって制御部40は、複数のノズル61bのうちの自由な組み合わせで記録液を吐出させるように、記録液を吐出させるべきノズル61bに対応した圧電素子を駆動し、記録液の吐出を制御することが可能である。この点、ヘッド駆動手段として機能する制御部40は、インク吐出制御手段として機能する。
インク吐出制御手段として機能する制御部40は、すでに述べたように、かかる圧電素子を駆動するための電圧パルスを所定の信号波形でかかる圧電素子のそれぞれに入力し、かかる圧電素子を駆動する駆動回路となっている。インク吐出制御手段として機能する制御部40は、各ノズル61bから吐出された記録液により、任意のパターンすなわち画像を形成するように、各圧電素子を時系列に駆動する。この点、制御部40は、画像制御装置として機能する。インク室61c内の圧力はノズル61bから記録液が吐出、排出されるとき以外は負圧に保たれるようになっている。
インク吐出手段のアクチュエータはピエゾ方式等の、形状変形素子方式である他の方式の可動アクチュエータであってもよい。またかかるアクチュエータは、サーマル方式等の加熱ヒータ方式を採用した加熱手段による記録液の膜沸騰によってノズル61bから記録液を吐出させるものであっても良いし、電圧印加手段による静電引力によって記録液吐出するものであっても良い。このように、かかるアクチュエータは、あらゆる方法で記録液を吐出するものを採用可能である。
すでに述べたように、画像形成装置100はヘッド固定式のフルライン型となっている。図3に、ヘッド61Y、61M、61C、61BKの構成態様を例示する。
同図(a)に示すように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、複数のノズル板61aを有している。各ノズル板61aは、多数のノズル61bを同図左右方向に対応する主走査方向に沿ってライン状に有している。また、各ノズル板61aは、ライン状に配列された多数のノズル61bによって構成されたノズル列を副走査方向すなわち主走査方向に直交する同図上下方向に対応する方向に沿って2列備えている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、このような複数のノズル板61aを千鳥状に複数並設されており、これによってフルライン型のインクジェットヘッドとなっている。このように千鳥状に複数個配置されたヘッドモジュールの数は本形態では10個となっていが、これに限られるものではない。
このようにしてラインヘッドとして構成されたヘッド61Y、61M、61C、61BKの、主走査方向における幅は、A3縦サイズに対応している。言い換えると、ヘッド61Y、61M、61C、61BKにおいて、ノズル61bによって形成されているノズル列の主走査方向における全幅が、A3縦サイズの画像形成領域幅に対応している。
画像形成装置100のように中間転写体を備えたインクジェット方式の画像形成装置は、特に高速の画像形成を行うタイプの画像形成装置である。ヘッド61Y、61M、61C、61BKはこのようにラインヘッドであるため、画像形成装置100における画像形成の高速化を可能としている。
ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、同図(b)に示すように、同図(a)に示した各ノズル板61aよりも大きなノズル板61aを1つ備え、これによってフルライン型のインクジェットヘッドとなっていてもよい。この場合、ノズル板61aの、主走査方向における幅は、A3縦サイズに対応する。同図(b)に示すノズル板61aも、同図(a)に示したのと同様の態様でノズル61bを備えている。
同図(a)、(b)のいずれにおいても、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、ノズル61bを2次元状に備えたライン型ヘッドとなっている。ただし、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、ノズル61bを主走査方向に複数備えた1次元状のライン型ヘッドであっても良い。なお、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは、本形態のように固定式、言い換えると主走査方向に駆動されないタイプでなく、画像形成領域幅に対して往復運動を行うことで画像形成を行うシャトル方式に対応した構成であっても良い。この場合にはヘッド61Y、61M、61C、61BKが小型のヘッド構成となる。
通電手段33は、中間転写体37とヘッド61Y、61M、61C、61BKとの間に電位差が形成されるように電圧印加を行う。この電圧印加は、少なくとも次のタイミングで行われる。すなわち、少なくとも、図2(b)に示すようにヘッド61Y、61M、61C、61BKから吐出された直後の記録液による液柱が、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との間を一時的にブリッジした状態となるタイミングで行われる。この電圧印加により、通電手段33は、かかる液柱の状態の記録液の内部に電極酸化反応もしくは電極還元反応に起因する電流成分を含んだ通電を行いかかる状態の記録液に含まれている色剤の凝集を促進する。
通電手段33は、支持体37aとノズル板61aとの間に接続された電源33aを有している。
通電手段33はまた、電源33aによる電圧印加によって支持体37aとノズル板61aとの間に流れる電流を検知して制御部40に入力する電流検知手段としての電流計33bを有している。
通電手段33はまた、制御部40の機能の一部として実現され電源33aによる電圧の印加タイミング、印加時間を制御する電圧印加制御手段を有している。電圧印加制御手段としての制御部40は、電源33aの電圧を変更する電圧変更手段としても機能する。
電源33aは、電気回路により、陽極を支持体37aに接続され、陰極をノズル板61aに接続されている。よって、通電手段33は、中間転写体37をアノードとして備え、ノズル板61aをカソードとして備えている。
電源33aは、ヘッド61Y、61M、61C、61BKに接続されインク室61cに保持された記録液と中間転写体37との間に電圧を印加し、後述する液柱状の記録液に電流を流すことを可能とするものであれば良い。よって、電源33aは、ノズル板61aでなく、たとえばインク室61c内、あるいはインクカートリッジ81Y、81M、81C、81BK内において記録液に接触するように配置された電極に接続されていても良い。
電流計33bは、図示を省略するが、電源33aに直列に接続された抵抗部としての既知の抵抗と、この抵抗による電圧降下量を測定するための電圧計とを有しており、電圧計の測定値を制御部40に入力するようになっている。電流計33bは、より好ましくは、オペアンプを備え、これを利用して高感度に電流を測定する。
制御部40は、電圧計からの入力値に基づいて、ノズル板61aと中間転写体37との間に流れる電流を測定する処理回路を内蔵している。
通電手段33は、後述する異常検知時においても電圧印加手段として機能するようになっている。
このような構成の画像形成装置100においては、画像形成開始の旨の所定の信号の入力により、中間転写体37が各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向しながらA1方向に回転する。中間転写体37が各ヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向しながらA1方向に回転している状態で、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKから、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の記録液が吐出される。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKからの各色の記録液の吐出は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像領域が中間転写体37の同位置に重なるよう、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして順次重ね合わされる態様で行われる。これにより、中間転写体37上に一時的に画像が担持される。
このように、中間転写体37は、ノズル61bから吐出され付与された記録液によって形成される像を担持する像担持体として機能する。
各ヘッド61Y、61M、61C、61BKからの各色の記録液が吐出されるとき、電圧印加制御手段としての制御部40により、通電手段33が駆動され、電源33aから支持体37aとノズル板61aとの間に電圧が印加されている。この電圧印加状態は以降のプロセスにおいて画像形成が終了するまで常時維持される。
この状態で、記録液が、各ヘッド61Y、61M、61C、61BKから中間転写体37上に付与される。このときには、まず、ヘッド61Y、61M、61C、61BKから、図2(a)に示すように、初期状態でノズル61bにおいてメニスカスを形成している記録液が、電圧パルスの印加により、図2(b)に示すように、中間転写体37に向けて移動する。これにより、ノズル61bと中間転写体37との間に、記録液からなる液柱のブリッジが一時的に形成される。次いで、図2(c)に示すように、記録液からなる液柱のブリッジが分断されることによって中間転写体37に担持され、中間転写体37上に記録液による画像が形成される。
そして、図2(b)に示した、記録液からなる液注のブリッジが形成された状態では、通電手段33により、記録液中の色剤成分が凝集作用を受ける。具体的には、通電手段33の電圧印加により、カソードであるノズル板61aとアノードである中間転写体37とにはそれぞれ次の電極反応が生じ、記録液の液柱のブリッジに含まれる水が電気分解される。
カソード:4HO+4e→2H+4OH・・・反応式(1)
アノード:2HO→4H+O+4e・・・反応式(2)
反応式(1)によると、カソードとして機能するノズル面61d側では水酸化物イオンが生成して、結果、アルカリ性を示す。記録液の色剤がアニオン性顔料であるため、かかるアルカリ条件で高い分散性を示し、ノズル面61dに付着した記録媒体が溶解しやすくなる。
また反応式(2)によると、アノードとして機能する中間転写体37の表面で、記録液の液柱のブリッジに含まれる水が酸化して水素イオンであるプロトン(H+)が生成して、結果、酸性を示す。
そのため、図4に示すように、アニオン性分散剤Dにより分散されている顔料Pが、プロトンを介して凝集する。すなわち、記録液の色剤がアニオン性顔料であるため、水素イオンのプラス電荷とアニオン系顔料のマイナス電荷とが打ち消しあい、静電反発が減少して凝集・増粘・固化といった現象が起こる。この現象は、対向電極である中間転写体37の近傍、特に電極界面である中間転写体37表面で起こる。
これにより、隣接するドット間の滲みの発生が抑制され、高精細な画像が形成される。また、かかる電圧印加によりノズル61bの目詰まりが予防されるという利点もある。なお、かかるブリッジを形成する時間は、圧電素子に印加される電磁パルスのピーク電圧とパルス幅等により制御可能である。
