JP2014034126A - 積層体及び容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性と透明性を有し、端材等をリサイクル活用しても透明性を損なうことのない、食品包装用途に好適な積層体と、この積層体よりなる容器を提供する。
【解決手段】下記層(A)、層(B)及び層(C)をこの順で積層してなり、層(B)/層(C)の厚み比が2/98〜25/75である積層体。
層(A):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂からなる層
層(B):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂からなる層
層(C):芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる層
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性及び透明性とリサイクル性を有するポリエステル系樹脂積層体に関する。詳細には、本発明は比較的高い温度域でも変形せず、端材等をリサイクルしても透明性を損なうことがないポリエステル系樹脂積層体と、この積層体からなる容器に関するものである。
現在、食品等の包装容器の構成材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等が使用されている。これらの樹脂の内、ポリオレフィン系樹脂は比較的安価であるものの、低分子量化合物が樹脂に吸着することによって内容物の風味が損なわれ、保香性に劣るという欠点がある。ポリカーボネート系樹脂は透明性や耐熱性に優れるものの、残存モノマーとして含有されるビスフェノールAが人体に対して悪影響を及ぼす可能性が懸念されていることから、近年、内容物が経口接触される用途には忌避され、工業分野に用途が限定されつつある。従って、現在、食品包装用材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を始めとしたポリエステル系樹脂等で成形された容器が、主流として使用されている。
各種ポリエステル系樹脂の中でも、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は光沢感や透明性、保香性に優れ、安価でもあることから、食品等の包装容器の構成材料としては、最も広範に使用されている。しかし、これらの優れた点を有する一方で、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は耐熱性に劣るため、電子レンジによる加熱などに耐え得ないという問題点があった。
そのため、保香性や透明性と耐熱性を兼備した包装用部材の開発が望まれており、この要望に応える包装用材料として、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリカーボネート系樹脂の積層体が提案されている。
例えば、特許文献1にはポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの両側にポリカーボネート系樹脂フィルムを積層する技術が開示されている。特許文献2では非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートとポリカーボネート系樹脂シートを積層しており、また、特許文献3ではポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリカーボネート系樹脂の混合物を中間層とし、片側もしくは両側にポリカーボネート系樹脂を積層する技術が開示されている。更に特許文献4では、再生したポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリカーボネート系樹脂をそれぞれ非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂で改質し、積層することで、耐熱性を有する積層板を成形している。
特開昭62−181129号公報 特開平10−100356号公報 特開平11−77938号公報 特開2006−231822号公報
前記特許文献1〜4に記載されている技術はいずれも積層体の耐熱性を改良する手法として有効である。しかし、近年はナフサ価格と連動した原材料価格の高騰や環境保護の観点から、原反シートを包装容器へと二次加工する際に発生した端材や不良品、更には市場からの返品、その他廃材等(以下、これらを「端材等」と称す場合がある。)を粉砕、溶融し、リサイクル層として活用することが、求められている。前述した特許文献1〜4のようなポリカーボネート系樹脂とポリエチレンテレフタレート系樹脂の積層体においては、これらの層の混合物となるリサイクル層が著しく失透することから、これをリサイクル活用して得られた容器の透明性が損なわれるという問題がある。
本発明は、かかる諸問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、優れた耐熱性と透明性を有し、端材等をリサイクル活用しても透明性を損なうことのない、食品包装用途に好適な積層体と、この積層体よりなる容器を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、脂環式ポリエステル系樹脂を接着性樹脂として用い、脂環式ポリエステル系樹脂層を介してポリエチレンテレフタレート系樹脂層と芳香族ポリカーボネート系樹脂層とを積層した積層体が、耐熱性と透明性に優れ、端材等をリサイクルしても透明性を損なわず、食品用容器及び食品用包装材料等として高い性能を発現し、従来の問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[11]を要旨とする。
[1] 下記層(A)、層(B)及び層(C)をこの順で積層してなり、層(B)と層(C)との厚み比[層(B)の厚み]/[層(C)の厚み]が2/98〜25/75であることを特徴とする積層体。
層(A):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂からなる層
層(B):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂からなる層
層(C):芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる層
