JP2014029002A - 電極材料及び点火プラグ用電極、並びに点火プラグ - Google Patents

電極材料及び点火プラグ用電極、並びに点火プラグ Download PDF

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Abstract

【課題】耐高温酸化性及び耐腐食性に優れる点火プラグ用電極の構成材料に適した電極材料、点火プラグ用電極、及び点火プラグを提供する。
【解決手段】質量%で、Al:0.005%〜0.2%,Si:0.2%〜1.6%,Cr:0.05%〜1.0%,Ti:0.05%〜0.5%,Y:0.2%〜1.0%含有し、残部がNi及び不可避不純物から構成され、質量比でSi/Cr≧1を満たす電極材料であり、自動車の内燃機関などの点火プラグの電極の素材に利用される。Al,Si,Cr,Yを特定の範囲で含有し、かつ、Alに比較してSiが多いことで、酸化抑制効果に優れる。Tiを特定量含有するため、酸化膜の膨張、亀裂などを抑止でき、Yを特定量含有するため、高温でも微細組織を維持でき、耐高温酸化性に優れる。Si/Cr≧1を満たすことで酸化膜自体の耐腐食性を高められ、腐食液によっても腐食し難い。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車などに具える内燃機関の点火プラグ用電極の素材に利用される電極材料、この電極材料から構成された点火プラグ用電極、及びこの電極を具える点火プラグに関するものである。特に、高温酸化し難く、水溶液によっても腐食し難くて耐腐食性に優れる点火プラグ用電極、及びこの電極の素材に適した電極材料に関するものである。
従来、自動車のガソリンエンジンなどの内燃機関の点火には、点火プラグ(スパークプラグ)が用いられている。点火プラグは、代表的には、棒状の中心電極と、中心電極の端面に対向するように離間して配置された接地電極とを具える。上記中心電極と接地電極との間で火花放電を行い、この放電により両電極間に流入する燃料混合気体に点火する。
上記電極材料として、特許文献1では、Al,Si,Cr,Mn,Yを含有するニッケル合金を開示している。
特許第4295501号公報
点火プラグの電極に求められる特性として、酸化し難く(特に高温での耐酸化性に優れ)、火花により消耗し難く(耐火花消耗性に優れ)、電極表面にニッケルを含有する化合物粒(詳細は後述)が形成され難い(耐発汗性に優れる)ことが望まれる。特許文献1に記載される電極材料は、上述の元素を含有することでこれらの要求を満たす。
近年、環境保全対策などのために自動車などの燃費を向上することが望まれている。例えば、内燃機関における燃焼温度を更に高めたり、排気再循環:EGRを行ったりすることで、燃費を向上できる。燃焼温度を更に高めることで、点火プラグの電極は、従来よりも更に高温環境で使用されることになる。例えば、従来の一般的な自動車に具えるガソリンエンジンにおいて、使用時の最高到達温度は900℃〜1000℃程度であることから、燃焼温度を高めると、この温度よりも+100℃程度といった高温環境になる。このように昨今の点火プラグの使用環境は、従来よりも非常に高温で酸化し易い環境になってきている。そのため、点火プラグの電極材料には、耐高温酸化性の更なる向上が望まれる。
例えば、Alなどの添加元素の含有量を増大することで、酸化抑制効果を高められる。しかし、添加元素の増量は、比抵抗の増大を招き、その結果、火花によって消耗し易くなり、耐火花消耗性が低下する。従って、Alなどの添加元素の増量による特性の向上には限界がある。
また、点火プラグの使用時に、雰囲気中の窒素とAlとが反応して窒化物(AlN)を形成し、この窒化物が酸化を進行させる恐れがある。ここで、ニッケル合金からなる電極を点火プラグに使用した場合、組成や使用条件などにもよるが、電極表面に酸化膜が事後的に形成され、この酸化膜によって、酸化膜よりも内部に存在するニッケル合金基材の酸化をある程度抑制できる場合がある。しかし、上記窒化物が形成されて酸化膜中に介在すると、エンジンのON/OFFに伴う冷熱サイクルなどに起因して酸化膜に亀裂が生じたり、酸化膜が剥離したりして、基材の酸化が進行し易くなる傾向にある。
特に、昨今、環境保全対策として、アイドリングストップを行うようになってきており、エンジンのON/OFF回数が増加している。その結果、冷熱サイクルの回数が多くなってきており、上述の使用時に形成された酸化膜は、更に亀裂や剥離が生じ易い環境にある。
更に、上述のような更なる高温環境では、電極を構成する結晶粒が成長して粗大になり易い。粗大化により結晶粒界の合計長が短くなると、酸素が、電極の外部から上記結晶粒界を伝って電極内部に侵入し易く、侵入度合い(深度)が深くなり、電極内部(基材内部)が酸化し易くなる。従って、更なる高温環境での使用では、粒成長の抑制による耐酸化性の向上も望まれる。
加えて、点火プラグの使用時、電極の母相のニッケルと、ガソリンやエンジンオイル等に由来する雰囲気中の元素(アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、リンなど)とが反応して、電極表面、特に、電極において火花放電が行われる部分(主として中心電極及び接地電極において互いに対向する面)の周囲に、ニッケルを含む粒状の化合物(以下、化合物粒と呼ぶ)が形成されたり、この化合物粒の付着箇所の融点が部分的に低下して母相が溶融し、化合物粒が更に大きくなったりするという現象が生じる。上記化合物粒が形成・成長され続けると、エンジンの点火状態が不安定になったり、最悪の場合、化合物粒が脱落してエンジンを破損させたりする恐れがある。更なる高温環境で点火プラグを使用すると、化合物粒が生成又は成長し易いことから、化合物粒の生成や成長の抑制も望まれる。
更に、本発明者らは、上述のようにアイドリングストップを行うと、エンジンの停止によってエンジン部品の温度が低下して結露が生じ、エンジン部品が結露水に浸された状態になる、との知見を得た。また、この結露水は、エンジン部品の周囲からの元素(例えば、EGRに起因するNOx成分、エンジンオイル中の不純物と思われるリン(P)、ガソリン中の不純物と思われる硫黄(S)、エンジン部品の構成材料に基づく塩化物など)が混ざって酸を含む腐食液となり得る、との知見を得た。アイドリングストップによってON/OFF回数が多くなると、結露が繰り返し生じ、生成された結露水を利用して上述の腐食液が繰り返し生成されることになる。そして、アイドリングストップによってエンジンの停止時間が長くなると、エンジン部品は、逐次、生成された上記腐食液などに浸漬されることになる。従って、点火プラグの電極材料には、上述した高温での単純な酸化に対する耐性だけでなく、水溶液による腐食に対する耐性にも優れることが望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、耐高温酸化性に優れる上に、耐腐食性にも優れる電極が得られる電極材料を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記電極材料から構成されて、耐高温酸化性及び耐腐食性に優れる点火プラグ用電極、及びこの点火プラグ用電極を具える点火プラグを提供することにある。
本発明者らは、特に、高温環境に加えてアイドリングストップやEGRなどが行われる環境での使用に適した点火プラグ用電極の構成材料として、好ましい組成を種々検討した結果、以下の知見を得た。
(1) Al,Si,Cr,Yは、高温での酸化抑制効果がある。
(2) Siは酸化の抑制効果がAlよりも高い。
