JP5341046B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、燃料の流れの剥離による流速の低下を抑制し、燃料の微粒化を図ることができる燃料噴射弁を提供することである。
実施例1の燃料噴射弁1について説明する。
[燃料噴射弁の構成]
図1は燃料噴射弁1の軸方向断面図である。この燃料噴射弁1は、自動車用エンジン等に用いられるものである。
燃料噴射弁1は、磁性筒体2と、磁性筒体2内に収容されるコア筒体3と、軸方向に摺動可能な弁体4と、弁体4と一体に形成された弁軸5と、閉弁時に弁体4により閉鎖される弁座6を有する弁座部材7と、開弁時に燃料が噴射される噴射孔を有するノズルプレート8と、通電時に弁体4を開弁方向に摺動させる電磁コイル9と、磁束線を誘導するヨーク10とを有している。
小径部12には、一部を薄肉化した薄肉部13が形成されている。小径部12は、薄肉部13より一端側にコア筒体3を収容するコア筒体収容部14と、薄肉部13より他端側に弁部材15(弁体4、弁軸5、弁座部材7)を収容する弁部材収容部16とに分けられている。薄肉部13は、後述するコア筒体3と弁軸5が磁性筒体2に収容された状態で、コア筒体3と弁軸5との間の隙間部分を取り囲むように形成されている。薄肉部13は、コア筒体収容部14と弁部材収容部16との間の磁気抵抗を増大させ、コア筒体収容部14と弁部材収容部16間を磁気的に遮断している。
コア筒体3は、中空部19を有する円筒形に形成されており、磁性筒体2のコア筒体収容部14に圧入されている。中空部19には、圧入等の手段により固定されたばね受20が収容されている。このばね受20の中心には軸方向に貫通した燃料通路43が形成されている。
弁体4の外形は略球体状に形成されており、周上に燃料噴射弁1の軸方向に対して並行に削られた燃料通路面21を有している。弁軸5は大径部22と、外形が大径部22より小径に形成された小径部23とを有している。
弁座部材7は、略円錐状の弁座6と、弁座6より一端側に弁体4の径とほぼ同型に形成された弁体保持孔30と、弁体保持孔30から一端開口側に向かうにつれて大径に形成された上流開口部31と、弁座6の他端側に開口する下流開口部48とが形成されている。
弁軸5および弁体4は、磁性筒体2に軸方向摺動可能に収装されている。弁軸5のばね受部26とばね受20との間にコイルバネ29が設けられ、弁軸5および弁体4を他端側に付勢している。弁座部材7は、弁座6に弁体4が座るように磁性筒体2に挿入され、磁性筒体2に溶接により固定されている。
磁性筒体2のコア筒体3の外周には電磁コイル9が挿嵌されている。すなわち、電磁コイル9はコア筒体3の外周に配置されることとなる。電磁コイル9は、樹脂材料により形成されたボビン32と、このボビン32に巻回されたコイル33とから構成されている。コイル33は、コネクタピン34を介して電磁コイル制御装置55に接続されている。電磁コイル制御装置55は、クランク角を検出するクランク角センサからの情報に基づいて計算した燃焼室側に燃料を噴射するタイミングに応じて、電磁コイル9のコイル33に通電して燃料噴射弁1を開弁させる。
連結コア38は磁性金属材料等により略C字状に形成されている。ヨーク10は、小径部37および連結コア38を介して大径部35において磁性筒体2と接続しており、すなわち電磁コイル9の両端部で磁性筒体2と磁気的に接続されていることとなる。ヨーク10の他端側先端には、燃料噴射弁1をエンジンの吸気ポートと接続するためのOリング40を保持し、かつ磁性筒体先端を保護するためのプロテクタ52が取り付けられている。
燃料噴射弁1の図1に示すように、磁性筒体2の大径部11の一端部を除いた部分、小径部12の電磁コイル9設置位置まで、電磁コイル9とヨーク10の中径部36との間、連結コア38の外周と大径部35との間、大径部35の外周、中径部36の外周、およびコネクタピン34の外周は樹脂カバー53により被服されている。コネクタピン34の先端部分は樹脂カバー53が開口して形成されており、コントロールユニットのコネクタが差し込まれるようになっている。
磁性筒体2の一端部外周にはOリング39が、ヨーク10の小径部37の外周にはOリング40が設けられている。
弁座部材7の他端側には、中間プレート49が溶接されている。この中間プレート49には、整流孔50が形成されている。
中間プレート49の他端側には、ノズルプレート8が溶接されている。このノズルプレート8には、燃料にスワール(旋回流)を与える複数のスワール室41と、各スワール室41に燃料を分配する中央室42と、スワール室41においてスワールが与えられた燃料が噴射される噴射孔44が形成されている。
