JP2021087363A - 作物苗の栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】移植作業を行う時期まで苗を安定的に成長させ、移植後の分げつ数の低下や根部の活着不良の発生を防止し得る苗の栽培方法を提供すること。【解決手段】培土で移植用の苗の育苗を、所定の期間を超えて継続する必要があるとき、培土に苗の細胞分裂に用いられる核酸物質を水溶液の形で供給し、播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、圃場に苗を移植する予定日の前日、または2〜7日前に、核酸物質の水溶液を培土に供給するか、苗の移植作業時まで行われる灌水作業の度に、培土に核酸物質を供給して苗を栽培するか、育苗した苗を圃場に移植する移植機に、苗の移植作業時に肥料を圃場に供給する施肥装置、薬剤を供給する薬剤供給装置のいずれか、あるいは両方を設け、施肥装置、薬剤供給装置のいずれか、あるいは両方から核酸物質を圃場に供給させる。【選択図】図8
Description
この発明は、水稲や玉ねぎ等の苗の栽培方法の技術分野に属する。
育苗箱に敷設する培土に、種子を高密度に播種して通常よりも多数の苗を育苗する、所謂密播を行う場合に、養分の偏りが生じにくく、且つ苗が養分を吸収しやすいよう、養分の供給位置や成分を調整する方法に関する技術がある(特許文献1参照)
種子が発芽したときは、種子の周囲に存在する養分を吸収して苗が成長し、根部が土中の深部、即ち育苗箱の下部方向に成長すると、育苗箱の下部側に供給された養分を吸収できるようになるので、苗は肥料不足に陥りにくく、安定した成長が可能になる。
しかしながら、苗が移植可能な時期を迎える、播種から14〜20日が経過した際、天候の不良や作業者の都合により、育苗期間が長くなると、苗は培土中の養分を消費してしまい、移植されるまでに養分の不足した、あるいは養分の無い状態で成長を続けてしまう。これにより、苗の細胞分裂が安定的に行われない、即ち代謝が悪くなるので、苗は老化苗となり、移植後に葉部の分げつ数が少ないものとなることや、根部が圃場内に伸びにくく、倒伏や立ち枯れが発生しやすくなる問題がある。
また、上記の分げつ数が減少することにより、苗が成長した際に作物から得られる収穫物の量が低下することや、成長不良の影響による収穫物の品質が低下する問題がある。
本発明は、移植作業を行う時期まで苗を安定的に成長させ、移植後の分げつ数の低下や根部の活着不良の発生を防止し得る苗の栽培方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
請求項1に係る発明は、培土(S)で移植用の苗の育苗を、所定の期間を超えて継続する必要があるとき、培土(S)に苗の細胞分裂に用いられる核酸物質(A)を供給することを特徴とする作物苗の栽培方法とした。
請求項2に係る発明は、前記核酸物質(A)は水溶液とし、播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、圃場に苗を移植する予定日の前日、または2〜7日前に、前記核酸物質(A)の水溶液を培土(S)に供給することを特徴とする請求項1に記載の作物苗の栽培方法とした。
請求項3に係る発明は、前記核酸物質(A)は水溶液とし、播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、苗の移植作業時まで行われる灌水作業の度に、培土(S)に前記核酸物質(A)の水溶液を供給することを特徴とする請求項1に記載の作物苗の栽培方法とした。
請求項4にかかる発明は、育苗した苗を圃場に移植する移植機(300)に、苗の移植作業時に肥料を圃場に供給する施肥装置(310)、薬剤を供給する薬剤供給装置(320,330)のいずれか、あるいは両方を設け、播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、前記施肥装置(310)、薬剤供給装置(320,330)のいずれか、あるいは両方から核酸物質(A)を圃場に供給させることを特徴とする請求項1に記載の作物苗の栽培方法とした。
請求項5に係る発明は、前記核酸物質(A)は、苗を育苗する育苗箱(200)に1つ当たり220〜250g、あるいはそれ以上の種子を播種するとき培土(S)に供給するものとし、前記培土(S)1kgにつき、0.25〜1gの前記核酸物質(A)を含有させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の作物苗の栽培方法とした。
請求項6に係る発明は、前記育苗箱(200)に、培土(S)を床土として敷設し、この床土に種子を播種した後、培土(S)で覆土して育苗環境を構成し、前記核酸物質(A)は、覆土用の培土(S)にのみ含有させることを特徴とする請求項5に記載の作物苗の栽培方法とした。
請求項1の発明により、育苗期間が長くなり、培土(S)中の養分を消費し尽くしたとしても、苗は核酸物質(A)を消費して細胞分裂を行い成長を続けることができる。
これにより、苗の葉部や根部の細胞分裂が滞り、移植後に葉部の分げつが発生しにくくなることや、根部が土中に活着しにくくなることが防止され、苗の立ち枯れや生育不良の発生が防止される。
