JP6897154B2 - 育苗方法 - Google Patents

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Description

この発明は、圃場に移植する苗の作成方法の技術分野に属する。
育苗箱を搬送しながら培土を敷設し、敷設した培土に種籾を播種し、種籾を覆土用の培土で埋没させ、育苗箱を苗の育成環境とするものがある。この育苗箱には、培土中の養分が不足することを防止すべく、肥料を供給する(特許文献1参照)。
特開2005−102550号公報
育苗方法の一つとして、育苗箱に種子を従来よりも多く投入し、育苗箱内の苗の密度を高密度にする、密播というものがある。これは、苗の密度を高めることで、田植機等の苗移植機が掻き取る苗一株当たりの苗の本数を多くすることで、従来よりも広い株間で苗を移植する、所謂疎植をする際、苗が強風で倒れたり、害虫により食べ尽くされたりすることを防止する効果を有する。
これにより、植え付けた苗の一部が事後に無くなることを防止できるので、疎植を行いやすく、圃場当たりの苗の数の削減が図られ、育苗に要するコストの低減が図られる。
しかしながら、密播では、育苗箱一つ当たりの苗の量が多くなるので、苗が生育するための養分が従来よりも多く必要になり、肥料不足により苗の生育が遅れることや、苗が枯れる問題がある。
養分不足による問題を防止すべく、培土中に大量の養分を供給しておくことが考えられるが、苗の根部は吸収可能な養分がある限り養分を吸収し続けるので、苗の葉長が過度に長くなる徒長が発生し、移植後に倒伏しやすくなり、収穫作業に要する時間がかかる問題や、倒伏した作物を収穫するコンバイン等の作業機に負荷がかかり、故障しやすくなる問題がある。
さらに、密播では苗一株当たりの植生スペースが狭くなるので、葉部は問題なく成長しても、根部の成長が不十分となることがあり、移植後に圃場に活着できず、風に流されたり養分不足で立ち枯れたりする苗が生じる問題がある。
本発明は、種子を密播した育苗箱内で、移植に適した苗を育苗することを課題とする。
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
請求項1に係る発明は、苗を育てる育苗箱(2)に即効性の培養肥料(P)を含む培土(S)を投入し、この培土(S)に種子と肥料(F)を投入して行う育苗方法において、種子は、植生密度が高くなる所定重量以上を投入し、肥料(F)は、ウレタン樹脂等のコーティング剤(U)により施肥から所定期間が経過してから溶出量が急激に増加するシグモイド型のコート肥料とし、前記肥料(F)は、重量比で種子の投入量の約2分の1から約10分の1となる量を投入するものとし、前記培土(S)には、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を、前記培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量含有させると共に、前記育苗箱(2)の搬送、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰めと覆土、種子の播種、肥料(F)の施肥、並びに灌水は播種機(1)を用いて行うものとし、前記肥料(F)を施肥する施肥装置(90)は、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰め行う床土詰装置(6)の搬送方向下手側に配置し、前記育苗箱(2)に敷設された床土の上に肥料(F)が投入されることを特徴とする育苗方法とした。
請求項2に係る発明は、苗を育てる育苗箱(2)に即効性の培養肥料(P)を含む培土(S)を投入し、この培土(S)に種子と肥料(F)を投入して行う育苗方法において、種子は、植生密度が高くなる所定重量以上を投入し、肥料(F)は、ウレタン樹脂等のコーティング剤(U)により施肥から所定期間が経過してから溶出量が急激に増加するシグモイド型のコート肥料とし、前記肥料(F)は、重量比で種子の投入量の約2分の1から約10分の1となる量を投入するものとし、前記培土(S)には、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を、前記培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量含有させると共に、前記育苗箱(2)の搬送、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰めと覆土、種子の播種、肥料(F)の施肥、並びに灌水は播種機(1)を用いて行うものとし、前記肥料(F)を施肥する施肥装置(90)は、育苗箱(2)に灌水する灌水装置(29)の搬送方向下手側で、且つ灌水後の育苗箱(2)に種子を播種する播種装置(7)の搬送方向上手側に配置し、灌水後に前記肥料(F)が育苗箱(2)に投入されることを特徴とする育苗方法とした。
請求項3に係る発明は、苗を育てる育苗箱(2)に即効性の培養肥料(P)を含む培土(S)を投入し、この培土(S)に種子と肥料(F)を投入して行う育苗方法において、種子は、植生密度が高くなる所定重量以上を投入し、肥料(F)は、ウレタン樹脂等のコーティング剤(U)により施肥から所定期間が経過してから溶出量が急激に増加するシグモイド型のコート肥料とし、前記肥料(F)は、重量比で種子の投入量の約2分の1から約10分の1となる量を投入するものとし、前記培土(S)には、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を、前記培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量含有させると共に、前記育苗箱(2)の搬送、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰めと覆土、種子の播種、肥料(F)の施肥、並びに灌水は播種機(1)を用いて行うものとし、播種後に前記培土(S)により種子を埋没させる覆土装置(8)の搬送方向下手側に前記肥料(F)を施肥する施肥装置(90)を配置し、覆土後に前記肥料(F)が育苗箱(2)に投入されることを特徴とする育苗方法とした。