[2] 前記層(A)と層(C)との厚み比[層(A)の厚み]/[層(C)の厚み]が90/10〜10/90である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記層(C)の芳香族ポリカーボネート系樹脂が、ビスフェノールAから誘導される構成単位を含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 更に下記層(D)を有する、[1]乃至[3]のいずれかに記載の積層体。
層(D):下記樹脂(a)〜樹脂(c)の合計100重量%に対し、樹脂(a)が10〜90重量%、樹脂(b)が1〜19重量部及び樹脂(c)が9〜89重量%となるように含む樹脂組成物からなる層
樹脂(a):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂
樹脂(b):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂
樹脂(c):芳香族ポリカーボネート系樹脂
[5] 総厚みが100〜2000μmである、[1]乃至[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] [1]乃至[5]のいずれかに記載の積層体からなる容器。
[7] [1]乃至[5]のいずれかに記載の積層体からなる包装用材料。
[8] [1]乃至[5]のいずれかに記載の積層体からなる食品用容器。
[9] [1]乃至[5]のいずれかに記載の積層体からなる食品用包装材料。
[10] 前記層(A)が内容物と接触する最内層として構成されている、[8]に記載の食品用容器。
[11] 前記層(A)が内容物と接触する最内層として構成されている、[9]に記載の食品用包装材料。
本発明によれば、耐熱性と透明性に優れ、端材等をリサイクルしても透明性を損なわず、食品用容器及び食品用包装材料等に適した積層体が提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明の積層体は、下記層(A)、層(B)及び層(C)をこの順で積層してなり、層(B)と層(C)との厚み比[層(B)の厚み]/[層(C)の厚み]が2/98〜25/75であることを特徴とする。
層(A):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂からなる層
層(B):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂からなる層
層(C):芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる層
また、場合によっては、本発明の積層体は更に下記層(D)を好ましくは前記層(A)と前記層(B)との間、或いは層(C)と層(B)との間に有する。ここで、層(D)は、層(A)〜(C)を積層してなる本発明の積層体の端材等を用いて形成されるリサイクル層に該当する。
層(D):下記樹脂(a)〜樹脂(c)の合計100重量%に対し、樹脂(a)が10〜90重量%、樹脂(b)が1〜19重量部及び樹脂(c)が9〜89重量%となるように含む樹脂組成物からなる層
樹脂(a):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂
樹脂(b):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂
樹脂(c):芳香族ポリカーボネート系樹脂
[層(A)]
層(A)は、テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂(以下、このポリエステル系樹脂を「樹脂(a)」と称す場合がある。)からなる層である。
ここで、「主な構成単位として含む」とは、樹脂(a)の全構成単位の50モル%以上であることを指し、本発明に係る樹脂(a)は、樹脂(a)を構成するジカルボン酸成分として、テレフタル酸由来の単位を全ジカルボン酸成分由来の単位中に50モル%以上含み、ジオール成分として、エチレングリコール由来の単位とジエチレングリコール由来の単位とを合計で全ジオール成分由来の単位中に50モル%以上含む非晶性ポリエステル系樹脂である。
樹脂(a)を構成するジカルボン酸成分は、耐熱性及び透明性の点より、テレフタル酸由来の単位を全ジカルボン酸成分由来の単位中に90モル%以上含むことが好ましく、特に95〜100モル%含むことが好ましい。
樹脂(a)において、テレフタル酸以外に用いられる他のジカルボン酸成分としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;これらのジカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステル、或いはハロゲン化物等のジカルボン酸誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
一方、樹脂(a)を構成する全ジオール成分由来の単位中におけるエチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位の比率が高いほど、透明性や耐熱性に優れることから、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を合計で全ジオール成分由来の単位中に55モル%以上含むことが好ましく、特に60〜100モル%含むことが好ましい。
樹脂(a)に用いることができる、エチレングリコール及びジエチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロペンタンジメタノールビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン、1,3−シクロペンタンジメタノールビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の6員環ジオール;トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂(a)のガラス転移温度は、45℃以上であり、より望ましくは55℃以上である。樹脂(a)のガラス転移温度が上記下限値未満であると、耐熱性に劣るため好ましくない。一方、樹脂(a)のガラス転移温度の上限は90℃である。なお、ガラス転移温度は例えば、示差走査熱量計(DSC)等を用いることにより常法にて測定することができ、通常は10℃/minの昇温速度で測定した際のヒートフローの変局点の温度を意味する。樹脂(a)のガラス転移温度は、前述したジカルボン酸成分及びジオール成分を適宜選択して用いることで制御することができる。