したがって、苗の成長後に得られる作物の収量が減少することや、作物の品質が低下することが防止される。
請求項2の発明により、請求項1に記載の発明の効果に加えて、核酸物質(A)の水溶液を培土(S)に供給することにより、苗の葉部に妨げられて核酸物質(A)の供給に偏りが生じることを防止できる。
これにより、核酸物質(A)の不足により葉部や根部が成長しにくい苗が発生することや、核酸物質(A)が過剰に供給されたことにより他の苗よりも丈が長く倒伏しやすい苗が発生することが防止される。
請求項3の発明により、請求項1に記載の発明の効果に加えて、核酸物質(A)の水溶液を灌水用の水として使用できるので、灌水作業と核酸物質(A)の供給作業を別々に行う必要が無く、作業者の労力の軽減が図られる。
請求項4の発明により、請求項1に記載の発明の効果に加えて、移植機(300)の苗の植付や施肥、薬剤散布を行いつつ核酸物質(A)の圃場への供給を行えるので、作業時間の短縮や作業者の労力の軽減が図られる。
請求項5の発明により、請求項1から4のいずれか1項の発明の効果に加えて、苗が培土(S)の養分を消費し尽くした後は核酸物質(A)を吸収して成長を続けることができるので、核酸物質(A)を追加で与える作業が不要となり、作業時間の短縮や作業に要する労力の軽減が図られる。
請求項6の発明により、請求項5の発明の効果に加えて、種子を覆う覆土にのみ核酸物質(A)を含有させることにより、苗がある程度成長するまで核酸物質(A)を吸収しにくいので、早いタイミングで核酸物質(A)が消費されることが防止される。
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
まず、図1から図5を用いて、床土詰め、播種及び覆土の作業を行う播種機1について説明する。
播種機1は、育苗箱200を一方向に搬送する搬送経路3を備え、該搬送経路3上に支持され該搬送経路3に沿って該搬送経路3の上手側から順に、上下に複数枚に積み重ねられた育苗箱200を下側から順に繰り出して搬送経路3上に供給する育苗箱供給装置4と、育苗箱200に床土を詰める床土詰装置6と、床土を詰めた育苗箱200に灌水する灌水装置29と、育苗箱200に播種する播種装置7と、育苗箱200に覆土する覆土装置8を設けている。
なお、育苗箱供給装置4及び床土詰装置6及び播種装置7及び覆土装置8の各々の装置は、他の装置と独立して単独で設置できるように前後左右計4本の脚部9,10で支持されている。
また、覆土装置8の前側の左右の脚部10には上下に回動するアーム11を介して該脚部10の下端より下方に突出させることができる車輪12を各々取り付けており、該車輪12を下方に突出させ播種機1を持ち上げて他の脚部9を地面から浮かせることにより、播種機1を容易に移動させることができる。
搬送経路3は、左右の搬送ガイド15で構成され、この左右の搬送ガイド15の間で長手方向を前後に向けた育苗箱200を搬送する構成となっている。搬送経路3には、駆動するコンベアとして、ベルト式の育苗箱搬送コンベアである育苗箱供給部搬送コンベア16及び床土詰部搬送コンベア17と、ローラ式の育苗箱搬送コンベアである播種部搬送コンベア18及び覆土部搬送コンベア28を備えている。
そして、非駆動でフリーで回転するローラ式のコンベアとして、育苗箱供給部搬送コンベア16と床土詰部搬送コンベア17の間に床土詰前コンベア62を設け、床土詰部搬送コンベア17と播種部搬送コンベア18の間に灌水部コンベア63を設け、播種部搬送コンベア18と覆土部搬送コンベア28の間に覆土前コンベア64を設け、覆土部搬送コンベア28の後側に育苗箱送出コンベア88を設けている。
育苗箱供給装置4は、上下に複数枚に積み重ねられた育苗箱群を下側から受ける下受板34と、前記育苗箱群の下から2枚目の育苗箱200を下側から受ける上受板35と、育苗箱群の最下位の育苗箱200を強制的に下方へ落とす落とし板36を備え、人手等により上受板35上に供給された育苗箱群を先ず下受板34上に引き継ぎ、上受板35で育苗箱群の下から2枚目の育苗箱200から上側の育苗箱200を支持した状態で下受板34による育苗箱群の最下位の育苗箱200の支持を解除し、その状態で落とし板36が最下位の育苗箱200を上側から下方に押して育苗箱群から分離して落下させて繰り出して育苗箱供給部搬送コンベア16上に供給し、以下この作動工程を繰り返すことにより育苗箱群の下側の育苗箱200から順に育苗箱供給部搬送コンベア16上に供給する構成としている。
なお、下受板34、上受板35及び落とし板36は、育苗箱群に作用する各々の部分が前後方向で重複しないように各々育苗箱群の前後左右4箇所に設けられ、育苗箱群の左右外側から作用し、育苗箱供給部搬送コンベア16の作動に連動し、育苗箱供給部搬送コンベア16上において先に供給した育苗箱200と次に供給する育苗箱200との間に隙間が生じないように作動する。
前記伝動構成について説明すると、育苗箱供給モータ94に設けた出力スプロケット95から搬送伝動チェーン96及び駆動スプロケット38へ伝動し、該駆動スプロケット38と一体回転する搬送上手側のローラ37を介して育苗箱供給部搬送コンベア16を駆動する。
