JP6590568B2 - 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法 - Google Patents

絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6590568B2
JP6590568B2 JP2015145315A JP2015145315A JP6590568B2 JP 6590568 B2 JP6590568 B2 JP 6590568B2 JP 2015145315 A JP2015145315 A JP 2015145315A JP 2015145315 A JP2015145315 A JP 2015145315A JP 6590568 B2 JP6590568 B2 JP 6590568B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyimide
layer
insulating film
film
fluororesin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015145315A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017024265A (ja
Inventor
富美弥 河野
富美弥 河野
雅義 清水
雅義 清水
多和田 誠
誠 多和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2015145315A priority Critical patent/JP6590568B2/ja
Publication of JP2017024265A publication Critical patent/JP2017024265A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6590568B2 publication Critical patent/JP6590568B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本技術は、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を有するポリイミド接着フィルムとフッ素樹脂層を積層して得られる絶縁性フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、エレクトロニクス製品の高密度化、高周波化にともない、これらに対応したプリント基板の需要が伸びている。これらのプリント基板の中でも、フレキシブル配線板の需要が特に伸びている。フレキシブル配線板は、フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する。FPCは、絶縁性フィルム上に銅箔などの導体を有するフレキシブル金属張積層体に、回路を形成された構造を有している。エレクトロニクス製品の高密度化、高周波化に対応するために、絶縁性フィルムには、これまで従来の金属張積層体に求められてきた引き剥がし強度や寸法安定性といった特性に加えて、誘電率や誘電正接、吸水率が低いことが求められる。
上記従来の金属張積層体は、一般にポリイミド材料を含む絶縁材料が使用される。絶縁材料は柔軟性を有する高耐熱性ポリイミドフィルムを基板(以下、コア層ともいう)とし、この基板の表面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を有する。さらに接着層を介して金属箔を加熱・圧着して貼りあわせる方法により、フレキシブル配線板が製造される。このような接着層を有する絶縁性フィルムの製造方法としては、種々の方法が提案されているが、高耐熱性ポリイミドフィルムの両面に接着層を含む溶液を塗工、乾燥して製造される方法、もしくは、高耐熱性ポリイミド溶液もしくはその前駆体溶液と、熱可塑性ポリイミド溶液ももしくはその前駆体溶液とを、多層押出ダイスに供給して同時に流延する共押出−流延塗布法が、広く知られている。
さらに高周波信号に対応するために必要な誘電率や誘電正接などの特性や、低吸水率などの特性を満たすため、様々な新しい絶縁材料が提案されている。なかでもフッ素材料はこれまで使われてきたポリイミド材料よりも低い誘電率、誘電正接、吸水率を示すことから、従来用いられてきたポリイミド材料と組み合わせて、FPC向け絶縁材料に用いられる試みがされてきた。特許文献1〜3では、フッ素樹脂層の両面にポリイミド材料を有する積層体やそれらを用いて銅箔を張り合わせた銅張積層板が開示されている。
特開2011−51203 特開2005−310973 WO2014/106930
これらの銅張積層板を製造する際には、用いるフッ素樹脂の融点以上の温度で熱プレスを行うことにより、ポリイミド材料と銅箔およびフッ素樹脂層との密着性が高い銅張積層体が製造できる。しかしながら、これらの先行技術文献に開示されている積層体や銅張積層板の製造方法は枚葉フィルムを熱プレスする方法(バッチ式)であって連続的に製造できるものではなく、その製造に要する時間も熱プレスに30分以上もかかるなど生産性にも課題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、高周波信号に対応した材料であって高い接着性も発現するとともに、かつFPC加工工程にも適応できる金属張積層板用絶縁性フィルム、およびその連続製造が可能である絶縁性フィルムの製造方法に関するものである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を有するポリイミド接着フィルムを、フッ素樹脂層の両面に積層して得られる絶縁性フィルムについて、熱可塑性ポリイミドとフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点より、高い温度で貼り合わせることにより、寸法安定性や電気特性だけではなく引き剥がし強度も改善されたFPC加工工程にも適応できる金属張積層板用絶縁性フィルム、および絶縁性フィルムを連続的に製造できる製造方法を独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを含む絶縁性フィルムであって、ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含み、熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接していることを特徴とする絶縁性フィルムに関する。
本発明の別の態様は、フッ素樹脂層が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含むフッ素樹脂からなる事を特徴とする絶縁性フィルムに関する。
本発明の別の態様は、熱可塑性ポリイミド層が、少なともピロメリット酸二無水物またはビフェニルテトラカルボン酸二無水物のいずれか一方を含む酸二無水物と、少なとも1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンまたは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンのいずれか一方を含むジアミンとの反応により得られるポリイミドを含むことを特徴とする絶縁性フィルムに関する。
本発明の別の態様は、絶縁性フィルムの10GHzの誘電率が2.1〜3.2、かつ、誘電正接が0.0002〜0.015であることを特徴とする絶縁性フィルムに関する。
本発明の別の態様は、絶縁性フィルムを金属箔と張り合わせた金属張積層板の引き剥がし強度が、2.0N/cm以上、かつ、金属張積層板をエッチングして得られる絶縁性フィルムの寸法変化率が−0.05%〜0.05%であることを特徴とする絶縁性フィルムに関する。