(3) Tiは酸化(特に内部酸化)の抑制効果があり、Tiの含有によってAl及びSiの含有量を低減できる上に、Alの窒化を抑制できる。
(4) Yは高温下での結晶粒の成長を効果的に抑制して、結晶粒が微細な状態を維持し易い。
(5) Al,Si,Crは、化合物粒を生成し難くして、高温での発汗抑制効果がある。
(6) Al,Si,Crを含有すると共に、SiとCrとの比率を特定の範囲とすることで、耐腐食性を向上できる。
(7) Mnを更に添加すると、内部酸化の抑制効果、高温での発汗の抑制効果、及び耐腐食性の向上効果が得られる。
(8) これらの添加元素の含有量を調整することで、比抵抗の増加を抑制し、火花による消耗を低減できる。
上記知見から、点火プラグの電極材料として、添加元素をAl,Si,Cr,Y,Tiとすると共に、その含有量を特定の範囲とし、かつSiとCrとの含有比率を規定する。
本発明の電極材料は、質量%で、Alを0.005%以上0.2%以下、Siを0.2%以上1.6%以下、Crを0.05%以上1.0%以下、Tiを0.05%以上0.5%以下、Yを0.2%以上1.0%以下含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる。そして、この電極材料は、質量比でSi/Cr≧1を満たす。
上述の特定の組成のニッケル合金から構成される本発明の電極材料は、(1)Al,Si,Cr,Yを特定の範囲で含有することで、酸化抑制効果に優れる、(2)SiをAlよりも多く含有することで、酸化抑制効果により優れる、(3)更にTiを特定の範囲で含有することで、Alの窒化を抑制したり、酸化膜の膨張、亀裂、剥離などの発生を抑制したりできる、(4)Yを特定の範囲で含有することで、高温下での結晶粒の成長を抑制できる。これらの点から、本発明の電極材料は、高温環境で使用した場合にも耐酸化性に優れる。
また、本発明の電極材料は、(I)添加元素を特定の元素及び特定の含有量とし、特に、Alが少なく、AlとSiとの合計含有量が比較的少なくなることから比抵抗が小さく、火花消耗し難い、(II)Al,Si,Crを特定の範囲で含有することで、使用時に上述の化合物粒の形成や成長を効果的に抑制できる。これらの点から、本発明の電極材料は、耐発汗性及び耐火花消耗性にも優れる。
かつ、本発明の電極材料は、Al,Si,Cr、適宜Mnを含有することで、ニッケル合金自体が耐腐食性に優れる上に、Si/Cr≧1を満たすことで、酸化膜自体も耐腐食性に優れる。
ここで、組成や使用条件などにもよるが、点火プラグの使用時に点火プラグの電極が上述のような高温に曝されて合金表面に酸化膜が形成された場合、酸化膜が無い場合よりも、耐腐食性が向上する傾向にある。従って、点火プラグの電極は、使用時に酸化膜が形成されることが好ましい。しかし、この酸化膜が厚くても、ポーラスであったり、上述の冷熱サイクルなどで酸化膜に亀裂が生じたりすると、隙間腐食が生じて逆に腐食が進行し易くなる。従って、緻密で強固な酸化膜がある程度の厚さで生成されることが望まれる。後述するように本発明の電極材料などを構成するニッケル合金に生成される酸化膜は、ニッケル合金からなる基材寄りに形成された内部酸化物層と、酸化膜の表面側に形成された表面酸化物層との二層構造になる傾向にある。このうち、Niの含有量が多い内部酸化物層は、基材よりも腐食し易い傾向にある。そのため、内部酸化物層が厚くなり過ぎると優先的に腐食されて、耐腐食性に劣ることから、内部酸化物層はある程度薄い方が好ましいと考えられる。本発明の電極材料は、Si/Cr≧1を満たすことで、緻密で強固な酸化膜を生成し易い上に、内部酸化を抑制できることから内部酸化物層を比較的薄く生成でき、酸化膜の密着性にも優れる。このように本発明の電極材料は、基材を構成するニッケル合金だけでなく、使用時に事後的に生成される酸化膜自体の耐腐食性にも優れることで、点火プラグの電極に用いた場合、アイドリングストップやEGRなどを行うことで生成された腐食性の水溶液によっても腐食され難い。
本発明の電極材料の別の形態として、更にMnを含む形態が挙げられる。具体的には、質量%で、Alを0.005%以上0.2%以下、Siを0.2%以上1.6%以下、Crを0.05%以上1.0%以下、Tiを0.05%以上0.5%以下、Yを0.2%以上1.0%以下、Mnを0.05%以上0.5%以下含有し、残部がNi及び不可避不純物からなり、質量比でSi/Cr≧1を満たす形態が挙げられる。
MnもCrと同様に、上述の化合物粒の発生を抑制する効果がある上に、内部酸化の抑制にも効果があり、内部酸化物層の過剰な生成を抑制できる。従って、Mnを更に含有する上記形態は、耐発汗性、耐高温酸化性、及び耐腐食性に優れる。また、上記形態は、Mnの含有量が上述の特定の範囲であることで、比抵抗の増大も招き難く、耐火花消耗性に優れる。
本発明の電極材料の一形態として、質量%で、Yを0.3%超含有する形態が挙げられる。
上記形態は、Yを十分に含むことで、耐高温酸化性により優れる。
本発明の電極材料の一形態として、質量%で、Bを0%超0.05%以下含有する形態が挙げられる。
上記形態は、Bを含有することで熱間加工性に優れ、電極材料の生産性を向上できる。
本発明の電極材料の一形態として、上記電極材料の室温での比抵抗が25μΩ・cm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、比抵抗が小さく、耐火花消耗性に優れる。
本発明の電極材料の一形態として、上記電極材料を1000℃×100時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の平均結晶粒径が300μm以下である形態が挙げられる。
上述の特定の組成から構成されることで、本発明の電極材料や本発明の電極材料から構成された本発明の点火プラグ用電極は、1000℃といった非常に高い温度環境で使用された場合でも結晶粒が成長し難く(粗大になり難く)、平均結晶粒径が小さい状態を維持できる。従って、上記形態は、長期に亘り、粒界の合計長が長い状態を維持でき、高温での耐酸化性に優れる。
本発明の電極材料の一形態として、上記電極材料を900℃×24時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の表面に酸化膜が形成されており、上記酸化膜が内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造であり、かつ以下の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす形態が挙げられる。
(A) 上記内部酸化物層の厚さに対する上記表面酸化物層の厚さの比(以下、厚さ比率と呼ぶ)が16%超173%未満
(B) 上記表面酸化物層の厚さが15μm超57μm未満
(C) 上記内部酸化物層の厚さが33μm超80μm未満
(D) 上記表面酸化物層と上記内部酸化物層との合計厚さが48μm超90μm未満
上記形態は、高温に曝されて特定の厚さや厚さ比率を満たす酸化膜が形成されることで、後述する試験例に示すように腐食性の水溶液に接触しても腐食され難くて耐腐食性に優れる。上記形態の電極材料を点火プラグの電極に使用した場合、上述の特定の酸化膜が事後的に形成されることで、耐腐食性に優れる電極を構築することができる。
本発明の電極材料の一形態として、上記電極材料の表面の少なくとも一部に酸化膜を具える形態が挙げられる。上記酸化膜は、内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造であり、かつ上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす。
