JP2014047201A - トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの取得方法 - Google Patents

トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの取得方法 Download PDF

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芳一 木村
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Abstract

【課題】大量、安価に入手可能なシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸シス−トランス混合物から、簡便な操作で高純度なt−CHDOCを取得する方法を提供する。
【手段】シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体及びトランス体の混合物を熱異性化し、系内のトランス体の比率を増加させたのち、晶析によりトランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを取得する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの効率的な取得方法に関するものである。
トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(以下、t−CHDOCと記すことがある)は、医薬および高分子原料、液晶原料として有用である(特許文献1〜4、非特許文献1)。高純度のt−CHDOCを製造するには、相当するカルボン酸、即ちトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸(t−CHDBAと記すことがある)を塩化チオニルのような塩素化剤と反応させると容易に得られることがわかっている(特許文献1〜4および非特許文献1)。
しかしながら、高純度なt−CHDBAの入手が難しく、通常シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸シス−トランス混合物(シス体リッチ)で供給されるために、簡便な方法でt−CHDOCを得ることは難しかった。
特開2011−503026号公報 特開2009−274984公報 特開2009−91415号公報 特開2007−314443号公報
Zhang,B;Turner,S.R.Polymer Preprints,2009,50、690−691.
本発明は、大量、安価に入手可能なシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸シス−トランス混合物から、簡便な操作で高純度なt−CHDOCを取得する方法の提供を目的とする。
本発明者らは、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス−トランス混合物が特定温度での加熱によりトランスリッチに異性化し、シス:トランス=約30〜35:70〜65の比で平衡に達することを見出した。また、このトランスリッチな混合物を単に冷却するだけで、純粋なt−CHDOCが結晶として析出し、簡単なろ過でt−CHDOCを得ることができることもあわせて見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、下記の手段を有する。
〔1〕シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体及びトランス体の混合物を熱異性化し、系内のトランス体の比率を増加させたのち、晶析によりトランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを取得する方法。
〔2〕前記熱異性化を120℃〜170℃で行う〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記晶析を1時間に5〜15℃の速度で徐冷することにより行う〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記晶析を熱異性化の反応温度から0〜25℃の到達温度まで冷却することにより行う〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕前記トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを純度98.0質量%以上で取得する〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕前記熱異性化及び晶析を繰り返し行いシス体を廃棄することなく、前記トランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを取得する環境適合型の〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕前記熱異性化を、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を塩素化し、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体及びトランス体の混合物を生成させた後に行う〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕前記熱異性化前の混合物が前記シス体を50質量%以上含み、前記熱異性化により前記トランス体を50%以上とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕前記熱異性化を蒸留精製の後に行う〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕前記熱異性化の後、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドに対して貧溶媒となる有機溶媒を加えて前記晶析を行う〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕前記晶析後に取得したトランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドをこれに対する貧溶媒により洗浄する〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕前記晶析工程におけるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのトランス体の晶析量を、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体とトランス体との混合比(質量%)と当該トランス体の凝固点(℃)との関係に基づき制御することを特徴とする〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕前記シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体とトランスとの混合比(質量%)と当該トランス体の凝固点(℃)との関係が、下記数式1で表される〔12〕に記載の方法。
