以下、図面を参照して、本発明に係るシート搬送装置の一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明のシート搬送装置を備える画像読取装置が搭載された複合機(画像形成装置)について説明する。
図1は、本実施形態に係る複合機Aの概略構成を模式的に示した全体図である。本実施形態に係る複合機Aは、電子写真方式に基づいて記録紙に画像を形成する画像形成装置であり、図1に示すように、操作表示部1(表示手段)、画像読取装置2、画像データ記憶部3、通信部4、画像形成部5及び演算制御部6(制御手段)を備える。
操作表示部1は、操作キー11及びタッチパネル12を備えており、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。操作表示部1は、操作キー11またはタッチパネル12に表示された操作ボタンに対するユーザーの操作指示を操作信号として演算制御部6に出力するとともに、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてタッチパネル12に種々の画像を表示する。
画像読取装置2は、ADF(Automatic document feeder:自動原稿給送装置)20及びフラットベット読取部30を備えており、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてADF20により給紙される原稿Pまたはユーザーによりフラットベット読取部30上に載置された原稿Pの表面画像(原稿画像)を読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。
図2は、画像読取装置2を模式的に示す縦断面図である。ADF20は、原稿給紙トレイ22に載置された複数枚の原稿P(シート)を原稿画像の読取位置に1枚ずつ順次自動給紙するものであり、図2に示すようにプラテンカバー21、原稿給紙トレイ22、ピックアップローラー23、分離機構24、レジストローラー25、原稿検出部26、排紙ローラー27、原稿排紙トレイ28及び重送検知センサー29を備える。
プラテンカバー21は、給紙途中で紙詰まりした原稿Pを除去する等のために、ADF20本体に開閉自在に取り付けられた可動カバーである。図2では、プラテンカバー21の内部が閉じられた状態を示しているが、ユーザーは、プラテンカバー21を開状態とすることによりピックアップローラー23、分離機構24及びレジストローラー25等にアクセス可能である。原稿給紙トレイ22は、読取対象である原稿Pを収容する容器である。ピックアップローラー23は、原稿給紙トレイ22に収容された原稿Pを1枚ずつ取り出して分離機構24に送り出す駆動ローラーである。
分離機構24は、ピックアップローラー23の下流側(原稿搬送方向の下流側)に配置されており、ピックアップローラー23によって複数枚の原稿Pが同時に送り出された場合、つまり重送が発生した場合に、1枚目と2枚目以降の原稿Pを分離して重送を防止するものである。
詳細には、この分離機構24は、図2に示すように、原稿Pを正方向(原稿排紙トレイ28に向かう方向)に搬送する方向に回転駆動される搬送ローラー24aと、この搬送ローラー24aと対をなすように対向配置されていると共に、搬送ローラー24aに圧接されながら回転駆動される分離ローラー24bとから構成されている。搬送ローラー24aの回転軸には、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この搬送ローラー24aの回転動作(回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は演算制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御による回転トルクの付与)によって制御される。なお、ピックアップローラー23の回転力をベルトによって搬送ローラー24aの回転軸に伝達する構成を採用しても良い。
一方、分離ローラー24bの回転軸には、不図示のトルクリミッターを介して回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この分離ローラー24bの回転動作(回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は演算制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御による回転トルクの付与)によって制御される。
この分離機構24では、重送された原稿Pを分離する分離処理を行うときには、分離ローラー24bは、搬送ローラー24aが搬送する方向と逆方向に原稿Pが搬送されるように回転駆動される。また、分離機構24では、重送された原稿Pに対して分離処理を行わないときには、分離ローラー24bは、搬送ローラー24aに従動して回転される。このように分離機構24は、分離処理を行わないときには、原稿Pを搬送する搬送手段として機能する。
