JP2014034295A - 車両用ドアトリムの取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドアトリムとクリップとの取付作業性を向上させることができる車両用ドアトリムの取付構造を提供する。
【解決手段】車両用ドアトリムの取付構造において、クリップ4は、平坦な平坦部13と、湾曲部19で折り返されて平坦部13に連続しかつ平坦部13に接近および離隔するように弾性的に撓む自由端部15と、嵌合用開口部11の開口端に引っ掛かる凸部17とを備え、嵌合用開口部11は、先端部12aが平坦部13に接触する一方の片部12と、先端部14aが自由端部15に接触する他方の片部14との少なくとも一対の片部を有し、かつそれらの片部同士の間隔が自由端部15が撓んでいない状態におけるクリップ4の平坦部13と凸部17との間隔より小さく設定され、さらに自由端部15に接触する他方の片部14が一方の片部12よりもドアパネル側に位置している。
【選択図】図1
【解決手段】車両用ドアトリムの取付構造において、クリップ4は、平坦な平坦部13と、湾曲部19で折り返されて平坦部13に連続しかつ平坦部13に接近および離隔するように弾性的に撓む自由端部15と、嵌合用開口部11の開口端に引っ掛かる凸部17とを備え、嵌合用開口部11は、先端部12aが平坦部13に接触する一方の片部12と、先端部14aが自由端部15に接触する他方の片部14との少なくとも一対の片部を有し、かつそれらの片部同士の間隔が自由端部15が撓んでいない状態におけるクリップ4の平坦部13と凸部17との間隔より小さく設定され、さらに自由端部15に接触する他方の片部14が一方の片部12よりもドアパネル側に位置している。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両のドアを構成しているドアパネルにドアトリムを取り付ける取付構造に関するものである。
車両におけるドアは、車室の内外を区画するためのものであるから、車室の装飾性や居住性などを良好にするためにドアトリムをドアパネルに取り付けて構成されている。その取り付け構造の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された構造を簡単に説明すると、ドアインナパネルのフランジ部とドアインナリインホースメントのフランジ部とに、ドアトリムに嵌合させるクリップが取り付けられ、クリップにはその端部を車両下部側から車両上部側に折り返した折り返し部が形成されている。この折り返し部は、断面が略U字状に形成されており、折り返し部の車両上部と車両下部にはドアトリムの被係合部としての開口部に係合される係合部が設けられている。そして、ドアトリムをドアインナパネルに取り付けるべくドアインナパネルの内面に向けて取付荷重を作用させたときに、ドアトリムとクリップとの擦れによる異音の発生を抑制するようになっている。
また、他の取付構造が特許文献2に記載されており、その構造を簡単に説明すると、ウェザーストリップと一体に固定用爪部が形成されており、その固定用爪部は、端部を折り返し、断面が略三角形状(もしくはやじり型)になるように形成されている。この固定用爪部の車両上部の角部と車両下部の角部(それぞれやじりのあごに相当する部分)とは、ドアトリム本体のフランジに設けられた孔形状の爪受部に係合されるように構成されている。
更に他の取付構造が特許文献3に記載されており、これを簡単に説明すると、ウェザーストリップに一体形成されたクリップ部を、ドアトリム本体に設けられたクリップ挟持用ブラケットのクリップ嵌合孔に嵌合固定するようになっている。そのクリップ挟持用ブラケットのクリップ嵌合孔は、先端に下向きの第1係止部を設けた上片と、先端に上向きの第2係止部を設けた下片とを有しており、それら上片と下片とはクリップ部の挿入方向において同じ位置に設けられている。また、クリップ部は、断面が略三角形(もしくはやじり型)であって、一つの角部(やじりのあごに相当する部分)がクリップ嵌合孔に対する挿入方向に突出しており、またクリップ部の車両上部側の端部および車両下部側の端部がウェザーストリップに一体的に形成されている。そして、クリップ部の車両上部の角部は上片に引っかかるように、クリップ部の車両下部の角部は下片に引っかかるように構成されている。
