JP2014026152A - 光導波路の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多様な品種の光導波路の製造への対応が容易であって、より簡便な工程により、低コストで形状精度の高い光導波路の製造方法を提供する。
【解決手段】下記の工程A〜工程Eを含み、かつ連続的に実施される光導波路の製造方法。工程A:スタンパフィルム11の表面の凹溝内にコア層1を有するコア層含有スタンパフィルム12と、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層を有する積層体23とを貼り合わせて、下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる工程。工程B:下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる工程。工程C:コア層含有スタンパフィルムと積層体の貼り合わせ構造体から、スタンパフィルム11を剥離する工程。工程D:コア層を上部クラッド用光硬化性組成物31により被覆する工程。工程E:上部クラッド用光硬化性組成物を光照射により硬化させる工程。
【選択図】図2

Description

本発明は、光導波路の製造方法に関する。より詳しくは、コア層が下部クラッド及び上部クラッドで包まれた埋め込み型構造の光導波路の製造方法に関する。
インターネットを介した動画配信の普及により、サーバやルータに用いるボード内の通信容量が増加し、一部の高速信号線を電気配線から光配線に置き換える検討が進められている。高分子材料により形成された光導波路(高分子光導波路)は、石英系光導波路と比較して低コストであることなどから、光電気混載基板用の光配線として期待されている。特に、携帯用小型機器などの短距離間の情報伝達では、省スペース化を図るために曲率半径の小さい配線組みが望まれており、この点から柔軟性(屈曲性)に優れた高分子光導波路(以下、単に「光導波路」と称する場合がある)が求められ、その開発が進められている。
光導波路の製造方法としては、例えば、長尺状の基材にロールを用いて長手方向に延びる細溝を形成する工程、細溝に透明樹脂前駆体を充填する工程、及び透明樹脂前駆体を硬化させる工程からなる、複数の回線の光導波路の大型化を容易にする光導波路の製造方法が知られている(特許文献1参照)。
また、例えば、長尺の基材を所定の方向に送り出すステップと、前記長尺の基材の表面に第1のポリマ前駆体を塗布するステップと、前記長尺の基材の表面にコアの形状に応じた溝を形成するステップと、前記長尺の基材の表面に形成された前記溝に第2のポリマ前駆体を充填するステップと、前記長尺の基材の表面の前記溝内の前記第2のポリマ前駆体を硬化してコアにするステップと、前記長尺の基材及び前記コアの表面に第3のポリマ前駆体を塗布するステップと、前記第3のポリマ前駆体を硬化して上部クラッドとするステップを含む、量産性が良好な光導波路の製造方法が知られている(特許文献2参照)。
さらに、例えば、光硬化材料を主成分とする下部クラッド層用塗料を用いて下部クラッド層を塗工した後、該塗工された下部クラッド層表面に、ロール状印刷版を用いて前記コア層に対応する溝部を印刷しながら該下部クラッド層に対し光を照射する、低コストで形状精度の高い光デバイスを、簡易な工程により連続的に生産することができる光デバイスの製造方法が知られている(特許文献3参照)。
特開平10−54918号公報 特開2003−21741号公報 特開2006−23376号公報
近年、光導波路の市場拡大に伴い、多様な品種の光導波路の製造に対応可能であって、より簡便な工程により、低コストで形状精度の高い光導波路(高分子光導波路)を製造できる方法が強く求められるようになってきている。これに対して、例えば、特許文献1〜3に記載の光導波路や光デバイスの製造方法はいずれも、下部クラッドにコアを配置するための溝を形成した後、該溝にコアの前駆体を充填し、これを硬化させることによってコアを形成するものであるため、光導波路の品種(例えば、コアのパターンが異なる光導波路など)に応じて上記溝を形成するための方法や条件、コアの前駆体を充填する方法や条件、コアの前駆体を硬化させる際の条件などを調整することが必要であり、多様な品種の光導波路の製造に対応した方法とはいえなかった。
また、特許文献3に記載の光デバイスの製造方法においては、下部クラッド層を形成するための光照射を、下部クラッド層用塗料を塗工した基材(光デバイスの基材ともなる)を介して行う必要があるため、当該製造方法において使用可能な基材は光透過性が高いものに限定され、例えば、紫外線透過性の低いポリイミドフィルムを基材として使用することは困難であった。近年、光導波路には受光素子や発光素子などの様々な電子部品が実装されることが多く、光導波路の基材として高耐熱性のポリイミドフィルムを使用することの要求は高い。
また、光導波路は、電子部品が実装される際には、ハンダリフロー工程にて加熱処理される。このため、光導波路には、このようなハンダリフロー工程における高温処理により光損失が増加したりクラックなどの熱劣化が発生することを防止する耐熱性が要求される。そして、近年、溶解させるために約260℃の高温加熱を要する鉛フリーハンダの使用に対応するため、リフロー温度がいっそう高くなっていることから、光導波路にはより高度な耐熱性が求められるようになってきている。
即ち、光導波路には、高い耐熱性(特に、260℃を超える温度に対する耐熱性)と優れた柔軟性とを兼ね備えることが要求されている。
従って、本発明の目的は、多様な品種の光導波路の製造への対応が容易であって、より簡便な工程により、低コストで形状精度の高い光導波路を製造できる光導波路の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、生産性に優れ形状精度の高い光導波路(特に、さらに耐熱性及び柔軟性に優れた光導波路)を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定構成のコア層含有スタンパフィルムと特定構成の積層体とを貼り合わせ、上記積層体の下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる工程(工程A)、上記下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる工程(工程B)、上記コア層含有スタンパフィルムと上記積層体の貼り合わせ構造体からスタンパフィルムを剥離する工程(工程C)、上記コア層を上部クラッド用光硬化性組成物により被覆する工程(工程D)、及び、上記上部クラッド用光硬化性組成物を光照射により硬化させる工程(工程E)を含み、かつこれら工程が連続的に実施される光導波路の製造方法が、多様な品種の光導波路の製造への対応が容易であって、より簡便な工程により、低コストで形状精度の高い光導波路を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、コア層が下部クラッド及び上部クラッドで包まれた埋め込み型構造の光導波路を連続的に製造する方法であって、下記の工程A、工程B、工程C、工程D、及び工程Eを含み、かつ該工程A、工程B、工程C、工程D、及び工程Eが連続的に実施されることを特徴とする光導波路の製造方法を提供する。
工程A:少なくとも一方の表面に光導波路におけるコア層のパターンに対応する凹溝を有するスタンパフィルムの該凹溝内にコア層を有するコア層含有スタンパフィルムと、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層を有する積層体とを貼り合わせて、下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる工程
工程B:工程Aと並行して又は工程Aの後、前記下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる工程
工程C:工程Bの後、前記コア層含有スタンパフィルムと前記積層体の貼り合わせ構造体から、前記スタンパフィルムを剥離する工程
工程D:工程Cの後、前記コア層を上部クラッド用光硬化性組成物により被覆する工程
工程E:工程Dの後、前記上部クラッド用光硬化性組成物を光照射により硬化させる工程
さらに、工程Aの前に、前記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成して前記コア層含有スタンパフィルムを製造する工程Hをさらに含む前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、工程Hが、前記スタンパフィルムの凹溝に、ナイフコーターにより塗工することによって、又は、ドクターブレード若しくはスキージを使用して塗工することによってコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成して前記コア層含有スタンパフィルムを製造する工程である前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、工程Aの前に、前記基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物を塗布して下部クラッド用光硬化性組成物層を形成して前記積層体を製造する工程Iをさらに含む前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、前記スタンパフィルムが、紫外線透過性を有するスタンパフィルムである前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、前記スタンパフィルムが、熱可塑性樹脂を含むスタンパフィルムである前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、工程Bが、工程Aと並行して又は工程Aの後、コア層含有スタンパフィルムのコア層を有する側の表面と、前記積層体の下部クラッド用光硬化性組成物層側の表面とを密着させた状態で、前記スタンパフィルム側から紫外線を照射することにより、前記下部クラッド用光硬化性組成物層を硬化させる工程である前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、前記基材フィルムがポリイミドフィルムである前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、前記スタンパフィルムが、平滑なシートに対して、前記スタンパフィルムが有する凹溝に対応する凸部を表面に有するロール状の印刷版を押圧転写することにより得られるスタンパフィルムである前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、前記ロール状の印刷版の径が75〜1500mmである前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、前記スタンパフィルムが有する凹溝の幅方向の切断面の形状が台形であり、且つ該台形の下底(凹溝の底部側)が上底(凹溝の開放部側)よりも短い形状である前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、工程Eの後、光導波路をロール状に巻き取る工程Fを含む前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、工程Eの後、光導波路をダイシングして切り欠き溝を形成して、光導波路のコア層の端部にミラー面を形成する工程Gを含む前記の光導波路の製造方法を提供する。
さらに、工程Gにより形成されるミラー面が、光導波路のコア層を伝播する光の進行方向に対して45°をなす傾斜面である前記の光導波路の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記の光導波路の製造方法により製造される光導波路を提供する。
本発明の光導波路の製造方法は上記構成を有するため、多様な品種の光導波路の製造に対応させることが容易であって、より簡便な工程により、低コストで形状精度の高い光導波路を製造できる。また、例えば、上記コア層含有スタンパフィルムをコア層のカートリッジ(簡便に交換可能な部材)として使用することにより、品種の切り替えが容易となり、材料ロスが低減される等の効果も得られる。従って、本発明の光導波路の製造方法により得られる光導波路は生産性及び形状精度が高く、特に、本発明の光導波路の原料(コア層用光硬化性組成物、クラッド用光硬化性組成物)として後述の特定構成の光硬化性樹脂組成物を使用した場合には、優れた耐熱性及び柔軟性を発揮する。
