JP2014047321A - 湿式潤滑用摺動部材及び摺動部材用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】油性潤滑剤を用いた湿式潤滑において、優れた摺動特性を有する摺動部材及びそれに用いる樹脂組成物を得る。
【解決手段】油性潤滑剤を用いた湿式潤滑用摺動部材であって、熱可塑性樹脂に、非繊維状のチタン酸金属化合物粒子を含有させた樹脂組成物から形成されていることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、油性潤滑剤を用いた湿式潤滑用摺動部材及び該摺動部材を形成するための樹脂組成物に関するものである。
エンジニアリングプラスチックは、目的の形状に容易に成形できること、高温下での長期使用に耐えることができる優れた耐熱性、強度、剛性、耐薬品性を有することから、自動車部品、電気電子部品などの摺動部材として広く利用されている。近年、これらの用途における技術進歩とともに、湿式潤滑下での高速摺動特性が求められている。
一般に、摺動特性を付与する技術として、エンジニアリングプラスチックに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、黒鉛、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を配合したり、ガラス繊維や炭素繊維などの補強材を配合したりする手法が用いられている。しかし、湿式潤滑下での高速摺動特性は十分ではなかった。
そこで、エンジニアリングプラスチックに潤滑油などの油性潤滑剤を配合する手法が試みられている。例えば、特許文献1では表面組成がリン酸カルシウムより構成され、多孔質構造を有する粒子と、油性潤滑剤とを配合した摺動材組成物を提案している。特許文献2では、多孔質シリカと潤滑剤を配合した摺動材組成物を提案している。
特開2004−83640号公報 特開2008−174593号公報 特開2008−303121号公報 特開2009−263182号公報 特開2012−12261号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された方法では、油性潤滑剤を用いた湿式潤滑において、十分な摺動特性は得られない。
本発明の目的は、油性潤滑剤を用いた湿式潤滑において、優れた摺動特性を有する摺動部材及びそれに用いる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂にチタン酸金属化合物粒子を含有させた樹脂組成物から摺動部材を形成することにより、優れた摺動特性を有する摺動部材が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の湿式潤滑用摺動部材及び摺動部材用樹脂組成物を提供する。
項1
油性潤滑剤を用いた湿式潤滑用摺動部材であって、熱可塑性樹脂に、非繊維状のチタン酸金属化合物粒子を含有させた樹脂組成物から形成されていることを特徴とする湿式潤滑用摺動部材。
項2
前記チタン酸金属化合物粒子が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むチタン酸金属化合物であることを特徴とする項1に記載の湿式潤滑用摺動部材。
項3
前記チタン酸金属化合物粒子の平均粒子径が、5μmより大きいことを特徴とする項1または2に記載の湿式潤滑用摺動部材。
項4
前記チタン酸金属化合物粒子が、多孔質であることを特徴とする項1〜3のいずれか一項に記載の湿式潤滑用摺動部材。
項5
前記チタン酸金属化合物粒子の樹脂組成物中の含有量が、1〜45質量%の範囲内であることを特徴とする項1〜4のいずれか一項に記載の湿式潤滑用摺動部材。
項6
項1〜5のいずれか一項に記載の摺動部材に用いられることを特徴とする摺動部材用樹脂組成物。
本発明によれば、油性潤滑剤を用いた湿式潤滑において、高速摺動条件においても摩耗量の少ない、優れた摺動特性を得ることができる。
合成例1により得られた多孔質チタン酸ナトリウム粒子を示す走査型電子顕微鏡写真。 合成例2により得られた多孔質チタン酸リチウム粒子を示す走査型電子顕微鏡写真。 合成例3により得られた多孔質チタン酸アルミニウム粒子を示す走査型電子顕微鏡写真。 合成例4により得られたチタン酸アルミニウム粒子を示す走査型電子顕微鏡写真。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は以下の実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明の湿式潤滑用摺動部材は、油性潤滑剤を用いた湿式潤滑用摺動部材であって、熱可塑性樹脂に、非繊維状のチタン酸金属化合物粒子を含有させた樹脂組成物から形成されていることを特徴としている。
以下、本発明の構成についてさらに詳細に説明する。
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、摺動部材として使用できる形状を形成でき、十分な耐熱性、耐油性、機械強度などを有していれば特に制限されない。例えば、熱可塑性の汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