本発明の別の態様は、絶縁性フィルムの両面に導体を有する金属張積層板に関する。
本発明の別の態様は、フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを張り合わせた絶縁性フィルムの製造方法であって、
ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有し、
熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接するように少なくとも一対の加熱ロールを用いて張り合わせ、
加熱ロールの温度が熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃とし、5℃<(T2−T1)℃<100℃であることを特徴とする絶縁性フィルムの製造方法に関する。
本発明の別の態様は、絶縁性フィルムの両面に金属箔を貼り合わせて得られる金属張積層板の製造方法に関する。
本発明によれば、エレクトロニクス製品の高密度化、高周波化に対応でき、かつFPC加工特性にも優れた積層フィルム及びその製造方法が提供可能となる。
本発明に用いられる熱ラミネート機の好ましい一例を示す概念断面図である。 本発明によって製造される絶縁性フィルムの模式的な拡大図の一例である。 本発明によって製造される金属張積層板の模式的な拡大図の一例である。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できる。
なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)、B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
<高耐熱性ポリイミド層>
本発明に係る高耐熱性ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド樹脂を90重量%以上含有すれば、その分子構造、厚みは特に限定されない。
高耐熱性ポリイミド層に用いられる非熱可塑性ポリイミドは、ポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。
ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物(以下、酸二無水物ともいう)と芳香族ジアミン(以下、ジアミンともいう)を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5重量%〜35重量%、好ましくは10重量%〜30重量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の重合における重合方法の特徴はそのモノマーの添加順序にあり、このモノマー添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
本発明において、上記のいかなる重合方法を用いて得られたポリアミド酸を用いても良く、重合方法は特に限定されるのもではない。
本発明において、後述する剛直構造を有するジアミン成分を用いてプレポリマーを得る重合方法を用いることも好ましい。本方法を用いることにより、弾性率が高く、吸湿膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得やすくなる傾向にある。本方法においてプレポリマー調製時に用いる剛直構造を有するジアミンと酸二無水物のモル比は100:70〜100:99もしくは70:100〜99:100、さらには100:75〜100:90もしくは75:100〜90:100が好ましい。この比が上記範囲を下回ると弾性率および吸湿膨張係数の改善効果が得られにくく、上記範囲を上回ると線膨張係数が小さくなりすぎたり、引張伸びが小さくなるなどの弊害が生じることがある。
ここで、本発明にかかるポリアミド酸組成物に用いられる材料について説明する。
本発明において用いられるポリアミド酸を構成する酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)およびそれらの類似物が挙げられ、これらを単独または、任意の割合の混合物を使用することができる。
これら酸二無水物の中で、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
またこれら酸二無水物の中で、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いる場合の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して、60モル%以下、好ましくは55モル%以下、更に好ましくは50モル%以下である。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも一種を用いる場合、その使用量がこの範囲を上回るとポリイミドフィルムのガラス転移温度が低くなりすぎたり、熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜そのものが困難になったりすることがあるため好ましくない。
また、ピロメリット酸二無水物を用いる場合、好ましい使用量は40モル%〜100モル%、更に好ましくは45モル%〜100モル%、特に好ましくは50モル%〜100モル%である。ピロメリット酸二無水物をこの範囲で用いることによりガラス転移温度および熱時の貯蔵弾性率を使用または製膜に好適な範囲に保ちやすくなる。
本発明にかかる非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を構成するジアミンの例としては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、およびそれらの類似物などが挙げられ、これらを単独または、任意の割合の混合物を使用することができる。
ジアミンとして、剛直構造を有するジアミンと柔構造を有するジアミンを併用することもできる。その場合の好ましい使用比率は、モル%比で80/20〜20/80、さらには70/30〜30/70、特には60/40〜30/70である。剛構造のジアミンの使用比率が上記範囲を上回ると得られるフィルムの引張伸びが小さくなる傾向にあり、またこの範囲を下回るとガラス転移温度が低くなりすぎたり、加熱時の貯蔵弾性率が低くなりすぎて製膜が困難になる場合がある。
本発明において、剛直構造を有するジアミンとは、下記一般式(1)
(ただし、式中のRは、下記一般式群(1)
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のRは同一または異なっていてもよく、H−、CH−、−OH、−CF、−SO、−COOH、−CO-NH、Cl−、Br−、F−およびCHO−からなる群より選択される何れかの1つの基である。)
で表されるものをいう。
また、柔構造を有するジアミンとは、エーテル基、スルホン基、ケトン基、スルフィド基などの柔構造を有するジアミンであり、好ましくは、下記一般式(2)で表されるものである。
(ただし、式中のRは、下記一般式群(2)
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のRは同一または異なっていてもよく、H−、CH−、−OH、−CF、−SO、−COOH、−CO-NH、Cl−、Br−、F−、およびCHO−からなる群より選択される何れかの1つの基である。)
