JP2014027042A - 液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料、金属−液晶ポリマー複合体及びその製造方法、並びに、電子部品 - Google Patents

液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料、金属−液晶ポリマー複合体及びその製造方法、並びに、電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶ポリマーと良好な密着力で接合する表面を有する金属材料、金属−液晶ポリマー複合体及びその製造方法、並びに、電子部品を提供する。
【解決手段】 液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料であり、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%以上、Nが1.5at%以上で検出される金属材料。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料、金属−液晶ポリマー複合体及びその製造方法、並びに、電子部品に関する。
近年、省エネ、低コスト化の観点からLEDの普及が進行している。LEDの発光素子から放たれる光を最大限利用するために、素子を搭載する電極にはAgを主成分とした白色めっきが施されている。耐硫化性や低コスト化の観点から純AgめっきではなくInやSnをはじめとした合金めっきが開発されている。
また、LED素子を封止材で封止するために形成されるボディケースは高耐熱性のナイロンを射出成形して形成される。このボディケース用の樹脂としては例えば芳香族ポリアミドのアモデル(登録商標)がある。
また、電子機器で取り扱う信号は高周波数帯であることが多く、例えば、タンタルコンデンサは電源平滑用やノイズ除去のバイパスコンデンサとして用いられる。このタンタルコンデンサは陰極端子、陽極端子、及び、Agペーストで覆われたコンデンサ本体をエポキシ樹脂で覆うことで構成されている。タンタルコンデンサでは誘電率が高い酸化タンタルが誘電体として用いられている。さらに、最近では酸化タンタルよりも誘電率が高い酸化ニオブを誘電体としたニオブコンデンサが注目を集めている。
このような技術として、例えば、特許文献1には、高反射率に加え、製造性に優れたLED用リードフレームの表面処理技術が開示されている。また、特許文献2にはエポキシ樹脂を封止剤としたタンタルコンデンサが、特許文献3にはニオブコンデンサが開示されている。
特開2012−89638号公報 特許3700771号公報 特許4817468号公報
LEDのケースボディで使用されるアモデルに代表される芳香族ポリアミドは、流動性に劣り、ケースボディの射出成形に問題があった。これに対し、本発明者は、芳香族ポリアミドを液晶ポリマーに代えると流動性が増すため、ケースボディの射出成形が容易になることを見出した。また、液晶ポリマー自体が白いので、白色の電極とあわせてよりLED素子の白色光をより効率よく放つことが可能となる。
また、タンタルコンデンサのカバーに使用されているエポキシ樹脂は硬化剤を混ぜ合わせなければならないので、樹脂の調合工程が必要であるが、このエポキシ樹脂を液晶ポリマーとすれば、調合工程を省くことが可能となる。
一方、Agめっきをはじめとした白色めっきをした電極に液晶ポリマーを射出成形すると、電極表面と液晶ポリマーの密着性が低いためか、隙間ができてしまい、このようなケースボディに封止樹脂を充填しても隙間から封止樹脂が漏れてしまう問題を発見した。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、液晶ポリマーと良好な密着力で接合する表面を有する金属材料、金属−液晶ポリマー複合体及びその製造方法、並びに、電子部品を提供することを課題とする。
電極、端子の表面処理は、反射率、耐硫化性等、様々な特性に合わせて最適化されていることが多い。そこで、本発明者は、鋭意検討の結果、これらの表面処理を生かしつつ、液晶ポリマーとの密着力を向上させる手段として、金属側をカップリング剤処理することに着目した。
カップリング剤の主成分元素としてはSi、Ti、Zr、Al、Sn、Ceがあるが、安定性の観点から、Si、Tiが望ましい。また、分子内に窒素を含む官能基を有していると、金属材料の、液晶ポリマーとの密着力が向上することを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料であり、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%以上、Nが1.5at%以上で検出される金属材料である。
本発明に係る金属材料は一実施形態において、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が1.0at%以上、Nが2.5at%以上で検出される。
本発明に係る金属材料は別の一実施形態において、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が2.0at%以上、Nが2.5at%以上で検出される。
本発明に係る金属材料は更に別の一実施形態において、前記表面のSi、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceの下方に、Cu、Al、Cr、Ag、Ni、In、Snのいずれか1種以上の金属又はその酸化物の層を有する。