ここで、汎用エンジニアリングプラスチックとは、49MPa以上の引張り強さ、2GPa以上の曲げ弾性率、100℃以上の耐熱性を有する樹脂であり、スーパーエンジニアリングプラスチックとは、耐熱性がさらに高く、150℃以上の高温でも長期間使用できる樹脂である。
汎用プラスチックとしては、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ABS樹脂などを例示できる。
汎用エンジニアリングプラスチックとしては、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂などを例示できる。
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂、液晶ポリエステル(LCP)樹脂などを例示できる。
また、上記樹脂から選ばれる2種以上の樹脂同士の混合物、すなわちポリマーアロイなども使用できる。
本発明に使用する熱可塑性樹脂としては、上記樹脂の中でも、機械的強度、耐油性、耐熱性に優れるスーパーエンジニアリングプラスチックを少なくとも含む樹脂が好ましい。
本発明で使用するチタン酸金属化合物粒子は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むチタン酸金属化合物であり、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられ、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられ、好ましくはマグネシウム、カルシウムである。土類金属としては、アルミニウムが挙げられる。
具体的には、一般式NaTi13で表わすことができるチタン酸ナトリウム;一般式LiTi12で表わすことができるチタン酸リチウム;一般式AlTiOで表わすことができるチタン酸アルミニウム;一般式K1.88〜2.13Ti16.94〜17.07で表わすことができるチタン酸カリウム;一般式K0.8Li0.27Ti1.73で表わすことができるチタン酸リチウムカリウム、K0.8Mg0.4Ti1.6で表わすことができるチタン酸マグネシウムカリウム;などを挙げることができる。これらの中でもチタン酸アルミニウムが好ましい。
本発明で使用するチタン酸金属化合物粒子の比表面積は、好ましくは6m/g未満であることがよく、より好ましくは0.1m/gより大きく6m/g未満であることがよく、さらに好ましくは0.5m/gより大きく5m/g未満であることがよい。比表面積はJIS Z8830:2001に準じて測定することができる。
本発明で使用するチタン酸金属化合物粒子の吸油量は、好ましくは10ml/100gより大きいことがよく、より好ましくは10ml/100gより大きく100ml/100g未満であることがよい。吸油量はJIS K5101−13−1に準じて測定することができる。
粒子形状には一般的に繊維状や、球、板、柱状、ブロックなどの非繊維状のものがあるが、摺動界面で、いかなる摺動方向に対しても効率よくチタン酸金属化合物粒子を配置するためには、本発明で使用するチタン酸金属化合物粒子の粒子形状は非繊維状であることが好ましい。本発明において、柱状と繊維状の区別は、アスペクト比(長径/短径)が5以下のものを柱状とし、これより大きいものを繊維状としている。平均粒子径は、5μmより大きい粒子が好ましく、より好ましくは、5μmより大きく100μm未満であることがよく、さらに好ましくは5μmより大きく70μm未満であることがよい。本発明において平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒度としている。
本発明で使用するチタン酸金属化合物粒子は、多孔質体であることがさらに好ましい。多孔質体とすることで、その内部に潤滑油を保持し、また摺動界面のせん断力で破壊することでせん断応力を緩和することが期待できる。本発明でいう多孔質体は、例えば特許文献3(多孔質チタン酸ナトリウム)、特許文献4(多孔質チタン酸アルミニウム)、特許文献5(多孔質チタン酸リチウム)などの方法により得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に、チタン酸金属化合物粒子、更に必要に応じて、その他の添加剤を配合することで本発明の樹脂組成物とされ、従来からよく知られた溶融混合により製造することができる。溶融混合には、二軸スクリュー押出機等の公知の溶融混合装置を用いることができる。
樹脂組成物に配合されるチタン酸金属化合物粒子の配合量は、樹脂組成物の合計量100質量%中に1〜45質量%の割合とするのがよい。チタン酸金属化合物粒子の上限値は45質量%が好ましく、40質量%がさらには好ましい。チタン酸金属化合物粒子の下限値は1質量%が好ましく、5質量%がさらには好ましい。チタン酸金属化合物粒子が1〜45質量%であると、成形性や外観が良好で、満足できる摺動特性を有する製品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、その好ましい物性を損なわない範囲で、補強材、固体潤滑剤、離型剤、難燃材、顔料、染料、紫外線吸収剤、熱安定剤などの公知の添加剤の1種又は2種以上配合することができる。
