JP2014027902A5 - - Google Patents
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Description
この発明は、育苗方法の技術分野に属する。
寒冷地等で乳苗又は稚苗の状態まで育苗することにより育苗期間の短縮を図る技術がある。その際、確実に苗を育苗するべく、密播状態で播種する技術が知られている。
本発明は、育苗した苗を圃場の移植機へ運搬する運搬作業、移植機において苗を苗載台へ補給する苗補給作業、苗を取り出した後の空の苗箱を回収する回収作業等の作業の省力化を図り、低コストで農業が行えるシステムを構築することを課題とする。
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、内部の面積が1800平方センチメートル以下の育苗箱(2)にケイ酸成分を有する培土を床土詰めし、1箱当たり180g以上の種籾を播種し、覆土し、育苗する育苗方法とした。
すなわち、請求項1に係る発明は、内部の面積が1800平方センチメートル以下の育苗箱(2)にケイ酸成分を有する培土を床土詰めし、1箱当たり180g以上の種籾を播種し、覆土し、育苗する育苗方法とした。
また、請求項2に係る発明は、播種する際、種籾の向きを揃えて播種する請求項1に記載の育苗方法とした。
また、請求項3に係る発明は、播種された種籾を培土に押し付けた後、覆土する請求項2に記載の育苗方法とした。
また、請求項3に係る発明は、播種された種籾を培土に押し付けた後、覆土する請求項2に記載の育苗方法とした。
また、請求項4に係る発明は、育苗箱(2)に窒素成分量が0.25g/kg以下の培土を床土詰めし、播種し、窒素成分量が0.25g/kg以上で且つ肥料分が0.4g/kg以上で且つ肥料の一部にコーティングが施された粒状肥料を有する培土を覆土する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の育苗方法とした。
また、請求項5に係る発明は、育苗箱(2)に培土を床土詰めし、種籾を上下に重ならないように育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種し、覆土し、育苗期間が11〜18日で苗丈が10〜12cmになるまで育苗する育苗方法とした。
請求項1に係る発明によると、育苗箱(2)の略全面に種籾を敷き詰めるべく播種でき、密播により苗本数を最大限に得ることができるので、圃場への移植に要する苗の枚数を低減させることができ、省力化及び低コスト化が図れる。しかも、床土にケイ酸成分を有しているので、発根量を増大させることができ、育苗期間が短くてもマット苗の床部の強度を得ることができる。
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、種籾を上下に重ならないように効率良く育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種でき、密播度合を高めることができる。
請求項3に係る発明によると、請求項2に係る発明の効果に加えて、播種した種籾が育苗箱(2)上で転がって種籾の向きが変化することを抑え、より確実に種籾を上下に重ならないように効率良く育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種できる。
請求項4に係る発明によると、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明の効果に加えて、覆土よりも床土の肥料分が少ないので、床土部分で発根を促進でき、育苗期間が短くても所望のマット苗を形成することができる。そして、コーティングが施された粒状肥料により、徐々に肥効を効かせることができ、発芽率の低下を防止すると共に育苗期間が長くても良好に育苗できる。
請求項5に係る発明によると、種籾を上下に重ならないように育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種でき、密播度合を高めることができる。また、育苗期間が11〜18日で苗丈が10〜12cmになって乳苗と稚苗の中間あたりの苗を育苗でき、移植機での移植に適した苗丈で移植適応性が向上する。
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
