JP2014040518A - グリース組成物の製造方法及びそのグリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリースに合成ワックスを添加することで付着性を高めるとともに、合成ワックスが有する耐熱性、防錆性等の種々の性質を維持しつつ、その塗布性を向上させることができるグリース組成物の製造方法及びそのグリース組成物を提供する。
【解決手段】基油に増ちょう剤を含有してなる基グリースに、合成ワックスを添加して溶解し、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することによってグリース組成物を得る。
【選択図】なし
【解決手段】基油に増ちょう剤を含有してなる基グリースに、合成ワックスを添加して溶解し、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することによってグリース組成物を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、グリース組成物の製造方法及びそのグリース組成物に関し、より詳しくは合成ワックスを添加してなるグリース組成物であって優れた塗布性を有するグリース組成物の製造方法及びその製造方法によって得られるグリース組成物に関する。
グリース状の潤滑剤を選択する部位においては、垂れ落ちない、つまりは潤滑剤が一定の部位にとどまっている(付着している)ことが要求される。したがって、使用するにつれてグリース状から軟化して液状となって適用部位から流れ出ることは、最も避けるべき事態である。
これまで、グリース状の潤滑剤の付着性を向上させるために、オレフィンコポリマー、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン等のポリマーを添加剤として添加する方法が用いられてきた(例えば、特許文献1及び2参照。)。そして、より一層に付着性を高めて所望とする潤滑性を発揮させるために、そのポリマーの配合量を増やすといった方法や、グリースの基油粘度を高くする等の方法が用いられてきた。
しかしながら、これらの方法では、付着性は高まる一方で、グリース状潤滑剤の塗布性を悪くし、また高熱や高い機械的せん断が加わるとポリマーの結合が切断されて軟化してしまうという問題があった。
一方で、付着性を高める別の方法として、合成ワックスを添加する方法がある。このワックスは、付着性が優れていることの他に、防水・防湿性、電気絶縁性、蓄熱性、化学的安定性、耐熱性、人体に対して無毒等、多くの特長を有する。そのため、グリースに合成ワックスを添加したグリース状潤滑剤では、上述したワックスが有する特長から、広い温度範囲での使用が可能なだけでなく、その高い防水・防湿性を生かした防錆用、粘着性を生かした高付着用等、その用途は多岐にわたっている。
しかしながら、その合成ワックスを添加したグリース状潤滑剤においても、付着性が高まる一方で、必然的にその塗布性が悪くなってしまうという問題があり、適用部位への操作性を悪くするとともに塗布ムラが生じる場合もあり、その部位に対して十分に潤滑性能を発揮させることができない場合もあった。
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、グリースに合成ワックスを添加することで付着性を高めるとともに、合成ワックスが有する耐熱性、防錆性等の種々の性質を維持しつつ、その塗布性を向上させることができるグリース組成物の製造方法及びそのグリース組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、基グリースに合成ワックスを添加したグリース組成物の製造にあたり、合成ワックスを溶解させた後に所定のせん断を加えて混練しながら冷却することによって、合成ワックスが有する性能を維持しつつ、そのグリース組成物に優れた塗布性を付与することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るグリース組成物の製造方法は、基油に増ちょう剤を含有してなる基グリースに、合成ワックスを添加して溶解し、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することを特徴とする。
ここで、回転数100〜400rpmの範囲で攪拌することによってせん断を加えて混練することが好ましい。また、上記合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスであることが好ましい。
また、本発明に係るグリース組成物は、基油に増ちょう剤を含有させた基グリースに合成ワックスが添加されてなり、該基グリースに合成ワックスを溶解した後、所定のせん断を加えて混練しながら冷却して得られることを特徴とする。