そして、駆動スプロケット38からチェーン39及び従動スプロケット40を介して第一のカウンタ軸41へ伝動し、該第一のカウンタ軸41と一体回転する駆動スプロケット42からチェーン43、従動スプロケット44及び一方向クラッチを介して第二のカウンタ軸45へ伝動し、該第二のカウンタ軸45の左右両端部に設けた駆動ベベルギヤ46から従動ベベルギヤ47を介して左右各々の落とし用軸48を互いに反対側に駆動回転させる。この落とし用軸48と落とし板36とが一体回転し、落とし板36が左右内側で下側に移行する方向に回転する。
また、落とし用軸48の他端部からアーム49,51及びリンク50等を介して落とし用軸48の上方に位置する各々の受板用軸52を所定角度範囲内で揺動させ、該受板用軸52と一体回転する下受板34及び上受板35を揺動させ、下受板34と上受板35とを育苗箱群に交互に作用させて、育苗箱群を順次下降させる。
また、第二のカウンタ軸45を手動で回転させるための手動供給操作具となる手動供給レバー53を設けており、該手動供給レバー53により作業者が任意に育苗箱供給部搬送コンベア16上に育苗箱200を落下させて供給することができる。
床土詰装置6は、床土となる培土Sを貯留する床土タンク54と、該床土タンク54内の床土を所定量ずつ繰り出して育苗箱200へ落下させて供給する床土繰出具となる床土繰出ベルト55と、育苗箱200上で溢れる床土を均す均平具となる均平ブラシ19と、育苗箱200内に突入して床土を鎮圧する床土鎮圧具となる床土鎮圧ローラ57と、床土繰出ベルト55上の隙間を調節して床土の繰出量を変更調節する床土量調節具となる床土量調節レバーを備え、床土繰出ベルト55が床土を供給する搬送経路3上の床土詰位置の搬送下手側に均平ブラシ19が位置し、均平ブラシ19の搬送下手側に床土鎮圧ローラ57が位置する。
床土詰装置6の伝動構成について説明すると、床土繰出モータ20により床土繰出ベルト55が駆動し、該床土繰出ベルト55から歯車伝動機構を介して均平ブラシ19が駆動する。また、床土詰搬送モータ21に設けた出力スプロケット97から搬送伝動チェーン59を介して駆動スプロケット60へ伝動し、該駆動スプロケット60と一体回転する搬送下手側のローラ61により床土詰部搬送コンベア17を駆動する。なお、均平ブラシ19と床土繰出ベルト55とが互いに逆方向に回転する構成としている。
なお、床土繰出モータ20又は床土詰搬送モータ21の一方の駆動で、床土繰出ベルト55と均平ブラシ19と床土詰部搬送コンベア17へ伝動する構成としてもよい。
播種装置7は、図6に示すとおり、種子タンク68の下部に調節板68bを設けて、種子を所定量ずつ流下口に繰り出し、反時計方向に回転する播種繰出ローラ69の凹溝に種子を取り込み、播種繰出ローラ69の表面に付着した余分の種子を第1ブラシ68dにより落下させる構成とする。該播種繰出ローラ69の外周縁部には、苗トレイ2の床土に接触して種子が入り込む穴開け突起部69a…が、左右方向の所定間隔毎で、且つ円周方向の所定間隔毎に形成される。左右方向の所定間隔、及び円周方向の所定間隔は、苗トレイ2を構成する複数の育苗セル121の左右方向の所定間隔、及び円周方向の所定間隔に対応するものとする。
そして、播種繰出ローラ69の上部には回転ブラシ68eをバネにより弾圧的に圧接し、播種繰出ローラ69の凹溝から溢れた種子を除去して種子収容タンク68fに回収し、播種繰出ローラ69の下方に回転した凹溝から搬送中の苗トレイ2の床土に播種する構成としている。
また、播種繰出ローラ69の播種位置から種子取り込み位置までの間に固定状の落下ブラシ70を設け、播種できなかった種子を苗トレイ2の床土上に掻き落とし、播種精度の向上と湿った種子の播種精度の向上を図る。
また、図7に示すとおり、播種繰出ローラ69の播種位置から種子取り込み位置までの間に回転する第2落下ブラシ68gを設け、播種繰出ローラ69の外周部に第2落下ブラシ68gの外周部を接触させて、播種繰出ローラ69により第2落下ブラシ68gを回転させながら播種残りの種子を落下するように構成してもよい。
また、播種装置7は、播種繰出ローラ69に臨む種子タンク68の出口の隙間を調節して播種繰出ローラ69への種子の供給状態を変更調節する種子供給調節具となる種子供給調節ハンドル72を備える。
よって、該種子供給調節ハンドル72で調節される種子タンク68の出口から播種繰出ローラ69の繰出溝に種子が供給され、播種繰出ローラ69の回転により該繰出溝が上方へ移動することにより該繰出溝で所定量の種子を移送し、芒、枝梗が付いた種子や芽の伸び過ぎた種子等の播種に不適な種子を繰出溝から除去し、該繰出溝は播種繰出ローラ69の回転により下方へ移動してその下死点位置(播種位置H)で育苗箱200に種子を落下供給する構成となっている。
なお、一般的に播種繰出ローラ69の繰出溝は、左右方向(播種繰出ローラ69の回転軸心方向)に長い溝で播種繰出ローラ69の外周に複数配列された構成となっている。種籾の長手方向(長径部)が育苗箱200の長手方向に向くべく、種籾の向きを揃えて育苗箱200へ播種する際は、播種繰出ローラ69の繰出溝を、前後方向(播種繰出ローラ69の回転外周方向)に長い溝で左右に複数配列した構成とすれば、種籾の長手方向(長径部)が繰出溝の方向(前後方向)に沿い、所望の向きで種籾を播種できる。
