JP2014046606A - 熱転写型プリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インクリボンカセットが搬送手段によって搬送される場合において、インクリボンに弛みが生じることを防止できる熱転写型プリンタを提供する。
【解決手段】熱転写型プリンタ1は、サーマルヘッド13およびプラテンローラ14が配置されると共に、駆動手段100が設けられた印画部Pと、印画部Pの外部から印画部PまでインクリボンカセットCを搬送する搬送手段Dと、を備え、インクリボンカセットCは、駆動手段100の駆動力を伝達する歯車56と、歯車56の歯部56aに嵌合して歯車56の回転を規制する回転規制部58と、を有する。
【選択図】図8
【解決手段】熱転写型プリンタ1は、サーマルヘッド13およびプラテンローラ14が配置されると共に、駆動手段100が設けられた印画部Pと、印画部Pの外部から印画部PまでインクリボンカセットCを搬送する搬送手段Dと、を備え、インクリボンカセットCは、駆動手段100の駆動力を伝達する歯車56と、歯車56の歯部56aに嵌合して歯車56の回転を規制する回転規制部58と、を有する。
【選択図】図8
Description
本発明は、一個のサーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボンを用いた印刷を可能にする熱転写型プリンタに関するものである。
従来、このような分野の技術として、特開2002−347302号公報がある。この公報に記載された熱転写型プリンタは、プラテンローラおよびサーマルヘッドの間に配置されるインクリボンカセットを備える。このインクリボンカセットは、インクリボンが巻回された供給スプールと巻取りスプールとを有している。インクリボンには、三原色のイエロー、マゼンダ、シアンの固形インク層が形成されている。サーマルヘッドの発熱部への通電により、インクリボンとプラテンローラとの間に介在された印画シートに印画を行う。
この熱転写型プリンタは、筐体の上面に開口部を有しており、この開口部は、開閉自在な蓋体によって塞がれている。蓋体には、サーマルヘッドとサーマルヘッドをプラテンローラに圧接させるための機構とが設けられている。この蓋体を閉じた状態で、サーマルヘッドが所定の位置に配置される。この熱転写型プリンタでは、蓋体を開くことにより、開口部を介してインクリボンカセットを装填することができる。
ところで、複数のインクリボンカセットを備え、各インクリボンカセットを搬送手段によって印画部まで搬送する熱転写型プリンタがある。この種のプリンタでは、インクリボンカセットとして、単色リボンが用いられる。印画を行う際には、インクリボンカセットを印画部に順次搬送して、印画部にセットされるインクリボンカセットを交換する。
上述した従来のプリンタでは、インクリボンカセットが1個であるため、プリンタによる印画が行われる間は、インクリボンカセットは印画部内で固定されたままである。すなわち、複数のインクリボンカセットをプリンタ内で順次搬送し、交換することは想定されていない。よって、上述したプリンタを単色リボンタイプのプリンタに適用したとしても、インクリボンカセットが印画部に搬送されるまでの間に、インクリボンに弛みが生じ、インクリボンが他の部品に引っ掛かることが考えられる。このような場合、インクリボンのジャムを引き起こすこととなる。そこで、インクリボンカセットが搬送手段によって搬送される場合において、インクリボンに弛みが生じることを防止できる技術が求められている。
本発明は、インクリボンカセットが搬送手段によって搬送される場合において、インクリボンに弛みが生じることを防止できる熱転写型プリンタを提供することを目的とする。
本発明は、一個のサーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボンカセットのインクリボンを印画対象物に圧着させて印画対象物にインクリボンの色を熱転写すると共に、インクリボンを駆動手段によって巻き取る熱転写型プリンタにおいて、サーマルヘッドおよびプラテンローラが配置されると共に、駆動手段が設けられた印画部と、印画部の外部から印画部までインクリボンカセットを搬送する搬送手段と、を備え、インクリボンカセットは、駆動手段の駆動力を伝達する歯車と、歯車の歯部に嵌合して歯車の回転を規制する回転規制部と、を有することを特徴とする。
この熱転写型プリンタによれば、駆動手段によって、インクリボンカセットの歯車に駆動力が伝達され、インクリボンが巻き取られる。ここで、インクリボンカセットには、歯車の歯部に嵌合して歯車の回転を規制する回転規制部が設けられる。この回転規制部により歯車の回転が規制されるため、インクリボンカセットが搬送手段によって搬送される場合であっても、インクリボンに弛みが生じることが防止される。
また、回転規制部は、歯車の歯部に嵌合する凸部を有する第1の部分と、第1の部分を押圧して、凸部を歯部から隔離させる第2の部分と、を有する。この構成によれば、第2の部分によって第1の部分を押圧し、凸部を歯部から隔離させることができる。これにより、回転規制部による歯車の回転規制が解除され、駆動手段によるインクリボンの巻き取りが可能となる。このように、第2の部分および第1の部分を連動させて回転規制を解除するため、第1の部分を直接動かす場合に比べて、部材の配置に自由度を持たせることができる。
また、印画部は、インクリボンカセットの搬送経路から待避した待避位置と、搬送経路を通って搬送されたインクリボンカセットを保持する保持位置との間で移動自在なカセット保持部を有し、カセット保持部には、保持位置において第2の部分に係合する突出部が設けられており、突出部が第2の部分に係合することにより、第1の部分の凸部が歯部から隔離する。この構成によれば、カセット保持部がインクリボンカセットの保持位置に位置するとき、突出部が第2の部分に係合して第1の部分の凸部が歯部から隔離し、回転規制部による歯車の回転規制が解除される。よって、インクリボンカセットが保持されると同時に、駆動手段によるインクリボンの巻き取りが可能となる。したがって、簡易な構成により、歯車の回転規制を容易に解除することができる。