育苗方法としては、矩形の一般的な水稲用の育苗箱(内部寸法:縦580mm、横280mm)(2)を使用し、この育苗箱(2)にケイ酸成分を有する培土を床土として10〜18mmの厚みで詰め、1箱当たり180g以上の種籾を播種し、育苗箱(2)の上端まで覆土する。この床土詰め、播種及び覆土の作業は、後述する播種機(1)により行ってもよいが、手作業にて行ってもよい。床土となる培土は、窒素成分量が0.25g/kg以下に抑えられている。また、覆土となる培土は、窒素成分量が0.25g/kg以上で且つ肥料分が0.4g/kg以上で且つ肥料の一部にコーティングが施された粒状肥料を有している。尚、コーティングが施された粒状肥料は、肥料分0.4g/kgを越える一部の肥料のみとすることが望ましい。
育苗方法としては、矩形の一般的な水稲用の育苗箱(内部寸法:縦580mm、横280mm)(2)を使用し、この育苗箱(2)にケイ酸成分を有する培土を床土として10〜18mmの厚みで詰め、1箱当たり180g以上の種籾を播種し、育苗箱(2)の上端まで覆土する。この床土詰め、播種及び覆土の作業は、後述する播種機(1)により行ってもよいが、手作業にて行ってもよい。床土となる培土は、窒素成分量が0.25g/kg以下に抑えられている。また、覆土となる培土は、窒素成分量が0.25g/kg以上で且つ肥料分が0.4g/kg以上で且つ肥料の一部にコーティングが施された粒状肥料を有している。尚、コーティングが施された粒状肥料は、肥料分0.4g/kgを越える一部の肥料のみとすることが望ましい。
そして、播種及び覆土された育苗箱(2)は、環境制御された育苗室内で7〜10日間育苗され、乳苗が得られる。尚、密播しているにも拘らず育苗期間が長いと、苗の品質が低下するおそれがあるので、育苗期間は比較的短期間であることが望ましい。尚、床土にケイ酸成分を有しているので、発根量を増大させることができ、育苗期間が短くてもマット苗の床部の強度を得ることができると共に、苗丈に対応する乾物重量の増大を図ることができ、育苗の充実度が向上する。
また、育苗期間を11〜18日にすれば、苗丈が10〜12cm程度になって乳苗と稚苗の中間あたりの苗を育苗でき、移植機での移植に適した苗丈で移植適応性が向上すると共に、根張りによりマット苗の床部の強度を得ることができる。
また、育苗室に限らず、圃場等の屋外で育苗してもよい。また、水が貯留されたプールに育苗箱(2)を入れて底面灌水させるプール育苗を行ってもよい。プール育苗では、根張りの促進が図れ、マット苗の床部の強度を得ることができる。
また、床土として、ピートモス又は椰子殻を容積比で50%以上含む軽量培土を用いれば、根張りの促進が図れる。
育苗箱(2)1箱当たり180g以上の多量の種籾を播種すると、種籾が上下に重なってしまうことが考えられる。そこで、種籾の長手方向(長径部)が育苗箱(2)の長手方向に向くべく、種籾の向きを揃えて育苗箱(2)へ播種すれば、種籾を上下に重ならないように効率良く育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種でき、密播度合を高めることができ、発芽不良を防止して良好な育苗が行える。そして、播種した種籾が育苗箱(2)上で転がって種籾の向きが変化することを抑えるべく、覆土前となる播種直後に種籾を床土に軽く押し付けることが望ましい。これにより、種籾が床土に少し埋められ、育苗箱(2)上で種籾が転がることが防止される。尚、押付ローラを育苗箱(2)上で転がせながら種籾を押し付ければよい。更に、覆土が粒状培土であれば、播種した種籾の移動を防止できると共に、覆土後の灌水における通水性も良い。また、床土として仮比重0.8以下の軽量培土を使用すれば、播種時に種籾が床土上でバウンドしにくくなり、種籾の向きが変化することを抑える。
育苗箱(2)1箱当たり180g以上の多量の種籾を播種すると、種籾が上下に重なってしまうことが考えられる。そこで、種籾の長手方向(長径部)が育苗箱(2)の長手方向に向くべく、種籾の向きを揃えて育苗箱(2)へ播種すれば、種籾を上下に重ならないように効率良く育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種でき、密播度合を高めることができ、発芽不良を防止して良好な育苗が行える。そして、播種した種籾が育苗箱(2)上で転がって種籾の向きが変化することを抑えるべく、覆土前となる播種直後に種籾を床土に軽く押し付けることが望ましい。これにより、種籾が床土に少し埋められ、育苗箱(2)上で種籾が転がることが防止される。尚、押付ローラを育苗箱(2)上で転がせながら種籾を押し付ければよい。更に、覆土が粒状培土であれば、播種した種籾の移動を防止できると共に、覆土後の灌水における通水性も良い。また、床土として仮比重0.8以下の軽量培土を使用すれば、播種時に種籾が床土上でバウンドしにくくなり、種籾の向きが変化することを抑える。
