JP6229083B2 - 発熱定着ベルト、画像定着装置、および発熱定着ベルトの製造方法 - Google Patents

発熱定着ベルト、画像定着装置、および発熱定着ベルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンターなどの画像形成装置において、トナー像を画像支持体上に熱定着するための発熱定着ベルト画像定着装置、および発熱定着ベルトの製造方法に関する。
近年、複写機、プリンターなど、普通紙などの画像支持体上に載せられた未定着トナーを熱定着させてトナー像を形成する画像形成装置において、抵抗発熱層を備える発熱定着ベルトを備える画像形成装置の使用が提案されている。この定着ベルトは、これが備える抵抗発熱層に給電することによって発熱し、その熱によってトナーの熱定着を達成する。この定着方式を採用した画像形成装置は、以前のウォーミングアップタイムに比べて短く、省エネルギー化および高速化の点から優れている。
一方、発熱定着ベルトが高い発熱量を達成するためには、抵抗発熱層の体積抵抗値を下げることが1つの方法である。例えば、そのための技術として、バインダーとなる材料中に炭素系導電剤や金属粒子などの導電性材料を分散させることが提案されている(特許文献1)。この技術では、均一な発熱温度を達成するために、導電性材料を均一に分散することが求められる。特許文献1では、導電性材料としてカーボンナノ材料及びフィラメント状金属粒子を使用する技術を開示している。特にカーボンナノ材料は、価格の観点から混合量を増加することは難しい。
特許文献2は、導電性材料としてカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルを用いた薄膜抵抗発熱体と、この薄膜抵抗発熱体を用いたトナーの加熱定着用部材とを開示している。カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルにより形成された薄膜抵抗発熱体の場合、発熱体の機械的強度が低下することから、カーボンナノチューブなどの混合量を増加して体積抵抗値を下げることは難しい。
他方、抵抗発熱層に給電するための電極層が抵抗発熱層の表面に設けられる場合、抵抗発熱層と電極層とを強固に密着させることが難しく、長期間に亘る使用は、電極の剥がれなどが問題となっている。特許文献3には、抵抗発熱層の表面に金属ナノ粒子を供給し、これを触媒とする無電解めっき法により電極を形成する方法が開示されている。しかしながら、この方法によっても、十分な密着性は達成されていない。
特開2007−272223号公報 特開2000−058228号公報 特開2013−122531号公報
本発明の課題は、耐屈曲性および耐久性に優れる発熱定着ベルトを提供することである。例えば、本発明は、導電性材料を増量することにより体積抵抗値を下げることが可能であり、その場合においても優れた耐屈曲性および耐久性が得られる発熱定着ベルトを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための発熱定着ベルトは、絶縁性の耐熱性樹脂で形成された管状のベルト基体と、導電性材料を含有し、かつ弾性材料を含む弾性母材で形成された弾性抵抗発熱層と、離型層と、前記弾性抵抗発熱層に給電するための一対の電極層とを備える。前記弾性抵抗発熱層は、前記ベルト基体の外周面に設けられている。前記離型層は、最外層として設けられている。前記一対の電極層は、前記弾性抵抗発熱層の外周面の両側端部に設けられ、かつ前記弾性抵抗発熱層の体積抵抗値よりも低い体積抵抗値を有する。
本発明によれば、耐屈曲性および耐久性に優れる発熱定着ベルトを提供される。これは、導電性材料を増量することによって体積抵抗値を下げることが可能であり、その場合においても優れた耐屈曲性および耐久性が達成される。
一部を切断した実施形態に従う発熱定着ベルトの1例の一部断面図である。 実施形態に従う発熱定着ベルトを使用する画像定着装置を示す模式図である。 発熱温度分布の測定系の概要を示す図である。 耐屈曲性の測定系の概要を示す図である。
実施形態は、複写機、プリンターなどの画像形成装置において用いられる画像定着装置において、トナー像を画像支持体上に熱定着するための発熱定着ベルトを提供する。以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は実施形態に従う発熱定着ベルトの1例を示す図である。図1において、(a)は発熱定着ベルトの正面、(b)は線B−Bに沿って切断して拡大した断面、(c)はCからみた側面を示す図である。
発熱定着ベルト1は、管状のベルト基体10と、基体10の周面上に存在する弾性抵抗発熱層20と、発熱定着ベルト1の周面に最外層として存在する離型層30と、弾性抵抗発熱層20に給電するように配置されている一対の電極層40a,40bと、弾性抵抗発熱層20と離型層30との間に、これらの層と接して存在する弾性層50とを備える。
ベルト基体10は、発熱定着ベルト1の基礎となる部材であり、この周面上に各層が積層されている。ベルト基体10は管状であり、詳しくは後述するが、使用時にはその内部に芯材が配置されて、複写機、プリンターなどの画像形成装置の画像定着装置にセットされる。