レジストローラー25は、分離機構24から供給された原稿Pを所定のタイミングで排紙ローラー27に向けて送り出す駆動ローラーである。このレジストローラー25と排紙ローラー27との間には、図示するように読取用開口部が形成されている。この読取用開口部は、ADF20の底部、つまりフラットベット読取部30との対向部に副走査方向(原稿搬送方向)に所定幅で設けられた帯状開口であり、ADF20によって自動給紙される原稿Pの表面がフラットベット読取部30に露出する部位である。このような読取用開口部とレジストローラー25との間には原稿検出部26が設けられている。この原稿検出部26は、レジストローラー25から送り出された原稿Pの先端位置を検出し、検出信号を演算制御部6に出力する。排紙ローラー27は、ピックアップローラー23から供給された原稿Pを原稿排紙トレイ28に向けて搬送する駆動ローラーである。原稿排紙トレイ28は、排紙ローラー27から供給された原稿Pを収容する収容部である。
重送検知センサー29は、分離機構24の下流側に配置されており、原稿Pの枚数に応じた物理量を検出する。この重送検知センサー29は、用紙搬送路を上下に挟むように対向配置された超音波送信部29aと超音波受信部29bとから構成されている。超音波送信部29aは、下方から超音波受信部29bへ向けて超音波を送信する。超音波受信部29bは、超音波送信部29aから送信された超音波を受信し、その受信強度に応じた電圧信号を演算制御部6へ出力する。
超音波受信部29bによる超音波の受信強度は、分離機構24の下流側を移動する原稿Pの枚数が0枚(紙無し状態)の時に最も大きく、原稿Pの枚数が増えるほど小さくなる。つまり、超音波の受信強度は、分離機構24の下流側を移動する原稿Pの枚数に応じて変化する物理量である。従って、演算制御部6は、重送検知センサー29(超音波受信部29b)の出力信号に基づいて、分離機構24の下流側を移動する原稿Pの状態が0枚状態(紙無し状態)なのか、1枚状態なのか、或いは複数枚状態なのかを検知することができる。
具体的には、演算制御部6は、原稿Pが1枚の時の超音波の受信強度を比較用の基準強度として予め記憶しており、重送検知センサー29(超音波受信部29b)の出力信号から把握した受信強度(実測値)と上記基準強度とを比較して、両方が一致すれば、原稿Pが1枚だと判断し、受信強度(実測値)が上記基準強度より大きければ、紙無しと判断し、受信強度(実測値)が上記基準強度より小さければ、原稿Pが複数枚(重送)と判断する。なお、原稿Pの枚数に応じた物理量を検出するものであれば、超音波式、光学式を問わず、各種のセンサーを重送検知センサー29として使用しても良い。
フラットベット読取部30は、図2に示すように、第1のプラテンガラス31、第2のプラテンガラス32、白色基準板33、原稿サイズ指示板34、フルレートキャリッジ35、ハーフレートキャリッジ36、集光レンズ37、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサー38(読取センサー)及び読取部筐体39を備えている。このようなフラットベット読取部30は、ADF20により自動給紙された原稿P、またはユーザーにより第2のプラテンガラス32上に載置された原稿Pを読み取る。
第1のプラテンガラス31は、読取部筐体39の上面左側に設けられた帯状開口に嵌め込まれた透明な板ガラスであり、上述したADF20の読取用開口部と対向している。ADF20のレジストローラー25から排紙ローラー27に向けて順次搬送される複数枚の原稿Pは、第1のプラテンガラス31上を順次通過する。第2のプラテンガラス32は、第1のプラテンガラス31が嵌め込まれた読取部筐体39の上面に設けられた帯状開口の右側に設けられた矩形開口に嵌め込まれた透明な板ガラスであり、ADF20を使用しない画像読取処理を行う際に、ユーザーにより原稿Pが載置される。
白色基準板33は、読取部筐体39の上面において第1のプラテンガラス31と第2のプラテンガラス32との間に設けられ、周知のシェーディング補正に用いられる基準色を提供する白色板である。原稿サイズ指示板34は、読取部筐体39の上面において第2のプラテンガラス32と白色基準板33との間に設けられ、ユーザーが第2のプラテンガラス32上に原稿Pを載置する際に原稿サイズに応じた載置位置を示すマークである。
フルレートキャリッジ35は、照明光を斜め上方に向けて照射する光源35aと、原稿Pにより反射された光をハーフレートキャリッジ36に向けて反射する第1のミラー35bとを備え、副走査方向に延在するレール上に移動可能に取り付けられている。フルレートキャリッジ35は、ADF20により自動給紙された原稿Pを読み取る際には、図2に示すように第1のプラテンガラス31の下方に固定され、第1のプラテンガラス31上の読取用開口部を通過する原稿Pに向けて光源35aから放射された光を照明光として照射すると共に、当該照明光が原稿Pの表面で反射して得られる反射光(読取光)を第1のミラー35bによってハーフレートキャリッジ36に向けて反射する。
