JP2014041162A - 比に基づく生体マーカーおよびそれを使用する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】疾患(例えば、癌)の存在、発症、または進行と関係がある、生物学的試料中で発現される生物学的分子(例えば、タンパク質および核酸)を同定するための、あるいは、より一般的には、疾患の病因または疾患と関係があるリスクファクターの決定のための、組成物、方法、およびキットを提供すること。
【解決手段】開示する方法により分析される試料のタイプとしては、固定液中で保存された保管組織ブロック、組織生検試料、組織マイクロアレイなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に開示する方法は、生物学的分子の発現プロファイルを様々な疾患のタイプと相互に関連付け、相対的生存率の決定を可能にする。いくつかの実施形態においては、上記方法は、癌を有する被験体についての生存率の決定を可能にする。他の実施形態においては、本開示は、処置(例えば、癌の処置)のための治療レジュメを評価するための方法に関する。
【選択図】なし
【解決手段】開示する方法により分析される試料のタイプとしては、固定液中で保存された保管組織ブロック、組織生検試料、組織マイクロアレイなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に開示する方法は、生物学的分子の発現プロファイルを様々な疾患のタイプと相互に関連付け、相対的生存率の決定を可能にする。いくつかの実施形態においては、上記方法は、癌を有する被験体についての生存率の決定を可能にする。他の実施形態においては、本開示は、処置(例えば、癌の処置)のための治療レジュメを評価するための方法に関する。
【選択図】なし
Description
(関連出願への参照)
この出願は、2009年1月14日に出願された米国仮出願第61/144,501号(この仮出願の全内容は、その全体が援用される)の利益を主張する。
この出願は、2009年1月14日に出願された米国仮出願第61/144,501号(この仮出願の全内容は、その全体が援用される)の利益を主張する。
(開示の分野)
本開示は、被験体における疾患(例えば、癌)の検出、進行、および予後についての、比に基づく(ratio−based)生体マーカーの同定に関する。疾患もしくは症状の病因、または疾患もしくは症状と関係があるリスクの決定のための同様の方法もまた提供される。本開示はまた、被験体について、生存確率および予後を予測する方法、ならびに、患者の治療レジュメを階層化する方法にも関する。
本開示は、被験体における疾患(例えば、癌)の検出、進行、および予後についての、比に基づく(ratio−based)生体マーカーの同定に関する。疾患もしくは症状の病因、または疾患もしくは症状と関係があるリスクの決定のための同様の方法もまた提供される。本開示はまた、被験体について、生存確率および予後を予測する方法、ならびに、患者の治療レジュメを階層化する方法にも関する。
(背景)
腫瘍は、それらの相当の異質性と組織病理学的多様性を特徴とする。現在、250種を上回る悪性腫瘍と、何千ものサブタイプおよび組織学的変異体が、ヒトについて記載されている。それにもかかわらず、昔からの病理学的基準(例えば、腫瘍の大きさ、悪性度、および転移性播種)が、一般的に、癌の最も関連性のある予後因子である。組織病理学的サブタイプの多様性に加えて、腫瘍の分子的研究は、なおさらに複雑である。悪性腫瘍においては、少なくとも6つの遺伝子変化が、細胞形質転換の主要な機構に影響を及ぼすと考えられる。これには、成長因子および細胞シグナル伝達経路、細胞周期、アポトーシス、ならびに、細胞侵襲性および血管形成に関与している機構が含まれる(非特許文献1)。全体として、350を上回る、腫瘍と関係がある遺伝子が同定されており、これは、ヒトゲノムの1%を上回る割合を占める(非特許文献2)。
腫瘍は、それらの相当の異質性と組織病理学的多様性を特徴とする。現在、250種を上回る悪性腫瘍と、何千ものサブタイプおよび組織学的変異体が、ヒトについて記載されている。それにもかかわらず、昔からの病理学的基準(例えば、腫瘍の大きさ、悪性度、および転移性播種)が、一般的に、癌の最も関連性のある予後因子である。組織病理学的サブタイプの多様性に加えて、腫瘍の分子的研究は、なおさらに複雑である。悪性腫瘍においては、少なくとも6つの遺伝子変化が、細胞形質転換の主要な機構に影響を及ぼすと考えられる。これには、成長因子および細胞シグナル伝達経路、細胞周期、アポトーシス、ならびに、細胞侵襲性および血管形成に関与している機構が含まれる(非特許文献1)。全体として、350を上回る、腫瘍と関係がある遺伝子が同定されており、これは、ヒトゲノムの1%を上回る割合を占める(非特許文献2)。
癌の異常な性状は、一部、腫瘍形成性のシグナル伝達経路は、増殖を促進する、アポトーシスを阻害する、および癌の拡散を可能にする、および血管形成を引き起こす、特定の腫瘍形成性のシグナル伝達経路のアップレギュレーションを反映する。理論上は、非細胞毒性物質を用いて、これらの癌関連シグナル伝達経路の活性を低下させること、またはこれらの反対の経路を増大させることが実現可能であるはずである。しかし、実際は、腫瘍の処置またはそのような非細胞毒性物質の投与後の腫瘍の反応性についての成功率は一定していない。いくつかの分子標的が、固形腫瘍の処置のための可能性のある治療標的として同定されている。これらの分子標的のいくつかは、癌の発生と関係がある細胞シグナル伝達経路または成長因子経路において見られるタンパク質である。結果として、発癌の機構を理解すること、および増大したリスクについての生体マーカーを同定することは、癌の早期診断および処置に特に大きな利点があるであろう。したがって、固形腫瘍と関係がある細胞シグナル伝達経路および成長因子経路における分子標的の同定、ならびにそれに続く上記分子標的の阻害が、いくつかの癌についての主要な処置ストラテジーである。
HanahanならびにWeinberg,Cell.(2000)100(1):57〜70
Futrealら、Nat Rev Cancer.(2004)4(3):177〜83
現在のところ、どの細胞性タンパク質またはシグナル伝達経路が細胞を癌性にする原因であるという問題に対する単純な答えはない。例えば、発達において中枢となる部分を通常担うWntシグナル伝達経路は、多くの場合、癌細胞中では、突然変異によりダウンレギュレートされる。網膜芽細胞腫の腫瘍サプレッサータンパク質(これは、別のシグナル伝達経路の一部である)の遺伝子における突然変異もまた、癌と頻繁に関係する。明らかになりつつある新しいもつれた関係性(entanglement)とともに、癌を媒介する分子ネットワークの複雑さを考えると、ヒトゲノムにおける遺伝的相互作用の包括的な「回路」マップの作成が不可欠な状況にある。
目的のタンパク質の発現プロファイルを研究するために、研究者らは、組織マイクロアレイ(TMA)分析およびレーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション(Laser Capture Microdissection)(LCM)のような技術を開発した。一般的には、TMA分析は、組織レベルでのプロテオミクスの研究を可能にする。例えば、TMAは、正常な組織または病変組織から構築することができ、そのそれぞれに由来する組織切片が、免疫化学的染色により、1種類以上のタンパク質(例えば、疾患マーカータンパク質の有無)を評価するために使用される。典型的には、TMA分析には、固体組織試料と、ホルマリンに固定し、パラフィンに包埋した試料に結合する抗体が必要である。他の組織をベースとするプロテオミクスプロファイリング技術を上回る、TMA分析についての1つの可能性のある利点は、多数の抗原を、同時に1つの組織切片からアッセイできること、およびTMAが、それが由来する組織切片の病理学的構造を保持することである。この情報は、TMA発現プロファイルの結果を、同じ組織切片の病理学的結果と比較するかまたは対比させる場合に、特に重要である。タンパク質発現プロファイルをプロファイルするための別の一般的に使用される技術は、LCMである。LCMは、組織切片について特異的ウェスタンブロットを行う能力を提供するが、この方法論には、多大な時間が必要であり、標的とされるタンパク質についての全体的な概要は提供しない。免疫組織化学は、優れた局在化を提供するが、高分解能質量分析法のような精巧な機器を持たないために定量化を欠き、そして正規化のための構成要素も欠く。
タンパク質発現プロファイリングのための他の「グリンドアンドバインド(grind and bind)」技術は定量化を提供するが、タンパク質発現の組織形態学的見解を提供することはできない。病理学の結果が、なおも多くの場合には、臨床診断についての「ゴールドスタンダード(gold standard)」であると考えられることを考慮すると、組織形態学的データと組み合わせて作業する技術を開発することが、依然望まれる。これらの欠点を克服するために、多数のタンパク質をベースとするアレイが開発されており、評価されている。これらの技術は、一般的には、疾患状態と関係があるタンパク質の変化についての発現プロファイリングおよび定量化においては優れているが、それぞれに有意な限界がある。したがって、正常な試料と、形質転換された試料もしくは疾患状態の試料(例えば、ホルマリンに固定し、パラフィンに包埋した組織切片)中でタンパク質発現レベルを定量化するための方法が、依然必要である。これはまた、組織形態学的観察と相互に関連付けられる。さらに、癌性の疾患の進行をモニターすることができる、および/または癌を有する被験体について生存確率を決定することができる、試料中の癌の存在を検出するための方法も、依然必要である。
(開示の概要)
本開示の態様は、疾患または症状について予後を決定するための組成物、方法、および装置に関し、これらは、上記疾患または症状を持つ(あるいは、上記疾患もしくは症状を有すると疑われるか、または上記疾患もしくは症状になりやすい)被験体由来の試料中で、その発現(または発現がないこと)が上記疾患または症状と関係がある少なくとも2種類のタンパク質を同定すること;上記試料中の少なくとも2種類の疾患/症状関連タンパク質を定量化すること;個々の関連タンパク質を正規化すること;生体マーカーの指標を得るために、第1の疾患/症状関連タンパク質の正規化した値を、第2の疾患/症状関連タンパク質の正規化した値と比較すること、ならびに;上記生体マーカーの指標を被験体の予後と相関させることによる。この実施形態の1つの特異的な例は、癌(例えば、固形腫瘍、癌腫、または他のクラスの腫瘍)を持つ被験体の癌の予後(例えば、生存確率)を決定するための、組成物、方法、および装置を提供し、これらは、被験体由来の試料中で、少なくとも2種類の癌関連タンパク質を同定すること;試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質を定量化すること;それぞれの癌関連タンパク質を正規化すること;生体マーカーの指標を得るために、第1の癌関連タンパク質の正規化した値を、第2の癌関連タンパク質の正規化した値と比較すること、ならびに;生体マーカーの指標を、被験体の生存確率と相関させることによる。
本開示の態様は、疾患または症状について予後を決定するための組成物、方法、および装置に関し、これらは、上記疾患または症状を持つ(あるいは、上記疾患もしくは症状を有すると疑われるか、または上記疾患もしくは症状になりやすい)被験体由来の試料中で、その発現(または発現がないこと)が上記疾患または症状と関係がある少なくとも2種類のタンパク質を同定すること;上記試料中の少なくとも2種類の疾患/症状関連タンパク質を定量化すること;個々の関連タンパク質を正規化すること;生体マーカーの指標を得るために、第1の疾患/症状関連タンパク質の正規化した値を、第2の疾患/症状関連タンパク質の正規化した値と比較すること、ならびに;上記生体マーカーの指標を被験体の予後と相関させることによる。この実施形態の1つの特異的な例は、癌(例えば、固形腫瘍、癌腫、または他のクラスの腫瘍)を持つ被験体の癌の予後(例えば、生存確率)を決定するための、組成物、方法、および装置を提供し、これらは、被験体由来の試料中で、少なくとも2種類の癌関連タンパク質を同定すること;試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質を定量化すること;それぞれの癌関連タンパク質を正規化すること;生体マーカーの指標を得るために、第1の癌関連タンパク質の正規化した値を、第2の癌関連タンパク質の正規化した値と比較すること、ならびに;生体マーカーの指標を、被験体の生存確率と相関させることによる。
さらなる実施形態においては、被験体の癌の生存確率を決定するために使用される組成物、方法、およびデバイスは、他の疾患もしくは症状とともに使用されるように、ならびに、そのような他の疾患もしくは症状の診断、予後を試験するため、および/または反応の予測、ならびに、そのような他の疾患もしくは症状の病因またはリスク決定のために、適応させられる。多くの場合、実施形態は癌を使用して説明されるが、これらが癌に限定されるとは見なされないことが理解される。
本開示は、さらに、組織試料中で発現された癌(または他の疾患もしくは症状)関連タンパク質を同定するための方法、および上記関連タンパク質の発現プロファイルを、例えば、様々な癌、予後、または治療に対する反応と相関させるための方法に関する。
本開示は、さらに、被験体において癌の存在を検出するための方法に関し、この方法は、被験体由来の生物学的試料から第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルを決定する工程;第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質の含有量を、上記生物学的試料由来の全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化する工程;ならびに、第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルを、正常な対照被験体中で測定した、細胞、組織、または体液中の第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルと比較する工程による。ここでは、正常な対照被験体中で測定した第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルに対する、被験体中での第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルの変化が、被験体における癌の存在と関係がある。
別の実施形態においては、本開示は、被験体において癌の存在を検出するための方法を提供し、この方法は、被験体由来の生物学的試料中で、第1の癌関連タンパク質のレベルを検出する工程(ここでは、第1の癌関連タンパク質には、PTEN、p−AKT、p−mTOR、p−MAPK、EGFR、HER2、HER3、またはそれらの2種類以上の組み合わせが含まれる);ならびに、被験体由来の生物学的試料中で検出した第1の癌関連タンパク質の発現レベルを、所定の統計学的に有意なカットオフ値に対して比較する工程による。ここでは、非癌性(例えば、形質転換されていない)試料と比較した、生物学的試料中の第1の癌関連タンパク質の発現レベルの変化(例えば、低下または増大)が、被験体における癌の存在の指標である。
さらなる実施形態において、本開示は、被験体において癌の存在を検出するための方法を提供し、この方法は、被験体由来の試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルを計算する工程;p−AKTまたはp−mTORの発現のレベルを、上記試料による全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化する工程;ならびに、対照の非癌性試料(例えば、癌ではない被験体由来の試料、または同じ被験体の非癌性組織由来の試料など)中のp−AKTまたはp−mTORの発現の正規化した発現レベルと比較する工程による。ここでは、正常な非癌性試料と比較した、被験体の試料中でのp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルの統計学的に有意な変化が、被験体における癌の存在の指標である。癌の生体マーカーに、p−MAPK、EGFR、HER2、および/またはHER3の測定値が含まれる、同様の方法が提供される。
生存に基づく癌の生体マーカーの指標を同定するための方法もまた提供される。ここでは、生体マーカーの指標には、癌と関係がある細胞シグナル伝達経路に由来する少なくとも2種類の癌関連タンパク質が含まれ、上記少なくとも2種類の癌関連タンパク質は、生存に基づく癌の生体マーカーの指標を得るために使用される。この方法は、試料中の第1の癌関連タンパク質の含有量(レベル)を計算する工程、試料中の第2の癌関連タンパク質の含有量(レベル)を計算する工程、第1の癌関連タンパク質の含有量を、上記試料中の全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化する工程、ならびに、第2の癌関連タンパク質の含有量を、上記試料中の全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化して、生存に基づく癌の生体マーカーの指標を得る工程による。
さらなる実施形態においては、本開示は、固形腫瘍を有する被験体について癌の相対的生存率(またはより一般的には、予後)を決定する方法を提供する。この方法は、生体マーカーの指標を得る工程(上記生体マーカーの指標は、被験体から固形腫瘍試料を獲得すること、上記固形腫瘍から第1の癌関連タンパク質を抽出して、第1の癌関連タンパク質を含む画分を得ること、上記画分中の第1の癌関連タンパク質の含有量を計算すること、第1の癌関連タンパク質の含有量を上記画分中の全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化すること、上記固形腫瘍試料から第2の癌関連タンパク質を抽出すること、上記画分中の第2の癌関連タンパク質の含有量を計算すること、第2の癌関連タンパク質の含有量を上記画分中の全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化すること、および、正規化した第1の癌関連タンパク質の含有量を正規化した第2の癌関連タンパク質の含有量に対して相互に関連付けて、生体マーカーの指標を得ることにより得られる)、ならびに、上記生体マーカーの指標を相対的生存率と比較し、それにより、固形腫瘍を有する被験体について癌の相対的生存率を決定する工程による。
本開示は、さらに、固形腫瘍を有する被験体について癌の相対的生存率を予測するための方法に関する。この方法は、固形腫瘍中で腫瘍抗原に対する抗体の存在を検出する工程(ここでは、腫瘍抗原には、正常な非癌性試料と比較して、p−AKTおよびp−mTORの増大した発現、またはPTENの低下した発現が含まれる)、それにより、被験体の癌を検出する工程、ならびに、正常な非癌性試料と比較した被験体における腫瘍抗原の低下した発現を、固形腫瘍を有する被験体の低い生存率と相互に関連づける工程による。別の実施形態においては、計算される腫瘍抗原には、低下したHER3の発現と比較した、および/または低下したHER3の発現とともに、増大したHER2が含まれる。したがって、個々の腫瘍(または他の疾患/症状)抗原のレベルの絶対値は必ずしも決定的ではなく、むしろこれは、本明細書中に提供される予測的な生体マーカーを提供する1種類以上の他の抗原と比較した相対的な量である。
別の実施形態においては、本開示は、試料中の癌関連タンパク質の検出のためのメンブレンアレイと検出体分子(detector molecule)を含むキットを提供する。上記アレイには、複数のメンブレンが含まれ、ここでは、複数のメンブレンのそれぞれが、癌関連タンパク質に対して実質的に同じ親和性を有する。上記容器には、個々のメンブレン上に捕捉された癌関連タンパク質を検出するための検出体分子が含まれる。ここでは、癌関連タンパク質は、固形腫瘍、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫からなる癌の群より選択される。
本開示は、特定の処置レジュメに適している被験体を検出する、診断する、同定するために使用することができ、そのような被験体についての予後の情報を提供する、疾患または症状関連生物学的分子(例えば、タンパク質および核酸)を同定する。状況に応じて、被験体は癌を有し、生物学的分子は癌と関連がある生物学的分子である。
本開示はまた、試料中のタンパク質発現プロファイルを特性決定し、そして上記タンパク質発現プロファイルを、癌の発症、癌の存在の確認、または癌に罹患した被験体の相対的生存率についての生存に基づく癌の生体マーカーの指標と相関させるための方法を同定する。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
癌を有する被験体について癌の予後を決定する方法であって:
i)前記被験体由来の試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質を同定する工程;
ii)前記試料中の前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質を定量化する工程;
iii)前記試料中の各癌関連タンパク質について正規化した値を得るために、前記試料中の前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質を正規化する工程;
iv)生体マーカーの指標を得るために、第1の癌関連タンパク質の正規化した値を第2の癌関連タンパク質の正規化した値と比較する工程;および、
v)前記生体マーカーの指標を、癌を有する前記被験体の予後と相関させる工程
を含む、方法。
(項目2)
前記被験体がヒトである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記被験体がヒト以外の哺乳動物である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記癌が固形腫瘍である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記癌が以下からなる群より選択される、項目1に記載の方法:副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨の癌、脳腫瘍、乳癌、心臓肉腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胚細胞癌、婦人科学的な癌、頭頸部癌、肝芽腫、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、胃(消化器)癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍。
(項目6)
前記固形腫瘍が癌腫である、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記癌腫が、乳房、肺、前立腺、結腸、肝臓、甲状腺、腎臓、および胆管の癌腫からなる群より選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記癌が、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記癌腫が肝外胆管癌(EHCC)である、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、以下からなる群より選択される腫瘍抗原を含む、項目1に記載の方法:AKT;p−AKT;血液型Tn抗原、CA150;CA19−9;CA50;CAB39L;CD22;CD24;CD63;CD66a+CD66c+CD66d+CD66e;CTAG1B;CTAG2;癌胎児性抗原(CEA);EBAG9;EGFR;FLJ14868;FMNL1;GAGE1;GPA33;ガングリオシドOAcGD3;ヘパラナーゼ1;HER2;HER3;JAKMIP2;LRIG3;肺癌クラスター2;M2A腫瘍胎児抗原、MAGE1;MAGEA10;MAGEA11;MAGEA12;MAGEA2;MAGEA4;MAGEB1;MAGEB2;MAGEB3;MAGEB4;MAGEB6;MAGEC1;MAGEE1;MAGEH1;MAGEL2;MGEA5;MOKプロテインキナーゼ;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC16;MUC4;黒色腫関連抗原;メソテリン;ムチン5AC;神経芽細胞腫;OCIAD1;OIP5;卵巣癌関連抗原;PAGE4;PCNA;PRAME;プラスチンL;前立腺ムチン抗原(PMA);前立腺特異抗原(PSA);PTEN;RASD2;ROPN1;SART2;SART3;SBEM;SDCCAG10;SDCCAG8;SPANX;SPANXB1;SSX5;STEAP4;STK31;TAG72;TEM1;XAGE2;ウィルムス腫瘍タンパク質、α1−フェトプロテイン;および上皮起源の腫瘍抗原。
(項目11)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、以下からなる群より選択される腫瘍関連抗原を含む、項目1に記載の方法:5T4;AKT;p−AKT;ACRBP;血液型Tn抗原;CD164;CD20;CTHRC1;ErbB2;FATE1;HER2;HER3;GPNMB;ガレクチン8;HORMAD1;LYK5;MAGEA6;MAGEA8;MAGEA9;MAGEB18;MAGED2;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC1;MUC2;MelanA;黒色腫gp100;NYS48;PARP9;PATE;プロステイン;PTEN;SDCCAG8;SEPT1;SLC45A2;TBC1D2;TRP1;XAGE1;および上皮由来の腫瘍関連抗原。
(項目12)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、AKTシグナル伝達経路のタンパク質である、項目1に記載の方法。
(項目13)
少なくとも1種類の前記AKTシグナル伝達経路のタンパク質が、4E−BP1、eIF−4E、AKT、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、ペリオスチン、およびPTENからなる群より選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、EGFシグナル伝達経路のタンパク質である、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも1種類のEGFシグナル伝達経路のタンパク質が、以下からなる群より選択される、項目14に記載の方法:EGF、EGFR、HER2、HER3、β−カテニン、グリコプロテイン130、PLCG1、Erbin、MUC1、Grb2、熱ショックタンパク質90kDa α(細胞質性)、メンバーA1、DLG4、PIK3R2、PICK1、およびSHC1。
(項目16)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質である、項目12に記載の方法。
(項目17)
少なくとも1種類の前記リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質が、以下からなる群より選択される、項目16に記載の方法:リン酸化された4e−BP1(p−4E−BP1)、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、リン酸化されたAKT(pAKT)、およびリン酸化されたmTOR(p−mTOR)。
(項目18)
定量化する工程が:
a)前記癌関連タンパク質を組織切片からメンブレンを積み重ねたものに移動させること;
b)前記メンブレンを積み重ねたものを、前記メンブレン上の個々のエピトープの検出のための一次抗体でプローブすること;
c)蛍光二次抗体を用いて、前記メンブレン上の個々のエピトープに結合した前記一次抗体を検出すること;および、
d)前記蛍光二次抗体の強度を定量化すること
を含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
定量化する工程が、免疫組織化学、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション、「一次元」電気泳動ゲル、「二次元」電気泳動ゲル、質量分析法、組織マイクロアレイ、マルチ組織免疫ブロッティング、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記生体マーカーの指標が、前記第2の癌関連タンパク質の正規化した値で割った前記第1の癌関連タンパク質の正規化した値の比を含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記試料が、血液、血清、尿、または他の流体である生物学的試料を含む、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記試料が組織試料である、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記組織試料が、保管組織試料、凍結保存された組織試料、新鮮な組織試料、LCM組織試料、または組織マイクロアレイからなる群より選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
少なくとも2種類の癌関連タンパク質を含む生存に基づく癌の生体マーカーの指標であって、ここでは、前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質は、前記癌と関係がある細胞のシグナル伝達経路に由来する2種類のタンパク質であり、前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質が、前記生存に基づく癌の生体マーカーの指標を得るために、(i)試料中の第1の癌関連タンパク質の含有量を計算すること;(ii)前記試料中の第2の癌関連タンパク質の含有量を計算すること;(iii)前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量により、前記第1の癌関連タンパク質の含有量を正規化すること;および(iv)前記生存に基づく癌の生体マーカーの指標を得るために、前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量により、前記第2の癌関連タンパク質の含有量を正規化することにより、使用される、生存に基づく癌の生体マーカーの指標。
(項目25)
前記生体マーカーの指標が、癌の相対的生存率を得るために使用される、項目25に記載の生体マーカーの指標。
(項目26)
固形腫瘍を有する被験体について、相対的な癌の予後または相対的生存率を決定する方法であって、:
(a)生体マーカーの指標を得る工程であって、前記生体マーカーの指標は、以下の工程を含む方法により得られる、工程:
(i)前記被験体から前記固形腫瘍試料を得る工程;
(ii)前記固形腫瘍試料から第1の癌関連タンパク質を抽出して、前記第1の癌関連タンパク質を含む画分を得る工程;
(iii)前記画分中の前記第1の癌関連タンパク質の含有量を計算する工程;
(iv)前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量に対して、前記第1の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程;
(v)前記固形腫瘍試料から第2の癌関連タンパク質を抽出する工程;
(vi)前記画分中の前記第2の癌関連タンパク質の含有量を計算する工程;
(vii)前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量に対して、前記第2の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程;および
(viii)生体マーカーの指標を得るために、正規化した前記第1の癌関連タンパク質の含有量を、正規化した前記第2の癌関連タンパク質の含有量に対して相関させる工程;ならびに、
(b)前記生体マーカーの指標を、予後または相対的生存率と比較し、それにより、前記固形腫瘍を有する前記被験体について予後または癌の相対的生存率を決定する工程、
を含む、方法。
(項目27)
被験体において癌を検出するための方法であって:
(a)前記被験体由来の生物学的試料から第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルを決定する工程;
(b)前記生物学的試料由来の全細胞性タンパク質の含有量に対して、前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程;ならびに、
(c)前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルを、正常な対照試料中で測定した、細胞、組織、または体液中の前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質のレベルと比較する工程であって、ここでは、正常な対照被験体中で測定した前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質のレベルに対する、前記被験体中の前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルの変化が、前記被験体における癌の存在と関係がある、工程
を含む、方法。
(項目28)
被験体において癌の存在を検出するための方法であって:
(a)前記被験体由来の試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルを計算する工程;
(b)前記試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルを、前記試料についての全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化する工程;および
(c)対照の非癌性試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現の正規化した発現のレベルを比較する工程であって、ここで、正常な非癌性試料と比較した、前記被験体の試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルにおける統計学的に有意な低下が、前記被験体における癌の存在の指標である、工程
を含む、方法。
(項目29)
腫瘍を有する被験体について、癌の相対的生存率を予測するための方法であって:
前記腫瘍中の腫瘍抗原に特異的な抗体の存在を検出する工程であって、ここで、前記腫瘍抗原は、p−AKTまたはpm−TOR、およびPTENを含む、工程;
正常な非癌性試料と比較して、前記腫瘍中の前記腫瘍抗原に対する抗体の発現レベルを正規化する工程、ならびに、
前記非癌性試料と比較した前記腫瘍抗原に対する抗体の低下した発現レベルを、前記腫瘍を有する前記被験体におけるより低い相対的生存率と相関させる工程
を含む、方法。
(項目30)
被験体において癌の存在を検出するための方法であって:
前記被験体由来の生物学的試料中で第1の癌関連タンパク質を検出する工程であって、ここで、前記第1の癌関連タンパク質は、PTEN、p−AKT、p−mTOR、p−MAPK、EGFR、HER2、HER3、またはこれらの2種類以上の組み合わせを含む、工程;
前記第1の癌関連タンパク質についてタンパク質発現レベルを計算する工程;および、
前記生物学的試料中で検出した前記第1の癌関連タンパク質についてのタンパク質発現レベルを、所定の統計学的に有意なカットオフ値に対して比較する工程であって、ここでは、非癌性試料に対して比較した前記生物学的試料中の前記第1の癌関連タンパク質のタンパク質発現レベルの変化が、前記被験体における癌の存在を示す、工程
を含む、方法。
(項目31)
試料中の癌関連タンパク質を検出するためのメンブレンアレイであって、前記アレイは複数のメンブレンを含み、ここでは、前記複数のメンブレンの各々が1種類以上の癌関連タンパク質に対する親和性を有する、メンブレンアレイ;および
前記メンブレンのうちの少なくとも1つの上に捕捉された前記癌関連タンパク質を検出するための検出体分子の容器
を含有するキットであって、ここでは、前記癌関連タンパク質が、固形腫瘍、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫からなる癌と関係があるタンパク質の群より選択される、キット。
(項目32)
前記癌関連タンパク質が、副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨の癌、脳腫瘍、乳癌、心臓肉腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胚細胞癌、婦人科学的な癌、頭頸部癌、肝芽腫、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、胃(消化器)癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍からなる癌の群より選択される、項目31に記載のキット。
(項目33)
前記固形腫瘍が癌腫である、項目31に記載のキット。
(項目34)
前記癌腫がEHCCである、項目33に記載のキット。
(項目35)
前記癌腫が、乳房、肺、前立腺、結腸、肝臓、胃、甲状腺、腎臓および胆管の癌腫からなる群より選択される、項目33に記載のキット。
(項目36)
前記検出体分子が、前記癌関連タンパク質の検出に特異的な抗体またはプローブを含み、前記抗体またはプローブが、以下からなる群より選択される、項目3に記載のキット:AKT;p−AKT;血液型Tn抗原、CA150;CA19−9;CA50;CAB39L;CD22;CD24;CD63;CD66a+CD66c+CD66d+CD66e;CTAG1B;CTAG2;癌胎児性抗原(CEA);EBAG9;EGFR;FLJ14868;FMNL1;GAGE1;GPA33;ガングリオシドOAcGD3;ヘパラナーゼ1;HER2;HER3;JAKMIP2;LRIG3;肺癌クラスター2;M2A腫瘍胎児抗原、MAGE1;MAGEA10;MAGEA11;MAGEA12;MAGEA2;MAGEA4;MAGEB1;MAGEB2;MAGEB3;MAGEB4;MAGEB6;MAGEC1;MAGEE1;MAGEH1;MAGEL2;MGEA5;MOKプロテインキナーゼ;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC16;MUC4;黒色腫関連抗原;メソテリン;ムチン5AC;神経芽細胞腫;OCIAD1;OIP5;卵巣癌関連抗原;PAGE4;PCNA;PRAME;プラスチンL;前立腺ムチン抗原(PMA);前立腺特異抗原(PSA);PTEN;RASD2;ROPN1;SART2;SART3;SBEM;SDCCAG10;SDCCAG8;SPANX;SPANXB1;SSX5;STEAP4;STK31;TAG72;TEM1;XAGE2;ウィルムス腫瘍タンパク質、α1−フェトプロテイン、および上皮起源の腫瘍抗原。
(項目37)
前記検出体分子が、前記癌関連タンパク質の検出に特異的な抗体またはプローブを含み、前記抗体またはプローブが、以下からなる群より選択される、項目31に記載のキット:5T4;AKT;p−AKT;ACRBP;血液型Tn抗原;CD164;CD20;CTHRC1;ErbB2;FATE1;HER2;HER3;GPNMB;ガレクチン8;HORMAD1;LYK5;MAGEA6;MAGEA8;MAGEA9;MAGEB18;MAGED2;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC1;MUC2;MelanA;黒色腫gp100;NYS48;PARP9;PATE;プロステイン;PTEN;SDCCAG8;SEPT1;SLC45A2;TBC1D2;TRP1;XAGE1;および上皮由来の腫瘍関連抗原。
(項目38)
前記検出体分子が、AKTシグナル伝達経路のタンパク質を含む癌関連タンパク質の検出のための抗体またはプローブを含む、項目31に記載のキット。
(項目39)
前記AKTシグナル伝達経路のタンパク質が、4E−BP1、eIF−4E、AKT、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、ペリオスチン、およびPTENからなる群より選択される、項目38に記載のキット。
(項目40)
前記AKTシグナル伝達経路のタンパク質が、リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質を含む、項目38に記載のキット。
(項目41)
前記リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質が、リン酸化された4E−BP1(p−4E−BP1)、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、リン酸化されたAKT(pAKT)、およびリン酸化されたmTOR(p−mTOR)からなる群より選択される、項目40に記載のキット。