また、樹脂(a)の固有粘度(IV)は任意であるが、低い方が溶融粘度も低くなるため、成形加工し易い点で好ましい。具体的には、樹脂(a)をフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒として、ウベローデ型粘度計を用いて、30℃で測定することにより求められる固有粘度(IV)が1.5dl/g以下であることが好ましい。一方、積層体の強度等の物性の点からは、樹脂(a)の固有粘度(IV)は0.3dl/g以上であることが好ましい。
樹脂(a)は、一般的にはテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール及びジエチレングリコールを主成分とするジオール成分のエステル化又はエステル交換反応及び重縮合反応によって得られる。エステル化反応又はエステル交換反応の温度条件は通常200〜300℃である。また、十分な反応速度を得るためには触媒を使用することが好ましい。触媒としては、通常のエステル化反応又はエステル交換反応、及び重縮合反応に使用されている触媒であれば、特に限定されず、広く公知のものを採用することが出来る。具体的にはチタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などが挙げられる。
樹脂(a)として好適な上記のような特性を有するポリエステル系樹脂は市販されており、例えば、イーストマンケミカル社製「Easter(登録商標)Copolyester」や、日本ユニペット社製「ユニペット(登録商標)」が挙げられる。
なお、樹脂(a)としては、1種類の樹脂を単独で用いてもよく、ジカルボン酸成分やジオール成分或いはガラス転移温度などの物性の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
[層(B)]
層(B)は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂(以下、この脂環式ポリエステル樹脂を「樹脂(b)」と称す場合がある。)からなる層である。
ここで、「主な構成単位として含む」とは、樹脂(b)の全構成単位の50モル%以上であることを指し、本発明に係る樹脂(b)は、樹脂(b)を構成するジカルボン酸成分として、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位を全ジカルボン酸成分由来の単位中に50モル%以上含み、ジオール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を全ジオール成分由来の単位中に50モル%以上含む脂環式ポリエステル樹脂である。
樹脂(b)は好ましくは、全ジカルボン酸成分由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位の割合と全ジオール成分由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位の割合が、それぞれ、好ましくは60モル%以上であり、この割合はより好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%である。なお、その上限は100モル%である。樹脂(b)中の全ジカルボン酸成分由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位及び全ジオール成分由来の単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位の割合が高いほど、積層体の耐熱性の点で好ましい。
樹脂(b)に用いることができる、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の鎖状脂肪族ジカルボン酸;これらのジカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステル、或いはハロゲン化物等のジカルボン酸誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのジカルボン酸成分のうち、鎖状脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸或いはその誘導体が好ましく用いられる。
なお、ジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸である場合、該脂環式ジカルボン酸中のトランス体の割合は、樹脂(b)の耐熱性の点では多い方が望ましいが、一方、耐衝撃性の点では、低い方が好ましい。具体的には、このトランス体の割合は、60モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、また、一方、98モル%以下であることが好ましい。
一方、樹脂(b)に用いることができる、1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分としては、例えば、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロペンタンジメタノールビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン、1,3−シクロペンタンジメタノールビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の6員環ジオール;エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のテトラメチレングリコール;ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の鎖状脂肪族ジオール;キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの内、柔軟性付与の観点から、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等の鎖状脂肪族ジオールが好ましい。
ジオール成分が脂環式ジオールである場合、該脂環式ジオール中のトランス体の割合は、上述の脂環式ジカルボン酸成分に含まれるトランス体の割合と同様な理由により、60モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、また、一方、98モル%以下であることが好ましい。
また、樹脂(b)を構成するジオール成分由来の単位の一部を、ポリアルキレンポリオール由来の単位で置き換える、即ち、樹脂(b)を、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分とするジオール成分との共重合体をハードセグメントとし、ポリアルキレンポリオールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体とすることにより、柔軟性が向上するため好ましい。ここで用いられるポリアルキレンポリオールとしては、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールが好ましく、中でもポリテトラメチレンエーテルグリコールが特に好ましい。