ところで、苗載台上のマット状の苗の端部を受ける苗受枠を設け、苗受枠に苗取出口を設け、苗載台を苗受枠に沿って左右移動させる左右移動装置を設け、苗載台が左右移動端に到達すると苗載台上のマット状の苗を苗受枠側に移送する苗移送装置を設け、左右移動装置及び苗移送装置を作動させることにより苗取出口へ順次一株分ずつの苗を供給する構成とし、苗取出口から順次一株分ずつ苗を取って圃場に植える苗植付装置を設けた移植機(田植機)において、1回当たりの苗移送装置の移送量を6〜8.5mmに設定し、苗移送装置の苗の全長で苗を移送する移送回数(B)を66回以上確保すれば、圃場への移植に要する苗の枚数を40%以上低減させることができる。具体的には、圃場1反(10アール)当たり約6枚の苗で移植できる。尚、移植機において苗取量調節レバーを操作することにより、苗受枠の上下位置を調節して苗植付装置が取る苗の量(苗取量)を変更する構成となっているが、苗取量調節レバーと苗受枠の間の連繋を切り替え、苗取量調節レバーにより微小な苗取量でも適宜調節できる構成とすることが望ましい。
また、左右移動装置によりマット状の苗の左右全幅で一株分の苗を供給する移動回数(A)は、24〜28回とするのが望ましい。尚、この移動回数(A)及び移送回数(B)の設定により、一株分で苗の本数は3〜5本になる。また、播種量を育苗箱(2)1箱当たり220gに設定し、育苗期間を20〜25日間として稚苗を育苗し、圃場へ移植してもよい。
次に、育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(X)を演算して表示する播種量表示装置について説明する。この播種量表示装置は、移動回数(A)と、移送回数(B)と、一株当たりの所望の苗の本数(C)と、種籾の単位粒数(1000粒)当たりの重量(e)を入力する構成となっている。移動回数(A)と移送回数(B)と苗の本数(C)を乗じた値(A×B×C)により、苗1枚当たり必要な苗の総本数が得られる。但し、播種した種籾のうちの一部は発芽せず又は発芽しても苗にまで成長しないことがあるので、播種した種籾から成長した苗が得られる割合である苗立ち率(d)を予め設定しておき、前記の乗じた値を苗立ち率(d)で除した値(A×B×C÷d)を必要な苗の総本数(M)とする。尚、移送回数(B)に代えて、苗移送装置の移送量(b)を入力し、苗の長手方向の全長(580mm)を移送量(b)で除した値から移送回数(B)を得る構成としてもよい。この際、苗移送装置の苗移送ベルトのスリップ等を考慮して、補正値(b’)を減じた移送量(b−b’)に基づいて演算する構成としてもよい。
また、播種する種籾は、催芽処理が施されており、水分を吸水して重量が増大するので、催芽したときに種籾が水分を吸水して重量が増大する状態の増大重量率(f)を予め設定する。そして、前述の苗の総本数(M)に種籾の単位粒数(1000粒)当たりの重量(e)と増大重量率(f)を乗じ、前記単位粒数(1000粒)を除した値(M×e×f÷1000)を、育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(X)とする。
以上の演算を演算式にまとめると、X=(A×B×C×e×f)/(d×1000)となる。具体例を示すと、移動回数(A)=28、移送回数(B)=64.4、苗の本数(C)=3.5、苗立ち率(d)=0.95、重量(e)=30g、増大重量率(f)=1.25としたとき、育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(播種量)(X)は、(28×64.4×3.5×30×1.25)/(0.95×1000)=約249gとなる。
この播種量表示装置を携帯型のものとし、播種量表示装置の入力スイッチにより、移動回数(A)と、移送回数(B)と、一株当たりの所望の苗の本数(C)と、種籾の単位粒数(1000粒)当たりの重量(e)を入力するだけで、播種量表示装置のコントローラが演算し、表示画面に育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(播種量)(X)が表示される構成とする。これにより、作業者は、最適な播種量を容易に認識でき、播種量の不足で圃場での移植時に植付欠株が発生することを防止すると共に、過度の密播により育苗が不適正になることを防止でき、播種精度の向上が図れる。この播種量表示装置は、携帯型にする他、後述する播種機(1)に装備させたり、移植機に装備させたりすることができる。