本発明において用いられる高耐熱性ポリイミド層に含まれる非熱可塑性ポリイミド樹脂は、上記の範囲の中で所望の特性を有するように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができる。例えば、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜75μm、更に好ましくは0.1μm〜50μm、特に好ましくは0.1μm〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01重量部〜100重量部、好ましくは0.01重量部〜90重量部、更に好ましくは0.02重量部〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。フィラーの添加は、
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
このようにして得られた非熱可塑性ポリイミドの前駆体を有する溶液を、高耐熱性ポリイミドの前駆体を含む溶液ともいう。
<熱可塑性ポリイミド層>
本発明に係る熱可塑性ポリイミド層は、導体層との接着力や好適な線膨張係数など、所望の特性を発現できれば、当該層に含まれる熱可塑性ポリイミドの含有量、分子構造、厚みは特に限定されない。しかしながら、有為な接着力や好適な線膨張係数などの所望の特性の発現のためには、実質的には熱可塑性ポリイミドを50wt%以上含有することが好ましい。
熱可塑性ポリイミド層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。中でも、寸法安定性、密着性の点から、熱可塑性ポリイミドが特に好適に用いられる。
本発明に係る熱可塑性ポリイミド層に含有される熱可塑性ポリイミドは、その前駆体のポリアミド酸からの転化反応により得られる。該ポリアミド酸の製造方法としては、非熱可塑性ポリイミドの前駆体、すなわち高耐熱性ポリイミド層の前駆体と同様、公知のあらゆる方法を用いることができる。
また、導体層との接着力を発現し、かつかつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150℃〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体のポリアミド酸についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。ポリアミド酸溶液の製造に関しても、前記非熱可塑性ポリイミドの前駆体の製造に用いられる酸二無水物およびジアミンなどの原料、溶媒、および前記製造条件等を全く同様に用いることができる。
なお、熱可塑性ポリイミドは、使用する原料を種々組み合わせることにより、諸特性を調節することができるが、一般に剛直構造のジアミン使用比率が大きくなるとガラス転移温度高くなったり、熱時の貯蔵弾性率が大きくなって、接着性・加工性が低くなるため好ましくない。剛直構造のジアミン比率は好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。
好ましい熱可塑性ポリイミドの具体例としては、ピロメリット酸二無水物やビフェニルテトラカルボン酸二無水物類を含む酸二無水物とアミノフェノキシ基を有するジアミンを重合したものが挙げられる。
さらに、本発明に係るポリイミド接着フィルムの特性を制御する目的で、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラー、さらにはその他樹脂を添加しても良い。
<ポリイミド接着フィルムの製造>
本発明のポリイミド接着フィルム(以下、接着フィルムともいう)の製造方法において、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する層を設ける手段については特に限定されず、従来公知の方法が使用できる。例を挙げると、(i)コア層となる耐熱性ポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、(ii)コア層と接着層を多層押出し等で同時成形する方法等が好適に例示される。
前記(i)の手段で接着フィルムを製造する場合、例えばコア層となる耐熱性ポリイミドフィルムに接着層となる熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を塗工した後、まず接着剤溶液中の有機溶剤を大部分除去するため、比較的低い温度で加熱を行う。この段階での温度は50℃〜200℃の範囲が好ましい。次に、接着層中に僅かに残った溶剤の除去と、接着層中の熱可塑性ポリイミドのイミド化を行うため、高い温度で加熱を行う。この段階での温度は250℃以上が好ましい。接着層中に溶剤が殆ど残っていない場合、この段階で熱可塑性ポリイミドの融点以上の温度をかけて加熱を行い、溶剤除去、接着層中の熱可塑性ポリイミドのイミド化、接着層の融解を一工程でまとめて行っても良い。熱可塑性ポリイミドの融点以上の温度はかなり高温であるため、加熱後に急冷すると接着フィルムの急激な収縮が起こり、外観が悪化する可能性があるため、徐々に雰囲気温度を下げて徐冷する方が好ましい。
前記(ii)の手段で接着フィルムを製造する場合、コア層と接着層を多層押出し等で同時成形した後、加熱して溶剤除去、接着層のイミド化、接着層の融解を行う。温度ステップについては(i)と同様にして行えば良い。
前記加熱手段としては特に制限されず、例えば、熱風方式、遠赤外線方式のどちらを用いても良く、さらに両者を併用しても良い。また、加熱方法についても、バッチ処理、連続処理のどちらを用いても良いが、接着フィルムの生産性の観点からすると、連続処理が好ましい。
一般的にポリイミドは、ポリイミドの前駆体、即ちポリアミド酸からの脱水転化反応により得られ、当該転化反応を行う方法としては、熱によってのみ行う熱キュア法と、化学硬化剤を使用する化学キュア法の2種類の製造方法が最も広く知られている。本発明に係る接着フィルムおよびその製造方法では、いずれを採用しても構わないが、製造効率を考慮すると、高耐熱性ポリイミド層には化学キュア法を採用する方が特に好ましい。
ここで、化学硬化剤とは、化学脱水剤および触媒を含むものである。ここでいう化学脱水剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤であり、その主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。その中でも特に、脂肪族酸無水物および芳香族酸無水物が良好に作用する。化学脱水剤の好適な導入量は、化学脱水剤を含有せしめる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.5モル〜4.0モル、好ましくは0.7モル〜4.0モル、特に好ましくは1.0モル〜4.0モルである。前記範囲を超えると、各層の間に溶剤が溜まり、層間で剥離を生じることがある。また、前記範囲を下回ると、硬化速度が充分でない場合がある。
また、触媒とは化学脱水剤のポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であるが、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。そのうち、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの含窒素複素環化合物であることが好ましい。さらに、化学脱水剤および触媒からなる溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択されうる。触媒の好適な導入量は、触媒を含有せしめる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.05〜2.0モル、好ましくは0.1〜2.0モル、特に好ましくは0.2〜2.0モルである。前記範囲を超えると、ポリイミド層に触媒が残存し、長期耐熱性に劣る場合がある。また、前記範囲を下回ると、硬化速度が充分でないことがある。