ベルト基体10は、耐熱性樹脂で形成されており、好ましくは絶縁性である。ベルト基体10は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを単独またはこれらの何れかの組み合わせを樹脂材料として含み得る。若しくはこれらの何れかの材料を組み合わせて含む混合物、またはこれらの樹脂を主材料とする耐熱性樹脂であり得るが、これらに限定するものではない。
1つの好ましい実施形態によれば、ベルト基体10のための好ましい耐熱性樹脂は、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン又はそれらの組み合わせからなる群の中から選択された樹脂を主材料とすることを特徴とする。
ベルト基体10は、管状であればよく、その内径と幅との比は特に限定されるものではないが、内径と幅との比は、例えば1:1〜20の間であってもよく、例えば1:5〜10であり得る。ベルト基体10の厚さは、例えば0.02mm〜0.2mmであってもよく、例えば0.05mm〜0.1mmであり得るが、これらに限定されるものではない。
ベルト基体10の周面上であり、且つ発熱定着ベルト1の最外層には離型層30が存在する。離型層30は、管状のベルト基体10および弾性抵抗発熱層20の上層として、且つ発熱定着ベルト1の周面の最外層として存在する。離型層30は、トナーとそれを載せた支持体、例えば、紙やシートなどと直接に接する。それらと接し、それらに対して熱を加えることによりトナーを定着させてトナー像を形成する。従って、離型層30の配置される領域は、発熱定着ベルト1の周面の回転方向全域に亘り継ぎ目なく配置され(即ち、環状に配置され)、且つ発熱定着ベルト1の幅方向、即ち、軸方向においては、支持体が存在し得る領域と同じ範囲若しくはそれよりも広い範囲、または定着されるべきトナー像が存在し得る領域と同じ範囲若しくはそれよりも広い範囲にまで及び得る。図1においては、離型層30は、ベルト基体10の両端部付近を除く周面全面に配置されている例を示している。
離型層30は、耐熱性に優れ、且つトナーおよび支持体との離型性の良い材料により成形され得る。離型層30は、例えばフッ素樹脂より形成され得る。フッ素樹脂の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体(FEP)などが挙げられ、又はこれらの材料の混合物から形成され得る。
離型層30の厚さは、5〜30μmであることが好ましい。また、接着性を安定させるために、離型層30の成形は、プライマーを塗布してから行われてもよい。プライマーは、それ自身公知の何れの材料であってもよい。
1つの実施形態において、発熱定着ベルト1は、離型層がフッ素樹脂で形成されていることを特徴とする。
離型層30を介して定着対象に与えられる熱は、以下のような弾性抵抗発熱層20への通電により生じる。
ベルト基体10の外側周面上には、弾性抵抗発熱層20が配置されている。弾性抵抗発熱層20は、弾性材料を含む弾性母材で形成されており、この弾性母材は、更に導電性材料を含む。
弾性材料は、特に限定されるものではないが、トナーの定着温度の観点から、耐熱性を有する弾性材料が好ましい。弾性材料の例は、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム、水素化ニトリルゴムなどが挙げられる。例えばフッ素ゴムは、その中でも耐熱性が特に優れているので好ましい。弾性母材は、例えば、これらの弾性材料を単独で、または他の耐熱性材料との組み合わせにおいて含み得る。弾性母材の材料は、例えば、フッ素ゴム単独、またはフッ素ゴムなどの弾性材料とその他の耐熱性材料との混合物であり得る。例えば、フッ素ゴムをその他の耐熱性材料と混合して用いる場合には、フッ素ゴムとその他の耐熱性材料との合計を100重量%とした場合、フッ素ゴムが80重量%以上になる混合物であることが好ましい。弾性材料と混合され得る耐熱性材料の更なる例は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびフッ素樹脂などであり得る。
1つの実施形態によれば、弾性材料は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、水素化ニトリルゴム又はそれらの組み合わせであることを特徴とし得る。
弾性抵抗発熱層20に含まれる導電性材料は、特に限定されるものではないが、例えば炭素系導電材、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーなど、並びに種々の金属粒子などであり得る。これらの導電性材料は、単独で使用されてもよく、複数種類の混合物が使用されてもよい。例えば、抵抗発熱層が必要とする体積抵抗値と導電性材料の価格との観点から、例えばケッチェンブラック(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株))が好ましく使用され得る。
1つの実施形態において、導電性材料は、カーボン系導電性材料又は金属であり得る。
1つの実施形態において、弾性母材の材料として、弾性材料に導電性材料を混合する場合、導電性材料の混合量は、弾性材料100重量%に対して10〜50重量%であり得る。導電性材料の混合量が10重量%以下では、体積抵抗値の均一性が得られず、それが50重量%以上では抵抗発熱層の耐屈曲性が低下する。
弾性母材の材料は、更に架橋剤、充填剤、分散剤およびそれらの組み合わせなどの添加剤を適宜に所望量で含み得る。
