JP2014048658A - 積層ベルトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電磁誘導発熱用の定着ベルトのように繰り返しの屈曲に加えて繰り返しの加熱および冷却を伴う過酷な使い方をする場合であっても、すぐれた耐久性を発揮しうる積層ベルトを提供すること、および、そのような積層ベルトを製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属である積層ベルトであって、かつ前記の内層(1)と外層(3)との間にそれら両層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)が設けられていることを特徴とする積層ベルトである。
【選択図】図1
【解決手段】 内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属である積層ベルトであって、かつ前記の内層(1)と外層(3)との間にそれら両層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)が設けられていることを特徴とする積層ベルトである。
【選択図】図1
Description
本発明は、特定の層構成を有する積層ベルト(たとえば電磁誘導発熱を利用した定着用ベルトの主要構成層となる積層ベルト)に関するものである。また、そのような積層ベルトを製造する方法に関するものである。
電磁誘導発熱を利用した定着用ベルトは、立ち上げ時間が大幅に短縮される上に省エネルギーの観点からも有利であることから注目されており、今後、トナー定着用のベルトとして主流になっていくであろうと期待されている。
電磁誘導発熱を利用した定着用ベルトの層構成については種々のものが提案されているが、その代表的なものの一例は、「ポリイミド樹脂層/金属メッキ層/シリコーンゴム弾性層/フッ素系樹脂離型層」の層構成を有するものである。このうち「ポリイミド樹脂層/金属メッキ層」がベルトの主要構成層であり、シリコーンゴム弾性層は定着に際し用紙を剥離しやすくするための弾性層、フッ素系樹脂離型層は未定着トナーがベルトに付着するのを防止するための離型層である。
上記の電磁誘導発熱用のベルトについての文献として、たとえば以下に示すような特許文献1〜4が知られている。
(特許文献1)
特開2002−248705号公報(特許文献1)には、ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルムの一方の表面に金属粒子などの導電性物質を偏位させる工程と、その偏位した導電性物質を電極として電解メッキを施すことにより前記の耐熱性樹脂フィルムに金属薄膜を形成する工程とを備えた金属薄膜を有する耐熱性樹脂フィルムの製造方法が示されている。
特開2002−248705号公報(特許文献1)には、ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルムの一方の表面に金属粒子などの導電性物質を偏位させる工程と、その偏位した導電性物質を電極として電解メッキを施すことにより前記の耐熱性樹脂フィルムに金属薄膜を形成する工程とを備えた金属薄膜を有する耐熱性樹脂フィルムの製造方法が示されている。
(特許文献2)
特開2002−292766号公報(特許文献2)には、基材がポリイミド樹脂からなる管状物1の外層に、粉体状の金属アンカー層2が形成され、さらにその表面には電磁誘導発熱用金属薄膜層3が形成されており、かつその金属薄膜層3の外層にはシリコーンゴム層、フッ素樹脂層、フッ素ゴム層から選ばれる少なくとも1層の層が積層された複合管状物が示されている。
特開2002−292766号公報(特許文献2)には、基材がポリイミド樹脂からなる管状物1の外層に、粉体状の金属アンカー層2が形成され、さらにその表面には電磁誘導発熱用金属薄膜層3が形成されており、かつその金属薄膜層3の外層にはシリコーンゴム層、フッ素樹脂層、フッ素ゴム層から選ばれる少なくとも1層の層が積層された複合管状物が示されている。
(特許文献3)
特開2003−88803号公報(特許文献3)には、基体(金属製の円筒など)表面に形成したポリイミド前駆体樹脂層の表面に金属層を形成した後、そのポリイミド前駆体樹脂層を加熱硬化してポリイミド樹脂層を形成する技術が示されている。金属層の形成は、「触媒金属層−無電解メッキ金属層−電解メッキ金属層」を順次形成させる方法(請求項2)、「析出金属層−電解メッキ金属層」を順次形成させる方法(請求項3)により行っている。