ここで、図5を用いて、カソード及びアノードの間に形成される液柱のブリッジについて説明する。液柱のブリッジBの内部では、カチオン及びアニオンは、それぞれカソードC及びアノードAの近傍に移動する。その結果、カソードC及びアノードAの表面に、それぞれ電気二重層E及びEが形成されるが、電気二重層E及びEの充電速度は、液柱のブリッジBの導電率、記録液に含まれるイオンの濃度でほぼ決定される。
このとき、電気二重層Eの電圧が数Vに達すると、水が電気分解してファラデー電流が流れる。その結果、アノードAの表面では、水が酸化してプロトンが生成し、アニオン性分散剤により分散されている顔料が凝集する。
すなわち、かかるブリッジが形成された瞬間に、ブリッジに、顔料の凝集作用をもたらすイオンが効率よく生成することで、記録液の中間転写体37への着液と同時に顔料の凝集が行われる。その結果、隣接する記録液ドット間における顔料の滲みが発生せず、非常に高精細な溶質画像が形成される。
このように、通電手段33は、液柱のブリッジBを形成している記録液を電気分解するための、中間転写体37と、ヘッド61Y、61M、61C、61BK、具体的にはノズル板61aとの間の電圧印加を行なうための構成となっている。
液柱のブリッジBが形成されてから分断されるまでの時間は、通常、数マイクロ秒〜数十マイクロ秒であり、記録液の導電率は、通常、数十mS/m〜数百mS/mである。このため、中間転写体37に記録液による画像を形成するためには、通電手段33による印加電圧は、水の理論分解電圧である1.23Vや一般的な水の電気分解の条件である数V〜十数Vでは不十分であり、数十V〜数百Vであることが好ましい。
液柱のブリッジBが形成されている状態は、高速度カメラによって観察することが可能である。この観察により、インク吐出制御手段として機能する制御部40によりインク吐出手段の圧電素子に電圧パルスを入力してから、ノズル61bから記録液が吐出されるタイミングが、各ノズル61bについて、μsec単位で計測することが可能である。また、記録液が吐出されてから中間転写体37との間でブリッジBが形成されるまでのタイミング、ブリッジの継続時間も、各ノズル61bについて、μsec単位で計測することが可能である。
なお、反応式(1)、(2)に加えて、電極自身の酸化還元反応も同時に起こる。どのような反応が起きるかは、電極材料、電極電位、及び記録液のpHによるが、電位−pH状態図(Pourbaix Diagram)を参照すれば容易に類推される。
図2(a)に示した状態から同図(b)に示した状態に移行するまでの間、同図(b)に示した状態から同図(c)に示した状態に移行するまでの間には、それぞれ、図6(a)ないし(c)、図7(a)ないし(c)の状態を経る。
たとえば、図6(a)に示されている状態では、液柱が形成されつつあり、荷電した液柱先端の移動に伴い、ノズル板61aと中間転写体37との間に極微量な誘導電流が流れるが、この電流は非常に微弱なものであり、電流計33bでは検出できない程度のものである。
同図(b)に示されている状態では、液柱先端が中間転写体37表面に着液し、ブリッジ状の液柱を形成している。液柱先端の中間転写体37表面への着液と同時に大きな電流が流れ始め、電流計33bによって電流値が測定される。
図7(b)は、液柱がノズル面61d近傍で分断された状態を示している。液柱が細くなることによって液柱の抵抗が増加し通電電流量が低下して、最終的に液柱が分断されることによって通電電流は停止する。
中間転写体37上に担持された画像の先端が転写部31に到達するタイミングに合わせて、給紙ユニット20から給送された一枚の転写紙Sが転写部31に供給される。そうすると、転写ローラ38が連れ回りしながら、転写部31を通過する転写紙Sに、中間転写体37上に担持されている画像が転写され、転写紙Sの表面に画像が形成される。画像が形成された転写紙Sは、排紙台25に案内され排紙台25上に積載される。
このようにして画像が転写紙Sに転写されるときには、凝集成分を含む記録液が転写紙Sに転写される。したがって、上述の凝集作用により凝集した色剤によって画像が形成されることにより、転写紙Sが普通紙である場合であっても、フェザリングやブリーディングを防止ないし抑制しつつ、高速で高画像濃度、高画質の画像形成が可能である。
また、高速の画像形成を行うには、記録液を速乾性とすることを要するため、記録液は転写紙Sへの吸収性が一般に高いが、この場合には記録液が転写紙Sの奥深くまで浸透し、いわゆる裏移りを生じ、両面画像形成に不向きとなる。しかし、かかる凝集作用により記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されるためかかる裏移りが防止ないし抑制され、両面画像形成にも適している。
さらにまた、記録液の転写紙Sへの吸収性が低減されることにより、転写紙Sのコックリングやカールなどの変形も抑制ないし防止される。またこれによって画像を担持した転写紙Sの搬送性が向上し、ジャムが防止ないし抑制されるなど、転写紙Sの取り扱いが容易化する。
転写部31における転写により、転写部31を通過した中間転写体37上には、記録液に起因する成分はほとんど残っていないが、中間転写体37は清掃手段34によるクリーニングを受けることで、記録液のオフセットが高度に防止ないし抑制される。よって、繰り返し画像形成を行っても、オフセットによる地肌汚れが防止ないし抑制され、画像劣化、中間転写体37の劣化が抑制ないし防止されて、経時的に良好な画像形成を行うことが可能である。
以上のような画像形成動作を行う際あるいは非画像形成時である待機時には、記録液の飛散等によるインクミスト等により、図19(a)に示すように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKの、ノズル板61aのノズル面61dに、記録液が付着することがある。ノズル面61dに付着した記録液は、雰囲気中の埃、紙粉等の異物を吸着する場合がある。その他、ノズル面61dには埃、紙粉等の異物が直接付着し得る。ノズル面61dに付着した記録液、異物による汚れが、とくにノズル61bの周辺において、進行すると、ノズル61bから吐出される記録液の曲がり、記録液の吐出速度の低下を生じる。これらは精密な画像形成に対する悪影響の原因となり、またかかる汚れがノズル61bに付着するとノズル61bの詰まりによる画像形成不良等の原因となり、画像形成に悪影響を及ぼすことがある。
また、記録液中の水分の蒸発等によって、ノズル61b内あるいはインク室61c内のノズル61bの周辺の記録液が増粘した場合にも、記録液の吐出曲がり、吐出速度低下により、同様の現象が生じ得る。増粘が進んで凝集物が生じた場合や、ノズル61b内に気泡が生じた場合、ノズル61b内に異物が混入した場合にも、記録液の吐出曲がり、吐出速度低下により、同様の現象が生じ得る。
さらに、ノズル61bと中間転写体37の表面との距離すなわちギャップは、次の理由で、短いほうが好ましいが、ギャップが狭すぎると、ノズル面61dと中間転写体37とが接触する。この接触が生ずると、ノズル面61dをはじめとしてヘッド61Y、61M、61C、61BKがダメージを受ける可能性がある。このため、高精度・高安定な画像形成を行うには、ギャップを縮めつつ高精度に適正範囲に維持することが重要である。
ギャップが短いほうが好ましいのは、ギャップが短いとノズル61bから吐出された記録液の飛翔距離が短くなり、中間転写体37の表面における着弾位置が高い精度で安定するとともに記録液のミスト化が生じにくくなるためである。
そこで、画像形成装置100では、システム異常、すなわち画像形成性能を低下させ得る異常として、
1.ギャップ異常
2.記録液の粘度異常
3.吐出異常
を検出するようになっている。
ギャップ異常については、ギャップすなわちヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の表面との距離の適正範囲を50μm以上300μm以下とし、この範囲外を距離異常であるギャップ異常として検出する。なお、かかる適正範囲は、すでに述べた数値範囲、すなわち20μm以上500μm以下であってもよい。
ギャップ異常は、主走査方向におけるヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の表面との相対的な傾き異常を含む。主走査方向における一端側のギャップと他端側のギャップとが異なると、中間転写体37の表面における記録液の着弾位置がずれるためである。
粘度異常については、記録液の粘度が所定の粘度を超える範囲に上昇したことを粘度異常として検出する。
吐出異常については、ノズル61bからの記録液の不吐出の他、適正な方向と異なる方向に吐出が行われる吐出曲がりなどの吐出不良を吐出異常として検出する。
これらの異常検知は、電流計33bにより、ノズル61bと中間転写体37との間をブリッジした液柱状の記録液に流れる電流を測定することによって行う。この電流の測定によって各異常検知が行われる理由については後述する。
吐出異常は、複数のノズル61bのうちの一部に突発的に、言い換えるとランダムに発生するのに対し、ギャップ異常及び粘度異常は、複数のノズル61bに共通して発生する。そこで、ギャップ異常及び粘度異常については、隣接する複数のノズル61b、本形態では96個のノズル61bをノズルセットとして複数のノズルセットを形成し、ノズルセットごとに順番に記録液を吐出させて検知を行う。吐出異常については、隣接するノズル61bとの関係性はないと考えてよいため、複数のノズル61bの1つずつに順に記録液を吐出させて検知を行う。
このように、検知する異常の種類に合わせて、インク吐出制御手段として機能する制御部40により、複数のノズル61bからの記録液の吐出動作を変更する。なお、この複数のノズル61bからの記録液の吐出動作は、検知する異常の種類に合わせればよいため、ここで述べている態様と異なる態様で行っても良い。記録液を何れの態様で吐出する場合においても、電流計33bにより、ノズル61bと中間転写体37との間をブリッジした液柱状の記録液に流れる電流を測定し、測定された電流に基づいて異常を検知する。ノズルセットによって記録液を吐出すれば、測定される電流値が大きくなるため、より高い精度での異常検知が可能となる。
異常の検知は、後述するように、制御部40において行う。この点、制御部40は、異常検知手段として機能する。異常検知手段として機能する制御部40は、ギャップ異常を検知する点において、距離異常検知手段としてのギャップ異常検知手段として機能する。異常検知手段として機能する制御部40は、粘度異常を検知する点において、粘度異常検知手段として機能する。異常検知手段として機能する制御部40は、吐出異常を検知する点において、吐出異常検知手段として機能する。
ギャップ異常検知手段として機能する制御部40はとくに、傾き異常を検知する点において傾き異常検知手段として機能する。主走査方向においてヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37の表面とが平行である場合におけるギャップ異常を、以下距離異常と記載し、傾き異常と区別することとする。