また、播種直後に種籾を床土に軽く押し付ける際は、押付ローラを播種位置Hの直後に設け、押付ローラにより種籾を押し付ける構成とすればよい。
播種装置7の伝動構成について説明すると、播種モータ65に設けた出力スプロケット66から繰出伝動チェーン67を介して播種繰出ローラ69へ伝動され、前記出力スプロケット66から第一除去チェーン73及び第二除去チェーン74を介して除去ブラシ70へ伝動され、前記出力スプロケット66から搬送伝動チェーン71を介して播種部搬送コンベア18の搬送下手側のローラ75へ伝動し、該搬送下手側のローラ75からチェーン77を介して搬送上手側のローラ76へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ76と搬送下手側のローラ75の間に、播種繰出ローラ69が種子を繰り出して供給する播種位置Hがある。尚、除去ブラシ70及び播種部搬送コンベア18と播種繰出ローラ69とが互いに逆方向に回転するべく、第一除去チェーン73と搬送伝動チェーン71を側面視で交差するように巻き掛けている。尚、播種繰出ローラ69の外周部において除去ブラシ70の位置と播種位置との間には、繰出溝から種子が脱落しないように該繰出溝を覆うガイド体を設けている。
覆土装置8は、覆土となる培土Sを貯留する覆土タンク84と、該覆土タンク84内の覆土を所定量ずつ繰り出して育苗箱200へ落下させて覆土位置で供給する覆土繰出具となる覆土繰出ベルト85と、育苗箱200上で溢れる覆土を均す均平具となる均平板86と、覆土繰出ベルト85上の隙間を調節して覆土の繰出量を変更調節する覆土量調節具となる覆土量調節レバーとを備え、覆土繰出ベルト85が覆土を供給する搬送経路3上の覆土位置の搬送下手側に均平板86が位置する。覆土装置8の伝動構成について説明すると、覆土モータ78により覆土繰出ベルト85が駆動し、覆土モータ78に設けた出力スプロケット79から搬送伝動チェーン80を介して覆土部搬送コンベア28の搬送下手側のローラ81へ伝動し、該搬送下手側のローラ81からチェーン98を介して搬送上手側のローラ82へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ82と搬送下手側のローラ81の間に、覆土位置がある。尚、覆土繰出ベルト85と覆土部搬送コンベア28とが互いに逆方向に回転するべく、搬送伝動チェーン80を側面視で交差するように巻き掛けている。
覆土装置8の前側の脚部10には、育苗箱搬送コンベアを手動で回転させるための操作具となる手動搬送ハンドル92をフック93を介して保持している。この手動搬送ハンドル92により、播種装置7で播種をしている途中で故障で播種機1が停止したときや播種作業を終了するために播種機1を停止させたとき、手動で育苗箱200を搬送して該育苗箱200を播種機1から容易に取り出すことができる。
灌水装置29は、灌水部コンベア63の上側に設けられ、灌水部コンベア63の左右の搬送ガイド15から各々立ち上がる左右の支持フレーム100を設け、左右に配列される複数のノズルを備える左右に延びる灌水パイプ99を、左右の支持フレーム100で両持ち支持している。該灌水パイプ99すなわち灌水位置は、灌水部コンベア63の搬送上手寄りの位置に配置されている。
床土詰前コンベア62及び灌水部コンベア63及び覆土前コンベア64及び育苗箱取出コンベア88の各々のコンベアは、左右の搬送ガイド15の前後端部で搬送上手側及び搬送下手側の装置に嵌る嵌合部材101により、播種機1本体に対して独立して個別に着脱可能に設けられている。従って、灌水部コンベア63を播種装置7と覆土装置8の間に組み付けることにより、播種装置7と覆土装置8の間に灌水装置29を配置することができる。あるいは、灌水部コンベア63を覆土装置8の後側に組み付けることにより、覆土後に灌水する構成とすることもできる。
播種装置7と覆土装置8の間に灌水装置29を配置する際は、灌水装置29と覆土装置8の間隔が十分に得られるように、覆土前コンベア64を灌水部コンベア63の後側に組み付けたり、灌水装置29の後側に組み付けられる覆土前コンベア64を長いコンベアに交換したりすることが望ましい。これにより、床土に吸水性の悪い田土を使用しても、灌水装置29の灌水を床土に浸透させることができ、床土の上面の水がひいた状態で覆土できるので、播種した種籾が酸素欠乏状態になりにくく、安定した発芽率が得られる。また、覆土前コンベア64を非駆動のローラで構成し、この非駆動のローラを任意の位置に組み付けできる構成とすることにより、覆土前コンベア64を伸縮できる構成としてもよい。尚、床土詰装置6と播種装置7の間に灌水装置29を配置する際は、上述と同様の理由から、灌水装置29と播種装置7の間のコンベアを長くすることが望ましい。
なお、種子タンク68の上端の開口より覆土タンク84の上端の開口を低位に設け、覆土タンク84の上端の開口より床土タンク54の上端の開口を低位に設けている。これにより、使用量が多いため作業者が頻繁に床土タンク54へスコップで床土を供給しなければならないが、この床土供給作業を低位で容易に行え、次いで供給頻度が高い覆土タンク84への覆土供給作業を容易に行える。しかも、種子タンク68の上端の開口が高位となるので、床土供給作業又は覆土供給作業を行うとき、誤って種子タンク68へ床土又は覆土を供給するようなことを防止でき、土が供給されることで播種装置7が故障するようなことを防止できる。
