JP2014042896A - ホルムアルデヒド含有排水の処理方法および装置 - Google Patents

ホルムアルデヒド含有排水の処理方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アンモニアを用いることなく、ホルムアルデヒドを高除去率にて除去することができるホルムアルデヒド含有排水の処理方法および装置を提供する。
【解決手段】ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加して逆浸透膜処理する工程と、該逆浸透膜処理水に酸化剤を添加してホルムアルデヒドを酸化分解処理する促進酸化工程とを有するホルムアルデヒド含有排水の処理方法及び装置。促進酸化工程では、逆浸透膜処理水に過酸化水素とオゾンを添加してもよく、過酸化水素を添加して紫外線照射してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホルムアルデヒド含有排水の処理方法及び装置に係り、特にホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加して逆浸透膜処理した後、膜処理水を促進酸化処理して、ホルムアルデヒドを除去する方法及び装置に関する。
食品工場や飲料工場の容器洗浄工程、高圧殺菌(レトルト)工程、ホルムアルデヒドを原料とするフェノール樹脂等の樹脂や薬剤の製造工程等から、ホルムアルデヒド含有排水が排出されることがある。
ホルムアルデヒド含有排水の処理方法として、特許文献1には、ホルムアルデヒド含有排水に過酸化水素を添加した後、活性炭と接触させ、生じたヒドロキシラジカルによってホルムアルデヒドを分解除去する方法が記載されている。特許文献2,3には、ホルムアルデヒド含有排水にアンモニアを添加してヘキサメチレンテトラミンを生成させた後、逆浸透膜分離処理してヘキサメチレンテトラミンを濃縮分離する方法が記載されている。
なお、熱水式のレトルト処理では、レトルト釜に水道水(10〜25℃)を供給して加圧下に120℃程度まで昇温して飲料缶などを高圧高温殺菌(レトルト処理)し、その後、徐々に冷却して50〜80℃程度(60〜70℃程度)まで温度が下がった後、レトルト釜から排水して、総合排水処理を行うなどした後に放流する。
このレトルト排水は、高温であるため、水道水(通常は10〜25℃)を昇温するよりもレトルト排水(50〜80℃)を昇温する方がエネルギー効率が良いので、レトルト排水を回収し、再利用することが望まれている。
しかし、レトルト排水の回収再利用には以下の技術的課題がある。
(1)回収水を容器洗浄排水やレトルト排水に再利用するときは安全のため水道法の水質基準を満たす水質とする。レトルト排水を単に循環利用すると高温で水分蒸発量が多いことから微量不純物が徐々に濃縮されていく。また、ホルムアルデヒド(HCHO)は水への溶解性が高いため、空気中のHCHOがレトルト排水に取り込まれやすいと推測され、そのまま無処理で循環運転し続けると0.5〜3ppm程度まで濃縮される恐れもあると考えられる。近年、水道法の水質基準が改定され、ホルムアルデヒドも監視項目に加えられて水道水の水質基準80ppb(80μg/L)となったため、レトルト排水を回収したときは予めホルムアルデヒドを除去してから再利用することが望ましい。
(2)もともとレトルトには水道水を使用しているので水道水由来の緩衝性物質(炭酸ソーダなど)が含まれておりpH調整が困難か又はpH調整剤の必要量が多くなる恐れがある。
以上のことから、レトルト排水を回収して、なるべくpH調整を行わずに、HCHOを確実に水道水水質基準以下まで除去して、レトルト処理や工業用水への再利用を可能にすることが望まれている。
なお、HCHO除去として促進酸化が考えられるが、原水中のHCHOのすべてを促進酸化によって除去する場合、装置コストが高く実用的ではない。
特開2010−247009 特開平3−77685 特開2005−224770
特許文献1では、ホルムアルデヒドが十分に除去されない。例えば、特許文献1の実施例1,2では、ホルムアルデヒド濃度2ppmのホルムアルデヒド含有排水に過酸化水素を100ppm注入し、活性炭充填カラムにSV=20h−1又は10h−1にて通水しているが、ホルムアルデヒドの分解能は20%または45%に止まる。
特許文献2,3は、刺激臭を有し、劇物でもあるアンモニアを用いる事が必要である。
本発明は、アンモニアを用いることなく、ホルムアルデヒドを高除去率にて除去することができるホルムアルデヒド含有排水の処理方法および装置を提供することを目的とする。
本発明のホルムアルデヒド含有排水の処理方法は、ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加して逆浸透膜処理する工程と、該逆浸透膜処理水に酸化剤を添加してホルムアルデヒドを酸化分解処理する促進酸化工程とを有するものである。
本発明のホルムアルデヒド含有排水の処理装置は、ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加する手段と、亜硫酸塩が添加された排水を逆浸透膜処理する逆浸透膜装置と、該逆浸透膜装置からの処理水に酸化剤を添加してホルムアルデヒドを酸化分解処理する促進酸化手段とを有するものである。
