JP5492133B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、燃料噴霧の微粒化向上させつつ、デッドボリュームを小さくすることができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
実施例1の燃料噴射弁1について説明する。
[燃料噴射弁の構成]
図1は燃料噴射弁1の軸方向断面図である。この燃料噴射弁1は、自動車用ガソリンエンジンに用いられるものであって、インテークマニホールド(吸入管)内に向けて燃料を噴射する、所謂低圧用の燃料噴射弁である。
燃料噴射弁1は、磁性筒体2と、磁性筒体2内に収容されるコア筒体3と、軸方向に摺動可能な弁体4と、弁体4と一体に形成された弁軸5と、閉弁時に弁体4により閉鎖される弁座6を有する弁座部材7と、開弁時に燃料が噴射される燃料噴射孔を有するノズルプレート8と、通電時に弁体4を開弁方向に摺動させる電磁コイル9と、磁束線を誘導するヨーク10とを有している。
小径部12には、一部を薄肉化した薄肉部13が形成されている。小径部12は、薄肉部13より一端側にコア筒体3を収容するコア筒体収容部14と、薄肉部13より他端側に弁部材15(弁体4、弁軸5、弁座部材7)を収容する弁部材収容部16とに分けられている。薄肉部13は、後述するコア筒体3と弁軸5が磁性筒体2に収容された状態で、コア筒体3と弁軸5との間の隙間部分を取り囲むように形成されている。薄肉部13は、コア筒体収容部14と弁部材収容部16との間の磁気抵抗を増大させ、コア筒体収容部14と弁部材収容部16間を磁気的に遮断している。
コア筒体3は中空部19を有する円筒形に形成されており、磁性筒体2のコア筒体収容部14に圧入されている。中空部19には、圧入等の手段により固定されたばね受20が収容されている。このばね受20の中心には軸方向に貫通した燃料通路43が形成されている。
弁体4の外形は略球体状に形成されており、周上に燃料噴射弁1の軸方向に対して並行に削られた燃料通路面21を有している。弁軸5は大径部22と、外形が大径部22より小径に形成された小径部23とを有している。
弁座部材7は、略円錐状の弁座6と、弁座6より一端側に弁体4の径とほぼ同型に形成された弁体保持孔30と、弁体保持孔30から一端開口側に向かうにつれて大径に形成された上流開口部31と、弁座6の他端側に開口する下流開口部48とが形成されている。
磁性筒体2のコア筒体3の外周には電磁コイル9が挿嵌されている。すなわち、電磁コイル9はコア筒体3の外周に配置されることとなる。電磁コイル9は、樹脂材料により形成されたボビン32と、このボビン32に巻回されたコイル33とから構成されている。コイル33は、コネクタピン34を介して電磁コイル制御装置55に接続されている。
電磁コイル制御装置55は、クランク角を検出するクランク角センサからの情報に基づいて計算した燃焼室側に燃料を噴射するタイミングに応じて、電磁コイル9のコイル33に通電して燃料噴射弁1を開弁させる。
連結コア38は磁性金属材料等により略C字状に形成されている。ヨーク10は、小径部37および連結コア38を介して大径部35において磁性筒体2と接続しており、すなわち電磁コイル9の両端部で磁性筒体2と磁気的に接続されていることとなる。ヨーク10の他端側先端には、燃料噴射弁1をエンジンの吸気ポートと接続するためのOリング40を保持し、かつ磁性筒体先端を保護するためのプロテクタ52が取り付けられている。
燃料噴射弁1の図1に示すように、大部分が樹脂カバー53により被覆されている。樹脂カバー53に被覆されている部分は、磁性筒体2の大径部11の一端部を除いた部分から小径部12の電磁コイル9設置位置まで、電磁コイル9とヨーク10の中径部36との間、連結コア38の外周と大径部35との間、大径部35の外周、中径部36の外周、およびコネクタピン34の外周である。コネクタピン34の先端部分は樹脂カバー53が開口して形成されており、コントロールユニットのコネクタが差し込まれるようになっている。
磁性筒体2の一端部外周にはOリング39が、ヨーク10の小径部37の外周にはOリング40が設けられている。
