JP2004131513A - ポリエステルシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸を主たる成分とするジカルボン酸成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノール5〜95モル%、及びエチレングリコール95〜5モル%とするグリコール成分とからなるポリエステルであって、
a.一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物0.01〜5重量%を含有し、
b.固有粘度が0.4〜0.85であり、
c.かつ、YI値が7.0未満、
d.ΔYI値が5.0未満である
ポリエステルシート。
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、又はアラルキル基を示す。)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、色調、透明性、耐衝撃性及び耐候性、紫外線カット性に優れたポリエステルシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
A−PETと呼ばれる非晶状態のポリエステルシートはその優れたリサイクル性、低公害性、食品安全性が注目され、近年塩化ビニールやポリスチレンに替わる包装素材として急速にその使用量が増大している。このポリエステルシートは熱成形により食品、薬品の容器や雑貨のブリスターパックとして使われるほか、その優れた透明性を生かして化粧品や電気機器等を入れるクリアケースとして用いられている。
【0003】
特に、それらの中でもPETGと一般的に呼ばれる1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、CHDMと記す)を共重合したポリエステル(以下、PETGと記す)は機械的強度、接着性等種々の加工特性に優れていることから、幅広い用途に用いられている。
【0004】
しかしながら、PETGシートは耐候性が低く、紫外線により劣化が進行しやすく、著しい機械物性の低下、色調の変化等が生じる。そのため、野外で長期間使用する用途には使用できなかった。また、紫外線カット性能も低いため、包装容器に用いた場合には、内容物が紫外線により劣化してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、PETG樹脂に種々の紫外線を吸収する化合物を配合することによって、その改善が試みられてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0006】
また、特許文献4に記載されるように、多層構造のシートの表面層部分にのみ紫外線吸収剤を配合し、着色を目立ちにくくすることも試みられている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−181360号公報
【特許文献2】
特開平3−281685号公報
【特許文献3】
特開平10−182803号公報
【特許文献4】
特開平9−262949号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来、PETG樹脂に一般的に用いられている紫外線吸収剤としては、2−[5クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(商品名 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 チヌビン326)や、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4−6−ビス(1−メチル−フェニルエチル)フェノール(商品名 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 チヌビン234)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 チヌビン1577)などが用いられてきた。
【0009】
PETGは、非晶性ないしは低結晶性であるため、固相重合を行うことが困難であり、溶融重合のみで高分子量化しなければならず、一般的にチタン化合物を触媒として用い、高温で製造されている。そのため、上記に挙げられる紫外線吸収剤では耐熱性が不十分であって、所定量配合しても加工時に揮散してしまい十分な紫外線カット性能を付与できなかった。さらに、昇華した紫外線吸収剤が、シート製膜時の冷却ロールに付着するというトラブルが発生し、実用が困難であった。
【0010】
そこで、特許文献1、特許文献2に記載されるように、紫外線吸収能を有する構造を共重合して高分子量化し、高温時の揮散を防止することも試みられた。しかしながら、高分子量化によりPETG樹脂との相溶性が低下し、配合した時に透明性が著しく損なわれてしまうものであった。
【0011】
また、PETGにトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤を配合すると、黄色く変色するという問題があり、透明性を必要とする用途には適応できなかった。特に、ブリスターパックに用いる場合、シートが黄色く変色されてしまうと、見栄えが悪いだけでなく、シート裏面に行った印刷の色目が大きく変化してしまい実用的でなかった。
【0012】
この変色問題を改善するために特許文献3には、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールおよびCHDMとのエステル交換反応をチタン化合物の存在下で行い、次いで前記反応終了後、リン化合物並びにコバルト化合物と、ゲルマニウム化合物及び/又はアンチモン化合物とを添加して、最終温度を240〜280℃で重縮合反応を行うことにより得られるポリエステルが色調、透明性に優れることが開示され、その中で紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物が好適に使用することができることが記載されている。しかしながら、シート製造時には、黄色味がある程度抑えられるが、経時においては、変色が強く生じてしまい、外観不良となり、完全に変色に関する問題を解決するものではなかた。
