JP2014040980A - 減酸素システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高分子電解質膜方法を用いつつ減酸素室内が減圧されない減酸素システムを提供する。
【解決手段】減酸素室内の酸素を減少させるための高分子電解質膜を含む減酸素装置102が取り付けられた減酸素室に、開口した孔である空隙172を設ける。減酸素室は、減酸素室の扉が閉状態において前記空隙172以外は閉塞されている。
【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、減酸素システムに関するものである。
従来より、CA(Controlled Atmosphere)貯蔵方法の一つに、高分子電解質膜を用いて減酸素室の酸素を減少させる高分子電解質方法がある。
この高分子電解質膜方法は、アノード層で水を電気分解して水素イオンを作り、その水素イオンが高分子電解質膜内を移動してカソード層に到達し、減酸素室内の酸素と反応してHO水を生成することで酸素を消費する。
特開平9−287869号公報
上記高分子電解質膜方法においては、密閉された減酸素室内のH0は飽和水蒸気圧に達するまでは水蒸気として発生するため、減酸素室内の圧力変化は生じない。しかし、水蒸気が飽和水蒸気圧に達すると減酸素室の壁面に水滴として付着する。このため、減酸素室内部は減圧されることになり、減酸素室の扉が開け難くなると共に、使用条件によっては減酸素室の強度を確保するため肉厚を厚くしたり、リブによる補強などが必要になるという問題点があった。
そこで、本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、高分子電解質膜方法を用いつつ減酸素室内が減圧されない減酸素システムを提供することを目的とする。
本実施形態は、減酸素室と、前記減酸素室の扉と、前記減酸素室内の酸素を減少させるための高分子電解質膜を含む減酸素装置と、前記減酸素室に設けられた空隙と、を有し、前記減酸素室は、前記扉が閉状態において前記空隙以外は閉塞されている、減酸素システムである。
一実施形態の冷蔵庫の縦断面図である。 減酸素装置の拡大縦断面図である。 減酸素ユニットの分解斜視図である。 減酸素装置の正面図である。 減酸素装置の背面図である。 減酸素装置の縦断面図である。 冷蔵室下部と野菜室の縦断面図であって、野菜室の扉を閉めた状態である。 同じく野菜室の扉を引き出した状態である。 同じく野菜室の扉及び減酸素容器を引き出した状態である。 冷蔵庫の冷凍サイクルである。 冷蔵庫のブロック図である。 実施形態と従来における酸素濃度の時間的変化を示すグラフである。 変更例1の減酸素室100の縦断面図である。 変更例2のパッキンの正面図である。 変更例3のパッキンの正面図である。 変更例4の空隙の縦断面図である。 変更例5の減酸素室の横断面図である。
発明の実施の形態
以下、一実施形態の冷蔵庫10について図1〜図12に基づいて説明する。本実施形態の冷蔵庫10は減酸素室100を有し、減酸素室100は減酸素装置102を有している。
(1)冷蔵庫10の構造
冷蔵庫10の構造について図1に基づいて説明する。図1は、冷蔵庫10の全体の縦断面図である。
冷蔵庫10のキャビネット12は断熱箱体であって、内箱と外箱とより形成され、その間に断熱材が充填されている。このキャビネット12内部は、上から順番に冷蔵室14、野菜室16、小型冷凍室18及び冷凍室20を有し、小型冷凍室18の横には不図示の製氷室が設けられている。野菜室16と小型冷凍室18及び製氷室の間には断熱仕切体36が設けられている。冷蔵室14と野菜室16とは水平な仕切体38によって仕切られている。冷蔵室14の前面には、観音開き式の扉14aが設けられ、野菜室16、小型冷凍室18、冷凍室20及び製氷室にはそれぞれ引出し式の扉16a,18a,20aが設けられている。
キャビネット12の背面底部には、機械室22が設けられ、冷凍サイクルを構成する圧縮機24などが載置されている。この機械室22背面上部には、制御板26が設けられている。
冷蔵室14の背面下部から野菜室16の背面において、冷蔵用蒸発器(以下、「Rエバ」という)が設けられ、その下方には冷蔵用送風機(以下、「Rファン」という)が設けられている。小型冷凍室18の背面から冷凍室20の背面にかけて冷凍用蒸発器(以下、「Fエバ」という)が設けられ、その上方には冷凍用送風機(以下、「Fファン」という)が設けられている。Rエバ28で冷却された冷気は、Rファン30によって冷蔵室14及び野菜室16に送風される。Fエバ32で冷却された冷気は、Fファン34によって小型冷凍室18、製氷室、冷凍室20に送風される。