弾性抵抗発熱層20は、ベルト基体10の外側周面の全面に亘り配置され得る(即ち、環状に配置され得る)。弾性抵抗発熱層厚さは、例えば20〜500μmであり得る。このような厚さにより、目的とされる性能が得られ得る。20μm以下では、抵抗発熱層の機械的強度が不十分であり、500μm以上では、弾性抵抗発熱層耐屈曲性が低下する。抵抗発熱層の厚さは、より好ましくは50〜300μmであり得る。実施形態の発熱定着ベルト1は、弾性抵抗発熱層に弾性材料を含んでいる。これにより体積抵抗値を下げるために導電性材料を増量することも可能であり、また導電性材料を増量した場合であっても優れた耐屈曲性を有し、使用時においても優れた耐久性を奏する。また、発熱量を増加させるために抵抗発熱層の厚さを厚くすることも可能となる。
弾性材料に導電性材料を混合する方法は、オープンロールを用いる混練り方法を使用され得る。例えば、弾性抵抗発熱層20に対して導電性材料が通常よりも多量に混合し、それによって弾性抵抗発熱層20の体積抵抗値が下げられてもよい。このように多量に導電性材料を混合する場合には、コンパウンドの硬さが上昇するために混練り作業が難しくなるかもしれない。例えば、そのような場合などには、溶媒に導電性材料が均一分散されたディスパージョンが使用され得る。例えば、そのようなディスパージョンは、液体の弾性母材材料が使用され得る。液体の弾性母材材料は、例えば弾性材料などが所望の溶媒に溶解又は分散された液剤材料である。このような液体材料を用いることによって、通常よりも多量に導電性材料を弾性母材に含ませることが可能となる。このように液体材料を使用して得られた弾性母材は、導電性材料の分散が均一性に優れ、弾性抵抗発熱層20における均一な導電性が達成される。液体材料に使用され得る溶媒は、例えばMEK、MIBKなどの有機溶剤や水であり得る。
管状のベルト基体10の外側周面上への弾性抵抗発熱層20の成形は、例えば固体材料の場合には、固体材料を管状のベルト基体10の外側周面上に巻き付けた後に硬化し、必要に応じて表面を研磨することにより行い得る。液状材料の場合には、液状材料をスプレーコート、ディッピングなどのそれ自身公知の方法を用い管状のベルト基体10の外側周面上に塗布した後に硬化すればよい。しかしながら、弾性抵抗発熱層20の成形方法は、これらに限定されるものではない。
1つの実施形態において、導電性材料を含有し、かつ弾性材料を含む弾性母材で形成されている弾性抵抗発熱層20は、溶媒に溶解又は分散している液状の材料を用いて成型することを特徴とし得る。
1つの実施形態によれば、弾性抵抗発熱層20は、JIS K 5600−5−1:1999に従い直径5mmの円筒形マンドレルを用いて折り曲げたとき、クラック及び剥離が生じない耐屈曲性を示すことを特徴とする。
弾性抵抗発熱層20の配置される領域は、ベルト基体10の周面全面に亘り配置されてもよく、或いはベルト基体10の周面上であり、発熱定着ベルト1の周面の回転方向全域に亘り継ぎ目なく配置され、且つ発熱定着ベルト1の幅方向、即ち、軸方向においては、ベルト基体10の支持体が存在し得る領域と同じ範囲若しくはそれよりも広い範囲、または定着されるべきトナー像が存在し得る領域と同じ範囲若しくはそれよりも広い範囲にまで、即ち、離型層30が存在する領域に対応する範囲に配置されてもよく、或いは離型層30が存在する領域よりも広い範囲に配置されることが好ましく、ベルト基体10の周面全面に亘り配置されることがより好ましい。図1に示されている例では、弾性抵抗発熱層20は、ベルト基体10の周面全面に亘り配置されている。弾性抵抗発熱層20への通電は、以下のような電極層40(40a,40b)への通電を介して行われ得る。
電極層40は、弾性抵抗発熱層20に給電できるようにベルト基体10上に配置され、電極層40に電源から送られた電気を伝えるための給電部と接することができるように少なくともその一部が発熱定着ベルト1上に露出している。
図1の例において、電極層40は、ベルト基体10の周面全面に配置されている弾性抵抗発熱層20上面であり、且つ離型層30が存在しない領域に、即ち、ベルト基体10の両端部付近に発熱定着ベルト1の回転方向全域に亘り継ぎ目なく配置されている。具体的には、この例では、電極層40aが一方の端部付近の弾性抵抗発熱層20上面に離型層30とは重なり合うことなく配置されており、電極層40bが他方の端部付近の弾性抵抗発熱層20上面に離型層30とは重なり合うことなく配置されている。このように配置されることにより、連続して簡便に弾性抵抗発熱層20に給電することが可能である。
電極層40は、弾性抵抗発熱層20の体積抵抗値よりも低い材料により形成されている。例えば電極層40は、Cu、Ni、Ag、Al、Au、Mgおよびそれらの何れかの混合物等の金属粒子がバインダーに分散されている導電性ペーストや導電性インキなどの電極層材料により形成され得る。例えば、一般的な導電性ペーストや導電性インキのみによって電極層40を形成した場合、電極層40が非常に硬い膜となり得る。その場合、使用時の変形に追従できずにクラックが発生するなどの問題が生じ得る。従って、電極層材料は、バインダー成分中に弾性材料を更に含み得る。電極層材料に弾性材料を含ませて、電極層40を成形することによって耐屈曲性に優れた電極層を得ることが可能となる。また更に、電極層材料は、更に架橋剤、充填剤、分散剤およびそれらの組み合わせなどの添加剤を適宜、適量で含んでいてもよい。