本発明の製造方法により製造される光導波路の一例を示す概要図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるa−a断面図である。 本発明の光導波路の製造方法の一例を示す概略図(側面図)である。 本発明の光導波路の製造方法において使用されるコア層含有スタンパフィルムの一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるb−b断面図である。 本発明の光導波路の製造方法において使用される基材フィルムと下部クラッド用光硬化性組成物層の積層体の一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるc−c断面図である。 本発明の光導波路の製造方法の各段階において得られる構造体の一例を示す概略図(断面図)であり、(a)は図2の(i)に示す段階で得られる構造体、(b)は図2の(ii)に示す段階で得られる構造体、(c)は図2の(iii)に示す段階で得られる構造体、(d)は図2の(iv)に示す段階で得られる構造体、(e)は図2の(v)に示す段階で得られる構造体(光導波路)を示す。 本発明の光導波路におけるスタンパフィルムを製造する工程及び工程Hの一例を示す概略図(側面図)である。 本発明の光導波路の製造方法のスタンパフィルムを製造する工程及び工程Hの各段階において得られる構造体の一例を示す概略図(断面図)であり、(a)は図6の(vi)に示す段階で得られる構造体、(b)は図6の(vii)に示す段階で得られる構造体(スタンパフィルム)、(c)は図6の(viii)に示す段階で得られる構造体、(d)は図6の(ix)に示す段階で得られる構造体(コア層含有スタンパフィルム)を示す。 本発明の光導波路の製造方法の工程Gの一例を示す概略図(側面図)である。 本発明の光導波路の製造方法の工程Gの各段階において得られる構造体の一例を示す概略図(断面図)であり、(a)は図8の(x)に示す段階で得られる構造体、(b)は図8の(xi)に示す段階で得られる構造体、(c)は図8の(xii)に示す段階で得られる構造体を示す。 ミラー面(45°ミラー面)を有する本発明の光導波路の一例を示す概略図(断面図)である。 本発明の光導波路の製造方法の一例を示す概略図(側面図;工程A〜F、I、及び保護テープを貼り付ける工程を含む場合)である。 スタンパフィルムが有する凹溝の幅方向の切断面の形状の一例を示す概略図(拡大断面図)であり、(a)は矩形の場合、(b)は台形の場合を示す。 表面に凸部を有する金型ロールの一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は凸部の幅方向の切断面における拡大断面図((c)のe−e断面図)を示す。 本発明の光導波路のコア層の形状の一例を示す概略図(断面図)である。
本発明の光導波路の製造方法は、コア層が下部クラッド及び上部クラッドで包まれた埋め込み型構造の光導波路を連続的に製造する方法である。本発明の光導波路の製造方法は、下記の工程A、工程B、工程C、工程D、及び工程Eを必須の工程として含み、かつ該工程A、工程B、工程C、工程D、及び工程Eが連続的に実施される。
工程A:少なくとも一方の表面に光導波路におけるコア層のパターンに対応する凹溝を有するスタンパフィルムの該凹溝内にコア層を有するコア層含有スタンパフィルムと、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層を有する積層体とを貼り合わせて、下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる工程
工程B:工程Aと並行して又は工程Aの後、前記下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる工程
工程C:工程Bの後、前記コア層含有スタンパフィルムと前記積層体の貼り合わせ構造体から、前記スタンパフィルムを剥離する工程
工程D:工程Cの後、前記コア層を上部クラッド用光硬化性組成物により被覆する工程
工程E:工程Dの後、前記上部クラッド用光硬化性組成物を光照射により硬化させる工程
なお、本発明の光導波路の製造方法においては、ある特定の点に着目した場合には、上記工程A〜Eは、上述のように工程A(最初)、工程B、工程C、工程D、工程E(最後)の順番で実施されるが、全体としては通常、工程A〜Eは並行して実施される。その他の工程についても同様である。
また、本明細書における「フィルム」には、「シート」などのその他の薄膜状構造体の概念も含まれる。
図1は、本発明の製造方法により製造される光導波路(「本発明の光導波路」と称する場合がある)の一例を示す概要図である。図1の(a)は斜視図であり、(b)は(a)のa−a断面図である。図1の100は光導波路(埋め込み型構造の光導波路)を示し、1はコア層(コア)を、2は下部クラッドを、3は上部クラッドを示す。なお、図1の(a)は、便宜上、長手方向に延びる光導波路の一部のみを描いている。図1に示すように、本発明の光導波路におけるコア層は、クラッド(下部クラッド及び上部クラッド)で包まれた構造を有する。なお、本明細書においては、本発明の光導波路における上部クラッドと下部クラッドを「クラッド」と総称する場合がある。図1に示す光導波路においては、光はコア層(コア層内部)を長手方向に伝播する。
図2は、本発明の光導波路の製造方法の一例を示す概略図(側面図)である。図3は、本発明の光導波路の製造方法において使用されるコア層含有スタンパフィルムの一例を示す概略図((a):斜視図、(b):(a)のb−b断面図)である。図4は、本発明の光導波路の製造方法において使用される基材フィルムと下部クラッド用光硬化性組成物層の積層体の一例を示す概略図((a):斜視図、(b):(a)のc−c断面図)である。なお、図3の(a)、図4の(a)は、便宜上、長手方向に延びるコア層含有スタンパフィルム、積層体の一部のみを描いている。また、図5は、本発明の光導波路の製造方法の各段階において得られる構造体の一例を示す概略図(断面図)であり、図5の(a)は図2の(i)に示す段階(工程Aの後)で得られる構造体(コア層含有スタンパフィルムと積層体との貼り合わせ構造体)の断面図、(b)は図2の(ii)に示す段階(工程Bの後)で得られる構造体の断面図、(c)は図2の(iii)に示す段階(工程Cの後)で得られる構造体の断面図、(d)は図2の(iv)に示す段階(工程Dの後)で得られる構造体の断面図、(e)は図2の(v)に示す段階(工程Eの後)で得られる構造体(光導波路)の断面図を示す。
図2〜5を参照し、本発明の光導波路の製造方法の概要を説明する。まず、工程Aでは、光導波路におけるコア層のパターンに対応する凹溝を有するスタンパフィルム(図3の11)の該凹溝内にコア層(図3の1)を有するコア層含有スタンパフィルム(図2、3の12)と、基材フィルム(図4の22)の一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層(図4の21)を有する積層体(図2、4の23)とを貼り合わせ、下部クラッド用光硬化性組成物層21にコア層1を接触させる(図2のA参照)。これにより、コア層含有スタンパフィルム12と積層体23との貼り合わせ構造体(図5の(a)参照)が得られる。次に、工程Bにおいて(図2のB参照)、上記貼り合わせ構造体における下部クラッド用光硬化性組成物層21を光照射により硬化させる。これにより、下部クラッド用光硬化性組成物層21が下部クラッド2に変換された(転化した)構造体(図5の(b)参照)が得られる。次に、工程Cにおいて(図2のC参照)、上記貼り合わせ構造体からスタンパフィルム11を取り除く(剥離する)。これにより、コア層1が下部クラッド2上に転写された構造体(図5の(c)参照)が得られる。次に、工程Dにおいて(図2のD参照)、図5の(c)に示される上記構造体におけるコア層1を上部クラッド用光硬化性組成物(図2の31)により被覆する。これにより、下部クラッド2上のコア層1が上部クラッド用光硬化性組成物31により被覆された構造体(図5の(d)参照)が得られる。次に、工程Eにおいて(図2のE参照)、図5の(d)に示される上記構造体における上部クラッド用光硬化性組成物31を光照射により硬化させる。これにより、上部クラッド用光硬化性組成物31が上部クラッド3に変換された(転化した)構造体、即ち、コア層1が下部クラッド2及び上部クラッド3により包まれた埋め込み構造型の光導波路100(図5の(e)参照)が形成される。なお、図2における4a、4bは光照射装置を、5a〜5gはロール(5a:巻き出しロール、5b〜5d、5f:工程ロール、5g、5e:巻き取りロール)を、6aは塗布装置(コーター)を示す。
[工程A]
本発明の光導波路の製造方法における工程Aは、上述のように、少なくとも一方の表面に光導波路におけるコア層のパターンに対応する凹溝を有するスタンパフィルムの、該凹溝内にコア層を有するコア層含有スタンパフィルムと、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層を有する積層体とを貼り合わせて、上記下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる工程である(例えば、図2のA参照)。
(コア層含有スタンパフィルム)
上述のように、上記コア層含有スタンパフィルムは、スタンパフィルムの凹溝内にコア層を有する構造体である(例えば、図3参照)。上記スタンパフィルムは、少なくとも一方の表面に光導波路におけるコア層のパターンに対応する凹溝を有する基材(基板)である。即ち、上記スタンパフィルムは、光導波路におけるコア層を形成するためのスタンパ(金型、鋳型)としての役割を果たす。
上記スタンパフィルムを構成する材料(素材)としては、公知乃至慣用の材料を使用することができ、特に限定されないが、例えば、金属、石英、樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など)、これらの複合材料などが使用できる。中でも、工程Bにおいて光照射により下部クラッド用光硬化性組成物層を硬化させる際の作業性の観点で、紫外線透過性を有する材料が好ましい。即ち、上記スタンパフィルムとしては、紫外線透過性を有するスタンパフィルムが好ましい。なお、上記「紫外線透過性を有する」とは、厚み0.025mmの成形体とした場合の波長400nmの光の透過率が60%以上であることを意味する。
さらに、スタンパフィルムの柔軟性やコストの観点では、該スタンパフィルムを構成する材料としては、樹脂を使用することが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂である。即ち、スタンパフィルムとしては、樹脂を含むスタンパフィルムが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂を含むスタンパフィルムである。上記樹脂としては、特に、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂(特に、テフロン(登録商標))、シリコーン樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などは、紫外線透過性を有する熱可塑性樹脂である。
後述のように、上記スタンパフィルムとしては、例えば、樹脂製のフィルム(プラスチックフィルム)(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)の一方の表面にハードコート層を有し、該ハードコート層の表面に凹溝を有する基材(図7の(b)参照);熱可塑性樹脂製のフィルム(例えば、PETフィルム)の一方の表面に凹溝を有する基材などが挙げられる。前者の場合には、硬度の高いハードコート層において凹溝が形成されているため、コア層の形状精度が特に高くなる傾向がある。
上記スタンパフィルムの厚み(凹溝を有しない部分の厚み)は、特に限定されず適宜調整可能であるが、例えば、樹脂製のスタンパフィルムの場合には、0.01〜2mmが好ましく、より好ましくは0.02〜1mmである。厚みが0.01mm未満であると、例えば、スタンパフィルムの腰が弱く、コア層の下部クラッドへの転写が困難となる場合がある。一方、厚みが2mmを超えると、例えば、ロール上での巻き取りが困難なだけでなく、紫外線照射による光硬化性組成物の硬化効率も悪いため、工程上の利点が失われる場合がある。
上記スタンパフィルムが表面に有する凹溝は、光導波路のコア層のパターンに対応する凹溝である。従って、上記スタンパフィルムにおける凹溝のパターン(パターン形状)は、製造する光導波路のコア層のパターンに応じて適宜設定(設計)可能であり、特に限定されない。また、上記凹溝の形状(例えば、幅方向の断面形状)やサイズ(凹溝の深さや幅、凹溝の長手方向の長さなど)も、製造する光導波路のコア層の形状(例えば、幅方向の断面形状)やサイズ(コア層の高さ(厚み)や幅、コア層の長さなど)に応じて適宜設定(設計)可能であり、特に限定されない。
上記凹溝の幅方向の切断面の形状(断面形状)(即ち、光導波路のコア層の幅方向の断面形状に対応する形状)としては、具体的には、矩形、台形、丸形(円形、特に真円形)、不定形等が挙げられ、特に限定されないが、製造の簡便さの観点で、矩形(略矩形も含む)、台形(略台形も含む)であることが好ましく、より好ましくは台形(略台形も含む)であり、さらに好ましくは、台形であり且つ該台形の下底(凹溝の底部側)が上底(凹溝の開放部側)よりも短い形状(図12の(b)参照)である。図12は、スタンパフィルムが有する凹溝の幅方向の切断面の形状の一例を示す概略図(拡大断面図)であり、(a)は矩形の場合、(b)は台形の場合を示す。上記凹溝の幅方向の断面形状としては、より具体的には、図14に示す光導波路におけるコア層の断面形状に対応する形状などが挙げられる。
上記スタンパフィルムにおける凹溝を形成する方法は、特に限定されず、上記凹溝は、公知乃至慣用の溝の形成手段(例えば、エンボス法、フォトリソグラフィー、反応性イオンエッチング法など)を利用して形成可能である。
上記スタンパフィルムは、例えば、平滑なシートに対して、スタンパフィルムが有する凹溝に対応する凸部を表面に有するロール状の印刷版を押圧転写して、凹溝を連続的に形成することにより製造することができる。即ち、上記スタンパフィルムは、平滑なシートに対して、上記ロール状の印刷版を押圧転写して得られる基材であってもよい。
上記平滑なシートは、上記スタンパフィルムの前駆体である。上記平滑なシートとしては、上述のスタンパフィルムを構成する材料により形成されたシートであればよく、特に限定されないが、特に、凸部を表面に有するロール状の印刷板を押圧転写して凹溝を形成する場合には、例えば、樹脂シート(熱可塑性樹脂シート等);樹脂層/ハードコート層形成用組成物(ハードコート層を形成するための組成物)層の積層構成を有するシートなどが挙げられる。上記ハードコート層形成用組成物としては、公知乃至慣用のハードコート層を形成するためのハードコート剤(例えば、シリコーン系ハードコート剤、アクリル系ハードコート剤、メラミン系ハードコート剤、フッ素系ハードコート剤など)などを使用することができる。また、ハードコート層形成用組成物層の厚みは、特に限定されず、適宜設定可能である。