次に、床土詰め、播種及び覆土の作業を行う播種機(1)について説明する。播種機(1)は、育苗箱(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)上に支持され該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に、上下に複数枚に積み重ねられた育苗箱(2)を下側から順に繰り出して搬送経路(3)上に供給する育苗箱供給装置(4)と、育苗箱(2)に床土を詰める床土詰装置(6)と、床土を詰めた育苗箱(2)に灌水する灌水装置(29)と、育苗箱(2)に播種する播種装置(7)と、育苗箱(2)に覆土する覆土装置(8)を設けている。尚、育苗箱供給装置(4)及び床土詰装置(6)及び播種装置(7)及び覆土装置(8)の各々の装置は、他の装置と独立して単独で設置できるように前後左右計4本の脚部(9,10)で支持されている。尚、覆土装置(8)の前側の左右の脚部(10)には上下に回動するアーム(11)を介して該脚部(10)の下端より下方に突出させることができる車輪(12)を各々取り付けており、該車輪(12)を下方に突出させ播種機(1)を持ち上げて他の脚部(9)を地面から浮かせることにより、播種機(1)を容易に移動させることができる。
搬送経路(3)は、左右の搬送ガイド(15)で構成され、この左右の搬送ガイド(15)の間で長手方向を前後に向けた育苗箱(2)を搬送する構成となっている。搬送経路(3)には、駆動するコンベアとして、ベルト式の育苗箱搬送コンベアである育苗箱供給部搬送コンベア(16)及び床土詰部搬送コンベア(17)と、ローラ式の育苗箱搬送コンベアである播種部搬送コンベア(18)及び覆土部搬送コンベア(28)を備えている。そして、非駆動でフリーで回転するローラ式のコンベアとして、育苗箱供給部搬送コンベア(16)と床土詰部搬送コンベア(17)の間に床土詰前コンベア(62)を設け、床土詰部搬送コンベア(17)と播種部搬送コンベア(18)の間に灌水部コンベア(63)を設け、播種部搬送コンベア(18)と覆土部搬送コンベア(28)の間に覆土前コンベア(64)を設け、覆土部搬送コンベア(28)の後側に育苗箱取出コンベア(75)を設けている。
育苗箱供給装置(4)は、上下に複数枚に積み重ねられた育苗箱群を下側から受ける下受板(34)と、前記育苗箱群の下から2枚目の育苗箱(2)を下側から受ける上受板(35)と、育苗箱群の最下位の育苗箱(2)を強制的に下方へ落とす落とし板(36)とを備え、人手等により上受板(35)上に供給された育苗箱群を先ず下受板(34)上に引き継ぎ、上受板(35)で育苗箱群の下から2枚目の育苗箱(2)から上側の育苗箱(2)を支持した状態で下受板(34)による育苗箱群の最下位の育苗箱(2)の支持を解除し、その状態で落とし板(36)が最下位の育苗箱(2)を上側から下方に押して育苗箱群から分離して落下させて繰り出して育苗箱供給部搬送コンベア(16)上に供給し、以下この作動工程を繰り返すことにより育苗箱群の下側の育苗箱(2)から順に育苗箱供給部搬送コンベア(16)上に供給する構成となっている。尚、下受板(34)、上受板(35)及び落とし板(36)は、育苗箱群に作用する各々の部分が前後方向で重複しないように各々育苗箱群の前後左右4箇所に設けられ、育苗箱群の左右外側から作用し、育苗箱供給部搬送コンベア(16)の作動に連動し、育苗箱供給部搬送コンベア(16)上において先に供給した育苗箱(2)と次に供給する育苗箱(2)との間に隙間が生じないように作動する。伝動構成について説明すると、育苗箱供給モータ(94)に設けた出力スプロケット(95)から搬送伝動チェーン(96)及び駆動スプロケット(38)へ伝動し、該駆動スプロケット(38)と一体回転する搬送上手側のローラ(37)を介して育苗箱供給部搬送コンベア(16)を駆動する。そして、駆動スプロケット(38)からチェーン(39)及び従動スプロケット(40)を介して第一のカウンタ軸(41)へ伝動し、該第一のカウンタ軸(41)と一体回転する駆動スプロケット(42)からチェーン(43)、従動スプロケット(44)及び一方向クラッチを介して第二のカウンタ軸(45)へ伝動し、該第二のカウンタ軸(45)の左右両端部に設けた駆動ベベルギヤ(46)から従動ベベルギヤ(47)を介して左右各々の落とし用軸(48)を互いに反対側に駆動回転させる。