上記形態は、耐腐食性に優れる酸化膜を予め具えるため、後述する試験例に示すように、腐食性の水溶液に接触しても腐食され難くて耐腐食性に優れる。従って、上記形態の電極材料を点火プラグの電極に使用した場合、使用時に経時的に酸化膜が形成されることを待つまでも無く、使用初期から耐腐食性に優れる。そのため、上記形態の電極材料は、使用初期から長期に亘り、優れた耐腐食性を有すると期待される。また、上記形態の電極材料を点火プラグの電極に用いることで、使用初期の耐腐食性を高めるためなどの目的で行うめっき処理などを省略できると期待される。
上述の構成を具える本発明の電極材料は、内燃機関、特に1000℃程度、更にそれ以上といった非常に高温な環境で使用される点火プラグ用電極の素材に好適に利用することができる。本発明の点火プラグ用電極は、本発明の電極材料から構成されている。
本発明の点火プラグ用電極は、耐高温酸化性、耐火花消耗性、耐発汗性、及び耐腐食性に優れる点火プラグを構築することができる。
本発明の点火プラグ用電極の具体的な形態として、本発明の電極材料から構成されたものであり、その表面に酸化膜を具えていない形態が挙げられる。また、本発明の点火プラグ用電極の別の形態として、本発明の電極材料から構成されたものであり、その表面の少なくとも一部に酸化膜を具える形態が挙げられる。上記酸化膜は、内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造であり、かつ上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす。
本発明の点火プラグ用電極であって、耐腐食性に優れる上記酸化膜を予め具える形態は、後述する試験例に示すように、腐食性の水溶液に接触しても腐食され難くて耐腐食性に優れる。従って、上記酸化膜を有する形態は、使用時に経時的に酸化膜が形成されることを待つまでも無く、使用初期から耐腐食性に優れ、使用初期から長期に亘り、優れた耐腐食性を有すると期待される。また、上記酸化膜を有する形態は、使用初期の耐腐食性を高めるためなどの目的で行うめっき処理などを省略でき、生産性の向上も図ることができると期待される。
本発明の点火プラグは、本発明の点火プラグ用電極を具える。
本発明の点火プラグは、耐高温酸化性、耐火花消耗性、耐発汗性、及び耐腐食性に優れる本発明の点火プラグ用電極を具えることから、アイドリングストップを頻繁に行う場合やEGRを行う場合などでも、長期に亘り、良好に使用できると期待される。特定の酸化膜を具える点火プラグ用電極を具える場合には、使用初期から長期に亘り、耐腐食性に優れると期待される。
本発明の点火プラグ用電極、及びこの点火プラグ用電極を具える本発明の点火プラグは、耐高温酸化性及び耐腐食性に優れる。本発明の電極材料は、耐高温酸化性及び耐腐食性に優れる点火プラグ用電極を製造することができる。
電極材料の酸化状態を説明するための光学顕微鏡写真である。
以下、本発明をより詳しく説明する。なお、元素の含有量は、断りが無い限り質量%とする。
[電極材料]
<組成>
本発明の電極材料は、Al,Si,Cr,Y及びTi、適宜Mnを添加元素とし、残部がNi及び不可避不純物であるニッケル合金から構成される。Niを主成分(95質量%以上、好ましくは97質量%以上)とすることで、塑性加工性に優れる上に、比抵抗が小さく(導電率が高く)、点火プラグの電極に用いられた場合に火花による消耗を低減できる。添加元素の含有量が少なくNiの含有量が多いほど(例えば、Ni:98質量%以上)、比抵抗を低減できる。添加元素の含有量が多いほど、耐高温酸化性や耐腐食性を高められる。
(Al:アルミニウム,Si:珪素)
Al及びSiは酸化抑制の効果が高い元素である。両元素を含有することで、電極材料の表面にAlやSiを含む酸化物を意図的又は事後的に形成して(酸化膜を意図的又は事後的に生成して)、電極材料(基材)の内部に酸素が侵入することを低減し、酸化、特に内部酸化の抑制を図る。内部酸化の抑制によって、内部酸化物層が過剰に厚くならず、緻密で密着性に優れる酸化膜を生成でき、更にこの酸化膜を維持できる。また、AlやSiを後述するCrやMnと同時に含有することで、上述の化合物粒の発生を抑制して、耐発汗性に優れる。AlやSiが多いほど、電極材料の表面に酸化物が形成され易く、内部酸化の抑制や化合物粒の発生・成長の抑制を図れるが、多過ぎると、電極材料の表面に形成される酸化膜がポーラスになったり、膨張して亀裂が入ったり破裂したり、剥離したりする。酸化膜の亀裂や剥離により、経時的に酸化が進行する上に、上述の腐食液が生じ得る使用環境では、水溶液による腐食も進行し得る。更に、AlやSiが多いほど、比抵抗が大きくなり易く、耐火花消耗性の低下を招く。そこで、本発明の電極材料では、Al及びSiの双方を含有すると共に、その含有量を比較的少なくし、代わって内部酸化の抑制効果が高い元素として、Tiを含有する。かつ、本発明者らが調べた結果、AlよりもSiの方が酸化抑制効果が高い、との知見を得たことから、本発明の電極材料では、Alに比較してSiを多く含有する。具体的な含有量は、Al:0.005%以上0.2%以下、Si:0.2%以上1.6%以下とする。より好ましい含有量として、Al:0.01%以上0.15%以下、Si:0.5%以上1.5%以下、更に1.3%以下が挙げられる。
(Y:イットリウム)
Yは、主として合金母相のNiと金属間化合物を形成して金属間化合物として存在し、極一部がNiに固溶して存在する。この金属間化合物の所謂ピン止め効果によって、本発明の電極材料は、900℃以上、更には1000℃以上といった非常に高温環境でも結晶粒の粒成長を効果的に抑制できる。そのため、本発明の電極材料から構成された本発明の点火プラグ用電極は、使用環境温度が上述のような非常に高温でも、長期に亘り、結晶粒を微細な状態に維持でき、酸素の侵入を低減できて内部酸化を効果的に抑制できる。このように優れた耐酸化性、特に耐高温酸化性を有するには、Yを0.2%以上含有することが好ましい。Yが多いほど、結晶粒を微細に維持でき、耐高温酸化性に優れる傾向にある。また、Yの含有量を1.0%以下とすることで、比抵抗の増大による電極の熱劣化を抑制して耐火花消耗性に優れる上に、塑性加工性の低下を抑制して所定の形状の電極に加工し易く、電極の製造性に優れる。更に、Yは、他の希土類元素と比較して水素を吸蔵し難いことから、製造工程で水素を含有する雰囲気で熱処理を行った場合でも、本発明の電極材料は、水素脆化が生じ難い。Yのより好ましい含有量として、0.3%超0.75%以下が挙げられる。
(Cr:クロム,Mn:マンガン)
上述のようにAlやSiと共にCr、適宜Mnを含有することで、上述した化合物粒が生じ難い。この理由は、AlやSiと共にCrやMnがガソリンやエンジンオイル中に含まれるPなどといった雰囲気中の元素と反応することで、合金母相のNiとPなどとの反応を抑制し、NiとPなどとの化合物が電極に付着することを低減できるため、と考えられる。また、CrやMnも内部酸化の抑制に効果がある。更に、Crは、点火プラグの使用時に生じ得る腐食液に対する耐性にも優れる上に、Mnよりも化合物粒の発生を抑制する効果が高い傾向にあり、Alよりも比抵抗を増大させ難い。そこで、本発明の電極材料では、上述のようにAlを少なめにすると共に、Crを必須元素とし、Mnを任意の添加元素とする。Crは、含有量が多いほど、上記化合物粒の発生・成長や内部酸化を抑制し易く、耐腐食性にも優れるが、多過ぎると、比抵抗が大きくなり過ぎる。Mnは、含有量が多いほど、上記化合物粒の発生・成長や内部酸化を抑制し易いが、多過ぎると、比抵抗の増大や耐腐食性の低下を招く。従って、Crの含有量は、0.05%以上1.0%以下とする。Mnを含有する場合、Mnの含有量は、0.05%以上0.5%以下が好ましい。より好ましい含有量として、Cr:0.1%以上、更に0.2%以上0.8%以下、Mn:0.05%以上0.3%以下が挙げられる。