Rエバ28の下方には、ドレインパン56が設けられ、除霜運転中に不図示の除霜ヒータによってRエバ28が加熱され、溶けた霜からなる除霜水は、ドレインパン56に集まる。
冷蔵室14の背面には、冷蔵室14の庫内温度を検出する冷蔵室用センサ(以下、「Rセンサ」という)が設けられ、冷凍室20の背面には、冷凍室20の庫内温度を検出する冷凍用センサ(以下、「Fセンサ」という)35が設けられている。
(2)冷蔵室14と野菜室16
次に、冷蔵室14と野菜室16の構造について説明する。
図1に示すように、冷蔵室14には、複数の棚40が設けられ、下部には引出し式のチルド容器42を有するチルド室44が設けられている。このチルド室44は低温室であって、肉や魚を収納する。冷蔵室14の扉14aの背面には複数のドアポケット46が設けられている。
図7〜図9に示すように、野菜室16には、引出し式の野菜容器48が設けられ、野菜室16の扉16aの背面から後方に突出した左右一対の移動レール50,50に支持され、左右一対の移動レール50,50は、野菜室16の右内壁と左内壁にそれぞれ設けられた固定レール52,52上を水平方向に移動する。
野菜室16の天井部に当たる仕切体38の後部には、減酸素室100が設けられている。この減酸素室100の後部には、減酸素装置102が設けられている。この減酸素室100と減酸素装置102については後から詳しく説明する。
(3)減酸素室100
次に、減酸素室100の構造について図1、図2、図5、図7〜図9に基づいて説明する。
図1に示すように、減酸素室100は、仕切体38に吊り下げられた状態の容器収納部104、この容器収納部104から前方に引出し可能な減酸素容器106、減酸素装置100を有する。
図7〜図9に示すように、容器収納部104は仕切体38に吊り下げられ、容器収納部104の天井面は仕切体38によって構成され、前面は開口し、背面104a、両側面、底面を有してる。
図7〜図9に示すように、減酸素容器106は、開口した容器収納部104の前面から引出し可能であり、減酸素容器106の前面が扉108を兼ねている。この扉108の背面の四周には、額縁状のパッキン110が設けられ、減酸素容器106を容器収納部104に収納したときに減酸素室100を閉塞する。
図2、図5に示すように、酸素センサ170が、容器収納部104の背面104a前側に設けられている。この酸素センサ170は、減酸素室100内の酸素濃度を測定する。
図2に示すように、容器収納部104の背面104a後側には、取り付け口112が開口し、この取り付け口112の位置に減酸素装置102が取り付けられている。
また、図5に示すように、1個の円孔よりなる空隙172が、容器収納部104の背面104aを貫通している。空隙172は、直径が約1mmである。この空隙172を設ける位置は、図5に示すように後から説明する減酸素ユニット115の取り付け孔112の近傍で、かつ、酸素センサ170の近傍に設けられている。なお、減酸素室100は、扉108を閉じた状態で、この空隙172以外は、完全に閉塞されている。
(4)減酸素装置102
次に、減酸素装置102の構造について図2〜図6に基づいて説明する。
高分子電解質膜方法を利用した減酸素装置102は、断熱性を有する箱型のケース114の内部に、減酸素ユニット115が設けられている。
(4−1)減酸素ユニット115
まず、減酸素ユニット115について、図2及び図3に基づいて説明する。図2は、減酸素装置102の縦断面図であり、図3は減酸素ユニット115の分解斜視図である。なお、図2及び図3において、各部材の厚みは薄いものであるが、説明を判り易くするために、その厚みを拡大して記載している。
高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)116が縦方向に設けられ、電解質膜116の後部にはアノード層118が設けられ、電解質膜116の前部にはカソード層120が設けられている。カソード層120は、カーボン触媒とカーボンペーパーを積層したものである。また、アノード層118とカソード層120には白金の触媒がそれぞれ担持されている。電解質膜116、アノード層118及びカソード層120がホットプレスなどを用いて一体に接合されている。アノード層118の後方にはプラス側の集電体122が設けられ、カソード層120の前方にはマイナス側の集電体124が設けられている。両集電体122,124は、表面に白金メッキを行なったメッシュ状のチタン膜であり、集電体122はアノード層118にプラス通電を行い、集電体124はカソード層120にマイナス通電を行う。両集電体122,124は電線158,160から通電される。また、両集電体122,124が接触しないようにするために、絶縁体125が両集電体122,124の間に設けられている。この絶縁体125は額縁状であって、電解質膜116とアノード層118とカソード層120がその内部に収納されている。