本発明によれば、インクリボンカセットが搬送手段によって搬送される場合において、インクリボンに弛みが生じることが防止される。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る熱転写型プリンタ及びそのプリンタによる印画方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1〜図3に示されるように、カラー印画を可能にする熱転写型プリンタ1は、駆動リール2に巻かれたロール紙(印刷対象物)3に印画を行う印画部Pと、印画部Pに隣接して左右両側に配置された第1及び第2のストッカ部A,Bと、各ストッカ部A,B内のインクリボンカセットCを印画部Pに搬送するインクリボンカセット搬送機構部(以下、単に「搬送手段」と称す)Dと、を備えている。
印画部Pと第1及び第2のストッカ部A,Bは、筐体4内に収容されている。筐体4には、第1のストッカ部Aの前面を開閉自在にする前蓋4a及び上蓋4bと、第2のストッカ部Bの前面を開閉自在にする前蓋4c及び上蓋4dと、印画部Pの前面を開閉自在にする前蓋4eと、を備えている。印画部Pの前蓋4eは、下端が筐体4内で軸支され、前蓋4eの裏面には駆動リール2が回転自在に取り付けられている。そして、前蓋4eを手前側に倒すように開けることで、駆動リール2が印画部Pから外に排出され、これによって、ロール紙3が無くなった駆動リール2を、ロール紙3が十分に巻かれた駆動リール2に容易に交換することができる。
また、第1のストッカ部Aにおいて、筐体4の湾曲した前面側の内部壁4Aには、インクリボンカセットCの交換用のカセット投入/排出口5a,5b,5cが設けられ、第2のストッカ部Bにおいて、筐体4の湾曲した前面側の内部壁4Bには、インクリボンカセットCの交換用のカセット投入/排出口6a,6b,6cが設けられている。そして、第1のストッカ部Aで前蓋4aを開けることで、カセット投入/排出口5a,5bを出現させ、上蓋4bを開けることで、カセット投入/排出口5cを出現させることができる。同様に、第2のストッカ部Bで前蓋4cを開けることで、カセット投入/排出口6a,6bを出現させ、上蓋4dを開けることで、カセット投入/排出口6cを出現させることができる。
第1のストッカ部Aには、第1のインクリボンカセットC1と第3のインクリボンカセットC3と第5のインクリボンカセットC5とが上下方向に積層されている。そして、第1のインクリボンカセットC1には、イエローの顔料が塗布されたインクリボンRが収容され、第3のインクリボンカセットC3には、シアンの顔料が塗布されたインクリボンRが収容され、第5のインクリボンカセットC5には、黒の顔料が塗布されたインクリボンRが収容されている。
同様に、第2のストッカ部Bには、第2のインクリボンカセットC2と第4のインクリボンカセットC4と第6のインクリボンカセットC6とが上下方向に積層されている。そして、第2のインクリボンカセットC2には、マゼンタの顔料が塗布されたインクリボンRが収容され、第4のインクリボンカセットC4には、金の顔料が蒸着されたインクリボンRが収容され、第6のインクリボンカセットC6には、オーバーコート材が塗布されたインクリボンRが収容されている。このように、熱転写型プリンタ1は、単色リボンであるインクリボンRを収容した複数のインクリボンカセットC1〜C6を備えている。
第1のストッカ部Aにおける前蓋4aと上蓋4bとの間、第2のストッカ部Bにおける前蓋4cと上蓋4dとの間には、搬送手段Dが水平方向に延在している。図7に示されるように、搬送手段Dは、印画部Pを通って第1のストッカ部Aと第2のストッカ部Bとの間に架け渡され、両端が筐体4に固定された細長い板状のベース部30(図7参照)と、ベース部30に沿って直線的に往復動すると共に、インクリボンカセットCとの係合を可能にするスライダ部31と、スライダ部31をベース部30に沿って移動させる駆動部32と、を備えている。この搬送手段Dによって、第1のストッカ部Aから所定のインクリボンカセットCが印画部Pに搬送され、第2のストッカ部Bから所定のインクリボンカセットCが印画部Pに搬送される。
図4〜図6に示されるように、印画部Pには、搬送方向(水平方向)に延在してインクリボンカセットCを案内するガイド手段をなすガイドレール40,41が設けられている。前側のガイドレール40は、ベース部30の長手側面30bに設けられ、インクリボンカセットCの前側を下から支持している。また、断面コ字状の後側のガイドレール41は、前側のガイドレール40に対して平行に配置され、インクリボンカセットCの後側を下から支持している。これらのガイドレール40およびガイドレール41によって、インクリボンカセットCを支持する支持部42が構成されている。
そして、第1のストッカ部A内のインクリボンカセットCと第2のストッカ部B内のインクリボンカセットCとを搬送手段Dによって交互に印画部Pに送り込むことで、インクリボンカセットC内のインクリボンRをロール紙3に加熱圧着させた状態で、インクリボンRとロール紙3を所定距離送りながら、所定のカラー画像がロール紙3に印画され、印画完了後においては、ロール紙3はカットされて、プリンタ1の排出口7から外に排出される。このように、熱転写型プリンタ1は、単色リボンを複数備え、これらを順次交換して印刷を行う単色リボン交換式カラープリンタである。
図4に示されるように、印画部Pは、ギアとモータとの組み合わせからなる駆動手段9によって回転制御された駆動リール2と、ギアとモータとカム機構などの組み合わせからなる駆動手段10により支軸12を中心に回動する可動ベース15に固定されると共に、水平方向に延在する1個のサーマルヘッド13と、サーマルヘッド13との協働によりロール紙3にインクリボンRを圧着させるプラテンローラ14と、ロール紙3を挟持して送りを行う一対の送りローラ16a,16bと、を備えている。
さらに、印画部Pは、ガイドレール40,41からなる支持部42と、支持部42との間でインクリボンカセットCを挟み込むことにより、インクリボンカセットCを保持するカセット保持部60とを備えている。カセット保持部60は、ギアとモータとカムなどの組み合わせからなる駆動手段61により駆動されて、回転軸線L2を中心に所定の範囲を回動する。回動軸線L2は、回動軸線L1の延在方向、すなわちインクリボンカセットCの搬送方向と平行である。カセット保持部60は、支持部42によって支持されたインクリボンカセットCを上から押さえ込むことにより、インクリボンカセットCを保持する。