[数1]
y=−0.00005x−0.0002x−0.3488x+65.283
(x:シス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの含有率(%)、y:トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの凝固点(℃))
本発明の方法によれば、高純度なトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを、簡便な操作で取得することができる。得られたt−CHDOCは化学的に高純度であり望ましくは純度98.0%以上のトランス異性体である。
本発明の方法の好ましい実施形態(工程の流れ)を示したフローチャートである。 熱異性化温度とCHDOCのシス体/トランス体の平衡(比率)の一例を示したグラフである。 CHDOCのシス体/トランス体の比率と凝固点との関係(一例)を示したグラフである。
以下、本発明についてその好ましい実施態様に基づき詳細に説明する。
[CHDOCの調達(工程I)]
原料となるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸はシス、トランス混合物のいかなる比率のものでも使用可能である。通常は工業品として安価に入手可能なシス−トランス75〜80:25〜20の異性体混合物を用いるのが好ましい。シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを異性体の区別なく総称として呼ぶときには「CHDOC」と言う。一方、異性体ないしその混合物を区別して呼ぶときには、シス体を「c−CHDOC」、トランス体を前記のように「t−CHDOC」、その混合物を「mix−CHDOC」と略称で呼ぶことがある。
CHDOCを合成により取得する場合には、カルボン酸を酸クロリドに変換する既知の反応で行うことができる。例えば、塩化チオニルを過剰量使用し、トルエンやベンゼン中で行うことができる。その際の反応温度は通常80℃で数時間で反応が完了する。また、当量の塩化チオニルに触媒量のDMFを添加すると60℃で反応が進行する。あるいは、単離したビルスマイヤー試薬を用いることもできる。その際は、トルエンなどの溶媒中で40℃で1時間以内に反応が完結する。ここで得られるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドは、通常、元のシス、トランスの比率をそのまま反映する。
[蒸留・熱異性化(工程II・工程III)]
前記のようにして調達されたシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス体リッチ)のものを蒸留すると蒸留中にシスからトランスに異性化が認められる。流出した留分をさらに加熱することにより、シス:トランスが約30〜35:70〜65で平衡に達する。異性化を起こす温度は120℃以上170℃以下の間であり、それを超える温度では分解物が多くなる。好ましくは140℃以上であり、150℃以上がより好ましい。上限としては、160℃以下であることが好ましい。異性化工程は蒸留精製の前と後ろのいずれでも可能であるが、不純物を含む粗体を加熱異性化すると、さらに好ましくない不純物への分解がおこるので、蒸留精製したものを加熱異性化することが望ましい。その場合160℃以下では不純物の増加は観測されないため好ましい。
上記の熱異性化は、高純度の目的化合物を高収率・高効率で得ようとする場合には、系内のトランス体の比率が短い反応時間で50%を超える条件であることが特に好ましく、そのために前記熱異性化の温度を140℃以上とすることが特に好ましい(添付図2参照)。このような領域で引き続く晶析を行うことで、トランス体をより多く取得することができることはもとより、一連の操作を繰り返して行う場合(工程VI)などに、容量を増加させずに、所定の収量の高純度製品を得ることができ好ましい。
[晶析・洗浄(工程IV・工程V)]
前述したCHDOCの平衡混合物を自然冷却すると50℃付近から結晶の析出が見られる。0〜25℃(好ましくは20℃付近以下)になったところで、目的生成物を取得することが好ましい。このとき、ヘキサン、ヘプタン、シクヘキサンなどの貧溶媒を加え、結晶を洗浄・ろ取することにより、高純度のトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを得ることができる。収率は特に限定されないが、前記の操作により50〜55%の収率で取得することができる。上記冷却操作の速度は特に限定されないが、5〜15℃/時間で徐冷することが好ましい。冷却操作は、前記熱異性化の温度か前記到達温度(0〜25℃)まで降温させることにより行うことが好ましいが、80℃から前記到達温度(好ましくは20℃)に至る温度範囲で前記の冷却速度により徐冷することが好ましい。
貧溶媒の添加は50℃以上の液状混合物に加え、そのまま20℃以下まで冷却する方法も採用できる。なお、本明細書において貧溶媒とは実質的に対象化合物を溶解しない溶媒を広く意味するが、例えば、室温(25℃)で溶解度が100g/L以下の溶媒と定義することができる。
取得されるトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの純度は特に限定されないが、後記繰り返し処理も含めて、98.0%以上であることが好ましく、99.0%以上であることがより好ましく、99.5%以上がさらに好ましい。
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を塩素化せずに、そのまま加熱異性化し冷却ののち、トランス体を回収した例がある(例えば、特開2008−63311、特開2003−128620、特許4513256等参照)。しかしこの方法では、いずれも200℃を超える高温で処理する必要があり、製造に要するエネルギー消費の点で劣る。また、シスカルボン酸体の融点(168℃)以下まで冷却しトランスカルボン酸を回収するので、冷却による晶析効果はなく、異性化後のシスートランス異性体比がそのまま取り出したトランスカルボン酸の純度に反映される。得られたトランス体の純度は総じて高くはなく、この純度をさらに高めることは容易ではないと推測される。さらに、トランスカルボン酸体を得ても、その後の工業利用に有用な酸クロリドを得るために塩素化反応を行うと、その反応および蒸留精製中にシス体への異性化が起こる。(実施例7参照)こうした点でも純度および製造効率を下げる方向となる。
