JP2014031757A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】死水領域を低減しつつ、流れの衝突を回避することができる燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】ノズルプレートに形成されスワール付与室46と弁座部材の下流開口部とを連通する連通路45と、を備えた燃料噴射弁において、連通路45とスワール付与室46の接続部分に、スワール付与室46の壁に連続して延長した延長壁46bを設け、延長壁46aの上側の壁の厚さw1を下側の壁の厚さw2より薄く形成し、延長壁46bの壁の厚さw2により、スワール付与室46内で旋回する燃料の流れと、連通路45からスワール付与室46へ入ってくる燃料の流れとの衝突を抑制するようにした。
【選択図】図5
【解決手段】ノズルプレートに形成されスワール付与室46と弁座部材の下流開口部とを連通する連通路45と、を備えた燃料噴射弁において、連通路45とスワール付与室46の接続部分に、スワール付与室46の壁に連続して延長した延長壁46bを設け、延長壁46aの上側の壁の厚さw1を下側の壁の厚さw2より薄く形成し、延長壁46bの壁の厚さw2により、スワール付与室46内で旋回する燃料の流れと、連通路45からスワール付与室46へ入ってくる燃料の流れとの衝突を抑制するようにした。
【選択図】図5
Description
本発明は、エンジンの燃料噴射に用いられる燃料噴射弁に関する。
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、ノズルに中心部で互いに連通する複数の溝形の流路が形成され、この流路の端に連通する渦流室が形成されたものが開示されている。
流路と渦流室との接続部分の壁が厚いと、流れがほとんど生じていない燃料が存在する死水領域が大きくなり、燃料を効率良く旋回させることができず、燃料噴霧の微粒化を図ることができないおそれがあった。また壁を薄くすると、流入流れと旋回流れの直接の衝突が発生して、流れのエネルギーを失い、微粒化を妨げるおそれとなる。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、死水領域を低減しつつ、流れの衝突を回避することができる燃料噴射弁を提供することである。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、死水領域を低減しつつ、流れの衝突を回避することができる燃料噴射弁を提供することである。
上記目的を達成するため本願発明では、連通路とスワール付与室の接続部分に、スワール付与室の壁に連続して延長した延長壁を設け、延長壁の上側の壁の厚さを下側の壁の厚さより薄く形成した。
本発明により、死水領域の低減と流入流れと旋回流れの衝突回避を行うことができる。
〔実施例1〕
実施例1の燃料噴射弁1について説明する。
[燃料噴射弁の構成]
図1は燃料噴射弁1の軸方向断面図である。この燃料噴射弁1は、自動車用ガソリンエンジンに用いられるものであって、インテークマニホールド内に向けて燃料を噴射する、所謂低圧用の燃料噴射弁である。
燃料噴射弁1は、磁性筒体2と、磁性筒体2内に収容されるコア筒体3と、軸方向に摺動可能な弁体4と、弁体4と一体に形成された弁軸5と、閉弁時に弁体4により閉鎖される弁座6を有する弁座部材7と、開弁時に燃料が噴射される燃料噴射孔を有するノズルプレート8と、通電時に弁体4を開弁方向に摺動させる電磁コイル9と、磁束線を誘導するヨーク10とを有している。
実施例1の燃料噴射弁1について説明する。
[燃料噴射弁の構成]
図1は燃料噴射弁1の軸方向断面図である。この燃料噴射弁1は、自動車用ガソリンエンジンに用いられるものであって、インテークマニホールド内に向けて燃料を噴射する、所謂低圧用の燃料噴射弁である。
燃料噴射弁1は、磁性筒体2と、磁性筒体2内に収容されるコア筒体3と、軸方向に摺動可能な弁体4と、弁体4と一体に形成された弁軸5と、閉弁時に弁体4により閉鎖される弁座6を有する弁座部材7と、開弁時に燃料が噴射される燃料噴射孔を有するノズルプレート8と、通電時に弁体4を開弁方向に摺動させる電磁コイル9と、磁束線を誘導するヨーク10とを有している。