特開2003−88803号公報(特許文献3)には、基体(金属製の円筒など)表面に形成したポリイミド前駆体樹脂層の表面に金属層を形成した後、そのポリイミド前駆体樹脂層を加熱硬化してポリイミド樹脂層を形成する技術が示されている。金属層の形成は、「触媒金属層−無電解メッキ金属層−電解メッキ金属層」を順次形成させる方法(請求項2)、「析出金属層−電解メッキ金属層」を順次形成させる方法(請求項3)により行っている。
(特許文献4)
特開2011−115976号公報(特許文献4)には、内周側から外周側にかけて、ポリイミド樹脂層A、ニッケル層B、発熱層Cおよびニッケル層Dの順で積層され、前記ポリイミド樹脂層Aがポリイミド樹脂およびニッケル系微粒子(さらには導電性カーボンブラック)を含むことを特徴とする多層無端管状ベルトが示されている。
特開2011−115976号公報(特許文献4)には、内周側から外周側にかけて、ポリイミド樹脂層A、ニッケル層B、発熱層Cおよびニッケル層Dの順で積層され、前記ポリイミド樹脂層Aがポリイミド樹脂およびニッケル系微粒子(さらには導電性カーボンブラック)を含むことを特徴とする多層無端管状ベルトが示されている。
上記の特許文献1〜4の発明においては、基体となるポリイミド層とその外面側に設ける金属層との密着性を確保するために、種々の工夫を講じているが、繰り返しの屈曲に加えて繰り返しの加熱および冷却を伴う電磁誘導発熱用の定着ベルトのような過酷な使い方をするときには、その耐久性の観点から問題が残る。
(発明の目的)
本発明は、このような背景下において、電磁誘導発熱用の定着ベルトのように繰り返しの屈曲に加えて繰り返しの加熱および冷却を伴う過酷な使い方をする場合であっても、すぐれた耐久性を発揮しうる積層ベルトを提供すること、および、そのような積層ベルトを製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、このような背景下において、電磁誘導発熱用の定着ベルトのように繰り返しの屈曲に加えて繰り返しの加熱および冷却を伴う過酷な使い方をする場合であっても、すぐれた耐久性を発揮しうる積層ベルトを提供すること、および、そのような積層ベルトを製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
本発明の積層ベルトは、内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属である積層ベルトであって、かつ前記の内層(1)と外層(3)との間にそれら両層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)が設けられていること、を特徴とするものである。
本発明の積層ベルトの製造方法は、内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属層であるベルトを製造するにあたり、前記の内層(1)と外層(3)との間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)をまず前記の内層(1)の外表面に形成し、ついでその導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を電解メッキして前記の外層(3)を形成すること、を特徴とするものである。
本発明は、上記の背景技術において採用しているような手段や原理とは別の技術思想に基くものである。そして、本発明の積層ベルトは、電磁誘導発熱用の定着ベルトのように繰り返しの屈曲に加えて繰り返しの加熱および冷却を伴う過酷な使い方をする場合であっても、すぐれた耐久性を発揮しうる。また、そのような積層ベルトを工業的に有利に製造しうる。このように、本発明によれば、上記のような背景技術においては達成が困難であった目的が一挙に達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。
(内層(1)/ポリイミド樹脂)
ポリイミド樹脂は、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を用いて成形することにより得られる。ポリアミック酸溶液は、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンとをほぼ等モル用いて有機極性溶媒中で反応させることにより得られる。現在においては、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の種類、ジアミンの種類、固形分濃度、有機極性溶媒の種類を含め種々のものが上市されているので、それらを選択使用することもできる。上記のポリイミド樹脂は、その耐熱性が、示差走査熱量測定で、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が250℃未満では、ベルトとして使用した場合、高温での力学的特性が不足する場合がある。