請求項4にかかる発明は、前記培土(S)は、前記培養肥料(P)と、土砂と、多孔質であるヤシガラ等の炭素質(C)を混和して作成し、該炭素質(C)の配合比率は、重量比で培土(S)の半分以上とし、前記培養肥料(P)は、培土(S)1リットルにつき2000mg以上が配合される量を混入することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の育苗方法とした。
(削除)
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請求項1の発明により、苗が培土(S)中の即効性の培養肥料(P)を消費し尽くす頃に、シグモイド型のコーティング剤(U)が減少して肥料(F)が吸収可能になるので、移植適期まで成長した苗が徒長苗となり倒れやすくなることが防止され、収穫作業時間の短縮が図られると共に、収穫物の品質や収量の低下が防止される。
また、養分が無くなる時期を狙って苗を移植する必要がなくなり、移植適期に苗を植え付けることができるので、作業計画を修正する必要が生じにくくなる。
また、養分不足により生育不良が生じることを防止できるので、収穫物の品質や収量の低下が防止される。
また、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量を培土(S)に含有させることにより、苗が培養肥料(P)や他の肥料成分(ケイ酸塩等)を効率的に吸収することができるので、苗の活着が促進され、生育の安定化が図られる。
また、育苗箱(2)に敷設された床土の上に肥料(F)が投入されることにより、落下の衝撃を床土が吸収するので、肥料(F)がバウンドしたり転がったりして供給位置に偏りが生じることを防止でき、苗の生育にバラつきが生じることが防止される。
また、落下の衝撃でコーティング剤(U)が割れて剥がれることを防止できるので、肥料(F)が作用し始める時期が早くなることが防止される。
請求項2の発明により、苗が培土(S)中の即効性の培養肥料(P)を消費し尽くす頃に、シグモイド型のコーティング剤(U)が減少して肥料(F)が吸収可能になるので、移植適期まで成長した苗が徒長苗となり倒れやすくなることが防止され、収穫作業時間の短縮が図られると共に、収穫物の品質や収量の低下が防止される
また、養分が無くなる時期を狙って苗を移植する必要がなくなり、移植適期に苗を植え付けることができるので、作業計画を修正する必要が生じにくくなる。
また、養分不足により生育不良が生じることを防止できるので、収穫物の品質や収量の低下が防止される。
また、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量を培土(S)に含有させることにより、苗が培養肥料(P)や他の肥料成分(ケイ酸塩等)を効率的に吸収することができるので、苗の活着が促進され、生育の安定化が図られる。
また、灌水後に肥料(F)を投入すると、水に接触した肥料(F)が移動することを防止できるので、軽い肥料(F)であっても育苗箱(2)内での位置の偏りが防止できる
また、水を肥料(F)に接触させないことにより、肥料(F)の成分やコーティング剤(U)が溶出することが防止される。
請求項3の発明により、苗が培土(S)中の即効性の培養肥料(P)を消費し尽くす頃に、シグモイド型のコーティング剤(U)が減少して肥料(F)が吸収可能になるので、移植適期まで成長した苗が徒長苗となり倒れやすくなることが防止され、収穫作業時間の短縮が図られると共に、収穫物の品質や収量の低下が防止される
また、養分が無くなる時期を狙って苗を移植する必要がなくなり、移植適期に苗を植え付けることができるので、作業計画を修正する必要が生じにくくなる。
また、養分不足により生育不良が生じることを防止できるので、収穫物の品質や収量の低下が防止される。
また、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量を培土(S)に含有させることにより、苗が培養肥料(P)や他の肥料成分(ケイ酸塩等)を効率的に吸収することができるので、苗の活着が促進され、生育の安定化が図られる。
また、覆土を投入した後で肥料(F)を投入することにより、肥料(F)を種子から離れた位置に供給することができるので、苗が成長するまで肥料(F)が消費されにくく、苗の徒長が防止され、収穫作業能率や作物の品質、終了の向上が図られる
請求項4の発明により、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、培土(S)を構成する多孔質のヤシガラ等の炭素質(C)を重量比で半分以上用いることにより、炭素質(C)が培養肥料(P)を保持し、培土(S)中の水の蒸発と共に培養肥料(P)が失われることを防止できるので、培養肥料(P)を苗に確実に作用させることができる
また、失われる分の培養肥料(P)を余分に供給する必要が無く、苗の栽培コストの低減が図られる。
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播種機を示す側面図 播種機を示す平面図 育苗箱供給装置の要部を示す平面図 育苗箱供給装置の要部を示す側面図 下受板、上受板及び落とし板を示す斜視図 播種装置の穴開け突起部を備える播種繰出ローラを示す要部側面図 別構成例の播種装置の穴開け突起部を備える播種繰出ローラを示す要部側面図 培土の構成比率を示す円グラフ シグモイド型の肥料を示す模式図 (a)緩効性肥料を施肥した培土と成長途中の苗を示す模式図、(b)緩効性肥料を施肥した培土と移植適期の苗を示す模式図 (a)最初に第2肥料を供給した育苗箱を示す断面図、(b)床土を敷設した後で第2肥料を供給した育苗箱を示す断面図、(c)覆土した後で第2肥料を供給した育苗箱を示す断面図 最初に育苗箱に第2肥料を供給する播種機を示す側面図 床土の敷設後、灌水前に育苗箱に第2肥料を供給する播種機を示す側面図 床土の敷設、及び灌水後に育苗箱に第2肥料を供給する播種機を示す側面図 覆土後に育苗箱に第2肥料を供給する播種機を示す側面図 培土の構成要素を示す模式図