図5に示されるように、印画部Pでの印画開始前に、搬送手段Dにより印画部Pまで搬送されたインクリボンカセットCは、サーマルヘッド13とプラテンローラ14との間に配置される。その後、図6に示されるように、印画開始にあたって、駆動手段61により回動軸線L2を中心にカセット保持部60を回動させ、インクリボンカセットCを保持する。さらに、駆動手段10により支軸12を中心に可動ベース15を回動させ、サーマルヘッド13をプラテンローラ14に向けて移動させる。そして、サーマルヘッド13とプラテンローラ14とでロール紙3とインクリボンRとを挟み込み、ロール紙3にインクリボンRを圧着させる。その後、一対の送りローラ16a,16bでロール紙3を送りながら、サーマルヘッド13とプラテンローラ14との協働により、インクリボンRの色を画像としてロール紙3に熱転写させる。
図7に示されるように、第1のストッカ部Aは、平板状のベース部20に固定された左右一対の取付ブラケット(不図示)に両端が回動自在に支持された回動軸21と、水平方向に延在する回動軸21に固定されると共に、回動軸21の回動軸線L1の周囲において回動軸線L1を中心として90度(例えば60度)の範囲内に放射状に配列されて、インクリボンカセットを載置させる3個のカセット支持部22a,22b,22cと、回動軸21を中心にカセット支持部22a,22b,22cを同時に回動させる駆動手段23と、を備えている。また、回動軸21の回動軸線L1の延在方向は、インクリボンカセットC1,C3,C5の搬送方向すなわち後述のスライダ部31の移動方向と平行である。
このような構成を採用すると、第1のストッカ部Aの構造を簡素化することができ、これによって、プリンタ1の軽量化やメカニカルな故障の原因を減らすことができる。
駆動手段23は、筐体4の平板状のベース部20に設けられた取付ブラケット(不図示)に固定されたモータ28と、モータ28により回転するウォーム29と、鉛直方向に延在するウォーム29に噛合するウォームホイール25と、によって構成されている。
このような構成の駆動手段23により、各インクリボンカセットC1,C3,C5は、インクリボンRの交換のために第1のストッカ部Aのカセット投入/排出口5a,5b,5cからインクリボンカセットC1,C3,C5を半径方向に引き出すためのカセット交換位置に停止させることができる。また、駆動手段23により、各インクリボンカセットC1,C3,C5は、搬送手段Dの搬送経路上に各インクリボンカセットC1,C3,C5を配置させるカセット搬送位置に停止させることができる。
第2のインクリボンカセットC2と第4のインクリボンカセットC4と第6のインクリボンカセットC6とが収容された第2のストッカ部Bについては、第1のインクリボンカセットC1と第3のインクリボンカセットC3と第5のインクリボンカセットC5とが収容された第1のストッカ部Aと同等の構成を有しているので、同一の符合を付して、詳細な説明は省略する。
また、搬送手段Dの搬送経路は、印画部Pを通って第1のストッカ部Aと第2のストッカ部Bとの間に掛け渡されている。このような構成を採用すると、第1のストッカ部Aと第2のストッカ部Bとから交互にインクリボンカセットCを印画部Pに送り込むことができるので、印画のスピードアップを図ることができる。例えば、第1のストッカ部Aから印画部PにインクリボンカセットC1を送り込み、このインクリボンカセットC1のインクリボンRによる印画後に、このインクリボンカセットC1を元の第1のストッカ部Aに戻しながら、第2のストッカ部B内のインクリボンカセットC2を印画部Pに送り込むことができるので、印画のスピードアップを図ることができる。
次に、インクリボンカセットCの構成と、印画部PにおけるインクリボンカセットCの保持およびインクリボンRの巻き取りに関する構成とについて、詳細に説明する。
図8〜図11に示されるように、インクリボンカセットCは、長方形状の枠体である樹脂製のカセットフレーム50を有している。このカセットフレーム50の上面は開放されており、一対のリール53a,53bに巻かれたフィルム状のインクリボンRを上から装填可能にしている。前側のリール53aは、インクリボンRを供給するための(すなわちリボン供給側の)リールである。後側のリール(巻取リール)53bは、インクリボンRを巻き取るための(すなわちリボン巻取側の)リールである。
カセットフレーム50は、インクリボンカセットCが印画部Pに配置された状態で、第1のストッカ部A側に位置する側板部50aと、第2のストッカ部B側に位置する側板部50bとを有している。また、カセットフレーム50は、前側の第1のガイドレール40上に載置させるための前側突出部51と、断面コ字状の後側の第1のガイドレール41内に入り込んでインクリボンカセットCを下から支持するための後側突出部52と、を有している。これらの側板部50a,50b、前側突出部51、および後側突出部52は、一体に形成されている。前側突出部51には、搬送手段Dのスライダ部31に係合可能な凸部37が設けられている。
側板部50aの前側には、リール53aに連結されてカセットフレーム50から突出する軸54aと、軸54aに連結されたギヤ55とが設けられている。リール53a、軸54a、およびギヤ55は、互いに固定されており、回動軸線L3を中心に一体となって回転可能である。また、側板部50aの後側には、リール53bに連結されてカセットフレーム50から突出する軸54bと、軸54bに連結されたギヤ(第1の歯車)56とが設けられている。リール53b、軸54b、およびギヤ56は、互いに固定されており、回動軸線L4を中心に一体となって回転可能である。
軸54aは、リボン供給側のコア軸である。軸54bは、リボン巻取側のコア軸である。回動軸線L3および回動軸線L4は、互いに平行をなす。回動軸線L3および回動軸線L4は、インクリボンカセットCの搬送方向(水平方向)に平行である。カセットフレーム50には、回動軸線L3および回動軸線L4の間において、サーマルヘッド13の進入を許容する長方形状の開口部50cが形成されている。回動軸線L3および回動軸線L4の間には、インクリボンカセットCの幅方向に延在する軸59cが設けられており、側板部50aおよび側板部50bのそれぞれから突出した軸59cの部分には、ベアリング59aおよびベアリング59bが取り付けられている。
ギヤ55には、印画時において、カセット保持部60に設けられたバネ式のトルクリミッタ(不図示)が連結される。トルクリミッタにより、リール53aには、印画時、すなわちインクリボンRの巻取り動作時における適度なバックテンション(張力)が発生する。ギヤ56は、印画時において、インクリボンRを巻き取るための駆動手段100(図14参照)の駆動力を伝達する。駆動手段100によってギヤ56が回転されることにより、インクリボンRがリール53bに巻き取られる。なお、リール53aは、回転量の検出、すなわち巻き検出にも利用される。