この場合、樹脂(b)中のポリアルキレンポリオール由来の単位の量は、樹脂(b)の柔軟性や樹脂(a)との接着性能の点では多い方が好ましいが、一方、ポリアルキレンポリオール由来の単位が過度に多くなると、樹脂(b)の融点が低くなるため、耐熱性や透明性が損なわれる可能性がある。このため、樹脂(b)に含まれるポリアルキレンポリオール由来の単位の全樹脂(b)中の含有量は3重量%以上であることが好ましく、6重量%以上であることが更に好ましい。一方、その含有量は30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることが更に好ましい。なお、樹脂(b)中のポリアルキレンポリオール由来の単位の含有量は、製造時の仕込割合から算出するか、又は1H−NMRスペクトル分析法のような機器分析法により定量することができる。
なお、このポリアルキレンポリオールの分子量については、靭性や耐衝撃性の観点から数平均分子量が200以上であることが好ましく、一方、重合反応性の観点からは数平均分子量が3000以下であることが好ましい。
樹脂(b)の融点は、160℃以上240℃以下であることが加工性と透明性のバランスの点から必要である。樹脂(b)の融点は、前述したジカルボン酸成分及びジオール成分の種類、ジカルボン酸成分における脂環式ジカルボン酸のトランス体の割合、ジオール成分における脂環式ジオールのトランス体の割合等を適宜調整することによって制御可能である。
なお、樹脂(b)の融点は示差走査熱量計(DSC)にて検出され、通常は10℃/minの昇温速度で測定した際の融解ピークトップの温度を意味する。
また、樹脂(b)の固有粘度(IV)は任意であるが、低い方が溶融粘度も低くなるため、成形加工し易い点で好ましい。具体的には、樹脂(b)をフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒として、ウベローデ型粘度計を用いて、30℃で測定することにより求められる固有粘度(IV)が1.5dl/g以下であることが好ましい。一方、本発明の積層体の強度等の物性の点からは、樹脂(b)の固有粘度(IV)は0.5dl/g以上であることが好ましい。
また、樹脂(b)は、JIS K7210の試験条件4に従って測定した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、加工性の点では大きい方が好ましく、機械的強度の点では小さい方が好ましい。具体的には、樹脂(b)の230℃、2.16kg荷重におけるMFRは1g/10min以上であることが好ましく、5g/10min以上であることが更に好ましく、一方、200g/10min以下であることが好ましく、100g/10min以下であることがより好ましい。
樹脂(b)は、一般的には1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分とするジオール成分のエステル化又はエステル交換反応及び重縮合反応によって得られる。エステル化反応又はエステル交換反応の温度条件は通常200〜300℃である。また、十分な反応速度を得るためには触媒を使用することが好ましい。触媒としては、通常のエステル化反応又はエステル交換反応、及び重縮合反応に使用されている触媒であれば、特に限定されず、広く公知のものを採用することが出来る。具体的にはチタン化合物、アンチモン化合物、スズ化合物などが挙げられる。なお、エステル交換反応を用いて重縮合を行う場合、前記のジカルボン酸成分の代わりにジカルボン酸ジメチル成分が用いられ、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の構位にはその原料として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルが用いられる。
なお、樹脂(b)としては、1種類の樹脂を単独で用いてもよく、ジカルボン酸成分やジオール成分或いは融点などの物性の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
また、樹脂(b)は、三官能以上の多官能性化合物を共重合した、分岐を有する脂環式ポリエステルであってもよい。三官能以上の多官能性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のヒドロキシル基を3つ以上有する化合物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等のカルボキシル基を3つ以上有する化合物等が挙げられる。その使用量は、全原料に対して通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜3モル%である。
[層(C)]
層(C)は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(以下、「樹脂(c)」と称す場合がある。)からなる層である。
樹脂(c)は、通常、原料として、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを使用して得られる、直鎖又は分岐の熱可塑性の重合体又は共重合体である。また、樹脂(c)の原料には上記の芳香族ジヒドロキシ化合物に加え、三官能以上の多官能性芳香族化合物が用いられていてもよい。
上記の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が挙げられる。
また、上記以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、上記の中では、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]が好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記のカーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が挙げられ、その具体例としては、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体についても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、樹脂(c)は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類の他、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。これらの中では、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができ、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
