JP6590568B2 - 絶縁性フィルム、絶縁性フィルムの製造方法、および金属張積層板の製造方法 - Google Patents
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ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有し、
熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接するように少なくとも一対の加熱ロールを用いて張り合わせ、
加熱ロールの温度が熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃とし、5℃<(T2−T1)℃<100℃であることを特徴とする絶縁性フィルムの製造方法に関する。
本発明に係る高耐熱性ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド樹脂を90重量%以上含有すれば、その分子構造、厚みは特に限定されない。
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
で表されるものをいう。
本発明において用いられる高耐熱性ポリイミド層に含まれる非熱可塑性ポリイミド樹脂は、上記の範囲の中で所望の特性を有するように適宜芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
1.重合前または途中に重合反応液に添加する方法
2.重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
3.フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
本発明に係る熱可塑性ポリイミド層は、導体層との接着力や好適な線膨張係数など、所望の特性を発現できれば、当該層に含まれる熱可塑性ポリイミドの含有量、分子構造、厚みは特に限定されない。しかしながら、有為な接着力や好適な線膨張係数などの所望の特性の発現のためには、実質的には熱可塑性ポリイミドを50wt%以上含有することが好ましい。
本発明のポリイミド接着フィルム(以下、接着フィルムともいう)の製造方法において、高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する層を設ける手段については特に限定されず、従来公知の方法が使用できる。例を挙げると、(i)コア層となる耐熱性ポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、(ii)コア層と接着層を多層押出し等で同時成形する方法等が好適に例示される。
化学硬化剤を導入するポリイミド前駆体は、何れの層を構成するものであっても本発明の効果を好適に発現しうるが、高耐熱性ポリイミド層のみに化学硬化剤を導入する方法が、装置の簡略化、ポリイミド層の物性に関して最も好ましい結果を享受可能であることから望ましい。
本発明に使用されるフッ素樹脂層は、本発明に用いられる熱可塑性ポリイミド層に対して接着性を有し、また融点を有するものであれば特に制限されない。フッ素樹脂層に含まれるフッ素樹脂は、特に制限されることはなく、またはフィルム形状のものであって、ディスパージョン状態ものであっても、その他の形状、状態であっても層を形成することができれば適用可能である。例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体等が挙げられる。誘電特性や接着性の観点から、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、または、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好ましい。
本発明における絶縁性フィルムは、フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを含む絶縁性フィルムであって、様々な製造方法が挙げられる。例えば、(A)ポリイミド接着フィルムとフッ素樹脂フィルムを貼り合わせる方法、(B)ポリイミド接着フィルムの片面にフッ素樹脂を含むディスパージョンを塗工し、乾燥してフッ素樹脂層を形成し、フッ素樹脂層の上にポリイミド接着性フィルムを貼り合わせる方法などが挙げられる。
(A1)高耐熱性ポリイミド層の両面に熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミド接着フィルムによりフッ素樹脂フィルムの両面を挟み込むように貼り合わせる方法
(A2)高耐熱性ポリイミド層の片面に熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミド接着フィルムによりフッ素樹脂フィルムの両面を挟み込み、その際熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂フィルムと接するように設置する方法
(A3)フッ素樹脂フィルムの両面に熱可塑性ポリイミドを含む溶液を塗工後、乾燥して熱可塑性ポリイミド層を形成し、その両面に耐熱性ポリイミドフィルムを貼り合わせたり、耐熱性ポリイミドの前駆体の溶液を塗工後、乾燥して耐熱性ポリイミド層を形成する方法
などが挙げられる。これらの方式のうち、工程の簡略さから、(A1)の方法が好ましい。また、(A1)の方法で貼り合わせる際は、少なくとも一対以上の加熱ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、加熱および加圧条件下において貼り合わせる方法がより好ましい。十分な引き剥がし強度を得るには、熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃としたとき、5℃<(T2−T1)℃<100℃を満足することが好ましい。