画像形成装置100は、異常検知手段としての制御部40によって異常が検知されると、検知された異常の程度及び種類に基づいて、当該異常からの回復動作を行う。この回復動作を行う回復手段として、画像形成装置100は、モータ32、駆動部35、中間転写体37、ポンプ82Y、82M、82C、82BK、ヘッド駆動手段として機能する制御部40を有している。これら複数の回復手段は、行うべき回復動作に応じて、単独で、あるいは適宜の組み合わせで用いられる。
異常の検知を行うタイミング、回復動作を行うタイミングは、次のとおりである。
ここで、ギャップ異常及び粘度異常の検知動作及びこれらの異常に対する回復動作を行うモードを第1のモードとし、吐出異常の検知動作及びこの異常に対する回復動作を行うモードを第2のモードとする。
A.画像形成装置100の電源投入時、もしくは待機時から復帰する際に、第1のモードを実施し、第1のモードの実施によって、検知された異常から回復すると、第2のモードを実施する
B.所定枚数の転写紙Sに画像形成を行ったときに第2のモードを実施する
C.第2のモードの実施によって、検知された異常から回復しないときに、第1のモードを実施する
また、第1のモード、第2のモードの他に、適宜、他のモードを備え、異常の検知、回復動作を行うようにしてもよい。たとえば、第3のモードとして画像形成時の記録液の吐出に対して電流計33bによる測定を行い、異常を検知するモードが考えられる。これは、画像形成時の記録液の吐出が、ギャップの状態や記録液の増粘状態、記録液の吐出・不吐出をモニタリングするのに有効なためである。たとえば、画像形成時にギャップや記録液の増粘を検知することによって、不具合が出た際にすぐさま画像形成動作を停止し、印字ミスを減らすことが可能となる。
ただし、画像形成時の記録液の吐出により、全ノズル61bに対して吐出異常の有無を検知することは、一般に困難である。これは、通常画像形成時に全てのノズル61bが使用されることは稀なためである。そのため、第3のモードでは、画像形成に大きく影響を与えない程度に孤立した液滴を順次まばらに吐出することが望ましい。
以下、電流計33bによって測定された電流によって異常の検知が行われる理由を説明する。
電流計33bによって測定される電流に関し、この電流が流れる、ノズル61bと中間転写体37との間をブリッジした記録液の液柱における抵抗値Rligは、原理的に次式1で表わされる。
同式において、σは液体、ここでは記録液の導電率、r(x)はノズル板61aから中間転写体37に向かう方向における液柱断面の半径を表している。
Figure 2014050972
同式より、電流計33bによって測定される通電電流量の変化は液柱形状の変化によって生じる液柱抵抗Rligの変化によるものであり、通電電流量は液柱形状を反映した値であることが解る。特に液柱の一部が細っているとき、最も細い部分における抵抗値が液柱全体の抵抗値に対して支配的となる。
図8に、ヘッド駆動回路として機能する制御部40で生成したパルス状の駆動信号を圧電素子に入力することによって電流計33bにおいて検出される通電電流値の典型的な時間変化を示す。
同図中のA点、B点、C点、D点はそれぞれ、図6(b)、図6(c)、図7(a)、図7(b)に示した記録液の状態での通電電流値を示している。
図8に従って通電電流量の時間変化に関して説明する。
駆動波形の印加によって吐出された記録液は通電開始時間T1において中間転写体37表面に到達し電流が流れ始める。このとき、初期状態は図6(b)に示されるように太い液柱が形成されているため、A点近辺で示されるように、急激に大きな電流が流れる。
次に、B点近辺で示されるように、図6(c)に示した状態のように安定的で比較的に均一な太さの液柱が形成されると安定的な電流が流れる。その後、C点近辺で示されるように、図7(a)に示した状態のように液中の一部において次第に液柱が細ると電流値が低下する。このとき、前述の通り液柱の抵抗値は最も細い液柱部分における抵抗値が支配的であるため、流れる電流値の変化は液柱が細る過程を良く反映している。
最終的にD点近辺で示されるように、通電終了時間T2においては、図7(b)に示した状態のように記録液がノズル61bから分断されるため、通電が終了する。
以上説明したことから明らかに予測されるように、電流計33bにおいて検出される通電電流値の時間変化、すなわち通電状態である通電プロファイルは、記録液の吐出速度、液柱の形成過程等の形状、ギャップに大きく依存している。たとえば、液柱のブリッジが形成されている時間を反映した通電時間Twは、おおよそ粘度が高いほど大きな値となり、表面張力が高いほど小さな値となる傾向にある。あるいは、C点における電流量は表面張力が高いほど急激に低下することとなる。
そこで、画像形成装置100において、制御部40は、電流計33bにおいて検出された電流値に基づいて通電プロファイルを測定する計測手段として機能する。また制御部40は、計測手段として機能する制御部40によって測定された通電プロファイルに基づいて、通電プロファイルの特徴を捉えるために、次に述べる通電特徴量を測定ないし取得するようになっている。この点、制御部40は、特徴量測定手段として機能するようになっている。
特徴量測定手段として機能する制御部40は、電圧降下量に相当する電圧信号を直接処理し、たとえば閾値を設け、この閾値を基準として、通電開始時間や通電時間を測定する構成を取ることが可能である。
通電プロファイル、通電特徴量の取得のために電源33aによって印加する電圧は数ボルトから数十ボルト程度で十分である。たとえば、すでに述べた従来技術すなわち液体を噴射する噴射面と液体を受ける検出部との間に電界を与える手法よりも低い電圧で十分な強度の信号を検出することが可能である。よって、装置の小型化、簡易化、放電の抑制が可能となる。
かかる電圧は、反応式(1)、反応式(2)に示したように水を電気分解するための、すでに述べた電圧よりも低いが、液柱のブリッジを流れる電流量は、従来の手法によって測定される誘電電流量、その他、圧電素子の圧力検知信号等に比べて非常に大きいものである。よって、通電プロファイル、粘度等の特性値は、高精度に取得可能である。
特徴量測定手段として機能する制御部40は、通電プロファイルの特徴を捉えるための通電特徴量として、次のような値を算出あるいは取得する。すなわち、通電時の最大電流量Imax、通電時の電荷量すなわち総電荷量である通電電荷量CLである。また、ヘッド駆動回路として機能する制御部40で生成された駆動信号が発せられてから通電が開始されるまで言い換えると通電が測定されるまでの通電開始時間T1である。また、ヘッド駆動回路として機能する制御部40で生成された駆動信号が発せられてから通電が終了するまで言い換えると通電が測定されなくなり通電が停止するまでの通電終了時間T2である。また、通電が開始されてから液体が分断して通電が停止するまでの時間である、通電終了時間T2からの通電開始時間T1の差分に等しい通電継続時間としての通電時間Twである。
制御部40は、特徴量測定手段として機能する制御部40によって得られた通電特徴量に基づいて、ギャップ異常を検出するためにギャップを算出して推定するギャップ算出機能を有する。この点、制御部40は、ギャップ算出手段として機能する。
制御部40は、特徴量測定手段として機能する制御部40によって得られた通電特徴量に基づいて、粘度異常を検出するために記録液の粘度に関するパラメータである増粘パラメータを算出する粘度算出機能を有する。この点、制御部40は、粘度算出手段として機能する。
制御部40は、特徴量測定手段として機能する制御部40によって得られた通電特徴量に基づいて、吐出異常を検出するために記録液の吐出に関するパラメータである吐出異常パラメータを算出する吐出異常パラメータ算出機能を有する。この点、制御部40は、吐出パラメータ算出手段として機能する。
このように、画像形成装置100では、ギャップ、増粘パラメータ、吐出異常パラメータを、通電プロファイルから直接、算出、推定するのではなく、通電プロファイルの代表的な特性である通電特徴量を用いて算出、推定するようになっている。これにより、ギャップ、増粘パラメータ、吐出異常パラメータの算出処理、さらには異常検知手段として機能する制御部40による各異常検知が簡便化される。
通電特徴量と液特性、たとえば粘度との関係は、次に述べる測定結果のように、物性が既知の複数の記録液に対してその傾向を予め算出し、特性値取得手段として機能する制御部40に記憶されている。特性値取得手段として機能する制御部40は、特徴量測定手段として機能する制御部40によって実際に測定された通電特徴量の測定結果に基づいて、かかる関係を用いて、粘度などの特性値を算出等して取得する。
通電特徴量から増粘パラメータの代表的な値である粘度を算出する例を説明する。
粘度算出方法を実験的に説明するため、次に述べるように粘度を変えた複数の記録液に対してギャップを100μmに保った条件下において通電プロファイルを測定し、この測定結果から通電特徴量を算出した。
図9に、評価に使用した3種類の記録液の物性値を示す。これらの記録液は、すでに述べた記録液と同様に、水、カーボンブラック顔料、湿潤剤、界面活性剤の混合液であり、湿潤剤量のみを変えて粘度調整を行ったものである。
図10、図11にそれぞれ、図8に示した記録液の通電特徴量と粘度との関係を示す。
図10から、通電開始時間T1、通電終了時間T2、通電時間Twについてはそれぞれ、粘度が一次関数で近似可能であることが解る。したがって、この関係を基に、測定時には通電特徴量として機能する制御部40により、通電開始時間T1、通電終了時間T2、または通電時間Twのうちの少なくとも1つを測定することによって、特性値取得手段として機能する制御部40において、特性値として粘度を算出することが可能である。
図11では、通電特徴量として、通電電荷量CLを通電時間Twで割った、通電期間中の平均電流量Iavgを使っている。同図から、平均電流量Iavgと粘度との間に2次関数の相関があることがわかる。したがって、この結果に基づいて2次関数で平均電流量Iavgと粘度の関係を求めておくことで、測定時に、平均電流量Iavgから、特性値取得手段として機能する制御部40において、特性値として粘度を算出することが可能となる。特性値取得手段として機能する制御部40は、記録液の粘度を増粘パラメータとして算出するとき、粘度算出手段として機能する。
このように、複数の通電特徴量からある1つの新しい通電特徴量となるパラメータを、特徴量測定手段として機能する制御部40において算出し、そのパラメータから吐出液体の特性値を算出しても良い。平均電流量Iavgと異なる通電特徴量としては、たとえば、平均電流量Iavgをさらに最大電流量Imaxで割ったものが挙げられる。
まとめると、上記各通電特徴量のうち1の少なくとも1つに基づいて、記録液の特性値である粘度等の物性値を取得することが可能である。
特性値の中で、粘度は、記録液の吐出状態に大きな影響を与えるため、各種の特性値の中でもこれが取得されることは重要である。
以上説明したように、粘度算出手段として機能する制御部40によって、予め与えられた関係式に基づいて、たとえば通電開始時間T1、通電終了時間T2、通電時間Tw、平均電流量Iavgから、粘度を代表とする増粘パラメータを算出することが可能である。しかし、これらの通電特徴量のうち通電終了時間T2を除くものは、ギャップが一定の時に増粘パラメータと1対1の関係が成立するに過ぎず、ギャップの変動に対して必ずしも不変の値では無い。