(項目42)
疾患を有する被験体について、生存確率を決定する方法であって:
i)前記被験体由来の試料中で少なくとも2種類の疾患関連タンパク質を同定する工程;
ii)前記試料中の前記少なくとも2種類の疾患関連タンパク質を定量化する工程;
iii)前記試料中の各癌関連タンパク質について正規化した値を得るために、前記試料中の前記少なくとも2種類の疾患関連タンパク質を正規化する工程;
iv)生体マーカーの指標を得るために、第1の疾患関連タンパク質の正規化した値を、第2の疾患関連タンパク質の正規化した値と比較する工程;および
v)前記生体マーカーの指標を、前記疾患を有する前記被験体の生存確率と相関させる工程
を含む、方法。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
癌を有する被験体について癌の予後を決定する方法であって:
i)前記被験体由来の試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質を同定する工程;
ii)前記試料中の前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質を定量化する工程;
iii)前記試料中の各癌関連タンパク質について正規化した値を得るために、前記試料中の前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質を正規化する工程;
iv)生体マーカーの指標を得るために、第1の癌関連タンパク質の正規化した値を第2の癌関連タンパク質の正規化した値と比較する工程;および、
v)前記生体マーカーの指標を、癌を有する前記被験体の予後と相関させる工程
を含む、方法。
(項目2)
前記被験体がヒトである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記被験体がヒト以外の哺乳動物である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記癌が固形腫瘍である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記癌が以下からなる群より選択される、項目1に記載の方法:副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨の癌、脳腫瘍、乳癌、心臓肉腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胚細胞癌、婦人科学的な癌、頭頸部癌、肝芽腫、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、胃(消化器)癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍。
(項目6)
前記固形腫瘍が癌腫である、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記癌腫が、乳房、肺、前立腺、結腸、肝臓、甲状腺、腎臓、および胆管の癌腫からなる群より選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記癌が、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記癌腫が肝外胆管癌(EHCC)である、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、以下からなる群より選択される腫瘍抗原を含む、項目1に記載の方法:AKT;p−AKT;血液型Tn抗原、CA150;CA19−9;CA50;CAB39L;CD22;CD24;CD63;CD66a+CD66c+CD66d+CD66e;CTAG1B;CTAG2;癌胎児性抗原(CEA);EBAG9;EGFR;FLJ14868;FMNL1;GAGE1;GPA33;ガングリオシドOAcGD3;ヘパラナーゼ1;HER2;HER3;JAKMIP2;LRIG3;肺癌クラスター2;M2A腫瘍胎児抗原、MAGE1;MAGEA10;MAGEA11;MAGEA12;MAGEA2;MAGEA4;MAGEB1;MAGEB2;MAGEB3;MAGEB4;MAGEB6;MAGEC1;MAGEE1;MAGEH1;MAGEL2;MGEA5;MOKプロテインキナーゼ;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC16;MUC4;黒色腫関連抗原;メソテリン;ムチン5AC;神経芽細胞腫;OCIAD1;OIP5;卵巣癌関連抗原;PAGE4;PCNA;PRAME;プラスチンL;前立腺ムチン抗原(PMA);前立腺特異抗原(PSA);PTEN;RASD2;ROPN1;SART2;SART3;SBEM;SDCCAG10;SDCCAG8;SPANX;SPANXB1;SSX5;STEAP4;STK31;TAG72;TEM1;XAGE2;ウィルムス腫瘍タンパク質、α1−フェトプロテイン;および上皮起源の腫瘍抗原。
(項目11)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、以下からなる群より選択される腫瘍関連抗原を含む、項目1に記載の方法:5T4;AKT;p−AKT;ACRBP;血液型Tn抗原;CD164;CD20;CTHRC1;ErbB2;FATE1;HER2;HER3;GPNMB;ガレクチン8;HORMAD1;LYK5;MAGEA6;MAGEA8;MAGEA9;MAGEB18;MAGED2;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC1;MUC2;MelanA;黒色腫gp100;NYS48;PARP9;PATE;プロステイン;PTEN;SDCCAG8;SEPT1;SLC45A2;TBC1D2;TRP1;XAGE1;および上皮由来の腫瘍関連抗原。
(項目12)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、AKTシグナル伝達経路のタンパク質である、項目1に記載の方法。
(項目13)
少なくとも1種類の前記AKTシグナル伝達経路のタンパク質が、4E−BP1、eIF−4E、AKT、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、ペリオスチン、およびPTENからなる群より選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、EGFシグナル伝達経路のタンパク質である、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも1種類のEGFシグナル伝達経路のタンパク質が、以下からなる群より選択される、項目14に記載の方法:EGF、EGFR、HER2、HER3、β−カテニン、グリコプロテイン130、PLCG1、Erbin、MUC1、Grb2、熱ショックタンパク質90kDa α(細胞質性)、メンバーA1、DLG4、PIK3R2、PICK1、およびSHC1。
(項目16)
前記2種類の癌関連タンパク質のうちの少なくとも1種類が、リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質である、項目12に記載の方法。
(項目17)
少なくとも1種類の前記リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質が、以下からなる群より選択される、項目16に記載の方法:リン酸化された4e−BP1(p−4E−BP1)、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、リン酸化されたAKT(pAKT)、およびリン酸化されたmTOR(p−mTOR)。
(項目18)
定量化する工程が:
a)前記癌関連タンパク質を組織切片からメンブレンを積み重ねたものに移動させること;
b)前記メンブレンを積み重ねたものを、前記メンブレン上の個々のエピトープの検出のための一次抗体でプローブすること;
c)蛍光二次抗体を用いて、前記メンブレン上の個々のエピトープに結合した前記一次抗体を検出すること;および、
d)前記蛍光二次抗体の強度を定量化すること
を含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
定量化する工程が、免疫組織化学、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション、「一次元」電気泳動ゲル、「二次元」電気泳動ゲル、質量分析法、組織マイクロアレイ、マルチ組織免疫ブロッティング、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記生体マーカーの指標が、前記第2の癌関連タンパク質の正規化した値で割った前記第1の癌関連タンパク質の正規化した値の比を含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記試料が、血液、血清、尿、または他の流体である生物学的試料を含む、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記試料が組織試料である、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記組織試料が、保管組織試料、凍結保存された組織試料、新鮮な組織試料、LCM組織試料、または組織マイクロアレイからなる群より選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
少なくとも2種類の癌関連タンパク質を含む生存に基づく癌の生体マーカーの指標であって、ここでは、前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質は、前記癌と関係がある細胞のシグナル伝達経路に由来する2種類のタンパク質であり、前記少なくとも2種類の癌関連タンパク質が、前記生存に基づく癌の生体マーカーの指標を得るために、(i)試料中の第1の癌関連タンパク質の含有量を計算すること;(ii)前記試料中の第2の癌関連タンパク質の含有量を計算すること;(iii)前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量により、前記第1の癌関連タンパク質の含有量を正規化すること;および(iv)前記生存に基づく癌の生体マーカーの指標を得るために、前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量により、前記第2の癌関連タンパク質の含有量を正規化することにより、使用される、生存に基づく癌の生体マーカーの指標。
(項目25)
前記生体マーカーの指標が、癌の相対的生存率を得るために使用される、項目25に記載の生体マーカーの指標。
(項目26)
固形腫瘍を有する被験体について、相対的な癌の予後または相対的生存率を決定する方法であって、:
(a)生体マーカーの指標を得る工程であって、前記生体マーカーの指標は、以下の工程を含む方法により得られる、工程:
(i)前記被験体から前記固形腫瘍試料を得る工程;
(ii)前記固形腫瘍試料から第1の癌関連タンパク質を抽出して、前記第1の癌関連タンパク質を含む画分を得る工程;
(iii)前記画分中の前記第1の癌関連タンパク質の含有量を計算する工程;
(iv)前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量に対して、前記第1の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程;
(v)前記固形腫瘍試料から第2の癌関連タンパク質を抽出する工程;
(vi)前記画分中の前記第2の癌関連タンパク質の含有量を計算する工程;
(vii)前記試料中の全細胞性タンパク質の含有量に対して、前記第2の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程;および
(viii)生体マーカーの指標を得るために、正規化した前記第1の癌関連タンパク質の含有量を、正規化した前記第2の癌関連タンパク質の含有量に対して相関させる工程;ならびに、
(b)前記生体マーカーの指標を、予後または相対的生存率と比較し、それにより、前記固形腫瘍を有する前記被験体について予後または癌の相対的生存率を決定する工程、
を含む、方法。
(項目27)
被験体において癌を検出するための方法であって:
(a)前記被験体由来の生物学的試料から第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルを決定する工程;
(b)前記生物学的試料由来の全細胞性タンパク質の含有量に対して、前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程;ならびに、
(c)前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルを、正常な対照試料中で測定した、細胞、組織、または体液中の前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質のレベルと比較する工程であって、ここでは、正常な対照被験体中で測定した前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質のレベルに対する、前記被験体中の前記第1の癌関連タンパク質および前記第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルの変化が、前記被験体における癌の存在と関係がある、工程
を含む、方法。
(項目28)
被験体において癌の存在を検出するための方法であって:
(a)前記被験体由来の試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルを計算する工程;
(b)前記試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルを、前記試料についての全細胞性タンパク質の含有量に対して正規化する工程;および
(c)対照の非癌性試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現の正規化した発現のレベルを比較する工程であって、ここで、正常な非癌性試料と比較した、前記被験体の試料中のp−AKTまたはp−mTORの発現のレベルにおける統計学的に有意な低下が、前記被験体における癌の存在の指標である、工程
を含む、方法。
(項目29)
腫瘍を有する被験体について、癌の相対的生存率を予測するための方法であって:
前記腫瘍中の腫瘍抗原に特異的な抗体の存在を検出する工程であって、ここで、前記腫瘍抗原は、p−AKTまたはpm−TOR、およびPTENを含む、工程;
正常な非癌性試料と比較して、前記腫瘍中の前記腫瘍抗原に対する抗体の発現レベルを正規化する工程、ならびに、
前記非癌性試料と比較した前記腫瘍抗原に対する抗体の低下した発現レベルを、前記腫瘍を有する前記被験体におけるより低い相対的生存率と相関させる工程
を含む、方法。
(項目30)
被験体において癌の存在を検出するための方法であって:
前記被験体由来の生物学的試料中で第1の癌関連タンパク質を検出する工程であって、ここで、前記第1の癌関連タンパク質は、PTEN、p−AKT、p−mTOR、p−MAPK、EGFR、HER2、HER3、またはこれらの2種類以上の組み合わせを含む、工程;
前記第1の癌関連タンパク質についてタンパク質発現レベルを計算する工程;および、
前記生物学的試料中で検出した前記第1の癌関連タンパク質についてのタンパク質発現レベルを、所定の統計学的に有意なカットオフ値に対して比較する工程であって、ここでは、非癌性試料に対して比較した前記生物学的試料中の前記第1の癌関連タンパク質のタンパク質発現レベルの変化が、前記被験体における癌の存在を示す、工程
を含む、方法。
(項目31)
試料中の癌関連タンパク質を検出するためのメンブレンアレイであって、前記アレイは複数のメンブレンを含み、ここでは、前記複数のメンブレンの各々が1種類以上の癌関連タンパク質に対する親和性を有する、メンブレンアレイ;および
前記メンブレンのうちの少なくとも1つの上に捕捉された前記癌関連タンパク質を検出するための検出体分子の容器
を含有するキットであって、ここでは、前記癌関連タンパク質が、固形腫瘍、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫からなる癌と関係があるタンパク質の群より選択される、キット。
(項目32)
前記癌関連タンパク質が、副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨の癌、脳腫瘍、乳癌、心臓肉腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胚細胞癌、婦人科学的な癌、頭頸部癌、肝芽腫、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、胃(消化器)癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍からなる癌の群より選択される、項目31に記載のキット。
(項目33)
前記固形腫瘍が癌腫である、項目31に記載のキット。
(項目34)
前記癌腫がEHCCである、項目33に記載のキット。
(項目35)
前記癌腫が、乳房、肺、前立腺、結腸、肝臓、胃、甲状腺、腎臓および胆管の癌腫からなる群より選択される、項目33に記載のキット。
(項目36)
前記検出体分子が、前記癌関連タンパク質の検出に特異的な抗体またはプローブを含み、前記抗体またはプローブが、以下からなる群より選択される、項目3に記載のキット:AKT;p−AKT;血液型Tn抗原、CA150;CA19−9;CA50;CAB39L;CD22;CD24;CD63;CD66a+CD66c+CD66d+CD66e;CTAG1B;CTAG2;癌胎児性抗原(CEA);EBAG9;EGFR;FLJ14868;FMNL1;GAGE1;GPA33;ガングリオシドOAcGD3;ヘパラナーゼ1;HER2;HER3;JAKMIP2;LRIG3;肺癌クラスター2;M2A腫瘍胎児抗原、MAGE1;MAGEA10;MAGEA11;MAGEA12;MAGEA2;MAGEA4;MAGEB1;MAGEB2;MAGEB3;MAGEB4;MAGEB6;MAGEC1;MAGEE1;MAGEH1;MAGEL2;MGEA5;MOKプロテインキナーゼ;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC16;MUC4;黒色腫関連抗原;メソテリン;ムチン5AC;神経芽細胞腫;OCIAD1;OIP5;卵巣癌関連抗原;PAGE4;PCNA;PRAME;プラスチンL;前立腺ムチン抗原(PMA);前立腺特異抗原(PSA);PTEN;RASD2;ROPN1;SART2;SART3;SBEM;SDCCAG10;SDCCAG8;SPANX;SPANXB1;SSX5;STEAP4;STK31;TAG72;TEM1;XAGE2;ウィルムス腫瘍タンパク質、α1−フェトプロテイン、および上皮起源の腫瘍抗原。
(項目37)
前記検出体分子が、前記癌関連タンパク質の検出に特異的な抗体またはプローブを含み、前記抗体またはプローブが、以下からなる群より選択される、項目31に記載のキット:5T4;AKT;p−AKT;ACRBP;血液型Tn抗原;CD164;CD20;CTHRC1;ErbB2;FATE1;HER2;HER3;GPNMB;ガレクチン8;HORMAD1;LYK5;MAGEA6;MAGEA8;MAGEA9;MAGEB18;MAGED2;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC1;MUC2;MelanA;黒色腫gp100;NYS48;PARP9;PATE;プロステイン;PTEN;SDCCAG8;SEPT1;SLC45A2;TBC1D2;TRP1;XAGE1;および上皮由来の腫瘍関連抗原。
(項目38)
前記検出体分子が、AKTシグナル伝達経路のタンパク質を含む癌関連タンパク質の検出のための抗体またはプローブを含む、項目31に記載のキット。
(項目39)
前記AKTシグナル伝達経路のタンパク質が、4E−BP1、eIF−4E、AKT、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、ペリオスチン、およびPTENからなる群より選択される、項目38に記載のキット。
(項目40)
前記AKTシグナル伝達経路のタンパク質が、リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質を含む、項目38に記載のキット。
(項目41)
前記リン酸化されたAKTシグナル伝達経路のタンパク質が、リン酸化された4E−BP1(p−4E−BP1)、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、リン酸化されたAKT(pAKT)、およびリン酸化されたmTOR(p−mTOR)からなる群より選択される、項目40に記載のキット。
(項目42)
疾患を有する被験体について、生存確率を決定する方法であって:
i)前記被験体由来の試料中で少なくとも2種類の疾患関連タンパク質を同定する工程;
ii)前記試料中の前記少なくとも2種類の疾患関連タンパク質を定量化する工程;
iii)前記試料中の各癌関連タンパク質について正規化した値を得るために、前記試料中の前記少なくとも2種類の疾患関連タンパク質を正規化する工程;
iv)生体マーカーの指標を得るために、第1の疾患関連タンパク質の正規化した値を、第2の疾患関連タンパク質の正規化した値と比較する工程;および
v)前記生体マーカーの指標を、前記疾患を有する前記被験体の生存確率と相関させる工程
を含む、方法。
上記および他の特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して、先行するいくつかの実施形態についての以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
(詳細な説明)
(I.省略形)
eIF4E:真核生物翻訳開始因子4E
AKT:プロテインキナーゼB
BIRC5:サバイビン(survivin)タンパク質
CEA:癌胎児性抗原
CK:pan−サイトケラチン
COX2:シクロオキシゲナーゼ−2
EGFR:上皮成長因子受容体
EHCC:肝外胆管癌
FFPE:ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した
HER:ヒト上皮成長因子受容体
HSP:熱ショックタンパク質
IC:免疫組織化学
LCM:レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション
MAPK:分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ
MTI:マルチ組織免疫ブロッティング
mTOR:哺乳類ラパマイシン標的
mTORC:哺乳類ラパマイシン標的複合体
p−AKT:リン酸化されたAKT
p−EGFR:リン酸化されたEGFR
PI3K:ホスファチジルイノシトール3キナーゼ
pMAPK:リン酸化された分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ
p−mTOR:リン酸化されたmTOR
PSA:前立腺特異抗原
PTEN:第10染色体上欠失ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(phosphatase and tensin homolog deleted on chromosome 10)
S6:リボソームプロテインキナーゼS6
TG2:トランスグルタミナーゼ2
TMA:組織マイクロアレイ(単数または複数) 。
(I.省略形)
eIF4E:真核生物翻訳開始因子4E
AKT:プロテインキナーゼB
BIRC5:サバイビン(survivin)タンパク質
CEA:癌胎児性抗原
CK:pan−サイトケラチン
COX2:シクロオキシゲナーゼ−2
EGFR:上皮成長因子受容体
EHCC:肝外胆管癌
FFPE:ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した
HER:ヒト上皮成長因子受容体
HSP:熱ショックタンパク質
IC:免疫組織化学
LCM:レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション
MAPK:分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ
MTI:マルチ組織免疫ブロッティング
mTOR:哺乳類ラパマイシン標的
mTORC:哺乳類ラパマイシン標的複合体
p−AKT:リン酸化されたAKT
p−EGFR:リン酸化されたEGFR
PI3K:ホスファチジルイノシトール3キナーゼ
pMAPK:リン酸化された分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ
p−mTOR:リン酸化されたmTOR
PSA:前立腺特異抗原
PTEN:第10染色体上欠失ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(phosphatase and tensin homolog deleted on chromosome 10)
S6:リボソームプロテインキナーゼS6
TG2:トランスグルタミナーゼ2
TMA:組織マイクロアレイ(単数または複数) 。
(II.用語の説明)
特に明記されない限りは、技術用語は、従来の使用法にしたがって使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes V,Oxford University Press出版,1994(ISBN 0−19−854287−9);Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.出版,1994(ISBN 0−632−02182−9);およびRobert
A.Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.出版,1995(ISBN 1−56081−569−8)の中に見ることができる。
特に明記されない限りは、技術用語は、従来の使用法にしたがって使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes V,Oxford University Press出版,1994(ISBN 0−19−854287−9);Kendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.出版,1994(ISBN 0−632−02182−9);およびRobert
A.Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.出版,1995(ISBN 1−56081−569−8)の中に見ることができる。
アレイ:分子、特に、生物学的マクロ分子(例えば、タンパク質もしくはポリペプチド)または生物学的試料(例えば、細胞もしくは組織切片)の、基体上または基体中のアドレス可能な位置での配置。アレイは、規則的(例えば、一定の行および列に配置される)である場合も、また不規則(例えば、組織切片)である場合もある。アレイ上のアドレス可能な位置の数は様々であり得、例えば、数個(例えば、2個)から50個より多く、100個、200個、500個、1000個、10,000個、またはより多くであり得る。「マイクロアレイ」は、評価または分析のための顕微鏡試験により必要とされるような、または顕微鏡試験により支援されるような、小型化されたアレイである。
1つのアレイの中で、個々の配置された試料(「フィーチャー(feature)」)は、その位置(location)を、そのアレイの少なくとも2つの寸法で、確実に、そして一貫して決定することができるという点で、アドレス可能である。したがって、秩序のあるアレイにおいては、そのアレイの中の各試料/フィーチャーの位置は、試料がアレイに加えられた時点でその試料に割り当てられ、そして各位置を適切な標的またはフィーチャーの位置と相互に関連づけるための鍵が提供され得る。多くの場合は、秩序のあるアレイは、対称な格子パターンで配置されるが、試料は、他のパターン(例えば、放射状に分布した線、渦巻線、または秩序のあるクラスター)に配置することができる。アドレス可能なアレイは、通常は、コンピューターを、アレイ上の特定のアドレスを、その位置にある試料についての情報(例えば、ハイブリダイゼーションまたは結合データ(例えば、シグナル強度を含む))と相互に関連づけるようにプログラムすることができるという点で、コンピューターで読み取り可能である。コンピューターで読み取り可能な形式のいくつかの例においては、アレイの中の個々のフィーチャーは、規則的に、例えば、Cartesian格子パターンで配置される。これは、コンピューターにより情報にアドレスするために相互に関連づけることができる。
アレイの中のフィーチャー(単数または複数)は、多くの様々な形状をとり得る。したがって、用語「スポット」が本明細書中で使用されるが、これは、一般的には、分子または細胞の局在化した配置をいい、丸い領域または実質的に丸い領域に限定されない。例えば、実質的に長方形、三角形、楕円形、不規則な、または別の形状の領域であり得るので、例えば、実質的に四角形のアプリケーション領域を、本明細書中に含まれるアレイとともに使用することができる。
特定の例としてのアレイにおいては、内部対照を提供するために、1つ以上のフィーチャーが、アレイ上に複数回存在するであろう(例えば、2回、しかしそれ以上もまた想定される)。
他の例においては、アレイは、試料中のフィーチャーの位置(例えば、組織切片中の目的のマーカーの位置)を複製するであろう。この場合、目的のアレイマーカーは、組織切片から、フィーチャーが評価される別の媒体(例えば、1枚のメンブレン(例えば、ニトロセルロースメンブレン))に移動させられるであろう。
結合または相互作用:2つの物質または分子間での会合。アレイは、このアレイの中での標識された分子(本明細書中では「プローブ」と呼ぶ)の固定化した標的分子とのハイブリダイゼーション/結合または他の相互作用を検出するために使用される。プローブは、プローブ(通常は、溶液または懸濁液中にある)のアレイ(またはアレイの薄い部分(slice))との、またはアレイ上での一定時間(通常は、5分以上、例えば、10分、20分、30分、60分、90分、120分以上)のインキュベーション後に、アレイを比較的低いストリンジェンシーの緩衝液で洗浄してもこれが除去されない程度に、検出可能な量のプローブが上記アレイのフィーチャーと会合する場合に、アレイ上のフィーチャーの中の標的分子に「結合する」。TMAを洗浄するための適切な緩衝液は、アレイのフィーチャーの構成要素に応じて様々であろう。したがって、核酸ハイブリダイゼーションシステムの洗浄に使用されるもの(例えば、高い塩濃度(例えば、3倍以上のクエン酸ナトリウム−食塩(SSC)緩衝液)、室温での洗浄)、タンパク質相互作用システムの洗浄に使用されるもの(例えば、100mMのKCl)などであり得る。
洗浄は、例えば、室温で行うことができるが、他の温度(高温または低温のいずれか)もまた使用することができる。プローブは、様々な程度に標的分子に結合するであろう。用語「結合する」には、比較的弱い相互作用と比較的強い相互作用の両方が含まれる。したがって、いくつかの結合は、プローブ分子を除去するために適している方法でアレイを洗浄した後も維持されるであろう。例えば、低塩濃度の緩衝液(例えば、約0.5×SSC〜約1.5×SSC)中では、55℃〜65℃での洗浄を核酸プローブについて使用することができ、また、高塩濃度の緩衝液(例えば、500mMまたは1000mMのKCl、Tween(登録商標)20を含むトリス緩衝化生理食塩水(TBST))をタンパク質プローブについて使用することができるなどである。
プローブと標的分子が核酸である場合は、プローブの標的に対する結合は、プローブの塩基配列と標的核酸の塩基配列との間での特異的相補性に関して議論することができる。プローブまたは標的のいずれかがタンパク質である場合は、結合の特異性と結合親和性を議論することができる。
用語「特定のプローブについてのアレイの結合の特徴」は、過剰量の(結合していないかまたは非特異的に結合した)プローブを洗い流した後に、プローブとアレイとの間で形成されている特異的結合パターン(および状況に応じて、特異的な相対的シグナル強度)をいう。このパターン(これには、ポジティブなシグナルを含まない場合があり、いくつかまたは全てのポジティブなシグナルを含む場合もあり、そしておそらく、強度が異なるシグナルを有するであろう)は、アレイのスポットまたは組織切片中の分子に対するプローブの結合親和性についての情報を伝え、そしてアレイの鍵(これは、アレイ表面上のスポットのアドレスを列挙するか、またはそのプローブの可能性のある結合パートナーを同定する)を参照して解読することができる。個々のフィーチャーによる結合シグナルの相対的強度が、多くの場合に、プローブと結合するかまたは相互作用する標的のアレイ上の特定のフィーチャーの相対的レベルの指標となる。アレイ/プローブの組み合わせの結合パターンの定量化(特定のプロービング条件下で)を、各スポットの相対密度の計算のためにコンピューター内にシグナル強度をスキャンすることを含むいくつかの既存の技術のいずれかを使用して行うことができる。
生体マーカーの指標:疾患が存在する可能性がある、疾患を発症する可能性があるなどの、分子生物学に基づく診断用および/または予後についての(prognostic)指標。本開示の実施形態においては、生体マーカーの指標は、疾患(例えば、癌)の発症、癌を有する被験体についてのそれに伴う生存率(もしくは、他の予後)についての、予後についての指標および/または診断用指標である。生体マーカーの指標は、試料中の少なくとも2種類の疾患/癌関連タンパク質の含有量/レベルを計算すること、そして上記試料中の全細胞性タンパク質の含有量と比較して2種類以上の関連タンパク質の含有量を正規化することにより決定される。状況に応じて、様々な実施形態において、生体マーカーの指標には、1種類のタンパク質のレベルの別のタンパク質のレベルに対する比(割合)、2種類のタンパク質の1種類のタンパク質に対するまたは1種類のタンパク質の2種類のタンパク質に対する比、2種類のタンパク質のレベルの和、またはタンパク質レベルの2つ以上の比の和、2種類(またはそれ以上)のタンパク質のレベルまたはタンパク質の比の間での差異、2種類以上のタンパク質のレベルまたはそれらの比の数学的結果(すなわち、互いに掛け算した結果)などが含まれる。
癌関連タンパク質:宿主において免疫応答を誘発する、腫瘍細胞中で産生される物質。本明細書中で使用される場合は、用語癌関連タンパク質は、腫瘍抗原と互換的に使用される。この物質は、物質の発現パターンおよび/または発現の位置に基づいて広く分類され得る。例えば、腫瘍特異的抗原は腫瘍細胞中にしか存在せず、正常な/健常な細胞中には見られない。腫瘍関連抗原は一部の腫瘍細胞上に存在し、また一部の正常な/健常な細胞上にも存在する。上記定義にはまた、用語「癌特異的マーカー」および「組織特異的マーカー」も含まれる。癌特異的マーカーは、特定の癌性組織の存在と関係がある。癌特異的マーカーの一例は、消化器系の腫瘍により産生されることが最初に明らかにされた、血液由来のタンパク質である癌胎児性抗原(CEA)である。組織特異的マーカーは、癌を発症した特異的な組織と関係がある。一般的に言うと、これらの物質は、腫瘍と特定の関係はなく、癌が存在しない場合にも高いレベルで存在する場合がある。癌特異的マーカーとは異なり、組織特異的マーカーの上昇したレベルは、その原因となっている特異的組織を指摘する。例えば、高く上昇したPSA(前立腺特異抗原)レベルは、多くの場合、前立腺癌の発症と関係がある。
凍結:用語「凍結」および「凍結した」は、これらが本明細書中で使用される場合は、切片とすることができるか、または薄片とすることができる十分な硬さ(剛性)の点までの、液体試料の固形化処理をいう。凍結は、通常、水の凍結温度で、または凍結温度未満で起こるが、試料に水以外の構成成分が含まれる場合は、「凍結」(固形化処理)点は、実質的には0℃と異なり得る。本開示のいくつかの実施形態においては、液体の生物学的試料(例えば、血清)は、試料を切片とする、薄片とする、染色する、そして評価することができるように、包埋用の化合物の中で凍結させられ得る。
蛍光色素分子:特定の光の波長への露光により励起させると、例えば、異なる波長で、光を放射する(すなわち、蛍光を発する)化合物。蛍光色素分子は、それらの発光プロファイルまたは「色」に関して記載することができる。緑色蛍光色素分子(例えば、Cy3、FITC、およびオレゴングリーン(Oregon Green))は、一般的には、515λ〜540λの範囲の波長でのそれらの発光を特徴とする。赤色蛍光色素分子(例えば、テキサスレッド(Texas Red)、Cy5、およびテトラメチルローダミン)は、一般的には、590λ〜690λの範囲の波長でのそれらの発光を特徴とする。
特異的な蛍光色素分子の例は、Nazarenkoらの米国特許第5,866,366号に提供されている。これには、例えば以下が含まれる:4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体(例えば、アクリジンおよびアクリジンイソチオシアネート)、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート(Lucifer Yellow VS);N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、ブリリアントイエロー、クマリンおよび誘導体(例えば、クマリン)、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(7−amino−4−trifluoromethylcouluarin)(Coumaran 151);シアノシン;4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI);5’,5’’−ジブロモピロガロール−スルホンフタレイン(5’,5’’−dibromopyrogallol−sulfonephthalein)(ブロモピロガロールレッド);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸;4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド);4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアナト(DABITC);エオシンおよび誘導体(例えば、エオシンおよびエオシンイソチオシアネート);エリスロシンおよび誘導体(例えば、エリスロシンBおよびエリスロシンイソチオシアネート);エチジウム;フルオレセインおよび誘導体(例えば、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、およびQFITC(XRITC);フルオレスカミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4−メチルウンベリフェロン;オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローザニリン;フェノールレッド;B−フィコエリスリン;o−フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体(例えば、ピレン、ピレンブチレート、およびスクシンイミジル1−ピレンブチレート);Reactive Red 4(Cibacron.RTM.ブリリアントレッド3B−A);ローダミンおよび誘導体(例えば、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、およびスルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド));N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸、およびテルビウムキレート誘導体。他の適している蛍光色素分子としては、GFP(緑色蛍光タンパク質)ならびにその変異体および誘導体、リサミン(商標)、ジエチルアミノクマリン、フルオレセインクロロトリアジニル、ナフトフルオレセイン、4,7−ジクロロローダミンおよびキサンテン、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。当業者に公知の他の蛍光色素分子もまた、本明細書中に記載する方法において使用され得る。
ハイスループットゲノミクスまたはプロテオミクス:多数の遺伝子またはタンパク質を迅速に同定するため、あるいは、それらの構造、発現、もしくは機能を、正常なもしくは異常な細胞または組織から区別するための、様々な技術(例えば、マイクロアレイまたは他のゲノム技術)を用いた遺伝的データ(例えば、遺伝子またはタンパク質)の応用。
単離された:「単離された」生物学的構成要素(例えば、核酸分子、タンパク質、または細胞小器官)は、上記構成要素が自然界に存在している生物の細胞の中の他の生物学的構成要素(すなわち、他の染色体DNAおよびRNAならびに染色体外DNAおよびRNA、タンパク質および細胞小器官)から、あるいは、(インビトロで合成される場合は)上記分子を生成させるために使用される反応混合物中の他の構成要素から、実質的に分離または精製されている。「単離され」ている核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法により精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語には、宿主細胞中で組み換え発現により調製された核酸およびタンパク質、ならびに化学合成された分子が含まれる。