プラス側の集電体122の後方には、撥水層126が設けられている。この撥水層126は、額縁状のガスケット127内部に設けられている。また、マイナス側の集電体124の前方にも撥水層130が設けられ、この撥水層130も額縁状のガスケット131内部に設けられている。撥水層126,130としては、高分子フィルムを用いる。多くの高分子フィルムは撥水性であるが、水蒸気を透過させる必要があるため、材料によっては厚さの調整が必要であり、水を透過せずに水蒸気を透過させる性質としては、PTEフィルムや撥水性の樹脂を用いた不織布などが好ましい。
撥水層126の後方には、シート状の給水体128が配されている。この給水体128としては例えば、不織布などである。
上記のようにして順番に積層した部材を、前後一対の固定部材132と固定部材134によって挟持して固定する。アノード側に配される後方の固定部材132は直方体形状を成し、下部に断面長方形の通気口136を有する。この通気口136は、図2に示すように、前後方向に貫通している。一方、カソード層側に取り付ける前方の固定部材134も直方体形状を成し、中央部に開口部138を有する。この開口部138は、縦方向の貫通したスリット状の孔が複数並んだ短冊状を成している。この開口部138が、容器収納部104の取り付け口112の位置に対応する。
以上の部材により、減酸素ユニット115が構成されている。固定部材132と固定部材134とは、不図示の数本のネジによって固定されている。そして、固定部材132と固定部材134は、挟んだ各部材の反りかえりを防止するため、剛性が必要な例えばABS樹脂によって形成されている。
また、減酸素ユニット115において、図2に示すように、撥水層130を有したガスケット131とマイナス側の集電体124とカソード層120の側面が、樹脂によってシールされパッキングされている。
固定部材132と固定部材134の前後方向の厚さは例えば10mmであり、給水体128の厚みは例えば0.2mm、撥水層126と撥水層130の厚みは例えば0.2mm、ガスケット127とガスケット131の厚みはそれぞれ例えば0.2mm、アノード層118の厚みは例えば0.25mm、電解質膜116の厚みが例えば0.2mm、カソード層120の厚みが例えば0.25mm、絶縁体126の厚みが例えば0.7mm、集電体122と集電体124の厚みはそれぞれ例えば0.5mmである。
(4−2)ケース114
上記で説明した減酸素ユニット115が、箱型のケース114内部に収納されている。このケース114について図4〜図6に基づいて説明する。図4は、ケース114の正面図、図5は背面図、図6は縦断面図である。
ケース114は、断熱性部材によって形成され。例えば厚さとしては5mmである。ケース114は、減酸素ユニット115を収納するためのユニット収納部140と、ユニット収納部140の側方に設けられた水通過部142とより構成されている。筒型の水通過部142は、その内部にイオン交換樹脂よりなる浄水部144が設けられている。Rエバ28で除霜された除霜水がドレンパン54に集められ、図6に示すように、排水口から排水ホース56、ポンプ146、ホース152を経て水通過部142の上面に供給される。イオン交換樹脂の浄水部144で浄水された水は、水通過部142の底面からユニット収納部140の下部に流れ込む。ユニット収納部140の下部は、図6に示すように、中央部ほど下方に傾斜した水保持部148を有し、この水保持部148に浄水部144から流れ出た水が溜まる。
ケース114の背面には、図5に示すように、減酸素ユニット115によって発生した酸素を拡散させる拡散口150と、水保持部148から溢れ出た水を外に流すためのパイプ152が接続されている。このパイプ152からの水は、例えば蒸発皿などに排水される。
水保持部148に溜まった水には、減酸素ユニット115から垂れ下がった給水体128が浸されている。
減酸素ユニット115の固定部材134は容器収納部104の背面104aに固定され、ケース114も容器収納部104に固定されている。
(5)冷凍サイクル
次に、冷凍サイクルの構造について、図10に基づいて説明する。