特許文献1に記載された構造では、クリップを形成している折り返し部を、ドアトリムの開口部に挿入する際、開口部の開口幅が折り返し部の厚さもしくは幅より狭いので、折り返し部が開口部の上縁と下縁とに接触して弾性変形させられる。その場合の折り返し部と前記上縁および下縁との接触箇所は、折り返し部と開口部との挿入方向では同じ位置となっている。言い換えれば、上縁と下縁とによって折り返し部の長手方向での同じ位置を挟み付けることになる。ドアトリムを組み付ける場合、クリップの折り返し部と開口部とを嵌合させてこれらをガイドもしくは支持点としてドアトリムをドアパネルに向けて押し込むのが一般的であるが、開口部における上記の上縁および下縁はクリップの折り返し部を上下から挟み付けているのに過ぎず、またそれらは線接触もしくは点接触している程度であるから、ドアトリムのドアパネルに向けた押し込み方向を規制する作用がほとんどない。そのため、作業者がドアトリムの姿勢を維持もしくは矯正するいわゆる力仕事が増大し、組み付けの作業性を改善する余地があった。
また、特許文献2に記載された構造においても、固定用爪部を爪受部に挿入する際、固定用爪部の車両上部側の一辺と爪受部との接触点と、固定用爪部の車両下部側の一辺と爪受部との接触点との位置が、挿入方向において同じ位置になり、固定用爪部を上下の二点で挟み付けることになる。そのため、特許文献1に記載されている構造と同様に、固定用爪部と爪受部とがこれら接触点を支点に相対的に回転し易く、挿入する方向が定まらず、その結果、作業者がドアトリムの姿勢を維持もしくは矯正するいわゆる力仕事が増大し、組み付けの作業性を改善する余地があった。
さらに、特許文献3に記載された構造では、第1係止部である上片と第2係止部である下片とはクリップ部の挿入方向において同じ位置に配置されているため、クリップ部を係止部に挿入する際、クリップ部の上部と上片と、クリップ部の下部と下片とが同時に当たってしまい、クリップ部を係止部に挿入する作業が難しくなる。すなわち、クリップ部を係止部に挿入するためには、クリップ部の下部と上部とを同時に撓ませる必要があるため、作業者に掛かる負担が大きくなり、組み付けの作業性が必ずしも良好ではない。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、ドアトリムを取り付ける際に作業者に掛かる負担を軽減してその取付作業性を改善することのできるドアトリムの取付構造を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ドアパネルに設けられた弾性変形可能なクリップを、ドアトリムに形成された嵌合用開口部に嵌合させて抜け止めすることにより前記ドアトリムを前記ドアパネルに取り付ける車両用ドアトリムの取付構造において、前記クリップは、前記嵌合用開口部に対する挿入方向に平坦な平坦部と、その平坦部の先端部における湾曲部で折り返されて前記平坦部に連続しかつ前記平坦部に接近および離隔するように弾性的に撓む自由端部と、その自由端部に前記平坦部とは反対方向に凸となりかつ前記嵌合用開口部に挿入された場合に前記嵌合用開口部の開口端に引っ掛かる凸部とを備え、前記嵌合用開口部は、前記先端部が前記平坦部に接触する一方の片部と、先端部が前記自由端部に接触する他方の片部との少なくとも一対の片部を有し、かつそれらの片部同士の間隔が前記自由端部が撓んでいない状態における前記クリップの前記平坦部と前記凸部との間隔より小さく設定され、さらに前記自由端部に接触する前記他方の片部が前記一方の片部よりも前記ドアパネル側に位置していることを特徴とするものである。
この発明によれば、ドアパネルに設けられたクリップの先端部をドアトリムに設けられた嵌合用開口部に挿入させ、その状態でドアトリムをドアパネルに向けて押し込むことにより、クリップが弾性変形し、その自由端部に形成されている凸部が嵌合用開口部を越えることにより、その凸部がドアトリム側に挿入されかつ嵌合用開口部の内側に引っ掛かり、ドアトリムがドアパネルに取り付けられる。その取付過程で、前記平坦部の先端部における湾曲部が嵌合用開口部に挿入方向に挿入された場合、自由端部と他方の片部とが接触し、平坦部と一方の片部とが接触する。