磁性筒体2は、例えば電磁ステンレス鋼等の磁性金属材料により形成された金属パイプ等からなり、深絞り等のプレス加工、研削加工等の手段を用いることにより、図1に示すように段付き筒状をなして一体に形成されている。磁性筒体2は、一端側に形成された大径部11と、大径部11よりも小径であって他端側に形成された小径部12とを有している。
小径部12には、一部を薄肉化した薄肉部13が形成されている。小径部12は、薄肉部13より一端側にコア筒体3を収容するコア筒体収容部14と、薄肉部13より他端側に弁部材15(弁体4、弁軸5、弁座部材7)を収容する弁部材収容部16とに分けられている。薄肉部13は、後述するコア筒体3と弁軸5が磁性筒体2に収容された状態で、コア筒体3と弁軸5との間の隙間部分を取り囲むように形成されている。薄肉部13は、コア筒体収容部14と弁部材収容部16との間の磁気抵抗を増大させ、コア筒体収容部14と弁部材収容部16間を磁気的に遮断している。
小径部12には、一部を薄肉化した薄肉部13が形成されている。小径部12は、薄肉部13より一端側にコア筒体3を収容するコア筒体収容部14と、薄肉部13より他端側に弁部材15(弁体4、弁軸5、弁座部材7)を収容する弁部材収容部16とに分けられている。薄肉部13は、後述するコア筒体3と弁軸5が磁性筒体2に収容された状態で、コア筒体3と弁軸5との間の隙間部分を取り囲むように形成されている。薄肉部13は、コア筒体収容部14と弁部材収容部16との間の磁気抵抗を増大させ、コア筒体収容部14と弁部材収容部16間を磁気的に遮断している。
大径部11の内径は弁部材15に燃料を送る燃料通路17を構成しており、大径部11の一端部には燃料を濾過する燃料フィルタ18が設けられている。燃料通路17にはポンプ47が接続されている。このポンプ47は、ポンプ制御装置54により制御されている。
コア筒体3は中空部19を有する円筒形に形成されており、磁性筒体2のコア筒体収容部14に圧入されている。中空部19には、圧入等の手段により固定されたばね受20が収容されている。このばね受20の中心には軸方向に貫通した燃料通路43が形成されている。
弁体4の外形は略球体状に形成されており、周上に燃料噴射弁1の軸方向に対して並行に削られた燃料通路面21を有している。弁軸5は大径部22と、外形が大径部22より小径に形成された小径部23とを有している。
コア筒体3は中空部19を有する円筒形に形成されており、磁性筒体2のコア筒体収容部14に圧入されている。中空部19には、圧入等の手段により固定されたばね受20が収容されている。このばね受20の中心には軸方向に貫通した燃料通路43が形成されている。
弁体4の外形は略球体状に形成されており、周上に燃料噴射弁1の軸方向に対して並行に削られた燃料通路面21を有している。弁軸5は大径部22と、外形が大径部22より小径に形成された小径部23とを有している。
小径部23の先端には弁体4が溶接により一体に固定されている。なお図中の黒半円や黒三角は溶接箇所を示している。大径部22の端部にはばね挿入孔24が穿設されている。このばね挿入孔24の底部は、ばね挿入孔24よりも小径に形成されたばね座り部25が形成されるとともに、段部のばね受部26が形成されている。小径部23の端部には燃料通路孔27が形成されている。この燃料通路孔27はばね挿入孔24と連通している。小径部23の外周と燃料通路孔27とは貫通した燃料流出孔28が形成されている。
弁座部材7は、略円錐状の弁座6と、弁座6より一端側に弁体4の径とほぼ同型に形成された弁体保持孔30と、弁体保持孔30から一端開口側に向かうにつれて大径に形成された上流開口部31と、弁座6の他端側に開口する下流開口部48とが形成されている。
弁座部材7は、略円錐状の弁座6と、弁座6より一端側に弁体4の径とほぼ同型に形成された弁体保持孔30と、弁体保持孔30から一端開口側に向かうにつれて大径に形成された上流開口部31と、弁座6の他端側に開口する下流開口部48とが形成されている。