冷凍サイクルは、圧縮機24の吐出側から順番に凝縮器60、三方弁62が接続されている。三方弁62の一方の出口には冷蔵用キャピラリーチューブ64とRエバ28が接続されている。三方弁62の他方の出口には冷凍用キャピラリーチューブ66とFエバ32が接続されている。その後に冷媒流路は一つになりサクションパイプ68を経て圧縮機24の吸入側に至る。冷媒は圧縮機24で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒に変化し、凝縮器60で放熱しながら液体状となる。液体状の冷媒は、三方弁62によって冷蔵用キャピラリーチューブ64又は冷凍用キャピラリーチューブ66に送られ、ここで気化し易いように減圧され、その後にRエバ28又はFエバ32で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷気が発生する。
(6)冷蔵庫10の電気的構成
次に、冷蔵庫10の電気的構成について、図11のブロック図に基づいて説明する。
制御板26には、マイクロコンピュータよりなる制御部70が設けられている。この制御部70には、圧縮機24、三方弁62、Rファン30、Fファン34、減酸素装置102、ポンプ103、Rセンサ31、Fセンサ35及び酸素センサ170が接続されている。
この制御部70は、圧縮機24のインバータモータと三方弁62を用いて上記で説明した冷凍サイクルを制御し、冷蔵室14を2℃〜4℃、野菜室を5℃〜7℃及びチルド室44を0℃〜1℃に制御し、小型冷凍室18、製氷室、冷凍室20を−20℃〜−25℃に制御する。
(7)減酸素装置102の動作状態
減酸素装置102の動作状態について図2〜図9に基づいて説明する。
まず、図7に示すように、野菜室16を冷却する場合には、野菜室16の扉16aが閉じられ、減酸素室100に関しては、減酸素容器106が容器収納部104に収納されている。減酸素容器106が容器収納部104に収納されていると、パッキン110によって減酸素室100内部は、空隙172を除いて閉塞空間となる。
次に、図6に示すように、ポンプ146が、Rエバ28で発生した除霜水をホース56、ホース154を介して水通過部142の上部に供給する。供給された水は、水通過部142内部の浄水部144を通って水通過部142の底部から流れ出て水保持部148に溜まる。水保持部148の水に浸けられている給水体128が、溜まった水を吸い上げる。
次に、図7に示すように、減酸素室100に食品58を収納すると、制御部70が、集電体122,124に対し通電を開始するか、又は、通電している電流値を大きくする。さらに、この減酸素室100の庫内温度が、チルド室44の庫内温度1℃より高くなっている。すなわち、減酸素室100は、野菜室16内部に設けられているため、野菜室16の庫内温度と同じになり、例えば5℃〜7℃になる。これにより収納した野菜などの食品58は、庫内温度が低過ぎることによる低温障害を防止できる。
次に、図2、図3に示すように、減酸素容器106の空気が、減酸素室100の通気口112、固定部材134の開口部138を経て供給され、集電体122,124が通電されているので、流入した空気から減酸素が行われ、減酸素室100がCA減酸素室となる。アノード層118とカソード層120では次のような反応が行なわれる。

アノード層・・・2HO→O+H+4e

カソード層・・・O+H+4e→2H

この反応式を説明すると、給水体128から撥水層126を通過した水蒸気をアノード層118で電気分解して水素イオンを作り、その水素イオンが電解質膜116内を移動してカソード層120に到達し、減酸素室100内部の酸素と反応して水を生成し、酸素を消費する。これにより、減酸素容器106内部において減酸素が行われ、食品58をCA貯蔵できる。
次に、図2、図5、図6に示すように、減酸素ユニット115のアノード層118で発生した酸素が、まず固定部材132の通気口136を通過し、その後に拡散口150から拡散される。
ここで、撥水層126は、給水体128からアノード層118に移動する水の移動量を抑制して移動させず、気体状の水蒸気のみ透過させる。これにより、アノード層118への液体の水の侵入を防ぎ、フラッディング現象を防止できる。
また、カソード層120の前方にも撥水層130を設けることにより、減酸素室100を減酸素した場合にカソード層120に水が発生するが、この水は化学反応によって作られた純水である。この生成された水はカソード層120に溜まり、アノード層118よりも水が多くなるので、この水は電解質膜116を通ってアノード層118へ戻る現象が起こる。そのため、純水をアノード層118側へ供給でき、給水体128への供給量を減少させることができる。