ポリイミド樹脂は、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を用いて成形することにより得られる。ポリアミック酸溶液は、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンとをほぼ等モル用いて有機極性溶媒中で反応させることにより得られる。現在においては、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の種類、ジアミンの種類、固形分濃度、有機極性溶媒の種類を含め種々のものが上市されているので、それらを選択使用することもできる。上記のポリイミド樹脂は、その耐熱性が、示差走査熱量測定で、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が250℃未満では、ベルトとして使用した場合、高温での力学的特性が不足する場合がある。
成形方法は任意であるが、上記のポリアミック酸溶液を円筒体や円柱体の外表面に塗布して塗膜を形成し、ついで乾燥後、熱硬化を行うことにより成形することができる。乾燥温度としては100〜130℃、熱硬化温度としては250〜350℃が好ましい。
ポリイミド樹脂からなる内層(1)の層厚は、積層ベルトの用途に見合った厚みに設定する。本発明の積層ベルトを電磁誘導発熱用の主要構成層として用いるときは、この内層(1)をチューブ状に形成し、その層厚はたとえば20〜200μm程度に設定することが多いが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。このときのチューブ状の内層(1)の内径は、たとえば10〜500mm程度に設定することが多いが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。
(外層(3)/金属)
外層(3)を構成する金属は任意であるが、銅、ニッケル、銀などの金属が好ましく用いられる。その厚みは1〜30μm程度、殊に2〜25μm程度とすることが好ましい。なお、本発明の積層ベルトを電磁誘導発熱用の主要構成層として用いるときは、電解メッキ法により形成される銅の層が特に重要である。薄膜化することで磁性金属と同等レベルでの電磁誘導発熱が可能になることからである。なお、酸化防止等の目的でその銅の層の上に1〜5μm程度のニッケル等他の金属のメッキを施すこともできる。
外層(3)を構成する金属は任意であるが、銅、ニッケル、銀などの金属が好ましく用いられる。その厚みは1〜30μm程度、殊に2〜25μm程度とすることが好ましい。なお、本発明の積層ベルトを電磁誘導発熱用の主要構成層として用いるときは、電解メッキ法により形成される銅の層が特に重要である。薄膜化することで磁性金属と同等レベルでの電磁誘導発熱が可能になることからである。なお、酸化防止等の目的でその銅の層の上に1〜5μm程度のニッケル等他の金属のメッキを施すこともできる。
電解メッキ法による銅の層の形成は常法により行うことができるが、本発明においては、上記の内層(1)上に次に述べる導電性耐熱樹脂層(2)が介在層として存在するので、電解メッキを円滑に行うことができ、かつ電解メッキ層の密着性も好ましいものとなる。
(導電性耐熱樹脂層(2))
本発明においては、上記の内層(1)と外層(3)との間に、さらに、両層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)を設ける。ここで導電性耐熱樹脂層(2)の体積抵抗率(Ω・cm)は1000Ω・cm未満であることが必要であり、100Ω・cm未満が好ましく、10Ω・cm未満がさらに好ましい。体積抵抗率(Ω・cm)が1000Ω・cm以上では、本発明に必要な導電性が確保されない。
本発明においては、上記の内層(1)と外層(3)との間に、さらに、両層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)を設ける。ここで導電性耐熱樹脂層(2)の体積抵抗率(Ω・cm)は1000Ω・cm未満であることが必要であり、100Ω・cm未満が好ましく、10Ω・cm未満がさらに好ましい。体積抵抗率(Ω・cm)が1000Ω・cm以上では、本発明に必要な導電性が確保されない。
この導電性耐熱樹脂層(2)は、耐熱樹脂(R)と導電性フィラー(F)との組成物の層であることが特に好ましい。