弁軸5および弁体4は、磁性筒体2に軸方向摺動可能に収装されている。弁軸5のばね受部26とばね受20との間にコイルバネ29が設けられ、弁軸5および弁体4を他端側に付勢している。弁座部材7は磁性筒体2に挿入され、溶接により磁性筒体2に固定されている。弁座6は、約角度45°で弁体保持孔30から下流開口部48へ向かって径が小さくなるように形成され、閉弁時には弁体4が弁座6に座るようになっている。
磁性筒体2のコア筒体3の外周には電磁コイル9が挿嵌されている。すなわち、電磁コイル9はコア筒体3の外周に配置されることとなる。電磁コイル9は、樹脂材料により形成されたボビン32と、このボビン32に巻回されたコイル33とから構成されている。コイル33は、コネクタピン34を介して電磁コイル制御装置55に接続されている。
電磁コイル制御装置55は、クランク角を検出するクランク角センサからの情報に基づいて計算した燃焼室側に燃料を噴射するタイミングに応じて、電磁コイル9のコイル33に通電して燃料噴射弁1を開弁させる。
磁性筒体2のコア筒体3の外周には電磁コイル9が挿嵌されている。すなわち、電磁コイル9はコア筒体3の外周に配置されることとなる。電磁コイル9は、樹脂材料により形成されたボビン32と、このボビン32に巻回されたコイル33とから構成されている。コイル33は、コネクタピン34を介して電磁コイル制御装置55に接続されている。
電磁コイル制御装置55は、クランク角を検出するクランク角センサからの情報に基づいて計算した燃焼室側に燃料を噴射するタイミングに応じて、電磁コイル9のコイル33に通電して燃料噴射弁1を開弁させる。
ヨーク10は中空の貫通孔を有し、一端開口側に形成された大径部35と、大径部35より小径に形成された中径部36と、中径部36より小径に形成され他端開口側に形成された小径部37から構成されている。小径部37は、弁部材収容部16の外周に嵌合されている。中径部36の内周には電磁コイル9が収装されている。大径部35の内周には連結コア38が配置されている。
連結コア38は磁性金属材料等により略C字状に形成されている。ヨーク10は、小径部37および連結コア38を介して大径部35において磁性筒体2と接続しており、すなわち電磁コイル9の両端部で磁性筒体2と磁気的に接続されていることとなる。ヨーク10の他端側先端には、燃料噴射弁1をエンジンの吸気ポートと接続するためのOリング40を保持し、かつ磁性筒体先端を保護するためのプロテクタ52が取り付けられている。
連結コア38は磁性金属材料等により略C字状に形成されている。ヨーク10は、小径部37および連結コア38を介して大径部35において磁性筒体2と接続しており、すなわち電磁コイル9の両端部で磁性筒体2と磁気的に接続されていることとなる。ヨーク10の他端側先端には、燃料噴射弁1をエンジンの吸気ポートと接続するためのOリング40を保持し、かつ磁性筒体先端を保護するためのプロテクタ52が取り付けられている。
コネクタピン34を介して電磁コイル9に給電されると磁界が発生し、この磁界の磁力によって、弁体4および弁軸5をコイルばね29の付勢力に抗して開弁させる。
燃料噴射弁1の図1に示すように、大部分が樹脂カバー53により被覆されている。樹脂カバー53に被覆されている部分は、磁性筒体2の大径部11の一端部を除いた部分から小径部12の電磁コイル9設置位置まで、電磁コイル9とヨーク10の中径部36との間、連結コア38の外周と大径部35との間、大径部35の外周、中径部36の外周、およびコネクタピン34の外周である。コネクタピン34の先端部分は樹脂カバー53が開口して形成されており、コントロールユニットのコネクタが差し込まれるようになっている。
磁性筒体2の一端部外周にはOリング39が、ヨーク10の小径部37の外周にはOリング40が設けられている。
弁座部材7の他端側にはノズルプレート8が溶接されている。このノズルプレート8には、燃料にスワール(旋回流)を与える複数のスワール室41と、各スワール室41に燃料を分配する中央室42と、スワール室41においてスワールが与えられた燃料が噴射される燃料噴射孔44が形成されている。