標識:核酸またはタンパク質、例えば、プローブ分子に結合することができる、検出可能なマーカーまたはレポーター分子。典型的な標識としては、蛍光色素分子、放射性同位体、リガンド、化学発光剤、金属ゾルおよびコロイド、ならびに酵素が挙げられる。様々な目的のために有用な標識方法および標識の選択における指針は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and Wiley−Intersciences(1987)の中で議論されている。
悪性:異形成症、退形成、浸潤、および転移の性質を持つ細胞を記載する用語。
メンブレン:多孔性であるか、または別の方法で少なくとも部分的に生物学的分子を透過させることができる、天然または合成の材料の薄いシートを記載する用語。
新生組織形成(Neoplasia):良性および悪性の新生物を含む、細胞の異常な増殖。
プローブ:1種類以上の標的(例えば、生物学的マクロ分子または細胞)に結合し得るか、1種類以上の標的と相互作用し得る分子。プローブは、この用語が本明細書中で使用される場合は、整列させた標的(単数または複数)のプローブ分子との結合、活性、または相互作用の特徴を決定するために、TMA、MTI、LCM、あるいは他のアッセイをチャレンジする(challenge)(「プローブする」、「アッセイする」、「尋問する(interrogate)」、または「スクリーニングする」)ために使用される任意の分子であり得る。特異的な実施形態においては、プローブは、異なる分子のクラスおよび様々な分子のクラスに由来し得る。そのようなクラスは、例えば、核酸(例えば、一本鎖もしくは二本鎖のDNAまたはRNA)、オリゴペプチドまたはポリペプチド(例えば、タンパク質、例えば、抗体、複数のドメインもしくはサブドメインを含むタンパク質断片、および自然界に存在しているタンパク質の突然変異体または変異体)、あるいは、様々なタイプの他の可能性のあるポリペプチド結合分子である。このような他の分子は、本明細書中では一般的に、リガンド(例えば、薬物、毒素、毒(venoms)、ホルモン、補因子、酵素反応の基質もしくは反応生成物またはそれらのアナログ、遷移状態アナログ、ミネラル、塩など)と呼ばれる。
用語プローブには、本明細書中で使用される場合は、アレイのフィーチャーの中で標的の活性を評価するために使用される、基質および/またはアッセイシステムも含まれる。したがって、TMA切片は、そのタンパク質の基質である(この基質には、本明細書中で議論される場合には、標識が含まれ得る)プローブ、または、標的タンパク質と相互作用して検出可能なシグナルを生じるレポーターシステムであるプローブを使用して、1つ以上のフィーチャーの中でタンパク質の活性についてアッセイすることができると考えられる。
通常は、TMAのプロ−ビングに使用されるプローブ分子は検出可能であるか、または検出可能な生成物を生じる。プローブは、それらの固有の特徴(例えば、免疫原性、色、蛍光)に基づいて検出することができるか、または単独で検出可能なタグもしくは標識で標識されることにより、検出できるようにすることができる。タグは、任意の認識できる特性(すなわち、例えば、形状、大きさ、色、光学密度などを、顕微鏡によって区別することができる;光の様々な吸収および放射;化学反応性;磁気的にまたは電子的にコードされる)であり得るか、あるいは、いくつかの他の方法で検出可能であり得る。タグの特異的な例は、プローブに結合する蛍光もしくは発光性分子、またはプローブ分子の合成の間もしくは合成後に付加することができる放射性単量体もしくは分子である。他のタグは、免疫原性配列(例えば、エピトープタグ)または既知の結合対の分子(例えば、ストレプトアビジン:ビオチンシステムのメンバー)であり得る。さらなるタグおよび検出システムが当業者に公知であり、開示する方法において使用することができる。
多くの実施形態においては、一度に1つのタイプのプローブ分子(例えば、1種類のタンパク質)が、アレイをアッセイするために使用されるであろうが、いくつかの実施形態においては、プローブの混合物(例えば、2種類のタンパク質または2種類の核酸分子の混合物)が使用されるであろう。そのような一緒にアプライされるプローブは、異なるタグで標識することができ、その結果、これらは、異なるシグナル(例えば、異なる波長を放射するか、または異なる大きさの2種類の金粒子を放射する2種類の蛍光色素分子)として同時に検出され得る。
特異的な実施形態においては、これらの一緒に利用されるプローブのうちの1つは、対照プローブ(または、プローブ標準物(probe standard))であろう。これは、アレイ上の1つ以上のスポットの中の既知の予想される配列にハイブリダイズするように設計される。
TMAのいくつかの提供される例、およびそれらをプローブする方法においては、プローブは、異種混合物(例えば、核酸分子またはタンパク質の異種混合物)である。例えば、プローブは、既知のタンパク質(例えば、既知の抗体または他のタンパク質)を含む、TMAをアッセイするためのプローブとして使用することができるタンパク質のプール(例えば、細胞試料由来のタンパク質調製物)であり得、アレイ上の1つの場所(locus)でのシグナルは、そのプールが、その場所にある標的と相互作用する1種類以上のタンパク質を含む(例えば、その場所にある標的抗体が親和性を持つ抗原を含む)ことの指標と解釈される。
プローブ標準物:アレイの分析において対照として使用されるプローブ分子。ポジティブなプローブ標準物としては、そのアレイ上の標的のうちの少なくとも1種類と相互作用することが知られている任意のプローブが挙げられる。ネガティブなプローブ標準物としては、そのアレイの少なくとも1つの標的と特異的に相互作用しないことが知られている任意のプローブが挙げられる。任意の1つのシステムにおいて使用され得るプローブ標準物としては、アレイをアッセイするために使用されるであろう試験プローブと同じクラスの分子が挙げられる。例えば、アレイが、そのアレイ中のポリペプチドとの1種類のタンパク質の相互作用を試験するために使用される場合は、プローブ標準物は、タンパク質またはオリゴペプチドもしくはポリペプチドであり得る。
TMA(例えば、フィーチャーの中に核酸またはタンパク質の混合物を含む特定のアレイ)のいくつかの例においては、対照プローブ配列が、いわゆる「ハウスキーピング」遺伝子とハイブリダイズするように設計され得る。例えば、ハウスキーピング遺伝子は、複数の細胞、組織、または条件において比較的一定の発現レベルを維持することが知られているかまたはそのように予想される(あるいは、ポジティブに発現されることが少なくとも知られている)遺伝子である。そのような「ハウスキーピング」遺伝子の多くは、当該分野で周知であり、特異的な例としては、ヒストン、β−アクチン、またはリボソームサブユニット(リボソームタンパク質をコードするmRNAまたはrRNAのいずれか)が挙げられる。ハウスキーピング遺伝子は、アレイの中で試験される試料が産生された、アッセイされる細胞のタイプ、または種もしくは界(Kingdom)に特異的であり得る。
場合によっては、本明細書中に提供されるキットの特定の実施形態においてそうであるように、標識されていないプローブ標準物が供給されるであろう。そのような標識されていないプローブ標準物は、研究される試験プローブの標識効率を比較するための標準物として、標識反応に使用することができる。いくつかの実施形態においては、標識されたプローブ標準物は、キットの中に提供されるであろう。
プロービング:本明細書中で使用される場合は、用語「プロービング」は、プローブ分子がアレイ上に固定化された分子に結合する、ハイブリダイズする、または別の方法でアレイ上に固定化された分子と相互作用するかどうかを決定するために、アレイをプローブ分子(通常は溶液中にある)とともにインキュベートすることをいう。類義語としては、アレイを「尋問すること」、「チャレンジすること」、「スクリーニングすること」、および「アッセイすること」が挙げられる。したがって、TMAは、これがプローブ分子(例えば、標識されたかもしくは別の方法で検出できるポリペプチド、核酸分子、またはリガンド、あるいは、目的のフィーチャーに対応するポジティブな一本鎖の検出可能な核酸分子)とともにインキュベートされる場合には、「プローブされる」または「アッセイされる」または「チャレンジされる」と言われる。
タンパク質/ポリペプチド:遺伝子または他のコード核酸により発現される、アミノ酸からなる生物学的分子。より一般的には、ポリペプチドは、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)にかかわらず、通常は約50アミノ酸またはそれ以上の残基の長さの、任意の直鎖のアミノ酸である。
TMAの例には、アレイ基体(例えば、包埋用物質のブロック)の中のアドレス可能な位置に配置された複数のポリペプチド試料(標的)が含まれる。個々の位置にあるポリペプチドは、標的ポリペプチドまたは標的ポリペプチド試料と呼ぶことができる。
特定の実施形態においては、ポリペプチドは、実質的に自然なままの立体配置でアレイの中に置かれ、結果として、その場所の個々のポリペプチドの少なくとも一部は、自然なままの立体配置である。そのような自然なままの立体配置のポリペプチドは、自然界での分子内または分子間相互作用に近い方法で、アレイの切片の表面にアプライされる溶液中の分子に結合することができるか、またはそのような分子と相互作用することができる。したがって、溶液中の分子(例えば、プローブ)の、アレイ中に固定化された標的ポリペプチドに対する結合が、自然界での状況における(すなわち、細胞内での)そのような相互作用の可能性の指標となるであろう。いくつかの実施形態においては、組織マイクロアレイのフィーチャーの中のポリペプチドは機能を保持しており、したがって、活性についてアッセイすることができる。
TMAを使用する提供されるタンパク質分析システムの利点の1つは、ブロックもしくは組織切片の調製の際に、凍結点またはそれ未満に試料(特に、タンパク質試料)を維持することである。さらに、基体としてのTMAの別の利点は、ブロックまたは切片(例えば、ホルマリンで固定され、パラフィンに包埋された組織)を、フィーチャーについて分析できること、および上記フィーチャーを、上記ブロックまたは切片の直接の複製物として定量化できることである。上記切片の組織形態学的構造を保つことにより、TMAは、直接比較することができるか、または病理学により確認することができる。
タンパク質精製:本開示で使用するポリペプチドは、当該分野で公知の任意の手段により精製することができる。例えば、Guide to Protein Purification,Deutscher編,Meth.Enzymol.185,Academic Press,San Diego,1990;およびScopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer Verlag,New York,1982を参照のこと。
プロテオミクス:所定の細胞または組織についてタンパク質プロファイルをもたらす、タンパク質レベルでの遺伝子発現の全体的な全細胞分析。別々に処理された(または、別の意味で、例えば、遺伝的に異なる)細胞からの2つのタンパク質プロファイルの比較(プロテオーム)は、処置または条件(あるいは他の差異)がタンパク質発現および修飾に対して有する影響についての情報を提供する。サブプロテオミクスは、細胞の一部分(例えば、細胞小器官の部分またはタンパク質複合体)のタンパク質プロファイルの分析である。したがって、ミトコンドリアプロテオームは、特定の条件下でのミトコンドリアのタンパク質発現量のプロファイルである。プロテオーム分析は、ペプチドアレイおよびタンパク質アレイを用いて行われることが増えつつある。そのようなアレイは、Emili and Cagney(Nat.Biotech.18:393−397,2000)に概説されている。
精製された:この用語精製されたには、絶対的な純度は必要なく、むしろ、相対的な用語と意図される。したがって、例えば、精製された核酸調製物は、特定の核酸が、その核酸がその発生環境(generative environment)(例えば、細胞内、または生化学的反応チャンバー中)にあるよりも富化されている調製物である。実質的に純粋な核酸の調製物は精製することができ、その結果、所望される核酸が、この調製物の全核酸含有量の少なくとも50%を占める。特定の実施形態においては、実質的に純粋な核酸は、その調製物の全核酸含有量の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、またはそれ以上を占めるであろう。同様に、実質的に純粋なタンパク質の調製物は精製することができ、その結果、所望されるタンパク質が、その調製物の全タンパク質含有量の少なくとも50%を占める。特定の実施形態においては、実質的に純粋なタンパク質は、その調製物の全タンパク質含有量の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、またはそれ以上を占めるであろう。
ストリッピング(stripping):結合したプローブ分子は、別のプローブ相互作用分析に同じアレイを使用するために(例えば、特に、整列させた試料がタンパク質の混合物を含む場合には、整列させた試料中の異なるタンパク質のレベルを決定するために)、アレイ(例えば、タンパク質組織マイクロアレイ)から引き剥がすことができる。アレイから実質的に全ての第1のプローブ分子を除去し、このアレイの固定化された核酸混合物を有意に除去してしまうことのない任意のプロセスを、使用することができる。例にすぎないが、タンパク質アレイのストリッピングのための1つの方法は、ストリッピング緩衝液(例えば、1Mの(NH4)2SO4および1Mの尿素)中で、例えば、室温で約30分〜60分間、このタンパク質アレイを洗浄することによる。例にすぎないが、核酸を含有するアレイのストリッピングのための1つの方法は、ストリッピング緩衝液(例えば、0.1%のSDSを含む極めて塩濃度が低い緩衝液、または0.1%のSDSを含む塩を含まない緩衝液)の中で、例えば、およそ1時間、またはそれ以上、アレイを煮沸することによる。通常は、引き剥がされたアレイは、例えば、低ストリンジェンシーの洗浄緩衝液中で平衡化され、その後、別のプローブ分子とともにインキュベーションされるであろう。
試料:生物学的試料のような試料は、例えば、被験体から得られた試料である。本明細書中で使用される場合は、生物学的試料には、被験体における癌の検出に有用な全ての臨床的試料が含まれ、これには以下が含まれるが、これらに限定されない:細胞、組織、および体液(例えば、血液;血液の誘導体および画分(例えば、血清);生検されたかまたは外科手術により切除された組織(例えば、固定されていない、凍結させられた、ホルマリン中に固定された、および/またはパラフィンに包埋された組織を含む);スワブ;皮膚を擦り取ったもの(skin scrape);尿;唾液;脳脊髄液;前立腺液;膿;あるいは骨髄穿刺液。特定の例においては、試料には、ヒト被験体から得た固形腫瘍生検(例えば、EHCC生検)が含まれる。別の特定の例においては、試料には、例えば、組織切片の一部として収集されたか、または保管された一群の細胞が含まれる。
試料は、ヒトまたはヒト以外の動物に由来し得、さらには、インビトロで増殖させられた細胞株または異種移植片でもあり得る。
被験体:ヒトと獣医学の被験体(例えば、哺乳動物、鳥類、および霊長類)の両方を含む1つのグループである、生存している多細胞性の脊椎動物である生物。
標的:本明細書中で使用される場合は、分析用のTMA、TMI、LCM、もしくは他のプラットフォーム上に配置される個々の分子、細胞、組織切片、または混合物は、標的と呼ばれる。1つのアレイ上の標的は、1つから数千の異なる試料(例えば、細胞または組織タイプに由来し得る(より一般的には、複数の検体に由来する))。本明細書中に記載されるアレイおよび方法の特定の実施形態においては、アレイ上の標的フィーチャーには、分子が由来する出発(供給源)材料のレベルを比例的に反映する、分子の異種混合物が含まれる。このようなアレイは、アレイのフィーチャーの中の構成要素のレベルを比較により試験するために使用することができる。したがって、特異的な例においては、アレイのフィーチャーには、フィーチャーを作製するためにmRNAが抽出された出発試料(例えば、組織)中に存在する核酸に対して比例する量で存在する、mRNAまたはmRNA由来の分子(例えば、aRNA、cRNA、またはcDNA)が含まれる。同様に、いくつかのアレイには、出発材料(例えば、組織試料)中の異種混合物であるタンパク質のレベル(例えば、比例的なレベル)を反映する、タンパク質の異種混合物を含むフィーチャーが含まれるであろう。
一般的には、アレイ上の標的は、裸眼で(マクロアレイ)あるいは、機器(piece
of equipment)によるかもしくは顕微鏡の助けを借りてスキャンするかまたは読み取るか(マイクロアレイ)のいずれかにより、標的からのシグナルを、近くにある標的のシグナルから区別することができるという点で、分離している。
of equipment)によるかもしくは顕微鏡の助けを借りてスキャンするかまたは読み取るか(マイクロアレイ)のいずれかにより、標的からのシグナルを、近くにある標的のシグナルから区別することができるという点で、分離している。
組織マイクロアレイ(TMA):基体(例えば、包埋用の化合物)のブロックの中に配置された試料(例えば、生物学的試料)のアレイ。このロードされたブロックは、その後、生物学的試料(それぞれが、上記ブロック中の試料の一部を含む)の横断切片(cross−section)を得るために薄片とされる(切片とされる)。試料は、基体のブロックの中に「凍結」され、その結果、ロードされたブロックを切片とすることができ、そして、ロードされたブロックの中の試料の位置と相互に関連があるアドレス可能な位置に試料の一部を維持するであろう。TMAの例としては、タンパク質組織マイクロアレイ(ここでは、試料は、1種類以上の既知のまたは不明なタンパク質を含む)、および核酸組織マイクロアレイ(ここでは、試料は、1種類以上の既知のまたは不明な核酸を含む)が挙げられる。組織マイクロアレイのさらなる例は、本明細書中で議論される。
いくつかの実施形態においては、組織マイクロアレイは、ブロックのウェルに含まれる実質的に円柱状の(columnar)試料を含有するブロックとして構築される。一旦、1種類以上の試料がブロックのウェルにロードされると、これをスライスする(切片とする)ことができ、複数の同じまたは実質的に同じ個々のアレイを提供することができる。上記個々のアレイは、例えば、様々なプローブを用いるか、または様々な条件下での、フィーチャーの同じセットの並行分析に使用することができる。単一のブロックに由来する連続切片上に実質的に類似するフィーチャーの大きさおよび配置を維持するために、ブロック中のウェルを、切片を切り取る表面に対して垂直に形成することができる。しかし、アレイの他の立体配置も可能である。例えば、列は並行ではない場合があるが、互いの予測可能な関係において変化させることができ、その結果、各列が切片を横切る位置を予測することができる。
組織マイクロアレイの基体自体の形状は、原則的には、重要ではないが、これは少なくとも一方の側面が通常は実質的に平坦であり、一般的な形状は長方形または四角形であり得る。
他の実施形態においては、組織マイクロアレイは、生物学的試料(例えば、組織試料)を含むブロックとして構築される。ここでは、ブロックの中の生物学的試料は、複製用のメンブレンを積み重ねたものに移され、複製用のメンブレンを、標準的な免疫組織化学技術を使用してプローブすることができる。この場合は、ブロックは、ブロックの中のもとの生物学的試料との組織形態学的相互関係のレベルを提供する。
腫瘍:悪性または非悪性のいずれかであり得る新生物。「同じ組織タイプの腫瘍」は、特定の臓器(例えば、乳房、前立腺、膀胱、または肺)に由来する原発性腫瘍をいう。同じ組織タイプの腫瘍は、様々なサブタイプの腫瘍に分類することができる(典型的な例は気管支癌(肺腫瘍)であり、これは、腺癌、小細胞、扁平上皮細胞、または大細胞の腫瘍であり得る)。再発性腫瘍および転移性腫瘍もまた意図される。
腫瘍の分類:悪性腫瘍のTNM分類(TNM)は、被験体の体内の癌の程度を明らかにする、癌の病期分類システムである。Tは、腫瘍の大きさと、これが隣接する組織に浸潤しているかどうかを記載し、Nは、関与している限局性のリンパ節を記載し、そしてMは離れた部位の転移を記載する。TNMは、癌の広がりの程度を分類するための1つの広く認識されている基準についてのコンセンサスを得るために、International
Union Against Cancer(UICC)により開発され、維持されている。1987年に、UICCの病期分類システムとAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)の病期分類システムが、1つの病期分類システムに統一された。
Union Against Cancer(UICC)により開発され、維持されている。1987年に、UICCの病期分類システムとAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)の病期分類システムが、1つの病期分類システムに統一された。
経過観察療法(Watchful−Waiting)のプロトコール:経過観察療法のプロトコールは、疾患(例えば、前立腺癌)の処置のための成り行きを見守る臨床的アプローチである。被験体は、処置を行わなくても回復する(または悪化しない)可能性がある。症状が悪化した場合には、被験体の健康状態を管理する医師が、次に行うべきこと(例えば、根治的全前立腺摘除術)を決定するであろう。
特に明記されない限りは、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」、および「the」には、別途文脈が明確に示さない限りは、複数形の指示対象も含まれる。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味する。同様に、語句「または(or)」は、別途文脈が明確に示さない限りは、「および(and)」を含むように意図される。核酸あるいはポリペプチドについて提供される、全ての塩基の大きさまたはアミノ酸の大きさ、ならびに全ての分子量または分子の質量の値はおおよそであり、記述のために提供されることがさらに理解される。本明細書中に記載される方法および材料と同様または等価な方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、適している方法および材料が以下に記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。矛盾する場合は、用語の説明を含む本明細書が支配するであろう。加えて、材料、方法、および例は説明のためのものにすぎず、限定とは意図されない。
(III.比に基づく生体マーカーの概要とその使用方法)
一般的には、本明細書中に開示される方法には、少なくとも1種類の癌関連タンパク質の検出が必要である。他の実施形態においては、本明細書中に開示される方法には、少なくとも2種類、3種類、4種類、5種類、またはそれ以上の癌関連タンパク質の検出が必要である。特定の実施形態においては、癌関連タンパク質には、細胞シグナル伝達経路または成長因子経路のタンパク質、あるいは、別の癌に関連する分子(例えば、サイトケラチン、サイトケラチン(cytoskelatin)に関係があるタンパク質、または別のタンパク質の局在化に関係があるタンパク質(例えば、アダプターなど)が含まれ、これらも同様に、癌において有用性がある。いくつかの実施形態においては、これらの方法には、生物学的試料(例えば、組織切片または生検)中の少なくとも1種類の癌関連タンパク質の存在を検出する工程が含まれる。いくつかの実施形態においては、試料中の少なくとも1種類の癌関連タンパク質の存在の同定が、特定の治療レジュメが癌を有する被験体の相対的生存率を高める(およびより一般的には、予後を改善する)ための手段として優れているかどうかを決定する。
一般的には、本明細書中に開示される方法には、少なくとも1種類の癌関連タンパク質の検出が必要である。他の実施形態においては、本明細書中に開示される方法には、少なくとも2種類、3種類、4種類、5種類、またはそれ以上の癌関連タンパク質の検出が必要である。特定の実施形態においては、癌関連タンパク質には、細胞シグナル伝達経路または成長因子経路のタンパク質、あるいは、別の癌に関連する分子(例えば、サイトケラチン、サイトケラチン(cytoskelatin)に関係があるタンパク質、または別のタンパク質の局在化に関係があるタンパク質(例えば、アダプターなど)が含まれ、これらも同様に、癌において有用性がある。いくつかの実施形態においては、これらの方法には、生物学的試料(例えば、組織切片または生検)中の少なくとも1種類の癌関連タンパク質の存在を検出する工程が含まれる。いくつかの実施形態においては、試料中の少なくとも1種類の癌関連タンパク質の存在の同定が、特定の治療レジュメが癌を有する被験体の相対的生存率を高める(およびより一般的には、予後を改善する)ための手段として優れているかどうかを決定する。
さらなる実施形態においては、試料中の細胞シグナル伝達経路または成長因子経路と関係がある少なくとも1種類の癌関連タンパク質の存在の同定が、特定の治療レジュメが癌を有する被験体の予後または相対的生存率を高めるための手段として優れているかどうかを決定できる。したがって、本明細書中に開示される方法は、予防的処置が、癌を発症するリスクがある被験体に投与されるべきかどうか、または存在する病理学的構造の進行(例えば、早期の癌からより進行期の癌へ)を防ぐための処置が被験体に投与されるべきかどうかを決定するために使用することができる。本明細書中に開示される方法はまた、被験体において癌の診断を確認するためにも使用することができる。
癌を有する被験体について癌の生存確率を決定するための方法が本明細書中で提供される。具体的には、固形腫瘍(例えば、癌腫)を持つ被験体について相対的生存率を予測するための方法、ならびに、EHCCを持つ被験体について相対的生存率を予測するための方法が開示される。開示される方法はまた、被験体において癌(例えば、固形腫瘍(例えば、乳房、肺、前立腺、結腸、胃、肝臓、甲状腺、腎臓、胆管、および腎臓組織の癌腫)であるが、これらに限定されない)を検出するためにも使用することができる。特定の実施形態においては、本開示の方法は、被験体においてEHCCの存在を検出するために使用することができる。さらなる実施形態においては、本明細書中に開示される方法は、生物学的試料中で造血系の癌(例えば、リンパ腫、白血病、または多発性骨髄腫)の存在を検出するために使用することができる。別の実施形態においては、造血系の癌(例えば、リンパ腫、白血病、または多発性骨髄腫)を持つ被験体について相対的生存率を決定するための方法が、本明細書中で開示される。
別の実施形態においては、開示される方法はまた、癌(例えば、癌腫であるがこれに限定されない)を発症するリスクを決定するためにも使用することができる。この方法はまた、処置の前に癌を有する被験体を評価するための予後についてのツールとして、そして、癌を有する被験体の相対的生存率を高めることが期待される被験体について治療レジュメを決定するための手段としても、有用である。
1つの実施形態においては、上記方法は、リスクを決定することにおいてだけではなく、癌関連タンパク質の病理学的確認のためにも有用である。例えば、組織ブロックを試料の供給源として利用する実施形態においては、癌関連タンパク質の検出を、もとの組織ブロック試料中の組織形態学的構造と相互に関連づけることができる。本明細書中に開示される方法はまた、試験した生物学的試料のタンパク質発現プロファイルに基づいて、癌を検出するために、または癌を発症するリスクを決定するためにも使用することができる。
一般的な実施形態においては、上記方法には、被験体から試料を得る工程、試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質を同定する工程、2種類の癌関連タンパク質の含有量を定量化する工程;それぞれの癌関連タンパク質についての正規化した値を得るために、2種類の癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程、および生体マーカーの指標を得るために、第1の癌関連タンパク質の正規化した値を第2の癌関連タンパク質の正規化した値と比較する工程、ならびに、生体マーカーの指標を癌を有する被験体の生存確率と相関させる工程が含まれる。
別の実施形態においては、本開示は、少なくとも2種類の癌関連タンパク質を含む、生存性に基づく癌についての生体マーカーを同定する。ここでは、少なくとも2種類の癌関連タンパク質は、癌と関係がある細胞シグナル伝達経路に由来するタンパク質であり、上記2種類の癌関連タンパク質は、癌を有する被験体の相対的生存率を決定するために使用することができる生体マーカーの指標を得るために使用される。
さらなる実施形態においては、本出願は、被験体において癌の存在を決定する方法を開示する。上記方法には、一般的に、第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルを決定する工程、ならびに、癌の存在と相互に関連がある生体マーカーの指標を得るために、癌関連タンパク質の存在を正規化する工程が含まれる。
本明細書中に開示される方法には、癌関連タンパク質の存在を検出する必要がある被験体を選択する工程、およびこの被験体から癌関連タンパク質を含有する試料を得る工程が含まれる。例えば、癌(例えば、乳房、結腸、胃(消化器)、子宮頸、脳、頭頸部、前立腺、胆管、または肺の癌)を有すると疑われる被験体を選択することができる。別の例においては、癌の症状を示す被験体を選択することができる。さらなる例においては、被験体は、癌腫(例えば、胆管癌、EHCC、肺癌(例えば、非小細胞性肺癌;NSCLC)、および胃癌であるが、これらに限定されない)と診断された被験体であり得る。それに合うように本開示の方法を使用して、癌の別の病期へと進行する被験体のリスクを決定することができる。なお別の例においては、癌を有する被験体はまた、本明細書中に開示される方法を使用して、治療レジュメがその被験体について適切であるかどうかを決定するためにも評価され得る。予防的処置(例えば、経過観察療法のプロトコール)をとるべきかどうかを決定するための目的の被験体もまた、選択することができる。
一般的な実施形態においては、本開示は、癌を有する被験体について生存確率を決定する方法を提供する。特定の実施形態においては、上記方法は、全ての組織切片、組織マイクロアレイ、およびわずかな組織切片のアレイを使用して、固形腫瘍を有する被験体について生存確率を計算することに関する。別の実施形態においては、上記方法は、固化させた細胞試料(例えば、(例えば、包埋用の化合物中で)凍結させた白血病細胞)を使用して、被験体について生存確率を決定することに関する。
肺癌(例えば、非小細胞性肺癌)についての予測的な生体マーカーの同定もまた、本明細書中に記載される。生存に関するデータを利用できる肺癌患者のコホートを使用し、「旧式の」免疫組織化学と自動化された画像分析を応用して、目的の分析物の染色を反映する連続変数を得た。図8に説明するように、4種類の選択した個々の分析物(p−mTOR、p−Akt、p−MAPK、およびEGFR)は、「ポジティブ」または「ネガティブ」のバイナリー解析(binary analysis)に基づく統計学的に有意な生存に関する利点は示さない。図8Bでは、レシオメトリック(ratio−metric)アプローチを適用した。ここでは、分母となる分析物が、この経路の分子となる分析物の下流にある。P−mTOR/P−Akt比とp−MAPK/EGFR比はいずれも、カプラン・マイヤー分析により生存に関する差異を示す。驚くべきことに、単純な足し算により上記2つの比を組み合わせること(図8D)によって、なおさらに統計学的に有意な生体マーカーの指標が得られた。多変量解析を行った。このダブルレシオメトリック(double−ratio metric)([P−mTOR/P−Akt]+[p−MAPK/EGFR])は依然有意である。検体の第2のコホートについての予備データは、このメトリックがEGFR突然変異の状態と無関係であることを示唆する。
さらにこのアプローチをまとめて、本発明者は、詳細な臨床病理学的データを利用することができる946人の患者の極めて大きなコホートにおいて、胃(消化器)癌を試験した。ムチン遺伝子、p53、e−カドヘリン、β−カテニンなど(Her2およびHer3を含む)を含む多数のマーカーを検索し(interrogate)、これらを、さらに試験した。病理学者による「手動」での解釈は、不連続な定性的データを生じた(バイナリーではなく範囲値を有する)。ハザード比(HR)を用いた多変量解析においては、HER2の発現はネガティブな予後因子であり(HR 1.37)、HER3は、ポジティブな予後因子であった(HR 0.94)。様々な比に基づくメトリックを適用し、0.61のHRを明らかにした(これらのHRのそれぞれが統計学的に有意であり、1.0からの偏差が大きければ大きいほど、有意性は大きい)。
本明細書中に記載される代表的な生体マーカーは、構成要素である抗原のうちの1種類(または複数種)が増大するかまたは減少するという理由から、予測用/診断用/予後についてのものである。しかし、構成要素である抗原のうちの1種類または別のものが、他の抗原(単数または複数)の変化を伴わずに変化し得(増加または減少)、そしてデータが、生体マーカーが予測的であることをなおも反映するという点で、提供される生体マーカーは、構成要素である抗原の相対的な量が最も関係がある(および有意な)ものであることを説明する。HER2/HER3システムを用いて本明細書中で明らかに説明されるように、計算した生体マーカーにおける構成要素の平衡が重要である。この例においては、HER2の増加またはHER3の減少のいずれかが、同じ結果を持つ被験体の生物学的状態/疾患状態/予後を変化させる。したがって、構成要素である抗原の化学量論は、計算される生体マーカー、および生物学的結果に強い影響を及ぼす。このシステムは、1つの経路全体または経路の中を移動する流れとして見ることができる。この経路に複数の要素が存在すること、そしてまた、判断されるシグナル(生物学的効果)について経路全体に十分なシグナル伝達能力があることの両方が重要である。この経路に過剰に存在する1つのシグナルは、上記経路が全力で、または能力を超えている場合には、問題にならない場合がある。
本明細書中に提供される方法および他の実施形態は、様々な癌の状況において説明されるが、他の疾患および症状に適用できることが理解されるであろう。説明される癌のアプローチは、細胞/組織に基づく分析が実現可能である、任意の組織に基づく疾患に適用することができる。上記分析には、細胞ごとの分析は必要ないが、多くの実施形態においては、これは、組織内の1つの細胞タイプに適用される。非悪性(すなわち、癌につながらない)プロセスの測定の例としては、肝硬変、腎臓(糸球体または尿細管)の疾患、および当業者に認識されるであろう他のプロセスが挙げられる。
(IV.癌関連タンパク質)
癌関連タンパク質が、癌と関係していることが知られているタンパク質であるか、あるいは癌の特定のタイプもしくは形態と関係があることを(当該分野で知られているかまたは日常的に行われている方法により)決定することができるタンパク質であることが、本開示において意図される。例えば、卵巣組織試料中でのCA 125の高い発現レベル(アップレギュレーション)は、通常は、卵巣癌を発症する増大したリスクと関係がある。「癌特異的マーカー」または「組織特異的マーカー」は、多くの場合、癌の特定の形態、または癌の位置と関係があり、したがって、本明細書中で定義されるような癌関連タンパク質と見なされることは、当業者に明らかであろう。さらに、用語「腫瘍抗原」は、当該分野で公知であるように、正常な非癌性の細胞によっては通常は産生されない(したがって、関係がない)、腫瘍細胞により産生される物質(例えば、タンパク質)をいう。より離れた「関連」タンパク質もまた考慮され、これには、例えば、サイトケラチン、他の構造タンパク質、それと相互作用するタンパク質などが含まれる。本明細書中で説明されるような、比に基づくマーカーの成功は、通常発現されるタンパク質の異常な発現の検出である。
癌関連タンパク質が、癌と関係していることが知られているタンパク質であるか、あるいは癌の特定のタイプもしくは形態と関係があることを(当該分野で知られているかまたは日常的に行われている方法により)決定することができるタンパク質であることが、本開示において意図される。例えば、卵巣組織試料中でのCA 125の高い発現レベル(アップレギュレーション)は、通常は、卵巣癌を発症する増大したリスクと関係がある。「癌特異的マーカー」または「組織特異的マーカー」は、多くの場合、癌の特定の形態、または癌の位置と関係があり、したがって、本明細書中で定義されるような癌関連タンパク質と見なされることは、当業者に明らかであろう。さらに、用語「腫瘍抗原」は、当該分野で公知であるように、正常な非癌性の細胞によっては通常は産生されない(したがって、関係がない)、腫瘍細胞により産生される物質(例えば、タンパク質)をいう。より離れた「関連」タンパク質もまた考慮され、これには、例えば、サイトケラチン、他の構造タンパク質、それと相互作用するタンパク質などが含まれる。本明細書中で説明されるような、比に基づくマーカーの成功は、通常発現されるタンパク質の異常な発現の検出である。
本開示の別の例においては、これまでに癌に関して特性決定されていないタンパク質が、当該分野で公知であるかまたは開発された様々な技術により、癌の特異的なタイプまたは形態と関係があることが検出され得る。これらのタイプの癌関連タンパク質は、多くの場合、「腫瘍関連抗原」と呼ばれ、これには、癌の存在の結果として産生される、突然変異したタンパク質または異常なタンパク質が含まれる。本開示の別の実施形態においては、これまでに特性決定された細胞性タンパク質が、細胞シグナル伝達経路に直接(または間接的に)関与していることが明らかにされ得、これは順に、癌の発症もしくは進行を活性化するか、または癌の発症もしくは進行にポジティブな影響を与え(例えば、細胞の生存性、アポトーシス、および成長因子経路において見られるタンパク質(例えば、4E−BP1))、したがって、本明細書中で定義される癌関連タンパク質である。癌関連タンパク質の具体的な例は、以下でさらに詳細に議論される。
本開示の1つの実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質が同定され、相対的な含有量(タンパク質発現レベル)が比較されて、疾患の生体マーカーの指標が提供される。例えば、正常な乳房組織中でのHER2の過剰発現は、乳癌の発症についてのリスクファクターと考えられ得る。加えて、同じ乳房組織試料中での第2のタンパク質(例えば、アポトーシスの阻害と関係があるタンパク質であるサバイビン(BIRC5))のアップレギュレーションは、第1の癌関連タンパク質と組み合わせて、有意な累積的証拠を提供し得、試料中での制御されていない細胞増殖および悪性新生物の発生について上昇したリスクがあることを示す。本明細書中に開示される方法を使用した試料中の2種類以上の癌関連タンパク質の同定および定量化は、被験体において癌の存在を決定するために、さらには、癌を有する被験体の相対的生存率を決定するために使用することができる。
2種類以上の癌関連タンパク質は、例えば、タンパク質構造または機能により、互いに直接関係がある場合があり、また、直接関係がない場合もあることが、本明細書中に開示される方法により想定される。例えば、第1の癌関連タンパク質は、成長因子経路に由来するタンパク質であり得、第2の癌関連タンパク質は、栄養素の代謝に関連する遺伝子産物の発現と関係し得る。別の実施形態においては、上記2種類以上の癌関連タンパク質は、互いに直接関係があり得る。例えば、第1の癌関連タンパク質は、細胞シグナル伝達タンパク質(例えば、mTOR)の過剰発現と関係があり得、一方、第2の癌関連タンパク質は、同じ細胞シグナル伝達経路に由来するタンパク質(例えば、AKT)であり得る。さらなる実施形態においては、上記2種類以上の癌関連タンパク質は、互いに間接的に関係があり得る。例えば、第1の癌関連タンパク質は、細胞シグナル伝達タンパク質(例えば、AKT)であり得、一方、第2の癌関連タンパク質は、細胞増殖マーカー(例えば、Ki−67)である。
本開示の1つの実施形態においては、第1の癌関連タンパク質は、第2の癌関連タンパク質から離れた上流に存在する場合も、また、離れた下流に存在する場合もある。別の実施形態においては、第1の癌関連タンパク質は、第2の癌関連タンパク質のすぐ上流に存在する場合があり、また、すぐ下流に存在する場合もある。
別の例においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、タンパク質機能に関して関係があり得る。例えば、第1の癌関連タンパク質は、リン酸化された(活性化された)タンパク質の発現と関係があり得、一方、第2の癌関連タンパク質もまた、リン酸化されたタンパク質(例えば、pERK1/2)の発現と関係がある。