上記ロール状の印刷版としては、公知乃至慣用のものを使用できるが、例えば、幅が300mm程度で、径(直径)が75〜1500mmの印刷版を使用することができる。径が75mm未満であると、スタンパフィルムに反りが生じやすくなる傾向がある。一方、径が1500mmを超えると、スタンパフィルムの生産性が低下する傾向がある。なお、押圧転写の条件は、スタンパフィルム(平滑なシート)の材質や形成する凹溝の形状やサイズに応じて適宜調整可能である。
上記ロール状の印刷版の凸部のパターンや形状は、スタンパフィルムの凹溝のパターンや形状(即ち、光導波路のコア層のパターンや形状)に応じて、適宜設定可能である。
図13は、上記ロール状の印刷版(表面に凸部を有する金型ロール;ロール状金型)の一例を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は凸部の幅方向の切断面における拡大断面図((c)のe−e断面図)を示す。図13に示す例では、ロール状の印刷版の表面に5本の凸部が形成されているが、凸部の本数はこれに限定されない。より具体的には、実施例1で使用したロール状の印刷版等が例示される。
図13に示すロール状の印刷版の凸部においては、R1とR2(ともに凸部の上面と側面の境界がなす曲線における曲率半径)とは等しい(実質的に等しい)ことが好ましく、R1とR2はともに5μm以上であることが好ましい。θ1とθ2(ともに凸部の傾斜面と高さ方向(鉛直面)がなす角度)とは等しい(実質的に等しい)ことが好ましく、θ1とθ2はともに1〜3°であることが好ましい。図13に示すロール状の印刷版としてθ1(又はθ2)が1〜3°のものを使用し、該ロール状の印刷版による凹溝の転写、該凹溝によるコア層の形成、及び、該コア層の下部クラッドへの転写が正確に行われた場合には、図14に示す光導波路におけるθ3が1〜3°となり、特にθ1とθ2とが等しい(実質的に等しい)場合には、θ1とθ2とθ3とが等しい(実質的に等しい)値をとることになる。なお、θ1、θ2が大きいほど平滑なシートに対する凹溝の転写は容易となるが、この場合、図14におけるθ4で表される角度が小さくなり、この部分に光が通ると光が漏洩しやすく、光損失につながる場合がある。
例えば、上記平滑なシートとして熱可塑性樹脂シートを使用した場合には、該熱硬化性樹脂シートを必要に応じて加熱しながら、上記ロール状の印刷版を押圧転写することによって、スタンパフィルムを得ることができる。また、例えば、上記平滑なシートとして樹脂層/ハードコート層形成用組成物層の積層構成を有するシートを使用した場合には、該シートのハードコート層形成用組成物層の表面に上記ロール状の印刷版を押圧転写し、その後、ハードコート層形成用組成物層を硬化させてハードコート層とすることによって、スタンパフィルムを得ることができる。なお、ハードコート層形成用組成物層の硬化は、公知乃至慣用の方法により実施可能である。
なお、上記スタンパフィルムの表面の一部又は全部には、例えば、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、熱処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理などの公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。
上記コア層含有スタンパフィルムにおけるコア層は、光導波路のコア層であり、コアを形成するための光硬化性組成物(「コア層用光硬化性組成物」と称する場合がある)の硬化物より形成される。上記コア層含有スタンパフィルムにおけるコア層を形成する方法は、特に限定されず、例えば、コア層用光硬化性組成物をスタンパフィルムの凹溝内に充填し、次いで硬化させることによって形成してもよいし、コア層用光硬化性組成物の硬化物(例えば、ファイバー状の硬化物等)をスタンパフィルムの凹溝内に配置すること等によって形成してもよい。上記コア層用光硬化性組成物としては、光照射により硬化して硬化物を形成できる公知乃至慣用の光硬化性組成物を使用することができる。特に、光導波路の柔軟性及び耐熱性の観点では、後述の特定構成の光硬化性樹脂組成物を上記コア層用光硬化性組成物として使用することが好ましい。
上記コア層用光硬化性組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、50〜2000cP(mPa・s)が好ましく、より好ましくは100〜1000cPである。25℃における粘度が50cP未満であると、凹溝上部からはみ出たコア層用光硬化性組成物に引きずられる形で凹溝内のコア層用光硬化性組成物の上部がすり鉢状の凹みを生じる場合があるため、好ましくない。一方、25℃における粘度が2000cPを超えると、凹溝底部への濡れ性が悪く、コア層用光硬化性組成物が凹溝に充填されにくくなる場合があり、やはり好ましくない。なお、上記の25℃における粘度は、例えば、E型粘度計(商品名「VISCONIC」、(株)トキメック製)を用いて測定することができる(ローター:1°34′×R24、回転数:0.5rpm、測定温度:25℃)。
上記コア層含有スタンパフィルムは、コア層の形状精度等の観点で、特に、上記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させることによって製造することが好ましい。
上記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填する方法としては、特に限定されず、公知乃至慣用の方法を利用できる。具体的には、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、インクジェットコーター、コンマコーターなどの公知乃至慣用の塗工装置(コーター)による塗工(塗布)や、公知乃至慣用の注入装置(充填装置)による注入(充填)などの手段を利用できる。
特に、操作性にも優れ、形状精度の高い光導波路が得られやすい点で、ナイフコーターにより塗工することによって、又は、ドクターブレード若しくはスキージを使用して塗工することによって、上記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填することが好ましい。上記ドクターブレード若しくはスキージを使用した塗工方法の具体例としては、例えば、塗工装置又は注入装置によりスタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を塗工又は注入した後、ドクターブレード若しくはスキージで掻き取る方法等が挙げられる。図6には、塗工装置及びスキージを用いてスタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填する場合の例を示す。このような方法によって上記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填することにより、スタンパフィルムの凹溝を有しない部分へのコア層用光硬化性組成物の付着が抑止され、光導波路の光損失が低減される傾向がある。
なお、スキージを使用する場合、該スキージの材質は特に限定されず、金属、プラスチック、ゴムなどが挙げられる。上記スキージの硬度(詳しくは、スキージのブレード部分の硬度)は、特に限定されないが、例えば、A硬度で60〜90が好ましい。なお、上記硬度は、JIS K6253−3に準拠して測定される硬度(デュロメータ硬さ)である。上記スキージのサイズは特に限定されず、適宜選択可能である。
上記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填した後、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成する方法としては、公知乃至慣用の方法を適用することができ、特に限定されない。コア層用光硬化性組成物に照射する光は、光硬化性組成物の硬化反応(重合反応)を開始乃至進行させることができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、X線、紫外線、可視光線、赤外線(近赤外線、遠赤外線)などが挙げられる。中でも、取り扱いが容易である点で、紫外線が好ましい。光照射の際に用いる光源としては、特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線源、レーザー光源などが挙げられる。
光照射の条件は、コア層用光硬化性組成物を硬化させ、コア層を形成可能な条件で適宜調整可能であり、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば、500〜5000mJ/cm2(より好ましくは1000〜3000mJ/cm2)の積算光量で照射することが好ましい。なお、光照射の際の雰囲気は、硬化(硬化反応)を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの何れであってもよい。また、光照射は、常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。
本発明の光導波路の製造方法は、工程Aの前に、上述のコア層含有スタンパフィルムを製造する工程をさらに含んでいてもよい。特に、本発明の光導波路の製造方法は、スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成し、上記コア層含有スタンパフィルムを製造する工程(「工程H」と称する場合がある)を含んでいてもよい。上記工程Hは、スタンパフィルムの凹溝に、ナイフコーターにより塗工することによって、又は、ドクターブレード若しくはスキージを使用して塗工することによってコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成し、上記コア層含有スタンパフィルムを製造する工程であることが好ましい。
図6は、スタンパフィルムを製造する工程及び上記工程Hの一例を示す概略図(側面図)である。図7は、スタンパフィルムを製造する工程及び工程Hの各段階において得られる構造体の一例を示す概略図(断面図)であり、(a)は図6の(vi)に示す段階で得られる構造体、(b)は図6の(vii)に示す段階で得られる構造体(スタンパフィルム)、(c)は図6の(viii)に示す段階で得られる構造体、(d)は図6の(ix)に示す段階で得られる構造体(コア層含有スタンパフィルム)を示す。
図6、7を参照し、本発明の光導波路の製造方法におけるスタンパフィルムを製造する工程及び工程Hの具体例を説明する。まず、図6に示すように、プラスチックフィルム(例えば、PETフィルム)71上に、塗工装置6bを用いてハードコート層形成用組成物を塗布し、ハードコート層形成用組成物層74を形成する。これにより、図7の(a)に示される構造体が得られる。次に、該ハードコート層形成用組成物層74に、スタンパフィルムが有する凹溝に対応する凸部を表面に有するロール状の印刷版72を押圧転写して、ハードコート層形成用組成物層74に凹溝を形成する。その後、凹溝が形成されたハードコート層形成用組成物層74を光照射により硬化させ、凹溝を有するハードコート層75を形成する。これにより、図7の(b)に示される構造体、即ち、スタンパフィルムが得られる。次に、スタンパフィルム11の凹溝を有する側の表面に、塗工装置6cを用いてコア層用光硬化性組成物76を塗工し、続いて、余分に塗工されたコア層用光硬化性組成物(凹溝を有しない部分に付着したコア層用光硬化性組成物)をスキージ73にて掻き取る。これにより、図7の(c)に示される構造体が得られる。その後、凹溝内のコア用光硬化性組成物76を光照射により硬化させ、スタンパフィルム11の凹溝内にコア層1を有するコア層含有スタンパフィルム12(図7の(d)に示される構造体)が得られる。なお、図6における4c、4dは光照射装置を、5h〜5nはロール(5h:巻き出しロール、5i〜5m:工程ロール、5n:巻き取りロール)を示す。
(積層体)
工程Aにおいて、上記コア層含有スタンパフィルムと貼り合わせる積層体は、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層を有する積層体である(図4参照)。上記積層体における基材フィルムは、下部クラッド用光硬化性組成物の支持体としての役割を担うほか、製造される光導波路の基材(基板)としての役割も担う。
上記基材フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、シリコン基板、ガラス基板、セラミック基板、ガラスエポキシ樹脂基板、金属基板、プラスチック基板(プラスチックフィルム等)などの各種基材が挙げられる。例えば、上記基材フィルムとして、柔軟性が高い基材(例えば、プラスチックフィルムなど)を用いた場合には、本発明の光導波路をフレキシブル光導波路として利用することができる。また、特に、上記基材フィルムとしてポリイミドフィルムを使用することにより、本発明の光導波路に対する受光素子や発光素子等の電子部品の実装が容易となる。
上記基材フィルムの厚みは、特に限定されず適宜調整可能であるが、例えば、プラスチック製の基材フィルムの場合には、0.01〜2mmが好ましく、より好ましくは0.02〜1mmである。厚みが0.01mm未満であると、例えば、基材フィルムの腰が弱く、コア層の転写が困難となる場合がある。一方、厚みが2mmを超えると、例えば、ロール上での巻き取りが困難となる場合がある。
上記積層体における下部クラッド用光硬化性組成物層は、下部クラッドを形成するための光硬化性組成物(「下部クラッド用光硬化性組成物」と称する場合がある)により形成された層である。上記下部クラッド用光硬化性組成物としては、光照射により硬化して硬化物を形成できる公知乃至慣用の光硬化性組成物を使用することができる。特に、光導波路の柔軟性及び耐熱性の観点では、後述の特定構成の光硬化性樹脂組成物を上記下部クラッド用光硬化性組成物として使用することが好ましい。