なお、フルレートキャリッジ35は、第2のプラテンガラス32に載置された原稿Pを読み取る際には、第2のプラテンガラス32の下方において副走査方向に移動しながら原稿Pに向けて照明光を照射すると共に、原稿Pから順次得られる読取光を第1のミラー35bによってハーフレートキャリッジ36に向けて反射する。
ハーフレートキャリッジ36は、上記第1のミラー35bから入射した読取光を下方に反射する第2のミラー36aと、該第2のミラー36aから入射した読取光を集光レンズ37に向けて反射する第3のミラー36bとを備え、フルレートキャリッジ35と同一のレール上にフルレートキャリッジ35の左側に位置するように取り付けられている。ハーフレートキャリッジ36は、ADF20によって自動給紙された原稿Pを読み取る場合には、図2に示すように第1のプラテンガラス31の下方に位置するフルレートキャリッジ35の左側において所定距離離れて固定されている。なお、第2のプラテンガラス32上にセットされた原稿Pの画像を読み取る場合、ハーフレートキャリッジ36は、フルレートキャリッジ35と同様に副走査方向に移動する。
集光レンズ37は、上記第3のミラー36bから入射する読取光を集光してCCDラインセンサー38の受光面に結像させる。CCDラインセンサー38は、所定数のCCD受光素子が直線状(ライン状)に並ぶラインセンサーであり、受光面で順次受光した読取光を電気信号に光電変換し、原稿画像に応じた原稿画像データとして画像データ記憶部3に出力する。なお、図2に示す破線矢印は、ADF20により原稿Pが自動給紙される際における照明光及び読取光の光路を示している。なお、読取部筐体39は、上述したフルレートキャリッジ35、ハーフレートキャリッジ36、集光レンズ37及びCCDラインセンサー38を収容する箱型筐体である。
画像データ記憶部3は、半導体メモリ−またはハードディスク装置等であり、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて上記原稿画像データ、通信部4が外部のクライアントコンピューターから受信するプリント画像データあるいは通信部4が外部のファクシミリ装置から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共に、これら画像データを演算制御部6から入力される制御信号に基づいて読み出して画像形成部5に出力する。
通信部4は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またLAN(Local Area Network)を介してクライアントコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部4は、イーサネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能と、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。
画像形成部5は、プリントエンジン(感光ドラム、帯電器、現像装置及び定着ローラーなど)などを備え、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて記録紙を搬送し、画像データ記憶部3から入力された画像データに基づいて記録紙上にトナー画像を形成するものである。画像形成部5は、画像読取装置2が読み取った原稿画像や通信部4が個々のクライアントコンピューターやファクシミリ装置から受信した印刷対象画像を個々の「ジョブ(プリントジョブ)」として処理することにより画像形成を行う。
この画像形成部5は、演算制御部6による制御の下、給紙カセット44内に収容された用紙束から用紙を1枚ずつ搬送し、画像データ記憶部3の画像データに基づいて用紙上に画像を形成するものである。このような画像形成部5は、図1に示すように、ブラック、イエロー、シアン、マゼンダの4色に対応するトナーからなる画像(以下、トナー画像と称す)を形成する画像形成ユニット41、中間転写ベルト42、1次転写ローラー43、給紙カセット44、給紙ローラー45、分離機構46、重送検知センサー47、レジストローラー48、2次転写ローラー49、定着ローラー50、排紙ローラー51及び排紙トレイ52から構成されている。
各画像形成ユニット41は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色に対応するトナー画像を形成するものであり、複合機Aの正面から視て水平方向に所定間隔で各色に対応して4つ設けられている。このような画像形成ユニット41は、図1に示すように、トナー画像が周面に形成される感光体ドラム41aを備えている。
