JP2014040157A - 駆動力配分装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自励振動によるジャダーを抑制することができる駆動力配分装置を提案すること。
【解決手段】第1ローラ31と第2ローラ32の径方向押付力TETSを加減することによりローラ間のトラクション力TFμを可変とし、主駆動輪(左右後輪6L,6R)及び従駆動輪間の駆動力配分を制御するようにした駆動力配分装置1において、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあるか否かを判定する速度差増加傾向判定手段(速度差増加傾向判定部103)と、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあると判定されると、径方向押付力TETSを増加するトラクション力補正制御手段(トラクション力補正制御部104)と、を備えた。
【選択図】図6

Description

本発明は、四輪駆動車のトランスファーとして有用な駆動力配分装置に関する。
従来、トラクション伝動式の駆動力配分装置として、主駆動輪の伝動系に機械的に結合された第1ローラと、従駆動輪の駆動系に機械的に結合された第2ローラとを備え、第1ローラ及び第2ローラを両者の径方向において相互に押し付け、トラクション力を発生させてローラ間で動力を伝達し、主駆動輪へのトルクの一部を従駆動輪へ分配して出力させ得るようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。かかる駆動力配分装置にあっては、第1ローラ及び第2ローラ間における径方向押付力を加減することにより、これらローラ間のトラクション力(トルク伝達容量)、従って主駆動輪及び従駆動輪間の駆動力配分を制御することができる。トラクション力は、トラクション係数を径方向押付力に乗算することで得られる。言い換えると、トラクション係数は、トラクション力を径方向押付力で除したものである。
特開2009−173261号公報
一般に、ローラ間の回転速度差とトラクション係数との関係特性(トラクションカーブ)は、以下のようになる。すなわち、回転速度差が比較的小さい領域では、トラクション係数が回転速度差に対して正勾配で略線形に増加する。回転速度差の増加と共にトラクション係数の増加勾配は鈍化し、トラクション係数が最大となるある回転速度差を境として、回転速度差の増加に対してトラクション係数が減少するようになる。回転速度差が比較的大きい領域では、トラクション係数が回転速度差に対して負勾配で減少する。しかし、従来の上記形式の駆動力配分装置にあっては、上記特性を考慮せずに径方向押付力を制御していた。このため、第1ローラ及び第2ローラ間に回転速度差がある状態で径方向押付力を発生させた場合、又はこれらローラ間に径方向押付力を作用させた状態でローラ間の回転速度差が発生する場合、回転速度差の増加に応じてトラクション係数が減少する領域となったときに、トラクション力が不足し、自励振動によるジャダーが発生するおそれがあった。本発明は、上記問題に着目したものであって、ジャダーを抑制することができる駆動力配分装置を提案することを目的とする。
この目的のため本発明の駆動力配分装置は、ローラ間の回転速度差が増加傾向にあると判定すると、径方向押付力を増加する。
かかる本発明の駆動力配分装置によれば、以下の作用効果が奏し得られる。つまり、回転速度差が増加傾向にあると判定すると径方向押付力を増加することにより、上記特性に応じてトラクション係数が減少してもトラクション力の不足を抑制し、これにより自励振動によるジャダーの発生を抑制することができる。
実施例1の駆動力配分装置を備えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。 図1における駆動力配分装置の縦断側面図である。 図2に示す駆動力配分装置で用いたクランクシャフトを示す縦断正面図である。 図2に示す駆動力配分装置の動作説明図で、 (a)は、クランクシャフト回転角が0°である位置における第1ローラ及び第2ローラの離間状態を示す動作説明図、 (b)は、クランクシャフト回転角が90°である時における第1ローラ及び第2ローラの接触状態を示す動作説明図、 (c)は、クランクシャフト回転角が基準点の180°である時における第1ローラ及び第2ローラの接触状態を示す動作説明図である。 実施例1の駆動力配分装置(トランスファコントローラ)により実行されるジャダー抑制制御の流れを示すフローチャートである。 実施例1のジャダー抑制制御における各変数の変化の一例を示すタイムチャートである。 比較例のジャダー発生の実験結果を示すタイムチャートである。 実施例1のジャダー発生の実験結果を示すタイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、図示の実施例に基づき詳細に説明する。
[実施例1]
<実施例1の構成>