ここで耐熱樹脂(R)としては、その耐熱性が、示差走査熱量測定で、ガラス転移温度が150℃〜300℃であることが好ましく、200℃〜250℃以上であることがより好ましい。そのような樹脂としては、たとえば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンゾイミダゾール、エポキシ樹脂などを用いることができる。ガラス転移温度が150℃未満の場合は、ベルトとして使用した場合、高温での接着性が不足する場合があり、ガラス転移温度が300℃を超えると、層間の接着性そのものが不足する場合がある。
一方、導電性フィラー(F)としては、金属系フィラー(銅粉、ニッケル粉、銀粉など)または炭素系フィラー(グラファイトや導電性カーボンブラック)があげられ、これら両者を併用することもできる。
導電性耐熱樹脂層(2)における耐熱樹脂(R)と導電性フィラー(F)との量的割合は、必要な層強度と上述の導電性とが共に満足されるように設定されるが、導電性フィラー(F)の配合率は30体積%以上とすることが好ましく、50体積%以上とすることがより好ましい。なお、導電性耐熱樹脂層(2)の形成にあたっては市販のフィラー入り樹脂からなるワニス(導電ペースト)を選択使用することもできる。
導電性耐熱樹脂層(2)の形成方法は任意であるが、たとえば、導電性フィラー入りの耐熱樹脂からなるワニス(導電ペースト)を、前記熱硬化前もしくは熱硬化後のポリイミド樹脂の外表面に塗布、乾燥、必要に応じ熱硬化することにより形成することができる。接着性の確保の観点からは、硬化前のポリイミド層に導電ペーストを塗布、乾燥し、しかる後、ポリイミドの熱硬化を行う方法が好ましい。
導電性耐熱樹脂層(2)の層厚は0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。0.5μm未満では接着性の確保が難しい場合があり、10μmを超える場合はベルト全体としての力学的特性が不足する場合がある。
なお、導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を研磨や切削などの機械的手段により粗面化したり、導電性耐熱樹脂層(2)の外表面をプラズマ処理、火炎処理、コロナ放電処理、エッチング処理などの電気的、物理的、化学的処理を施すことにより粗面化ないし活性化を図ったりして、導電性耐熱樹脂層(2)の外表面側と外層(3)との間の層間密着性を向上させることもできる。
(各層間の接着強度)
各層間の接着強度、すなわち、「内層(1)/導電性耐熱樹脂層(2)」間の接着強度および「導電性耐熱樹脂層(2)/外層(3)」間の接着強度は、要求性能にもよるが、いずれも5N/cm以上(好ましくは8N/cm以上)であるように設定することが望ましい。接着強度が5N/cm未満のときは耐久性が問題となることがあるからである。ここで接着強度は、テンシロンテスター(インテスコ社製の精密力能材料試験機2020型を用いて、試験片の剥離部を180°方向に50mm/minの速度で引っ張り、接着界面の接着強度を求めるものとする。
各層間の接着強度、すなわち、「内層(1)/導電性耐熱樹脂層(2)」間の接着強度および「導電性耐熱樹脂層(2)/外層(3)」間の接着強度は、要求性能にもよるが、いずれも5N/cm以上(好ましくは8N/cm以上)であるように設定することが望ましい。接着強度が5N/cm未満のときは耐久性が問題となることがあるからである。ここで接着強度は、テンシロンテスター(インテスコ社製の精密力能材料試験機2020型を用いて、試験片の剥離部を180°方向に50mm/minの速度で引っ張り、接着界面の接着強度を求めるものとする。
(付加層)
上記の「内層(1)/導電性耐熱樹脂層(2)/外層(3)」の層構成を有する積層ベルトの外層(3)上には、さらに付加層を設けることができる。そのような付加層の代表例は、たとえばシリコーンゴム層やフッ素系樹脂層であり、本発明の積層ベルトが電磁誘導発熱用の積層ベルト(定着ベルト)であるときは、積層ベルトの層構成を「内層(1)/導電性耐熱樹脂層(2)/外層(3)/シリコーンゴム層/フッ素系樹脂層」とすることが望ましい。ここで、シリコーンゴム層は、弾性層としての役割を果たす層であるため比較的厚めの層とし、定着に供する用紙を剥離しやすくする役割を果たすようにする。フッ素系樹脂層は、定着操作時に未定着トナーがベルトに付着するのを防止する離型層としての役割を果たす。フッ素系樹脂としては、たとえば、PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などが用いられる。なお、シリコーンゴム層も離型性を有するので、付加層として、シリコーンゴム層とフッ素系樹脂層とのどちらか一方のみを離型層として用いることも可能である。