中間転写ベルト42は、各感光体ドラム41aに接するように設けられた無端ベルトであり、各感光体ドラム41aの周面に形成されたトナー画像が各感光体ドラム41aから1次転写されるものである。1次転写ローラー43は、中間転写ベルト42を挟むように各感光体ドラム41aに対向配置されており、回転しながら1次転写電圧を中間転写ベルト42に印加することにより各感光体ドラム41aから中間転写ベルト42にトナー画像を1次転写させるローラーである。
給紙カセット44は、A4サイズやB5サイズ等、所定サイズの用紙束を収容する容器であり、少なくとも用紙束の最上面を露出させるための開口部を有している。給紙ローラー45は、給紙カセット44上において用紙束の最上面に圧接されながら給紙方向に正回転することにより、用紙束の最上部から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Lへ送り出すローラーである。ここで、給紙方向とは、用紙搬送路Lに沿って用紙が搬送される方向を指す。
なお、給紙ローラー45の回転軸には、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この給紙ローラー45の正回転動作(正回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は演算制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御による正回転トルクの付与)によって制御される。
分離機構46は、用紙搬送路L上における給紙ローラー45の下流側(給紙方向の下流側)に配置されており、給紙ローラー45によって複数枚の用紙が同時に用紙搬送路Lへ送り出された場合、つまり重送が発生した場合に、1枚目と2枚目以降の用紙を分離して重送を防止するものである。
この分離機構46は、給紙方向に正回転する搬送ローラー46aと、この搬送ローラー46aに対向配置されていると共に、搬送ローラー46aに圧接されながら不図示のトルクリミッターを介して逆給紙方向に逆回転する捌きローラー46bとから構成されている。搬送ローラー46aの回転軸には、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この搬送ローラー46aの正回転動作(正回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は演算制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御による正回転トルクの付与)によって制御される。なお、給紙ローラー45の回転力をベルトによって搬送ローラー46aの回転軸に伝達する構成を採用しても良い。
一方、捌きローラー46bの回転軸には、不図示のトルクリミッターを介して回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、この捌きローラー46bの逆回転動作(逆回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は演算制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御による逆回転トルクの付与)によって制御される。ここで、捌きローラー46bのトルクリミッターは、搬送ローラー46aと捌きローラー46bとの間に挟持される用紙が1枚(或いは0枚)の時に、捌きローラー46bが搬送ローラー46aに従動し(図2(a)参照)、用紙が複数枚の時に、捌きローラー46bが逆回転するように設定されている(図2(b)参照)。
用紙搬送路L上における分離機構46の下流側には、用紙の枚数に応じた物理量を検出する重送検知センサー47が配置されている。この重送検知センサー47は、用紙搬送路Lを上下に挟むように対向配置された超音波送信部47aと超音波受信部47bとから構成されている。超音波送信部47aは、用紙搬送路Lの下方から超音波受信部47bへ向けて超音波を送信する。超音波受信部47bは、超音波送信部47aから送信された超音波を受信し、その受信強度に応じた電圧信号を演算制御部6へ出力する。
超音波受信部47bによる超音波の受信強度は、分離機構46の下流側を移動する用紙の枚数が0枚(紙無し状態)の時に最も大きく、用紙の枚数が増えるほど小さくなる。つまり、超音波の受信強度は、分離機構46の下流側を移動する用紙の枚数に応じて変化する物理量である。従って、演算制御部6は、重送検知センサー47(超音波受信部47b)の出力信号に基づいて、分離機構46の下流側を移動する用紙の状態が0枚状態(紙無し状態)なのか、1枚状態なのか、或いは複数枚状態なのかを検知することができる。
具体的には、演算制御部6は、用紙が1枚の時の超音波の受信強度を比較用の基準強度として予め記憶しており、重送検知センサー47(超音波受信部47b)の出力信号から把握した受信強度(実測値)と上記基準強度とを比較して、両方が一致すれば、用紙が1枚だと判断し、受信強度(実測値)が上記基準強度より大きければ、紙無しと判断し、受信強度(実測値)が上記基準強度より小さければ、用紙が複数枚(重送)と判断する。なお、用紙の枚数に応じた物理量を検出するものであれば、超音波式、光学式を問わず、各種のセンサーを重送検知センサー47として使用しても良い。