本発明の絶縁性フィルムは、FPCとして用いるため、絶縁性フィルムの両面に導体を有する金属張積層板に加工するが、導体層をどのように付与するかについては特に制限されない。一般的には、絶縁性フィルムと箔状態の導体層(以下、金属箔ともいう)を熱ラミネートする方法や、絶縁性フィルムにスパッタ法や真空蒸着法などの方法で導体層を付与する方法が挙げられる。工程の簡略さから、絶縁性フィルムの両面に金属箔を設置した後、熱ラミネートする方法が好ましい。また、絶縁性フィルムを製造する際に、ポリイミド接着フィルムでフッ素樹脂フィルムの両面を挟み込むように熱ラミネートする方法を採用する場合は、工程の簡略さから、金属箔も同時に熱ラミネートする方法が好ましい。
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、3mm幅の金属箔部分を、90度の剥離角度、200mm/分の条件で剥離し、その荷重(N/cm)を測定した。
JIS C6481 5.16に基づいて、フレキシブル配線板に4つの穴を形成し、各穴のそれぞれの距離を測定した。次に、エッチング工程を実施してフレキシブル配線板から金属箔を全面除去した後に、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、エッチング工程前と同様に、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。金属箔除去前における各穴の距離の測定値をD1とし、金属箔除去後における各穴の距離の測定値をD2として、次式によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D2−D1)/D1}×100
続いて、エッチング後の測定サンプルを250℃で30分加熱した後、20℃、60%RHの恒温室に24時間放置した。その後、上記4つの穴について、それぞれの距離を測定した。加熱後における各穴の距離の測定値をD3として、次式により加熱前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(D3−D1)/D1}×100
なお、上記寸法変化率は、MD方向から右45度方向および左45度方向の双方について測定した。
誘電率と誘電正接は、ネットワークアナライザ8719C(HEWLETTPACKARD社製)と空洞共振器振動法誘電率測定装置CP511(株式会社関東電子応用開発製)を用いて測定した。測定するフィルムを2mm×100mmに切り出し、23℃/55%RH環境下で24時間調湿後に測定を行った。測定は10GHzで行った。
合成例で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体溶液を、18μm圧延銅箔(BHY−22B−T、日鉱金属製)のシャイン面に、最終厚みが20μmとなるように流延し、130℃で3分間、200℃で2分間、250℃で2分間、300℃で2分間、350℃で1分間乾燥を行った。乾燥後、エッチングにより銅箔を除去し、50℃で30分間乾燥させて熱可塑性ポリイミドの単層シートを得た。
フッ素樹脂フィルムをセイコーインスツルメンツ社製 DSC220により、アルミをリファレンスとして使用し、昇温速度10℃/分、降温速度40℃/分にて、0℃から450℃の範囲で測定し、2回目の昇温工程での吸熱チャートのピークを融点とした。
容量350Lの反応槽に、ジメチルホルムアミド(DMF)を248kg、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を17.5kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)を17.1kg徐々に添加した。0.5kgのBPDAを10kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が400ポイズに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量350Lの反応槽に、ジメチルホルムアミド(DMF)を248kg、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を17.5kg加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を24.0kg徐々に添加した。0.5kgのBPDAを10kgのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が400ポイズに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度8.5重量%になるまでDMFで希釈した後、17μm厚の高耐熱性ポリイミドフィルム(アピカル(登録商標)17FP、カネカ製)の両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層となる)の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、140℃で1分間加熱を行った。続いて250℃で10秒間、350℃で10秒間、450℃で10秒間、200℃で2秒間加熱を行い、18μm厚の接着フィルムを得た。
ポリアミド酸溶液として合成例2で作成したものを用いた以外は、合成製3と同様に作成し、接着フィルムを得た。
(実施例1)