【0013】
更に、特許文献4に記載されるように、多層構造のシートの表面層部分にのみ紫外線吸収剤を配合し、変色を目立ちにくくすることも試みられている。しかし、変色は改善される傾向にはあるが、紫外線吸収剤を配合してないPETGと比較すると透明性には歴然の差があり、PETGの優れた色調、透明性を生かした耐候性を有するポリエステルシートが得られていないのが現状である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が、PETG樹脂の加工温度での揮散が少なく、紫外線吸収能にも優れていることを見出し、さらに、触媒としてゲルマニウム及び/又はアンチモン化合物を用いて重合を行ったPETGに、この紫外線吸収剤を用いることで、製膜時及び、経時における変色が極めて低く、透明性、色調を損なうことなしに優れた耐候性と紫外線カット性を付与することができることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
即ち本発明は、テレフタル酸を主たる成分とするジカルボン酸成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノール5〜95モル%、及びエチレングリコール95〜5モル%とするグリコール成分とからなるポリエステルであって、
a.一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール系化合物0.01〜5重量%を含有し、
b.固有粘度が0.4〜0.85であり、
c.かつ、YI値が7.0未満、
d.ΔYI値が5.0未満である
ポリエステルシートに関する。
【0016】
【化2】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、又はアラルキル基を示す。)
【0017】
また、本発明は上記シートを表層とし、ポリエステル系共重合体を中心層として、表層:中心層の内厚比が1000:1〜1:100からなることを特徴とする多層シートに関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる共重合ポリエステルは、テレフタル酸を主たる成分とするジカルボン酸成分と、CHDM5〜95モル%、及びエチレングリコール95〜5モル%とするグリコール成分からなる。ここで、テレフタル酸を主たる成分とするとは、ポリエステル樹脂を構成しているジカルボン酸成分の少なくとも80モル%以上がテレフタル酸からなっていることを意味する。
【0019】
テレフタル酸を主とする酸成分の一部を、20モル%未満であればイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタン酸、スベリン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸成分を1種以上含むことができる。しかしながら、機械強度及び経済性の点からテレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、10モル%以下が好ましい。
【0020】
本発明で用いるCHDMの含有量は、5〜95モル%であり、好ましくは15〜85モル%である。CHDMの含有量がこの範囲内であれば、樹脂自体に結晶性が生じることがなく、厚物のシートや板に加工する時に不透明になる、また、機械物性も低下するという問題を抑えることができる。
【0021】
CHDMのトランス体:シス体のモル比率は特に制限されないが、40:60〜80:20が好ましく、特にトランス体の比率が高い方が、耐熱性が上がるため、50:50〜80:20が好ましい。
【0022】
本発明に用いるポリエステルシートの固有粘度(20℃におけるフェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒中での測定)は、0.4〜0.85が必要であり、特に好ましくは0.55〜0.85である。この範囲であれば、最終製品の機械強度、特に低温時の衝撃強度がPETG本来の特性と遜色なく、好ましい。
【0023】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、耐熱性が良好な一般式(1)に示されるアルキリデンビス(ベンゾトリアゾリルフェノール)化合物である。例えば、2,2−メチレンビス[4−メチル−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]や、2,2−メチレンビス[4−クミル−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]などが挙げられる。特に紫外線吸収能、色調の点から、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]が好ましい。2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]は、市販されており、例えば旭電化工業株式会社製アデカスタブLA−31が挙げられる。
【0024】
【化3】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、又はアラルキル基を示す。)
【0025】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、PETGに対して、0.01〜5重量%を含有することが必要であり、好ましくは0.05〜3重量%である。0.01重量%より少ないと十分な紫外線吸収性が得られず、5重量%を超えると、配合量に見合う効果が得られないばかりか、高価な紫外線吸収剤を多量に配合する必要があり、経済的ではない。