用紙搬送路L上における重送検知センサー47の下流側には、分離機構46から搬送される用紙の2次転写ローラー49への搬送タイミングを調節するための一対のレジストローラー48が配置されている。この一対のレジストローラー48は、互いに対向配置されて、圧接されながら給紙方向に正回転する2本のローラーから構成されている。
なお、レジストローラー48の一方のローラーの回転軸に、不図示の回転駆動機構(モーターや減速用ギア等)が連結されており、他方のローラーは空転するようになっている。つまり、一方のローラーの正回転動作(正回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等)は演算制御部6による回転駆動機構の制御(特にモーター制御による正回転トルクの付与)によって制御され、他方のローラーは一方のローラーに従動するようになっている。
2次転写ローラー49は、対抗配置された対向ローラーとの間に中間転写ベルト42を挟むように配置され、中間転写ベルト42との間で2次転写ニップを形成するローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を用紙に2次転写させるものである。すなわち、2次転写ローラー49は、2次転写ニップにおいて中間転写ベルト42と用紙とを挟んだ状態で2次転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト42上のトナー画像を用紙に2次転写させる。
定着ローラー50は、内部にヒーターを備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに圧接される加圧ローラーとから構成され、上記2次転写ローラー49でトナー画像が2次転写された用紙を挟持することにより、用紙を加熱及び加圧してトナー画像を用紙上に定着させる。排紙ローラー51は、定着ローラー50から搬送される用紙を排紙トレイ52に排出する。排紙トレイ52は、排紙ローラー51によって排出された用紙を収容する受け皿である。
演算制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び上述した各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されており、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいて複合機Aの全体動作を制御する。
詳細については後述するが、演算制御部6は、重送されている原稿Pを分離可能か否かの判断を重送検知センサー29の検出結果に基づいて行うと共に、分離が不可能と判断したときに分離機構24に分離処理を停止させる。
また、演算制御部6は、ある原稿Pに対して最初に重送が検知された場合に、分離機構24やピックアップローラー23にその原稿Pを逆方向に搬送させた後、分離機構24に分離処理をさせ、その原稿Pに対して2回以上の重送が検知された場合に、重送検知センサー29において原稿Pが1枚のみ検知されていた時間が規定時間以下であるときには分離が不可能と判断する。なお、ここで言う規定時間とは、ステープル等で留められておらずに重送される原稿P同士が一回分離処理されたときに少なくともずれる量を変位距離としたときに、この変位距離が重送検知センサー29を通過する時間に基づいて定められる時間である。この規定時間は、予め実験を行うことによって求められ、演算制御部6に記憶されている。
また、演算制御部6は、重送されている原稿Pの分離が不可能と判断したときには、その旨を操作表示部1に表示させる。
なお、以上のように構成された複合機Aにおいては、本発明の搬送手段は、ピックアップローラー23、分離機構24、レジストローラー25、排紙ローラー27によって構成されている。つまり、複合機Aにおいては、ピックアップローラー23、分離機構24、レジストローラー25、排紙ローラー27によって、原稿Pの搬送が行われる。
また、本発明の制御手段は、演算制御部6によって構成されている。なお、演算制御部6は、本実施形態において複合機A全体の制御を行うが、その機能の一部として制御手段の機能を有している。つまり、演算制御部6は、本発明のシート搬送機構及び画像読取装置の一構成要素として機能する。
また、本発明の表示手段は、操作表示部1によって構成されている。なお、操作表示部1は、本実施形態において複合機A全体における操作及び表示を行うが、その機能の一部として表示手段の機能を有している。つまり、操作表示部1は、本発明のシート搬送機構及び画像読取装置の一構成要素として機能する。