図1は、本発明の一実施例になる駆動力配分装置が適用される四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。この四輪駆動車両は、エンジン2からの回転を変速機3による変速後、リヤプロペラシャフト4及びリヤファイナルドライブユニット5を順次経て左右後輪6L,6Rに伝達するようにした後輪駆動車をベース車両とし、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を、トランスファーとしての駆動力配分装置1により、フロントプロペラシャフト7及びフロントファイナルドライブユニット8を順次経て左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ伝達することにより、四輪駆動走行が可能となるようにした車両である。
エンジン2は、駆動力を直接的には左右後輪6L,6Rの伝動系に出力する動力源である。エンジンコントローラ20は、エンジン回転数センサやアクセル開度センサ等の各種センサからの信号の入力に基づき、エンジン2の点火機構や燃料系統や吸排気系統等の各種アクチュエータ(インジェクターや電子制御スロットル等)を制御することでエンジン2の運転状態を制御するコントローラであり、エンジン2が出力する駆動力(エンジントルクTENG)を制御する駆動力制御手段を構成する。
TCSコントローラ10は、各車輪6,7の回転数Vwを検出する車輪速センサ113からの信号の入力を受け、この入力情報を基に後輪6L,6Rに加速スリップが発生していると判定すると、エンジンコントローラ20に指令を出力し、エンジントルクTENGを減少させることで、後輪6L,6Rの加速スリップ(空転ないしスリップ傾向)を抑制するTCS制御を行う。具体的には、まず、後輪6L,6Rの加速スリップ量として、前後輪6,9の車輪速差ΔV(=左右後輪6L,6Rの平均回転数Vwr−左右前輪9L,9Rの平均回転数Vwf)を算出する。そして、この車輪速差ΔVが設定された閾値ΔV1以上であれば加速スリップが発生していると判定する。なお、車輪速センサ113だけでなく、図外の舵角センサやヨーレートセンサ114からの入力情報をも加味して加速スリップを判定してもよい。また、所定のモデルを用いて車輪速等の情報に基づいて車体速を推定し、この推定車体速と後輪の車輪速との偏差により加速スリップ量を算出してもよい。TCSコントローラ10は、加速スリップが発生していると判定すると、加速スリップの抑制に必要な目標エンジントルクTENG*の演算を行い、エンジンコントローラ20に対しエンジントルクTENGを低減する指令を出力する。エンジンコントローラ20は、TCSコントローラ10からの指令を受けて、電子制御スロットルに対するスロットル開度制御、及びインジェクターに対する燃料カット制御等を行う。
なお、TCSコントローラ10、エンジンコントローラ20、及び後述するトランスファコントローラ100は、互いに情報を交換可能にCAN通信線等により接続されている。
駆動力配分装置1は、上記のごとくエンジン2から左右後輪6L,6Rの伝動系へ出力されたトルク(駆動力)の一部を左右前輪9L,9Rの伝動系へ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6R及び左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分比を決定するもので、本実施例においては、この駆動力配分装置1を図2に示すように構成する。
図2において11は、駆動力配分装置1のハウジングを示し、このハウジング11内に入力軸12及び出力軸13を、それぞれの回転軸線O1及びO2が互いに所定角度を有するよう、相互に傾斜させて横架する。入力軸12は、その両端におけるボールベアリング14,15によりハウジング11に対し回転自在に支承する。入力軸12の両端をそれぞれ、シールリング25,26による液密封止下でハウジング11から突出させる。図2において入力軸12の左端を変速機3(図1参照)の出力軸に駆動結合し、右端はリヤプロペラシャフト4(図1参照)を介してリヤファイナルドライブユニット5に駆動結合する。
入力軸12及び出力軸13の両端近くにそれぞれ配して、これら入出力軸12,13間に一対のベアリングサポート16,17を架設し、これらベアリングサポート16,17をそれぞれの中程で、ボルト(図示せず)によりハウジング11の軸線方向対向内壁に取着する。ベアリングサポート16,17と入力軸12との間にはローラベアリング21,22を介在させ、これにより入力軸12をベアリングサポート16,17に対し回転自在となすことで、ベアリングサポート16,17を介しても入力軸12をハウジング11内に回転自在に支持する。ベアリングサポート16,17間(ローラベアリング21,22間)における入力軸12の軸線方向中程位置に第1回転部材としての第1ローラ31を同軸に一体成形し、この第1ローラ31に動力伝達可能に潤滑油を介して圧接し得るよう配して出力軸13の軸線方向中程位置に第2回転部材としての第2ローラ32を同軸に一体成形する。これら第1ローラ31及び第2ローラ32の外周面31a,32aは、入力軸12及び出力軸13の前記した傾斜に関わらず相互に線接触し得るような円錐テーパ面とする。
出力軸13は、その両端近くにおける前記のベアリングサポート16,17に対し旋回可能に支承することで、これらベアリングサポート16,17を介してハウジング11内に旋回可能に支持する。このように出力軸13をベアリングサポート16,17に対し旋回可能に支承するに当たっては、以下のような偏心支承構造を用いる。