燃料噴射弁1の図1に示すように、大部分が樹脂カバー53により被覆されている。樹脂カバー53に被覆されている部分は、磁性筒体2の大径部11の一端部を除いた部分から小径部12の電磁コイル9設置位置まで、電磁コイル9とヨーク10の中径部36との間、連結コア38の外周と大径部35との間、大径部35の外周、中径部36の外周、およびコネクタピン34の外周である。コネクタピン34の先端部分は樹脂カバー53が開口して形成されており、コントロールユニットのコネクタが差し込まれるようになっている。
磁性筒体2の一端部外周にはOリング39が、ヨーク10の小径部37の外周にはOリング40が設けられている。
弁座部材7の他端側にはノズルプレート8が溶接されている。このノズルプレート8には、燃料にスワール(旋回流)を与える複数のスワール室41と、各スワール室41に燃料を分配する中央室42と、スワール室41においてスワールが与えられた燃料が噴射される燃料噴射孔44が形成されている。
[ノズルプレートの構成]
図2は燃料噴射弁1のノズルプレート8付近の拡大断面図である。図3はノズルプレート8の斜視図である。図2、図3を用いてノズルプレート8の構成について説明する。
ノズルプレート8の一端側側面にはスワール室41と中央室42が形成されている。中央室42は、ノズルプレート8の中心付近に有底の円形凹状に形成されている。スワール室41は3つ形成されており、それぞれ連通路45とスワール付与室46とから構成されている。各連通路45はノズルプレート8の中心付近で接続し、接続部分に中央室42が形成されている。連通路45の先にはスワール付与室46が形成され、連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続している。スワール付与室46は内側面と底部とを有する有底凹状に形成されているおり、その断面は螺旋状に形成されている。スワール付与室46の底部には貫通孔である燃料噴射孔44が形成されている。
ノズルプレート8は電気鋳造、切削、プレス、エッチング等によって作成されており、スワール室41、中央室4及び燃料噴射孔44が一枚のプレートに一体に形成されている。
図2は燃料噴射弁1のノズルプレート8付近の拡大断面図である。図3はノズルプレート8の斜視図である。図2、図3を用いてノズルプレート8の構成について説明する。
ノズルプレート8の一端側側面にはスワール室41と中央室42が形成されている。中央室42は、ノズルプレート8の中心付近に有底の円形凹状に形成されている。スワール室41は3つ形成されており、それぞれ連通路45とスワール付与室46とから構成されている。各連通路45はノズルプレート8の中心付近で接続し、接続部分に中央室42が形成されている。連通路45の先にはスワール付与室46が形成され、連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続している。スワール付与室46は内側面と底部とを有する有底凹状に形成されているおり、その断面は螺旋状に形成されている。スワール付与室46の底部には貫通孔である燃料噴射孔44が形成されている。
ノズルプレート8は電気鋳造、切削、プレス、エッチング等によって作成されており、スワール室41、中央室4及び燃料噴射孔44が一枚のプレートに一体に形成されている。
[スワール室および燃料噴射孔の詳細]
図4はスワール室41および燃料噴射孔44の平面図である。スワール付与室46と連通路45との接続部分付近にはスワール付与室46の壁部46aに沿って延長した延長壁46bが形成されている。
また延長壁46bの連通路45側の側面は、連通路45の壁に沿って直線状に形成され、スワール付与室46側の側面はスワール付与室46の壁に沿って曲線状に形成されている。なお、延長壁46bのスワール付与室46側の側面は、先端に向かうにつれてスワール付与室46の内周側に位置するように形成されている。
図5は図4におけるA-A断面図である。図5に示すように、延長壁46bの上側の厚さW1を下側のW2の厚さよりも薄くなるように形成した。延長壁46bの形状は、例えば図5(a),(b)に示すように延長壁46bの下側をR形状としても良いし、図5(c),(d)のように連通路45側またはスワール付与室46側を傾斜させるようにしても良いし、図(e)に示すように連通路45側とスワール付与室46側を共に傾斜させるようにしても良い。
