JP2014040866A - 係合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】係合時の誤解放の抑制と、解放時の解放の容易さを両立できる係合装置を提供する。
【解決手段】係合装置1は、回転軸3まわりに配置されたピース5のドグ歯10と、回転軸3の軸方向の移動によりドグ歯10と係合するスリーブ4のドグ歯9と、ドグ歯10に回転方向にトルクを付与可能なモータ2と、を備える。ドグ歯9,10には、係合時に相互に噛み合う歯面9a,10aのみに、回転軸3の軸方向に沿って逆テーパ形状が設けられる。モータ2は、ECU8からの指令によって、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが係合される際には、歯面9a,10aが相互に接触する方向の逆テーパ利用トルクを付与し、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが解放される際には、歯面9a,10aが相互に離間する方向のガタ寄せトルクを付与する。
【選択図】図2
【解決手段】係合装置1は、回転軸3まわりに配置されたピース5のドグ歯10と、回転軸3の軸方向の移動によりドグ歯10と係合するスリーブ4のドグ歯9と、ドグ歯10に回転方向にトルクを付与可能なモータ2と、を備える。ドグ歯9,10には、係合時に相互に噛み合う歯面9a,10aのみに、回転軸3の軸方向に沿って逆テーパ形状が設けられる。モータ2は、ECU8からの指令によって、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが係合される際には、歯面9a,10aが相互に接触する方向の逆テーパ利用トルクを付与し、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが解放される際には、歯面9a,10aが相互に離間する方向のガタ寄せトルクを付与する。
【選択図】図2
Description
本発明は、係合装置に関する。
回転軸まわりに配置された係合部及び被係合部を軸方向で係合させる係合装置が知られている。このような係合装置として、例えば特許文献1には、相互にスプライン嵌合可能なインナスプライン(係合部)及びアウタスプライン(被係合部)において、両者の歯面の歯筋方向の形状を逆テーパ形状とする構成が記載されている。これにより、係合時にインナスプラインがアウタスプラインから抜けにくくして誤解放を抑制できる。
しかしながら、特許文献1のように係合部と被係合部の歯面を逆テーパ形状とする構成では、解放時にもインナスプライン及びアウタスプラインの逆テーパ形状の歯面同士が接触するため、解放しにくいという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、係合時の誤解放の抑制と、解放時の解放の容易さを両立できる係合装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る係合装置は、回転軸まわりに配置された被係合部と、前記回転軸の軸方向の移動により前記被係合部と係合する係合部と、前記係合部または前記被係合部に前記回転軸の回転方向にトルクを付与可能な回転トルク付与手段と、を備え、前記係合部及び前記被係合部には、前記係合部と前記被係合部との係合時に相互に噛み合う噛み合い面のみに、前記回転軸の軸方向に沿って逆テーパ形状が設けられ、前記回転トルク付与手段は、前記係合部と前記被係合部とが係合される際には、前記係合部及び前記被係合部の噛み合い面が相互に接触する方向の第一トルクを付与し、前記係合部と前記被係合部とが解放される際には、前記係合部及び前記被係合部の噛み合い面が相互に離間する方向の第二トルクを付与することを特徴とする。
また、上記の係合装置において、前記係合部及び前記被係合部は、前記噛み合い面に対して前記回転方向反対側に、前記回転軸の軸方向に平行な平面形状、または前記軸方向に沿ってテーパ形状の面を備えることが好ましい。
また、上記の係合装置において、前記回転トルク付与手段は、前記係合部と前記被係合部とが係合される際には、前記係合部の噛み合い面の先端部が前記被係合部の噛み合い面の逆テーパ形状の終端部に到達する前に前記第一トルクを低減させることが好ましい。
本発明に係る係合装置は、係合時には、第一トルクを付与することで逆テーパ形状の噛み合い面同士の噛み合いを好適に維持できるので、係合時の誤解放を抑制できる。また、解放時には、第二トルクを付与することで逆テーパ形状の噛み合い面同士の噛み合いを好適に解放できるので、解放動作時に逆テーパ形状の噛み合い面同士の接触による抵抗を受けることを回避でき、解放動作を容易に行なうことができる。この結果、係合時の誤解放の抑制と、解放時の解放の容易さを両立できる。
