JP2014049711A - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の金属化フィルムコンデンサ1は、誘電体フィルム11、21の表面に絶縁マージン13、23を残して金属蒸着電極12、22が形成された一対の金属化フィルム5、6を、一方の金属蒸着電極12が誘電体フィルム11を介して他方の金属化フィルム21の金属蒸着電極22に対向すると共に絶縁マージン13、23が互いに幅方向反対側に位置するように巻回されてなるコンデンサ素子2と、コンデンサ素子2の両端面に接続された電極引出し用のメタリコン電極7、8とを備える。そして、一対の金属蒸着電極12、22のうち陽極側の金属蒸着電極12は、主成分がアルミニウムであり、かつ、その膜抵抗値が陰極側の金属蒸着電極22の膜抵抗値よりも小さい。
【選択図】図3
Description
特許文献1(図1)に記載された金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルム11、14の幅方向片方の端部にマージン部12a、15cを残して金属蒸着電極12、15が形成された金属化フィルム13、16が、金属蒸着電極12、15が誘電体フィルム11、14を介して対向するとともに、マージン部12a、15cが反対側に位置するように積層または巻回されてなるコンデンサ素子17と、コンデンサ素子17の両端面に接続された取出電極18、19とを備えるものである。そして、陽極側の金属蒸着電極15には、主に亜鉛、または亜鉛の合金が用いられ、陰極側の金属蒸着電極12には、主にアルミニウムが用いられている。
すなわち、特許文献1に記載の発明においては、亜鉛や亜鉛の合金を陽極材料として使用しているが、亜鉛や亜鉛の合金はアルミニウムに比べて自己回復性能に劣るため、高温雰囲気下で高電圧が負荷された場合に陽極側の金属化フィルムの保安性能が劣化するおそれがあった。
また、亜鉛はアルミニウムと比較して、水分による酸化劣化が進みやすく、陽極側の蒸着金属膜が亜鉛であるフィルムコンデンサにおいて、高温高湿雰囲気下で電圧印加する耐湿負荷試験を実施した場合、陽極酸化反応により陽極側の蒸着金属膜の酸化劣化が発生するおそれがあった。
図1に示すように、金属化フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子2と、このコンデンサ素子2を収納するプラスチックケース3と、プラスチックケース3内のコンデンサ素子2を封止するエポキシ樹脂4とを有している。
各々の絶縁マージン13、23は、各々の誘電体フィルム11、21の幅方向の一方端部において、誘電体フィルム11、21の長さ方向に延在するものである。
一方、誘電体フィルム21は、メタリコン電極8と接続されるフィルムであり、例えばポリプロピレン製である。誘電体フィルム21の厚さは、誘電体フィルム11と同様、例えば2.8μmとされる。
なお、誘電体フィルム11、21の材質や厚さはこれに限られるものではない。
この容量形成部14の材料には、アルミニウムが用いられている。なお、容量形成部14の膜厚t1は均一でなくてもよく、容量形成部14は例えば幅方向に連続的に減少する構成であってもよい。
ヘビーエッジ部15には、アルミニウムと亜鉛の合金が用いられる。また、ヘビーエッジ部15における膜抵抗値はおよそ5Ω/□とされる。
なお、図3では、ヘビーエッジ部15から容量形成部14にかけて、なだらかな斜面となっているが、ヘビーエッジ部をマスキングすることで、切り立った直立部とすることも可能である。
なお、容量形成部24の膜厚t2は均一でなくてもよく、容量形成部24は例えば幅方向に連続的に減少する構成であってもよい。
本願でいう金属蒸着電極12の膜厚とは、容量形成部14の膜厚t1を意味し、金属蒸着電極22の膜厚とは、容量形成部24の膜厚t2を意味する。
なお、平均膜厚とは、金属蒸着電極12、22の容量形成部14、24の複数点の膜厚を計測して求めた平均値である。膜厚(膜抵抗)の測定は、四探針法で行い、膜厚が均一な場合はフィルム幅方向の2点以上を測定し、膜厚が不均一な場合はフィルム幅方向に向かってフィルム両端近傍の3点以上を測定する。
なお、金属蒸着の態様は金属蒸着電極12、22共に同じであるため、以下、金属蒸着電極12に形成された金属蒸着の態様についてのみ説明し、金属蒸着電極22に形成された金属蒸着の態様については、その説明を割愛する。
絶縁スリット31は、金属蒸着の行われていない部分であり、具体的には、Y字またはY字を互いに逆向きに2つ組み合わせた形状をしたスリットである(形状はこれに限られるものではない)。そして、当該形状の絶縁スリット31を複数組み合わせることにより金属蒸着電極12は複数に分割され分割電極32とされる。
ヒューズ部33は、絶縁破壊が生じた際、自己回復性能により絶縁回復できない場合に、ヒューズとして機能する部分である。