補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルド繊維、酸化亜鉛繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ホウ酸マグネシウム繊維、酸化マグネシウム繊維、珪酸アルミニウム繊維、窒化珪素繊維、ワラストナイト繊維、アラミド繊維、タルク、マイカなどが挙げられる。
その他添加剤の配合量は、本発明の樹脂組成物の好ましい物性を損なわない範囲であれば特に制限はない。通常は、樹脂組成物の合計量100重量%中に、30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、射出成形、インサート成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形等の公知の樹脂成形方法より、各種成形品とすることできる。また上記の成形方法を組み合わせた成形方法を採用することもできる。
本発明の摺動部材は、上記本発明の樹脂組成物を所定の形状及び寸法の摺動部材に成形することにより得ることができる。
摺動部材としては、ベアリング、スリーブ、シールリング、各種ギアなどの摺動部材が挙げられる。
油性潤滑剤としては、エンジン油、スピンドル油、タービン油、マシン油、シリンダー油、ギヤー油などの鉱油;ひまし油などの植物油;鯨油などの動物油;シリコーンなどの合成油;などの潤滑油が挙げられ、これらは単独または必要に応じて2種以上組み合わせて使用される。
本発明の摺動部材は、油性潤滑剤を用いた湿式潤滑において、優れた摺動(摩擦・摩耗)特性を得ることができる。その理由については定かでないが、樹脂組成物中に含まれるチタン酸金属化合物粒子が、摺動界面で油性潤滑剤を速やかに吸着・保持することで、油性潤滑剤が摺動界面から排出されるのを防ぐものと推測される。また、このようにして形成される油性潤滑剤の膜により、高速摺動に耐えうることができるものと思われる。
本発明の摺動部材においては、樹脂組成物中にあらかじめ油性潤滑剤を保持しておく必要はないが、摺動部材の使用環境が、油性潤滑剤の少ない環境である場合には、予めチタン酸金属化合物粒子に油性潤滑剤を含浸する等の方法で、樹脂組成物中に予め潤滑剤を保持させておいてもよい。
本発明の摺動部材は、湿式潤滑において、相手材と組み合わせ、相手材に対して摺動するように用いられてもよい。このような相手材としては、十分な耐熱性、耐油性、機械強度などを有していれば特に制限されない。例えば、硬質金属(S45C、S55Cなどの鋼、SUS303、SUS304などのステンレス鋼など)、軟質金属(Al5056などのアルミニウム合金、真鍮など)などが挙げられる。
以下、本発明について、具体的な実施例および比較例に基づいて、さらに詳細を説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
<チタン酸金属化合物粒子の合成>
本発明に従うチタン酸金属化合物粒子として、添加材1〜4を、以下のようにして合成した。
(合成例1)添加材1の合成
酸化チタン及び炭酸ナトリウムを、Ti:Na(モル比)が3:1になるように所定量をヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物を振動ミルで粉砕しながら0.5時間混合した。得られた粉砕混合物を900℃で4時間焼成した。得られた生成物を用いて、10重量%スラリーを調製し、3時間撹拌し、このスラリーを炉別、乾燥し、電気炉にて550℃で1時間焼成した。得られた焼成物をハンマーミルにて多孔質構造を壊さない程度に粉砕し、目開き0.5mmの篩にて処理を行うことで添加材1を得た。
得られた添加材1を、X線回折により結晶相がNaTi13であることを確認し、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で多孔質体の粒子であることを確認した。SEM写真を図1に示す。
(合成例2)添加材2の合成
酸化チタン及び炭酸リチウムを、Ti:Li(モル比)が5:4になるように所定量をヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物を振動ミルで粉砕しながら10分間混合した。得られた粉砕混合物を800℃で4間焼成した。得られた生成物をハンマーミルにて粉砕処理を行い、目開き0.45mmの篩にて処理を行うことで添加材2を得た。得られた添加材2を、X線回折により結晶相がLiTi12で、スピネル型であることを確認し、SEMによる観察で多孔質体の粒子であることを確認した。SEM写真を図2に示す。
(合成例3)添加材3の合成
酸化チタン302.26g、酸化アルミニウム423.42g、酸化ケイ素29.59g、及び酸化亜鉛6.63gをヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物を振動ミルで粉砕しながら0.5時間混合した。得られた粉砕混合物を1450℃で4時間焼成した。得られた生成物をハンマーミルにて粉砕処理を行い、目開き0.1mmの篩にて処理を行うことで添加材3を得た。得られた添加材3を、X線回折により結晶相がAlTiOであることが確認し、SEMによる観察で多孔質体の粒子であることを確認した。SEM写真を図3に示す。