ここで、ギヤ55の近傍には、ギヤ55の回転を規制するブレーキ機構57が設けられている。ブレーキ機構57は、印画時以外、すなわち、ストッカ部A,B内にインクリボンカセットCが収容されている時、もくしは搬送手段DによってインクリボンカセットCが搬送されている時において、ギヤ55の回転を規制する。さらに、ブレーキ機構57は、印画時、すなわちインクリボンカセットCが印画部P内でカセット保持部60によって保持されている時において、ギヤ55の回転規制を解除する。
また、ギヤ56の近傍には、ギヤ56の回転を規制するブレーキ機構(回転規制部)58が設けられている。ブレーキ機構58は、印画時以外、すなわち、ストッカ部A,B内にインクリボンカセットCが収容されている時、もくしは搬送手段DによってインクリボンカセットCが搬送されている時において、ギヤ56の回転を規制する。さらに、ブレーキ機構58は、印画時、すなわちインクリボンカセットCが印画部P内でカセット保持部60によって保持されている時において、ギヤ56の回転規制を解除する。
図12に示されるように、カセットフレーム50の側板部50aの側面には、ブレーキ機構57およびギヤ55が取り付けられる取付部Eが形成されている。取付部Eは、回動軸線L3に直交する鉛直面に沿って形成されている。取付部Eの略中央から、軸54aが突出している。ブレーキ機構57は、取付部E上に配置される金属製のブレーキ板71と、ブレーキ板71に対面するように配置される金属製のレバー72と、を有する。
取付部Eに沿って配置されるブレーキ板71の四角形状の平板部71bには、四角形状の開口部71aが形成されている。平板部71bの下端には、取付部Eにおいて軸54aの下方に形成されたバネ収容溝73内に配置される板状のバネ受け部71cが連設されている。ブレーキ板71の上端には、ギヤ55の歯部55aを上から覆うようにして延在する天板部71dが連設されている。バネ収容溝73によってバネ受け部71cが案内されることにより、ブレーキ板71は上下方向にスライド移動可能になっている。
天板部71dの中央には、ギヤ55の歯部55aに嵌合する凸部71eが形成されている。平板部71bを基準として、バネ受け部71cは取付部E側に向けて垂直に延びており、天板部71dは取付部Eとは反対側(すなわちギヤ55側)に向けて垂直に延びている。凸部71eは、歯部55aに向けて下方に突出すると共に、軸54aの延在方向(すなわち回動軸線L3の延在方向)に沿って形成されている。インクリボンカセットCの幅方向における天板部71dの幅すなわち凸部71eの長さは、ギヤ55の厚みに略等しい(図8参照)。
バネ収容溝73には圧縮コイルバネ74が収容されている。圧縮コイルバネ74の下端がバネ受け部71cの上面に圧接されることにより、ブレーキ板71が押し下げられ、凸部71eが歯部55aに嵌合する。すなわち、圧縮コイルバネ74は、そのバネ圧(すなわち付勢力)によって、バネ受け部71cを介して凸部71eを歯部55aに向けて付勢する。これにより、軸54aにブレーキがかけられ、ギヤ55の回転が規制される。
レバー72は、取付部Eにおいて平板部71bから外れた位置に形成された回動軸75に取り付けられている。レバー72の平板部72bは、平板部71bのギヤ55側(すなわち天板部71dが延在する側)に重なるように配置されている。平板部72bには、回動軸75が挿入される貫通孔72aが形成されている。レバー72は、回動軸75を中心に回転自在とされる。平板部72bの一端には、円弧状の外形を有する板状のブレーキ板押圧部72dが形成されている。ブレーキ板押圧部72dは、天板部71dの下面に当接する。平板部72bの他端には、平板部72bに対してギヤ55側に垂直に延びる板状の爪片係合部72cが形成されている。インクリボンカセットCの幅方向における爪片係合部72cの幅は、ギヤ55の厚みに略等しい(図8参照)。
この爪片係合部72cに、カセット保持部60に設けられた爪片62(図14〜図19参照)が係合し、爪片係合部72cが下方に押し下げられることにより、レバー72は回動軸75を中心として回動する。これに伴い、回動軸75に対して爪片係合部72cとは反対側に形成されたブレーキ板押圧部72dがブレーキ板71の天板部71dを押し上げる。これにより、圧縮コイルバネ74の付勢力に抗してブレーキ板71が上方にスライド移動させられ、凸部71eが歯部55aから隔離する。軸54aにかかる負荷がなくなり、ギヤ55の回転規制が解除される。すなわち、レバー72は、回動軸75を支点とする「てこの原理」により、ブレーキ板71の天板部71dを押し上げる。爪片係合部72cは力点に相当し、ブレーキ板押圧部72dは作用点に相当する。
ブレーキ板71、圧縮コイルバネ74、およびレバー72の表面側から、板状のカバー76がビス止めによって取付部Eに固定される。ブレーキ板71の開口部71aおよびカバー76の開口部76aを軸54aが貫通し、ギヤ55に向けて突出する。ブレーキ板71、バネ収容溝73、圧縮コイルバネ74、レバー72、およびカバー76によって、ブレーキ機構57が構成される。
カバー76から突出した軸54aには、ギヤ55が固定される。より具体的には、軸54aには、軸54aの径方向に貫通する貫通孔54cが形成されており、この貫通孔54cに挿入された連結ピン78を介してギヤ55が固定される。ギヤ55とブレーキ機構57との間には、ブレーキ板71の開口部71aおよびカバー76の開口部76aと軸54aとの間に挿入されるベアリング77が配置される。軸54aには、ギヤ55の両側面においてストッパ(Eリング)79a,79bが取り付けられる。
図13に示されるように、側板部50aの側面には、ブレーキ機構58およびギヤ56が取り付けられる取付部Fが形成されている。取付部Fは、鉛直面に沿って形成されている。取付部Fの略中央から、軸54bが突出している。ブレーキ機構58は、取付部F上に配置される金属製のブレーキ板(第1の部分)81と、ブレーキ板81に対面するように配置される金属製のレバー(第2の部分)82と、を有する。