化学硬化剤を導入するポリイミド前駆体は、何れの層を構成するものであっても本発明の効果を好適に発現しうるが、高耐熱性ポリイミド層のみに化学硬化剤を導入する方法が、装置の簡略化、ポリイミド層の物性に関して最も好ましい結果を享受可能であることから望ましい。
<フッ素樹脂層>
本発明に使用されるフッ素樹脂層は、本発明に用いられる熱可塑性ポリイミド層に対して接着性を有し、また融点を有するものであれば特に制限されない。フッ素樹脂層に含まれるフッ素樹脂は、特に制限されることはなく、またはフィルム形状のものであって、ディスパージョン状態ものであっても、その他の形状、状態であっても層を形成することができれば適用可能である。例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体等が挙げられる。誘電特性や接着性の観点から、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、または、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましい。
フッ素樹脂層の表面は、熱可塑性ポリイミド層との接着性を高めるためにコロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の表面処理が施されていてもよい。フッ素樹脂層の厚さは特に制限はされないが、導体層との線膨張係数を合わせるために適した厚みとすることや、ポリイミド接着性フィルムと積層して絶縁性フィルムを形成した後の寸法変化率や誘電率・誘電正接などを最適とするに決定することが好ましい。例えば、フッ素樹脂層の厚みを100%とした場合にポリイミド絶縁性フィルムの厚みは50%〜240%であることが好ましく、100%〜190%であることがより好ましく、130%〜160%であることがさらに好ましい。
<絶縁性フィルム>
本発明における絶縁性フィルムは、フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを含む絶縁性フィルムであって、様々な製造方法が挙げられる。例えば、(A)ポリイミド接着フィルムとフッ素樹脂フィルムを貼り合わせる方法、(B)ポリイミド接着フィルムの片面にフッ素樹脂を含むディスパージョンを塗工し、乾燥してフッ素樹脂層を形成し、フッ素樹脂層の上にポリイミド接着性フィルムを貼り合わせる方法などが挙げられる。
(A)の方法については、例えば、
(A1)高耐熱性ポリイミド層の両面に熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミド接着フィルムによりフッ素樹脂フィルムの両面を挟み込むように貼り合わせる方法
(A2)高耐熱性ポリイミド層の片面に熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミド接着フィルムによりフッ素樹脂フィルムの両面を挟み込み、その際熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂フィルムと接するように設置する方法
(A3)フッ素樹脂フィルムの両面に熱可塑性ポリイミドを含む溶液を塗工後、乾燥して熱可塑性ポリイミド層を形成し、その両面に耐熱性ポリイミドフィルムを貼り合わせたり、耐熱性ポリイミドの前駆体の溶液を塗工後、乾燥して耐熱性ポリイミド層を形成する方法
などが挙げられる。これらの方式のうち、工程の簡略さから、(A1)の方法が好ましい。また、(A1)の方法で貼り合わせる際は、少なくとも一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、加熱および加圧条件下において貼り合わせる方法がより好ましい。十分な引き剥がし強度を得るには、熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃としたとき、5℃<(T2−T1)℃<100℃を満足することが好ましい。
(B)の方法については、前記フッ素樹脂を水または有機溶剤に分散したものを用いることができる。具体的には、ディスパージョンを塗布する場合は、上記フッ素系樹脂のディスパージョンを調製する。ここで用いられるディスパージョンの固形成分濃度は、特に制限されないが、10重量%〜70重量%が取り扱いの面において好ましく用いられる。ディスパージョンの場合は、フッ素樹脂層として使用するための適切な厚みに達するまでディスパージョンを数回塗布することも可能である。
これらのフッ素樹脂層には公知の方法で無機あるいは有機物のフィラー等を添加しても良い。また、フッ素樹脂の表面やポリイミドフィルムとの接着面にコロナ放電処理やプラズマ放電処理、プライマー処理などの公知の表面処理を施しても良い。
金属張積層板に含まれる絶縁性フィルムの誘電率については、2.1〜3.2であることが好ましい。また、絶縁性フィルムの誘電正接は0.0002〜0.015であることが好ましい。ポリイミド樹脂層の誘電率および誘電正接が上記範囲であると、これを含む金属張積層板やフレキシブルプリント配線板等を流れる電気信号の減衰が抑制され、電気特性が向上する。
<金属張積層板の製造方法>
本発明の絶縁性フィルムは、FPCとして用いるため、絶縁性フィルムの両面に導体を有する金属張積層板に加工するが、導体層をどのように付与するかについては特に制限されない。一般的には、絶縁性フィルムと箔状態の導体層(以下、金属箔ともいう)を熱ラミネートする方法や、絶縁性フィルムにスパッタ法や真空蒸着法などの方法で導体層を付与する方法が挙げられる。工程の簡略さから、絶縁性フィルムの両面に金属箔を設置した後、熱ラミネートする方法が好ましい。また、絶縁性フィルムを製造する際に、ポリイミド接着フィルムでフッ素樹脂フィルムの両面を挟み込むように熱ラミネートする方法を採用する場合は、工程の簡略さから、金属箔も同時に熱ラミネートする方法が好ましい。
本発明における導体は、電気抵抗の小さい金属もしくは金属酸化物であれば特に制限はないが、銀や銅などの電気抵抗のより小さい金属が好ましく、価格や汎用性の点から銅であることが更に好ましい。
以下に、フッ素樹脂フィルムの両面にポリイミド接着フィルムと銅箔を同時に熱ラミネートする方法について説明する。
金属張積層板で用いられる銅箔は、厚みは1μm〜25μmを用いることができる。この厚みである場合、金属張積層板の強度や柔軟性が良好であるために好ましい。また、銅箔は圧延銅箔、電解銅箔などのいずれを用いても良い。
フッ素樹脂フィルム、ポリイミド接着フィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、少なくとも一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置、またはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、少なくとも一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。
ここでいう「少なくとも一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための加熱ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
なお、フッ素樹脂フィルム、ポリイミド接着フィルムと金属箔とを熱ラミネートにより貼り合わせる工程を、以下、「熱ラミネート工程」と称する。