(Ti:チタン)
Tiは、上述のように内部酸化を効果的に抑制できる。この効果は、Tiの含有量が多いほど顕著であるが、Tiが多過ぎると、比抵抗の増大を招く。また、Tiは、上述のようにAlの窒化物(AlN)の生成を抑制し、Alの窒化物の形成による熱膨張によって酸化膜に亀裂が生じるなどして酸化が進行することを効果的に抑制できる。上記効果を十分に得るために、Tiの含有量を0.05%以上0.5%以下とする。Tiのより好ましい含有量として、0.1%以上0.3%以下が挙げられる。
(Si/Cr≧1)
そして、本発明の電極材料では、Si,Crの含有量が上述の範囲を満たすと共に、Si/Cr≧1、つまりSi=Cr又はSi>Crを満たすことを特徴の一つとする。この条件を満たすことで、Si及びCrの双方の含有による酸化抑制、特に内部酸化を効果的に抑制して、緻密で密着性に優れ、比較的薄い内部酸化物層を具える酸化膜を生成できる。この酸化膜を具える結果、耐高温酸化性に優れるだけでなく、使用時の周囲環境から生成され得る腐食液によっても腐食され難く、耐腐食性にも優れる電極材料や電極とすることができる。Si/Crが大きいほど、耐腐食性に優れる傾向にあり、1<Si/Cr、特に、1.3≦Si/Cr≦35、とりわけ1.3≦Si/Cr≦6が好ましい。
(B:硼素)
更にBを0%超0.05%以下の範囲、より好ましくは0.001%以上0.02%以下含有すると、熱間加工性に優れ、本発明の電極材料や本発明の点火プラグ用電極の生産性を高められる。
上述の添加元素の含有量は、電極材料の原料に添加する元素の量を調整することで、上述の特定の範囲にすることができる。上述の添加元素の他、高温強度が望まれる場合、Cを微量に含有することを許容する。但し、Cが多過ぎると、加工性が低下する傾向にあるため、Cの含有量は0.05質量%以下が好ましい。
<耐酸化性>
本発明の電極材料は、900℃以上、更に1000℃以上といった高温環境下に長時間曝した場合であっても、耐高温酸化性に優れており、結晶粒が微細である組織を維持することができる。例えば、本発明の電極材料は、1000℃×100時間の加熱した後における平均結晶粒径が300μm以下を満たすことができる。「1000℃×100時間」との条件は、従来の一般的な自動車のガソリンエンジンにおける使用時の最高到達温度と同等程度又はそれ以上の温度条件であり、かつ加熱時間が長いため、非常に厳しい条件を模したものである。このような厳しい条件の加熱を行った場合でも、電極材料を構成する結晶粒が小さいほど、上述のように合金基材の内部への酸素の侵入を抑制でき、耐高温酸化性に優れる、と評価することができる。そこで、本発明では、耐高温酸化性の評価の指標として、「1000℃×100時間加熱後の平均結晶粒径」を採用する。この平均結晶粒径は、上記添加元素の含有量により変化させることができ、例えば、200μm以下、150μm以下、120μm以下、更に100μm以下を満たす電極材料とすることができる。上述のように平均結晶粒径が小さいほど、結晶粒界の合計長が長くなって合金基材内部への酸素の侵入を防止し易く、下限は特に設けない。「1000℃×100時間加熱後の平均結晶粒径」は、特にYの含有量が多いほど小さくなる傾向にある。
<比抵抗>
本発明の電極材料は、比抵抗が小さく、例えば、室温(代表的には20℃程度)での比抵抗が25μΩ・cm以下を満たすことができる。比抵抗は、主として添加元素の含有量により変化する。添加元素の含有量が少ないほど、比抵抗が小さくなる傾向にあり、例えば、20μΩ・cm以下、更に15μΩ・cm以下を満たすことができる。比抵抗が小さいほど耐火花消耗性に優れる傾向にあり、特に下限を設けない。なお、純ニッケルやNiの含有量が多い高Ni合金(代表的には、添加元素の合計含有量:1質量%以下)では、上述のように比抵抗が小さいが、耐高温酸化性や耐腐食性に劣り、例えば、上述の平均結晶粒径が300μm超となる。
<耐腐食性>
本発明者らは、後述するように高温酸化後における酸化膜が特定の状態になっている場合、耐腐食性に優れる、との知見を得た。具体的には、900℃×24時間加熱して酸化した後、電極材料の表面に上述の内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造の酸化膜が形成されており、この酸化膜が以下の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たすと耐腐食性に優れる、との知見を得た。また、900℃×24時間の条件で形成した酸化膜の状態は、上述の耐高温酸化性の評価に用いる条件:1000℃×100時間で形成した酸化膜の状態に比較して、実際に自動車で使用された点火プラグの酸化膜の状態に近い、との知見を得た。つまり、この酸化条件:900℃×24時間は、実際の使用環境をより的確に模擬した条件といえる。そこで、本発明では、耐腐食性の評価の指標として、「900℃×24時間加熱後の酸化膜の状態」を採用する。
(A) 厚さの比率:16%超173%未満、(B) 表面酸化物層の厚さ:15μm超57μm未満、(C) 内部酸化物層の厚さ:33μm超80μm未満、(D) 表面酸化物層と内部酸化物層との合計厚さ:48μm超90μm未満。
上記(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす形態は、使用時においても、薄過ぎず厚過ぎず適切な厚さを有する酸化膜が事後的に形成される、と期待される。また、この酸化膜は、上述のように緻密で密着性に優れる。そのため、上記形態は、耐腐食性に優れると考えられる。上記(A)〜(D)のうち、いずれか1つを満たす形態、いずれか2つを満たす形態、いずれか3つを満たす形態、4つ全てを満たす形態のいずれでもよい。厚さなどの測定方法は後述する。
更に、本発明者らは、上述の特定の組成から構成され、かつ上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす酸化膜を具える電極材料から製造して、上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす酸化膜を具える電極や、上述の特定の組成から構成された電極基材に酸化処理を施して、上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす酸化膜を具える電極は、使用初期においても耐腐食性に優れ、使用初期から長期に亘り、耐腐食性に優れるとの知見を得た。ここで、上述の特定の組成から構成される電極材料や電極は、点火プラグの使用前に上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす特定の酸化膜を実質的に具えていなくても、組成や使用条件などにもよるが上述のように使用時に上記特定の酸化膜が形成されて、耐腐食性に優れる状態となる。しかし、この特定の酸化膜が形成されるまでの間、耐腐食性を十分に有するためには、例えば、めっき層などを別途具えることが望まれる。すると、めっき処理などが必要となり、生産性の低下を招く。一方、使用前に上記特定の酸化膜を有していれば、めっき処理などを不要にできる上に、使用初期から耐腐食性に優れる状態とすることができる。また、使用初期から耐腐食性に優れる酸化膜を有することで、経時的な酸化も進行し難く、酸化(特に内部酸化)を抑制し易いと期待される。そこで、本発明の電極材料の一形態として、その表面の少なくとも一部に、上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす酸化膜を具えるものを提案する。この特定の酸化膜を具える電極材料を利用することで、表面の少なくとも一部に上記特定の酸化膜を具える電極を製造できる。