電極層材料が含むバインダーは、例えば一般的な導電性ペーストおよび導電性インキなどの電極層材料に使用され得る何れのバインダーまたはそれらの組み合わせであり得る。電極材料が含む弾性材料は、上述した弾性抵抗発熱層20が含み得る弾性材料を使用することが可能である。また、特に上述した弾性抵抗発熱層20が含む弾性材料と同種類の弾性材料を選択して使用することが好ましい。これにより、弾性抵抗発熱層20のための弾性材料と電極層材料とが共加硫し、強固な密着性を得ることが可能となる。またこのような構成により、弾性抵抗発熱層20と電極層40との間に接着剤を介在させる必要がなくなる。そのため、電極層40に給電した際に接着剤層の体積抵抗値の影響を受けることがない。例えば1つの実施形態に従う発熱定着ベルト1において、弾性抵抗発熱層20の弾性材料がフッ素ゴムであり、且つ電極層材料が同種類のフッ素ゴムを含むことが好ましい。これにより、耐屈曲性に優れ、且つ密着性に優れた電極層40を得ることが可能となる。
1つの実施形態において、電極層材料が含むバインダーは、弾性抵抗発熱層20が含む弾性材料と同種類の弾性材料を含み、その弾性材料の混合比は、バインダー成分100重量%のうちの10重量%以上が弾性材料であることが好ましい。バインダー成分に含まれる弾性材料が10%以下では、弾性抵抗発熱層20との十分な密着性が得られないことがある。
1つの実施形態において、電極層材料は、弾性抵抗発熱層20と同種類の弾性材料を少なくとも含むバインダー成分に、金属粒子を混合した材料で形成され、電極層40と弾性抵抗発熱層20とが接着剤を介せずに積層されている発熱定着ベルト1であり得る。このような発熱定着ベルト1は、例えば、弾性抵抗発熱層20と電極層40とが、同時に加熱硬化されることにより成形され得る。
電極層40の成形は、特に限定されるものではないが、例えばスプレーコート、バーコーターなどのそれ自身公知の何れかの塗布方法が用いられ得る。
電極層40の厚さは1μm以上50μm以下であり得る。電極層40の体積抵抗値にもよるが、例えば1μm以下の厚さでは弾性抵抗発熱層20の全周亘って瞬時に電流を供給することが難しくなり得る。例えば50μm以上の厚さでは、電極層40の硬さが非常に硬くなる可能性があり、使用時の変形に追従できず、クラックや剥離を生じる可能性がある。また電極層40の幅は、そこから給電可能な幅であればよく、特に限定されるものではない。
1つの実施形態において、電極層40の厚さは1μm以上50μm以下であることを特徴とする。
1つの実施形態において、発熱定着ベルト1は次の特徴を有する。一対の電極層40a,40bが、バインダーに含まれた状態にある金属粒子により成形されている。このバインダー成分は、弾性抵抗発熱層20の弾性母材と同種類の弾性母材であり得る。そして一対の電極層40a,40bと弾性抵抗発熱層20とは、接着剤を介さずに直接結合されている。
1つの実施形態に従う発熱定着ベルト1おいて、弾性抵抗発熱層20の弾性材料がフッ素ゴムを含み、且つ電極層40の電極層材料が同種類のフッ素ゴムを含むことを特徴とし得る。
弾性抵抗発熱層20の体積抵抗値は1.0×10−3Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下であり得る。例えば、1.0×10Ω・cm以上では、体積抵抗値のバラツキが大きくなる傾向があり、このバラツキが非常に大きくなった場合には、均一な発熱温度が得ることが難しくなる。例えば、1.0×10−3Ω・cm以下の場合には、多量の導電性材料が必要となる傾向があり、それに伴い弾性抵抗発熱層20厚さが大きくなるに従って、耐屈曲性は徐々に低下し得る。
1つの実施形態によれば、一対の電極層40a,40bは、それぞれ1.0×10−3Ω・cm以下の体積抵抗値を有することが好ましい。
電極層40の体積抵抗値は、弾性抵抗発熱層20の体積抵抗値よりも低く、且つ1.0×10−3Ω・cm以下であり得る。例えば、電極層40の体積抵抗値が弾性抵抗発熱層20の体積抵抗値よりも高くなればなるほど、また、電極層40の体積抵抗値が1.0×10−3Ω・cmよりも高くなればなるほど、電極層40から弾性抵抗発熱層20に対して十分な電流を供給することが難しくなっていく。
1つの実施形態によれば、弾性抵抗発熱層20と離型層30との間に、これらの層と接して弾性層50が存在し得る。弾性層50は、表面に凹凸を有する支持体であっても良好にトナーの定着を行うことのために配置され得る。従って、弾性層は、離型層30と同じ範囲に配置され得る。例えば図1に示す発熱定着ベルト1において、弾性層50は、弾性抵抗発熱層20上に配置され、更に弾性層50上には離型層30が配置されている。弾性層50は、離型層30に対応する弾性抵抗発熱層20上の範囲に配置(即ち、離型層30と同じ範囲に配置)されている。
弾性層50は、耐熱性を有し、且つゴム硬度の低い弾性層材料が使用され得る。このような弾性層材料の例は、フッ素ゴム、シリコーンゴムおよびそれらの組み合わせなどが挙げられ、例えばJIS Aで10〜40度の硬度のシリコーンゴムが好ましく使用され得る。弾性層50の厚さは、例えば100〜300μmであり得る。また、弾性抵抗発熱層20と弾性層50との接着性を向上するために、それらの間にそれ自身公知の何れかのプライマーが、例えば塗布によって配置されてもよい。
1つの好ましい実施形態によれば、弾性層50は、フッ素ゴム又はシリコーンゴムで形成されている。更なる好ましい実施形態によれば、弾性層50は、100μm以上300μm以下の厚さを有し得る。
このような実施形態によれば、耐屈曲性に優れ、使用時の耐久性に優れる発熱定着ベルトが提供される。このような発熱定着ベルトは、体積抵抗値を下げるために導電性材料を増量しても、耐屈曲性に優れ、使用時の耐久性に優れる。