樹脂(c)の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などが挙げられる。工業的には、界面重合法又は溶融エステル交換法が有利である。
樹脂(c)の分子量は、機械的強度と流動性(成形加工性容易性)の観点から、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、温度25℃で測定された溶液粘度から換算した粘度平均分子量(Mv)として、通常10,000〜50,000、好ましくは12,000〜40,000であり、更に好ましくは14,000〜30,000である。樹脂(c)は、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して上記の範囲内の粘度平均分子量としてもよい。また、必要に応じ、粘度平均分子量が上記の好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
また、樹脂(c)は、JIS K7210の試験条件4に従って測定した300℃、1.20kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、加工性の点では大きい方が好ましく、機械的強度の点では小さい方が好ましい。具体的には、樹脂(c)の300℃、1.20kg荷重におけるMFRが0.1g/10min以上であることが好ましく、1g/10min以上であることが更に好ましく、一方、100g/10min以下であるのが好ましく、50g/10min以下であることがより好ましい。
また、樹脂(c)の末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下である。また、その下限は、特にエステル交換法で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂では、10ppm以上、好ましくは30ppm以上、更に好ましくは40ppm以上である。末端水酸基濃度を10ppm以上とすることにより、分子量の低下が抑制でき、機械的特性がより向上する傾向にある。また、末端水酸基濃度が1000ppmを超えない範囲にすることにより、滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にある。
上記の末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
樹脂(c)としての芳香族ポリカーボネート系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、原料化合物が異なるものや、粘度平均分子量等の物性が異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂(c)は市販品として入手することもできる。市販品としては例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロン(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
[その他の成分]
層(A)、層(B)、層(C)はそれぞれ前述の樹脂(a)、樹脂(b)、樹脂(c)により形成されるものであるが、いずれの層についても、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、これら樹脂(a)、樹脂(b)、樹脂(c)以外の樹脂や添加剤等を含んでいてもよい。即ち、層(A)、層(B)、層(C)は、それぞれ樹脂(a)、樹脂(b)、樹脂(c)を主成分とする樹脂組成物により形成されたものであってもよい。
各層の形成に用いられる樹脂(a)〜(c)以外の樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等のプロピレン系共重合体;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂(ただし、各々、樹脂(a)〜(c)に含まれるものを除く。)、ポリメチルメタクリレート系樹脂、アクリル/メタクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
また、添加剤等としては、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、可塑剤、光安定剤、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、相溶化剤、粘着性付与剤等が挙げられる。
これらのその他の樹脂や添加剤等は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
難燃剤は、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が環境面で好ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。
充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
層(A)〜(C)の形成に樹脂(a)〜(c)以外の樹脂や添加剤等の成分を用いる場合でも、各層中における樹脂(a)〜(c)の含有量は、本発明の優れた効果の発現のしやすさ等の点から、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。なお、この上限は、通常100重量%である。
[各層の厚み比]
本発明の積層体において、層(B)と層(C)との厚み比[層(B)の厚み]/[層(C)の厚み](以下「層(B)/層(C)」と略記する場合がある。)は2/98〜25/75の範囲であることを特徴とする。層(B)/層(C)が上記範囲よりも大きく、層(B)が厚く、層(C)が薄くても、逆に上記範囲よりも小さく、層(B)が薄く、層(C)が厚くても、本発明の積層体の端材等をリサイクル活用して得られるリサイクル層、即ち、後述の層(D)の透明性が損なわれる。