湾曲部が更に嵌合用開口部に挿入方向に挿入された場合、片部同士の間隔が自由端部が撓んでいない状態における平坦部と凸部との間隔より小さく設定されているため、他方の片部により平坦部に接近するように自由端部に荷重が加えられる。このとき、挿入方向において自由端部に接触する他方の片部が一方の片部よりもドアパネル側に位置しているため、自由端部と一方の片部との接触点と湾曲部との距離は、平坦部と他方の片部との接触点と湾曲部との距離よりも長い。つまり、自由端部と一方の片部接触点と湾曲部との距離が長いため、小さな荷重でモーメントを大きくすることができる。したがって、自由端部と一方の片部とが接触することにより自由端部に対して荷重が加えられた場合に、小さな荷重でクリップを撓ませることができる。すなわち、ドアトリムの押し込み力が小さくてよく、組み付けの作業性を向上させることができる。
また、この発明によれば、他方の片部と平坦部との接触点と、一方の片部と自由端部との接触点との位置が挿入方向において異なる。そのため、クリップを嵌合用開口部に押し込む際に前記自由端部を撓ませることによる反力が、嵌合用開口部を介してドアトリムにモーメントを与え、これがドアトリムの姿勢を規制もしくは矯正する作用を生じる。例えば、一方の片部と自由端部との接触点を中心にドアトリムが反時計回りに回転する荷重が加えられたとしても、平坦部が一方の片部に接触してその荷重の反力となり、回転を抑制することができる。すなわち組み付け時のドアトリムの姿勢が矯正される作用が生じる。したがって、挿入しているときの姿勢が矯正され、挿入時のがたつきを抑制することができ、あるいは作業者の負担を軽減することができる。
つぎに、この発明に係る車両用ドアトリムの取付構造の具体例について説明する。図1にフロントサイドドアの一部を断面で示してある。なお、車両に設けられているリアサイドドアやリアドアなどの他のドアの一部に図1に示す構成を備えさせてもよい。
フロントサイドドア1は、車室に対して外側に配置されている鋼板製のドアアウターパネル(図示せず)と、車室に対して内側に配置されている鋼板製のドアインナーパネル2と、ドアアウターパネルとドアインナーパネル2との間に車両上下方向に昇降可能に配置されたウィンドウガラス(図示せず)とを備えている。
ドアインナーパネル2は、深絞り加工が施された板状の部材であって、車両前後方向の両端部および車両上下方向の下端部がドアアウターパネルと一体化されて閉断面が形成されている。また、ドアインナーパネル2とウィンドウガラスとの間には、車両上下方向の上端部がドアインナーパネル側に湾曲するように形成されている板状のドアインナーリインホースメント3が配置されている。このドアインナーリインホースメント3は、車両上下方向の上端部がドアインナーパネル2の上端部2aに面接触している状態で溶接などにより接合されている。
ドアインナーパネル2の車両上下方向の上端部2aとドアインナーリインホースメント3の車両上下方向の上端部3aとは互いに重ね合わせて接合されてフランジ状に形成されており、このフランジ状の部分に、図1に示すように、後述するクリップ4がその挟持部5によって取り付けられている。さらに、挟持部5は上記のフランジ状の部分を挟み付けるように構成されたいわゆるU溝状の部分であり、その外周側にウェザーストリップ6の取付部7が嵌め込まれている。ウェザーストリップ6は従来知られているものと同様に、車外から雨水やほこりなどが進入することを防止するためのゴムなどの弾性材料で形成されており、前記挟持部5に取り付けるための取付部7は、断面が略U字状をなし、その内側に挟持部5を挿入するように構成されている。また、取付部7の内壁面(挟持部5に対向する壁面)には2つのリップ部7a,7bが形成されている。このリップ部7a,7bの先端が挟持部5に接触することにより、挟持部5と取付部7との間のシール性が確保される。
また、ウェザーストリップ6には、図1に示すように、ウィンドウガラスの昇降方向と交差する方向に延びた2つのリップ部6a,6bが設けられている。リップ部6a,6bはウィンドガラスに接触する面が合成樹脂製とされ、ウィンドウガラスの表面と接触することにより、水滴あるいはほこりが取り除かれ、ウインドウガラスとドアトリム8とのシール性が確保される。また、ウェザーストリップ6の取付部7から車両の上側に延びた突片部7cがドアトリムの上端部9に接触することで、ウェザーストリップ6とドアトリム8とのシール性が確保される。