図1に示す熱ラミネート機を用いて銅張積層板を製造した。まず、保護フィルム4として200℃〜300℃における線膨張係数が16ppm/℃である125μmの厚みを有するロール状の非熱可塑性ポリイミドフィルムと、金属箔3として18μmの厚みを有するロール状の銅箔と、合成例4で作成したロール状のポリイミド接着フィルム(厚み18μm)2と、ロール状のフッ素樹脂フィルム(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン系共重合体 FEP、ダイキン社製ネオフロン(登録商標)NF−0012、厚さ12.5μm)1を熱ラミネート機に設置した。
フッ素樹脂フィルムとしてテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP、ダイキン社製ネオフロン(登録商標)AF−0012、厚さ12.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
ポリイミド接着フィルムとして合成例3で作成したポリイミド接着フィルムロール(厚さ18μm)、フッ素樹脂フィルムとしてNF−0012を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
ポリイミド接着フィルムとして合成例3で作成したポリイミド接着フィルムロール、フッ素樹脂フィルムとしてAF−0012を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
ポリイミド接着フィルムとして合成例4で作成したポリイミド接着フィルムロール、フッ素樹脂フィルムとしてポリテトラエチレン(PTFE、日東電工製ニトフロン(登録商標)900UL、厚さ12.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
ポリイミド接着フィルムとして合成例3で作成したポリイミド接着フィルムロール、フッ素樹脂フィルムとしてポリテトラエチレン(PTFE、日東電工製ニトフロン(登録商標)900UL、厚さ12.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
ラミネート温度を220℃にした以外は、実施例1と同様に作成し、銅張積層板を得た。
作製した金属張積層板の評価結果を表1および表2に示す。
2.ポリイミド接着フィルム
3.金属箔
4.保護フィルム
5.加熱ロール
6.保護フィルム(巻取り)
7.金属張積層板
8.熱可塑性ポリイミド層
9.高耐熱性ポリイミド層
10.フッ素樹脂層
11.ポリイミド接着フィルム
12.絶縁性フィルム
13.導体層
14.金属張積層板
Claims (8)
- フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを含む絶縁性フィルムであって、
ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を含み、
熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接しており、
ポリイミド接着フィルム、フッ素樹脂層、ポリイミド接着フィルムの順で積層されていることを特徴とする絶縁性フィルム。 - 前記フッ素樹脂層が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含むフッ素樹脂からなることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁性フィルム。
- 前記熱可塑性ポリイミド層が、少なともピロメリット酸二無水物またはビフェニルテトラカルボン酸二無水物のいずれか一方を含む酸二無水物と、少なとも1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンまたは2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンのいずれか一方を含むジアミンとの反応物である、ポリイミドを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の絶縁性フィルム。
- 絶縁性フィルムの10GHzの誘電率が2.1〜3.2、かつ、誘電正接が0.0002〜0.015であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁性フィルム。
- 絶縁性フィルムを金属箔と張り合わせた金属張積層板の引き剥がし強度が、2.0N/cm以上、かつ、金属張積層板をエッチングして得られる絶縁性フィルムの寸法変化率が−0.05%〜0.05%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁性フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁性フィルムの両面に導体を有する金属張積層板。
- フッ素樹脂層の両面にポリイミド接着フィルムを張り合わせた絶縁性フィルムの製造方法であって、
ポリイミド接着フィルムが高耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有しており、
熱可塑性ポリイミド層がフッ素樹脂層と接し、ポリイミド接着フィルム、フッ素樹脂層、ポリイミド接着フィルムの順で積層されるように少なくとも一対の加熱ロールを用い、張り合わせ、
加熱ロールの温度が熱可塑性ポリイミドの融点およびフッ素樹脂の融点のいずれか高い方の融点をT1℃とし、加熱ロールの温度をT2℃としたとき、5℃<(T2−T1)℃<100℃を満足することを特徴とする絶縁性フィルムの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁性フィルムの両面に金属箔を張り合わせることを特徴とする金属張積層板の製造方法。
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