図2は、燃料噴射弁1の中間プレート49およびノズルプレート8付近の拡大断面図である。図3は、中間プレート49を軸方向から見た平面図である。図4は、ノズルプレート8を軸方向一端側から見た平面図である。なお図2のノズルプレート8の断面は、図4の直線A-Aの位置で切断した断面である。
中間プレート49には、弁座部材7の軸の同芯上に円筒状の内側面を有する整流孔50が形成されている。整流孔50は中間プレート49を軸方向に貫通しており、一端側の上流開口部50aは弁座部材7の下流開口部48と、他端側の下流開口部50bはノズルプレートの8の中央室42と連通している。整流孔50の上流開口部50aの軸方向断面形状および下流開口部50bの軸方向断面形状は、それぞれほぼ直角に形成されている。また整流孔50は、上流開口部50aから下流開口部50bに向かってほぼ同径に形成されている。この整流孔50の径は、弁座部材7の下流開口部48の径よりも小径に形成されている。言い換えると、下流開口部48と整流孔50との間に段差部51が形成されている。
ノズルプレートの一端側側面にはスワール室41と中央室42が形成されている。中央室42は弁座部材7の軸の同芯上に円形凹状に形成されている。
整流孔50の高さをaとし中央室42の高さをbとすると、整流孔50の高さaは、中央室42の高さbよりも低くなるように形成されている。中央室42はスワール室41と同じ高さに形成されており、換言すると整流孔50は、中央室42およびスワール室41よりも低くなるように形成されている。
また、整流孔50の高さを次のように設定しても良い。弁座6を他端側に延長した線Lと整流孔50の内側面との交点をcとし、閉弁時の弁体4の最下点をdとする。整流孔50は高さaが点cと点dとの距離eよりも低くなるように形成する。
次に実施例1の燃料噴射弁1の作用について説明する。
(燃料の微粒化)
開弁すると燃料は弁体4と弁座6との間を通過し、整流孔50を経由して中央室42に供給される。中央室42に供給された燃料は、連通路45を通りスワール付与室46に流れ込む。スワール付与室46に流れ込んだ燃料は、スワール付与室46内を旋回して旋回エンネルギーを持ったまま噴射孔44に供給される噴射される。旋回エネルギーを持つ燃料は、噴射孔44の壁部分に沿うように旋回しながら噴射される。そのため、噴射孔44から噴射された燃料は、噴射孔44の接線方向に飛散する。噴射孔44から噴射された直後の燃料噴霧は、噴射孔44開口部のエッジ部分によって薄い液膜状態で円錐状に広がる。その後、液膜状態の燃料が分離して微粒化した液滴となる。
これにより燃料の気化を促進することができ、特に低温始動時の窒素酸化物等の発生を低減することができる。
燃料が衝突する場所では、弁座部材7と弁体4との間に燃料の乱流が生じる。図5は、下流開口部48と中央室42との間に整流孔50を設けなかったときの燃料の流れを示す図である。図5において矢印は燃料の流れを示している。なお図5のノズルプレート8の断面は、図4の直線B-Bの位置で切断した断面である。
図5に示すように、燃料は弁座6に沿って下流開口部48に流れ、下流開口部48から中央室42に流れ込む。中央室42に流れ込んだ燃料は、中央室42の径方向外側に広がる。すなわち、燃料は弁座6に沿って燃料噴射弁1の中心軸方向に集まるように流れ、その後中央室では径方向外側に広がる。そのため燃料が集まるときに衝突し、弁体4側(矢印X)への流れが生じ大きな乱流が生じてしまう。弁座部材7と弁体4との間の乱流Vによりスワール付与室46へ流入する燃料の流速が低下するおそれがある。これにより、スワール付与室46内で燃料に十分な旋回力を付与することができず、噴射孔44から噴射される燃料の微粒化を図ることができなかった。
図6は、実施例1の燃料噴射弁1の燃料の流れを示す図である。図6において矢印は燃料の流れを示している。なお図6のノズルプレート8の断面は、図4の直線B-Bの位置で切断した断面である。
図6に示すように、燃料は弁座6に沿って下流開口部48に流れ、下流開口部48から整流孔50を経由して中央室42に流れ込む。中央室42に流れ込んだ燃料は、中央室42の径方向外側に広がる。すなわち、燃料は弁座6に沿って燃料噴射弁1の中心軸方向に集まるように流れ、その後整流孔50で軸方向に流れ、中央室では径方向外側に広がる。つまり、燃料は弁座部材7と弁体4との空間が小さいため中央室42へスムーズに流れ、実施例1の燃料噴射弁1における燃料の流れる乱流Vの変化は、図5で示した燃料の流れる乱流の変化よりも小さくすることができる。これにより、燃料の流れに乱れを抑制して燃料の流速の低下を抑制し、スワール付与室46内で燃料に十分な旋回力を付与することができる。したがって、噴射孔44から噴射される燃料の微粒化を図ることができる。