特定の実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、相互に関連していることが公知であるか、または当業者に公知の方法により決定することができるタンパク質である。例えば、特異的な実施形態においては、上記2種類以上の癌関連タンパク質は、同じ細胞シグナル伝達経路または成長因子経路において見られる。別の実施形態においては、上記2種類以上の癌関連タンパク質は、「クロストークする(cross−talk)」ことが公知であるか、または当業者によって決定され得る。本開示の目的のためには、用語「クロストーク」は、シグナルトランスダクションにおけるシグナル成分が、異なるシグナル伝達経路の間で共有され得る現象をいい、症状(例えば、ストレス)を誘導するシグナルに対する応答は、細胞、組織、または生物において多数の応答を活性化し得る。特異的な実施形態においては、用語「クロストーク」は、主なシグナルトランスダクション経路において活性化されたシグナル分子が、別の主なシグナルトランスダクション経路のシグナル伝達分子を調節し得るかまたはそれに影響を及ぼし得る機構をいう。
癌の発生と重なり得る多数の細胞性の経路が存在することは当業者に明らかであろう。例えば、2つのシグナル伝達経路の同時阻害により、実質的に増強された抗腫瘍効果が生じ得ることが知られている(Carracedoら、J.Clin.Invest.,2008;118 3065−3074)。具体的には、Carracedoらは、MAPKシグナル伝達経路の阻害が、前立腺癌および乳癌の両方についてのマウスモデルにおいて、mTORシグナル伝達経路の阻害の抗腫瘍効果を増強したことを示した。
本開示の一般的な実施形態においては、癌関連タンパク質には、腫瘍抗原または腫瘍関連抗原が含まれる。広範な実施形態において、癌関連タンパク質は固形腫瘍中に存在する。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質は、乳房、肺、前立腺、結腸、肝臓、甲状腺、腎臓、および胆管の癌腫からなる群より選択される癌腫の中に存在する。1つの実施形態においては、癌関連タンパク質は、以下からなるが、これらに限定されない癌の群において観察される:副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨の癌、脳腫瘍、乳癌、心臓肉腫、子宮頸癌(cervical cancer)、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胚細胞癌(germ cell cancer)、婦人科学的な癌(gynecologic cancer)、頭頸部癌、肝芽腫、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌;リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、小腸癌、胃癌(胃(stomach)(消化器(gastric))癌)、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍。別の実施形態においては、癌関連タンパク質は、血液由来の癌(例えば、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫)の中に存在する。
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質は、試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質を同定すること、試料中の上記少なくとも2種類の癌関連タンパク質を定量化すること、上記2種類の癌関連タンパク質の含有量を正規化すること、そして生体マーカーの指標を得るために、第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルを比較すること、ならびに、上記生体マーカーの指標を癌を有する被験体の生存確率と相関させることにより、癌を有する被験体について癌の生存確率を決定するために使用される。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質は、試料中の少なくとも2種類の癌関連タンパク質のレベルを決定すること、上記2種類の癌関連タンパク質の含有量を正規化すること、ならびに、被験体における癌の存在を同定するために、第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質の正規化したレベルを、正常な非癌性の被験体における第1の癌関連タンパク質および第2の癌関連タンパク質のレベルと比較することにより、被験体における癌の存在を検出するために使用される。1つの実施形態においては、癌関連タンパク質は、被験体において固形腫瘍(例えば、癌腫)の存在を検出するために使用され得る。さらなる実施形態においては、2種類の癌関連タンパク質が、被験体において癌腫(例えば、乳房、肺、前立腺、結腸、胃(stomach)(消化器(gastric))、卵巣、子宮頸、脳、皮膚、食道、胆管、および肝外胆管の癌腫(EHCC)からなる群より選択されるが、これらに限定されない癌腫)の存在を検出するために使用され得る。さらなる実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、EHCCの検出と直接関係がある。
別の実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、血液由来の癌の存在と相互に関連づけられる。さらなる実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫の検出に特異的である。特定の実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、被験体における白血病の同定または検出に特異的である。
1つの実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択される腫瘍抗原であるが、これらに限定されない:AKT;p−AKT;血液型Tn抗原、CA150;CA19−9;CA50;CAB39L;CD22;CD24;CD63;CD66a+CD66c+CD66d+CD66e;CTAG1B;CTAG2;癌胎児性抗原(CEA);EBAG9;EGFR;FLJ14868;FMNL1;GAGE1;GPA33;ガングリオシドOAcGD3;ヘパラナーゼ1;HER2;HER3;JAKMIP2;LRIG3;肺癌クラスター2(Lung Carcinoma Cluster 2);M2A腫瘍胎児抗原、MAGE1;MAGEA10;MAGEA11;MAGEA12;MAGEA2;MAGEA4;MAGEB1;MAGEB2;MAGEB3;MAGEB4;MAGEB6;MAGEC1;MAGEE1;MAGEH1;MAGEL2;MGEA5;MOKプロテインキナーゼ;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC16;MUC4;黒色腫関連抗原;メソテリン(mesothelin);ムチン5AC;神経芽細胞腫;OCIAD1;OIP5;卵巣癌関連抗原;PAGE4;PCNA;PRAME;プラスチンL;前立腺ムチン抗原(PMA);前立腺特異抗原(PSA);PTEN;RASD2;ROPN1;SART2;SART3;SBEM;SDCCAG10;SDCCAG8;SPANX;SPANXB1;SSX5;STEAP4;STK31;TAG72;TEM1;XAGE2;ウィルムス腫瘍タンパク質、α1−フェトプロテイン;および上皮起源の腫瘍抗原。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質は、5T4;AKT;p−AKT;ACRBP;血液型Tn抗原;CD164;CD20;CTHRC1;ErbB2;FATE1;HER2;HER3;GPNMB;ガレクチン8;HORMAD1;LYK5;MAGEA6;MAGEA8;MAGEA9;MAGEB18;MAGED2;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC1;MUC2;MelanA;黒色腫gp100;NYS48;PARP9;PATE;プロステイン(prostein);PTEN;SDCCAG8;SEPT1;SLC45A2;TBC1D2;TRP1;XAGE1;および上皮由来の腫瘍関連抗原からなる群より選択される腫瘍関連抗原であるが、これらに限定されない。
別の実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質に、PI3K、AKT、またはERK1/2シグナル伝達経路に由来する2種類以上のタンパク質が含まれる。特定の実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択されるが、これらに限定されない:4E−BP1、リン酸化された4e−BP1(p−4E−BP1)、eIF−4E、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、AKT、リン酸化されたAKT(pAKT)、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、リン酸化されたmTOR(p−mTOR)、ペリオスチン、およびPTEN。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質は、本明細書中で定義される場合は、腫瘍抗原または腫瘍関連抗原をいう。1つの実施形態においては、腫瘍抗原または腫瘍関連抗原は、乳房、肺、前立腺、結腸、卵巣、子宮頸、脳、皮膚、食道、胆管、および肝外胆管の癌腫からなる群より選択されるが、これらに限定されない癌腫の同定または検出に特異的である。特定の実施形態においては、癌関連タンパク質は、EHCCの検出または同定に特異的である。特異的な実施形態においては、癌関連タンパク質は、p−AKT、p−mTOR、p−MAPK、EGFR、Her2、Her3、またはPTENである。
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質に、細胞シグナル伝達経路または成長因子経路のタンパク質が含まれる。特定の実施形態においては、癌関連タンパク質は、当該分野で十分に実証されているように、PI3K、AKT、PTEN、ERK1/2、Wnt、およびTGF−βからなるが、これらに限定されないシグナル伝達経路の群より選択される。例えば、Strimpakosら、Cancer Treat Rev;2008年11月13日;またはKatoh and Katoh,Int J Mol Med.2008;14:4042−5を参照のこと。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質に、p53経路のタンパク質が含まれる。さらなる実施形態においては、p53経路の癌関連タンパク質は、53BP1、ALDH1l、BRCC45、BNIP3L、CDKN2A、DRAM、DBC1、DDB2、ING1、JAB、MDM2、OVCA1、PARC、PBK、PIG3、PRMT4、ならびに、p21、p53、p63、およびp73のタンパク質生成物が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態においては、癌関連タンパク質に、成長因子または成長因子受容体タンパク質が含まれる。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質は、ALK、EGFR、Erb 3、GCSF受容体、Kit(c)、PDGF受容体、Pan Trk、Raf 1、Ret、TIE、Trk A、Trk B、Trk C、VEGF受容体1、VEGF受容体2、VEGF受容体3、およびXmrkからなる群より選択されるが、これらに限定されない。
なお別の実施形態においては、癌関連タンパク質に、ACK1、EGF、EPS8;Erb 2、Erb 3、Erb 4、TMEFF2、およびXmrkからなる群より選択されるEGFタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質には、当該分野で周知であるように、FGF、PDGF、TGF、THF、またはVEGFタンパク質が含まれる(Caoら、J.Mol.Med;2008;(7)785−9;Katoh and Katoh,Clinical Cancer Research 2007;14:4042−5;Jiang and Hui,Developmental Cell 2008;6:801−12;およびAntonescu,Modern Pathology
2008;21:補遺2:S31−36)。
2008;21:補遺2:S31−36)。
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質はシグナルトランスデューサータンパク質である。さらなる実施形態においては、シグナルトランスデューサータンパク質は、A
RAF、ASPP1、axl、B Raf、CBLB、CD45R、ELMO、ERAS、FES、JAK1、JAK2、JAK3、JNK1、JNK2、KAT13A、NDRG1、PI3K、PIM、Ras(p21)、SRC1、Styk1、およびc Ablからなる群より選択されるが、これらに限定されない。
RAF、ASPP1、axl、B Raf、CBLB、CD45R、ELMO、ERAS、FES、JAK1、JAK2、JAK3、JNK1、JNK2、KAT13A、NDRG1、PI3K、PIM、Ras(p21)、SRC1、Styk1、およびc Ablからなる群より選択されるが、これらに限定されない。
すでに議論されたように、AKT、mTOR、MAPK、およびERK1/2のような、癌と関係がある多数の細胞シグナル伝達タンパク質には、完全に活性化させるためのリン酸化が必要である。したがって、癌関連タンパク質の機能的状態(すなわち、これが活性であるか、また不活性であるか)を検出するためには、リン酸化部位特異的抗体(phospho−specific antibody)を、試料中のリン酸化されたタンパク質を検出するために(すなわち、pAKT、p−mTOR、p−MAPK、またはpERK1/2の検出)使用することができる。リン酸化されたタンパク質の検出によるシグナル強度は、それぞれの検出されたリン酸化されたタンパク質についての強度の値を得るために定量化され得る。1つの実施形態においては、癌関連タンパク質に、リン酸化された癌関連タンパク質が含まれる。特定の実施形態においては、リン酸化された癌関連タンパク質は、pAKT、p−mTOR、p−4E−BP1、p−eIF−4E(真核生物翻訳開始因子4E)、pERK1/2、pHER2(ヒト上皮成長因子受容体)、p70S6K1(リン酸化されたリボソームタンパク質S6キナーゼ1)、リン酸化されたリボソームタンパク質S6(S6)、p−グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β、pMAPK、およびpEGFRからなる群より選択されるが、これらに限定されない。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質に、AKTシグナル伝達経路と関係があるタンパク質が含まれる。特定の実施形態においては、癌関連タンパク質はAKTシグナル伝達経路と関係があり、これには、4E−BP1、リン酸化された4e−BP1(p−4E−BP1)、eIF−4E、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、AKT、リン酸化されたAKT(pAKT)、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、リン酸化されたmTOR(p−mTOR)、ペリオスチン、およびPTENが含まれるが、これらに限定されない。
1つの実施形態においては、リン酸化された癌関連タンパク質は、pAKT抗体、p−mTOR抗体、p−4E−BP1抗体、p−eIF−4E抗体、pERK1/2抗体、p−グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β抗体、pMAPK抗体、およびpEGFR抗体を含むがこれらに限定されないリン酸化部位特異的抗体により検出される。
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質は、EGF、FGF、PDGF、TGF、TNF、およびVEGFからなる因子の群より選択されるが、これらに限定されない腫瘍抗原または腫瘍関連抗原である。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質に、細胞のアポトーシス経路に由来するタンパク質が含まれる。他の実施形態においては、癌関連タンパク質は、p53経路のタンパク質である。本出願が優先権を主張する(そして引用により本明細書中に組み入れられる)仮出願において示されたもとの図6A〜6Dは、本開示により想定されるEGF、AKT、p53、および細胞のアポトーシス経路の模式図であり、本明細書中に開示される方法により利用することができるいくつかの癌関連タンパク質を同定する。
特定の実施形態においては、癌関連タンパク質には、AKT、p−AKT、PTEN、PI3K、PIP2、PIP3、およびRasからなるタンパク質の群に由来するがこれらに限定されない癌関連タンパク質が含まれる。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質には、AKTのようなチロシンキナーゼ受容体が含まれる。
他の実施形態においては、癌関連タンパク質は、AKT、HER2、およびEGFRより選択される、シグナルトランスダクション経路から選択されるタンパク質である。
さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択される:スタスミン、総前立腺特異抗原(tPSA)、ヒトカリクレイン2(hk2)、1型インスリン様成長因子受容体、NF−κB、低酸素誘導因子−1、I型プロテインキナーゼA、血管内皮成長因子、5−リポキシゲナーゼ、12−リポキシゲナーゼ、1型アンギオテンシンII受容体、1型ブラジキニン受容体、インターロイキン−6、ras、MDM2、bcl−2/bclxL、ビタミンD受容体、エストロゲン受容体−β、およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)。
癌関連タンパク質の発現プロファイルは、被験体が処置に反応する程度をチェックするために使用され得る。例えば、癌関連タンパク質によるタンパク質発現レベルの低下または正常なタンパク質発現レベルへの回復は、癌が治療に反応していることを示し得る(ここでは、癌関連タンパク質の発現の低下は、癌についての低下した発生と関係がある)が、癌関連タンパク質のタンパク質発現の増大は、この被験体が処置に反応していないことを示し得る(ここでは、癌関連タンパク質の発現の増大は、癌についての増大した発生と関係がある)。処置が終了した後、癌関連タンパク質はまた、再発をチェックするためにも使用され得る。癌関連タンパク質が、処置が作用しているかどうか、または再発があるかどうかを決定するために使用される場合は、癌関連タンパク質のレベルが、上記レベルが一定状態にあるか、または上昇しつつあるかもしくは低下しつつあるかを見るために、一定時間にわたり測定され得る。これらの「連続測定」は、場合によっては、1回の測定よりも意味があり得る。したがって、癌関連タンパク質のレベルが、診断時に;治療前、治療の間、および治療後に;そしてその後、再発を定期的にモニターするために、チェックあるいはモニターされ得ることが、本開示において想定される。
現在知られていない多数の他の癌関連タンパク質が、過度の実験を行うことなく上記癌関連タンパク質のリストに当然組み入れられ得ることもまた、本開示により想定される。例えば、疑わしい癌関連タンパク質が、ヒトの癌細胞株について、実行可能であり得、臨床的に維持することができる濃度で、様々なシグナル調節因子の使用を通じて試験され得る。有望と思われる試験された癌関連タンパク質(特に、細胞シグナル伝達経路に関係しているもの)の抑制、逆戻り、または阻害が、その後、動物モデルにおいて試験され得、最後に、臨床環境で試験され得る。
いくつかの実施形態においては、癌関連タンパク質が、癌関連タンパク質の検出に特異的な抗体と、試料の残りから癌関連タンパク質を分離するための多孔性メンブレンとを使用して、試料中で検出される。他の実施形態においては、癌関連タンパク質が、試料(ホルマリン(formal)で固定し、パラフィンに包埋した組織ブロック、新鮮な凍結した組織生検、固化させた細胞、血清、または他の生物学的液体を含む)の中で検出される。本明細書中に開示される方法を使用して試験することができる試料のタイプの特異的な例は、以下で詳細に議論されるであろう。さらに、本明細書中で開示される方法により本出願の2種類以上の癌関連タンパク質を検出または同定するために使用することができるプローブあるいは検出体分子のタイプもまた、以下でさらに詳細に議論されるであろう。
(V.プローブ)
本開示の一般的な実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるプローブは、癌関連タンパク質の検出に特異的である。特定の実施形態においては、プローブは、癌関連タンパク質に対して親和性を持つ抗体である。さらなる実施形態においては、抗体は、固形腫瘍(例えば、癌腫)由来の癌関連タンパク質の検出に特異的である。
本開示の一般的な実施形態においては、本明細書中に開示される方法において使用されるプローブは、癌関連タンパク質の検出に特異的である。特定の実施形態においては、プローブは、癌関連タンパク質に対して親和性を持つ抗体である。さらなる実施形態においては、抗体は、固形腫瘍(例えば、癌腫)由来の癌関連タンパク質の検出に特異的である。
一般的な実施形態においては、プローブは、癌関連タンパク質の検出のための親和性を持つ抗体である。ここでは、上記癌関連タンパク質は、以下からなる癌の群より選択されるが、これらに限定されない:副腎腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨の癌、脳腫瘍、乳癌、心臓肉腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胚細胞癌、婦人科学的な癌、頭頸部癌、肝芽腫、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌;リンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、小腸癌、胃癌(胃(stomach)(消化器(gastric))癌)、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍。
1つの実施形態においては、プローブは、乳房、肺、前立腺、結腸、胃(stomach)(消化器(gastric))、卵巣、子宮頸、脳、皮膚、食道、胆管、およびEHCCからなる群より選択されるが、これらに限定されない癌腫と関係がある癌関連タンパク質の同定に特異的である。さらなる実施形態においては、プローブは、EHCC、肺癌、または胃癌と関係がある癌関連タンパク質の検出に特異的である。
別の実施形態においては、プローブは、血液由来の癌の癌関連タンパク質の同定に特異的である。さらなる実施形態においては、プローブは、白血病、多発性骨髄腫、またはリンパ腫の癌関連タンパク質の検出に特異的である。特定の実施形態においては、プローブは、白血病の癌関連タンパク質の検出に特異的である。
1つの実施形態においては、プローブは、個々の癌関連タンパク質の検出に特異的である。ここでは、個々の癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択される腫瘍抗原であるが、これらに限定されない:AKT;p−AKT;血液型Tn抗原、CA150;CA19−9;CA50;CAB39L;CD22;CD24;CD63;CD66a+CD66c+CD66d+CD66e;CTAG1B;CTAG2;癌胎児性抗原(CEA);EBAG9;EGFR;FLJ14868;FMNL1;GAGE1;GPA33;ガングリオシドOAcGD3;ヘパラナーゼ1;HER2;HER3;JAKMIP2;LRIG3;肺癌クラスター2;M2A腫瘍胎児抗原,MAGE1;MAGEA10;MAGEA11;MAGEA12;MAGEA2;MAGEA4;MAGEB1;MAGEB2;MAGEB3;MAGEB4;MAGEB6;MAGEC1;MAGEE1;MAGEH1;MAGEL2;MGEA5;MOKプロテインキナーゼ;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC16;MUC4;黒色腫関連抗原;メソテリン;ムチン5AC;神経芽細胞腫;OCIAD1;OIP5;卵巣癌関連抗原;PAGE4;PCNA;PRAME;プラスチンL;前立腺ムチン抗原(PMA);前立腺特異抗原(PSA);PTEN;RASD2;ROPN1;SART2;SART3;SBEM;SDCCAG10;SDCCAG8;SPANX;SPANXB1;SSX5;STEAP4;STK31;TAG72;TEM1;XAGE2;ウィルムス腫瘍タンパク質、α1−フェトプロテイン;および上皮起源の腫瘍抗原。
別の実施形態においては、プローブは、個々の癌関連タンパク質の検出に特異的である。ここでは、個々の癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択される腫瘍関連抗原であるが、これらに限定されない:5T4;AKT;p−AKT;ACRBP;血液型Tn抗原;CD164;CD20;CTHRC1;ErbB2;FATE1;HER2;HER3;GPNMB;ガレクチン8;HORMAD1;LYK5;MAGEA6;MAGEA8;MAGEA9;MAGEB18;MAGED2;MAPK;p−MAPK;mTOR;p−mTOR;MUC1;MUC2;MelanA;黒色腫gp100;NYS48;PARP9;PATE;プロステイン;PTEN;SDCCAG8;SEPT1;SLC45A2;TBC1D2;TRP1;XAGE1;および上皮由来の腫瘍関連抗原。
別の実施形態においては、プローブは、癌関連タンパク質の検出に特異的である。ここでは、癌関連タンパク質は、PI3K、AKT、またはERK1/2シグナル伝達経路のタンパク質である。1つの実施形態においては、プローブは、細胞シグナル伝達経路または成長因子経路に由来する癌関連タンパク質の同定に特異的である。特定の実施形態においては、プローブは、PI3K、AKT、PTEN、ERK1/2、Wnt、およびTGF−βからなる群より選択されるが、これらに限定されない、細胞シグナル伝達経路由来の癌関連タンパク質の同定に特異的である。
AKTシグナル伝達経路は、成長因子に反応してシグナル伝達経路において重要な役割を担うこと、ならびに、栄養素の代謝、細胞増殖、アポトーシス、および生存性を含むいくつかの細胞機能を調節するように作用することが知られている。AKTは、スーパープロテインキナーゼのはるかに大きな(AGC)ファミリーに属するセリン/スレオニンキナーゼである。AKTの脱調節は、癌を含むヒトの疾患と頻繁に関係している。全てのAGCファミリーのキナーゼについて、セリンおよびスレオニン残基のリン酸化が、これらのキナーゼの完全な活性化に不可欠である。本開示の特定の実施形態においては、プローブは、AKTシグナル伝達経路の癌関連タンパク質の検出に特異的な抗体である。したがって、上記プローブによる癌関連タンパク質の同定は、AKTシグナル伝達経路の癌関連タンパク質の活性化の指標として使用することができる。例えば、特定の実施形態においては、プローブは、リン酸化されたAKTの検出に特異的である。リン酸化されたAKTは、順に、活性化されたAKTの測定値である。AKTシグナル伝達経路の脱調節が疾患状態(例えば、癌)と関係があるので、活性化されたAKT癌関連タンパク質の検出は、癌性の疾患状態の指標であり得る。
特定の実施形態においては、プローブは、以下からなる群より選択されるが、これらに限定されない、癌関連タンパク質の検出および同定に特異的である:4E−BP1、リン酸化された4e−BP1(p−4E−BP1)、eIF−4E、リン酸化されたeIF−4E(p−eIF−4E)、AKT、リン酸化されたAKT(pAKT)、Erk1/2、Hsp27、Hsp90、Tcl1、Grb10、Ft1、Jip1、Posh、mTOR、リン酸化されたmTOR(p−mTOR)、ペリオスチン、およびPTEN。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用されるプローブは、腫瘍抗原抗体または腫瘍関連抗原抗体である。1つの実施形態においては、プローブは、癌腫(乳房、肺、前立腺、結腸、胃(stomach)(消化器(gastric))、卵巣、子宮頸、脳、皮膚、食道、胆管、および肝外胆管の癌腫を含むがこれらに限定されない)と関係がある腫瘍抗原または腫瘍関連抗原抗体である。特定の実施形態においては、プローブは、EHCCと関係がある腫瘍抗原または腫瘍関連抗原抗体である。特異的な実施形態においては、プローブは、AKT、p−AKT、MAPK、p−MAPK、EGFR、Her2、Her3、mTOR、p−mTOR、またはPTENの検出に特異的な抗体である。
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用されるプローブは、腫瘍抗原抗体であり、これには、以下が含まれるが、これらに限定されない:AKT抗体、p−AKT抗体、CA150抗体、CA19−9抗体、CA50抗体、CAB39L抗体、CD22抗体、CD24抗体、CD63抗体、CD66抗体;CTAG1B抗体、CTAG2抗体、癌胎児性抗原(CEA)抗体、EBAG9抗体、FLJ14868抗体、FMNL1抗体、GAGE1抗体、GPA33抗体、ガングリオシドOAcGD3抗体、ヘパラナーゼ1抗体、HER2抗体、HER3抗体、JAKMIP2抗体、LRIG3抗体、肺癌クラスター2抗体、MAGE1抗体、MAGEA10抗体、MAGEA11抗体、MAGEA12抗体、MAGEA2抗体、MAGEA4抗体、MAGEB1抗体、MAGEB2抗体、MAGEB3抗体、MAGEB4抗体、MAGEB6抗体、MAGEC1抗体、MAGEE1抗体、MAGEH1抗体、MAGEL2抗体、MAPK抗体、MGEA5抗体、MOKプロテインキナーゼ抗体、mTOR抗体、p−mTOR抗体、MUC16抗体、MUC4抗体、黒色腫関連抗原抗体、メソテリン抗体、ムチン5AC抗体、神経芽細胞腫抗体、OCIAD1抗体、OIP5抗体、卵巣癌関連抗原抗体、PAGE4抗体、PCNA抗体、PRAME抗体、プラスチンL抗体、前立腺ムチン抗原(PMA)抗体、前立腺特異抗原(PSA)抗体、RASD2抗体、ROPN1抗体、SART2抗体、SART3抗体、SBEM抗体、SDCCAG10抗体、SDCCAG8抗体、SPANX抗体、SPANXB1抗体、SSX5抗体、STEAP4抗体、STK31抗体、TAG72抗体、TEM1抗体、XAGE2抗体、α1−フェトプロテイン抗体、上皮起源の腫瘍抗原に対する抗体、または別の疾患/症状/癌に対する抗体。
別の実施形態においては、癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択されるが、これらに限定されない、腫瘍関連抗原である:5T4抗体、ACRBP抗体、CD164抗体、CD20抗体、CTHRC1抗体、ErbB2抗体、FATE1抗体、GPNMB抗体、ガレクチン8抗体、HORMAD1抗体、LYK5抗体、MAGEA6抗体、MAGEA8抗体、MAGEA9抗体、MAGEB18抗体、MAGED2抗体、MUC1抗体、MUC2抗体、MelanA抗体、黒色腫gp100抗体、NYS48抗体、PARP9抗体、PATE抗体、プロステイン抗体、SDCCAG8抗体、SEPT1抗体、SLC45A2抗体、TBC1D2抗体、TRP1抗体、XAGE1抗体、上皮由来の腫瘍関連抗原に対する工程、および本明細書中で言及されるかまたは当該分野で認識されている任意の他の(癌)抗原に対する抗体。
さらなる実施形態においては、本明細書中に開示される方法におけるプローブは、癌関連タンパク質に対して親和性を持つ抗体である。別の実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用されるプローブには、細胞シグナル伝達経路の抗体が含まれる。さらなる実施形態においては、プローブには、AKT細胞シグナル伝達経路の抗体(AKT抗体、phospho−AKT抗体(例えば、Phospho T308−AKTまたはPhospho−S473−AKTに特異的な抗体)、mTOR抗体、およびphospho−mTOR抗体を含むが、これらに限定されない)が含まれる。
別の実施形態においては、使用されるプローブは、PTEN細胞シグナル伝達経路の癌関連タンパク質(PTEN抗体およびTPTE抗体を含むが、これらに限定されない)の検出に特異的である。
なお別の実施形態においては、使用されるプローブは、Wnt細胞シグナル伝達経路の癌関連タンパク質(APC抗体、LEF1抗体、PTCH抗体、Sonic Hedgehog抗体、WISP2抗体;WNT2抗体;WNT2B抗体;WNT4抗体;Wnt1抗体;Wnt10a抗体;Wnt5a抗体;Wnt6抗体;およびWnt8a抗体を含むが、これらに限定されない)の検出に特異的な抗体である。
さらなる実施形態においては、使用されるプローブは、p53経路の癌関連タンパク質の検出に特異的である。さらなる実施形態においては、プローブは、以下を含むがこれらに限定されない、p53経路の抗体である:53BP1抗体、ALDH1l抗体、BRCC45抗体、BNIP3L抗体、CDKN2A抗体、DRAM抗体、DBC1抗体、DDB2抗体、ING1抗体、JAB抗体、MDM2抗体、OVCA1抗体、PARC抗体、PBK抗体、PIG3抗体、PRMT4抗体、p21抗体、p53抗体、p63抗体、およびp73抗体。
特定の実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するための本明細書中に記載される方法において使用される抗体には、成長因子経路に由来する成長因子または成長因子受容体抗体が含まれる。さらなる実施形態においては、抗体は、以下を含むがこれらに限定されない、成長因子受容体抗体である:ALK抗体、EGFR抗体、Erb3抗体、GCSF受容体抗体、Kit(c)抗体、PDGF受容体抗体、Pan Trk抗体、Raf1抗体、Ret抗体、TIE抗体、Trk A抗体、Trk B抗体、Trk C抗体、VEGF受容体1抗体、VEGF受容体2抗体、VEGF受容体3抗体、およびXmrk抗体。
なお別の実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用される抗体は、EGF抗体である。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用される抗体は、以下からなる群より選択されるが、これらに限定されない、EGF抗体である:ACK1抗体、EGF抗体、EPS8抗体;Erb2抗体、Erb3抗体、Erb4抗体、TMEFF2抗体、およびXmrk抗体。
一般的な実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するための本明細書中に開示される方法において使用される各プローブは、1種類の癌関連タンパク質の検出に特異的である。1つの実施形態においては、各プローブは、1種類の癌関連タンパク質に対して特異的な親和性を持つ抗体である。別の実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するための本明細書中に開示される方法において使用されるプローブは、シグナルトランスデューサー抗体である。さらなる実施形態においては、シグナルトランスデューサー抗体は、以下からなる群より選択されるが、これらに限定されない:A RAF抗体、ASPP1抗体、axl抗体、B Raf抗体、CBLB抗体;CD45R抗体、ELMO抗体、ERAS抗体、FES抗体、JAK1抗体、JAK2抗体、JAK3抗体、JNK1抗体、JNK2抗体、KAT13A抗体、NDRG1抗体、PI3K抗体、PIM抗体、Ras(p21)抗体,SRC1抗体、Styk1抗体、およびc Abl抗体。
すでに議論したように、AKT、mTOR、MAPK、およびERK1/2のような、癌と関係がある多数の細胞シグナル伝達タンパク質には、完全に活性化させるためのリン酸化が必要である。癌関連タンパク質の機能的状態(すなわち、これが活性であるか、不活性であるか)を検出するためには、リン酸化部位特異的抗体を、試料中のリン酸化された癌関連タンパク質を検出(すなわち、pAKT、p−mTOR、p−MAPK、またはpERK1/2の検出)するために使用することができる。リン酸化部位特異的抗体は、リン酸化された癌関連タンパク質に結合させるために、十分な時間の間、試料とともにインキュベートされる。試料は洗浄され、その後、当該分野で日常的に使用されているような検出可能な標識を含む二次抗体とともにインキュベートされ、これにより、試料中のリン酸化された癌関連タンパク質の検出が生じる。リン酸化された癌関連タンパク質の検出によるシグナル強度を、各検出されたリン酸化された癌関連タンパク質について強度の値を得るために定量化することができる。
1つの実施形態においては、本開示は、癌関連タンパク質の検出に特異的なプローブを検討する。ここでは、上記プローブは、活性化された癌関連タンパク質に特異的である。さらなる実施形態においては、上記活性化された癌関連タンパク質には、リン酸化された癌関連タンパク質が含まれる。特定の実施形態においては、上記プローブにより検出されるリン酸化された癌関連タンパク質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:pAKT、p−mTOR、p−4E−BP1、p−eIF−4E(真核生物翻訳開始因子4E)、pERK1/2、pHER2(ヒト上皮成長因子受容体)、p70S6K1(リン酸化されたリボソームタンパク質S6キナーゼ1)、リン酸化されたリボソームタンパク質S6(S6)、p−グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β、pMAPK、およびpEGFR。
1つの実施形態においては、リン酸化部位特異的抗体が、試料中の癌関連タンパク質を検出するために使用される。特定の実施形態においては、リン酸化された癌関連タンパク質は、以下を含むが、これらに限定されない、リン酸化部位特異的抗体により検出される:pAKT抗体、p−mTOR抗体、p−4E−BP1抗体、p−eIF−4E抗体、pERK1/2抗体、p−グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β抗体、pMAPK抗体、およびpEGFR抗体。
一般的な実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用されるプローブは、タグまたは検出可能な標識(例えば、ビオチン)を含有する二次抗体が、一次抗体に結合し、それにより、当該分野で一般的に知られているように、検出可能な標識またはタグを誘発できるようにする方法で、癌関連タンパク質に結合する。
(VI.正規化)
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質は、(癌)関連タンパク質に対して特異性を持つプローブを使用して、試料中で検出される。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用されるプローブは、抗体であり得る。癌関連タンパク質の機能的活性を検出する特定の実施形態においては、上記抗体は、リン酸化された(活性化された)癌関連タンパク質に対して特異性を持つリン酸化部位特異的抗体であり得る。例えば、抗体を使用して検出することができる他のタンパク質修飾も検討される。そのような修飾としては、メチル化、アセチル化、およびユビキチン化が挙げられる。例えば、(薬物に対する反応についての)アセチル化の有用性が理解されている(例えば、Chenら、Anal Chem.80(16):6390−6306,2008)。
1つの実施形態においては、癌関連タンパク質は、(癌)関連タンパク質に対して特異性を持つプローブを使用して、試料中で検出される。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質を検出するために使用されるプローブは、抗体であり得る。癌関連タンパク質の機能的活性を検出する特定の実施形態においては、上記抗体は、リン酸化された(活性化された)癌関連タンパク質に対して特異性を持つリン酸化部位特異的抗体であり得る。例えば、抗体を使用して検出することができる他のタンパク質修飾も検討される。そのような修飾としては、メチル化、アセチル化、およびユビキチン化が挙げられる。例えば、(薬物に対する反応についての)アセチル化の有用性が理解されている(例えば、Chenら、Anal Chem.80(16):6390−6306,2008)。
1つの例においては、癌関連タンパク質のメンブレンへの移動が必要な方法(例えば、TMA法)については、全細胞性タンパク質の含有量が、TMA中の各メンブレンについて、例えば、ビオチンとのインキュベーションにより測定される。ビオチニル化後、上記メンブレンは、検出される癌関連タンパク質に対する抗体とともにインキュベートされる。全ての一次抗体が一晩インキュベートされ、二次抗体(例えば、ストレプトアビジン結合Cy5、およびFITC結合抗ウサギIgGまたは抗マウスIgG)とともにインキュベートされる。上記メンブレン(またはブロット)は乾燥させられ、マウントされ、そしてスキャンされる。目的の領域が選択され、シグナル強度が定量化される。メンブレン上に存在する各癌関連タンパク質の発現レベルが、同じメンブレンの全細胞性タンパク質の含有量の強度に対して正規化される(本明細書中では、アレイ間正規化(inter−array normalization)と呼ばれる)。アレイ間正規化工程は、1つのセットの中のメンブレン間でのバックグラウンド変動を考慮し、排除する。これにより、1つのセットの中の各メンブレン上の各癌関連タンパク質についての含有量の正確な決定が可能となる。