上記の「内層(1)/導電性耐熱樹脂層(2)/外層(3)」の層構成を有する積層ベルトの外層(3)上には、さらに付加層を設けることができる。そのような付加層の代表例は、たとえばシリコーンゴム層やフッ素系樹脂層であり、本発明の積層ベルトが電磁誘導発熱用の積層ベルト(定着ベルト)であるときは、積層ベルトの層構成を「内層(1)/導電性耐熱樹脂層(2)/外層(3)/シリコーンゴム層/フッ素系樹脂層」とすることが望ましい。ここで、シリコーンゴム層は、弾性層としての役割を果たす層であるため比較的厚めの層とし、定着に供する用紙を剥離しやすくする役割を果たすようにする。フッ素系樹脂層は、定着操作時に未定着トナーがベルトに付着するのを防止する離型層としての役割を果たす。フッ素系樹脂としては、たとえば、PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などが用いられる。なお、シリコーンゴム層も離型性を有するので、付加層として、シリコーンゴム層とフッ素系樹脂層とのどちらか一方のみを離型層として用いることも可能である。
(用途)
上記の「(1)/(2)/(3)」の層構成を有する本発明の積層ベルトは、電磁誘導発熱用のベルト(たとえば、複写機、ファクシミリ、プリンタ、あるいはそれらの複合機のような画像形成装置の定着用ベルト)の主要構成層として特に有用である。
上記の「(1)/(2)/(3)」の層構成を有する本発明の積層ベルトは、電磁誘導発熱用のベルト(たとえば、複写機、ファクシミリ、プリンタ、あるいはそれらの複合機のような画像形成装置の定着用ベルト)の主要構成層として特に有用である。
(積層ベルトの製造方法)
上記の層構成を有する本発明の積層ベルトは、内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属層であるベルトを製造するにあたり、前記の内層(1)と外層(3)との間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)をまず前記の内層(1)の外表面に形成し、ついでその導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を電解メッキして前記の外層(3)を形成すること、によって工業的に製造することができる。(この場合、もし必要なら、先に「(導電性耐熱樹脂層(2))」の箇所でも触れたように、導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を粗面化してから外層(3)を形成するようにすることもできる。)
上記の層構成を有する本発明の積層ベルトは、内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属層であるベルトを製造するにあたり、前記の内層(1)と外層(3)との間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)をまず前記の内層(1)の外表面に形成し、ついでその導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を電解メッキして前記の外層(3)を形成すること、によって工業的に製造することができる。(この場合、もし必要なら、先に「(導電性耐熱樹脂層(2))」の箇所でも触れたように、導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を粗面化してから外層(3)を形成するようにすることもできる。)
参考例1 (ポリイミドワニスの調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PPD)をN−メチピロリドン(NMP)中で重合反応して固形分濃度18質量%のポリアミック酸溶液(20℃での溶液粘度 110 Pa・s)を得た。
参考例2 (導電性耐熱樹脂層用ペーストの調製)
トリメリット酸無水物(TMA)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をNMP中で重合反応して得られる固形分濃度30質量%のポリアミドイミドワニス(20℃での溶液粘度4.1Pa・s)に各種導電性微粒子を所定量配合し導電性耐熱樹脂層用ペーストA〜Cを得た。また、BPDAと4,4’−オキシジアニリン(ODA)とをNMP中で重合反応して得られる固形分濃度25質量%のポリアミック酸溶液(20℃での溶液粘度 5.3Pa・s)に導電性微粒子を所定量配合し、導電性耐熱樹脂層用ペーストDを得た。さらに、BPDAとPPDとをNMP中で重合反応して得られる固形分濃度25質量%のポリアミック酸溶液(20℃での溶液粘度 5.1Pa・s)に導電性微粒子を所定量配合し、導電性耐熱樹脂層用ペーストEを得た。