よって、次のことが言える。すなわち、上述のような、ギャップが一定に保たれる条件のように、ギャップの値がおおよそ一定であると考えられる状況においては、上述の方法で増粘パラメータを算出することが効果的である。しかしながら、実機においては、ギャップが変動することがあるため、ギャップによって変化する通電特徴量を用いて増粘パラメータを取得することが難しい場合がある。
一方、通電終了時間T2は、次に述べるように、ギャップの大小によらず一定である。
通電終了時間T2は、記録液の液柱の一部が、ノズル61b側と中間転写体37とに分離すること、言い換えると切れることによって計測される。この液柱の切れは、多くの場合、図7(b)に示されているように、ノズル61b側の付け根部分が切れることによって生ずる。この部分での液柱の切れは、記録液の吐出のために与える駆動波形を積極的に制御することによって生じさせることも可能である。液柱の切れがノズル61b側の付け根部分で生ずるため、通電終了時間T2はギャップに依らず一定である。
その一方で、通電終了時間T2は、増粘によって長くなる。粘度が増加すると液柱が切れにくくなるためである。よって、通電終了時間T2に基づいて増粘パラメータが取得される。このように、通電終了時間T2は、溶媒の乾燥等に伴う増粘パラメータを検出するのに好適である。
通電終了時間T2に基づいて増粘パラメータが取得されるため、予め、通電終了時間T2と異なりギャップの影響を受ける通電特徴量と、各ギャップでの増粘パラメータとの関係が分かっていれば、増粘パラメータに基づいて、ギャップが取得されることとなる。この関係は、たとえば図12に示されるものである。
そこで、増粘パラメータの算出に少なくとも通電終了時間T2を用い、まず増粘パラメータを取得してから、次に、通電終了時間T2と異なりギャップの影響を受ける通電特徴量と、各ギャップでの増粘パラメータとの関係に基づいてギャップを取得する。これらの取得は、共通の通電プロファイルから行うことが可能である。そのため、これらの取得は実質的に同時に行われる。
図12に示した例では、通電終了時間T2と異なりギャップの影響を受ける通電特徴量として、通電電荷量CLを用いている。よって、通電終了時間T2から増粘パラメータを取得すれば、この通電終了時間T2を取得したときの通電プロファイルから取得される通電電荷量と、増粘パラメータとの関係から、ギャップが求まる。
以上の方法は、増粘パラメータとギャップとをそれぞれ1つの異なる通電特徴量を元に算出した例であるが、より多くの通電特徴量を用いて増粘パラメータとギャップとを同時に算出することも考えられる。この場合一般的に良く知られた多変量解析手法を用いて事前に判別器を構築しておくことでパラメータの算出が達成される。特に、事前に既知の増粘パラメータおよびギャップで多数の通電特徴量を取得し、判別器を学習させておく手法を用いることが好ましい。
すでに述べたように、第1のモードでは、ギャップ異常と粘度異常とを検知するが、第1のモードでギャップ異常と粘度異常とを検知するのは、このように、ギャップと増粘パラメータとが同時に取得されるためである。
また、すでに述べたように、第1のモードで検知するギャップ異常には、傾き異常を含む。傾き異常は、主走査方向における各端部において取得されたギャップの比較により検知される。第1のモードでは、ノズルセットで順番に記録液の吐出を行うため、主走査方向における各端部側のノズルセットによる記録液の吐出によって取得されたギャップの差分により、傾きプロファイルを算出、取得する。この点、ギャップ算出手段として機能する制御部40は、傾き算出手段として機能する。なお、傾きプロファイルは、主走査方向において異なる位置に設けられた少なくとも2つのノズル61bによって吐出された記録液の通電状態に基づいて取得されたギャップに基づいて検知可能である。
第2のモードで検知する吐出異常が通電プロファイルに基づいて検知される理由は次のとおりである。
図13に示すように、吐出異常が生じた場合の通電プロファイルすなわち異常プロファイルは、吐出が正常であるときの通電プロファイルすなわち基準プロファイルと異なる波形を示す。異常プロファイルは、吐出異常の原因、言い換えると種類、たとえば同図に示している例では、中間転写体37に異物が付着していることによって生じる突発的な通電、吐出曲がり、吐出速度低下に応じて、波形が異なる。なお、不吐出の場合は波形がフラットとなることで、不吐出が検出される。
基準プロファイルと異常プロファイルとが異なる波形を示すことを利用して、これらの差分、たとえば平均二乗誤差により、吐出異常パラメータを算出する。吐出異常パラメータは、基準プロファイルにおける通電特徴量と異常プロファイルにおける通電特徴量との平均二乗誤差によって算出してもよく、この場合、複数の通電特徴量を用いるようにしても良い。
基準プロファイルは、図8に示したような、ノズル61bから吐出された記録液がノズル61bと中間転写体37とをブリッジした状態となったときにこの記録液に流れる、基準となる電流の通電状態である。
基準プロファイルは、第2のモードの実行によって作成される。
具体的には、第2のモードが実行されると、インク吐出制御手段として機能する制御部40は、多数のノズル61bから記録液を同時に吐出させる。吐出パラメータ算出手段として機能する制御部40は、このときに測定された通電プロファイルを、記録液を吐出させたノズル61bの数で除して、実測定プロファイルとして基準プロファイルを作成する。
実測定プロファイルを作成するとき記録液を同時に吐出させるノズル61bは、全てのノズル61bとし、ヘッド61Y、61M、61C、61BKのそれぞれの全体についての基準プロファイルを作成しても良い。また、ヘッドモジュールごとにその全てのノズル61bに記録液を同時に吐出させ、ヘッドモジュールごとに実測定プロファイルを作成してもよい。実測定プロファイルは、記録液を複数のノズル61bのうちの1つずつから順次吐出させ、各吐出時に測定された通電プロファイルを合計するとともに、この合計値を、記録液を吐出させたノズル61bの総数で除することで算出するようにしても良い。
基準プロファイルは、画像形成装置100の出荷前に予め基準プロファイルとなる通電プロファイルを測定することで決定しても良い。決定された基準プロファイルは、吐出パラメータ算出手段として機能する制御部40に記憶し、これを用いることで吐出異常パラメータを算出する。この場合、通電プロファイルが温度や湿度といった環境の影響、とくに気温による影響を受けるため、温度ごとに基準プロファイルを準備して記憶しておき、異常検知の際の温度に基づいて、環境センサによって検知された温度、湿度に合致する適当な基準プロファイルを選択して用いるようにする。
ギャップ異常検知手段として機能する制御部40は、ギャップ算出手段として機能する制御部40によって取得されたギャップと比較される閾値を記憶しており、閾値との比較によりギャップ異常である距離異常を検知する。
傾き異常検知手段として機能する制御部40は、傾き算出手段として機能する制御部40によって取得された傾きプロファイルと比較される閾値を記憶しており、閾値との比較により、傾き異常を検知する。
粘度異常検知手段として機能する制御部40は、粘度算出手段として機能する制御部40によって取得された増粘パラメータと比較される閾値を記憶しており、閾値との比較により、粘度異常を検知する。
吐出異常検知手段として機能する制御部40は、吐出パラメータ算出手段として機能する制御部40によって取得された吐出異常パラメータと比較される閾値を記憶しており、閾値との比較により、吐出異常を検知する。
各閾値は、後述するように、検知する異常に応じて、複数が用いられることがある。
制御部40は、閾値との比較により検知された異常の程度及び種類に基づいて、少なくとも1つの回復手段を選択する。すなわち、複数の回復手段であるモータ32、駆動部35、中間転写体37、ポンプ82Y、82M、82C、82BK、ヘッド駆動手段として機能する制御部40から、少なくとも1つの回復手段を選択する。当該異常から回復するのに適切な回復動作を行うためである。この点、制御部40は、選択手段として機能する。よって、選択手段として機能する制御部40は、検知された異常の程度及び種類に基づいて、複数の回復動作言い換えると回復処理から、適切な回復動作を決定する。
異常の程度及び種類に基づいて、選択手段として機能する制御部40により具体的にどのような回復手段が選択され、どのような回復動作が行われるかについては、各異常について閾値がどのように用いられるかと併せて、次に述べる。
第1のモードについて図14ないし図17に沿って説明する。
まず、異常検知を行うための初期化動作を行う(図14(S101))。この初期化動作では、駆動部35の第1アクチュエータ及び第2アクチュエータをフィードフォワード制御で駆動する。これにより、図15(a)に示すように、ギャップを所定距離にするとともに中間転写体37に対するヘッド61Y、61M、61C、61BKの姿勢を所定の姿勢にする。
また、同図(a)に示されているように、離間部36を駆動して転写ローラ38を中間転写体37から離間させ、離間状態を形成する。
よって、異常検知を行うために、次に述べるように中間転写体37に記録液が付着する場合に、離間状態が形成され、中間転写体37に付着した記録液が転写ローラ38に付着することが防止される。
また、電源33aをスタンバイ状態とする。
次いで、インク吐出制御手段として機能する制御部40により、ノズルセットごとに、順次記録液を吐出させる(図14(S102))。このとき、記録液の吐出、具体的には圧電素子への電圧パルスの入力と同時に、電源33aをオンにして、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との間に電圧を印加する。電源33aのオンは、記録液の吐出と同期するようにパルス状に電圧の印加が行われるように行ってもよいし、異常検出動作中一定の電圧を印加し続けるように行ってもよい。
電源33aをオンにしてから電流計33bによって測定される電流値に基づいて、特徴量測定手段として機能する制御部40により通電特徴量を取得する(図14(S103))。次いで、取得された通電特徴量に基づいて、粘度算出手段、ギャップ算出手段として機能する制御部40により、増粘パラメータ、ギャップを算出する(図14(S104))。このとき算出されるギャップには、傾きプロファイルを含む。
ギャップ異常検知手段として機能する制御部40は、算出されたギャップと閾値とを比較することで、ギャップが設定値以内か否かを判断し(図14(S105))、ギャップが閾値を超える場合はギャップが設定値以内でないとしてギャップ異常を検知する。このとき、まず、傾きプロファイルが設定値以内か否か、すなわち傾き異常が発生しているか否かを判断し、傾き異常が発生していない場合にギャップが設定値以内か否か、具体的には距離異常が発生しているか否かを判断する。
ギャップ異常が検出された場合、具体的にはギャップが設定値以内でないと判断された場合、言い換えると規定値内でないと判断された場合には、第1の回復動作を行う(図14(S106))。