ドアトリム8はドアの内張りパネルであって、ドアインナーパネル2やドアアウターパネルなどに設けられている機構を覆い隠するために、それらを収容できる空間を有することができるような形状に成形され、クリップ4を介してドアインナーパネル2に取り付けられている。ドアトリム8は、ドアインナーパネル2やウェザーストリップ6と対向する内面8bと、意匠面である外面8aとを有している。
ドアトリム8は、ドアインナーパネル2やドアインナーリインホースメント3との間の空間部の上端を閉じるために、ドアの厚さ方向に屈曲している上端部9を有しており、その上端部9の内面8bには、上端部9に対して斜め方向に延びた突出部10が形成されている。この突出部10とウェザーストリップ6の取付部7から車両の上側に延びた他の突片7dとが接触することで、ウェザーストリップ6とドアトリム8とのシール性が確保される。
また、ドアトリム8の内面8bには、クリップ4が嵌合される嵌合用開口部11が形成されている。クリップ4とドアトリム8の嵌合用開口部11とは、ドアトリム8とドアインナーパネル2とを結合しておくいわゆるファスナーとして機能する部分である。この嵌合用開口部11は、車両前後方向においてドアトリム8の内面8bに複数設けられている。
嵌合用開口部11は、先端部(上縁)12aが後述する平坦部13に接触する一方の上片部12と、先端部(下縁)14aが後述する自由端部15に接触する他方の下片部14との少なくとも一対の片部を有する。具体的には、ドアトリム8の上端部9の内面8bには車両上下方向において下側に延びた上片部12が設けられており、上片部12の先端部12aはクリップ4の平坦部13に接触する。また、ドアトリム8の側面部16の内面8bには、ドアトリム8の開口部側に延びるとともに、その先端14aが車両上下方向において上側に延びた下片部14が設けられている。下片部14の先端部14aは、クリップ4の自由端部15に接触する。また、上片部12は挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8のいわゆる本体部分(もしくは車室側を向くパネル部分)に近い位置に配置され、下片部14の先端部14aは挿入方向においてドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置に配置されている。つまり、嵌合用開口部11の上片部12と下片部14とは挿入方向において互い違いに配置されている。言い換えると、上片部12の延長線Aと下片部14の先端部14aの延長線Bとは互い違いに配置されている。ドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置に配置された下片部14は、クリップ4の後述する凸部17を抜け止めしている。
前述したようにクリップ4の挟持部5は、ドアインナーパネル2に取り付けられている。その挟持部5は、車両の下方側に開口する断面が略U字状に形成されており、その開口部がドアインナーパネル2およびドアインナーリインホースメント3の上端部2a,3aに嵌め込まれている。また、クリップ4の接続部18は、挟持部5のドアインナーパネル2に接触する部分5aに対面するように折り曲げられている。
さらに、クリップ4は、嵌合用開口部11に対する挿入方向に平坦な平坦部13と、その平坦部13の先端部における湾曲部19で折り返されて平坦部13に連続しかつ平坦部13に接近および離隔するように弾性的に撓む自由端部15と、平坦部13とは反対方向に凸となりかつ嵌合用開口部11に挿入された場合に嵌合用開口部11の開口端に引っ掛かるように自由端部15に形成された滑らかに盛り上がった状態に形成された凸部17とを備えている。
また、嵌合用開口部11における片部同士の間隔は、自由端部15が撓んでいない状態におけるクリップ4の平坦部13と凸部17との間隔より小さく設定されている。したがって、凸部17が嵌合用開口部11の開口端を超えるようクリップ4と嵌合用開口部11を嵌合させた場合、凸部17は下片部14の側面14bに接触して抜け止めされる。