上記下部クラッド用光硬化性組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、500〜50000cPが好ましく、より好ましくは1000〜30000cPである。25℃における粘度が500cP未満であると、コア層の下部クラッドに対する転写の精度が低下する場合がある。一方、25℃における粘度が50000cPを超えると、上記積層体の生産性が低下する場合がある。なお、上記の25℃における粘度は、例えば、コア層用光硬化性組成物の粘度と同様に測定することができる。
上記積層体は、特に限定されないが、上記基材フィルムの表面に上記下部クラッド用光硬化性組成物を塗布(塗工)し、下部クラッド用光硬化性組成物層を形成することにより製造できる。下部クラッド用光硬化性組成物を塗布(塗工)する方法としては、公知乃至慣用の方法を利用することができ、特に限定されないが、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、インクジェットコーター、コンマコーターなどの公知乃至慣用の塗工装置(コーター)を使用する方法などが挙げられる。なお、下部クラッド用光硬化性組成物の塗工は、一段階で行うこともできるし、二回以上の多段階に分けて行うこともできる。
上記下部クラッド用光硬化性組成物層の厚みは、特に限定されず、製造する光導波路における下部クラッドの厚みに応じて適宜設定可能である。
上記積層体における下部クラッド用光硬化性組成物層は、基材フィルムの表面に下部クラッド用光硬化性組成物を塗布した後、さらに、光照射により該下部クラッド用光硬化性組成物の一部を硬化(即ち、半硬化)させたものであってもよい。
本発明の光導波路の製造方法は、工程Aの前に、上述の上記積層体を製造する工程をさらに含んでいてもよい。特に、本発明の光導波路の製造方法は、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物を塗布して下部クラッド用光硬化性組成物層を形成し、上記積層体を製造する工程(「工程I」と称する場合がある)を含んでいてもよい。
工程Aにおいては、コア層含有スタンパフィルムと積層体とを、上記コア層含有スタンパフィルムのコア層を有する側の表面と積層体の下部クラッド用光硬化性組成物層側の表面とが向かい合うようにして貼り合わせて、下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる。上記コア層含有スタンパフィルムと積層体との貼り合わせは、公知乃至慣用の方法により実施することができ、特に限定されないが、例えば、ラミネーター(例えば、ロールラミネーター等)等を使用することにより実施可能である。このような貼り合わせの方法としては、例えば、図2のAに示すように、ロール状に巻き取られたコア層含有スタンパフィルム12を繰り出し、該コア層含有スタンパフィルム12のコア層を有する側の表面を、上記積層体23の下部クラッド用光硬化性組成物層表面に対して、ロールラミネーターにより貼り合わせる(密着させる)方法等が挙げられる。
工程Aにより、下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層が接触した構造体(貼り合わせ構造体;図5の(a)参照)が得られる。
[工程B]
本発明の光導波路の製造方法における工程Bは、上述のように、工程Aと並行して又は工程Aの後、上記下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる工程である(例えば、図2のB参照)。
工程Bにおいて下部クラッド用光硬化性組成物層に対して照射する光は、光硬化性組成物の硬化反応(重合反応)を開始乃至進行させることができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、X線、紫外線、可視光線、赤外線(近赤外線、遠赤外線)などが挙げられる。中でも、取り扱いが容易である点で、紫外線が好ましい。光照射の際に用いる光源としては、特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線源、レーザー光源などが挙げられる。
光照射の条件は、下部クラッド用光硬化性組成物を硬化させ、下部クラッドを形成可能な条件で適宜調整可能であり、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば、500〜3000mJ/cm2(より好ましくは600〜2500mJ/cm2)の積算光量で照射することが好ましい。なお、光照射の際の雰囲気は、硬化(重合反応)を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの何れであってもよい。また、光照射は、常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。
工程Bにおける光照射のタイミングは、工程Aと並行して、又は、工程Aの後である。具体的には、例えば、コア層含有スタンパフィルムと積層体を貼り合わせながら下部クラッド用光硬化性組成物層に光を照射してもよいし、コア層含有スタンパフィルムと積層体とを貼り合わせた後に下部クラッド用光硬化性組成物層に光を照射してもよい。図2における工程Bは、後者の場合の例である。
工程Bにおいて、下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる態様としては、特に、コア層含有スタンパフィルムのコア層を有する側の表面と、積層体の下部クラッド用光硬化性組成物層側の表面とを密着させた状態で、コア層含有スタンパフィルムのスタンパフィルム側から紫外線を照射する態様が好ましい。このような態様で工程Bを実施することにより、下部クラッド用光硬化性組成物上でコア層がずれる等の不具合が生じにくく、形状精度の高い光導波路が得られやすいというメリットが期待される。
工程Bにより、基材フィルム/下部クラッド/コア層含有スタンパフィルムの積層構成を有する構造体(図5の(b)参照)が得られる。
[工程C]
本発明の光導波路の製造方法における工程Cは、上述のように、工程Bの後、上記コア層含有スタンパフィルムと上記積層体とを貼り合わせた構造体(単に「貼り合わせ構造体」と称する場合がある)から、上記スタンパフィルムを剥離する(取り除く)工程である(例えば、図2のC参照)。
工程Bの後の工程Cにおいて上記貼り合わせ構造体からスタンパフィルムを取り除くことにより、スタンパフィルムへの下部クラッド用光硬化性組成物の付着が防止され、スタンパフィルムの再利用が容易となる傾向がある。また、工程Bにより下部クラッド上にコア層が固定されるため、スタンパフィルムの除去が容易となり、作業性が向上する傾向がある。スタンパフィルムを取り除く方法は、特に限定されず、例えば、図2に示すようにスタンパフィルムをロールで巻き取ることにより除去(回収)が可能である。また、上述のように、回収したスタンパフィルムは再使用が可能である。
工程Cにより、基材フィルム/下部クラッド/コア層の積層構成を有する構造体(図5の(c)参照)が得られる。
[工程D]
本発明の光導波路の製造方法における工程Dは、上述のように、工程Cの後、上記コア層を上部クラッド用光硬化性組成物により被覆する工程である(例えば、図2のD参照)。上記上部クラッド用光硬化性組成物(上部クラッドを形成するための光硬化性組成物)としては、特に限定されず、光照射により硬化して硬化物を形成できる公知乃至慣用の光硬化性組成物を使用することができる。特に、光導波路の柔軟性及び耐熱性の観点では、後述の特定構成の光硬化性樹脂組成物を上記上部クラッド用光硬化性組成物として使用することが好ましく、光導波路の光損失の観点で、下部クラッド用光硬化性組成物と同じ組成物であることが特に好ましい。
上記上部クラッド用光硬化性組成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、500〜50000cPが好ましく、より好ましくは1000〜30000cPである。25℃における粘度が500cP未満であると、凸形状のコア層とコア層が転写されていない部分で段差ができやすくなる場合があり、好ましくない。一方、25℃における粘度が50000cPを超えると、アンダークラッド面(下部クラッドの表面)とコアの壁(コア層の側面)によって形成される角部(角の部分)に上部クラッド用光硬化性組成物が充填されず、気泡を巻き込むおそれがあるため、やはり好ましくない。なお、上記の25℃における粘度は、例えば、コア層用光硬化性組成物の粘度と同様に測定することができる。
上記コア層(具体的には、コア層の下部クラッドと接触していない表面)を上部クラッド用光硬化性組成物により被覆する方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法を適用可能である。具体的には、例えば、図2に示すように、下部クラッド及びコア層上に、上部クラッド用光硬化性組成物(図2における31)を塗布する方法が挙げられる。上部クラッド用光硬化性組成物を塗布(塗工)する方法としては、公知乃至慣用の方法を利用することができ、特に限定されないが、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、インクジェットコーター、コンマコーターなどの公知乃至慣用の塗工装置(コーター)を使用する方法などが挙げられる。なお、上部クラッド用光硬化性組成物の塗工は、一段階で行うこともできるし、二回以上の多段階に分けて行うこともできる。
上記上部クラッド用光硬化性組成物の塗布厚みは、特に限定されず、製造する光導波路における上部クラッドの厚みに応じて適宜設定可能である。
工程Dにより、下部クラッド及びコア層が上部クラッド用光硬化性組成物により被覆された構造体(図5の(d)参照)が得られる。
[工程E]
本発明の光導波路の製造方法における工程Eは、上述のように、工程Dの後、上記上部クラッド用光硬化性組成物を光照射により硬化させる工程である(例えば、図2のE参照)。
工程Eにおいて上部クラッド用光硬化性組成物層に対して照射する光は、光硬化性組成物の硬化反応(重合反応)を開始乃至進行させることができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、X線、紫外線、可視光線、赤外線(近赤外線、遠赤外線)などが挙げられる。中でも、取り扱いが容易である点で、紫外線が好ましい。光照射の際に用いる光源としては、特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線源、レーザー光源などが挙げられる。
光照射の条件は、上部クラッド用光硬化性組成物を硬化させ、上部クラッドを形成可能な条件で適宜調整可能であり、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば、500〜3000mJ/cm2(より好ましくは600〜2500mJ/cm2)の積算光量で照射することが好ましい。なお、光照射の際の雰囲気は、硬化(重合反応)を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの何れであってもよい。また、光照射は、常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。
工程Eにより、コア層が下部クラッド及び上部クラッドにより包まれた構造体、即ち、光導波路(埋め込み型構造の光導波路)(図5の(e)参照)が得られる。
本発明の光導波路の製造方法においては、上述の少なくとも工程A〜Eが連続的に実施される。これにより、光導波路を高い生産性で製造することが可能となる。本発明の光導波路の製造方法における工程速度は、特に限定されないが、例えば、工程Eの工程速度については、0.1〜14m/分の範囲で適宜調整可能である。
本発明の光導波路の製造方法は、上述の工程(工程A〜E、H、及びI)以外の工程を含んでいてもよい。本発明の光導波路の製造方法は、例えば、工程Eの後、光導波路(光導波路フィルム)をロール状に巻き取る工程(「工程F」と称する場合がある)を含んでいてもよい。上記工程Fは、工程Eの後であればよく、特に限定されないが、例えば、後述の工程Gを含む場合には、工程Gの前であってもよいし、工程Gの後であってもよい。また、工程Gの前後で二度実施されてもよい。
本発明の光導波路の製造方法は、さらに、工程Eにより得られた光導波路を加工する工程(「加工工程」と称する場合がある)を含んでいてもよい。光導波路を加工することにより、例えば、光路を変換する機能等を光導波路に対して付与することが可能である。
上記加工工程としては、特に、工程Eの後、光導波路をダイシングして切り欠き溝を形成し、該光導波路のコア層の端部にミラー面を形成する工程(「工程G」と称する場合がある)が好ましい。上記ミラー面としては、特に限定されないが、光導波路のコア層を伝播する光の進行方向(即ち、コア層の長手方向)に対して45°をなす傾斜面であることが好ましい。このようなミラー面は、「45°ミラー面」と称され、コア層を伝播する光の光路を90°変換する機能を有する。
光導波路をダイシングして切り欠き溝を形成し、光導波路のコア層の端部にミラー面を形成する方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により実施可能である。具体的には、例えば、特開平10−300961号公報に記載の方法などにより、ミラー面を形成できる。
図8は、工程Gを示す概略図(側面図)である。図9は、工程Gの各段階において得られる構造体の一例を示す概略図(断面図)であり、(a)は図8の(x)に示す段階で得られる構造体、(b)は図8の(xi)に示す段階で得られる構造体、(c)は図8の(xii)に示す段階で得られる構造体を示す。なお、図9は、便宜上、長手方向に延びる光導波路の一部のみを描いている。