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
まず、図1から図5を用いて、床土詰め、播種及び覆土の作業を行う播種機1について説明する。
播種機1は、育苗箱2を一方向に搬送する搬送経路3を備え、該搬送経路3上に支持され該搬送経路3に沿って該搬送経路3の上手側から順に、上下に複数枚に積み重ねられた育苗箱2を下側から順に繰り出して搬送経路3上に供給する育苗箱供給装置4と、育苗箱2に床土を詰める床土詰装置6と、床土を詰めた育苗箱2に灌水する灌水装置29と、育苗箱2に播種する播種装置7と、育苗箱2に覆土する覆土装置8を設けている。
なお、育苗箱供給装置4及び床土詰装置6及び播種装置7及び覆土装置8の各々の装置は、他の装置と独立して単独で設置できるように前後左右計4本の脚部9,10で支持されている。
また、覆土装置8の前側の左右の脚部10には上下に回動するアーム11を介して該脚部10の下端より下方に突出させることができる車輪12を各々取り付けており、該車輪12を下方に突出させ播種機1を持ち上げて他の脚部9を地面から浮かせることにより、播種機1を容易に移動させることができる。
搬送経路3は、左右の搬送ガイド15で構成され、この左右の搬送ガイド15の間で長手方向を前後に向けた育苗箱2を搬送する構成となっている。搬送経路3には、駆動するコンベアとして、ベルト式の育苗箱搬送コンベアである育苗箱供給部搬送コンベア16及び床土詰部搬送コンベア17と、ローラ式の育苗箱搬送コンベアである播種部搬送コンベア18及び覆土部搬送コンベア28を備えている。
そして、非駆動でフリーで回転するローラ式のコンベアとして、育苗箱供給部搬送コンベア16と床土詰部搬送コンベア17の間に床土詰前コンベア62を設け、床土詰部搬送コンベア17と播種部搬送コンベア18の間に灌水部コンベア63を設け、播種部搬送コンベア18と覆土部搬送コンベア28の間に覆土前コンベア64を設け、覆土部搬送コンベア28の後側に育苗箱取出コンベア75を設けている。
育苗箱供給装置4は、上下に複数枚に積み重ねられた育苗箱群を下側から受ける下受板34と、前記育苗箱群の下から2枚目の育苗箱2を下側から受ける上受板35と、育苗箱群の最下位の育苗箱2を強制的に下方へ落とす落とし板36を備え、人手等により上受板35上に供給された育苗箱群を先ず下受板34上に引き継ぎ、上受板35で育苗箱群の下から2枚目の育苗箱2から上側の育苗箱2を支持した状態で下受板34による育苗箱群の最下位の育苗箱2の支持を解除し、その状態で落とし板36が最下位の育苗箱2を上側から下方に押して育苗箱群から分離して落下させて繰り出して育苗箱供給部搬送コンベア16上に供給し、以下この作動工程を繰り返すことにより育苗箱群の下側の育苗箱2から順に育苗箱供給部搬送コンベア16上に供給する構成としている。
なお、下受板34、上受板35及び落とし板36は、育苗箱群に作用する各々の部分が前後方向で重複しないように各々育苗箱群の前後左右4箇所に設けられ、育苗箱群の左右外側から作用し、育苗箱供給部搬送コンベア16の作動に連動し、育苗箱供給部搬送コンベア16上において先に供給した育苗箱2と次に供給する育苗箱2との間に隙間が生じないように作動する。
前記伝動構成について説明すると、育苗箱供給モータ94に設けた出力スプロケット95から搬送伝動チェーン96及び駆動スプロケット38へ伝動し、該駆動スプロケット38と一体回転する搬送上手側のローラ37を介して育苗箱供給部搬送コンベア16を駆動する。
そして、駆動スプロケット38からチェーン39及び従動スプロケット40を介して第一のカウンタ軸41へ伝動し、該第一のカウンタ軸41と一体回転する駆動スプロケット42からチェーン43、従動スプロケット44及び一方向クラッチを介して第二のカウンタ軸45へ伝動し、該第二のカウンタ軸45の左右両端部に設けた駆動ベベルギヤ46から従動ベベルギヤ47を介して左右各々の落とし用軸48を互いに反対側に駆動回転させる。この落とし用軸48と落とし板36とが一体回転し、落とし板36が左右内側で下側に移行する方向に回転する。
また、落とし用軸48の他端部からアーム49,51及びリンク50等を介して落とし用軸48の上方に位置する各々の受板用軸52を所定角度範囲内で揺動させ、該受板用軸52と一体回転する下受板34及び上受板35を揺動させ、下受板34と上受板35とを育苗箱群に交互に作用させて、育苗箱群を順次下降させる。
また、第二のカウンタ軸45を手動で回転させるための手動供給操作具となる手動供給レバー53を設けており、該手動供給レバー53により作業者が任意に育苗箱供給部搬送コンベア16上に育苗箱2を落下させて供給することができる。
床土詰装置6は、床土となる培土Sを貯留する床土タンク54と、該床土タンク54内の床土を所定量ずつ繰り出して育苗箱2へ落下させて供給する床土繰出具となる床土繰出ベルト55と、育苗箱2上で溢れる床土を均す均平具となる均平ブラシ19と、育苗箱2内に突入して床土を鎮圧する床土鎮圧具となる床土鎮圧ローラ57と、床土繰出ベルト55上の隙間を調節して床土の繰出量を変更調節する床土量調節具となる床土量調節レバーを備え、床土繰出ベルト55が床土を供給する搬送経路3上の床土詰位置の搬送下手側に均平ブラシ19が位置し、均平ブラシ19の搬送下手側に床土鎮圧ローラ57が位置する。