この落とし用軸(48)と落とし板(36)とが一体回転し、落とし板(36)が左右内側で下側に移行する方向に回転する。また、落とし用軸(48)の他端部からアーム(49,51)及びリンク(50)等を介して落とし用軸(48)の上方に位置する各々の受板用軸(52)を所定角度範囲内で揺動させ、該受板用軸(52)と一体回転する下受板(34)及び上受板(35)を揺動させ、下受板(34)と上受板(35)とを育苗箱群に交互に作用させて、育苗箱群を順次下降させる。また、第二のカウンタ軸(45)を手動で回転させるための手動供給操作具となる手動供給レバー(53)を設けており、該手動供給レバー(53)により作業者が任意に育苗箱供給部搬送コンベア(16)上に育苗箱(2)を落下させて供給することができる。
床土詰装置(6)は、床土となる培土を貯留する床土タンク(54)と、該床土タンク(54)内の床土を所定量ずつ繰り出して育苗箱(2)へ落下させて供給する床土繰出具となる床土繰出ベルト(55)と、育苗箱(2)上で溢れる床土を均す均平具となる均平ブラシ(19)と、育苗箱(2)内に突入して床土を鎮圧する床土鎮圧具となる床土鎮圧ローラ(57)と、床土繰出ベルト(55)上の隙間を調節して床土の繰出量を変更調節する床土量調節具となる床土量調節レバーを備え、床土繰出ベルト(55)が床土を供給する搬送経路(3)上の床土詰位置の搬送下手側に均平ブラシ(19)が位置し、均平ブラシ(19)の搬送下手側に床土鎮圧ローラ(57)が位置する。床土詰装置(6)の伝動構成について説明すると、床土繰出モータ(20)により床土繰出ベルト(55)が駆動し、該床土繰出ベルト(55)から歯車伝動機構を介して均平ブラシ(19)が駆動する。また、床土詰搬送モータ(21)に設けた出力スプロケット(97)から搬送伝動チェーン(59)を介して駆動スプロケット(60)へ伝動し、該駆動スプロケット(60)と一体回転する搬送下手側のローラ(61)により床土詰部搬送コンベア(17)を駆動する。尚、均平ブラシ(19)と床土繰出ベルト(55)とが互いに逆方向に回転するようになっている。尚、床土繰出モータ(20)又は床土詰搬送モータ(21)の一方の駆動で、床土繰出ベルト(55)と均平ブラシ(19)と床土詰部搬送コンベア(17)へ伝動する構成としてもよい。
播種装置(7)は、播種する種子(種籾)を貯留する種子タンク(68)と、該種子タンク(68)内の種子を間欠的に所定量ずつ繰り出して育苗箱(2)へ落下させて播種位置で供給する外周に所定のピッチで複数の繰出溝を備える種子繰出具となる種子繰出ローラ(69)と、該種子繰出ローラ(69)の外周面に接触して該種子繰出ローラ(69)の繰出溝から不適な種子を除去する除去ブラシ(70)と、種子繰出ローラ(69)に臨む種子タンク(68)の出口の隙間を調節して種子繰出ローラ(69)への種子の供給状態を変更調節する種子供給調節具となる種子供給調節ハンドル(72)を備える。よって、該種子供給調節ハンドル(72)で調節される種子タンク(68)の出口から種子繰出ローラ(69)の繰出溝に種子が供給され、種子繰出ローラ(69)の回転により該繰出溝が上方へ移動することにより該繰出溝で所定量の種子を移送し、芒、枝梗が付いた種子や芽の伸び過ぎた種子等の播種に不適な種子を繰出溝から除去し、該繰出溝は種子繰出ローラ(69)の回転により下方へ移動してその下死点位置(播種位置(H))で育苗箱(2)に種子を落下供給する構成となっている。尚、種子繰出ローラ(69)の外周における除去ブラシ(70)から播種位置(H)の間には、繰出溝から種子が落下しないように案内する案内板を設けている。
尚、一般的に種子繰出ローラ(69)の繰出溝は、左右方向(種子繰出ローラ(69)の回転軸心方向)に長い溝で種子繰出ローラ(69)の外周に複数配列された構成となっている。種籾の長手方向(長径部)が育苗箱(2)の長手方向に向くべく、種籾の向きを揃えて育苗箱(2)へ播種する際は、種子繰出ローラ(69)の繰出溝を、前後方向(種子繰出ローラ(69)の回転外周方向)に長い溝で左右に複数配列した構成とすれば、種籾の長手方向(長径部)が繰出溝の方向(前後方向)に沿い、所望の向きで種籾を播種できる。
また、播種直後に種籾を床土に軽く押し付ける際は、押付ローラを播種位置(H)の直後に設け、押付ローラにより種籾を押し付ける構成とすればよい。