[繰り返し処理(工程VI)]
異性体混合物を含む溶液は、溶媒を留去後、再度加熱異性化することにより、シス/トランス 30〜35:70〜65の平衡混合物となり、同様の冷却操作によりトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを得ることができる。この操作を数回繰り返し、着色が認められるようになれば蒸留精製に戻ることにより、無駄なく所望のトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを取得できる。この方法は、廃棄物の少ない環境適合型の製造方法として優れている。
この繰り返し処理の際に、回収した上澄み(mix−CHDOC)に、さらに原料となるシス体リッチの混合物(mix−CHDOC)を添加し、循環型の製造システムとしてもよい。これにより、連続的に目的とするt−CHDOCを無駄なく取得することができ、上記の環境適合性と生産性とを両立することができる。すなわち、本実施形態においてt−CHDOCが過半(50%超)を占めることは重要であり、これを効果的かつ効率的に行うために、前記のように、熱異性化温度を140℃以上としt−CHDOCが過半を占める状態で晶析処理を行うことが特に好ましい。
[生産制御]
本発明者らは、さらに実験確認を通じ、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体及びトランス体の比率とトランス体の凝固点(晶析の開始温度)との関係を確認した。具体的には、後記実施例とは別に合成したシス体(シス:トランス=88.5:11.5)とトランス体(シス:トランス=0.5:99.5)を適当な割合で混合し、種々の比率のCHDOC異性体混合物7水準を調製した。これらを73℃の恒温槽に入れ均一溶液としたのち、ゆっくりと温度を下げ結晶が出始める温度を測定した。その結果を図3に示している。
このグラフの近似曲線(多項式近似:3次)から求められる上記異性体存在率と凝固点との関係は、下記の式で表される。
[数1]
y=−0.00005x−0.0002x−0.3488x+65.283
=0.9988
x:c−CHDOCの含有率(%)、y:t−CHDOCの凝固点(℃)
この知見から、上記数1の関係に即して制御し、前記晶析によりt−CHDOCを所望の収量で取得することができる。これは、前記晶析工程において冷却によりc−CHDOCはほぼ全く析出させず媒体としてのみ振る舞い、t−CHDOCのみが純度良く晶析してくるという本発明者の見出した知見に基づいている。このような生産制御により、純度及び収率を所望の設定の下に変更して工程管理を行うことができる。とりわけ上記のように繰り返し処理を行う場合に、反応槽の容量などを考慮し、その連続生産における収量を把握することができ好ましい。なお、上記数式1は実験的に求められた近似式として具体的に規定しているが、この相関性を技術として利用する限りにおいてこの近傍の数値(数式)を利用するものを均等なものとして本発明に取り込むものである。
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。なお、前記の説明および以下の実施例において特に断らない限り%ないし比率(:)は質量基準である。
(参考例1)
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸(シス−トランス約80:20混合物)155g(0.90モル)にトルエン450mL、DMF(ジメチルホルムアミド)10mLを加え60℃で攪拌した。塩化チオニル221g(1.86モル)を2時間半かかって滴下し、さらに1時間60℃で攪拌を続けた。反応液はスラリー状態から均一溶液に変化した。脱ガス後、GC分析するとシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス約80:20混合物)に定量的に変化していた。溶媒を減圧留去し、残渣を蒸留(bp115℃/3〜4torr)した。シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス約68:32)175g(93%収率)を得た。
(実施例1)
参考例1で得たシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス約68:32)混合物175gを150℃で1時間攪拌しGC分析したところ、シス−トランスが35:65に変化していた。1昼夜放置し20℃まで冷却するとシャーベット状となった。これにシクロヘキサン100mLを加え良く攪拌しろ過、結晶をシクロヘキサン50mLで洗浄、室温で1時間減圧乾燥しトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの白色結晶を88g(50%収率)得た。mp65〜66℃(文献値 mp64〜66℃;Synthesis、1991、441−442)GC−MS:m/z=208(M),173(ベースピーク)
GC分析の結果、化学純度は99.6%、シス−トランスの比は0.5:99.5であった。
ろ液のシクロヘキサン層をエバポレーターで濃縮した残渣87g(シス−トランス 70:30)を150℃で2時間攪拌し再度異性化、同様な操作でt−CHDOCを結晶として37g(原料基準20%収率)得た。GC純度は99.1%(シス−トランスの比は1.1:98.9)であった。
2回の異性化でトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを合計67%収率で得たことになる。さらに、ろ液を150℃で加熱、異性化するとトランス体が結晶として得られ、その純度も98.5%以上あったが、オフホワイトで若干の着色が見られたので、繰り返し実験はここで中止し、再蒸留後、異性化、晶析工程を繰り返し行う実施例4の試料とした。
(実施例2)
実施例1と同様にして150℃で2時間異性化した後のシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス約32:68)混合物87gにヘキサン100gを加え80℃に加熱溶解した。1時間に10℃ずつゆっくりと温度を低下し15℃まで冷却した。析出した結晶をろ別しヘキサン50mLで洗浄、真空乾燥すると、t−CHDOC40.5g(収率46.6%)が得られ、GC分析の結果シス−トランスの比は1:99であった。ろ液はシス−トランス67:33であった。
(実施例3)