床土詰装置6の伝動構成について説明すると、床土繰出モータ20により床土繰出ベルト55が駆動し、該床土繰出ベルト55から歯車伝動機構を介して均平ブラシ19が駆動する。また、床土詰搬送モータ21に設けた出力スプロケット97から搬送伝動チェーン59を介して駆動スプロケット60へ伝動し、該駆動スプロケット60と一体回転する搬送下手側のローラ61により床土詰部搬送コンベア17を駆動する。なお、均平ブラシ19と床土繰出ベルト55とが互いに逆方向に回転する構成としている。
なお、床土繰出モータ20又は床土詰搬送モータ21の一方の駆動で、床土繰出ベルト55と均平ブラシ19と床土詰部搬送コンベア17へ伝動する構成としてもよい。
播種装置7は、図6に示すとおり、種子タンク68の下部に調節板68bを設けて、種子を所定量ずつ流下口に繰り出し、反時計方向に回転する播種繰出ローラ69の凹溝に種子を取り込み、播種繰出ローラ69の表面に付着した余分の種子を第1ブラシ68dにより落下させる構成とする。該播種繰出ローラ69の外周縁部には、苗トレイ2の床土に接触して種子が入り込む穴開け突起部69a…が、左右方向の所定間隔毎で、且つ円周方向の所定間隔毎に形成される。左右方向の所定間隔、及び円周方向の所定間隔は、苗トレイ2を構成する複数の育苗セル121の左右方向の所定間隔、及び円周方向の所定間隔に対応するものとする。
そして、播種繰出ローラ69の上部には回転ブラシ68eをバネにより弾圧的に圧接し、播種繰出ローラ69の凹溝から溢れた種子を除去して種子収容タンク68fに回収し、播種繰出ローラ69の下方に回転した凹溝から搬送中の苗トレイ2の床土に播種する構成としている。
また、播種繰出ローラ69の播種位置から種子取り込み位置までの間に固定状の落下ブラシ70を設け、播種できなかった種子を苗トレイ2の床土上に掻き落とし、播種精度の向上と湿った種子の播種精度の向上を図る。
また、図7に示すとおり、播種繰出ローラ69の播種位置から種子取り込み位置までの間に回転する第2落下ブラシ68gを設け、播種繰出ローラ69の外周部に第2落下ブラシ68gの外周部を接触させて、播種繰出ローラ69により第2落下ブラシ68gを回転させながら播種残りの種子を落下するように構成してもよい。
また、播種装置7は、播種繰出ローラ69に臨む種子タンク68の出口の隙間を調節して播種繰出ローラ69への種子の供給状態を変更調節する種子供給調節具となる種子供給調節ハンドル72を備える。
よって、該種子供給調節ハンドル72で調節される種子タンク68の出口から播種繰出ローラ69の繰出溝に種子が供給され、播種繰出ローラ69の回転により該繰出溝が上方へ移動することにより該繰出溝で所定量の種子を移送し、芒、枝梗が付いた種子や芽の伸び過ぎた種子等の播種に不適な種子を繰出溝から除去し、該繰出溝は播種繰出ローラ69の回転により下方へ移動してその下死点位置(播種位置H)で育苗箱2に種子を落下供給する構成となっている。
なお、一般的に播種繰出ローラ69の繰出溝は、左右方向(播種繰出ローラ69の回転軸心方向)に長い溝で播種繰出ローラ69の外周に複数配列された構成となっている。種籾の長手方向(長径部)が育苗箱2の長手方向に向くべく、種籾の向きを揃えて育苗箱2へ播種する際は、播種繰出ローラ69の繰出溝を、前後方向(播種繰出ローラ69の回転外周方向)に長い溝で左右に複数配列した構成とすれば、種籾の長手方向(長径部)が繰出溝の方向(前後方向)に沿い、所望の向きで種籾を播種できる。
また、播種直後に種籾を床土に軽く押し付ける際は、押付ローラを播種位置Hの直後に設け、押付ローラにより種籾を押し付ける構成とすればよい。
播種装置7の伝動構成について説明すると、播種モータ65に設けた出力スプロケット66から繰出伝動チェーン67を介して播種繰出ローラ69へ伝動され、前記出力スプロケット66から第一除去チェーン73及び第二除去チェーン74を介して除去ブラシ70へ伝動され、前記出力スプロケット66から搬送伝動チェーン71を介して播種部搬送コンベア18の搬送下手側のローラ75へ伝動し、該搬送下手側のローラ75からチェーン77を介して搬送上手側のローラ76へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ76と搬送下手側のローラ75の間に、播種繰出ローラ69が種子を繰り出して供給する播種位置Hがある。尚、除去ブラシ70及び播種部搬送コンベア18と播種繰出ローラ69とが互いに逆方向に回転するべく、第一除去チェーン73と搬送伝動チェーン71を側面視で交差するように巻き掛けている。尚、播種繰出ローラ69の外周部において除去ブラシ70の位置と播種位置との間には、繰出溝から種子が脱落しないように該繰出溝を覆うガイド体を設けている。
覆土装置8は、覆土となる培土Sを貯留する覆土タンク84と、該覆土タンク84内の覆土を所定量ずつ繰り出して育苗箱2へ落下させて覆土位置で供給する覆土繰出具となる覆土繰出ベルト85と、育苗箱2上で溢れる覆土を均す均平具となる均平板86と、覆土繰出ベルト85上の隙間を調節して覆土の繰出量を変更調節する覆土量調節具となる覆土量調節レバーとを備え、覆土繰出ベルト85が覆土を供給する搬送経路3上の覆土位置の搬送下手側に均平板86が位置する。覆土装置8の伝動構成について説明すると、覆土モータ78により覆土繰出ベルト85が駆動し、覆土モータ78に設けた出力スプロケット79から搬送伝動チェーン80を介して覆土部搬送コンベア28の搬送下手側のローラ81へ伝動し、該搬送下手側のローラ81からチェーン98を介して搬送上手側のローラ82へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ82と搬送下手側のローラ81の間に、覆土位置がある。尚、覆土繰出ベルト85と覆土部搬送コンベア28とが互いに逆方向に回転するべく、搬送伝動チェーン80を側面視で交差するように巻き掛けている。