ところで、カソード層120で発生するH0は、飽和水蒸気圧に達するまでは水蒸気として発生し、減酸素容器106内の圧力は変化しない。しかし、減酸素容器106内の水蒸気が飽和水蒸気圧に達すると水に変化し、その壁面に水滴として付着する。このため、減酸素容器106の内部は減圧されることとなるが、本実施形態の減酸素容器106では、空隙172が開口しているため空隙172から空気が侵入する。侵入した空気には本来必要でない酸素も含まれるが、空気における酸素濃度は20%にしか過ぎないため、減酸素速度が遅くなるだけである。例えば、図12に示すグラフは、縦軸が酸素濃度(%)であり、横軸が時間(分)である。そして、黒四角が従来における完全密封された減酸素容器における酸素濃度の低下状態を示し、黒三角が空隙172を設けた本実施形態の減酸素容器106の酸素濃度の変化を示している。これによると、減酸素速度は、本実施形態においては従来より20%遅くなるが、減酸素容器106内部が減圧されることがない。一方、視点を変えると、空気が侵入した場合に、20%の酸素が侵入すると同時に、80%の窒素も侵入してくる。そのため、減酸素により窒素が80%酸素が10%になった減酸素容器106内部に、窒素80%酸素20%の空気が侵入してくると、窒素濃度はさらに上がり約88%となり、酸素濃度は12%となる。したがって、食品58に対する酸素の影響もほとんどない。その上、減酸素容器106内部が減圧にならないため、減酸素容器106の扉108が開け難くなることがなく、ユーザは簡単に扉108を開けることができる。また、減酸素容器106内部が減圧にならないため、減酸素容器106及び減酸素室100の強度を補強するためのリブを少なくできるので軽く小型になり、減酸素室100を仕切体38に吊り下げることができる。
なお、制御部70は、減酸素装置102による酸素濃度を下げる場合に10%以下にしないように酸素センサ170が測定した酸素濃度に基づいて制御している。これは、野菜などの食品58の保存には10%の酸素濃度でも充分な効果があり、10%以下にするには大きな電力消費が必要であり、また、減酸素された空気をユーザが万が一呼吸してしまった場合に人体への影響が好ましくないからである。
次に、図8に示すように、野菜室16の扉16aを前方に引き出すと、野菜容器48も前方に移動する。しかし、減酸素室100の減酸素容器106は、容器収納部104に収納された状態であるため、減酸素状態を維持する。
次に、図9に示すように、減酸素室100の減酸素容器106を前方に引き出すと、減酸素状態が解除され、減酸素容器106に収納されている食品58を取り出すことができる。
(8)効果
本実施形態によれば、減酸素室100に空隙172が開口しているため、減酸素ユニット115によって減酸素室100内部の酸素が少なくなっても、この空隙172から空気が侵入して減圧されることがない。そのため、扉108が開け難くなることがなく、また、減酸素室100に対するリブによる補強を少なくできるので減酸素室100が軽く、また小型になり、そのため、仕切体38に減酸素室100を吊り下げることができる。
また、空隙172は、減酸素ユニット115の近傍に開口しているため、空隙172から侵入する空気に含まれた酸素によって酸素濃度が上昇しても、直ちに減酸素を行なうことができる。また、空隙172は、酸素センサ170の近傍にも開口しているため、空隙172から侵入した空気に含まれる酸素を直ちに測定でき、減酸素を直ぐに行なうことができる。
また、減酸素容器106内部に収納している食品58に対しては酸素を減らすことで酸化を防ぎ鮮度を維持できる。その上、減酸素室100内部は減圧されないため食品58の細胞を減圧によって壊したり、また傷めたりすることがない。さらに、パックされた食品58は、内部の空気が減圧によって膨張してパッケージを壊す可能性があるが、減圧されないためそのような膨張やパッケージを壊すことがない。
また、食品58を収納した減酸素容器106は、野菜室16とは独立した減酸素室100内部に設けられ、その内部で食品58の鮮度を維持するため、冷蔵庫10の庫内温度の揺らぎや湿度などの影響を受け難い。
また、減酸素装置102のケース114が断熱性を有するため、減酸素ユニット115で電気分解が行なわれ、それによって発生した熱が、野菜室16に伝わることがない。そのため、野菜室16の庫内温度を上げることがない。