出力軸13と、これが貫通するベアリングサポート16,17との間にそれぞれ、中空アウターシャフト型式のクランクシャフト51L,51Rを遊嵌し、これらクランクシャフト51L,51Rをローラ旋回駆動メンバとして用いる。クランクシャフト51L及び出力軸13をそれぞれ図2の左端においてハウジング11から突出させ、該突出部においてハウジング11及びクランクシャフト51L間にシールリング27を介在させると共に、クランクシャフト51L 及び出力軸13間にシールリング28を介在させて、ハウジング11から突出するクランクシャフト51L及び出力軸13の突出部をそれぞれ液密封止する。図2においてハウジング11から突出する出力軸13の左端は、フロントプロペラシャフト7(図1参照)及びフロントファイナルドライブユニット8を介して左右前輪9L,9Rに駆動結合する。
クランクシャフト51L,51Rの中空孔51La,51Ra(半径Ri)と、出力軸13の対応端部との間にそれぞれローラベアリング52L,52Rを介在させて、出力軸13をクランクシャフト51L,51Rの中空孔51La,51Ra内で、これらの中心軸線O2の周りに自由に回転し得るよう支持する。クランクシャフト51L,51Rの中空孔51La,51Ra(中心軸線O2)は図3に明示するごとく、外周部51Lb,51Rb(中心軸線O3、半径Ro)に対し偏心させた偏心中空孔とし、これら偏心中空孔51La,51Raの中心軸線O2は外周部51Lb,51Rbの中心軸線O3から、両者間の偏心分εだけオフセットしている。クランクシャフト51L,51Rの外周部51Lb,51Rbはそれぞれ、ローラベアリング53L,53Rを介して対応する側におけるベアリングサポート16,17内に回転自在に支持される。この際、クランクシャフト51L,51Rをそれぞれ、第2ローラ32と共に、スラストベアリング54L,54Rで軸線方向に位置決めする。
クランクシャフト51L,51Rの相互に向き合う隣接端にそれぞれ、同仕様のリングギヤ51Lc,51Rcを一体に設ける。これらリングギヤ51Lc,51Rcにそれぞれ、共通なクランクシャフト駆動ピニオン55を噛合させ、これらクランクシャフト駆動ピニオン55をピニオンシャフト56に結合する。なお、上記のごとくリングギヤ51Lc,51Rcにクランクシャフト駆動ピニオン55を噛合させるに当たっては、クランクシャフト51L,51Rを両者の外周部51Lb,51Rbが円周方向において相互に整列して同位相となる回転位置にした状態で、当該リングギヤ51Lc,51Rcに対するクランクシャフト駆動ピニオン55の噛合を行わせる。
ピニオンシャフト56は、その両端を軸受56a,56bによりハウジング11に対し回転自在に支持する。図2の右側におけるピニオンシャフト56の右端をハウジング11に貫通してこれから露出させ、該ピニオンシャフト56の露出端面には、ハウジング11に取着して設けたモータ35(ローラ間押付力制御モータ)の出力軸35aをセレーション嵌合などにより駆動結合し、このモータ35をアクチュエータとして用いる。よって、モータ35によりピニオン55及びリングギヤ51Lc,51Rcを介しクランクシャフト51L,51Rを回転位置制御するとき、出力軸13及び第2ローラ32の回転軸線O2が、図3に破線で示す軌跡円αに沿って中心軸線Oの周りに旋回する。
図3の軌跡円αに沿った回転軸線O2(第2ローラ32)の旋回により第2ローラ32は、後述するが図4(a)〜(c)に示すごとく第1ローラ31に対し径方向へ接近し、これら第1ローラ31及び第2ローラ32のローラ軸間距離L1をクランクシャフト51L,51Rの回転角θの増加につれ、第1ローラ31の半径と第2ローラ32の半径との和値よりも小さくすることができる。かかるローラ軸間距離L1の低下により、第1ローラ31に対する第2ローラ32の径方向押付力TETSが大きくなる。ローラ軸間距離L1の低下度合いに応じてローラ31,32間の径方向押付力TETSを加減し、これによりローラ間のトラクション力TFμを可変とする。
すなわち、駆動力配分装置1はトラクション伝動式であり、滑らかな一対の転動体である第1ローラ31と第2ローラ32を相互に径方向に押し付けることでできる弾性変形接触部に潤滑油を閉じ込め、この潤滑油の剪断応力により接線方向(ローラ回転方向)の力を伝えるものである。言い換えると、ローラ間径方向押付力TETSによりローラ間に潤滑油の油膜を形成し、この油膜がローラ間の回転速度差Δv(差動ないし滑り)により剪断される際の抵抗力によってトラクション力TFμを発生させ、このトラクション力TFμによりローラ間で動力を伝達する。なお、潤滑油は、限界剪断応力の大きなもの(例えばナフテン系の油)を用いることが好ましい。トラクション力TFμ(ローラ間伝達トルク容量:トラクション伝動容量)を可変とすることで、駆動力配分比を任意に制御することができる。
図4(a)に示すように本実施例では、第2ローラ回転軸線O2がクランクシャフト回転軸線O3の直下に位置し、第1ローラ31及び第2ローラ32の軸間距離L1が最大となる下死点でのローラ軸間距離L1を、第1ローラ31の半径と第2ローラ32の半径との和値よりも大きくする。これにより当該クランクシャフト回転角θ=0°の下死点においては、第1ローラ31及び第2ローラ32が相互に径方向へ押し付けられることがなく、ローラ31,32間でトラクション伝動が行われないトラクション力TFμ=0の状態を得ることができ、トラクション力TFμを下死点での0と、図4(c)に示す上死点(θ=180°)で得られる最大値との間で任意に制御することができる。