本発明によれば、基グリースに添加された合成ワックス特有の性能を付与することができるとともに、その塗布性を向上させたグリース組成物を製造することができる。そして、この製造方法により得られたグリース組成物によれば、優れた塗布性を有することから、そのグリースの適用箇所での垂れ落ち等を防止しながら、その操作性を高めることができ、有効に潤滑性能を発揮及び維持させることができる。
以下、本発明に係るグリース組成物の製造方法及びそのグリース組成物について、以下の順序で詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において変更が可能である。
1.本発明の概要
2.グリース組成物
3.グリース組成物の製造方法
4.実施例
1.本発明の概要
2.グリース組成物
3.グリース組成物の製造方法
4.実施例
[1.本発明の概要]
本発明に係るグリース組成物の製造方法は、合成ワックスを含有するグリース組成物の製造方法であって、基油に増ちょう剤を含有してなる基グリースに、合成ワックスを添加して溶解させた後、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することを特徴とする。
本発明に係るグリース組成物の製造方法は、合成ワックスを含有するグリース組成物の製造方法であって、基油に増ちょう剤を含有してなる基グリースに、合成ワックスを添加して溶解させた後、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することを特徴とする。
このような製造方法によって得られるグリース組成物では、合成ワックスを添加していることにより、その合成ワックスが有する付着性、耐熱性、防錆性等の性能を発揮することができる。具体的には、その付着性が高まることにより、適用部位での垂れ落ち等を効果的に防止できる。また、広い温度範囲での使用が可能になるとともに、その高い防水・防湿性を発揮することができ、多岐にわたる用途に用いることができる。
また、このグリース組成物では、合成ワックスを溶解させた後に所定のせん断を加えて混練しながら冷却して製造していることにより、上述した各性能を維持しつつ、特に付着性を高めながら、グリース組成物の塗布性を向上させることができる。
ここで、グリース組成物の塗布性は、そのグリースのちょう度が影響する。つまり、グリースのちょう度が小さい(硬い)ほど、その塗布性は悪くなり、一方でちょう度が大きい(軟らかい)ほど、その塗布性は良好となる。
本発明に係るグリース組成物の製造方法によれば、上述のように、合成ワックスを添加して溶解させた後に所定のせん断を加えて混練しながら冷却することで、そのちょう度を大きくすることができる。これにより、合成ワックスを添加して付着性を高めながら、塗布性を向上させることができ、高い操作性を付与して塗布ムラ等を抑制し、適用部位に対して潤滑性能を十分に発揮させることができる。
以下、本発明に係るグリース組成物の製造方法及びそのグリース組成物の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という。)について、より詳細に説明する。
[2.グリース組成物]
先ず、グリース組成物について説明する。本実施の形態に係るグリース組成物は、基油(ベースオイル)に増ちょう剤を含有してなる基グリース(ベースグリース)に、合成ワックスを添加してなるものである。
先ず、グリース組成物について説明する。本実施の形態に係るグリース組成物は、基油(ベースオイル)に増ちょう剤を含有してなる基グリース(ベースグリース)に、合成ワックスを添加してなるものである。
グリース組成物に含有される基油(ベースオイル)としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラフィン系、ナフテン系等の鉱物油のほか、合成炭化水素(PAO)、合成エステル油、エーテル油、ポリアルキレングリコール油(PAG)、シリコーンオイル、フッ素オイル、動植物油等を用いることができる。
また、基油の含有量についても、特に限定されるものではないが、例えばグリース組成物全量に対して30質量%〜95質量%の割合で含有させることができる。
基油に添加されて基グリースを構成する増ちょう剤としては、特に限定されるものでなく、例えば、リチウム石鹸、リチウム複合石鹸、カルシウム石鹸、カルシウム複合石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウム複合石鹸等の金属石鹸、脂肪族、脂環状又は芳香族のジウレア、トリウレア、テトラウレア、ポリウレア等の尿素系化合物、ベントナイト、シリカ等の無機系増稠剤等が挙げられる。なお、増ちょう剤としては、1種類を単独で、若しくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、増ちょう剤の含有量についても、特に限定されるものではないが、例えばグリース組成物全量に対して1質量%〜20質量%の割合で含有させることができる。