図4はスワール室41および燃料噴射孔44の平面図である。スワール付与室46と連通路45との接続部分付近にはスワール付与室46の壁部46aに沿って延長した延長壁46bが形成されている。
また延長壁46bの連通路45側の側面は、連通路45の壁に沿って直線状に形成され、スワール付与室46側の側面はスワール付与室46の壁に沿って曲線状に形成されている。なお、延長壁46bのスワール付与室46側の側面は、先端に向かうにつれてスワール付与室46の内周側に位置するように形成されている。
図5は図4におけるA-A断面図である。図5に示すように、延長壁46bの上側の厚さW1を下側のW2の厚さよりも薄くなるように形成した。延長壁46bの形状は、例えば図5(a),(b)に示すように延長壁46bの下側をR形状としても良いし、図5(c),(d)のように連通路45側またはスワール付与室46側を傾斜させるようにしても良いし、図(e)に示すように連通路45側とスワール付与室46側を共に傾斜させるようにしても良い。
[作用]
(閉弁時の燃料の流れ)
電磁コイル9のコイル33に通電されていないときには、弁体4が弁座6に座るようにコイルバネ29により弁軸5を他端側に付勢している。そのため弁体4と弁座6との間が閉鎖され、ノズルプレート8側には燃料は供給されないようになっている。
(開弁時の燃料の流れ)
図6はスワール室41および燃料噴射孔44の斜視図に燃料の流れを記載した図である。
電磁コイル9のコイル33に通電されているときには、コイルバネ29の付勢力に抗して電磁力により弁軸5が一端側に引き上げられる。そのため、弁体4と弁座6との間が解放され、燃料がノズルプレート8側に供給される。
ノズルプレート8に供給された燃料はまず中央室42に入り、中央室42の底部と衝突することで軸方向の流れから径方向の流れに変換されて各連通路45に流れ込む。連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続しているため、連通路45を通過した燃料はスワール付与室46の内側面に沿って旋回する。
スワール付与室46において燃料に旋回力(スワール力)が付与されて、旋回力を持った燃料は燃料噴射孔44の側壁部分に沿うように旋回しながら噴射される。そのため、燃料噴射孔44から噴射された燃料は、燃料噴射孔44の接線方向に飛散する。燃料噴射孔44から噴射された直後の燃料噴霧は、燃料噴射孔44開口部のエッジ部分によって略中空円錐状の噴霧表面で燃料が膜状となる液膜状態となる。その後、膜状であった燃料噴霧が次第に分裂し始めて液糸状態となる。そして更に分裂が進み、燃料が粒状に分裂した液滴状態となる。
(閉弁時の燃料の流れ)
電磁コイル9のコイル33に通電されていないときには、弁体4が弁座6に座るようにコイルバネ29により弁軸5を他端側に付勢している。そのため弁体4と弁座6との間が閉鎖され、ノズルプレート8側には燃料は供給されないようになっている。
(開弁時の燃料の流れ)
図6はスワール室41および燃料噴射孔44の斜視図に燃料の流れを記載した図である。
電磁コイル9のコイル33に通電されているときには、コイルバネ29の付勢力に抗して電磁力により弁軸5が一端側に引き上げられる。そのため、弁体4と弁座6との間が解放され、燃料がノズルプレート8側に供給される。
ノズルプレート8に供給された燃料はまず中央室42に入り、中央室42の底部と衝突することで軸方向の流れから径方向の流れに変換されて各連通路45に流れ込む。連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続しているため、連通路45を通過した燃料はスワール付与室46の内側面に沿って旋回する。
スワール付与室46において燃料に旋回力(スワール力)が付与されて、旋回力を持った燃料は燃料噴射孔44の側壁部分に沿うように旋回しながら噴射される。そのため、燃料噴射孔44から噴射された燃料は、燃料噴射孔44の接線方向に飛散する。燃料噴射孔44から噴射された直後の燃料噴霧は、燃料噴射孔44開口部のエッジ部分によって略中空円錐状の噴霧表面で燃料が膜状となる液膜状態となる。その後、膜状であった燃料噴霧が次第に分裂し始めて液糸状態となる。そして更に分裂が進み、燃料が粒状に分裂した液滴状態となる。