本発明の一態様では、促進酸化を行う工程又は手段において、逆浸透膜処理水に前記酸化剤として過酸化水素とオゾンを添加する。
本発明の別の一態様では、促進酸化を行う工程又は手段において、逆浸透膜処理水に前記酸化剤として過酸化水素を添加し、紫外線照射する。
本発明では、亜硫酸イオンとホルムアルデヒドとの重量濃度比([SO]/[HCHO])が1〜10特に3〜8となるようにホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加することが好ましい。
ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加すると、ヒドロキシメタンスルホン酸塩が生成する。このヒドロキシメタンスルホン酸塩は、ホルムアルデヒドに比べて分子量が4倍以上大きく、また、イオン半径も大きい為、逆浸透膜によって分離され易くなる。この逆浸透膜処理により、ホルムアルデヒドの大半が除去される他、被処理液中の溶存有機物や、促進酸化法を阻害するイオン成分(例えば、HCO やClなど)も除去される為、促進酸化法によるホルムアルデヒドの分解除去が円滑に行われる。本発明では亜硫酸塩を使用するが、この亜硫酸塩はアンモニアに比べ取り扱いが極めて容易である。
実施の形態に係るホルムアルデヒド含有排水の処理方法および装置を示すフロー図である。 別の実施の形態に係るホルムアルデヒド含有排水の処理方法および装置を示すフロー図である。 実験結果を示すグラフである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明で処理対象とするホルムアルデヒド含有排水としては、食品工場や飲料工場の容器洗浄工程や高圧殺菌(レトルト)工程からの排水のほか、ホルムアルデヒド製造工程排水、ホルムアルデヒドを原料とするフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアセタール樹脂、ビニロン、ヘキサメチレンテトラミン、ペンタエリトリシド、パラホルムアルデヒド、界面活性剤、農薬、消毒剤、防腐剤等の製造工程からの排水が例示されるが、これらに限定されない。
処理対象とするホルムアルデヒド含有排水中のホルムアルデヒド濃度は、通常、0.08〜10mg/L特に0.08〜5mg/L程度であるが、これに限定されない。
ホルムアルデヒド含有排水のpHは、特に限定されるものではないが、4〜8.6特に5〜8程度が望ましい。
ホルムアルデヒド含有排水に添加する亜硫酸塩は、NaSO及び/又はNaHSOなどが好適である。
亜硫酸塩の添加量は、ホルムアルデヒド含有排水中のホルムアルデヒド濃度以上であることが好ましく、特に亜硫酸イオンとホルムアルデヒドとの重量濃度比([SO]/[HCHO])が1〜10特に3〜8とりわけ5〜7となる程度が望ましい。この比が1よりも小さいとヒドロキシメタンスルホン酸塩の生成が少なく、ホルムアルデヒドの除去効率が低くなるおそれがある。また、この比が10よりも大きいと、亜硫酸塩が過剰となり、コスト高となる。
ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加した後、直ちに逆浸透膜(以下、ROということがある。)処理してもよく、所定時間経過後、RO処理してもよい。RO装置のRO膜としては、食塩排除率99%以上のものが好ましい。また、被処理水の温度が50〜80℃の程度の高温になることがあるため、RO膜としては50〜80℃以上の耐熱性を有するものが好ましい。
RO処理水中のホルムアルデヒド濃度は1.5mg/L以下、特に0.8mg/L以下が望ましい。また、RO処理水中の亜硫酸塩濃度は1mg/L以下特に0.5mg/L以下が望ましい。
本発明では、このRO処理水をオゾン、過酸化水素などの酸化剤を添加して促進酸化処理する。促進酸化処理としては、RO処理水にまず過酸化水素を添加し、次いで紫外線照射するか又はオゾンを添加するのが好ましい。なお、この促進酸化処理により、RO処理水中の残留亜硫酸イオンが硫酸イオンに酸化される。
促進酸化法が、過酸化水素添加及び紫外線照射である場合、過酸化水素の添加量(重量)は、RO処理水中のホルムアルデヒド濃度(重量)の1倍〜15倍程度、特に2倍〜8倍程度が望ましい。紫外線照射量は、ホルムアルデヒド1mg/L当たり、また、排水量1m当たり0.5kWh以上、望ましくは1〜3kWhであればよい。pHは特に限定されるものではないが、4以上8.6以下(特に5以上8以下)が望ましい。
促進酸化法が、過酸化水素及びオゾン添加である場合、過酸化水素の添加量(重量)は、RO処理水中のホルムアルデヒド濃度(重量)の1倍〜15倍程度、特に2倍〜8倍程度が望ましい。オゾンの吹き込み量(重量)は、RO処理水中のホルムアルデヒド濃度(重量)の1倍〜50倍程度、特に2倍〜30倍程度が望ましい。pHは特に限定されるものではないが、4以上8.6以下(特に5以上8以下)が望ましい。
本発明では、RO処理水を、まず、過酸化水素及びオゾンで処理した後、紫外線照射処理してもよい。RO処理水を過酸化水素及びオゾンで処理し、次に過酸化水素及び紫外線照射により処理してもよい。また、RO処理水を、過酸化水素添加、オゾン添加及び紫外線照射を同時に行って処理しても良い。
図1,2はそれぞれ本発明のホルムアルデヒド含有排水処理装置の一例を示すフロー図である。