さらなる随意的実施形態においては、2回目の正規化工程が行われる。第2の正規化工程においては、各個々の試料中で検出される各癌関連タンパク質が、個々の試験した試料間での変動を考慮して正規化される。例えば、各検出された癌関連タンパク質は、試料(例えば、正常な上皮または間質)の既知の変数の発現レベルに対して正規化される。1つの例においては、正常な上皮または間質についての強度のデータが蓄積され、1.00の値が与えられる。同じ試料中で検出された癌関連タンパク質が、正常な上皮に対して与えられた値に対して正規化され、これにより、同じ試料中で検出された癌関連タンパク質の発現の相対的増大または低下が得られる。第2の正規化プロセスは、試料の試験の間で起こる変動(例えば、人為的ミス(例えば、ローディングの差異、または2人の使用者に同じアッセイを行うように求める場合に起こる差異)が原因である差異)を考慮し、排除する。
別の例においては、各検出された癌関連タンパク質は、試料中の既知の「ハウスキーピング」タンパク質(例えば、アクチン)の発現レベルに対して正規化される。1つの例においては、アクチンについての強度のデータが蓄積され、1.00の値が与えられる。同じ試料中で検出された癌関連タンパク質が、アクチンに与えられた値に対して正規化され、これにより、同じ試料中で検出された上記癌関連タンパク質の発現の相対的増大または低下が得られ、試料間またはバッチ間での試験における変動が調整される。
上記で議論されたように、癌関連タンパク質により生じたシグナル(または強度)は、試料中でのバックグラウンド変動について正規化することができる。例えば、1つの実施形態においては、癌関連タンパク質のシグナルは、同じ試料中の既知の「ハウスキーピング」タンパク質に対して正規化される。多数のメンブレンが組織切片を取り囲むように積み重ねられ、それにより多数のメンブレン全体に癌関連タンパク質を移動させることができる実施形態においては、この正規化された手順は、1枚のメンブレンから次のメンブレンへなどのタンパク質の任意の非線形の移動を考慮する。
別の随意的実施形態においては、アレイ内正規化(intra−array normalization)が行われ得る。例えば、別々の(discreet)組織試料または試料の供給源を示す多数の試料について、癌関連タンパク質を検出するための独立した試験が行われ得る。例えば、正常な組織切片、進行期の疾患の組織切片、および疾患状態が不明である試料に由来する試料が同時に評価される。この例においては、3つの独立した試料が、各試料中で得られた不一致を考慮するために正規化され得る。1つの実施形態においては、各試料中に存在することが知られている「ハウスキーピング」タンパク質の発現の中央値が、1つ1つの試料を正規化するために使用されるなどである。
別の実施形態においては、各試料中で発現されることが知られているタンパク質(例えば、チューブリン)の発現の中央値を、1つ1つの試料を正規化するために使用することができる。
別の実施形態においては、1つの試料が多数のメンブレンに移動させられ得、このメンブレンを積み重ねたものが、多数の抗体でプローブされる。この場合、各抗体は、1種類の癌関連タンパク質に対して親和性を持つことが好ましい。例えば、1種類の抗体がPTENの検出に特異的であり得、別の抗体は、phospho−AKTの検出に、またはAKTの特異的なリン酸化された残基(例えば、Phospho T308−AKTまたはPhospho−S473−AKT)に特異的であり得、さらなる抗体は、phospho−mTORの検出に親和性を持ち得る。3種類の癌関連タンパク質(または、例えば本明細書中に記載されるものなどの他のもの)は、様々な性質(電荷または質量を含む)に基づいて上記メンブレンを積み重ねたものを通り抜けて移動し、上記積み重ねたものの中の異なるメンブレンに移動し得る(例えば、異なるメンブレンにより捕捉され得る)。この例においては、3種類の癌関連タンパク質は全て、上記積み重ねたものの中の異なるメンブレンに移動する。ここでは、各癌関連タンパク質は、各癌関連タンパク質に特異的な抗体により検出される。各メンブレン中で観察または検出された検出レベルが正規化され得て、各メンブレン中、および試料中で検出された各癌関連タンパク質について正規化された強度の値を得ることができる。したがって、本明細書中に開示される方法論により、試料中の1種類以上の癌関連タンパク質についてタンパク質の含有量、レベル、またはタンパク質発現の強度を正確に定量化することができる。この情報を使用して、発現レベルが、1つの試料についての複数のメンブレン間のバックグラウンド中の変動を考慮するために、標準物(例えば、そのメンブレン中の全細胞性タンパク質の含有量)に対して正規化され、最後に、さらなる正規化工程が、個々の試験試料間での変動を考慮するために使用され得る。この試験方法論に関係する不一致を考慮し、調整することにより、特異的な生体マーカーの指標を正確に同定し、したがって定義することができる。一般的には、本明細書中で定義される生体マーカーの指標は、内部標準物(例えば、ハウスキーピングタンパク質)または正規化工程(例えば、全細胞性タンパク質の含有量に対する癌関連タンパク質レベルの直接の比較)と組み合わせた、1種類以上の癌関連タンパク質の比に基づく決定であり、これが、癌の指標となる。
生体マーカーの指標には、少なくとも1種類以上の異なる癌関連タンパク質間での比が含まれる。場合によっては、生体マーカーの指標は、被験体において癌の存在を検出するために使用することができる。別の例においては、生体マーカーの指標は、癌を有する被験体についての相対的生存率の予測である。さらなる実施形態においては、上記生体マーカーの指標を、疾患の進行をモニターするために使用することができる。この場合、初期癌と診断された被験体は、特異的な癌関連タンパク質の検出のために定期的にモニターされ得、例えば、pAKTまたはp−mTOR(あるいは、p−mTOR、p−Akt、p−MAPK、EGFR、Her2、およびHer3の1種類以上)のレベルが、初期の生体マーカーの指標を定義するために、被験体において測定され得る。後の日付で、同じ個体が、生体マーカーの指標(試料中の全細胞含有量と比較した1種類の癌関連タンパク質の比)に変化があるかどうかを決定するために、同じ癌関連タンパク質について試験され得る。例えば、同じpAKTおよびp−mTOR癌関連タンパク質を測定した後の生体マーカーの指標のレベルの有意な低下が、癌の発症と解釈され得(ここでは、pAKTまたはp−mTORレベルの有意な低下が、癌についての増大したリスクと関係がある)、結果として、低下した生存性率と関係付けられ得る。上記の例においては、生体マーカーの指標に変化がないことは、患者が治療に十分に反応していないこと、および新しい処置レジュメを開始するべきであることを意味し得る。同様に、上記例を考慮すると、生体マーカーの指標の有意な増大は、被験体の処置が成功していると考えられ、継続されるべきであることを意味し得る。さらなる特異的な生体マーカー(さらに別の癌関連タンパク質を使用する)が本明細書中に記載される。
したがって、生体マーカーの指標は、上記生体マーカーの指標が、さらなる試験を行うことができる出発点を使用者に提供する、そして上記さらなる試験の結果を、予後または治療レジュメの調整を行うことができるように、1回目の結果と相互に関連づけることができるという理由から、様々な用途に広く適用可能である。生体マーカーの指標は、含まれる固有の正規化工程の理由から、上記生体マーカーの指標が、生体マーカーの指標の比を得るために使用される、個々のメンブレン、プローブされた特定のメンブレン、またはプローブのタイプの間に存在する不一致の影響を受けにくいことを意味する。生体マーカーの指標が、互いにより強く、またはより弱く相互に関連づけられる癌関連タンパク質を使用することにより、よりストリンジェントである場合も、またより弱くストリンジェントである場合もあることは、当業者に明らかであろう。例えば、AKT細胞シグナル伝達経路由来の癌関連タンパク質を使用して考案された生体マーカーの指標、およびAKT細胞シグナル伝達経路と関係がある癌と関連している2種類のタンパク質の選択は、強い生体マーカーの指標と考えられるであろう。別の実施形態においては、直接関連があることが現在は明らかになっていない2種類の癌関連タンパク質の選択もまた、観察される発現レベルおよび得られる生体マーカーの指標に応じて、強い生体マーカーの指標であることが見ることができる。
なお別の実施形態においては、メンブレンの各領域に由来する多数の等しい領域(例えば、円形または長方形の領域)(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはより多い)が定義され得、そして、各領域について蛍光の平均値が決定され、そして全領域に対して比較され得、それにより、各メンブレンについてのタンパク質発現が決定され、比較され得る。特異的抗体シグナルが、すでに議論したように計算され得、そして試料が、メンブレン中の全細胞性タンパク質含有量の発現レベルに基づいて正規化され得る。さらに、試料中の各領域の相対的発現強度を、正常な上皮または間質に対して正規化することができる。これにより、試料中で検出された癌関連タンパク質とバックグラウンドの発現の間で相対的比較を行うことが可能となる。
別の実施形態においては、一致しない臨床経過を持つ患者由来の組織切片の分析を、癌、被験体の癌の病期をうまく診断する、およびさらには、患者の生存性(例えば、外科手術後)を予測するために、相対的生存率に対して発現された癌関連タンパク質のレベルを相互に関連づけるために使用することができる、新規の予後についての(prognostic)癌関連タンパク質を同定するために使用することができる。
1つの実施形態においては、生存確率の決定は、試料の全細胞性タンパク質の含有量と組み合わせて1種類以上の癌関連タンパク質の統計分析を、行って、生体マーカーの指標を得ることにより行われる。別の実施形態においては、生存確率の決定は、生体マーカーの指標を得るために、試料の全細胞性タンパク質の含有量と組み合わせて1種類以上の癌関連タンパク質の単変量統計分析を行うことにより行われる。さらなる実施形態においては、生存確率の決定は、生体マーカーの指標を得るために、試料の全細胞性タンパク質の含有量と組み合わせて1種類以上の癌関連タンパク質の多変量統計分析を行うことにより行われる。いくつかの例においては、生体マーカーの指標は、試料中の1種類以上の癌関連タンパク質の正規化した発現に基づく相対的生存率の測定である。
なお別の実施形態においては、1種類以上の癌関連タンパク質の統計分析は、正常な(疾患ではない)試料または前癌状態から疾患の進行期への癌の進行をモニターするための1つの手段として行われ得る。ここでは、正常なまたは前癌状態の試料は、比較的高い生存率と相互に関連づけられ、そして統計学的に有意に悪い患者の生存率は、進行期の疾患の試料と関係づけられる。
1つの実施形態においては、生体マーカーの指標は、癌を有する被験体の予後を決定するため、それにより、様々な形態の処置に対する癌を有する被験体の反応性に基づいて患者の処置レジュメを階層化するために使用され得る。例えば、疾患についての処置を現在受けており、2種類以上の癌関連タンパク質の発現において統計学的に有意な低下を示す癌を有する被験体が、現在の処置の形態に反応していると結論づけられ得る(ここでは、2種類の癌関連タンパク質における統計学的に有意な低下が、低下したリスクと相互に関連がある)。同様に、処置を受けており、1種類以上の癌関連タンパク質において統計学的に有意な増大を示し続けている(ここでは、2種類の癌関連タンパク質の統計学的に有意な増大が、増大したリスクと相互に関連がある)癌を有する被験体は、現在の癌の処置レジュメに対してポジティブに反応することができていないと解釈され得る。
代表的な例においては、生存に関する分析情報の計算には、試料(症例)を、統計分析により研究する癌関連タンパク質の高い発現体または低い発現体として、カテゴリー分類することが含まれる。特異的な実施形態においては、正常な上皮、異形成症、および肝外胆管癌の症例におけるp−AKT、p−mTOR、および全PTENのディファレンシャルな発現が、発現の正規化後のAnnova and Duncan’s試験により比較され得る。他の特異的な実施形態においては、p−mTOR、p−Akt、p−MAPK、および/またはEGFRの発現が決定される。さらなる実施形態においては、カテゴリー変数間の関係が、ピアソンX2およびフィッシャーの正確検定を使用して試験され得る。さらに、ログランク統計試験と組み合わせた再帰的分割技術が、癌関連タンパク質の発現に基づいて患者の結果を区別するカットオフ点を同定するために利用され得る。なお別の実施形態においては、生存曲線が、カプラン・マイヤー法を使用して計算され得る。統計学的有意性は、例えば、ログランク試験とコックス比例ハザード回帰モデル(Cox proportional hazards regression model)により試験され得る。1つの実施形態においては、<0.20のP値が、統計学的に有意であると考えられる。別の実施形態においては、<0.10のP値が、統計学的に有意であると考えられる。さらなる実施形態においては、<0.05のP値が、統計学的に有意であると考えられる。
一般的な実施形態においては、癌を有する被験体についての生体マーカーの指標は、試料中の全細胞性タンパク質の含有量の決定と組み合わせて、1種類以上の癌関連タンパク質の比を決定することにより得ることができる。
1つの実施形態においては、癌を有する被験体についての生体マーカーの指標は、試料中のPTEN/p−AKTの比を決定することにより得ることができる。なお別の実施形態においては、癌を有する被験体についての生体マーカーの指標は、試料中のPTEN/p−mTORの比を決定することにより得ることができる。
別の実施形態においては、生体マーカーの指標は、癌腫(例えば、胆管癌)を持つ被験体に特異的である。さらなる実施形態においては、生体マーカーの指標は、EHCCと診断された被験体について、全細胞性タンパク質の含有量に対する1種類以上の癌関連タンパク質の比を決定することにより得られる。なおさらなる実施形態においては、生体マーカーの指標は、肺癌または胃癌、あるいは別の癌と診断された被験体について、全細胞性タンパク質の含有量に対する癌関連タンパク質の比を決定することにより得られる。
開示される方法の1つの利点は、これにより単一の組織切片から多数の抗原をアッセイすることが可能となることである。このアプローチは、組織の形態学的構造の保存と同時に、多数の癌関連タンパク質を定量化することが可能である。開示される方法のさらなる利点は、アレイ間およびアレイ内での試料の正確な評価および比較を可能にする正規化工程が組み込まれていることである。加えて、本明細書中に開示される方法は、標準的な免疫組織化学技術により、観察されたタンパク質発現プロフィールの確認が可能である。
本明細書中に記載される基本的なアプローチは、DAB染色された切片の画像分析により定量化された(通常は2つの)個々の生体マーカーの比を利用する免疫組織化学において機能する。このシステムは、構造についての、2つの比に基づく測定値の足し算に拡張されている:
(BM1/BM2)+(BM3/BM4)=予後についての生体マーカー 。
(BM1/BM2)+(BM3/BM4)=予後についての生体マーカー 。
提供される実施形態においては、任意の比に基づく生体マーカーが有用性を提供し、そしてこれら2つの組み合わせが、アドレスされる対象についてより大きな有用性を提供する。機能においては、BM2とBM4は、正規化用の生体マーカーと考えることができる。状況に応じて、分母は、関連するシグナル伝達経路にある分子の下流にある。
したがって、なお別の実施形態においては、癌を有する被験体についての生体マーカーの指標は、試料中のp−mTOR/p−Akt比およびp−MAPK/EGFR比を決定することにより得ることができる。状況に応じて、そして有益であるのは、これらの比の単純な足し算(したがって、[p−mTOR/p−Akt]+[p−MAPK/EGFR])により、なおさらに統計学的に有意な生体マーカーの指標が提供される。この足し算による生体マーカーの指標を得るために使用される2つの比(すなわち、p−mTOR/p−Aktとp−MAPK/EGFR)は、これら自体が統計学的に有意な予測的な比であることにもまた留意されたい。
例えば、胃癌においては、多変量解析をハザード比(HR)とともに使用して、正規化されたHER2の発現が、統計学的に有意なネガティブな予後因子であり(HR 1.37)、一方、正規化されたHER3の発現が、ポジティブな予後因子であること(HR 0.94)の発見もまた提供される。様々な比に基づくメトリックが応用され、0.61の統計学的に有意なHRが実証されている。この例においては、HER2とHER3は互いに上流/下流には存在しないが、機能的なヘテロ二量体を形成する。したがって、HER2の過剰(例えば、HER2過剰発現またはHER3の過少発現による)が予後不良のマーカーである場合(例えば、胃癌について)には、HER3に対するHER2の平衡が予測となる。機能的には、これは、分母となる分析物が分子となる分析物の下流にあるという関係性と類似している。
(VII.アッセイ方法)
1つの実施形態においては、本開示は、被験体における癌の存在を検出するために開示される方法(例えば、組織マイクロアレイ(TMA)またはマルチ組織免疫ブロッティング(MTI)アレイ)を実行するためのプラットフォームを作製し、これを使用する方法に関する。特定の実施形態は、固定され、(例えば、パラフィンの中に)包埋された(FFPE)保管組織試料(archival tissue sample)との組み合わせにおいて特に有用である。
1つの実施形態においては、本開示は、被験体における癌の存在を検出するために開示される方法(例えば、組織マイクロアレイ(TMA)またはマルチ組織免疫ブロッティング(MTI)アレイ)を実行するためのプラットフォームを作製し、これを使用する方法に関する。特定の実施形態は、固定され、(例えば、パラフィンの中に)包埋された(FFPE)保管組織試料(archival tissue sample)との組み合わせにおいて特に有用である。
代表的な例においては、上記方法には、組織切片または組織ブロックが配置される基体(例えば、包埋用化合物のようなゲル)を提供する工程、その後、試料を凍結し、保管する工程が含まれ得る。上記ブロックは、その後、複数の切片となるように切断され得、その結果、試料は、上記切片の中のアドレス可能な場所に存在する。ブロックまたは切片は脱パラフィンされ、前消化酵素(pre−digestion enzyme)で短時間処理される。組織ブロックまたは組織切片を含有するスライドは、プロテアーゼ阻害され、多数のメンブレンを積み重ねたもの(例えば、ニトロセルロースメンブレン)に移動させられる。各メンブレンは、目的の特異的タンパク質マーカー(例えば、癌関連タンパク質)に対する一次抗体とともにインキュベートされる。免疫検出後、全細胞性タンパク質が、メンブレン中に存在するタンパク質のビオチニル化により測定され、続いて、上記メンブレンが、二次プローブ(例えば、ストレプトアビジン−Cy5)とともにインキュベーションされる。試料中に存在するタンパク質の蛍光に基づく検出の後、シグナル強度が定量化され、そして目的の特異的タンパク質マーカーの含有量/全タンパク質含有量の比が得られる。この得られた比が、被験体の生存率を予測または決定するために使用される生存性についての生体マーカーの指標であり、このことから、この得られた比は、予後と相関させることもできる。同様に、ビオチニル化により検出された全タンパク質は、比を得るために使用され得る。
TMAに加えて、MTIおよび全組織切片、生物学的分子を検出しようとする他の試料(例えば、タンパク質または核酸の1−Dまたは2―D分離により得られたゲル)を、開示される方法にしたがって分析することができる。1つの例においては、TMA上の生物学的分子が、1つ以上のメンブレンに移動させられ、目的の生物学的分子(単数または複数)に対する特異的親和性を有している検出体分子(「プローブ」)(例えば、抗体、レクチン、またはDNAハイブリダイゼーションプローブ)を使用して視覚化され得る。
本明細書中に提供される特異的な実施形態には、直接層化発現スキャン技術(direct layered expression scanning technique)が含まれる。これは、いずれの特定の標的分子に対しても特異的ではない「ブランク」メンブレンを積み重ねたものを利用する。代わりに、オープン形式での広範囲の生物学的分子の検出の適応性を使用者にもたらすために、試料中の全ての(または、サブセット、例えば、タンパク質または核酸)生物学的分子が、そのようなメンブレンに対して至るところに結合する。
固体組織切片または組織生検を利用する特異的な例においては、基体が凍結点またはそれ未満に維持され、一方、試料は、試料ウェルの中に配置され、凍結させられることが好ましい。提供される方法のいくつかにおいては、試料が凍結させられる場合には、試料は基体に結合させられる。
試料または「ブランク」ブロックのいずれかがロードされたTMAもまた本明細書中で提供されるが、試料を含めるためのウェル(試料を含まないか、または不完全な試料のセットを含有する)が記載される方法を使用して作製され、個々の切片がこのような組織ブロックから切断される。
他の実施形態は、試料(例えば、生物学的試料(例えば、タンパク質、タンパク質の混合物、核酸、核酸の混合物、細胞、または生物学的液体)の並行分析の方法を提供する。これらの方法の例には、複数の(生物学的)試料を得る工程、およびレシピエントアレイ(例えば、ブランクTMA)中のアドレス可能な位置にそれぞれを配置して、ロードされたアレイを得る工程が含まれる。特に、アレイ上の1種類以上の試料の構成要素の機能の生物学的構造を保存することが有益である特異的な実施形態においては、レシピエントアレイは、凍結点またはそれ未満で維持され、一方、試料はアレイ中に配置される。切片は、ロードされたアレイ(試料が配置されたアレイ)から、(例えば、ミクロトームまたは他のデバイスを使用して)切断され得る。提供される方法のいくつかにおいては、各切片がアレイ中に配置された試料の複数の部分を含むような方法で、切片がアレイから切断され、切片はそれぞれが、それらの割り当てられた位置を維持する。提供されたTMAによる切片は、アレイ中の試料の1回以上の生物学的分析を行うために使用され得る。
提供される方法のいくつかにおいては、生物学的試料が、液体(例えば、懸濁液)としてレシピエントアレイに配置され、アレイに配置された後に凍結させられる。生物学的試料としては、被験体の癌の検出に有用な全ての臨床的試料が挙げられる。これには、以下が含まれるが、これらに限定されない:細胞、組織、および体液(例えば、血液);血液の誘導体および画分(例えば、血清);生検されたかまたは外科手術により切除された組織(例えば、固定されていない、凍結させられた、ホルマリン中に固定された、および/またはパラフィンに包埋された組織を含む);尿;唾液;脳脊髄液;前立腺液;膿;あるいは骨髄穿刺液。特定の例においては、試料には、ヒト被験体から得られた組織生検(例えば、固定された組織切片)が含まれる。別の特定の例においては、試料には、癌性であり、例えば、TMAによる操作に適している固体試料とするために包埋用物質(例えば、パラフィン)中で凍結させられる液体の生物学的試料に由来する細胞が含まれる。さらなる実施形態においては、上記方法には、保管された、目的の被験体から予め得られた組織切片を分析する工程が含まれる。
本明細書中で提供される場合は、レシピエントアレイ基体には、0℃で固化する包埋用化合物が含まれ得る。いくつかの実施形態においては、レシピエントアレイには、生物学的試料を受け止める複数のウェルが含まれる。そのようなウェルの例は、約2mm未満の直径を有している実質的に円形の断面を有する。
試料の並行分析のための特定の提供される方法の例においては、2種類以上の生物学的分析(例えば、免疫学的結合アッセイ、タンパク質結合アッセイ、活性アッセイ、増幅反応、または核酸ハイブリダイゼーション)が、ロードされたアレイ上の2つ以上の切片について行われる。そのような分析の結果は、様々な割り当てられた位置での様々な生物学的分析の結果との間に相関関係が存在するかどうかを決定するために、上記アレイ由来の様々な切片の対応する割り当てられた位置における2種類以上の生物学的分析について比較され得る。
様々な実施形態においては、TMAの切片について行われた様々な生物学的分析の結果が、疾患の診断または処置のための試薬を評価するため(例えば、抗体、遺伝子プローブ、およびアンチセンス分子の群より選択される試薬、または生物学的阻害剤、生物学的エンハンサー、または他の生物学的調節因子の群より選択される試薬を評価すること);癌についての予後マーカーを同定するため;非癌性疾患についての予後マーカーを同定するため;抗癌剤の開発のための標的を選択するため;抗癌剤の開発のために標的の優先順位を決めるため;被験体について治療を評価するかまたは選択するため;および/あるいは、医学的治療のための生化学的標的を見出すために使用される。
そのような分析のための特異的な例においては、癌の予後マーカーの同定、または非癌性疾患の予後マーカーの同定には、臨床結果の不良と関係があるマーカーを選択することが含まれる。
そのような分析のなお他の例においては、被験体についての治療の選択には、特定の生物学的分析の結果と関係がある抗新生物治療を選択することが含まれる。
TMAを分析する方法もまた提供される。この方法には、包埋用物質のブロック中のアドレス可能な中のアドレス可能な位置に、複数の長く引き伸ばした生物学的試料を提供すること(その結果、上記ブロックが凍結させられ、所定のアレイ切片になるように切断されると、生物学的試料の一部の二次元アレイが、アレイ切片のアドレス可能な位置に生物学的試料の各部分を持つ個々の切片の表面に提示され、ここでは、ブロックの中の各生物学的試料は、上記ブロックの連続切片が切断された場合に、生物学的試料が上記アレイ切片の中で予め決定された関係を維持するような三次元を有する);ならびに、アレイの1つ以上の生物学的試料と相互作用するプローブに対して、上記複数のアレイ切片を曝して、生物学的性質中で共有されるかまたは異なる生物学的試料を同定することが含まれる。
これらの方法のいくつかの例においては、共通する生物学的性質は、存在するかまたは存在しないか、あるいは、タンパク質または遺伝子の変化した発現レベル、タンパク質もしくは遺伝子のコピー数、構造、または機能の変化、遺伝子の場所、染色体領域または染色体のような分子的特徴である。いくつかの実施形態においては、共通する生物学的性質は、それぞれの試料が採取された被験体についての、試料の少なくとも1つの他の特徴(例えば、臨床的情報(臨床経過、腫瘍の病期、腫瘍遺伝子の状態、およびそれぞれの試料が採取された被験体の年齢の1つ以上)と相互に関連づけられる。
1つの実施形態においては、積み重ねられたかまたは層状の立体配置の薄いメンブレンに試料(例えば、組織切片、またはタンパク質もしくは核酸ゲル)がアプライされ(applied)、試薬と反応条件が、生物学的分子の少なくとも一部(例えば、タンパク質)が試料から溶出され、積み重ねられた複数のメンブレン上に移動するように、提供される。これにより、試料の生物学的分子の内容物の多数の実質的なレプリカが得られる。得られるロードされた(処理された)メンブレン(または層)が次に分離される。各メンブレンは、目的の特定の生物学的分子(例えば、タンパク質)に特異的な1種類以上の異なる検出体(例えば、抗体)とともにインキュベートされ得る。利用される検出体は標識されるか、または別の方法で、任意の様々な技術(例えば、化学発光)を使用して検出される。
タンパク質が検出される1つの例においては、各メンブレンは、本質的に、これに結合したタンパク質について同じパターンを有するが、アプライされる選択された特定の検出体(例えば、抗体)が原因で、各メンブレン上に異なるタンパク質の組み合わせが見れる(検出できる)ようにすることができる。例えば、1つのメンブレンの層は、プログラムされた細胞死(アポトーシス)に関与しているタンパク質を示し得るが、隣接する層は、細胞分裂に関与しているタンパク質(例えば、チロシンキナーゼ)を示し得る。
タンパク質に加えて、抗体の代わりに、検出体として標識されたDNAプローブを使用することにより、核酸が標的化され得る。さらに、様々なタイプの標的生物学的分子が、様々な層の中で検出され得る。例えば、タンパク質と核酸標的の両方が、アレイの様々な層にタンパク質特異的検出体(例えば、抗体)と核酸検出体(例えば、ハイブリダイゼーションプローブ)をアプライすることにより、並行して検出され得る。
本開示の特定の方法にしたがい、生物学的分子が移動させられる試料(例えば、組織切片またはゲル)が、メンブレンを積み重ねたものの表面と接触させて配置され、上記試料と積み重ねたものの両方(組み立てられた「接触移動スタック(contact transfer stack)」)が、プラスチックバックなどのような液体不浸透性の囲いの内側に配置される。特定の実施形態においては、試料は、実質的に液体不浸透性である支持体(例えば、ガラススライド)により支持される。これらの実施形態においては、上記メンブレンを積み重ねたものが、試料の他の面の上に配置される。他の実施形態においては、生物学的分子が移動させられる試料は、不浸透性支持体により支持されず、試料は、1つ以上のメンブレンが、試料の2つの面のそれぞれに隣接して配置されるように、メンブレンを積み重ねたもののメンバーの間に配置される。
液体転移試薬(liquid transfer reagent)もまた、囲いの中に存在する。タンパク質および他の分子が、試料からメンブレンを積み重ねたものに移動するように、熱および/または圧力が、囲いの内容物に(一方または両方の側面から)加えられる。これにより、組織試料の生物学的分子の内容物の多数のコピーまたはレプリカが生じる。その後、処理されたメンブレン(または層)が分離され、目的の特定の標的に特異的な1種類以上の異なるプローブ(例えば、核酸ハイブリダイゼーションプローブまたは抗体)とともにインキュベートされ得る。使用される上記プローブは標識されるか、または別の方法で、任意の様々な技術(例えば、化学発光)を使用して検出することができる。
各メンブレンは、それに結合した生物学的分子(タンパク質および/または核酸を含む)について本質的に同じパターンを有するが、アプライされる選択された特定のプローブまたは抗体が原因で、各メンブレン上にそのような生物学的分子の様々な組み合わせが見れるようにすることができる。例えば、1つのメンブレンの層は、疾患(例えば、乳癌)と関係があるタンパク質を検出するために使用され得るが、隣接する層は、正常な乳房上皮と関係があるタンパク質を検出することに使用され得る。別の実施形態においては、1つのメンブレンの層は、膵臓癌と関係があるタンパク質を検出するために使用され得るが、隣接する層は、甲状腺癌と関係があるタンパク質を検出することにおいて使用され得る。
1つの実施形態においては、開示される方法は、様々な保管組織試料(例えば、様々な疾患、疾患の結果、または治療に対する反応を持つ患者に由来する)中でのタンパク質発現パターンの並べての比較のために使用され得る。したがって、例えば、特定の薬物に対する患者の反応が、罹患した臓器由来の特異的なタンパク質発現パターンと相互に関連付けられ得、これは、患者が将来、その薬物により利益を享受するか、または損害を受けるかどうかを予測するための有用なツールを提供する。
別の実施形態においては、開示される方法は、疾患状態の組織(例えば、進行期の前立腺癌)の、正常な前立腺の組織切片との並べての比較のために使用され得る。したがって、例えば、正常な前立腺組織の発現プロファイルを、正常な前立腺の切片の発現プロファイルを、異形成症の切片または進行期の前立腺の切片と対比させることにより、被験体において前立腺疾患の進行をモニタリングするためのベースラインとして使用することができる。別の実施形態においては、正常な組織のタンパク質発現プロファイルを、疾患状態が明らかではない切片に対して正常な前立腺の切片中の目的のタンパク質発現プロファイルまたは核酸マーカーの発現を対比させることにより、試料中の前立腺癌を検出するための鋳型とすることができる。ここでは、新規の、もしくは有意に異なるタンパク質または核酸発現プロファイルの観察が、進行した疾患状態の指標となり得る。
特定の実施形態においては、進行した疾患の試料と正常な組織試料が、疾患状態が明らかではない試料に対して比較され得る。したがって、疾患状態が明らかではない試料の発現プロファイルを、罹患した試料および疾患を持たない試料の両方に対して比較して、明らかではない試料が遷移プロセスにあるかどうかを同定することができる。
提供される方法が、通常は、ホルマリンで固定され、パラフィンに包埋された保管組織をスクリーニングするために使用され得ることが有利である。提供される方法はまた、インサイチュで抗体を用いて検出することはできないが、タンパク質をメンブレン上に移動させた後に検出することができるタンパク質の試験にも使用され得る。さらに、提供される方法は、組織中の標的の定量分析(例えば、悪性細胞上の細胞表面受容体密度の定量化)が可能である。
本明細書中に提供される方法、デバイス、アレイ、およびキットを、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクションした試料とともに使用できる点が有益であり、これにより、前もってタンパク質または核酸を精製することなく組織の分子分析をすることができる。これらの実施形態は、バラバラにした細胞の間での空間的関係を保存し、異なるタイプの細胞を並行して処理し、分析できるように、同じ組織切片内の異なる細胞集団の二次元の関係を保つ。
このように、LCMにより収集した試料中の生物学的分子を検出するための方法が提供される。この方法は、マイクロダイセクションした試料から生物学的分子を溶出する工程、およびこれらを、層状または積み重ねた立体配置の中の1つ以上のメンブレンに結合させる工程、その後、メンブレン上の生物学的分子を視覚化する工程による。
このような方法の例においては、LCM転移膜(など)の中/上に包埋された細胞性の試料は、1つ以上のメンブレンを積み重ねたものに隣接して配置され、生物学的分子が細胞性の試料から溶出され、メンブレン(単数または複数)上に移動させられるような、試薬と反応条件が提供される。メンブレン上の生物学的分子が、その後、目的の生物学的分子(単数または複数)に特異的な親和性を有している検出体分子(例えば、抗体またはDNAプローブ)を使用して検出され、視覚化され得る。
電気泳動、クロマトグラフィー、または分画手段により分解された生物学的分子を同定し、分析するための方法もまた提供される。そのような方法の例は、少量のタンパク質を検出するために十分な感度があり、好ましくは、高価であり最新式の研究室用の機器の必要なく、ハイスループット様式で多数のタンパク質をなおも検出することができる。
したがって、本開示の方法の1つの態様にしたがって、ゲル上で電気泳動により分離された生物学的分子(例えば、タンパク質または核酸)が、ゲルから、メンブレンを積み重ねたものの上に移動させられる。特定の例においては、これらのメンブレンは、上記生物学的分子に対して高い親和性を持つが、低い能力を持つように、構築および/または化学的に処理される。これにより、ゲルの分子内容物の多数のレプリカを作製することが可能となる。移動後、メンブレンは分離され、それぞれが、1つの検出体または検出体の特有の混合物(「カクテル」とも呼ばれる)(例えば、タンパク質の特定のサブセットに特異的な抗体、核酸プローブなど)とともにインキュベートされる。したがって、各メンブレンは、本質的に、それに結合した生物学的分子について同じパターンを有するが、特定の層に対応するように選択された特定の検出体(または検出体のセット)が原因で、各メンブレン上に異なる組み合わせを見ることができるようにすることができる。特異的な例においては、検出体カクテルは、1つのカクテル中の2つの抗体が重複しているか、または隣接するタンパク質のスポットに結合することがないように、注意して考案された抗体のカクテルである。したがって、1つのメンブレン上で区別される互いに近すぎるタンパク質のスポットは、本明細書中の本発明の方法にしたがって、別のメンブレン上で検出される。
特定の開示される方法にしたがい、ゲル、組織、または他の支持体上で分離されたタンパク質(インサイチュでの合成、電気泳動、クロマトグラフィーなどのいずれかによる)が、ゲル/支持体からメンブレンを積み重ねたものの上に移動させられて、ゲル/支持体のタンパク質内容物の多数のレプリカまたはインプリント(imprint)を作製することができる。ゲルに関して、ウェルにロードされるタンパク質の量は、上記積み重ねたもの全体にタンパク質をより一様に、均一に分布させることができるように、通常ロードされる量よりも多い。
複数の抗体を、多くの翻訳後のタンパク質修飾(例えば、リン酸化)を検出するために使用できるので、開示される方法の特定の例を、タンパク質の機能ならびに構造を同定または分析するために使用することができる。例えば、リン酸化部位特異的抗体の使用を、試料中のリン酸化されたタンパク質の存在を検出するために、開示される方法において使用することができる。逆に、上記方法においてリン酸特異的結合を検出できないことは、試料中に存在するリン酸化されたタンパク質について感知できるほどのレベルがないと解釈され得る。2−Dゲルに加えて、記載される方法は、ゲルシフトアッセイにより分離された転写因子の同定のように、一次元ゲルに使用され得る。
詳細には、1つの特異的な実施形態は、生物学的試料のプロテオームを分析する方法である。そのような方法には、目的のタンパク質を、試料中に存在する別のタンパク質から分離する工程;分離したタンパク質の一部を、積み重ねた立体配置の複数のメンブレン(例えば、2枚、10枚、20枚、またはより多い)に移動させる工程;分離したタンパク質と、そのようなタンパク質に結合できるリガンドとの間での結合を可能にするために十分な条件下で、1種類以上の所定のリガンド分子(例えば、2種類、10種類、20種類、またはより多い)の存在下で、上記メンブレンのそれぞれをインキュベートする工程;ならびに、タンパク質と、任意の種の所定のリガンド分子との間での結合の発生を決定することによりプロテオームを分析する工程が含まれる。
別の実施形態は、2つ以上の試料のプロテオーム間で類似性の程度を分析するための方法である。そのような方法には、それぞれのそのような試料について、そのような試料の1種類のタンパク質を、試料中に存在する別のタンパク質から分離する工程;分離したタンパク質の一部を、積み重ねた立体配置の複数のメンブレン(例えば、2枚、10枚、20枚、またはより多い)に移動させる工程;2枚以上のそのようなメンブレンを、1種類以上の所定のリガンド分子(例えば、2種類、10種類、20種類、またはより多い)の存在下で、分離したタンパク質と、そのようなタンパク質に結合できるリガンドとの間での結合を可能にするために十分な条件下で、インキュベートする工程;ならびに、分離したタンパク質と任意の種の所定のリガンド分子との間での結合の発生について、それぞれのそのような試料の分離したタンパク質を、別のそのような試料の分離したタンパク質と比較することにより、プロテオーム間での類似性の程度を分析する工程が含まれる。
別の実施形態は、所望される所定のタンパク質を(生物学的試料中に存在する場合には)一意的に(uniquely)視覚化するための方法である。この方法には、試料中に存在する上記タンパク質を別のタンパク質から分離する工程;上記試料の分離したタンパク質の一部を、積み重ねた立体配置の複数のメンブレン(例えば、2枚、10枚、20枚、またはより多い)に移動させる工程;2つ以上のそのようなメンブレンを、1種類以上の所定の検出体/リガンド分子(例えば、2種類、10種類、20種類、またはより多い)の存在下で、所望される所定のタンパク質と、そのようなタンパク質に結合できるリガンドとの間での結合を可能にするために十分な条件下でインキュベートする工程;ならびに、上記タンパク質と任意の種の所定のリガンド分子との間での任意の結合を視覚化する工程が含まれる。
上記タンパク質の、試料中に存在する別のタンパク質からの分離が電気泳動(例えば、二次元(2−D)ゲル電気泳動)により行われる全てのそのような方法の実施形態もまた提供される。
さらなる実施形態には、試料が哺乳動物の細胞または組織から得られる、具体的には、ヒトの細胞または組織から得られる全てのそのような方法、ならびに、哺乳動物細胞または組織がヒトの細胞または組織であり、分離されたタンパク質がヒトの遺伝子の産物である実施形態が含まれる。
検出体/リガンド種が、任意の様々なタイプの分子であり得ることが考えられる。したがって、少なくとも1つの種の検出体/リガンドが、抗体、抗体断片、単鎖抗体、受容体タンパク質、可溶化された受容体誘導体、受容体リガンド、金属イオン、ウイルス、ウイルスタンパク質、酵素基質、毒素、毒素の候補、薬理作用のある物質、薬理作用のある物質の候補、ハイブリダイゼーションプローブ、オリゴヌクレオチド、および本明細書中で議論される他のものである、全てのそのような方法の実施形態もまた提供される。