(死水領域の低減と流れの衝突回避)
スワール付与室46内で旋回する燃料の流れと、連通路45からスワール付与室46へ入ってくる燃料の流れとが衝突するとスワール付与室46内の燃料の旋回効率が悪化する。
スワール付与室46の延長壁46bの先には、燃料の流れがほぼとまっている領域(死水領域)が生じる。この死水領域を少なくするためには延長壁46bの厚さを薄くする必要がある。しかし下側は、スワール付与室46の速い旋回流れと連通路45からの流れの干渉を低減するために、延長壁46bの厚さを上側よりも厚くするように形成した(図5参照)。
スワール付与室46内で旋回する燃料の流れと、連通路45からスワール付与室46へ入ってくる燃料の流れとが衝突するとスワール付与室46内の燃料の旋回効率が悪化する。
スワール付与室46の延長壁46bの先には、燃料の流れがほぼとまっている領域(死水領域)が生じる。この死水領域を少なくするためには延長壁46bの厚さを薄くする必要がある。しかし下側は、スワール付与室46の速い旋回流れと連通路45からの流れの干渉を低減するために、延長壁46bの厚さを上側よりも厚くするように形成した(図5参照)。
(ノズルプレート破損の低減)
実施例1ではノズルプレート8を電気鋳造により作成され、スワール室41、中央室42及び燃料噴射孔44が1枚のプレートに一体に形成されている。この方法以外にも、次のようなものが考えられる。
第一の方法としては、第一のプレートにスワール室41、中央室42を電気鋳造により作成し、第二のプレートに燃料噴射孔44をプレスによって形成し、この2枚のプレートを溶接によって接続することで一枚のプレートとする方法がある。この場合、延長壁46bが薄いため、第一のプレートを移動させるときに延長壁46bを破損するおそれがある。また、第一のプレートと第二のプレートを重ねる際に、位置合わせ精度が低下するおそれがあった。
また第二の方法としては、1枚のプレートに切削によりスワール室41、中央室42及び燃料噴射孔44を形成する方法がある。また上記に限らず、コイングなど他の方法でもできる。
実施例1ではノズルプレート8を電気鋳造により作成され、スワール室41、中央室42及び燃料噴射孔44が1枚のプレートに一体に形成されている。この方法以外にも、次のようなものが考えられる。
第一の方法としては、第一のプレートにスワール室41、中央室42を電気鋳造により作成し、第二のプレートに燃料噴射孔44をプレスによって形成し、この2枚のプレートを溶接によって接続することで一枚のプレートとする方法がある。この場合、延長壁46bが薄いため、第一のプレートを移動させるときに延長壁46bを破損するおそれがある。また、第一のプレートと第二のプレートを重ねる際に、位置合わせ精度が低下するおそれがあった。
また第二の方法としては、1枚のプレートに切削によりスワール室41、中央室42及び燃料噴射孔44を形成する方法がある。また上記に限らず、コイングなど他の方法でもできる。
[効果]
実施例1の燃料噴射弁1の効果について以下に列記する。
(1)開閉弁可能に設けられた弁体4と、閉弁時に弁体4が座る弁座6が形成されるとともに、下流側に下流開口部48を有する弁座部材7と、弁座部材7の下流も設けられたノズルプレート8と、ノズルプレート8に形成され内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室46と、スワール付与室46の底部に形成され外部に貫通する燃料噴射孔44と、ノズルプレート8に形成されスワール付与室46と弁座部材7の下流開口部48とを連通する連通路45と、を備えた燃料噴射弁1において、連通路45とスワール付与室46の接続部分に、スワール付与室46の壁に連続して延長した延長壁46bを設け、延長壁46aの上側の壁の厚さw1を下側の壁の厚さw2より薄く形成した。