本発明は別の一側面において、本発明の金属材料の前記表面に液晶ポリマーが接合されてなる金属−液晶ポリマー複合体である。
本発明は更に別の一側面において、窒素を分子内に含有するシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、マグネシウムカップリング剤、スズカップリング剤、セリウムカップリング剤のいずれかで金属材料に表面処理を施し、前記金属材料の処理面に液晶ポリマーを圧着又は射出成形で接合させる、金属−液晶ポリマー複合体の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の金属−液晶ポリマー複合体を備えた電子部品である。
本発明に係る電子部品は一実施形態において、前記金属材料が白色めっきをしたリードフレームであり、液晶ポリマーと接合させるための前記金属材料の表面が、前記リードフレームの白色めっき表面に窒素を分子内に有するカップリング剤処理で形成されており、前記リードフレームをケース電極とし、前記ケース電極上にLEDチップが実装され、前記チップが周辺を前記液晶ポリマーからなるケースボディで覆われ、前記ケースボディ内に蛍光体を含有する封止樹脂が充填されることで構成されたLEDパッケージである。
本発明に係る電子部品は別の一実施形態において、前記金属材料が陰極端子、陽極端子、及び、最表層が金属ペーストで覆われたコンデンサ本体の一部または全部であり、前記陰極端子、前記陽極端子、及び、前記コンデンサ本体が液晶ポリマーで覆われて構成された、アルミ、タンタル及びニオブのうちいずれかのコンデンサである。
本発明に係る電子部品は更に別の一実施形態において、前記液晶ポリマーは、前記金属材料との熱膨張係数の差が±10ppm/℃である。
本発明によれば、液晶ポリマーと良好な密着力で接合する表面を有する金属材料、金属−液晶ポリマー複合体及びその製造方法、並びに、電子部品を提供することができる。また、本発明によれば、銅箔と絶縁基板との密着力向上に利用される粗面化処理を行うことなく、LCPと金属材料の密着力を確保できるので、製造工程の観点からもメリットがある。
本発明のLEDパッケージの断面模式図を示す。 本発明のタンタルコンデンサの断面模式図を示す。 実施例4及び比較例4の、Nの1s軌道から放出された光電子スペクトルを示す。 実施例4及び比較例4の、Siの2s軌道から放出された光電子スペクトルを示す。
(金属材料)
本発明に係る金属材料は、液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料であり、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%以上、Nが1.5at%以上で検出される。本発明に係る金属材料はこのような表面を有していれば特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(5)で示す構成のいずれかであってもよい。
(1)金属基材+金属基材の酸化物層+シラン層
(2)金属基材+めっき層+シラン層
(3)金属基材+めっき層+めっき層の酸化物層+シラン層
(4)金属基材+金属基材の酸化物層+めっき層+シラン層
(5)金属基材+金属基材の酸化物層+めっき層+めっき層の酸化物層+シラン層
すなわち、本発明に係る金属材料は、(1)〜(5)で示す構成のように、金属基材上には、直接、めっき層及び/又はシラン層が形成されていてもよく、金属基材の酸化により酸化物層が形成された後に、めっき層及び/又はシラン層が形成されていてもよい。また、めっき層上には、直接シラン層が形成されていてもよく、めっき層の酸化により酸化物層が形成された後に、シラン層が形成されていてもよい。
金属基材としては、特に限定されないが、例えば、銅、チタン、銅合金又はチタン合金等が挙げられる。このうち、銅又は銅合金は、導電性が高い、展延性に富む、及び、ばね特性が良好という利点を有する。
めっき層としては、特に限定されないが、例えば、銀層、銀と同じく白色のNiやSnやIn等との銀合金層、Ag層と別の金属層または合金層との複層構造等が挙げられる。
シラン層は、窒素を分子内に含有するシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、マグネシウムカップリング剤、スズカップリング剤、セリウムカップリング剤等で金属材料に表面処理することで形成される。
本発明の金属材料は、液晶ポリマーと接合させるための表面を有し、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%以上、Nが1.5at%以上で検出される。
このような構成によれば、金属材料とLCPとの密着力が十分に確保される。Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceはカップリング剤の中心元素であるのが好ましい。Nはカップリング剤の官能基であるのが好ましい。Nを含有するカップリング剤としては、例えばシランカップリング剤であれば、アミノシランカップリング剤、イソシアネートカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、イミダゾールシランカップリング剤である。特に安価で調達が容易なアミノシランカップリング剤が好ましい。カップリング剤であれば金属材料表面には高々数層しか存在しないので、すでにめっきで金属材料に付与された高反射率、耐硫化性等の特性を損なうことはない。また、本発明によれば、銅箔と絶縁基板との密着力向上に利用される粗面化処理を行うことなく、LCPと金属材料の密着力を確保できるので、製造工程の観点からもメリットがある。