他の実施形態には、検出体/リガンドのうちの少なくとも1種類の結合が、分離された生物学的分子(例えば、タンパク質または核酸)の構造に依存する、全てのそのような方法が含まれる。検出体/リガンドのうちの少なくとも1種類の結合が、分離された生物学的分子の機能に依存する(例えば、リン酸化されたタンパク質対リン酸化されていないタンパク質)全てのそのような方法の実施形態が、なおさらに提供される。
本開示はまた、少なくとも1つのメンブレンが1つより多くの種類のリガンドまたは検出体分子とともにインキュベートされる、全てのそのような方法も提供する。少なくとも2枚のメンブレンが利用される、少なくとも10枚のメンブレンが利用される、または少なくとも20枚のメンブレンが利用される全てのそのような方法の実施形態もまた提供される。
少なくとも2つのリガンド種または検出体分子が利用される、少なくとも10種が利用される、または少なくとも20種以上が利用される、全てのそのような方法の実施形態がさらに提供される。
さらなる実施形態は、ゲルから溶出されたタンパク質の多数のレプリカまたはインプリントの作製が可能となるように、タンパク質および/または他の生物学的分子に対して高い親和性を有するが、低い能力を有するメンブレンである。これらのメンブレンの例は、ブロッティングに通常使用されるメンブレンよりも実質的に薄い。これらのメンブレンは、状況に応じてフレームとともに(またはフレーム内に)提供され、その結果、これらを、積み重ねから分離する際に容易に取り扱い、操作することができる。フレームは、状況に応じて、隣接するメンブレンの間に捕捉された空気および流体を放出することができるように、チャンネルの輪郭を示す。取り除くことができるタブなどもまた、例えば、ゲルにアプライされる際に積み重ねたものをまとめて取り扱うことができるように、各フレーム上に提供され得る。
ロードされたメンブレンは、いくつかの市販されている科学用の画像化機器のうちの1つ(例えば、Image Quant)を使用してスキャンされ得るか、または別の方法でデジタル画像が撮影され得る。画像化機器およびソフトウェア(例えば、本明細書中に記載されるもの)が、試料(例えば、組織試料、またはゲルのような他の二次元の供給源)由来の発現パターンの観察、分析、および/または解釈を可能にするために使用され得る。ソフトウェアは、メンブレンの画像のそれぞれに対応している鋳型の画像とともに提供され得る。これにより、それぞれの定義された場所(例えば、2−Dゲル上のスポット、1−Dゲル上のバンド、または組織試料中の局在化した分子の蓄積)にある生物学的分子の実態を、その垂直および水平位置に基づいて確認することが可能となる。このソフトウェアはまた、定量的な読み出しが提供されるように、各場所の密度を計算することも可能である。このソフトウェアはまた、様々な罹患した試料と正常な試料との間で比較を行うことを可能にするために、他のゲルから作製された画像のデータベースに対するリンクをもまた有し得る。メンブレンのコンピューターによる分析に加えて、供給源である試料(例えば、実際の組織切片または他の実質的に二次元の供給源)あるいは実質的に類似する試料(例えば、隣接する組織のスライス)が、デジタル分析を確認または比較するために、従来技術(例えば、組織化学的技術)を用いて分析され得る。
別の実施形態においては、所望される予め決定されたタンパク質(例えば、癌関連タンパク質)を、(生物学的試料中に存在する場合には)一意的に視覚化するためのキットもまた提供される。そのようなキットには、複数のメンブレンが含まれ、メンブレンそれぞれが、少なくとも1種類の癌関連タンパク質と複数の検出体/リガンド種(例えば、抗体、抗体断片、単鎖抗体、受容体タンパク質、可溶化された受容体誘導体、受容体リガンド、金属イオン、ウイルス、ウイルスタンパク質、酵素基質、薬理作用のある物質、および薬理作用のある物質の候補のような種)に対して特異的親和性を有している。上記複数の検出体/リガンド種はそれぞれ、所望される癌関連タンパク質を(上記メンブレンに結合した場合には)検出するように適応させられている。特定の実施形態においては、上記メンブレンとしては、約30ミクロン未満の厚みを有している多孔性の物質が挙げられる。そのようなキットの特定の例には、ポリカーボネートメンブレン(特に、生物学的分子に対するメンブレンの親和性を増大させるための材料(例えば、ニトロセルロース、ポリ−L−リジン、またはそれらの混合物)でコーティングされたポリカーボネートメンブレン)であるメンブレンが含まれる。
通常は実質的に二次元である試料から1枚以上の薄いメンブレンに癌関連タンパク質を移動させるための多数の方法が、本明細書中で考えられる。いくつかの異なる移動方法が考えられ、これには、ウィッキング移動(wicking transfer)、接触移動(contact transfer)、ゲルによる移動、二方向の移動(bi−directional transfer)、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション試料による移動、およびマイクロアレイでの移動が含まれる。これらの形式のいくつかは、ウィッキング移動および/または接触移動が、組織またはゲルをベースとする試料のいずれからのタンパク質の移動にも使用できる点などで、重複する。明確に列挙されているわけではないが、記載される方法の全てのバリエーションおよび組み合わせが本明細書中に含まれる。特に、米国特許第6,969,615号および米国特許第6,951,761号に開示されている移動方法が、これらの全体の引用により本明細書中に組み入れられる。
さらに、試料からの癌関連タンパク質の移動が、定量化のためのメンブレンへの移動を通じて起こることは必要条件ではない。例えば、試料から1つの画分として目的の癌関連タンパク質(またはそれらをコードする核酸)を溶出する、実質的に精製する、または単離する高感度の方法もまた、癌関連タンパク質(または対応する核酸発現プロファイル)を評価および定量化するための技術として使用され得る。例えば、当業者が、試料から癌関連タンパク質を検出する、単離する、および実質的に精製するために、質量分析法と組み合わせてHPLCを使用できること、ならびに、同定された/検出された癌関連タンパク質を、癌の存在または特定の疾患状態(例えば、早期または進行期)の指標となる生体マーカーの指標を得るために使用できることが、本開示により期待される。
(VIII.試料のタイプ)
遊離させることができる生物学的分子を含む任意の二次元試料材料を、提供される移動プロセスにおいて生物学的分子の供給源として使用することができる。「二次元」によっては、この物質が実質的に平坦であり、比較的薄いか、またはそのように考案することができることが意味される。実質的に二次元の試料の代表的な例としては、組織試料(例えば、薄い切片スライス(例えば、保管されたかまたは凍結させられた組織試料)、組織アレイ、cDNAまたは他の核酸マイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、1−Dタンパク質ゲル、1−D核酸ゲル、2−Dタンパク質ゲルなどが挙げられる。
遊離させることができる生物学的分子を含む任意の二次元試料材料を、提供される移動プロセスにおいて生物学的分子の供給源として使用することができる。「二次元」によっては、この物質が実質的に平坦であり、比較的薄いか、またはそのように考案することができることが意味される。実質的に二次元の試料の代表的な例としては、組織試料(例えば、薄い切片スライス(例えば、保管されたかまたは凍結させられた組織試料)、組織アレイ、cDNAまたは他の核酸マイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、1−Dタンパク質ゲル、1−D核酸ゲル、2−Dタンパク質ゲルなどが挙げられる。
記載される移動方法、アレイ、およびデバイスが、生物学的材料(例えば、体液)を検出および研究するための法医学的手法において使用され得ることなどがさらに考えられる。実質的に平坦な、薄い形式で試料を提供するためには、物質は、液体または気体の中に懸濁され得、その後、1枚の濾紙のようなフィルターを通過させられ、状況に応じて上記フィルターに固定され、その後、上記フィルターが移動試料として使用される。一般的には、これらの試料は、それらの形式が、メンブレンを積み重ねたもの上への移動の前に、それらが実質的に二次元になるように変化させられるので、構造が転換された試料と呼ばれ得る。また修飾された単細胞試料/液体をベースとする細胞試料(例えば、白血病細胞試料)について、TMAまたは他のアプローチのための類似する組織を提示するための技術的に認識された方法もある。例えば、Hewitt,Methods Mol Biol.264:61−72,2004を参照のこと。
本明細書中で提供される実施形態は、体液(例えば、血液、血漿、血清、尿、胆液、脳脊髄液、水性もしくはガラス質の体液、または任意の分泌液)、浸出液、滲出液(例えば、膿瘍、または任意の他の感染もしくは炎症部位から得られた液体)、関節から得られた液体などを含む任意の生物学的試料中で、生物学的分子(例えば、タンパク質または核酸)を同定するために使用され得る。さらに、生物学的試料は、任意の臓器または組織(または剖検標本を含む)から得ることができるか、または複数の細胞を含み得る。
(IX.メンブレン)
検出および/または定量化のためのメンブレン(またはメンブレンのセット)への生物学的分子(例えば、タンパク質)の二次元移動に関して、多数のタイプのメンブレンが、所望される方法とともに使用されることが想定される。
検出および/または定量化のためのメンブレン(またはメンブレンのセット)への生物学的分子(例えば、タンパク質)の二次元移動に関して、多数のタイプのメンブレンが、所望される方法とともに使用されることが想定される。
特定の実施形態においては、メンブレンには、生物学的分子に対するメンブレンの親和性を非特異的に増大させる物質、またはメンブレン全体に移動させられる生物学的分子(例えば、タンパク質または核酸)のクラスが含まれる。例えば、上記メンブレンは、ニトロセルロース、ポリ−Lリジン、またはそれらの混合物の中に浸され得る、それらでコーティングされ得る、あるいは、それらが含浸させられ得る。
1つの実施形態においては、メンブレンは、生物学的分子を、積み重ねた複数のメンブレン(例えば、10枚、50枚、100枚、またはより多い)全体に移動させることができるように、十分に薄い。上記メンブレンは、メンブレン全体への生物学的分子の移動を実質的に妨げない材料(例えば、ポリカーボネート、セルロースアセテート、またはそれらの混合物)から作られ得る。
メンブレンの材質は、同じ生物学的分子が対応する位置にある複数のメンブレン全体に移動するように、生物学的分子がメンブレンを通り抜けるようにすることで生物学的分子の相対的関係を維持し得る。このような例においては、相対的関係により、様々なメンブレンを別のものに実質的に「コピーする」ことが可能である。
いくつかの実施形態においては、メンブレンは、メンブレンを積み重ねたものとして存在するであろう。このメンブレンを積み重ねたものには、少なくとも2枚、少なくとも5枚、少なくとも10枚、少なくとも20枚、少なくとも50枚、または、さらにそれ以上の個々のメンブレンが含まれるであろう。目的の生物学的分子を検出および/または定量化するためにメンブレンを利用する方法において使用される代表的なメンブレンとしては、タンパク質および/または他の生物学的分子に対して高い親和性を有するが、そのような分子を保持することについては低い能力を有するものが挙げられる。この結合プロファイルは、限られた数の生物学的分子だけがメンブレンを積み重ねたものを通り抜け、個々の連続する層上に捕捉されることを可能にし、これにより、試料中の生物学的分子の多数のコピーを作ることができる。言い換えると、この低い能力により、限られた量の生物学的分子しか各層上に捕捉されないので、多数のレプリカを作製することができる。
多すぎる試料の捕捉を回避するために十分に低いメンブレンの結合能力を維持するために、基体の厚みは、例えば、約30ミクロン未満であり、特定の実施形態においては、4ミクロン〜20ミクロンの間、例えば、約8ミクロン〜10ミクロンの間である。この基体の孔の大きさは、例えば、0.1ミクロン〜5.0ミクロンの間、例えば、約0.4ミクロン〜0.6ミクロンの間、さらに具体的には、4.0ミクロンである。薄いメンブレンを使用する別の利点は、これが側方拡散の現象を少なくする点である。積み重ねたものの全体の厚みが大きければ大きいほど、この積み重ねたものからの生物学的分子の側方拡散が大きくなる。
積み重ねたもの/アレイ中のメンブレンの大きさが変わり得るので、使用者には、並行して多数の様々な試料を分析するという選択肢があり、これにより、様々な患者の試料(例えば、異なる患者の試料、または患者の複数の試料と参照標準物、または様々な組織の試料など)の間で直接比較を行うことができる。例えば、疾患の様々な病期での同じ患者由来の異なる試料を、同じ疾患(例えば、肺癌または別の癌)の別の患者由来の使用について行うことができるように、並べた配置において比較することができる。
別の実施形態においては、それぞれのメンブレンに、タンパク質化学反応の特定の特徴(例えば、疎水性、炭水化物含有量など)に基づいて生物学的試料中のタンパク質に選択的に結合するリガンドコーティング(例えば、特有のリガンドコーティング、すなわち、メンブレンを積み重ねたものの中の他のリガンドとは異なる)が含まれる。さらに、特有のリガンドコーティングは、タンパク質の特定の機能性(例えば、リン酸化されたもの、メチル化されたもの)に基づいて生物学的試料中のタンパク質に結合し得る。
本明細書中に記載される方法とともに(例えば、生物学的分子の二次元移動アッセイとともに)使用することに適用可能な多数のタイプのメンブレンが考えられる。いくつかの異なるタイプのメンブレンが考えられる。これらのメンブレンのタイプのいくつかは、タンパク質化学反応に基づくリガンドコーティングを含む第1のメンブレンと、タンパク質の機能性に基づくリガンドコーティングを含む第2のメンブレンが、試料から生物学的分子を移動させるために、メンブレンを積み重ねたものと同時に使用され得る点で重複する。十分に明白には列挙されていないが、記載される方法の全てのバリエーションと組み合わせが、本明細書中で想定される。特に、米国特許第6,969,615号および米国特許第6,951,761号の中で開示されているメンブレンのタイプおよびメンブレンの分析が、それらの全体の引用により本明細書中に組み入れられる。
試料からメンブレンまたはメンブレンのセットへの材料の移動の後、処理されたメンブレン(または層)が分離され得、それぞれが、目的の特定の標的に特異的な1種類以上の異なる検出体分子(例えば、核酸ハイブリダイゼーションプローブ、レクチン、または抗体)とともにインキュベートされ得る。特定の実施形態においては、利用される検出体/プローブは、標識されるか、または別の方法で、任意の様々な技術(例えば、化学発光)を使用して検出することができる。したがって、それぞれのメンブレンが、本質的に、それに結合した生物学的分子について同じパターンを有するいくつかの場合においては、生物学的分子の異なる組み合わせを、アプライされ、検出される特定のプローブを選択することにより、各メンブレン上で観察できるようにすることができる。
例として、1つのメンブレン層は、疾患状態(例えば、癌)に関与しているタンパク質を提示し得、一方、隣接する層は、正常な組織に関与しているタンパク質(例えば、「ハウスキーピング」タンパク質)を提示し得る。
タンパク質に加えて、核酸は、抗体ではなく標識されたDNAハイブリダイゼーションプローブを使用することにより、標的化され得、検出され得る。さらに、タンパク質および核酸標的はいずれも、メンブレンを積み重ねたものの異なる層に、抗体および核酸プローブの両方をアプライすることにより、並行して検出することができる。メンブレンのデジタル画像が、Kodak Scientific Imaging(New Haven,CT)から入手することができるImage Station(登録商標)CCD機器を含む、様々な機器を使用して作製され得る。あるいは、画像は、フィルム(例えば、X線フィルム)上に捕捉され得、フラットベッドスキャナーによりデジタル化され得る。画像を整列させ、デンシトメトリー機能を実行するためのソフトウェアが提供されることが好ましい。デンシトメトリーを使用する例においては、使用者は、分析のための目的の領域を選択することができ、シグナル強度が記録され、正規化される。その後、数的な強度の値が比較される。
移動させられたタンパク質の分析のために、任意の本明細書中に記載されるメンブレンに基づくタンパク質移動技術による移動の後、積み重ねたものからメンブレンが分離され、それぞれが、所望されるタンパク質に特異的な一次抗体の別の溶液中でインキュベートされる。所望されるタンパク質を含有するメンブレンの領域だけが抗体に結合して、抗体分子の層を形成する。約1時間〜8時間のインキュベーションの後、通常は、メンブレンが緩衝液中で洗浄されて、結合していない抗体が除去される。
メンブレン上のタンパク質の検出(例えば、バンド、スポット、または組織切片から「インサイチュ」の形態で)のために、ロードされたメンブレンは、上記一次抗体に結合する二次抗体とともにインキュベートされる。上記二次抗体は、基質を触媒する酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP))に共有結合させることができ、タンパク質/抗体複合体が、多数の技術(例えば、ECL、直接蛍光法、または比色反応)を使用して視覚化され得る。市販されているフラットベッドスキャナーが、フィルムと組み合わせて利用され得る。ECL用の特殊な画像化機器(例えば、NENから入手することができるKodak IMAGE STATION)を利用することができ、デジタル画像化ソフトウェアが、使用者の好みに合わせて画像を表示するために利用され得る。
抗体の代わりに、他のリガンドが検出体として利用される場合がある。リガンドは、抗体断片、受容体、受容体リガンド、酵素、ウイルスまたはウイルス粒子、酵素基質、あるいは、特異的なタンパク質に結合する他の低分子であり得る。さらに、目的の癌関連タンパク質を同定することに加えて、キットはまた、癌関連タンパク質の機能的状態を同定するためにも利用され得る。このための1つの方法は、目的のタンパク質のリン酸化状態を決定するためにリン酸化部位特異的抗体を使用することである。タンパク質機能を同定するための別のアプローチは、当該分野で公知の多数の技術のうちの任意のもの(例えば、Triton−X(登録商標)(エチレンオキサイドともに重合させたオクチルフェノール)中でメンブレンをインキュベートすること)により、上記メンブレン上のタンパク質を最初に復元することである。復元されると、タンパク質は、それらの酵素活性を取り戻し、当該分野で公知のいくつかの基質変性アッセイのうちの1つを使用することができる。このアプローチを用いて、キナーゼ、リン酸化物(phosphate)、およびメタロプロテイナーゼの活性を決定することができる。
科学研究のための目的のタンパク質のパネルが、特定の細胞の表現形(例えば、アポトーシス、細胞周期、シグナルトランスダクションなど)に関与しているタンパク質によりグループ化され得る。臨床診断用のタンパク質のパネルは、特定の疾患(例えば、前立腺癌または乳癌など)と関係があるタンパク質によりグループ化され得る。
多くの実施形態においては、利用される検出体/リガンドは、標識されるか、または別の方法で、任意のいくつかの技術(例えば、高感度ケミルミネッセンス法(ECL)、蛍光、対比リガンド染色、放射活性、常磁性、酵素活性、ディファレンシャル染色、核酸増幅を含むタンパク質アッセイなど)を使用して検出できるようにされる。メンブレンブロットは、好ましくは、スキャンされ、より好ましくは、デジタル画像化されて、それらを保存、送信、および参照することができる。このようなスキャンおよび/またはデジタル化は、いくつかの市販されている科学用の画像化機器のうちのいずれかを使用して行うことができる(例えば、Pattonら、Electrophoresis 14:650−658,1993;Tietzら、Electrophoresis 12:46−54,1991;Spraggら、Anal Biochem.129:255−268,1983;Garrisonら、J Biol.Chem.257:13144−13149,1982を参照のこと;これらは全て引用により本明細書中に組み入れられる)。
癌の分析、検出、および/または定量化に有用なプローブ(例えば、抗体)あるいは検出体カクテルの例は、本明細書中のセクションVに記載される。
(X.検出体カクテルを用いた検出化学の例)
特定の実施形態においては、タンパク質がメンブレンを積み重ねたもの全体に移動させられた後、個々のメンブレンの層が分離され、それぞれが、別々の抗体(または他の検出体分子)カクテルの中でインキュベートされる。多数のレプリカブロットを作製することについての重要な利点は、多くのさらなる検出体分子(例えば、抗体)を、全ての検出体を1つのブロットの上に混雑した状態にする場合よりも、有効に利用することができることである。
特定の実施形態においては、タンパク質がメンブレンを積み重ねたもの全体に移動させられた後、個々のメンブレンの層が分離され、それぞれが、別々の抗体(または他の検出体分子)カクテルの中でインキュベートされる。多数のレプリカブロットを作製することについての重要な利点は、多くのさらなる検出体分子(例えば、抗体)を、全ての検出体を1つのブロットの上に混雑した状態にする場合よりも、有効に利用することができることである。
リガンドカクテルを設計するため、および各メンブレン層上で同定されるであろうタンパク質を決定するための例示的なプロセスが、以下に提供される。目的の癌関連タンパク質の第1のパネル(例えば、PTEN、p−AKT、p−mTOR、p−MAPK、EGFR、HER2、およびHER3(またはこれらのいくつかのサブセット))が選択される。これらは、無作為に選択されたタンパク質および/または互いに直接関係がないタンパク質であるか、あるいは、1つ以上の特定の細胞表現形(例えば、アポトーシスまたは成長因子経路)または特定の疾患において役割を担うとこれまでに考えられている既知のタンパク質のグループであり得る(例えば、前立腺癌特異的抗原、PSA)。場合によっては、これらは、2−Dゲル上での配列または座標によって特性決定されたか、あるいは、それについてのリガンドが作製されたかまたは作製することができる癌関連タンパク質であろう。注釈付きの2−Dゲルのデータベースとしては、Quest Protein
Database Center(//siva.cshl.orgのオンライン上にある)、Swiss 2−D PAGEデータベース(//expasy.cbr.nrc.ca/ch2dのオンライン上にある)、Appelら、Electrophoresis.14(11):1232−1238,1993;Danish Centre for Human Genome Research(//biobase.dk/cgi−bin/celisのオンライン上にある)、Celisら、FEBS Lett.398(2−3):129−134,1996などが挙げられる。抗体は、BD Transduction Laboratories(Lexington,KY)またはSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)のような様々な供給源から得ることができる。
Database Center(//siva.cshl.orgのオンライン上にある)、Swiss 2−D PAGEデータベース(//expasy.cbr.nrc.ca/ch2dのオンライン上にある)、Appelら、Electrophoresis.14(11):1232−1238,1993;Danish Centre for Human Genome Research(//biobase.dk/cgi−bin/celisのオンライン上にある)、Celisら、FEBS Lett.398(2−3):129−134,1996などが挙げられる。抗体は、BD Transduction Laboratories(Lexington,KY)またはSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)のような様々な供給源から得ることができる。
上記で議論したように、広範なクラスのリガンドのうちのいずれかが使用され得るが、簡単にするために、実施形態は、抗体リガンドの使用に関して説明される。したがって、メンブレン上の癌関連タンパク質の免疫学的同定には、好ましくは、それらのタンパク質標的に対して高い親和性および特異性を有している抗体の選択が含まれる。しかし、抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)は、多くの場合、ウェスタンブロット検出において2種類以上のタンパク質を認識する。この交差反応の表現形は、抗体の濃度が試料タンパク質の濃度に対して増大するに伴い、次第に明らかになる。したがって、抗体選択プロセスの最初の工程には、好ましくは、同じメンブレン上の好ましくは1種類の(しかし、5種類を超えない)タンパク質を一貫して視覚化する抗体(およびそれらの作用濃度(working concentration))を選択することが含まれる。検出体抗体が2つ以上のスポットに結合する場合は、望ましくないタンパク質(「偽スポット(false spot)」)が、このメンブレン上のそれらのX−Y位置に基づいて排除され得る。所定のタンパク質の分子量および電荷(pI)は一般的には一定であるので、実行される度にゲル上のほぼ同じ座標にあらわれるはずである。
試料中の2種類以上のタンパク質が類似する大きさおよび電荷のものであり、したがって、ゲル上の同じ一般的に近接した場所に移動する場合、これらは、同じメンブレン上で検出される場合には、重なるスポットが生じる可能性がある。したがって、好ましい実施形態においては、本明細書中に開示される方法の例は、異なるメンブレン上で隣接するかまたは重複する癌関連タンパク質を検出するように抗体カクテルを設計することによりこの問題を回避する。
一旦組み立てられると、抗体カクテルは、対照試験によりそれらの特異性についてさらに試験されるであろう。例えば、第1の試験においては、1つのゲルの移動により(または同じ試料を含み、同じ様式で調製されたいくつかのゲルから)作製されたメンブレンは、1つの抗体成分だけが異なるカクテル(各カクテルは抗体のうちの1つを欠くであろう)でプローブされるであろう。この手法の結果として、免疫ブロットされたメンブレンは、1つのスポットだけが互いに異なるはずである。
各カクテルにはまた、「ハウスキーピング」タンパク質(すなわち、全ての真核生物細胞の中で見られる豊富に存在する構造タンパク質、例えば、アクチン、チューブリンなど)に対する1種類以上の抗体も含まれ得る。したがって、例えば、利用される抗体には、アクチンに対する抗体が含まれるであろう。アクチンに対する抗体は、1つのスポットを生じるであろう。これらの抗体は、ローディングの差異について試料を正規化するため、およびゲル泳動プロセスにより生じたあらゆる歪みを調整するための内部ランドマークとなる。カクテルが設計されると、これらは、試料の起源にかかわらず、カクテルを作製する際に同定されたタンパク質の同じパネルを同定することを目指す任意のキットにおいて再利用され得る。
本開示は、多数の様々な癌関連タンパク質の同時の特性決定が可能であるだけではなく、様々な特徴の数に基づいて1種類のタンパク質の多数の特徴を特性決定することもできることが理解されるであろう。例えば、細胞増殖および細胞周期の進行に必要なプロテインp70 S6キナーゼは、タンパク質の229位および/または389位にあるスレオニンへのリン酸基の結合(リン酸化)により活性化される。このキナーゼの同定は、その有無の決定だけではなく、その活性の実証も提供するであろう。例えば、少なくとも4枚のメンブレンを積み重ねたものを含有するキットを用いて、2−Dゲルの4つのコピーを作製することができる。第1のメンブレンは、このタンパク質が試料中に存在するかしないかを決定するために、このタンパク質全体に特異的な抗体の中でインキュベートされるであろう。第2のメンブレンは、このタンパク質が活性であるかそうでないかを決定するために、キナーゼアッセイにおいて使用され得る。第3のメンブレンは、酵素の活性がその部位の活性化が原因であるかどうかを決定するために、ホスホ−p70 S6キナーゼ(Thr229)抗体でプローブされ得る。第4のメンブレンは、酵素の活性がこの部位の活性化が原因であるかどうかを決定するために、ホスホ−p70 S6キナーゼ(Thr389)抗体でプローブされ得る。そして、これらの試験は全て、(同じ試料の異なるバッチではなく)1つの試料について行われるので、得られる情報はより信用できる。
抗体カクテルは、好ましくは、バイアル(好ましくは、プラスチックまたはガラス製である)の中で保存され、状況に応じて、目的のタンパク質標的の「パネル」を作製するためキットの中で組み合わせられる。科学研究のためのパネルは、特定の細胞の表現形(例えば、アポトーシス、細胞周期、シグナルトランスダクションなど)に関与しているタンパク質によりグループ化され得る。臨床診断用のパネルは、特定の疾患(例えば、前立腺癌または乳癌など)と関係があるタンパク質によりグループ化され得る。
(XI.代表的な癌への応用)
(a)乳癌
乳癌は、女性の癌の最も一般的な形態であり、米国においては生存している女性における癌に関連する死の第2位の原因である。毎年、この疾患により40,000人を超える女性が死亡している。乳癌特異的分子標的の同定には、乳癌疾患の検出、処置、および予後を良くする大きな可能性がある。加えて、形質転換のプロセスにおける乳癌特異的分子標的の役割を理解することにより、同じあるいは関連する細胞シグナル伝達経路または成長因子経路において他の乳癌特異的(例えば、癌関連タンパク質)を治療標的とする、さらなる機会が明らかになり得る。結果として、本開示は、乳癌特異的癌関連タンパク質の検出に特異的であるプローブを組み込んだTMAを含む、試料中の乳癌特異的癌関連タンパク質を検出するため;試料中の乳癌特異的癌関連タンパク質を同定するため;そしてそれにより、乳癌特異的癌関連タンパク質の存在を、乳癌を発症するリスクの存在または増大したリスクと相互に関連づけるための方法を考える。本明細書中に開示される方法は、腫瘍の同定のため、およびそのような腫瘍の相対的生存率の決定のための、単純な分子サインを同定する。例えば、進行した疾患の乳癌試料が、疾患状態の組織中で発現されることが知られているタンパク質に対して特異的に惹起させられた抗体を使用してプローブされ得る。1つの例においては、上皮成長因子受容体(EGFR)、HER2/neu、ならびに、下流の活性化因子、細胞外シグナル調節キナーゼ1/2(ERK1/2)、AKT、開始因子4E結合タンパク質1(4E−BP1)、リン酸化されたリボソームタンパク質S6キナーゼ1(p70S6K1)、およびリボソームタンパク質S6(S6)(全て、乳癌のシグナル伝達経路の要素である)を含有する抗体カクテルが、TMAの1枚以上のメンブレンにアプライされ得る。続いて、免疫検出および二次蛍光抗体が、TMAのメンブレン(単数または複数)にアプライされ得、癌関連タンパク質のシグナル強度が、分子走査デンシトメトリー(molecular scanning densitometry)ソフトウェアにより定量化され得る。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質の強度が、生体マーカーの指標を得るために、試料の全細胞含有量に対して比較され得る。さらなる実施形態においては、生体マーカーの指標が、癌についての相対的生存率と相互に関連付けられ得る。1つの実施形態においては、試料は、活性化された(リン酸化された)乳癌特異的癌関連タンパク質の検出のためのリン酸化部位特異的抗体(phosphorylation−specific antibody)を使用して、免疫組織化学により研究される。試料中の乳癌特異的癌関連タンパク質の同定は、乳癌の存在、または乳癌を発症する増大したリスク、または乳癌を有する被験体についての全体的な生存率の低下と相互に関連し得る。
(a)乳癌
乳癌は、女性の癌の最も一般的な形態であり、米国においては生存している女性における癌に関連する死の第2位の原因である。毎年、この疾患により40,000人を超える女性が死亡している。乳癌特異的分子標的の同定には、乳癌疾患の検出、処置、および予後を良くする大きな可能性がある。加えて、形質転換のプロセスにおける乳癌特異的分子標的の役割を理解することにより、同じあるいは関連する細胞シグナル伝達経路または成長因子経路において他の乳癌特異的(例えば、癌関連タンパク質)を治療標的とする、さらなる機会が明らかになり得る。結果として、本開示は、乳癌特異的癌関連タンパク質の検出に特異的であるプローブを組み込んだTMAを含む、試料中の乳癌特異的癌関連タンパク質を検出するため;試料中の乳癌特異的癌関連タンパク質を同定するため;そしてそれにより、乳癌特異的癌関連タンパク質の存在を、乳癌を発症するリスクの存在または増大したリスクと相互に関連づけるための方法を考える。本明細書中に開示される方法は、腫瘍の同定のため、およびそのような腫瘍の相対的生存率の決定のための、単純な分子サインを同定する。例えば、進行した疾患の乳癌試料が、疾患状態の組織中で発現されることが知られているタンパク質に対して特異的に惹起させられた抗体を使用してプローブされ得る。1つの例においては、上皮成長因子受容体(EGFR)、HER2/neu、ならびに、下流の活性化因子、細胞外シグナル調節キナーゼ1/2(ERK1/2)、AKT、開始因子4E結合タンパク質1(4E−BP1)、リン酸化されたリボソームタンパク質S6キナーゼ1(p70S6K1)、およびリボソームタンパク質S6(S6)(全て、乳癌のシグナル伝達経路の要素である)を含有する抗体カクテルが、TMAの1枚以上のメンブレンにアプライされ得る。続いて、免疫検出および二次蛍光抗体が、TMAのメンブレン(単数または複数)にアプライされ得、癌関連タンパク質のシグナル強度が、分子走査デンシトメトリー(molecular scanning densitometry)ソフトウェアにより定量化され得る。さらなる実施形態においては、癌関連タンパク質の強度が、生体マーカーの指標を得るために、試料の全細胞含有量に対して比較され得る。さらなる実施形態においては、生体マーカーの指標が、癌についての相対的生存率と相互に関連付けられ得る。1つの実施形態においては、試料は、活性化された(リン酸化された)乳癌特異的癌関連タンパク質の検出のためのリン酸化部位特異的抗体(phosphorylation−specific antibody)を使用して、免疫組織化学により研究される。試料中の乳癌特異的癌関連タンパク質の同定は、乳癌の存在、または乳癌を発症する増大したリスク、または乳癌を有する被験体についての全体的な生存率の低下と相互に関連し得る。
別の例においては、乳房の腫瘍試料中で測定された乳癌特異的癌関連タンパク質の発現が、(もしあるなら)癌関連タンパク質のどれを乳癌についての分子サインとして使用できるかを決定するために、病理学的な悪性度、患者の生存性、および腫瘍の再発と相互に関連付けられ得る。例えば、タンパク質(例えば、4E−BP1)が、乳房の腫瘍のうちの高い割合において活性化され、より高い悪性度、腫瘍の大きさ、および局所再発と関係がある場合には、タンパク質4E−BP1が、乳癌の細胞のシグナル伝達における分子サインとして提案され得、したがって、乳癌特異的癌関連タンパク質として適用され得る。
Src経路の活性化は、乳癌を持つ一部の患者において標準的な医学的処置に対する耐性を引き起こすと考えられる。したがって、別の例においては、Srcシグナル伝達経路の阻害は、看護処置の基準を提供しつつ、罹患患者の薬物耐性のいくつかの側面を克服するであろう。したがって、ヒトの腫瘍において測定するために、Src経路の一部およびタンパク質を理解することが、癌専門医が、臨床において適切なシグナルトランスダクション阻害剤を選択することを可能にするであろう分子診断用ツールを開発する際には重要である。
重ねて、乳癌に関して、C35は、乳癌細胞(C17またはf37)中で豊富に発現されるタンパク質である。抗C35抗体は、ヒトの腫瘍および正常な組織中でのC35の遺伝子産物の発現を確認するために、日常的に行われている免疫組織化学技術により利用され得る。例えば、C35は、正常な乳房上皮および他の正常な組織と比較して、乳房の癌腫において高度に発現されることが明らかにされている。したがって、C35は、乳癌の治療的処置のための可能性のある分子標的として、あるいは、試料中の乳癌のポジティブな同定および検出のための分子サインとして、開示される方法において使用され得る。
(b)前立腺癌
前立腺癌の患者の管理における中心的なジレンマの1つは、処置しないまま放置しておいても、ごく一部の割合の症例しか癌による死に至らないが、前立腺癌の罹患率は極めて高いために、男性におけるその死亡率が肺癌に次いで第2位であることである。結果として、適切な処置の選択肢を考慮できるように、前立腺癌の患者において疾患の進行のリスクを正確に評価することが、公衆衛生上の大きな要件である。疾患の進行をモニタリングするための信頼できる方法が同定されれば、多くの前立腺の患者が、根治的全前立腺摘除術を受けるのではなく、「経過観察」プロトコールによる恩恵を受けることができるであろう。本明細書中に開示される方法を使用する、前立腺癌に特異的な候補の癌関連タンパク質としては、ヘプシン、pim−1キナーゼ、AMACR、AIPC、e−カドヘリン(ECAD)、α−メチルが挙げられるが、これらに限定されない。アシル−コエンザイムAラセマーゼ、およびEZH2が、前立腺癌の進行を検出またはモニターするための方法での使用について評価され得る。
前立腺癌の患者の管理における中心的なジレンマの1つは、処置しないまま放置しておいても、ごく一部の割合の症例しか癌による死に至らないが、前立腺癌の罹患率は極めて高いために、男性におけるその死亡率が肺癌に次いで第2位であることである。結果として、適切な処置の選択肢を考慮できるように、前立腺癌の患者において疾患の進行のリスクを正確に評価することが、公衆衛生上の大きな要件である。疾患の進行をモニタリングするための信頼できる方法が同定されれば、多くの前立腺の患者が、根治的全前立腺摘除術を受けるのではなく、「経過観察」プロトコールによる恩恵を受けることができるであろう。本明細書中に開示される方法を使用する、前立腺癌に特異的な候補の癌関連タンパク質としては、ヘプシン、pim−1キナーゼ、AMACR、AIPC、e−カドヘリン(ECAD)、α−メチルが挙げられるが、これらに限定されない。アシル−コエンザイムAラセマーゼ、およびEZH2が、前立腺癌の進行を検出またはモニターするための方法での使用について評価され得る。
例えば、本明細書中に開示される方法を使用して検出されるような、ECADの中程度の発現と組み合わせたEZH2の中程度のまたは強い発現は、前立腺癌の再発と最も強く関係があることが明らかにされ得、したがって、アジュバント療法が行われ得るハイリスクの患者のコホートを定義する際に有用であり得る。別の実施形態においては、EZH2−ECADの状態が、根治的全前立腺摘除術後の疾患の再発と統計学的に非常に有意な関係にあると考えられ、このことは、EZH2−ECADポジティブ腫瘍に、より積極的な処置が必要であることを示唆している。したがって、EZH2−ECADネガティブ腫瘍は、経過観察療法のプロトコールの開発のための有用な選択ツールと考えられ得、前立腺癌についてローリスクの疾患の定義に役立つ。
1つの実施形態においては、前立腺癌の指標となる癌関連タンパク質の同定が開示される。本開示は、前立腺癌の診断、検出、特性決定、および予後に有用な癌関連タンパク質をさらに提供する。本開示はまた、被験体において前立腺組織を特性決定するための方法を提供する。この方法には、前立腺組織試料を提供する工程、少なくとも2種類の癌関連タンパク質のタンパク質発現レベルを検出する工程、非癌性の対照試料に対して、上記少なくとも2種類の癌関連タンパク質のタンパク質発現レベルを比較する工程が含まれる。ここでは、非癌性試料と比較した上記2種類の癌関連タンパク質のタンパク質発現レベルの変化が、前立腺癌を発症する増大したリスクと関係がある。
1つの実施形態においては、2種類以上の癌関連タンパク質は、以下からなる群より選択される:HEPSIN、FKBP5、FASN、FOLH1、TNFSF10、PCM1、S100A11、IGFBP3、SLUG、GSTM3、IL1R2、ITGB4、CCND2、EDNRB、APP、THROMBOSPONDIN1、ANNEXIN A1、EPHA1、NCK1、MAPK6、SGK、HEVIN、MEIS2、MYLK、FZD7、CAVEOLIN2、TACC1、ARHB、PSG9、GSTM1、KERATIN5、TIMP2、GELSOLIN、ITM2C、GSTM5、VINCULIN、FHL1、GSTP1、MEIS1、ETS2、PPP2CB、CATHEPSIN B、COL1A2、RIG、VIMENTIN、MOESIN、MCAM、FIBRONECTIN1、NBL1、ANNEXIN A4、ANEXIN A11、IL1R1、IGFBP5、CYSTATIN C、COL15A1、ADAMTS1、SKI、EGR1、FOSB、CFLAR、JUN、YWHAB、NRAS、C7、SCYA2、ITGA1、LUMICAN、C1S、C4BPA、COL3A1、FAT、MMECD10、CLUSTERIN、およびPLA2G2A。
1つの実施形態においては、本開示はさらに、被験体において前立腺癌を検出するための方法を提供する。この方法には、被験体由来の試料を提供する工程、非癌性の前立腺組織試料のタンパク質発現レベルと比較して、少なくとも2種類の癌関連タンパク質のタンパク質発現レベルを計算する工程が含まれる。ここでは、上記2種類以上の癌関連タンパク質は、IGFBP5、MADH4、NBL1、SEPP1、RAB2、FAT、PP1CB、MPDZ、PRKCL2、ATF2、RAB5A、およびCathepsin Hからなる群より選択される。ここでは、正常な非癌性試料と比較した癌関連タンパク質の低下した発現が、転移性前立腺癌の診断となる。