取付部Fに沿って配置されるブレーキ板81の四角形状の平板部81bには、四角形状の開口部81aが形成されている。平板部81bの下端には、取付部Fにおいて軸54bの下方に形成されたバネ収容溝83内に配置される板状のバネ受け部81cが連設されている。ブレーキ板81の上端には、ギヤ56の歯部56aを上から覆うようにして延在する天板部81dが連設されている。バネ収容溝83によってバネ受け部81cが案内されることにより、ブレーキ板81は上下方向にスライド移動可能になっている。
天板部81dの中央には、ギヤ56の歯部56aに嵌合する凸部81eが形成されている。平板部81bを基準として、バネ受け部81cは取付部F側に向けて垂直に延びており、天板部81dは取付部Fとは反対側(すなわちギヤ56側)に向けて垂直に延びている。凸部81eは、歯部56aに向けて下方に突出すると共に、軸54bの延在方向(すなわち回動軸線L4の延在方向)に沿って形成されている。インクリボンカセットCの幅方向における天板部81dの幅すなわち凸部81eの長さは、ギヤ56の厚みに略等しい(図8参照)。
バネ収容溝83には圧縮コイルバネ84が収容されている。圧縮コイルバネ84の下端がバネ受け部81cの上面に圧接されることにより、ブレーキ板81が押し下げられ、凸部81eが歯部56aに嵌合する。すなわち、圧縮コイルバネ84は、そのバネ圧(すなわち付勢力)によって、バネ受け部81cを介して凸部81eを歯部56aに向けて付勢する。これにより、軸54bにブレーキがかけられ、ギヤ56の回転が規制される。
レバー82は、金属製の第1レバー82aと、金属製の第2レバー82bと、第1レバー82aおよび第2レバー82bの間に設けられたトーションバネ82cと、によって構成されている。平板部81bのギヤ56側(すなわち天板部81dが延在する側)には、第2レバー82bの平板部95、第1レバー82aの平板部92、およびトーションバネ82cが、この順に重なるように配置されている。第1レバー82a、第2レバー82b、およびトーションバネ82cは、取付部Fにおいて平板部81bから外れた位置に形成された回動軸85に取り付けられている。第1レバー82aの平板部92、第2レバー82bの平板部95、およびトーションバネ82cには、回動軸85が挿入される貫通孔91、貫通孔94、および貫通孔97がそれぞれ形成されている。第1レバー82a、第2レバー82b、およびトーションバネ82cは、回動軸85を中心に回転自在とされる。
平板部92には、平板部92に対してギヤ56側に向けて垂直に延びるトーションバネ係止片98が形成されている。このトーションバネ係止片98の基端部の下側に、トーションバネ82cの一端が係止される。また、平板部92の一端には、円弧状の外形を有する板状のブレーキ板押圧部93が形成されている。ブレーキ板押圧部93は、天板部81dの下面に当接する。一方、平板部95には、平板部95に対してギヤ56側に垂直に延びる板状の爪片係合部96が形成されている。爪片係合部96の裏面側(すなわち下側)には、トーションバネ82cの他端が係止される。インクリボンカセットCの幅方向における爪片係合部96の幅は、ギヤ56の厚みに略等しい(図8参照)。
第2レバー82bの爪片係合部96に、カセット保持部60に設けられた爪片63(図14〜図19参照)が係合し、爪片係合部96が下方に押し下げられることにより、トーションバネ82cを介して第1レバー82aに回転力が伝わる。そして、第2レバー82bおよび第1レバー82aは回動軸85を中心として回動し、回動軸85に対して爪片係合部96とは反対側に形成されたブレーキ板押圧部93がブレーキ板81の天板部81dを押し上げる。これにより、圧縮コイルバネ84の付勢力に抗してブレーキ板81が上方にスライド移動させられ、凸部81eが歯部56aから隔離する。軸54bにかかる負荷がなくなり、ギヤ56の回転規制が解除される。すなわち、レバー82は、回動軸85を支点とする「てこの原理」により、ブレーキ板81の天板部81dを押し上げる。爪片係合部96は力点に相当し、ブレーキ板押圧部93は作用点に相当する。
特に、ブレーキ機構58では、ブレーキ板81を押し上げるレバーを2分割し、トーションバネ82cで連結することにより、大きいストローク(すなわちオーバーストローク)を持たせることが可能となっている。すなわち、第2レバー82bおよび第1レバー82aが回動し、ブレーキ板押圧部93によってブレーキ板71の天板部71dが押し上げられた後も、第1レバー82aに対して第2レバー82bがさらに回動可能となっている。この場合、第2レバー82bはトーションバネ82cの付勢力に抗して回動する。
ブレーキ板81、圧縮コイルバネ84、およびレバー82の表面側から、板状のカバー86がビス止めによって取付部Fに固定される。ブレーキ板81の開口部81aおよびカバー86の開口部86aを軸54bが貫通し、ギヤ56に向けて突出する。ブレーキ板81、バネ収容溝83、圧縮コイルバネ84、レバー82、およびカバー86によって、ブレーキ機構58が構成される。
カバー86から突出した軸54bには、ギヤ56が固定される。より具体的には、軸54bには、軸54bの径方向に貫通する貫通孔54dが形成されており、この貫通孔54dに挿入された連結ピン88を介してギヤ56が固定される。ギヤ56とブレーキ機構58との間には、ブレーキ板81の開口部81aおよびカバー86の開口部86aと軸54bとの間に挿入されるベアリング87が配置される。軸54bには、ギヤ56の両側面においてストッパ(Eリング)89a,89bが取り付けられる。
以上説明したように、ブレーキ機構57およびブレーキ機構58によって、リボン供給側の軸54aおよびリボン巻取側の軸54bに回転方向の負荷を与えてブレーキをかけることにより、インクリボンRが弛むことを防止できる。これにより、インクリボンRのジャム等の不具合を防止できる。また、ブレーキ機構57およびブレーキ機構58は、ギヤ55およびギヤ56の厚み部分に相当するスペースを利用しているため、インクリボンカセットCの幅方向にほとんどスペースを必要としないといった利点を有する。しかも、駆動系にも負荷を与えることがない構造である。
なお、ブレーキ機構57およびブレーキ機構58とは別の構成として、インクリボンRの弛みが生じないように、各軸54a,54bにトルクリミッタを設けて負荷をかける場合も考えられるが、トルクリミッタの厚みにより、インクリボンカセットCの幅方向におけるスペースが大きくなってしまい、問題がある。また、駆動系にも負荷をかけることとなる。ブレーキ機構57およびブレーキ機構58によれば、このような事態が回避され、インクリボンRの弛みを効果的に防止することができる。