本実施の形態にグリース組成物は、上述した基グリースに対して合成ワックスを添加してなる。このように合成ワックスをさせることによって、グリースにワックス特有の性能を付与することができる。具体的には、その添加したワックスが有する優れた付着性(粘着性)を付与することができ、適用部位におけるグリースの垂れ落ちを防止することができる。また、その他、合成ワックスが有する耐熱性、防錆性等の性質もグリース組成物に付与することができ、例えば高温や高湿の環境下で使用される対象に対して有効に潤滑性能を発揮させることができる。
合成ワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、又はこれらにカルボキシル基を付与した誘導体等の変性ワックス、エチレンとプロピレンの共重合系ワックス、エチレン系共重合体の酸化ワックス等が挙げられる。
その中でも、ポリエチレンワックスを用いることが好ましく、ポリエチレンワックスの中でも、酸化型のものを用いることが、他の溶剤との相溶性が優れているという点からより好ましい。
なお、合成ワックスとしては、1種類を単独で、若しくは2種類以上を組み合わせて基グリースに添加することができる。
また、合成ワックスとして、例えばポリエチレンワックスを用いる場合においては、分子量が1000〜10000、密度が0.90g/cm3〜0.93g/cm3、融点が100℃〜110℃のものであることが好ましい。ポリエチレンワックスは、分子量が大きいほど、溶融粘度が高くなり加熱時の取り扱い難しくなる。また、その密度が大きいほど、融点が高くなり溶融するのに時間とコストがかかる。したがって、ポリエチレンワックスを用いる場合には、分子量が1000〜4000、密度が0.90g/cm3〜0.92g/cm3、融点が100℃〜105℃のものであることがより好ましい。
合成ワックスの含有量としては、特に限定されず、グリース組成物に対して付与すべき付着性や耐熱性、防錆性の程度に応じて適宜決定することができる。例えば、グリース組成物全量に対して5質量%〜30質量%の割合で含有させることができる。
また、本発明に係るグリース組成物においては、必要に応じて、一般的に潤滑油やグリースの分野で使用される各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、耐摩擦摩耗剤、極圧剤、油性剤等を添加配合することができる。
なお、これら各種の添加剤の含有量についても、それぞれ要求される性能に応じて任意に定めることができる。
[3.グリース組成物の製造方法]
ところで、本実施の形態に係るグリース組成物は、基グリースに合成ワックスを添加してなることにより、上述したように、合成ワックスが本来有する付着性(粘着性)が付与され、そのグリース組成物を塗布する箇所における垂れ落ちを防止することができる。また、その合成ワックスが有する耐熱性、防錆性等の性質を付与することができる。
ところで、本実施の形態に係るグリース組成物は、基グリースに合成ワックスを添加してなることにより、上述したように、合成ワックスが本来有する付着性(粘着性)が付与され、そのグリース組成物を塗布する箇所における垂れ落ちを防止することができる。また、その合成ワックスが有する耐熱性、防錆性等の性質を付与することができる。
しかしながら、一般的には、合成ワックスを添加して付着性を高めると、必然的にグリース組成物の塗布性は悪くなる。
本件発明者らは、この点に関して、基グリースに合成ワックスを添加して溶解させた後、そのグリースに対して所定のせん断を加えて混練しながら冷却することによって、合成ワックスが添加されてなるグリース組成物のちょう度を高めることができ、これにより、その塗布性を向上させることができることを見出した。以下、この製造方法について順に説明する。
先ず、本実施の形態に係るグリース組成物の製造方法では、上述した基油に増ちょう剤を添加して混練し、得られた基グリースに合成ワックスを添加して完全に溶解させる。
具体的には、基油と増ちょう剤とを例えば混合釜中に添加し、万能攪拌機、3本ロールミル、コロイドミル、ホモジナイザー等の混練装置を用いて混練して基グリースを得る。
そして、得られた基グリースに合成ワックスを添加して完全に溶解させる。合成ワックスを溶解させるにあたっては、用いる合成ワックスの融点以上の温度に基グリースを昇温加熱し、その基グリースに合成ワックスを添加して攪拌混合する。
なお、上述した酸化防止剤やその他の各種添加剤を含有させる場合においては、基グリースを作製する段階、又は合成ワックスを添加する段階の何れの段階に添加してもよい。
次に、本実施の形態に係るグリース組成物の製造方法では、合成ワックスを溶解させたグリースに対して、所定のせん断を加えて混練しながら冷却する。