以下に、本発明に係る係合装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
まず図1を参照して本発明の一実施形態に係る係合装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る係合装置の概略構成を示す断面模式図である。
係合装置1は、例えば、ハイブリッド車両において、エンジンやモータなどの駆動源からの動力を出力軸に伝達する動力伝達装置に組み込まれる。係合装置1は、たとえば動力伝達装置から出力軸に伝達する動力を制御するために、動力伝達装置の回転要素の一部の回転を規制するブレーキ装置として使用される。なお、動力伝達装置の全体構成等の詳細な構造は本発明の要旨と直接関係しないため説明を省略する。
図1に示す係合装置1は、モータ2から出力された駆動力を出力軸へ伝達するための回転軸3の回転を規制することができるよう構成されるものである。係合装置1は、モータ2、スリーブ4、ピース5、フォーク6、ガイド部材7、及びECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)8を備えて構成される。
スリーブ4及びピース5は、回転軸3の周囲に配置されている。回転軸3は、例えば動力伝達装置の構成要素を内包するケース(図示せず)に支持されている。なお、回転軸3は、図1の左右方向に延在しており、以下の説明では特に断りのない限り、図1の左右方向を回転軸3の「軸方向」、上下方向を回転軸3の「径方向」と表現する。
ピース5は、回転軸3と連動して回転軸3まわりに回転可能に連結されている。また、ピース5は、軸方向および径方向の移動が規制されている。
スリーブ4は、軸方向に沿って移動可能に構成されている。スリーブ4とピース5は、スリーブ4の軸方向の移動によって、スリーブ4の内周面とピース5の外周面とを係合/解放することができる。スリーブ4の内周面のうちピース5と近い方の端部には、径方向内側に向けて、回転軸3まわりの周方向に沿ってドグ歯9(係合部)が配設され、ピース5の外周面には、径方向外側に向けて周方向に沿ってドグ歯10(被係合部)が配設されている。これらのドグ歯9,10は、噛み合いドグクラッチになっており、両者が噛み合うことにより、スリーブ4とピース5とを係合させることができる。
スリーブ4の径方向内側にはガイド部材7が配置されている。ガイド部材7は、たとえばケースに固設されて、回転軸3と同心円状に軸方向に延在する部材であり、軸方向、径方向、及び回転軸3まわりの周方向の移動が規制されている。ガイド部材7の外周面には軸方向に沿ってガイド溝7aが形成されている。スリーブ4の内周面のうちピース5と遠い方の端部4aは、このガイド溝7aに嵌合されている。すなわちスリーブ4は、ガイド部材7のガイド溝7aによって、周方向の移動が規制されると共に、軸方向へ移動可能に設置されている。
また、ガイド部材7のピース5と近いほうの端部には径方向外側に延在するストッパ7bが設けられている。ストッパ7bにより、スリーブ4がこれ以上軸方向のピース5側へ移動することが規制されている。ストッパ7bの位置は、例えば、スリーブ4の端部4aがストッパ7bと当接するときに、スリーブ4のドグ歯9がピース5のドグ歯10と完全に重なる位置に配置されるよう設定することができる。
スリーブ4の外周面には、径方向外側からフォーク6が嵌合されている。フォーク6は、ECU8からの制御指令に応じて軸方向に駆動力を発生することができるアクチュエータである。
すなわち、スリーブ4は、フォーク6により軸方向に推力が与えられることで、ガイド部材7のガイド溝7aに沿って軸方向のピース5へ接近する方向(係合方向)またはピース5から離間する方向(解放方向)に移動することができる。スリーブ4が係合方向に移動し、スリーブ4のドグ歯9がピース5のドグ歯10と噛み合うことで、スリーブ4とピース5が係合する。また、スリーブ4が解放方向に移動し、スリーブ4のドグ歯9がピース5のドグ歯10から離れることで、スリーブ4とピース5との係合状態が解放される。
ここで、図2を参照してスリーブ4及びピース5のドグ歯9,10の構成の詳細について説明する。図2は、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とを径方向から視たときの拡大図である。図2の上下方向が回転軸3の軸方向であり、左右方向が回転軸3まわりの周方向である。また、図2の下方向がスリーブ4の係合方向であり、上方向がスリーブ4の解放方向である。
スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが係合する時には、図2に示すように、ドグ歯9の一方の歯面9a(噛み合い面)と、ドグ歯10の一方の歯面10a(噛み合い面)とが噛み合う。本実施形態では、これらの係合時に噛み合う歯面9a,10aのみに、軸方向に沿って逆テーパ形状が形成されており、係合中の噛み合いを強化して誤解放を抑制できるよう構成されている。ここで、本実施形態で用いる「逆テーパ形状」という表現は、ドグ歯9の歯幅のうち係合動作時にドグ歯10と先に接する側の端部において、ドグ歯9の歯厚(図2の周方向の厚み)が最も大きく、歯幅方向(軸方向)のドグ歯10から離れる方向に沿って歯厚が徐々に小さくなる形状のことをいう。同様に、ドグ歯10の歯幅のうち係合動作時にドグ歯9と先に接する側の端部において、ドグ歯10の歯厚(図2の周方向の厚み)が最も大きく、歯幅方向(軸方向)のドグ歯9から離れる方向に沿って歯厚が徐々に小さくなる形状のことをいう。ドグ歯9の歯面9a及びドグ歯10の歯面10aの逆テーパ形状は、略同一の寸法形状で形成され、完全係合時に相互の逆テーパ形状の先端9c,10cと終端9d,10dとが当接できることが好ましい。
また、スリーブ4のドグ歯9の歯面9aと周方向反対側の歯面9bと、ピース5のドグ歯10の歯面10aと周方向反対側の歯面10bには、軸方向に平行な平面形状が形成されており、スリーブ4をピース5から解放するときにスリーブ4のドグ歯9の解放方向への移動を容易にし、解放動作を円滑に行うことができるよう構成されている。なお、スリーブ4のドグ歯9の歯面9bとピース5のドグ歯10の歯面10bに、軸方向に沿ってテーパ形状を形成して、解放動作をさらに円滑にできるよう構成してもよい。
図1に戻り、ECU8は、車両内の各種センサ類の情報に基づいて、車両各部の制御を行う制御装置である。特に本実施形態のECU8は、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10との係合時に、フォーク6により係合方向に出力される軸方向のアクチュエータ推力を制御し、また、ドグ歯9の歯面9a及びドグ歯10の歯面10a同士が近づく方向に、モータ2により出力される径方向の逆テーパ利用トルク(第一トルク)を制御する。さらに、ECU8は、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10との解放動作時に、フォーク6により解放方向に出力される軸方向のアクチュエータ推力を制御し、また、ドグ歯9の歯面9a及びドグ歯10の歯面10a同士が離れる方向に、モータ2により出力される径方向のガタ寄せトルク(第二トルク)を制御する。
ここで、ECU8は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びインターフェースなどを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。ECU8の各機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとで車両内の各種装置を動作させると共に、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
なお、本実施形態では、モータ2及びECU8が、ピース5のドグ歯10に対して回転軸3の回転方向(周方向)にトルクを付与可能な回転トルク付与手段として機能する。
次に、図2〜6を参照して、本実施形態に係る係合装置の動作について説明する。図2,3は、係合動作時のスリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とを径方向から視たときの拡大図である。図4は、解放動作時のスリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とを径方向から視たときの拡大図である。図5は、本実施形態の係合装置1により実施される係合制御処理のフローチャートである。図6は、本実施形態の係合装置1により実施される解放制御処理のフローチャートである。図5,6に示すフローチャートの処理は、ECU8により実施される。