覆土装置8の前側の脚部10には、育苗箱搬送コンベアを手動で回転させるための操作具となる手動搬送ハンドル92をフック93を介して保持している。この手動搬送ハンドル92により、播種装置7で播種をしている途中で故障で播種機1が停止したときや播種作業を終了するために播種機1を停止させたとき、手動で育苗箱2を搬送して該育苗箱2を播種機1から容易に取り出すことができる。
灌水装置29は、灌水部コンベア63の上側に設けられ、灌水部コンベア63の左右の搬送ガイド15から各々立ち上がる左右の支持フレーム100を設け、左右に配列される複数のノズルを備える左右に延びる灌水パイプ99を、左右の支持フレーム100で両持ち支持している。該灌水パイプ99すなわち灌水位置は、灌水部コンベア63の搬送上手寄りの位置に配置されている。
床土詰前コンベア62及び灌水部コンベア63及び覆土前コンベア64及び育苗箱取出コンベア75の各々のコンベアは、左右の搬送ガイド15の前後端部で搬送上手側及び搬送下手側の装置に嵌る嵌合部材101により、播種機1本体に対して独立して個別に着脱可能に設けられている。従って、灌水部コンベア63を播種装置7と覆土装置8の間に組み付けることにより、播種装置7と覆土装置8の間に灌水装置29を配置することができる。あるいは、灌水部コンベア63を覆土装置8の後側に組み付けることにより、覆土後に灌水する構成とすることもできる。
播種装置7と覆土装置8の間に灌水装置29を配置する際は、灌水装置29と覆土装置8の間隔が十分に得られるように、覆土前コンベア64を灌水部コンベア63の後側に組み付けたり、灌水装置29の後側に組み付けられる覆土前コンベア64を長いコンベアに交換したりすることが望ましい。これにより、床土に吸水性の悪い田土を使用しても、灌水装置29の灌水を床土に浸透させることができ、床土の上面の水がひいた状態で覆土できるので、播種した種籾が酸素欠乏状態になりにくく、安定した発芽率が得られる。また、覆土前コンベア64を非駆動のローラで構成し、この非駆動のローラを任意の位置に組み付けできる構成とすることにより、覆土前コンベア64を伸縮できる構成としてもよい。尚、床土詰装置6と播種装置7の間に灌水装置29を配置する際は、上述と同様の理由から、灌水装置29と播種装置7の間のコンベアを長くすることが望ましい。
なお、種子タンク68の上端の開口より覆土タンク84の上端の開口を低位に設け、覆土タンク84の上端の開口より床土タンク54の上端の開口を低位に設けている。これにより、使用量が多いため作業者が頻繁に床土タンク54へスコップで床土を供給しなければならないが、この床土供給作業を低位で容易に行え、次いで供給頻度が高い覆土タンク84への覆土供給作業を容易に行える。しかも、種子タンク68の上端の開口が高位となるので、床土供給作業又は覆土供給作業を行うとき、誤って種子タンク68へ床土又は覆土を供給するようなことを防止でき、土が供給されることで播種装置7が故障するようなことを防止できる。
床土タンク54は変形可能なゴム製の弾性体113を介して支持されており、作業者が床土を供給する度にその重みで揺れる構成となっている。これにより、床土タンク54内での床土のブリッジ現象を防止でき、特に水田の土壌等、ブリッジ現象を生じ易い土壌を床土として使用するとき、床土の繰り出しを適正に行える。尚、作業者がスコップ等で床土タンク54に触れることで、床土タンク54を揺らすこともできる。
また、左右幅がコンベアの左右幅より小さい(30cm未満の)育苗箱110に播種作業を行うときは、図2に示すように、コンベアの左右一方側にコンベア搬送方向の適宜間隔で複数の規制ガイド112を取り付け、コンベア上の育苗箱110の左右位置を規制するようにすればよい。このとき、播種装置7で繰り出される種子が前記左右一方側の部分で無駄になるので、この種子を受ける受け容器111を播種装置7下方で前記左右一方側の位置に配置すればよい。
水稲等の苗の移植作業において、コストダウンをはかるべく、苗同士の植付間隔(株間)を広くして面積当たりの苗の植付本数を減らす、所謂疎植という作業方法がある。
これに加えて、育苗箱一箱当たりの苗の植生密度を高め、苗の移植作業時に用意する育苗箱の数を減らし、育苗箱の購入数や圃場への育苗箱の輸送量等を減らすと共に、播種作業量や苗移植機への苗の積込作業量の削減による人件費を削減する方法として、密播という育苗方法がある。
密播は、地域によって育苗箱1箱当たりの慣行播種量が異なることはあるが、おおよそ慣行播種量に比べて50%程度多い播種量となる(例:慣行播種量160g/箱、密播播種量240g/箱)。
密播では播種量が増えるので、そのままでは培土に含まれる肥料や薬剤が従来よりも早く消費され、苗の移植適期が従来よりも早く、且つ短くなる。これにより、移植作業、及び移植後の作業計画を変更する必要が生じ、その分作業者が余分な作業を行う必要があると共に、変更された計画に対応できず、苗の生育後の作物の品質や収量を低下させるおそれがある。また、肥料不足により生育不良が生じる問題がある。
培土に供給する肥料や薬剤の量を増やせば、移植適期の変化や生育不良の発生を防止できるが、培土中に吸収可能な肥料があると、苗は際限なく肥料を吸収して成長するので、移植適期には育ち過ぎた徒長苗となり、植え付けた苗が倒れやすくなり、コンバイン等での収穫時に余分な作業時間が発生すると共に、作物の品質や収量が低下する問題が生じる。
また、供給する薬剤の量を増やすと、圃場に移植された際に薬剤成分が圃場に蓄積し、土質を変えたり、周囲の水を汚染する問題や、コストが増大する問題がある。
これに加えて、密播では苗一株当たりの植生スペースが従来よりも狭くなるので、根部の張りが弱く、圃場に植え付けた際に根部が活着しにくいという問題がある。
上記の問題に対応する改良を加えた密播方法について、下記のとおり説明する。