また、左右幅がコンベアの左右幅より小さい(30cm未満の)育苗箱110に播種作業を行うときは、図2に示すように、コンベアの左右一方側にコンベア搬送方向の適宜間隔で複数の規制ガイド112を取り付け、コンベア上の育苗箱110の左右位置を規制するようにすればよい。このとき、播種装置7で繰り出される種子が前記左右一方側の部分で無駄になるので、この種子を受ける受け容器111を播種装置7下方で前記左右一方側の位置に配置すればよい。
育苗する苗の本数は減らさず、しかしながら育苗に用いる育苗箱200の数を減らし、育苗スペースの確保や育苗箱200の移送にかかるコストを低減すべく、密播と呼ばれる播種育苗方法が存在する。この密播は、特に水稲で行われることが多いが、種子が小粒であり成長すると上方には長く、しかし周囲にはあまり大きくならない野菜苗で行い、同様の育苗コストの低減を図ることも考えられる。
密播は、1つの育苗箱200につき、約200〜250g(乾籾約8000〜10000粒)を播種して育苗するものであり、苗一本当たりの生育面積は狭く、また培土S中の養分もより早く使い尽くされることになる。したがって、養分不足やストレスの蓄積の発生を抑えるべく、育苗期間は播種から2週間(14日)程度、長くても3週間(20〜21日)とし、従来に比べて若干早い生育段階で圃場に移植する必要がある。なお、上記は水稲の苗の例であり、たまねぎ等の野菜苗においては、播種から6〜8週間程度と異なる育苗期間となる。
播種後、育苗期間が3週間を超えると、培土S中に含有されていた肥料は、供給量が適量であればほぼ消費し尽くされると共に、種籾内の胚乳も使い切られてしまうので、養分不足のまま成長することになる。養分が不足したまま時間が経過すると、苗の葉部が黄変した、所謂老化苗となってしまう。この老化苗は、成長する力が弱まっているので、圃場に植え付けても根部が土中に活着できず、立ち枯れやすくなると共に、成長後に収穫できる作物の大きさ、収量や品質に悪影響が出やすい。特に水稲苗においては、植付後の分げつ数が少なくなるので、収量が大きく減少することになる。
天候の不良等の要因により移植作業時期が延びるときは、育苗中の培土Sに肥料を追加すれば養分不足のまま成長することを防止できるが、追肥作業の時間と労力が必要になると共に、余分に肥料を使用しなければならず、育苗コストの低減効果が小さくなる問題がある。
特に、密播は苗が密生しているので肥料が苗と苗の間に進入できず、追肥しても十分に肥料が供給される部分とされない部分が発生する可能性がある。また、粒状肥料を用いる場合、肥料が土中に浸透するまで時間を要するので、苗の劣化がある程度進行するおそれがある。さらに、粒状肥料の供給時期から移植時期までの間隔が短いと、培土S中の養分が多くなり、移植時に施肥装置で肥料を供給する際、肥料が多少過剰に供給され、栽培コストが上昇することになる。
この問題の発生を防止すべく、天候等の条件により、育苗から約3週間経過した時期以降でないと苗の移植作業ができない、と判断されたときは、育苗箱200に低分子核酸剤LAの水溶液(例:1000倍希釈)を、培土S中の根部に浸透するように供給する。水と共に根部に取り込まれた核酸(リボ核酸、オリゴ核酸等)は、苗が成長する際の細胞分裂の材料となり、培土S中の養分が不足した状態であっても正常な細胞分裂を行わせることが可能になる。
これにより、培土S中の養分がほぼ消費され尽くした状態でも、供給された核酸剤を基に正常な細胞分裂を行わせることができるので、苗は移植後も成長して土中に活着しやすくなると共に、葉部は分げつ数の低下が防止され、収量の減少が防止される。
なお、実験では、図8及び図9に示すとおり、育苗箱200に約220g(約8800粒)の種籾を播種し、移植適期である14日後に移植して1か月後の苗の分げつ数は「30」であったが、これに対して、密播した苗を、播種から追肥や核酸剤の供給を行わず、30日以上を経過させて得た苗の移植から1か月後の分げつ数は、約3分の2の「21」であり、分げつ数の確実な減少が見られた。
なお、老化苗は根部の活着不良により植付後に立ち枯れる可能性もあるので、収量の低下はさらに増加するおそれがある。
一方、育苗中に低分子核酸剤LAを投与して育苗を続けた苗の、移植から1カ月後の分げつ数は「31」であり、移植適期に移植した苗と同等の分げつ数であった。
なお、通常の量(約130g=約5200粒)の種籾を播種し、移植適期である14日後に移植した苗の分げつ数は「26」であり、対照実験用に行った、通常の量の播種後、追肥や核酸剤の供給を行わず、30日以上を経過させて得た苗の移植から1か月後の分げつ数は「27」である。これにより、通常の播種量であれば、30日を超える育苗期間であっても培土S中の養分が適量であれば、老化苗となることは防止されるといえる。
但し、正常な成長であっても、苗の丈が長くなり過ぎると田植機等の移植機の苗植付装置による植付に対応しないものとなり、苗の植付姿勢や植付深さが乱れ、植付後の生育に悪影響が生じるおそれがある。また、徒長苗は葉部が長い分風等の影響を受けやすく、倒伏して生育不良を起こしたり、収穫作業の能率を低下させたりする問題も発生する。したがって、通常の量の播種から得た苗であっても、可能な限り移植適期に近い時期に移植することが望ましい。