まず図2,3,5を参照して、係合装置1の係合制御について説明する。図5のフローチャートに沿って説明すると、まずピース5の目標回転数が係合動作用のものに変更される(ステップS11)。そして、変更された目標回転数に基づきモータ2を制御して、スリーブ4とピース5との差回転数を低減すべく、ピース5の回転数制御が行われる(ステップS12)。
この回転数制御は、スリーブ4とピース5との差回転数が所定の目標差回転範囲1から外れている間(ステップS13のNo)は継続される。差回転数が目標差回転範囲1より大きいときには、差回転数を低減するためにモータ2により負トルクを印加し、差回転数が目標差回転範囲1より小さいときには、スリーブ4とピース5とが係合しやすくする(逆テーパ形状を有するドグ歯9の歯面9a及びドグ歯10の歯面10aが接触しやすくする)ために、差回転数を増加すべくモータ2により正トルクを印加する。ここで、「正トルク」とは、ドグ歯9の逆テーパ形状の歯面9aとドグ歯10の逆テーパ形状の歯面10aとが接触する方向の回転方向のトルクであり、「負トルク」とは、ドグ歯9の逆テーパ形状の歯面9aとドグ歯10の逆テーパ形状の歯面10aとが離間する方向の回転方向のトルクである。
一方、スリーブ4とピース5との差回転数が所定の目標差回転範囲1内に遷移したときには(ステップS13のYes)、回転数制御は終了し、続いてフォーク6を制御して、スリーブ4に係合方向のアクチュエータ推力が印加される(ステップS14)。これによりスリーブ4のドグ歯9がピース5のドグ歯10と係合しはじめ、係合が進むにつれてスリーブ4とピース5との差回転数は減少してゆく。そしてスリーブ4とピース5との差回転数が所定の目標差回転範囲2内に遷移したか否かが確認される(ステップS15)。ここで、目標差回転範囲2は、ステップS13の目標差回転範囲1より低回転数の範囲が設定されるのが好ましい。目標差回転範囲2から外れている場合には(ステップS15のNo)、ステップS12に戻り、回転数制御が再度実施される。
一方、スリーブ4とピース5との差回転数が所定の目標差回転範囲2内に遷移したときには(ステップS15のYes)、モータ2を制御して、ピース5のドグ歯10に径方向の逆テーパ利用トルク(第一トルク)が印加される(ステップS16)。逆テーパ利用トルクは、ステップS12の回転数制御における正トルク(差回転数を増加するトルク)と同じ方向のトルクである。
このとき、図2に示すように、ピース5のドグ歯10には、モータ2の出力によって、逆テーパ形状の歯面10aがスリーブ4のドグ歯9の逆テーパ形状の歯面9aと接触する方向(図2では左方向)に逆テーパ利用トルクが印加される。スリーブ4のドグ歯9は、接触しているピース5のドグ歯10から逆テーパ利用トルクを受けるので、逆テーパ利用トルクと逆方向(図2では右方向)の反力が発生する。つまり、スリーブ4のドグ歯9と、ピース5のドグ歯10とは、周方向から同一の力によって逆テーパ形状の歯面を相互に押圧し合う状態となる。このため、スリーブ4のドグ歯9の逆テーパ形状の歯面9aが係合方向に荷重を受けるので、スリーブ4のドグ歯9の係合方向への移動が促進される。これにより、周方向の逆テーパ利用トルクの一部を係合方向の推力に利用できるので、係合動作を容易に行うことができる。また、係合動作のためにフォーク6により出力するアクチュエータ推力を低減できる。
図5に戻り、スリーブ4のドグ歯9と、ピース5のドグ歯10との係合が完了したか否かが確認される(ステップS17)。係合完了の確認は、例えばスリーブ4とピース5の軸方向位置に基づき行なうことができる。本実施形態では、図3に示すように、スリーブ4のドグ歯9の歯面9aの逆テーパ形状の先端9cが、ピース5のドグ歯10の歯面10aの逆テーパ形状の終端10dに到達する直前の位置にて、係合が完了したものと判定する。このような歯面9aの逆テーパ形状の先端9cの到達位置の検出手法としては、例えば、スリーブ4の軸方向ストロークセンサで検知すること、アクチュエータ推力と等価質量に基づき位置を計算して検知すること、フォーク6への係合方向への駆動指示からの経過時間に基づき検知すること、などが挙げられる。係合が完了していない場合には(ステップS17のNo)、ステップS16に戻り、逆テーパ利用トルクの印加が継続される。
一方係合が完了したものと判定された場合には(ステップS17のYes)、フォーク6によるアクチュエータ推力が停止され(ステップS18)、逆テーパ利用トルクが低減され(ステップS19)、係合制御処理を終了する。このとき、図3に示すように、スリーブ4のドグ歯9と、ピース5のドグ歯10とは、低減された逆テーパ利用トルクにより歯面を押圧された状態である。逆テーパ利用トルクが低減されているため、逆テーパ利用トルクによる係合方向の推力も減少する。したがって、スリーブ4のドグ歯9の歯面9aの逆テーパ形状の先端9cが、ピース5のドグ歯10の歯面10aの逆テーパ形状の終端10dに突き当たるときの衝突速度が低減するので、衝突音を低減できる。なお、逆テーパ利用トルクを低減する代わりに負トルク(逆テーパ利用トルクと周方向で逆方向のトルク)を印加してもよい。