具体的には、傾き異常が発生していると判断された場合には、駆動部35の第2アクチュエータを傾きプロファイルすなわち傾き異常の程度に応じた駆動量で駆動して傾き回復動作を行う傾き回復処理を実行する。距離異常が発生していると判断された場合には、駆動部35の第1アクチュエータをギャップに応じた駆動量で駆動してギャップ回復動作である距離回復動作を行うギャップ回復処理である距離回復処理を実行する。
傾き異常が発生しているときは距離異常の判断精度が低下するため、第2アクチュエータによる傾き回復処理後に、ステップS102〜ステップS104を再度行ってから距離異常が発生しているか否かを判断することが望ましい。
第1の回復動作を行うと、ステップS102〜ステップS104を再度行ってからギャップ異常が発生しているか否かを再び判断する(図14(S105))。
このように、駆動部35、具体的には第1アクチュエータ、第2アクチュエータは、第1の回復動作を行う第1の回復手段として選択される。言い換えると、駆動部35、第1アクチュエータ、第2アクチュエータは、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との相対的な距離すなわちギャップを調整する距離調整手段として機能することで、回復手段として機能する。
ステップS105において初期的にギャップが設定値以内であると判断され、あるいは第1の回復動作によってギャップ異常が解消されギャップが設定値以内となったと判断されると、ステップS107が実行される。ステップS107では、粘度異常検知手段として機能する制御部40は、各ノズルセットについて、ステップS104で算出された増粘パラメータと閾値とを比較することで、増粘パラメータが設定値以内か否かを判断する。そして、全ノズルセットの増粘パラメータが閾値以下の場合は粘度が設定値以内であるとして第1のモードを終了し、増粘パラメータが閾値を超えるノズルセットがある場合は粘度が設定値以内でないとして粘度異常を検知する。
粘度異常が検出された場合、具体的には粘度パラメータが設定値以内でないと判断された場合、言い換えると規定値内でないと判断された場合には、中間転写体37をA1方向に駆動した状態で第2の回復動作を行う(図14(S108))。具体的には、粘度異常が発生していると判断された場合には、粘度異常が検知されたノズルセットの全ノズル61bから多数の記録液を吐出するフラッシング動作を実行するように圧電素子を駆動して粘度回復動作を行う粘度回復処理を実行する。
このように、ヘッド駆動手段として機能する制御部40が、第2の回復動作を行う第2の回復手段として選択される。ヘッド駆動手段として機能する制御部40は、ノズル61bから記録液を連続的に吐出させるようにヘッド61Y、61M、61C、61BKを駆動することで、回復手段として機能する。これにより、増粘した記録液がヘッド61Y、61M、61C、61BKから排出される。吐出する記録液の数は一定であってもよいし、粘度が高いほど多くしても良い。
フラッシング動作中、電源33aによる電圧印加及び電流計33bによる電流の測定が行われ、フラッシング動作完了後、粘度算出手段として機能する制御部40により、増粘パラメータが、再度、算出される(図14(S109))。この増粘パラメータの算出のため、ステップS103と同様に、特徴量測定手段として機能する制御部40により通電特徴量の取得が行われるが、これについては図示を省略している。増粘パラメータの算出は、記録液の吐出が行われる全回数について行ってもよいし、定期的、具体的にはたとえば10回の吐出に対して1回行ってもよい。
フラッシング動作によって中間転写体37に付与された記録液は、転写ローラ38が中間転写体37から離間しているため中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写部31を素通りし、清掃手段34に至ると中間転写体37から除去される。
ステップS109に続いて、算出された粘度パラメータに基づいて、ステップS110がステップS107と同様に実行される。ただし、第2の回復動作が行われたノズルセットについてのみ、ステップS110が行われる。ステップS110で粘度異常が検知されると、当該第1のモードで第2の回復動作が何回行われたかをカウントし、N回以上行われたか否かが判断される(図14(S111))。
ステップS111において、N回に満たないと判断されると、ステップS108に戻って、再度、第2の回復動作が行われる。ステップS111において、N回に達したと判断されると、第2の回復動作による粘度異常の解消が不可として、中間転写体37をA1方向に駆動した状態で第3の回復動作が行われる(図14(S112))。このように、粘度異常検知手段として機能する制御部40は、電流計33bによって測定された電流に基づいて第2の回復動作の終了の可否を判断する判断手段として機能する。
この閾値Nは、第2の回復動作によって粘度異常が解消されるか否かの見極めが十分に行われる範囲で最小の値とされ、第2の回復動作による記録液の吐出量を抑制するように設定される。なお、判断手段として機能する制御部40は、第2の回復動作の途中であっても、当該第2の回復動作の過程で算出された粘度パラメータが閾値以下となったときに第2の回復動作を終了して第1のモードを終了しても良い。また、ステップS110で全ノズルセットの増粘パラメータが閾値以下であると判断されると第1のモードが終了することによっても、第2の回復動作による記録液の吐出量が抑制され、記録液の無駄な消費が抑制される。
第3の回復動作では、ポンプ82Y、82M、82C、82BKを駆動してインク室61c内の記録液を加圧しノズル61bから記録液を強制的に排出する強制排出動作を行う強制排出処理を実行する。この強制排出動作は粘度回復動作であり、強制排出処理は粘度回復処理である。
よって、ポンプ82Y、82M、82C、82BKは、第3の回復動作を行う第3の回復手段として選択される。ポンプ82Y、82M、82C、82BKは、ヘッド61Y、61M、61C、61BK内の記録液を加圧状態としてノズル61bから記録液を強制的に排出させる記録液排出機構である加圧機構として機能することで、回復手段として機能する。これにより、増粘異常の程度、すなわちフラッシング動作による回復が望めない程度に大きく増粘したあるいは多量に増粘した記録液がヘッド61Y、61M、61C、61BKから排出される。ポンプ82Y、82M、82C、82BKの駆動時間は一定であってもよいし、粘度が高いほど長くしても良い。
第3の回復動作を図16、図17に沿って説明する。
図16(a)は、ギャップが、ステップS101又はステップS106で設定されたギャップとなった状態を示している。この状態をホームポジションとする。このホームポジションの状態から、駆動部35を駆動することで、図16(b)に示すように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37から離間させノズル面61dと中間転写体37とが離間した離間位置である記録液排出ポジションとする。
記録液排出ポジションにおいて、ポンプ82Y、82M、82C、82BKを駆動することで、インク室61c内を負圧から正圧とし、図16(c)に示すように、各ノズル61bからヘッド61Y、61M、61C、61BK内の記録液を強制的に排出させる。排出された記録液はヘッド61Y、61M、61C、61BKに対向した、A1方向に移動している中間転写体37に付与される。
このとき、ノズル板61a、ノズル面61dと中間転写体37との間の距離が上述のように設定されていることにより、ノズル61bから排出された記録液が、中間転写体37側に自重落下で効率的に速やかに移動するとともにA1方向に運ばれる。よって、中間転写体37上に排出された記録液は、中間転写体37との間に充填されることがなく、ノズル面61dに広がることがない。
中間転写体37に付与された記録液等は、中間転写体37によりA1方向に運ばれ、転写部31において中間転写体37と離間した転写ローラ38との間を通過し、清掃手段34によって中間転写体37から除去される。
次いで、駆動部35を駆動することで、図17(a)に示すように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37に近接させ、ノズル板61a、ノズル面61dと中間転写体37との間の距離を減量位置である記録液量制御ポジションとする。
記録液量制御ポジションにおいて、ノズル面61dと中間転写体37との間の距離は、ホームポジションにおけるかかる距離よりも長いとともに、記録液排出ポジションにおけるかかる距離よりも短い。
これにより、中間転写体37の回転に伴って、ノズル面61dと中間転写体37との間の記録液が、中間転写体37の表面の移動につられてA1方向に引っ張られて移動し始める。中間転写体37がA1方向にさらに移動すると、図17(b)に示されているように、ノズル面61d側と中間転写体37側とで分断される。この分断は、中間転写体37の表面の濡れ性が上述のようにノズル面61dの濡れ性より高いことによって良好に生ずる。その後、図17(c)に示すように、ホームポジションに復帰するまで駆動部35を駆動する。
強制排出動作終了後、第3の回復動作を行うことを要する粘度異常が生じていると判断されたノズルセットについて、粘度算出手段として機能する制御部40により、増粘パラメータが、再度、算出される(図14(S113))。この増粘パラメータの算出のため、図示を省略するが、当該ノズルセットからの記録液の吐出、電源33aによる電圧印加及び電流計33bによる電流の測定が行われる。そして、図示を省略するが、ステップS103と同様に、特徴量測定手段として機能する制御部40により通電特徴量の取得が行われる。
強制排出動作においてノズル61bから吐出された記録液、増粘パラメータの算出のためノズル61bから吐出された記録液は、上述のように、中間転写体37のA1方向への回転により、ノズル板61aと中間転写体37との間から除去される。そして、中間転写体37側に付着した記録液は、転写ローラ38が中間転写体37から離間しているため中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写部31を素通りし、清掃手段34に至ると中間転写体37から除去される。
ステップS113に続いて、算出された粘度パラメータに基づいて、ステップS114がステップS110と同様に実行される。ただし、第3の回復動作を行うことを要する粘度異常が生じていると判断されたノズルセットについてのみ、ステップS114が行われる。ステップS114で粘度異常が検知されると、当該第1のモードで第3の回復動作が何回行われたかをカウントし、M回以上行われたか否かが判断される(図14(S115))。
ステップS115において、M回に満たないと判断されると、ステップS112に戻って、再度、第3の回復動作が行われる。ステップS115において、M回に達したと判断されると、第3の回復動作による粘度異常の解消が不可として、液晶パネル41において粘度異常が生じていることについての情報を報知し(図14(S116))、第1のモードを終了する。
このように、粘度異常検知手段として機能する制御部40は、回復動作、具体的には第2の回復動作、第3の回復動作を行っても粘度異常からの回復が困難であるか否かを判断する回復判断手段として機能する。