【0026】
また、本発明は一般的なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に見られるヒンダードアミン系光安定剤との併用による相乗効果が認められる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートが好ましい。
【0027】
本発明のポリエステルシートの製膜後の変色度を評価する方法として、スガ試験機製の分光側色計を用い、JIS−K−8103の評価方法に基づき測定を行うことができる。この時、得られるYI値は、7.0未満であることが必要である。好ましくは3.0未満である。製膜後のYI値が、7.0以上であると、PETGが有する透明性、色調を損なうこととなり、本発明の目的を達成することができない。
【0028】
また、本発明のポリエステルシートの経時変化による変色度を評価する方法として、得られたシートをスガ試験機株式会社製シャインウェザーメーターを、カーボンアーク光源を用い、豪雨サイクルを120分毎に18分降雨、ブラックパネル温度52℃として、100時間照射した後に、前記評価方法によって評価することができる。この時得られるYI値と、製膜後に測定したYI値の差をΔYI値とし、経時変化による変色の程度を表す。このΔYI値は5.0未満であることが必要である。好ましくは2.0未満である。ΔYI値が、5.0以上であると、経時における変色が大きく、PETGが有する透明性、色調を損なうこととなり、本発明の目的を達成することができない。
【0029】
本発明のPETGの重合方法は、ポリエステル樹脂を製造するのに通常用いられるいずれの方法に準じて製造してもよい。例えば、エチレングリコールを95〜5モル%、及びCHDMを5〜95モル%含有するグリコール成分を、テレフタル酸を主とするジカルボン酸成分と、エステル化反応またはエステル交換反応をさせ、その後溶融重縮合させて、PETGを製造することができる。
【0030】
本発明でエステル化反応を用いる場合、テレフタル酸を主とするジカルボン酸成分と、ポリエチレングリコール及びCHDMからなるグリコール成分を反応槽(エステル化反応器)に仕込み、加熱することでテレフタル酸の自己触媒作用により、エステル化反応を進めることが可能である。そのため、変色等の原因となる金属化合物等の触媒を添加することがないため、好ましい。
【0031】
本発明でエステル交換を用いる場合、エステル交換触媒としては、公知の化合物、例えばカルシウム、コバルト、マンガン、亜鉛、スズ、ナトリウム、カリウム化合物等の1種以上を用いることができるが、チタン化合物を含有するものは含まない。
【0032】
また、安定剤としてリン化合物を用いることができる。リン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート等が挙げられる。好ましくはトリメチルホスフェートである。
【0033】
本発明に用いる溶融重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物から選択される1種以上を用いることができる。
【0034】
本発明に用いるアンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン等が挙げられる。好ましくは、三酸化アンチモンである。この触媒の添加量の目安としてはアンチモン金属分として50〜400ppmが好ましく、特に好ましくは100〜250ppmである。50ppmより少ないと触媒作用が不足し、重合速度が遅く、実用的でない。一方、400ppmを超えて配合すると、透明性と色調の悪化が問題となる。
【0035】
本発明に用いるゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、亜燐酸ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等が挙げられる。好ましくは、二酸化ゲルマニウムである。この触媒の添加量の目安としてはゲルマニウム金属分として30〜200ppmが好ましく、特に好ましくは50〜150ppmである。30ppmより少ないと触媒作用が不足し、重合速度が遅く実用的でない。一方、200ppmを超えて配合しても更なる効果は期待できない上、非常に高価な触媒を多量に配合することは経済的に好ましくない。
【0036】
また、アンチモン触媒とゲルマニウム触媒を併用する場合には、アンチモン、ゲルマニウム金属分として総量が、30〜400ppmであることが好ましく、70〜300ppmが特に好ましい。この範囲内であれば、色調に優れたポリエステル樹脂が、効率的に重合出来るため好ましい。
【0037】
PETGの製造において、触媒としてチタン化合物を3ppmより多く用いた場合には、配合したベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と反応し、著しい変色が見られ、この変色はフェノール系、フォスファイト系チオエーテル系酸化防止剤、または樹脂中に残渣として存在する金属を不活性化させる各種添加剤を配合しても殆ど改善することができなかった。更に、チタン触媒を用いた場合、製膜直後において黄色味を低く抑えることができたとしても、経時において黄色味が強く生じるという問題があった。従って、ポリエステル中にチタン化合物を3ppm以下、更に好ましくは1ppm以下、最も好適には0ppmとすることが必要である。
【0038】
ここで、本発明に用いるPETGの固有粘度(20℃におけるフェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒中での測定)は、0.4〜0.9が必要であり、特に好ましくは0.6〜0.9である。0.4より小さいと最終製品の機械強度、特に低温時の衝撃強度が十分でない。一方、固有粘度が0.9を超えると共重合樹脂の製造が困難となり、経済性に劣るばかりでなく、シート製膜時の溶融成形性も困難となる。