〔駆動力配分作用〕
図1〜4につき上述した駆動力配分装置1の駆動力配分作用を以下に説明する。変速機3(図1参照)から駆動力配分装置1の入力軸12に達したトルクは、一方でこの入力軸12からそのままリヤプロペラシャフト4及びリヤファイナルドライブユニット5(ともに図1参照)を経て左右後輪6L,6R(主駆動輪)へ伝達される。
他方で駆動力配分装置1は、モータ35によりピニオン55及びリングギヤ51Lc,51Rcを介しクランクシャフト51L,51Rを回転位置制御して、ローラ軸間距離L1(図4参照)を第1ローラ31及び第2ローラ32の半径の和値よりも小さくするとき、これらローラ31,32が径方向相互押付力TETSに応じたローラ間伝達トルク容量を持つことから、このトルク容量に応じて、左右後輪6L,6Rへのトルクの一部を、第1ローラ31から第2ローラ32を経て出力軸13に向かわせ、左右前輪9L,9R(従駆動輪)をも駆動することができる。かくして車両は、左右後輪6L,6R及び左右前輪9L,9Rの全てを駆動しての四輪駆動走行が可能である。
この四輪駆動走行中、クランクシャフト51L,51Rの回転角θが図4(b)に示すごとく例えば90°であって、第1ローラ31及び第2ローラ32が相互に、この時のオフセット量OSに対応した径方向押付力TETSで押し付けられて(潤滑油を介して)摩擦接触している場合、これらローラ間のオフセット量OSに対応したトラクション力TFμで左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへの動力伝達が行われる。そして、クランクシャフト51L,51Rを図4(b)の位置から、図4(c)に示すクランクシャフト回転角θ=180°の上死点に向け回転操作してクランクシャフト回転角θを増加させるにつれ、ローラ軸間距離L1が更に減少して第1ローラ31及び第2ローラ32の相互オーバーラップ量OLが増大する結果、第1ローラ31及び第2ローラ32は径方向相互押付力TETSを増大され、これらローラ間のトラクション力TFμを増大させることができる。クランクシャフト51L,51Rが図4(c)の上死点位置に達すると、第1ローラ31及び第2ローラ32は相互に、最大のオーバーラップ量OLに対応した径方向最大押付力で径方向へ押し付けられて、これらの間のトラクション力TFμを最大にすることができる。なお最大のオーバーラップ量OLは、第2ローラ回転軸線O2及びクランクシャフト回転軸線O3間の偏心量εと、図4(b)につき上記したオフセット量OSとの和値である。
以上の説明から明らかなように、クランクシャフト51L,51Rをクランクシャフト回転角θ=0°の回転位置から、θ=180°の回転位置まで回転操作することにより、クランクシャフト回転角θの増加につれ、ローラ間トラクション力TFμを0から最大値まで連続変化させることができる。また逆に、クランクシャフト51L,51Rをθ=180°の回転位置から、θ=0°の回転位置まで回転操作することにより、クランクシャフト回転角θの低下につれ、ローラ間トラクション力TFμを最大値から0まで連続変化させることができる。このように、トラクション力TFμをクランクシャフト51L,51Rの回転操作により自在に制御し得る。
〔トラクション力制御〕
上記した四輪駆動走行中は駆動力配分装置1が、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ分配して出力するため、第1ローラ31及び第2ローラ32間のトラクション力TFμを、左右前輪9L,9Rへ分配すべき目標前輪駆動力に対応させる必要がある。この要求にかなうトラクション力制御のために本実施例においては、図1に示すようにトランスファコントローラ100を設け、これによりモータ35の回転位置制御(クランクシャフト回転角θの制御)を行うものとする。
そのためトランスファコントローラ100には、エンジン2の出力を加減する運転者のアクセル操作量(アクセルペダル踏み込み量としてのアクセル開度ACC)を検出するアクセル開度センサ112からの信号と、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rの回転数Vwrを検出する車輪速センサ113からの信号と、車両の重心を通る鉛直軸線周りにおけるヨーレートφを検出するヨーレートセンサ114からの信号と、ハウジング11内に設けられてクランクシャフト51L,51Rの回転角θを検出するクランクシャフト回転角センサ115からの信号と、駆動力配分装置1(ハウジング11)内における潤滑油の温度TEMPを検出する油温センサ116からの信号を入力する。例えば、トランスファコントローラ100におけるアクセル操作量検出部102は、アクセル開度センサ112からの信号入力に基づきアクセル開度ACC(アクセル操作量)を検出する。