また、拡散口150はケース114の背面下部に設けられているため、電気反応により発生した熱はユニット収納部140の上部に溜まり、下部にある拡散口150から熱が外に伝わることがない。また、酸素は分子量32の分子であり、空気よりも重く下方向に拡散することが予測されるため、通気口136と拡散口150を減酸素装置102の下部に設けることが効率的となる。
また、断熱性を有するケース114に減酸素ユニット115が囲まれているため、ケース114内部は電気分解の熱によって暖かく、給水体128で吸い上げられた水が蒸発し易く、安定的な水素イオンの供給が可能となる。
また、ケース114内部に水保持部148を有しているため、水を溜めるための特別な部品やスペースが不要である。
また、カソード層120の側面が樹脂156によって密閉されているため、減酸素容器106における空気を通気口112、開口部138を経て供給され、その空気の中から酸素のみを水に変換できる。
また、固定部材132と固定部材134によって電解質膜116、アノード層118、カソード層120、集電体122,124、撥水層126,130を挟持しているため、これら部材を一体に固定できる。各部材は薄い層であるが、両側から固定部材132,134によって挟持しているため、反りかえりが起こることがなく各部材の均一な接触を確保できる。特に、固定部材132と固定部材134とは、各部材に当たる部分の剛性が強く、各部材の反りかえりの防止ができる。そのため、接触面積を均一に確保できる。
また、カソード層120側の固定部材134の開口部138は短冊状であるため、カソード層124を押圧する強度はそのまま保持でき、かつ、酸素が通過する開口面積を確保できる。
また、減酸素室100の庫内温度が、チルド室44の庫内温度以上になるように、減酸素室100は野菜室16内部に設けられている。そのため、その庫内温度は5℃〜7℃になり、減酸素室100に収納された野菜などの食品58が低温障害をを起こすことがない。一方、チルド室44は、通常1℃程度に庫内温度が制御され、肉や魚を冷凍せずに長期保存できる。
また、撥水層126を設けることにより、給水体128からアノード層118への水の侵入を防ぎ、水蒸気のみ透過させることができるため、フラッディング現象を防止できる。
また、撥水層126として高分子フィルムを用いているため、供給する水にミネラルなどの不純物が有ったとしても遮断し、電解質膜116を劣化させる現象も防止できる。さらに、高分子フィルムであると、撥水性能に劣化が無く長寿命を得ることができる。
また、撥水層130を設けることにより、カソード層120で発生した水がアノード層118に流れることにより、純水をアノード層118へ供給することができ、給水体128からの供給量を減少させることができる。さらに、カソード層120で発生した水が減酸素室100内に戻ることがないため、減酸素室100内部で冷却されて結露して、食品58の腐食を促進することを防止できる。
また、Rエバ28から発生した除霜水を用いているため、ユーザが一定の周期で給水体128に水を入れることが不要であり、ユーザが水を入れ忘れたりして、減酸素装置102の劣化を促進させることがない。すなわち、減酸素装置102の劣化を考えると、供給する液体は純水に近い方が良く、どの家庭でも入手できる水道水では塩素やミネラルが劣化を促進させる。これに対し、除霜水は水蒸気が冷却されてできた水であり、Rエバ28上で若干の金属成分の溶解があるものの、水道水に比べて不純物がかなり低減されているので、減酸素装置102の劣化を防止できる。また、除霜水を減酸素装置102に供給することで、機械室22に設けられている蒸発皿に導かれて熱で水蒸気になり、放出される量を低減できる。
また、減酸素室100が野菜室16内部に固定され、この固定された減酸素室100の背面104aに減酸素装置102が固定されている。そのため、野菜室16の扉16aが開いても減酸素室100は固定されたままである。そして、減酸素保存された食品58を取り出すときには扉108を開放することによって減酸素容器106内の食品58を取り出すことができる。このような構造にすることによって、減酸素装置102の集電体122,124に接続する電気配線、ホース152,154を移動させる必要がなく、また、減酸素装置102と減酸素室100の気密シール構造を簡素化でき、設計の自由度が増す。
(9)変更例1
まず、変更例1について図13に基づいて説明する。
上記実施形態では、空隙172を容器収納部104の背面104aに設けたが、これに代えて図13に示すように、扉108の背面に設けられたパッキン110と、容器収納部104の前端部との間に設けてもよい。すなわち、扉108を閉めてパッキン110が容器収納部104に密着させた状態でも、空隙172が開口している状態とする。