次に、印画部PにおけるインクリボンカセットCの保持およびインクリボンRの巻き取りに関する構成について、図14〜図19を参照して説明する。尚、図14、図16、図18では、配置関係を示すために、先端側アーム部60a及び基端側アーム部60cにて隠れて見えない部分も実線で示している。
図14および図15に示されるように、カセット保持部60は、インクリボンカセットCを上方から押さえ込む枠体をなしている。カセット保持部60は、インクリボンカセットCの側板部50aのストッカ部A側に配置された先端側アーム部60aと、先端側アーム部60aの下端に連設されたL字状の基端側アーム部60cとを有している。また、セット保持部60は、インクリボンカセットCの側板部50bのストッカ部B側に配置された先端側アーム部60bと、先端側アーム部60bの下端に連設されたL字状の基端側アーム部60dとを有している。先端側アーム部60aおよび先端側アーム部60bは板状をなしており、インクリボンカセットCの幅方向において対面している。基端側アーム部60cおよび基端側アーム部60dは板状をなしており、インクリボンカセットCの幅方向において対面している。以下、先端側アーム部60a,60bを単にアーム部60a,60bと称する。基端側アーム部60c,60dを単にアーム部60c,60dと称する。
アーム部60aおよびアーム部60bは、アーム部60cおよびアーム部60dに対して傾斜する方向に延びている。より具体的には、アーム部60cおよびアーム部60dの長辺部が略水平に配置されるとき(図18参照)、アーム部60aおよびアーム部60bは、インクリボンカセットCの傾斜角度に等しい角度に配置される。アーム部60aおよびアーム部60bの先端同士は、連結板60eによって連結されている。
アーム部60aと側板部50aとは、インクリボンカセットCの幅方向において多少離間するように配置されている。アーム部60bと側板部50bとは、インクリボンカセットCの幅方向において多少離間するように配置されている。アーム部60aと側板部50aとの隙間、および、アーム部60bと側板部50bとの隙間には、インクリボンカセットCのブレーキ機構57,58を解除するための機構および/またはインクリボンカセットCを位置決めするための機構が配置される。
より具体的に説明すると、アーム部60aの先端には、インクリボンカセットC側に向けて突出する爪片62が固定されている。アーム部60aの中央やや基端寄りには、インクリボンカセットC側に向けて突出する爪片(突出部)63が固定されている。さらに、アーム部60aの中央には、インクリボンカセットC側に向けて突出する位置決め板(位置決め部)64aが固定されている。一方、アーム部60bの中央には、インクリボンカセットC側に向けて突出する位置決め板(位置決め部)64bが固定されている。
前述したように、カセット保持部60は、ギアとモータとカムなどの組み合わせからなる駆動手段61により駆動されて、回転軸線L2を中心に所定の範囲を回動する。カセット保持部60の回動により、爪片62はブレーキ機構57の爪片係合部72cに当接し、爪片係合部72cを押し下げる。また、カセット保持部60の回動により、爪片63はブレーキ機構58の爪片係合部96に当接し、爪片係合部96を下方に押し下げる。位置決め板64aには、U字状の切り欠き64cが形成されており、カセット保持部60の回動により、この切り欠き64cがインクリボンカセットCのベアリング59aに凹凸嵌合する。位置決め板64bには、U字状の切り欠き64dが形成されており、カセット保持部60の回動により、この切り欠き64dがインクリボンカセットCのベアリング59bに凹凸嵌合する。
さらに、カセット保持部60のアーム部60cには、インクリボンRを巻き取るための駆動手段100が設けられている。駆動手段100は、アーム部60cに固定されたモータ101と、モータ101により回転するウォーム102と、ウォーム102に噛み合うギヤ103aと、ギヤ103aに噛み合うギヤ103bと、ギヤ103bに噛み合うギヤ103cと、ギヤ103cに噛み合うギヤ103dと、を備えている。ギヤ103a〜103dのそれぞれは、アーム部60bに回転自在に取り付けられている。前端に配置されたギヤ103dは、カセット保持部60の回動により、インクリボンカセットCのリボン巻取側のギヤ56に噛み合う。これにより、駆動手段100の駆動力が、ギヤ103dおよびギヤ56を介してリール53b(図10参照)に伝達される。
インクリボンカセットCにおけるギヤ56およびベアリング59aの位置関係は、カセット保持部60に設けられたギヤ103dおよび切り欠き64cの位置関係に一致する。すなわち、切り欠き64cがベアリング59aに凹凸嵌合し、切り欠き64dがベアリング59bに凹凸嵌合することにより、インクリボンカセットCは印画部P内で位置決めされるが、これらの凹凸嵌合と同時に、ギヤ103dがギヤ56に噛み合う。
上記の構成を有するカセット保持部60は、駆動手段61によって制御されて、3種類の位置で停止する。すなわち、カセット保持部60は、インクリボンカセットCの搬送経路から待避した待避位置P1(図4、図5、図14、および図15参照)と、搬送経路を通って搬送されたインクリボンカセットCを保持する保持位置P3(図6、図18、および図19参照)と、待避位置P1および保持位置P3の中間に位置する中間位置P2(図16および図17参照)とにおいて停止する。すなわち、カセット保持部60は、待避位置P1と保持位置P3との間で移動自在である。
より具体的に説明すると、図14および図15に示されるように、駆動手段61は、モータ61aと、筐体4に対して固定された回転中心軸61eに、モータ61aの駆動力を伝達する複数のギヤ61bと、回転中心軸61eの両端部に固定されて回転中心軸61eを中心にして回転する偏心カム61c,61cと、を有する。カセット保持部60のアーム部60c,60dの短辺部は、2本の引張コイルバネ61d,61dによってそれぞれ筐体4の背面板27に連結されている。カセット保持部60は、筐体4に対して固定された回動軸60fを中心として、インクリボンカセットCに向けて倒れ込む方向(図4および図14における時時計回り方向)に回動するよう付勢されている。言い換えれば、カセット保持部60は、引張コイルバネ61d,61dによって、保持位置P3に近づく方向に回動するよう付勢されている。