図1,2のいずれにおいても、被処理原水(ホルムアルデヒド含有排水)は、ポンプ1を経て混合器2へ送られ、亜硫酸塩溶液と混合される。亜硫酸塩溶液は、タンク3からポンプ4を経て混合器2へ供給される。混合器2で亜硫酸塩溶液が添加及び混合された被処理水は、RO装置5でRO処理され、透過水が貯槽6へ導入される。貯槽6内のRO処理水は、ポンプ7により混合器8へ送られ、酸化剤(過酸化水素)と混合される。過酸化水素はタンク9からポンプ10を介して混合器8へ供給される。
図1では、酸化剤が添加及び混合されたRO処理水が紫外線照射装置11に通水され、紫外線照射され、促進酸化された後、活性炭塔12に通水され、残留過酸化水素の分解、残留有機物の吸着が行われた後、処理水として取り出される。
図2では、紫外線照射装置11の代わりにオゾン処理塔11’が設けられ、混合器8からの過酸化水素添加RO処理水にオゾンが添加されて促進酸化処理された後、活性炭塔12に通水される。活性炭塔12では、残留過酸化水素及びオゾンの分解、残留有機物の吸着が行われる。その他は図1と同じである。
なお、図1,2のいずれにおいても、RO装置5の濃縮水は原水に戻すか、又は好気性生物処理又は嫌気性生物処理によって処理するのが好ましい。
[比較例1(亜硫酸塩添加後、RO処理)]
ホルムアルデヒド濃度3mg/LでpH5.4のホルムアルデヒド含有排水を調製した。この排水に[SO]/[HCHO]比(重量比)が0,3,5,又は10となるようにNaHSOを添加した(「0」は無添加)。室温で十数秒撹拌した後、逆浸透膜装置(日東電工(株)製ES−20)に1回のみ通水して、処理水を得た。この処理水中のホルムアルデヒド濃度を測定して、ホルムアルデヒドの除去率を求めた。結果を図3に示す。
図3の通り、排水に添加するNaHSO量を増やし、[SO]/[HCHO]比を5程度まで高めると、ホルムアルデヒド除去率も急激に高くなるが、[SO]/[HCHO]比が5を越えると、ホルムアルデヒド除去率の伸びは鈍化し、[SO]/[HCHO]比10で90%と、ほぼ一定になる。この時の処理水のホルムアルデヒド濃度は、0.3mg/Lであり、水道水基準は満足しない。
[実施例1(亜硫酸塩添加後、RO→過酸化水素+オゾン)]
上記の比較例1の[SO]/[HCHO]比=6のRO処理水に過酸化水素を濃度2.0mg/Lになるように添加し、次にオゾンを3mg/L吹き込んだ。この処理水のホルムアルデヒド濃度を測定した結果、0.011mg/L未満であり、水道水基準を満足するものであった。
[実施例2(亜硫酸塩添加後、RO→過酸化水素+紫外線照射)]
上記の比較例1の[SO]/[HCHO]比=5のRO処理水に過酸化水素を濃度2.0mg/Lになるように添加し、次に紫外線を1.2kWh/m照射した。この処理水のホルムアルデヒド濃度を測定した結果、0.053mg/Lであり、水道水基準を満足するものであった。
5 RO装置
11 紫外線照射装置
11’ オゾン処理塔
12 活性炭塔

Claims (8)

  1. ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加して逆浸透膜処理する工程と、
    該逆浸透膜処理水に酸化剤を添加してホルムアルデヒドを酸化分解処理する促進酸化工程と
    を有するホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
  2. 請求項1において、促進酸化工程において、逆浸透膜処理水に前記酸化剤として過酸化水素とオゾンを添加することを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
  3. 請求項1において、促進酸化工程において、逆浸透膜処理水に前記酸化剤として過酸化水素を添加し、紫外線照射することを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウム及び/又は亜硫酸水素ナトリウムであることを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、ホルムアルデヒド含有排水中の亜硫酸イオン濃度(重量)とホルムアルデヒド濃度(重量)との比[SO]/[HCHO]が1〜10となるように亜硫酸塩を添加することを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、ホルムアルデヒド含有排水のpHが4〜8.6であることを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理方法。
  7. ホルムアルデヒド含有排水に亜硫酸塩を添加する手段と、
    亜硫酸塩が添加された排水を逆浸透膜処理する逆浸透膜装置と、
    該逆浸透膜装置からの処理水に酸化剤を添加してホルムアルデヒドを酸化分解処理する促進酸化手段と
    を有するホルムアルデヒド含有排水の処理装置。
  8. 請求項6において、前記促進酸化手段は、前記逆浸透膜装置からの処理水にまず過酸化水素を添加し、次いで紫外線照射するか又はオゾンを添加する手段であることを特徴とするホルムアルデヒド含有排水の処理装置。
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