【0039】
本発明は、単層構造のシートに均一に紫外線吸収剤を配合させても、あるいは特許文献4に記載されるように、多層構造のシートの表層にのみ紫外線吸収剤を配合することもできる。また、多層シートとした場合、各層に配合する紫外線吸収剤の濃度を変えることも可能である。しかし、野外に長期放置される用途に使用する場合、ポリエステルシート自体の紫外線による劣化を防止する目的から、紫外線により劣化の進行しやすい表層に高濃度に配合する方がより効果的であり、好ましい。
【0040】
本発明において、3層以上の多層シートとした場合、中心層にもPETGを用いることが、機械物性の点から好ましい。しかしながら、表層にPETGが積層されていると、ノッチ衝撃強度が大幅に改善されるため、通常のポリエステル樹脂を用いることも可能である。ここで、表層とは、最外層に位置するシートを表すものとする。また、中心層は表層を除いた部分であって、単層であっても、多層であっても構わない。
【0041】
ここで、通常のポリエステルとは、テレフタル酸とエチレングリコールの縮重合からなるポリエチレンテレフタレートは勿論のこと、テレフタル酸成分の一部をイソフタル酸、アジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のごとき他の1種以上のジカルボン酸成分へ置換し、エチレングリコール成分の一部をジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール等のごとき他の1種以上のグリコール成分で置換したコポリエステルを包含する。機械強度及び経済性の点からいずれの成分についても20モル%以下が好ましい。
【0042】
中心層に用いるポリエステル樹脂についても、表層に用いる樹脂と同様な理由から固有粘度が0.4〜0.9であることが好ましく、特に好ましくは0.6〜0.9である。0.4未満であれば最終製品の機械的強度、特に低温時の衝撃強度が十分でない。一方、固有粘度が0.9を超える共重合樹脂は経済性に劣るばかりでなくシート製膜時の溶融成形性が困難になるためである。
【0043】
更に、中心層にベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を配合する場合に限らず、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を配合しない場合においても、触媒にチタン化合物を用いていないポリエステル樹脂を使用することが好ましい。これは、表層のシートに含まれるアルキリデンビス(ベンゾトリアゾリルフェノール)化合物(紫外線吸収剤)との反応によって、変色される可能性があるためである。
【0044】
本発明のシートの厚みは特に限定されないが、通常100μm〜5mmである。3層以上の多層ポリエステルシートとする場合、表層:中心層の内厚比率が1000:1〜1:100であることが好ましい。更に好ましくは100:1〜1:50である。表層:中心層の内厚比率が1:100を超える場合には、紫外線吸収剤の配合された層の厚みが薄くなりすぎて性能が不充分になるからである。ここで、表層、中心層の内厚とは、最外層に位置するシート厚み、中心層のシート厚みを表す。
【0045】
また、本発明における紫外線吸収剤の配合された表層の厚みは上記いずれの厚みにおいても10ミクロン以上必要であり、好ましくは15ミクロン以上、特に好ましくは20ミクロン以上である。10ミクロン以下では、耐候性が不充分であり、本発明の目的とする効果が得られない。
【0046】
シートは、例えば単軸押出機、ニ軸ベント式押出機のような通常のポリエステルようエクストルーダーにより溶融押出しを行い、溶融状態の樹脂を冷却ドラムにより冷却することにより得ることが出来る。シートは結晶化による透明性の低下を防ぐためできるだけ急冷することが好ましい。
【0047】
製膜方法としては金属ロール間で挟み冷却する方法(タッチロール法)や静電印加法、エアーナイフ法等があるが、シートの光沢性、厚みの均一性の点から、タッチロール法が好ましい。ポリエステルに配合する紫外線吸収剤の添加方法は公知の方法が適用でき、特別な制約はない。例えば、各成分をタンブラーやブレンダー等で予め均一にブレンドしておき、上記混合物を押出機へ供給する方法、或いはポリエステルに添加する成分を予めマスターバッチとしてペレット状にし、押出時に供給する方法、重合時に供給する方法等がある。
【0048】
また、2層以上の多層シートを製膜する場合も溶融ラミネート、共押出し、ドライラミネート等公知の技術により製造することができるが、シート外観が良好な共押出しが好ましい。
【0049】
本発明のポリエステルシートは、紫外線に長期間暴露しても高い透明性が必要とされる採光ガラス代替用途、波板等に極めて有用である。更に、紫外線カット性能にも優れていることから、容器内部の製品を紫外線から保護することが必要な医薬品容器、食品容器、文具容器、特に経時において高い透明性が必要とされるクリアケースに有用である。
【0050】
【発明の効果】
本発明のポリエステルシートは、PETGの有する優れた機械物性、印刷や熱成形性、折り曲げ加工等の加工適性、透明性及び色調、及び固有粘度等の特性を損なうことなしに、極めて優れた耐候性、紫外線吸収性能を有するものである。
【0051】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各特性値測定は以下の方法に従った。
【0052】
(1)固有粘度(樹脂、積層体のIV)
試料をフェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶かし、濃度1.0g/dl、20℃の条件で測定した。
【0053】