トランスファコントローラ100はトラクション力制御部101を備えており、上記入力情報を基に、駆動力配分装置1のトラクション力制御(四輪駆動車両の前後輪駆動力配分制御)を概略以下のように行う。つまり、トラクション力制御部101は、アクセル開度ACC、後輪速Vwr、及びヨーレートφに基づき、先ず左右後輪(主駆動輪)6L,6Rの駆動力及び前後輪目標駆動力配分比を周知の要領で求める。次にトラクション力制御部101は、これら左右後輪6L,6Rの駆動力及び前後輪目標駆動力配分比から、左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ分配すべき目標前輪駆動力を求める。
更にトラクション力制御部101は、この目標前輪駆動力を伝達するのに必要な第1ローラ31及び第2ローラ32の目標伝達トルク(第1ローラ31及び第2ローラ32間のトラクション力TFμ)としてローラ間径方向押付力(ローラ締結力)TETSの指令値をマップ検索などにより求め、この径方向押付力指令値TETSを実現するのに必要なクランクシャフト51L,51Rの回転角目標値tθ、つまり第2ローラ軸線O2の目標旋回位置を演算する。
そしてトラクション力制御部101は、クランクシャフト回転角センサ115で検出したクランクシャフト回転角θ及び上記のクランクシャフト回転角目標値tθ間におけるクランクシャフト回転角偏差に応じ、クランクシャフト回転角θがクランクシャフト回転角目標値tθに一致するよう、モータ35を駆動制御する。すなわち、目標伝達トルクを得る押付力指令TETSとして、クランクシャフト回転角偏差に応じた電流指令をモータ35に出力する。当該モータ35の駆動制御によりクランクシャフト51L,51Rの回転角θが目標値tθに一致することで、第1ローラ31及び第2ローラ32は上記の目標前輪駆動力を伝達可能なように相互に径方向に押圧される。これにより、前後輪目標駆動力配分比を実現するよう第1ローラ31及び第2ローラ32間のトラクション力TFμを制御する。
〔ジャダー抑制制御〕
本実施例のトランスファコントローラ100は、駆動力配分装置1におけるジャダーの発生を抑制する制御を行う手段として、上記アクセル操作量検出部102と、速度差増加傾向判定部103と、トラクション力補正制御部104とを備える。速度差増加傾向判定部103は、ローラ間の回転速度差(滑り速度)Δvが増加傾向にあるか否かを判定する。具体的には、アクセル操作量検出部102により検出されるアクセル操作量が増大すると、回転速度差Δvが増加傾向にあると判定する。トラクション力補正制御部104は、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあると判定されると、ローラ間の径方向押付力TETSを増加する。具体的には、トラクション力TFμが少なくとも低下しないように、トラクション力制御部101において算出される径方向押付力TETSを増加する。トラクション力制御部101は、この増加補正された径方向押付力TETSを用いてモータ35を駆動制御する。
すなわち、一般に、ローラ間の回転速度差Δvとトラクション係数μとの関係特性(トラクションカーブ)は、以下のようになる。すなわち、回転速度差Δvが比較的小さい領域(Δv<Δv*)では、トラクション係数μが回転速度差Δvに対して正勾配で略線形に増加する。回転速度差Δvの増加と共にトラクション係数μの増加勾配は鈍化し、トラクション係数μが最大となるある回転速度差Δv*を境として、回転速度差Δvの増加に対してトラクション係数μが減少するようになる。回転速度差Δvが比較的大きい領域(Δv>Δv*)では、トラクション係数μが回転速度差Δvに対して負勾配で減少する。トラクション力補正制御部104は、トラクション係数μが上記特性に基づき回転速度差Δvに応じて減少するときでも、(トラクション係数μと径方向押付力TETSとの積である)トラクション力TFμが低下しないよう、トラクション力制御部101において算出される径方向押付力指令値TETSを増加補正するものである。具体的には、上記特性において回転速度差Δvが比較的大きくトラクション係数μが負勾配となる(回転速度差Δvの増大に応じてトラクション係数μが低下する)領域でトラクション力TFμが低下しないように、径方向押付力指令値TETSを増加する。
図5は、本実施例の駆動力配分装置1(トランスファコントローラ100)により実行されるジャダー抑制制御の流れを示すフローチャートである。この制御は、トラクション力制御部101において(目標前輪駆動力に基づき)算出される押付力指令値TETSの補正制御であり、トラクション力制御の一環として実行される。トラクション力制御部101は、本制御フローで算出(補正)された押付力指令値(補正値)TETSに基づき、径方向押付力を制御する。本制御フローは所定の制御周期で繰り返し実行する。
ステップS1では、アクセル操作量検出部102が、現在のアクセル開度ACC(0)を読み込む(サンプリングする)。その後、ステップS2へ進む。
ステップS2では、トラクション力補正制御部104が、現在のアクセル開度ACC(0)がゼロより大きいか否かを判定する。ゼロより大きければステップS3へ進み、ゼロであればステップS9へ進む。
ステップS3では、速度差増加傾向判定部103が、現在のアクセル開度ACC(0)が1サンプリング前のアクセル開度ACC(-1)よりも大きいか否かを判定する。大きければアクセル開度ACCが増大していると判断し、ステップS4へ進む。大きくなければ、アクセル開度ACCが前回値と同じであり保持されていると判断し、ステップS8へ進む。