弁座部材7の他端側にはノズルプレート8が溶接されている。このノズルプレート8には、燃料にスワール(旋回流)を与える複数のスワール室41と、各スワール室41に燃料を分配する中央室42と、スワール室41においてスワールが与えられた燃料が噴射される燃料噴射孔44が形成されている。
図2は燃料噴射弁1のノズルプレート8付近の拡大断面図である。図3はノズルプレート8を軸方向一端側(上流側)から見た平面図である。なお、図2は図3のA-Aの位置で切断された図である。図2、図3を用いてノズルプレート8の構成について説明する。
ノズルプレート8の一端側側面にはスワール室41と中央室42が形成されている。スワール室41は2つ形成されており、それぞれ連通路45とスワール付与室46とから構成されている。各連通路45はノズルプレート8の中心付近で接続し、接続部分に中央室42が形成されている。連通路45の先にはスワール付与室46が形成され、連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続している。スワール付与室46は内側面と底部とを有する有底円形凹状に形成されているおり、底部には貫通孔である燃料噴射孔44が形成されている。
図4は燃料噴射孔44付近を拡大したノズルプレート8の部分断面図である。図4を用いて燃料噴射孔44について説明する。
燃料噴射孔44の側面は、所謂釣り鐘状に形成されている。燃料噴射孔44の側面形状をより詳細に説明すると図4に示すように、燃料噴射孔44の側面上の点P1から点P6における接線と、ノズルプレートの軸方向を示す線Sとが成す角度α1から角度α6は、点P1から点P6にかけて小さくなるように形成されている。言い換えると、燃料噴射孔44の側面上の点Pにおける接線と、ノズルプレート8の軸方向を示す線Sとが成す角度αは、一端側(上流側)から他端側(下流側)に向かうにつれて小さくなるように形成されている。
(閉弁時の燃料の流れ)
電磁コイル9のコイル33に通電されていないときには、弁体4が弁座6に座るようにコイルバネ29により弁軸5を他端側に付勢している。そのため弁体4と弁座6との間が閉鎖され、ノズルプレート8側には燃料は供給されないようになっている。
(開弁時の燃料の流れ)
電磁コイル9のコイル33に通電されているときには、コイルバネ29の付勢力に抗して電磁力により弁軸5が一端側に引き上げられる。そのため、弁体4と弁座6との間が解放され、燃料がノズルプレート8側に供給される。
スワール付与室46において燃料に旋回力(スワール力)が付与されて、旋回力を持った燃料は燃料噴射孔44の側壁部分に沿うように旋回しながら噴射される。そのため、燃料噴射孔44から噴射された燃料は、燃料噴射孔44の接線方向に飛散する。燃料噴射孔44から噴射された直後の燃料噴霧は、燃料噴射孔44開口部のエッジ部分によって薄い液膜状態で円錐状に広がる。その後、液膜状態の燃料が分離して微粒化した液滴となる。
これにより燃料の気化を促進することができ、特に低温始動時の窒素酸化物等の発生を低減することができる。
燃料の微粒化を図るためには、燃料噴射孔44から噴射される燃料の液膜を薄くすることと、燃料噴射孔44の出口における燃料の流速を速くすることが必要である。燃料噴射孔44から噴射される燃料の液膜を薄くするためには、燃料噴射孔44を円筒状に形成するよりも、燃料を噴射する方向に向かって拡径している方が良い。また、燃料噴射孔44の出口における燃料の流速を速くするためには、ノズルプレート8の板厚Tを薄くした方が良い。
図5は、円錐状の燃料噴射孔44を設けたノズルプレート8の板厚を厚く(板厚T1)したときの燃料噴霧の広がりと、板厚を薄く(板厚T0)したときの燃料噴霧の広がりとを比較した図である。図5において、いずれの燃料噴射孔44の出口開口部の面積SはS1で同面積であり、出口開口部の角度θはθ1で同角度である。
そこで実施例1の燃料噴射弁1では、燃料噴射孔44の側面上の接線と、ノズルプレート8の軸方向とが成す角度を、一端側から他端側に向かうにつれて小さくなるように形成した。すなわち、燃料噴射孔44の側面を釣り鐘状に形成した。
図7に示すように、釣り鐘状に形成した燃料噴射孔44から噴射された燃料噴霧の広がりの面積Sも、円錐状に形成した燃料噴射孔44から噴射された燃料噴霧の広がり面積SもS2で同面積とすることができる。つまり、燃料噴射孔44を釣り鐘状とすることによって、燃料噴射孔44の出口における燃料の流速Vを確保しつつ、燃料噴霧の広がりを押さえることができ、燃料の微粒化を促進することができる。