なお、上記の育苗例では、核酸物質Aを取り込み苗の細胞分裂を正常化させてから移植すべく、移植予定日の2〜7日前に低分子核酸剤LAの水溶液を育苗箱200内の培土Sに供給するものとする。
一方、育苗過程において、予定外の追肥作業は時間、労力及び肥料を消費することになるが、灌水作業は移植するまで定期的に行う必要がある。
したがって、苗の移植時期が移植適期を過ぎたときは、灌水用の水を低分子核酸剤LAの水溶液とし、灌水作業の度に培土Sに低分子核酸剤LAを同時に供給してもよい。なお、低分子核酸剤LAの濃度は、移植までに必要となる灌水の回数が多いほど低濃度なものとし、低分子核酸剤LAの消費量を抑えると共に、核酸物質Aの過剰供給により苗が過剰に成長し、徒長苗になることを防止する。
これにより、低分子核酸剤LAが定期的に供給されるので、養分及び核酸物質Aの不足による老化苗の発生が防止される。
また、灌水作業と同時に低分子核酸剤LAの供給が行われるので、作業者は低分子核酸剤LAの水溶液を作る作業に時間と労力を要するものの、苗の葉部を避けて培土S近くに肥料を供給する追肥作業に比べると、時間や労力の増加が抑えられる。
上記の例は、移植適期と実際の移植時期が比較的離れている場合に、老化苗の発生を防止、あるいは抑制する効果が高いが、移植時期と移植適期の差が3日程度であり、問題が発生するほど老化が進行するかどうかが不明な条件で同様の処置を行うと、余分に低分子核酸剤LAを消費することになりかねない。
このときは、移植当日に低分子核酸剤LAの水溶液を供給し、培土Sに核酸物質Aが含まれた状態で圃場に移植する。
これにより、培土S中の核酸物質Aを用いて根部を土壌に確実に活着させることができるので、移植後に根部が活着できず立ち枯れることや、不十分な活着により葉部の成長が滞り、分げつ数が減少することが防止される。
なお、移植作業の直前に低分子核酸剤LAを供給するのであれば、移植機による移植作業時に、苗の植付位置付近に低分子核酸剤LAを供給する作業方法も考えられる。
図10及び図11に示すとおり、移植機である田植機300には、苗の植付と連動するタイミングで圃場に肥料を供給する施肥装置310や、所定の周期で植付前の苗に殺菌剤や殺虫剤を供給する薬剤散布装置320が搭載されている。該施肥装置310の施肥ホッパ311や、薬剤散布装置320の薬剤ホッパ321には、粒状の肥料及び薬剤が貯留される。これにより、施肥ホッパ311または薬剤ホッパ321に肥料や薬剤と同じサイズの粒状の低分子核酸剤LAを貯留し、肥料または薬剤と共に低分子核酸剤LAが圃場に供給される。
このとき、低分子核酸剤LAは水溶性の物質を用いたものとし、圃場に張られた水に接触することで溶解して土中に取り込まれ、苗の根部が吸収するものとするとよい。
あるいは、懸濁液状の除草剤(フロアブル剤)を圃場に供給する液剤供給装置330を田植機300に設け、該液剤供給装置330の液剤タンク331に液状の低分子核酸剤LAを混入させ、除草剤と共に低分子核酸剤LAが圃場に供給される構成としてもよい。
なお、薬剤散布装置320及び液剤供給装置330の装着位置はほぼ同じである。
上記により、移植作業前に低分子核酸剤LAを含む水を用いた灌水作業を行う必要がなくなるので、作業に要する時間と労力が軽減される。
前記低分子核酸剤LAは、苗の安定した細胞分裂の材料となるものであり、適量であれば苗の育苗時に培土S中に含まれていても生育を妨げたり、生育異常を生じさせ得るものではない。
したがって、1kgの培土Sあたり、1g程度の低分子核酸剤LAを含有させておくことにより、移植適期を過ぎた際に苗の根部が核酸物質Aを取り込んで細胞分裂を行うことができるので、老化苗の発生が抑制される。
なお、培土S中に含有される低分子核酸剤LAは、苗が移植適期に成長して他の養分を消費し尽くしたタイミングで消費され始めることが望ましいが、根部付近に存在していると根部は区別なく吸収する可能性がある。
したがって、図12(a)〜(c)に基づき、育苗箱200に先に投入される床土には低分子核酸剤LAを含有させず、種子Tを床土の上に播種した後に投入される覆土にのみ含有させる。苗は基本的に培土Sの下部側に向かって伸びていくので、発芽段階からある程度根部が成長するまでの間は、床土側に含まれる養分が優先的に消費されることになる。覆土中の低分子核酸剤LAは、苗がある程度成長し、根部が培土中に張り巡らされた段階で吸収可能となるので、通常よりも若い段階で移植適期を迎える密播においては、移植適期を過ぎる時期になると吸収され始めることになる。
したがって、移植適期に移植が行なえず、移植作業日を待つ間に低分子核酸剤LAを供給する作業が不要となるので、作業に要する時間と労力の軽減が図られる。
なお、移植適期に移植される場合、培土S中に低分子核酸剤LAが含有されたまま苗が圃場に移植されるが、上記のとおり核酸物質Aは適量であれば作物の生育に影響を与えるものではないので、移植後の苗の生育の補助に用いられるので問題は生じない。
上記の培土Sは、山土を熱処理した精土Bに、ピートモスやヤシガラ等の土材、バーミキュライトVやパーライト等の土壌改良剤や、窒素、リン酸、カリウム等の養分を混在させて製造したものであり、比重約0.3となるように調整されている。この比重は、培土S中に根部が縦横に張り巡らされて根鉢を形成しやすくするために設定されている。