また、複合機Aにおいては、操作表示部1(表示手段)、演算制御部6(制御手段)、ピックアップローラー23、分離機構24、レジストローラー25、原稿検出部26、排紙ローラー27、原稿排紙トレイ28及び重送検知センサー29によって本発明のシート搬送装置(原稿搬送装置10)が構成されている。
次に、このように構成された複合機Aの動作について説明する。
最初に本複合機Aの全体動作を説明する。例えばユーザーがADF20に原稿Pをセットし、また操作表示部1を操作することにより原稿Pの複写(コピー)を指示すると、当該指示に関する操作信号は操作表示部1から演算制御部6に入力される。この結果、演算制御部6は、画像読取装置2に原稿Pを頁毎に読み取らせる画像読取処理を実行させる。
すなわち、演算制御部6は、ピックアップローラー23を駆動させて原稿給紙トレイ22内の原稿Pを1枚ずつ取り出して分離機構24に送り出させると共に当該分離機構24を駆動させて原稿Pをレジストローラー25に向けて搬送させ、それと同時に、フルレートキャリッジ35及びハーフレートキャリッジ36を図2に示す所定の位置に移動させる。そして、演算制御部6は、レジストローラー25を駆動させて分離機構24から供給された原稿Pを読取用開口部に向けて搬送すると共に光源35aを駆動させて原稿Pに向けて光を照射させる。この結果、光源35aにより照射された光は、原稿Pに反射され、その後第1のミラー35b、第2のミラー36a及び第3のミラー36bにより順次反射されることで集光レンズ37に導入され、集光レンズ37によってCCDラインセンサー38の受光面に集光される。
そして、演算制御部6は、CCDラインセンサー38を駆動させて受光させると共にレジストローラー25から送り出された原稿Pが原稿検出部26により検出されたタイミングに基づいてCCDラインセンサー38から出力される画像データを原稿Pの頁毎の原稿画像データとして画像データ記憶部3に記憶させる。そして、演算制御部6は、レジストローラー25から読取用開口部を経由して搬送された原稿Pを排紙ローラー27を駆動させて原稿排紙トレイ28に排出させる。そして、演算制御部6は、画像データ記憶部3に記憶された原稿画像データに基づいて原稿画像の画像形成処理を画像形成部5に実行させる。
ここで、演算制御部6は、画像読取装置2に上記画像読取処理を行わせるに際して、以下の特徴的な処理を行う。すなわち、演算制御部6は、図3のフローチャートに示すように、重送を検知したか否かの判定を行う(ステップS1)。例えば、演算制御部6は、重送検知センサー29のセンサー値が、複数枚の原稿Pが重なっていることを示す値である場合には、重送を検知したと判断する。また、演算制御部6は、重送検知センサー29のセンサー値が、原稿Pが1枚であることを示す値である場合には、重送を検知しないと判断する。
ステップS1において重送が検知されたときには、演算制御部6は、原稿Pの引き戻しを行い、重送されている原稿Pを分離する(ステップS2)。すなわち、演算制御部6は、分離機構24の上流側まで原稿Pを返送した後、原稿Pを再び正方向(原稿排紙トレイ28に向かう搬送方向)に搬送させつつ、分離ローラー24bを逆回転させることによって、重なった原稿Pの分離を行う。つまり、演算制御部6は、ある原稿Pに対して最初に重送が検知されると、分離機構24に分離処理を行わせる。一方、ステップS1において重送が検知されないときには、演算制御部6は、図3に示すように、ステップS9に移行し、搬送を終了するか否かの判定を行う。ここで、演算制御部6は、その原稿Pの搬送が完了しているときには、搬送を終了すると判断する。なお、搬送が終了していないと判断されたときには、演算制御部6は、再びステップS3に移行する。
ステップS2において原稿Pの分離処理が行われると、演算制御部6は、再び重送を検知したか否かの判定を行う(ステップS3)。ここで、再び重送が検知されたときには、演算制御部6は、原稿1枚の状態が規定時間続いていたか否かの判定を行う(ステップS4)。なお、演算制御部6は、記憶する規定時間と、重送検知センサー29のセンサー値から得られる原稿1枚の状態が検知された時間とを比較し、原稿1枚の状態が検知された時間が規定時間を超えている場合には、原稿1枚の状態が規定時間続いていたと判断する。原稿1枚の状態が規定時間続いていたと判断されたときには、演算制御部6は、再び引き戻しにより再分離を行い(ステップS5)、さらに原稿Pの搬送を続行し(ステップS6)、ステップS9に移行する。
一方、原稿1枚の状態が規定時間続いていないと判断されたときには、演算制御部6は、重送された原稿Pの分離が不可能と判断し、原稿Pの搬送を停止し(ステップS7)、これによって原稿Pに対する分離処理を停止させる。その後、演算制御部6は、操作表示部1に重送の解消が不可能である旨を表示し、これによってユーザーに対して重送を通知する(ステップS8)。そして、原稿Pの搬送を終了する。
以上のような複合機Aが備える原稿搬送装置10及び画像読取装置2においては、演算制御部6が、重送されている原稿Pが分離可能か否かの判断を重送検知センサー29の検出結果に基づいて行うと共に、分離が不可能と判断したときに分離機構24に分離処理を停止させる。