層(B)/層(C)を上記範囲とすることにより、透明性に優れたリサイクル層を得ることができる。また、上記範囲よりも接着樹脂層としての層(B)が薄いと、リサイクル層の透明性に劣り、耐熱樹脂層としての層(C)が薄いと、リサイクル層の透明性の低下が発生するとともに、容器を加熱した際に変形が発生するため好ましくない。また、これらの層が厚過ぎると積層体の総厚みが厚くなり過ぎ、薄肉軽量化及び材料コストの面で好ましくない。より好ましい層(B)/層(C)は、5/95〜20/80である。
また、本発明の積層体において、層(A)と層(C)との厚み比[層(A)の厚み]/[層(C)の厚み](以下「層(A)/層(C)」と略記する場合がある。)は90/10〜10/90の範囲であることが好ましい。層(A)/層(C)が上記範囲であると、本発明の積層体の端材等を活用して得られるリサイクル層、即ち、後述の層(D)の透明性がより良好なものとなる傾向にある。
層(A)/層(C)を上記範囲とすることにより、透明性に優れたリサイクル層を得ることができる。また、層(A)は、本発明の積層体を例えば食品包装用途に用いる場合、最内層として内容物と接触する層であり、この層(A)が上記範囲よりも薄いと保香性や内容物保存性に劣る。一方、耐熱樹脂層としての層(C)が薄いと容器を加熱した際に変形が発生するため好ましくない。また、これらの層が厚過ぎると積層体の総厚みが厚くなり過ぎ、薄肉軽量化及び材料コストの面で好ましくない。より好ましい層(A)/層(C)は、80/20〜20/80、更に好ましくは70/30〜30/70である。
[層(D)]
層(D)は、下記の樹脂(a)〜樹脂(c)の合計100重量%に対し、樹脂(a)が10〜90重量%、樹脂(b)が1〜19重量部及び樹脂(c)が9〜89重量%となるように含む樹脂組成物からなる層である。
樹脂(a):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂
樹脂(b):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂
樹脂(c):芳香族ポリカーボネート系樹脂
樹脂(a)〜(c)の詳細は、層(A)〜(C)を構成する樹脂として前述した通りである。
即ち、層(D)は、層(A)〜(C)を積層してなる本発明の積層体の端材等を粉砕、溶融して形成されるリサイクル層であり、好ましくは前述の層(B)/層(C)及び層(A)/層(C)の厚み比で構成される本発明の積層体の端材等をリサイクルした場合、層(D)中の樹脂(a)〜(c)の含有割合は上記範囲となり、このような割合で樹脂(a)〜(c)を含む層(D)は透明性に優れ、また、層(A)、層(B)、層(C)と容易に積層することが可能である。
層(D)中の樹脂(a)〜(c)の含有割合は、より好ましくは、樹脂(a):10〜90重量%、樹脂(b):1〜17重量%、樹脂(c):9〜79重量%であり、特に好ましくは、樹脂(a):20〜80重量%、樹脂(b):1〜15重量%、樹脂(c):20〜79重量%である(ただし、樹脂(a)〜(c)の合計で100重量%。)。
なお、層(C)は層(A)〜(C)と同様に前述のその他の樹脂や添加剤等を含有していてもよい。ただし、この場合において、層(D)中における樹脂(a)〜(c)の合計の含有量は60重量%以上、特に80〜100重量%であることが好ましい。
本発明の積層体は、その端材等のリサイクル層である層(D)が透明性に優れることを特長とする。この層(D)の透明性については、厚み2mmの層(D)について、JIS K7136に従って、ヘーズと全光線透過率を測定した場合、へーズは40%以下、特に20%以下で、全光線透過率は80%以上、特に85%以上であることが好ましい。
[層構成及び各層厚みと総厚み]
本発明の積層体は、層(A)、層(B)及び層(C)をこの順で積層してなり、層(A)は保香性、安全性等に優れることから、本発明の積層体を食品包装用途等に用いる場合、内容物と接触する最内層として用いられる。また、層(C)は耐熱性、透明性に寄与し、層(B)はこれらの層(A)と層(C)との接着樹脂層として機能する。
層(A)、層(B)、層(C)の各層は、本発明の積層体の総厚みを過度に厚くすることなく、各々の機能を有効に発揮するために、前述の層(B)/層(C)、層(A)/層(C)の厚み比の範囲において、層(A)の厚みは10〜1960μm、特に30〜980μmであることが好ましく、層(B)の厚みは2〜370μm、特に4〜185μmであることが好ましい。層(C)の厚みは10〜1960μm、特に30〜980μmであることが好ましい。
また、本発明の積層体が更に層(D)を有する場合、層(D)は、樹脂(a)が樹脂(c)よりも多い場合、層(D)は層(A)及び層(B)への接着性能に優れることから、層(A)と層(B)との間に設けられることが好ましく、本発明の積層体は、層(A)、層(D)、層(B)、層(C)をこの順で積層してなる積層体とされることが好ましい。一方、層(D)において、樹脂(c)が樹脂(a)よりも多い場合、層(D)は層(C)及び層(B)への接着性能に優れることから、層(B)と層(C)との間に設けられることが好ましく、本発明の積層体は、層(A)、層(B)、層(D)、層(C)をこの順で積層してなる積層体とされることが好ましい。更には、層(D)は、前記樹脂(a)〜(c)を含む樹脂組成物からなるものであるため、層(A)〜(C)のいずれかと置き換えて用いることもできる。
層(D)は、本発明の積層体の端材等のリサイクル活用で、資源の有効活用、材料コストの低減、廃材の減量化を図ることを目的として用いられる。
得られる積層体の透明性や色相を損なうことなく、リサイクル率を高めるために、層(D)の厚みは10〜1000μm、特に30〜500μm、とりわけ30〜200μmであることが好ましい。
また、層(A)〜(C)、或いは層(A)〜(D)で構成される本発明の積層体の総厚みは、積層体の用途によっても異なるが、通常100〜2000μm、特に100〜1000μm、とりわけ100〜500μmであることが好ましい。積層体の総厚みが上記下限値以上であると各層(A)〜(C)に必要な厚みを確保しやすくなる傾向にあり、また、積層体の機械的強度の点、取り扱い性、成形加工性等の点において良好となる傾向にある。一方、積層体の総厚みが上記上限値以下であると、薄肉軽量化、材料コストの低減の面で好ましい。なお、本発明の積層体は本発明の要旨を超えない範囲で層(A)〜(D)以外にもバリア層等、その他の層を有していてもよい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体を製造するに当たり、層(A)、層(B)、層(C)を構成する樹脂(a)、樹脂(b)、樹脂(c)に前述のその他の樹脂や添加剤等を配合して樹脂組成物として用いる場合、樹脂(a)〜(c)の各々と、配合剤を種々の公知の手法、例えばタンブラーブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し、混合後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等で溶融混練し、造粒或いは粉砕する手法により樹脂組成物のペレットを調製して用いることができる。