そこで実施例1の燃料噴射弁1では、整流孔50の高さを中央室42の高さよりも低く形成するようにした。これにより整流孔50内のデッドボリュームを低減することができ、残留燃料を低減することができる。よって、燃料噴射の精度悪化や、不完全燃焼による炭化水素の増大、低パルス制御時の開閉弁の応答性の悪化、燃料噴射初期の噴霧粒子の粗大化を抑制することができる。
また実施例1の燃料噴射弁1では、中間プレート49の整流孔50の径を、弁座部材7の下流開口部48の径よりも小径に形成した。言い換えると、実施例1の燃料噴射弁1では、下流開口部48と整流孔50との間に段差部51を形成した。
これにより、中間プレート49により、燃料を中心に集めることができるため、弁座部材7の弁座6の長さを短くでき、デッドボリュームを低減できる。よって、残留燃料を低減することができ、燃料噴射の精度悪化や、不完全燃焼による炭化水素の増大、低パルス制御時の開閉弁の応答性の悪化、燃料噴射初期の噴霧粒子の粗大化を抑制することができる。
そこで実施例1の燃料噴射弁1では、中間プレート49の整流孔50の高さを、弁座6の延長線と整流孔50の内側面との交点と、閉弁時の弁体4の最下点との高さよりも低く形成した。
これにより、整流孔50内を燃料が通過する際の抵抗を低減することができ、燃料の流速の低下を抑制することが可能となる。そのため、スワール付与室46内で燃料に十分な旋回力を付与することができ、噴射孔44から噴射される燃料の微粒化を図ることができる。
実施例1の燃料噴射弁1の効果について以下に列記する。
(1)摺動可能に設けられた弁体4と、閉弁時に弁体4が座る弁座6が形成されるとともに、下流側に下流開口部48を有する弁座部材7と、弁座部材7の下流開口部48と連通し、円筒状の内側面を有する中央室42と、中央室42よりも下流側に形成され、円筒状の内側面を有し、内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室46と、スワール付与室46の底部に円筒状に形成され外部に貫通する噴射孔44と、スワール付与室46の接線方向に向かってスワール付与室46と接続するとともに、スワール付与室46と弁座部材7の開口部とを連通する連通路45と、を備えた燃料噴射弁1において、一端側が弁座部材7の下流開口部48と連通し、他端側が中央室42と連通する整流孔を有する中間プレートを設けた。
よって、中間プレート49が燃料を中心に集めるため、弁座6を延長する必要がなくなり、弁座6の端面を弁体4側に近づけることができ、デッドボリュームを削減することができる。また軸方向のスペースが無くなり、中心付近で衝突した流れが下流開口部48方向に流れやすくなるため、燃料の流れの乱れを抑制することができる。
よって、整流孔50内のデッドボリュームを低減することができ、残留燃料を低減することができる。そのため、燃料噴射の精度悪化や、不完全燃焼による炭化水素の増大、低パルス制御時の開閉弁の応答性の悪化、燃料噴射初期の噴霧粒子の粗大化を抑制することができる。
(3)中間プレート49の整流孔50の径を、弁座部材7の下流開口部48の径よりも小径に形成した。
よって、中間プレート49により、燃料を中心に集めることができるため、弁座部材7の弁座6の長さを短くでき、デッドボリュームを低減できる。そのため、残留燃料を低減することができ、燃料噴射の精度悪化や、不完全燃焼による炭化水素の増大、低パルス制御時の開閉弁の応答性の悪化、燃料噴射初期の噴霧粒子の粗大化を防止することができる。
よって、中間プレート49により、燃料を中心に集めることができるため、弁座部材7の弁座6の長さを短くでき、デッドボリュームを低減できる。そのため、残留燃料を低減することができ、燃料噴射の精度悪化や、不完全燃焼による炭化水素の増大、低パルス制御時の開閉弁の応答性の悪化、燃料噴射初期の噴霧粒子の粗大化を防止することができる。
(5)中間プレート49の整流孔50の高さを、弁座6の延長線と整流孔50の内側面の延長線との交点と、閉弁時の弁体4の最下点との高さよりも低く形成した。
よって、整流孔50内を燃料が通過する際の抵抗を低減することができ、燃料の流速の低下を抑制することが可能となる。そのため、スワール付与室46内で燃料に十分な旋回力を付与することができ、噴射孔44から噴射される燃料の微粒化を図ることができる。