上記熱ラミネートを実施する手段(以下、「熱ラミネート手段」ともいう)の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加熱ロールの加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。
上記保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうる材料、例えば、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等が挙げられる。中でも、耐熱性、再使用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルム、もしくは、ガラス転移温度(Tg)がラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなるフィルムが好ましく用いられる。熱可塑性ポリイミドを使用する場合、上記の条件を満たすものを選択することによって、熱可塑性ポリイミドのロールへの付着を防ぐことができる。
また、保護材料の厚みが薄いと、ラミネート時の緩衝並びに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
また、この保護材料は、必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の三層構造でもよい。
また、ラミネート温度が高温の場合、保護材料をそのままラミネートに用いると、急激な熱膨張により、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法安定性が充分でない場合がある。従って、ラミネート前に、保護材料に予備加熱を施すことが好ましい。このように、保護材料の予備加熱を行った後、ラミネートする場合、保護材料の熱膨張が終了しているため、フレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性に影響を与えることが抑制される。
予備加熱の手段としては、保護材料を加熱ロールに抱かせるなどして接触させる方法が挙げられる。接触時間としては、1秒間以上が好ましく、3秒間以上がさらに好ましい。接触時間が上記よりも短い場合、保護材料の熱膨張が終了しないままラミネートが行われるため、ラミネート時に保護材料の急激な熱膨張が起こり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性が悪化することがある。保護材料を加熱ロールに抱かせる距離については、特に限定されず、加熱ロールの径と上記接触時間から適宜調整すればよい。
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は、特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱しうる従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も、特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂フィルムの融点の両方より高い温度である必要がある。もし、いずれかもしくは両方の融点よりも低い温度でラミネートを行った場合は、密着するものの引き剥がし強度が低い、もしくは全く密着しない。一方で、融点よりもはるかに高い温度でラミネートを行うと、密着はするものの元のフィルムの厚みよりも薄くなり、ロールフィルムの端部からはみ出した樹脂がロールに付着し、生産性が低下する場合がある。十分な引き剥がし強度を得つつ所望の銅張積層板を得るには、熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃としたとき、5℃<(T2−T1)℃<100℃を満足することが好ましい。
加熱ロールへの接触時間は、0.1秒間以上が好ましく、より好ましくは0.2秒間以上、0.5秒間以上が特に好ましい。接触時間が上記範囲より短い場合、緩和効果が十分に発生しない場合がある。接触時間の上限は、5秒間以下が好ましい。5秒間よりも長く接触させても緩和効果が、より大きくなるわけではなく、ラミネート速度の低下やラインの取り回しに制約が生じるため好ましくない。
また、ラミネート後に加熱ロールに接触させて徐冷を行ったとしても、依然としてフレキシブル金属張積層板と室温との差は大きく、また、残留歪みを緩和しきれていない場合もある。そのため、加熱ロールに接触させて徐冷した後のフレキシブル金属張積層板は、保護材料を配したままの状態で、後加熱工程を行うことが好ましい。この際の張力は、1N/cm〜10N/cmの範囲とすることが好ましい。また、後加熱の雰囲気温度は(温度−200℃)〜(ラミネート温度+100℃)の範囲とすることが好ましい。
ここでいう「雰囲気温度」とは、フレキシブル金属張積層板の両面に密着させている保護材料の外表面温度をいう。実際のフレキシブル金属張積層板の温度は、保護材料の厚みによって多少変化するが、保護材料表面の温度を上記範囲内にすれば、後加熱の効果を発現させることが可能である。保護材料の外表面温度測定は、熱電対や温度計などを用いて行うことができる。
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.1m/分以上であることが好ましく、0.3m/分以上であることがより好ましい。0.1m/分以上であれば、十分な熱ラミネートが可能になり、さらに、0.3m/分以上であれば、生産性をより一層向上することができる。
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般に、ラミネート圧力が高すぎると、得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。逆に、ラミネート圧力が低すぎると、得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのため、ラミネート圧力は、10kgf/cm〜50kgf/cmの範囲内であることが好ましく、20kgf/cm〜40kgf/cmの範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度、およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01N/cm〜4N/cmの範囲内であることが好ましく、0.02N/cm〜2.5N/cmの範囲内であることがより好ましく、0.05N/cm〜1.5N/cmの範囲内であることが特に好ましい。張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時に、たるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために、外観の好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となることがある。逆に、上記範囲を上回ると、接着層のTgと貯蔵弾性率の制御では緩和できないほど張力の影響が強くなり、寸法安定性が劣ることがある。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましい。さらに、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。
上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。
また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