図8のグラフで示すとおり、育苗箱2に投入する培土Sは、山土を篩い選別して殺菌した土砂と、細孔を有する多孔質の炭素質物質であるヤシガラCと、苗の発芽から生育に必要な第1肥料P、例えばリン酸塩Pを混ぜて作成する。このとき、ヤシガラCを重量比で培土Sの50%以上を占める量とする。また、第1肥料Pは重過リン酸石灰等の水溶性のリン酸塩Pを水に溶かした溶液を用いる。なお、リン酸塩Pの養液は、培土S1リットルにつきリン酸塩Pが2000mg以上含有される量を供給するものとする。なお、図8に示す培土S、ヤシガラC及び肥料の比率はあくまで一例であり、上記の条件を満たす範囲内で比率を変更し、苗の種類や移植時期等に合わせることが可能である。
多孔質である前記ヤシガラCを含む培土Sは吸水性が高く且つ撥水性が低いので、リン酸塩Pの溶液は培土Sから蒸発しにくく、種子が成長する際に十分なリン酸塩Pを吸収できる。該リン酸塩Pは、苗の根部の成長を促す成分の一つであり、リン酸塩Pが培土S中に適量存在することにより、密播であっても根部を強く成長させることができる。
これにより、苗を圃場に移植した際に根部が活着しにくく、苗の成長が遅れて作業計画が乱れることや、養分を十分に吸収できず、作物の品質や収量が低下することが防止される。
なお、栽培する作物の種類や移植する圃場の性質等の条件により、培土SにヤシガラCを使用できないときは、培土S1リットル当たりのリン酸塩Pの含有量を増やし、水の蒸発等の影響で失われるリン酸塩Pを補う方法がある。このときのリン酸塩Pの含有量は、作物の種類や季節、培土Sの構成成分等の条件にもよるが、培土S1リットル当たり3000〜8000mg以上とすると、根部の強化作用を得やすくなる。
そして、養分不足を防止しつつ、養分を短期間に過剰に吸収することによる苗の徒長を防止すべく、即効性の第1肥料Pである前記リン酸塩Pに加えて、緩効性の第2肥料Fを施肥する。
該第2肥料Fは、図9に示すとおり、培土Sに含まれる第1肥料Pが尽きる時期まで土中に流出しないよう、ウレタン樹脂等のコーティング剤Uで覆われたコート肥料F1を用いる。コート肥料F1のコーティング剤Uが減少して肥料が溶出する時期を適正化すべく、コート肥料F1は施肥から50〜120日後に溶出量が急激に増加する、所謂シグモイド型のものを用いる。
あるいは、図10(a)(b)で示すとおり、苗の根部から分泌される根酸に含まれるクエン酸濃度が所定濃度(約2%)を超えると溶け始め、苗が緩やかに吸収可能になる、く溶性を有する熔リンF2を用いる。該熔リンF2は、水には溶けにくいので、圃場内の水の出入で流失しにくく、且つ施肥量が適切であれば土中に残留しにくい。また、中性に近いので、土壌の性質を変えにくい性質を有する。
これにより、コート肥料F1または熔リンF2は、苗がある程度成長するまでは吸収できない状態が維持されるので、苗が短期間で過剰に肥料を吸収して徒長苗になることが防止される。これにより、苗の倒伏が防止され、コンバイン等での収穫作業を能率的に行うことができると共に、作物の品質や収量の低下が防止される。
また、培土Sの養分が不足し、苗の生育不良が発生することを防止できるので、作物の品質や収量の低下が防止されると共に、作業計画が乱れることが防止される。
前記コート肥料F1または熔リンF2等の肥料Fは、前記培土Sや種子と共に育苗箱2に投入する。該肥料Fは、苗の種類や地域の気候等の条件に合わせて量を調整する。
例えば、低温に強い苗や、植付作業時期が温暖な地域では、丈が短く葉数の少ない稚苗の段階で圃場に移植するので、第2肥料Fは第1肥料Pに比べて少量でよい。該第2肥料Fを過剰に供給すると、第2肥料Fを含んだ苗の床土が圃場内に入り込むので、圃場内の養分が過剰になり、苗の徒長が発生し、倒伏による収穫作業能率の低下や、肥料過多により収穫物の品質が低下する問題が生じる。
なお、苗を圃場に植え付ける際、田植機等の苗移植機には施肥装置を設け、苗の植付位置の傍に圃場内での生育用の肥料を供給する。また、苗の成長に合わせて、移植後にも肥料を追加する作業、所謂追肥が行われる。よって、育苗箱2には、移植前の生育に必要な肥料が足りていればよいことになる。
上記の場合、育苗箱2には、種子の投入量の約10分の1から約5分の1(種子の投入量を240gとすると、24〜48g)の第2肥料Fを供給する。
これにより、第2肥料Fは移植時期までに苗の成長に使われてほぼ無くなるので、圃場に移植される際、苗の周囲に残る培土Sから養分が圃場内に溶出せず、肥料過多による収穫物の品質の低下が防止されると共に、徒長による倒伏が生じにくく、コンバイン等での収穫作業の能率が向上する。
一方、低温に弱い苗や、植付作業時期が寒冷な地域では、丈が長く葉数の多い中苗の段階で圃場に移植する必要があるので、第2肥料Fを多く供給する必要がある。
上記の場合、育苗箱2には、種子の投入量の約4分の1から約2分の1(種子の投入量を240gとすると、60〜120g)の第2肥料Fを供給する。
これにより、第1肥料Pが消費されても十分な養分が培土S中に存在するので、中苗に成長するまでに養分が不足することがなく、生育不良により移植作業の時期が遅れ、計画通りの栽培作業が行えず、作物の品質や収量が低下することを防止できる。
また、苗が十分に成長した段階で圃場に移植されることにより、気温や水温が一時的に低くなっても生育に影響が生じにくくなるので、作物の品質や収量の低下が防止される。
上記の第2肥料Fを供給する施肥機90は、播種機1による育苗箱2の搬送経路上に設ける。該施肥機90は、供給する第2肥料Fや、育苗箱2に播種する種子の種類によって、配置する位置を変更する。
例えば、第2肥料Fが比較的少量の水やクエン酸で溶出する状態になるものや、コーティング剤Uが薄いものであるときや、種子の播種位置にムラが生じると発芽や苗の生育に影響が出やすい種類であるときは、図12に示すとおり、施肥装置90を床土詰装置6よりも搬送方向上手側に設け、図11(a)に示すとおり、最初に育苗箱2に第2肥料Fを供給する。