閾値Mは、第3の回復動作によって粘度異常が解消されるか否かの見極めが十分に行われる範囲で最小の値とされ、第3の回復動作による記録液の吐出量を抑制するように設定される。また、ステップS114で全ノズルセットの増粘パラメータが閾値以下であると判断されると第1のモードが終了することによっても、第3の回復動作による記録液の吐出量が抑制され、記録液の無駄な消費が抑制される。
液晶パネル41は、粘度異常検知手段として機能する制御部40によって回復動作を行っても粘度異常からの回復が困難であると判断されたとき粘度異常についての情報を報知する報知手段として機能する。報知手段として機能する液晶パネル41は、たとえば、粘度異常についてユーザーあるいはサービスマンによるメンテナンスを要する旨を表示する。
ギャップ異常についても、ギャップ異常検知手段として機能する制御部40が同様に、回復判断手段として機能するようになっていても良く、この場合、液晶パネル41は、ギャップ異常についての異常を報知する報知手段として機能することが好ましい。
具体的に、回復判断手段として機能する制御部40は、ギャップ算出手段として機能する制御部40によって算出されたギャップが、うねりを含む、ギャップが大きすぎて調整不可であるなど、第1の回復動作によって解消することが困難であるか否かを判断する。
また具体的に、報知手段として機能する液晶パネル41は、ギャップ異常についてユーザーあるいはサービスマンによるメンテナンスを要する旨を表示する。この場合、ギャップ異常が、うねりを含む、ギャップが大きすぎて調整不可であるなど、具体的な表示を行うことが好ましい。このような表示を行うことで、ヘッドモジュールの位置調整あるいは交換がユーザーやサービスマンに要求される。
第2のモードについて図15、図18ないし図20に沿って説明する。
まず、異常検知を行うための初期化動作を行う(図18(S201))。この初期化動作は、既に説明したステップS101と同様に行う。これにより、異常検知を行うために中間転写体37に記録液が付着する場合に、転写ローラ38が中間転写体37から離間した離間状態を形成することで、中間転写体37に付着した記録液が転写ローラ38に付着することが防止される。
次いで、インク吐出制御手段として機能する制御部40により、全てのノズル61bから同時に記録液を吐出させる(図18(S202))。このとき、記録液の吐出、具体的には圧電素子への電圧パルスの入力と同時に、電源33aをオンにして、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37との間に電圧を印加する。電源33aのオンは、記録液の吐出と同期するようにパルス状に電圧の印加が行われるように行ってもよいし、異常検出動作中一定の電圧を印加し続けるように行ってもよい。
電源33aをオンにしてから電流計33bによって測定される、全てのノズル61bから同時に吐出された記録液についての電流値に基づいて、基準プロファイルを作成する(図18(S203))。基準プロファイルは、全吐出時に測定された通電プロファイルを、ノズル61bの総数で除することで算出する。
次いで、1つのノズル61bごとに順次記録液を吐出させて(図18(S204))、通電プロファイルを測定し、各通電プロファイルについて、基準プロファイルとの平均二乗誤差である吐出異常パラメータを算出し(図18(S205))、記憶する。なお、基準プロファイルは、この各吐出時に測定された通電プロファイルを合計し、この合計値をノズル61bの総数で除することで算出しても良い。
吐出異常検知手段として機能する制御部40は、各ノズル61bについて算出された吐出異常パラメータと閾値とを比較することで、各吐出異常パラメータが設定値以内か否かを判断する。そして、吐出異常パラメータが閾値を超える場合は吐出異常パラメータが設定値以内でないとしてそのノズル61bの吐出異常を検知し、そのノズル61bを吐出異常ノズルとして記憶する(図18(S206))。吐出異常パラメータと比較する閾値は、吐出状態の突発的な異常が検出されるように適切に設定される。この突発的な異常には不吐出を含む。
次に、吐出異常の程度、具体的には吐出異常ノズル61bの数に応じて適切な回復動作を選択するために、吐出異常ノズル61bの数と比較される閾値として、第1の閾値と、第1の閾値よりも小さな第2の閾値とを用いる。第1の閾値はたとえば20であり、第2の閾値はたとえば5である。
まず、吐出異常ノズル61bの数を第1の閾値と比較(図18(S207))する。その結果、第1の閾値以上であるときには吐出異常に対する強い回復動作である第4の回復動作を行う(図18(S208))。具体的には、中間転写体37をA1方向に駆動した状態で第3の回復動作と同様の回復動作すなわち強制排出動作を行い、さらに、中間転写体37の表面でノズル面61dを拭ってクリーニングするワイピング動作を行う。
強制回復動作は、図16、図17に沿って説明したとおりであり、ポンプ82Y、82M、82C、82BKを駆動してインク室61c内の記録液を加圧してノズル61bから記録液を強制的に排出する強制排出処理である。
ワイピング動作は、強制回復動作が終了し図17(c)に示した状態となり、図19(a)に示すようにホームポジションを占めている状態において、図15(a)に示した状態から同図(b)に示す状態となるように、駆動部35を駆動する。具体的には、図19(b)に示す状態となるように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37に近接させ、ノズル板61a、ノズル面61dと中間転写体37との間の距離をワイピング位置であるワイピングポジションとする。
ワイピングポジションにおいて、ノズル面61dと中間転写体37との間の距離は、ノズル面61dと中間転写体37とが僅かに離間した距離か、ノズル面61dと中間転写体37とが当接する距離とされる。
同図(c)に示すように、ワイピングポジションにおいてモータ32の駆動により中間転写体37がA1方向に回転すると、この回転に伴って、次のようにクリーニングが行われる。すなわち、ノズル面61dに付着している記録液、紙粉等の異物が、中間転写体37の表面の移動により中間転写体37の表面で拭われ、A1方向に移動する。中間転写体37がA1方向にさらに移動すると、異物は、転写ローラ38が中間転写体37から離間しているため中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写部31を素通りし、清掃手段34に至ると中間転写体37から除去される。その後、図19(d)に示すように、ホームポジションに復帰するまで駆動部35を駆動する。
このように、モータ32、中間転写体37は、ノズル面61dをクリーニングするクリーニング手段としてのワイピング機構であるクリーニング機構47として機能することで、ワイピング動作を行うワイピング処理を実行する。クリーニング機構47において、中間転写体37は、ノズル面61dを拭ってクリーニングするクリーニング部材として備えられている。クリーニング機構47において、モータ32は、中間転写体37によってノズル面61dを拭うように中間転写体37を駆動するクリーニング駆動機構として備えられている。
ポンプ82Y、82M、82C、82BK、モータ32、中間転写体37は、第4の回復動作を行う第4の回復手段として選択され吐出異常回復動作を行う吐出異常回復処理を実行する。ポンプ82Y、82M、82C、82BK、モータ32の駆動時間は一定であってもよいし、吐出異常ノズル61bの数が多いほど長くしても良い。
なお、ワイピング処理は、第2の回復処理を構成する処理として、上述の第2の回復処理の後に行っても良く、この場合には、モータ32、中間転写体37は第2の回復手段として機能する。このことは上述の第3の回復処理、後述する第5の回復処理についても同様である。
クリーニング機構47は、クリーニング部材として、中間転写体37とは別の、図20に示すような、クリーニングブレードとしてのブレード65を用いた構成であっても良い。この構成のクリーニング機構47は、ブレード65とノズル面61dとを相対的に移動してブレード65によってノズル面61dに付着している異物を払拭するため、この構成は、シャトル型の画像形成装置に適している。シャトル型の画像形成装置では、図示しないクリーニング駆動機構によりヘッド61Y、61M、61C、61BKを駆動してブレード65とノズル面61dとが当接する所定位置に移動させること、かかる相対的な移動を行うことが容易なためである。これに対し、本形態の構成では、ヘッド61Y、61M、61C、61BKをかかる所定位置に移動させるための、たとえば主走査方向あるいは副走査方向において画像形成領域から退避させる構成、処理が不要となる点で有利である。
第4の回復動作を行うと、ステップS204〜ステップS206を再度行う。但し、このときステップS204〜S206では、前回のステップS206で記憶された吐出異常ノズル61bについてのみ記録液の吐出を行い(図18(S204))、通電プロファイルを測定し、吐出異常パラメータを算出し(図18(S205))、記憶する。また、算出された吐出異常パラメータと閾値とを比較し、吐出異常パラメータが閾値を超える場合にそのノズル61bの吐出異常を検知し、そのノズル61bを吐出異常ノズルとして記憶する(図18(S206))。
そして、この新たに記憶された吐出異常ノズル61bの数と第1の閾値とを再び比較(図18(S207))し、第1の閾値以上であるときには再度、第4の回復動作を行う(図18(S208))。
ステップS207において初期的に吐出異常ノズル61bの数が第1の閾値を下回っていると判断され、あるいは第4の回復動作によって吐出異常ノズル61bの数が第1の閾値を下回ったと判断されると、ステップS209が実行される。ステップS209では、吐出異常ノズル61bの数を第2の閾値と比較する。その結果、第2の閾値を下回っているときは第2のモードを終了し、第2の閾値以上であるときには第4の回復動作より吐出異常に対する弱い回復動作である第5の回復動作を行う(図18(S210))。具体的には、吐出異常ノズル61bからフラッシング動作による記録液の吐出を行うように圧電素子を駆動して吐出異常回復動作を行う吐出異常回復処理を実行する。
よって、ヘッド駆動手段として機能する制御部40は、第5の回復動作を行う第5の回復手段として選択される。言い換えると、ヘッド駆動手段として機能する制御部40は、ノズル61bから記録液を連続的に吐出させるようにヘッド61Y、61M、61C、61BKを駆動することで、回復手段として機能する。
フラッシング動作中、電源33aによる電圧印加及び電流計33bによる電流の測定が行われ、フラッシング動作完了後、吐出異常ノズル61bが、再度、記憶される(図18(S211))。この吐出異常ノズル61bの記憶のため、ステップS205と同様に、通電プロファイルが測定され、吐出異常パラメータが算出されるが、これについては図示を省略している。吐出異常パラメータの算出は、記録液の吐出が行われる全回数について行ってもよいし、定期的、具体的にはたとえば10回の吐出に対して1回行ってもよい。
フラッシング動作によって中間転写体37に付与された記録液は、転写ローラ38が中間転写体37から離間しているため中間転写体37のA1方向への回転に伴って転写部31を素通りし、清掃手段34に至ると中間転写体37から除去される。