<形状>
本発明の電極材料は、代表的には、伸線加工により形成された線材が挙げられる。断面形状は、矩形状、円形状など、種々の形状とすることができる。また、断面サイズや線径も適宜選択することができる。例えば、断面矩形状の平角線では、厚さ:1mm〜3mm程度、幅:2mm〜4mm程度、断面円形状の丸線では、線径:2mm〜6mm程度が挙げられる。
[製造方法]
本発明の電極材料は、代表的には、溶解→鋳造→熱間圧延→冷間伸線及び熱処理(→適宜酸化)という工程により得られる。上記溶解時や鋳造時の雰囲気を例えば、酸素濃度が大気雰囲気よりも低くなるように制御すると(例えば、酸素濃度:10体積%以下)、Yの酸化を抑制して、Yを含有する金属間化合物を電極材料中に十分に存在させることができる。
冷間伸線後、最終熱処理(軟化処理)を行う場合、非酸化性雰囲気(例えば、水素雰囲気、窒素雰囲気などの酸素濃度が低い雰囲気、又は酸素を実質的に含有しない雰囲気)で加熱温度:700℃〜1000℃、特に、800℃〜950℃程度で行うことが好ましい。このような軟化処理を行うことで、電極材料を所定の電極形状に加工し易かったり、軟化処理以前の加工によって導入された加工歪みを除去して、電極材料の比抵抗や成形後の電極の比抵抗を小さくすることができる。冷間伸線後、適宜圧延を行うことができる。この圧延によって線材の形状を変化させられる(例えば、断面円形状から断面矩形状に変更する、など)。圧延後、上記軟化処理を行うことができる。
上記特定の酸化膜を具える電極材料を製造する場合には、上述の冷間伸線後、又は圧延後、又は軟化処理後に酸化膜を形成する熱処理(酸化処理)を行う。酸化処理の条件は、酸化膜が所望の厚さ比率や厚さなどとなるように調整する。例えば、バッチ処理の場合、加熱温度は、800℃以上1100℃以下、好ましくは900℃以上1000℃以下が挙げられる。雰囲気は、酸素を含む雰囲気とする。大気雰囲気とすると、雰囲気の制御が容易である上に、酸素濃度が比較的高いことで酸化膜の形成時間を短くでき、生産性に優れる。酸素濃度が0.02体積%以上20体積%以下の低酸素雰囲気、酸素濃度が20体積%超の高酸素雰囲気とすることもできる。酸素以外の雰囲気ガスは、窒素やアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが挙げられる。保持時間は、酸素の濃度によって異なる。例えば、大気雰囲気とする場合、保持時間は、1時間以上100時間以下、更に1時間以上72時間以下、特に2時間以上24時間以下が挙げられる。低酸素雰囲気とする場合、2時間以上200時間以下、更に3時間以上、特に10時間以上100時間以下が挙げられる。高酸素雰囲気とする場合、0.5時間以上50時間以下が挙げられる。
上記酸化処理は、上述のバッチ処理の他、連続処理でも行うことができる。連続処理は、誘導加熱や抵抗加熱などによる通電方式の加熱炉や、雰囲気炉などを用いて行う。連続処理も、酸化膜が上述の特定の厚さの比率や厚さなどとなるように条件を調整する。例えば、通電方式では、線速、加熱対象の大きさ(線径)、電流値など、雰囲気炉では、線速、加熱対象の大きさ(線径)、炉の大きさ(パイプ炉の場合、直径)などを調整する。
電極材料における酸化膜の存在領域は、適宜選択することができる。代表的には線材の場合、その外周面全体に酸化膜を具える形態が挙げられる。この形態は、マスキング処理などが不要であり、酸化膜を有する線材を容易に形成できる。
[点火プラグ用電極]
本発明の電極材料は、点火プラグに具える中心電極及び接地電極のいずれの構成材料にも好適に利用できる。上記接地電極は、中心電極と比較して、自動車のエンジンなどの内燃機関において、燃焼室の中心に近い位置に配置されることが多い。本発明の電極材料は、上述のように高温での特性に優れることから、上記接地電極の構成材料であっても好適に利用できる。本発明の点火プラグ用電極は、上記電極材料を適宜な長さに切断したり、切断した材料を更に所定の形状に成形したりすることで製造できる。
上記特定の酸化膜を具える電極は、電極の外表面の実質的に全てに酸化膜を有する形態、外表面の一部(例えば、接地電極では、中心電極に向かい合っていない箇所、中心電極では、接地電極に向かい合っていない箇所など)にのみ酸化膜を有する形態が挙げられる。このような酸化膜を具える電極は、上述の酸化膜を具える電極材料を用いて製造したり、酸化膜を有さない電極材料を所望の電極形状に成形した後、上述の酸化処理を行ったりすることで製造できる。酸化膜を有する電極材料を切断すると、その切断面は酸化膜を有さない。このような酸化膜を有さない箇所を一部に具える素材を用いて電極を製造した場合でも、所望の箇所に酸化膜を有していれば、必ずしも電極の外表面全体に酸化膜を有する必要はない。所望の電極形状に成形した電極基材に上述の酸化処理を行う場合、電極の外表面の全域に酸化膜を具える電極や、外表面の所望の領域にのみ酸化膜を具える電極を容易に製造できる。
[点火プラグ]
本発明の点火プラグ用電極(上記特定の酸化膜を具えるものでも具えていないものでもよい)は、自動車のエンジンといった内燃機関において、点火に利用する点火プラグの構成部材として好適に利用できる。本発明の点火プラグは、代表的には、絶縁碍子と、この絶縁碍子を保持する主体金具と、上記絶縁碍子内に保持され、上記絶縁碍子の先端から一部が突出された中心電極と、上記主体金具の先端側の面に一端を溶接され、他端が中心電極の端面に対向するように設けられた接地電極と、上記絶縁碍子の後端に設けられた端子金具とを具えるものが挙げられる。公知の点火プラグの電極に代えて、本発明の点火プラグ用電極を利用できる。
[試験例]
一般的な自動車のガソリンエンジンの点火に利用される点火プラグ用電極の材料として、ニッケル合金からなる線材(電極材料)を複数作製し、その特性を評価した。
各線材は、以下のように作製した。通常の真空溶解炉を用いて、表1に示す組成(単位は質量%。Si/Crは質量比)のニッケル合金の溶湯を作製した。溶湯の原料には、市販の純Ni(99.0質量%以上Ni)、各添加元素の粒を用いた。また、不純物や介在物などを低減、除去するために溶湯の精錬を行った。いずれの試料もCが実質的に含有されないように上記精錬具合を調整した(C:0.05質量%以下)。そして、酸素濃度が低くなるように雰囲気を管理して溶解を行い、溶湯温度を適宜調整して真空鋳造を行い、鋳塊(2ton)を得た。
得られた鋳塊を再加熱して鍛造加工を施し、約150mm角のビレットを得た。このビレットに熱間圧延を施し、線径5.5mmφの圧延線材を得た。この圧延線材に冷間伸線及び熱処理を組み合わせて施し、線径2.5mmφと線径4.2mmφの各冷間伸線材(いずれも丸線)を得た。線径2.5mmφの冷間伸線材には、更に圧延加工を施して、1.5mm×2.8mmの断面矩形状となるように変形し、平角線を得た。得られた平角線、及び線径4.2mmφの丸線に最終熱処理(軟化処理、温度:800℃〜1000℃、非酸化性雰囲気(窒素雰囲気又は水素雰囲気)、連続軟化炉使用)を施して、軟材を得た。この軟材を試料:電極材料とする。また、得られた各軟材を適宜な長さに切断した後、所定の形状に適宜成形して、一般的な普通乗用車に用いられている点火プラグ用接地電極(1.5mm×2.8mmの平角線を使用)、点火プラグ用中心電極(線径4.2mmφの丸線を使用)を作製し、試料:電極とする。