播種装置(7)の伝動構成について説明すると、播種モータ(65)に設けた出力スプロケット(66)から繰出伝動チェーン(67)を介して種子繰出ローラ(69)へ伝動され、前記出力スプロケット(66)から第一除去チェーン(73)及び第二除去チェーン(74)を介して除去ブラシ(70)へ伝動され、前記出力スプロケット(66)から搬送伝動チェーン(71)を介して播種部搬送コンベア(18)の搬送下手側のローラ(75)へ伝動し、該搬送下手側のローラ(75)からチェーン(77)を介して搬送上手側のローラ(76)へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ(76)と搬送下手側のローラ(75)の間に、種子繰出ローラ(69)が種子を繰り出して供給する播種位置(H)がある。尚、除去ブラシ(70)及び播種部搬送コンベア(18)と種子繰出ローラ(69)とが互いに逆方向に回転するべく、第一除去チェーン(73)と搬送伝動チェーン(71)を側面視で交差するように巻き掛けている。尚、種子繰出ローラ(69)の外周部において除去ブラシ(70)の位置と播種位置との間には、繰出溝から種子が脱落しないように該繰出溝を覆うガイド体を設けている。
播種装置(7)の伝動構成について説明すると、播種モータ(65)に設けた出力スプロケット(66)から繰出伝動チェーン(67)を介して種子繰出ローラ(69)へ伝動され、前記出力スプロケット(66)から第一除去チェーン(73)及び第二除去チェーン(74)を介して除去ブラシ(70)へ伝動され、前記出力スプロケット(66)から搬送伝動チェーン(71)を介して播種部搬送コンベア(18)の搬送下手側のローラ(75)へ伝動し、該搬送下手側のローラ(75)からチェーン(77)を介して搬送上手側のローラ(76)へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ(76)と搬送下手側のローラ(75)の間に、種子繰出ローラ(69)が種子を繰り出して供給する播種位置(H)がある。尚、除去ブラシ(70)及び播種部搬送コンベア(18)と種子繰出ローラ(69)とが互いに逆方向に回転するべく、第一除去チェーン(73)と搬送伝動チェーン(71)を側面視で交差するように巻き掛けている。尚、種子繰出ローラ(69)の外周部において除去ブラシ(70)の位置と播種位置との間には、繰出溝から種子が脱落しないように該繰出溝を覆うガイド体を設けている。
覆土装置(8)は、覆土となる培土を貯留する覆土タンク(84)と、該覆土タンク(84)内の覆土を所定量ずつ繰り出して育苗箱(2)へ落下させて覆土位置で供給する覆土繰出具となる覆土繰出ベルト(85)と、育苗箱(2)上で溢れる覆土を均す均平具となる均平板(86)と、覆土繰出ベルト(85)上の隙間を調節して覆土の繰出量を変更調節する覆土量調節具となる覆土量調節レバーとを備え、覆土繰出ベルト(85)が覆土を供給する搬送経路(3)上の覆土位置の搬送下手側に均平板(86)が位置する。覆土装置(8)の伝動構成について説明すると、覆土モータ(78)により覆土繰出ベルト(85)が駆動し、覆土モータ(78)に設けた出力スプロケット(79)から搬送伝動チェーン(80)を介して覆土部搬送コンベア(28)の搬送下手側のローラ(81)へ伝動し、該搬送下手側のローラ(81)からチェーン(98)を介して搬送上手側のローラ(82)へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ(82)と搬送下手側のローラ(81)の間に、覆土位置がある。尚、覆土繰出ベルト(85)と覆土部搬送コンベア(28)とが互いに逆方向に回転するべく、搬送伝動チェーン(80)を側面視で交差するように巻き掛けている。
覆土装置(8)の前側の脚部(10)には、育苗箱搬送コンベアを手動で回転させるための操作具となる手動搬送ハンドル(92)をフック(93)を介して保持している。この手動搬送ハンドル(92)により、播種装置(7)で播種をしている途中で故障で播種機(1)が停止したときや播種作業を終了するために播種機(1)を停止させたとき、手動で育苗箱(2)を搬送して該育苗箱(2)を播種機(1)から容易に取り出すことができる。
灌水装置(29)は、灌水部コンベア(63)の上側に設けられ、灌水部コンベア(63)の左右の搬送ガイド(15)から各々立ち上がる左右の支持フレーム(100)を設け、左右に配列される複数のノズルを備える左右に延びる灌水パイプ(99)を、左右の支持フレーム(100)で両持ち支持している。該灌水パイプ(99)すなわち灌水位置は、灌水部コンベア(63)の搬送上手寄りの位置に配置されている。