ステップS211に続いて、算出された吐出異常パラメータに基づいて、ステップS212がステップS209と同様に実行される。ただし、第5の回復動作が行われた吐出異常ノズル61bについてのみ、ステップS212が行われる。ステップS212で第2の閾値を下回っているときは第2のモードを終了する。ステップS212で吐出異常ノズル61bの数が第2の閾値以上であると判断されると、当該第2のモードで第5の回復動作が何回行われたかをカウントし、X回以上行われたか否かが判断される(図18(S213))。
ステップS213において、X回に満たないと判断されると、ステップS208に戻って、再度、第4の回復動作が行われる。ステップS213において、X回に達したと判断されると、第4の回復動作、第5の回復動作による吐出異常の解消が不可として、液晶パネル41において吐出異常が生じていることについての情報を報知し(図18(S214))、第2のモードを終了する。
このように、吐出異常検知手段として機能する制御部40は、電流計33bによって測定された電流に基づいてカウントされた吐出異常ノズル61bの数に基づいて、第5の回復動作の終了の可否を判断する判断手段として機能する。
また、吐出異常検知手段として機能する制御部40は、回復動作、具体的には第4の回復動作、第5の回復動作を行っても吐出異常からの回復が困難であるか否かを判断する回復判断手段として機能する。
閾値Xは、第5の回復動作によって吐出異常が解消されるか否かの見極めが十分に行われる範囲で最小の値とされ、第5の回復動作による記録液の吐出量を抑制するように設定される。なお、判断手段として機能する制御部40は、第5の回復動作の途中であっても、当該第5の回復動作の過程で算出された吐出異常ノズル61bの数をモニタリングし、この数が第2の閾値を下回ったときに第5の回復動作を終了して第2のモードを終了しても良い。また、ステップS212で吐出異常ノズル61bの数が第2の閾値以下であると判断されると第2のモードが終了することによっても、第5の回復動作による記録液の吐出量が抑制され、記録液の無駄な消費が抑制される。
第4の回復動作と第5の回復動作とでは、第4の回復動作の方が、吐出異常に対して効果的であるが、記録液の吐出量言い換えると消費量が多い。そこで、吐出異常ノズル61bの数が第1の閾値以上である場合、あるいは第5の回復動作を行っても吐出異常ノズル61bの数が第2の閾値を下回らない場合に第4の回復動作を行うことで、記録液の消費量を抑制しながら高い効率で吐出異常回復動作が行われる。このように、吐出異常ノズル61bの数について複数の閾値を用いることで、吐出異常回復動作の効率性が向上する。
液晶パネル41は、吐出異常検知手段として機能する制御部40によって回復動作を行っても吐出異常からの回復が困難であると判断されたとき吐出異常についての情報を報知する報知手段として機能する。報知手段として機能する液晶パネル41は、たとえば、吐出異常についてユーザーあるいはサービスマンによるメンテナンスを要する旨を表示する。
図13に沿ってすでに述べたように、通電プロファイルの取得時に突発的な通電が生じることがある。この突発的な通電が多く見られる場合には、ノズル面61d、中間転写体37の表面が汚れている可能性が高い。ノズル面61dのクリーニングについては回復動作によって行われることとなり、中間転写体37の表面のクリーニングについては回復動作の2次的効果として行われることとなる。
しかし、かかる突発的な通電が多く見られる場合には、上述の各回復動作と別の回復動作たとえば第6の回復動作として、ノズル面61d、中間転写体37の表面のクリーニング動作を行い、これらのクリーニング精度を高めるようにしてもよい。この場合、とくに、中間転写体37の表面の異物を取り除くためには、記録液をクリーニング液として用いるために記録液の吐出を行うことが望ましい。さらには、記録液の吐出時に通電を行うことで記録液のクリーニング液としての性能を高めることが望ましい。またさらには、効率的なクリーニングを行うために、突発的な通電が測定された箇所に記録液の吐出を行うことが望ましい。これらのことは、第2のモードのみならず、第1のモードについても同様である。
以上、第1のモード、第2のモードの処理の流れについて説明したが、これは一例であり、本発明の適用は、かかる処理の流れ、構成に限定されるものではない。検知する異常も、画像形成装置の構成など必要に応じて決定されるものであり、上述の異常に限られるものではなく、また、上述の異常の全てを検知しなければならないというものでもない。上述の例では異常の程度及び異常の種類を検知したが、異常の程度、異常の種類の何れか一方のみを検知するようにしてもよい。また、回復手段の選択は、画像形成装置の構成など必要に応じて行われるものであり、異常の程度、異常の種類によって適宜選択されるものであり、上述の回復手段に限られるものではなく、また上述の回復手段の全てを用いなければならないというものでもない。
以上は、中間転写体37がローラ状である場合を説明したが、図21に示すように、中間転写体37は無端のベルト状をなすものであっても良い。
図21に示す形態について、図1等に示した上述の形態と異なる部分について主に説明する。
中間転写体37がベルト状であることに伴って、搬送ユニット10は、中間転写体37を巻き掛けたローラ42、43、44と、ローラ43を付勢した図示しないバネとを有している。モータ32は、ローラ42を回転駆動するようになっており、ローラ42は駆動ローラとなっている。ローラ43は、バネにより、中間転写体37の張力を一体に保つように変位するテンションローラとなっている。ローラ44は、中間転写体37を介して転写ローラ38に対向する定位置に配設されており、転写対向ローラとなっている。
ヘッド61Y、61M、61C、61は、中間転写体37の、ローラ42とローラ43との間に張設されている部分に対向するように平行に並べられる態様で備えられている。中間転写体37をベルト状とすることの利点は、この形態のように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKが並設可能となるなど、ヘッド61Y、61M、61C、61の配置上の自由度が高くなることにある。また、ヘッド61Y、61M、61C、61BKが中間転写体37のかかる部分に平行に並べられている構成ではさらにヘッド61Y、61M、61C、61をノズル面61dに平行に移動させることなくノズル面61dの全面をクリーニング可能となることにある。ただし、中間転写体37は、ドラム状であるほうが、ベルト状の中間転写体37の、端部のない形状に加工することが容易でない、駆動時にばたつきが生じる、巻き掛けるローラを複数要する、といった事情がないという利点がある。よって、中間転写体37をドラム状とするかベルト状とするかは、種々の事項を比較検討して適宜選択される。
その他、図21に示す形態では、画像形成装置100は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKのそれぞれに対向した位置であって中間転写体37の内側に配設されたガイド部材45を有している。
このような構成の画像形成装置100におけるワイピング動作すなわちヘッド61Y、61M、61C、61BKのクリーニング動作は次のとおりである。
ワイピング動作を行うにあたって、図21(a)に示したホームポジションから、制御部40によって駆動部35を制御することで、図21(b)に示すように、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37側に移動させる。このとき、ヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37とのギャップを、図15(b)に示した場合と同様のギャップとしたクリーニングポジションに位置決めする。またこのとき、制御部40によって離間部36を制御することで図15(b)に示した場合と同様に転写ローラ38を中間転写体37から離間させた状態とする。その後の動作等は、上述した図19(b)ないし(d)に示す動作等と同様である。
以上説明した形態では、駆動部35は、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを同時に駆動して中間転写体37に接離させる構成であるが、ヘッド61Y、61M、61C、61BKは互いに異なる色の記録液を吐出するものである。そのため、これらを中間転写体37で同時にクリーニングすると、中間転写体37によってノズル面61dから除去されたある色の記録液が、他の色の記録液を吐出するノズル61bに付着し、その後の記録液吐出時に混色を生じる可能性がある。また、またそのノズル61bからこれに連なるインク室61c内に逆流して混色する可能性もある。混色は、画像形成の色品質を劣化させる要因となる。
そこで、かかる混色の問題を回避するために次のような動作が行われることが好ましい。すなわち、駆動部35を、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを独立して中間転写体37に接離可能とし、上述のワイピング動作を、ヘッド61Y、61M、61C、61BKのそれぞれのノズル面61dについて独立して行うようにすることが望ましい。各色のヘッド61Y、61M、61C、61BKのノズル面61dをそれぞれ独立して順次クリーニングすることで混色が回避可能となる。
なお、この場合、駆動部35により各色のヘッド61Y、61M、61C、61BKについてのクリーニングポジションを順次独立して形成し、これに加えて次のようにする。すなわち、離間部36による中間転写体37に対する転写ローラ38の接離を、全ての各色のヘッド61Y、61M、61C、61BKについてのクリーニング動作の前後に行うこととする。このようにすれば、中間転写体37に対する転写ローラ38の接離の回数を最小限として、クリーニング動作に要する時間が抑制される。
以上述べた各形態では、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを中間転写体37側に移動させることでヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37とを互いに近接させることでクリーニングポジションとした。しかし、図22に示すように、中間転写体37をヘッド61Y、61M、61C、61BK側に移動させることでヘッド61Y、61M、61C、61BKと中間転写体37とを互いに近接させることでクリーニングポジションとするようにしてもよい。
図22に示す形態について、図21に示した上述の形態と異なる部分について主に説明する。
同図に示す形態では、駆動部35は、ガイド部材45と、各ガイド部材45を下方から支持した支持部材46とを有している。支持部材46は、各ガイド部材45を一体でヘッド61Y、61M、61C、61BKに向けて押し上げることで中間転写体37をヘッド61Y、61M、61C、61BKに近接させクリーニングポジションとすることが可能である。