次に、ドアトリム8とクリップ4との取付方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、ドアトリム8の嵌合用開口部11がクリップ4に水平方向に挿入される。そして、図2(b)に示すように、クリップ4の平坦部13と上片部12とが接触するとともに、クリップ4の自由端部15と下片部14とが接触する。この状態でドアトリム8をドアインナーパネル2側に押すと、自由端部15が平坦部13に接近するように弾性的に撓む。そして、図2(c)に示すように、凸部17が下片部14を乗り越えて、湾曲部19の弾性力により平坦部13と自由端部15とが離隔し、すなわちクリップ4が広がり、凸部17と下片部14とが嵌合し抜け止めされる。
具体的には、ドアトリム8を車室内側から外側に(ドアインナーパネル2に向けて)押した場合、図2(b)に示すように、クリップ4の平坦部13と上片部12とが接触するとともに、クリップ4の自由端部15と下片部14とが接触する。また、嵌合用開口部11における片部同士の間隔は、自由端部15が撓んでいない状態におけるクリップ4の平坦部13と凸部17との間隔より小さく設定されている。このとき、上片部12は挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8に近い位置で平坦部13に接触し、下片部14は挿入方向においてドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置で自由端部15に接触する。つまり、自由端部15における接触点と湾曲部19との距離は、平坦部13における接触点と湾曲部19との距離よりも長い。これにより、小さな荷重でモーメントを大きくすることができるため、小さな荷重で湾曲部19を嵌合用開口部11に挿入することができる。したがって、取り付けの作業性を向上させることができる。
また、図2(b)および図2(c)に示すように、さらにクリップ4がドアトリム8の嵌合用開口部11に水平方向に挿入された場合、自由端部15の凸部17が下片部14を乗り越えた後に、湾曲部19の弾性力により平坦部13と自由端部15とが離隔して、凸部17と下片部14とが嵌合し抜け止めされる。このとき、上片部12と下片部14との位置が挿入方向において同じである場合よりも、自由端部15と下片部14とが最初に接触する箇所と凸部17との距離が短い。そのため、自由端部15に荷重が加えられる距離を短くすることができ、さらにドアトリム8の嵌合用開口部11とクリップ4との挿入荷重を小さくすることができる。
したがって、この発明に係る車両用ドアトリムの取付構造は、より少ない荷重でドアトリムにクリップを挿入することができ、組み付けの作業性を向上させることができる。
また、図2(b)に示すように、上片部12は挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8に近い位置で平坦部13に接触し、下片部14は挿入方向においてドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置で自由端部15に接触している。言い換えると、平坦部13における上片部12との接触点と自由端部15における下片部14との接触点とは、挿入方向において異なる。そのため、下片部14と自由端部15との接触点を中心にドアトリム8が図の反時計回りに回転する荷重が加えられたとしても、平坦部13が上片部12の先端に接触してその荷重の反力となり、回転を抑制することができる。すなわち組み付け時のドアトリム8の姿勢が矯正される作用が生じる。したがって、挿入しているときの姿勢が矯正され、挿入時のがたつきや作業者の負担を抑制することができる。
また、ドアトリム8の嵌合用開口部11にクリップ4を挿入する際、嵌合用開口部11とクリップ4との挿入方向に狂いが生じることがある。図5には比較例に係る車両用ドアトリム取付構造が示されている。比較例に係るドアトリム取付構造は、この発明に係る車両用ドアトリム取付構造とは、嵌合用開口部および嵌合部の構成が異なる。つまり、上片部20は挿入方向においてドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置に配置され、下片部21は挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8に近い位置に配置されている。