よって延長壁46bの壁の厚さw2により、スワール付与室46内で旋回する燃料の流れと、連通路45からスワール付与室46へ入ってくる燃料の流れとの衝突を抑制することができ、燃料の旋回効率を向上することができる。また、延長壁46bの上側の壁の厚さw1を薄くすることにより死水領域を低減し、燃料の旋回効率を向上させることができる。したがって、燃料噴射孔44から噴射される燃料の微粒化を促進することが可能となり、吸気ポート内での燃料の気化を促進することができ、エンジンの燃焼効率を高めることができる。更にエンジンの燃焼効率が良くなったことで低温始動時の窒素酸化物等の発生を低減することができる。
(2)ノズルプレート8を電気鋳造によって形成した。
よって、電気鋳造により、スワール室41、中央室42及び燃料噴射孔44を1枚のプレートに一体に形成したため、延長壁46bの破損を抑制することができ、製造期間の短縮化、製造コストの抑制を図ることができる。
実施例1の燃料噴射弁1の効果について以下に列記する。
(1)開閉弁可能に設けられた弁体4と、閉弁時に弁体4が座る弁座6が形成されるとともに、下流側に下流開口部48を有する弁座部材7と、弁座部材7の下流も設けられたノズルプレート8と、ノズルプレート8に形成され内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室46と、スワール付与室46の底部に形成され外部に貫通する燃料噴射孔44と、ノズルプレート8に形成されスワール付与室46と弁座部材7の下流開口部48とを連通する連通路45と、を備えた燃料噴射弁1において、連通路45とスワール付与室46の接続部分に、スワール付与室46の壁に連続して延長した延長壁46bを設け、延長壁46aの上側の壁の厚さw1を下側の壁の厚さw2より薄く形成した。
よって延長壁46bの壁の厚さw2により、スワール付与室46内で旋回する燃料の流れと、連通路45からスワール付与室46へ入ってくる燃料の流れとの衝突を抑制することができ、燃料の旋回効率を向上することができる。また、延長壁46bの上側の壁の厚さw1を薄くすることにより死水領域を低減し、燃料の旋回効率を向上させることができる。したがって、燃料噴射孔44から噴射される燃料の微粒化を促進することが可能となり、吸気ポート内での燃料の気化を促進することができ、エンジンの燃焼効率を高めることができる。更にエンジンの燃焼効率が良くなったことで低温始動時の窒素酸化物等の発生を低減することができる。
(2)ノズルプレート8を電気鋳造によって形成した。
よって、電気鋳造により、スワール室41、中央室42及び燃料噴射孔44を1枚のプレートに一体に形成したため、延長壁46bの破損を抑制することができ、製造期間の短縮化、製造コストの抑制を図ることができる。
〔他の実施例〕
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
(延長壁の形状の変更)
実施例1の燃料噴射弁1では、延長壁46bのスワール付与室46側側面を、先端に向かうにつれてスワール付与室46の内周側に位置するように形成したが、延長壁46bの形状は適宜設定しても良い。
図7はスワール室41および燃料噴射孔44の平面図である。例えば、図7に示すように延長壁46bのスワール付与室46側側面を、連通路45側側面と平行となるように直線状に形成するようにしても良い。
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
(延長壁の形状の変更)
実施例1の燃料噴射弁1では、延長壁46bのスワール付与室46側側面を、先端に向かうにつれてスワール付与室46の内周側に位置するように形成したが、延長壁46bの形状は適宜設定しても良い。
図7はスワール室41および燃料噴射孔44の平面図である。例えば、図7に示すように延長壁46bのスワール付与室46側側面を、連通路45側側面と平行となるように直線状に形成するようにしても良い。
(スワール室の数の変更)
実施例1の燃料噴射弁1では、スワール室41を3つ形成したが、スワール室41の個数は燃料噴射量の設計に応じて適宜変更しても良い。
図8はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図8に示すようにスワール室41を2つ形成するようにしても良い。