層(D)については、本発明の積層体の端材等を粉砕して用いることができる。
層(A)〜(C)よりなる本発明の積層体は、例えば、次のような方法で製造することができる。
(1) 三層共押出機を用い、各層の構成材料(樹脂(a)〜(c)或いはその組成物)を共押出して三層積層体とする。
(2) 予め押出成形した層(A)又は層(C)のフィルムないしシートに対して、二層共押出機を用いて共押出ラミネート成形して三層積層体とする。
(3) 予め押出成形した層(A)と層(C)のフィルムないしシートの間に、層(B)を押出成形して三層積層体とする。
(4) 予め押出成形した層(A)又は層(C)のフィルムないしシートに対して、別途二層押出成形して得られた層(B)と層(C)の積層体又は層(A)と層(B)の積層体を接着する。
(5) 各々別々に押出成形した層(A)〜(C)を層(A)/層(B)/層(C)の順で積層して接着する。
更に層(D)を有する本発明の積層体についても、更に層(D)を介在させる他は、上記と同様にして製造することができる。
特に多層Tダイ共押出成形機を用いて本発明の積層体を製造する場合、各層押出機のシリンダー温度は、層(A)が250〜290℃、層(B)が190〜230℃、層(C)が250〜290℃、また層(D)は250〜290℃であることが好ましく、また、ダイス温度は250〜290℃に温度設定することが好ましい。
[積層体の物性]
本発明の積層体は透明性と耐熱性に優れる特長を有し、その透明性については、JIS K7136に従ってヘーズと全光線透過率により評価することができる。例えば、厚さ200μmの積層体を測定した場合であれば、ヘーズが10%以下、特に5%以下であることが好ましく、全光線透過率が85%以上、特に86%以上であることが好ましい。
また、本発明の積層体は、後述の実施例の項に記載される方法で、JIS K6251に従って測定した高温引張弾性率が400MPa以上、特に500MPa以上の耐熱性を有することが好ましい。
[積層体の用途]
本発明の積層体は、総厚み100〜2000μmの、フィルム或いはシートとして各種の用途に用いることができるが、特に、保香性及び安全性に優れる層(A)の特長と、透明性及び耐熱性に優れる層(C)の特長から、食品用容器等の各種の容器、食品用包装材料等の各種の包装材料等、とりわけ各種飲料を含む食品包装用途に好適に用いられる。ただし、本発明の積層体は、何ら食品包装用途に限定されるものではなく、薬品、化粧品等の容器や各種の包装材料としても有用である。
いずれの場合においても、通常、本発明の積層体は、層(A)が内容物と接触する最内層となるように用いられる。
前述の方法で製造された本発明の積層体は、更に、真空成形、圧空成形等で所望の形状に熱成形することにより、各種容器や包装材料として用いられる。
なお、本発明の積層体は、各種容器や包装材料等の用途において、必要に応じて層(C)上に更に紙、不織布、樹脂フィルム、金属層、印刷層などが形成されていてもよい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
なお、以下において、樹脂(a)のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/minの昇温速度で測定した際のヒートフローの変局点の温度である。
また、樹脂(a)、樹脂(b)の固有粘度(IV)は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒として、ウベローデ型粘度計を用いて、30℃で測定した値である。
また、樹脂(b)の融点は示差走査熱量計(DSC)にて10℃/minの昇温速度で測定した際の融解ピークトップの温度であり、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210の試験条件4に従って測定した230℃、2.16kg荷重における値である。
また、樹脂(c)の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、温度25℃で測定された溶液粘度から換算した値であり、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210の試験条件4に従って測定した300℃、1.20kg荷重における値であり、末端水酸基濃度は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)で測定したものである。
<層(A):樹脂(a)>
(a−1) 日本ユニペット社製 ポリエチレンテレフタレート樹脂のホモポリマー
「ユニペット(登録商標) RT553C」
ガラス転移温度=81℃
固有粘度(IV)=0.85dl/g
(a−2) イーストマンケミカル社製 ポリエチレンテレフタレート系樹脂
「Eastar(登録商標) Copolyester GN001」
ジカルボン酸成分:テレフタル酸100モル%
ジオール成分:エチレングリコール65.3モル%
ジエチレングリコール2.5モル%
1,4−シクロヘキサンジメタノール32.2モル%
ガラス転移温度=72.7℃
固有粘度(IV)=0.65dl/g
<層(B):樹脂(b)>
(b−1) 脂環式ポリエステル:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合体をハードセグメントとし、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1000)をソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体
ポリテトラメチレンエーテルグリコール由来の単位の含有量
=15重量%(H−NMRで定量)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス率=80%
1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス率=69%
融点=202℃
MFR(230℃、2.16kg荷重)=35g/10min
<層(C):樹脂(c)>
(c−1) 三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート系樹脂 「ユーピロン(登録商標)S−2000」