次に、図5を参照しつつ金属化フィルム5の変形例について説明する。
図5に示す金属化フィルム50(陽極側の金属化フィルム)は、図3に示す金属化フィルム5(陽極側の金属化フィルム)と比べて、金属蒸着電極の形状が異なる金属化フィルムである。なお、図5のうち図3に示した構成と同一の部分については、同じ符号を付している。
そして、ヘビーエッジ部15側の端部54aでの膜厚は、ヘビーエッジ部15の膜厚と同じとされ、絶縁マージン13側の端部54bでの膜厚は、例えば容量形成部24の膜厚t2(図3参照)と同じとされる。
したがって、容量形成部54の膜厚は、ヘビーエッジ部15側の端から絶縁マージン13側の端まで連続的に薄くされている必要はなく、両端部のうちの少なくとも一方に膜厚が減少しない直線部分が設けられていてもよい。例えば、本変形例では、図5に示すように、端部54bに直線部分Lが設けられている。
下記表1のように、一対の金属蒸着電極のうち、陽極側の金属蒸着電極の主成分をアルミニウムとし、膜抵抗を下記のとおりとし、陽極側、陰極側ともに分割電極(図4)とした下記試料、
・実施例1(図3) 陽極側(膜厚均一):10Ω/□、陰極側:20Ω/□
・実施例2(図5) 陽極側(膜厚傾斜):7〜15Ω/□、陰極側:20Ω/□
・比較例 陽極側(膜厚均一):20Ω/□、陰極側:20Ω/□
について、定格600V−200μFの金属化フィルムコンデンサを作製し、85℃85%RHで、2000時間の耐湿負荷試験を行った。その結果を表1に示す(試料数n=10の平均値)。
そして、容量形成部の膜厚は、ヘビーエッジ部側の端部が最も厚く、ヘビーエッジ部側の端部から絶縁マージン側の端部に向かって連続的に薄くなるように滑らかな傾斜形状とした実施例2の場合は、フィルム層間の隙間を減少させることができ、寿命特性をより改善することができる。
本発明に係る金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムの表面に絶縁マージンを残して金属蒸着電極が形成された一対の金属化フィルムに形成された金属蒸着電極のうち、陽極側の金属蒸着電極の主成分がアルミニウムであり、かつ、その膜抵抗値が陰極側の金属化フィルムに形成された金属蒸着電極の膜抵抗値よりも小さいため、陽極側の金属蒸着電極の一部が陽極酸化反応により絶縁体化しても陽極側の金属蒸着電極の静電容量を十分確保でき、また陽極側の金属蒸着電極の大部分が絶縁体化するまでの時間を延ばすことができる。
2 コンデンサ素子
3 プラスチックケース
4 エポキシ樹脂
5、6 金属化フィルム
7、8 メタリコン電極
9、10 リード線
11、21 誘電体フィルム
12 金属蒸着電極(陽極側の金属蒸着電極)
13、23 絶縁マージン
14 容量形成部
15 ヘビーエッジ部
22 金属蒸着電極(陰極側の金属蒸着電極)
31 絶縁スリット
32 分割電極
33 ヒューズ部
54a、54b 端部
Claims (3)
- 誘電体フィルムの表面に絶縁マージンを残して金属蒸着電極が形成された金属化フィルムを2枚重ね合わせて一対の金属化フィルムとし、前記一対の金属化フィルムのうち、一方の金属化フィルムの金属蒸着電極が前記誘電体フィルムを介して他方の金属化フィルムの金属蒸着電極に対向すると共に前記絶縁マージンが互いにフィルム幅方向反対側に位置するように積層または巻回してなるコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の両端面に接続された電極引出し用のメタリコン電極と、
を備えた、金属化フィルムコンデンサであって、
前記一対の金属化フィルムのうち、陽極側の金属化フィルムに形成された金属蒸着電極は、主成分がアルミニウムであり、かつ、その膜抵抗値が陰極側の金属化フィルムに形成された金属蒸着電極の膜抵抗値よりも小さいことを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。 - 前記一対の金属化フィルムに形成された金属蒸着電極の各々は、ヒューズ部を残して絶縁スリットにより複数の分割電極に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記陽極側の金属蒸着電極は、
容量形成部と、前記メタリコン電極との接続部に設けられ、膜厚が前記容量形成部に比べて厚いヘビーエッジ部と、を有し、
前記容量形成部の膜厚は、前記ヘビーエッジ部側の端部が最も厚く、前記ヘビーエッジ部側の端部から前記絶縁マージン側の端部に向かって連続的に薄くなることを特徴とする請求項1または2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
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