合成ワックスを溶解させたグリースに対して加えるせん断は、特に限定されるものではないが、例えば周知の攪拌装置のスクリュー(攪拌羽根)の回転数を100〜400rpmの速度範囲として攪拌することによって得られるせん断(せん断速度、せん断力)とすることが好ましい。せん断を加える方法としては、特に限定されるものではないが、上述のように万能攪拌機等の周知の攪拌装置を用いて攪拌することによって付与することが好ましい。
ここで、グリースの混練時に加えるせん断(せん断速度、せん断力)の大きさ(強さ)と得られるグリースのちょう度との関係において、例えば攪拌羽根の回転数を上げて加えるせん断を高めていくのに伴って、グリースのちょう度を大きくすることができる。つまり、グリースを軟らかくすることができる。したがって、合成ワックスによる付着性を維持しながら、グリースを軟らかくして塗布性を向上させることができる。
そしてまた、そのメカニズムは定かではないが、せん断を高めることでちょう度が大きくなっていく一方で、所定のせん断の大きさを境にそれを超える大きさのせん断を加えると逆にちょう度が小さくなっていくという傾向を有する。つまり、せん断に対するグリースのちょう度の関係においては、所定のせん断を加えたときのちょう度を最大値とした、上に凸となる傾向を有する。
このことから、混練に際して加えるせん断の大きさとしては、所定以上のちょう度とすることができるせん断の大きさ以上であって、ちょう度が最大となるせん断の大きさ以下の範囲とすることが好ましく、その範囲内において所望とするちょう度となる所定のせん断を加えるようにする。
上述した好ましいせん断の大きさの範囲としての、攪拌羽根の回転数100〜400rpmの範囲での攪拌によるせん断について、回転数100rpm未満の攪拌に基づくせん断の大きさでは、グリースのちょう度が十分な大きさとならずに優れた塗布性を付与することができない可能性がある。一方で、回転数400rpmを超える攪拌によりせん断を加えた場合、逆にちょう度の低下をもたらし、攪拌エネルギー等が高まるばかりで操業効率的に好ましくない。
なお、混練に際して加えるせん断の大きさについては、グリースの構成成分等によっても変わるため、所望とするちょう度となるように予め試験等を行った上で適宜設定することが好ましい。
また、グリースの冷却に関して、その冷却温度としては特に限定されるものではなく、通常の冷却温度、例えば5〜35℃の常温(室温)程度まで冷却する。また、冷却方法についても、特に限定されず、例えば常温にて混練しながら放熱させて冷却する。
このように、本実施の形態に係る製造方法においては、合成ワックスを溶解させたグリースに対して所定のせん断を加えて混練しながら冷却することが重要となり、これによって、グリースのちょう度を大きくすることができ、グリースに優れた塗布性を付与することができる。
具体的には、例えば、攪拌装置の攪拌羽根の回転数を100〜400rpmの速度範囲として攪拌することによって得られるせん断を加えて混練しながら冷却すると、得られたグリースのちょう度を280〜480程度の範囲とすることができ、優れた塗布性を付与することができる。
このようにして製造されたグリース組成物によれば、合成ワックスの添加による付着性の向上効果やその他のワックス特有の性質を付与することができるとともに、そのグリースに優れた塗布性を付与することができる。これによって、高い付着性を維持しながら優れた操作性で以って使用することができ、グリースの適用箇所において垂れ落ち等を防止するとともに塗布ムラを抑制することができ、高い潤滑性能を発揮させることができる。
[4.実施例]
以下に、本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以下に、本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(サンプル1〜13)
下記表1及び表2に示す組成となるように、基油としての鉱物油と増ちょう剤としてのリチウム石けんとからなる基グリースを作製し、この基グリースに合成ワックスを添加して120℃に加熱して合成ワックスを基グリース中に完全に溶解させた。その後、万能攪拌機を用いて、下記表1及び表2に示す攪拌羽根の回転数(rpm)で攪拌することによってせん断を加えてグリースを混練しながら冷却し、3本ロールミルで分散処理をすることにより各グリース組成物を作製した。
下記表1及び表2に示す組成となるように、基油としての鉱物油と増ちょう剤としてのリチウム石けんとからなる基グリースを作製し、この基グリースに合成ワックスを添加して120℃に加熱して合成ワックスを基グリース中に完全に溶解させた。その後、万能攪拌機を用いて、下記表1及び表2に示す攪拌羽根の回転数(rpm)で攪拌することによってせん断を加えてグリースを混練しながら冷却し、3本ロールミルで分散処理をすることにより各グリース組成物を作製した。