図9はノズルプレート8を示す図であり、図9(a)はノズルプレート8を軸方向から見た図、図9(b)はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図9に示すようにスワール室41を4つ形成するようにしても良い。
図10はノズルプレート8を示す図であり、図10(a)はノズルプレート8を軸方向から見た図、図10(b)はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図10に示すようにスワール室41を6つ形成するようにしても良い。
(中央室の形状の変更)
実施例1の燃料噴射弁1では中央室42を円形凹状に形成したが、中央室42の形状は異なっても良い。
図11はスワール室41を3つ形成したときのノズルプレート8の斜視図である。図12はスワール室41を2つ形成したときのノズルプレート8の斜視図である。例えば、図11、図12に示すように各連通路45を直接接続し、その接続部分を中央室42としても良い。
実施例1の燃料噴射弁1では、スワール室41を3つ形成したが、スワール室41の個数は燃料噴射量の設計に応じて適宜変更しても良い。
図8はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図8に示すようにスワール室41を2つ形成するようにしても良い。
図9はノズルプレート8を示す図であり、図9(a)はノズルプレート8を軸方向から見た図、図9(b)はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図9に示すようにスワール室41を4つ形成するようにしても良い。
図10はノズルプレート8を示す図であり、図10(a)はノズルプレート8を軸方向から見た図、図10(b)はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図10に示すようにスワール室41を6つ形成するようにしても良い。
(中央室の形状の変更)
実施例1の燃料噴射弁1では中央室42を円形凹状に形成したが、中央室42の形状は異なっても良い。
図11はスワール室41を3つ形成したときのノズルプレート8の斜視図である。図12はスワール室41を2つ形成したときのノズルプレート8の斜視図である。例えば、図11、図12に示すように各連通路45を直接接続し、その接続部分を中央室42としても良い。
1 燃料噴射弁
4 弁体
6 弁座
7 弁座部材
8 ノズルプレート
44 燃料噴射孔(噴射孔)
45 連通路
46 スワール付与室
46b 延長壁
48 下流開口部(開口部)
4 弁体
6 弁座
7 弁座部材
8 ノズルプレート
44 燃料噴射孔(噴射孔)
45 連通路
46 スワール付与室
46b 延長壁
48 下流開口部(開口部)
Claims (2)
- 開閉弁可能に設けられた弁体と、
閉弁時に前記弁体が座る弁座が形成されるとともに、下流側に開口部を有する弁座部材と、
前記弁座部材の下流も設けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに形成され内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室と、
前記スワール付与室の底部に形成され外部に貫通する噴射孔と、
前記ノズルプレートに形成され前記スワール付与室と前記弁座部材の前記開口部とを連通する連通路と、
を備えた燃料噴射弁において、
前記連通路と前記スワール付与室の接続部分に、前記スワール付与室の壁に連続して延長した延長壁を設け、
前記延長壁の前記ノズルプレートを軸方向断面を前記ノズルプレートの径方向から見たときに、前記延長壁の上側の壁の厚さが下側の壁の厚さより薄く形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記ノズルプレートを電気鋳造、切削、プレス、エッチング、コイニングによって形成したことを特徴とする燃料噴射弁。
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