この形態では、クリーニング動作時に駆動部35により支持部材46を変位させることで中間転写体37をヘッド61Y、61M、61C、61BKに近接させてクリーニングポジションとするが、その余の点は図21に示した上述の形態と同様である。
駆動部35は、各ガイド部材45を同時に駆動してヘッド61Y、61M、61C、61BKに接離させる構成である。しかし、すでに述べたのと同じように、混色を回避するために、各ガイド部材45を独立して駆動可能とし、ヘッド61Y、61M、61C、61BKを順次クリーニングするようにしても良い。
この形態では、クリーニングポジションにおいて中間転写体37のテンションが上昇するため、クリーニング動作中において、中間転写体37のばたつきや、長期放置時などにローラ42、43、44に巻き掛けた部分で発生する中間転写体37の変形が矯正される。そのため、ローラ42とローラ43との間に張設されている部分における中間転写体37の平面度が向上し、安定して良好なクリーニングが行われるという利点がある。
図1等に示した、ローラ状の中間転写体37を有する形態においても、中間転写体37をヘッド61Y、61M、61C、61BKに近接させてクリーニングポジションとする構成を採用してもよい。また、中間転写体37とヘッド61Y、61M、61C、61BKとの両者を互いに近接させてクリーニングポジションとする構成を採用してもよい。
本発明は、中間転写体を用いたインクジェット方式の画像形成装置であれば様々な形態に応用可能である。たとえば、本発明は、図23に示すように、先塗り処理を行う先塗り装置を備えた画像形成装置に応用可能である。同図に示した画像形成装置は、図1等に示して上述した画像形成装置100に、先塗り装置48を付加した構成となっている。
先塗り装置48は、画質を向上するための先塗り材である金属塩水溶液48cを、A1方向における清掃手段34とヘッド61Y、61M、61C、61BKとの間において中間転写体37の表面に塗布する装置である。先塗り装置48は、金属塩水溶液48cを保持した先塗材タンク48bと、金属塩水溶液48cを中間転写体37に塗布するための塗布ローラ48aとを備えている。塗布ローラ48aは、金属塩水溶液48cを、中間転写体37の表面に、たとえば1μm以下であって十分に薄い膜厚となるように塗布する。
金属塩水溶液48cが塗布された状態であっても、その中間転写体37上における膜厚が十分に小さいため、電源33aの通電による通電状態に影響を与えることはほぼない。先塗り材は、金属塩水溶液に限られず、たとえば、多価金属塩やポリアリルアミンを含む液、あるいはオイル中にカチオン性高分子化合物や多価金属塩を分散させたエマルジョンなどが挙げられる。先塗り材は液体に限られず、ポリアクリル酸などの吸水性樹脂粒子を用いてもよい。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、中間転写体の表面は、全面が導電性である必要はなく、少なくとも一部が導電性であれば良い。すなわち、中間転写体の表面のうち、ヘッドと中間転写体との間をブリッジした記録液の液柱に通電を行うために記録液が吐出される部分が導電性であれば良い。
以上で説明した、特性値である粘度の算出方法は、たとえばオンデマンド型インクジェット方式を用いた画像形成装置において、ノズル近傍のインクが水分蒸発によって増粘しているときにその増粘具合を測定するのに使用するときに有効である。ノズルにおける水分蒸発は1秒以下の非常に短い時間スケールでも生じ、さらに非常に局所的であることから、従来の手法では測定することが容易ではなかった。しかし、ここに述べている通電特徴量を用いた特性値の取得手法によれば、ノズル部の局所的なインクに対して、溶媒蒸発に伴う増粘の有無および程度を簡易に測定することが可能となる。また、その結果に基づきインクのフラッシングや加圧・吸引などによるインク排出動作を最適化することが可能であり、無駄なインクおよび電力の消費を避けることが可能である。
本発明を適用する画像形成装置は、上述のタイプの画像形成装置に限らず、他のタイプの画像形成装置であってもよい。すなわち、複写機、ファクシミリの単体、あるいはこれらの複合機、これらに関するモノクロ機等の複合機、その他、電気回路形成に用いられる画像形成装置であってもよい。また、バイオテクノロジー分野において所定の画像を形成するのに用いられる画像形成装置であっても良い。ヘッドの数は画像形成装置の用途に応じて増減されるものであり、複数であっても、1つであってもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
32 クリーニング駆動機構
32、37 回復手段、クリーニング機構
33 電圧印加手段
33b 電流測定手段
35 回復手段、距離調整手段
36 離間手段
40 異常検知手段、回復手段、選択手段、ヘッド駆動手段、判断手段、回復判断手段
41 報知手段
61b ノズル
61d ノズル面
61Y、61M、61C、61BK ヘッド
64 転写手段
82Y、82M、82C、82BK 回復手段、加圧機構
100 画像形成装置
S 被記録材
特開2010−214664号公報 特開2010−188665号公報 特開2008−062397号公報 特許第4273795号公報 特許第4407701号公報 特許第3697209号公報 特開2007−062219号公報 特開2009−000815号公報

Claims (12)

  1. 導電性記録液を吐出するノズルを備えたヘッドと、
    このヘッドにより吐出された導電性記録液を付与される、少なくとも表面の一部が導電性の中間転写体と、
    前記ヘッドから吐出された導電性記録液が同ヘッドと前記中間転写体との間をブリッジした状態でこの状態の導電性記録液に電流を流すために前記中間転写体と前記ヘッドとの間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    この電圧印加手段によって前記中間転写体と前記ヘッドとの間に電圧が印加されたときに前記状態の導電性記録液に流れる電流を測定する電流測定手段と、
    この電流測定手段によって測定された前記電流に基づいて当該画像形成装置の画像形成性能を低下させ得る異常を検知する異常検知手段と、
    この異常検知手段によって前記異常が検知されたときに当該異常から回復するための回復動作を行う複数の回復手段と、
    前記異常検知手段によって検知された前記異常の程度及び/又は種類に基づいて前記複数の回復手段から前記回復動作を行うための少なくとも1つの回復手段を選択する選択手段を有する画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記異常は、前記ノズルからの導電性記録液の吐出異常を含むことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2記載の画像形成装置において、
    前記異常検知手段は、前記吐出異常を、当該ノズルから吐出された前記状態の導電性記録液について前記電流測定手段によって測定された前記電流の通電状態と、当該ノズルから吐出された前記状態の導電性記録液についての基準となる電流の通電状態との差分に基づいて検知することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記異常は、前記ヘッドと前記中間転写体との距離異常を含み、
    前記複数の回復手段のうちの少なくとも1つは、前記ヘッドと前記中間転写体との相対的な距離を調整する距離調整手段であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4記載の画像形成装置において、
    前記ヘッドは、前記ノズルを所定の方向に沿って複数備えており、
    前記距離異常は、所定の方向における前記ヘッドと前記中間転写体との相対的な傾き異常を含み、
    前記異常検知手段は、前記傾き異常を、前記複数のノズルのうちの少なくとも2つのノズルから吐出された前記状態の導電性記録液について前記電流測定手段によって測定された前記電流の通電状態に基づいて検知することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記複数の回復手段のうちの少なくとも1つは、前記ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング機構であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6記載の画像形成装置において、
    前記クリーニング機構は、前記中間転写体によって前記ノズル面を拭うように前記中間転写体及び/又は前記ヘッドを駆動するクリーニング駆動機構を有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1ないし7の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記複数の回復手段のうちの少なくとも1つは、前記ヘッド内の導電性記録液を加圧状態として前記ノズルから導電性記録液を強制的に排出させる加圧機構であることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1ないし8の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記複数の回復手段のうちの少なくとも1つは、前記ノズルから導電性記録液を連続的に吐出させるように前記ヘッドを駆動するヘッド駆動手段であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9記載の画像形成装置において、
    前記ヘッド駆動手段による前記ヘッドの駆動によって前記ノズルから連続的に吐出された前記状態の導電性記録液について、前記電流測定手段によって測定された前記電流に基づき、当該駆動の終了の可否を判断する判断手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1ないし10の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    導電性記録液によって前記中間転写体上に担持された画像を被記録材に転写する転写手段と、
    前記異常を検知するために前記中間転写体に導電性記録液が付着する場合に前記転写手段が前記中間転写体から離間した離間状態を形成する離間手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1ないし11の何れか1つに記載の画像形成装置において、
    前記回復動作を行っても前記異常からの回復が困難であるか否かを判断する回復判断手段と、
    この回復判断手段によって前記回復動作を行っても前記異常からの回復が困難であると判断されたときに当該異常についての情報を報知する報知手段を有することを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7415490B2 (ja) 2019-11-29 2024-01-17 株式会社リコー 液体吐出装置、および液体吐出装置における吐出制御方法

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