別の実施形態においては、上記方法は、被験体において前立腺癌を特性決定するための方法をさらに提供する。この方法には、前立腺癌と診断された被験体から腫瘍試料を提供する工程、以下からなる群より選択される2種類以上の癌関連タンパク質の、非癌性前立腺組織と比較して、少なくとも2種類の癌関連タンパク質の増大した発現を検出する工程が含まれる:CTBP1、MAP3K10、TBXA2R、MTA1、RAP2、TRAP1、TFCP2、E2−EPF、UBCH10、TASTIN、EZH2、FLS353、MYBL2、LIMK1、TRAF4。ここでは、2種類以上の癌関連タンパク質の増大した発現が、転移性前立腺癌の診断となる。
(c)肺癌
原発性の肺癌について最初に行われる治療は、通常は、外科手術である。この後、放射線治療および/または化学療法が続いて行われる。原発性腫瘍の切除後、切除術を受けた患者のうちの有意な割合が、検出不可能な転移性疾患の徴候を現し、低い生存率を示す。本明細書中に開示される方法を使用して、使用者は、試料(例えば、ホルマリンで固定した保管肺癌組織切片)から直接、転移性肺癌の癌関連タンパク質を発見する能力を評価することができると考えられる。特に目的とするものは、肺癌特異的癌関連タンパク質(例えば、癌胎児性抗原(CEA)、CYFRA21−1、血漿カリクレインB1(KLKB1)、アネキシンA3、CK、Prx I、II、III、脂肪酸結合タンパク質、および神経特異的エノラーゼ(NSE))についてのタンパク質発現プロファイルである。
原発性の肺癌について最初に行われる治療は、通常は、外科手術である。この後、放射線治療および/または化学療法が続いて行われる。原発性腫瘍の切除後、切除術を受けた患者のうちの有意な割合が、検出不可能な転移性疾患の徴候を現し、低い生存率を示す。本明細書中に開示される方法を使用して、使用者は、試料(例えば、ホルマリンで固定した保管肺癌組織切片)から直接、転移性肺癌の癌関連タンパク質を発見する能力を評価することができると考えられる。特に目的とするものは、肺癌特異的癌関連タンパク質(例えば、癌胎児性抗原(CEA)、CYFRA21−1、血漿カリクレインB1(KLKB1)、アネキシンA3、CK、Prx I、II、III、脂肪酸結合タンパク質、および神経特異的エノラーゼ(NSE))についてのタンパク質発現プロファイルである。
結果として、本開示は、肺癌特異的癌関連タンパク質の検出に特異的であるプローブが組み込まれているTMAを含む、試料中の肺癌特異的癌関連タンパク質を検出するための方法を考える。この方法は、試料中の肺癌特異的癌関連タンパク質を同定する工程;および、それにより、肺癌特異的癌関連タンパク質の存在を、肺癌の存在または肺癌を発症する増大したリスクと相関させる工程による。本明細書中に開示される方法は、肺癌の同定のため、およびそのような腫瘍の相対的生存率の決定のための単純な分子サインを同定する。例えば、進行した疾患の肺癌試料が、疾患状態の組織中で発現されることが知られているタンパク質に対して特異的に惹起させられた抗体を使用してプローブされ得る。1つの例においては、CEA、CYFRA21−1、KLKB1、またはNSE(全てが、肺癌試料においてこれまでに同定されたタンパク質である)を含有する抗体カクテルが、TMAの1枚以上のメンブレンにアプライされ得る。続いて、免疫検出および二次蛍光抗体が、TMAのメンブレン(単数または複数)にアプライされ得、肺癌特異的癌関連タンパク質のシグナル強度が、分子走査デンシトメトリー(molecular scanning densitometry)ソフトウェアにより定量化され得る。さらなる実施形態においては、肺癌関連タンパク質の強度が、生体マーカーの指標を得るために、試料の全細胞含有量に対して比較され得る。さらなる実施形態においては、生体マーカーの指標が、癌についての相対的生存率と相互に関連付けられ得る。
肺癌のうちで、サブセットである小細胞性肺癌(SCLC)は、特に侵攻性の形態である。SCLCは全身化学療法に対する感受性が高いが、その侵攻性の性質が原因で、診断がなされる前に広がり得る。したがって、早期に適切な処置を開始するためには、SCLCの感度の高い、信頼できる、迅速な診断方法がとても必要とされている。本明細書中に開示される方法を使用して評価することができる、可能性があるSCLC特異的癌関連タンパク質としては、中でも、ProGRP、NSE、およびCEAが挙げられる。具体的には、健常な被験体のヒト血清中でのこれらのタンパク質についての基準値は、pg/mL(ProGRP)からng/mL(NSEおよびCEA)のレベルまで変化し、したがって、これらのSCLS特異的癌関連タンパク質の検出を、本明細書中に開示される方法を使用する患者の血清の分析により評価することができ、したがって、組織生検または組織ブロック切片による分析に限定されない。例えば、SCLC特異的癌関連タンパク質の濃度を決定するためには、ELISAおよびRIAを使用することができる。SCLC特異的タンパク質の強度のプロファイルが、SCLCについての生体マーカーの指標を得るために、本明細書中に開示される方法を使用して正規化され得る。この生体マーカーの指標は、その後、本明細書中で議論される方法を使用して、癌の相対的生存率を得るために使用され得る。
(d)膵臓癌
本開示のさらなる実施形態においては、試料中の膵臓癌関連タンパク質の同定、検出、および/または定量化での使用のための癌関連タンパク質のパネルが開発され得ることが意図される。例えば、LCN2、REG1A、REG3、TIMP1、およびIGFBP4を含有する5種類の膵臓癌関連タンパク質のパネルが、前癌状態の増殖(膵上皮内腫瘍性新生組織形成)(これは、癌患者または健康な対照被験体においては観察されない)を同定するために使用され得る。1つの実施形態においては、上記5種類の癌関連タンパク質のパネルが、上記5種類のタンパク質のいずれかまたは全ての存在を検出するために、被験体に由来する血液試料に対してスクリーニングされる。このタンパク質パネル中での5種類のタンパク質全てのポジティブ検出は、被験体における前癌状態の病変の指標となるが、低濃度での上記タンパク質パネルからの1種類または2種類のタンパク質の検出は、現在のところは膵臓癌についてローリスクである被験体と解釈され得る。したがって、上記5種類のタンパク質のパネルは、膵臓癌の検出におそらく有用であり、疾患の進行期にある被験体のコホートを同定する際にも有用であり得る。さらに、特異的癌関連タンパク質または多タイプの癌に関連するタンパク質のパネル(例えば、膵臓癌に関して上記で議論した例示的な5種類のタンパク質のパネル)の開発が、例えば、前癌状態の病変から疾患の進行期への、被験体における疾患の進行をモニターするために使用され得る。特定のタイプの癌(例えば、乳房、肺、膵臓、卵巣)と関係がある癌関連タンパク質を含有するタンパク質パネルの開発が本開示の1つの目的であり、本出願によりここで意図されることが、当業者に明らかであろう。さらに、複数のタイプの癌と関係がある癌関連タンパク質(例えば、複数のタイプの癌(例えば、乳癌、肺癌、膵臓癌、または卵巣癌)に由来する少なくとも1種類の癌関連タンパク質)を含有するタンパク質パネルの開発が本開示の1つの目的であり、本出願によりここで意図されることが、当業者に容易に明らかであろう。
本開示のさらなる実施形態においては、試料中の膵臓癌関連タンパク質の同定、検出、および/または定量化での使用のための癌関連タンパク質のパネルが開発され得ることが意図される。例えば、LCN2、REG1A、REG3、TIMP1、およびIGFBP4を含有する5種類の膵臓癌関連タンパク質のパネルが、前癌状態の増殖(膵上皮内腫瘍性新生組織形成)(これは、癌患者または健康な対照被験体においては観察されない)を同定するために使用され得る。1つの実施形態においては、上記5種類の癌関連タンパク質のパネルが、上記5種類のタンパク質のいずれかまたは全ての存在を検出するために、被験体に由来する血液試料に対してスクリーニングされる。このタンパク質パネル中での5種類のタンパク質全てのポジティブ検出は、被験体における前癌状態の病変の指標となるが、低濃度での上記タンパク質パネルからの1種類または2種類のタンパク質の検出は、現在のところは膵臓癌についてローリスクである被験体と解釈され得る。したがって、上記5種類のタンパク質のパネルは、膵臓癌の検出におそらく有用であり、疾患の進行期にある被験体のコホートを同定する際にも有用であり得る。さらに、特異的癌関連タンパク質または多タイプの癌に関連するタンパク質のパネル(例えば、膵臓癌に関して上記で議論した例示的な5種類のタンパク質のパネル)の開発が、例えば、前癌状態の病変から疾患の進行期への、被験体における疾患の進行をモニターするために使用され得る。特定のタイプの癌(例えば、乳房、肺、膵臓、卵巣)と関係がある癌関連タンパク質を含有するタンパク質パネルの開発が本開示の1つの目的であり、本出願によりここで意図されることが、当業者に明らかであろう。さらに、複数のタイプの癌と関係がある癌関連タンパク質(例えば、複数のタイプの癌(例えば、乳癌、肺癌、膵臓癌、または卵巣癌)に由来する少なくとも1種類の癌関連タンパク質)を含有するタンパク質パネルの開発が本開示の1つの目的であり、本出願によりここで意図されることが、当業者に容易に明らかであろう。
(e)卵巣癌
American Cancer Societyは、毎年、卵巣癌により15,000人の女性が死亡すると推定する。ほとんどの患者は、原発性腫瘍部位から拡がった進行期疾患を呈する。卵巣癌における組織型トランスグルタミナーゼ(TG2)の過剰発現は、腫瘍細胞の増殖の増大、化学療法に対する耐性、および低い全体的生存率と関係がある(Hwangら、Cancer Res.15:5849−5858,2008)。したがって、本明細書中に開示される方法は、試料中の卵巣癌の存在を検出するための方法を意図する。この方法は、試料中の少なくとも1種類の卵巣癌特異的癌関連タンパク質(例えば、TG2)の含有量を計算する工程、少なくとも1種類の卵巣癌特異的癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程、正常な非癌性試料についての正規化した値に対して、少なくとも1種類の癌関連タンパク質の正規化した値を比較する工程、および試料中の卵巣癌の存在を検出するために、非癌性試料に対する上記試料中の癌関連タンパク質の正規化した値の変化を相関させる工程による。したがって、本明細書中で定義されるように、TG2は、本明細書中に開示される方法を使用して、試料中の卵巣癌を検出または同定する能力を持つ癌関連タンパク質である。TG2はまた、卵巣癌の処置のための可能性のある治療標的でもあり、具体的には、本明細書中に開示される方法を使用して、疾患の進行または治療に対する被験体の反応性(特に、化学療法に耐性がある腫瘍)をモニターするために使用され得る。
American Cancer Societyは、毎年、卵巣癌により15,000人の女性が死亡すると推定する。ほとんどの患者は、原発性腫瘍部位から拡がった進行期疾患を呈する。卵巣癌における組織型トランスグルタミナーゼ(TG2)の過剰発現は、腫瘍細胞の増殖の増大、化学療法に対する耐性、および低い全体的生存率と関係がある(Hwangら、Cancer Res.15:5849−5858,2008)。したがって、本明細書中に開示される方法は、試料中の卵巣癌の存在を検出するための方法を意図する。この方法は、試料中の少なくとも1種類の卵巣癌特異的癌関連タンパク質(例えば、TG2)の含有量を計算する工程、少なくとも1種類の卵巣癌特異的癌関連タンパク質の含有量を正規化する工程、正常な非癌性試料についての正規化した値に対して、少なくとも1種類の癌関連タンパク質の正規化した値を比較する工程、および試料中の卵巣癌の存在を検出するために、非癌性試料に対する上記試料中の癌関連タンパク質の正規化した値の変化を相関させる工程による。したがって、本明細書中で定義されるように、TG2は、本明細書中に開示される方法を使用して、試料中の卵巣癌を検出または同定する能力を持つ癌関連タンパク質である。TG2はまた、卵巣癌の処置のための可能性のある治療標的でもあり、具体的には、本明細書中に開示される方法を使用して、疾患の進行または治療に対する被験体の反応性(特に、化学療法に耐性がある腫瘍)をモニターするために使用され得る。
(f)胆管癌
肝外胆管癌(EHCC)は、肝門から遠位の胆管にまでに生じる、胆管上皮の悪性新生物であり、全ての胆管癌のおよそ80%〜90%を占める(Malhi and Gores,J.Hepatol 2006;45:856−67)。EHCCは、米国では比較的一般的ではない新生物であるが、韓国を含むアジアにおいてはより高頻度で見られる(Hongら、Cancer 2005;104:802−10)。現在、外科的切除が処置の中心であるが、限られた数の患者(主に、進行期疾患を持たない患者)にしか治癒をもたらさない(Seyama and Makuuchi,World J.Gastroenterol 2007;13:1505−15)。外科的切除を受けた患者について、5年生存率はおよそ20%である(Nathanら、J.Gastrointest Surg.2007;11:1488−96)。いくつかのネオアジュバント療法(化学療法、放射線治療、および光線力学的療法を含む)が研究されているが、いずれについても生存に関する有意な利点は示されていない(Thomas,Crit.Rev.Oncol.Hematol.2007;61:44−51)。したがって、EHCCの早期の検出のための新規の標的の同定、および/または生物学的機構のさらなる理解に基づくEHCCについての新規の治療レジュメの開発が、EHCC患者の死亡率を低下させるために重要である。
肝外胆管癌(EHCC)は、肝門から遠位の胆管にまでに生じる、胆管上皮の悪性新生物であり、全ての胆管癌のおよそ80%〜90%を占める(Malhi and Gores,J.Hepatol 2006;45:856−67)。EHCCは、米国では比較的一般的ではない新生物であるが、韓国を含むアジアにおいてはより高頻度で見られる(Hongら、Cancer 2005;104:802−10)。現在、外科的切除が処置の中心であるが、限られた数の患者(主に、進行期疾患を持たない患者)にしか治癒をもたらさない(Seyama and Makuuchi,World J.Gastroenterol 2007;13:1505−15)。外科的切除を受けた患者について、5年生存率はおよそ20%である(Nathanら、J.Gastrointest Surg.2007;11:1488−96)。いくつかのネオアジュバント療法(化学療法、放射線治療、および光線力学的療法を含む)が研究されているが、いずれについても生存に関する有意な利点は示されていない(Thomas,Crit.Rev.Oncol.Hematol.2007;61:44−51)。したがって、EHCCの早期の検出のための新規の標的の同定、および/または生物学的機構のさらなる理解に基づくEHCCについての新規の治療レジュメの開発が、EHCC患者の死亡率を低下させるために重要である。
本明細書中ですでに議論されたように、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)/AKTシグナル伝達経路は、腫瘍細胞の生存性、アポトーシス、およびタンパク質の翻訳の調節において重要な役割を果たしていることが知られている。PI3Kは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)により活性化され、RTKの活性化により、細胞膜へのアロステリックな連結が誘導され、これに続き、PI3Kの調節サブユニットのチロシンリン酸化が生じる。PI3Kは、ホスファチジルイノシトール2リン酸(PIP2)をホスファチジルイノシトール3リン酸(PIP3)に変換する(Cromwellら、Mol.Cancer.Ther.,2007;6:2139−48)。AKTは、PIP3によるThr308での、およびmTOR複合体(mTORC)の一部としての哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)によるSer473でのリン酸化により活性化される(Cromwellら、Mol.Cancer.Ther.,2007;6:2139−48)。第10染色体上欠失ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)は、PI3K/AKTシグナル伝達経路の十分に記載されたネガティブ調節因子であり、これは、サイクリンD1のレベルの低下により細胞周期のG1期での停止を誘導することにより、腫瘍サプレッサー遺伝子として機能する(Raduら、Mol Cell Biol.2003年9月;23(17):6139−49)。ラパマイシンは、最初は、いくつかの癌のタイプにおいてmTORのリン酸化をブロックするための有望な手法と考えられていたが、高いAKT活性を持つ癌患者は、mTORC1阻害剤に対して最小限にしか反応しないことが報告されている(O’Reillyら、Cancer Res.2006;66:1500−1508)。活性化された(リン酸化された)AKTの高い発現を持つ患者もまた、放射線治療に対して耐性があることが報告された(Guptaら、Clin Cancer Res.2002;8:855−92)。したがって、EHCCの検出のための新規の方法が必要である。加えて、EHCCを持つ患者の生存確率を決定するための、正確であり、信頼できる方法が必要である。
1つの実施形態においては、本開示は、癌関連タンパク質を含むがこれらに限定されない、癌の診断のための組成物および方法に関する。具体的には、本開示は、EHCCと強く関係している癌関連タンパク質を同定する。本開示はさらに、EHCCの診断、特性決定、予後、および処置に有用な、正規化工程と組み合わせた癌関連タンパク質の比に基づく決定の形態の、新規の生体マーカーの指標を提供する。
特定の実施形態においては、本開示は、被験体においてEHCC組織を特性決定するための方法を提供する。この方法は、被験体に由来するEHCC組織試料を提供する工程;および非癌性試料中でのタンパク質の発現レベルと比較して、試料中のp−AKT、p−mTOR、またはPTENのタンパク質発現レベルを検出する工程、それにより、EHCC組織試料中の癌関連タンパク質の発現プロファイルを特性決定する工程による。
いくつかの実施形態においては、被験体には、ヒト被験体が含まれる。他の実施形態においては、被験体には、ヒト以外の哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態においては、試料には、腫瘍生検が含まれる。いくつかの実施形態においては、試料は、外科手術後の腫瘍組織試料であり、上記方法にはさらに、正常な組織試料と比較したp−AKT、p−mTOR、またはPTENのタンパク質発現の変化の検出に基づいて、EHCCを同定する工程が含まれる。いくつかの実施形態においては、EHCC組織を特性決定する工程に、組織中のEHCC癌の病期を同定することが含まれる。いくつかの実施形態においては、病期としては、異形成症、EHCC、および転移性EHCCが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、上記方法にはさらに、被験体に予後を提供する工程が含まれる。他の実施形態においては、予後には、EHCCを発症する相対的リスクを決定する指標比が含まれる。
他の実施形態においては、本開示は、以下を含有する、被験体においてEHCC癌を特性決定するためのキットを提供する:pAKT、p−mTOR、またはPTENの発現の有無を特異的に検出することができる試薬;および、被験体においてEHCC癌を特性決定するためのキットの使用についての説明書。いくつかの実施形態においては、上記試薬には、pAKT、p−mTOR、またはPTENポリペプチドに特異的に結合する抗体が含まれる。
なお他の実施形態においては、本開示は、被験体において、結論に到達していない生検組織を特性決定するための方法を提供する。この方法には、被験体に由来する結論に到達していない生検組織試料を提供する工程;および試料中での癌関連タンパク質の発現の存在を検出し、これにより、結論に到達していない生検組織試料を特性決定する工程が含まれる。EHCCの検出に特異的な実施形態においては、上記検出工程に、p−AKTポリペプチドの存在を検出すること(例えば、p−AKTポリペプチドをp−AKTポリペプチドに特異的な抗体に曝すこと、およびp−AKTポリペプチドに対する抗体の結合を検出することによる)が含まれる。いくつかの実施形態においては、被験体には、ヒト被験体が含まれる。いくつかの実施形態においては、結論に到達していない生検組織中でのp−AKT発現の存在が、被験体におけるEHCC癌の指標となる。特定の実施形態においては、上記方法にはさらに、さらなる癌関連タンパク質(例えば、p−mTORまたはPTEN)の発現を検出する工程が含まれる。そして、p−mTORまたはPTENの発現の存在(p−AKT発現の存在に加えて)が、被験体における前立腺癌の指標となる。
本開示はさらに、体液中でp−AKT、p−mTOR、またはPTENの発現を検出する方法を提供する。この方法には、被験体に由来する体液、および生物学的液体中でp−AKT、p−mTOR、またはPTENの発現を検出するための試薬を提供する工程;ならびに、上記試薬が体液中のp−AKT、p−mTOR、またはPTENの発現を検出する条件下で、上記体液を上記試薬と接触させる工程が含まれる。いくつかの実施形態においては、体液は、血清、尿、全血、リンパ液、および粘液からなる群より選択される。特定の実施形態においては、体液中でのp−AKT、p−mTOR、またはPTENの存在が、癌(例えば、EHCC)の指標となる。他の実施形態においては、体液/生物学的液体中のp−mTORとp−AKT、もしくはp−MAPKとEGFR、または、4種類全て(p−mTOR、p−AKT、p−MAPK、およびEGFR)の存在および/あるいはレベルが、癌(特に、肺癌)の指標となる。
本発明の態様のさらに詳細な記載が以下に提供される。記載される実施形態(単数または複数)は本発明の代表的な実施形態(単数または複数)であるが、本発明の精神から逸脱することなく当業者により修飾が行われるであろうことが理解される。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定される。
(実施例1)
(患者の選択および腫瘍試料の収集)
University of Ulsan College of MedicineのAsan Medical Center(韓国、ソウル市)で外科的切除を受けた221人のEHCC患者を調べた。肝外胆管に中心がある癌腫が含まれていたが、ファーター膨大部癌または膵臓癌、およびファーター膨大部または膵臓に明らかに前癌状態である上皮変化を持つ患者は除外した。胆嚢に発生した癌腫、または肝外胆管に伸びる肝内胆管に発生した癌腫もまた、本研究から除外した。患者の年齢および性別、外科的処置、生存期間、および生存状態を含むデータを得るために、診療記録を精査した。腫瘍の位置、大きさ、および増殖パターンを含むデータを、病理学報告を精査することにより得た。術後の放射線治療および/または化学療法についての情報と、患者の一般状態は分析に利用できなかった。材料は、Institutional Review Board of the Asan Medical CenterおよびNIHのOffice of Human Subjects Researchから、適正な人権保護の承認とともに得た。
(患者の選択および腫瘍試料の収集)
University of Ulsan College of MedicineのAsan Medical Center(韓国、ソウル市)で外科的切除を受けた221人のEHCC患者を調べた。肝外胆管に中心がある癌腫が含まれていたが、ファーター膨大部癌または膵臓癌、およびファーター膨大部または膵臓に明らかに前癌状態である上皮変化を持つ患者は除外した。胆嚢に発生した癌腫、または肝外胆管に伸びる肝内胆管に発生した癌腫もまた、本研究から除外した。患者の年齢および性別、外科的処置、生存期間、および生存状態を含むデータを得るために、診療記録を精査した。腫瘍の位置、大きさ、および増殖パターンを含むデータを、病理学報告を精査することにより得た。術後の放射線治療および/または化学療法についての情報と、患者の一般状態は分析に利用できなかった。材料は、Institutional Review Board of the Asan Medical CenterおよびNIHのOffice of Human Subjects Researchから、適正な人権保護の承認とともに得た。
(組織マイクロアレイの構築)
組織マイクロアレイ(TMA)を、上記EHCCの被験体のそれぞれに由来する、保管したホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した組織ブロックから構築した。各腫瘍について、代表的な腫瘍の領域を、当該分野で公知の方法を使用して、ドナーの組織ブロックのヘマトキシリンとエオシンで染色した切片から注意深く選択した(例えば、Hidalagoら、J.Clin.Pathol.56:144−146,2003、およびHongら、Mod.Pathol.20:562−569,2007を参照のこと)。20の正常な胆管上皮、67の胆管異形成症、および221のEHCCの症例を研究した。各被験体は、各ドナーの組織ブロックに由来する1.5mmの直径の2つのコアを用いて説明した。
組織マイクロアレイ(TMA)を、上記EHCCの被験体のそれぞれに由来する、保管したホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した組織ブロックから構築した。各腫瘍について、代表的な腫瘍の領域を、当該分野で公知の方法を使用して、ドナーの組織ブロックのヘマトキシリンとエオシンで染色した切片から注意深く選択した(例えば、Hidalagoら、J.Clin.Pathol.56:144−146,2003、およびHongら、Mod.Pathol.20:562−569,2007を参照のこと)。20の正常な胆管上皮、67の胆管異形成症、および221のEHCCの症例を研究した。各被験体は、各ドナーの組織ブロックに由来する1.5mmの直径の2つのコアを用いて説明した。
(統計分析)
統計分析は、SAS(バージョン9.13)およびR(.rproject.orgで、ワールドワイドウェブ上で利用できる)を使用して行った。正常な胆管上皮細胞、異形成症、およびEHCCの症例の間でのp−AKT、p−mTOR、および全PTENのディファレンシャルな発現を、発現の正規化後に、ANOVAおよびダンカンの検定により比較した。カテゴリー変数間の関係を、ピアソンのカイ二乗検定およびフィッシャーの正確検定を使用して試験した。ログランク統計試験と組み合わせた再帰分布技術を利用して、タンパク質発現に基づいて患者の結果を判断する、カットオフ点を同定した(実施例8を参照のこと)。生存曲線をカプラン・マイヤー法により計算し、統計学的有意性を、ログランク試験とコックス比例ハザード回帰モデルにより試験した。0.05未満のp値を統計学的に有意と見なした。
統計分析は、SAS(バージョン9.13)およびR(.rproject.orgで、ワールドワイドウェブ上で利用できる)を使用して行った。正常な胆管上皮細胞、異形成症、およびEHCCの症例の間でのp−AKT、p−mTOR、および全PTENのディファレンシャルな発現を、発現の正規化後に、ANOVAおよびダンカンの検定により比較した。カテゴリー変数間の関係を、ピアソンのカイ二乗検定およびフィッシャーの正確検定を使用して試験した。ログランク統計試験と組み合わせた再帰分布技術を利用して、タンパク質発現に基づいて患者の結果を判断する、カットオフ点を同定した(実施例8を参照のこと)。生存曲線をカプラン・マイヤー法により計算し、統計学的有意性を、ログランク試験とコックス比例ハザード回帰モデルにより試験した。0.05未満のp値を統計学的に有意と見なした。
(実施例2)
(マルチ組織免疫ブロッティングによるプロテオミクス発現プロファイリング)
マルチ組織免疫ブロッティング(MTI)を、当該分野で知られているように行った(例えば、Chungら、Proteomics.6:676−74,2006、およびChungら、Cancer Epidemiol.Biomarkers.Prev.15:1403−08,2006)。簡単に説明すると、TMAスライドを脱パラフィンし、酵素カクテル溶液[0.001%のトリプシン、および0.002%プロテイナーゼK、10%のグリセロール、50mMのNH4HCO3、pH8.2(Fisher Scientific,Hampton,NH)]で、37℃で30分間処理した。続いて、スライドを、Probuffer完全プロテアーゼ阻害剤溶液(Probuffer complete protease inhibitor solution)[50mlのPBS(pH 7.2)中の、0.5mlのホスファターゼ阻害剤I(Sigma,St.Louis,MO)、0.5mlのホスファターゼ阻害剤II(Sigma)、1つのプロテアーゼ阻害剤の錠剤(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)]とともに、室温(RT)で20分間インキュベートした。処理したスライドのタンパク質を、P−FILMの5枚のメンブレンを積み重ねたもの(セット)(20/20 GeneSystems,Rockville,MD)に、Tris−グリシン移動緩衝液(50mMのTris、380mMのグリシン)を使用して、55℃で1時間、65℃で0.5時間、そして80℃で2時間の段階的条件下で移動させた。タンパク質の移動後、メンブレンを、Tween 20を含むTBSTで洗浄した。
(マルチ組織免疫ブロッティングによるプロテオミクス発現プロファイリング)
マルチ組織免疫ブロッティング(MTI)を、当該分野で知られているように行った(例えば、Chungら、Proteomics.6:676−74,2006、およびChungら、Cancer Epidemiol.Biomarkers.Prev.15:1403−08,2006)。簡単に説明すると、TMAスライドを脱パラフィンし、酵素カクテル溶液[0.001%のトリプシン、および0.002%プロテイナーゼK、10%のグリセロール、50mMのNH4HCO3、pH8.2(Fisher Scientific,Hampton,NH)]で、37℃で30分間処理した。続いて、スライドを、Probuffer完全プロテアーゼ阻害剤溶液(Probuffer complete protease inhibitor solution)[50mlのPBS(pH 7.2)中の、0.5mlのホスファターゼ阻害剤I(Sigma,St.Louis,MO)、0.5mlのホスファターゼ阻害剤II(Sigma)、1つのプロテアーゼ阻害剤の錠剤(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)]とともに、室温(RT)で20分間インキュベートした。処理したスライドのタンパク質を、P−FILMの5枚のメンブレンを積み重ねたもの(セット)(20/20 GeneSystems,Rockville,MD)に、Tris−グリシン移動緩衝液(50mMのTris、380mMのグリシン)を使用して、55℃で1時間、65℃で0.5時間、そして80℃で2時間の段階的条件下で移動させた。タンパク質の移動後、メンブレンを、Tween 20を含むTBSTで洗浄した。
各メンブレンを、抗p−AKT、抗p−mTOR、および全PTEN(それぞれ、1:100希釈;Cell Signaling,Danvers,MA)とともに一晩インキュベートし、続いて、FITC結合抗ウサギIgG(1:1000;Molecular Probes,Carlsbad,CA)およびストレプトアビジン結合Cy5(1:1000;Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)とともに30分間インキュベートした。免疫検出後、全細胞性タンパク質の含有量を、タンパク質のビオチニル化により測定し、その後、メンブレンをストレプトアビジン−Cy5とともにインキュベーションした。蛍光に基づく検出(Microarray Scanner,PerkinElmer,Wellesley,MA)後、シグナル強度を、アレイ間正規化(各メンブレン内でのバックグラウンド変動についての補正)後に定量化し、続いて、特異的タンパク質/全細胞性タンパク質の含有量の比を決定した。アレイ間正規化は、同じメンブレンについて、全細胞性タンパク質の含有量に対するメンブレンあたりの特異的タンパク質含有量の比を決定することにより行った。
随意的な2回目の正規化プロセス(アレイ内正規化)を、研究するメンブレンのセットの間での変動を補正するために行った。アレイ内正規化を、正常な胆管上皮細胞の発現レベルの中央値を調整することにより行った。
(実施例3)
(免疫組織化学)
組織切片を、それぞれ、キシレンおよび段階的なアルコール溶液中で脱パラフィンし、水和した。内因性のペルオキシダーゼを、3%のH2O2中で10分間インキュベーションすることによりブロックした。抗原回復を、予め温めておいた抗原回復緩衝液(pH 10)(Dako,Glostrup,Denmark)を用いて、圧力調理器(steam pressure cooker)中で、95℃で10分間行った。非特異的染色を最小限にするために、切片をタンパク質ブロック(Dako)とともに15分間インキュベートした。一次抗体を4℃で一晩インキュベートした。抗原−抗体反応を、DAKO
LSAB+ペルオキシダーゼキットとDABを用いて検出した。抗p−AKT、抗p−mTOR、およびPTEN抗体(Cell Signaling)を、1:200の希釈率で使用した。免疫染色した切片をヘマトキシリンで軽く対比染色し、エタノール中で脱水し、キシレン中で洗浄した。
(免疫組織化学)
組織切片を、それぞれ、キシレンおよび段階的なアルコール溶液中で脱パラフィンし、水和した。内因性のペルオキシダーゼを、3%のH2O2中で10分間インキュベーションすることによりブロックした。抗原回復を、予め温めておいた抗原回復緩衝液(pH 10)(Dako,Glostrup,Denmark)を用いて、圧力調理器(steam pressure cooker)中で、95℃で10分間行った。非特異的染色を最小限にするために、切片をタンパク質ブロック(Dako)とともに15分間インキュベートした。一次抗体を4℃で一晩インキュベートした。抗原−抗体反応を、DAKO
LSAB+ペルオキシダーゼキットとDABを用いて検出した。抗p−AKT、抗p−mTOR、およびPTEN抗体(Cell Signaling)を、1:200の希釈率で使用した。免疫染色した切片をヘマトキシリンで軽く対比染色し、エタノール中で脱水し、キシレン中で洗浄した。
(実施例4)
(p−AKTおよびp−mTORの発現)
実施例2に記載するように行ったマルチ組織免疫ブロッティング(MTI)アッセイにより検出したp−AKTおよびp−mTORタンパク質の発現パターンを、221人のEHCC患者から分析した。16の症例についてのp−AKT、p−mTOR、および全PTENの代表的な発現シグナルを図1Aに示す。最大から最小までの図1Aのシグナル強度を、順に白から灰色から黒色として示す。p−AKTおよびp−mTORについてより高い強度を持つ症例は、全PTENについてより低い強度を示した。
(p−AKTおよびp−mTORの発現)
実施例2に記載するように行ったマルチ組織免疫ブロッティング(MTI)アッセイにより検出したp−AKTおよびp−mTORタンパク質の発現パターンを、221人のEHCC患者から分析した。16の症例についてのp−AKT、p−mTOR、および全PTENの代表的な発現シグナルを図1Aに示す。最大から最小までの図1Aのシグナル強度を、順に白から灰色から黒色として示す。p−AKTおよびp−mTORについてより高い強度を持つ症例は、全PTENについてより低い強度を示した。
発現パターンを、実施例3に記載するように行った免疫組織化学により確認した。図1Bは、異形成症およびEHCCにおけるp−AKT、p−mTOR、およびPTENタンパク質の免疫組織化学的染色を示す。他の研究において見られるように、MTIと免疫組織化学との間で強い相互関係が観察された(Chungら、Proteomics.2006;6:767−74、およびTraicoffら、J.Biomed Sci.2007;14:395−405)。
さらに、全タンパク質含有量についての正規化手順および/またはアレイ内正規化工程の両方が組み入れられている本開示の正規化手順が原因で、MTIと免疫組織化学データとの間での強い相互関係もまた観察された。正規化後、正常な胆管上皮、異形成症、および癌の症例の間でのp−AKTおよびp−mTORの相対的発現を計算した(図2)。p−AKTの発現とp−mTORの発現は、正常な胆管上皮および異形成症の上皮との間で有意な差異は観察されなかった。しかし、EHCCの試料は、正常な胆管上皮および異形成症の胆管上皮の発現よりも統計学的に有意に高いp−AKTの発現(p<0.05、hoc Duncan試験後)およびp−mTORの発現(p<0.05、hoc Duncan試験後)を示した(図2Aおよび2B)。全体的に、p−AKTの発現は、正規化後、異形成症の26.3%(15/57の症例)およびEHCCの84.2%(186/221の症例)において上昇していた(図2A)。p−mTORの発現は、p−AKTの発現と類似しており、それぞれ、異形成症の28.1%(16/57の症例)およびEHCCの83.7%(185/221の症例)においてp−mTORの発現の増大が検出された(図2B)。
p−AKTとp−mTORとの間での統計学的に有意なポジティブな相互関係(r=0.45,P<0.001;図2C)もまた観察された。これは、他の臓器由来の癌においてこれまでに報告されたように、2種類のタンパク質が同じシグナル伝達経路に関係しているという関係をサポートしている(Fariedら、Mol.Carcinog.2008;47:446−57)。
(実施例5)
(PTENの発現)
T1 TNM期の症例が、他の分類(T2、8.92;T3、7.18;T4、3.98;p<0.05、hoc Duncan試験後、図3A)を有する症例よりも有意に高い相対的なPTENの発現(平均、16.08;相対的発現強度)を有することが明らかになった。膵臓への浸潤を持つ患者が、膵臓への浸潤を持たない患者(平均、9.95;p<0.05、hoc Duncan試験後)よりも有意に低いPTENの発現(平均、5.94)を有することを観察した。十二指腸への浸潤を持つ症例は、十二指腸への浸潤を持たない症例(平均、9.04;p<0.05、hoc Duncan試験後、図3B)よりも統計学的に低いPTENの発現(平均、3.98)を有していた。疾患をより高く病期グループ分けされた患者(IIBおよびIII)は、より低い病期を持つ患者(IAおよびIIA(それぞれ、17.23および8.14;p<0.05、hoc Duncan試験後、図3C))よりも有意に低いPTENの発現(それぞれ、6.45および3.98)を有していた。患者の生存性に関する指標に関する最近の見解を参照して(Hongら、Mod.Pathol.20:562−569,2007)、患者の生存性の指標としての、膜の底から腫瘍の最も深い部分までの腫瘍の浸潤の深さの測定もまた評価した(図3D)。腫瘍細胞の浸潤の程度が低い患者(<0.5cmの浸潤の深さ)が、より深い腫瘍細胞の浸潤を持つ症例(>1.2cmの浸潤、平均PTEN 1.61;(p<0.05、hoc Duncan試験後))よりも統計学的に大きいPTENの発現(平均PTEN、3.41)を有することを観察した。中程度の腫瘍細胞の浸潤(0.5〜1.2cmの浸潤)が2.94の平均PTENを持つことを観察した。これは、統計学的有意性には到達しなかった。
(PTENの発現)
T1 TNM期の症例が、他の分類(T2、8.92;T3、7.18;T4、3.98;p<0.05、hoc Duncan試験後、図3A)を有する症例よりも有意に高い相対的なPTENの発現(平均、16.08;相対的発現強度)を有することが明らかになった。膵臓への浸潤を持つ患者が、膵臓への浸潤を持たない患者(平均、9.95;p<0.05、hoc Duncan試験後)よりも有意に低いPTENの発現(平均、5.94)を有することを観察した。十二指腸への浸潤を持つ症例は、十二指腸への浸潤を持たない症例(平均、9.04;p<0.05、hoc Duncan試験後、図3B)よりも統計学的に低いPTENの発現(平均、3.98)を有していた。疾患をより高く病期グループ分けされた患者(IIBおよびIII)は、より低い病期を持つ患者(IAおよびIIA(それぞれ、17.23および8.14;p<0.05、hoc Duncan試験後、図3C))よりも有意に低いPTENの発現(それぞれ、6.45および3.98)を有していた。患者の生存性に関する指標に関する最近の見解を参照して(Hongら、Mod.Pathol.20:562−569,2007)、患者の生存性の指標としての、膜の底から腫瘍の最も深い部分までの腫瘍の浸潤の深さの測定もまた評価した(図3D)。腫瘍細胞の浸潤の程度が低い患者(<0.5cmの浸潤の深さ)が、より深い腫瘍細胞の浸潤を持つ症例(>1.2cmの浸潤、平均PTEN 1.61;(p<0.05、hoc Duncan試験後))よりも統計学的に大きいPTENの発現(平均PTEN、3.41)を有することを観察した。中程度の腫瘍細胞の浸潤(0.5〜1.2cmの浸潤)が2.94の平均PTENを持つことを観察した。これは、統計学的有意性には到達しなかった。