ステップS4では、トラクション力補正制御部104が、現在の押付力指令値TETS(0)が、初期押付力TETS-S(トラクション力制御部101において算出される押付力TETS)以上であるか否かを判定する。TETS-S以上であればステップS6へ進み、TETS-S未満であればステップS5へ進む。なお、本制御フローを最初に実行する際の現在の押付力指令値TETS(0)はゼロに設定する。よって、本制御フローを最初に実行する際には本ステップS4で否定判断されてステップS5へ進む。
ステップS5では、トラクション力補正制御部104が、次回の(1サンプリング後の)押付力指令値TETS(1)として初期押付力TETS-Sを設定した後、ステップS7へ進む。
ステップS6では、トラクション力補正制御部104が、次回の(1サンプリング後の)押付力指令値TETS(1)として現在の押付力TETS(0)に押付力増加量m-TETSを加算した値を設定した後、ステップS7へ進む。径方向押付力の増加量m-TETSは、アクセル開度ACCの増大に応じたエンジントルクTENGの上昇、言い換えるとローラ間の回転速度差Δvの増加(トラクションカーブの所定領域におけるトラクション係数μの減少)に対し、トラクション力TFμ(トラクション係数μと径方向押付力TETSとの積算値)が、ジャダーを許容範囲内に抑制できる最低限の値以上となるよう、実験やシミュレーションに基づき予め設定する。すなわち、制御周期毎に、アクセル開度ACCの増大に応じたトラクション係数μの低下を、径方向押付力TETSの増加によってカバーできるような値に、押付力増加量m-TETSを予め設定する。なお、押付力増加量m-TETSを可変としてもよい。例えば制御周期毎に、アクセル開度ACCの増大量に応じて押付力増加量m-TETSを設定してもよい。
ステップS7では、トラクション力補正制御部104が、設定された押付力指令値TETS(1)が最大値MAX以上であるか否かを判定する。最大値MAXは、装置1のユニットで達成できる径方向押付力TETSの上限値であり、メカ的に決まる制限値である。MAX以上であれば今回の制御周期を終了し、MAX未満であればステップS1へ戻る。
ステップS8では、トラクション力補正制御部104が、次回の押付力指令値TETS(1)として現在の押付力指令値TETS(0)を設定(すなわちTETS(0)を保持)した後、今回の制御周期を終了する。
ステップS9では、トラクション力補正制御部104が、次回の押付力TETS指令値TETS(1)を初期押付力TETS-S(トラクション力制御部101において算出される押付力TETS)に設定した後、今回の制御周期を終了する。
図6は、本実施例のジャダー抑制制御における各変数の変化の一例を示すタイムチャートである。
時刻t1以前では、アクセルペダルが踏まれておらず、車両は停止状態である。
時刻t1で、アクセルペダルが踏まれる(アクセル開度ACCが増加し始める)。時刻t1以後、エンジンコントローラ20がアクセル開度ACCに応じたエンジントルクTENGを発生させると共に、トランスファコントローラ100がアクセル開度ACC等に基づく押付力指令TETSを出力し、装置1がトラクション力TFμを発生する。車速Vが発生して車両が四輪駆動状態で発進する。
時刻t1では、図5のフローチャートでステップS1→S2→S3→S4→S5へ進む流れとなり、押付力指令値TETSとして初期押付力TETS-Sを設定する。その後、時刻t2まで、ステップS1→S2→S3→S4→S6→S7→S1へ進む流れとなり、押付力指令値TETSを初期押付力TETS-Sから所定の勾配m-TETSで徐々に増加させる。
時刻t1以後、エンジントルクTENGの増大によりローラ間の回転速度差Δvが増加する。ここで、ローラ間の回転速度差Δvは前後輪6,9の車輪速差ΔVに対応するため、前後輪6,9の車輪速差ΔVが徐々に増加する。ローラ間の回転速度差Δvが増加すると、この回転速度差Δvに対するトラクション係数μが負勾配となる(減少する)領域に入りやすくなる。しかし、回転速度差Δvの増加によりトラクション係数μが減少するようになっても、上記のように押付力指令値TETSを増加させることで、トラクション係数μの減少は押付力TETSの増加によりいわば相殺され、トラクション力TFμは低下しない(図6では、ジャダーを抑制できる最低値以上の所定値TFμ1に維持される)。また、押付力TETSの増加により回転速度差Δv(車輪速差ΔV)の過大な増加が抑制されるため、車輪速差ΔVは閾値ΔV1以下となり(TCSフラグが立たず)、TCSコントローラ10によるTCS制御が介入しない。
時刻t2以後、アクセルペダルの踏み込みが保持される(アクセル開度ACCが略一定となる)ため、エンジントルクTENGが略一定に制御されると共に、図5でステップS1→S2→S3→S8へ進む流れとなり、トランスファコントローラ100が押付力指令TETSを保持する。エンジントルクTENG及び押付力TETSが略一定に保持されるため、ローラ間の回転速度差Δv(車輪速差ΔV)も略一定となる。また、トラクション力TFμは上記所定値TFμ1に維持される。
時刻t3で、アクセルペダルが踏み戻され(アクセル開度ACCが減少し始め)、これに応じてエンジントルクTENGが減少する。