本発明にかかる製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔を除去する前後の寸法変化率、並びに金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向から右45度方向および左45度方向共に−0.05〜+0.05の範囲にあることが非常に好ましい。金属箔除去前後の寸法変化率は、エッチング工程前のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法およびエッチング工程後の所定の寸法の差分と、上記エッチング工程前の所定の寸法との比で表される。加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法の差分と、上記加熱工程前の所定の寸法との比で表される。
寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、微細な配線を形成した後、並びに部品搭載時の寸法変化が大きくなってしまい、設計段階での部品搭載位置からずれる場合がある。その結果、実装する部品と基板とが良好に接続されなくなるおそれがある。換言すれば、寸法変化率が上記範囲内であれば、部品搭載に支障がないと見なすことが可能になる。
上記寸法変化率の測定方法は特に限定されるものではなく、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。
なお、寸法変化率を測定する際のエッチング工程の具体的な条件は特に限定されるものではない。すなわち、金属箔の種類や形成されるパターン配線の形状等に応じてエッチング条件は異なるので、本発明において寸法変化率を測定する際のエッチング工程の条件は従来公知のどのような条件であってもよい。同様に、加熱工程においても、250℃で30分間加熱がなされれば良く、具体的な条件は特に限定されない。
本発明にかかる製造方法によって得られるフレキシブル金属張積層板は、前述したように、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下に、本発明を実施例をあげて具体的に説明するが、本実施例は本発明を限定するものではない。
(引き剥がし強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、3mm幅の金属箔部分を、90度の剥離角度、200mm/分の条件で剥離し、その荷重(N/cm)を測定した。
(寸法変化率)
JIS C6481 5.16に基づいて、フレキシブル配線板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル配線板から金属箔を全面除去した後に、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D3−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向から右45度方向および左45度方向の双方について測定した。
(誘電率、誘電正接)
誘電率と誘電正接は、ネットワークアナライザ8719C(HEWLETTPACKARD社製)と空洞共振器振動法誘電率測定装置CP511(株式会社関東電子応用開発製)を用いて測定した。測定するフィルムを2mm×100mmに切り出し、23℃/55%RH環境下で24時間調湿後に測定を行った。測定は10GHzで行った。
(熱可塑性ポリイミドの融点)
合成例で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体溶液を、18μm圧延銅箔(BHY−22B−T、日鉱金属製)のシャイン面に、最終厚みが20μmとなるように流延し、130℃で3分間、200℃で2分間、250℃で2分間、300℃で2分間、350℃で1分間乾燥を行った。乾燥後、エッチングにより銅箔を除去し、50℃で30分間乾燥させて熱可塑性ポリイミドの単層シートを得た。
得られた熱可塑性ポリイミドの単層シートを用いて、セイコーインスツルメンツ社製 DSC220により、アルミをリファレンスとして使用し、昇温速度10℃/分、降温速度40℃/分にて、0℃から450℃の範囲で測定し、2回目の昇温工程での吸熱チャートのピークを融点とした。
(フッ素樹脂フィルムの融点〕
フッ素樹脂フィルムをセイコーインスツルメンツ社製 DSC220により、アルミをリファレンスとして使用し、昇温速度10℃/分、降温速度40℃/分にて、0℃から450℃の範囲で測定し、2回目の昇温工程での吸熱チャートのピークを融点とした。
(合成例1:熱可塑性ポリイミド系の前駆体溶液の合成)
容量350Lの反応槽に、ジメチルホルムアミド(DMF)を248kg、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を17.5kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)を17.1kg徐々に添加した。0.5kgのBPDAを10kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が400ポイズに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例2:熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液の合成)
容量350Lの反応槽に、ジメチルホルムアミド(DMF)を248kg、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を17.5kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を24.0kg徐々に添加した。0.5kgのBPDAを10kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が400ポイズに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例3)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度8.5重量%になるまでDMFで希釈した後、17μm厚の高耐熱性ポリイミドフィルム(アピカル(登録商標)17FP、カネカ製)の両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層となる)の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて250℃で10秒間、350℃で10秒間、450℃で10秒間、200℃で2秒間加熱を行い、18μm厚の接着フィルムを得た。
(合成例4)
ポリアミド酸溶液として合成例2で作成したものを用いた以外は、合成製3と同様に作成し、接着フィルムを得た。
(金属張積層板の作成)
(実施例1)
図1に示す熱ラミネート機を用いて銅張積層板を製造した。まず、保護フィルム4として200℃〜300℃における線膨張係数が16ppm/℃である125μmの厚みを有するロール状の非熱可塑性ポリイミドフィルムと、金属箔3として18μmの厚みを有するロール状の銅箔と、合成例4で作成したロール状のポリイミド接着フィルム(厚み18μm)2と、ロール状のフッ素樹脂フィルム(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン系共重合体 FEP、ダイキン社製ネオフロン(登録商標)NF−0012、厚さ12.5μm)1を熱ラミネート機に設置した。
次いで、これらのロールを回転させて、除電、異物の除去および予備加熱を行なった後に、保護フィルム4、銅箔3、ポリイミド接着フィルム2、フッ素樹脂層1、ポリイミド接着フィルム2、銅箔3、保護フィルム4を重ねあわせて、一対の加熱ロール5にて、表1に示す熱ラミネート条件(温度:320℃、圧力:32kg/cm、ラミネート速度:0.5m/min)で貼り合わせ、フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルム、銅箔、保護フィルムがこの順序で貼り合わされた多層構造の積層体を作製した。