図8は釣り鐘状の燃料噴射孔44の体積と円錐状の燃料噴射孔44の体積とを比較した図である。図8では、釣り鐘状の燃料噴射孔44と円錐状の燃料噴射孔44とは、ノズルプレート8の高さ、出口開口部の面積Sおよび角度θはいずれも同じ値に設定している。
図8に示すように、釣り鐘状に形成した燃料噴射孔44は、円錐状に形成した燃料噴射孔44に比べて体積がΔVoだけ小さくすることができる。つまり、燃料噴射孔44を釣り鐘状とすることによって、デッドボリュームを小さくすることができる。
そこで実施例1の燃料噴射弁1では、燃料噴射孔44の側面上における接線と、ノズルプレート8の軸方向とが成す角度αが所定値より大きい部分の軸方向長さL1を、角度αが所定値以下の部分の軸方向長さL2よりも短くなるように形成した。
これにより燃料噴射孔44の体積増大を抑制し、デッドスペースを小さくすることができる。
また、スワール付与室46において旋回力(スワール力)が付与された燃料は、燃料噴射孔44に流入するが、その旋回エネルギーは、円錐状に形成した燃料噴射孔(図4にaで示す)と比較して、燃料が側壁部分(図4にbで示す)に沿って燃料が流れるため、急激に失われることがない。すなわち、ノズルプレート8の軸方向長さL1までは、旋回エネルギーを保ち、そのエネルギーを徐々に軸方向の噴射エネルギーに変換しつつ、軸方向長さL2以降では、主に燃料の噴射エネルギーを軸方向に与えるものである。
実施例1の燃料噴射弁1の効果について以下に列記する。
(1)摺動可能に設けられた弁体4と、閉弁時に弁体4が座る弁座6が一端側に形成された弁座部材7と、弁座部材7の他端側に形成され、燃料にスワールを付与する複数のスワール付与室46と、各スワール付与室46に連通して前記スワールが付与された燃料を噴射する燃料噴射孔44を形成した円盤状のノズルプレート8と、を備え、内燃機関の吸気管に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁1において、燃料噴射孔44の側面上の接線と、ノズルプレート8の軸方向とが成す角度を、一端側から他端側に向かうにつれて小さくなるように形成した。
よって、燃料噴射孔44の出口における燃料の流速Vを確保しつつ、燃料噴霧の広がりを押さえることができ、燃料の微粒化を促進することができる。また、デッドボリュームを小さくすることができる。
よって、燃料噴射孔44の体積増大を抑制し、デッドスペースを小さくすることができる。
また、燃料噴射孔44に流入した燃料の旋回力を徐々に燃料噴射孔44の軸方向に変換することができるため、旋回エネルギーが失われることがない。したがって、比較的高い流速Vを維持した燃料は、その微粒化を促進しつつ、噴霧の広がりを抑制することができる。
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
実施例1の燃料噴射弁1ではスワール室41を2つ形成したが、スワール室41の個数は燃料噴射量の設計に応じて適宜変更しても良い。
また実施例1の燃料噴射弁1では中央室42に対して連通路45を径方向に伸ばしているが、連通路45を中央室42の接線方向に伸ばすようにしても良い。
4 弁体
6 弁座
7 弁座部材
8 ノズルプレート
44 燃料噴射孔
46 スワール付与室
Claims (1)
- 摺動可能に設けられた弁体と、
閉弁時に前記弁体が座る弁座が一端側に形成された弁座部材と、
前記弁座部材の他端側に形成され、燃料にスワールを付与する複数のスワール付与室と、
各スワール付与室に連通して前記スワールが付与された燃料を噴射する燃料噴射孔を形成した円盤状のノズルプレートと、
を備え、内燃機関の吸気管に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁において、
前記燃料噴射孔の側面上の接線と、前記ノズルプレートの軸方向とが成す角度を、一端側から他端側に向かうにつれて小さくなるように形成したことを特徴とする燃料噴射弁。
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