(実施例6)
(生存性の分析)
生存性の分析のために、患者を、目的のマーカーの発現の中央値に基づいて、p−AKT、PTEN、またはp−mTORの「高い」または「低い」発現体のいずれかとしてカテゴリー分類した。高いp−AKT発現を持つ患者は、低いp−AKT発現を持つ患者(それぞれ、83.3%、83.3%、および83.3%)よりも短い、1年、3年、および5年生存率(それぞれ、79.7%、46.1%、および36.3%)を有していたが、差異は統計学的には有意ではなかった(p=0.06)。
(生存性の分析)
生存性の分析のために、患者を、目的のマーカーの発現の中央値に基づいて、p−AKT、PTEN、またはp−mTORの「高い」または「低い」発現体のいずれかとしてカテゴリー分類した。高いp−AKT発現を持つ患者は、低いp−AKT発現を持つ患者(それぞれ、83.3%、83.3%、および83.3%)よりも短い、1年、3年、および5年生存率(それぞれ、79.7%、46.1%、および36.3%)を有していたが、差異は統計学的には有意ではなかった(p=0.06)。
本研究はまた、高いp−mTORの発現を持つ症例が、低いp−mTORの発現を持つ症例(それぞれ、82.2%、51.5%、および41.0%)よりも短い1年、3年、および5年生存率(それぞれ、70.6%、22.1%、および22.1%)を示したことを明らかにした。しかし、2つのグループ間に統計学的に有意な差異はなかった(p=0.06)。図4は、PTENの発現にしたがうEHCCのカプラン・マイヤー生存分析を示す。低いPTENの発現を持つ患者(生存性の中央値 18か月;n=17)は、高いPTENの発現を持つ患者(生存性の中央値 39か月;n=117;ログランク試験、P=0.004)よりも有意に悪い患者の生存期間を有していた。低いPTENの発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、80.0%、13.3%、および13.3%であり、一方、高いPTENの発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、80.7%、52.3%、および42.2%であった。
(実施例7)
(PTEN/p−AKT比またはPTEN/p−mTOR比の発現プロファイルによる生存性の分析)
PTENの発現とp−AKT発現の互いの組み合わせ、またはPTENの発現とp−mTORの発現の互いの組み合わせが、EHCC患者の生存確率の決定について、優れた予測となる可能性があるかどうかを決定するために、PTEN/p−AKTの発現の比、またはPTEN/p−mTORの発現の比を評価した。ログランク試験と組み合わせた再帰分布により、PTEN/p−AKT比に基づいて患者の生存性を判断するための最良のカットオフ点が0.77であることを観察した。図5Aは、PTEN/p−AKTの発現にしたがうEHCCのカプラン・マイヤー生存分析を示す。低いPTEN/p−AKT発現を持つ患者(0.77未満または0.77と同等のPTEN/p−AKT比;生存性の中央値 18か月;n=42)は、高いPTEN/p−AKT発現を持つ患者(0.77より大きい;生存性の中央値 45か月;n=91;ログランク試験、P=0.003)よりも有意に悪い患者の生存性を有していた。低いPTEN/p−AKT発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、72.6%、30.0%、および23.4%であり、一方、高いPTEN/p−AKT発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、84.1%、56.4%、および46.2%であった(図5A)。
(PTEN/p−AKT比またはPTEN/p−mTOR比の発現プロファイルによる生存性の分析)
PTENの発現とp−AKT発現の互いの組み合わせ、またはPTENの発現とp−mTORの発現の互いの組み合わせが、EHCC患者の生存確率の決定について、優れた予測となる可能性があるかどうかを決定するために、PTEN/p−AKTの発現の比、またはPTEN/p−mTORの発現の比を評価した。ログランク試験と組み合わせた再帰分布により、PTEN/p−AKT比に基づいて患者の生存性を判断するための最良のカットオフ点が0.77であることを観察した。図5Aは、PTEN/p−AKTの発現にしたがうEHCCのカプラン・マイヤー生存分析を示す。低いPTEN/p−AKT発現を持つ患者(0.77未満または0.77と同等のPTEN/p−AKT比;生存性の中央値 18か月;n=42)は、高いPTEN/p−AKT発現を持つ患者(0.77より大きい;生存性の中央値 45か月;n=91;ログランク試験、P=0.003)よりも有意に悪い患者の生存性を有していた。低いPTEN/p−AKT発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、72.6%、30.0%、および23.4%であり、一方、高いPTEN/p−AKT発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、84.1%、56.4%、および46.2%であった(図5A)。
同じ再帰分布技術を使用してPTEN/p−mTOR比に基づいて患者の生存性を判断するための最良のカットオフ点が0.33であることを観察した(PTEN/p−AKT比を計算するために使用した技術と同じ技術を使用した)。図5Bは、PTEN/p−mTORの発現によるEHCCのカプラン・マイヤー生存分析を示す。低いPTEN/p−mTORの発現を持つ患者(0.33未満または0.33と同等のPTEN/p−mTOR;生存性の中央値 18カ月;n=21)は、高いPTEN/p−mTORの発現を持つ患者(0.33を上回る;生存性の中央値 39カ月;n=112;ログランク試験、P=0.009)よりも有意に悪い患者の生存期間を有していた。低いPTEN/p−mTORを持つ患者のグループについての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、76.2%、22.9%、および11.4%であり、一方、高いPTEN/p−mTORの発現を持つ患者についての1年、3年、および5年生存率は、それぞれ、81.3%、52.9%、および43.3%であることを観察した(図5B)。
簡単な検査と「合理的な」カット点(例えば、0より上、0より下、1もしくは同様の数より上または下)の決定もまた、このアプローチに基づいて開発した他の生体マーカーについて正しいことが明らかになった。カット点を決定するための方法は無数にある。
(実施例8)
(患者の臨床病理学的特徴)
試験した症例の臨床病理学的特徴を表1にまとめる。患者の年齢は、30歳〜84歳の範囲であった(平均61歳)。134人の患者が男性であり、87人が女性であった。腫瘍の大きさは、0.4cm〜6cmの範囲であった(平均2.6cm)。
(患者の臨床病理学的特徴)
試験した症例の臨床病理学的特徴を表1にまとめる。患者の年齢は、30歳〜84歳の範囲であった(平均61歳)。134人の患者が男性であり、87人が女性であった。腫瘍の大きさは、0.4cm〜6cmの範囲であった(平均2.6cm)。
34の症例がT1腫瘍であり、80の症例がT2腫瘍であり、84の症例がT3腫瘍であり、そして23の症例がT4腫瘍であった。患者の追跡調査機期間の長さは、1カ月〜128カ月の範囲であり、最後の追跡での生存性の中央値は34カ月であった。
他の臨床病理学的変数を、生存性との関係について分析した。これらのうち、T分類(P=0.0002)、リンパ節転移(P=0.0001)、分化(P<0.0001)、膵臓への浸潤(P=0.01)、十二指腸への浸潤(P=0.003)、肝臓への浸潤(P=0.005)、および血管への浸潤(P=0.04)は全て、生存性と有意な関係があった。対照的に、生存性は、神経周囲への浸潤および切除術の周囲の状態(marginal status)とは関係はなかった。
(実施例9)
臨床病理学的要因の多変量解析
PTEN/p−AKT比、ならびに他の臨床病理学的パラメーターの独自の予後についての有意性を、Cox比例ハザードモデルを使用して決定した。この多変量解析を使用した場合には、リンパ節転移(P=0.008)および分化(P=0.0002)だけが依然有意であった(表2)。PTEN/p−AKTはこの分析においては統計学的有意性が得られなかった(P=0.09)。同様の結果が、PTEN/pm−TORの多変量解析によっても得られた(未公開データ)。
臨床病理学的要因の多変量解析
PTEN/p−AKT比、ならびに他の臨床病理学的パラメーターの独自の予後についての有意性を、Cox比例ハザードモデルを使用して決定した。この多変量解析を使用した場合には、リンパ節転移(P=0.008)および分化(P=0.0002)だけが依然有意であった(表2)。PTEN/p−AKTはこの分析においては統計学的有意性が得られなかった(P=0.09)。同様の結果が、PTEN/pm−TORの多変量解析によっても得られた(未公開データ)。
(実施例10)
(Phospho−AKT、Phospho−mTOR、Phospho−MAPK、およびEGFRの組み合わせが非小細胞性肺癌における生存性を予測する)
多数の経路の活性化が、非小細胞性肺癌(NSCLC)において実証されている。これは、予後に関して意義があり、さらには、治療的介入のための標的となり得る。これらの経路の間には有意なクロストークが存在する。上皮成長因子受容体(EGFR)は、NSCLCにおける重要な標的として浮上している。分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)およびAKTシグナル伝達経路の2つの主要な構成要素は、EGFRの下流に存在し、肺癌を含む多くのヒトの癌において遺伝的機構および後成的機構を通じて脱調節される。本発明者らは、非小細胞性肺癌において、MAPK経路およびAKT/mTOR経路の上流と下流との間での関係を明らかにしようと使用と考えた。
(Phospho−AKT、Phospho−mTOR、Phospho−MAPK、およびEGFRの組み合わせが非小細胞性肺癌における生存性を予測する)
多数の経路の活性化が、非小細胞性肺癌(NSCLC)において実証されている。これは、予後に関して意義があり、さらには、治療的介入のための標的となり得る。これらの経路の間には有意なクロストークが存在する。上皮成長因子受容体(EGFR)は、NSCLCにおける重要な標的として浮上している。分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)およびAKTシグナル伝達経路の2つの主要な構成要素は、EGFRの下流に存在し、肺癌を含む多くのヒトの癌において遺伝的機構および後成的機構を通じて脱調節される。本発明者らは、非小細胞性肺癌において、MAPK経路およびAKT/mTOR経路の上流と下流との間での関係を明らかにしようと使用と考えた。
本実施例において記載するように、231の非小細胞性肺癌患者の症例を、組織マイクロアレイの中に整列させた。リン酸化されたAKT(p−AKT)、リン酸化されたMAPK(p−MAPK)、およびリン酸化されたmTOR(p−mTOR)、およびEGFRを、免疫組織化学により研究し、画像分析システムによりスコアした。生存性についての分析は、各抗体のレベル(これは、それぞれの対応する抗原のレベルを示す)においては、独立した有意な差異は示さないが、p−AKTに対するp−mTORの比(p−mTOR/p−AKT、p=0.043)と、EGFRに対するp−MAPKの比(p−MAPK/EGFR、p=0.031)について有意な相互関係を明らかにした。これらの比の和は、生存性とのさらに有意な相互関係を示した(p=0.007)。多変量解析においては、4種類の個々の生体マーカーの比の和は、性別、年齢、癌のタイプ、および病期を用いた調整後もなお、統計学的に有意であった(p=0.038)。
したがって、本実施例は、p−mTOR/p−AKTとp−MAPK/EGFRの和が、NSCLCの患者の生存性を予測するマーカーであることを明らかにする。代数方程式を用いた免疫組織化学の定量的画像分析は、新規の生存性についての生体マーカーをもたらし、標的治療のための患者の同定における手がかりを提供する。
(序章)
肺癌は、世界中で、男性および女性のいずれにおいても癌による死の最も一般的な原因である。処置(例えば、化学療法および化学放射線療法の併用)が進歩しているにも関わらず、生存性は、過去数十年間でごくわずかしか改善していない(Schiller,Oncology 61 Suppl 1:3−13,2001)。
肺癌は、世界中で、男性および女性のいずれにおいても癌による死の最も一般的な原因である。処置(例えば、化学療法および化学放射線療法の併用)が進歩しているにも関わらず、生存性は、過去数十年間でごくわずかしか改善していない(Schiller,Oncology 61 Suppl 1:3−13,2001)。
最近、多くの標的剤(targeted agent)が浮上した(LoPiccoloら、Drug Resist Updat 11:32−50,2008)。上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ(Gefitinib)(イレッサ(Iressa)(登録商標))は、日本では、2002年に非小細胞性肺癌(NSCLC)の処置について承認された。これは、特定の集団においてより効力があると見られる。腫瘍の特徴(例えば、EGFRの突然変異および/または増幅の存在)もまた、より高い反応速度(response rate)と相互に関係があるとみられた。突然変異体EGFRは、シグナル伝達経路および抗アポトーシス経路(特に、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)−AKTにより媒介される経路)を活性化することにより腫瘍形成性の効果を誘導する。しかし、EGFRの過剰発現は、NSCLCにおいて標的治療を用いた場合の処置の利点と予後をうまく予測することはできない(Sasakiら、J Surg Res 148:260−3,2008;Vergisら、Lancet Oncol 9:342−51,2008;Howardら、Lung Cancer 46:313−23,2004)。EGFRの下流にある2つの主要なシグナル伝達経路が同定されている:分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路とPI3K/AKT/哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)経路(Jorissenら、Exp Cell Res 284:31−53,2003)。PI3K依存性の様式での細胞外刺激により活性化されたAKTは、腫瘍形成において極めて重要な役割を果たす(Frankeら、Cell 88:435−7,1997)。これらの経路の誘導は、関与しているタンパク質のリン酸化により媒介される。多数の研究により、これらの経路のメンバーの予後に関する意義が別々に試験された(Al−Bazzら、Eur J Cancer,2009;Gallegesら、Br J Cancer 100:145−52,2009;Guoら、Pathol Int 58:749−56,2008;Hagerら、J Cell Mol Med,10.1111/j.1582−4934.2008.00488.x,2008;Herbergerら、Clin
Cancer Res 13:4795−9,2007;Pelloskiら、Clin Cancer Res 12:3935−41,2006;Schmitzら、Virchows Arch 450:151−9,2007;Schmitzら、J Hepatol 48:83−90,2008;Tsurutaniら、Lung Cancer 55:115−21,2007)が、1つのグループとしてのこれらの経路のアッセイは行われていない。
Cancer Res 13:4795−9,2007;Pelloskiら、Clin Cancer Res 12:3935−41,2006;Schmitzら、Virchows Arch 450:151−9,2007;Schmitzら、J Hepatol 48:83−90,2008;Tsurutaniら、Lung Cancer 55:115−21,2007)が、1つのグループとしてのこれらの経路のアッセイは行われていない。
本研究において、本発明者らは、肺癌組織マイクロアレイ(TMA)、およびEGFR発現と組み合わせたMAPK、AKT、mTORのリン酸化状態を使用して、MAPKおよびAKT/mTOR経路に焦点を当てた。これまでに、本発明者らは、比に基づく生体マーカーが、生体マーカーの個別の評価を上回る、患者の生存性についての強化された区別を提供することができることを明らかにした(Chungら、Clin Cancer
Res 15:660−7,2009)。このアプローチには、生体マーカーの定量的評価が必要である。活性化の経路についての、下流のタンパク質が上流のタンパク質(分母)に対する分子である生体マーカーの比に基づいて、本発明者らは、リン酸化されたAKT(p−AKT)に対するリン酸化されたmTOR(p−mTOR)の比(p−mTOR/p−AKT)と、EGFRに対するリン酸化されたmTORの比(p−MAPK/EGFR)が生存性の予測となることを明らかにする。
Res 15:660−7,2009)。このアプローチには、生体マーカーの定量的評価が必要である。活性化の経路についての、下流のタンパク質が上流のタンパク質(分母)に対する分子である生体マーカーの比に基づいて、本発明者らは、リン酸化されたAKT(p−AKT)に対するリン酸化されたmTOR(p−mTOR)の比(p−mTOR/p−AKT)と、EGFRに対するリン酸化されたmTORの比(p−MAPK/EGFR)が生存性の予測となることを明らかにする。
(材料および方法)
(臨床試料)
全部で231の肺癌の症例を、診断とパラフィンブロック上の利用できる組織の質に基づいて、富山大学付属病院(Toyama University Hospital)病理学的症例の保管物から選択した。これらの患者には、ネオアジュバント療法を行わなかった。腫瘍を、癌のTNM分類に照らしてInternational Unionにしたがって病期分類し、組織学的に分け、2004年のWHOによりガイドライン(Fukuokaら、Clin Cancer Res 10:4314−24,2004)にしたがって悪性度を決定した。
(臨床試料)
全部で231の肺癌の症例を、診断とパラフィンブロック上の利用できる組織の質に基づいて、富山大学付属病院(Toyama University Hospital)病理学的症例の保管物から選択した。これらの患者には、ネオアジュバント療法を行わなかった。腫瘍を、癌のTNM分類に照らしてInternational Unionにしたがって病期分類し、組織学的に分け、2004年のWHOによりガイドライン(Fukuokaら、Clin Cancer Res 10:4314−24,2004)にしたがって悪性度を決定した。
(TMAの構築、免疫組織化学、およびスコアリング)
TMAを、TMA arrayer(Pathology Devices,Westminster,MD)を以前に記載されたように使用して構築した(Kononenら、Nat Med 4:844−7,1998)。各症例について、最も典型的な組織学を持つ領域を、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)で染色したスライドを観察することにより選択した。円柱状の組織試料(0.6mm)を、ドナーのブロック中の上記領域から芯を抜き、レシピエントアレイに押し出した。5μm厚の複数の切片をミクロトームを用いて切り、TMAスライドのH&E染色を、腫瘍細胞の存在について切片50枚ごとに試験した。
TMAを、TMA arrayer(Pathology Devices,Westminster,MD)を以前に記載されたように使用して構築した(Kononenら、Nat Med 4:844−7,1998)。各症例について、最も典型的な組織学を持つ領域を、ヘマトキシリン−エオシン(H&E)で染色したスライドを観察することにより選択した。円柱状の組織試料(0.6mm)を、ドナーのブロック中の上記領域から芯を抜き、レシピエントアレイに押し出した。5μm厚の複数の切片をミクロトームを用いて切り、TMAスライドのH&E染色を、腫瘍細胞の存在について切片50枚ごとに試験した。
EGFR(M3563)抗体はDAKO(Carpinteria,CA)から購入し、p−AKT(T308)、p−MAPK、およびp−mTOR抗体は、Cell Signaling(Beverly,MA)から購入した。組織切片をキシレン中で脱パラフィンし、本明細書中に記載するように、段階的なアルコールの系列から蒸留水までで再水和した。EGFRの抗原回復を、プロテアーゼK(DAKO)を使用して行い、p−mTORについては、pH6のTarget Retrieval Solution(DAKO)とともにPressure Chamber(Pascal,DAKO)を使用して、そして他の抗体については、pH10のTarget Retrieval Solution(DAKO)とともにPressure Chamber(Pascal,DAKO)を使用して抗原回復を行った。これらのスライドを過酸化水素/メタノールでブロックした。リンスした後、これらのスライドを、一次抗体とともに一晩インキュベートした。各抗体の希釈は以下のとおりとした:EGFRについては1:1000、p−mTORについて1:100、p−MAPKについては1:500、そしてp−AKTについては1:100。標的シグナルを、LSABペルオキシダーゼキットとDABを用いて自動染色装置(autostainer)の中で検出した。染色したスライドをヘマトキシリンで軽く対比染色し、その後、Aperio ScanScope CS Slide Scanner(Aperio Technologies,Vista,CA)システムを使用してスキャンした。Spectrum Plus Database(Aperio Technologies)と組み合わせたポジティブピクセルカウントアルゴリズム(positive pixel count algorithm)を、膜での発現と細胞質での発現の両方についての定性的スコアリングモデルを開発するために使用し、4つのグループ(強いポジティブ、ポジティブ、弱いポジティブ、およびネガティブ)にピクセルを分類した。
(統計分析)
統計分析を、JMP Statistical Discovery Software、バージョン7.0.1(SAS Institute,Cary,NC)を使用して行った。
統計分析を、JMP Statistical Discovery Software、バージョン7.0.1(SAS Institute,Cary,NC)を使用して行った。
重量スコア(WS)を、WS=[(強いポジティブピクセルの数)×1000+(ポジティブピクセルの数)×100+(弱いポジティブピクセルの数)×10+(強いネガティブピクセルの数)×1]/(ピクセルの総数)と定義した。
階層的クラスター分析を、WSに基づいて行った。最大スコアの10%を上回るWSを、各抗体を評価するためのハイスコアグループと見なした。カイ二乗検定を使用して、抗体を、各カテゴリー内の互いのものとの関係において評価した。
全体的な生存性を、カプラン・マイヤーの積極限法(Kaplan−Meier product−limit method)にしたがって分析し、生存曲線を、ログランク試験を用いて比較した。P−mTOR/p−AKTとp−MAPK/EGFRを、正規化のためにそれぞれの最大比で割り算し、0.01を上回るまたは下回るカットオフ値に基づいて、ポジティブまたはネガティブの二分化した。これらの比の和を、「代数的生体マーカー」と定義した。二分化のためのカットオフ値は0.015であった。本発明者らは、試しに階層化したCoxモデルを使用し、以下の臨床的予後についての変数について調整した:診断時の年齢(60歳未満;60歳以上)、性別、癌のタイプ、および病期。P値は、これらが0.05未満である場合に有意とみなした。カイ二乗検定を使用して、代数的生体マーカーのポジティブスコアグループとネガティブスコアグループを比較した。
(結果)
(患者の特徴と画像分析)
最後の分析のために最終的に抽出した症例の数を、それらの臨床的データとともに表3に列挙する。生存期間と結果は、231の症例のうちの204例に限られた。TMAを、p−AKT、p−mTOR、EGFR、およびp−MAPKについて染色した。スライドを、染色の質について手動で精査し(図6)、20×の倍率でAperio Scanscope CS(Vista,CA)を用いて画像化した。続いて、TMAを、Spectrum Plusにおいて脱整列させ(dearray)、腫瘍特性を、画像分析のために各TMAコアについて手作業で注釈を付けた。不適切な腫瘍を含むコアは除外した。ポジティブピクセルとメンブレン画像分析アルゴリズムの同調(tuning)の後、TMAについて画像分析を行った。値(重量スコア)を各腫瘍について計算した。
(患者の特徴と画像分析)
最後の分析のために最終的に抽出した症例の数を、それらの臨床的データとともに表3に列挙する。生存期間と結果は、231の症例のうちの204例に限られた。TMAを、p−AKT、p−mTOR、EGFR、およびp−MAPKについて染色した。スライドを、染色の質について手動で精査し(図6)、20×の倍率でAperio Scanscope CS(Vista,CA)を用いて画像化した。続いて、TMAを、Spectrum Plusにおいて脱整列させ(dearray)、腫瘍特性を、画像分析のために各TMAコアについて手作業で注釈を付けた。不適切な腫瘍を含むコアは除外した。ポジティブピクセルとメンブレン画像分析アルゴリズムの同調(tuning)の後、TMAについて画像分析を行った。値(重量スコア)を各腫瘍について計算した。
本分析は、下流のAKT/mTOR経路のp−mTORとp−AKTに、そして下流のMAPK経路のp−MAPKとEGFRに焦点を当てた。個々の分析によっては、生存性を予測することはできなかった(図8A)。対照的に、p−mTOR/p−AKT(p=0.043、ログランク試験)およびp−MAPK/EGFR(p=0.031)について、これらの経路内で生体マーカーの比を試験した場合には、有意な相互関係が見られた(図8B)。
(代数的生体マーカー(p−mTOR/p−AKT)+(p−MAPK/EGFR))
これらの2つの比に基づく生体マーカーは、個別に、統計学的に有意な生存性についての区別を提供し、これは、単独のマーカーの分析によっては提供されなかった。区別を改善するために、ならびに、すでに記載したクロストークを示すための努力において、両方のレシオメトリックアプローチからなる組み合わせた生体マーカーを開発した。2つの比の和が優れたアプローチであることが明らかになった。この「二重の比」生体マーカーは統計学的により有意であり、個々の比に基づく生体マーカーのいずれかを用いて観察されたよりも、生体マーカーについてポジティブおよびネガティブであるそのような患者の間でより大きな広がりを示す。3つのグループ(両方ポジティブ、不一致、または両方ネガティブ)への2つの簡単な比の生体マーカーの分析は、それぞれ、78%、70%、および46%の5年生存率の中央値を生じた(p=0.016)(図8C)。これをさらに洗練するために、2つの比を足し算し、ポジティブクラスおよびネガティブクラスの分類のために新しいカット点を使用すると、二重の比はさらに有意な差異を提供する。5年生存率は、代数的生体マーカーがポジティブである患者については74%、ネガティブである患者については48%であった(図8D)。「二重の比」生体マーカーの結果を、カプラン・マイヤー分析において生体マーカーを組み合わせる従来の方法と比較した場合には、「二重の比」は明らかに優れており、+/−または−/+と解釈された不一致である中間のグループ(図8Cにおいて(+/−)と示したグループ)を除外し、「二重の比」生体マーカーの識別機能にネガティブな影響を与えることはない。図8Cにおいては、中心線は、従来のアプローチに基づくと正確に割り当てることができないが、本明細書中で開発した「二重の比」マーカーを用いると、一人残らず割り当てることができる患者であり、さらに、得られる曲線は、図8Cの2つのパネルにおいては、(+/+)および(−/−)と比較して明らかに別れたままである。機能的には、図8Cは、記載した「生体マーカー代数(biomarker algebra)」が、優れた方法で多数の生体マーカーの性状をモデル化していることを証明している。カプラン・マイヤー分析のログランク検定を強化した(p=0.007)。代数的生体マーカーは、性別(p<0.01)、T状態(p<0.01)、癌のタイプ(p<0.01)、および分化(p<0.01)と関係があったが、病期(p=0.94)およびリンパ節転移(p=0.35)とは関係がなかった。代数的生体マーカーのポジティブは、男性の被験体のうちの64%と比較して、女性の被験体の85%において観察され、pT2〜4の被験体の61%と比較してpT1の被験体の82%、非腺癌の52%と比較して腺癌の82%、そして中程度またはほとんど分化していない癌腫の61%と比較して十分に分化した癌腫の80%において観察された。性別、年齢、癌のタイプ、および病期を用いた、コックス比例ハザード回帰モデルによる調整後も、代数的生体マーカーは依然、有意であった(p=0.038)(表4)。
これらの2つの比に基づく生体マーカーは、個別に、統計学的に有意な生存性についての区別を提供し、これは、単独のマーカーの分析によっては提供されなかった。区別を改善するために、ならびに、すでに記載したクロストークを示すための努力において、両方のレシオメトリックアプローチからなる組み合わせた生体マーカーを開発した。2つの比の和が優れたアプローチであることが明らかになった。この「二重の比」生体マーカーは統計学的により有意であり、個々の比に基づく生体マーカーのいずれかを用いて観察されたよりも、生体マーカーについてポジティブおよびネガティブであるそのような患者の間でより大きな広がりを示す。3つのグループ(両方ポジティブ、不一致、または両方ネガティブ)への2つの簡単な比の生体マーカーの分析は、それぞれ、78%、70%、および46%の5年生存率の中央値を生じた(p=0.016)(図8C)。これをさらに洗練するために、2つの比を足し算し、ポジティブクラスおよびネガティブクラスの分類のために新しいカット点を使用すると、二重の比はさらに有意な差異を提供する。5年生存率は、代数的生体マーカーがポジティブである患者については74%、ネガティブである患者については48%であった(図8D)。「二重の比」生体マーカーの結果を、カプラン・マイヤー分析において生体マーカーを組み合わせる従来の方法と比較した場合には、「二重の比」は明らかに優れており、+/−または−/+と解釈された不一致である中間のグループ(図8Cにおいて(+/−)と示したグループ)を除外し、「二重の比」生体マーカーの識別機能にネガティブな影響を与えることはない。図8Cにおいては、中心線は、従来のアプローチに基づくと正確に割り当てることができないが、本明細書中で開発した「二重の比」マーカーを用いると、一人残らず割り当てることができる患者であり、さらに、得られる曲線は、図8Cの2つのパネルにおいては、(+/+)および(−/−)と比較して明らかに別れたままである。機能的には、図8Cは、記載した「生体マーカー代数(biomarker algebra)」が、優れた方法で多数の生体マーカーの性状をモデル化していることを証明している。カプラン・マイヤー分析のログランク検定を強化した(p=0.007)。代数的生体マーカーは、性別(p<0.01)、T状態(p<0.01)、癌のタイプ(p<0.01)、および分化(p<0.01)と関係があったが、病期(p=0.94)およびリンパ節転移(p=0.35)とは関係がなかった。代数的生体マーカーのポジティブは、男性の被験体のうちの64%と比較して、女性の被験体の85%において観察され、pT2〜4の被験体の61%と比較してpT1の被験体の82%、非腺癌の52%と比較して腺癌の82%、そして中程度またはほとんど分化していない癌腫の61%と比較して十分に分化した癌腫の80%において観察された。性別、年齢、癌のタイプ、および病期を用いた、コックス比例ハザード回帰モデルによる調整後も、代数的生体マーカーは依然、有意であった(p=0.038)(表4)。
全部で231の肺癌を、WSに基づいて階層的クラスター分析によって分析した。このクラスター分析に基づいて、4つのグループを定義した(図7)。カテゴリー1の全ての症例は、p−MAPKについてポジティブであり、ほとんどの症例のWSが、カテゴリー3および4においては低かった。p−AKTはカテゴリー3においてはp−mTORと関係があった(p=0.02、カイ二乗検定)。カテゴリー2においては、p−AKTはEGFRと関係があり(p=0.0015)、そしてp−mTORはp−MAPKと関係があった(p=0.0069)。カテゴリー1においては全ての比が高く、一方、カテゴリー4においては全ての比が低い(表5)。カテゴリー2のp−MAPK/EGFR比はカテゴリー3と同じであるが、カテゴリー2のp−mTOR/p−AKT比は、カテゴリー3の比よりも高い。カテゴリー2の5年生存率は74%であり、カテゴリー4の5年生存率は45%であるが、病期とリンパ節転移の割合はほぼ同じである。
本研究において、本発明者は、p−AKT、EGFR、p−mTOR、およびp−MAPKの組み合わせが予後についてのマーカーの候補であること、そして並行するシグナル伝達経路の多数の抗体を組み合わせることが重要であることを見出した。MAPKおよびAKT/mTOR経路は、腫瘍形成において極めて重要な役割を担っており、これらの抗体は良く知られているが、従来の免疫組織化学的アッセイの適用は、定性的であり、ダイナミックレンジが限られている手動スコアリングアプローチにより再現不可能である。定量分析は、通常、分布の評価のための目盛および/または強度の評価のための目盛を使用することにより決定されてきた(Vergisら、Lancet Oncol 9:342−51,2008;Howardら、Lung Cancer 46:313−23,2004;Yanoら、Cancer Res 68:9479−87,2008)。
生体マーカー代数のこのアプローチは、経路の活性化を反映する比を得るための個々の生体マーカーの定量的測定に依存する。このアプローチの開発において、本発明者らは、活性化の経路について、下流のタンパク質が分子であり、上流のタンパク質が分母であることに注目した。逆に、リプレッションの経路においては、上流(リプレッシング)タンパク質が分子であり、リプレスされた標的(または他の下流のタンパク質)が優性成分である。ポジティブまたはネガティブとして組み合わせた生体マーカーを評価するための最適なカットオフを決定するために、多数の手法を利用することができるが、これらは、一部の様式においては、アッセイ条件(画像分析を含む)、ならびに個々の抗体の親和性を反映する。本発明者らは、これらの比が、経路全体の活性、さらにはこの経路の脱調節の測定値を反映し、標的治療のための患者の同定に有用であり得ると考える。複合的な4種類の抗体を組み合わせた生体マーカーになるように2つの比に基づく生体マーカーを足し算する能力(capacity)は、シグナル伝達経路間でのクロストークの反映であり、腫瘍の他の生物学的に関連する特性であり得る。
これまでの研究で、様々な肺癌および多くの細胞性のプロセスにおいて、AKT/mTOR経路が、増殖、運動性、新血管形成、および生存性を含むAKTにより調節されることが指摘されている(Limら、Oncol Rep 17:853−7,2007;Tangら、Lung Cancer 51:181−91,2006;Samuels & Ericson,Curr Opin Oncol 18:77−82,2006)。MAPKはEGFRによってリン酸化され得る。一部の乳癌患者においては、MAPKが予後因子となっている(Derinら、Cancer Invest 26:671−9,2008;Eralpら、Ann Oncol 19:669−74,2008)。しかし、多数の抗体を免疫組織化学と比較した研究はこれまでにはない。本実施例で議論した結果は、たとえ、1つのタンパク質の発現状態においては有意性が観察されなくても、p−mTOR/p−AKTとp−MAPK/EGFRに生存性の差異が存在することを示す。したがって、経路およびシグナル伝達を分析する際には、1つのタンパク質の発現よりも、複数のタンパク質発現の組み合わせが、さらなる情報をもたらすことが明らかである。
手動スコアリングを含む免疫組織化学研究は定量的方法ではなく、定性的であるが、免疫組織化学はタンパク質発現の評価についてよく知られている(Taylor,Arch
Pathol Lab Med 124:945−51,2000)。画像分析は、定量的情報をもたらし、多数のタンパク質の発現状態の比較が可能である。この比は、(1つの経路における)近位のタンパク質および遠位のタンパク質の発現を比較するための有用な方法であった。本明細書中では、p−mTOR/p−AKTとp−MAPK/EGFRは、上流タンパク質よりも下流のより低い状態(レベル)が予後不良を意味することを示した。
Pathol Lab Med 124:945−51,2000)。画像分析は、定量的情報をもたらし、多数のタンパク質の発現状態の比較が可能である。この比は、(1つの経路における)近位のタンパク質および遠位のタンパク質の発現を比較するための有用な方法であった。本明細書中では、p−mTOR/p−AKTとp−MAPK/EGFRは、上流タンパク質よりも下流のより低い状態(レベル)が予後不良を意味することを示した。
本研究ではまた、比の組み合わせが、1つの比よりも多くの情報を提供し得ることを明らかにする(図8C、8D)。本明細書中に記載する代数的生体マーカーは、低下した死のリスク、分化、およびT状態と関係があったが、病期またはリンパ節への転移とは関係なかった。このような代数的生体マーカーは、予測用の新しいツールと見なすことができる。
免疫組織化学は、多数の抗体の定量的比較については弱いツールであった。代数方程式を用いた免疫組織化学の定量的画像分析は、生存性についての新規の生体マーカーを提供する。本実施例で説明したように、p−mTOR/p−AKTとp−MAPK/EGFRの和が、NSCLCを持つ患者における生存性の予測マーカーである。
(実施例11)
(胃癌についての予測マーカーの同定)
上記アプローチをまとめて、さらに、胃(消化器)癌を、詳細な臨床病理学的データを利用することができる946人の患者の極めて大きなコホートにおいて試験した。ムチン遺伝子、p53、e−カドヘリン、β−カテニンなどを含む多数のマーカーを検索した。Her2とHer3を、病理学者による「手動」での解釈を使用して試験し、これにより、不連続なデータ(定性的データ)を得たが、これは、バイナリーではなく値の範囲を有していた。ハザード比を用いた多変量解析においては、HER2の発現はネガティブな予後因子であり(HR 1.37)、HER3はポジティブな予後因子であった(HR 0.94)。比に基づくメトリックを適用し、0.61のHRを明らかにした。全てのHRが統計学的に有意であったが、1.0からの偏差が大きければ大きいほど、有意であった。
(胃癌についての予測マーカーの同定)
上記アプローチをまとめて、さらに、胃(消化器)癌を、詳細な臨床病理学的データを利用することができる946人の患者の極めて大きなコホートにおいて試験した。ムチン遺伝子、p53、e−カドヘリン、β−カテニンなどを含む多数のマーカーを検索した。Her2とHer3を、病理学者による「手動」での解釈を使用して試験し、これにより、不連続なデータ(定性的データ)を得たが、これは、バイナリーではなく値の範囲を有していた。ハザード比を用いた多変量解析においては、HER2の発現はネガティブな予後因子であり(HR 1.37)、HER3はポジティブな予後因子であった(HR 0.94)。比に基づくメトリックを適用し、0.61のHRを明らかにした。全てのHRが統計学的に有意であったが、1.0からの偏差が大きければ大きいほど、有意であった。
同じ株について、自動画像分析を行うであろう。これは、示した関係を強化すると予想される。本明細書中に記載する方法を使用すると、一般的には、連続データに対する定性的データの比較が有意に強化される。
上記例とは異なり、HER2およびHER3は、シグナル伝達経路において互いに上流/下流には存在せず、代わりに、これらは、機能的ヘテロ二量体を形成する。提案するモデルは、HER3の発現に対するHER2の発現の平衡であり、これは、予測的であり、ここでは、HER2の過剰(例えば、HER2の過剰発現によるか、またはHER3の過少発現による)が予後不良についてのマーカーである。機能的には、このモデルは、分母因子(単数または複数)が分子因子(単数または複数)の下流にある関係と類似しており、本明細書中に記載されるタイプのレシオメトリック生体マーカーが、生物学的レベルにある2つのマーカーの間に関係がある場合には、機能的であるとの概念をさらにサポートする。これはまた、さらに、本明細書中に報告した関係が無作為に観察される事象ではないとの結論をサポートする。
本発明の原理を適用することができる多くの可能性のある実施形態を考慮すると、説明される実施形態が例にすぎず、本発明の範囲の限定と解釈されるべきではないことが理解されるはずである。むしろ、範囲は、以下の特許請求の範囲により定義される。したがって、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および精神に含まれる全てのものを請求する。
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