時刻t4で、アクセル開度ACCが0となる。このため、図5でステップS1→S2→S9へ進む流れとなり、押付力TETS指令値TETSを初期押付力TETS-S(トラクション力制御部101において算出される押付力指令値TETS)に設定する。すなわち、押付力指令値TETSの補正を終了する。時刻t4以後、トラクション力制御部101が押付力指令値TETSをゼロまで減少させる。これに伴いトラクション力TFμもゼロまで減少し、四輪駆動状態から二輪駆動状態に切り替る。
上述した本実施例になる駆動力配分装置1によれば、自励振動によるジャダーの発生を抑制することができる。すなわち、従来のトラクション伝動式の駆動力配分装置では、ローラ間の回転速度差とトラクション係数との関係特性として、回転速度差が比較的大きい領域では、トラクション係数が回転速度差に対して負勾配で減少することを考慮せずに径方向押付力を制御していたため、ローラ間に回転速度差がある状態で径方向押付力を発生させた場合、又はこれらローラ間に径方向押付力を作用させた状態でローラ間の回転速度差が発生する場合、回転速度差の増加に応じてトラクション係数が減少する領域となったときに、トラクション力が不足し、自励振動によるジャダーが発生するおそれがあった。これに対し、本実施例の装置1は、回転速度差Δvが増加傾向にあると判定すると、押付力TETSを増加する。よって、上記特性に応じてトラクション係数μが減少してもトラクション力TFμの不足を抑制し、これにより自励振動によるジャダーの発生を抑制することができる。
図7及び図8は、前後輪6,9の伝動系の回転速度(Fr回転、Rr回転)及びトルク(Frトルク、Rrトルク)の時間変化を示すタイムチャートであり、ジャダー発生の実験結果を示す。図7は、本実施例のジャダー抑制制御(押付力指令値TETSの補正)を行わない比較例のタイムチャートであり、図8は本実施例のタイムチャートである。図7の比較例に示すように、例えば径方向押付力TETSを略一定に保った状態で回転速度差Δvが発生した場合、回転速度差Δvの増加に応じてトラクション係数μが減少する領域に入ると、伝動系の回転速度ないしトルクの自励振動が発生し、これによるジャダーが発生する。これに対し、回転速度差Δvが発生しても、径方向押付力TETSを増加補正すれば(押付力TETSが増加勾配をもっていれば)、見かけのトラクションカーブが改善する。すなわち、トラクション係数μが減少する以上に径方向押付力TETSを増加することで、見かけのトラクションカーブを正勾配とする。言い換えると、(押付力TETSが略一定と仮定したとき、)回転速度差Δvの増加に対してトラクション係数μが減少しない見かけの特性となる。よって、図8の本実施例に示すように、自励振動を抑制し、これによりジャダーを大幅に低減することができる。
具体的には、トラクション力補正制御部104は、回転速度差Δvが増加傾向にあると判定されると、トラクション力TFμが低下しないように、トラクション力制御部101において算出される押付力指令値TETSを増加補正する。よって、トラクション力TFμの低下に起因する自励振動(ジャダー)を、より確実に低減することができる。なお、押付力指令値TETSの増加補正によってトラクション係数μの減少分を完全に相殺できない(トラクション力TFμが若干低下する)場合でも、トラクション力TFμの低下をある程度緩和できれば、自励振動をある程度抑制できることは言うまでもない。
また、本実施例では、速度差増加傾向判定部103は、検出されるアクセル操作量(アクセル開度ACC)が増大すると、回転速度差Δvが増加傾向にあると判定する。よって、自励振動が発生するおそれを迅速に(事後的ではなく事前に)検知することで、ジャダーをより確実に低減することができる。すなわち、回転速度差Δvが増加傾向にあると判定して押付力指令値TETSを増加補正する際、本実施例のようにアクセル開度ACCに基づき回転速度差Δvの増加傾向を検知するのではなく、例えば回転速度差Δvを直接検知してその増加傾向を判断してもよい。しかし、この場合、回転速度差Δvが実際に増加した後に制御を開始することとなるため、制御の応答性が低下するおそれがある。特に、径方向押付力TETSが略一定の状態から回転速度差Δvが増加した場合には、アクチュエータ(モータ35等)の応答が間に合わずに自励振動が発生するおそれがある。これに対し、本実施例では、アクセル開度ACCに基づき回転速度差Δvの増加傾向を検知し、回転速度差Δvが実際に増加する前から(いわばフィードフォワード的に)制御を行うことで、制御の応答性を向上し、ジャダー抑制効果を増大することができる。また、制御構成を簡素化することができる。
図5の制御フローは、上記フィードフォワード的な制御の一例であり、ローラ間に径方向押付力TETSを作用させた状態で回転速度差Δvが発生する場合のみならず、ローラ間に回転速度差Δvがある状態で径方向押付力TETSを発生させる場合にも、このフローに従い制御を実行することでジャダーを抑制することができる。なお、後者の場合、アクチュエータ(モータ35等)の応答性の問題は前者の場合に比べて小さいため、回転速度差Δvを直接検知してその増加傾向を判断すると共に、検知した回転速度差Δvに応じて(フィードバック的に)押付力指令値TETSを補正することとしてもよい。例えば、トラクション係数μが回転速度差Δvに対して負勾配で減少する、回転速度差Δvが比較的大きい上記領域(Δv>Δv*)でのみTETSを補正するように設けることも可能である。
<実施例1の効果>