ここで得られた導電ペーストを纏めて表−1に示す。
なお、表の配合量は総固形分(導電性微粒子+ポリアミドイミドまたはポリアミック酸)に対する導電性微粒子の体積%を表わす。 また、「銀メッキ銅」とは銅微粒子の表面に銀メッキを施すことにより、銅微粒子の表面一部または全部を銀で被覆したものを言い、被覆量は銅に対し約10質量%である。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PPD)をN−メチピロリドン(NMP)中で重合反応して固形分濃度18質量%のポリアミック酸溶液(20℃での溶液粘度 110 Pa・s)を得た。
参考例2 (導電性耐熱樹脂層用ペーストの調製)
トリメリット酸無水物(TMA)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をNMP中で重合反応して得られる固形分濃度30質量%のポリアミドイミドワニス(20℃での溶液粘度4.1Pa・s)に各種導電性微粒子を所定量配合し導電性耐熱樹脂層用ペーストA〜Cを得た。また、BPDAと4,4’−オキシジアニリン(ODA)とをNMP中で重合反応して得られる固形分濃度25質量%のポリアミック酸溶液(20℃での溶液粘度 5.3Pa・s)に導電性微粒子を所定量配合し、導電性耐熱樹脂層用ペーストDを得た。さらに、BPDAとPPDとをNMP中で重合反応して得られる固形分濃度25質量%のポリアミック酸溶液(20℃での溶液粘度 5.1Pa・s)に導電性微粒子を所定量配合し、導電性耐熱樹脂層用ペーストEを得た。
ここで得られた導電ペーストを纏めて表−1に示す。
なお、表の配合量は総固形分(導電性微粒子+ポリアミドイミドまたはポリアミック酸)に対する導電性微粒子の体積%を表わす。 また、「銀メッキ銅」とは銅微粒子の表面に銀メッキを施すことにより、銅微粒子の表面一部または全部を銀で被覆したものを言い、被覆量は銅に対し約10質量%である。
実施例1 (積層ベルトの成形)
前記ポリアミック酸溶液をアルミニウム製の円筒型(外径30mm、長さ500mm)の外側に硬化後の厚みが約60μmとなるように均一に塗布した。 しかる後、回転させながら、金型の外側から80℃の熱風を30分間あてたのち、130℃で30分加熱してNMPを除去し半硬化状態とした。
前記半硬化状態のポリイミド塗膜表面に硬化後の厚みが約8μmとなるように前記導電性耐熱樹脂層用ペーストA〜Dを各々均一に塗布した後、130℃で30分加熱して、NMPを除去した。しかる後、脱型したベルトを鉄芯に被せて、窒素気流中で350℃まで昇温してポリイミド及びポリアミドイミドの硬化を行った後脱型して、導電性耐熱樹脂層が積層された4種類のポリイミドベルトを得た。 得られたベルトの厚さは各々約68μmであった。
次に、導電性耐熱樹脂層を積層したポリイミドベルトの表面を粗面化した物を陰極として用い、純銅板を陽極として銅電解めっきを行い、導電性耐熱樹脂層の表面に銅層を形成した。 銅層の厚みは約10μmであった 。さらに、ニッケル電解めっきを行い、銅層の表面に厚み1μmのニッケル層を形成することにより、積層ベルトA1〜D1を得た。
比較例1 (積層ベルトの成形)
ポリイミドをベルト状に成形する際、半硬化状態したのち、さらに350℃まで加熱して、完全硬化した以外は実施例1と同様にして、積層ベルトA2〜D2を得た。
比較例2 (積層ベルトの成形)
導電性耐熱樹脂層用ペーストとして前記Eを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層ベルトE2を得た。
実施例5 (積層ベルトの評価)
実施例1および比較例1〜2で得られた積層ベルトの各層間の接着強度を測定した。接着強度は、前記したように、テンシロンテスター(インテスコ社製の精密万能材料試験機2020型)を用いて、試験片の剥離部を180°方向に50mm/minの速度で引っ張り、接着界面の接着強度を求めた。
また、実施例1および比較例1〜2で得られた積層ベルトを100℃の温度で一定の力を加えながら、100回繰り返し屈曲させて、谷層間の密着性を覡察し、剥離しなかった場合を○、剥離した場合を×とした。
これらの結果を纏めて表2にしめす。
実施例1で得られた積層ベルトA1〜D1は各層間の接着強度が5N/cm以上であり、そのために繰り返し屈曲後に剥離することはなかった。 これに対し、比較例1〜2で得られた積層ベルトA2〜E2はポリイミド層/導電性耐熱樹脂層または導電性耐熱樹脂層/銅層界面で剥離が認められた。
前記ポリアミック酸溶液をアルミニウム製の円筒型(外径30mm、長さ500mm)の外側に硬化後の厚みが約60μmとなるように均一に塗布した。 しかる後、回転させながら、金型の外側から80℃の熱風を30分間あてたのち、130℃で30分加熱してNMPを除去し半硬化状態とした。