次に、図4,6を参照して、係合装置1の解放制御について説明する。図6のフローチャートに沿って説明すると、まず、フォーク6を制御して、スリーブ4に解放方向のアクチュエータ推力が印加され(ステップS21)、さらに、モータ2を制御して、ピース5のドグ歯10に径方向のガタ寄せトルク(第二トルク)が印加される(ステップS22)。ガタ寄せトルクは、図5のフローチャートの逆テーパ利用トルクとは逆方向の負トルクであり、ドグ歯9の歯面9aをドグ歯10の歯面10aから離間させるために印加される。このとき印加されるガタ寄せトルクは、歯面9a,10aを離間したドグ歯9,10が、隣接する他のドグ歯と当たらない程度、かつ、摩擦力が大きくなり過ぎない程度の大きさとすることができる。この状態は、スリーブ4とピース5との差回転数が所定の閾値以下の間(ステップS23のNo)、継続される。
一方、スリーブ4とピース5との差回転数が所定の閾値より大きくなったときには(ステップS23のYes)、ガタ寄せトルクが増加される(ステップS24)。これにより、ドグ歯9の歯面9aとドグ歯10の歯面10aとの離間が促進され、スリーブ4のドグ歯9は、隣接するピース5の他のドグ歯10と突き当たる。このとき、図4に示すように、ドグ歯9の逆テーパ形状の歯面9aとは周方向反対側の平面形状の歯面9bが、ドグ歯10の逆テーパ形状の歯面10aとは周方向反対側の平面形状の歯面10bと接触する。これにより、スリーブ4をピース5から解放するときにスリーブ4のドグ歯9の解放方向への移動を容易にし、解放動作を円滑に行うことができる。
図6に戻り、スリーブ4のドグ歯9と、ピース5のドグ歯10との係合状態からの解放が完了したか否かが確認される(ステップS25)。解放完了の確認は、例えばスリーブ4とピース5の軸方向位置に基づき行なうことができる。解放が完了していない場合には(ステップS25のNo)、ステップS24に戻り、ガタ寄せトルクの増加が繰り返される。一方、解放が完了したものと判定された場合には(ステップS17のYes)、フォーク6によるアクチュエータ推力が停止され(ステップS18)、解放制御処理を終了する。
次に、本実施形態に係る係合装置1の効果について説明する。
本実施形態の係合装置1は、回転軸3まわりに配置されたピース5のドグ歯10と、回転軸3の軸方向の移動によりドグ歯10と係合するスリーブ4のドグ歯9と、ドグ歯10に回転軸3の回転方向にトルクを付与可能なモータ2と、を備える。ドグ歯9,10には、係合時に相互に噛み合う歯面9a,10aのみに、回転軸3の軸方向に沿って逆テーパ形状が設けられる。モータ2は、ECU8からの指令によって、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが係合される際には、歯面9a,10aが相互に接触する方向の逆テーパ利用トルクを付与し、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが解放される際には、歯面9a,10aが相互に離間する方向のガタ寄せトルクを付与する。
この構成により、係合時には、逆テーパ利用トルクを付与することで逆テーパ形状の歯面9a,10a同士の噛み合いを好適に維持できるので、係合時の誤解放を抑制できる。また、解放時には、ガタ寄せトルクを付与することで逆テーパ形状の歯面9a,10a同士の噛み合いを好適に解放できるので、解放動作時に逆テーパ形状の歯面9a,10a同士の接触による抵抗を受けることを回避でき、解放動作を容易に行なうことができる。この結果、係合時の誤解放の抑制と、解放時の解放の容易さを両立できる。
また、ドグ歯9,10は、係合時に相互に噛み合う歯面9a,10aに対して回転方向反対側に、回転軸3の軸方向に平行な平面形状、または軸方向に沿ってテーパ形状の歯面9b,10bを備える。
この構成により、解放時には、ガタ寄せトルクを付与することで平面形状またはテーパ形状の歯面9b,10bが接触するので、スリーブ4をピース5から開放方向へ移動する際に歯面9b,10b同士の軸方向の移動をスムーズに行なうことが可能となり、解放動作をより一層容易に行なうことができる。