床土詰前コンベア(62)及び灌水部コンベア(63)及び覆土前コンベア(64)及び育苗箱取出コンベア(75)の各々のコンベアは、左右の搬送ガイド(15)の前後端部で搬送上手側及び搬送下手側の装置に嵌る嵌合部材(101)により、播種機(1)本体に対して独立して個別に着脱可能に設けられている。従って、灌水部コンベア(63)を播種装置(7)と覆土装置(8)の間に組み付けることにより、播種装置(7)と覆土装置(8)の間に灌水装置(29)を配置することができる。あるいは、灌水部コンベア(63)を覆土装置(8)の後側に組み付けることにより、覆土後に灌水する構成とすることもできる。
播種装置(7)と覆土装置(8)の間に灌水装置(29)を配置する際は、灌水装置(29)と覆土装置(8)の間隔が十分に得られるように、覆土前コンベア(64)を灌水部コンベア(63)の後側に組み付けたり、灌水装置(29)の後側に組み付けられる覆土前コンベア(64)を長いコンベアに交換したりすることが望ましい。これにより、床土に吸水性の悪い田土を使用しても、灌水装置(29)の灌水を床土に浸透させることができ、床土の上面の水がひいた状態で覆土できるので、播種した種籾が酸素欠乏状態になりにくく、安定した発芽率が得られる。また、覆土前コンベア(64)を非駆動のローラで構成し、この非駆動のローラを任意の位置に組み付けできる構成とすることにより、覆土前コンベア(64)を伸縮できる構成としてもよい。尚、床土詰装置(6)と播種装置(7)の間に灌水装置(29)を配置する際は、上述と同様の理由から、灌水装置(29)と播種装置(7)の間のコンベアを長くすることが望ましい。
尚、種子タンク(68)の上端の開口より覆土タンク(84)の上端の開口を低位に設け、覆土タンク(84)の上端の開口より床土タンク(54)の上端の開口を低位に設けている。これにより、使用量が多いため作業者が頻繁に床土タンク(54)へスコップで床土を供給しなければならないが、この床土供給作業を低位で容易に行え、次いで供給頻度が高い覆土タンク(84)への覆土供給作業を容易に行える。しかも、種子タンク(68)の上端の開口が高位となるので、床土供給作業又は覆土供給作業を行うとき、誤って種子タンク(68)へ床土又は覆土を供給するようなことを防止でき、土が供給されることで播種装置(7)が故障するようなことを防止できる。
床土タンク(54)は変形可能なゴム製の弾性体(113)を介して支持されており、作業者が床土を供給する度にその重みで揺れる構成となっている。これにより、床土タンク(54)内での床土のブリッジ現象を防止でき、特に水田の土壌等、ブリッジ現象を生じ易い土壌を床土として使用するとき、床土の繰り出しを適正に行える。尚、作業者がスコップ等で床土タンク(54)に触れることで、床土タンク(54)を揺らすこともできる。
また、左右幅がコンベアの左右幅より小さい(30cm未満の)育苗箱(110)に播種作業を行うときは、図1に示すように、コンベアの左右一方側にコンベア搬送方向の適宜間隔で複数の規制ガイド(112)を取り付け、コンベア上の育苗箱(110)の左右位置を規制するようにすればよい。このとき、播種装置(7)で繰り出される種子が前記左右一方側の部分で無駄になるので、この種子を受ける受け容器(111)を播種装置(7)下方で前記左右一方側の位置に配置すればよい。
また、播種機(1)で、一株分ずつに区画されたセルを縦横に配列した苗トレイに播種する際、播種穴開けローラを播種装置(7)の播種位置(H)の前側に設け、播種穴開けローラの外周に播種穴を形成する穴開け突起(120)を各セルに対応して設ける。この穴開け突起(120)は、図例で示すように、下端の平坦面(121)の周囲に傾斜面(122)を備えた形状となっており、床土の上面に形成される播種穴の底面を平坦にすることで種子を播種穴に安定して播種することができる。また、たまねぎの種子等、コーティングされた種子を播種する際、播種された種子のコーティング材を分解する種子割りローラを、播種装置(7)の播種位置(H)の後側に設けることができる。この種子割りローラも、外周に播種された種子のコーティング材を分解する種子割り突起(123)を各セルに対応して設けている。種子割り突起(123)は、穴開け突起(120)と同一の形状となっているので、種子のコーティング材を分解するときの負荷が小さくなり、播種機(1)を高速で作動させたときの振動が抑えられると共に、穴開け突起(120)と共用部品とすることができる。