図8、9を参照し、本発明の光導波路の製造方法における工程Gの具体例を説明する。まず、図8に示すように、ロール状に巻回された光導波路100を繰り出す。この段階における光導波路は、図9の(a)に示される。次に、光導波路100を、表面にダイヤモンドバイトを有するロール(ダイヤモンドバイト付きロール、ダイヤモンドダイシングソー)81によりダイシングし、光導波路100のコア層の端部(長手方向の端部)にミラー面を形成する。これにより、図9の(b)に示されるように、コア層の長手方向の端部にミラー面84が形成された光導波路が得られる。その後、光導波路の上部クラッド表面(ミラー面が形成された側の表面)に保護テープ82を貼り合わせ、図9の(c)に示される光導波路が得られる。なお、図8における5o〜5wはロール(5o、5s:巻き出しロール、5p、5r、5t〜5v:工程ロール、5w:巻き取りロール)を示す。
図10は、ミラー面(45°ミラー面)を有する本発明の光導波路の一例を示す概略図(断面図)である。図10における85は発光素子を示し、86は受光素子を示す。なお、図10は、便宜上、長手方向に延びる光導波路の一部のみを描いている。図10における矢印(点線矢印)は、発光素子85から発せられた光の光路を示す。図10に示すように、光導波路のコア層内に入射した光はミラー面84aにより光路が90°変換され、その後、光導波路のコア層を伝播し、ミラー面84bにより再度光路が90°変換されることにより、受光素子86に入射する。
本発明の光導波路の製造方法は、上述のように、例えば、基材フィルムの表面、上部クラッドの表面、ミラー面の外側の表面を保護するため、これらの表面に保護テープを貼り合わせる工程などのその他の工程を含んでいてもよい。
図11は、本発明の光導波路の製造方法(工程A〜E、工程I、及び保護テープを貼り合わせる工程を含み、これらが連続して実施される場合)の概略図(側面図)である。このように、本発明の光導波路の製造方法は、ロールトゥロール(roll to roll)で実施することが可能であり、高い生産性を有するものである。
本発明の光導波路は、上述の本発明の製造方法により製造されるため、生産性が高く形状精度に優れる。さらに、本発明の光導波路におけるコア層、上部クラッド、及び下部クラッドが後述の特定構成の光硬化性樹脂組成物の硬化物により形成される場合には、優れた耐熱性及び柔軟性に優れた光導波路となる。
本発明の光導波路のクラッドの波長850nmの光に対する、温度25℃における屈折率(「D1」と称する場合がある)は、特に限定されないが、汎用の光学樹脂の屈折率と大きく異ならず、光学材料としての汎用性が損なわれることがない点で、1.400〜1.700が好ましく、より好ましくは1.420〜1.680である。なお、本発明における上部クラッドと下部クラッドの上記屈折率が異なる場合、上部クラッドと下部クラッドの屈折率の両方が上記範囲を満たすことが好ましい。
本発明の光導波路のコア層の波長850nmの光に対する、温度25℃における屈折率(「D2」と称する場合がある)は、特に限定されないが、汎用の光学樹脂の屈折率と大きく異ならず、光学材料としての汎用性が損なわれることがない点で、1.410〜1.710が好ましく、より好ましくは1.430〜1.690である。
本発明の光導波路における、波長850nmの光に対する、クラッドの屈折率(D1)とコア層の屈折率(D2)より算出される比屈折率差は、特に限定されないが、1〜10%が好ましく、より好ましくは2〜10%である。比屈折率差が1%未満であると、光損失が増大する傾向がある。一方、比屈折率差が10%を超えると、コア層及びクラッドを構成する材料の選定が困難となり、コスト面で不利となる場合がある。なお、上記比屈折率差は、下記式により算出される値である。
[比屈折率差(%)]=[(D2−D1)/D1×100]
なお、本発明における上部クラッドと下部クラッドの上記屈折率が異なる場合、上部クラッドの屈折率とコア層の屈折率より算出される比屈折率差と、下部クラッドの屈折率とコア層の屈折率より算出される比屈折率差の両方が上記範囲を満たすことが好ましい。
本発明の光導波路におけるコア層の屈折率、クラッドの屈折率、及び比屈折率差は、例えば、コア層やクラッドを構成する硬化物の樹脂組成、金属ナノ粒子などの添加等により適宜制御できる。
本発明の光導波路のコア層の断面形状(コア層の長さ方向に直交する断面の形状)は、特に限定されないが、例えば、上述のスタンパフィルムの凹溝の断面形状と同様に、矩形、台形、丸形(円形、特に真円形)、不定形等が挙げられ、特に、製造の簡便さの観点で、矩形(略矩形も含む)、台形(略台形も含む)であることが好ましく、より好ましくは台形(略台形も含む)であり、さらに好ましくは、台形であり且つ該台形の下底(凹溝の底部側)が上底(凹溝の開放部側)よりも短い形状である。
より具体的には、本発明の光導波路のコア層の断面形状として、図14に示すものなどが挙げられる。図14に示すコア層の断面形状は、台形であり且つ該台形の下底(スタンパフィルムの凹溝の底部側に対応する側)が上底(スタンパフィルムの凹溝の開放部側に対応する側)よりも短い形状であり、さらに、下部クラッド2の上面(上部クラッド3と接触する面)とコア層1が充填された部分(溝)との境界が曲線で構成されている。図14中のR3は上記曲線の曲率半径を示し、小さいことが好ましく、例えば、5μm以下が好ましい。また、図14中のθ3は上記溝の深さ方向(鉛直面)と溝の輪郭(溝の斜面)のなす角度を示し、例えば、1〜3°が好ましい。上述のように、図13に示すロール状の印刷版による凹溝の転写、該凹溝によるコア層の形成、及び、該コア層の下部クラッドへの転写が正確に行われた場合には、図14中のθ3は、通常、図13中のθ1又はθ2と同じ(実質的に同じ)値をとる。図14のθ4は溝の輪郭(溝の斜面)と下部クラッド2の上面のなす角度を示し、例えば、88°前後(例えば、89〜87°)が好ましい。但し、本発明の光導波路のコア層の断面形状は、上述の形状に限定されず、例えば、特開2001−281482号公報に開示された光導波路のコア層の断面形状などの公知乃至慣用の形状を適用可能である。
本発明の光導波路のコア層の断面(コアの長さ方向に直交する断面)の幅及び高さは、特に限定されないが、1〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜75μm、さらに好ましくは25〜60μmである。コア層の断面の幅又は高さが100μmを超えると、未硬化部分が残る可能性があり、好ましくない。一方、コア層の断面の幅又は高さが1μm未満であると、他の光素子(例えば、光ファイバー等)等に対する位置合わせが困難となる場合がある。
本発明の光導波路のクラッドは、上記コアを被覆するものであればよく、その形状やサイズ等は、特に限定されない。
本発明の光導波路は、特に限定されないが、例えば、光通信用途や装飾用途等の広範な用途に使用することができる。より具体的には、例えば、携帯機器、FA機器、OA機器、オーディオ機器、車両、LAN等における通信用途、家庭用や工業用の内視鏡等におけるイメージ伝送用途、センサ用途、検査・測定用の照明、美術品等の照明等における光伝送用途、看板、サイン、景観照明等における装飾用途などにおいて用いられる、機器・装置の光配線回路や光・電気混載回路等に特に好ましく使用できる。
[特定構成の光硬化性樹脂組成物]
本発明の光導波路におけるコア層及び/又はクラッド(コア層及びクラッドのいずれか一方又は両方)は、特に、耐熱性(特に、はんだリフロー実装に対応する耐熱性)及び柔軟性に優れ、フレキシブルな光導波路が得られる点で、下記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物(「オキセタン環含有(メタ)アクリロイル化合物」と称する場合もある)を単独で、又は、ラジカル重合性を有する他の化合物若しくはカチオン重合性を有する他の化合物とともに、ラジカル重合又はカチオン重合して得られるカチオン反応性樹脂(カチオン硬化性樹脂)又はラジカル反応性樹脂(ラジカル硬化性樹脂)を必須成分とする光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。本明細書においては、上記カチオン反応性樹脂又は上記ラジカル反応性樹脂を必須成分として含む光硬化性樹脂組成物を、「特定構成の光硬化性樹脂組成物」と称する場合がある。
Figure 2014026152
(式中、R1、R2は同一又は異なって水素原子又はアルキル基を示し、Aは炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示す。)
即ち、本発明の光導波路におけるコア層及び/又はクラッドを形成するための光硬化性組成物(コア層用光硬化性組成物、下部クラッド用光硬化性組成物、上部クラッド用光硬化性組成物)は、式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物を単独で若しくはラジカル重合性を有する他の化合物とともにラジカル重合して得られるカチオン反応性樹脂(「本発明のカチオン反応性樹脂」と称する場合がある)、又は、式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物を単独で若しくはカチオン重合性を有する他の化合物とともにカチオン重合して得られるラジカル反応性樹脂(「本発明のラジカル反応性樹脂」と称する場合がある)を、必須成分とする樹脂組成物(特定構成の光硬化性樹脂組成物)であることが好ましい。
式(1)中、R1、R2におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの直鎖状C1-6(好ましくはC1-3)アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、イソヘキシル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基などの分岐鎖状のC3-6(好ましくはC3)アルキル基などが挙げられる。中でも、上記R1としては、水素原子又はメチル基が好ましい。また、上記R2としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
式(1)中、Aは炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を示す。中でも、上記Aとしては、優れた耐熱性と柔軟性とを兼ね備えた硬化物を形成できる点で、下記式(a1)で表される直鎖状アルキレン基、又は下記式(a2)で表される分岐鎖状アルキレン基が好ましい。なお、式(a2)の右端はエステル結合を構成する酸素原子と結合する。
Figure 2014026152
[式(a1)中、n1は2以上の整数を示す。式(a2)中、R3、R4、R7、R8は同一又は異なって水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は同一又は異なってアルキル基を示す。n2は0以上の整数を示し、n2が2以上の整数の場合、2以上のR7、R8はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい]
式(a1)中のn1は2以上の整数を示し、特に限定されないが、2〜20の整数が好ましく、特に好ましくは2〜10の整数である。n1が1の場合、重合して得られる硬化物の柔軟性が低下する傾向がある。
式(a2)中のR3、R4、R5、R6、R7、R8におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの直鎖状C1-4(好ましくはC1-3)アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの分岐鎖状のC3-4(好ましくはC3)アルキル基などが挙げられる。中でも、上記R3、R4としては水素原子が好ましい。また、上記R5、R6としてはメチル基、エチル基が好ましい。
式(a2)中のn2は0以上の整数を示し、特に限定されないが、1〜20の整数が好ましく、特に好ましくは1〜10の整数である。
式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物の代表的な例としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2014026152
式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物は、例えば、下記式(2)
Figure 2014026152
(式(2)中、R2は前記に同じ。Xは脱離性基を示す)
で表される化合物と、下記式(3)
HO−A−OH (3)
(式(3)中、Aは前記に同じ)
で表される化合物を、塩基性物質存在下、液相一相系で反応させて下記式(4)
Figure 2014026152
(式(4)中、R2、Aは前記に同じ)
で表されるオキセタン環含有アルコールを得、得られたオキセタン環含有アルコールを(メタ)アクリル化することにより合成することができる。
式(2)中、Xは脱離性基を示し、例えば、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子(中でも、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい);p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基;アセチルオキシ基等のカルボニルオキシ基などの脱離性の高い基が挙げられる。