図2(a)および(b)は、発熱定着ベルト1を複写機、プリンターなどの画像形成装置の画像定着装置の1例にセットした状態示す図面である。図2(a)は、画像定着装置の1例の正面図であり、図2(b)は、図2(a)の画像定着装置を側面Bから見た側面図である。図2(a)に示す画像定着装置101において、発熱定着ベルト1は、発熱定着ベルト1の内面2に接するように2つの芯材110a,110bにセットされている。2つの芯材110a,110bは、発熱定着ベルト1がたるみなく配置されるような距離で配置されている。画像定着装置101は、芯材110a,110bの間において、発熱定着ベルト1の外周面の一部に接するように配置された加圧ロール210を備える。
電極層40a,40bの周面の一部分に対して給電ロール510aの周面の一部分が接しており、電極層40a,40bに対して電流を供給している。
加圧ロール210は、その軸が発熱定着ベルト1および芯材110a,110bの軸に平行になるように固定されている。発熱定着ベルト1と加圧ロール210との間を画像形成されるべき対象が送られる。画像形成されるべき対象とは、その上にトナー310を載せた支持体410であり得る。図2(a)には、対象の送りが右側から左側に送られる例を示しており、この送りは、発熱定着ベルト1が時計回りに回転することと、加圧ロール210が発熱定着ベルト1側に加圧しながら反時計回りに回転することによって行われ得る。支持体410上に置かれたトナー310は、発熱定着ベルト1と加圧ロール210との間に存在している間に加熱されることによって定着され、トナー像312が形成される。
図2(a)には、芯材を2つ用いる画像定着装置にセットした状態の例を示したが、芯材は1つであってもよい。その例を図2(c)および(d)に示す。図2(c)は、画像定着装置の1例の正面図であり、図2(d)は、図2(c)の画像定着装置を側面Dから見た側面図である。発熱定着ベルト1は、発熱定着ベルト1の内面2に内接する外径を有する芯材120にセットされる。画像定着装置102は、発熱定着ベルト1に対向して配置された加圧ロール220を備える。電極層40a,40bの周面の一部に対して給電部510a,510bの周面の一部が接しており、電極層40a,40bに対して電流を供給している。加圧ロール220は、その軸が発熱定着ベルト1の軸に平行になるように固定されている。発熱定着ベルト1と加圧ロール220との間をトナー320が載置された対象420が送られる。図2(a)および(b)と同様に当該送りは右側から左側であり、加圧ロール220は発熱定着ベルト1に対して加圧しながら回転する。トナー320は、発熱定着ベルト1と加圧ロール220との間で加熱されることによって定着されたトナー像322となる。
画像定着装置101,102において、発熱定着ベルト1は、それがセットされている芯材110a,110b,120は、そこにそれぞれ固定されたジャーナルを介して駆動モーターに連結され得る(図示せず)。加圧ロール210a,210b,220も同様にジャーナルを介して駆動モーターに連結され得る(図示せず)。ジャーナルは、各ロールからその中心軸方向に延出する軸であればよい。この軸を回転させることによりロールが回転し得る。
給電部は、例えば、給電ロールまたは給電ベアリングなどであり得る。これは、その中心軸を電極層の中心軸と平行になるように配置されており、電極層の接触幅に対応する接触幅を持つ給電ロールを電極層表面と接触させて配置する。使用時には、発熱定着ベルト1と給電ロールとは同調して互いに反対側へと回転しながら接触を維持する。この接触により給電ロール側から電極層に対して給電される。
給電ロールの接触幅は、電極層の接触幅に等しくともよく、小さくともよく又は大きくともよい。
1つの実施形態に従うと、支持体上で未定着トナーを加熱して、当該トナー像を形成する画像定着装置が提供される。画像定着装置は、上述したような実施形態に従う発熱定着ベルトと、互いの中心軸が平行であり、当該支持体を周面同士で挟み込むように発熱定着ベルトと対向して配置されている加圧ロールと、発熱定着ベルトの有する一対の電極層にそれぞれ給電するように構成された一対の給電部とを備える。
このような画像定着装置は、複写機、プリンターなどの画像形成装置において使用され得る。画像定着装置の画像形成装置への組み込み方は、それ自身公知の何れかの方法により行われ得る。
以上のように実施形態によれば、耐屈曲性および耐久性に優れる発熱定着ベルトおよびそれを備える画像定着装置が提供され得る。実施形態に従う発熱定着ベルトは、導電性材料を増量することにより体積抵抗値を下げることが可能であり、その場合においても優れた耐屈曲性および耐久性が得られる。
[例]
発熱定着ベルトを作製し、次のように評価を行った。
1.測定方法
(1)体積抵抗値の測定
ロレスタGP MCP−T610(三菱化学アナリテック製)を用い、JIS K−7194に準拠した方法で、上述のように成型された弾性抵抗発熱層及び電極層の体積抵抗値を測定した。測定は、22±3℃の温度、55±5%RHの環境下に、24時間以上測定サンプルを放置して実施した。
また、弾性抵抗発熱層においては、ベルト幅方向に5か所、ベルト円周方向に8か所の合計40か所を測定し、その最大値と最小値の差で体積抵抗値の均一性を評価した。
(2)発熱温度分布の測定