すなわち、このような本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2によれば、搬送される原稿Pが重送されている場合には、分離機構24の下流側に配置される重送検知センサー29によって原稿Pが重送状態にあることが検知される。ここで、重送検知センサー29のセンサー値は、原稿Pの重なり具合によって異なる。例えば、図4(a)に示すように、2枚の原稿P1と原稿P2が全く同じように重なっている場合には、原稿P1及び原稿P2が搬送されてきたときに、重送検知センサー29のセンサー値は、図5(a)に示すように、原稿Pを検知しない値(原稿検知閾値よりも大きいセンサー値)から、短時間で2枚の原稿Pを検知する値(重送検知閾値よりも小さなセンサー値)に変化する。一方、図4(b)に示すように、2枚の原稿P1と原稿P2とが搬送方向にずれて重なっている場合には、原稿P1と原稿P2とが搬送されてきたときに、重送検知センサー29のセンサー値は、原稿Pを検知しない値から、1枚の原稿Pを検知する値(原稿検知閾値よりも小さくかつ重送検知閾値よりも大きなセンサー値)に変化した後、2枚の原稿Pを検知する値に変化する。このように、重送検知センサー29は、どのように原稿Pが重なり合っているのかを示す信号を出力する。
また、演算制御部6は、重送検知センサー29の検出結果(センサー値)に基づいて、重送された原稿Pが分離可能であるか否かの判断を行う。上述のように、重送検知センサー29のセンサー値は、どのように原稿Pが重なっているのかを示している。このため、演算制御部6は、重送検知センサー29の検出結果から、実質的に重送状態の原稿Pの重なり具合を得ることができる。よって、演算制御部6は、重送検知センサー29の検出結果、すなわち重送状態の原稿Pの重なり具合に基づいて、重送された原稿Pが分離可能であるか否かの判断を行う。
また、演算制御部6は、重送された原稿Pが分離不可能と判断したときには、分離機構24による原稿Pに対する分離処理を停止させる。このため、原稿Pがステープル等で留められた原稿P束である場合には、原稿Pの分離ができないことから、演算制御部6によって、原稿Pが分離不可能と判断され、分離機構24による原稿Pに対する分離処理が停止される。よって、ステープル等で留められた原稿P束を破損してしまうことを防止することができる。
したがって、本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2によれば、重送を解消する機構を有する原稿P搬送装置において、複数枚の原稿Pが留められてなる原稿P束が供給された場合であっても、原稿P束の破損を防止することが可能となる。
また、本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2では、演算制御部6は、その原稿Pに対して最初に重送が検知された場合に、その原稿Pを逆方向に搬送させた後、分離機構24に分離処理をさせる。また、演算制御部6は、その原稿Pに対して2回以上の重送が検知された場合に、重送検知センサー29において原稿Pが1枚のみ検知されていた時間が規定時間以下であるときには分離が不可能と判断する。
このような本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2によれば、ある原稿Pに対して重送検知センサー29によって重送が検知され、この検知回数がその原稿Pに対する初回であるときには、制御手段は、原稿Pを逆方向に搬送させ、その後分離機構24に分離処理させる。ここで、重送されている原稿Pが、ステープル等で留められていることによって分離が不可能である場合には、この原稿Pに対して一回分離処理を行ったとしても、図4(a)に示すように、原稿P同士がずれる可能性は低い。一方、重送されている原稿Pが分離可能である場合には、原稿Pに対して一回分離処理を行うと、完全に重送が解消されなくとも、図4(b)に示すように、原稿P同士がずれる可能性が極めて高い。
そこで、本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2においては、その原稿Pに対して2回以上の重送が検知された場合に、重送検知センサー29において原稿Pが1枚のみ検知されていた時間が規定時間以下であるときには分離が不可能と判断する。原稿Pがステープル等で留められているために分離不可能である場合には、1回目の分離処理によって原稿P同士が殆どずれないため、2回目の重送検知のときに原稿Pが1枚のみ検知される時間が極めて短い若しくは存在しない。一方、原稿Pが分離可能である場合には、1回目の分離処理によって原稿P同士が大きくずれるため、2回目の重送検知のときに原稿Pが1枚のみ検知される時間が長くなる。したがって、2回目以降の重送検知のときにおける原稿Pが1枚のみ検知されていた時間に着目することによって、重送が検知された原稿Pが分離可能であるか否かを確実に判断することができる。したがって、本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2によれば、重送が検知された原稿Pが分離可能であるか否かをより確実に判断することができる。