例えば、LEDのリードフレーム材用の金属材料の場合、より多くの光が反射して明るくなるように、すなわち反射率を高くするために、背景の部材は白いことが望ましい。リードフレーム材ではこの反射率を上げるために銀系のめっきが施される。このリードフレーム材は反射率に加えて耐硫化性も求められるため、めっき層を合金化する、或いは複層化する等、種々の観点から金属材料表面が最適化されている。このように既に最適化された表面にシラン処理を行うことで、本発明の金属材料を作製することができ、金属材料に付与された特性を維持したまま、液晶ポリマーとの密着力を向上させることができる。
また、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が1.0at%以上、Nが2.5at%以上で検出されるのが好ましく、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が2.0at%以上、Nが2.5at%以上で検出されるのがより好ましい。
本発明の金属材料は、前記表面のSi、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceの下方に、Cu、Al、Cr、Ag、Ni、In、Snのいずれか1種以上の金属又はその酸化物の層を有するのが好ましい。
このような構成によれば、Cu、Alをはじめとした金属素地、さらにこれらに低接触抵抗、高反射率、耐硫化性の観点からクロメート、Ag、Ni、In、Snなどの金属めっきまたはこれらの合金めっきの上にカップリング剤由来のSi、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceが存在していると粗面化処理を行わなくてもLCPと金属材料の密着力を確保できる。Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceはカップリング剤由来であるのが好ましい。カップリング剤であれば、高々数層でしか材料表面に存在しないので、下地の機能めっきにより付与された特性を失うことはない。
(金属−液晶ポリマー複合体)
本発明の金属−液晶ポリマー複合体は、本発明の金属材料の前記表面に液晶ポリマーが接合されて構成されている。液晶ポリマーは、パラヒドロキシ安息香酸などを基本とし、各種の成分と直鎖状にエステル結合させた芳香族ポリエステル系樹脂である。溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並んだ液晶様性質を示す。諸特性、例えば熱膨張係数を制御するために、無機フィラーを分散させることがある。
液晶ポリマーは、通常、金属材料との密着性が良くないが、本発明の特徴的な表面を有する金属材料と接合させることで、破壊試験を行った場合等、驚くべきことに、液晶ポリマー/金属界面の破壊ではなく、液晶ポリマーの内部で破壊が起きるほど、液晶ポリマー/金属界面の密着力が向上する。
金属−液晶ポリマー複合体は、窒素を分子内に含有するシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、マグネシウムカップリング剤、スズカップリング剤、セリウムカップリング剤のいずれかで本発明の金属材料に表面処理を施し、金属材料の前記処理面に液晶ポリマーを圧着又は射出成形で接合させることで作製することができる。
(電子部品)
本発明の電子部品は、本発明の金属−液晶ポリマー複合体を備えていればよく、特に限定されないが、LEDパッケージやコンデンサ等が挙げられる。
本発明の電子部品がLEDパッケージである場合について説明する。図1に、本発明のLEDパッケージの断面模式図を示す。当該LEDパッケージは、本発明の金属材料が白色めっきをしたリードフレームであり、液晶ポリマーと接合させるための金属材料の表面が、リードフレームの白色めっき表面に窒素を分子内に有するカップリング剤処理で形成されており、リードフレームをケース電極とし、ケース電極上にLEDチップが実装され、チップが周辺を液晶ポリマーからなるケースボディで覆われ、ケースボディ内に蛍光体を含有する封止樹脂が充填されることで構成されている。このような構成により、本発明のLEDパッケージは、リードフレームが液晶ポリマーと良好な密着力で接合されている。
本発明の電子部品は、アルミ、タンタル及びニオブのうちいずれかのコンデンサである。ここで、本発明の電子部品がタンタルコンデンサである場合について説明する。図2に、本発明のタンタルコンデンサの断面模式図を示す。当該タンタルコンデンサは、本発明の金属材料が陰極端子、陽極端子、及び、最表層が金属ペーストで覆われたコンデンサ本体の一部または全部であり、陰極端子、陽極端子、及び、コンデンサ本体が液晶ポリマーで覆われて構成されている。このような構成により、本発明のタンタルコンデンサは、陰極端子、陽極端子、及び、コンデンサ本体が液晶ポリマーと良好な密着力で接合されている。