上記塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;水素化ナトリウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩;有機リチウム試薬(例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等)、有機マグネシウム試薬(グリニャール試薬:例えば、MeMgBr、EtMgBr等)等の有機金属化合物等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記「液相一相系」とは、液相が2相以上あるものではなく1相のみの場合を意味し、液相が一相であれば固体を含んでいてもよい。上記溶媒としては、式(2)で表される化合物と、式(3)で表される化合物の両方を溶解することができればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;THF(テトラヒドロフラン)、IPE(イソプロピルエーテル)などのエーテル;DMSO(ジメチルスルホキシド)等の含硫黄系溶媒;DMF(ジメチルホルムアミド)等の含窒素系溶媒等が挙げられる。
上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物を単独で、又はラジカル重合性を有する他の化合物(「他のラジカル重合性化合物」と称する場合がある)とともに、ラジカル重合することによって、カチオン反応性樹脂(本発明のカチオン反応性樹脂)が得られる。即ち、本発明のカチオン反応性樹脂は、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物を必須のモノマー成分として構成されたカチオン重合性を有する重合体である。なお、上記「他のラジカル重合性化合物」とは、ラジカル重合性を有し、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物とは異なる化合物を意味する。
上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1分子内にカチオン重合部位であるオキセタン環と、ラジカル重合部位である(メタ)アクリロイル基を有するため、単独でラジカル重合、又は他のラジカル重合性化合物と共にラジカル共重合することにより、下記式で表される構成単位を有するカチオン反応性樹脂が得られる。なお、ラジカル共重合には、ブロック共重合、ランダム共重合等が含まれる。
Figure 2014026152
(式中、R1、R2、Aは上記に同じ)
本発明のカチオン反応性樹脂としては、中でも、より柔軟性に優れた硬化物を形成することができる点で、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物と他のラジカル重合性化合物をラジカル共重合することにより得られる樹脂が好ましく、カチオン反応性樹脂を構成する全モノマー(100重量%)のうち、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物の割合が0.1重量%以上100重量%未満(好ましくは1〜99重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは10〜50重量%)となるように、ラジカル共重合して得られるカチオン反応性樹脂が特に好ましい。
上記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルエーテル基、ビニルアリール基、ビニルオキシカルボニル基等のラジカル重合性基を1分子内に1つ以上有する化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を1分子内に1つ以上有する化合物としては、例えば、1−ブテン−3−オン、1−ペンテン−3−オン、1−ヘキセン−3−オン、4−フェニル−1−ブテン−3−オン、5−フェニル−1−ペンテン−3−オン等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を1分子内に1つ以上有する化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルアミノ基を1分子内に1つ以上有する化合物としては、例えば、アクリル酸モルホリン−4−イル、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ビニルエーテル基を1分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ビニルアリール基を1分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、酢酸4−ビニルフェニル、(4−ビニルフェニル)ジヒドロキシボラン、(4−ビニルフェニル)ボラン酸、(4−ビニルフェニル)ボロン酸、4−エテニルフェニルボロン酸、4−ビニルフェニルボラン酸、4−ビニルフェニルボロン酸、p−ビニルフェニルホウ酸、p−ビニルフェニルボロン酸、N−(4−ビニルフェニル)マレインイミド、N−(p−ビニルフェニル)マレイミド、N−(p−ビニルフェニル)マレインイミド等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ビニルオキシカルボニル基を1分子内に1つ以上有する化合物としては、例えば、ギ酸イソプロペニル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、イソ酪酸イソプロペニル、カプロン酸イソプロペニル、吉草酸イソプロペニル、イソ吉草酸イソプロペニル、乳酸イソプロペニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
上記他のラジカル重合性化合物としては、中でも、柔軟性及び耐熱性に優れた硬化物を形成することができる点で、1分子内に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルアリール基、ビニルエーテル基、ビニルオキシカルボニル基から選ばれる官能基を1個のみ有する化合物が好ましく、特に、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基を1分子内に1個のみ有する化合物が好ましい。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ラジカル重合反応は、加熱処理及び/又は光照射を行うことにより促進することができる。加熱処理を行う場合、その温度としては、反応に供する成分や触媒の種類などに応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、20〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃である。光照射を行う場合、その光源としては、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線、レーザー光等を使用することができる。また、光照射後、例えば、50〜180℃程度の温度で加熱処理を施してラジカル重合反応をさらに進行させてもよい。
ラジカル重合反応は一般に溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン(PGMEA)、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
また、ラジカル重合反応においては、重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤としては、公知乃至慣用の熱重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などのラジカル重合を起こし得るものを特に限定されることなく使用することができ、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等が挙げられる。
ラジカル重合反応における重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、ラジカル重合性化合物(式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物と他のラジカル重合性化合物の総重量)100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
本発明のカチオン反応性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500以上(例えば、500〜100万)が好ましく、より好ましくは3000〜50万である。重量平均分子量が上記範囲を外れると、カチオン反応性樹脂を含む樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の柔軟性が得られにくくなる傾向がある。
本発明のカチオン反応性樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、100以上(例えば、100〜50万)が好ましく、より好ましくは300〜25万である。数平均分子量が上記範囲を外れると、カチオン反応性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の柔軟性が不十分となる傾向がある。なお、上記カチオン反応性樹脂の重量平均分子量、数平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算の値として測定することができる。
上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物を単独で、又はカチオン重合性を有する他の化合物(「他のカチオン重合性化合物」と称する場合がある)とともに、カチオン重合することによって、ラジカル反応性樹脂(本発明のラジカル反応性樹脂)が得られる。即ち、本発明のラジカル反応性樹脂は、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物を必須のモノマー成分として構成されたラジカル重合性を有する重合体である。なお、上記「他のカチオン重合性化合物」とは、カチオン重合性を有し、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物とは異なる化合物を意味する。
上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1分子内にカチオン重合部位であるオキセタン環と、ラジカル重合部位である(メタ)アクリロイル基を有するため、単独でカチオン重合、又は他のカチオン重合性化合物と共にカチオン共重合することにより、下記式で表される構成単位を有するラジカル反応性樹脂を合成することができる。なお、カチオン共重合には、ブロック共重合、ランダム共重合等が含まれる。
Figure 2014026152
(式中、R1、R2、Aは上記に同じ)
上記ラジカル反応性樹脂としては、中でも、より柔軟性に優れた硬化物を形成できる点で、上記式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物と他のカチオン反応性化合物をカチオン共重合することにより得られるラジカル反応性樹脂が好ましい。特に、ラジカル反応性樹脂を構成する全モノマー(100重量%)のうち、式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物由来のモノマーの占める割合が0.1重量%以上100重量%未満(より好ましくは1〜99重量%、特に好ましくは10〜80重量%)となるように、カチオン共重合して得られる樹脂が好ましい。
他のカチオン重合性化合物としては、例えば、オキセタン環、エポキシ環、ビニルエーテル基、ビニルアリール基等のカチオン重合性基を1分子内に1個以上有する化合物等が挙げられる。
オキセタン環を1分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、トリメチレンオキシド、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3‐ビス(クロルメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、3−エチル−3{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
エポキシ環を1分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、グリシジルメチルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシルレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。
ビニルエーテル基を1分子内に1つ以上有する化合物、ビニルアリール基を1分子内に1つ以上有する化合物としては、上記他のラジカル重合性化合物において挙げられた例と同様の例が挙げられる。
上記他のカチオン重合性化合物としては、中でも、柔軟性及び耐熱性に優れた硬化物を形成することができる点で、1分子内にオキセタン環、エポキシ環、ビニルエーテル基、ビニルアリール基から選ばれる官能基を1個のみ有する化合物が好ましく、特に、トリメチレンオキシド、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン等のオキセタン環を1分子内に1つ以上有する化合物、グリシジルメチルエーテル、酪酸(R)−グリシジル等のエポキシ基を1分子内に1個のみ有する化合物等が好ましい。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン重合反応は、一般に溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