測定系の略図を図3に示す。後述するように得られた各発熱定着ベルトに、外径25mmのシリコーンスポンジロール530を挿入した。発熱定着ベルト1の両端に位置する電極層40a,40bには、金属のベアリングを用いた給電部510a,510bを接触させた。その後、給電部510a,510bを通じて電極層間に電圧を印加した。ここで、シリコーンスポンジロール530はジャーナル540a,540bを介して駆動モーターと連結しており、発熱定着ベルトを回転させることができる。
両端の電極層間に給電を開始した後、発熱定着ベルト1表面の温度をサーモグラフ520(Mobir M4、アイ・アール・システム社製)を用いて確認しながら、ベルト表面温度の最大値が190℃に達するまで印加電圧を調整し、その時の印加電圧を設定電圧とした。その後、一旦給電を停止して、発熱定着ベルトを室温まで冷却した。冷却後、シリコーンスポンジロールを10rpmで回転させながら、設定電圧を印可し、発熱定着ベルトに給電した。印加してから10秒経過後にサーモグラフでベルトの表面温度の測定を開始した。ベルト周方向の8カ所において表面温度を測定し、表面温度の最大値と最小値の差を計算して、温度分布とした。但し、ベルト両端部に位置する電極部10mmは、温度分布の計算から除外した。
(3)耐屈曲性の測定
JIS K 5600−5−1(円筒形マンドレル法)に準拠した方法で、上述のように成型された弾性抵抗発熱層及び弾性抵抗発熱層の表面に成型された電極層の耐屈曲性を測定した。測定の概要を図4に示す。マンドレル600は外径5mmを用い、サンプル100をマンドレル600に沿わせて折り曲げた後に、目視で表面のクラック及び剥離の有無を確認した。測定は、室温環境下(23±5℃)で実施した。
(4)密着性の測定
JIS K−5600−5−6(クロスカット法)に準拠した塗膜の付着性の評価方法で、上述の方法により成型された弾性抵抗発熱層と電極層との間の密着性を測定した。試験結果は、剥がれの程度によって、分類0〜分類5の6段階で評価した。
(5)画像定着装置への組み込み評価
上述の方法によって得られた発熱定着ベルトを上述したように図2(c)に示す画像定着装置に組み込み、トナー像の定着テストを行った。定着温度は、サーミスタで190℃に設定し、印刷を行った。
2.発熱定着ベルトの作製
[実施例1]
(1)基材層の成型
外径30mm、全長350mmのステンレス管に、ポリアミド酸(U−ワニス−S、宇部興産社製)を膜厚400μmで塗布した。その後、120℃で60分間乾燥し、200℃の温度まで30分間で昇温させ、200℃で30分間保持した。続けて、380℃まで30分間で昇温させ、380℃で15分間保持してイミド化反応を完了した。その後、室温まで冷却し、ステンレス管を抜取り、端部を切断して、内径30mm、厚み70μm、長さ240mmのポリイミド樹脂のシームレス管状体を得た。
上記で得られたポリイミド樹脂管状体に、外径30mm、長さ240mmのステンレス管を挿入した。
(2)弾性抵抗発熱層材料の準備
弾性抵抗発熱層材料として用いるフッ素ゴム塗料を以下の方法で準備した。オープンロールでフッ素ゴム(G−501NK、ダイキン工業(株)製)100重量%に、MTカーボンブラック(Thermax(Cancarb Ltd.米国商標登録)N990、Cancarb Ltd.製)を20重量%、酸化マグネシウム(キョーワマグ(協和化学工業(株)登録商標)30、協和化学工業(株)製)を15重量%、アミン系硬化剤と(V−3、ダイキン工業(株)製)を3重量%混練りした。その後、MEKで溶解して、固形分が30%となるようにMEKの量を調整し、フッ素ゴム塗料を得た。このフッ素ゴム塗料にケッチェンブラックのディスパージョン(MHIブラックシリーズ、御国色素(株)製)を混合した。混合量は、固形分中のフッ素ゴム100重量%に対してケッチェンブラック20重量%となるように調整した。
(3)弾性抵抗発熱層の成型
ステンレス管を挿入したポリイミド樹脂基材外周に弾性抵抗発熱層材料をスプレーコートで所望の厚みに塗布した。回転させながら40℃で10分間乾燥させ、硬化前の弾性抵抗発熱層が積層された積層体Aを得た。
(4)電極層材料の準備
電極層材料として、前述したフッ素ゴム塗料と、NMPに溶解したポリイミド溶液(リカコート(新日本理化(株)登録商標)SN−20、新日本理化(株)製)を混合し、そこに銀粒子を添加した。混合量は、固形分中のフッ素ゴムとポリイミド樹脂の合計を100重量%として銀粒子が150重量%となるように調整した。また、フッ素ゴムとポリイミド樹脂の合計100重量%のうち、30重量%がフッ素ゴム、70重量%がポリイミド樹脂となるように調整した。
(5)電極層の成型
積層体Aの両端部10mm位置に、電極層材料をブレードコートで所望の厚みに塗布した。回転させながら40℃で10分間乾燥させ、硬化前の抵抗発熱層の両端部に、硬化前の電極層が形成された積層体Bを得た。この積層体Bを恒温槽で150℃1時間、180℃1時間、200℃24時間加熱して硬化させ、基材上に弾性抵抗発熱層及び電極層が形成された積層体Cを得た。硬化後の膜厚を測定すると、弾性抵抗発熱層は150μm、電極層は10μmであった。
(6)体積抵抗値の測定
弾性抵抗発熱層の体積抵抗値は2.56×10Ω・cmであり、測定した40か所の最大値/最小値は1.12倍であった。電極層の体積抵抗値は、8.12×10−4Ω・cmであった。
(7)耐屈曲性の測定
耐屈曲性の測定を行った。その結果、弾性抵抗発熱層および電極層のいずれも、外径5mmのマンドレルに沿わせて折り曲げても、表面にクラックや剥離などの欠陥は発生しなかった。