(合成例4)添加材4の合成
酸化チタン360.0g、酸化アルミニウム411.1g、酸化ケイ素19.2g、及び水酸化マグネシウム9.7gをヘンシェルミキサーで混合し、得られた混合物を振動ミルで粉砕しながら2時間混合した。得られた粉砕混合物を1500℃で4時間焼成した。得られた生成物をハンマーミルにて粉砕処理を行い、目開き0.1mmの篩にて処理を行うことで添加材4を得た。得られた添加材4を、X線回折により結晶相がAlTiOであることを確認した。SEM写真を図4に示す。
<摺動部材の作製>
(実施例1〜11及び比較例1〜11)
実施例及び比較例には以下の樹脂を用いた。
PEEK樹脂:VICTREX社製、PEEK450G
PPS樹脂:ポリプラスチックス社製、フォートロンW214
PA樹脂(PA6T):デュポン社製、ザイテルHTN501
PEI樹脂:SABIC社製、ULTEM1000−1000
実施例及び比較例には以下の添加材を用いた。添加材の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津社製、SALD−2100)により測定し、比表面積を比表面積測定装置(島津社製、GEMINI2360)によりBET法で測定し、吸油量をJISK 5101−13−1に準拠して測定した。
添加材1:合成例1により得られた多孔質チタン酸ナトリウム粒子
添加材2:合成例2により得られた多孔質チタン酸リチウム粒子
添加材3:合成例3により得られた多孔質チタン酸アルミニウム粒子
添加材4:合成例4により得られたチタン酸アルミニウム粒子
添加材5:チタン酸カリウム繊維(大塚化学社製、TISMO D102、平均繊維長15μm、平均繊維径0.6μm)
添加材6:多孔質シリカ粒子(AGCエスアイテック社製、サンスフェアH52)
添加材7:多孔質リン酸カルシウム粒子(丸尾カルシウム社製、ポロネックス)
添加材8:炭素繊維(東邦テナックス社製、ベスファイトHT C605、平均繊維長6mm)
添加材9:ガラス繊維(日本電気硝子社製、Eファイバー、平均繊維長3mm、平均繊維径11μm)
添加材1〜4及び6〜7の平均粒子径、比表面積及び吸油量、並びに添加材5及び添加材8〜9の繊維長及び繊維径を表1に示す。
熱可塑性樹脂と添加材とを、表3〜表6に示す配合割合でタンブラーミキサーを用いて乾式混合し、ラボプラストミル(東洋精機社製)で溶融混合した。なお、ラボプラストミルのシリンダー温度は290℃〜400℃であった。
得られた生成物を粉砕し、射出成形機にて外径φ50mm、厚み3mmの円板を成形して、評価材とした。なお、射出成形機のシリンダー温度290〜400℃、金型温度は130〜160℃であった。
作製した評価材について、油性潤滑剤中でディスクオンリング摺動試験を行い、評価材の摩耗量深さを測定した。試験条件を表2に示す。相手材は外形φ50mm、内径φ42mmのリング試験片(材質:S45C)を用いた。油性潤滑剤としてはCVTオイル(NS−2、日産社製)を用い、200cc/minで、中心から供給し、周囲から排出させて循環させた。
各実施例及び各比較例の配合割合及び摺動試験結果を表3〜表6に示す。
表3〜表6に示すように、本発明に従い、非繊維状のチタン酸金属化合物粒子を熱可塑性樹脂に含有させた樹脂組成物から形成した摺動部材は、高速摺動の条件下での摩耗量が小さく、優れた摺動特性を示すことがわかる。

Claims (6)

  1. 油性潤滑剤を用いた湿式潤滑用摺動部材であって、
    熱可塑性樹脂に、非繊維状のチタン酸金属化合物粒子を含有させた樹脂組成物から形成されていることを特徴とする湿式潤滑用摺動部材。
  2. 前記チタン酸金属化合物粒子が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び土類金属から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むチタン酸金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の湿式潤滑用摺動部材。
  3. 前記チタン酸金属化合物粒子の平均粒子径が、5μmより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の湿式潤滑用摺動部材。
  4. 前記チタン酸金属化合物粒子が、多孔質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式潤滑用摺動部材。
  5. 前記チタン酸金属化合物粒子の樹脂組成物中の含有量が、1〜45質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式潤滑用摺動部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の摺動部材に用いられることを特徴とする摺動部材用樹脂組成物。

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