その後、積層体が徐々に冷却されながら複数のロールを通して搬送され、積層体を25℃まで冷却した後に、保護フィルムを剥離して巻取り6、銅張積層板7を得た。
(実施例2)
フッ素樹脂フィルムとしてテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP、ダイキン社製ネオフロン(登録商標)AF−0012、厚さ12.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
(比較例1)
ポリイミド接着フィルムとして合成例3で作成したポリイミド接着フィルムロール(厚さ18μm)、フッ素樹脂フィルムとしてNF−0012を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
(比較例2)
ポリイミド接着フィルムとして合成例3で作成したポリイミド接着フィルムロール、フッ素樹脂フィルムとしてAF−0012を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
(比較例3)
ポリイミド接着フィルムとして合成例4で作成したポリイミド接着フィルムロール、フッ素樹脂フィルムとしてポリテトラエチレン(PTFE、日東電工製ニトフロン(登録商標)900UL、厚さ12.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
(比較例4)
ポリイミド接着フィルムとして合成例3で作成したポリイミド接着フィルムロール、フッ素樹脂フィルムとしてポリテトラエチレン(PTFE、日東電工製ニトフロン(登録商標)900UL、厚さ12.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
(比較例5)
ラミネート温度を220℃にした以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
(評価結果)
作製した金属張積層板の評価結果を表1および表2に示す。
表1より、加熱ロールの温度が熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃とし、5℃<(T2−T1)℃<100℃である場合に、引き剥がし強度が2N/cm以上となっている事がわかる。また、表2より銅箔を全面エッチング除去して得られたフィルムの寸法変化率は−0.05%〜0.05%に収まっていることが分かる。
1.フッ素樹脂フィルム
2.ポリイミド接着フィルム
3.金属箔
4.保護フィルム
5.加熱ロール
6.保護フィルム(巻取り)
7.金属張積層板
8.熱可塑性ポリイミド層
9.高耐熱性ポリイミド層
10.フッ素樹脂層
11.ポリイミド接着フィルム
12.絶縁性フィルム
13.導体層
14.金属張積層板

Claims (8)

  1. フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを含む絶縁性フィルムであって、
    ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含み、
    熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接しており、
    ポリイミド接着フィルム、フッ素樹脂層、ポリイミド接着フィルムの順で積層されていることを特徴とする絶縁性フィルム。
  2. 前記フッ素樹脂層が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含むフッ素樹脂からなることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁性フィルム。
  3. 前記熱可塑性ポリイミド層が、少なともピロメリット酸二無水物またはビフェニルテトラカルボン酸二無水物のいずれか一方を含む酸二無水物と、少なとも1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンまたは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンのいずれか一方を含むジアミンとの反応物である、ポリイミドを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の絶縁性フィルム。
  4. 絶縁性フィルムの10GHzの誘電率が2.1〜3.2、かつ、誘電正接が0.0002〜0.015であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁性フィルム。
  5. 絶縁性フィルムを金属箔と張り合わせた金属張積層板の引き剥がし強度が、2.0N/cm以上、かつ、金属張積層板をエッチングして得られる絶縁性フィルムの寸法変化率が−0.05%〜0.05%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁性フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁性フィルムの両面に導体を有する金属張積層板。
  7. フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを張り合わせた絶縁性フィルムの製造方法であって、
    ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有しており
    熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接し、ポリイミド接着フィルム、フッ素樹脂層、ポリイミド接着フィルムの順で積層されるように少なくとも一対の加熱ロールを用い、張り合わせ、
    加熱ロールの温度が熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃としたとき、5℃<(T2−T1)℃<100℃を満足することを特徴とする絶縁性フィルムの製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の絶縁性フィルムの両面に金属箔を張り合わせることを特徴とする金属張積層板の製造方法。
JP2015145315A 2015-07-22 2015-07-22 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法 Active JP6590568B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015145315A JP6590568B2 (ja) 2015-07-22 2015-07-22 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015145315A JP6590568B2 (ja) 2015-07-22 2015-07-22 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017024265A JP2017024265A (ja) 2017-02-02
JP6590568B2 true JP6590568B2 (ja) 2019-10-16

Family