<組成>
得られた各試料:電極材料(軟材)の組成を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて調べたところ、表1に示す組成と同様であり、表1に示す添加元素と、残部がNi及び不可避不純物によって構成されていた。また、いずれの試料もNiの含有量が90質量%以上であった(試料No.1〜No.11はNi:97質量%以上)。組成の分析は、ICP発光分光分析法による他、原子吸光光度法などでも行える。表1において「-(ハイフン)」は、検出限界未満であり、実質的に含有されていないことを示す。更に、Yを含む各試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察してエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分析を行って、又は電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて調べたところ、YとNiとの金属間化合物が存在していることが確認できた。
<比抵抗>
作製した各試料:電極材料(軟材)の比抵抗を測定した。その結果を表2に示す。比抵抗(室温)は、電気抵抗測定装置を用いて、直流四端子法により測定した(標点距離GL=100mm)。
<耐酸化性>
作製した各試料について耐高温酸化性を調べた。ここでは、上述した1.5mm×2.8mmの平角線(軟材)を用いた接地電極と、線径4.2mmφの丸線(軟材)を用いた中心電極とを1000℃に昇温した大気炉に挿入し、1時間加熱した後、上記大気炉の外に取り出して30分間空冷し、再度1時間加熱するという操作を加熱時間が合計100時間となるまで繰り返す高温酸化試験を行って、酸化膜の厚さ及び酸化膜の状態を調べた。
上記高温酸化試験後、接地電極の断面を光学顕微鏡で観察し(倍率:50倍〜200倍)、この顕微鏡観察像(写真)を用いて上記接地電極の表面に形成された酸化膜の厚さを測定した。その結果を表2に示す。この試験で作製したニッケル合金からなる各電極はいずれも、図1に示すような二層構造の酸化膜が形成される。具体的には、各電極の酸化膜は、酸化膜の最表面及びその近傍を構成し、添加元素の含有量が多く、Niの含有が少ない表面酸化物層と、表面酸化物層の内部に位置し、Niの含有が多い内部酸化物層とを具える。なお、図1に示す電極は、従来のニッケル合金からなる電極であり、900℃×100時間の条件で上記高温酸化試験を行った説明用サンプルである。この試験では、内部酸化物層及び表面酸化物層のそれぞれの厚さを測定した。内部酸化物層の厚さは、ニッケル合金から構成される基材領域と内部酸化物層との境界から、内部酸化物層と表面酸化物層との境界までの平均厚さ、表面酸化物層は、上述の両酸化物層の境界から酸化膜の最表面までの平均厚さを測定した。平均厚さは、上記顕微鏡観察像に画像処理などを施すことで容易に求められる。電極を構成する基材内部への酸素の侵入度合いが少ないほど、内部酸化物層が薄く、内部酸化し難いと言える。なお、中心電極については接地電極と同様の傾向であったため、結果を記載していない。
ここでは、上記表面酸化物層及び内部酸化物層の合計厚さが200μm未満であるものを耐高温酸化性に優れるとして○、上記合計厚さが170μm未満で、酸化膜に膨張や亀裂がほとんど無いものを耐高温酸化性に特に優れるとして◎と評価し、表2に耐高温酸化性の評価結果も示す。酸化膜に膨張や亀裂、剥離があったものはその旨を記載した。
<平均結晶粒径>
上述の高温酸化試験後の各試料:電極について、平均結晶粒径を調べた。その結果を表2に示す。ここでは、接地電極の断面を光学顕微鏡(倍率:50倍〜200倍)で観察し、この顕微鏡観察像(写真)に対して、交線法(ライン法)を利用して平均結晶粒径を算出した。
<耐火花消耗性>
作製した各試料:電極材料(軟材)にインパルスを照射して、消耗状態を調べた。ここでは、インパルス試験装置を利用して、周波数:10/350μsの長波(インパルス波形において、立ち上がりからピーク値となるまでの時間:10μs、立ち上がりからピーク値を過ぎて、ピーク値の50%の値に減衰するまでの時間:350μs)、出力:数kVのインパルスを試料に照射し、このインパルスをエンジンの着火時の火花の模擬とした。インパルスの照射後に各試料に生じた凹みの最大深さ(消費量)を測定する。そして、試料No.101の消費量をC101、市販のインコネル600(Inconel:登録商標)からなる平角線を用いて別途作製した比較試料の消費量をCInc、測定する試料の消費量をCSとするとき、式I:CS>{(3×C101+1×CInc)/4}を満たし、かつ、比抵抗(室温)が25μΩ・cm以下のものを耐火花消耗性に優れるとして○、上記式Iを満たさない又は比抵抗(室温)が25μΩ・cm超のものを耐火花消耗性に劣るとして×と評価した。評価結果を表2に示す。
<耐発汗性>
作製した各試料:電極材料(軟材)について耐発汗性を調べた。ここでは、上述した1.5mm×2.8mmの平角線(軟材)にエンジンオイルを塗布し、この平角線を雰囲気制御が行える環状の加熱炉にセットする。そして、一般的な自動車のガソリンエンジンにおける燃焼温度(900℃〜1000℃程度)よりも100℃程度燃焼温度が高くなるように上記加熱炉を1100℃まで加熱し、試験用のガソリンエンジン(排気量2000cc、6気筒)から排出される排ガスを上記加熱炉内に流しながらエンジン内を模擬した雰囲気で試料を合計60時間保持する。この保持によってエンジンオイルを燃焼させることで、各試料は、燃焼炎に曝されて試料表面に燃焼による生成物(化合物)が付着される。この加熱後の各試料の表面をSEM観察、及びEPMA観察して、生成物(化合物)の存在状態を調べた。
上記観察の結果、大きな化合物粒が存在して試料が大きく膨れていたり、全面的に化合物粒が発生したりしているものを耐発汗性に劣るとして×、化合物粒の発生が軽微であるものを耐発汗性に優れるとして○、化合物粒の発生がほとんど見られないものを耐発汗性に特に優れるとして◎と評価し、表2に評価結果を示す。
<耐腐食性>
作製した各試料:電極材料(軟材)について耐腐食性を調べた。ここで、本発明者らは、ガソリンエンジンを具える自動車(実用車)を実際に使用して、試料とした点火プラグの電極の腐食状態を調べ、この腐食状態の再現試験を種々検討した結果、高温で酸化して酸化膜を形成した後、酸水溶液(硝酸、リン酸、硫酸などの水溶液)を腐食液とし、この腐食液に浸漬すると、上述の自動車に実際に使用した試料の腐食状態に非常に近い状態になる、との知見を得た。また、塩化ナトリウム(NaCl)を含む酸水溶液を腐食液に利用すると、腐食を促進できて腐食試験の時間の短縮を図ることができる。そこで、高温酸化⇒NaCl+酸水溶液への浸漬、という工程を具える試験方法を耐腐食性試験として採用する。具体的な条件は、高温酸化条件は、大気雰囲気、900℃×24時間とし(加熱炉として大気炉を使用)、腐食液は、硝酸及びリン酸を含むNaCl水溶液を用意した。ここでは、質量割合で、硝酸:リン酸:5質量%塩化ナトリウム水溶液=5:5:90となるように、硝酸、リン酸、NaCl水溶液を用意して混合し、腐食液を作製した。この腐食液を80℃に加熱した状態にして試料を浸漬し、所定時間保持した。保持時間は、3時間〜15時間の範囲から選択した。所定の保持時間浸漬後、試料を水洗してからクロスセクションポリッシャ(CP)断面をとって、断面積の減少度合いを調べた。具体的には、断面積の減少量(%)={(耐腐食性試験前の断面積−耐腐食性試験後の断面積)/耐腐食性試験前の断面積)}×100を求め、減少量が5%未満のものを耐腐食性に特に優れるとして◎、減少量が5%以上10%未満のものを耐腐食性に優れるとして○、減少量が10%以上のものを耐腐食性に劣るとして△と評価し、表2に評価結果を示す。