本発明の電子部品において、液晶ポリマーは、金属材料との熱膨張係数の差が±10ppm/℃であるのが好ましい。このような構成によれば、金属材料と液晶ポリマーとが接合した金属−液晶ポリマー複合体に熱が加わった際、両者の熱膨張係数の差が小さいため、膨張による複合体の損傷が良好に抑制される。液晶ポリマーと金属材料との熱膨張係数の差は、より好ましくは±5ppm/℃である。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
〔例1:実施例4〜6、9〜11〕
(シラン溶液調整)
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(モメンティブ社製)をそれぞれ10mL採取し、純水を加えてそれぞれ1Lの水溶液を調整した。
(めっき板材へのシラン処理)
厚み0.1mmの銅板に1μmの厚みのAg、Ni、クロメートめっきをした。これらめっき銅板それぞれをアルカリ脱脂(NaOH:100g/L、30秒)、酸洗(H2SO4:10wt%、30秒)した後、上記シラン溶液に30秒浸漬させ、水洗し、乾燥させた。
(液晶ポリマーとの密着力)
表面処理面に液晶ポリマーフィルム(クラレ社製 べクスターCT−Z)をラミネートで貼り合せ(295℃まで7℃/minで昇温、295℃で1時間保持)、金属−樹脂積層体を作製した。この積層体の樹脂側を引き剥がし、ピール強度を180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に準拠して測定した。剥離後の金属側をSEMで観察し、樹脂(LCP)が金属面に残っていれば「剥離はLCP内部」、金属面に残っていなければ「剥離はLCP表面」と判断した。
(めっき板材の表面分析〔XPS survey〕)
めっき板材の表面分析(SiとNの定量)を下記の条件にてXPS surveyで分析した。
装置:アルバックファイ社製5600MC
到達真空度:8.8×10-10Torr
励起源:単色化 AlKα
出力:210W
検出面積:800μmφ
入射角:75°、取出角:15°
(レッドインクテスト〔金属材料上に隙間なく液晶ポリマーの型が形成できているかの確認〕)
竪型射出成形機VH40(山城社製)を用いて表面処理をした板材上に液晶ポリマー(JX日鉱日石エネルギー社製 ザイダー)を、最高温度340℃、金型温度100℃、射出速度200mm/sで箱型に射出成形した。液晶ポリマーで形成された型内部に赤インク(ライオン事務器社製 スタンプインキ 赤)を垂らして、1日後、6日後にインクが型の外に漏れているかどうかを確認した。全くインクが漏れていない場合は「なし」、型の縁がにじんだ程度であれば「軽度のにじみ」、漏れていた場合は「あり」と判定した。
〔例2:実施例1、2〕
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ社製)を10mL採取し、純水を加えて、酢酸でpHを調整し、2種類のpHの1Lの水溶液を調整した。このシラン溶液を用いて厚み1μmのAgめっきをした銅板に例1の手順で表面処理を施し、各種評価を行った。
〔例3:実施例7、8〕
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ社製)を10mL採取し、純水を加えて1Lの水溶液を調整した。これを用いて、例1の手順で銅板、アルミ板に表面処理を施し、各種評価を行った。
〔例4:実施例3〕
アミノ基を有するチタネートカップリング剤 プレンアクトKR44(味の素ファインテクノ社製)を10mL採取し、純水を加えて1Lの水溶液を調整した。例1の手順で1μm厚のAgめっきをした銅板に表面処理を施し、各種評価を行った。
〔例5:比較例1〕
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(モメンティブ社製)を10mL採取し、純水を加えて、酢酸でpHを3に調整し、1Lの水溶液を調整した。これを用いて、例1の手順で1μm厚のAgめっきをした銅板に表面処理を施し、各種評価を行った。
〔例6:比較例2〕
ビニルトリエトキシシラン(モメンティブ社製)を10mL採取し、純水を加えて、1Lの水溶液を調整した。これを用いて、例1の手順で1μm厚のAgめっきをした銅板に表面処理を施し、各種評価を行った。
〔例7:比較例3〕
1,2,3−ベンゾトリアゾール(ナカライテスク社製)を10g採取し、純水を加えて、1Lの水溶液を調整した。これを用いて、例1の手順で1μm厚のAgめっきをした銅板に表面処理を施し、各種評価を行った。
〔例8:比較例4〕
1μm厚のAgめっきをした銅板を用いて例1の手順で各種評価を行った。
実施例及び比較例の試験条件及び評価結果を表1に示す。
実施例1〜11は、いずれも金属材料と液晶ポリマーとの密着力が良好であり、金属材料上に隙間なく液晶ポリマーの型が形成できていた。
比較例1〜4は、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%未満、或いは、Nが1.5at%未満であったため、液晶ポリマーとの密着力が不良であり、金属材料と液晶ポリマーとの間に隙間が生じ、インク漏れが生じた。
実施例1〜11で用いたカップリング剤とその評価結果から、アミノ基、イソシアネート基、ウレイド基を含むカップリング剤であれば、実施例で用いたものと同一のカップリング剤でなくても金属材料表面に同様の効果を与えるのに十分な量で付着すると推定される。
図3に、実施例4及び比較例4の、Nの1s軌道から放出された光電子スペクトルを示す。図4に、実施例4及び比較例4の、Siの2s軌道から放出された光電子スペクトルを示す。