以下、実施例1の装置1が奏する効果を列挙する。
(1)主駆動輪伝動系と共に回転する第1ローラ31と、従駆動輪伝動系と共に回転する第2ローラ32とを備え、第1ローラ31及び第2ローラ32を相互に径方向に押し付け、トラクション力TFμを発生させてローラ間で動力を伝達し、従駆動輪(左右前輪9L,9R)への駆動力配分が可能であると共に、径方向押付力TETSを加減することによりローラ間のトラクション力TFμを可変とし、主駆動輪(左右後輪6L,6R)及び従駆動輪間の駆動力配分を制御するようにした駆動力配分装置1において、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあるか否かを判定する速度差増加傾向判定手段(速度差増加傾向判定部103)と、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあると判定されると、径方向押付力TETSを増加するトラクション力補正制御手段(トラクション力補正制御部104)と、を備えた。
よって、トラクションカーブ(トラクション係数μの減少勾配)に起因する自励振動を径方向押付力TETSの増加により抑制し、ジャダーの発生を抑制することができる。
(2)トラクション力補正制御手段(トラクション力補正制御部104)は、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあると判定されると、トラクション力TFμが低下しないように、径方向押付力TETSを増加する。
よって、トラクション力TFμの低下に起因する自励振動を、より確実に抑制することができる。
(3)運転者のアクセル操作量(アクセル開度ACC)を検出するアクセル操作量検出手段(アクセル操作量検出部102)を備え、速度差増加傾向判定手段(速度差増加傾向判定部103)は、検出されるアクセル操作量が増大すると、ローラ間の回転速度差Δvが増加傾向にあると判定する。
よって、自励振動が発生するおそれを事前に検知することで、これをより確実に抑制することができる。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づく実施例により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、主駆動輪は前輪でも後輪でもどちらでもよい。実施例では、クランクシャフト51L,51Rの回転により第2ローラ32を旋回させることでローラ間径方向押付力TETSを加減することとしたが、第1ローラ31を旋回させるクランクシャフトを設け、第1ローラ31を旋回させることで径方向押付力TETSを加減するようにしてもよい。また、実施例では、ローラを旋回させるローラ旋回駆動メンバとして中空アウターシャフト型式のクランクシャフトを用いたが、他の形式の旋回駆動メンバを用いてもよい。さらに、ローラを旋回させる以外の方法で径方向押付力TETSを加減するようにしてもよい。
実施例では、運転者のアクセル操作量としてアクセル開度ACCを検出することとしたが、回転速度差Δvの増加を事前に検知できるパラメータであればよく、例えばスロットルバルブ開度等を検出してもよい。
1 駆動力配分装置
6L,6R 左右後輪(主駆動輪)
9L,9R 左右前輪(従駆動輪)
31 第1ローラ
32 第2ローラ
102 アクセル操作量検出部(アクセル操作量検出手段)
103 速度差増加傾向判定部(速度差増加傾向判定手段)
104 トラクション力補正制御部(トラクション力補正制御手段)

Claims (3)

  1. 主駆動輪伝動系と共に回転する第1ローラと、従駆動輪伝動系と共に回転する第2ローラとを備え、
    前記第1ローラ及び前記第2ローラを相互に径方向に押し付け、トラクション力を発生させて前記ローラ間で動力を伝達し、前記従駆動輪への駆動力配分が可能であると共に、
    前記径方向押付力を加減することにより前記ローラ間のトラクション力を可変とし、前記主駆動輪及び前記従駆動輪間の駆動力配分を制御するようにした駆動力配分装置において、
    前記ローラ間の回転速度差が増加傾向にあるか否かを判定する速度差増加傾向判定手段と、
    前記ローラ間の回転速度差が増加傾向にあると判定されると、前記径方向押付力を増加するトラクション力補正制御手段と、を備えた
    ことを特徴とする駆動力配分装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力配分装置において、
    前記トラクション力補正制御手段は、前記ローラ間の回転速度差が増加傾向にあると判定されると、前記トラクション力が低下しないように、前記径方向押付力を増加することを特徴とする駆動力配分装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動力配分装置において、
    運転者のアクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、
    前記速度差増加傾向判定手段は、前記検出されるアクセル操作量が増大すると、前記ローラ間の回転速度差が増加傾向にあると判定することを特徴とする駆動力配分装置。
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