更に、上述の耐腐食性試験を行った後、耐腐食性に優れるとの結果が得られた試料を検討した結果、上述の高温酸化試験後の酸化膜の状態と耐腐食性との間に関連がある、と知見を得た。そこで、上述の耐腐食性試験における高温酸化工程後において、酸化膜の状態を調べた。その結果を表3に示す。ここでは、表面酸化物層の厚さ、内部酸化物層の厚さ、及び両酸化物層の合計厚さ(いずれもμm)、内部酸化物層の厚さに対する表面酸化物層の厚さの比:厚さ比率(%)を調べた。各厚さは、上述の高温酸化試験の場合と同様にして測定した。
表2に示すように、Al,Si,Cr,Y及びTiを特定の範囲で含有し、かつSi/Cr≧1を満たす特定の組成から構成された試料No.1〜No.11は、1000℃、又はそれ以上といった高温であっても耐酸化性に優れることが分かる。具体的には、試料No.1〜No.11はいずれも、内部酸化物層が十分に存在し、かつ過剰に厚くなく(ここでは1000℃×100時間後の厚さ:70μm以上140μm未満)、更に試料No.1〜No.10は、酸化膜の膨張、亀裂、剥離が実質的に生じていない。この理由の一つは、Al及びSiの双方を比較的少なめに含有すると共にCrやTiを適切に含有しているためである、と考えられる。また、試料No.1〜No.11はいずれも、上述のような高温に長時間曝されても結晶粒が300μm以下と微細である。この試験では、平均結晶粒径が150μm以下の試料が多く、100μm以下の試料も存在する。この理由の一つは、Yを適量含有したためであると考えられる。
かつ、上述の特定の組成から構成された試料No.1〜No.11は、腐食液に浸漬されても腐食され難く、腐食液に対する耐性:耐腐食性にも優れることが分かる。また、表3に示すように試料No.1〜No.11は、高温酸化(ここでは900℃×24時間)後における酸化膜が、(A)厚さ比率:16%超173%未満、(B)表面酸化物層の厚さ:15μm超57μm未満、(C)内部酸化物層の厚さ:33μm超80μm未満、及び(D)合計厚さ:48μm超90μm未満の少なくとも一つを満たすことが分かる。このことから、上記高温酸化後において酸化膜が上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす場合、耐腐食性に優れるといえる。また、このような電極材料から構成された電極は、経時的使用によって、その表面に酸化膜が形成されて、耐腐食性に優れると期待される。
更に、上述の耐腐食性試験における高温酸化処理を、(A)厚さ比率:16%超173%未満、(B)表面酸化物層の厚さ:15μm超57μm未満、(C)内部酸化物層の厚さ:33μm超80μm未満、及び(D)合計厚さ:48μm超90μm未満の少なくとも一つを満たす酸化膜を予め形成するための酸化処理と読み替えた場合を考える。この場合、上記高温酸化処理が施されて上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす特定の酸化膜を具える電極材料は、表3に示すように腐食液に接触しても腐食し難いといえる。このことから、予め酸化処理によって、上述の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす酸化膜を形成し、この酸化膜を具える電極材料や電極は、耐腐食性に優れるといえる。また、この試験では、酸化処理の保持時間が24時間であり、上述の耐高温酸化性試験の条件に比較して酸化膜の形成時間が短い。そのため、このように酸化膜を形成する場合でも生産性に優れるといえる。
また、試料No.1〜No.11はいずれも、比抵抗が25μΩ・cm以下と小さいことが分かる。この理由の一つは、AlやSi、Crを過剰に含有していないためであると考えられる。特に、Crが少ないほど、比抵抗が小さくなる傾向にあることが分かる。更に、試料No.1〜No.11は、比抵抗が小さいことからインパルスによる消耗も小さく、耐火花消耗性に優れると考えられる。加えて、試料No.1〜No.11はいずれも、化合物粒が発生し難いことが分かる。この理由の一つは、Al,Si及びCr、適宜Mnを含有することで、雰囲気中の元素と、合金母相のNiとが低融点の化合物を生成することを抑制できたためであると考えられる。
一方、上述の特定の組成ではない試料No.101〜No.106は、添加元素が少ないことで内部酸化物層が厚くなり過ぎたり、添加元素が多いことで比抵抗が大きかったり、その他、酸化膜に膨張・亀裂・剥離が生じたり、化合物粒が過度に発生したり、腐食液によって腐食し易かったりすることが分かる。なお、試料No.11は、1000℃×100Hの高温酸化試験において軽微な膨張や亀裂が存在したものの、実際の自動車の使用状態により近い状態で酸化膜が形成された場合には、上述のように耐腐食性に優れており、問題なく使用できると期待される。
上記試験結果から、Al,Si,Cr,Y及びTi、適宜Mnを特定の範囲で含有し、かつSi/Cr≧1を満たす電極材料は、高温でも酸化し難く、比抵抗が小さく、化合物粒が発生し難い上に、腐食液に対する耐性にも優れることが確認された。従って、この電極材料から作製された点火プラグ用電極やこの電極を具える点火プラグは、酸化膜(特に、内部酸化物層)が事後的に適切に生成される上に、生成された酸化膜の膨張、亀裂、剥離が生じ難い場合が多く、密着性にも優れ、比抵抗も小さくて火花による消耗が少なく、上述の化合物粒が形成・成長され難く、かつ、使用時に生成された腐食液に浸漬され得る場合でも腐食し難い。また、上述の特定の元素を特定の範囲で含有するニッケル合金から構成され、かつ上述の特定の厚さ比率や厚さを満たす酸化膜を具える電極材料や、この電極材料から製造された点火プラグ用電極、上記酸化膜を具える点火プラグ用電極を具える点火プラグは、この酸化膜の存在によって使用初期から経時的使用に亘って、上記腐食液に浸漬され得る場合でも腐食し難い。更に、上記点火プラグ用電極は上述の特定の組成のニッケル合金から構成されることで、この電極を構成する合金基材と上記酸化膜との密着性に優れ、合金基材から剥離し難い。このことからも、上記点火プラグ用電極は、使用初期から長期に亘り、耐腐食性に優れる。
そのため、上記点火プラグ用電極や点火プラグは、従来よりも更に温度が高い環境(例えば、従来温度+100℃程度の超高温環境)であったり、EGRやアイドリングストップなどが行われる使用環境であったりしても、長期に亘り、良好に使用できると期待される。また、酸化膜を具える点火プラグ用電極やこの電極を具える点火プラグは、めっき処理などの別工程を省略した場合でも、使用初期から長期に亘り、良好に使用できると期待される。
また、上記試験結果から、上述の特定の耐腐食性試験を行って耐腐食性を評価するにあたり、高温酸化(好ましくは900℃×24時間)を行った後の酸化膜が多層構造であって特定の状態になっているかを確認することで、耐腐食性の良否を判断でき、更に、上述の特定の腐食液を用いて浸漬を行った後の腐食状態を確認することで、耐腐食性の良否をより的確に判断できると期待される。