シラン処理をした場合の方がベースラインが低い(光電子のカウント数が少ない)が、実施例4ではNのピークもSiのピークも見られる。分析ソフトにより、これらの部分の積分値がそれぞれの原子濃度として算出される(他の元素、例えば銅、炭素、酸素等の積分値も計算される)。
これに対して、比較例4ではベースラインが高いが、N、Siのピークはないため、定量されない。
以上のことから、表面にN、Siが存在していると、粗面化処理を行わなくても、LCPと金属材料との密着性が著しく向上することがわかる。N、Siは極微量なので、金属材料に付与された特性は維持されていると推定される。
(金属材料)
本発明に係る金属材料は、液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料であり、XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%以上、Nが1.5at%以上で検出される。本発明に係る金属材料はこのような表面を有していれば特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(5)で示す構成のいずれかであってもよい。
(1)金属基材+金属基材の酸化物層+カップリング剤
(2)金属基材+めっき層+カップリング剤
(3)金属基材+めっき層+めっき層の酸化物層+カップリング剤
(4)金属基材+金属基材の酸化物層+めっき層+カップリング剤
(5)金属基材+金属基材の酸化物層+めっき層+めっき層の酸化物層+カップリング剤
すなわち、本発明に係る金属材料は、(1)〜(5)で示す構成のように、金属基材上には、直接、めっき層及び/又はカップリング剤層が形成されていてもよく、金属基材の酸化により酸化物層が形成された後に、めっき層及び/又はカップリング剤層が形成されていてもよい。また、めっき層上には、直接カップリング剤層が形成されていてもよく、めっき層の酸化により酸化物層が形成された後に、カップリング剤層が形成されていてもよい。
カップリング剤層は、窒素を分子内に含有するシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、マグネシウムカップリング剤、スズカップリング剤、セリウムカップリング剤等で金属材料に表面処理することで形成される。

Claims (10)

  1. 液晶ポリマーと接合させるための表面を有する金属材料であり、
    XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が0.5at%以上、Nが1.5at%以上で検出される金属材料。
  2. XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が1.0at%以上、Nが2.5at%以上で検出される請求項1に記載の金属材料。
  3. XPS(X線光電子分光装置)のSurvey測定で前記表面の元素分析を行ったとき、Si、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceのいずれか1種以上が2.0at%以上、Nが2.5at%以上で検出される請求項1又は2に記載の金属材料。
  4. 前記表面のSi、Ti、Al、Zr、Sn、Mg、Ceの下方に、Cu、Al、Cr、Ag、Ni、In、Snのいずれか1種以上の金属又はその酸化物の層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の金属材料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の金属材料の前記表面に液晶ポリマーが接合されてなる金属−液晶ポリマー複合体。
  6. 窒素を分子内に含有するシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、マグネシウムカップリング剤、スズカップリング剤、セリウムカップリング剤のいずれかで金属材料に表面処理を施し、前記金属材料の処理面に液晶ポリマーを圧着又は射出成形で接合させる、金属−液晶ポリマー複合体の製造方法。
  7. 請求項5に記載の金属−液晶ポリマー複合体を備えた電子部品。
  8. 前記金属材料が白色めっきをしたリードフレームであり、
    液晶ポリマーと接合させるための前記金属材料の表面が、前記リードフレームの白色めっき表面に窒素を分子内に有するカップリング剤処理で形成されており、
    前記リードフレームをケース電極とし、前記ケース電極上にLEDチップが実装され、前記チップが周辺を前記液晶ポリマーからなるケースボディで覆われ、前記ケースボディ内に蛍光体を含有する封止樹脂が充填されることで構成されたLEDパッケージである請求項7に記載の電子部品。
  9. 前記金属材料が陰極端子、陽極端子、及び、最表層が金属ペーストで覆われたコンデンサ本体の一部または全部であり、
    前記陰極端子、前記陽極端子、及び、前記コンデンサ本体が液晶ポリマーで覆われて構成された、アルミ、タンタル及びニオブのうちいずれかのコンデンサである請求項7に記載の電子部品。
  10. 前記液晶ポリマーは、前記金属材料との熱膨張係数の差が±10ppm/℃である請求項7〜9のいずれかに記載の電子部品。
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