また、モータ2は、ECU8からの指令によって、スリーブ4のドグ歯9とピース5のドグ歯10とが係合される際には、ドグ歯9の歯面9aの先端9cがドグ歯10の歯面10aの逆テーパ形状の終端10dに到達する前に、逆テーパ利用トルクを低減させる。
これにより、ドグ歯9の歯面9aの先端9cがドグ歯10の歯面10aの逆テーパ形状の終端10dと突き当たる際の衝突速度を低減して衝突音を低減できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
上記実施形態では、係合動作開始時にはスリーブ4が係合方向のアクチュエータ推力のみを受け、スリーブ4とピース5との差回転数が所定の目標差回転範囲2内に遷移した後に周方向の逆テーパ利用トルクを印加する構成としたが、係合動作の開始時から逆テーパ利用トルクを印加してもよい。
上記実施形態では、フォーク6がスリーブ4を軸方向の係合方向及び解放方向の両方向に移動させる構成を例示したが、フォーク6の駆動方向は係合方向のみとしてもよい。この場合、例えばスリーブ4とガイド部材7との間にリターンスプリングを連結し、フォーク6の駆動が停止したときに、リターンスプリングの反発力によってスリーブ4を解放方向に移動する構成とすることができる。また、この場合、係合中はアクチュエータ推力を印加し続け、解放動作時に停止する。
上記実施形態では、モータ2によりピース5のドグ歯10(被係合部)に対して回転軸3の回転方向にトルクを付与する構成を例示したが、スリーブ4のドグ歯9(係合部)に回転方向のトルクを付与する構成としてもよい。
1 係合装置
2 モータ(回転トルク付与手段)
3 回転軸
8 ECU(回転トルク付与手段)
9 スリーブのドグ歯(係合部)
10 ピースのドグ歯(被係合部)
9a,10a 歯面(噛み合い面)
2 モータ(回転トルク付与手段)
3 回転軸
8 ECU(回転トルク付与手段)
9 スリーブのドグ歯(係合部)
10 ピースのドグ歯(被係合部)
9a,10a 歯面(噛み合い面)
Claims (3)
- 回転軸まわりに配置された被係合部と、
前記回転軸の軸方向の移動により前記被係合部と係合する係合部と、
前記係合部または前記被係合部に前記回転軸の回転方向にトルクを付与可能な回転トルク付与手段と、
を備え、
前記係合部及び前記被係合部には、前記係合部と前記被係合部との係合時に相互に噛み合う噛み合い面のみに、前記回転軸の軸方向に沿って逆テーパ形状が設けられ、
前記回転トルク付与手段は、前記係合部と前記被係合部とが係合される際には、前記係合部及び前記被係合部の噛み合い面が相互に接触する方向の第一トルクを付与し、前記係合部と前記被係合部とが解放される際には、前記係合部及び前記被係合部の噛み合い面が相互に離間する方向の第二トルクを付与する
ことを特徴とする係合装置。 - 前記係合部及び前記被係合部は、前記噛み合い面に対して前記回転方向反対側に、前記回転軸の軸方向に平行な平面形状、または前記軸方向に沿ってテーパ形状の面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の係合装置。
- 前記回転トルク付与手段は、前記係合部と前記被係合部とが係合される際には、前記係合部の噛み合い面の先端部が前記被係合部の噛み合い面の逆テーパ形状の終端部に到達する前に前記第一トルクを低減させることを特徴とする、請求項1または2に記載の係合装置。
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JP (1) | JP2014040866A (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0438105Y2 (ja) * | 1984-04-21 | 1992-09-07 | ||
JP2003074588A (ja) * | 2001-09-03 | 2003-03-12 | Mitsubishi Automob Eng Co Ltd | 回転駆動力伝達機構における切換装置 |
JP2009029394A (ja) * | 2007-06-25 | 2009-02-12 | Toyota Motor Corp | 噛み合い式係合装置 |
JP2009293675A (ja) * | 2008-06-04 | 2009-12-17 | Toyota Motor Corp | ドグクラッチ |
-
2012
- 2012-08-22 JP JP2012183553A patent/JP2014040866A/ja active Pending
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