しかしながら、北海道等の一部地域では、他地域と育苗時期や期間が異なり、培土Sの比重は0.45〜0.8と比較的高く設定される。この比重とした培土Sは、精土Bの土質や含有される土材が異なり、上記の播種機1では培土Sを床土や覆土として適切に投入できない。そのため、専用の播種機を用いる必要があり、機材を複数所持しなければならず、作業コストが上昇する。
前記播種機1で比重の高い培土Sを用いるべく、ピートモス等の土材の比率を減らし、精土Bの比率を高めて比重を高くすることが試みられた。結果、播種機1による培土Sの投入には問題がないものの、培土S中に細かな間隙を生じさせて根部を張り巡らさせるピートモスが減少したことにより、根部が培土S内で成長する領域が制限され、根鉢の強度が低下する問題が生じた。
根鉢の強度が弱いと、移植機の苗植付装置が苗を圃場に植え付けるまでに根鉢が崩れ、苗植付装置から苗が脱落して植付が行われなくなる、あるいは、脱落せず植え付けられたものの植付姿勢が乱れ、生育に悪影響が生じるおそれがある。
この問題を防止すべく、ピートモス等の土材Eの比率を減らし、代わりに1mm以下の粉末にしたバーミキュライトVを添加する。しかしながら、バーミキュライトVも軽量であり、このままでは必要な比重が確保できないので、図13に示すとおり、培土Sにはポリアクリルアミド等の樹脂系の糊剤Gを添加し、バーミキュライトV粉末と糊剤Gにより根部が伸長する空間を確保しつつ培土Sの比重を増大させるものとする。
また、精土Bはその生成時に石や粒の大きい塊を除去すべく、篩を通して選別を行っているが、通常の培土Sに用いられる4mm以下の篩で選別すると、糊剤Gの接触により4mm以上の土塊が発生し、不必要に大きな空間部が形成されて根鉢の強度が低下する問題が生じる。
これを防止すべく、糊剤Gを添加する培土Sについては、篩の目を3mm以下とし、糊剤Gと結びついても適切な土の粒の大きさが保たれるものとする。
上記構成により、培土Sの比重を高めつつ、粒の大きさを抑えることができ、さらに根部が伸長する空間を適切に確保することができるので、根鉢の強度を確保しつつ、播種機1に育苗に適した床土や覆土を投入できる。これにより、苗の生育が安定すると共に、不要な播種機を別途調達する必要が無く、作業コストの低減が図られる。
移植後の水稲や野菜作物の苗は、圃場の土質、季節や天候に合わせて水や肥料を供給する必要があるが、移植直後の若い段階では成長が早く、高温が続いたり養分が多めであると、葉部が伸び過ぎたり増え過ぎたりする、過繁茂が発生することがある。過繁茂となった苗は、草丈が長く風の影響で倒伏しやすくなると共に、一部の葉部が他の葉部を覆い隠してしまい、光合成を殆ど行わないが養分を必要とする葉部が生じ、苗の生育が遅くなる、収穫される作物の収量が減少したり品質が低下したりする等の問題を引き起こす。
特に、トマト等の葉部が茎部から様々な方向に発生する作物については、地温や気温、水分量、肥料濃度等を緻密にコントロールしていないと、葉部が大量に発生して過繁茂になりやすい。このため、トマト等の過繁茂が生じやすい苗は、不要な葉部を人手で摘み取り、花房が発生する段階まで育苗し、その後圃場に移植することが多い。
しかしながら、上記の段階まで育苗した苗は、細長い上に軟らかいので、移植機による植付には適さず、人手で植え付ける必要がある。したがって、作業者が費やす時間と労力が増大することになる。
移植機を用いた植付作業には、茎部から2番目の葉列が生え揃う第2葉期から、3番目の葉列が生え始めた第2.5葉期までの苗が適切となるが、過繁茂が発生する条件が揃うと、上記の段階を極短期間で過ぎてしまい、移植機による移植に適さなくなるので、そもそも育苗の初期段階で過繁茂が発生する条件を揃えない必要がある。
これを実現すべく、図14に示すとおり、苗の栽培施設400には複数列設ける苗の栽培ベッド410と、水を貯留する水タンク420と、肥料や薬剤を貯留する薬液タンク430を設け、該水タンク420には遠隔制御により開度調節が可能な水バルブ421を、薬液タンクには遠隔制御により開度調節が可能な薬液バルブ431を各々設ける。そして、該水バルブ421の出口側には送水ダクト422を設け、該薬液タンク431の出口側には送液ダクト432の始端側を設け、送水ダクト422と送液ダクト432の終端側は、水と薬液を混合して現在の苗が必要とする濃度の養液を製造する養液タンク440に接続する。
該養液タンク440には、養液の養分濃度を検出する濃度センサ442と、養液の温度を検出する水温センサ443を設けると共に、遠隔制御により開度調節が可能な養液バルブ441を設ける。そして、該養液バルブ441には、養液を栽培ベッド410に移送する養液ダクト450の始端側を接続し、該養液ダクト450の終端側は、栽培ベッド410の数に合わせて分岐させ、各々を栽培ベッド410に均等に養液を供給可能に接続する。
前記養液ダクト450から栽培ベッド410の長手方向に均等に養液を供給すべく、養液ダクト450には等間隔に遠隔制御で開度が調節可能な供給バルブ460を複数設け、該供給バルブ460内に設ける圧力センサ461が各々同じ圧力を検出するように各供給バルブ460の開度が自動調節されるものとする。