なお、上述の特定の耐腐食性試験は、以下のように条件を変更することができる。例えば、高温酸化工程における加熱温度は、800℃以上1100℃以下が挙げられる。加熱温度が高いほど、酸化膜が厚くなる傾向にあり、過剰な酸化膜は腐食液の浸透を阻害する恐れがあることから、900℃以上1000℃以下がより好ましい。
高温酸化工程の雰囲気は、上述のように大気雰囲気とすると、雰囲気の制御が容易である上に、酸素濃度が比較的高いことで酸化膜を短時間で形成可能である。その結果、試験時間を短縮できて作業性に優れる。大気よりも酸素濃度が低い低酸化性雰囲気、例えば、酸素濃度が0.01体積%以上20体積%以下の雰囲気とすることができる。自動車のガソリンエンジンなどの内燃機関では、燃焼ガスなどの雰囲気は、通常、大気中よりも酸素濃度が低い(20体積%以下)。従って、上記低酸化性雰囲気は、実際の使用環境により近い状態を模擬した条件であると考えられる。酸素以外の雰囲気ガスは、窒素やアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが挙げられる。低酸化性雰囲気の構成ガスは、酸素ガスと上記不活性ガスとを混合した混合ガス、酸素ガスと大気とを混合した混合ガスなどが挙げられる。
上記加熱温度の保持時間は、酸化膜の形成が十分に可能な時間、例えば、1時間以上が挙げられる。雰囲気の酸素濃度が一定である場合、加熱温度が高いほど、又は保持時間が長いほど、酸化膜が厚くなる傾向にある。酸化膜が厚過ぎると、上述のように腐食液の浸透が十分に行われない恐れがある。従って、保持時間は、大気雰囲気とする場合、1時間以上100時間以下が好ましく、更に1時間以上72時間以下、特に2時間以上24時間以下がより好ましい。酸素濃度が低いほど、酸化膜の形成に時間がかかる傾向にあることから、上述の低酸化性雰囲気とする場合、大気雰囲気の場合よりも保持時間を長くすることが好ましく、2時間以上200時間以下、更に3時間以上、特に10時間以上100時間以下が好ましい。上述の加熱温度、雰囲気(酸素濃度)、及び保持時間は、相互に関連することから相互の条件を考慮して調整する。
腐食液への浸漬工程で利用する腐食液は、上述のように腐食を加速できるように塩化物イオン(Cl-)を含有する水溶液、代表的には塩化ナトリウム(NaCl)水溶液が好ましい。NaCl水溶液におけるNaClの濃度(質量割合)は、1%以上10%以下とすると、NaCl自体が腐食の主要因になり難いと考えられる。
また、腐食液は、酸を含むものとする。具体的には、上述の硝酸、硫酸、リン酸、及び塩酸の少なくとも一種の酸を含むことが好ましい。単一の酸とすると、準備や濃度の調整が容易であり、複数種の酸を組み合せて用いると、実際の使用環境で生成され得る腐食液により近い条件になると期待される。
上記酸の濃度は、例えば、腐食液の全体質量を100とするとき、NaCl水溶液の質量:酸の質量=50:50〜99:1程度が挙げられる。この割合の範囲では、比較的短時間(2時間〜48時間程度)の浸漬によって、十分に腐食できると期待される。また、腐食液の温度は、室温(20℃〜25℃程度)でもよいが、50℃〜80℃程度にすると、腐食をより促進でき、浸漬時間を更に短縮できる。
浸漬時間は、浸漬対象(電極材料)の材質、腐食液の組成(酸濃度、NaCl濃度)、温度などに応じて適宜選択することができる。浸漬対象が本発明の電極材料のようにニッケル合金から構成される場合、浸漬時間は、2時間以上48時間以下程度が適切である。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。例えば、電極材料の組成、形状、大きさなどを適宜変更することができる。また、接地電極と中心電極とで組成を異ならせることもできる。
本発明の電極材料は、自動車(代表的には、四輪車、二輪車)のエンジンといった種々の内燃機関の点火プラグ用電極の構成材料に好適に利用することができる。本発明の点火プラグ用電極は、上記点火プラグの構成部品に好適に利用することができる。本発明の点火プラグは、上記内燃機関の点火用部材に好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. 質量%で、
    Alを0.005%以上0.2%以下、
    Siを0.2%以上1.6%以下、
    Crを0.05%以上1.0%以下、
    Tiを0.05%以上0.5%以下、
    Yを0.2%以上1.0%以下含有し、残部がNi及び不可避不純物からなり、
    質量比でSi/Cr≧1を満たす電極材料。
  2. 更に、質量%で、Mnを0.05%以上0.5%以下含有する請求項1に記載の電極材料。
  3. 質量%で、Yを0.3%超含有する請求項1又は2に記載の電極材料。
  4. 更に、質量%で、Bを0%超0.05%以下含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極材料。
  5. 前記電極材料の室温での比抵抗が25μΩ・cm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極材料。
  6. 前記電極材料を1000℃×100時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の平均結晶粒径が300μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極材料。
  7. 前記電極材料を900℃×24時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の表面に酸化膜が形成されており、
    前記酸化膜は、内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造であり、かつ以下の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極材料。
    (A) 前記内部酸化物層の厚さに対する前記表面酸化物層の厚さの比が16%超173%未満
    (B) 前記表面酸化物層の厚さが15μm超57μm未満
    (C) 前記内部酸化物層の厚さが33μm超80μm未満
    (D) 前記表面酸化物層と前記内部酸化物層との合計厚さが48μm超90μm未満
  8. 前記電極材料の表面の少なくとも一部に酸化膜を具え、
    前記酸化膜は、内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造であり、かつ以下の(A)〜(D)の少なくとも一つを満たす請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極材料。
    (A) 前記内部酸化物層の厚さに対する前記表面酸化物層の厚さの比が16%超173%未満
    (B) 前記表面酸化物層の厚さが15μm超57μm未満
    (C) 前記内部酸化物層の厚さが33μm超80μm未満
    (D) 前記表面酸化物層と前記内部酸化物層との合計厚さが48μm超90μm未満
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極材料から構成された点火プラグ用電極。
  10. 請求項9に記載の点火プラグ用電極を具える点火プラグ。
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