クリップ4に対してドアトリム8の嵌合用開口部22が図5における斜め右下方向に挿入される場合に、クリップ4の平坦部13と上片部20とが接触するとともに、クリップ4の自由端部15と下片部21とが接触する。このとき、上片部20は挿入方向においてドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置で自由端部15に接触し、下片部21は挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8に近い位置で平坦部13に接触する。つまり、自由端部15における接触点と湾曲部19との距離は、平坦部13における接触点と湾曲部19との距離よりも短くなってしまう。したがって、湾曲部19が撓みにくくなってしまい、組み付けの作業性が低下してしまう。
一方で、この発明に係る車両用ドアトリムの取付構造は、図3に示すように、上片部12が挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8に近い位置で平坦部13に接触し、下片部14が挿入方向においてドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置で自由端部15に接触している。つまり、自由端部15における接触点と湾曲部19との距離は、平坦部13における接触点と湾曲部19との距離よりも長い。そのため、自由端部15と下片部14との接触点と湾曲部19との距離が長くなり、小さな荷重でモーメントを大きくすることができ、自由端部15を撓ませることができる。したがって、より小さい荷重でクリップ4を撓ませて挿入することができ、組み付けの作業性を向上させることができる。
つぎに、この発明に係る車両用ドアトリムの取付構造の他の具体例について図4を参照して説明する。以下に説明する車両用ドアトリムの取付構造は、前述の車両用ドアトリムの取付構造に係る構成とは、ドアトリム8の嵌合用開口部23とクリップ24との点で異なり、他はほぼ同様のものであるため、ドアトリム8の嵌合用開口部23とクリップ24とに係る構成についてのみ説明する。
ドアトリム8の内面8bには、図4に示すように、クリップ24の嵌合部22が嵌合される嵌合用開口部23が形成されている。この嵌合用開口部23は、車両前後方向においてドアトリム8の内面8bに複数設けられている。
ドアトリム8の嵌合用開口部23は、先端部25aが後述する平坦部26に接触する一方の下片部25と、先端部27aが後述する自由端部28に接触する他方の上片部27との少なくとも一対の片部を有する。具体的には、ドアトリム8の上端部9の内面8bには、車両上下方向において下側に延びた上片部27が設けられている。また、ドアトリム8の側面部16の内面8bには、ドアトリム8の開口部側に延びるとともに、その先端が車両上下方向において上側に延びた下片部25が設けられている。また、上片部27はクリップ24の挿入方向においてドアトリム8のいわゆる本体部分(もしくは車室側を向くパネル部分)よりもドアインナーパネル2に近い位置に配置され、下片部25の先端部はクリップ24の挿入方向においてドアインナーパネル2よりもドアトリム8に近い位置に配置されている。つまり、嵌合用開口部23の上片部27と下片部25とは挿入方向において互い違いに配置されている。言い換えると、上片部27の延長線Cと下片部25の先端の延長線Dとはクリップ24の挿入方向において互い違いに配置されている。ドアトリム8よりもドアインナーパネル2に近い位置に配置された上片部27は、クリップ24の後述する凸部29を抜け止めしている。
クリップ24の挟持部30は、ドアインナーパネル2に取り付けられている。その挟持部30は、車両の下方側に開口する断面が略U字状に形成されており、その開口部がドアインナーパネル2およびドアインナーリインホースメント3の上端部2a,3aに嵌め込まれている。また、クリップ24の接続部32は、挟持部30のドアインナーパネル2に接触する部分5aに対面するように折り曲げられている。
さらに、クリップ24は、嵌合用開口部23に対する挿入方向に平坦な平坦部26と、その平坦部26の先端部における湾曲部31で折り返されて平坦部26に連続しかつ平坦部26に接近および離隔するように弾性的に撓む自由端部28と、その自由端部28に平坦部26とは反対方向に凸となりかつ嵌合用開口部23に挿入された場合に嵌合用開口部23の開口端に引っ掛かる凸部29とを備えている。