また、カチオン重合反応には重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤としては、例えば、カチオン重合をおこし得るものであれば特に限定されることなく、公知乃至慣用のカチオン重合開始剤、酸発生剤等を使用することができる。重合開始剤としては、例えば、過塩素酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、五塩化アンチモン、塩化第二鉄、四塩化錫、四塩化チタン、塩化水銀、塩化亜鉛等のルイス酸等を使用することができる。また、その他、ヨウ素、トリフェニルクロロメタン等を使用することもできる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン重合反応における重合開始剤の使用量としては、例えば、カチオン重合性化合物(式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物と他のカチオン重合性化合物の総重量)100重量部に対して、例えば、0.01〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
また、カチオン重合反応は重合禁止剤の存在下で行ってもよい。重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、モノ−t−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、α−ナフトール、ニトロフェノール等のキノン・フェノール系禁止剤、チオエーテル系禁止剤、亜リン酸エステル系禁止剤等が挙げられる。
本発明のラジカル反応性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500以上(例えば、500〜100万)が好ましく、より好ましくは3000〜50万である。ラジカル反応性樹脂の重量平均分子量が上記範囲を下回ると、ラジカル重合して得られる硬化物の柔軟性が低下する傾向がある。なお、上記ラジカル反応性樹脂の重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算の値として測定することができる。
(カチオン反応性樹脂組成物)
上記特定構成の光硬化性樹脂組成物としての上記カチオン反応性樹脂組成物(カチオン硬化性樹脂組成物)は、本発明のカチオン反応性樹脂を必須成分として含む樹脂組成物である。上記カチオン反応性樹脂組成物における本発明のカチオン反応性樹脂の割合(含有量)としては、例えば、カチオン反応性樹脂組成物(固形分)(100重量%)に対して5重量%以上であり、実質的にカチオン反応性樹脂組成物(固形分)が本発明のカチオン反応性樹脂のみで構成されていてもよい(例えば、本発明のカチオン反応性樹脂の割合が98重量%以上であってもよい)。本発明においては、中でも、より柔軟性に優れる硬化物を形成することができる点で、カチオン反応性樹脂組成物(固形分)中に占める本発明のカチオン反応性樹脂の割合が、10〜95重量%であることが好ましく、特に40〜95重量%が好ましい。カチオン反応性樹脂組成物(固形分)中に占める本発明のカチオン反応性樹脂の割合が5重量%を下回ると、カチオン重合により硬化して得られる硬化物の柔軟性が低下する傾向がある。
上記カチオン反応性樹脂組成物には、本発明のカチオン反応性樹脂の他に、上述の他のカチオン重合性化合物が含まれていてもよい。
上記カチオン反応性樹脂組成物に含まれる他のカチオン重合性化合物としては、中でも、光を照射することにより速やかに硬化する点で、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン等のオキセタン環を1分子内に1つ以上有する化合物が好ましい。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記カチオン反応性樹脂組成物は、より柔軟性に優れる硬化物を形成することができる点で、本発明のカチオン反応性樹脂と共に他のカチオン重合性化合物を含むことが好ましい。本発明のカチオン反応性樹脂と他のカチオン重合性化合物の配合比(前者/後者:重量比)としては、特に限定されないが、95/5〜10/90が好ましく、より好ましくは95/5〜20/80、さらに好ましくは95/5〜45/55である。本発明のカチオン反応性樹脂の配合割合が上記範囲を下回ると、得られる硬化物の柔軟性が低下する傾向がある。
また、上記カチオン反応性樹脂組成物は、必要に応じて重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤、光酸発生剤等のカチオン重合を起こし得るものを特に限定されることがなく使用することができる。重合開始剤としては、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩;ジアリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヨードニウム[4−(4−メチルフェニル−2−メチルプロピル)フェニル]ヘキサフルオロホスフェート等のヨードニウム塩;テトラフルオロホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等のホスホニウム塩;ピリジニウム塩などが挙げられる。
上記重合開始剤として、例えば、商品名「CPI−100P」(サンアプロ(株)製、光酸発生剤)などの市販品を使用することもできる。
カチオン重合反応における重合開始剤の使用量としては、カチオン重合性化合物(本発明のカチオン反応性樹脂と他のカチオン重合性化合物の総重量)100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
さらに、上記カチオン反応性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の添加物を添加してもよい。他の添加物としては、例えば、硬化膨張性モノマー、光増感剤(アントラセン系増感剤等)、樹脂、密着性向上剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、溶剤、無機又は有機粒子(ナノスケール粒子等)、有機−無機ハイブリッド材料、フルオロシラン等の公知慣用の各種添加剤を挙げることができる。
(ラジカル反応性樹脂組成物)
上記特定構成の光硬化性樹脂組成物としての上記ラジカル反応性樹脂組成物(ラジカル硬化性樹脂組成物)は、本発明のラジカル反応性樹脂を必須成分として含む。上記ラジカル反応性樹脂組成物における本発明のラジカル反応性樹脂の割合(含有量)としては、例えば、ラジカル反応性樹脂組成物(固形分)(100重量%)に対して5重量%以上であり、実質的にラジカル反応性樹脂組成物(固形分)が本発明のラジカル反応性樹脂のみで構成されていてもよい(例えば、本発明のラジカル反応性樹脂の割合が98重量%以上であってもよい)。本発明においては、中でも、より柔軟性に優れる硬化物を形成することができる点で、ラジカル反応性樹脂組成物(固形分)中に占める本発明のラジカル反応性樹脂の割合が、10〜95重量%であることが好ましく、特に60〜90重量%が好ましい。ラジカル反応性樹脂組成物(固形分)中に占める本発明のラジカル反応性樹脂の割合が5重量%を下回ると、ラジカル重合により硬化して得られる硬化物の柔軟性が低下する傾向がある。
上記ラジカル反応性樹脂組成物には、本発明のラジカル反応性樹脂の他に、上述の他のラジカル重合性化合物が含まれていてもよい。
上記ラジカル反応性樹脂組成物に含まれる他のラジカル重合性化合物としては、中でも、より優れた耐熱性を有する硬化物を形成できる点で、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ以上(特に2つ)有する化合物が好ましい。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ラジカル反応性樹脂組成物としては、より優れた柔軟性を有する硬化物を形成できる点で、本発明のラジカル反応性樹脂と共に他のラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。本発明のラジカル反応性樹脂と他のラジカル重合性化合物の配合比(前者/後者:重量比)としては、特に限定されないが、95/5〜5/95が好ましく、より好ましくは95/5〜20/80、さらに好ましくは95/5〜60/40である。本発明のラジカル反応性樹脂の配合割合が上記範囲を下回ると、得られる硬化物の柔軟性が低下する傾向がある。
また、上記ラジカル反応性樹脂組成物は、必要に応じて重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、公知乃至慣用の光ラジカル重合開始剤などのラジカル重合を起こし得るものを特に限定されることがなく使用することができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記光ラジカル重合開始剤には、光吸収エネルギーの重合開始遊離基への転換を強めるための相乗剤を添加してもよい。相乗剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸メチル等のアミン;チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アセチルアセトンなどのケトン等が挙げられる。
また、上記ラジカル反応性樹脂組成物は、重合開始剤として公知乃至慣用の熱重合開始剤を含んでいてもよい。上記熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ラジカル反応性樹脂組成物に重合開始剤を添加する場合、その添加量(使用量)としては、ラジカル反応性樹脂組成物中のラジカル重合性化合物(本発明のラジカル反応性樹脂と他のラジカル重合性化合物の総重量)100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部である。
さらに、上記ラジカル反応性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の添加物を添加してもよい。他の添加物としては、例えば、硬化膨張性モノマー、光増感剤(アントラセン系増感剤等)、樹脂、密着性向上剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、溶剤、無機又は有機粒子(ナノスケール粒子等)、有機−無機ハイブリッド材料、フルオロシラン等の公知慣用の各種添加剤を挙げることができる。
特に、本発明の光導波路のコア層は、式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物と、該オキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物の単独重合体よりも屈折率が高い単独重合体を形成するラジカル重合性を有する他の化合物又はカチオン重合性を有する他の化合物とを含む組成物(モノマー組成物)を、ラジカル重合又はカチオン重合して得られるカチオン反応性樹脂又はラジカル反応性樹脂を必須成分とする樹脂組成物(カチオン反応性樹脂組成物又はラジカル反応性樹脂組成物)の硬化物より形成することが好ましい。本発明の光導波路のコア層を上記構成の硬化物より形成することによって、コア層の屈折率を高くすることができるため、コア層とクラッドの比屈折率差を上述の範囲に制御しやすく、光損失が低減する傾向がある。
また、特に、本発明の光導波路のクラッドは、式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物と、該オキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物の単独重合体よりも屈折率が低い単独重合体を形成する他のラジカル重合性化合物又は他のカチオン重合性化合物とを含む組成物(モノマー組成物)を、ラジカル重合又はカチオン重合して得られるカチオン反応性樹脂又はラジカル反応性樹脂を必須成分とする樹脂組成物(カチオン反応性樹脂組成物又はラジカル反応性樹脂組成物)の硬化物より形成することが好ましい。本発明の光導波路のクラッドを上記構成の硬化物より形成することによって、クラッドの屈折率を低くすることができるため、コアとクラッドの比屈折率差を後述の範囲に制御しやすく、光損失が低減する傾向がある。
本明細書において、「単独重合体」とは、単一の単量体[式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物、他のラジカル重合性化合物、他のカチオン重合性化合物]より形成される重合体(ホモポリマー)を意味する。具体的には、上記単量体の重合性官能基(カチオン重合性官能基、ラジカル重合性官能基など)の反応率(硬化度)[=未反応の重合性官能基(モル)/(反応した重合性官能基(モル)+未反応の重合性官能基(モル))×100]が50%以上であるホモポリマー、好ましくは、上記単量体が有する重合性官能基を実質的に全て反応させることによって形成されたホモポリマーである。なお、式(1)で表されるオキセタン環含有(メタ)アクリル酸エステル化合物における重合性官能基は、オキセタン環及び(メタ)アクリロイル基である。他のカチオン重合性化合物における重合性官能基はカチオン重合性官能基であり、他のラジカル重合性化合物における重合性官能基はラジカル重合性官能基である。なお、上記反応率は、例えば、NMR、IR、ラマンスペクトル等により算出することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1(コア層用光硬化性組成物の製造)