引張コイルバネ61d,61dによって付勢されたカセット保持部60に対し、偏心カム61c,61cが、アーム部60c,60dの基端に設けられたベアリング(又はカムフォロア)61f,61fに常に圧接されている。そして、モータ61aは、偏心カム61cの周面上の所定点がベアリング(又はカムフォロア)61fに圧接されるように、オン/オフする。偏心カム61cには、上記した待避位置P1、中間位置P2、および保持位置P3に対応する半径を有する点が形成されている。すなわち、図14に示される点p1は、待避位置P1に対応する。図16に示される点p2は、中間位置P2に対応する。図18に示される点p3は、保持位置P3に対応する。3点のうち、回転中心軸61eから点p1までの長さがもっとも長く、回転中心軸61eから点p3までの長さがもっとも短い。
次に、熱転写型プリンタ1の印画方法について説明する。なお、ロール紙3への印画にあたっては、インクリボンカセットC1とインクリボンカセットC2とインクリボンカセットC3とインクリボンカセットC4とインクリボンカセットC5とインクリボンカセットC6とは、この順に印画部Pに送り込まれる。
まず、駆動手段23により、第1のストッカ部A内の最下段のカセット支持部22aを搬送手段Dのスライダ部31の近傍まで回動させて、インクリボンカセットCの凸部37をスライダ部31の第1の凹部31aに係合させる。この状態で、スライダ部31を移動させて、第1のストッカ部A内の第1のインクリボンカセットC1を印画部Pに搬送する。このとき、図4および図14に示されるように、偏心カム61cの点p1にローラ61fを当接させ、カセット保持部60を待避位置P1に位置させる。これにより、インクリボンカセットC1の搬送経路が空いた状態となり、インクリボンカセットC1とカセット保持部60との干渉が防止される。なお、この状態においては、印画部Pとストッカ部Aとの間の搬送経路のみならず、印画部Pとストッカ部Bとの間の搬送経路も空いた状態となる。
さらには、インクリボンカセットC1が搬送されている間、ブレーキ機構57およびブレーキ機構58による回転規制機能が発揮されているため、リボン供給側のギヤ55は回転が規制されて停止したままであり(図20(a)および図21(a)参照)、リボン巻取側のギヤ56も回転が規制されて停止したままである(図22(a)および図23(a)参照)。
印画部Pに送り込まれたインクリボンカセットC1は、図5に示されるように、支持部42によって支持されて、サーマルヘッド13とプラテンローラ14との間に配置される。そして、図16および図17に示されるように、駆動手段61により偏心カム61cを回転させることにより、偏心カム61cの点p2にローラ61fを当接させ、カセット保持部60を中間位置P2に位置させる。これにより、爪片63の先端が爪片係合部96に当接し、爪片係合部96が押し下げられる。この状態では、ベアリング59a,59bに切り欠き64c,64dは嵌合しておらず、また、ギヤ56にギヤ103dは噛み合っていない。
なお、図14に示されるように、爪片62が係合していない場合の軸54aに対する爪片係合部72cの位置は、爪片63が係合していない場合の軸54bに対する爪片係合部96の位置よりも低くなっている。よって、図16および図17に示されるように、爪片62は爪片係合部72cに当接していない。これにより、リボン供給側のギヤ55は回転が規制されて停止したままであるが(図20(a)および図21(a)参照)、リボン巻取側のギヤ56は回転可能となる(図16参照)。
その後、図6に示されるように、印画開始にあたって、駆動手段10により支軸12を中心に可動ベース15を回動させ、サーマルヘッド13をプラテンローラ14に向けて移動させる。そして、インクリボンカセットC1の凸部37をスライダ部31に係合させた状態で、サーマルヘッド13とプラテンローラ14とでロール紙3にインクリボンRを挟み込み、ロール紙3にインクリボンRを圧着させる。このとき、リボン巻取側のギヤ56が回転可能であることにより、リール53bからインクリボンRが引き出される。ここでは引き出されるインクリボンRは、前回のインクリボンカセットC1による印画終了時、インクリボンRを張るために巻き取られたインクリボンRに相当する。
このように、駆動手段61の駆動力を伝達させない状態において、リボン巻取側のギヤ56のみのブレーキを解除することにより、インクリボンRを適切に引き出すことが可能となる。リボン巻取側のギヤ56のブレーキを解除するため、インクリボンRは古い方、すなわち使い終えた方から引き出されることとなり、経済性にも優れる。
そして、図18および図19に示されるように、駆動手段61によって偏心カム61cを回転させることにより、偏心カム61cの点p3にローラ61fを当接させ、カセット保持部60を保持位置P3に位置させる。カセット保持部60の保持位置P3への到達により、ベアリング59a,59bに切り欠き64c,64dが凹凸嵌合し、それと同時に、ギヤ56にギヤ103dが噛み合う。すなわち、カセット保持部60は、ガイドレール40,41(支持部42)との間でインクリボンカセットC1を挟み込むことにより、インクリボンカセットC1を保持する。さらには、爪片62が爪片係合部72cに当接し、爪片係合部72cが押し下げられる。よって、リボン供給側のギヤ55は回転可能となる(図20(b)および図21(b)参照)。
このように、一個のサーマルヘッド13で単色のインクリボンカセットCを順次交換して印刷する場合に、インクリボンカセットCを定位置に保持し、かつ、インクリボンRの巻取り動作を行うための駆動を伝達することが可能となっている。さらには、インクリボンカセットCの軸54a,54bのブレーキ機構57,58がある場合には、そのブレーキ機構57,58を解除することが可能となっている。また、モータ61aを一方向に回転させることにより、偏心カム61cを用いてカセット保持部60の各ポジションP1〜P3への移動を繰り返し行うため、モータ61aを逆回転する必要などがなく、装置の安全性が高められている。
なお、カセット保持部60が中間位置P2から保持位置P3に移動する間、爪片係合部96はさらに下方に押し下げられるが、上述したようにトーションバネ82cによってレバー82のストロークは大きくなっているため、天板部81dの押し上げ量は変化することなく、第2レバー82bのみが大きく回動する(図22(b)および図23(b)参照)。このように、カセット保持部60の回動によって爪片63が降下せざるを得ない場合でも、ブレーキ機構58の遊びが大きいことにより、ブレーキ機構58の破損などが生じることはない。