(10)変更例2
次に、変更例2について図14に基づいて説明する。
変更例1では、パッキン110と容器収納部104の間に空隙172を設けたが、これに代えて、図14に示すように額縁状のパッキン110の一部に切欠きを設けて不連続とし、この切欠きを空隙172としてもよい。
また、パッキン110が不連続となるので、パッキン110を棒状又は細長いシートを巻き付けた構成から組み立てることができ、パッキン110の製造を金型なしでも簡単に製造できる。
(11)変更例3
次に、変更例3について図15に基づいて説明する。
変更例2では空隙172をパッキン110の切欠きに設けたが、これに代えて図15に示すように、パッキン110の一部を蛇行させてひしゃげた状態とし、このひしゃげた部分を空隙172としてもよい。
(12)変更例4
次に、変更例4について図16に基づいて説明する。
上記実施形態では空隙172を円孔で形成し、貫通する方向に対しては円孔の直径は同一であった。本変更例では、これに代えて、図16に示すように円孔172をすり鉢状に形成し、減酸素室100内部ほど円孔の直径を小さく形成する。すなわち、逆止弁の構造にすることにより、外部から減酸素室100には空気が入り易くなるが、逆に、減酸素室100内部から外部へは空気が出難い構造となる。これにより、減酸素された空気が減酸素室100から外部に漏れることが少ない。
(13)変更例5
次に、変更例5について図17に基づいて説明する。
上記実施形態では減酸素室100を構成する容器収納部104は一体に形成されたものであったが、本変更例では図17に示すように、容器収納部104が上部収納部1041と下部収納部1042を組み合わせたものとする。この場合に、上部収納部1041と下部収納部1042は、完全にシールを行なわず、隙間があるように組み立てる。これにより、この隙間が空隙172となる。
(14)変更例5
上記実施形態では、減酸素室100に空隙172を一個設けたが、これに代えて複数個設けてもよい。
(15)その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10・・・冷蔵庫、14・・・冷蔵室、16・・・野菜室、28・・・Rエバ、44・・・チルド室、48・・・野菜容器、100・・・減酸素室、102・・・減酸素装置、104・・・容器収納部、106・・・減酸素容器、108・・・扉、116・・・電解質膜、172・・・空隙

Claims (10)

  1. 減酸素室と、
    前記減酸素室の扉と、
    前記減酸素室内の酸素を減少させるための高分子電解質膜を含む減酸素装置と、
    前記減酸素室に設けられた空隙と、
    を有し、
    前記減酸素室は、前記扉が閉状態において前記空隙以外は閉塞されている、
    減酸素システム。
  2. 前記減酸素装置は、前記減酸素室の後面に設けられ、
    前記空隙は、前記減酸素室における前後方向の中央部より後方に開口した孔である、
    請求項1に記載の減酸素システム。
  3. 前記減酸素室内の酸素濃度を測定する酸素センサが設けられ、
    前記空隙は、前記酸素センサの近傍に設けられた孔である、
    請求項1又は2に記載の減酸素システム。
  4. 前記空隙は、前記扉と前記減酸素室の間に設けられている、
    請求項1に記載の減酸素システム。
  5. 前記減酸素室と前記扉の間にパッキンが設けられ、
    前記空隙は、前記減酸素室と前記パッキンの間、前記扉と前記パッキンの間、又は、前記パッキンの不連続部分に設けられている、
    請求項4に記載の減酸素システム。
  6. 前記減酸素室は、複数の部材を組み合わせたものであり、
    前記空隙は、前記複数の部材間の隙間である、
    請求項1に記載の減酸素システム。
  7. 前記空隙は、前記減酸素室外からの空気の侵入が可能であり、かつ、前記減酸素室内の空気が排出されない通気構造を有する、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の減酸素システム。
  8. 前記通気構造は、逆止弁の構造である、
    請求項7に記載の減酸素システム。
  9. 前記減酸素室に食品が収納される、
    請求項1に記載の減酸素システム。
  10. 前記減酸素室は、冷蔵庫内部に設けられている、
    請求項9に記載の減酸素システム。
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