参考例1と同様にして得たシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス約68:32)混合物100gを140℃で2時間攪拌しGC分析したところ、シス−トランスが45:55に変化していた。このものを一昼夜放置すると、結晶が析出していたのでヘキサン70mLを加え攪拌後、ろ過しトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを39g(39%収率)得た。GC分析の結果、純度は99.6%、シス−トランスの比は0.7:99.3であった。
(実施例4)
実施例3および実施例1の晶析ろ液を集めてシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド混合物淡黄色液体124gをまとめて蒸留した。バス温140℃、沸点100〜102℃/1〜2torrの無色透明留分107gを得た。これを150℃で1時間異性化し、冷却、ヘキサン100mLでトリチュレートし結晶をろ取した。乾燥後52g(収率48.6%)のトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(純度99.1%、シス−トランス1.1:98.9)の白色結晶を得た。晶析ろ液は薄い黄色であった。
(実施例5)
参考例1で得たシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス68:32)混合物1gを100℃で1時間攪拌した。GC分析により、シス−トランス68:32で変化はなかった。そのサンプルを130℃で1時間、さらに140℃で1時間というように160℃まで加熱した。それぞれの温度でのサンプルをGC分析してシス−トランスの比を測定した。その結果をグラフ(図2)に示した。温度の上昇とともにトランス体の比率が増えたが、シス−トランス35:65で平衡に達した。
(実施例6)
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス約73:27)混合物30gを120℃に加熱し、平衡に達するまで時間ごとに分析した。その結果、10時間後にシス−トランスが30:70で平衡になり、それ以上加熱を続けてもシス−トランスの比は変化しなかった。
(実施例7)
3つのフラスコにトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリド(シス−トランス1.1:98.9)30gずつ量り取り、130℃、150℃、170℃のオイルバス中で平衡に達するまで加熱した。その結果、130℃では10時間後に平衡になりシス−トランス30:70、150℃では2時間後に平衡になりシス−トランス31:69となった。いずれの温度でも新たな不純物は観測されなかった。170℃では1時間後にシス−トランス33:67となったが、淡黄色に着色し小さな不純物が増加していた。

Claims (13)

  1. シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体及びトランス体の混合物を熱異性化し、系内のトランス体の比率を増加させたのち、晶析によりトランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを取得する方法。
  2. 前記熱異性化を120℃〜170℃で行う請求項1に記載の方法。
  3. 前記晶析を1時間に5〜15℃の速度で徐冷することにより行う請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記晶析を熱異性化の反応温度から0〜25℃の到達温度まで冷却することにより行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを純度98.0質量%以上で取得する請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記熱異性化及び晶析を繰り返し行いシス体を廃棄することなく、前記トランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドを取得する環境適合型の請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記熱異性化を、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を塩素化し、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体及びトランス体の混合物を生成させた後に行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記熱異性化前の混合物が前記シス体を50質量%以上含み、前記熱異性化により前記トランス体を50%以上とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記熱異性化を蒸留精製の後に行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記熱異性化の後、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドに対して貧溶媒となる有機溶媒を加えて前記晶析を行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記晶析後に取得したトランス−1,4−ジカルボン酸ジクロリドをこれに対する貧溶媒により洗浄する請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記晶析工程におけるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのトランス体の晶析量を、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体とトランス体との混合比(質量%)と当該トランス体の凝固点(℃)との関係に基づき制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドのシス体とトランスとの混合比(質量%)と当該トランス体の凝固点(℃)との関係が、下記数式1で表される請求項12に記載の方法。
    [数1]
    y=−0.00005x−0.0002x−0.3488x+65.283
    (x:シス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの含有率(%)、y:トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジクロリドの凝固点(℃))
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