(2)シートのヘイズ
日本電色株式会社製ヘイズメーター NDH−20Dを使用し、JIS−K−7105に準じた方法にて、容器低部のヘイズ(曇価)を測定し、以下の基準により評価を行った。
【0054】
【0055】
(3)シートの衝撃強度
積層体及び成形品より、縦90mm×横90mmの試験片を作成(成形品は容器の天板部を切り出して作成)し、島津製作所製恒温槽付き面衝撃試験機(ハイドロショット)を使用し、抜き打ち速度5m/秒、抜き打ちポンチ直径13mm、ダイス直径3インチの条件にて20℃の破壊エネルギーを測定し、以下の基準により評価を行った。
【0056】
【0057】
(4)紫外線カット性能
シートを製膜し、日立株式会社製スペクトロフォトメーター(型式U−2001)を用いて波長340nmの光の通過率を求め、以下の基準により評価を行った。
【0058】
【0059】
(5)耐候促進処理
シートをスガ試験機株式会社製シャインウェザーメーター(光源:カーボンアーク、豪雨サイクル:120分毎に18分降雨、温度:ブラックパネル温度52℃)で100時間照射した。
【0060】
(6)シートの黄色味評価方法
スガ試験機製の分光側色計を用いてJIS−K−8103の評価方法に基づき、以下の基準により評価を行った。
【0061】
【0062】
更に、耐候促進処理を行ったシートについても測定を行い、変色の程度をΔYIとし、以下の基準により評価を行った。
【0063】
【0064】
実施例1〜6、比較例1〜9
反応器に、所定量のテレフタル酸、イソフタル酸、CHDM、エチレングリコールを仕込み、245℃にて加圧法(0.2MPa)にてエステル化反応を行った。水の留出が完了した後、アンチモン触媒としては三酸化アンチモン、ゲルマニウム触媒としては二酸化ゲルマニウム、チタン触媒としては、テトラブチルチタネートを添加して縮重合を行い、表−1に記載した各種ポリエステルを得た。また、得られポリマーの共重合比率はNMRで、含有する金属量は蛍光X線により求めた。
【0065】
【表1】
【0066】
得られたポリエステル樹脂A〜Eは265℃で、Fは275℃で、Gは290℃の樹脂温度で、ニ軸ベント付き押出機を用いてTダイより溶融押出(ベント部の真空度3mmHg)を行い、ポリエステルシートを得た。また、タッチロール法にて3層構造シートを製造した。上記製造方法により得られた単層、又は多層シートの評価結果を表−2、表−3に示した。
【0067】
また、紫外線吸収剤は、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]](旭電化工業株式会社製アデカスタブLA−31)を用い、予め、アンチモン触媒を用いて重合を行った固有粘度0.75の1,4−シクロヘキサンジメタノール30モル%共重合ポリエステルを用いて、ニ軸混練機により275℃で10重量%マスターを作成し、製膜時に配合した。
【0068】
アンチモン触媒及び/又はゲルマニウム触媒を用いたポリエステル樹脂にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合したPETG(実施例1〜3、4〜6)は、紫外線吸収剤を配合しないPETG(比較例1)と比べても、ほとんど遜色のない優れた色調のシートを得ることができ、耐候性も良好であった。しかしながら、触媒としてチタン化合物を配合したPETG(比較例2)の場合には、激しい変色が生じ、外観不良となった。また、表層部にチタン化合物を触媒として用いたPETG(比較例8、9)は製膜直後においては黄色味がある程度抑えられたが、経時(耐候促進処理後)においては、着色が強くなり、外観不良となった。
【0069】
比較例3は、固有粘度が0.38のPETGを用いた場合であるが、衝撃強度が著しく低下してしまった。比較例4は、CHDMを2モル%含有したPETGを用いた場合であるが、耐候促進処理後の衝撃強度が著しく低下した。一方、比較例5は、CHDMを99モル%含有したPETGを用いた場合であるが、結晶化によって、不透明となり外観不良となった。比較例6は、紫外線吸収剤を0.005重量%配合したPETGを用いた場合であるが、十分な紫外線吸収性得られず、逆に、紫外線吸収剤を10重量%配合したPETGを用いた場合、紫外線吸収性は良好であるが、黄色味が強く、外観不良となった。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
Claims (2)
- 請求項1記載のシートを表層とし、ポリエステル系共重合体を中心層として、表層:中心層の内厚比が1000:1〜1:100である多層ポリエステルシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006272835A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Riken Technos Corp | ポリエステル系積層体、その製造方法及び積層体用熱接着剤 |
KR100730737B1 (ko) * | 2006-05-17 | 2007-06-21 | 김성호 | 골전도 헤드셋 |
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JP2014169371A (ja) * | 2013-03-02 | 2014-09-18 | Mitsubishi Plastics Inc | 軟質化ポリエステルフィルム |
CN113635642A (zh) * | 2021-07-15 | 2021-11-12 | 浙江和顺新材料有限公司 | 一种用于防水卷材的聚酯薄膜及其制备方法 |
-
2002
- 2002-09-03 JP JP2002257363A patent/JP2004131513A/ja active Pending
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