これにより、第2肥料Fは育苗箱2の底部に位置するので、肥料成分が早期に溶出しても床土の底に溜まるだけであり、苗の根部が長く伸びるまでは吸収されることがなく、肥料過多による苗の徒長や、肥料焼けによる苗の立ち枯れを防止できる。
また、第2肥料Fの粒が大きくても、床土の底部に位置することにより、播種される表層側に凹凸を生じさせることが無く、播種位置や播種深さを適切にすることができ、発芽や生育の安定が図られる。
上記の第2肥料Fの供給位置の問題点として、育苗箱2に比較的粒の大きい第2肥料Fを最初に供給するので、落下時に第2肥料Fがバウンドしたり転がったりして、肥料の供給位置に偏りが生じやすい、というものがある。
苗の根部が成長したとき、できるだけ均等に第2肥料Fを吸収させるには、図13で示すとおり、前記施肥装置90を床土詰装置6よりも搬送方向下手側で、且つ灌水装置29よりも搬送方向上手側に配置し、灌水前の床土の上に第2肥料Fを施肥するとよい。図11(b)に示すとおり、床土を育苗箱2に敷設しておくと、施肥装置90から第2肥料Fが落下してきても、落下の衝撃を床土が吸収するので、第2肥料Fのバウンドが防止される。
また、床土が第2肥料Fの移動抵抗になるので、育苗箱2が搬送による振動が加わっても第2肥料Fが転がりにくくなる。さらに、落下の衝撃でコーティング剤Uが割れて剥がれることを防止できるので、第2肥料Fが作用し始める時期が早くなることが防止される。
これにより、育苗箱2内の第2肥料Fの分布が均等になるので、肥料の過不足により苗の生育に大きな差が生じることを防止できる。したがって、苗が低温の影響で枯れることや、倒伏することが防止される。
なお、この構成では施肥後に潅水装置29から水が供給されるので、第2肥料F、またはコーティング剤Uはク溶性を有するもの等を用い、水の供給に対応させる必要がある。
しかしながら、潅水装置29から供給される水が第2肥料Fに直接当たると、水の勢いで第2肥料Fの位置が変化し、肥料の供給位置にムラが生じる問題が生じ得る。
より高い施肥精度を得るには、図14に示すとおり、前記施肥装置90を床土詰装置6及び灌水装置29よりも搬送方向下手側で、且つ播種装置7よりも搬送方向上手側に配置し、灌水後で且つ播種前に第2肥料Fを施肥するとよい。
灌水後に第2肥料Fを施肥することにより、第2肥料Fの位置に偏りが一層生じにくくなる。また、流水を第2肥料Fに接触させないことにより、第2肥料Fの成分やコーティング剤Uが溶出することが防止される。
上記の例では、第2肥料Fは投入される種子と接触することになるが、種子が大粒、あるいは重いものであると、接触された第2肥料Fが移動する可能性があり、第2肥料Fの施肥位置にムラが生じる可能性がある。
これを防止するには、図15に示すとおり、前記播種機1の搬送方向において、覆土装置8よりも搬送方向下手側に配置し、図11(c)に示すとおり、覆土後に第2肥料Fを施肥するとよい。
覆土後に第2肥料Fを施肥することにより、第2肥料Fと種子の接触を防止できるので、第2肥料Fの施肥位置に偏りが生じることが防止される。
なお、第2肥料Fは覆土の表面に留まるので、空気中の水分による溶出や、空気との接触により成分が変質しにくいものを用いる必要がある。
上記の方法により、育苗箱2に播種された種子は、栽培方法さえ適切であれば、圃場への移植に適した苗に成長する。しかしながら、密播においては、培土Sの土中における苗一株当たりのスペースが小さくなるので、葉部に対して根部の成長が不足していることがある。
成長不足の根部は、圃場に移植された後で低温が続くと活着が遅れ、生育が遅くなることや、立ち枯れてしまうことがある。また、強風が吹くと、苗が流されてしまい、苗が植え付けられていない箇所が生汁問題がある。さらに、流された苗が別の場所で活着すると、苗の植付間隔が他の箇所と著しく異なる箇所が生じる。植付間隔に著しい違いがあると、養分を周囲と取り合って生育が遅くなる、風通しが悪くなり病害虫が付きやすくなる、収穫時に刈り取りにくい箇所が発生する、といった問題が生じる。
上記の問題の発生を防止するには、密播で生育させた苗を移植する圃場のリン酸成分を充実される必要がある。
したがって、代掻き作業を行う前に、トラクタ等の作業車に施肥装置を装着し、リン酸塩Pを圃場に供給しておく。このリン酸塩Pは水溶性とし、代掻き時に圃場に水を取り入れることにより、土中に浸透するものとする。
なお、リン酸塩Pの供給量は、10アールにつき1kg以上散布することが望ましいが、圃場内にリン酸塩Pが蓄積していると過剰供給になるおそれがあるので、事前に圃場内のリン酸塩Pの含有量を測定し、使用量を調整するとよい。
なお、図16に示すとおり、リン酸塩Pに加えて、マグネシウムMを含む苦土石灰等を同時に供給すると、マグネシウムMがリン酸塩Pの吸収を促進するので、苗の活着が促進される。マグネシウムMは、苗の光合成や、他の肥料成分(ケイ酸塩等)の吸収の促進にも必要な成分であり、リン酸塩Pと同程度、あるいはリン酸塩Pの使用量よりも多く供給することが望ましい。
リン酸塩P及びマグネシウムMの供給は、田植機で苗を移植する際、田植機に搭載する施肥装置から行ってもよい。
あるいは、移植作業の前に育苗箱2にリン酸塩P及びマグネシウムMを供給しておいてもよい。このとき、リン酸塩Pは、1箱当たり100〜150g程度供給するとよい。
上記は、水田圃場に移植する水稲に関するものである。水田圃場は、水稲の苗の生育に合わせて水を排出するので、水稲が消費せず、少量残っているリン酸塩P等の成分は、この時一緒に排出される。したがって、圃場内にリン酸塩P等の成分が多く残りにくく、次回の作業時にほぼ同量の養分を供給しても、肥料過多による問題は発生しにくい。
一方、畑作圃場では、基本的に水を圃場内に張ることはないので、作物が生育に消費しなかった養分は、圃場内に殆どが残留する。こうした養分は、圃場に移植した野菜の苗が肥料不足で生育不良を起こさないよう、多めに施肥をすることで生じやすい。