粘度平均分子量(Mv)=25000
MFR(300℃、1.20kg荷重)=9g/10min
[実施例1−1〜1−4及び比較例1−1〜1−2]
表−1Aに示す層構成に基づき、多層Tダイ成形機(株式会社プラ技研社製 多層Tダイフィルム製造装置)を用いて共押出成形を実施し、30℃のキャストロールにこれを引き取り、各層の厚み及び厚み比が表−1Aに示す値であり、総厚み200μmの積層体を得た。層(A)〜層(C)は、層(A)と層(C)の間に層(B)が入るように積層した。各層を成形する押出機については、層(A)用押出機は230〜260℃、層(B)用押出機は190〜210℃、層(C)用押出機は250〜280℃にそれぞれシリンダー温度を設定した。また、ダイスは250〜280℃に温度設定した。
得られた積層体について、以下の評価を行い、結果を表−1Aに示した。
(1)透明性:ヘーズ及び全光線透過率
JIS K7136に従い、総厚み200μmの積層体のヘーズ及び全光線透過率を測定した。また、ヘーズ及び全光線透過率から、透明性を以下の判断基準で評価した。
○:ヘーズが10%以下及び全光線透過率85%以上
×:上記範囲外
(2)耐熱性:高温引張弾性率
JIS K6251に準拠して測定した。具体的には、積層体を3号ダンベルの試験片にMD方向(シート引取り方向)に打ち抜き、これを80℃に温調した恒温槽中にてオートグラフにより1mm/minの速度で引っ張り、0〜0.5mm変位における引張り応力から、積層体の高温引張弾性率を算出した。また、この高温引張弾性率はその値が高いほど好ましく、耐熱性を以下の判断基準にて評価した。
◎:高温引張弾性率が500MPa以上
○:高温引張弾性率が450MPa以上500MPa未満
△:高温引張弾性率が400MPa以上450MPa未満
×:高温引張弾性率が400MPa未満
[実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−2]
実施例1−1〜1−4及び比較例1−1〜1−2にて成形した積層体をそれぞれ層(D)としてリサイクルしたことを想定し、表−1Aに記載された厚み比で用いた樹脂割合に相当する、表−1Bに記載の配合割合で、各層の構成樹脂をシリンダー温度260℃の二軸押出機を用い溶融混練してリサイクルペレットを得た。このリサイクルペレットを射出成形機で80mm×120mm×2mmのプレートに成形した。射出成形の条件は、樹脂温度:200〜280℃、射出時間:2〜20秒、金型温度:40〜70℃、冷却時間:10〜40秒とした。
得られたプレートについて、以下の評価を行って、結果を表1−Bに示した。
(3)リサイクル性:ヘーズ及び全光線透過率
得られたプレートを用いて、JIS K7136に従って厚み(2mm)方向のヘーズ及び全光線透過率を測定し、それによってリサイクル性を以下の判断基準で評価した。
○:ヘーズが20%以下及び全光線透過率85%以上
△:ヘーズが40%以下及び全光線透過率85%以上
×:ヘーズが上記範囲外
Figure 2014034126
表−1A,1Bより、本発明の積層体に該当する実施例1−1〜1−4は、耐熱性、透明性、リサイクル性に優れることが分かる。比較例1−1及び1−2は、層(B)と層(C)との厚み比[層(B)の厚み]/[層(C)の厚み]が本発明の積層体の規定範囲外であり、比較例1−1は耐熱性及びリサイクル性に劣っており、また、比較例1−2はリサイクル性に劣っていることが分かる。
本発明の積層体は、優れた透明性及び耐熱性とリサイクル特性を有していることから、食品包装容器を始めとした各種部材への適応が期待される。

Claims (11)

  1. 下記層(A)、層(B)及び層(C)をこの順で積層してなり、層(B)と層(C)との厚み比[層(B)の厚み]/[層(C)の厚み]が2/98〜25/75であることを特徴とする積層体。
    層(A):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂からなる層
    層(B):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂からなる層
    層(C):芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる層
  2. 層(A)と層(C)との厚み比[層(A)の厚み]/[層(C)の厚み]が90/10〜10/90である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記層(C)の芳香族ポリカーボネート系樹脂が、ビスフェノールAから誘導される構成単位を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 更に下記層(D)を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層体。
    層(D):下記樹脂(a)〜樹脂(c)の合計100重量%に対し、樹脂(a)が10〜90重量%、樹脂(b)が1〜19重量部及び樹脂(c)が9〜89重量%となるように含む樹脂組成物からなる層
    樹脂(a):テレフタル酸由来の単位と、エチレングリコール及びジエチレングリコール由来の単位を主な構成単位として含み、ガラス転移温度が45〜90℃のポリエステル系樹脂
    樹脂(b):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位と、1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位として含み、融点が160〜240℃の脂環式ポリエステル系樹脂
    樹脂(c):芳香族ポリカーボネート系樹脂
  5. 総厚みが100〜2000μmである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体からなる容器。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体からなる包装用材料。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体からなる食品用容器。
  9. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層体からなる食品用包装材料。
  10. 前記層(A)が内容物と接触する最内層として構成されている、請求項8に記載の食品用容器。
  11. 前記層(A)が内容物と接触する最内層として構成されている、請求項9に記載の食品用包装材料。
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