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
実施例1の燃料噴射弁1では、中間プレート49の整流孔50の上流開口部50aおよび下流開口部50bの断面形状をほぼ直角に形成していた。整流孔50の上流開口部50aおよび下流開口部50bの断面形状は、実施例1の形状に関わらず他の形状であっても良い。図7は、中間プレート49の整流孔50付近の部分拡大断面図である。例えば、図7(a)に示すように、上流開口部50aの断面形状にRを形成しても良い。また図7(b)に示すように、上流開口部50aおよび下流開口部50bにRを形成しても良い。
また実施例1の燃料噴射弁1では、中間プレート49の整流孔50の上流開口部50aから下流開口部50bに向かってほぼ同径に形成されている。これを図7(c)に示すように、上流開口部50aから下流開口部50bに向かって縮径するように形成しても良い。また図
7(d)に示すように、上流開口部50aから下流開口部50bに向かって縮径するように形成するとともに、上流開口部50aの断面形状にRを形成しても良い。また図7(e)に示すように、上流開口部50aから下流開口部50bに向かって縮径するように形成するとともに、上流開口部50aおよび下流開口部50bの断面形状にRを形成しても良い。また図7(f)に示すように、上流開口部50aから下流開口部50bに向かって拡径するように形成しても良い。
また実施例1の燃料噴射弁1では、スワール室41の連通路45を、スワール付与室46に向かって断面積が一定となるように形成していたが、断面積は一定でなくとも良い。図9は、ノズルプレート8を軸方向一端側から見た平面図である。例えば、図9に示すように、スワール室41の連通路45をスワール付与室46に向かって断面積が小さくなるように形成しても良い。
また実施例1の燃料噴射弁1では、スワール付与室46の内壁を螺旋形状に形成していたが、スワール付与室46の内壁の形状は螺旋形状に限らなくとも良い。図11は、ノズルプレート8を軸方向一端側から見た平面図である。例えば、図11に示すように、スワール付与室46を円形状に形成し、噴射孔44をスワール付与室46の中心に配置するようにしても良い。
4 弁体
6 弁座
7 弁座部材
8 ノズルプレート
41 スワール室
42 中央室
44 噴射孔
46 スワール付与室
48 下流開口部(開口部)
49 中間プレート
50 整流孔
51 肉盛部
Claims (5)
- 摺動可能に設けられた弁体と、
閉弁時に前記弁体が座る弁座が形成されるとともに、下流側に開口部を有する弁座部材と、
前記弁座部材の前記開口部と連通し、円筒状の内側面を有する中央室と、
前記中央室よりも下流側に形成され、円筒状の内側面を有し、内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室と、
前記スワール付与室の底部に円筒状に形成され外部に貫通する噴射孔と、
前記スワール付与室の接線方向に向かって前記スワール付与室と接続するとともに、前記中央室の放射方向に向かって前記中央室と接続し、前記スワール付与室と前記中央室とを連通する連通路と、
を備えた燃料噴射弁において、
一端側が前記弁座部材の前記開口部と連通し、他端側が前記中央室と連通する整流孔を有する中間プレートを設け、
前記整流孔を、一端側から他端側に向かって円錐状に縮径するように形成し、
前記整流孔の径を、前記中央室の径よりも小径に形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載した燃料噴射弁において、
前記整流孔の高さを、前記中央室の高さよりも低く形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載した燃料噴射弁において、
前記整流孔の径を、前記弁座部材の開口部の径よりも小径に形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載した燃料噴射弁において、
前記整流孔と前記弁座部材の開口部との間に段差部を設けたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した燃料噴射弁において、
前記整流孔の高さを、前記弁座の延長線と前記整流孔の内側面の延長線との交点と、閉弁時の前記弁体の最下点との高さよりも低く形成したことを特徴とする燃料噴射弁。
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