上記の各バルブの開度制御を行うべく、栽培施設400には、制御ユニット470を設け、有線または無線で遠隔制御可能な構成とする。
なお、栽培ベッド410の数が多い、あるいは栽培ベッド410の長さが長く養液ダクト450内の圧力の影響で均等な供給が望めない大規模な姿勢では、水タンク420、薬液タンク430、養液タンク440及び養液ダクト450を複数設け、全ての栽培ベッド410に均等に養液を供給可能に構成する。
さらに、栽培ベッド410に直接的、あるいは育苗箱200を介して敷設する培土Sには、所定間隔毎に地温センサ481を設けて培土Sの温度を検出させ、施設内の複数個所には気温センサ482を設けて施設内の気温を検出させると共に、照度センサ483を設けて日照量を検出させるものとする。上記のセンサ類の検出結果は前記制御ユニット470に送信されるものとする。これに加えて、制御ユニット470にはインターネット経由で栽培施設400の所在地周辺の気象情報を取得させる。
前記制御ユニット470のストレージには、栽培する作物の苗の生育段階に合わせて必要な一般的な水分量、養分濃度のデータを記録させておくと共に、取得した気象情報や各センサの検出値に基づき実際に必要な水分量や養分濃度を算出するアプリケーションをインストールしておく。
そして、制御ユニット470は、算出された養分濃度の養液を製造すべく、水バルブ421と薬液バルブ431の開度を各々調節し、養液タンク440に水及び薬液を供給し、養液タンク440内の養液を必要な水分量に合わせて供給すべく、養液バルブ441の開度を調節する。
これにより、苗の生育に過不足の無い水や養分が自動的に供給されるので、過繁茂が生じない移植に適した苗を得ることができる。したがって、移植機を用いた苗の植付が可能となり、移植作業に要する時間と労力が軽減される。また、水量や薬剤濃度の管理に要する作業や労力も軽減される。
なお、苗の生育には、気温や日照も影響するので、栽培施設400に設ける複数の窓490の付近には電動開閉式の調光シャッタ491を設け、前記照度センサ483の検出値に合わせて制御ユニット470に調光シャッタ491の開度を変更させる構成としてもよい。
また、図15に示すとおり、前記窓490の開閉量を変更する窓アクチュエータ492を設けて、気象情報及び地温センサ481や気温センサ482の検出値に合わせて窓アクチュエータ492を作動させ、窓490の開度を変更し、通風による温度調節を行う構成としてもよい。
あるいは、図16に示すとおり、栽培施設400内の気温を調節するエアコンユニット493を設け、気象情報及び地温センサ481や気温センサ482の検出値に合わせてエアコンユニット493の作動を制御し、温度調節を行う構成としてもよい。
200 育苗箱
300 移植機
310 施肥装置
320 薬剤散布装置(薬剤供給装置)
330 液剤散布装置(薬剤供給装置)
A 核酸物質
S 培土
T 種子
300 移植機
310 施肥装置
320 薬剤散布装置(薬剤供給装置)
330 液剤散布装置(薬剤供給装置)
A 核酸物質
S 培土
T 種子
Claims (6)
- 培土(S)で移植用の苗の育苗を、所定の期間を超えて継続する必要があるとき、培土(S)に苗の細胞分裂に用いられる核酸物質(A)を供給することを特徴とする作物苗の栽培方法。
- 前記核酸物質(A)は水溶液とし、播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、圃場に苗を移植する予定日の前日、または2〜7日前に、前記核酸物質(A)の水溶液を培土(S)に供給することを特徴とする請求項1に記載の作物苗の栽培方法。
- 前記核酸物質(A)は水溶液とし、播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、苗の移植作業時まで行われる灌水作業の度に、培土(S)に前記核酸物質(A)の水溶液を供給することを特徴とする請求項1に記載の作物苗の栽培方法。
- 育苗した苗を圃場に移植する移植機(300)に、苗の移植作業時に肥料を圃場に供給する施肥装置(310)、薬剤を供給する薬剤供給装置(320,330)のいずれか、あるいは両方を設け、
播種後14〜20日が経過した段階で苗の移植が行われなかったときは、前記施肥装置(310)、薬剤供給装置(320,330)のいずれか、あるいは両方から核酸物質(A)を圃場に供給させることを特徴とする請求項1に記載の作物苗の栽培方法。 - 前記核酸物質(A)は、苗を育苗する育苗箱(200)に1つ当たり220〜250g、あるいはそれ以上の種子を播種するとき培土(S)に供給するものとし、
前記培土(S)1kgにつき、0.25〜1gの前記核酸物質(A)を含有させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の作物苗の栽培方法。 - 前記育苗箱(200)に、培土(S)を床土として敷設し、この床土に種子を播種した後、培土(S)で覆土して育苗環境を構成し、
前記核酸物質(A)は、覆土用の培土(S)にのみ含有させることを特徴とする請求項5に記載の作物苗の栽培方法。
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