ID=57949197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015145315A Active JP6590568B2 (ja) 2015-07-22 2015-07-22 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6590568B2 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102267304B1 (ko) 2016-04-20 2021-06-21 제이에스알 가부시끼가이샤 중합체, 조성물, 성형체, 경화물 및 적층체
JP7301495B2 (ja) * 2017-03-30 2023-07-03 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 金属張積層板及び回路基板
JP7087859B2 (ja) * 2017-09-15 2022-06-21 Jsr株式会社 積層体捲回体
EP3684146A4 (en) 2017-09-15 2021-06-02 JSR Corporation PRINTED CIRCUIT CARD
JP6767602B2 (ja) * 2018-09-25 2020-10-14 株式会社クラレ 金属張積層体の製造方法
JP7446741B2 (ja) 2018-09-28 2024-03-11 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 金属張積層板及び回路基板
JP7093282B2 (ja) * 2018-09-29 2022-06-29 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 金属張積層板及び回路基板
WO2020203206A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 リンテック株式会社 接合方法及び高周波誘電加熱接着シート
KR102272716B1 (ko) * 2019-04-12 2021-07-05 피아이첨단소재 주식회사 치수안정성 및 접착력이 우수한 다층 폴리이미드 필름 및 이의 제조방법
JPWO2020213515A1 (ja) * 2019-04-16 2020-10-22
JP7349302B2 (ja) * 2019-09-17 2023-09-22 日本メクトロン株式会社 フッ素含有コア基材の製造方法およびフレキシブルプリント配線板用基板の製造方法
KR102268708B1 (ko) 2020-09-10 2021-06-25 (주)상아프론테크 동박적층판(ccl)용 저유전 복합필름 및 이를 포함하는 저유전 동박적층판(ccl)
JP7445921B2 (ja) 2020-09-28 2024-03-08 パナソニックIpマネジメント株式会社 片面金属張積層板の製造方法
CN113500834B (zh) * 2021-04-08 2023-04-28 中山新高电子材料股份有限公司 一种高剥离强度氟系柔性覆铜板及其制备方法
KR102574234B1 (ko) * 2021-04-27 2023-09-06 우리산업 주식회사 히트 로드 조립체
WO2023189794A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 金属張積層板及びその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4029732B2 (ja) * 2003-01-17 2008-01-09 宇部興産株式会社 低誘電率ポリイミド基板の製造法
JP5476821B2 (ja) * 2009-07-02 2014-04-23 東洋紡株式会社 多層フッ素樹脂基板
JP2011051203A (ja) * 2009-09-01 2011-03-17 Toyobo Co Ltd 多層ポリイミドフィルムおよびプリント配線板
JP2015106629A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 日本化薬株式会社 高周波回路用プリント配線基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017024265A (ja) 2017-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6590568B2 (ja) 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法
US8426548B2 (en) Polyimide film and adhesive film and flexible metal-clad laminate both obtained with the same
JP5766125B2 (ja) 多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属張積層板
JP6971580B2 (ja) 多層ポリイミドフィルム、およびフレキシブル金属張積層板
KR101076505B1 (ko) 접착 필름 및 그의 이용
JP6515180B2 (ja) 多層接着フィルム及びフレキシブル金属張積層板
JP2016179689A (ja) 三層共押出ポリイミドフィルムの製造方法
JPWO2007108284A1 (ja) 接着フィルム
JPWO2006115258A1 (ja) 新規なポリイミドフィルムおよびその利用
KR20180022827A (ko) 편면 금속장 적층판의 제조 방법 및 제조 장치
WO2005111164A1 (ja) 接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板並びにそれらの製造方法
JP2018145303A (ja) 多層ポリイミドフィルム
JP7122162B2 (ja) 熱可塑性ポリイミドフィルム、多層ポリイミドフィルム、およびフレキシブル金属張積層板
JP2008016603A (ja) フレキシブルプリント配線板用基板及びその製造方法
JP5750424B2 (ja) 等方的な接着フィルムおよびその製造方法、接着フィルムを用いたフレキシブル金属積層板
JP5735287B2 (ja) 多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属箔張積層板
JP5711989B2 (ja) ポリイミド系多層フィルムの製造方法
JP2007091947A (ja) 等方的な接着フィルムおよびその製造方法、接着フィルムを用いたフレキシブル金属積層板。
JP2007050599A (ja) 寸法安定性に優れるフレキシブル金属張積層板およびその製造方法
JP2007313854A (ja) 銅張積層板
JP2007320083A (ja) 銅張積層板
JP2018126887A (ja) 多層ポリイミドフィルムの製造方法
JP2006316232A (ja) 接着フィルムおよびその製造方法
JP5355993B2 (ja) 接着フィルム
JP5592463B2 (ja) 等方的な接着フィルムおよびその製造方法、接着フィルムを用いたフレキシブル金属積層板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190820

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190917

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6590568

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250