(8)密着性の測定
電極層と弾性抵抗発熱層との密着性を評価したところ、分類0であり、剥離は見られなかった。
(9)弾性層の形成
上記積層体Cの両端10mmを除いた中央領域の表面に、プライマー(Primer No.4、信越化学工業製)を介して、シリコーンゴム(XE15−B7354、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を塗布した。塗布は、両端10mm部分をマスキングした積層体Cをシリコーンゴム原料中に浸漬し、内径30.65mmのアルミ製リングを外周面に走行させて行った。
塗布後に、140℃で20分間、200℃で4時間加熱し、シリコーンゴムを加硫した。加硫後のシリコーンゴムの厚みを測定すると200μmであった。これにより、積層体Cに厚み200μmのシリコーンゴムが積層された、積層体Dを得た。
(10)離型層の形成
上記積層体Dのシリコーンゴム層の表面にプライマー(PJ−CL990、三井デュポンフロロケミカル社製)を介して、フッ素樹脂ディスパージョン(855−510、三井デュポンフロロケミカル社製)をスプレーコートで塗布した。塗布後に、常温で30分間乾燥した後、340℃のオーブンに入れ、15分間焼成した。焼成後の離型層の厚みを測定すると15μmであった。
以上の(1)〜(10)により実施形態に従う発熱定着ベルトが得られた。これを実施例1とした。
[実施例2]
弾性抵抗発熱層材料において、弾性抵抗発熱層の体積抵抗値が1×10Ω・cmとなるようにケッチェンブラックのディスパージョンの混合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして発熱定着ベルトを作製した。その時の固形分中のフッ素ゴム100重量%に対するケッチェンブラックの混合量は10重量%であり、弾性抵抗発熱層の厚みは、220μmであった。
[実施例3]
弾性抵抗発熱層材料において、弾性抵抗発熱層の体積抵抗値が1×10−3Ω・cmとなるようにカーボンナノチューブのディスパージョン(CNTDシリーズ、開発品;御国色素(株)製)の混合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして発熱定着ベルトを作製した。その時の固形分中のフッ素ゴム100重量%に対するカーボンナノチューブの混合量は50重量%であり、抵抗発熱層の厚みは38μmであった。
[実施例4]
電極層材料のバインダー成分において、フッ素ゴムとポリイミド樹脂との合計100重量%のうち10重量%がフッ素ゴムであり、90重量%がポリイミド樹脂であるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして発熱定着ベルトを作製した。
[実施例5]
電極層材料において、バインダー成分をフッ素ゴムのみとしたこと以外は、実施例1と同様にして発熱定着ベルトを作製した。
[比較例]
弾性抵抗発熱層材料において、ポリイミド溶液(リカコートSN−20、新日本理化(株)製)にケッチェンブラックのディスパージョン(MHIブラックシリーズ、御国色素(株)製)を弾性抵抗発熱層の体積抵抗値が、2.5×10Ω・cmとなるように混合量を調整した導電性ポリイミド溶液を用いた。その時の固形分中のケッチェンブラックの混合量はポリイミド樹脂100重量%に対して22重量%であった。これらの弾性抵抗発熱層材料と電極層材料を用いたこと以外は、実施例1と同様に発熱定着ベルトを作製した。この時の抵抗発熱層の厚みは15μmであった。
[結果]
(1)弾性抵抗発熱層についての評価
実施例1、実施例2および実施例3、並びに比較例の弾性抵抗発熱層について次の評価を行った。測定項目は、体積抵抗値、体積抵抗値のバラツキ、弾性抵抗発熱層の耐屈曲性および発熱温度分布とした。結果を表1に示す。
Figure 0006229083
体積抵抗値は、何れも1.00×10−3以上1.00×10以下の範囲に含まれていた。体積抵抗値のバラツキは、体積抵抗値の最大値を最小値で割ったときに得られる倍数として示した。これらは何れも1.10倍〜1.3倍の範囲に含まれた。弾性抵抗発熱層の耐屈曲性については目視により評価した結果、実施例1、実施例2および実施例3は、何れも良好であった。それに対して比較例は耐屈曲性が劣っていた。温度分布は、最大値から最小値を差し引いた値Δで示した。これらは何れも8.5℃から13℃の間に含まれていた。
(2)電極層に関する評価
実施例1、実施例4および実施例5について、電極層の体積抵抗値、電極層の耐屈曲性、弾性抵抗発熱層と電極層との密着性および発熱温度分布を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0006229083
実施例1、実施例4および実施例5は、それぞれ電極層のバインダー中のフッ素ゴムの比率は、30重量%、10重量%、100重量%とした。これらの電極層の体積抵抗値は、8.12×10−4Ω・cm、6.05×10−4Ω・cm、9.70×10−4であり、これらの値は、何れも各実施例の弾性抵抗発熱層の体積抵抗値よりも低い値であり、且つ1.0×10−3Ω・cm以下であった。上述した弾性抵抗発熱層の体積抵抗値との関係において、このような特性を有する実施形態に従う発熱定着ベルトは、総合的に電極層から弾性抵抗発熱層に対して十分な電流を供給することが可能である。