また、ドアトリム8とクリップ24とを離隔する方向に荷重が加えられた際、凸部29は上片部27の側面27bに接触して抜け止めされる。嵌合用開口部23における片部同士の間隔は、自由端部28が撓んでいない状態におけるクリップ24の平坦部26と凸部29との間隔より小さく設定されている。
図4に示すように構成されたこの発明に係る車両用ドアトリムの取付構造であっても、自由端部28を弾性的に撓ませる状態における下片部25と平坦部26との接触点から湾曲部31までの寸法よりも、前記凸部29から湾曲部31までの寸法が大きいから、湾曲部31に掛かる曲げモーメントが大きくなり、したがってドアトリム8を取り付けるための押し込み力を小さくし、取付作業性を向上させることができる。また、下片部25と上片部27とがクリップ24の挿入方向で前述したように前後に互いにずれているので、クリップ24(もしくは自由端部28)を撓ませる荷重がドアトリム8に対してモーメントとして作用し、これによってドアトリム8の姿勢を規制もしくは矯正する作用が生じ、あるいはドアトリム8の取付時のガイドとなるので、この点でもドアトリム8の取付作業性が良好になる。
2…ドアインナーパネル(ドアパネル)、 4,24…クリップ、 8…ドアトリム、 13,26…平坦部、 15,28…自由端部、 17,29…凸部、 19,31…湾曲部、 11,23…(ドアトリムの)嵌合用開口部、 12,27…上片部、 14,29…下片部。
Claims (1)
- ドアパネルに設けられた弾性変形可能なクリップを、ドアトリムに形成された嵌合用開口部に嵌合させて抜け止めすることにより前記ドアトリムを前記ドアパネルに取り付ける車両用ドアトリムの取付構造において、
前記クリップは、前記嵌合用開口部に対する挿入方向に平坦な平坦部と、その平坦部の先端部における湾曲部で折り返されて前記平坦部に連続しかつ前記平坦部に接近および離隔するように弾性的に撓む自由端部と、その自由端部に前記平坦部とは反対方向に凸となりかつ前記嵌合用開口部に挿入された場合に前記嵌合用開口部の開口端に引っ掛かる凸部とを備え、
前記嵌合用開口部は、前記先端部が前記平坦部に接触する一方の片部と、先端部が前記自由端部に接触する他方の片部との少なくとも一対の片部を有し、かつ
それらの片部同士の間隔が前記自由端部が撓んでいない状態における前記クリップの前記平坦部と前記凸部との間隔より小さく設定され、
さらに前記自由端部に接触する前記他方の片部が前記一方の片部よりも前記ドアパネル側に位置している
ことを特徴とする車両用ドアトリムの取付構造。
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JP2012176600A JP2014034295A (ja) | 2012-08-09 | 2012-08-09 | 車両用ドアトリムの取付構造 |
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JP2012176600A JP2014034295A (ja) | 2012-08-09 | 2012-08-09 | 車両用ドアトリムの取付構造 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2014034295A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019042112A1 (zh) * | 2017-08-29 | 2019-03-07 | 蔚来汽车有限公司 | 用于门饰板侧装的卡子和汽车门饰板 |
-
2012
- 2012-08-09 JP JP2012176600A patent/JP2014034295A/ja active Pending
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WO2019042112A1 (zh) * | 2017-08-29 | 2019-03-07 | 蔚来汽车有限公司 | 用于门饰板侧装的卡子和汽车门饰板 |
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