この問題の発生を防止するには、苗を移植する際、苗と共に植え付けられる培土Sに含まれるリン酸塩Pを多くし、植付後の施肥量を減らすとよい。
図16に示すとおり、リン酸塩Pが多い培土Sを作成するときは、培土Sに、水溶性が高く即効性のある重過リン酸石灰と、水に溶けにくく緩効性である熔リンを混合したものをリン酸添加剤として加えると共に、窒素成分N及びカリウム成分Kを加える。
前記リン酸添加剤は、培土Sの1リットル当たり50000mg以上添加し、窒素成分及びカリウム成分は、1リットル当たり80〜800mg以上を添加する。このとき、培土Sを構成する土砂については、重量比で40%を超える量とすることが望ましい。
これにより、培土S内のリン酸塩Pを多くすることができるので、苗の移植後の施肥量を減らしても、苗は培土S内のリン酸塩P等の養分を吸収することができるので、肥料不足による生育不良が防止される。
また、土中に肥料成分が残留することが防止され、肥料過多による徒長や収穫物の品質低下が防止されると共に、肥料の使用量の軽減が図られる。
1 播種機
2 育苗箱
6 床土詰装置
7 播種装置
8 覆土装置
29 灌水装置
90 施肥装置
C ヤシガラ(炭素質)
F 第2肥料(肥料)
F1 コート肥料
F2 熔リン
M マグネシウム
P リン酸塩(培養肥料)
S 培土

Claims (4)

  1. 苗を育てる育苗箱(2)に即効性の培養肥料(P)を含む培土(S)を投入し、この培土(S)に種子と肥料(F)を投入して行う育苗方法において、
    種子は、植生密度が高くなる所定重量以上を投入し、肥料(F)は、ウレタン樹脂等のコーティング剤(U)により施肥から所定期間が経過してから溶出量が急激に増加するシグモイド型のコート肥料とし、
    前記肥料(F)は、重量比で種子の投入量の約2分の1から約10分の1となる量を投入するものとし、
    前記培土(S)には、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を、前記培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量含有させると共に、
    前記育苗箱(2)の搬送、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰めと覆土、種子の播種、肥料(F)の施肥、並びに灌水は播種機(1)を用いて行うものとし、
    前記肥料(F)を施肥する施肥装置(90)は、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰め行う床土詰装置(6)の搬送方向下手側に配置し、前記育苗箱(2)に敷設された床土の上に肥料(F)が投入されることを特徴とする育苗方法。
  2. 苗を育てる育苗箱(2)に即効性の培養肥料(P)を含む培土(S)を投入し、この培土(S)に種子と肥料(F)を投入して行う育苗方法において、
    種子は、植生密度が高くなる所定重量以上を投入し、肥料(F)は、ウレタン樹脂等のコーティング剤(U)により施肥から所定期間が経過してから溶出量が急激に増加するシグモイド型のコート肥料とし、
    前記肥料(F)は、重量比で種子の投入量の約2分の1から約10分の1となる量を投入するものとし、
    前記培土(S)には、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を、前記培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量含有させると共に、
    前記育苗箱(2)の搬送、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰めと覆土、種子の播種、肥料(F)の施肥、並びに灌水は播種機(1)を用いて行うものとし、
    前記肥料(F)を施肥する施肥装置(90)は、育苗箱(2)に灌水する灌水装置(29)の搬送方向下手側で、且つ灌水後の育苗箱(2)に種子を播種する播種装置(7)の搬送方向上手側に配置し、
    灌水後に前記肥料(F)が育苗箱(2)に投入されることを特徴とする育苗方法。
  3. 苗を育てる育苗箱(2)に即効性の培養肥料(P)を含む培土(S)を投入し、この培土(S)に種子と肥料(F)を投入して行う育苗方法において、
    種子は、植生密度が高くなる所定重量以上を投入し、肥料(F)は、ウレタン樹脂等のコーティング剤(U)により施肥から所定期間が経過してから溶出量が急激に増加するシグモイド型のコート肥料とし、
    前記肥料(F)は、重量比で種子の投入量の約2分の1から約10分の1となる量を投入するものとし、
    前記培土(S)には、マグネシウム(M)を含む苦土石灰を、前記培養肥料(P)の投入量と少なくとも同量含有させると共に、
    前記育苗箱(2)の搬送、育苗箱(2)への培土(S)の床土詰めと覆土、種子の播種、肥料(F)の施肥、並びに灌水は播種機(1)を用いて行うものとし、
    播種後に前記培土(S)により種子を埋没させる覆土装置(8)の搬送方向下手側に前記肥料(F)を施肥する施肥装置(90)を配置し、
    覆土後に前記肥料(F)が育苗箱(2)に投入されることを特徴とする育苗方法。
  4. 前記培土(S)は、前記培養肥料(P)と、土砂と、多孔質であるヤシガラ等の炭素質(C)を混和して作成し、
    該炭素質(C)の配合比率は、重量比で培土(S)の半分以上とし、前記培養肥料(P)は、培土(S)1リットルにつき2000mg以上が配合される量を混入することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の育苗方法。
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