以上により、この育苗方法は、内部の面積が1800平方センチメートル以下の育苗箱(2)にケイ酸成分を有する培土を床土詰めし、1箱当たり180g以上の種籾を播種し、覆土し、育苗する。よって、育苗箱(2)の略全面に種籾を敷き詰めるべく播種でき、密播により苗本数を最大限に得ることができるので、圃場への移植に要する苗の枚数を低減させることができ、省力化及び低コスト化が図れる。
また、播種する際、種籾の向きを揃えて播種する。よって、種籾を上下に重ならないように効率良く育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種でき、密播度合を高めることができる。
また、播種された種籾を培土に押し付けた後、覆土する。よって、播種した種籾が育苗箱(2)上で転がって種籾の向きが変化することを抑え、より確実に種籾を上下に重ならないように効率良く育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種できる。
また、育苗箱(2)に窒素成分量が0.25g/kg以下の培土を床土詰めし、播種し、窒素成分量が0.25g/kg以上で且つ肥料分が0.4g/kg以上で且つ肥料の一部にコーティングが施された粒状肥料を有する培土を覆土する。よって、覆土よりも床土の肥料分が少ないので、床土部分で発根を促進でき、育苗期間が短くても所望のマット苗を形成することができる。そして、コーティングが施された粒状肥料により、徐々に肥効を効かせることができ、発芽率の低下を防止すると共に育苗期間が長くても良好に育苗できる。
また、播種量表示装置は、苗載台上のマット状の苗の端部を受ける苗受枠を設け、苗受枠に苗取出口を設け、苗載台を苗受枠に沿って左右移動させる左右移動装置を設け、苗載台が左右移動端に到達すると苗載台上のマット状の苗を苗受枠側に移送する苗移送装置を設け、左右移動装置及び苗移送装置を作動させることにより苗取出口へ順次一株分ずつの苗を供給する構成とし、苗取出口から順次一株分ずつ苗を取って圃場に植える苗植付装置を設けた移植機における、左右移動装置によりマット状の苗の左右全幅で一株分の苗を供給する移動回数(A)と、苗移送装置の苗の全長で苗を移送する移送回数(B)と、一株当たりの所望の苗の本数(C)と、種籾の単位粒数当たりの重量(e)から、育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(X)を演算して表示する。よって、表示される育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(X)に基づいて、容易に必要量の種籾を播種することができ、播種量の不足で圃場での移植時に植付欠株が発生することを防止すると共に、過度の密播により育苗が不適正になることを防止でき、播種精度の向上が図れる。
また、播種した種籾から成長した苗が得られる割合である苗立ち率(d)と、催芽したときに種籾が水分を吸水して重量が増大する状態の増大重量率(f)を考慮して、育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(X)を演算して表示する。よって、育苗箱(2)の1箱当たりに必要な種籾の重量(X)を高精度で表示でき、更なる播種精度の向上が図れる。
Claims (5)
- 内部の面積が1800平方センチメートル以下の育苗箱(2)にケイ酸成分を有する培土を床土詰めし、1箱当たり180g以上の種籾を播種し、覆土し、育苗する育苗方法。
- 播種する際、種籾の向きを揃えて播種する請求項1に記載の育苗方法。
- 播種された種籾を培土に押し付けた後、覆土する請求項2に記載の育苗方法。
- 育苗箱(2)に窒素成分量が0.25g/kg以下の培土を床土詰めし、播種し、窒素成分量が0.25g/kg以上で且つ肥料分が0.4g/kg以上で且つ肥料の一部にコーティングが施された粒状肥料を有する培土を覆土する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の育苗方法。
- 育苗箱(2)に培土を床土詰めし、種籾を上下に重ならないように育苗箱(2)の略全面に敷き詰めて播種し、覆土し、育苗期間が11〜18日で苗丈が10〜12cmになるまで育苗する育苗方法。
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