その後、一対の送りローラ16a,16bでロール紙3を送りながら、サーマルヘッド13とプラテンローラ14との協働により、インクリボンRの色を画像としてロール紙3に熱転写させる。その後、図5に示されるように、サーマルヘッド13とプラテンローラ14とを離間させ、インクリボンカセットC1を解放する。
そして、インクリボンカセットC1による印画中に、第2のストッカ部Bにおいて、最下段のインクリボンカセットC2を移動させ、第2のインクリボンカセットC2の凸部37をスライダ部31の第2の凹部31b内に挿入させた状態にして、第2のインクリボンカセットC2を第2のストッカ部B内で待機させておく。インクリボンカセットC1による印画が終了すると、駆動手段61によって偏心カム61cを回転させることにより、偏心カム61cの点p1にローラ61fを当接させ、カセット保持部60を待避位置P1に位置させる。
インクリボンカセットC1による印画終了後であっても、インクリボンカセットC1の凸部37はスライダ部31に係合させられたままになっているので、スライダ部31の移動によりインクリボンカセットC1を元の第1のストッカ部Aに素早く戻すことができると同時に、第2のストッカ部B内で待機状態になっている第2のインクリボンカセットC2が印画部P内に同時に搬送される。
駆動手段23のモータ制御と搬送手段Dのモータ制御によって、インクリボンカセットC3とインクリボンカセットC4とインクリボンカセットC5とインクリボンカセットC6とをこの順番で、印刷部Pに送り込む。これによって、ロール紙3にインクリボンRの各色を熱転写させ、最後にロール紙3を透明なオーバーコートで被覆する。
熱転写型プリンタ1によれば、駆動手段100によって、インクリボンカセットCのギヤ56に駆動力が伝達され、インクリボンRが巻き取られる。ここで、インクリボンカセットCには、ギヤ56の歯部56aに嵌合してギヤ56の回転を規制するブレーキ機構58が設けられる。このブレーキ機構58によりギヤ56の回転が規制されるため、インクリボンカセットCが搬送手段Dによって搬送される場合であっても、インクリボンRに弛みが生じることが防止される。
さらには、印画部Pの両側に複数のインクリボンカセットCを備え、これらを順次搬送・交換する単色リボン交換式カラープリンタにおいても、インクリボンRに弛みが生じることが防止される。
また、ブレーキ機構58は、ギヤ56の歯部56aに嵌合する凸部81eを有するブレーキ板81と、ブレーキ板81を押圧して、凸部81eを歯部56aから隔離させるレバー82と、を有するため、レバー82によってブレーキ板81を押圧し、凸部81eを歯部56aから隔離させることができる。これにより、ブレーキ機構58によるギヤ56の回転規制が解除され、駆動手段100によるインクリボンRの巻き取りが可能となる。このように、レバー82およびブレーキ板81を連動させて回転規制を解除するため、ブレーキ板81を直接動かす場合に比べて、部材の配置に自由度を持たせることができる。
また、カセット保持部60がインクリボンカセットCの保持位置P3に位置するとき、爪片63が爪片係合部96に係合してブレーキ板81の凸部81eが歯部56aから隔離し、ブレーキ機構58によるギヤ56の回転規制が解除される。よって、インクリボンカセットCが保持されると同時に、駆動手段100によるインクリボンRの巻き取りが可能となる。したがって、簡易な構成により、ギヤ56の回転規制を容易に解除することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、ブレーキ機構58はブレーキ板81およびレバー82からなる場合について説明したが、1つの部分からなってもよい。ブレーキ機構58による回転規制は、カセット保持部60の爪片63によって解除される場合に限られず、他の部材が爪片係合部96に係合することにより解除されてもよい。リボン供給側のブレーキ機構57は、省略することができる。
ストッカ部Aまたはストッカ部Bを省略してもよい。印画対象物は、ロール紙に限られない。
1…熱転写型プリンタ、3…ロール紙(印画対象物)、13…サーマルヘッド、14…プラテンローラ、42…支持部、53a…巻取リール、56…ギヤ(第1の歯車)、56a…歯部、58…ブレーキ機構(回転規制部)、59a、59b…ベアリング(インクリボンカセットの一部)、60…カセット保持部、63…爪片(突出部)、64a,64b…位置決め板(位置決め部)、81…ブレーキ板(第1の部分)、81e…凸部、82…レバー(第2の部分)、100…駆動手段、103d…ギヤ(第2の歯車)、A,B…ストッカ部(印画部の外部)、C…インクリボンカセット、D…搬送手段、P…印画部、P1…待避位置、P3…保持位置、R…インクリボン。
Claims (3)
- 一個のサーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボンカセットのインクリボンを印画対象物に圧着させて前記印画対象物に前記インクリボンの色を熱転写すると共に、前記インクリボンを駆動手段によって巻き取る熱転写型プリンタにおいて、
前記サーマルヘッドおよび前記プラテンローラが配置されると共に、前記駆動手段が設けられた印画部と、
前記印画部の外部から前記印画部まで前記インクリボンカセットを搬送する搬送手段と、を備え、
前記インクリボンカセットは、
前記駆動手段の駆動力を伝達する歯車と、
前記歯車の歯部に嵌合して前記歯車の回転を規制する回転規制部と、
を有することを特徴とする熱転写型プリンタ。 - 前記回転規制部は、
前記歯車の前記歯部に嵌合する凸部を有する第1の部分と、
前記第1の部分を押圧して、前記凸部を前記歯部から隔離させる第2の部分と、
を有することを特徴とする請求項1記載の熱転写型プリンタ。 - 前記印画部は、前記インクリボンカセットの搬送経路から待避した待避位置と、前記搬送経路を通って搬送された前記インクリボンカセットを保持する保持位置との間で移動自在なカセット保持部を有し、
前記カセット保持部には、前記保持位置において前記第2の部分に係合する突出部が設けられており、前記突出部が前記第2の部分に係合することにより、前記第1の部分の前記凸部が前記歯部から隔離することを特徴とする請求項2記載の熱転写型プリンタ。
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