鉱物油としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製ニュートラル500を用いた。また、増ちょう剤としては、12ヒドロキシステアリン酸(KFトレーディング株式会社製12−HAS−I)と、水酸化リチウム(一水塩)(本荘ケミカル株式会社製)とにより構成されたリチウム石けんを用いた。
また、サンプル2〜7では、合成ワックスAとしてポリスチレンワックス(三井化学株式会社製ハイワックスNL200)を用いた。また、サンプル8〜13では、合成ワックスBとして酸化ポリスチレンワックス(ハネウェル株式会社製AC−680)を用いた。
なお、サンプル1では、合成ワックスを添加しなかった。また、サンプル2及びサンプル8では、合成ワックスは添加させたものの、冷却時にせん断を加えなかった。
作製したグリース組成物について、その塗布性を評価した。塗布性は、グリースのちょう度に影響するため、ちょう度を測定することによって評価した。すなわち、ちょう度が小さい(硬い)ほど塗布性は悪く、ちょう度が大きい(軟らかい)ほど塗布性は良好となる。なお、ちょう度の測定は、JIS K 2220の試験方法に準拠して行った。
下記表1にサンプル1〜7、下記表2にサンプル1及びサンプル8〜13のグリース組成物の組成、加えたせん断条件、及びちょう度の測定結果を示す。
表1及び表2に示されるように、先ず、合成ワックスを添加していないサンプル1と、合成ワックスを添加したサンプル2及びサンプル8とを比較すると、合成ワックスを添加したことにより、ちょう度が小さくなり、グリースが硬くなって塗布性が悪くなることが分かる。これは、合成ワックスを添加したことにより、付着性(粘着性)が高まったことに伴って、ちょう度が小さくなったものと推察される。
一方で、合成ワックスを添加しながらも、合成ワックスを基グリースに溶解した後に、せん断を加えて混練しながら冷却したサンプル3〜サンプル7、サンプル9〜サンプル13では、合成ワックスを添加したのみのサンプル2及びサンプル8に比べて、合成ワックス無添加のサンプル1と同等以上にちょう度が大きくなり、グリースが軟らかくなって塗布性が著しく向上していることが分かる。
また、冷却時に攪拌羽根の回転数(速度)を変えて加えるせん断の大きさを変化させたサンプル3〜サンプル7、サンプル9〜サンプル13においては、そのせん断の大きさによって、特徴的なちょう度の変化があることが分かる。すなわち、当該実施例では、撹拌羽根の回転数400rpmの攪拌によるせん断の大きさまで高めていくと、その大きさまではせん断が高まるにつれてちょう度も大きくなりグリースが軟らかくなっていくが、その回転数400rpmの攪拌によるせん断の大きさを超えるせん断を加えると、逆にちょう度が小さくなってグリースが硬くなっていく傾向となることが分かる。つまり、所定のせん断の大きさにおいて、そのグリースのちょう度が最大となり、せん断の大きさに対するグリースのちょう度の関係においては、上に凸となる傾向を有することが分かる。
以上のように、合成ワックスを添加した場合においても、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することにより、ちょう度を高めて塗布性に優れたグリースを製造することができることが分かった。また、所定のせん断の大きさまでは、そのせん断を高めていくに従ってグリースのちょう度も大きくなっていくことから、そのせん断の大きさによって、ちょう度を調整することができ、用途に応じて適した塗布性を有するグリースとすることができることが分かった。
さらに、合成ワックスを添加しているので、付着性を高めることができるだけでなく、例えば耐熱性、防錆性等の合成ワックス特有の性能をグリースに付与することが可能になると考えられる。
Claims (6)
- 基油に増ちょう剤を含有してなる基グリースに、合成ワックスを添加して溶解し、所定のせん断を加えて混練しながら冷却することを特徴とするグリース組成物の製造方法。
- 回転数100〜400rpmの範囲で攪拌することによってせん断を加えて混練することを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物の製造方法。
- 上記合成ワックスは、ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリース組成物の製造方法。
- 基油に増ちょう剤を含有させた基グリースに合成ワックスが添加されてなり、該基グリースに合成ワックスを溶解した後、所定のせん断を加えて混練しながら冷却して得られることを特徴とするグリース組成物。
- ちょう度が280〜480の範囲であることを特徴とする請求項4に記載のグリース組成物。
- 上記合成ワックスは、ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項4又は5に記載のグリース組成物。
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