モノマーと開始剤の混合液の滴下ライン、温度計、還流管、及び攪拌翼を装着した5口フラスコに、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン(PGMEA)391gを仕込み、窒素気流下、85±1℃に加熱した。次いで、攪拌しながら、PGMEA668g、3−エチル−3−(3−アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルプロピルオキシメチル)オキセタン(EOXTM−NPAL)90g(0.35mol)、n−ブチルアクリレート(BA)135.6g(1.05mol)、スチレン(St)147g(1.40mol)、及び2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名「V−601」、和光純薬工業(株)製)51.8gの混合液を送液ポンプで5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間同温度で保持した後、40℃以下に冷却することで、樹脂溶液を得た。上記樹脂溶液を5倍量の60重量%メタノール水溶液で再沈精製し、真空乾燥機中(40℃、フルバキューム)で60時間保持することで、無色透明の液状樹脂(1)(カチオン反応性樹脂)を得た。
上記液状樹脂(1)のポリスチレン換算の重量平均分子量は4,500、数平均分子量は2,700であった。
次に、上記液状樹脂(1)65重量部、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イオキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンを主成分(主生成物)とする(3−エチルオキセタン−3−イル)メタノール(ヒドロキシメチル)−オキセタンと1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンの反応生成物(商品名「OXT−121」、東亞合成(株)製)35重量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド 2021P」、(株)ダイセル製)5重量部、及び「CPI−100P」(サンアプロ(株)製、光重合開始剤)3.15重量部を混合し、孔径0.2μmのフィルタでろ過し、コア層用光硬化性組成物(カチオン反応性樹脂組成物)を得た(25℃における粘度:1000cP)。
製造例2(クラッド用光硬化性組成物の製造)
モノマーと開始剤の混合液の滴下ライン、温度計、還流管、及び攪拌翼を装着した5口フラスコに、PGMEA367gを仕込み、窒素気流下、85±1℃に加熱した。次いで、攪拌しながら、PGMEA630g、EOXTM−NPAL300g(1.17mol)、BA750g(5.85mol)、及び商品名「V−601」0.65gの混合液を送液ポンプで5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間同温度で保持した後、40℃以下に冷却することにより、樹脂溶液を得た。上記樹脂溶液をPGMEA2100gで希釈した後、5倍量の60重量%メタノール水溶液で再沈精製し、真空乾燥機中(40℃、フルバキューム)で60時間保持することにより、無色透明の液状樹脂(2)(カチオン反応性樹脂)を得た。
上記液状樹脂(2)のポリスチレン換算の重量平均分子量は235,700、数平均分子量は50,000であった。
次に、上記液状樹脂(2)45重量部、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン6重量部、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン(商品名「OXT−212」、東亞合成(株)製)12重量部、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名「OXT−221」、東亞合成(株)製)37重量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド 2021P」、(株)ダイセル製)5重量部、及び「CPI−100P」(サンアプロ(株)製、光重合開始剤)3.15重量部を混合し、孔径1μmのフィルタでろ過し、クラッド用光硬化性組成物(カチオン反応性樹脂組成物)を得た(25℃における粘度:10000cP)。
実施例1
(作業1)
図6に示す方法に従い、コア層含有スタンパフィルムを製造した。具体的には以下の通りである。
ロール状のPETフィルム(厚み:50μm)を繰り出し、該PETフィルムの一方の表面にシリコン系紫外線硬化樹脂を塗布し(塗布厚み:80μm)、次いで、図13に示す表面に凸部を有する金型ロール(φ150mm、直胴部225mm、凸部高さ40μm、凸部の本数:5本)を押し当てながらニップロールを介して紫外線を照射(積算光量:1000mJ/cm2)し、シリコン系紫外線硬化樹脂を硬化させ、表面に凹溝(光導波路のコア層のパターンに対応する凹溝)を有するスタンパフィルムを製造した。なお、上記金型ロールの図13(d)におけるR1とR2(共に凸部の上面と側面の境界がなす曲線における曲率半径)は等しく、5μmである。また、θ1とθ2(共に凸部の傾斜面と高さ方向がなす角度)は等しく、1°である。また、幅d1は40μm、幅d2は39μmであり、d1−d2は1μmである。h1とh2(共に凸部の高さ(深さ))は等しく、40μmである。
次に、上記スタンパフィルムの凹溝に、製造例1で得たコア層用光硬化性組成物をシリンジで注入しながら余分なコア層用光硬化性組成物をスキージで掻き取り、スタンパフィルムの下部より(即ち、PETフィルム側より)ニップロールを介して紫外線照射(積算光量:2400〜3000mJ/cm2)を行い、コア層用光硬化性組成物を硬化させた。このようにして、スタンパフィルムの凹溝内にコア層が充填されたコア層含有スタンパフィルムを製造した。
(作業2)
図11に示す方法に従い、光導波路を製造した。具体的には以下の通りである。
ロール状のポリイミドフィルム(厚み:25μm)を繰り出し、該ポリイミドフィルムの一方の表面に製造例2で得たクラッド用光硬化性組成物を、厚みが40μmとなるように均一にコーティングし、ポリイミドフィルムの一方の表面にクラッド用光硬化性組成物層(厚み:40μm)を有する積層体を製造した。
次に、上記積層体のクラッド用光硬化性組成物層表面を上向きとし、上記コア層含有スタンパフィルムの凹溝(コア層)を有する側の表面を下向きとして、両者を貼り合わせ、凹溝内のコア層をポリイミドフィルム上のクラッド用光硬化性組成物層に接触させた。次いで、上記積層体とコア層含有スタンパフィルムとを貼り合わせた状態で、コア層含有スタンパフィルムのPETフィルム側から紫外線を照射(積算光量:2000mJ/cm2)し、クラッド用光硬化性組成物を硬化させ、下部クラッドを形成した。その後、スタンパフィルムを剥離し、高さ40μmの凸部(コア層)を表面に有する構造体を製造した。
引き続き、下部クラッド上にコア層を有する構造体の該コア層側の表面に、製造例2で得たクラッド用光硬化性組成物を、下部クラッドの表面から80μmの厚みとなるように(コア層の天長部からは40μmの高さとなるように)均一にコーティングし、その後、クラッド用光硬化性組成物に紫外線を照射(積算光量:2000mJ/cm2)し、該クラッド用光硬化性組成物を硬化させ、上部クラッドを形成した。このようにして、コア層が下部クラッド及び上部クラッドで包まれた埋め込み型構造の光導波路を製造した。なお、当該光導波路の幅方向の断面図(概略図)は図14に示す通りであり、θ3は1°であった。
(作業3)
図11に示すように、上記光導波路をMD方向(機械方向)に巻き取った。
さらに、図8、9に示すように、上記光導波路を繰り出し、MD方向と平行にダイヤモンドダイシングソーを押し当て、コアの端面に45°の角度がつくようにミラー面(45°ミラー面)を形成した。
[光損失評価]
波長857nmの光源(ADVANTEST Q81201)からの光をマッチングオイルを介してコア径50μmのGIファイバにて、実施例1で得られた光導波路に導入し、出射した光をマッチングオイルを介してコア径200μmのPCFファイバで受光し、パワーメータ(ADVANTEST Q82202、OPTICAL SENSOR Q82214)に接続して出射される光を該パワーメータで測定した。カットバック法により求めた実施例1で得られた光導波路の直線部分の光損失は0.13dB/cmであった。
100 光導波路(埋め込み型構造の光導波路)
A 工程A
B 工程B
C 工程C
D 工程D
E 工程E
1 コア層
11 スタンパフィルム
12 コア層含有スタンパフィルム
13 凹溝
2 下部クラッド
21 下部クラッド用光硬化性組成物層(下部クラッド用光硬化性組成物)
22 基材フィルム
23 積層体(基材フィルムと下部クラッド用光硬化性組成物の積層体)
24 基材フィルムと下部クラッドとの積層体
3 上部クラッド
31 上部クラッド用光硬化性組成物
4a〜4d 光照射装置
5a〜5z ロール
5a’、5b’ロール
6a〜6d 塗工装置
71 プラスチックフィルム
72 凸部を表面に有するロール状の印刷版
73 スキージ
74 ハードコート層形成用組成物層
75 ハードコート層
76 コア層用光硬化性組成物
77 ロール状の印刷版の凸部
81 ダイヤモンドバイト付きロール
82 保護テープ
83 保護テープ
84 ミラー面
84a ミラー面(45°ミラー面)
84b ミラー面(45°ミラー面)
85 発光素子
86 受光素子

Claims (15)

  1. コア層が下部クラッド及び上部クラッドで包まれた埋め込み型構造の光導波路を連続的に製造する方法であって、
    下記の工程A、工程B、工程C、工程D、及び工程Eを含み、かつ該工程A、工程B、工程C、工程D、及び工程Eが連続的に実施されることを特徴とする光導波路の製造方法。
    工程A:少なくとも一方の表面に光導波路におけるコア層のパターンに対応する凹溝を有するスタンパフィルムの該凹溝内にコア層を有するコア層含有スタンパフィルムと、基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物層を有する積層体とを貼り合わせて、下部クラッド用光硬化性組成物層にコア層を接触させる工程
    工程B:工程Aと並行して又は工程Aの後、前記下部クラッド用光硬化性組成物層を光照射により硬化させる工程
    工程C:工程Bの後、前記コア層含有スタンパフィルムと前記積層体の貼り合わせ構造体から、前記スタンパフィルムを剥離する工程
    工程D:工程Cの後、前記コア層を上部クラッド用光硬化性組成物により被覆する工程
    工程E:工程Dの後、前記上部クラッド用光硬化性組成物を光照射により硬化させる工程
  2. 工程Aの前に、前記スタンパフィルムの凹溝にコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成して前記コア層含有スタンパフィルムを製造する工程Hをさらに含む請求項1に記載の光導波路の製造方法。
  3. 工程Hが、前記スタンパフィルムの凹溝に、ナイフコーターにより塗工することによって、又は、ドクターブレード若しくはスキージを使用して塗工することによってコア層用光硬化性組成物を充填し、次いで、該コア層用光硬化性組成物を光照射により硬化させてコア層を形成して前記コア層含有スタンパフィルムを製造する工程である請求項2に記載の光導波路の製造方法。
  4. 工程Aの前に、前記基材フィルムの一方の表面に下部クラッド用光硬化性組成物を塗布して下部クラッド用光硬化性組成物層を形成して前記積層体を製造する工程Iをさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  5. 前記スタンパフィルムが、紫外線透過性を有するスタンパフィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  6. 前記スタンパフィルムが、熱可塑性樹脂を含むスタンパフィルムである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  7. 工程Bが、工程Aと並行して又は工程Aの後、コア層含有スタンパフィルムのコア層を有する側の表面と、前記積層体の下部クラッド用光硬化性組成物層側の表面とを密着させた状態で、前記スタンパフィルム側から紫外線を照射することにより、前記下部クラッド用光硬化性組成物層を硬化させる工程である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  8. 前記基材フィルムがポリイミドフィルムである請求項1〜7のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  9. 前記スタンパフィルムが、平滑なシートに対して、前記スタンパフィルムが有する凹溝に対応する凸部を表面に有するロール状の印刷版を押圧転写することにより得られるスタンパフィルムである請求項1〜8のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  10. 前記ロール状の印刷版の径が75〜1500mmである請求項9に記載の光導波路の製造方法。
  11. 前記スタンパフィルムが有する凹溝の幅方向の切断面の形状が台形であり、且つ該台形の下底(凹溝の底部側)が上底(凹溝の開放部側)よりも短い形状である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  12. さらに、工程Eの後、光導波路をロール状に巻き取る工程Fを含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  13. さらに、工程Eの後、光導波路をダイシングして切り欠き溝を形成して、光導波路のコア層の端部にミラー面を形成する工程Gを含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
  14. 工程Gにより形成されるミラー面が、光導波路のコア層を伝播する光の進行方向に対して45°をなす傾斜面である請求項13に記載の光導波路の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法により製造される光導波路。
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