前記半硬化状態のポリイミド塗膜表面に硬化後の厚みが約8μmとなるように前記導電性耐熱樹脂層用ペーストA〜Dを各々均一に塗布した後、130℃で30分加熱して、NMPを除去した。しかる後、脱型したベルトを鉄芯に被せて、窒素気流中で350℃まで昇温してポリイミド及びポリアミドイミドの硬化を行った後脱型して、導電性耐熱樹脂層が積層された4種類のポリイミドベルトを得た。 得られたベルトの厚さは各々約68μmであった。
次に、導電性耐熱樹脂層を積層したポリイミドベルトの表面を粗面化した物を陰極として用い、純銅板を陽極として銅電解めっきを行い、導電性耐熱樹脂層の表面に銅層を形成した。 銅層の厚みは約10μmであった 。さらに、ニッケル電解めっきを行い、銅層の表面に厚み1μmのニッケル層を形成することにより、積層ベルトA1〜D1を得た。
比較例1 (積層ベルトの成形)
ポリイミドをベルト状に成形する際、半硬化状態したのち、さらに350℃まで加熱して、完全硬化した以外は実施例1と同様にして、積層ベルトA2〜D2を得た。
比較例2 (積層ベルトの成形)
導電性耐熱樹脂層用ペーストとして前記Eを使用した以外は、実施例1と同様にして、積層ベルトE2を得た。
実施例5 (積層ベルトの評価)
実施例1および比較例1〜2で得られた積層ベルトの各層間の接着強度を測定した。接着強度は、前記したように、テンシロンテスター(インテスコ社製の精密万能材料試験機2020型)を用いて、試験片の剥離部を180°方向に50mm/minの速度で引っ張り、接着界面の接着強度を求めた。
また、実施例1および比較例1〜2で得られた積層ベルトを100℃の温度で一定の力を加えながら、100回繰り返し屈曲させて、谷層間の密着性を覡察し、剥離しなかった場合を○、剥離した場合を×とした。
これらの結果を纏めて表2にしめす。
実施例1で得られた積層ベルトA1〜D1は各層間の接着強度が5N/cm以上であり、そのために繰り返し屈曲後に剥離することはなかった。 これに対し、比較例1〜2で得られた積層ベルトA2〜E2はポリイミド層/導電性耐熱樹脂層または導電性耐熱樹脂層/銅層界面で剥離が認められた。
このように、各層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層を設けることにより、耐久性に優れた積層ベルトを得ることが出来る。 この積層ベルトは例えば、電磁誘導発熱を利用した定着用ベルトの主要構成層となる積層ベルトとして好適に用いることが出来る。
本発明の積層ベルトは、電磁誘導発熱用のベルト(たとえば、複写機、ファクシミリ、プリンタ、あるいはそれらの複合機のような画像形成装置の定着用ベルト)の主要構成層として有用である。
Claims (2)
- 内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属である積層ベルトであって、かつ前記の内層(1)と外層(3)との間にそれら両層間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)が設けられていること、を特徴とする積層ベルト。
- 内層(1)がポリイミド樹脂からなる基体層であり、外層(3)が金属層であるベルトを製造するにあたり、前記の内層(1)と外層(3)との間の接着層の役割を果たす導電性耐熱樹脂層(2)をまず前記の内層(1)の外表面に形成し、ついでその導電性耐熱樹脂層(2)の外表面を電解メッキして前記の外層(3)を形成すること、を特徴とする積層ベルトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012204970A JP2014048658A (ja) | 2012-08-30 | 2012-08-30 | 積層ベルトおよびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9494902B2 (en) | 2014-12-02 | 2016-11-15 | Ricoh Company, Ltd. | Fixing belt, fixing device, and image forming apparatus |
JP2019077920A (ja) * | 2017-10-25 | 2019-05-23 | 小島プレス工業株式会社 | 金属調加飾部品及びその製造方法 |
-
2012
- 2012-08-30 JP JP2012204970A patent/JP2014048658A/ja active Pending
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