また、弾性抵抗発熱層と電極層との密着性については、実施例4が分類1であり、5%以下の小さな剥がれが観察されたものの、それは許容範囲に入るものであった。実施例1および実施例5については、分類0であり、電極の剥がれは観察されなかった。実施例1、実施例4および実施例5の温度分布はΔ8.5℃、Δ9.7℃およびΔ8.9℃であり、十分に均一な温度分布であることが示された。
(3)実装試験
実施例1で得られた発熱定着ベルトを図2(c)に示す画像定着装置に組み込み、トナー像の定着テストを行った。定着温度は、サーミスタで190℃に設定し、印刷を行った。その結果、電源投入から瞬時に定着が可能であり、良好な定着画像が得られた。
3.まとめ
バインダー成分にフッ素ゴムを含み、且つ弾性抵抗発熱層と電極層とで同種類のバインダーを用いた実施例1、実施例2、実施例3、実施例4および実施例5は、何れも耐屈曲性に優れていることが証明された。またこれらの温度分布は何れも均一であった。一方、バインダーにポリイミド樹脂を使用した比較例では、均一な温度分布は得られたものの耐屈曲性に劣っていた。
以上の結果から、実施形態に従い、耐屈曲性および耐久性に優れる発熱定着ベルトが提供されることが明らかとなった。この発熱定着ベルトは、導電性材料を増量することによって体積抵抗値を下げることが可能であり、その場合においても優れた耐屈曲性および耐久性が達成されることが証明された。また、そのような発熱定着ベルトを備える画像定着装置によって良好にトナー像が得られることが証明された。
1.発熱定着ベルト 10.ベルト基体 20.弾性抵抗発熱層 30.離型層
40.電極層 50.弾性層 101.102.画像定着装置
110a.110b.芯材 210a.210b.220.加圧ロール
510a.給電部 310.320.トナー 312.322.トナー像
410.支持体 420.対象

Claims (8)

  1. 絶縁性の耐熱性樹脂で形成された管状のベルト基体と、導電性材料を含有し、かつ耐熱性の弾性材料を含む弾性母材で形成された弾性抵抗発熱層と、離型層と、前記弾性抵抗発熱層に給電するための一対の電極層とを備え、
    前記弾性抵抗発熱層は、前記ベルト基体の外周面に設けられ、
    前記離型層は、最外層として設けられ、
    前記一対の電極層は、前記弾性抵抗発熱層の外周面の両側端部に設けられ、かつ前記弾性抵抗発熱層の体積抵抗値よりも低い体積抵抗値を有し、
    前記弾性材料は、フッ素ゴム単独、フッ素ゴムとシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム若しくは水素化ニトリルゴムとの混合物、フルオロシリコーンゴム単独、又はフルオロシリコーンゴムとシリコーンゴム若しくは水素化ニトリルゴムとの混合物であることを特徴とする発熱定着ベルト。
  2. 前記弾性抵抗発熱層は、1.0×10−3Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下の体積抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載の発熱定着ベルト。
  3. 前記弾性抵抗発熱層と前記離型層との間に弾性層をさらに有し、当該弾性層は前記弾性抵抗発熱層および前記離型層と接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱定着ベルト。
  4. 前記一対の電極層は、それぞれ、1.0×10−3Ω・cm以下の体積抵抗値を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の発熱定着ベルト。
  5. 前記弾性母材は、前記弾性材料とは他の耐熱性材料をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の発熱定着ベルト。
  6. 前記耐熱性材料は、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン又はフッ素樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の発熱定着ベルト。
  7. 支持体上で未定着トナーを加熱して、当該トナー像を形成する画像定着装置であって、
    請求項1〜6いずれか1項に記載の発熱定着ベルトと、
    互いの中心軸が平行であり、当該支持体を周面同士で挟み込むように前記発熱定着ベルトと対向して配置されている加圧ロールと、
    前記一対の電極層にそれぞれ給電するように構成された一対の給電部と
    を備える画像定着装置。
  8. 耐熱性の弾性材料および硬化剤を含む弾性母材の塗料を調製する工程と、
    導電性材料のディスパージョンを調製する工程と、
    前記塗料と前記ディスパージョンとを混合して弾性抵抗発熱層材料を得る工程と、
    絶縁性の耐熱性樹脂で形成された管状のベルト基体の外周面に弾性抵抗発熱層材料を塗布、乾燥して硬化前の弾性抵抗発熱層を形成する工程と、
    前記硬化前の弾性抵抗発熱層の外周面の両側端部に電極材料をそれぞれ塗布し、乾燥し、さらに加熱硬化することにより、前記ベルト基体上に前記導電性材料と前記弾性材料を含有する弾性抵抗発熱層および前記弾性抵抗発熱層の体積抵抗値よりも低い体積抵抗値を有し、当該弾性抵抗発熱層に給電するための一対の電極層を形成する工程と、
    最外層に離型層を形成する工程と
    を含む発熱定着ベルトの製造方法。
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