また、本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2は、ユーザーに対して伝達する情報を表示する操作表示部1を備え、演算制御部6が、原稿Pの分離が不可能と判断したときには、その旨を操作表示部1に表示させる。
このような本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2によれば、演算制御部6によって、原稿Pの分離が不可能であると判断されたときには、原稿Pの分離が不可能であることを示す表示が操作表示部1においてなされる。このため、ユーザーに対して、分離不可能な原稿Pが存在することを直ちに知らせることができ、復旧作業を迅速に行うことが可能となる。
本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2は、分離機構24が、原稿Pを正方向に搬送する方向に回転駆動される搬送ローラー24aと、当該搬送ローラー24aと対をなし、分離処理が停止されるときは搬送ローラー24aに対して従動し、分離処理を行うときは原稿Pを逆方向に搬送する方向に回転駆動される分離ローラー24bとを備える。
本実施形態の原稿搬送装置10及び画像読取装置2によれば、搬送ローラー24aと対をなす分離ローラー24bが、分離処理が停止されたときに搬送ローラー24aに対して従動し、分離処理が行われるときに搬送ローラー24aと逆に原稿Pを搬送する方向に回転駆動される。このため、分離ローラー24bの回転方向を制御するのみで、分離機構24における分離処理の実行と停止を容易に切替えることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、搬送手段が、ピックアップローラー23、分離機構24、レジストローラー25、排紙ローラー27によって構成されているものとした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他のローラーを設置して搬送手段の一部として用いても良い。搬送手段が、給紙ローラー45、分離機構46、レジストローラー48、排紙ローラー51によって構成されるものでも良い。
また、上記実施形態においては、分離機構24が搬送ローラー24aと分離ローラー24bとによって構成されているものとした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、送風によって原稿Pを分離するものや、静電力を用いて原稿Pを分離する分離機構を用いても良い。分離機構46が搬送ローラー46aと捌きローラー46bとによって構成されるものでも良い。
また、上記実施形態においては、本発明の制御手段が演算制御部6からなる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、原稿搬送装置10専用の制御手段を設置しても良い。
また、上記実施形態においては、本発明の表示手段が、操作表示部1からなる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、原稿搬送装置10専用の表示手段を設置しても良い。
また、上記実施形態においては、演算制御部6が、原稿Pが1枚のみ検知されていた時間に基づいて、重送の原稿Pが分離可能であるか否かについて判断する構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、原稿Pを撮像する撮像素子を重送検知センサーとして設置し、撮像素子による撮像結果に基づいて重送の原稿Pが分離可能であるか否かについて判断しても良い。この場合には、例えば、原稿Pが一枚のみ部分を画像処理によって抽出し、この部分の距離が短い若しくは存在しない場合に重送の原稿Pが分離できないと判断しても良い。また、例えば、ステープルを直接画像処理によって検知するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、原稿搬送装置10及び画像読取装置2が複合機Aに搭載された構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コピー機やスキャナーに搭載することも可能である。また、本発明のシート搬送装置は、記録搬送装置として画像形成装置の筐体の内部に設置することも可能である。
また、上記実施形態においては、原稿Pが本発明のシートである構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、紙以外のシート(例えば、プラスチックシート)を搬送するシート搬送に適用することも可能である。